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[健保法] 健保法・重要箇所・Chapter 1
■ この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法7条1項1号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。(1条)
■ 業務上の傷病として認定を申請中の未決定期間は、一応業務上の取扱いをし、最終的に業務上の傷病でないと認定され、更に健康保険法による業務外の傷病として認定された場合には、遡って療養費、傷病手当金等の給付を行う。
■ 健康保険制度については、これが医療保険制度の基本をなすものであることをかんがみ、高齢化の進展、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応し、その他の医療保険制度及び後期高齢者医療制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せてそのあり方に関して常に検討が加えられ、その結果に基づき、医療保険の運営の効率化、給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民の受ける質の向上を総合的に図りつつ、実施されなければならない。(2条)
■ 医療保険制度、後期高齢者医療制度、介護保険制度の関係
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■ 被保険者の種類は、①適用事業所(任意適用事業所を含む)に使用される被保険者、②保険者、③特例退職被保険者(特定健康保険組合)、④日雇い特例被保険者である。
■ 適用事業所に使用される者で、適用除外に該当しない者は、国籍やその意思に関わらず被保険者とされる。
■ 共済組合の組合員も健康保険の被保険者ではあるが、健康保険法からは保険給付を行わないため、保険料の徴収も行われない。
■ 健康保険の適用については、法人から労働の対償として報酬を受けている者は、その法人に使用される者として被保険者の資格を取得する。個人経営の事業の事業主は、使用される者に該当しないため、被保険者とはならない。
■ 被保険者が、使用される事業所の労働組合の専従役職員となり、その職務に従事するときは、従前の事業主との関係では被保険者資格を喪失することになり、労働組合に使用される者としてのみ被保険者となる。
■ 外国人であっても適法に就労し、適用事業所と実態的かつ常用的な仕様関係のある被用者は、被保険者の資格を取得する。
■ 労働者派遣事業を含む法人事業所に使用される無期雇用派遣労働者が別の法人事業所に派遣荒れた場合、この派遣労働者は、その派遣先事業所への派遣期間に関わらず、派遣元事業所の健康保険の適用を受ける。
■ 適用除外は、以下の通り。
・ 船員保険の被保険者(船員保険法2条2項に規定する疾病任意継続被保険者を除く。)
・ 臨時に使用される者であって、次に掲げるもの(①に掲げるものが1月を超え引き続き使用されるに至った場合、②に掲げる者が②に掲げる所定の期間を超え引き続き使用されるに至った場合を除く。)
・ 日々雇い入れられる者
2月以内の期間を定めて使用される者
・ 事業所又は事務所(事業所)で所在地が一定しないものに使用される者
・ 季節的業務に使用される者(当初から継続して4月を超えて使用されるべき場合を除く。)
・ 臨時的事業の事業所に使用される者(当初から継続して6月を超えて使用されるべき場合を除く。)
・ 国民健康保険組合の事業所に使用される者
・ 後期高齢者医療の被保険者等
・ 厚生労働大臣、健康保険組合又は共済組合の承認を受けた者(健康保険の被保険者でないことにより国民健康保険の被保険者であるべき期間に限る。)
・ 事業所に使用される者であって、その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者(当該事業所に使用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業所に使用される者であっては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該者と同種の業務に従事する当該通常の労働者)の1週間の所要労働時間の4分の3未満である短時間労働者(1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所要労働時間に比し短い者をいう。)又はその1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3未満である短時間労働者に該当する、かつ、①から④までのいずれかの要件に該当するもの
・ 1週間の所定労働時間が20時間未満であること
・ 当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれないこと
報酬(最低賃金法4条3項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について、厚生労働省令で定めるところにより、健保法42条1項(標準報酬月額の資格取得時決定)の規定の例により算定した額が、88,000円未満であること
・ 学校教育法50条に規定する高等学校の生徒、同法83条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること
■ 後期高齢者医療の被保険者等とは、次のア、イに該当するもの
・ 後期高齢者医療の被保険者
・ 後期高齢者医療広域連合の区域内(都道府県の区域内)に住所を有する75歳以上の者
・ 同区域内に住所をゆする65歳以上75歳未満の者であって、政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該広域連合の認定を受けた者
・ 生活保護を受けている世帯に属すること等により後期高齢者医療の被保険者とならない者
■ 短時間労働者への適用に関する経過措置として、当分の間、特定適用事業所以外の適用事業所(国又は地方公共団体の当該適用事業所を除く。)に使用される次のア、イに掲げる者であって改正後の健保法3条1項各号のいずれにも該当しない者(特定4分の3未満短時間労働者)については、規定にかかわらず、健康保険の被保険者としない。(健保法附則46条1項)
・ その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である短時間労働者
・ その1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3未満である短時間労働者
■ 特定適用事業所とは、事業主が同一である一又は二以上の適用事業所で、当該一又は二以上の適用事業所に使用される特定労働者(70歳未満の者のうち、改正後の厚生年金保険法12条各号のいずれにも該当しない者であって、特定4分の3未満短時間労働者以外のもの)の総数が常時500人を超えるものの各適用事業所をいう。
■ 上記1項により、特定適用事業所以外の適用事業所においては、基本的に、短時間労働者への適用拡大の適用がない。ただし、特定適用事業所以外の適用事業所の事業主であっても、所定の同意を得ることを要件に、保険者等に上記1項の規定の適用を受けない旨の申し出を可能としている(5項)。
・ 特定適用事業所以外の適用事業所において1項の適用を受けない旨の申出をする場合、2分の1以上の同意 → 申出が受理された日以降1項適用しない
(2分の1以上同意対象者の過半数で組織する労働組合があるときは当該労働組合の同意、ないときは過半数を代表する者の同意)
【2分の1以上同意対象者とは、当該事業主の一又は二以上の適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者、70歳以上の使用される者及び特定4分の3未満短時間労働者をいう。】
・ アの申出をした事業主の事業所において1項の適用を受ける旨の申出をする場合、4分の3以上の同意 → 特定4分の3未満短時間労働者は、申出受理された日の翌日にその資格を喪失する。
・ 特定適用事業所に該当しなくなった適用事業所において1項の適用を受ける旨の申出をする場合、4分の3以上の同意 → 特定4分の3未満短時間労働者は、申出受理された日の翌日にその資格を喪失する。
■ 特定適用事業所に該当しなくなった適用事業所に使用される特定4分の3未満短時間労働者については、上記1項の規定は、適用しない。ただし、当該適用事業所の事業主が、所定の同意を得て、保険者等に申出をした場合は、この限りでないこととされている(2項)
■ ケ③の厚生労働省令で定める賃金(88,000円以上かどうかを判断する報酬から除外する賃金)(則23条の4)
・ 臨時に支払われる賃金
1月を超える期間ごとに支払われる賃金
・ 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金
・ 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金
・ 深夜労働に対して支払われる賃金のうち通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分
・ 最低賃金において算入しないことを定める賃金(精皆勤手当、通勤手当、家族手当)
■ ケ④の学生等からは、卒業を予定している者であって、適用事業所に使用され、卒業した後も引き続き当該適用事業所に使用されることとなっているもの、休学中の者及び定時制の課程等に在学する者そのほかこれらに準ずる者(事業主との雇用関係を存続した上で、事業主の命により又は事業主の承認を受けて、大学院等に在学する者(いわゆる社会人大学生等)とする)を除く。(則23条の6)
■ 協会管掌健康保険の特定適用事業所に使用される短時間労働者が被保険者としての要件を満たし、かつ、同時に組合管掌健康保険の特定適用事業所に使用される短期労働者の被保険者としての要件を満たした場合は、被保険者がいずれか一方を選択する。
■ 健康保険法に定める「臨時に使用される者」とは認められない者については、当初の一定の期間を試用期間とされたとしても、雇い入れ当初から被保険者となる。
■ 労働者派遣事業の事業所に適用される派遣労働者のうち常時雇用される労働者以外の者(登録型派遣労働者)の適用については、派遣就業にかかる一の雇用契約の終了後、最大1月以内に、同一の派遣元事業主のもとでの派遣就業に係る次回の雇用契約(1カ月以上のものに限る)が確実に見込まれるときは、仕様関係が継続しているものとして取扱い、被保険者資格は喪失させないこととして差し支えない。
■ 所定労働時間が1カ月の単位で定められている場合は、当該所定労働時間を12分の52で除して得た時間を1週間の諸例労働時間とする。
■ 所定労働時間が1カ月の単位で定められている場合で、特定の月の所定労働時間が例外的に長く又は短く定められているときは、当該特定の月以外の通常の月の所定労働時間を12分の52で除して得た時間を1週間の所定労働時間とする。
■ 所定労働時間が1年の単位で定められている場合は、所定労働時間を52で除して得た時間を1週間の諸例労働時間とする。
■ 所定労働時間は週20時間未満であるものの、事業主等に対する事情の聴取やタイムカード等の書類の確認を行った結果、実際の労働時間が直近2月において週20時間以上である場合で、今後も同様の状態が続くことが見込まれるときは、当該所定労働時間は20時間以上であることとして取り扱うことができる。
■ 当初は継続して1年以上使用されることが見込まれなかった場合であっても、その後において、継続して1年以上使用されることが見込まれるようになったときは、その時点から継続して1年以上使用されることが見込まれることとして取り扱うこととする。
■ その適用事業所に使用されるに至った日とは、事実上の使用関係が発生した日とされる。この事実上の使用関係が発生した日は、労務の提供、報酬の支払い等の有無により、総合的に判断されるため、雇用契約が締結された日と被保険者資格を取得する日が一致しないことがある。
■ 自宅待機の場合、当初から自宅待機とされた場合の被保険者資格については、雇用契約が成立しており、かつ、休業手当が支払われるときは、その休業手当等の支払いの対象となった日の初日に被保険者の資格を取得することとなる。
■ 臨時又は試みに使用される者は、事業所の内規等により一定期間は臨時又は試みに使用すると称し、又は雇用者の出入頻繁で永続するか否か不明であるという理由で取得届の提出を遅らせる者は臨時使用と認めず、雇い入れ当初より被保険者とする。
■ 嘱託で再雇用された者の被保険者資格の取扱いは、同じ事業所において雇用契約の上でいったん退職した者が、1日の空白もなく再雇用された場合は、退職金の支払の有無又は身分関係若しくは職務内容の変更に関係なく、そのものが事実上の使用関係を中断することなく存続しているときは、被保険者資格も存続する。ただし、60歳以上の者で、退職後継続して再雇用されるものについては、使用関係が一旦中断したものとみなし、事業主から被保険者資格喪失届及び被保険者資格取得届を提出させる取り扱いをしても差し支えない。
■ 実際は労務を提供せず、労務の対償として報酬の支払を受けない場合には、実質上の使用関係がないものであるから、これにも関わらず、偽って被保険者の資格を取得し保険給付を受けた場合には、違法行為として、その資格を取り消し、それまでに受けた保険給付に要した費用を返還させる。
■ 被保険者(任意継続被保険者を除く)は、ア~エのいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日にさらに被保険者の資格を取得したときは、その日)から、被保険者の資格を喪失する。
・ 死亡したとき
・ その事業所に使用されなくなったとき
・ 適用除外自由に該当するに至ったとき
・ 任意適用事業所の取消の認可があったとき。
LINK https://d.docs.live.net/20fdc7cb7d7ed001/デスクトップ/private/20250113_智仁関連/20250113_資格試験/20250824_社会保険労務士/20250824_第57回/20250112_健保法/20250112_健保法関連.xlsx "資格喪失事由!R1C1:R7C2" "" \a \p
■ 長期間にわたり海外支店に勤務し、国内において勤務していた会社における雇用関係が消滅したと認められる場合には、被保険者資格を喪失させることができる。
■ 解雇について係争中の場合であっても、事業主から被保険者資格喪失届の提出があったときには、一応被保険者資格を喪失したものとして取り扱われる。
■ 任意適用事業所に使用される被保険者は、健保法33条又は36条の規定により資格を喪失するのであり、事業主による悪質な保険料の滞納があったとしても、その資格は取り消せない。
■ 工場の譲渡等により事業主に変更があった場合であっても、旧事業主が当該事業に使用される被保険者を解雇しないときは、当該被保険者は新事業主にそのまま使用されるため、被保険者の資格の取得及び喪失の届出は不要である。(この場合、事業主変更届は必要である。)
■ 事業主は被保険者の資格を取得した者があるときは、その事実があった日から5日以内に、健康保険被保険者資格取得届を機構又は健康保険組合に届け出なければならない。(健保則24条1項)
■ 事業主は被保険者の資格を喪失した者があるときは、その事実があった日から5日以内に、健康保険被保険者資格喪失届を機構又は健康保険組合に届け出なければならない。(健保則29条1項)
■ 健康保険法において「任意継続被保険者」とは、適用事業所に使用されなくなったため、又は適用除外に該当するに至ったため被保険者(日雇特例被保険者を除く。)の資格を喪失した者であって、喪失の日の前日まで継続して2月以上被保険者(日雇特例被保険者、任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であったもののうち、保険者に申し出て、継続して当該保険者の被保険者となったものをいう。ただし、船員保険の被保険者又は後期高齢者医療の被保険者等であるものは、この限りでない。(健保法3条4項)
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■ 正当な理由とは、天災地変、交通、通信関係のスト等により法定期間内に届出ができなかった場合をいう。任意継続被保険者制度があることを、資格喪失日から20日を経過した後に知ったという場合は、正当な理由とならない。
■ 任意適用事業所がその取消の認可を受けたことにより、資格を喪失した者は、任意継続被保険者になることができない。
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■ 任意継続被保険者となる申出をした者が、初めて納付すべき保険料をその納付期日までに納付しなかったときは、その者は任意継続被保険者とならなかったものとみなす。ただし、その納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときはこの限りでない。
■ 「被扶養者になったこと」は、任意継続被保険者の資格喪失事由に含まれていない。
■ 任意継続被保険者は、個人番号、氏名又は住所を変更したときは、5日以内に、変更前及び変更後の個人番号、氏名又は住所を保険者へ届け出なければならない。(健保則44条)。
■ 任意継続被保険者が、資格を喪失したときは、5日以内に被保険者証を保険者に返納しなければならない。(協会の任意継続被保険者の場合、直接全国健康保険協会に、組合の任意継続被保険者の場合、直接健康保険組合に返納。)(健保則51条1項)
■ 任意継続被保険者が適用事業所に使用されるに至ったときなどの申出(健保法43条)は、遅滞なく、申出書を保険者に提出しなければならない。
■ 厚生労働省令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の認可を受けた健康保険組合(特定健康保険組合)の組合員である被保険者であったものであって、改正前(平成20年4月1日前)の国民健康保険法に規定する退職被保険者であるべきもののうち当該特定健康保険組合の規定で定めるものは、当該特定健康保険組合に申し出て、当該特定健康保険組合の被保険者となることができる。ただし、任意継続被保険者であるときは、この限りでない。
■ 特例退職被保険者は、申出が受理された日から、その資格を取得する。
■ 特例退職被保険者は、保険給付も含めて、任意継続被保険者とみなされる。なお、特例退職被保険者には傷病手当金又は出産手当金の継続給付は支給されない。
■ 保険料は、特例退職被保険者の標準報酬月額に一般保険料率を乗じて算出され、その全額を本人が負担する。保険料の納期限はその月の10日とされ、前納することもできる。
■ 次のア、イのいずれかに該当するに至ったときは「その日の翌日」に、ウ、エのいずれかに該当するに至ったときは「その日」に資格を喪失する。(健保法附則3条6項)
・ 資格 改正前(平成20年4月1日前)の国民健康保険法に規定する退職被保険者であるべき者に該当しなくなったときには、その資格を喪失する。
・ 改正前(平成20年4月1日前)の国民健康保険法に規定する退職被保険者とは、市町村が行う国民健康保険の被保険者のうち、厚生年金保険法等から老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付を受けることができる者であって、次のいずれかに該当する者をいう。
・ 厚生年金保険の被保険者等であった期間が20年(中高齢者の特例に該当する者は、その期間。)以上であるもの。
・ 40歳に達した月以降の厚生年金保険の被保険者等であった期間が10年以上であるもの
なお、国民健康保険法の退職被保険者の規定は、平成20年3月31日をもって原則廃止された。
・ 保険料の滞納による資格喪失 保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を納付期限までに納付しない場合、その資格を喪失する。ただし、その納付の遅延について正当な理由があると特定健康保険組合が認めたときは、この限りでない。
・ 後期高齢者医療の被保険者等となったとき
・ 特例退職被保険者でなくなることを希望する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、特定健康保険組合に申し出た場合において、その申出が受理された日の属する月の末日が到来したとき
■ 国に使用される被保険者、地方公共団体の事務所に使用される被保険者又は法人に使用される被保険者であって共済組合の組合員であるものに対しては、健康保険法による保険給付は、行わない。(健保法200条1項)
■ 共済組合の給付の種類及び程度は、健康保険法の給付の種類及び程度以上であることが必要である。(2項)
■ 健保法200条1項の規定により保険給付を受けない者に関しては、保険料を徴収しない。(健保法202条)
LINK https://d.docs.live.net/20fdc7cb7d7ed001/デスクトップ/private/20250113_智仁関連/20250113_資格試験/20250824_社会保険労務士/20250824_第57回/20250112_健保法/20250112_健保法関連.xlsx "任意継続と特例退職!R1C1:R16C4" "" \a \p
■ 被保険者証
LINK https://d.docs.live.net/20fdc7cb7d7ed001/デスクトップ/private/20250113_智仁関連/20250113_資格試験/20250824_社会保険労務士/20250824_第57回/20250112_健保法/20250112_健保法関連.xlsx "被保険者証!R1C1:R11C9" "" \a \p
■ 高齢受給者証の交付を受けた被保険者が任意継続被保険者である場合においては、当該被保険者は5日以内に、これを保険者に返納しなければならない。
■ 被保険者証の取扱い
・ 原則 遅滞なく
・ 例外 5日以内
・ 被保険者が事業主に提出する場合(資格喪失、保険者の変更、被扶養者の異動)
・ 任意継続被保険者が保険者に提出する場合
■ 保険者は、毎年一定の期日を定め、被保険者証の検認もしくは更新又は被扶養者に係る確認をすることができる。(健保則50条1項)
■ 1項の規定により検認又は更新を行った場合において、その検認又は更新を受けない被保険者証は、無効とする。(健保則50条7項)
■ 厚生労働大臣は、協会が管掌する健康保険の被保険者に対し、この省令の規定による被保険者証の交付、返付又は再交付が行われるまでの間に当該被保険者を使用する事業主又は当該被保険者から求めがあった場合において、当該被保険者又はその被扶養者が療養を受ける必要があると認めたときに限り、被保険者資格証明書を有効期限を定めて交付するものとする。(健保則50条の2)
■ 被保険者資格証明書の交付を受けた被保険者は、被保険者証の交付、返付もしくは再交付を受けたとき、又は被保険者資格証明書が有効期限にいたったときは、直ちに、被保険者資格証明書を事業主を経由して厚生労働大臣に返納しなければならない。(健保則50条の2)
■ 被保険者の資格の取得及び喪失は、保険者等(全国健康保険協会管掌の健康保険の被保険者である場合は、厚生労働大臣、健康保険組合管掌の被保険者である場合は、当該健康保険組合をいう)の確認によって、その効力を生ずる。ただし、任意適用事業所の取消の認可による資格喪失並びに任意継続被保険者の資格の取得及び喪失は、この限りでない。(健保法39条)
■ 保険者等は、上記の規定による確認又は標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額)の決定もしくは改定を行ったときは、その旨を当該事業主に通知しなければならない。(健保法49条1項)
■ 事業主は、上記通知があったときは、速やかに、これを被保険者又は被保険者であった者に通知しなければならない。(健保法49条2項)→罰則あり
■ 被保険者又は被保険者であった者は、いつでも、資格の取得または喪失の確認の請求をすることができる。(健保法51条)
■ 保険者等は、上記の規定による請求があった場合において、その請求に係る事実がないと認めるときは、その請求を却下しなければならない。
■ 任意継続被保険者及び特例退職被保険者の資格の得喪及び任意適用事業所の取消の認可による資格喪失については、確認は不要である。
■ 健康保険法において「被扶養者」とは、次に掲げる者で、日本国内に住所を有するもの又は外国において留学をする学生その他日本国内に住所を有しないが渡航目的そのほかの事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者は、この限りでない。
・ 被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む)の直系尊属、配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの
・ 被保険者の3親等内の親族でアに掲げる者以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
・ 被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
・ ウの配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって、引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主として被保険者により生計を維持するもの
■ 「家族帯同ビザ」の確認により判断することを基本とする(渡航先国で「家族帯同ビザ」の発行がない場合には、発行されたビザが就労目的でないか、渡航が海外赴任に付随するものであるかを踏まえ、個別に判断する。)
LINK https://d.docs.live.net/20fdc7cb7d7ed001/デスクトップ/private/20250113_智仁関連/20250113_資格試験/20250824_社会保険労務士/20250824_第57回/20250112_健保法/20250112_健保法関連.xlsx "被扶養者要件!R1C1:R9C2" "" \a \p
■ 「従姉妹」「従兄弟」「甥の子」「姪の子」は4親等に該当するため、被扶養者にはなりえない。
■ 「継母」や「継子」は姻族一親等となり、三親等内の親族に該当するため、「主として生計維持」と「同一世帯」の要件を満たせば被扶養者となる。
■ 内縁関係にある配偶者の祖父母、孫は、被扶養者とはなれない。
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■ 同一の世帯に属するとは、被保険者と住居及び家計を共同にすることをいい、同一戸籍内にあることを必ずしも必要とせず、また、被保険者が必ずしも世帯主であることも必要としない。
■ 疾病のために入院しているが、主として被保険者によって生計を維持し、入院前において被保険者と同一世帯にあった者は、被保険者と同一世帯に属するものとみなされる。指定障害者支援施設等の施設に入所している場合も同様。
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■ 認定対象者が60歳以上又は高青年期保険の障害厚生年金を受給できる程度の障害者の場合は、認定基準のうち「130万円未満」は「180万円未満」と読み替えて認定する。また、年収には、年金収入も含む(老齢給付だけでなく、障害、死亡に係る者、失業等給付も含まれる。)
■ 被扶養者の収入の確認にあたり、被扶養者の収入について、被扶養者の過去の収入、現時点の収入又は将来の収入の見込みなどから、今後1年間の収入を見込むものとする。この際には、勤務先から発行された給与明細書、市区町村から発行された課税証明書等の公的証明書等を用いる。
■ 健康保険法において「適用事業所」とは、次のいずれかに該当する事業所をいう。
・ 次に掲げる事業の事業所であって、常時5人以上の従業員を使用するもの
・ 物の製造、加工、選別、包装、修理または解体の事業
・ 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体またはその準備の事業
・ 鉱物の採掘又は採取の事業
・ 電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業
・ 貨物又は旅客の運送の事業
・ 貨物積み卸しの事業
・ 焼却、清掃又はとさつの事業
・ 物の販売又は配給の事業
・ 金融又は保険の事業
・ 物の保管又は賃貸の事業
・ 媒介周旋の事業
・ 集金、案内又は広告の事業
・ 教育、研究又は調査の
・ 疾病の治療、助産その他医療の事業
・ 通信又は報道の事業
・ 社会福祉法に定める社会福祉事業及び更生保護事業法に定める更生保アに掲
・ アに掲げるもののほか、国、地方公共団体又は法人の事業であって、常時従業員を使用するもの(健保法3条3項)
■ 常時5人以上とは、その事業所に常時使用されるすべての者(適用除外者も含む。)について計算する。
■ 日本にある外国大使館に勤務している者は、健康保険の強制適用の対象にはならないが、大使館が任意適用事業所として認可されると健康保険の被保険者として取り扱われる。
■ 農林水産業のような第一次産業(農林畜水産業)、旅館、飲食店、接客業、娯楽業、理容業のようなサービス業、社会保険労務士事務所、税理士事務所といった法務業、神社や寺院、協会といった宗教業は任意適用業種とされ、法人でない個人事業の場合は事業の規模を問わず任意適用となっている。
(任意適用事業のまとめ)
■ 常時5人以上の取扱
・ 労働保険→常時5人以上の労働者=いつ数えても5人以上の労働者がいるということ(日雇を含む。)
・ 社会保険→常時5人以上の従業員を使用する=日雇従業員を含まず、適用除外者を含む(日雇従業員は常用でないから)
■ 適用事業所以外の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所とすることができる。
■ 上記の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者となるべき者に限る。)の2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。(健保法31条)
■ 任意適用の認可申請は事業主の権限とされているため、たとえ被保険者となるべき者の2分の1以上が希望しても、事業主に任意適用の認可についての申請の義務はない。
■ 任意適用事業所の認可を受けたときは、その事業所に使用されている者は、適用除外事由に該当しない限り被保険者となる(包括加入)。この場合の資格取得の時期は、その使用される事業所が適用事業所となった日である。
■ 適用事業所が、業種の変更又は従業員数の減少等により、適用事業所に該当しなくなったときは、その事業所について任意適用事業所の認可があったものとみなす。(健保法32条)
■ 適用事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすことができる。
■ 上記の認可を受けようとするとき用とするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者であるものに限る。)の4分の3以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。
■ 厚生労働大臣は、上記の認可を行なったときは、その旨を当該事業主に通知するものとする。
■ 事業主は、上記の通知があったときは、速やかに、これを被保険者又は被保険者であった者に通知しなければならない。 (健保法33条)
■ 任意適用の取消認可があったときは、適用の取消に同意しなかった者を含め、当該事業所の被保険者全員が、認可のあった日の翌日にその資格を喪失する。なお、取消の認可の申請については、事業主の権限とされているため、たとえ被保険者である者の4分の3以上が希望しても、事業主に申請の義務はない。
■ 任意適用の取消の認可を受けたことにより被保険者の資格を喪失した者は、任意継続被保険者となることはできない。(資格喪失後の継続給付の受給は可能である。)
■ 厚生労働大臣は、健康保険則19条の規定による届書(新規適用事業所の届出)を提出した事業主及び健康保険法31条1項の規定による認可(任意適用の認可)を受けた事業主の事業所(協会が管掌する健康保険の適用事業所に限る)にかかる次の各号に掲げる事項(健康保険則23条の2若しくは30条の規定による届出(特定適用事業所の該当の届出若しくは事業主の氏名等の又は23条の3第1項の規定による申出(特定適用事業主の不該当の申出)があったときは、当該各号に掲げる事項であって、当該届出又は申出にかかる変更後のもの)をインターネットを利用して公衆の閲覧に供する方法により公表することができる。
・ 事業主の氏名又は名称
・ 事業所の名称又は所在地
・ 適用事業所に該当した日
・ 特定適用事業所であるか否かの別
・ 当該事業所にかかる機構の業務を分掌する年金事務所
・ 事業主が国、地方公共団体又は法人であるときは、法人番号
・ 使用される被保険者及び厚生年金保険の被保険者の数
[健保法] 健保法・重要箇所・Chapter 2
■ 全国健康保険協会は、健康保険組合の組合員でない被保険者(日雇特例被保険者を除く。)の保険を管掌する。
■ 上記により全国健康保険協会が管掌する健康保険の事業に関する業務のうち、被保険者の資格の取得及び喪失の確認、標準報酬月額及び標準賞与額の決定並びに保険料の徴収(任意継続被保険者に係るものを除く)並びにこれらに附帯する業務は、厚生労働大臣が行う。(健保法5条)
■ 保険者は、高齢者医療確保法の規定による特例健康診査及び特定保健指導(特例健康診査等)を行うものとするほか、特定健康診査等以外の事業であって、健康教育、健康相談及び健康診査並びに健康管理及び疾病の予防に係る被保険者及びその被扶養者(被保険者等)の自助努力についての支援その他の被保険者等の健康の保持増進のために必要な事業を行うよう努めなければならない。
■ 保険者は、上記の除業を行うに当たっては、高齢者医療確保法16条1項に規定する医療保険等関連情報(地域別の医療に要する費用や病床数等)を活用し、適切かつ有効に行うものとする。
■ 保険者は、被保険者等の療養のために必要な費用にかかる資金もしくは用具の貸し付けその他の被保険者等の療養もしくは療養環境の向上又は被保険者等の出産のために必要な費用にかかる資金の貸付けその他の被保険者等の福祉の増進のために必要な事業を行うことができる。
■ 保険者は、上記の事業に支障がない場合に限り、被保険者等でない者にこれらの事業を利用させることができる。この場合において、保険者は、これらの事業の利用者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、利用料を請求することができる。
■ 厚生労働大臣は、健康保険組合に対し、厚生労働省令で定めるところにより、上記の事業を行うことを命ずることができる。
■ 利用料に関する事項は、協会にあっては定款で、健康保険組合の場合は規約で定める(健保則154条)
■ 保険者選択届(健保則2条)保険者が異なる場合、被保険者(日雇特例被保険者を除く)は、同時に2以上の事業所に使用されるに至った日から起算して10日以内に、全国健康保険協会(協会)を選択しようとするときは厚生労働大臣に、健康保険組合を選択しようとするときは健康保険組合に「保険者選択届」を提出する。
■ 2以上の事業所に係る機構の業務が2以上の年金事務所に分掌されているときは、被保険者は、その被保険者に関する機構の業務を分掌する年金事務所を選択しなければならない。ただし、保険者が2以上あるときに健康保険組合を選択しようとする場合は年金事務所を選択する必要はない。
■ 協会の業務 健保法204条の7第1項に規定する権限(立入検査等の規定による厚生労働大臣の命令並びに質問及び検査の権限(健康保険組合に係る場合を除き、保険給付に関するものに限る。)に係る事務)に関する業務
■ 協会の定款の変更(厚生労働省令で定める事項に係るものを除く。)は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効果を生じない。
■ 協会は、上記の厚生労働省令で定める事項に係る定款の変更をしたときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に届け出なければならない。(健保法7条の6)
■ 厚生労働省令で定める事項は次の通り。
・ 事務所の所在地の変更
・ アのほか、厚生労働大臣が定める事項
■ 理事長及び監事は、厚生労働大臣が任命する。
■ 厚生労働大臣は、理事長を任命しようとするときは、あらかじめ、運営委員会の意見を聞かなければならない。
■ 理事は、理事長が任命する。(健保法7条の11)
■ 役員の任期は3年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。(健保法7条の12)
■ 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く)は、役員となることができない。(健保法7条の13)
■ 役員(非常勤の者を除く)は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、厚生労働大臣の承認を受けたときはその限りでない。(健保法7条の15)
■ 協会と理事長又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が協会を代表する。(健保法7条の16)
■ 事業主(被保険者を使用する適用事業所の事業主)及び被保険者の意見を反映させ、協会の業務の適正な運営を図るため、協会に運営委員会を置く。
■ 運営委員会の委員は、9人以内とし、事業主、被保険者及び協会の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、厚生労働大臣が各同数を任命する。
■ 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。また、委員は再任されることができる。(健保法7条の18)
■ 運営委員会は、委員の総数の3分の2以上又は健保法7条の18第2項に掲げる委員の各3分の1以上が出席しなければ、議事を開くことができない。(健保則2条の4)
■ 協会は、都道府県ごとに実情に応じた業務の適正な運営を資するため、支部ごとに評議会を設け、当該支部における業務の実施について、評議会の意見を聴くものとする。
■ 評議会の評議員は、定款で定めるところにより、当該評議会が設けられる支部の都道府県に所在する適用事業所(健康保険法34条1項に規定する2以上の適用事業所の一括の承認を受けた一の適用事業所を含む)の事業主及び被保険者並びに当該支部における業務の適正な実施に必要な学識経験を有する者のうちから、支部の長(支部長)が委嘱する。(健保法7条の21)
■ 協会の事業年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる。納期限は4月30日である。(健保法7条の25)
■ 協会は、毎事業年度、事業計画及び予算を作成し、当該事業年度の開始前に、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様である。(健保法7条の27)
■ 協会は、毎事業年度の決算を翌事業年度の5月31日までに完結しなければならない。
■ 協会は、毎事業年度、財務諸表を作成し、これに事業報告書等を添え、監事及び会計監査人の意見を付けて、決算完結後2月以内に、厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。(健保法7条の28)
■ 厚生労働大臣は、協会の事業年度ごとの業績について、評価を行わなければならない。
■ 厚生労働大臣は、評価を行ったときは、遅滞なく、協会に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。(健保法7条の30)
■ 協会は、その業務に要する費用に充てるため必要な場合において、厚生労働大臣の認可を受けて、短期借入金をすることができる。
■ 上記の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還をすることができない金額に限り、厚生労働大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
■ 上記の但し書の規定により借り換えた短期借入金は、1年以内に償還しなければならない。(健保法7条の31)
■ 協会の業務上の余裕金の運用は、政令で定めるところにより、事業の目的及び資金の性質に応じ、安全かつ効率的にしなければならない。(健保法7条の33)
■ 協会は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
・ 国債、地方債、政府保証債(その元本の償還及び利息の支払いについて政府が保証する債権をいう)その他厚生労働大臣の指定する有価証券の取得
・ 銀行その他厚生労働大臣の指定する金融機関への預金
・ 信託業務を営む金融機関への金銭信託
■ 協会は、厚生労働省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保の供しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。(健保法7条の34)
■ 厚生労働大臣は、次の場合には、あらかじめ、財務大臣に協議をしなければならない。(健保法7条の42)
・ 健保法7条の27(事業計画等の認可)、健保法7条の31第1項もしくは第2項但書(借入金)又は健保法7条の34(重要な財産の処分)の規定による認可を試用とするとき
・ 健保法7条の41の規定により厚生労働省令を定めようとするとき
■ 健康保険組合は、適用事業所の事業主、その適用事業所に使用される被保険者又は任意継続被保険者をもって組織する。(健保法8条)
■ 日雇特例被保険者は、健康保険組合を組織する被保険者には含まれない。
■ 健康保険組合は、その名称中に健康保険組合という文字を用いなければならない。
■ 健康保険組合でない者は、健康保険組合という名称を用いてはならない。(健保法10条)
■ 上記規定に違反して、健康保険組合という名称を用いた者は、10万円以下の過料に処される。
■ 1又は2以上の適用事業所について常時政令で定める数(700人)以上の被保険者を使用する事業主は、当該1又は2以上の適用事業所について、健康保険組合を設立することができる(単独組合)。
■ 適用事業所の事業主は、共同して健康保険区今井を設立することができる。この場合において、被保険者の数は、合算して常時政令で定める数(3000人)以上でなければならない。(総合組合)(健保法11条・健保令1条の2)
■ 適用事業所の事業主は、健康保険組合を設立しようとするときは、健康保険組合を設立しようとする適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意を得て、規約を作り、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
■ 2以上の適用事業所について健康保険組合を設立しようとする場合においては、上記の同意は、各適用事業所について得なければならない。(健保法12条)
■ 健康保険組合は、設立の認可を受けた時に成立する。(健保法15条)
■ 2以上の事業所について健康保険組合を設立しようとする場合には、各事業所について被保険者の2分の1以上の同意が必要である。
■ 健康保険組合の設立の認可に係る厚生労働大臣の権限は、地方厚生局長等(地方厚生局長又は地方厚生支局長)には委任されていない。
■ 規約の変更(厚生労働省令で定める事項に係るものを除く)は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、効力を生じない。
・ 認可を要しない規約の変更(健保則6条)
・ 事務所の所在地
・ 健康保険組合の設立に係る適用事業所の名称及び所在地(設立事業所の増加又は減少(事業所の廃止に係る場合を除く。)に係る場合を除く)
・ 健康保険組合が規約で定めるところにより、支払うべき一部負担金を減額し、もしくはその支払いを要しないものとし、又は一部負担金を支払わせることとした病院もしくは診療所又は薬局の名称及び所在地
・ 予備費の費途
・ ①~④の各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣が定める事項
■ 健康保険組合は、上記の厚生労働省令で定める事項に係る規約の変更を行ったときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に届け出なければならない。(健保法16条)
■ 厚生労働大臣は、1又は2以上の適用事業所(任意適用の認可の申請を行った事業所を除く。)について常時政令で定める数以上の被保険者を使用する事業主に対し、健康保険組合の設立を命ずることができる。
■ 上記規定により健康保険組合の設立を命ぜられた事業主は、規約を作り、その設立について厚生労働大臣の認可を受けなければならない。(健保法14条)
■ 組合会は、理事長が招集する。組合会議員の定数の3分の1以上の者が会議に付議する事項及び招集の理由を記載した書面を理事長に提出して組合会の招集を請求したときは、理事長は、その請求があった日から20日以内に組合会を招集しなければならない。
■ 健康保険組合の理事の定数は、偶数とし、その半数は設立事業所の事業主の選定した組合会議員において、他の半数は被保険者である組合員の互選した組合会議員において、それぞれ互選する。
■ 理事のうち1人を理事長とし、設立事業所の事業主の選定した組合会議員である理事のうち、理事が選挙する。
■ 監事は、組合会において、設立事業所の事業主の選定した組合会議員及び被保険者である組合員の互選した組合会議員のうちから、それぞれ1人を選挙する。
■ 監事は、理事又は健康保険組合の職員を兼ねることができない。(健保法21条)
■ 健康保険組合は、毎年度、収支支出の予算を作成し、当該年度の開始前に、厚生労働大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。(健保令16条1項)
■ 予備費(健保令18条)
・ 健康保険組合は、予算超過の支出又は予算外の支出に充てるため、予備費を設けなければならない。
・ 予備費は、組合会が否決した使途に充てることができない。
■ 繰替使用等(健保令20条)
・ 健康保険組合は、支払上現金に不足を生じたときは、準備金に属する現金を繰替使用し、又は一時借入金をすることができる。
・ アの規定により繰替使用した金額及び一時借入金は、当該会計年度内に返還しなければならない。
■ 健康保険組合は、組合債を起こし、又は起債の方法、利率もしくは償還の方法を変更しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。ただし、厚生労働省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。
■ 健康保険組合は、アの厚生労働省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。(健保令22条)
■ 組合債にかかる認可を要しない事項(健保則11条)
・ 組合債の金額(減少にかかる場合に限る。)
・ 組合債の利息の定率(低減にかかる場合に限る。)
■ 健康保険組合は、重要な財産を処分しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。(健保令23条)
■ 健康保険組合は、毎年度終了後6月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、事業及び決算に関する報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない 。(健保令24条)
■ 健康保険組合は、月に厚生労働大臣が定めるところにより、毎月の事業状況を翌月20日までに管轄地方厚生局長等に報告しなければならない。(健保則14条)
■ 健康保険組合は、合併しようとするときはしようとするときは、組合会において組合会議員の定数の4分の3以上の多数によって議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
■ 合併によって健康保険組合を設立するには、各健康保険組合がそれぞれ組合会において役員又は組合員議員のうちから選任した設立委員が共同で規約を作り、その他設立に必要な行為をしなければならない。
■ 合併により設立された健康保険組合又は合併後存続する健康保険組合は、合併により消滅した健康保険組合の権利義務を継承する。(健保法23条)
■ 健康保険組合は、分割しようとするときは、組合会において組合会議員の定数の4分の3以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
■ 健康保険組合の分割は、設立事業所の一部について行うことはできない。
■ 分割を行う場合においては、分割により設立されたされた健康保険組合の組合員となるべき被保険者又は分割後存続する健康保険組合の組合員である被保険者の数が、700人(健康保険組合を共同で設立している場合にあっては、3000人)以上でなければならない。
■ 分割によって健康保険組合を設立するには、分割により設立された健康保険組合の設立事務所となるべき適用事業所の事業主が規約を作り、その他設立に必要な行為をしなければならない。
■ 分割により設立された健康保険組合は、分割により消滅した健康保険組合又は分割後存続する健康保険組合の権利義務の一部のしょう承継する。
■ 上記規定により、承継する権利義務の限度は、分割の議決とともに議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。(健保法24条)
■ 健康保険組合がその設立事務所を増加させ、又は減少させようとするときは、その増加又は減少にかかる適用事業所の事業主の全部及びその適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意を得なければならない。(健保法25条)
■ 健康保険組合は、次に掲げる理由により解散する。
・ 組合会議員の定数の4分の3以上の多数による組合会の議決
・ 健康保険組合の事業の継続の不能
・ 厚生労働大臣による解散の命令
■ 健康保険組合は、上記ア又はイに掲げる理由により解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
■ 健康保険組合が解散する場合において、その財産をもって債務を完済することができないときは、当該健康保険組合は、設立事業所の事業主に対し、政令で定めるところにより、当該を完済するために要する費用の全部又は一部を負担することを求めることができる。(健保法26条)
■ 上記における政令で定めるところにより、設立事業所の事業主の負担することを求めることができる費用の額は、債務を完済するための全部に相当する額とする。ただし、破産手続き開始の決定その他特別の理由により、当該事業主が当該費用を負担することができないときは、健康保険組合は、厚生労働大臣の承認を得て、これを減額し、又は免除することができる。(健保令27条)
■ 上記の場合に費用の負担を求めることができるのは、事業主に対してのみである。被保険者に対して費用の負担を求めることはできない。
■ 協会は、解散により消滅した健康保険組合の権利義務を承継する。(健保法26条4項)
■ 健康保険事業の終始が均衡しない健康保険組合であって、政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の指定を受けたもの(指定健康保険組合)は、政令で定めるところにより、その財産の健全化に関する計画(健全化計画)を定め、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
■ 上記の承認を受けた指定健康保険組合は、当該承認にかかる健全化計画に従い、その事業を行わなければならない。
■ 厚生労働大臣は、上記の承認をうけた指定健康保険組合の事業又は財産の状況により、その健全化計画を変更する必要があると認めるときは、当該指定健康保険組合に対し、期限を定めて、当該健全化計画の変更を求めることができる。 (健保法28条)
■ 厚生労働大臣の指定にかかる政令で定める要件は、一の年度の決算において支出(経常的なものとして厚生労働大臣が定めるものに限る)の額が収入(経常的なものとして厚生労働大臣が定めるものに限る)の額を超える状態が継続し、かつ、一の年度における健康保険組合の保険給付に要した費用(健康保険組合の規約で定める付加給付及び介護納付金の納付に要した費用を除く)の額を当該年度における当該健康保険組合の組合員である被保険者の標準報酬月額の総額及び標準賞与額の総額の合算額で除して得た率が1000分の95を超える状態が継続する健康保険組合であって、準備金その他厚生労働大臣が定める財産の額が指定をすべき3箇年度において行なった保険給付に要した費用の額(被保険者又はその被扶養者が組合直営病院等から受けた療養にかかる保険給付に要した費用を除く)の1年度あたりの平均額の12分の3に相当する額と指定すべき年度の直前の3箇年度において行なった前期高齢者納付金等、後期高齢者支援金等及び日雇拠出金並びに介護納付金の納付に要した費用の額(前期高齢者交付金があがある場合には、これを控除した額)の1事業年度あたりの平均額の12分の1に相当する額とを合算した額を下回ったものとする。(健保令29条)
■ 健全化計画(健保令30条)
・ 健全化計画は、健保法28条の規定による指定の日の属する年度の翌年度を初年度とする3箇年間の計画とする。
・ 健全化計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
・ 事業及び財産の現状
・ 財政の健全化の目標
・ 上記の目標を達成するために必要な具体的措置及びこれに伴う収入支出の増減の見込額
■ 健保法7条の38(協会の報告の徴収等)及び7条の39(協会の監督)の規定は、健康保険組合についても準用する。この場合において、同条1項中、「厚生労働大臣」とあるのは「厚生労働大臣は、29条1項において準用する前条の規定により報告を徴し、又は質問し、若しくは検査した場合において」と、「定款」とあるのは「規約」と読み替えるものとする。
■ 健康保険組合が上記において準用する健保法7条の39第1項の規定による命令に違反したとき、又は28条2項の規定に違反した指定健康保険組合、28条3項の求めに応じない指定健康保険組合その他政令で定める指定健康保険組合の事業若しくは財産の状況によりその事業の継続が困難であると認めるときは、厚生労働大臣は、当該健康保険組合の解散を命ずることができる。(健保法29条)
■ 健康保険組合は、健保則3条1項(特定健康保険組合)の認可を受けようとするときは、又は同項の認可の取消をうけようとするときは、組合会において組合会議員の定数の3分の2以上の多数により議決しなければならない。(健保令25条)
■ 合併により設立された健康保険組合又は合併後存続する健康保険組合のうち次の要件のいずれにも該当する合併にかかるもの(地域型健康保険組合)は、当該合併が行われた日の属する年度及びこれに続き5箇年度に限り、1000分の30から1000分の130までの範囲内において、不均一の一般保険料率を決定することができる。
・ 合併前の健康保険組合の設立事業所がいずれも同一都道府県の区域にあること
・ 当該合併が指定健康保険組合、被保険者の数が健保法11条1項又は2項の政令で定める数に満たなくなった健康保険組合その他事業運営基盤の安定が必要と認められる健康保険組合として厚生労働省令で定めるものを含むこと。
■ 上記の一般保険料率の決定は、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
■ 地域型健康保険組合の一般保険料率の認可の手続きその他地域型健康保険組合に関して必要な事項は、政令で定める。 (健保法附則3条の2)
■ 健保則3条の2第1項に規定する地域型健康保険組合は、同条2項の認可を受けようとするときは、合併前の健康保険組合を単位として不均一の一般保険料率を設定することとし、当該一般保険料率並びにこれを適用すべき被保険者の要件及び期間について、当該地域型健康保険組合の組合会において組合会議員の定数の3分の2以上の多数により議決しなければならない。(健保令25条の2)
■ 健康保険組合連合会を設立しようとするときは、規約を作り、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。(健保法185条)
■ 健康保険組合が管掌する健康保険の医療に関する給付、保健事業及び福祉事業の実施又は健康保険組合にかかる前期高齢者納付金等、後期高齢者支援金等、日雇拠出金若しくは介護納付金の納付に要する費用の財源の不均衡を調整するため、連合会は、政令で定めるところにより、会員である健康保険組合に対する交付金の交付の事業を行うものとする。
■ 健康保険組合は、上記の事業に要する費用を充てるため、連合会に対し、政令で定めるところにより、拠出金を拠出するものとする。
■ 健康保険組合は、上記の規定による拠出金の拠出に要する費用に充てるため、調整保険料を徴収する。
■ 調整保険料額は、各月につき、各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ調整保険料率を乗じて得た額とする。
■ 調整保険料率は、交付金の交付に要する費用並びに組合の組合員である被保険者の数及び標準報酬を基礎として、政令で定める。
■ 一般保険料率と調整保険料率とを合算した率の変更が生じない一般保険料率の変更の決定は、厚生労働大臣の認可を受けることを要しない。
■ 上記の規定による決定をしたときは、当該変更後の一般保険料率を厚生労働大臣に届け出なければならない。(健保法則2条)
■ 調整保険料率は、基本調整保険料率に修正率を乗じて得た率とする。
■ 上記の基本調整保険料率は、各年の3月から翌年の2月までの期間について、健康保険組合連合会が当該3月の属する年度の翌年度において交付する交付金の総額の見込額を当該翌年度における連合会の会員である全健康保険組合の組合員である被保険者の標準報酬月額の総額及び標準賞与額の総額の合算額の見込額で除して得た率として厚生労働大臣が定める率とする。
■ 上記の修正率は、各健康保険組合につき、各年の3月から翌年の2月までの期間について、当該3月の属する年度において当該健康保険組合が行う医療給付並びに前期高齢者納付金、後期高齢者支援金等及び日雇拠出金の納付に要する費用の見込額(前項高齢者交付金がある場合には、これを控除した額)を当該年度における当該健康保険組合の組合員である被保険者の標準報酬月額の総額及び標準賞与額の総額の合算額の見込額で除して得た率(見込所要保険料率)の健康保険組合連合会の会員である全健康保険組合の平均の見込所要保険料率に対する比率を基準として、健康保険組合連合会が定める。ただし、厚生労働大臣が定める率を超えてはならない。(健保令67条)
[健保法] 健保法・重要箇所・Chapter 3
■ 標準報酬とは、現実に支給される報酬とは別個に、仮定的に設けられる報酬額のこと。標準報酬月額と標準賞与額とがある。現在、標準報酬月額は、第1級(58000円)から第50級(1390000円)までの50等級に区分されている。
■ 健康保険法において「報酬」とは、賃金、給料、棒給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び3月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。
報酬に該当するもの、しないもの)
■ 被保険者の在職時に、退職金相当額の全部または一部を給与や賞与に上乗せするなど前払いされる場合は、労働の対償としての性格が明確である。被保険者の通常の整当てられる経常的な収入としての意義を有することから、原則として、報酬又は賞与に該当するものである。
■ 退職を事由に支払われる退職金であって、退職時に支払われるもの又は事業主の都合により退職前に一時金として支払われるものについては、従来どおり、報酬又は賞与には該当しないものと取り扱う。
■ 賞与の係る報酬の取扱いについて
・ 支給実態が次のいずれかに該当する場合は、(名称が賞与であっても、)当該賞与は報酬に該当すること。
・ 賞与の支給が、給与規定、賃金協約等の諸規定(諸規定)によって年間を通じて4回以上に支客観的に定められているとき。
・ 賞与の支給が7月1日前の1年間を通じて4回以上行われているもの。
したがって、賞与の支給回数が、当該年の7月2日以降新たに年間を通じて4回以上又は4回未満に変更された場合においても、次期標準報酬月額の定時決定(7月8月9月の随時決定を含む)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、報酬に係る当該賞与の取扱いは変わらないものであること。
また、賞与について、7月2日以降に新たにその支給が諸規定に定められた場合には、年間を通じ4回以上の支給につき客観的に定められているときであっても、次期標準報酬月額の定時決定(7月8月又は9月の随時改定も含む)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、賞与に係る報酬に該当しないものとすること(賞与として扱われる。)
報酬又は賞与の全部又は一部が、通貨以外のもので支払われる場合においては、その価額は、その地方の時価によって、厚生労働大臣が定める。
■ 健康保険組合は、上記の規定に関わらず、規約で別段の定めをすることができる。(健保法46条)
■ 全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者に係る報酬額の算定において、事業主から提供される食事の経費の一部を被保険者が負担している場合、当該食事の経費については、厚生労働大臣が定める標準価額から本人の負担分を控除したものを現物給与の価額として報酬に含めるが、標準価額の3分の2以上を被保険者が負担している場合には報酬には含めない。
■ 保険者等は、被保険者の資格を取得した者があるときは、次に掲げる額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。
・ 月、週その他一定期間によって報酬が定められている場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する 
・ 日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した月前1月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額
・ 上記の規定によって算定することが困難であるものについては、被保険者の資格を取得した月前1月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額
・ 上記のうち2以上に該当する報酬を受ける場合には、それぞれについて、上記の規定によって算定した額の合算額(健保法42条1項)
■ 被保険者資格を取得した際の標準報酬月額については、固定的賃金の算定誤り等があった場合に訂正を行うことはできるが、残業代のような非固定的賃金について、その見込みが当初の算定額より増減した場合は、訂正することはできない。
■ 被保険者の資格を取得した際に決定された標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した月からその年の8月6月1日から12月31日までの間に被保険者の資格を取得した者について、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。(健保法42条2項)
■ 保険者等は、被保険者が毎年7月1日現に使用される事業所において同日前3月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が17日(厚生労働省令で定める者にあっては、11日)未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。【厚生労働省令で定める者とは、被保険者であって、1週間の所定労働時間又は1月間の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満である短時間労働者とする(則24条の2)→短時間労働者である被保険者】(健保法41条1項)
3月間に受けた報酬とは、4月5月6月3月間に現実に受けた報酬をいう。3月分の報酬4月に支払われたような場合であっても、現実に4月に受けた報酬に基づく。4月分、5月分、6月分の報酬という意味でないことに注意。
■ 定時決定の対象月の休業手当等が支払われた場合は、その休業手当等をもって報酬月額を算定する(休業手当等を含めて算定)し、標準報酬月額を決定する。ただし、標準報酬月額の決定の際(7月1日時点)で、既に一時帰休が解消しているときは、当該定時決定の年の9月以降に受けるべき報酬(休業手当等を受けた月を除いて)をもって標準報酬月額を決定する。
7月1日の時点で一時帰休の状況が解消している場合の定時決定では、休業手当等を除いて標準報酬月額を決定する必要があることから、通常の給与を受けた月における報酬の平均により、標準報酬月額を算出する。
■ 例えば、4月5月に通常の給与を受けて6月に休業手当等を受けた場合、4月5月報酬の平均を「9月以降において受けるべき報酬」として定時決定を行う。同様に、4月に通常の給与を受けて5月6月に休業手当を受けた場合、4月報酬を「9月以降において受けるべき報酬」とする。
■ なお、4月5月6月のすべてにおいて休業手当等を受けた場合は、休業手当等を含まずに決定又は改定された直近の標準報酬月額により、定時決定を行う。
4月5月6月における支払基礎日数の算定に当たっては、次のよること
・ 月給者については、各月の歴日数によること。
・ 月給制で欠勤日数分に応じ給与が差し引かれる場合にあっては、就業規則、給与規定等に基づき事務所が定めた日数から当該欠勤日数を控除した日数によること。
・ 日給者については、各月の出勤日数によること。
■ 短時間就労者(1週間の所定労働時間及び1月間の所定労働日数がいずれも通常の労働者の4分の3以上である短時間労働者)に係る定時改定時の標準報酬月額の算定については、次のいずれかにより算定すること。
4月5月6月の3カ月のうち支払基礎日数が17日以上の月がある場合は、17日以上ある月の報酬月額の平均により算定された額とすること。
4月5月6月の3か月間のうち支払基礎日数がいずれも17日未満の場合は、その3カ月のうち支払基礎日数が15日以上17日未満の月の報酬月額の平均により算定された額とする。
4月5月6月の3か月間のうち支払基礎日数がいずれの月についても15日未満の場合は、従前の標準報酬月額をもって当該年度の標準報酬月額とすること。
・ 随時改定時における標準報酬月額の算定については、前述のアからウのいずれかによらず、継続した3カ月のいずれの月においても報酬の支払基礎日数が17日以上必要である。
■ 定時決定により決定された標準報酬月額は、その年の9月から翌年の8月までの各月の標準報酬月額とする。(健保法41条2項)
7月1日現在、被保険者の資格を取得している者であっても、
・ 資格取得日が6月1日から7月1日までの間である者
7月から9月までの間に随時改定の対象となるべき者
7月から9月までの間に育児休業等を終了した際の改定又は産前産後休業を終了した際の改定の規定により標準報酬月額が改定され、又は改定されるべき者
については、その年に限り、定時改定の対償から除外することとしている。(健保法41条3項)
■ 介護休業期間中の標準報酬月額は、休業直前の標準報酬月額の算定の基礎となった報酬に基づき、算定した額とする。
■ 保険者等は、被保険者が現に使用される事業所において継続した3月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、17日(厚生労働省令で定める者であっては、11日)以上でなければならない。)に受けた報酬の総額を3で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べ、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しい高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる。【厚生労働省令で定める者→短時間労働者である被保険者】(健保法43条1項)
■ 随時改定は、次の要件のすべてを満たした場合に行われる。
・ 固定的賃金に変動があった、又は賃金(給与)体系に変更があったこと。
・ 変動があった月から継続した3月間の報酬支払基礎日数がいずれも17日11日)以上あること。
・ 昇給又は降給によって算定した額による等級と現在の等級との間に原則として2等級以上の差を生じたこと
■ 被保険者が現に使用されている事業所において、報酬支払基礎日数が17日11日)以上の月が3月間継続していることが必要である。報酬支払基礎日数が17日11日)未満の月が1月でもあれば、他の要件を満たしていても随時改定は行われない。
■ 第49級の標準報酬月額にある者の報酬月額が昇給したことにより、その算定月額が1415000円以上となった場合は、第49級から第50級に改定
■ 第1級の標準報酬月額にある者の報酬月額(53000円未満である場合に限る)が昇給したことにより、その算定月額が第2級の標準報酬月額に該当することとなった場合は第1級から第2級に改定。
■ 第50級の標準報酬月額にある者の報酬月額(1415000円以上である場合に限る)が降給したことによりその算定月額が第49級の標準報酬月額に該当することとなった場合は第50級から第49級へ改定。
■ 第2級の標準報酬月額にある者の報酬月額が降給したことにより、その算定月額が53000円未満となった場合は第2級から第1級へ改定。
■ 固定的賃金は、月単位などで一定額が継続して支給される報酬をいい、基本給、役付手当、家族手当、通勤手当、住宅手当等が該当する。
■ 全国健康補年協会管掌健康保険の被保険者が、報酬の一部を現物給付として受け取っている場合において、当該現物給付の標準価額が厚生労働大臣告示により改正されたときは、標準報酬月額の随時改定を行う要件である固定的賃金の変動に該当するものとして取り扱われる。
4月にさかのぼって昇給して、9月に昇給差額分が支払われた場合、昇給のあった月とは、現実に昇給額等が支払われた月をいうので、9月を昇給月とみなして、12月から標準報酬月額が改定される。
■ 給与計算期間の途中で昇給した場合、昇給した給与が実績として1か月分確保された月を固定的賃金の変動が報酬に反映された月として扱い、それ以後3か月間に受けた報酬を計算の基礎として随時改定に該当するか否かを判断するものとされている。
■ 一時帰休に伴い、就労していたならば受けられるであろう報酬によりも低額な休業手当等が支払われることとなった場合は、これを固定的賃金の変動とみなし、随時改定の対象とする。ただし、当該報酬のうち固定的賃金が減額され支給される場合で、かつ、その状態が継続して3カ月を超える場合に限る。なお、休業手当等をもって標準報酬月額の決定又は改定を行った後に一時帰休の状況が解消した場合も、随時改定の対象となる。
■ 随時改定によって改定された標準報酬月額は、その年の8月7月から12月までのいずれかの月から改定された者については、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。(健保法43条2項)
■ 保険者等は、育児・介護休業法2条1号に規定する育児休業、同法23条1項の育児休業の制度に準ずる措置による休業又は政令で定める法令に基づく育児休業(育児休業等)を終了した被保険者が、当該育児休業等を終了した日(育児休業等終了日)において当該育児休業等に係る3歳に満たない子を養育する場合において、その使用される事業所の事業主を経由して厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、定時決定の規定にかかわらず、育児休業等終了日の翌日が属する月以後3月間(育児休業等終了日の翌日について使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が17日(厚生労働省令で定める者にあっては、11日)未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。ただし、育児休業等終了日の翌日に健保法43条の3第1項に規定する産前産後休業を開始している被保険者は、この限りではない。【厚生労働省令で定める者→短時間労働者である被保険者】
■ 上記の規定によって改定された標準報酬月額は、育児休業等終了日の翌日から起算して2月を経過した日の属する月の翌月からその年の8月(当該翌月が7月から12月までのいずれかに該当する場合は、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。(健保法43条の2)
■ 育児休業等終了後の改定は、2等級以上の差がなくても改定される。また、固定的賃金の変動がなくてもよい。
報酬支払の基礎となった日数が17日11日)未満の月がある場合には、その月を除いて算定する。
■ これらのことは、産前産後休業を終了した際の改定についても同じ。
■ 保険者等は、産前産後休業(出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さないこと(妊娠又は出産に関する事由を理由として労務に服さない場合に限る。)を終了した被保険者が、当該産前産後休業を終了した日(産前産後終了日)において当該産前産後休業に係る子を養育する場合において、その使用される事業所の事業主を経由して厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、定時決定の規定にかかわらず、産前産後休業終了日の翌日が属する月以後3月間(産前産後終了美の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が17日(厚生労働省令で定める者にあっては、11日)未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。ただし、産前産後休業終了日の翌日に育児休業等を開始している被保険者は、この限りでない。(健保法43条の3)
■ 保険者等は、被保険者の報酬月額が、定時決定、資格取得時決定、育児休業等を終了した際の改定もしくは産前産後休業を終了した際の改定によって算定することが困難であるとき、又は定時決定、資格取得時決定、随時改定、育児休業等を終了した際の改定若しくは産前産後休業を終了した際の改定によって算定した額が著しく不当であると認めるときは、これらの規定にかかわらず、その算定する額を当該被保険者の報酬月額とする。
■ 上記の場合において、保険者が健康保険組合であるときは、その算定方法は、規約で定めなければならない。(健保法44条1項、2項)
■ 保険者算定の具体例は以下の通り
・ 定時決定の場合で4月5月6月3月間とも報酬支払基礎日数が17日11日)未満の場合
・ 定時決定の場合で4月5月6月3月間において3月分以前の給料の遅配分を受け、又は遡った昇給によって数月分の差額を一括して受ける場合
・ 定時決定の場合で4月5月6月のいずれかの月において低額の休職給を受けた時
・ 標準報酬月額の定時決定に際し、当年の4月5月6月3月間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額と、前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額の間に2等級以上の差が生じた場合であって、当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合。この場合、その報酬月額(等級)は、前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の月平均額から算出した報酬月額(等級)による。
・ 随時改定について、3か月間の報酬の平均から算出した標準報酬月額(通常の随時改定の計算方法により算出した標準報酬月額)と、昇給月又は降給月以後の継続した3カ月の間に受けた固定的賃金の月平均額に昇給月又は降給月前の継続した9か月及び昇給月又は降給月以後の継続した3か月の間に受けた非固定的賃金の月平均額を加えた額から算出した標準報酬月額(年間平均額から算出した標準報酬月額)との間に2等級以上の差があり、当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合であって、現在の標準報酬月額と年間平均額から算出した標準報酬月額との間に1等級以上の差がある場合。
・ 随時改定の場合で昇給が遡及したため、それに伴う差額支給によって報酬月額に変動が生じた場合。
■ 給与締め日が変更になった場合の定時決定の際の取扱い
・ 支払基礎日数が増加する場合
・ 支払基礎日数が暦日を超えて増加した場合、通常受ける報酬以上の報酬を受けることとなるため、超過分の報酬を除外した上で、その他の月の報酬との平均を算出し、標準報酬月額を保険者算定する。
・ 給与締め日が20日から25日に変更された場合
締め日を変更した月のみ給与計算期間が前月21日から当月25日となるため、前月21日から前月25日までの給与を除外し、締め日変更後の給与制度で計算すべき期間(前月26日から当月25日)で算出された報酬をその月の報酬とする。
・ 支払基礎日数が減少した場合
・ 給与締め日の変更によって給与支給日数が減少した場合であっても、支払基礎日数が17日以上であれば、通常の定時決定の方法によって標準報酬月額を算定する。
・ 給与締め日の変更によって給与支給日数が減少し、支払基礎日数が17日未満となった場合には、その月を除外した上で報酬の平均を算出し、標準報酬月額を算定する。
■ さかのぼって降給が発生した場合
・ 遡って昇給が発生した場合、その変動が反映された月(差額調整がされた月)を起算月として、それ以後継続した3か月間(いずれの月も支払基礎日数が17日以上)に受けた報酬を基礎として、保険者算定による随時改定を行うこととなるが、さかのぼって降給が発生した場合についても、遡って昇給が発生した場合と同様に取り扱うものとする。なお、超過支給分の報酬がその後の報酬から差額調整された場合、調整対象月の報酬は本来受けるべき報酬よりも低額となるため、調整対象月に控除された降給差額分は含まず、差額調整前の報酬額で随時改定を行う。
■ 同時に2以上の事業所で報酬を受ける被保険者について報酬月額を算定する場合においては、各事業所について、定時決定、資格取得時決定、随時改定、育児休業等を終了した際の改定若しくは産前産後休業を終了した際の改定又は保険者算定によって算定した額の合算額をその者の報酬月額とする。(健保法44条3項)
■ 「標準報酬月額」ではなく「報酬月額」を合算することに注意。
(合算例)
■ 育児休業に準じた休業期間中における標準報酬月額については、育児休業開始直前の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に基づき算定した額として取り扱われる。(休業開始前の標準報酬月額と同じになる。)
■ 保険者等は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに1000円未満の端数を生じたときは、これを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定する。ただし、その月に当該被保険者が受けた賞与によりその年度(毎年4月1日から翌年3月31日までをいう)における標準賞与額の累計額が573万円(標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは、政令で定める額)を超えることとなる場合には、当該累計額が573万円になるようその月の標準賞与額を決定し、その年度においてその月の翌月以降に受ける賞与の標準賞与額は零とする。(健保法45条1項)
■ 年度の途中で保険者が変わった場合(協会けんぽ→健康保険組合)、標準賞与額は累計されない。
■ 任意継続被保険者の標準報酬月額については、次のア、イに掲げる額のうちいずれか少ない額をもって、その者の標準報酬月額とする。
・ 当該任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額
・ 前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日における当該任意継続被保険者の属する保険者が管掌する全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額(健康保険組合が当該平均した額の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額)を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額
■ 保険者が健康保険組合である場合においては、上記の規定にかかわらず、上記アに掲げる額が上記イに掲げる額を超える任意継続被保険者については、規約で定めるところにより、上記アに掲げる額(当該健康保険組合が上記イに掲げる額を超え上記アに掲げる額未満の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額)をその者の標準報酬月額とすることができる。(健保法47条)
■ 特例退職被保険者の標準報酬月額については、その者が属する特定健康保険組合の前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日における特定退職被保険者以外の全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額の範囲内においてその規約で定めた額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額とされる。(健保法附則3条4項)
■ 同一月内に2回以上賞与が支給されたときは最後の賞与等の支払を行った後5日以内にこれらを合算して一括して届け出ることとしても差し支えないものとされている。
■ 保険料徴収の必要がない被保険者資格の喪失月であっても、被保険者期間中に支払われる賞与に基づき決定される標準賞与額は、年度の累計額573万円に算入される。このため、被保険者資格の喪失月であり資格喪失日の前日までに支払われる賞与額についても被保険者賞与支払届を提出しなければならない。
■ 毎年3月31日における標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の被保険者総数に占める割合が100分の1.5を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、厚生労働大臣は、社会保障審議会の意見を聴いて、その年の9月1日から政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。ただし、その年の3月31日において、改定後の標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の同日における被保険者総数に占める割合が、100分の0.5を下回ってはならない。
■ 厚生労働大臣は、上記の政令の制定又は改正について立案を行う場合には、社会保障審議会の意見を聴くものとする。(健保法40条2項・3項)
■ 保険者毎に別個に標準報酬月額の等級区分の改定をおこなうことはできない。
[健保法] 健保法・重要箇所・Chapter4
■ 入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、埋葬料(埋葬費を含む)、出産育児一時金、出産手当金、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族埋葬料及び家族出産育児一時金の支給は、その都度、行わなければならない。
■ 傷病手当金及び出産手当金の支給は、上記の規定にかかわらず、毎月一定の期日に行うことができる。(健保法56条)
■ 保険者が健康保険組合である場合においては、健保法52条各号に定める給付に併せて、規約で定めるところにより、保険給付としてその他の給付を行うことができる。(健保法53条)
■ 健康保険組合事業運営基準
一部負担還元金及び付加給付については、コスト意識の喚起、受診する者としない者との負担の均衡、他の医療保険制度との均衡等の点に留意し、組合の財政状況を十分勘案した上で、次表の範囲にとどめることを基本として実施すること
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■ 療養の給付の担当機関
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■ すべての被保険者が療養の給付を受給できるのは①の保険医療機関又は保険薬局だけである。ただし、②③に掲げるものが保険医療機関としての指定を受ければ、当該組合の組合員以外の一般被保険者も療養の給付を自由に受給することができる。
■ 保険医療機関又は保険薬局は、当該保険医療機関において診療に従事する保険医又は当該保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師に健康保険の診療又は調剤に当たらせるほか、療養の給付を担当しなければならない。
■ 保険医療機関又は保険薬局は、健康保険法の療養の給付を担当するほか、船員保険法、国民健康保険法、国家公務員共済組合法(他の法律(私立学校教職員共済法等)において準用し、又は例による場合も含む)又は地方公務員等共済組合法(健康保険法以外の医療保険各法)による療養の給付並びに被保険者及び被扶養者の療養並びに高齢者の医療の確保に関する法律による療養の給付、入院時食事療養費に係る療養、入院時生活療養費に係る療養及び保険外併用療養費に係る療養を担当する。
■ 保険医療機関のうち医療法4条の2に規定する特定機能病院その他の病院であって厚生労働省令で定めるものは、患者の病状その他の患者の事情に応じた適切な他の保険医療機関を当該患者に紹介することその他の保険医療機関相互間の機能の分担及び業務の連携のための措置として厚生労働省令で定める措置を講ずるものとする。(健保法70条)
■ 保険医療機関のうち、医療法7条2項5号に規定する一般病床を有する同法4条1項に規定する地域医療支援病院(一般病床の数が200未満であるものを除く)及び医療法4条の2第1項に規定する特定機能病院であるものは、健保法70条3項に規定する保険医療機関相互間の機能の分担及業務の連携のための措置として、次に掲げる措置を講ずるものとする。
・ 患者の病状その他の患者の事情に応じた適切な他の保険医療機関を当該患者に紹介すること
・ 選定療養(厚生労働大臣の定めるものに限る)に関し、当該療養に要する費用の範囲内において厚生労働大臣の定める金額以上の金額の支払を求めること(厚生労働大臣が定めるものを除く)
・ 厚生労働大臣が定める金額以上の金額
・ 初診→保険医が医師の場合は5000円以上、保険医が歯科医師の場合は3000円以上
・ 再診→保険医が医師の場合は2500円以上、保険医が歯科医師の場合は1500円以上
■ 保険医療機関として指定をうけた病院が、保険者を限定してその被保険者及び被扶養者のみを診療することはできない。
■ 厚生労働大臣による保険医療機関又は保険薬局の指定は、病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により行う。
■ 上記申請が病院又は病床を有する診療所に係るものであるときは、当該申請は、医療法に規定する病床の種別ごとにその数を定めて行うものとする。(健保法65条1項・2項)
■ 診療所又は薬局が医師若しくは歯科医師又は薬剤師が開設したものであり、かつ、当該開設者である医師もしくは歯科医師又は薬剤師のみが診療又は調剤に従事している場合において、当該医師、歯科医師、薬剤師について保険医又は保険薬剤師の登録があったときは、保険医療機関又は保険薬局の指定があったものとみなす。
■ 保険医療機関の病床の指定等(健保法65条4項)
・ 厚生労働大臣は、病院又は病床を有する診療所について保険医療機関の指定の申請があった場合において、次の1から3のいずれかに該当するときは、その申請に係る病床の全部又は一部を除いて、その指定を行うことができる。
・ 当該病院又は診療所の医師、歯科医師、看護師その他の従業員の人員が、医療法に規定する厚生労働省令で定める員数及び基準を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した員数を満たしていないとき
・ 当該申請に係る病床の種別に応じ、医療法に規定する地域における保険医療機関の病床数が、その指定により同法に規定する医療計画において定める基準病床数を勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した数を超えることになると認める場合(その数をすでに超えている場合を含む)であって、当該病院又は診療所の開設者又は管理者が同法の規定による都道府県知事の勧告を受け、その勧告に従わないとき。
・ 適正な医療の効率的な提供を図る観点から、当該病院又は診療所の病床の利用に関し、保険医療機関として著しく不適当なところがあると認められるとき
■ 厚生労働大臣は、保険医療機関又は保険薬局の指定の申請があった場合において、次のいずれかの該当するときは、保険医療機関又は保険薬局の指定をしないことができる。
・ 当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が、健康保険法の規定により保険医療機関又は保険薬局に係る指定を取り消され、その取消しの日から5年を経過しないものであるとき。
・ 当該申請に係る病院もしくは診療所又は薬局が、保険給付に関し診療又は調剤の内容の適正さを欠く恐れがあるとして重ねて厚生労働大臣の指導を受けたものであるとき。
・ 当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の開設者又は管理者が、健康保険法その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
・ 当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の開設者又は管理者が社会保険各法の規定により納付義務を負う社会保険料等について当該申請をした日の前日までに滞納処分をうけ、かつ当該処分を受けた日から正当な理由なく3月以上の期間にわたり、当該処分を受けた日以降に納期限の到来した社会保険料等のすべてを引き続き滞納している者であるとき。
・ アからエのほか、当該申請に係る病院もしくは診療所又は薬局が、保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき。(健保法65条3項)
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■ 保険医療機関又は保険薬局の指定は、指定の日から起算して6年を経過したときは、その効力を失う。
■ 保険医療機関(病院及び病床を有する診療所を除く)又は保険薬局であって厚生労働省令で定めるものについては、その指定の効力を失う日前6月から同日前3月までの間に、別段の申出がないときは、指定の申請があったものとみなす。
■ 自動更新の規定は、個人開業医あるいは個人薬局等のうち一定の要件に該当するものに限って適用される。したがって「病院又は病床を有する診療所」については、自動更新の対象から除かれており、原則通り6年ごとに更新の手続きを行う。(健保法68条)
■ 保険医療機関又は保険薬局は、1年以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができる。(健保法79条1項)
■ 保険医療機関において健康保険の診療に従事する医師もしくは歯科医師又は保険薬局において健康保険の調剤に従事する薬剤師は、厚生労働大臣の登録を受けた医師もしくは歯科医師(保険医)又は薬剤師(保険薬剤師)でなければならない。(健保法64条)
■ 保険医療機関において診療に従事する保険医又は保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師は、厚生労働省令で定めるところにより、健康保険の診療又は調剤に当たらなければならない。
■ 保険医療機関において診療に従事する保険医又は保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師は、上記の規定によるほか、健康保険法以外の医療保険各法又は高齢者医療確保法による診療又は調剤に当たるものとする。(健保法72条)
■ 保険医又は保険薬剤師の登録には、有効期間の定めはない。
■ 厚生労働大臣は、保険医又は保険薬剤師の申請があった場合において、次のいずれかに該当するときは、保険医又は保険薬剤師の登録をしないことができる。
・ 申請者が、健康保険法の規定により保険医又は保険薬剤師に係る保険医又は保険薬剤師の登録が取り消され、その取消しの日から5年を経過しないものであるとき。
・ 申請者が、健康保険法その他国民の保険医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
・ 申請者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
・ アからウのほか、申請者が、保険医又は保険薬剤師として著しく不適当と認められる者であるとき。
■ 厚生労働大臣は、保険医又は保険薬剤師に係る登録をしないこととするときは、地方社会保険医療協議会の議を経なければならない。(健保法71条2項・3項)
■ 保険医又は保険薬剤師(保険医等)の登録の取消しが行われた場合には、原則として取消し後5年間は再登録を行わないものとされているが、一定の過疎地域などを含む市町村(人口5万人以上のものを除く)に所在する医療機関等に従事する医師等(その登録取消しにより、当該地域が無医地区等となるものに限る)その他地域医療の確保を図るために再登録をしないと支障が生じると認められる医師等については、取消し後2年未満で再登録を認めることができる。
■ 保険医又は保険薬剤師は、1月以上の予告期間を設けて、その登録の抹消を求めることができる。(健保法79条2項)
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■ 厚生労働大臣は、保険医療機関又は保険薬局、保険医又は保険薬剤師の責務に関する厚生労働省令を定めようとするとき、又は評価療養若しくは選定療養若しくは療養の給付等に要する費用の額についての定めをしようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。ただし、評価療養の定めのうち高度の医療技術に係るものについては、この限りでない。
■ 厚生労働大臣は、保険医療機関もしくは保険薬局に係る指定を行おうとするとき、もしくはその指定を取り消そうとするとき、又は保険医もしくは保険薬剤師に係る登録を取り消そうとするときは、地方社会保険医療協議会に諮問するものとする。
■ 厚生労働大臣は、保険医療機関に係る指定をしないこととするとき、もしくはその申請に係る病床の全部もしくは一部を除いて指定(指定の変更を含む)を行おうとするとき、もしくは保険薬局に係る指定をしないこととするとき、又は保険医もしくは保険薬剤師に係る登録をしないこととするときは、当該医療機関若しくは薬局の開設者又は当該保険医若しくは保険薬剤師に対し、弁明の機会を与えなければならない。この場合においては、あらかじめ、書面で、弁明をすべき日時、場所及びその事由を通知しなければならない。
■ 保険医療機関等の指定を受けた後に、開設者や保険医等に異動があった場合には、速やかに地方厚生局長等に届け出ることとされている。
■ 保険医療機関等の指定・指定の取消し、保険医等の登録・登録の取消しに係る権限、保険医療機関等に指導、保険医療機関等に対する質問、検査等に係る厚生労働大臣の権限は、地方厚生局長等に委任されている。
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[健保法] 健保法・重要箇所・Chapter5
■ 被保険者の疾病又は負傷に関しては、次に掲げる療養の給付を行う
・ 診療
・ 薬剤又は治療材料の支給
・ 処置、手術その他の治療
・ 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
・ 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
■ 次に掲げる療養に係る給付は、上記の給付に含まれないものとする。
・ 食事の提供である療養であって上記オに掲げる療養と併せて行うもの(医療法に規定する療養病床への入院及びその療養に伴う世話その他の看護であって、当該療養を受ける際に、65歳に達する日の属する月の翌月以降である被保険者(特定長期入院被保険者)に係るものを除く。(食事療養))
・ 次に掲げる療養であって上記オに掲げる療養と併せて行うもの(特定長期入院被保険者)に係るものに限る。(生活療養))
・ 食事の提供である療養
・ 温度、照明及び給水に関する適切な療養環境の形成である療養
・ 厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他のる療養であって、上記の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養(エの患者申出療養を除く。)として厚生労働大臣が定めるもの(評価療養)
・ 高度の医療技術を用いた療養であって、当該療養を受けようとする者の申出に基づき、上記の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるもの(患者申出療養)。
・ 被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養(選定療養)
■ 被保険者は、被保険者期間中、傷病について、治癒するまで療養の給付を受けることができる。給付期間についての制限はない。
■ 労災法の療養の給付には移送が含まれているが、健康保険法では、移送費として療養の給付とは別の給付とされている。
■ 単なる健康診断は、療養の給付の対象とならない。ただし、健康診断の結果、保険医が特に治療を必要と認めた場合のその後の診察については療養の給付の対象となる。
■ 身体に違和感を覚えて診察を受けたが、結果的になんらの異常が認められなかった場合であっても、その診察については療養の給付の対象となる。
■ 正常分娩の場合において、医師の手当を受けても療養の給付の対象とならない。ただし、出産育児一時金は支給される。医師の手当を必要とする異常分娩で、保険医療機関で手当を受けた場合は、療養の給付の対象となる。
■ 単なる経済的理由によるものでなければ、人工妊娠中絶は療養の給付の対象となる。
■ 被保険者の資格取得が適正であれば、その資格取得前に発生した疾病又は負傷に対しても被保険者である期間、療養の給付が行われる。(家族療養費も行われる)
■ 保険医療機関又は保険薬局から療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、アからウに掲げる区分に応じ、療養の給付に要する費用の額にアからウに定める割合を乗じて得た額を、一部負担金として、保険医療機関又は保険薬局に支払わなければならない。(健保法74条1項・健保令34条1項)
・ 70歳に達する日の属する月以前である場合 100分の30
・ 70歳に達する日の属する月の翌月以降である場合(ウを除く)100分の20
・ 70歳に達する日の属する月の翌月以降である場合であっても、政令で定めるところにより算定した報酬の額が政令で定める額以上(療養を受ける月の標準報酬月額が28万円以上)であるとき 100分の30
■ 療養の給付を受ける月の標準報酬月額(政令で定めるところにより算定した額)≧政令で定める額(28万円以上)ある者=一定額以上の所得者→30/100
ただし、この規定は、次のいずれかに該当する者については適用しない。
・ 被保険者及びその被扶養者(70歳に達する日の属する月の翌月以降である場合に該当する者に限る)について厚生労働省令で定めるところにより算定した収入の額が520万円(当該被扶養者がいない者にあっては、383万円)に満たない者
■ 70歳以上の被保険者及びその70歳以上の被扶養者が健康保険の給付を受ける場合には、その者の一部負担金の負担割合(2割又は3割)を示す高齢受給者証が個人ごとに交付され、保険医療機関等で受診の際に電子資格確認ができない場合には、被保険者証と併せて提出しなければならない。
■ 健康保険病院・事業主医局等の特定の保険者が管掌する病院若しくは診療所又は薬局から療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、一部負担金を当該病院もしくは診療所又は薬局に支払わなければならない。ただし、保険者が健康保険組合である場合においては、規約で定めるところにより、当該一部負担金を減額し、又はその支払いを要しないものとすることができる。
■ 保険者は、災害その他の厚生労働省令で定める特別の事情がある被保険者であって、保険医療機関又は保険薬局に一部負担金を支払うことが困難であると認められる者に対して、次の措置をとることができる。(健保法75条の2)
・ 一部負担金を減額すること
・ 一部負担金の支払を免除すること
・ 保険医療機関又は保険薬局に対する支払に代えて、一部負担金を直接に徴収することとし、その徴収を猶予すること(6月以内の期間に限る)
■ 保険者から一部負担金等の徴収猶予又は減免の措置を受けた被保険者が、その証明書を提出して保険医療機関で療養の給付を受けた場合、保険医療機関は徴収猶予又は減額もしくは免除された一部負担金等相当額については、審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金若しくは国民健康保険団体連合会)に請求することとされている。
■ 「厚生労働省令に定める特別の事情(健保法75条の2)」とは、「被保険者が、災害、風水害、火災その他これらに類する災害により、住宅、家財又はその他の財産について著しい損害を受けたこと」とされている(健保則56条の2)。したがって、「所得が低い」という事情は、厚生労働省令で定める特別の事情として認められない。
■ 「一部負担金の減免措置」は保険者が行うものであり、保険医療機関等が行うことはできない。
■ 保険者は、診療報酬の審査及び支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険法に規定する国民健康保険団体連合会(国保連合会)に委託することができる。(健保法76条5項)
■ 特定長期入院被保険者以外の被保険者が、健保法63条3項各号に掲げる病院又は診療所のうち自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認をうけ、病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護に係る療養の給付と併せて受けた食事療養に要した費用について、入院時食事療養費を支給する。
■ 入院時食事療養費の額は、当該食事療養につき食事療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から、平均的な家計における食事の状況及び特定介護保険施設等(介護保険法51条の3第1項に規定する特定介護保険施設等をいう)における食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況その他の事情を斟酌して厚生労働省令で定めるものについては、別に定める額・食事療養標準負担額)を控除した額とする。
■ 入院時食事療養費=厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額-食事療養標準負担額
■ 被保険者(特定長期入院被保険者を除く)が厚生労働大臣の指定を受けた病院若しくは診療所又は特定の保険者が管掌する被保険者に対して診療を行う病院もしくは診療所から食事療養を受けたときは、保険者は、その被保険者が当該病院又は診療所に支払うべき食事療養に要した費用について、入院時食事療養費として被保険者に対して支給すべき額の限度において、被保険者に代わり、当該病院又は診療所に支払うことができる。なお、この規定による支払があったときは、被保険者に対し入院時食事療養費の支給があったものとみなす。(健保法85条5項・6項)
■ また、被保険者が健康保険組合である保険者が開設する病院又は診療所から食事療養を受けた場合において、保険者がその被保険者が支払うべき食事療養に要した費用のうち入院時食事療養費として被保険者に支給すべき額に相当する額の支払を免除したときは、入院時食事療養費の支給があったものとみなす。(健保法85条7項)
■ 入院時食事療養費は現物給付として支給されている。
■ 点滴栄養は食事療養に該当しないため、入院時食事療養費は支給されない。
■ 食事療養標準負担額(1食あたり)
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■ 小児慢性特定疾病児童等とは、児童福祉法19条の2第1項に規定する指定小児慢性疾病医療支援を受ける同法6条の2第2項に規定する小児慢性特定疾病児童等をいう。
■ 難病の患者に対する医療等に関する法律5条1項に規定する指定特定医療を受ける同項に規定する指定難病の患者をいう。
1日あたりの食事療養標準負担額は、3食に相当する額が限度。
■ 入院日数を算定する期間中に加入する制度の変更があった場合、制度変更前後の入院日数を合算する。
・ 低所得Ⅱ:住民税非課税の世帯で「低所得Ⅰ」に該当しない世帯に属するものをいう。
・ 低所得Ⅰ:70歳以上で住民税非課税で、世帯員全員の者の所得がない世帯に属するものをいう。
■ 厚生労働大臣は、入院時食事療養費に係る食事療養の費用の算定に関する基準を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。(健保法85条4項)
■ 食事療養標準負担額は高額療養費の対象とはならない。
■ 特別メニューの食事の提供を行っている保険医療機関は、毎年7月1日現在で、その内容及び料金などを入院時食事療養費及び入院時生活療養費に関する報告と併せて地方厚生局長等に報告する
■ 保険医療機関である病院又は診療所は、被保険者に交付すべき領収証には、入院時食事療養費に係る療養につき被保険者から支払を受けた費用の額のうち、食事療養標準負担額とその他の費用の額とを区分して記載しなければならない。(健保則62条)
■ 特定長期入院被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、病院又は診療所のうち、自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認をうけ、病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護の規定に掲げる療養の給付と併せて受けた生活療養に要した費用について、入院時生活療養費を支給する。(健保法85条の2第1項)
■ 特定長期入院被保険者とは、医療法に規定する療養病床への入院及びその療養に伴う世話その他の看護であって、当該療養を受ける際、65歳に達する日の属する月の翌月以後である被保険者をいう。
■ 入院時生活療養費の額は、当該生活療養につき生活療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に生活療養に要した費用の額)から、平均的な家計における食費及び光熱水費の状況並びに病院及び診療所における生活療養に要する費用について介護保険法に規定する食費の基準費用額及び居住費の基準費用額に相当する費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況、病状の程度、治療の内容その他の事情を斟酌して厚生労働省令で定めるものについては、別に定める額。生活療養標準負担額)を控除した額とする。(健保法85条の2第2項)
■ 入院時生活療養費=厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額-生活療養標準負担額
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■ 指定難病患者については、一般の食費(460円/420円)は、260円。居住費(370円)は0円。
■ 入院時生活療養(Ⅰ):管理栄養士又は栄養士による管理等が行われている保険医療機関の場合
■ 入院時生活療養(Ⅱ):上記(Ⅰ)以外の保険医療機関の場合。
■ 低所得者Ⅱ:住民税非課税の世帯で「低所得者Ⅰ」に該当しない世帯に属する者をいう。
■ 低所得者Ⅰ:70歳以上で住民税非課税の世帯で、世帯全員の所得がない世帯に属する者をいう。
■ 境界層該当者:療養のあった月において用保護者である者であって、生活療養標準負担額について上記の減額(食費1食100円、居住費0円)があれば生活保護法の規定による保護を要しなくなるものをいう。
■ 指定難病患者は、居住費分の負担はなく、入院時食事療養費に係る食事療養標準負担棋院と同額とする。
■ 被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、病院若しくは診療所又は薬局(保険医療機関等)のうち自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、評価療養、患者申出療養又は選定療養を受けたときは、その療養に要した費用について、保険外併用療養費を支給する。(健保法86条1項)
■ 患者申出療養とは、高度の医療技術を用いた療養であって、当該療養を受けようとする者の申出に基づき、療養の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提要を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるもの
■ 患者申出療養に関する申出は、厚生労働大臣が定めるところにより、厚生労働大臣に対し、当該申出に係る療養を行う医療法4条の3に規定する臨床研究中核病院(保険医療機関であるものに限る)の開設者の意見書その他必要な書類を添えて行うものとする。(健保法63条4項から7項)
■ 評価療養の例
・ 別に厚生労働大臣が定める先進医療(先進医療事に別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合する病院又は診療所において行われるものに限る。)
・ 医療品医療機器等法に規定する治療(人体に直接使用される薬物に係るものに限る)による診療
■ 選定医療の例
・ 特別の療養環境の提供
・ 予約に基づく診療
・ 保険医療機関が表示する診療時間以外の時間における診察
・ 病床数が200以上の病院について受けた初診(他の病院又は診療所からの文書による紹介がある場合及び緊急その他やむを得ない事情がある場合に受けたものを除く)
・ 別に厚生労働大臣が定める方法により計算した入院時間が180日を超えた日以後の入院及びその療養に伴う世話その他の看護(別に厚生労働大臣が定める状態等にある者の入院及びその療養に伴う世話その他の看護を除く。)
■ 保険外併用療養費の額は、アに掲げる額(当該療養に食事療養が含まれるときはアの額及びイに掲げる額の合算額、当該療養に生活療養が含まれるときはアの額及びウに掲げる額の合算額)とする。(健保法86条2項)
・ 当該療養(食事療養及び生活療養を除く)につき療養の給付に要する費用の額の定めを勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した費用の額(その額が現に当該療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額)から、その額に一部負担金の割合を乗じて得た額(療養の給付に係る同項の一部負担金について減額、免除、猶予等の特例の措置が採られるべきときは、当該措置が取られたものとした場合の額)を控除した額
・ 当該食事療養につき厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から食事療養標準負担額を控除した額
・ 当該生活療養につき厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に生活療養に要した費用の額)から生活療養標準負担額を控除した額
■ 保険外併用療養費は、現物給付として支給される。
■ 領収証には、ア食事療養に係る食事療養標準負担額及び生活療養に係る生活療養標準負担額、イ療養(食事療養及び生活療養に係るものを除く)に係る一部負担金の額、ウその他の費用の額を分けて記載しなければならない。
■ 保険者は、療養の給付もしくは入院時食事療養費、入院時生活療養費もしくは保険外併用療養費の支給(療養の給付等)を行うことが困難であると認めるとき、又は被保険者が保険医療機関等以外の病院、診療所、薬局その他の者から診療、薬剤の支給若しくは手当を受けた場合において、保険者がやむを得ないと認めるときは、療養の給付等に代えて、療養費を支給することができる。(健保法87条1項)
■ 被保険者資格を取得したが、事業主が資格取得届の提出を怠り、被保険者証が交付されていない間に自費で診察を受けたとき
■ 無医村で応急処置として売薬を服用したとき
■ 国外で診療を受けたとき
■ 輸血のための血液料金は療養費の支給対象となるが、保存血は療養の給付として現物給付される。
■ 脱臼又は骨折に対する施術については、医師の同意を得たものでなければならない。また、応急手当をする場合はこの限りではないが、応急手当後の施術は医師の同意が必要である。
■ 単なる肩こり、筋肉疲労に対する施術は、療養費の支給対象外であること。保険医療機関に入院中の患者の後療を医師から依頼された場合の施術は、当該保険医療機関にお往療した場合、患者が施術所に出向いてきた場合のいずれであっても、支給対象としない。
■ 緊急のときでも他に適当な保険医がいるのに、好んで保険医以外の医師に手当等を受けたときは、療養費は支給しない。
■ あんま、鍼灸術については、緊急その他やむを得ないときを除いては、療養費の支給に関してはすべて医師の同意が必要である。
■ 臓器移植を必要とする被保険者がレシピエント適応基準に該当し、海外渡航時に日本臓器移植ネットワークに登録している状態であり、かつ、当該被保険者が移植を必要とする臓器に係る、国内における待機状況を考慮すると、海外で移植を受けない限りは生命の維持が不可能となる恐れが高い場合には、海外において療養等を受けた場合に支給される療養費の支給条件である「保険者がやむを得ないものと認めるとき」に該当する。
■ 療養費の額は、当該療養(食事療養及び生活療養を除く)について算定した費用の額から、その額に一部負担金の割合を乗じて得た額を控除した額及び当該食事療養又は生活療養について算定した費用の額から食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額を控除した額を基準として、保険者が定める。(健保法87条2項)
■ 療養費の支給を受けようとするときは、被保険者は、所定の事項を記載した申請書(療養費支給申請書)を保険者に提出しなければならない。
■ 上記の申請書には、療養に要した費用の額を称する書類を添付しなければならない。
■ 上記の書類が外国語で作成されたものであるときは、その書類に日本語の翻訳文を添付しなければならない。
■ 海外において受けた診療、薬剤の支給又は手当(イにおいて海外療養)について療養費の支給を受けようとするときは、上記の申請書に次に掲げる書類を添付しなければならない。
・ 旅券、航空券その他の海外に渡航した事実が確認できる書類の写し
・ 保険者が海外療養の内容について当該海外療養を担当した者に紹介することに関する当該海外療養を受けた者の同意書(健保則66条)
■ 海外出張等で海外にいる被保険者及び被扶養者について保険給付を行うときは、国内の保険医療機関以外の病院等で療養等を受けた場合に準じて療養費若しくは家族療養費が支払われる。
・ 申請
・ 療養費支給申請書等に添付する証拠書類が外国語で記載されている場合は、日本語の翻訳文を添付すること
・ 療養費支給申請書等の証拠書類に添付する翻訳文には翻訳者の氏名及び住所を記載させること。
・ 現に海外にある被保険者からの療養費等の支給申請は、原則として、事業主を経由して行う。その受領は事業主が代理して行うものとし、保険者からの国外への送金は行わないこと
・ 支給額の算定
・ 支給額の算定に用いる邦貨換算率は、その支給決定日における外国為替率(売レート)を用いる。
■ 被保険者が、厚生労働大臣の指定する者(指定訪問看護事業者)から当該指定に係る訪問看護事業(疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者(主治の医師がその療養の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る)に対して、その者の居宅において看護師その他厚生労働省令で定める者が行う療養上の世話又は必要な診療の補助(保険医療機関等又は介護保険法8条28項に規定する介護老人保健施設若しくは同条29項に規定する介護医療院によるものを除く(訪問看護))を行う事業をいう)を行う事業所により行われる訪問看護(指定訪問看護)を受けたときは、その指定訪問看護に要した費用について、訪問看護療養費を支給する。
■ 訪問看護療養費は、保険者が必要と認める場合に限り、支給するものとする。
■ 指定訪問看護を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、自己の選定する指定訪問看護事業者から、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、当該指定訪問看護を受けるものとする。(健保法88条1項から3項)
■ 保険医療機関の看護師により療養上の世話を受けたときは、訪問看護療養費は支給されず、療養の給付が行われる。
■ 厚生労働省令で定める者は、保健師、助産師、准看護師、理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士とする。
■ 指定訪問看護は、末期の悪性腫瘍など厚生労働大臣が定める疾病等を除き、利用者1人につき週3日を限度としている
■ 訪問看護療養費の額は、当該指定訪問看護につき指定訪問看護に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した費用の額から、その額に一部負担金の割合を乗じて得た額(療養の給付に係る同項の一部負担金について特例の措置が採られるべきときは、当該措置が採られたものとした場合の額(基本利用料))を控除した額とする。(健保法88条4項)
■ 被保険者が訪問看護を受けたときは、基本利用料として、厚生労働大臣が定める基準により算定した指定訪問看護の費用から訪問看護療養費支給額を差し引いた額と、指定訪問看護ステーションの定める超過時間・時間外等のその他の料金がある場合は、その費用を負担しなければならない。
■ 厚生労働大臣は、指定訪問看護に要する費用の算定方法を定めるにあたっては、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。
■ 保険者は、被保険者が指定訪問看護事業者より指定訪問看護を受けた場合には、訪問看護療養費として被保険者に対し支給すべき額の限度において、被保険者に代わり、指定訪問看護事業者にこれを支払うことができる。
■ 厚生労働大臣による指定訪問看護事業者の指定は、訪問看護事業を行う者の申請により、訪問看護事業を行う事業所(訪問看護事業所)ごとに行う。
■ 指定訪問看護事業者以外の訪問看護事業を行う者のうち、介護保険法の規定による指定居宅サービス事業者(訪問看護事業を行う者のうち、厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る)の指定、同法の規定による指定地域密着型サービス事業者(訪問看護事業を行う者のうち、厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る)の指定又は同法に規定する指定介護予防サービス事業者(訪問看護事業を行う者のうち、厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る)の指定があったときは、その指定の際、当該訪問看護事業を行う者について、指定訪問看護事業者の指定があったものとみなす。ただし、当該訪問看護事業を行う者が、別段の申出をしたときは、この限りでない。
■ 介護保険法の規定による指定居宅サービス事業者の指定の失効、指定の取消しもしくは効力の停止、同法の規定による指定地域密着型サービス事業者の指定の取消し若しくは効力の停止、若しくは指定の失効又は同法の指定による指定介護予防サービス事業者の指定の取消し若しくは効力の停止、若しくは指定の失効は、上記の規定により受けたものとみなされた指定訪問看護事業者の指定の効力に影響を及ぼさないものとする。
■ 厚生労働大臣は、次の場合には指定してはならない。
・ 申請者が地方公共団体、医療法人、社会福祉法人その他厚生労働省令で定めるものでないとき。
・ 当該申請にかかる訪問看護事業所の看護師その他従業員の知識及び技能並びに人員が厚生労働省令で定める基準及び員数を満たしていないとき
・ 申請者が、健康保険法の規定により指定訪問看護事業者にかかる指定を取消され、その取消しの日から5年を経過しない者であるとき。
・ 申請者が社会保険料について、当該申請をした日の前日までに社会保険各法又は地方税法の規定にもとづ基づく滞納処分を受け、かつ当該処分を受けた日から正当な理由なく3月以上の期間にわたり、当該処分を受けた日以降に納期間が到来した社会保険料のすべてを引き続き滞納している者であるとき。
■ 指定訪問看護事業者は、厚生労働大臣が定める指定訪問看護の事業の運営に関する基準に従い、訪問看護を受ける者の心身の状況等を応じて自ら適切な指定訪問看護を提供するものとする。
■ 指定訪問看護事業者は、上記のほか、健康保険法以外の偉業保険各法による被保険者及び被扶養者の指定訪問看護並びに高齢者医療確保法による被保険者の指定訪問看護を提供するものとする。(健保法90条)
■ 変更の届出等(健保法93条)
・ 指定訪問看護事業者は、当該指定にかかる訪問看護事業所の名称及び所在地その他厚生労働省令で定める事項に変更があったとき、又は当該指定訪問看護の事業をを廃止し、休止し、もしくは再開したときは、厚生労働省令で定めるところにより、10日以内にその旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
■ 指定の取消し(健保法95条)
・ 厚生労働大臣は、指定訪問看護事業者が次の1から10のいずれかに該当する場合はその指定を取り消すことができる。
・ 指定訪問看護事業者の当該指定にかかる訪問看護事業所の看護師その他の従業者について、厚生労働省令で定める基準又は厚生労働省令で定める員数を満たすことができなくなったとき。
[健保法] 健保法・重要箇所・Chapter6
■ 被保険者が療養の給付(保険外併用療養費にかかる療養を含む)を受けるため、病院又は診療所に移送されたときは、移送費として、厚生労働省令の定めるところにより算定した金額を支給する。
■ 上記の移送費は、厚生労働省令の定めるところにより、保険者が必要であると認める場合に限り、支給するものとする。(健保法97条)
■ 通院などの一時的、緊急的と認められない場合については、移送費の支給の対象とはならない。医師・看護師等付添人については、医学的管理が必要であったと医師が判断する場合に限り、原則として1人まで交通費を支給する。
■ 移送費の支給が認められる医師、看護師等の介添人による医学的管理等について、患者がその医学的管理等に要する費用を支払った場合にあっては、現に要した費用の額の範囲内で、移送費とは別に、診療報酬にかかる基準を勘案してこれを評価し、療養費の支給を行うことができる。
■ 移送費の額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により算定した金額とする。ただし、現に移送に要した費用の金額を超えることができない。(健保則80条)
■ 被保険者は、移送費の支給を受けるとするときは、一定の事項を記載した申請書を保険者に提出しなければならず、当該申請書には、医師又は歯科医師の意見書及び移送に要した費用の額の事実を証する書類を添付しなければならない。(健保則82条)
■ 移送費には、一部負担金はない。
■ 医学的管理等に要する費用を支払った場合、移送費ではなく療養費が支給される。
■ 被保険者(任意継続被保険者を除く)が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金を支給する。
■ 傷病手当金の額は、1日につき、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額(被保険者が現に属する保険者等により定められたものに限る)を平均した額の30分の1に相当する額(1)の3分の2に相当する額(2)とする。ただし、同日の属する月以前の直近の継続した期間において標準報酬月額が定められている月が12月に満たない場合であっては、次のア又はイに掲げる額のうちいずれか少ない額の3分の2に相当する額(2)とする。
・ 傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額(1)
・ 傷病手当金の支給を始める日の属する年度の前年度の9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる標準月額とみなしたときの標準報酬月額の30分の1に相当する額(1)
・ その額に、5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときはこれを10円に切り上げる。
・ その金額に、50銭未満の端数があるときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数があるときは、これを1円に切り上げる。
■ 「療養のため」とは、保険給付としての療養の給付を受けている場合に限らず、自費診察を受け、又は病後の自宅静養で、この間労務不能であることについて相当の証明があれば、傷病手当金が支給される。
■ 被保険者の資格取得前にかかった疾病又は負傷により資格取得後に療養のため休業するときも、傷病手当金は支給される。
■ 被保険者がその本来の職場における労務につくことが不可能な場合であっても、現に職場転換その他の措置により就労可能な程度の程の比較的軽微な服務に服し、これによって相当額の報酬を得ているような場合は、労務不能には該当しないものであるが、本来の職場における労務に対する代替的性格をもたない副業ないし内職等の労務に従事したり、あるいは傷病手当金の支給があるまでの間、一時的に軽微な他の服務に服することにより、賃金を得るような場合その他これらに準ずる場合には、通常なお労務不能に該当する。したがって、被保険者がその提供する労務に対する報酬を得ている場合に、そのことを理由に直ちに労務不能でない旨の認定をすることなく、労務内容、労務内容との連携におけるその報酬額等を十分検討したうえ労務不能に該当するかどうかの判断がなされることになる。
■ 労務不能の例
・ 傷病の状態が、工場での労務には服せないが、家事の副業に従事する状態
・ 休業を要するほどではないが、遠方で、通院のため事実上働けないようなとき
■ 労務不能と認められない例
・ 保険事故の範囲外の疾病等の手術により、労務不能となったとき
・ 労働基準法(現在は労働安全衛生法)により伝染病の恐れがある保菌者に対し、事業主が休業を命じたが、その症状から労務不能と認められないとき。ただし、隔離収容のため労務不能になったときは、傷病手当金の対象となる。
・ 美容整形手術のように療養の給付をしない疾病について被保険者が自費で手術をうけ、そのために労務不能となった場合
■ 待期期間は、3日間継続してはじめて完成する。この点が労災保険の休業補償給付と大きく異なる点である。また、待期期間の3日間については、傷病手当金は支給されない。なお、待期中に公休日があっても、療養のため労務に服することができない状態であれば、傷病手当金は第4日目から支給される。
■ 待期期間の3日間を年次有給休暇として処理した場合でも待期は完成し、欠勤4日目から傷病手当金が支給される。
■ 傷病手当金の待期期間は、原則として労務不能となった日から起算し、報酬の支払のいかんにかかわらない。
■ 就業時間中に疾病等が発生したときは、その日は待期期間の3日間に含まれる。業務終了後は、翌日から起算する。
■ 支払開始日の属する月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額の平均額の30分の1×3分の2
■ 支払開始日の属する月以前の直近の継続した期間において標準報酬月額が定められている月が12月に満たない場合は、次のア又はイのいずれか少ない額×3分の2とされる
・ 支払開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準表集月額を平均した額の30分の1
・ 支払開始日の属する年度の前年度の9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額の30分の1
■ 直近の継続した12月の各月の標準報酬月額について、被保険者が現に属する保険者において任意継続被保険者である期間が含まれているときは、当該期間の標準報酬月額も平均の算定に用いることとする。
■ 被保険者で、心疾患による傷病手当金の期間満了後なお引き続き労務不能であり、療養の給付のみを受けている者が、肺疾患(心疾患との因果関係はない)を併発したときは、肺疾患のみで労務不能であると考えられるか否かによって傷病手当金の支給又は不支給が決定される。
■ 労災保険の休業補償給付を受けている期間中に業務外の病気を併発し、労務不能となった場合、休業補償給付の額が傷病手当金の額を上回っているときは、傷病手当金が支給されない。傷病手当金の方が高い場合は、その差額が傷病手当金として支給される。
■ 被保険者が死亡したとき、傷病手当金又は療養費の請求権等は、その相続権者が当然請求権を有する(死亡した日も支給される)。
4月1日に労務不能となって3日間休業し、同月4日に一度は通常通り出勤したものの、翌5日から再び労務不能となって休業した場合の傷病手当金の支給期間は、4月5日から起算されることになる。また、報酬があったために、その当時から支給停止されていた場合の傷病手当金の支給期間は、報酬を受けなくなった日又は報酬の額が傷病手当金の額より小さくなった日から起算されることとなる。
■ 傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から通算して1年6月間とする。(健保法99条4項)
■ 被保険者の疾病又は負傷の発生の年月日、原因、主症状、経過の概要、労務に服することができなかった期間に関する医師又は歯科医師の意見書の添付が必要である。
■ なお、療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費若しくは保険外併用療養費の支給を受けることが困難であるため療養費の支給を受ける場合においては、傷病手当金の支給の申請書には、医師又は歯科医師の意見書を添付することを要しない。(直接、医師又は歯科医師が申請書に記載することになるため。)
■ 傷病手当金及び出産手当金の支給要件に該当すると認められる場合については、その者が介護休業期間中であっても傷病手当金又は出産手当金が支給される。なお、傷病手当金又は出産手当金が支給される場合であって、同一期間内に事業主から介護休業手当等で報酬と認められるものが支給されているときは、傷病手当金又は出産手当金の支給額について調整が行われる。
■ 被保険者が出産したときは、出産育児一時金として、政令で定める金額を支給する。(健保法101条)
■ 出産育児一時金が支給されるのは、妊娠4カ月以上の出産に限られる。(28日/月×3月1日85日以上)。
■ 妊娠4月以上の出産であれば、出産、死産、流産(人口流産(経済的理由も可)も含む)又は早産を問わず、出産育児一時金が支給される。
■ 出産育児一時金は、一児につき定額の40万8000円とする。
■ ただし、一定の場合には、40万8000円に、下記に規定する保険契約に関し被保険者が追加的に必要となる費用の額を基準として、3万円を超えない範囲内で保険者が定める額を加算した額とする。
■ 産科医療補償制度に加入する病院、診療所、助産所その他の者(加入分娩機関)であって、次の要件のいずれかにも該当する者による医学管理の下における出産(在胎週数22週に達した日以後の出産(死産を含む。制度対象分娩)であると保険者が認める場合。
■ 令和4年1月1日より40万8000円+1万2000円=42万円が支給される。
■ 流産及び人工妊娠中絶は制度対象分娩に該当しないため、出産育児一時金は40万8000円である。
■ 双生児は、胎盤数に関わらず、1産児排出を1出産と認め、胎児数に応じて出産育児一時金を支給する。
■ 妊娠6か月の被保険者が作業中に転んで強打して早産し、医師の治療を受けたときは、業務上の疾病となり、労災法による療養の給付を受けても、出産育児一時金は支給される。
■ 出産育児一時金等(出産育児一時金及び家族出産育児一時金)の受取代理制度は、被保険者等が医療機関等を受取代理人として出産育児一時金等を事前に申請し、医療機関等が被保険者等又はその被扶養者に対して請求する出産費用の額を限度として、医療機関等が被保険者等に代わって出産育児一時金等を受け取ることにより、被保険者等があらかじめまとまった現金を用意した上で医療機関等の窓口において出産費用を支払う経済的負担の軽減を図るものである。
■ 被保険者(任意継続被保険者を除く)が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金を支給する。
■ 健康保険法99条2項及び3項の規定は、出産手当金の支給について準用する(出産手当金の金額は、傷病手当金の金額と同様に算定するということ)(健保法102条)
■ 出産日当日は出産の日以前42日(多胎妊娠の場合は、98日)に含まれる。出産の日が出産の予定日後であるときの出産手当金の支給期間は、出産の予定日以前42日から出産の日後56日までの期間となる。
■ 出産手当金を支給する場合(健保法108条3項又は4項に該当するときを除く)においては、その期間、傷病手当金は、支給しない。ただし、その受けることができる出産手当金の額(同条2項但書の場合においては、同項但書に規定する報酬の額と同項但書の規定により算定される出産手当金の額との合算額)が、同法99条2項の規定により算定される額より少ないときは、その差額を支給する。
■ 出産手当金を支給すべき場合において傷病手当金が支払われたときは、その支払われた傷病手当金(但書の規定により支払われたものを除く)は、出産手当金の内払とみなす。(健保法103条)
■ 疾病にかかり又は負傷した場合において報酬の全部又は一部を受けることができる者に対しては、これを受けることができる期間は、傷病手当金を支給しない。ただし、その受けることができる報酬の額が、健保法99条2項の規定により算定される額より少ないとき(同法103条1項又は3項若しくは4項に該当するときを除く)は、その差額を支給する。出産手当金も同じ。(健保法108条1項・2項)
■ 傷病手当金の支給を受けるべき者が、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき厚生年金保険法による障害厚生年金の支給を受けることができるときは、傷病手当金は、支給しない。ただし、その受けることができる障害厚生年金の額(1)につき厚生労働省令で定めるところにより算定した額(2)(障害年金の額)が、健保法99条2項の規定により算定される額より少ないときは、当該額と次のアからエに掲げる場合の区分に応じて当該アからエに定める額との差額を支給する。
報酬を受けることができない場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができない場合 → 障害年金の額
報酬を受けることができない場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができる場合 → 出産手当金の額(健保法99条2項の額を超える場合は当該額)と障害年金の額のいずれか多い額
報酬の全部又は一部を受けることができる場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができない場合 → 当該受けることができる報酬の全部又は一部の額(健保法99条2項の額を超える場合は当該額)と障害年金の額のいずれか多い額
報酬の全部又は一部を受けることができる場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができる場合 → 当該受けることができる報酬の全部又は一部の額及び健保法108条2項但書に規定されている出産手当金の額の合算額(当該合算額は健保法99条2項の額緒を超える場合は当該額)と障害年金の額のいずれか多い額(健保法108条3項)
■ 障害厚生年金の額と同一の事由について、国年法の障害基礎年金の支給を受けることができるときはその合算額
■ 障害厚生年金の額(1)を360で除して得た額(その額に1円未満の端数があるときは切り捨てる)(健保則89条1項)
■ 傷病手当金の支給を受けるべき者が、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき厚生年金保険法による障害手当金の支給を受けることができるときは、当該障害手当金の支給を受けることとなった日からその日以後に傷病手当金の支給を受けるとする場合の健保法99条2項の規定により算定される額の合計額が当該障害手当金の額に達するに至る日までの間、傷病手当金は、支給しない。ただし、当該合計額が当該障害手当金の額に達するに至った日において当該合計額が当該障害手当金の額を超える場合において、報酬の全部もしくは一部又は出産手当金の支給を受けることができるときその他政令で定めるときは、当該合計額と当該障害手当金の額との差額その他政令で定めるが差額については、この限りでない。(健保法108条4項)
■ 傷病手当金の支給を受けるべき者が(健保法104条の規定により資格喪失後の継続給付を受けるべき者であって、政令で定める要件に該当するものに限る)が、国民年金法又は厚生年金保険法に基づく老齢を支給事由とする年金たる給付その他の老齢又は退職を支給事由とする年金である給付であって政令でさだめるもの(老齢退職年金給付)の支給を受けることができるときは、傷病手当金は、支給しない。ただし、その受けることができる老齢退職年金給付の額(当該老齢退職年金給付が2以上あるときは当該2以上の老齢退職年金給付の額の合算額)につき厚生労働省令で定めるところにより算定した額が、傷病手当金の額より少ないときは、その差額を支給する。(健保法108条5項)
■ 適用事業所に使用される被保険者については、老齢退職年金給付と傷病手当金との調整は行われない。(在職中は調整されない。資格喪失後継続傷病手当金支給を受けている場合に支給調整される。)
■ 被保険者が死亡したときは、被保険者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料を支給する。(健保法100条1項)
■ 現実に埋葬を行う者又は行った者ではなく、埋葬を行うべき(義務のある者)者をいう。
■ 自殺による死亡は絶対的事故であり、埋葬料の支給を行う。
■ 埋葬料は、政令で定める額(5万円)を支給する。(健保法100条1項・健保令35条)
■ 被保険者が死亡した場合において、埋葬料の支給を受けるべき者がない場合においては、埋葬を行った者(現実に行った者)に対して、埋葬費を支給する(健保法100条2項)
■ 埋葬費は、埋葬料の金額の範囲内において、その埋葬に要した費用に相当する金額を支給する。(健保法100条2項)
■ 埋葬費に含まれるものは、埋葬に直接要した実費として、霊柩代又は借料、霊柩運搬人夫賃、葬式の際における死者霊前供物代、僧侶の謝礼等であるが、入院患者が死亡し、自宅まで移送する費用は含まれない。
■ 被保険者が社員旅行中に、船から落ちて行方不明となり、死体が見つからないときは、死んだことは確実だが、死体が見つからない場合と同じで、同行者の証明書等により死んだものとなり、埋葬許可証の添付なしに埋葬料又は埋葬費を求めることができる。
■ 資格喪失の原因が死亡であるとき、又は被保険者証を提出すべき者が死亡したときは、埋葬料又は埋葬に要した費用に相当する金額の支給を受けるべき者は、その申請の際、被保険者証を保険者に返納しなければならない。ただし、埋葬料又は埋葬に要した費用に相当する金額の支給を受けるべき者がないときは、埋葬を行った者において被保険者証を返納しなければならない。
■ 被保険者が資格を喪失し、かつ、日雇特例被保険者又はその被扶養者となった場合において、その資格を喪失した際に療養の給付、入院時食事療養費に係る療養、入院時生活療養費に係る療養、保険外併用療養費に係る療養、療養費に係る療養若しくは訪問看護療養費に係る療養又は介護保険法の規定による居宅介護サービス費に係る指定居宅サービス等のうち、療養に相当するものを受けているときは、当該疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき、当該保険者から療養の給付又は入院費食事療養費、入院生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費もしくは移送費の支給を受けることができる。(健保法98条1項)
■ 被保険者が日雇特例被保険者等となった場合に行われる継続給付は、以下のいずれかに該当したときには、給付を終了する。
・ 日雇特例被保険者として給付を受けられるようになったとき
・ 健康保険の被保険者、船員保険の被保険者もしくはこれらの者の被扶養者又は国民健康保険の被保険者又は後期高齢者医療の被保険者等になったとき
・ 被保険者資格を喪失した日から起算して、6月を経過したとき
■ 被保険者が資格を喪失し、かつ、日雇特例被保険者又はその被扶養者となった場合であって、被保険者の資格喪失後療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、訪問看護療養費もしくは移送費の支給を受けようとする者は、資格喪失後10日以内に、日雇特例被保険者手帳を添えて、所定の事項を記載した特別療養給付申請書を保険者に提出しなければならない。(健保則83条)
■ 被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く)であった者(1年以上被保険者であった者)
■ 被保険者の資格を喪失した際、傷病手当金又は出産手当金の支給を受けているもの。(健保法104条)
■ 傷病手当金又は出産手当金の受給権者であればよい。したがって、事業主から報酬を受けているため、傷病手当金又は出産手当金の支給が停止されている者のこの継続給付の対象者に含まれる。この場合、事業主からの報酬が受けられなくなったときから支給が開始する。
■ 必ずしも同一の保険者の元で引き続き1年以上被保険者であることを要しない。
■ 被保険者が療養のため労務不能となってから3日目に退職し、資格喪失後もその状態が継続している場合であっても、継続給付としての傷病手当金を受給するためには、資格喪失時において原則として傷病手当金の支給をうけていることが必要であるため、傷病手当金の支給は受けられない。
■ 引き続きとは、必ずしも同一保険者でなくても構わない。なお、資格の得喪があっても、法律上の被保険者としての資格の連続、すなわち、同日得喪によって継続していればよいことになる。
■ 資格喪失のときに療養の給付だけを受けていた者は、資格喪失後に労務不能となっても、傷病手当金は支給されない。
■ 資格喪失後、継続給付としての傷病手当金の支給を受けている者については、保険診療を受けていても一旦稼働して傷病手当金が不支給となった場合には、完全治癒であると否とを問わず、その後さらに労務不能となっても傷病手当金の支給は復活されない。
■ 一般の被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者であった者が任意継続被保険者となり、かつ一般の被保険者資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金を受けている場合若しくは支給条件を満たしている場合は、資格喪失後の継続給付を受けることができる。
■ この継続給付は、特例退職被保険者に対しては行われない。
■ 資格喪失後の傷病手当金又は出産手当金の継続給付を受給中の者が死亡したとき
■ 資格喪失後の傷病手当金又は出産手当金の継続給付を受けていた者が、その継続給付を受けなくなった日後3月以内に死亡したとき
■ 被保険者であったものが、被保険者資格を喪失した日後3月以内に死亡したとき(健保法105条)
■ 上記に該当する場合、資格喪失前の被保険者期間は問われず、例えば1月しか被保険者期間がなくても支給される。
■ 埋葬料
・ 死亡した者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うもの
■ 埋葬費
・ 埋葬料の支給を受けるべき者がいない場合に、現に埋葬をおこなったもの(健保法105条)
1年以上被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した日後6月以内に出産したときは、被保険者として受けることができるはずであった出産育児一時金の支給を最後の保険者から受けることができる。(健保法106条)
■ 被保険者本人としての出産育児一時金を受給するか、被扶養者をしての家族出産育児一時金を受給するか、請求者の選択により、いずれか1つの給付を支給する。
■ 健康保険の資格喪失後の出産育児一時金と国民健康保険の出産育児一時金も受給できる場合、いずれを受給するか、選択することができる。
■ 健保法104条から106条の規定にかかわらず、被保険者であった者が船員保険の被保険者となったときは、保険給付は、行わない。(健保法107条)
[健保法] 健保法・重要箇所・Chapter7
■ 被扶養者に関する給付
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■ 被保険者の被扶養者が、保険医療機関等のうち自己の選定するものから療養を受けたときは、被保険者に対し、その療養に要した費用について、家族療養費を支給する。(健保法110条)
■ 保険者は、一部負担金の額の特例に規定する被保険者の被扶養者に係る家族療養費に支給について、家族療養費の給付割合を、それぞれの割合を超えて100分の100以下の範囲内において保険者が定めた割合とする措置をとることができる。(健保法110条の2)
■ 被扶養者に関する給付は、すべて被保険者に対して支給される。
■ 被扶養者が保険医療機関等で療養を受けた場合は、家族療養費として被保険者に支給すべき額の限度で直接保険医療機関等に支払われる。
■ 家族療養費は、被保険者が死亡した場合には、受給権者がいなくなるため、死亡した時点で支給が打ち切られる。その日の翌日からその資格を喪失すると同時に、家族療養費も支給されなくなる。
■ 家族療養費の給付割合
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■ (1)一定以上所得者=標準報酬月額が28万円以上の者。ただし、保険者に対し次のア、イのいずれかに該当する者が申請した場合には一般と同じ給付割合となる。
・ 70歳以上の被保険者及び70歳以上の被扶養者の年収が520万円(70歳以上の被扶養者がいない場合は383万円)未満である者
・ 被保険者(70歳以上)は、その被扶養者(70歳以上)が後期高齢者医療の被保険者等に該当するに至ったため、健康保険の被扶養者でなくなった場合、当該被扶養者でなくなった月の属する月以後5年を経過する月までの間に限り、当該被保険者及び被扶養者得あった者について算定した収入の額が520万円未満である者
・ 70歳以上の保険者及びその70歳以上の被扶養者に関しては、8割給付の者と7割給付の者が混在することから高齢給付者証によりその割合が示されるようになっている。
■ 被保険者の被扶養者が、指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けたときは、被保険者に対し、指定訪問看護に要した費用について、家族訪問看護療養費を支給する。(健保法111条)
■ 被保険者の被扶養者が、家族療養費に係る療養を受けるため、病院又は診療所に移送されたときは、被保険者に対し、家族移送費を支給する。(健保法112条)
■ 最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により算定した額
■ 被扶養者が死亡したときは、被保険者に対し、家族埋葬料を支給する。定額5万円。(健保法113条)
■ 死産児は被扶養者には該当しないので、家族埋葬料は死産児については支給されない。
■ 被扶養者が出産したときは、被保険者に対し、家族出産育児一時金を支給する。一児につき定額の40万8000円(一定の場合には、3万円を超えない範囲内で保険者が定める額(1万2000円)を加算)(健保法114条)
■ 療養の給付について支払われた一部負担金の額又は療養(食事療養及び生活療養を除く)に要した費用の額からその療養に要した費用につき保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費もしくは家族訪問療養費として支給される額に相当する額を控除した額(一部負担金等の額)が著しく高額であるときは、その療養の給付又はその保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給を受けた者に対し、高額療養費を支給する。
■ 高額療養費の支給要件、支給額その他高額療養費の支給に関して必要な事項は、療養に必要な費用の負担の家計に与える影響及び療養に要した費用の額を考慮して、政令で定める。
■ 高額療養費算定基準額に含めないもの
・ 保険の対象外となる自己負担
・ 入院時食事療養費に係る食事療養標準負担額
・ 入院時生活療養費に係る生活療養標準負担額
■ 同一月に協会→組合に移った場合、それぞれの管掌者ごとに要件を見る。
■ 夫婦がともに被保険者である場合、高額療養費の計算においては同一世帯とはみなされないため、両者の医療費は合算の対象とはならない。
■ 高額療養費の支給要件において、被保険者の療養に係る一部負担金が高額療養費算定基準額を超えているかどうかの判断は、保険者が診療報酬明細書又は調剤報酬明細書を単位として確認することとされているが、高額療養費支給申請書に、前期の明細に代わるものとして領収証が添付されていた場合には、当該領収証により確認することができるとされている。
■ 1人の1箇月の自己負担額が高額療養費算定基準額を超える場合の支給額は、被保険者又はその被扶養者が同一の月にそれぞれ一の病院、診療所、薬局その他の者(病院等)から受けた療養に係る自己負担額(食事療養を受けた場合の食事療養標準負担額、及び生活療養を受けた場合の生活療養標準負担額を除く)が高額療養費算定基準額を超えた場合、その超える額が支給される。
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■ 【計算例】
・ 問題:標準報酬月額が35万円のものが、医療費総額100万円の場合の高額療養費
・ 回答
・ 標準報酬月額35万円→標準報酬月額28万円以上53万円以下→80,100円+(医療費-267,000円)×1%
・ 医療費総額100万円→自己負担額(3割)→100万円×30%=30万円
・ 高額療養費算定基準額=80,100円+(1,000,000円-267,000)×1%=80,100+733,000×1%=80,100+7,730=87,430円
・ 高額療養費=300,000-87,430=212,570円
■ 入院した場合の一部負担金等の額は、同一月に、同一の医療機関で世帯単位の高額療養費算定基準額を超えた場合には、超えた部分が高額療養費として支給される。
■ 同一世帯で同一月に2人以上の者の自己負担額の合計が高額療養費算定基準額を超える場合の支給額(世帯合算の高額療養費)
・ 自己負担額が高額療養費算定基準額以下でも、同一世帯で同一月に2人以上の者(被保険者又はその被扶養者)の自己負担額がそれぞれ21000円以上の場合は、それぞれの自己負担額を合算して高額療養費算定基準額を超えた場合、その超える額が高額療養費として支給される。
・ アの取扱いは、同一人が同一月に2つ以上の医療機関にかかり、それぞれの自己負担額が21000円以上になった場合も同様とする。
■ 【計算例】
・ 問題: 標準報酬月額が28万円以上53万円未満の区分で、同一月の被保険者が6万円、被扶養者が3万円の一部負担金(自己負担額)を支払ったケース
・ 回答
・ 一部負担金等の額(世帯合算)→ 60,000円+30,000円=90,000円
・ かかった医療費(合算)→ 90,000円÷0.3=300,000円
・ 高額療養費算定基準額=80,100円+(300,000円-267,000円)×1%=80,430円
・ 高額療養費=90,000円-80,430円=9,570円
■ 歯科診療及び歯科診療以外の診療を併せ行う保険医療機関は、高額療養費の支給要件の適用については、歯科診療及び歯科診療以外の診療につきそれぞれ別個の保健医療機関とみなす。(健保令43条9項)
■ 被保険者又はその被扶養者が同一の月にそれぞれ一の保険医療機関から入院療養を含む療養及びその療養を受けた場合は、高額療養費の支給要件の適用については、当該入院療養を含む療養及びそれ以外の療養は、それぞれ別個の保険医療機関からうけたものとみなす。(健保令43条10項)
■ 被保険者又はその被扶養者が療養を受けた場合において、当該療養があった月以前の12月以内に、既に3回以上の高額療養費が支給されているときは、当該療養費に係る一部負担金等の額が、次の高額療養費算定基準額(70歳未満の高額療養費算定基準額(多数回該当の場合))を超えたときは、その超えた額が支給される。
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■ 協会管掌健康保険の被保険者であった者が、転職等で都道府県支部が変わっても、同じ協会管掌健康保険の被保険者であれば通算される。しかし、健康保険組合から協会管掌健康保険に変わった場合等、保険者が変わった場合には、支給回数は通算されない。
■ 特定疾病の場合(健保令41条9項・42条9項)
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■ 高額療養費多数回該当に係る回数通算については、特定疾病に係る高額療養費の支給回数は、その他の傷病に係る高額療養費と世帯合算をされた場合を除き、通算されない。
■ 70歳以上の被保険者本人及びその70歳以上の被扶養者がいる場合に支給される高額療養費は、次のように行われる。
・ まず、外来療養について、個人ごとに、同一月に支払ったすべての一部負担金等の額を合算し、その額が高額療養費算定基準額(外来の限度額)を超える場合に、その超える部分が高額療養費として支給される。
・ 次に、その月について、同一世帯の70歳以上の者同士で「入院療養に係る一部負担金等の額」と「外来療養に係る一部負担金等の額(アで高額療養費として支給される額を除くので、結局は外来の限度額)」をすべて合算し、その額が高額療養費算定基準額(外来+入院の限度額)を超える場合に、その超える額が高額療養費として支給される。
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・ 計算例】
・ 問題:70歳以上の一般の区分で、外来(被保険者が、病院Xで9000円、病院等Yで10000円を自己負担)と入院(被扶養者が病院等Zで、50000円を自己負担)がある場合
・ 回答
・ 外来分の高額療養費の額(個人ごと)
一部負担金等の額 9000円+10000円=19000円-高額療養費算定基準額(18000円)=1000円
・ 外来+入院の高額療養費の額(世帯ごと)
一部負担額の額(50000+18000)-高額療養費算定基準額(57600円)=10400円
・ トータルで、1000円+10400円=11400円
■ 同一世帯に70歳以上と70歳未満の者がいる場合の高額療養費の算定は、次のように行われる。
・ 70歳以上の者について、前記32の仕組みにより、高額療養費を算定する。
・ 一部負担金等世帯合は、アにより高額療養費を支給しても、なお残る70歳以上の者に係る一部負担金等の額と70歳未満の者に係る一部負担金等の額を合算した額により算定し、70歳未満の場合の仕組みによる高額療養費算定基準額を超える部分が高額療養費として支給される。
・ アとイの高額療養費の合計額が、当該世帯の高額療養費となる。
・ 計算例
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■ 高額療養費は、医療保険制度ごとに月単位で計算することから、75歳の誕生日を迎えた月の途中(月の初日を除く)に後期高齢者医療の被保険者となると、その月はそれまで加入していた医療保険(健康保険、国民健康保険等)と後期高齢者医療制度のぞれぞれで高額療養費算定基準額までの負担が必要となり、被保険者によっては負担が倍に増えることがあった。そこで、平成21年1月以降、75歳到達月の高額療養費算定基準額について、医療保険と後期高齢者医療制度のそれぞれにおいて、外来(個人単位)の額を2分の1に相当する額とし、かつ、新たに入院+外来(個人単位)を設け、それらの高額療養費算定基準額を用いて高額療養費の額(個人単位の部分)を計算する特例が適用されることとなった。
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■ 高額療養費は、原則として、被保険者の申請により支給されるものであるが、被保険者又はその被扶養者が同一月に一の保険医療機関等又は指定訪問看護事業者から療養を受けた場合に、その窓口で支払うべき一部負担金等の額が高額療養費算定基準額を超える部分を、保険者が当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者に支払うことで、窓口での一部負担金等の支払いを高額療養費算定基準額までに留める取扱いが認められている(健保令43条)。これを高額療養費の現物給付という。
■ 高額な薬剤費等がかかる患者の負担を軽減するため、従来の入院療養に加え、外来療養についても、同一医療機関での同一月の窓口負担が自己負担限度額を超える場合は、患者が高額療養費を事後に申請して受給する手続きに代えて、保険者から医療機関に支給することで、窓口での支払いを自己負担額限度額までにとどめる取扱い(現物給付化)を導入する。
■ 一部負担金等の額(高額療養費が支給される場合であっては、当該支給額に相当する額を控除して得た額)並びに介護保険法に規定する介護サービス利用者負担額(高額介護サービス費が支給される場合にあっては、当該支給額を控除して得た額)及び介護予防サービス利用者負担額(高額介護予防サービス費が支給される場合にあっては、当該支給額を控除して得た額)の合計額が著しく高額であるときは、当該一部負担金等の額にかかる療養の給付又は保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費もしくは家族訪問看護療養費の支給を受けた者に対し、高額介護合算療養費を支給する。(健保法115条の2)
■ 高額介護合算療養費は、介護合算一部負担金等世帯合算額が、介護合算算定基準額(自己負担限度額)に支給基準額(500円)を加えた額を超える場合に支給する。
・ 介護合算一部負担金等世帯合算額 計算期間(毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間)に行われた健康保険の療養(食事療養及び生活療養を除く)及び介護保険法に規定する居宅サービス等・介護予防サービス等にかかる給付に伴い生じる一部負担金等の額及び利用者負担にかかる額のうち、被保険者及びその被扶養者にかかる次の1から3の額を合算した額をいう。
■ 70歳未満のものの一部負担金等の額は、同一月にそれぞれ一の病院等からうけた療養につき21000円以上の者が合算の対象となる。
(介護合算算定基準額・表)
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■ 高額介護合算療養費にかかる自己負担額は、その計算期間の途中で、医療保険や介護保険の保険者が変更になった場合でも、変更前の保険者にかかる自己負担額と変更後の自己負担額は合算される。
■ 高額介護合算療養費の支給要件として、高額療養費が支給されていることは問われない。
■ 被保険者又はその被扶養者が法人の役員であるときは、当該被保険者又はその被扶養者のその法人の役員としての業務(被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務であって厚生労働省令で定めるものを除く)に起因する疾病、負傷又は死亡に関して保険給付は、行わない。(健保法53条の2)
■ 被保険者又は被扶養者が法人の役員である場合であって、その法人の役員の業務に起因する疾病、負傷又は死亡に対しては、健康保険から保険給付を行わないが、被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員であって、一般の従業員が従事する業務と同一である業務を遂行している場合において、その業務に起因する疾病、負傷又は死亡に対しては、傷病手当金を含めて健康保険から保険給付を行う
■ 被保険者にかかる療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、埋葬料、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費もしくは家族埋葬料の支給は、同一の疾病、負傷又は死亡に関して、労働者災害補償保険法、国家公務員災害補償法又は地方公務員災害補償法もしくは同法に基づく条例の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。(健保法55条1項)
■ 被保険者又はその被扶養者において、業務災害・通勤災害と疑われる事例で健康保険の被保険者証を使用し、又は現金給付の申請等が行われた場合、健康保険の保険者は、まずは労災保険への請求を促し、健康保険の給付を留保することができる。
■ 労災保険の任意適用事業所に使用される被保険者にかかる通勤災害については、それが、労災保険の保険関係の成立の日前に発生したものであるときは、健康保険等で給付するものであることとされている。
■ 被保険者にかかる療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費もしくは家族訪問看護療養費の支給は、同一の疾病又は負傷について、介護保険法の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。(健保法55条3項)
■ 介護保険における訪問看護ステーションから訪問看護を受けている者の急性増悪等により、特別指示書にかかる指定訪問看護を受ける場合の給付は、医療保険から行われる。
■ 介護保険適用病床に入院している要介護者である患者が、急性増悪等により密度の高い医療行為が必要となった場合については、当該患者を医療保険適用病床に転床させて療養を行うことが原則であるが、患者の状態、当該病院又は診療所の病床の空き状況等により、患者を転床させず、当該介護保険適用病床において緊急に医療行為を行う必要のあることが想定され、このような場合については、当該場合において療養の給付が行われることは可能であり、この場合の当該緊急に行われた療養にかかる給付については、医療保険から行う。
■ 被保険者にかかる療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、家族療養費、家族訪問看護療養費もしくは家族移送費の支給は、同一の疾病又は負傷について、他の法令の規定により国又は地方公共団体の負担で療養又は療養費の支給を受けたときは、その限度において、行わない。
■ 保険優先の公費負担医療の場合には、健康保険の給付と公費で供される医療とが重なっている場合においては、先に健康保険からの給付がされることになる。通常70歳未満の被保険者の場合、療養の給付に要した費用の70%が健康保険から給付され、残り30%は自己負担となるが、この自己負担となる部分について、公費から支給されるということである。結核治療にかかる通院医療の費用については、原則として25%を都道府県が負担し、残り5%は被保険者負担となる。
■ 感染症法(旧結核予防法)による公費負担と生活保護法による医療扶助がこの保険優先の公費負担医療に該当する。また、災害救助法が発動された場合には、救助が先に行われるため、公費負担が優先される取扱いとなる。
■ 被保険者又は被保険者であった者が、自己の故意の犯罪行為により、又は故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由にかかる保険給付は、行わない。(健保法116条)
■ 道路交通法に違反するなど、処罰されるべき行為中に起こした事故により死亡した場合は、自殺の場合と同様に、給付制限は行われず埋葬料が支給される。
■ 自殺未遂による傷病については、その傷病の発生が精神疾患等に起因するものと認められる場合は、故意に給付事由を生じたことに当たらない。
■ 被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、その全部又は一部を行わないことができる。(健保法117条)
■ 被保険者又は被保険者であった者が、次のいずれかに該当する場合には、疾病、負傷又は出産につき、その期間に係る保険給付(傷病手当金及び出産手当金の支給にあっては、厚生労働省令(健保則32条の2第2号)で定める場合に限る)は、行わない。(健保法118条)
・ 少年院その他これに準ずる施設に収容されたとき
・ 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたとき
■ 被保険者が刑事施設、少年院等に拘禁・収容されている間については、死亡に関する保険給付、傷病手当金・出産手当金(未決勾留の場合に限る)及び被扶養者に関する給付については制限されない。傷病手当金・出産手当金については、刑の執行等のため刑事施設に拘束されている場合等を除き、給付制限を受けることなく支給されることになる。
■ 事業主は、被保険者又はその被扶養者が健保法118条1項各号(少年院にある場合等の給付制限)のいずれかに該当し、又は該当しなくなったときは、5日以内に、次に掲げる事項を厚生労働大臣又は健康保険組合に届け出なければならない。
・ 事業所整理番号及び被保険者整理番号(健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者及び任意継続被保険者にあっては、被保険者等記号・番号又は個人番号)
・ 被保険者の氏名及び生年月日
・ 当該の事由及び該当し、又は該当しなくなった年月日
■ 保険者は、被保険者又は被保険者であった者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、保険給付の一部を行わないことができる。(健保法119条)
■ 正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときの給付制限の期間は、療養の給付等については、概ね10日間を基準とし、傷病手当金の一部制限については、療養の指揮に従わない情状によって画一的な取扱いをすることは困難と認められるが、制限事由に該当した日以後において請求を受けた障害手当金の請求期間1ヶ月について、概ね10日間を標準として不支給の決定をなす。
■ 偽りその他の不正の行為及び強制診断拒否等による場合の給付制限以外の給付制限(上記4つの場合の給付制限)は、被扶養者に関する保険給付についても準用される。(健保法122条)
■ 保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受け、又は受けようとした者に対して、6月以内の期間を定め、その者に支給すべき傷病手当金又は出産手当金の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができる。ただし、偽りその他不正の行為があった日から1年を経過したときは、この限りでない。(健保法120条)
■ 傷病手当金又は出産手当金の全部又は一部を支給しない旨の決定は、保険者が不正の事実を知ったとき以後の将来においてのみ決定すべきであるとされている。
■ 保険者は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受ける者(被扶養者を含む)に対し、文章その他の物件の提出もしくは提示を命じ、又は当該職員に質問もしくは診断をさせることができる。
■ 保険者は、保険給付を受ける者(被扶養者を含む)が、正当な理由なしに上記の命令に従わず、又は答弁もしくは受診を拒んだときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。(健保法59条・121条)
■ (表)
■ 保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額(当該保険給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し、被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額)の限度において、保険給付を受ける権利を有する者(当該給付事由が被保険者の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む)が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
■ 上記の場合において、保険給付を受ける権利を有する者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる。(健保法57条)
■ 第三者の行為によって給付事由が生じた被保険者の傷病について保険者が損害賠償の請求権を代位取得した際、自動車損害賠償保障法による自動車損害賠償席ににおいて被保険者の重過失が認められ、保険金額の減額が行われた場合には、過失により減額された割合で減額した額でもって求償して差し支えない。
■ 第三者行為によって生じた事件に関し、保険者が損害賠償請求権を代位取得する場合において、加害者が未成年者でその行為を弁識できる知識を備えていないときは、その者の監督義務者に対して賠償責任を求めることができる。
■ 犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険及び高齢者の医療の確保に関する法律)において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされる
■ また、犯罪の被害によるものなど、第三者の行為による傷病について医療保険の給付を行う際に、医療保険の保険者の中には、その第三者行為の過鍵者が保険者に対し損害賠償責任を負う旨を記した加害者の誓約書を、被害者である被保険者に提出されるところもあるが、この誓約書があることは、医療保険の給付を行うために必要な条件ではないことから、提出がなくとも医療保険の給付は行われる。
■ なお、自動車事故による被害を受けた場合の医療保険の給付と自動車損害賠償保障法に基づく自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)による給付の関係については、自動車事故による被害の賠償は自動車損害賠償保障法では自動車の運行供用者がその責任を負うこととしており、被害者は加害者が加入する自賠責保険によってその保険金額の限度額までの保証を受けることとなっている。その際、何らかの理由により、加害者の加入する自賠責保険の保険者が保険金の支払いを行う前に、被害者の加入する医療保険の保険者から保険給付が行われた場合、医療保険の保険者はその行った給付の価額の限度において、被保険者が有する損害賠償請求権を代位取得し、加害者(又は加害者の加入する自賠責保険の保険者)に対して求償することになる。
■ 偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、保険者は、その者からその給付の価額(その保険給付が療養の給付であるときは、一部負担金に相当する額を控除したもの)の全部又は一部を徴収することができる。
■ 上記の場合において、事業主が虚偽の報告もしくは証明をし、又は保険医療機関において診療に従事する保険医もしくは訪問看護療養費に係る主治の医師が保険者に提出されるべき診断書に虚偽の記載をしたため、その保険給付が行われたものであるときは、保険者は、当該事業主、保険医又は主治の医師に対し、保険給付を受けた者に連帯してその徴収金を納付すべきことを命ずることができる。
■ 保険者は、保険医療機関もしくは保険薬局又は指定訪問看護事業者が偽りその他不正の行為によって療養の給付に関する費用の支払又は入院時食事療養費(入院時生活療養費及び保険外併用療養費において準用する場合を含む)、訪問看護療養費(家族訪問看護療養費において準用するものを含む)もしくは家族療養費の支払いを受けたときは、当該保険医療機関もしくは保険薬局又は指定訪問看護事業者に対して、その支払った額につき返還させるほか、その返還させる額に100分の40を乗じて得た額を支払わせることができる。(健保法58条)
■ (表)
■ 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保の供し、又は差し押さえることができない。(健保法61条)
■ 租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない。(健保法62条)
■ 保険者は、高齢者医療確保法の規定による特定健康診査及び同法の規定による特定保健指導(特定健康診査等)を行うものとするほか、特定健康診査等以外の事業であって、健康教育、健康相談及び健康診査並びに健康管理及び疾病の予防に係る被保険者及びその被扶養者(被保険者等)の自助努力についての支援その他の被保険者等の健康の保持増進のために必要な事業を行うように努めなければならない。
■ 高額医療費貸付事業は、協会管掌健康保険の被保険者又は被扶養者に係る高額療養費が支給されるまでの当座の支払いに充てるための資金の貸付を行い、もって家計の負担の軽減に資することを目的とする。貸付事業は、全国健康保険協会が行う。
■ 貸付事業の対象は、協会管掌健康保険の被保険者又はその被扶養者に係る高額療養費の支給が見込まれる者とする。
■ 貸付額は、高額療養費支給見込額の80%に相当する額(100円未満の端数切捨て)とし、利子は付さない。
■ 協会管掌健康保険の出産育児一時金及び家族出産育児一時金が支給されるまでの間、出産の支払いに必要な資金を無利子で融資するため、全国健康保険協会が行っている。
■ 貸付対象者は、協会管掌健康保険の被保険者又は被扶養者の出産に係る出産育児一時金の支払の見込まれる方のうち、次のア又はイに該当するものである。
・ 出産予定日まで、1ヶ月以内の方
・ 妊娠4ヶ月(85日)以上の方で、病院、産院などに一時的な支払を要する方
■ 貸付額は、1万円単位で出産育児一時金の8割相当額を支給する。なお、貸付額には利子は付さない。
[健保法] 健保法・重要箇所・Chapter8
■ 健康保険法において「日雇労働者」とは、次のアからウのいずれかに該当する者をいう。(健保法3条8項)
・ 臨時に使用される者であって、次に掲げるもの(同一の事業所において、アに掲げるものにあっては1月を超え、イに掲げるものにあってはイに掲げる所定の期間を超え、引き続き使用されるに至った場合(所在地の一定しない事業所において引き続き使用されるに至った場合を除く)を除く)
・ 日々雇い入れられる者
2月以内の期間を定めて使用される者
・ 季節的業務に使用される者(継続して4月を超えて使用されるべき場合を除く)
・ 臨時的事業の事業所に使用される者(継続して6月を超えて使用されるべき場合を除く)
■ 健康保険法において「日雇特例被保険者」とは、適用事業所に使用される日雇労働者をいう。ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者又は次のアからウのいずれかに該当する者として厚生労働大臣の承認を受けたものは、この限りでない。(健保法3条2項)
・ 適用事業所において、引き続く2月間に通算26日以上使用される見込のないことが明らかなとき、
・ 任意継続被保険者であるとき
・ その他特別の理由があるとき
■ ウの特別の理由とは、適用事業所において日雇労働者と使用されることを常態としない場合のことであり、例えば、農業、漁業、商業等他に本業を有する者が臨時に日雇労働者として使用される場合、昼間学生が夏季休暇期間中に臨時に日雇労働者として使用される場合などがある。
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■ 日雇特例被保険者の保険の保険者は、協会とする。
■ 日雇特例被保険者の保険の保険者の業務のうち、日雇特例被保険者手帳の交付、日雇特例被保険者に係る保険料の徴収及び日雇拠出金の徴収並びにこれらに附帯する業務は、厚生労働大臣が行う。
■ 日雇特例被保険者の保険の保険者の事務のうち厚生労働大臣が行うものの一部は、政令で定めるところにより、市町村長が行うこととすることができる。
■ 協会は、市町村(特別区を含む)に対し、政令で定めるところにより、日雇特例被保険者の保険の保険者の事務のうち協会が行うものの一部を委託することができる。(健保法123条・203条)
■ 厚生労働大臣が指定する地域に居住する日雇特例被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む)に係る次に掲げる業務は、当該地域をその区域に含む市町村(特別区を含むものとし、指定都市にあっては、区又は総合区とする)の長が行うものとする。
・ 日雇特例被保険者手帳の交付及び収受その他日雇特例被保険者手帳に関する事務
・ 介護保険第2号被保険者である日雇特例被保険者及びそれ以外の日雇特例被保険者の把握に関する事務
■ 協会は、上記に規定する地域をその区域に含む市町村(特別区を含む)に対し、当該地域に居住する日雇特例被保険者に係る次に掲げる事務を委託するものとする。
・ 受給資格者票の発行及び受給資格者票への確認の表示その他受給資格者票に関する事務
・ 特別療養費(埋葬料の支給を除く)を行うために必要な保険料の納付状況の確認に関する事務及び被扶養者に係る保険給付に関する被扶養者の確認に関する事務(健保令61条)
賃金日額の算定方法のうち、1日において2以上の事業所に使用される場合には、初めに使用される事業所から受ける賃金につき算定する。(健保法125条)
■ 一の年度における標準賃金日額等級の最高等級(現状11級)に対応する標準賃金日額に係る保険料の延べ納付日数の当該年度における日雇特例被保険者に関する保険料の総延べ納付日数に占める割合が100分の3を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、翌年度の9月1日から、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準賃金日額の等級区分の改定を行うことができる。ただし、当該一の年度において、改正後の標準賃金日額等級の最高等級に対応する標準賃金日額に係る保険料の延べ納付日数の日雇特例被保険者に関する保険料の総延べ納付日数に占める割合が100分の1を下回ってはならない。(健保法124条2項)
■ 日雇特例被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む)が療養の給付、入院時食事療養費の支給、入院時生活療養費の支給、保険外併用療養費の支給、療養費の支給、訪問看護療養費の支給を受けるには、これを受ける日の属する月の前2月間に通算して26日分以上又は当該日の属する月の前6月間に通算して78日分以上の保険料を納付していることが必要である。
■ 保険者は、日雇特例被保険者が上記の保険料納付済要件を満たしていることを日雇特例被保険者手帳によって証明して申請したときは、これを確認したことを表示した受給資格者票を発行し、又は、既に発行した受給資格者票にこれを確認したことを表示しなければならない。
■ 日雇特例被保険者は、療養の給付を受けようとするときは、受給資格者票を保険医療機関等のうち自己の選定するものに提出して、そのものから受ける者とする。(健保法129条2項1号・3項・4項)
■ 日雇特例被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む)が疾病にかかり又は負傷した場合で、保険料納付済要件をみたしていること。(健保法129条・149条)
■ 給付内容
・ 療養の給付の範囲等
・ 療養の給付の範囲、一部負担金の額は、一般被保険者の場合と同様
・ 支給期間(同一の疾病又は負傷に対する療養の給付期間)
・ 療養の開始の日から1年間(厚生労働大臣が指定する疾病(結核性疾病)については初診日から5年間)
■ 日雇特例被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む)が療養の給付(保険外併用療養費、療養費及び訪問看護療養費の支給並びに介護保険法に規定よる居宅介護サービス費等の支給であって、受給資格者票を有する者に対して行われるものを含む)を受けている場合において、その療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日(4日目)から労務に服することができない一定の期間、傷病手当金を支給する。(健保法135条)
■ 傷病手当金の支給内容
・ 保険料納付状況
・ 日雇特例被保険者について、その者が初めて当該療養の給付を受けた日の属する月の前2月間に通算して26日分以上の保険料が納付されている場合
・ 日雇特例被保険者について、その者が初めて当該療養の給付を受けた日の属する月の前6月間に通算して78日分以上の保険料が納付されている場合
・ 当該機関において保険料が納付された日に係るその者の標準賃金日額の各月ごとの合算額のうち、最大のものの45分の1に相当する金額が支給される。
・ 上記要件のいずれにも該当する場合は、いずれか高い方の金額とする。
・ 同一の疾病又は負傷及びこれによって発生した疾病については、その支給を始めた日から起算して6月(結核性疾病については、1年6月)をもって限度とする。
■ 労務不能となった際にその原因となった傷病について療養の給付を受けていることで足り、労務不能の全期間において当該傷病につき療養の給付を受けていることを要しないこと。
■ 日雇特例被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む)が出産した場合において、その出産の日の属する月の前4月間に通算して26日分以上の保険料がその者について納付されていること。(健保法137条)
■ 出産育児一時金の支給を受けることができる日雇特例被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む)
■ 給付内容
・ 出産日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎出産の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間、1日につき、出産の日の属する月の前4月間に保険料が納付された日に係る当該日雇特例被保険者の標準賃金日額の各月ごとの合算額のうちの最大のものの45分の1に相当する金額(健保法138条)
■ 日雇特例被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む)が被扶養者に関する家族療養費、家族訪問看護療養費、家族埋葬料、家族出産育児一時金の支給を受けるには、健康保険法129条2項(療養の給付を受けるための保険料納付済期間)を満たす保険料の納付が必要である。(健保法140条他)
■ 前2月間に通算して26日以上又は前6月間に通算して78日以上
・ 療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、埋葬料、埋葬費、家族療養費、家族埋葬料、家族訪問看護療養費、家族出産育児一時金
■ 前4月間に通算して26日分以上
・ 出産育児一時金、出産手当金
■ 特別療養費は、アからウのいずれかに該当する日雇特例被保険者で、日雇特例被保険者手帳の交付を受けた日の属する月の初日から起算して3月(月の初日に日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者については、2月)を経過しないもの又はその被扶養者が、特別療養費受給票を保険医療機関等のうち自己の選定するものに提出して、そのものから療養を受けたとき、又は特別療養費受給票を指定訪問看護事業者のうち自己の選定するものに提出して、そのものから指定訪問看護を受けたときは、日雇特例被保険者に対し、その療養又は指定訪問看護に要した費用について、特別療養費を支給する。(健保法145条1項)
・ 初めて日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者
1月間もしくは継続する2月間に通算して26日分以上又は継続する3月ないし6月間に通算して78日分以上の保険料が納付されるに至った月において日雇特例被保険者手帳に健康保険印紙を張り付けるべき余白がなくなり、又はその月の翌月中に適用除外の承認を受ける等日雇特例被保険者手帳を返納した後初めて日雇特例被保険者低調の交付を受けた者
・ 前に交付を受けた日雇特例被保険者手帳に健康保険印紙を張り付けるべき予約がなくなった後又は日雇とくれ被保険者手帳を適用除外の承認を受ける等して返納した後1年以上経過してから日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者
■ 特別療養費の支給範囲は、療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費、家族訪問看護療養費と同じである。支給額は下記の通りとなる。(健保法145条1項から4項)
・ 日雇特例被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む)及びその被扶養者が受けた療養(食事療養及び生活療養を除く)又は指定訪問看護につき算定した費用から、その額に一部負担金の割合を乗じて得た額を控除した額に相当する額
・ 入院療養と併せて食事療養を受けた場合には、食事療養標準負担額を控除した額
・ 入院療養と併せて生活療養を受けた場合には、生活療養標準負担額を控除した額
■ 特別療養費受給票は、特別療養費の支給対象となる日雇特例被保険者でその該当するに至った日の属する月の初日から起算して3月を経過していないものの申請により、保険者が交付する(健保法145条5項)
■ 日雇特例被保険者は、特別療養費受給票の有効期間が経過したとき、又は受給資格者票の交付を受けたときは、速やかに、特別療養費受給票を全国健康保険協会又は委託市町村(協会が日雇特例被保険者に係る事務を委託した市町村)に返納しなければならない。
■ 日雇特例被保険者に対する保険給付は、同一の事由について、一般被保険者の保険給付、健康保険法以外の偉業保険各法(国民健康保険法を除く)の規定又は労働者災害補償保険法、国家公務員災害補償法、地方公務員災害補償法又は介護保険法の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。
■ 協会は、日雇特例被保険者に係る傷病手当金の支給を行うにつき必要があると認めるときは、労働者災害補償保険法、国家公務員災害補償法又は地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例の規定により給付を行う者に対し、当該給付の支給状況につき、必要な資料の提供を求めることができる。
■ 日雇特例被保険者に対する保険給付は、同一の事由について、一般被保険者の家族給付、健康保険法以外の医療保険各法の規定による家族給付を受けたときは、その限度において、行わない。
[健保法] 健保法・重要箇所・Chapter9
■ 国庫は、毎年度、予算の範囲内において、健康保険事業の事務の執行に要する費用を負担する。(健保法151条)
■ 健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定する。(健保法152条1項)
■ 国庫負担金については、概算払をすることができる。(健保法152条2項)
■ 国庫は、健保法151条に規定する事務費のほか、協会が管掌する健康保険事業の執行に要する費用のうち、被保険者に係る療養の給付並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、出産手当金、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、高額療養費及び高額介護合算療養費の支給に要する費用(療養の給付については、一部負担金に相当する額を控除するものとする)の額並びに高齢者医療確保法の規定による前期高齢者納付金(前期高齢者納付金)の納付に要する費用の額に納付費割合を乗じて得た額の合算額(前期高齢者交付金がある場合には、当該合算額から当該前期高齢者交付金の額に給付費割合を乗じて得た額を控除した額)に1000分の130から1000分の200までの範囲において政令で定めた割合(1)を乗じて得た額を補助する。(健保法153条)
■ (1)経過措置により、当分の間、1000分の164とされる(健保法附則5条)
■ 出産育児一時金、家族出産育児一時金、埋葬料、埋葬費、家族埋葬料の支給に要する費用については、国庫補助はない(出産手当金や傷病手当金の支給に要する費用については、国庫補助がある)
■ 国庫補助は、健康保険組合に対しては行われていない。
■ 国庫は、予算の範囲内において、健康保険事業の執行に要する費用のうち、特定健康診査等の実施に要する費用の一部を補助することができる。(健保法154条の2)
■ 保険者等は、健康保険事業に要する費用に充てるため、保険料を徴収する
■ 上記に関わらず、協会が管掌する健康保険の任意継続被保険者に関する保険料は、協会が徴収する。(健保法155条)
■ 被保険者に関する保険料額は、各月につき、被保険者の区分に応じ、次のいずれかに定める額とする。(健保法156条1項)
・ 被保険者が介護保険第2号被保険者であるとき、一般保険料額(各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ一般保険料率(基本保険料率と特定保険料率とを合算した率をいう)を乗じて得た額をいう)と介護保険料額(各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ介護保険料率を乗じて得た額)との合算額
・ 被保険者が介護保険第2号被保険者以外の被保険者であるとき、一般保険料額
■ 健康保険組合は、規約で定めるところにより、被保険者が介護保険第2号被保険者に該当しない場合であっても、その被扶養者が介護保険第2号被保険者に該当する場合には、当該被保険者(特定被保険者)から、介護保険料額を徴収することができる。(健保法附則7条)
■ 政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の承認を受けた健康保険組合(承認健康保険組合)は、定率により算出される介護保険料額の代わりに、規約により1又は2以上の標準報酬月額の等級区分について一定の額(所得段階別の額)の特別介護保険料額を徴収することができる。
■ 特別介護保険料額の算定方法は、政令で定める基準に従い、各年度における当該承認健康保険組合の特別介護保険料額の総額と、当該承認健康保険組合が納付すべき介護納付金の額とが等しくなるように規約で定めるものとする。
■ 介護保険第2号被保険者である被保険者(特定被保険者を含む)に関する保険料額を一般保険料額と特定介護保険料額の合算額とすることについて当該健康保険組合の組合会において組合会議員の定数の3分の2以上の多数により議決していることが政令で定める要件である。
■ 保険料の徴収は月を単位として行われ、資格を取得した月から資格を喪失した月の前月までの各月について徴収される。したがって、月の最終日に被保険者の資格を取得した場合、その月における被保険者期間は1日であるが、保険料は1月分が徴収されることになる。
■ 前月から引き続き被保険者であった者がその資格を喪失した場合、その月分の保険料は徴収しない。(健保法156条3項)
■ 同一月内に2回以上の得喪を行った場合、1月について2回以上の保険料の徴収が行われることがある。
■ 協会が管掌する健康保険の被保険者に関する一般保険料率は、1000分の30から1000分の130までの範囲内において、支部被保険者(各支部の都道府県に所在する適用事業所に使用される被保険者及び当該都道府県の区域内に住所又は居所を有する任意継続被保険者をいう)を単位として協会が決定するものとする。
■ 上記の規定により支部被保険者を単位として決定する一般保険料率(都道府県単位保険料率)は、当該支部被保険者に適用する。
■ 都道府県単位保険料率は、支部被保険者を単位として、次に掲げる額に照らし、毎事業年度において財政の均衡を保つことができるものとなるよう、政令で定めるところにより算定するものとする。
・ 健康保険法52条1号に掲げる療養の給付その他の厚生労働省令で定める保険給付(療養の給付等)のうち、当該支部被保険者に係るものに要する費用の額(当該支部被保険者に係る療養の給付等に関する健康保険法153条の規定による国庫補助の額を除く)に下記の規定に基づく調整を行うことにより得られると見込まれる額
・ 保険給付(支部被保険者に係る療養の給付等を除く)、前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等に要する費用の予想額(健康保険法153条及び154条の規定による国庫補助の額(アの国庫補助の額を除く)並びに健康保険法173条の規定による拠出金の額を除く)に総報酬按分率(当該都道府県の支部被保険者の総報酬額(標準報酬月額及び標準賞与額の合計額をいう)の総額を協会が管掌する健康保険の被保険者の総報酬額の総額で除して得た率をいう)を乗じて得た額
・ 保健事業及び福祉事業に要する費用の額(健康保険法154条の2の規定による国庫補助の額を除く)並びに健康保険事業の事務の執行に要する費用及び次条の規定による準備金の積み立ての予定額(健康保険法151条の規定による国庫負担金の額を除く)並びに健康保険法7条の31の規定による短期借入金の償還に要する費用の額に充てるものとして政令で定める額のうち当該支部被保険者が分担すべき額として協会が定める額
■ 協会は、支部被保険者及びその被扶養者の年齢階級別の分布状況と協会が管掌する健康保険の被保険者及びその被扶養者の年齢階級別の分布状況との際によって生ずる療養の給付等に要する費用の額の負担の不均衡並びに支部被保険者の総報酬額の平均額と協会が管掌する健康保険の被保険者の総報酬額の平均額との際によって生ずる財政力の不均衡を是正するため、政令で定めるところにより、支部被保険者を単位とする健康保険の財政の調整を行うものとする。
■ 協会は、2年ごとに、翌事業年度以降の5年間についての協会が管掌する健康保険の被保険者数及び総報酬額の見直し並びに保険給付に要する費用の額、保険料の額(各事業年度において財政の均衡を保つことができる保険料率の水準を含む)その他の健康保険事業の収入の見通しを作成し、公表するものとする。
■ 協会が都道府県単位保険料率を変更しようとするときは、あらかじめ理事長が当該変更に係る都道府県に所在する支部の支部長の意見を聴いた上で、運営委員会の議を経なければならない。
■ 支部長は、上記の意見を求められた場合のほか、都道府県単位保険料率の変更が必要と認める場合には、あらかじめ、当該支部に設けられた評議会の意見を聴いた上で、理事長に対し、当該都道府県単位保険料率の変更について意見の申出を行うものとする。
■ 協会が都道府県単位保険料率を変更しようとするときは、理事長は、その変更について厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
■ 厚生労働大臣は、上記の認可をしたときは、遅滞なく、その旨を告示しなければならない。
■ 厚生労働大臣は、都道府県単位保険料率が、当該都道府県における健康保険事業の収支の均衡を図る上で不適当であり、協会が管掌する健康保険の事業の健全な運営に支障があると認めるときは、協会に対し、相当の期間を定めて、当該都道府県単位保険料率の変更の認可を申請すべきことを命ずることができる。
■ 厚生労働大臣は、協会が上記の期間内に申請をしないときは、社会保障審議会の議を経て、当該都道府県単位保険料率を変更することができる。
■ 厚生労働大臣は、上記の規定により都道府県単位保険料率を変更したときは、遅滞なく、その旨を告示しなければならない。
■ 健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者に関する一般保険料率は、1000分の30から1000分の130までの範囲内において、決定するものとする。なお、健康保険組合が管掌する健康保険の一般保険料率を変更しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
■ 特定保険料率は、各年度において保険者が納付すべき前期高齢者納付金等の額及び後期高齢者支援金等の額(協会が管掌する健康保険及び日雇特例被保険者の保険においては、その額から国庫補助額を控除した額)の合算額(前期高齢者交付金がある場合には、これを控除した額)を当該年度における当該保険者が管掌する被保険者の総報酬額の総額の見込み額で除して得た率を基準として、保険者が定める。
■ 基本保険料率は、一般保険料率から特定保険料率を控除した率を基準として、保険者が定める。
■ 介護保険料率は、各年度において保険者が納付すべき介護納付金(日雇特例被保険者に係るものを除く)の額を当該年度における当該保険者が管掌する介護保険第2号被保険者である被保険者の総報酬額の総額の見込額で除して得た率を基準として、保険者が定める。
■ 協会は、基本保険料率及び特定保険料率を定め、又は介護保険料率を定めたときは、遅滞なく、その旨を厚生労働大臣に通知しなければならない。(健保法160条)
■ 一般保険料率(令和3年3月
・ 範囲 9.50%(1000分の95【新潟】)から10.68%(1000分の106.8【佐賀】)
・ 内訳 ①特定保険料率=3.53%(1000分の35.3)②基本保険料率=各支部の率-①の率
■ 介護保険料率(令和3年3月分) 1.80%(1000分の18)
■ 協会は、毎事業年度末において、当該事業年度及びその直前の2事業年度内において行った保険給付に要した費用の額(前期高齢者納付金等、後期高齢者支援金等及び日雇拠出金並びに介護納付金の納付に要した費用の額(前期高齢者交付金がある場合には、これを控除した額)を含み、健保法153条及び154条に規定する国庫補助の額を除く)の1事業年度あたりの平均額の12分の1に相当する額に達するまでは、当該事業年度の剰余金の額を準備金として積み立てなければならない。
■ 健康保険組合は、毎事業年度末において、当該事業年度及びその直前の2事業年度内において行った保険給付に要した費用の額(被保険者又はその被扶養者が組合直営病院等から受けた療養に係る保険給付に要した費用の額を除く)の1事業年度あたりの平均額の12分の3に相当する額と当該事業年度及びその直前2事業年度内において行った前期高齢者納付金等、後期高齢者支援金等及び日雇拠出金並びに介護納付金の納付に要した費用の額(前期構成者交付金がある場合には、これを控除した額)の1事業年度あたりの平均額の12分の1に相当する額とを合算した額に達するまでは、当該事業年度の剰余金の額を準備金として積み立てなければならない。(健保令46条1項・2項)
■ 当分の間、健康保険組合における準備金の積立ての規定中「12分の3」とあるのは、「12分の2」とする(健保法附則5条)
■ 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料額の2分の1を負担する。
■ 任意継続被保険者は、その全額を負担する。(健保法161条1項)
■ 被保険者が法定期間について傷病手当金の支給を受けたが疾病が治癒せず、その療養のため労務に服しないために収入の途がない場合であっても、被保険者である間は保険料を負担すべき義務を負う。
■ 健康保険組合は、健保法161条1項の規定にかかわらず、規約で定めるところにより、事業主の負担すべき一般保険料額又は介護保険料額の負担の割合を増加することができる。(健保法162条)
■ 事業主は、その使用する被保険者及び事故の負担する保険料を納付する義務を負う。
■ 任意継続被保険者は、自己の負担する保険料を納付する義務を負う。(健保法161条2項・3項)
■ 被保険者に対して支払うべき報酬がないため保険料を控除することができない場合であっても、被保険者の負担すべき保険料は、事業主が納付義務を負う。
■ 事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料を、その報酬から控除することができる。
■ 事業主は、被保険者がその事業所に使用されなくなった場合において、上記の規定にかかわらず、報酬の支払の際において被保険者の負担すべき前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料を控除することができる。
■ 事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準報酬額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。
■ 事業主は、上記により被保険者負担分の保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。(健保法167条)
■ 事業主は、傷病手当金の支給を受けている被保険者が負担すべき保険料を、その者が受けている傷病手当金から控除することはできない。
■ 事業主は、被保険者がその事業所に使用されなくなったときに限り、報酬の支払の際に、被保険者が負担すべき前月分及びその月分の保険料を控除することができる。このケースに該当するのは、前月より引き続き被保険者であった者が月の末日に退職した場合のみである。例えば、被保険者が4月29日に退職した場合、資格を喪失するのは4月30日であり、喪失月である4月分の保険料は負担しなくてもよいが、4月30日退職の場合は、資格を喪失するのは5月1日となって喪失月である5月分の保険料の負担義務はないが、その前月となる4月分の保険料は負担しなければならないからである。
■ 厚生労働大臣が保険料を徴収する場合において、適用事業所の事業主から保険料、厚生年金保険料及び子ども・子育て拠出金の一部の納付があったときは、当該事業主が納付すべき保険料、厚生年金保険料及び子ども・子育て拠出金の額を基準として按分した額に相当する保険料の額が納付されたものとする。(健保法159条の2)
■ 被保険者に関する毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。
■ 任意継続被保険者に関する保険料については、その月の10日(初めて納付すべき保険料については、保険者が指定する日)までに納付しなければならない。(健保法164条1項)
■ 保険料の納付方法は、保険者が被保険者に関する保険料について発行する「納付告知書」に基づき、これに保険料を添えて納付するという方法がとられる。ただし、任意継続被保険者の場合は、申告書に保険料を添えて「納付書」によって納付する申告納付の方法がとられている。
■ 保険者等(被保険者が協会が管掌する健康保険の任意継続被保険者である場合は協会、被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者である場合は当該健康保険組合、これら以外は厚生労働大臣)が、被保険者に関する保険料の納入の告知をした後になって、告知した保険料額が当該納付義務者の納付すべき保険料額を超過していることを知ったとき、又は納付した被保険者に関する保険料額が当該納付義務者の納付すべき保険料額を超過していることを知ったときは、その超過部分に関する納入の告知又は納付は、その告知又は納付の日の翌日から6月以内の期日において納付されるべき保険料について、納期を繰り上げてしたものとみなすことができる。(健保法164条2項・3項)
■ 保険料の前納は「4月から9月までもしくは10月から翌年3月までの6月間」又は「4月から翌年3月までの12月間」を単位として行う。ただし、当該6月間又は12月間の途中において任意継続被保険者の資格を取得した者又はその資格を喪失することが明らかである者については、当該6月間又は12月間のうち、その資格を取得した日の属する月の翌月以降の期間又は資格を喪失する日の属する月の前月までの期間の保険料について前納をすることができる。(健保令48条)
■ 保険料を前納しようとする任意継続被保険者は、前納しようとする額を当該前納に係る期間の初月の前月末日までに支払わなければならない。(健保則139条)
■ 前納すべき額は、前納に係る期間の各月の保険料の額から政令で定める額を控除した額とする。(健保法165条2項)
■ 前納に係る各月の保険料の合計額から、その期間の各月の保険料の額を年4分の利率による複利現価法によって前納に係る期間の最初の月から当該各月までのそれぞれの期間に応じて割り引いた額の合計額(この額に1円未満の端数がある場合において50銭未満は切り捨て、50銭以上1円未満は1円として計算する)である。
■ 特例退職被保険者についても、保険料を前納することができる。
■ 前納された保険料については、前納に係る期間の各月の初日が到来したときに、それぞれその月に保険料が納付されたものとみなす。(健保法165条3項)
■ 健保法165条1項の規定により保険料が前納された後、前納に係る期間の経過前において任意継続被保険者に係る保険料の額の引上げが行われることとなった場合においては、前納された保険料のうち当該保険料の額の引上げが行われることとなった後の期間に係るものは、当該期間の各月につき納付すべきこととなる保険料に、先に到来する月の分から順次充当するものとする。(健保令50条)
■ 健保令50条の規定により順次充当されてもなお保険料に不足が生じる場合、不足額が生じる月の10日までに納付すべきものとする。
■ 保険料は、次に掲げる場合においては、納期前であっても、すべて徴収することができる。(健保法172条)
・ 国税、地方税、その他の公課の滞納によって滞納処分を受けるとき
・ 強制執行を受けるとき
・ 破産手続の開始の決定を受けたとき
・ 企業担保権の実行手続きの開始があったとき
・ 競売の開始があったとき
・ 法人である納付義務者が、解散をした場合
・ 被保険者の使用される事業所が、廃止された場合
■ 健康保険組合は、健保法172条の規定により納期の至らない保険料を徴収しようとするときは、納付告知書にその旨を記載しなければならない。また、納入の告知をした後、健保法172条の規定により納期日前に徴収しようとするときは、健康保険組合は、納期日の変更を納付義務者に書面で告知しなければならない。(健保則137条)
■ 工場又は事業所の譲渡により事業主に変更があったときも事業の廃止に該当する。
■ 保険料その他健康保険法の規定による徴収金(健保法204条の2第1項(財務大臣に滞納処分等の権限を委任したもの)及び健保法204条の6第1項(保険料等の収納を機構に行わせたもの)を除き、保険料等という)を滞納する者(滞納者)があるときは、保険者等(被保険者が協会が管掌する健康保険の任意継続被保険者である場合又は協会が管掌する健康保険の被保険者若しくは日雇特例被保険者であって、健保法58条(不正利得の徴収金)、健保法74条3項(一部負担金の未払金)及び健保法109条2項(傷病手当金又は出産手当金の範囲で行う報酬の未払分の立替金)の規定による徴収金を納付しなければならない場合又は解散により消滅した健康保険組合の権利を健保法26条4項の規定により承継した場合であって当該健康保険組合の保険料等で未収のものに係るものがあるときは協会、被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者である場合は当該健康保険組合、これら以外のものは厚生労働大臣をいう)は、期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、健保法172条各号に該当し、保険料納付義務者が国税等の滞納処分や破産手続の開始の決定を受けたため、保険料の繰上徴収を行う場合は、督促をすることなく直ちに滞納処分を行うことができる。
■ 上記の規定によって督促をしようとするときは、保険者等は、納付義務者に対して、督促状を発する。
■ 上記の督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければならない。ただし、納期限の経過後に破産手続開始の決定を受けた場合等健保法172条各号の事由(保険料の納期前の徴収に該当する事由)が発生したときは、10日以内の日でもよい。(健保法180条1項から3項)
■ 事業主が保険料を滞納している場合であっても、当該滞納期間中、被保険者は保険給付を受給することができる。
■ 被保険者等が第三者に対して有する損害賠償請求権を保険者が代位取得した場合は、健康保険法180条に規定する保険料その他同法による徴収金に該当しない。
■ 保険料の督促をした場合においては、保険者等は、徴収金額に、納期限の翌日から徴収金完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じ、年14.6%(当該督促が保険料に係るものであるときは、当該納期限の翌日から3月を経過する日までの期間については、7.3%)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。ただし、次のいずれかに該当する場合又は滞納につきやむを得ない事情があると認められる場合は、延滞金は徴収されない。
・ 徴収金額が1000円未満であるとき
・ 納期を繰り上げて徴収するとき
・ 納付義務者の住所もしくは居所が国内にないため、又はその住所及び居所がいずれも明らかでないため、公示送達の方法によって督促をしたとき
■ 上記の倍において、徴収金額の一部について納付があったときは、その納付の日以後の期間に係る延滞金の計算の基礎となる徴収金は、その納付のあった徴収金額を控除した金額による。
■ 延滞金を計算するにあたり、徴収金額に1000円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。(健保法181条1項から3項)
■ 健保法181条1項に規定する延滞金の念14.6%の割合及び7.3%の割合は、当分の間、同項の規定にかかわらず、各年の延滞税特例基準割合(租税特別措置法94条1項に規定する延滞税特例基準割合)が7.3%の割合に満たない場合には、その年中においては、年14.6%の割合にあっては当該延滞税特例基準割合に念7.3%の割合を加算した割合とし、年7.3%の割合にあっては当該延滞税特例基準割合に年1%の割合を換算した場合(当該加算した割合が年7.3%の割合を超える場合には、年7.3%の割合とする)
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■ 各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合(令和4年1.4%)
■ 督促状に指定した期限までに徴収金を完納したとき、又は健康保険法181条1項から同条3項の規定によって計算した金額が100円未満であるときは、延滞金は、徴収しない。
■ 延滞金の金額に100円未満があるときは、その端数は、切り捨てる。(健保法181条4項・5項)
■ 協会は、その管掌する健康保険の事業の円滑な運営が図られるよう、当該事業の意義及び内容に関する広報を実施するとともに、保険料の納付の勧奨その他厚生労働大臣が行う保険料の徴収に係る業務に対する適切な協力を行うものとする。(健保法181条の2)
■ 厚生労働大臣は、協会と協議を行い、効果的な保険料の徴収を行うために必要があると認めるときは、協会に保険料の滞納者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該滞納者に係る保険料の徴収を行わせることができる。(健保法181条の3)
■ 保険者等は、納付義務者が次のいずれかに該当する場合においては、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、政令指定都市にあっては、区又は総合区とする)に対して、その処分を請求することができる。
・ 督促を受けたものがその指定の期限までに保険料等を納付しないとき
・ 破産手続開始の決定をうけた場合等納期を繰り上げて保険料納入の告知を受けたものがその指定の期限までに保険料を納付しないとき
■ 上記の規定により協会又は健康保険組合が国税滞納処分の例により処分を行う場合においては、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
■ 保険者が上記の規定により市町村に対し滞納処分を請求したときは、市町村は、市町村税の例によってこれを処分することができる。この場合においては、保険者は、徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。(健保法180条4項から6項)
■ 保険料等の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。(健保法182条)
■ 保険料等は、健康保険法に別段の規定があるものを除き、国税徴収の例により徴収する。(健保法183条)
■ 前月から引き続き被保険者(任意継続被保険者を除く)である者が、
・ 少年院その他これに準ずる施設に収容されたとき
・ 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたとき
のいずれかに該当した場合はその月以後、該当しなくなった月の前月までの期間、被保険者及び事業主の双方の負担分の保険料は徴収しない。(健保法158条)
■ 傷病手当金を受給中でも、保険料は免除されない
■ 育児休業等をしている被保険者(任意継続被保険者を除く。また、産前産後休業期間中の保険料の免除の適用を受けている被保険者を除く)が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、その育児休業等を開始した日の属する月から育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料を徴収しない。(健保法159条)
■ 被保険者が休業等終了予定日を変更したとき、又は休業等終了予定日の前日までに育児休業等を終了したときは、当該被保険者を使用する事業主は、速やかに、厚生労働大臣又は健康保険組合に届け出なければならない。(健保則135条)
■ 産前産後休業をしている被保険者(任意継続被保険者を除く)が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、その産前産後休業を開始した日の属する月からその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料を徴収しない。(健保法159条の3)
■ 被保険者である適用事業所の代表取締役は、産前産後休業期間中の保険料の免除は適用されるが、育児休業期間中の保険料の免除は適用されない。
■ 日雇特例被保険者に関する保険料額は、1日につき、次に掲げる額の合算額とする。(健保法168条1項)
・ その者の標準賃金日額の等級に応じ、次の1又は2の額の合計額を基準として政令で定めるところにより算定した額とする。
・ 標準賃金日額に平均保険料率(各都道府県単位保険料率に各支部被保険者の総報酬額の総額を乗じて得た額の総額を協会が管掌する健康保険の被保険者の総報酬額の総額で除して得た率)と介護保険料率とを合算した率(介護保険第2号被保険者である日雇特例被保険者以外の日雇特例被保険者については平均保険料率)を乗じて得た額
・ ①の額に100分の31を乗じて得た額
(日雇特例被保険者独自・日雇い労働者を雇用する場合、厚生年金保険の保険料負担がないことや一般に退職金の拠出をしなくて済むなど、労務費用の面で一般の雇用者より事業主負担が少ないことを考慮している)
・ 賞与額(その額に1000円未満の端数がある場合には、これを切り捨てるものとし、その額が40万円を超える場合には、40万円とする)に平均保険料率と介護保険料率とを合算した率(介護保険第2号被保険者である日雇特例被保険者以外の日雇特例被保険者については、平均保険料率)を乗じて得た額。
■ 事業主(日雇特例被保険者が1日において2以上の事業所に使用される場合においては、初めにその者を使用する事業主)は、日雇特例被保険者を使用する日ごとに、その者及び事故の負担すべきその日の標準賃金日額に係る保険料を納付する義務を負う。(健保法169条2項)
■ 事業主は日雇特例被保険者に係る保険料の納付を怠ったときは、厚生労働大臣は、その調査に基づき、その納付すべき保険料額を決定し、事業主に告知する。
■ 事業主が、正当な理由がないものと認められるにも関わらず、日雇とくれ被保険者に係る保険料の納付を怠ったときは、厚生労働大臣は、上記の規定により決定された保険料額の100分の25に相当する額の追徴金を徴収する。ただし、その決定された保険料額が1000円未満のときは、追徴金は徴収されない。
■ 追徴金を計算するにあたり、その決定された保険料額に1000円未満の端数があるときは、その端数を、切り捨てる。
■ 上記に規定する追徴金は、その決定された日から14日以内に、厚生労働大臣に納付しなければならない。(健保法170条)
■ 厚生労働大臣は、日雇とくれ被保険者に係る健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金の納付に要する費用を含む)に充てるため、保険料を徴収するほか、毎年度、日雇特例被保険者を使用する事業主の設立する健康保険組合(日雇関係組合)から拠出金を徴収する。
■ 日雇関係組合は、上記に規定する拠出金(日雇拠出金)を納付する義務を負う。(健保法173条)
■ 日雇拠出金の納期は、9月30日及び3月31日とする。
[健保法] 健保法・重要箇所・Chapter10
■ 被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
■ 審査請求をした日から2月以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。
■ 上記の審査請求又は再審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求とみなす。
■ 被保険者の資格又は標準報酬に関する処分が確定したときは、その処分についての不服を当該処分に基づく保険給付に関する処分についての不服の理由とすることができない。(健保法189条)
■ 被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分があったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときは審査請求をすることができない。被保険者の資格又は標準報酬に関する処分に対する審査請求は、原処分があった日の翌日から起算して2年を経過したときは、することができない。
■ 決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2月を経過したときは再審査請求をすることができない
■ 審査請求及び再審査請求は、文書又は口頭により、また、直接審査請求人が行うことができない場合には代理人によってすることができる。審査請求及び再審査請求の取下げは文書でしなければならず、口頭では行えない。
■ その処分に関する事務を処理した全国健康保険協会の事務所の所在地を管轄する地方厚生局に置かれた社会保険審査官に対して行う。
■ 保険料等の賦課若しくは徴収の処分又は滞納処分に不服がある者は、社会保険審査会に対し審査請求をすることができる。(健保法190条)
■ 健保法189条1項の処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する社会保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができない。(健保法192条)
■ 保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができるときから2年を経過したときは時効により消滅する。
■ 保険料等の納入の告知又は督促は、時効の更新の効力を有する。
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■ 事業主が保険者から保険料過納分の還付を受け、その一部を被保険者に返還する場合の被保険者の返還請求権の消滅時効は、民法166条の規定が適用され権利を行使することができることを知ったときから5年又は権利を行使することができるときから10年である。
■ 厚生労働大臣、保険者、保険医療機関等、指定訪問看護事業者その他の健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため保険者番号及び被保険者等記号・番号(被保険者等記号・番号等)を利用する者として厚生労働省令で定める者(厚生労働大臣等)は、当該事業又は事務の遂行のため必要がある場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を告知することを求めてはならない。(健保法194条の2)
■ 健康保険に関する書類には、印紙税を課さない。(健保法195条)
■ 非課税とならない書類
・ 療養費支給申請書に添付する証拠書類(領収証等)
・ 保険給付金を受領後、当該給付金をもって債務の弁済を訳した証拠書類
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■ 事業主は、健康保険に関する書類を、その完結の日より2年間、保存しなければならない。(健保則34条)
■ 事業主は、被保険者に係る短時間労働者であるかないかの区別の変更があったときは、当該事実があった日から5日以内に、所定の事項を記載した届書を厚生労働大臣又は健康保険組合に提出しなければならない。(健保則28条の3)
報酬月額算定基礎届、報酬月額変更届及び賞与支払届の提出は、特定法人の事業所の事業主にあっては、電子情報処理組織を使用して行うものとする。ただし、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合で、かつ、電子情報処理組織を使用しないで届出を行うことができると認められる場合は、この限りでない。(健保則25条2項・26条3項・27条3項)
■ 特定法人とは、次の法人をいう。
・ 資本金、出資金又は銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超える法人
・ 相互会社(保険業法)
・ 投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律)
・ 特定目的会社(資産の流動化に関する法律)
■ 被保険者資格喪失届のうち、機構に提出するものについては、所轄公共職業安定所長を経由して提出すrことができる。(健保則29条2項)
■ (表)被保険者届出義務
■ 40歳に達したことにより、介護保険第2号被保険者に該当し、65歳に達したことにより介護保険第2号被保険者に該当しなくなったときは、届出不要。
■ 介護保険第2号被保険者に該当しなくなった場合の届出について、事業主の命により被保険者が外国に勤務することなったため、いずれの市町村又は特別区の区域内にも住所を有しなくなったときにおいては、当該事業主は、被保険者に代わって介護保険第2号被保険者に該当しなくなった場合の届出に係る届書を厚生労働大臣又は健康保険組合に届け出ることができる。
■ 健康保険の被扶養者から外れる手続については、被保険者からの届出に基づいて行われているところであるが、配偶者である被保険者からの暴力を受けた被扶養者が被扶養者から外れるに当たっては、当該届出は期待できないため、当該被保険者からの届出がなされなくとも、被害者から、婦人相談所が発行する配偶者からの暴力の被害を受けているの証明書(証明書)を添付して被扶養者から外れる旨の申出がなされた場合には、被扶養者から外れることができる。
■ 厚生労働大臣は、被保険者の資格、標準報酬又は保険料に関し必要があると認めるときは、官公署に対し、法人の事業所の名称、所在地その他必要な資料の提供を求めることができる。
■ 厚生労働大臣は、健保法63条3項1号(保険医療機関又は保険薬局)又は88条1項(指定訪問看護事業者)の指定に関し必要があると認めるときは、当該指定に係る開設者もしくは管理者又は申請者の社会保険料の納付状況につき、当該社会保険料を徴収する者に対し、必要な書類の閲覧又は資料の提供を求めることができる。(健保法199条)
■ 厚生労働大臣は、保険給付を行うにつき必要があると認めるときは、医師、歯科医師、薬剤師もしくは手当を行った者又はこれらの者を使用する者に対し、その行った診療、薬剤の支給又は手当に関し、報告もしくは診療録、帳簿書類その他の物件の提示を命じ、又は職員に質問させることができる。(健保法60条1項・2項)
■ 健康保険法に規定する厚生労働大臣の権限(健保法204条の2第1項及び2項の規定による権限(財務大臣へ委任される権限等)を除く)は、厚生労働省令で定めるところいにより、地方厚生局長に委任することができる。
■ 上記の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。(健保法205条)
■ 厚生労働大臣のみが有する主な権限
・ 健康保険組合の設立の認可
・ 特定健康保険組合の認可
・ 健康保険組合の解散命令
■ 厚生労働大臣は、健保法204条3項の規定により滞納処分等及び同条1項16号に掲げる権限の全部又は一部を自らが行うこととした場合におけるこれらの権限並びに同号に規定する厚生労働省令で定める権限のうち厚生労働省令で定めるもの(滞納処分等その他の処分)に係る納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠蔽しているおそれがあることその他の政令で定める事情があるため保険料等の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、財務大臣に、当該納付義務者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該納付義務者に係る滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を委任することができる。(健保法204条の2第1項)
■ その他の政令で定める事情は、次のアからエのいずれにも該当するものであることとされている(健保令63条・健保則158条の9、158条の10)
・ 納付義務者が厚生労働省令で定める月数(24月)分以上の保険料を滞納していること
・ 納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠蔽している恐れがあること
・ 納付義務者が滞納している保険料等の額が厚生労働省令で定める金額(5千万円)以上であること
・ 滞納処分等その他の処分を受けたにもかかわらず、納付義務者が滞納している保険料等の納付について誠実な意思を有すると認められないこと。
■ 次に掲げる厚生労働大臣の権限に係る事務(健保法181条の3第1項の規定により協会が行うものとされたもの(協会による保険料の徴収に関する事務)、203条1項の規定により市町村長が行うこととされたもの(日雇特例被保険者の保険の保険者の事務のうち一定のもの)及び204条の7第1項に規定するもの(協会による一定の立入検査等に関する事務)を除く)は、日本年金機構(機構)に行われるものとする。ただし、18から20までに掲げる権限は、厚生労働大臣が自ら行うことを妨げない。(健保法204条1項)
・ 一般の被保険者の適用除外に係る承認(法3条1項8号)
・ 日雇特例被保険者の適用除外に係る承認(法3条2項但書)
・ 任意適用の認可(法31条1項)及び任意適用取消の認可(法33条1項)、適用事業所の一括の承認(法34条1項)、任意適用の認可の申請(法31条2項)及び任意適用取消の認可の申請の受理(法31条2項及び33条2項)(以上すべて健康保険組合に係るものを除く)
・ 協会健保被保険者の資格の得喪の確認(法39条1項)
・ 定時決定(法41条1項)、資格取得時決定(法42条1項)、随時改定(法43条1項)、育児休業等終了時改定(申出の受理も含む)(法43条の2第1項)、産前産後休業終了時改定(申出の受理を含む)、報酬月額算定の特例(保険者算定)(法44条1項)、標準報酬月額の決定又は改定
・ 標準賞与額の決定(法45条1項)
・ 被保険者の資格の得喪、報酬月額・賞与額に関する事業主からの届出受理(法48条)及び当該届出に係る事実がないと認められる場合の事業主への通知(法50条1項)
・ 任意適用取消の認可に係る通知、公告、被保険者資格喪失の通知ができない場合の届出の受理(健康保険組合に係るものを除く)(法49条1・3・4・5項)
・ 事業主への通知、公告(資格の得喪の確認、標準報酬の決定・改定)(法49条1・3・4・5項)
・ 資格の得喪の確認の請求の受理、請求の却下(法51条1・2項)
・ 日雇特例被保険者手帳の交付申請の受理、日雇特例被保険者手帳の交付、(返納時の)受領(法126条1から3項)
・ 育児休業期間中及び産前産後休業期間中の保険料免除の申出の受理(法159条)
・ 口座振替による保険料納付の申出の受理及び承認(法166条)
・ 印紙受払等の報告の受理(法171条1・3項)
・ 国税滞納処分の例による保険料滞納処分及び市町村に対する処分の請求(法180条4項)
・ 国税徴収の例によるものとされる保険料等の徴収に関する権限(納入の告知、納付義務者に属する権利の行使、納付の猶予その他の厚生労働省令で定める権限及び17に掲げる質問・検査・捜索を除く)(法183条)
・ 国税徴収法の規定による質問及び検査並びに捜索(法183条)
・ 事業主に対し法48王に規定する事項以外の事項の報告、文書の提出その他必要な事務を行わせること及び被保険者等に対し必要な申出、届出、文書の提出をさせること(法197条1項・2項)
・ 事業所への立入検査等(健康保険組合に係る場合を除く)(法198条1項)
・ 官公署への資料提供の求め(法199条1項)
・ 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める権限
■ 健保法198条1項の規定による厚生労働大臣の命令並びに質問及び検査の権限(健康保険組合に係る場合を除き、保険給付に関するものに限る)に係る事務は、協会に行わせるものとする。ただし、当該権限は、厚生労働大臣が自ら行うことを妨げない。
■ 上記に定めるもののほか、協会により同項に規定する権限に係る事務の実施に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。(健保法204条の7)
■ 保険者は、健保法76条5項に規定する事務など(いわゆる診療報酬の審査及び支払の事務)のほか、次に掲げる事務を基金又は国保連合会に委託することができる。
・ 保険給付及び日雇特例被保険者に係る保険給付のうち厚生労働省令で定めるものの支給に関する事務(同法76条5項に規定する事務などを除く)
・ 保険給付及び日雇特例被保険者に係る保険給付の支給、保健事業及び福祉事業の実施、保険料の徴収その他の厚生労働省令で定める事務に係る被保険者もしくは被保険者であった者又はこれらの被扶養者(被保険者等)に係る情報の収集又は整理に関する事務
・ 保険給付及び日雇特例被保険者に係る保険給付の支給、保健事業及び福祉事業の実施、保険料の徴収その他の厚生労働省令で定める事務に係る被保険者等に係る情報の利用又は提供に関する事務
■ 保険者は、上記の規定によりイ又はウで掲げる事務を委託する場合は、他の社会保険診療報酬支払基金法に規定する保険者と共同して委託するものとする。(健保法205条の4)
■ 保険給付のうち厚生労働省令で定めるものとは、保険給付のうち、療養費、出産育児一時金、家族出産育児一時金並びに高額療養費及び高額介護合算療養費の支給
■ 事業主が、正当な理由がなくて、次のアからオのいずれかに該当する場合においては、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(健保法208条)
・ 被保険者の資格の得喪並びに報酬月額及び賞与額に関する届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき
・ 任意適用事業所の取消の認可、資格の得喪の確認、標準報酬の決定、改定に関し被保険者に通知をしないとき
・ 督促状に指定する期限までに保険料を納付しないとき
・ 日雇特例被保険者に係る保険料を納付せず、又は健康保険印紙の受け払もしくは告知に関する帳簿を備え付けず、もしくは報告せず、もしくは虚偽の報告をしたとき
・ 文書その他の物件の提出もしくは提示をせず、又は当該職員(機構の職員及び協会の職員を含む)の質問に対して、答弁せず、もしくは虚偽の答弁をし、もしくは検査を拒み、妨げ、もしくは忌避したとき。
■ 事業主以外の者が、正当な理由がなくて健康保険法の規定に基づく当該職員の質問に対して答弁せず、もしくは虚偽の答弁をし、又は検査を拒み、妨げ、もしくは忌避したときは、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
■ 被保険者又は被保険者であった者が、厚生労働大臣から報告を命じられて、正当な理由がなくてこれに従わず、又は当該職員の質問に対して、正当な理由がなく答弁せず、もしくは虚偽の答弁をしたときは、30万円以下の罰金に処する。
■ 健康保険組合又は国民健康保険組合の役員、清算人又は職員が健康保険印紙受払等の報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、50万円以下の罰金に処する。(健保法209条・210条・213条)
■ 健康保険組合の設立を命ぜられた事業主が、正当な理由がなくて厚生労働大臣が指定する期日までに設立の認可を申請しなかったときは、その手続の遅延した期間、その負担すべき保険料額の2倍に相当する金額以下の過料に処する。
[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter1
労働施策総合推進法
■ 労働施策総合推進法は、国が、少子高齢化による人口構造の変化等の経済社会情勢の変化に対応して、労働に関し、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずることにより、労働市場の機能が適切に発揮され、労働者の多様な事情に応じた雇用の安定及び職業生活の充実並びに労働生産性の向上を促進して、労働者がその有する能力を有効に発揮することができ料にし、これを通じて、労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図るとともに、経済及び社会の発展並びに完全雇用の達成に資することを目的とする。(労働施策総合推進法1条)
■ 国は、労働施策総合推進法1条1項の目的を達成するため、前条に規定する基本的理念に従って、次に掲げる事項について、総合的に取り組まなければならない。(労働施策総合推進法4条1項)
・ 各人が生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就業することを促進するため、労働時間の短縮その他の労働条件の改善、多様な就業形態の普及及び雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保に関する施策を充実すること
・ 各人がその有する能力に適合する職業に就くことをあっせんするため、及び産業の必要とする労働力を充足するため、職業指導及び職業紹介に関する施策を充実すること、
・ 各人がその有する能力に適し、かつ、技術の進歩、産業構造の変動等に即応した技能及びこれに関する知識を習得し、これらにふさわしい評価を受けることを促進するため、職業訓練及び職業能力検定に関する施策を充実すること
・ 就職が困難な者の就職を容易にし、かつ、労働力の需給の不均衡を是正するため、労働者の職業の転換、地域間の移動、職場への適応当を援助するために必要な施策を充実すること。
・ 事業規模の縮小等(事業規模若しくは事業活動の縮小又は事業の転換若しくは廃止をいう)の際に、失業を予防するとともに、離職を余儀なくされる労働者の円滑な再就職を促進するために必要な施策を充実すること
・ 労働者の職業選択に資するよう、雇用管理若しくは採用の状況その他の職場に関する事項又は職業に関する事項の情報の提供のために必要な施策を充実すること
・ 女性の職業及び子の養育又は家族の介護を行う者の職業の安定を図るため、雇用の継続、円滑な再就職の促進、母子家庭の母及び父子家庭の父並びに寡婦の雇用の促進その他のこれらの者の就業を促進するために必要な施策を充実すること
・ 青少年の職業の探偵を図るため、職業についての青少年の関心と理解を深めるとともに、雇用管理の改善の促進、実践的な職業能力の開発及び向上の促進その他の青少年の雇用を促進するために必要な施策を充実すること。
・ 高年齢者の職業の安定を図るため、高年齢者雇用確保措置等の円滑は実子の促進、再就職の促進、多様な就業機会の確保その他の高年齢者がその年齢にかかわりなくその意欲及び能力に応じて就業できるようにするために必要な施策を充実すること。
・ 疾病、負傷その他の理由により治療を受ける者に職業の安定を図るため、雇用の継続、離職を余儀なくされる労働者の円滑な再就職の促進その他の治療の状況に応じた就業を促進するために必要な施策を充実すること。
・ 障害者の職業の安定を図るため、雇用の促進、職業リハビリテーションの推進その他の障害者がその職業生活において自立することを促進するために必要な施策を充実すること。
■ 事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要があるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない(労働施策総合推進法9条)
■ 労働施策総合推進法1条の3第1項を大まかにいうと、「例外的に年齢制限を行うことができる場合」とは、以下のケース
・ 定年年齢を上限として、当該上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
・ 労働基準法等法令の規定により、年齢制限が設けられている場合
・ 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合(ただし、①職業経験について不問とすること、②新規学卒者以外の者であっては、新規学卒者と同等の処遇であることという要件を満たす必要がある)
・ 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
・ 芸術・芸能お分野における表現の真実性等の要請がある場合
・ 60歳以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合
・ 令和5年3月31日までの間、就職氷河期世代(35歳以上55歳未満)の不安定就労者・無業者に限定して募集・採用する場合。
■ 事業主は、新たな外国人を雇い入れた場合又はその雇用する外国人が離職した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その者の氏名、在留資格、在留期間等について確認し、当該事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。(労働施策総合推進法28条1項)
■ 中小事業主については、令和4年3月31日までの間、労働施策総合推進法30条の2中の「講じなければ」とあるのは、「講じるように努めなければ」とする。
■ 中小事業主の範囲は、労働基準法において、月60時間を超える時間外労働に対する5割以上の割増率が2割5分以上でOKとされている中小事業主と同じ。
■ 派遣先事業主もまた、当該派遣労働者を雇用する事業主とみなして、労働施策総合推進法30条の2第1項及び30条の3第2項の規定を適用する。
労務管理
■ 労務管理の目的
・ 個々の労働者の能力や組織を開発すること
・ 労働者の勤労意欲を高めること
・ 経営内における組織の安定・維持を確保し、協力体制を形成すること
・ 労働力の有効活用を図ること
■ 上記により、最終的には、企業の労働生産性・業績向上に役立てるものである。
■ 雇用管理・教育訓練管理・賃金管理 → 募集・選考・採用・職務分析・職務評価・教育訓練・賃金など
■ 人間関係管理 → 人間関係論・行動科学など
■ 労使関係管理 → 労働組合・労使協議等
■ 日本的労務慣行(三種の神器)
・ 終身雇用制
・ 年功序列制
・ 企業内(別)組合
・ 同種産業に属する労働者で組織する産業別労働組合
・ 同一職種の技能労働者で組織する職種別労働組合
・ 同一地域にある各種の業種や職種の労働者がその地域で合同して労働組合を組織している地域別労働組合
・ 企業ごとに、その企業に属する労働者で組織する企業内労働組合
■ 職務分析とは、各職種の内容、特徴、資格要件を明らかにして、他の職務との質的違いを明らかにすること
■ 職務分析の用途
・ 採用に必要な最低基準や不適正基準の作成
・ 配置・異動・昇進のための職務基準
・ 定員算定のための定員の質を算定
・ 階層別・機能別の教育訓練基準の作成
・ 職務給制定のための職務評価要素の明細作成
・ 人事考課における実績評定の基準作成
・ 各職務別の安全基準の策定
・ 職務権限の明確化その他組織の合理化のための職務内容や職務間の諸関係の明確化
■ 職務分析の方法
・ 観察法
・ 実際に従業員が行っている仕事を職務分析員が観察して確かめる方法
・ 職務活動の真実をとらえることができる
・ 知的・精神的な労働を主としている職務には適さない
・ 時間がかかる
・ 質問紙(表)法
・ 職務情報として必要な項目をあらかじめ質問表として作成し、これに記入させる方法
・ 短時間で収集可能
・ 多くの従業員を対象にできる。
・ 職務担当者の主観が入りやすい
・ 体験法
・ 従業員が実際に行っている業務を職務分析員が自ら直接体感して情報を得る方法
・ 職務分析員が自ら体感して分析できる。
・ 心理状況までは到達できない
・ 分析員の習熟段階により変容する
・ 時間かかかる
・ 面接法・臨床法など
■ 職務記述書→ 各職務について職務分析を行った結果を職務ごとに記述したもの
■ 職務明細書→ 職務記述書の内容を採用や配置・昇進等に当たっての人物選考資料の特定の用途に結び付けて、必要事項を細述したもの
■ 職務評価の意義
・ 企業における各職務について、困難度や責任の度合いに応じて、その相対的な評価を決定することをいう。
■ 職務評価の用途
・ 構成で適切な賃金管理のための体系の作成
・ 公平な人事考課の基礎としての利用
・ 合理的な職務分類に基づく昇進経路、配置基準の明確化
■ 職務評価の方法
・ 非量的方法
・ 序列法
職務を相互に比較して、複雑度・困難度・責任度に応じて価値序列を決める職務評価の方法
・ 分類法
あらかじめ職務の等級基準の作成し、職務を該当する等級基準に比較して格付けする方法→採用企業が多い
・ 量的方法
・ 点数法
職務を構成する共通した要素を重要度による加重をつけて、一つの職務の評価結果は要素ごとの加重を総合し、職務の等級格付けを行う方法。→客観性・妥当性を得やすい
・ 要素比較法
基準職務に含まれる賃率の定められた評価要素を基にして、非基準職務に含まれる各評価要素の賃率を合計することによって、非基準職務の賃率を決定する方法。→あまり採用されない。
■ 人事考課の目的
・ 従業員の業績、能力、会社に対する貢献度を正当かつ公平に評価し、賃金に反映させていくことになる
・ 従業員の適正、能力、特技等を正しく評定したうえで異動が行われる
・ 各個人の能力レベルに応じた教育訓練を実施することが可能となる。
■ 人事考課制度を合理的に設定運営するためには、以下の点に配慮すべきである
・ 人事考課の対象・目的に応じた考課要素を選定すること
・ 評定方法が客観的かつ比較可能であること
・ 相対評価
・ 序列法
・ 人物比較(評定)法
・ 絶対評価
・ 図式(評定)尺度法
・ プロブスト法(人物明細書法)
・ 評定者が適正であること
・ 評定に当たって生じやすい心理的変更をできるだけ是正すること
・ 評定誤差
・ 寛大化傾向
・ ハロー効果
・ 対比誤差
・ 中心化傾向(平均化傾向・中央化傾向)
・ 論理誤差
■ 自己申告制度
人事考課のための情報収集の一つの方法として、従業員各人の能力開発、人事異動などに関する希望を会社に申告させる制度
・ 職務に対する満足度
・ 職務に関する希望
・ 自己能力の活用度合い
・ 仕事の成果についての自己評価等について申告
■ 雇用管理が対象とする範囲は、募集、採用、配置、異動、昇進、昇格、休職、退職、解雇など、従業員が入社してから退社するまでの一連を管理することである。
■ 採用管理とは、企業にとって必要な仕事が要請する資格要件を基準として、求職者の中からそれにより多く適合するか、あるいは少なくとも最小限の基準には合致している人を、要員計画に従って一定人員を雇い入れる組織的措置。
・ 企業が必要とする人員を定めること
・ 採用基準を合理的に設定すること
・ 採用基準に照らして適正のあるものを合理的に見出すこと
■ 配置管理
企業活動に必要な個々の職務に、それを担当すべき人を割り当てることをいう。
■ 人事異動・昇進管理
現在担当している職務から、よりレベルの高い職務に配置換えすることを「昇進」といい、同じレベルの他の職務に配置換えすることを「異動」という。
■ 資格制度
・ 「昇進」とは、現在担当している職務より上位の職務に進むことを意味する。一般的に、役職の上昇を「昇進」、資格の上昇を「昇格」という。
・ 資格制度は従業員の社内序列を示すもので、「身分的資格制度」と「職能資格制度」に大別される。
■ 職能資格制度
職能資格制度とは職務遂行能力、知識、技能、経験などのレベルにより資格を決定し、昇進、昇格、賃金決定など労務管理を行っていく上での基準とする制度。
■ 専門職制度
部長、課長、係長といったライン組織の職位とは別に、専門的な知識や技術の持ち主に対して、例えば、専門部長、専門課長といった名称を設け、昇進、給与などについてライン役職位と同等の処遇を与えようとする制度。
■ 役職定年制度(管理職定年制)
一般に定年制延長に伴って旧定年年齢あるいはある一定年齢で管理職ポストを離脱し、その専門的能力をもって専門職などに異動する制度
■ 役職任期制度(管理職任期制)
組織の活性化、人材の育成、従業員の意識改革を狙いとする制度。
■ CDP(Career Development Program)
経歴開発プログラム、キャリアプランと呼ばれることもある。従業員の配置を適正に行うことと能力開発を計画的に行うという見地から、従業員の昇進、昇格、配置転換の経路を長期的かつ組織的に設定しようとするもの
■ 複数型雇用管理制度(コース別人事管理制度)
複数の職掌(総合職、一般職、事務職など)を設定し、賃金や昇進などの処遇を分けて雇用管理する制度
■ 雇用調整
日本では、欧米のように業績悪化時にレイオフ(一時解雇)という方法はとらず、次に示すように、軽度のものから重度の者への雇用を調整している。
・ 残業規制、労働時間の短縮
・ 臨時雇い契約の解除
・ 新規・中途採用、再雇用の中止
・ 配置転換、出向
・ 一時帰休
・ 希望退職者募集、退職勧奨
・ 指名解雇
■ 定年制
定年制とは、従業員が一定の年齢に達したとき、雇用関係が終了する制度
■ 継続雇用制度
60歳台前半の雇用機会の確保が緊急の課題となっているが、60歳台前半層の雇用を確保する方法としては、定年年齢そのものを引き上げる「定年延長」や、定年年齢に達した後一定期間雇用を継続する「勤務延長」、定年年齢に達したものを再び雇用する「再雇用」などがあり、これらを総称して「継続雇用制度」という。
■ 職務再設計
各従業員が能力を最大限に発揮でき、働きがいをもって積極的に仕事に従事できるように職務を設計すること。
■ 早期退職優遇制度
高齢化対策の一環として行われるもので、定年年齢を迎える前に、第2の人生に踏み出す人に対して、退職金の算定についての優遇措置を講ずる制度
■ キャリア・パス
昇進を含めた配置異動のルートと異動の際の基準・条件のことをいい、キャリア・パターンともいう。
実質賃金
労働者がその労働の対価として受け取る報酬である賃金をその時点での物価水準で除した実際の購買力を示す賃金
■ 名目賃金
貨幣価値、すなわち市中に流通している通貨の単位で表した賃金のこと
■ ヒューマン・アセスメント
職制上の上司ではない複数のアセッサーが心理学を応用した一定の演習課題を通じて参加者の隠れた能力を観察評定すること
■ ワーキングホリデー
国際的な視野をもった青少年育成のために長期にわたる休暇を目的とした入国を認め、その間の旅行式の補うため付随的に就労することを認める制度
■ ワーク・シェアリング
労働者の仕事を短縮することあるいは分け合うことによって、雇用を拡大し、失業者を救済しようとする考え方
■ ジョブ・シェアリング
フルタイム労働者が通常一人で行う仕事を、特定の二人(又は複数人)で分担する方法
■ アウトプレースメント
最近は「肩たたき」の新語として使われているが、もともとは、「再就職援助業」
■ コンピテンシー
高業績者の成果達成の行動特性。
■ イン・バスケット・トレーニング
問題解決に適した技法。与えられたシチュエーションで、疑似的にある役職者の立場に立ち、未決箱にある決裁事項を何を優先した決断処理するか、という意思決定のシミュレーションを研修の中に取り入れた方式
■ カフェテリアプラン
福利厚生メニューを自由に選択できるというもの
■ PST(Problem Solving Training)
工場事業場等における職長等の監督者を対象とした「問題の解決の仕方」についての訓練手法
■ PDI(Program Development Institute)
工場事業場等において訓練計画を立て、その実施統制に当たる者にたいして行う「訓練計画の進め方」についての訓練手法
■ ワーカーズコレクティブ
労働者精算協同組合の一形態で、組合員が資本と経営権を所有し、労働に従事して報酬を得る経営事業体。
■ 教育とは、職務に必要な業務や技術についての知識を与えること。
■ 訓練とは、これらの知識や技能を身につけて使いこなせるようにすること
■ 能力開発とは、企業環境が刻々と変化する現代にあって、その変化を予想して、企業戦略や意思決定を行ったり、技術や管理の変化をいち早くキャッチし、それに適応できる態勢を整えられる能力を身につけること。
■ 教育訓練・能力開発管理とは、新入り従業員から一般従業員、さらには管理者、経営者自身までが、何らかの知識や技能などを学び、身につけて使いこなすことができるようにするため、計画を立て、適切な担当者、手順を決め、また、その結果を測定して、より効果の高いものにするための一連の管理。
■ 教育訓練・能力開発管理の内容
・ OJT
職場内訓練ともいわれ、上司が部下に対し、仕事を通じて計画的に、必要な知識・技能・問題解決能力及び態度について実施する教育訓練
・ OFF-JT
職場外訓練ともいわれ、OJTに対して集合教育、通信教育、講習会など、業務遂行の過程外で行われる教育
・ 自己啓発
自己の潜在能力を自らの意思と努力によって開発しようとする活動
■ 訓練技法
・ ケーズ・メソッド
ケース・スタディともいう。事例研究
・ ブレーン・ストーミング
・ 他人のアイデアを絶対に批判しない
・ アイデアは自由奔放なものほどよい
・ アイデアは質より量
・ 他人のアイデアに便乗歓迎
・ センシティビティ・トレーニング
感受性訓練と訳され、態度変容を目的とした体験学習技法のひとつ
・ ロール・プレイング
人間関係の基本は、互いに相手の役割や立場を理解した上で、自分の役割を十分に果たすことであるが、これを実際に演じてみる訓練技法
・ ビジネス・キャリア制度(職業能力習得制度)
経済のソフト化、サービス化に伴いホワイトカラーが増大する中で、厚生労働省が支援するために始めた教育訓練制度
・ マネジリアル・グリッド
管理者のスタイルを評価することを目的とした手法
賃金管理とは、企業で支払うべき賃金の額と制度について労務管理の目的に沿って計画し、組織し、実施の結果を監査し、改善していく一連の管理のこと
賃金額の管理は、総額賃金管理と個別賃金管理に分けられる。
■ 総額賃金管理は、企業として、適正人件費を算出してその一定率内に収めることを目指して行われる。
■ 企業にとって、人件費は費用の一つの主要な要素である。そのため、適正な人件費を算定しその一定率内に賃金総額を収めることが必要とされる。
・ ラッカープラン
賃金総額=付加価値×労働分配率
日本では、賞与総額の決定方式として採用され、賞与支給額=付加価値額×標準労働分配率-毎月支払った賃金総額
・ スキャンロンプラン
賃金総額=生産(売上)総額×労働費率
日本では、賞与の決定方式として利用され、賞与支給額=売上高×標準人材費率-毎月支払った賃金総額
■ 労働分配率とは、企業の生み出した付加価値は、原則として、労働と資本に分配されるが、労働の方に分配される割合を労働分配率という。労働分配率は、不況時には高くなり、好況時には低くなる傾向にある
労働分配率=人件費/付加価値×100
■ この2つの方式のいずれも、企業業績が直接賃金に反映される方式であるため、業績が順調に伸びている時期は賃金総額が増え刺激(インセンティブ)が強くなるが、逆に業績が悪化すると総額賃金が低く抑えられるため、従業員の勤労意欲(モラール)を低下させることになる。
■ 個別賃金額の管理は、従業員中の学歴別、年齢別、男女別の基準的な賃金額(モデル賃金)を摘出し、これらを各規準年齢階層別従業員数で加重して総額を出し、財務の立場から算定した適正賃金総額と比較して調整を行う方法である。
■ モデル賃金とは、学歴別初任給を出発点とした、5年刻みの勤続年数別、職員・作業員別、男女別平均額のこと。中央労働委員会作成のものが有名
賃金は、生活水準の変化、物価の上昇、生産性の向上により改定されていくのが実情であり、具体的には「賃金表」を改定することによって行われる。この「賃金表」を書き換えて、賃金曲線(賃金カーブ)そのものを上昇させることを「ベースアップ」という。一方、賃金表の中で個々人がその仕事や能力や年齢の工場により制度的に段階、クラスの区間が上がるのが「昇給」であり、1年に1回定期的に行われるものを「定期昇給」という。
■ 学卒の新規採用労働者が定年まで勤務したと仮定した、いわゆる標準者の基本給を、毎年の定期昇給によってどのように上昇させていくかという、あるべき姿としての昇給曲線のことを、昇給基準線という。一般的には、放物線型とS字型が多くみられるようになっている。
■ S字型昇給カーブ
S字型をした年功賃金カーブで、現実の生活費の動きに則しているので、生活費重視の賃金カーブとして用いられる。
賃金形態
・ 定額制
定額制は、賃金計算の基礎となる期間の長さにより、時間給・日給・週給・月給・年俸等に区分される。月給は、日給月給制と完全月給制に分けられる。
・ 出来高制
出来高制は、出来高の基準を生産に置くか、又は、生産に要する時間に置くかによって、単価請負制と時間請負制に分かれる
・ 年俸制
賃金1年を単位として決める方式。
賃金体系は、基本給と仕事に関連した手当(勤務手当)から構成され、他に仕事と関係のない生活補助的な「生活手当」が支給される。
■ 日本では、基本給の額を上げずに、仕事と関係のない生活補助的な手当を支給することにより賃金水準を維持することが一般的である。
■ 基本給体系
・ 単一型体系
基本給の項目が1つのもの、又は基本給の項目が2つ以上あるもののうち、それぞれの項目が同種の方で構成されるもの
・ 属人給
基本給部分が、年齢、勤続、学歴といった属人的要素を基準として定められているもの。本人給
・ 仕事給
基本給部分が、その労働者の従事する仕事の種類、内容によって主として決められる場合をいう。(職能給、職務給)
・ 職務給
職務分析により職務の内容を明らかにした後、職務評価によって職務の相対的価値(職務の困難性、重要度、熟練度、作業条件)を定め、職務の等級付けを行い、その等級を基礎として決定する賃金
・ 単一職務給(シングル・レート)
1つの職務に対し、1つの賃金
・ 範囲職務給(レンジ・レート)
1つの職務に対して一定の幅(レンジ)のある職務給を設定する
・ 職能給
職務遂行能力の大きさに対して支払われる賃金。日本特有の賃金類型
・ 職種給
職種に対して決定される賃金。企業外の職種別賃金相場によって決定
・ 総合決定給
基本給部分が、仕事的要素及び属人的要素を総合勘案して定められているもの
・ 依存型体系
基本給の項目が2つ以上あるもののうち、それぞれの項目が異なった型で構成されるものをいう。
■ 退職金とは、企業に一定期間勤務した従業員が退職したときに支払われる給付を総称したもの。
■ 退職金の性質としては、功労報償とするものや賃金後払的な性質とするもののほか、老後の生活保障という考え方もある。
■ 企業年金には3種類ある。
・ 適格年金(税制適格退職年金)
積立金を社外の信託銀行、生命保険会社にその運用を委託する制度(平成24年3月末廃止)
・ 調整年金(厚生年金基金)
厚生年金基金を外部に設立し、積立金の運用を行うもの。積立金を損金扱いできる。
・ 自社年金
年金積立金をすべて自社により自由に運用できる年金。損金扱いにならない
■ 退職時の賃金を基礎とする場合には、
・ 算定基礎額の増加を調整する
・ 支給率の勤務年数による累進的増加割合を調整する
・ 定年延長による通算期間を調整する
■ 19世紀末、アメリカのF.W.テーラーによって提唱された科学的管理法のことを、テーラーシステムと呼ぶ。
■ テーラーは、労働者の最高能率を引き出し生産性を向上させるために時間研究、動作研究によって標準作業量、標準時間を定めてこれを基準として管理する方法を唱えた。これは、能率向上を賃金によって刺激すると同時に能率の低下には懲罰的な低賃率を適用するものであった。従来の単純出来高払制度に比べ、標準量を科学的に設定した点においては、進歩しているが、労働者を賃金によってのみ動機付けられる経済人としかとらえていなかった。
1924年から1932年にかけて、ハーバード大学の社会心理学教授のエルトン・メイヨーやF.J.レスリスバーガーなどが、シカゴ郊外にあるウェスタン・エレクトリック会社のホーソン工場において、4回にわたる一連の実験を行った。「ホーソン実験」という。
■ 4回の実験を通して、メイヨーらが提唱した「人間関係論」の考え方は、「インフォーマル組織」を重視した感情に動機づけを求めた者である。
■ 労働者の集団には、会社が作ったフォーマル(公式)な組織と自然発生的にできたインフォーマル(非公式)な組織が重なって存在しており、労働者の行動は、フォーマル(公式)な組織に従うのではなく、むしろ感情的な「インフォーマル組織」に動機づけられる傾向にある。
■ インフォーマル組織
職場内で、個人的な接触や相互作用によって自然発生的にできる小集団。
■ 集団の協力関係形成の方策としては以下の2つの施策が必要と提言している。
・ 労使及び従業員間の十分な意思疎通(コミュニケーション)を図ること
・ 集団の構成員に関係のある意思決定については一般構成員も何らかのかたちで意思決定に参加させることが必要である。
■ 人間関係研究に基づく諸制度
・ 労使協議制
経営者と従業員代表が、企業や職場における生産、経営などに関する諸問題について、従業員の意思を反映させるために協議を行う制度
・ 社内報
企業が、従業員やその家族を対象に発行する雑誌や新聞のこと
・ 職場懇談会
職場において、管理者と従業員が、日常の業務運営、人間関係、安全衛生などについて話し合う機会を設ける制度
・ カウンセリング
従業員の仕事上の不平不満、職場内の人間関係、生活における個人的な悩みについて、相談に応じ、解決への助力を行う制度
・ 苦情処理
使用者と労働組合との間において、労働協約や就業規則の解釈・適用に関する紛争や、その他の労働条件に関する労働者の不平・不満について、団体交渉や経営協議会によることなく、日常的に解決を図ることを目的とした制度
・ 提案制度
企業が従業員に対し、経営や職場の業務に関して着想、改善案、意見等を提案する正式な途を与え、実施可能な者は採用し、採用提案については表彰をすることによって、経営の能率的、経済的運営を図り、また従業員の経営参加意義を促進し、モラールの向上を図ることをねらいとする制度
・ 従業員意識調査(モラールサーベイ)
企業に対して、従業員の意識や態度を調査することをいう。
■ モラールとは、集団ヘの帰属意識を意味し、高い労働生産性を実現するためには、労働意欲が高くなければならない。その基礎的な要因としてはモラールの高さがあるが、直接に労働生産性の高い労働力として引き出すのは勤労意欲(やる気)であり、この勤労意欲(やる気)を引き出すことがモチベーション(動機づけ)である。
■ マズローの欲求5段階説
・ 生理的欲求(衣食住の欲求)
・ 安全の欲求(身体、生活の安全の欲求)
・ 社会的欲求(所属と愛の欲求)
・ 自我の欲求(他人に認められ、尊敬されたいという欲求)
・ 自己実現の欲求(自己の潜在能力を発揮したいという欲求)
■ マグレガーのX理論、Y理論
・ X理論
人間は一般に怠け者であり、できれば労働を避けようとすることから、企業側が組織的に目標を達成しようとするためには、強制、管理、指導、処罰などの方法が必要であるという考え方(伝統的な経営管理)
・ Y理論
人間は本来仕事が嫌いではなく、自分が自ら進んで立てた目標に向かって積極的に働くものである(行動科学の考え方)
■ ハーズバーグの動機づけ・衛生理論
・ 衛生要因
その欲求が満たされなければ、不安が生じるものの、それが特に「やる気」に影響するものではない。
・ 動機づけ要因
その目標を達成しようとして積極的に「やる気」を引き起こすもの。
■ 職務拡大とは、職務の水平的拡大を意味する。複数の職務を担当させることにより、仕事の量と幅を広げることにより単調感を和らげ、勤労意欲の向上や仕事への満足を高めようとするもの→ハーズバーグの衛生要因に関連する
■ 職務充実とは、職務の垂直的拡大を意味する。具体的には、作業者本人が仕事の計画を立て自分でその組織を決め、仕事の進行状態や出来具合を自分で統制し、その結果については自分の責任や評価になるという職務内容にするものである。→ハーズバーグの動機づけ理論に基づく
■ 人間は発展する有機体であり、そもそも人間は未成熟から成熟に向かって発展する。すなわち、健全なパーソナリティには「受動的から能動的」、「他人依存から自己依存」「単純な行動から多様な行動」「浅い興味から深い興味」「短期展望から長期展望」「従属的位置から同等、上位の位置」、そして、「自己の意識の欠如から自己意識自己統制」という成長の傾向がみられる。
■ しかし、公式組織(フォーマル・オーガナイゼーション)は役割分担が明確化されており、公式組織のルールが、個人の成長を押さえつけてしまう。
■ アージリスは、公式組織は人間の発展を妨げないために、脱官僚化、職務拡大、職務充実、民主的リーダーシップ、更に参加のマネージメントをとることを説いた。
■ X理論・Y理論によるリーダーシップ
マグレガーは、Y理論をもったリーダーであれば、一定の誘因(昇進、昇格、成果配分、部下の承認など)によって有効なリーダーシップを発揮することができると考えた。
■ マネジリアル・グリッド理論
アメリカのR.ブレーク、J.S.ムートンによって開発されたもので、管理者のスタイルを評価することを目的とした手法。
■ 目標管理とは、従業員が、仕事の達成目標を設定し、その達成のための実施計画や役割分担、進行状況の統制、成果の評価などの管理プロセスを自主的に行うことにより、参加意識、意欲の向上が生まれ、従業員の積極化、組織を活性化させようとするものである。ドラッカーの「現代の経営」の中で提唱した「Management of objection through selfcontrol」(MBO)あるいは「目標による管理」と呼ばれることもある。
■ 組織開発(organization development)(OD)は、一定の組織改善の目標を組織の全構成員で自主的に設定し、改善計画を協議し役割を割当て、その実行過程を構成員全員で自己統制し、その結果について自己評定を行い、それらを通して組織全体の能力を主体化し協働力を強化するという集団的実地教育活動。
■ QC活動
製品の品質の維持や不良品の発生防止など、各種の検査やテストによって、不良品発生の原因を統計的に分析し科学的に生産管理を行おうとする一連の手法体系。
■ ZD運動
日本語では無欠点運動。諸書類の作成や納期など多くの作業に適用されている。この運動によって全社的にミスが少なくなるとともに、労働に対する従業員のモラールが高まるとも言われている。
■ 急速な技術革新によりOA化が進展する一方で、労働は単純化・規格化され「労働の自主性」を失う結果となった。このことは、労働者の勤労意欲を喪失させ、生産性を低下させる原因となった。「労働の人間化(Quality of Working Life)」とは、人間的疎外を緩和・解消して、人間性の回復を図ろうとするものである。
■ QWL(労働の人間化)の管理技法として、「職務拡大」「職務充実」「自律的作業集団」を取り入れた
■ 自律的作業集団
従来のベルトコンベア方式による「人間性喪失」の作業組織を解消するために考え出されたものである。
・ 作業単位を複合化することにより単純作業をなくす
・ 作業方法も各労働者の事由に任せる
・ 小集団作業組織にすることにより、各作業員の孤独感を解消する
・ 企業は、生産総量を決めるだけで、実際の作業は労働者側に任せる
[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter2
職業安定法
■ 職業安定法は、労働施策総合推進法と相まって、公共に奉仕する公共職業安定所その他の職業安定機関が関係行政庁又は関係団体の協力を得て職業紹介事業等を行うこと、職業安定機関以外の者の行う職業紹介事業等が労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整に果たすべき役割に鑑みその適正な運営を確保すること等により、各人にその有する能力に適合する職業に就く機会を与え、及び産業に必要な労働力を充足し、もって職業の安定を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。(職業安定法1条)
■ 何人も、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の組合員であること等を理由として、職業紹介、職業指導等について、差別的取扱をうけることがない。ただし、労働組合法の規定によって、雇用主と労働組合の間に締結された労働協約に別段の定め(ショップ協定)のある場合は、この限りでない。(職業安定法3条)
■ 職業安定法にいう職業紹介におけるあっせんには、求人者と求職者との間に雇用関係を成立させるために両者を引き合わせる行為のみならず、求人者に紹介するために求職者を探索し、求人者に就職するよう求職者に勧奨するいわゆるスカウト行為(スカウト行為)も含まれるものと解するのが相当である。(東京エグゼクティブ・サーチ事件、最判平60422)
■ 職業紹介事業者等は、その業務の目的の範囲内で求職者等の個人情報(個人情報)を収集することとし、アからウに掲げる個人情報を収集してはならないこと。ただし、特別な職業上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合はこの限りでないこと。
・ 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となる恐れのある事項
・ 思想及び信条
・ 労働組合への加入状況
■ 公共職業安定所は、無料で職業紹介を行う。
■ 公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者は、求人の申込みのすべて受理しなければならない。(職業安定法5条の5)
■ ただし、次の場合には求人の申込みを受理しないことができる。
・ その内容が法令に違反する求人の申込み
・ その内容である賃金、労働時間その他の労働条件が通常の労働条件と比べ著しく不適当であると認められる求人の申込み
・ 労働に関する法律の規定であって政令で定めるものの違反に関し、法律に基づく処分、公表その他の措置が講じられた者(厚生労働省令で定める場合に限る)からの求人の申込み
・ 職業安定法5条の3第2項の規定による労働条件等の明示が行われない求人の申込み
・ 次に掲げるいずれかの者からの求人の申込み
・ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員
・ 法人であって、その役員のうちに暴力団員があるもの
・ 暴力団員がその事業活動を支配する者
・ 正当な理由なく次項の規定による求めに応じない者からの求人の申込み
■ 公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者は、求職の申込はすべて受理しなければならない。(職業安定所5条の6)
■ 公共職業安定所は学校教育法1条に規定する学校(学校)の学生若しくは生徒又は学校を卒業した者(小学校のみを卒業したものを除く(学生生徒等))の職業紹介については、学校と協力して、学生生徒等に対し、雇用情報、職業に関する調査研究の成果等を提供し、職業指導を行い、及び公共職業安定所間の連絡により、学生生徒等に対して紹介することが適当と認められるできる限り多くの求人を開拓し、各学生生徒等の能力に適合した職業にあっせんするよう努めなければならない。(職業安定法26条1項)
■ 公共職業安定所又は職業紹介事業者は、労働争議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業又は作業所閉鎖の行われている事業所に、求職者を紹介してはならない。(職業安定法20条)
■ 地方公共団体は、届け出る必要もなく、無料の職業紹介事業を行うことができます。これを特定地方公共団体という。しかし、無料の職業紹介事業を行う旨を、厚生労働大臣に通知する必要はあります。(職業安定法29条)
■ 有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。(職業安定法30条)
■ 有料職業紹介事業者は、港湾運送業務に就く職業、建設業務に就く職業その他厚生労働省令で定める職業(現在、定められていない)を求職者に紹介してはならない。(職業安定法32条の11)
■ 有料職業紹介事業を行う者に「職業紹介責任者」を選任するよう義務づけている。選任人数は、当該事業所において職業紹介に係る業務に従事する者の数50人ごとに1人以上とされている。(職業安定法32条の14)
■ 無料の職業紹介事業(職業安定機関及び特定地方公共団体の行うものを除く)を行おうとする者は、学校等・特別の法人等が無料で職業紹介事業を行う場合を除き、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。厚生労働大臣は、この許可をしようとするときは、あらかじめ労働政策審議会の意見を聴かなければならない。(ただし、労働組合等に対し許可をしようとするときは、この限りでない)(職業安定法33条)
■ 下記図に掲げる施設の長は、厚生労働大臣に届け出て、アからエに定める者について、無料の職業紹介事業を行うことができる。(職業安定法33条の2)
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■ 「特別の法人等の行う無料職業紹介事業」については、「学校等」と同様に、厚生労働大臣へ届け出ることとされている。ただし、労働組合についてはこの「特別の法人等」には含まれず、無料の職業紹介事業を行うためには厚生労働大臣の許可を受けなければならない。(職業安定法33条の3)
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■ 有料職業紹介事業、無料職業紹介事業の許可については、事業所単位(支店単位)ではなく事業主単位(会社単位)である。
■ 学校等・特別な法律により設立された法人は、厚生労働大臣に届け出て、無料の職業紹介事業を行うことができる。
■ 地方公共団体は、無料の職業紹介事業を行うことができる(その旨を、厚生労働大臣に通知すればよい)
■ 委託募集(自らが雇用する労働者以外の者に労働者の募集にあたらせること)であっても、報酬を与えない場合には、厚生労働大臣への届出で行うことができる。
■ 許可→法律により一般的に禁止されている行為を、特定の場合にその禁止を解除し、適法にその行為をすることができるようにすること
■ 認可→公の期間の同意によって法律上の行為の効力が完成する場合の同意のこと
■ 承認→他人の行為に対し、肯定的意思表示をすること
■ 認定→公の権威をもってある事実又は法律関係の存否を確認すること
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■ 労働者の募集を行う者又は被用者以外の者で労働者の募集に従事する者(募集受託者)は、募集に応じた労働者から、その募集に関し、いかなる名義でも、報酬を受けてはならない(職業安定法39条)
■ 労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事する者又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は法36条2項による厚生労働大臣の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない(職業安定法40条)
■ 何人も、下記に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。
■ 労働組合等が、厚生労働大臣の許可(許可の有効期限は3年(更新後は5年))を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。(職業安定法44条・45条・職業安定則32条3項)
■ 労働者供給事業は、労働組合等が厚生労働大臣の許可を受けて無料で行う場合以外は禁止されている。
■ 労働者供給事業を行った者も「その労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させたもの」も両方とも処罰の対象となる。(1年以上の懲役または100万円以下の罰金)
労務管理・労働経済
■ 雇用関係
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・ 完全失業率は、平均で約3%。
・ 有効求人倍率は、平均1.3倍
・ 雇用者比率は、平均88.92%
■ 労働組合・障害者雇用関係
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・ 労働組合組織率は、平均で17%
・ 障害者の実雇用率は、平均で2%
賃金
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・ 現金給与総額は、平均で、約31万円
・ 春季賃上げ額は、平均で、約6500円
・ 春季賃上げ率は、平均で、約2%
■ 労働時間関係(規模5人以上)
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・ 年間総実労働時間は、平均、約1,700時間
・ 年間総実労働時間の所定内は、平均で、約1550時間
・ 年間総実労働時間の所定外は、平均で、約120時間
・ 月間総実労働時間は、平均で、約135時間
・ 月間総実労働時間の所定内は、平均で、約127時間
・ 月間総実労働時間の所定外は、平均で、約10時間
■ 休日・年次有給休暇
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・ 週休2日制で完全週休2日制の企業割合は、平均で、約50%
・ 完全週休2日制の労働者割合は、平均で、約60%
・ 年間休日総数は、平均で、約115日
・ 年次有給休暇の平均付与日数は、約18日
・ 年次有給休暇の平均取得日数は、約9日
・ 年次有給休暇の平均取得率は、約50%
・ 変形労働時間制導入割合は、平均で、約60%
1年変形の導入割合は、平均で、約30%
・ 1か月変形の導入割合は、平均で、約20%
・ フレックス導入割合は、平均で、約5%
・ みなし労働時間制導入割合は、平均で、約13%
・ 事業場外労働のみなし導入の割合は、平均で、約10%
・ 専門業務型は、平均で、約2%
・ 企画業務型は、平均で、約0.5%
以上
[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter3
労働者派遣法
■ 労働者派遣法は、職業安定法と相まって労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の保護等を図り、もって派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することを目的とする。(労働者派遣法1条)
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■ 何人も、次のアからウのいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行ってはならない。また、労働者派遣事業を行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その指揮命令の下に派遣労働者を次のいずれかに該当する業務に従事させてはならない。(労働者派遣法4条)
・ 港湾運送業務
・ 建設業務
・ 警備業務その他労働者派遣により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務として政令で定める業務
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■ 派遣元事業主は、当該派遣元事業主の経営を実質的に支配することが可能となる関係にある者その他の当該派遣元事業主と特殊の関係のある者として厚生労働省令で定める者(関係派遣先)に労働者派遣をするときは、関係派遣先への派遣割合が100分の80以下になるようにしなければならない。(労働者派遣法23条の2)
■ 派遣元事業主は、労働者派遣に関し、労働者の個人情報を収集し、保管し、又は使用するにあたっては、その業務(紹介予定派遣をする場合には職業紹介を含む)の目的の達成に必要な範囲内で労働者の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りではない。
■ 派遣元事業主は、労働者の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。(労働者派遣法24条の3)
■ 労働者派遣契約(当事者の一方が相手方に対し労働者派遣をすることを約する契約をいう)の当事者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者派遣契約の締結に際し、次に掲げる事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければならない。
・ 派遣労働者が従事する業務の内容
・ 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称及び所在地その他派遣就業の場所並びに組織単位
・ 労働者派遣の役務の提供を受ける者のために、就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項
・ 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日
・ 派遣就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時間
・ 安全及び衛生に関する事項
・ 派遣労働者から苦情の申出を受けた場合における当該申出を受けた苦情の処理に関する事項
・ 派遣労働者の新たな就業の機会の確保、派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担に関する措置その他の労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項
・ 労働者派遣契約が紹介予定派遣に係るものである場合にあっては、当該職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の当該紹介予定派遣に関する事項
・ アからケに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項(当該厚生労働省令で定める事項には、派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度、派遣労働者を協定対象派遣労働者に限るか否かの別も含まれる)
■ 上記に定めるもののほか、派遣元事業主は、労働者派遣契約であって海外派遣に係るものの締結に際しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該海外派遣に係る役務の提供を受ける者が次に掲げる措置を講ずべき旨を定めなければならない。
・ 派遣先責任者の選任
・ 派遣先管理台帳の作成、所定の事項の当該台帳への記載及び厚生労働省令で定める条件に従った通知
・ その他厚生労働省令で定める当該派遣就業が適正に行われるため必要な措置
■ 派遣元事業主は、上記の規定により労働者派遣契約を締結するにあたっては、あらかじめ、当該契約の相手方に対し、労働者派遣事業の許可を受けている旨を明示しなければならない。
■ 派遣元事業主から新たな労働者派遣契約に基づく労働者派遣(労働者派遣の役務の提供を受ける期間に制限のないものを除く)の役務の提供を受けようとする者は、上記の規定により当該労働者派遣契約を締結するにあたっては、あらかじめ、当該派遣元事業主に対し、当該労働者派遣の役務の提供が開始される日以後当該労働者派遣の役務の提供を受ける期間の規定に抵触することとなる最初の日を通知しなければならない。
■ 派遣元事業主は、新たな労働者派遣契約に基づく労働者派遣の役務の提供を受けようとする者から、上記の規定による通知がないときは、当該者との間で、当該者の事業所その他派遣就業の場所の業務に係る労働者派遣契約を締結してはならない。
■ 労働者派遣(紹介予定派遣を除く)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。
■ 労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、上記の規定により労働者派遣契約を締結するにあたっては、あらかじめ、派遣元事業主に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者が派遣に係る派遣労働者が従事する業務ごとに、比較対象労働者の賃金その他の待遇に関する情報その他の厚生労働省令で定める情報を提供しなければならない(待遇情報の提供(いわゆる派遣先から派遣元への待遇情報の提供義務))
■ 上記の「比較対象労働者」とは、当該労働者派遣の役務の提供を受けようとする者に雇用される通常の労働者であって、その業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(職務の内容)並びに当該職務の内容及び配置の変更の範囲が、当該労働者派遣に係る派遣労働者と同一であると見込まれるものはその他の当該派遣労働者と待遇を比較すべき労働者として厚生労働省令で定めるものをいう。
■ 派遣元事業主は、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者から上記の規定による情報の提供がないときは、当該者との間で、当該労働者派遣に係る派遣労働者が従事する業務に係る労働者派遣契約を締結してはならない。
■ 派遣先は、上記の情報に変更があったときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、派遣元事業主に対し、当該変更の内容に関する情報を提供しなければならない(待遇情報の提供/変更があった情報の提供)
■ 労働者派遣の役務の提供を受けようとする者及び派遣先は、当該労働者派遣に関する料金の額について、派遣元事業主が、労働者派遣法30条の4第1項の協定に係る労働者派遣以外の労働者派遣にあっては同法30条の3の規定(派遣先均等・均衡方式)、同項の協定(労使協定方式)に係る労働者派遣にあっては、同項イからオまでに掲げる事項に関する協定の定めを遵守することができるものとなるよう配慮しなければならない。(労働者派遣法26条)
■ 上記で紹介予定派遣が除かれていることから、紹介予定派遣については事前面接、履歴書の送付といった派遣労働者を特定することを目的とする行為をすることができる。
■ 比較対象労働者とは、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者に雇用される通常の労働者であって、その業務の内容及び業務に伴う責任の程度(職務の内容)並びに当該職務の内容及び配置の変更の範囲が、当該労働者派遣に係る派遣労働者と同一であると見込まれるものその他の当該派遣労働者と待遇を比較すべき労働者として厚生労働省令で定める者をいう。
■ 労働者派遣契約の解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる(労働者派遣法29条)
■ 特定有期雇用派遣労働者等とは、その雇用する有期雇用派遣労働者(期間を定めて雇用される派遣労働者をいう)であって派遣先の事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位の業務について継続して1年以上の期間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みのあるものとして厚生労働省令で定めるもの(特定有期雇用派遣労働者)その他雇用の安定を図る必要性が高いと認められる者として厚生労働省令で定めるもの又は派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする労働者であって雇用の安定を図る必要性が高いと認められるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。
■ 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する派遣先に雇用される通常の労働者の待遇との間において、当該派遣労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。
■ 派遣元事業主は、職務の内容が派遣先に雇用される通常の労働者と同一の派遣労働者であって、当該労働者派遣契約及び当該派遣先における慣行その他の事情からみて、当該派遣先における派遣就業が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該派遣先との雇用関係が終了するまでの全期間における通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについては、正当な理由がなく、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する当該通常の労働者の待遇に比して不利なものとしてはならない。(労働者派遣法30条の3)
■ 労働者派遣法30条の4の協定で定めるところによる待遇とされる派遣労働者は「協定対象派遣労働者」という(労働者派遣法30条の5括弧書)
■ 過半数労働組合又は過半数代表者(過半数労働組合がない場合に限ります)と派遣元事業主との間で一定の事項を定めた労使協定を書面で締結し、労使協定で定めた事項を遵守しているときは、一部の待遇を除き、この労使協定に基づき待遇が決定されることとなる。
■ ただし、労使協定が適切な内容で定められていない場合や労使協定で定めた事項を遵守していない場合には、「労使協定方式(労働者派遣法30条の4)」は適用されず、「派遣先均等・均衡方式(労働者派遣法30条の3)」が適用される。(労働者派遣法30条の4)
■ 次のア及びイの待遇については、労使協定方式による場合であっても、労使協定の対象とはならないため、派遣元事業主は、派遣先の通常の労働者との均等・均衡を確保する必要がある。
・ 派遣先が、派遣労働者と同様の業務に従事する派遣先の労働者に対して、業務の遂行に必要な能力を付与するために実施する教育訓練(法40条2項の教育訓練)
・ 派遣先が、派遣先の労働者に対して利用の機会を与える給食施設、休憩室及び更衣室(法40条3項の福利厚生施設)
■ 令和2年4月施行改正で、労働者派遣法31条の2の②から⑤の規定(雇入れ時の説明、派遣時の説明、派遣労働者から求めがあった場合の説明、不利益な取扱いの禁止)が追加された。④については、求めがあれば、待遇さの内容の説明も必要となり、⑤のように不利益な取扱いの禁止も規定されている(労働者派遣法31条の2)
■ 派遣元事業主は、労働者を派遣労働者として雇い入れようとするときは、あらかじめ、当該労働者にその旨(紹介予定派遣に係る派遣労働者として雇い入れようとする場合にあっては、その旨を含む)を明示しなければならない。
■ 派遣元事業主は、その雇用する労働者であって、派遣労働者として雇い入れた労働者以外のものを新たに労働者派遣の対象としようとするときは、あらかじめ、当該労働者にその旨(新たに紹介予定派遣の対象としようとする場合にあっては、その旨を含む)を明示し、その同意を得なければならない。(労働者派遣法32条)
■ 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者又は派遣労働者として雇用しようとする労働者との間で、正当な理由がなく、その者に係る派遣先である者(派遣先であった者を含む)又は派遣先となることとなる者に当該派遣元事業主との雇用関係の終了後雇用されることを禁ずる旨の契約を締結してはならない。
■ 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者に係る派遣先である者又は派遣先となろうとする者との間で、正当な理由なく、その者が当該派遣労働者を当該派遣元事業主との雇用関係の終了後雇用することを禁ずる旨の契約を締結してはならない。(労働者派遣法33条)
■ 派遣労働者に係る雇用を制限する契約の定めは、以下のいずれをすることも禁止されている。
・ 派遣元事業主と派遣労働者間における派遣先に雇用されない旨の定め
・ 派遣持ち事業主と派遣先間における派遣先が派遣労働者を雇用しない旨の定め
■ 派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(労働者派遣の役務の提供を受ける期間に制限がないものを除く)を行ってはならない。(労働者派遣法35条の3)
■ 派遣元責任者と派遣先責任者には派遣元(先)事業主(法人の場合はその役員)自身がなることもできる。(労働者派遣法36条)
■ 派遣可能期間の延長に係る意見の聴取については、労働者の過半数で組織する労働組合(過半数労働組合)又は労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)の意見を聴くに当たっては、当該過半数労働組合又は過半数代表者に、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
・ 派遣可能期間を延長しようする事業所等
・ 延長しようとする期間
■ 上記の過半数代表者は、次のア及びイのいずれにも該当する者とする。ただし、アに該当する者がいない事業者等にあっては、過半数代表者はイに該当する者とする。
・ 労働基準法41条2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと
・ 意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の民主的な方法による手続により選出された者であって、派遣先の意向に基づき選出されたものでないこと
■ 派遣先は、意見を聴いた場合には、次に掲げる事項を書面に記載し、延長前の派遣可能期間が経過した日から3年間保存しなければならない。
・ 意見を聴いた過半数労働組合又は過半数代表者の氏名
・ 上記の規定により過半数労働者又は過半数代表者に通知した日及び通知した事項
・ 過半数労働者又は過半数代表者から意見を聴いた日及び当該意見内容
・ 意見を聴いて、延長する期間を変更したときは、その変更した期間
■ 派遣先は、上記に掲げる事項を、次に掲げるいずれかの方法によって、当該偉業諸島の労働者に周知しなければならない。
・ 常時当該事業所等の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
・ 書面を労働者に交付すること
・ 電子計算機に備えられたファイル、磁気ディスクその他これらに準ずる者に記録し、かつ、当該事業所等に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
■ 派遣先は、過半数代表者が労働者派遣法40条の2第4項の規定による意見の聴取に関する事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならない。(労働者派遣則33条の3)
■ 派遣先の同一の事業所に対し派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則、3年が限度
■ 派遣先が3年を超えて派遣を受け入れようとする場合は、派遣先の事業所の過半数労働組合等からの意見を聴く必要がある。(労働者派遣法40条の2)
■ 同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位に対し派遣できる期間は、3年が限度(労働者派遣法40条の3)
■ 労働者派遣の役務の抵抗を受けていた派遣先が新たに労働者派遣の役務の提供を受ける場合には、当該新たな労働者派遣の開始と当該新たな労働者派遣の役務の受け入れの直前に受け入れていた労働者派遣の修了との間の期間が3箇月を超えない場合には、当該派遣先は、当該新たな労働者派遣の役務の受け入れの直前に受け入れていた労働者派遣から継続して労働者派遣の役務の提供を受けているものとみなす(いわゆる剣先指針)
■ 紹介予定派遣については、派遣元事業主は、6箇月を超えて、同一の派遣労働者の労働者派遣を行わないこと(いわゆる派遣元指針)とされ、派遣先は、6箇月を超えて、同一緒派遣労働者を受け入れないこと(いわゆる派遣先指針)とされている。
■ 引き続き当該同一の業務に労働者を従事させるため、派遣実施期間が経過した日以後労働者を雇い入れようとするときは、当該同一の業務に派遣実施期間継続して従事した特定有期雇用補派遣労働者であって一定の要件に該当する者を、遅滞なく、雇い入れるように努めなければならない。(労働者派遣法40条の4)
■ 派遣先は、当該派遣先の同一の事業所その他派遣就業の場所において派遣元事業主から1年以上の期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けている場合において、当該事業所その他派遣就業の場所において労働に従事する通常の労働者の募集を行うときは、当該募集に係る事業所その他派遣就業の場所に掲示することその他の当該募集に係る事項を当該派遣労働者に周知しなければならない。(労働者派遣法40条の5)
■ 事業所等における派遣労働者の数と当該派遣先が雇用する労働者の数を加えた数が5人を超えないときは、派遣先責任者を選任することを要しない。(労働者派遣法41条・労働者派遣則34条)
■ 派遣元責任者については、上記のような例外規定はない。
■ 派遣先は、厚生労働省令で定めるところにより、派遣就業に関し、派遣先管理台帳を作成し、当該台帳に派遣労働者ごとに次に掲げる事項を記載し、これを3年間保存しなければならない。(労働者派遣法42条)
■ 労働者派遣法42条に規定される教育訓練のうち、厚生労働省令で定める教育訓練は、次の通りとする。(労働者派遣則35条の2)
・ 業務の遂行の過程内における実務を通じた実践的な技能及びこれに関する知識の習得に係る教育訓練であって計画的に行われるもの
・ 業務の遂行の過程外において行われる教育訓練
■ 派遣先が当該事業所等においてその指揮命令の下に労働させる派遣労働者の数に当該事業所等において雇用する労働者の数を加えた数が5人を超えないときは、派遣先管理台帳の作成及び記載を行うことを要しない。(労働者派遣則35条3項)
■ 派遣先における派遣就業に係る労働者派遣の期間が1日を超えないときであっても、当該派遣先は、派遣先管理台帳を作成しなければならない。
■ 改善命令等の流れ(派遣元)
・ 関係先への派遣割合の報告
・ 派遣元事業主の関係派遣先に対する労働者派遣の制限
■ 上記に違反した場合、厚生労働大臣は「指導又は助言」
■ 指導又は助言後に更に違反した場合、厚生労働大臣は「必要な措置をとるべきことを指示」
■ 必要な措置をとるべきことを指示してもなお違反した場合、厚生労働大臣は「労働者派遣事業の許可の取消し(労働者派遣法14条1項)
■ 厚生労働大臣は、派遣元事業主が当該労働者派遣事業に関し、労働者派遣法(23条3項、23条の2及び30条2項の規定により読み替えて適用する同条1項の規定を除く)その他労働に関する法律の規定(これらの規定に基づく命令の規定を含む)に違反した場合において、適正な派遣就業を確保するため必要があると認めるときは、当該派遣元事業主に対し、派遣労働者に係る雇用管理の方法の改善その他当該労働者派遣偉業の運営を改善するために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
■ 厚生労働大臣は、派遣先が派遣労働者を派遣就業させてはならない業務に従事させている場合において、その派遣就業を継続させることが著しく不適当であると認めるときは、当該派遣先に労働者派遣をする派遣元事業主に対し、当該派遣就業に係る派遣者派遣契約による労働者派遣の停止を命ずることができる。(労働者派遣法49条)
■ 労働者派遣法49条の2により企業名が公表されるのは、派遣先である。
■ 労働者派遣の役務の提供を受ける者が、
・ 以下の①から⑥に違反しているとき、又は
・ 下記の①から⑥に違反して厚生労働大臣の指導又は助言を受けたにもかかわらずなおこれらの規定に違反する恐れがあると認めるとき
・ 派遣禁止業務への派遣労働者の従事の禁止
・ 派遣元事業主以外の労働者派遣事業を行う事業主からの労働者派遣緒受け入れ禁止
・ 待遇情報の提供
・ 業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練の実施及び給食施設・休憩室・更衣室の利用の機会の付与
・ 労働者派遣の役務の提供を受ける期間(派遣可能期間の制限)
・ いわゆる事業所単位の期間制限
・ 派遣可能期間を延長するための過半数労働組合等からの意見聴取
・ 過半数労働組合等が意義を述べたときの派遣可能期間の延長の理由等の説明
・ いわゆる個人単位の時間制限
・ 離職した労働者についての労働者派遣の役務の提供の受け入れの禁止
■ 厚生労働大臣は、①から⑥に違反する派遣就業を是正するために必要な措置又は当該派遣就業が行われることを防止するために必要な措置をとるべきことを勧告
■ 上記勧告に従わなかったときは、その旨を公表
[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter4
高年齢者等雇用安定法
■ 高年齢者等雇用安定法は、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による高年齢者の安定した雇用の確保の促進、高年齢者等の再就職の促進、定年退職者その他の高年齢退職者に対する就業の機会の確保等の措置を総合的に講じ、もって高年齢者等の職業の安定その他福祉の増進を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。(高年齢者等雇用安定法1条)
■ 「高年齢者」とは、55歳以上をいう。
■ 「高年齢者等」とは、高年齢者及び次のア又はイに掲げる者で高年齢者に該当しない者をいう。
・ 中高年齢者(45歳以上の者)である求職者(イに該当する者を除く)
・ 中高年齢失業者等(45歳以上65歳未満の失業者その他就職が特に困難な厚生労働省令で定める失業者)
■ 「特定地域」とは、中高年齢者である失業者が就職することが著しく困難である地域として厚生労働大臣が指定する地域をいう。(高年齢者等雇用安定法2条)
■ 事業主がその雇用する労働者の定年(定年)の定めをする場合には、当該定年は、60歳を下回ることができない。ただし、当該事業主が雇用する労働者のうち、高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として厚生労働省令で定める業務(坑内作業の業務)に従事している労働者については、この限りでない。(高年齢者雇用安定法8条)
■ 定年を定めないことについては法律上は問題ない。
■ 事業主が60歳を下回る定年を定めることは原則禁止されているが、罰則の適用はない。
■ 特殊関係事業主(いわゆるグループ企業)は、当該事業主の経営を実質的に支配することが可能となる関係にある事業主その他の当該事業主と特殊の関係のある事業主として厚生労働省令で定める事業主をいう。
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■ 雇用継続制度を導入する場合には、希望者全員を対象とする制度とする。この場合において高年齢者雇用安定法9条2項に規定する特殊関係事業主により雇用を確保しようとするときは、事業主は、その雇用する高年齢者を当該特殊関係事業の事業主が引き続いて雇用することを約する契約を、当該特殊関係事業主との間で締結する必要があることに留意する。
■ 心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く)に該当する場合には継続雇用しないことができる。
■ 就業規則に定める解雇事由又は退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことができる事由として、解雇や退職の規定とは別に、就業規則に定めることもできる。また、当該同一の事由について、継続雇用制度の円滑ア実施のため、労使が協定を締結することができる。なお、解雇事由又は退職事由とは異なる運営基準を設けることは高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律の趣旨を没却するおそれがあることに留意する。ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意する。
■ 平成25年3月31日までは、事業主は、事業所に、過半数労働組合(過半数労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表するもの)との書面による協定により、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定め、当該基準に基づく制度を導入したときは、継続雇用制度を導入したものとみなすものとしていたが、この仕組みは廃止された。ただし、改正法の施行(平成25年4月1日)の際、現に改正前の9条2項に基づく継続雇用制度の対象者を限定する基準を設けている事業主は、令和7年3月31日までの間、当該基準を厚生年金報酬比例部分の支給開始年齢以上の者を対象に、利用することができる(平成24年高年齢雇用安定法附則3項)
■ 厚生労働大臣は、事業主に対し高年齢者雇用確保措置に関する勧告をした場合において、この勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。(高年齢者雇用安定法10条)
■ 定年(65歳以上70歳未満のものに限る)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者(高年齢者雇用安定法9条2項の契約に基づき、当該事業主と当該契約を締結した特殊関係事業主に現に雇用されている者を含み、厚生労働省令で定める者を除く)について、次に掲げる措置を講ずることにより、65歳以上70歳までの安定した雇用を確保するよう努めなければならない。ただし、当該事業主が、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合の、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の同意を厚生労働省令で定めるところにより得た創業支援等措置を講ずることにより、その雇用する高年齢者について、定年後等(定年後又は継続雇用制度の対象となる年齢の上限に達した後をいう)又はイの65歳以上継続雇用制度の対象となる年齢の上限に達した後70歳までの間の就業を確保する場合は、この限りでない。
・ 当該定年の引上げ
・ 65歳以上継続雇用制度(その雇用する高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後等も引き続いて雇用する制度をいう)の導入
・ 当該定年の定めの廃止
■ 高年齢者就業確保措置について、定年の引上げ、65歳以上継続雇用制度の導入、当該定年の定めの廃止のいずれかの措置(雇用による措置)が原則
■ 条文では、但書で「創業支援等措置」でもOKとしているが、この措置は、簡単に言えば、雇用以外の措置(事業主が過半数労働組合等の同意を得た措置でなければならない。)
■ 65歳以上継続雇用制度には、自社、特殊関連事業主に継続して雇用されるものに加えて、他の事業主に継続して雇用されるものを含む
■ 高年齢就業確保措置を講ずることは、努力義務であることから、措置(定年の延長及び廃止を除く)の対象となる高年齢者に係る基準に定めることも可能とする(指針)
■ 創業支援等措置は、労働契約によらない働きからとなる措置であることから、個々の高年齢者の働き方についても、業務の委託を行う事業主が指揮監督を行わない等、労働者性が認められるような働きからとならないよう留意すること(指針)
■ 創業支援等措置を実施するためには、「創業支援等措置に関する計画」を作成し、過半数労働組合等の同意を得る必要がある。
■ 「高年齢者就業確保措置の実施に関する計画」は、厚生労働大臣が指導・助言をした場合に、事業者に作成を勧告できるものである。
■ 高年齢者就業確保措置の実施について、厚生労働大臣は、「①必要な指導・助言→②計画の作成の勧告→③計画の変更の勧告」をすることができる。
■ 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、高年齢者雇用確保措置等を推進するため、作業施設の改善その他の諸条件の整備を図るための業務を遂行するために必要な知識及び経験を有していると認められる者のうちから、当該業務を担当する者を高年齢者雇用等推進者として選任するように努めなければならない。(高年齢雇用安定法11条・高年齢者雇用安定則5条)
■ 高年齢者等(45歳以上65歳未満の者)が解雇(自己の責めに帰すべき理由によるものを除く)等一定の理由により離職する場合においては、
・ 当該高年齢者等が再就職を希望するときは、求人の開拓その他当該高年齢者等の再就職の援助に関し必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
・ 同一の事業所において、1月以内の期間に5人以上離職する場合には、多数離職届を管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。(高年齢者雇用安定法15条・16条・高年齢者雇用安定則6条・6条の2)
■ 厚生労働大臣は、求職活動支援書の作成等の規定に違反している事業主に対して、必要な指導及び助言をすることができ、なお、違反していると認める事業主に対しては、求職活動支援書を作成し、当該求職活動支援書に係る高年齢者等に交付すべきことを勧告することができる。(高年齢者雇用安定法18条2項)
■ 「求職活動支援書」は対象者となる高年齢者等が希望するときに作成・交付する義務が生じる。
■ 事業主は、労働者の募集及び採用をする場合において、やむを得ない理由により一定の年齢(65歳以下のものに限る)を下回ることを条件とするときは、求職者に対し、厚生労働省令で定める方法により、当該理由を示さなければならない。(高年齢者雇用安定法20条)
■ 理由の提示の有無又は理由の内容に関して必要があると認めるときは、事業主に対して、報告の要求、助言、指導、勧告をすることができる。(高齢者雇用安定法20条2項)
■ 「やむを得ない理由」とは、労働施策総合推進法9条に基づく厚生労働省令で佐田sメル場合に限られる。
■ 雇用状況等の報告→毎年6月1日現在における定年、継続雇用制度、65歳以上継続雇用制度及び創業支援等措置の状況その他高年齢者の就業の機会の確保に関する状況を翌月15日(7/15)までに、高年齢者雇用状況報告書により、その主たる事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長を経由して厚生労働大臣に報告しなければならない。(高年齢者雇用安定法52条・高年齢者雇用安定則33条)
■ シルバー人材センターは、高年齢者雇用安定法37条1項の指定に係る区域(センターの指定区域)において、次に掲げる業務を行うものとする。
・ 臨時的かつ短期的な就業(雇用によるものを除く)又はその他の軽易な業務に係る就業(雇用によるものを除く)を希望する高年齢退職者のために、これらの就業の機会を確保し、及び組織的に提供すること。
・ 臨時的かつ短期的な雇用による就業又はその他の軽易な業務に係る就業(雇用によるものに限る)を希望する高年齢退職者のために、職業紹介事業を行うこと。
・ 高年齢退職者に対し、臨時的かつ短期的な就業及びその他の軽易な業務に係る就業に必要な知識及び技能の付与を目的とした講習を行うこと
・ アからウに掲げるもののほか、高年齢退職者のための臨時的かつ短期的な就業及びその他の軽易な業務に係る就業に関し必要な業務を行うこと。
■ シルバー人材センターは、職業安定法30条1項の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に届け出て、有料の職業紹介事業を行うことができる。
■ シルバー人材センターは、労働者派遣法5条1項の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に届け出て、その構成員である高年齢退職者のみを対象として労働者派遣法2条3号に規定する労働者派遣事業を行うことができる。(高年齢者雇用安定38条)
■ シルバー人材センター連合は、シルバー人材センター同様、厚生労働大臣に届け出て高年齢退職者のために有料の職業安定事業を行い、高年齢退職者のみを対象として労働者派遣事業を行うことができる。
[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter5
障害者雇用促進法
■ 障害者雇用促進法は、障碍者の雇用義務等に基づく雇用の促進等のための措置、雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会及び待遇の確保並びに障碍者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするための措置、職業リハビリテーションの措置その他障碍者がその能力に適合する職業に就くこと等を通じてその職業生活において自立することを促進するための措置を総合的に講じ、もって障害者の職業の安定を図ることを目的とする。(障害者雇用促進法1条)
■ 「障害者」とは、身体障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害(障害)があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者をいう。
■ 障害者である労働者は、経済社会を構成する労働者の一員として、職業生活においてその能力を発揮する機会を与えられるものとする。
■ 障害者である労働者は、職業に従事する者としての自覚を持ち、自ら進んで、その能力の開発及び向上を図り、有為な職業人として自立するように努めなければならない。(障害者雇用促進法3条・4条)
■ すべての事業主は、障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、障害者である労働者が有為な職業人として自立しようとする努力に対して協力する責務を有するものであって、その有する能力を正当に評価し、適当な雇用の場を与えるとともに適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るように努めなければならない。(障害者雇用促進法5条)
■ 国又は地方公共団体は、自ら率先して障害者を雇用するとともに、障害者の雇用について事業主その他国民一般の理解を高めるため、事業主、障害者その他の関係者に対する援助の措置及び障害者の特性に配慮した職業リハビリテーションの措置を講ずる等障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るために必要な施策を、障害者の福祉に関する施策との有機的な連携を図りつつ総合的かつ効果的に推進するように努めなければならない。(障害者雇用促進法6条)
■ 事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない(障害者雇用促進法34条)
■ 事業主は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的な取扱いをしてはならない。(障害者雇用促進法35条)
■ 事業主は、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすことになるときは、この限りでない。(障害者雇用促進法36条の3)
■ 障害者雇用促進法36条の2から36条の4までの規定に基づき事業主が講ずべき措置(合理的配慮)に関して、合理的配慮の提供は事業主の義務であるが、採用後の合理的配慮について、事業主が必要な注意を払ってもその雇用する労働者が障害者であることを知り得なかった場合には、合理的配慮の提供義務違反を問われない。
■ 対象障害者とは、身体障害者又は精神障害者(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けているものに限る)をいう。(障害者雇用促進法37条2項)
■ 事業主は、常時雇用する労働者の雇入れ及び解雇(労働者の責めに帰すべき理由による解雇を除く)による雇用関係の変動がある場合には、その雇用する対象障害者である労働者の数が、その雇用する労働者の数(除外率設定業種に係る事業を行う事業所の事業主にあっては、当該労働者の数に除外率を乗じて得た数を当該労働者の数から減じて得た数)に障害者雇用率を乗じて得た数(その数に1人未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる)以上であるようにしなければならない。(障害者雇用促進法43条・障害者雇用促進法附則3条2項)
■ 対象障害者が就業することが困難であると認められる職種の労働者が相当の割合を占める業種として厚生労働省令で定める業種については、「除外率」が設定されている。
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■ 法定雇用率は、「労働者(失業中の者も含む)の総数に占める対象障害者である労働者(失業中の者を含む)の総数の割合」を基準として設定し、少なくとも5年ごとに、この割合の推移を考慮して政令で定めるとされている。
■ 短時間労働者(1週間の所定労働時間が、当該事業主の事業所に雇用する通常の労働者の1週間の所定労働時間比して短く、かつ、30時間未満である常時雇用する労働者をいう。)は、1人をもって、0.5の労働者に相当するものとみなす。
■ 重度身体障害者又は重度知的障害者は、その1人をもって2人の対象障害者である労働者に相当するものとみなされる。(ダブルカウント)
■ 重度身体障害者又は重度知的障害者である短時間労働者は1人として算入される。
■ 対象障害者である短時間労働者は、0.5人として算入される。(精神障害者である短時間労働者については、以下の要件を満たす場合は、1人として算入される(障害者雇用促進則附則6条)
・ 次のいずれかに該当する者であること
・ 新規雇入れから3年以内の者
・ 精神障碍者保健福祉手帳の交付日から3年以内の者
・ 次のいずれにも該当する者
・ 令和5年3月31日までに雇い入れられた者
・ 令和5年3月31日までに精神障碍者健康福祉手帳の交付を受けた者
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■ 法定雇用障害者数=(労働者(短時間労働者を除く)の数+短時間労働者の数×0.5)×2.3/100(1未満の端数は切り捨てる)【一般の民間企業について】
■ 具体例
・ 労働者(短時間労働者を除く) 1500人
・ 短時間労働者 500人
・ 除外率 100分の30
・ 法定雇用率 2.3%
・ 法定雇用障害者数={(1500+500×0.5)-(1500+500×0.5)×30/100}×2.3/100=28.175人→28人
■ 除外率については、除外率設定機関及び除外率設定業種における対象障害者の雇用の状況、障害者が職業に就くことを容易にする技術革新の進展の状況その他の事項を考慮し、段階的に廃止・縮小されるように制定され、及び改正される。平成22年7月から、各除外率設定業種ごとにそれぞれ10%引き下げられ、5%から80%となっている(障害者雇用促進則別表4)
■ 親事業主であって、特定の株式会社(当該親事業主の子会社及び特定事業主を除く)と厚生労働省令で定める特殊の官営にあるもの(企業グループ)で、当該親事業主、当該子会社及び当該株式会社又は有限会社(関係会社)の申請に基づいて当該親事業主及び当該関係会社について一定の基準に適合する旨の厚生労働大臣の認定を受けたものに係る障害者雇用義務等の規定の適用については、当該関係会社が雇用する労働者は当該親事業主のみが雇用する労働者と、当該関係会社の事業所は当該親事業主の事業所とみなす。(障害者雇用促進法45条)
■ 民間の一般事業主(その雇用する労働者が常時43.5人以上であるものに限る)は、毎年6月1日現在における対象障害者の雇用に関する状況を、翌月15日までに管轄公共職業安定所の長に報告しなければならない。(障害者雇用促進法43条7項・障害者雇用促進則7条・8条)
■ 厚生労働大臣は、対象障害者の雇用を促進するために必要があると認める場合には、その雇用する対象障害者である労働者の数が法定雇用障害者数未満である事業主(特定組合等及び特定事業主を除く)に対して、対象障害者である労働者の数がその法定雇用障害者数以上となるようにするため、対象障害者の雇入れに関する計画の作成を命ずることができる。
■ 事業主は、上記の計画を作成したときは、これを厚生労働大臣に提出しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
■ 厚生労働大臣は、上記の計画が著しく不適当であると認めるときは、当該計画を作成した事業主に対してその変更を勧告することができる。
■ 厚生労働大臣は、特に必要があると認めるときは、上記の計画を作成した事業主に対して、その適正な実施に関し、勧告することができる。
■ 厚生労働大臣は、上記の計画を作成した事業主が、正当な理由がなく、上記の勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。(障害者雇用促進法46条・47条)
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■ 厚生労働大臣は、上記の障害者雇用納付金関係業務の全部または一部を、「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」に行わせるものとされている。
■ 親事業主、関係親事業主又は特定組合等に係る障害者雇用調整金・障害者雇用報奨金については、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構は、当該親事業主、当該子会社若しくは当該関係会社、当該関係親事業主もしくは当該関係子会社又は当該特定組合等若しくは当該特定事業主に対して支給することができる。
■ 特例給付金は、対象障害者である特定短時間労働者を雇用する事業主に支給する。
■ 特定短時間労働者とは、短時間労働者のうち、1週間の所定労働時間が10時間以上20時間未満の範囲内にある者をいう。
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■ 国及び地方公共団体の任命権者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる業務を担当する者を選任しなければならない。
・ 障害者の雇用の促進及びその雇用の継続を図るために必要な施設又は設備の設置又は整備その他の諸条件の整備を図るための業務
・ 障害者活躍推進計画の作成及び障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取り組みの円滑な実施を図るための業務
・ 対象障害者の採用に関する計画の作成及び当該計画の円滑な実施を図るための業務
・ 一定の勧告をうけたときは、当該勧告に係る厚生労働省との連悪に関する業務
・ 対象障害者である職員の任免に関する状況の通報、その通報の内容の公表及び障害者である職員を免職する場合の届出を行う業務
■ 常時43.5人以上の労働者を雇用する事業主は、障害者の雇用の促進及びその雇用の継続を図るために必要な施設又は設備の設置又は整備その他の諸条件の整備を図るための業務等を担当させるため障害者雇用推進者を選任するように努めなければならない。(障害者雇用促進法78条・障害者雇用促進則37条)
[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter6
男女雇用機会均等法
■ 男女雇用機会均等法は、法の下の平等を保障する日本国憲法の理念にのっとり雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図るとともに、女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進することを目的とする。(男女雇用機会均等法1条)
■ 男女雇用機会均等法は、雇用管理の各ステージにおいて性別を理由に労働者を差別的に取扱うことを禁止している。
■ 女性であることを理由に、男性に対し不利に取扱う場合はもちろんのこと、有利に取扱うことも男女雇用機会均等法違反となる。ただし、この場合であっても、罰則の適用はない。
■ 事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。(男女雇用機会均等法5条)
■ 事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。(男女雇用機会均等法6条)
・ 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む)、昇進、降格及び教育訓練
・ 住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であって厚生労働省令で定めるもの
・ 労働者の職種及び雇用形態の変更
・ 退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新
■ 厚生労働省令で定める者(一定の福利厚生)(男女雇用機会均等則1条)
・ 生活資金、教育資金その他労働者の福祉の増進のために行われる資金の貸付
・ 労働者の福祉の増進のために定期的に行われる金銭の給付
・ 労働者の資産形成のために行われる金銭の給付
・ 住宅の貸与
■ 情勢独身者が入居できる寮などがない場合においては、入寮を希望する女性に対して、男性寮や世帯用住宅に女性独身者を入居させるようにするか、女性寮を建設するか、住宅借り上げ等により、女性独身者にも住居を貸与することができる等の措置を取らなければならず、住宅手当を支給しても、住宅の貸与の代替措置としては認められない。
■ 特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢に差があることを理由として、男性の定年年齢より低い年齢を女性の定年年齢として定めることは、均等法6条に違反する。
■ 募集又は採用に当たって、男女のいずれかを表す職種の名称を用い(対象を男女のいずれかのみとしないことが明らかである場合を除く)、又は「男性歓迎」、「女性向きの職種」等の表示を行うことは、原則として、男女雇用機会均等法5条に違反する(労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針)
■ 営業の職務、秘書の職務、企画立案業務を内容とする職務、定型的な事務処理業務を内容とする業務、海外で勤務する職務等一定の職務への配置に当たって、その対象を男女のいずれかのみとすることは、原則として、男女雇用機会均等法6条に違反する(労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針)
■ 福利厚生の措置の実施に当たって、その対象から男女のいずれかを排除することは、男女雇用機会均等法6条に違反する。例えば、男性労働者についてのみ、社宅を貸与することは、女性を排除していると認められる(労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針)
実質的に性別を理由とする差別となる恐れがある措置(男女雇用機会均等則2条)
・ 労働者の募集又は採用に関する措置であって、労働者の身長、体重又は体力に関する事由を要件とするもの
・ 労働者の募集若しくは採用、昇進又は職種の変更に関する措置であって、労働者の住居の移転を伴う配置転換に応じることができることを要件にするもの
・ 労働者の昇進に関する措置であって、労働者が勤務する事業場と異なる事業場に配置転換された経験があることを要件にするもの
■ 性別を理由として差別的取扱いをしてはならないものとされているが、罰則は規定されていない。ただし、均等法の施行のために必要がある場合には、①厚生労働大臣又は都道府県労働局長による報告徴収、助言・指導・勧告(29条)②厚生労働大臣の勧告に従わない場合の企業名公表(30条)といった行政指導が行われる。
■ 「総合職の労働者を募集、採用」する際に、合理的な理由がないにも関わらず転勤要件を設けることは、間接差別として禁止されてきたが、平成26年7月1日からは「すべての労働者の募集、採用、昇進、職種の変更」をする際に、合理的な理由がないにもかかわらず転勤要件を設けることは、「間接差別」として禁止されている。
■ 男女雇用機会均等法は、女性のみを対象とした取扱いや女性を優遇する取扱いを原則として禁止しているが、雇用の場で男女労働者間に事実上生じている格差を解消することを目的として行う措置については例外的に違法とはしない旨を規定している。(男女雇用機会均等法8条)
■ 募集又は採用、配置、昇進、教育訓練、職種の変更、雇用形態の変更に関し、一定の要件のもとで女性に有利な取扱いをすることは、男女雇用機会均等法8条に定める雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的とする措置(ポジティブ・アクション)として、男女雇用機会均等法5条及び6条の規定に違反することとはならない。
■ 例えば、一の雇用管理区分における女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない職種又は役職に従事するにあたって必要とされる能力を付与する教育訓練に当たって、その対象を女性労働者のみとすること、女性労働者に有利な条件を付すことその他男性労働者と比較して女性労働者に有利な取扱いをすることは、ポジティブ・アクションに該当する(労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針)
■ ポジティブ・アクションの要件に係る「相当程度少ない」とは、我が国における全労働者に占める女性労働者の割合を考慮して、4割を下回っていることをいうものとされている。
■ ポジティブ・アクションとは、男女間に事実上生じている格差を解消する積極的な取り組みのこと
■ 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
■ 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
■ 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法65条1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条2条の規定による休業をしたことその他妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
■ 妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が上記に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。(男女雇用機会均等法9条)
■ 女性労働者につき労働基準法65条3項に基づく妊娠中の軽易な業務への転換を契機として降格させる事業主の措置は、原則として男女雇用機会均等法9条3項の禁止する取扱いに当たるが、当該労働者につき自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき、又は事業主において当該労働者につき降格の措置を執ることなく軽易な業務への転換をさせることに円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障がある場合であって、上記措置につき男女雇用機会均等法9条3項の趣旨及び目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情が存在するときは、同項の禁止する取扱いに当たらないとするのが、最高裁判所の判例である(最判平261023(広島中央保健生協事件))
■ 男女雇用機会均等法10条の規定により、「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」、「コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針」が定められている。
■ 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。(男女雇用機会均等法11条1項)
■ 「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」が定められている。
■ 職場におけるセクシャルハラスメントには、対価型セクシャルハラスメントと、環境型セクシャルハラスメントがある(事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針)。
・ 対価型セクシャルハラスメントとは、職場において労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、当該労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けるものをいう。
・ 環境型セクシャルハラスメントとは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じるものをいう。
■ 職場におけるセクシャルハラスメントに係る「労働者」とは、いわゆる正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員等いわゆる非正規雇用労働者を含む事業主が雇用する労働者のすべてをいう(事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針)
■ セクシャルハラスメント防止についての義務は、派遣先事業主にも適用される(労働者派遣法47条の2)
■ 職場における性的な言動に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務は、いずれも「努めなければならない」という努力義務である。(男女雇用機会均等法11条の2)
■ 男女雇用機会均等法11条の3の規定に基づいて、「事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」が定められている。
■ 職場における妊娠、出産等に関するハラスメントの防止措置を義務付けるもの。平成29年1月から施行された新しい規定です。指針の内容も一読しておきたいところです。なお、後述する育児・介護休業法においては、育児休業等に関するハラスメントの防止措置を義務付ける規定が設けられている。(これも、平成29年1月施行)
■ 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、その雇用する女性労働者が母子保健法の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならない。(男女雇用機会均等法12条)
■ 母性管理に関する義務は、派遣先事業主にも適用される(労働者派遣法47条の2)
■ 事業主は、その雇用する女性労働者が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない。(男女雇用機会均等法13条)
■ 事業主は、男女雇用機会均等法13条の2に規定する業務を遂行するために必要な知識及び経験を有していると認められる者のうちから当該業務を担当する者を男女雇用機会均等推進者として選任するものとする。(男女雇用機会均等則2条の5)
■ 男女雇用機会均等推進者の選任は、事業主の努力義務。
■ 厚生労働大臣(全国的に重要であると認めた事案に係るものをのぞき、都道府県労働局長に委任)は、男女雇用機会均等法の施行に関し、必要があると認めるときは、事業主に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。
■ 厚生労働大臣は、男女雇用機会均等法5-7条、9条1-3項、11条1-2項(準用する場合を含む)、11条の3第1項、12条及び13条1項の規定に違反している事業主に対し、上記による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表する。(男女雇用機会均等法29条・30条)
■ 上記の規定にかかわらず、報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、20万円以下の過料に処せられる。
[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter7
育児・介護休業法
■ 育児・介護休業法は、育児休業および介護休業に関する制度並びに子の看護休暇及び介護休暇に関する制度を設けるとともに、子の養育及び家族の介護を容易にするため所定労働時間等に関し事業主が講ずべき措置を定めるほか、子の養育又は家族の介護を行う労働者等に対する支援措置を講ずること等により、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の雇用の継続と再就職の促進を図り、もってこれらの者の職業生活と家庭生活との両立に寄与することを通じて、これらの者の福祉の増進を図り、併せて経済及び社会の発展に資することを目的とする。(育児・介護休業法1条)
■ 労働契約の形式上期間を定めて雇用されている者であっても、その契約が実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態となっている場合には、契約形態にかかわらず、育児休業や介護休業の対象となる。(育児・介護休業法5条1項・2項)
■ 日々雇用される者は、育児休業の対象とならない。
■ 育児休業は、次の場合に該当する場合を除き、原則として子1人につき1回しか取得できないが、次のような特別の事情がある場合には、再度育児休業の申出をすることができる。
・ 産前産後休業又は新たな育児休業の開始により育児休業期間が終了した場合で、産前産後休業又は新たな育児休業の対象となった子が死亡したとき又は他人の養子になったこと等の理由により労働者と同居しなくなったとき(新たな育児休業の対象となった子が特別養子縁組の請求等の場合にあたりときは、特別養子縁組の不成立等の場合も「特別の事情」に当たる。)
・ 介護休業の開始により育児休業期間が終了した場合で、介護休業の対象となった対象家族が死亡したとき又は離婚、婚約の取消、離縁等により対象家族と労働者との親族関係が消滅したとき
・ 育児休業の申出に係る子の親である配偶者が死亡したとき
・ 配偶者が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により育児休業(1歳に満たない子に係る休業)の申出に係る子を養育することが困難な状態になったとき
・ 婚姻の解消その他の事情により配偶者が育児休業(1歳に満たない子に係る休業)の申出に係る子と同居しなくなったとき
・ 申出に係る子が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害になり、2週間以上の期間にわたり世話を必要とする状態になったとき
・ 申出に係る子について、児童福祉法39条1項に規定する保育所、認定こども園法2条6項に規定する認定こども園又は児童福祉法24条2項に規定する家庭的保育事業等(保育所等)における保育の利用を希望し、申し込みを行っているが、当面その実施が行われないとき
■ 育児休業を取得した場合であっても、配偶者の出産後8週間以内の期間にされた最初の育児休業についいては、特別な事情がなくても、再度育児休業の取得ができる。なお、この特例の対象となるためには、出産後8週間以内に育児休業が終了していることが必要である。また、産後休業を取得した労働者には、この特例は適用されない。(育児・介護休業法5条2項)
■ 雇用の継続のため特に必要と認められる厚生労働省令で定める場合には次の通りとする(育児・介護休業則6条)
・ 1歳から1歳6箇月に達するまでの子について、児童福祉法39条1項に規定する保育所、認定こども園法2条6項に規定する認定こども園又は児童福祉法24条2項に規定する家庭的保育事業等(保育所等)における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当該子が1歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合
・ 常態として申出に係る子の養育を行っている配偶者であって当該子が1歳に達する日後の期間について状態として当該子の養育を行う予定であったものが次のいずれかに該当した場合
・ 死亡したとき
・ 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により5条3項の申出に係る子を養育することが困難な状態になったとき
・ 婚姻の解消その他の事情により配偶者が5条3項の申出に係る子と同居しないこととなったとき
・ 6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定であるか又は産後8週間を経過しないとき
■ 上記の規定は、子が2歳に達するまでの育児休業に係る雇用の継続のために特に必要と認められる厚生労働省令で定める場合について準用する。(1歳に達する日を1歳6箇月に達する日と読み替える者とする。(育児・介護休業則6条の2)
■ 育児休業申出は、厚生労働省令で定めるところにより、その期間中は育児休業をすることとする一の期間について、その初日(育児休業開始予定日)及び末日(育児休業終了予定日)とする日を明らかにして、しなければならない。
■ 1歳以降の育児休業の当該申出に係る子の1歳到達日の翌日を、1歳6箇月から2歳までの間の育児休業の当該申出に係る子の1歳6箇月到達日の翌日を、育児休業開始予定日としなければならない。
■ 期間を定めて雇用される者であっても、一定の要件に該当すれば育児休業を取得することができる。
■ 1歳から1歳6箇月に達するまでの子についての育児休業はその子が1歳に到達する日に、1歳6箇月から2歳に達するまでの子についてのいう字休業はその子が1歳6箇月に達する日において育児休業中(当該労働者又はその配偶者の一方)であることが条件である。
■ 育児休業申出は、その初日である育児休業開始予定日と、末日である育児休業終了予定日を明らかにして、しなければならない。
■ 後述の「パパ・ママ育休プラス」として1歳到達日後1歳2カ月までの間で育児休業を取得している場合でも、一定の要件を満たせば、1歳6箇月まで育児休業をすることができる。この場合、1歳6箇月までの育児休業の開始予定日は、子の1歳到達日後である本人又は配偶者の育児休業終了日の翌日としなければならない。(なお、その後一定の要件に該当すれば、1歳6箇月から2歳までの育児休業も可能)
■ 事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない。ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児休業をすることができないものとして定められた労働者に該当する労働者からの育児休業申出があった場合は、この限りでない。(育児・介護休業法6条1項・2項)
・ 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
・ 上記に掲げるもののほか、育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
■ 上記の但書の場合において、事業主にその育児休業申出を拒まれた労働者は、育児休業をすることができない。
■ 上記イに該当する労働者とは次のア・イに当たる者をいう
・ 育児休業申出があった日から起算して1年(1歳から1歳6箇月に達するまでの子及び1歳6箇月から2歳に達するまでの子の育児休業にあっては6月)以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
・ 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
■ 平成22年改正前は、配偶者が専業主婦(夫)や育児休業中である場合等の労働者については、労使協定が定められている場合には、産後8週間以内を除き、育児休業をすることができなかったが、改正後は、労使協定の有無にかかわらず、原則として子が1歳に達するまで、育児休業をすることができるようになった。
■ 事業主は、労働者からの育児休業申出があった場合において、当該育児休業申出に係る育児休業開始予定日とされた日が当該育児休業申出のあった日の翌日から起算して1月(1歳から1歳6箇月に達するまでの子又は1歳6箇月から2歳に達するまでの子に係る育児休業の申出にあっては2週間)を経過する日(1月等経過日)前の日であるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該育児休業開始予定日とされた日から当該1月等経過日(当該育児休業申出があった日までに、出産予定日前に子が出生したことその他の厚生労働省令で定める事由が生じた場合にあっては、当該1月等経過日前の日で育児休業申出のあった日の翌日から起算して1週間を経過する日)までの間のいずれかの日を当該育児休業開始予定日として指定することができる。(育児・介護休業法6条3項・4項)
■ 上記の厚生労働省令で定める事由とは、
・ 予定日前の出産
・ 配偶者の死亡
・ 配偶者が負傷又は疾病により子を養育することが困難になった場合
・ 配偶者が子と同居しなくなった場合
・ 申出に係る子が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり世話を必要とする状態になったとき
・ 申出に係る子について、児童福祉法39条1項に規定する保育所、認定こども園法2条6項に規定する認定こども園又は児童福祉法24条2項に規定する家庭的保育事業等(保育所等)における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われないとき等
■ 育児休業申出をした労働者は、その後当該育児休業申出に係る育児休業開始予定日とされた日(事業主の指定があった場合にあっては、当該事業主の指定した日)の前日までに、一定の事由が生じた場合には、その事業主に申し出ることにより、当該育児休業申出に育児休業開始予定日を1回に限り当該育児休業開始予定日とされた日前の日の変更することができる。(育児・介護休業法7条)
■ 育児休業の申出を撤回した労働者はアからオの特別の事情がある場合、再度、育児休業の申出をすることができる(育児・介護休業則19条)
・ 配偶者の死亡
・ 配偶者が負傷、疾病、又は身体若しくは精神上の障害により育児休業申出に係る子を養育することが困難な状態になったこと
・ 婚姻の解消等により配偶者が育児休業に係る子と同居しないこととなったこと
・ 申出に係る子が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり世話を必要とする状態になったとき
・ 申出に係る子について、保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われないとき等
■ 労働者が養育する子について当該労働者の配偶者が当該子の1歳到達日以前のいずれかの日において当該子を養育するために育児休業をしている場合における育児休業等の」規定の適用については、「1歳に満たない子」とあるのは、「1歳に満たない子(9条の2第1項の規定により読み替えて適用する子の項の規定により育児休業をする場合にあっては、1歳2カ月を満たない子)」等と読み替える。この場合における育児休業開始予定日とされた日が、当該育児休業に係る子の1歳到達日の翌日後である場合又は当該労働者の配偶者がしている育児休業に係る育児休業期間の初日前である場合には提供しない。(育児・介護休業法9条の2)
■ 特例の対象となるためには、配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)が子の1歳到達日以前のいずれかの日において育児休業(育児・介護休業法の規定に基づく育児休業のみならず、公務員が国家公務員の育児休業等に関する法律等の規定に基づき取得する育児休業を含む)をしていることが要件となる。ただし、以下の育児休業については特例の対象とならない。
・ 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳到達日の翌日後である場合
・ 本人の育児休業開始予定日が、配偶者がしている育児休業の初日前である場合
■ パパ・ママ育休プラスが適用された場合でも、育児休業を取得することができる期間は、父母それぞれについて、通算して1年間が限度(母については、出産日(産前休業の末日)及び産後休業の期間を合わせて1年間が限度)である。
■ 事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。(育児・介護休業法10条)
■ 育児休業期間中は、解雇が禁止されているわけではない。
■ 介護休業申出及び介護休業についても同様である。
■ 労働者は、その事業主に申し出ることにより、介護休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者であっては、以下に規定する介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6月を経過する日までに、その労働契約が満了することが明らかでない者に限り、当該申出をすることができる。
■ 上記の規定にかかわらず、介護休業をしたことがある労働者は、当該介護休業に係る対象家族が次のア、イのいずれかに該当する場合には、当該対象家族については、上記の規定による申出をすることができない。
・ 当該対象家族について3回の介護休業をした場合
・ 当該対象家族について介護休業をした日数(介護休業を開始した日から介護休業を終了した日までの日数とし、2回以上の介護休業をした場合にあっては、介護休業ごとに、当該介護休業を開始した日から当該解雇休業を終了した日までの日数を合算して得た日とする。(介護休業日数))が93日に達している場合
■ 上記の規定による申出(介護休業申出)は、厚生労働省令で定めるところにより、介護休業申出に係る対象家族が要介護状態にあることを明らかにし、かつ、その期間中は当該対象家族に係る介護休業をすることとする一の期間について、その初日(介護休業開始予定日)及び末日(介護休業終了予定日)とする日を明らかにして、しなければならない。(育児・介護休業法11条)
■ 平成29年1月1日施行の改正により、次のように見直しが図られた
・ 同一の対象家族について、介護休業の期間は、延べ93日(介護のための所定労働時間の短縮等の措置の日数はカウントしない)
・ 同一の対象家族について、分割取得は、3回まで認められる(同一の要介護状態についても分割可能)
■ 事業主は、労働者から介護休業申出があったときは、当該介護休業申出を拒むことができない。
■ ただし、労使協定で定められた労働者からの介護休業申出があった場合には、拒むことができる。この場合において、事業主にその介護休業申出を拒まれた労働者は、介護休業をすることができない。
■ 事業主は、労働者からの介護休業申出があった場合において、当該介護休業申出に係る介護休業開始予定日とされた日が当該介護休業申出があった日の翌日から起算して2週間を経過する日(2週間経過日)前の日であるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該介護休業開始予定日とされた日から当該2週間経過日までの間のいずれかの日を当該介護休業開始予定日として指定することができる。(育児・介護休業法12条)
■ 介護休業の回数・日数は、対象家族1人ごとに数える。また、2回目の介護休業ができるのは、常時介護を必要とする状態から回復した家族が、再び常時介護を必要とする状態に至った場合である。したがって、要介護状態が引き続きているのに、いったん介護休業を中断した場合には、再び介護休業の申出をすることはできない。3回目以降も同様である。(育児・介護休業法11条2項)
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■ 介護休業申出をした労働者がその期間中は介護休業をすることができる期間(介護休業期間)は、当該介護休業申出に係る介護休業開始予定日とされた日から介護休業終了予定日とされた日(その日が当該介護休業開始予定日とされた日から起算して93日から当該労働者の当該介護休業申出に係る対象家族についての介護休業日数を差し引いた日数を経過するより後の日であるときは、当該経過する日)までの間とする。
■ この条において、介護休業終了予定日とされた人は、事業主に対する申出の規定により当該介護休業終了予定日が変更された場合にあっては、その変更後の介護休業終了予定日とされた日をいう。
■ 次のア・イに掲げるいずれかの事情が生じた場合には、介護休業期間は、上記の規定にかかわらず、当該事情が生じた日(イに掲げる事情が生じた場合にあっては、その前日)に終了する。
・ 介護休業終了予定日とされた日の前日までに、対象家族の死亡その他の労働者が介護休業申出に係る対象家族を介護しないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたこと
・ 介護休業終了予定日とされた日までに、介護休業申出をした労働者について、労働基準法65条の産前産後休業の規定により休業する期間、育児休業期間又は新たな介護休業期間が始まったこと
■ 介護休業開始予定日の繰上げについては規定されていないため、労使の話し合いに委ねることになる。
■ 介護休業の回数・日数は、対象家族1人ごとに数える。
■ 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は、その事業主に申し出ることにより、一の年度において5労働日(その養育する小学校就学の始期に達するまでの子が2人以上の場合にあっては、10労働日)を限度として、負傷し、又は疾病にかかったその子の世話又は疾病の予防を図るために必要なものとして厚生労働省令で定める当該子の世話を行うための休暇(子の看護休暇)を取得することができる。
■ 子の看護休暇は、1日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるもの以外の者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働省令で定める1日未満の単位で取得することができる。
■ 上記の規定による申出は、厚生労働省令で定めるところにより、子の看護休暇を取得する日(上記の厚生労働省令で定める1日未満の単位で取得するときは子の看護休暇の開始及び終了の日時)を明らかにして、しなければならない。(育児・介護休業法16条の2)
・ 上記の「厚生労働省令で定める当該子の世話」とは、子に予防接種又は健康診断を受けさせることとする。
・ 子の看護休暇の付与日数は、申出時点の子の人数で判断される。例えば、子供が年度の途中で生まれ、小学校就学前までの子が2人となった場合、年度の途中であっても、その年度におけるそれまでの付与日数と合計して年10日までの休暇を認めることが必要である。
・ 上記の「所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるもの」は、令和3年3月1日施行の改正により削除され、現在は未定
・ 上記の「厚生労働省令で定める1日未満の単位」は、時間(1日の所定労働時間数に満たないものとする)であって、始業の時刻から連続して、又は終業の時刻まで連続するものとする。
・ この1日未満の単位で取得する子の看護休暇1日の時間数は、1日の所定労働時間数(日によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1日平均所定労働時間数とし、1日の所定労働時間数又は1年間における1日平均所定労働時間数に1時間を満たない端数がある場合は、1時間に切り上げるものとする)とする。
・ 法令で定められる時間単位の子の看護休暇は、「始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続するものである(後述の時間単位の介護休暇についても同様)。中抜けなしを意味する
・ 時間単位で看護・介護休暇を取得する場合、何時間分の休暇で「1日分」の休暇となるか→例えば、1日の所要労働時間数が7時間30分の場合、時間単位で看護・介護休暇を取得する場合は、「30分」という端数を切り上げて、8時間分の休暇で「1日分」となる。
・ 「年度」は、事業主が別段の定めをする場合を除き、4月1日に始まり、翌3月31日に終わるものとする。
■ 子の看護休暇の申出があった場合に、次の範囲の労働者については、労使協定の締結を条件に対象外とすることが可能である。(育児・介護休業法16条の3)
・ 事業主に引き続き雇用された期間が6か月に満たない労働者
・ 週の所定労働日数が2日以下の労働者
・ 業務の性質若しくは業務の実施体制に照らして1日未満の単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者(1日未満の単位で取得しようとする者に限る)
■ 要介護状態にある対象家族の介護その他の厚生労働省令で定める世話を行う労働者は、その事業主に申し出ることにより、一の年度において5労働日(要介護状態にある対象家族が2人以上の場合にあっては、10労働日)を限度として、当該世話を行うための休暇(介護休暇)を取得することができる。
■ 介護休暇は、1日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるもの以外の者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働省令で定める1日未満の単位で取得することができる。
■ 上記の規定による申出は、厚生労働省令で定めるところにより、介護休暇を取得する日(上記の厚生労働省令で定める1日未満の単位で取得するときは、介護休暇の開始及び終了の日時)を明らかにして、しなければならない。(育児・介護休業法16条の5)
・ 「厚生労働省令で定める世話」とは、対象家族の介護、対象家族の通院等の付添い、対象家族が介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行その他の対象家族の必要な世話、をいう(育児・介護休業則30条の4)
・ 事業主に引き続き雇用された期間が6か月に満たない労働者、週の所定労働日数が2日以下の労働者、業務の性質・業務の実施体制に照らして1日未満の単位で介護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者(1日未満の単位で取得しようとする者に限る)については、労使協定により、介護休暇制度の対象外とすることができる。
■ 介護休暇についても、子の看護休暇と同様に、取得単位は、原則1日であるが、1日未満の単位(時間)での取得も可能である。
■ 介護休暇の時間単位での取得については、法令で「中抜き」なしの形で規定されていること、何時間分の休暇で「1日分」の休暇となるかなどに関しても、子の看護休暇と同様。
■ 事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者であって、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうちこの規定による請求をできないものとして定められた労働者に該当しない労働者が当該子を養育するために請求した場合においては、所定労働時間を超えて労働させてはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。
・ 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
・ 前号に掲げるもののほか、当該請求をできないこととするについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの(週の所定労働日数が2日以下の労働者)
■ 上記の規定による請求は、厚生労働省令で定めるところにより、その期間中は所定労働時間を超えて労働させてはならないこととなる一の期間(1月以上1年以内の期間に限る。制限期間)について、その初日(制限開始予定日)及び末日(制限終了予定日)とする日を明らかにして、制限開始予定日の1月前までにしなければならない。この場合において、制限期間については、育児・介護休業法17条の2前段(同法18条1項において準用する場合を含む)に規定する制限期間(時間外労働の制限の請求による制限期間)と重複しないようにしなければならない。(育児・介護休業法16条の8)
■ 所定外労働の制限(免除)の対象となる労働者は以下のとおりである。
・ 3歳に満たない子を養育する労働者であること(育児のための所定外労働の制限)
・ 要介護状態にある対象家族を介護する労働者(介護のための所定外労働の制限)
・ 日々雇用される者でないこと
・ 労使協定により除外とされた労働者でないこと
・ 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
・ 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
■ 所定外労働の制限(免除)の請求の方法は以下のとおりである。
・ 所定外労働の免除の請求は、1回につき、1月以上1年以内の期間について、開始の日及び終了の日を明らかにして、開始の日の1か月前までにしなければならない。また、この請求は、何回もすることができる。
・ 所定外労働の免除の請求に係る免除期間は、時間外労働の制限の請求に係る制限期間と重複しないようにしなければならない。
■ 請求があった場合には、事業主は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させてはならない。
■ 「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かは、その労働者の所属する事業所を基準として、その労働者の担当する作業の内容、作業の繁閑、代替要員の配置の難易等諸般の事情を考慮して客観的に判断することとなる。
■ 労働基準法41条2号に定める管理監督者については、労働時間等に関する規定が適用除外されていることから、所定外労働の免除の対象外となる。
■ 事業主は、労働者が育児・介護のための所定外労働の制限を請求し、又は当該事業主が当該請求をした労働者について所定労働時間を超えて労働をさせてはならない場合に当該労働者が所定労働時間を超えて労働をしなかったことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
■ 事業主は、労働基準法36条1項の規定により労働時間を延長できる場合において、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者又は要介護状態にある対象家族を介護する労働者(日々雇用される者を除く)が当該子を養育するため又は対象家族を介護するために請求したときは、当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者等である場合を除き、制限期間(1月につき24時間、1年について150時間)を超えて労働時間を延長してはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合には、この限りでない。(育児・介護休業法17条・18条)
・ 制限開始予定日の1月前までに請求
・ 1回の請求につき1月以上1年以内の期間
・ 制限終了日の1月前までに請求することにより、更新することができる。
・ 時間外労働の制限の請求に係る制限期間は、所定外労働の制限の請求に係る制限期間と重複しないようにしなければならない。
■ 事業主は、労働者が時間外労働の制限の請求をし、又は当該事業主が当該請求をした労働者について制限時間を超えて労働時間を延長してはならない場合に当該労働者が制限時間を超えて労働しなかったことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
■ 事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者又は要介護状態にある対象家族を介護する労働者(日々雇用される者を除く)が当該子を養育するため又は対象家族を介護するために請求した場合においては、当該事業主に引き継き雇用された期間が1年に満たない労働者等である場合を除き、午後10時から午前5時までの間(深夜)において労働をさせてはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合には、この限りでない。(育児・介護休業法19条・20条)
・ 制限開始予定日の1月前までに請求
・ 1回の請求につき1月以上6月以内の期間
・ 制限終了日の1月前までに請求することにより、更新することができる。
■ 事業主は、労働者が深夜業の制限の請求をし、又は当該事業主が当該請求をした労働者について深夜において労働させてはならない場合に当該労働者が深夜において労働をしなかったことを理由として、当該労働者に対し解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
■ 事業主は、労働者が当該事業主に対し、当該労働者又はその配偶者が妊娠し、又は出産したことその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定める事実を申し出たときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者に対して、育児休業に関する制度その他の厚生労働省令で定める事項を知らせるとともに、育児休業申出に係る当該労働者の移行を確認するための面談その他厚生労働省令で定める措置を講じなければならない。
■ 事業主は、労働者が上記の規定による申出をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。(育児・介護休業法21条)
■ 育児・介護休業法21条1項に定めるもののほか、事業主は、育児休業および介護休業に関して、あらかじめ、労働者の育児休業および介護休業中における待遇、育児休業および介護休業後における賃金、配置その他の労働条件等に関する事項その他厚生労働省令で定める事項を定め、これご労働者に周知させるための措置(労働者若しくはその配偶者が妊娠し、もしくは出産したこと又は労働者が対象家族を介護していることを知ったときに、当該労働者に対して知らせる措置を含む)を講ずるよう努めなければならない。
■ 事業主は、育児休業又は介護休業をするようことを申し出た労働者に対し、上記に掲げる事項に関する当該労働者に係る取扱いを明示するよう努めなければならない。(育児・介護休業法21条の2)
■ 事業主は、育児休業申出が円滑に行われるようにするため、次の1から3のいずれかの措置を講じなければならない。(育児・介護休業法22条)
・ その雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施
・ 育児休業に関する相談体制の整備
・ その他厚生労働省令で定める育児休業に係る雇用環境の整備に関する措置
■ 事業主は、その雇用する労働者のうち、その3歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないもの(1日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるものを除く)に関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にする措置(育児のための所定労働時間の短縮措置)を講じなければならない。ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児のための所定労働時間の短縮措置を講じないものとして定められた労働者に該当する労働者については、この限りでない。
・ 当該労働者に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
・ アに掲げるもののほか、育児のための所定労働時間の短縮措置を講じないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
・ ア、イに掲げるもののほか、業務の性質又は業務の実施体制に照らして、育児のための所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者
■ 事業主は、その雇用する労働者のうち、上記の但書の規定によりウに掲げる労働者であってその3歳に満たない子を養育するものについて育児のための所定労働時間の短縮措置を講じないこととするときは、当該労働者に関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づく育児休業に関する制度に準ずる措置又は労働基準法32条の3第1項(フレックスタイム制)の規定により労働することその他の当該労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための措置(育児・介護休業法24条1項において「始業時刻変更等の措置」)を講じなければならなない。
■ 事業主は、その雇用する労働者のうち、その要介護状態にある対象家族を介護する労働者であって介護休業をしないものに関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づく連続する3年の期間以上の期間における所定労働時間の短縮その他の当該労働者が就業しつつその要介護状態にある対象家族を介護することを容易にするための措置(介護のための所定労働時間の短縮等の措置)を講じなければならない。ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち介護のための所定労働時間の短縮等の措置を講じないものとして定められた労働者に該当する労働者については、この限りでない。
・ 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
・ アに掲げるもののほか、介護のための所定労働時間の短縮等の措置を講じないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
■ 上記の本文の期間は、当該労働者が介護のための所定労働時間の短縮等の措置の利用を開始する日として当該労働者が申し出た日から起算する。(育児・介護休業法23条)
■ 育児のための所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度)
・ 短時間勤務制度の対象となる労働者
・ 3歳に満たない子を養育する労働者であること
1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
・ 日々雇用される者でないこと
・ 短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと
・ 労使協定により適用除外とされた労働者でないこと
・ 労使協定により短時間勤務制度の対象外とすることができる者
・ 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
・ 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
・ 業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者
・ 短時間勤務制度の内容
・ 短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものでなければならない
・ 「原則として6時間」とは、所定労働時間の短縮措置は、1日の所定労働時間を6時間とすることを原則としつつ、通常の所定労働時間が7時間45分である事業所において短縮後の所定労働時間を5時間45分とする場合などを勘案し、短縮後の所定労働時間について、1日5時間45分から6時間までを許容する趣旨である。
・ 労働基準法41条2号に定める管理監督者については、労働時間等に関する規定が適用除外とされていることから、所定労働時間の短縮措置を講じなくても構わない
■ 3歳に満たない子を養育する労働者に対する代替措置
・ 短時間勤務制度について、「業務の性質又は業務の実施体制に照らして、育児のための所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者」として労使協定により適用除外とされた労働者に関して、事業主は、育児休業に関する制度に準ずる措置又は「始業時刻変更等の措置」を講じなければならない。
・ 始業時刻変更等の措置とは、次のいずれかの措置をいう
・ フレックスタイムの制度
・ 始業又は終業の時刻の繰上げ又は繰り下げる制度(時差出勤の制度)
・ 労働者の3歳に満たない子に係る保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与
■ 介護のための所定労働時間の短縮等の措置
・ 事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について、就業しつつ対象家族の介護を行うことを容易にする措置として、連続する3年間以上の期間における所定労働時間の短縮等の措置を講じなければならない。
・ 介護のための所定労働時間の短縮等の措置は、2回以上の利用ができる措置としなければならない。
・ 措置の対象となる労働者
・ 要介護状態にある対象家族を介護する労働者であること
・ 日々雇用される者でないこと
・ 措置が適用される期間に現に介護休業をしていないこと
・ 労使協定により適用除外とされた労働者でないこと
・ 労使協定により措置の対象外とすることができる者
・ 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
・ 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
・ 措置の内容
・ 介護のための所定労働時間の短縮等の措置は、2回以上利用できる措置として、次のいずれかの方法により講じなければならない(育児・介護休業則74条3項)
・ 短時間勤務の制度
1日の所定労働時間を短縮する制度
・ 週又は月の所定労働時間を短縮する制度
・ 週又は月の所定労働日数を短縮する制度
・ 労働者が個々に勤務しない日又は時間を請求することを認める制度
・ フレックスタイムの制度
・ 始業又は終業の時刻を繰上げ又は繰下げる制度
・ 労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度
・ 事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者についてオに掲げる措置のうち少なくとも1つを講ずれば足り、労働者の求めの都度これに応じた措置を講ずることまで義務付けられているわけではない。
3年以上の期間の起算日
・ 連続する3年間以上の期間は、労働者が措置の利用を開始する日として申出をした日から起算する。
■ 不利益取扱いの禁止
・ 事業主は、労働者が上記の規定による申出をし、又は当該労働者に措置が講じられたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
■ 育児・介護休業法24条の措置のうち、子の養育に関するものを整理すると次の通りです。事業主は、以下の労働者の区分に応じて定める制度又は措置に準じて、必要ないずれかの措置を講じるよう努めなければならないとされています。
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■ (※)パパ・ママ育休プラスにより育児休業の申出をすることができる場合にあっては、1歳2か月、1歳6か月まで育児休業の申出をすることができる場合にあっては1歳6か月
■ 育児・介護休業法25条の厚生労働省令で定める制度(育児・介護休業則76条)は以下のものを指す。
・ 育児休業
・ 介護休業
・ 子の看護休暇
・ 介護休暇
・ 所定外労働の制限の制度
・ 時間外労働の制限の制度
・ 深夜業の制限の制度
・ 育児のための所定労働時間の短縮措置
・ 法23条2項の規定による育児休業に関する制度に準ずる措置又は始業時刻変更等の措置
・ 介護のための所定労働時間の短縮措置
■ 育児・介護休業法25条は、職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等を規定する。「育児休業等に関するハラスメント」の防止措置を義務付けるものである。平成29年1月から施行された新しい規定。男女雇用機会均等法において新設された「職場における妊娠、出産等に関するハラスメント」の防止措置を義務付ける規定と併せて覚えておきましょう。
■ 育児・介護休業法25条の2は、職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務を規定する。その規定はいずれも「努めなければならない」という努力義務である。
■ 事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。(育児・介護休業法26条)
■ 育児・介護休業法28条の規定に基づいて、「子の養育又は家族介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」が定められている。
■ 事業主は、育児・介護休業法の規定に基づき事業主が講ずる措置及び子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために講ずべきその他の措置の適切かつ有効な実施を図るための業務を担当する者(職業家庭両立推進者)を選任するように努めなければならない。(育児・介護休業法29条)。
■ 紛争等の事業主としての義務は、派遣元事業主及び派遣先事業主の双方が負うこととなる。
[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter8
次世代育成支援対策推進法
■ 次世代育成支援対策推進法は、我が国における急速な少子化の進行及び家庭及び地域の取り巻く環境の変化にかんがみ、次世代育成支援対策に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業主及び国民の責務を明らかにするとともに、行動計画策定指針並びに地方公共団体及び事業主の行動計画の策定その他の次世代育成支援対策を推進するために必要な事項を定めることにより、次世代育成支援対策を迅速かつ重点的に推進し、もって次代の社会を担う子供が健やかに生まれ、かつ、育成される社会の形成に資することを目的とする。(次世代育成支援対策推進法1条)
■ 次世代育成支援対策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭その他の場において、子育ての意義についての理解が深められ、かつ、子育てに伴う喜びが実感されるように配慮して行わなければならない。(次世代育成支援対策推進法3条)
■ 事業主は、基本理念にのっとり、その雇用する労働者に係る多様な労働条件の整備その他の労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な雇用環境の整備を行うことにより自ら次世代育成支援対策を実施するよう努めるとともに、国又は地方公共団体が講ずる次世代育成支援対策に協力しなければならない。(次世代育成支援対策推進法5条)
■ 主務大臣は、次世代育成支援対策の総合的かつ効果的な推進を図るため、基本理念にのっとり、次世代育成支援対策推進法8条1項の市町村行動計画及び9条1項の都道府県行動計画並びに12条1項の一般事業主行動計画及び19条1項の特定事業主行動計画の策定に関する指針(行動計画策定指針)を定めなければならない。(次世代育成支援対策推進法7条)
■ 市町村(都道府県)は行動計画策定指針に則した市町村行動計画(都道府県行動計画)を5年ごとに策定することができる。
■ 市町村(都道府県)は、おおむね1年に1回、市町村行動計画(都道府県行動計画)に基づく措置の実施の状況を公表するよう努めるものとする。また定期的に同行動計画に基づく措置の実施の状況に関する評価を行い、市町村行動計画(都道府県行動計画)に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更することその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
■ 国及び地方公共団体以外の事業主(一般事業主)であって、常時雇用する労働者の数が100人を超えるものは、行動計画策定指針に則して、一般事業主行動計画(一般事業主が実施する次世代育成支援対策に関する計画)を策定し、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣にその旨を届け出なければならない。これを変更したときも同様とする。
■ 一般事業主行動計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする
・ 計画期間
・ 次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標
・ 実施しようとする次世代育成支援対策の内容及びその実施時期
■ 上記に規定する一般事業主は、一般事業主行動計画を策定し、又は変更したときは、厚生労働省令で定めるところにより、これを公表しなければならない。
■ 一般事業主であって、常時雇用する労働者の数が100人以下のものは、行動計画策定指針に則して、一般事業主行動計画を策定し、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣にその旨を届け出るよう努めなければならない。これを変更したときも同様とする。(次世代育成支援対策推進法12条)
■ 一般事業主行動計画を届出又は公表しなくても、罰則の適用はない。
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■ 次世代育成支援対策推進法13条の認定を受けた一般事業主(認定一般事業主)は、商品又は役務、その広告又は取引に用いる書類若しくは通信その他の厚生労働省令で定めるもの(広告等)に厚生労働大臣の定める表示を付することができる。
■ 何人も、上記の規定による場合を除くほか、広告等に上記の表示またはこれと紛らわしい表示を付してはならない。(次世代育成支援対策推進法14条)
■ 上記の厚生労働大臣が定める表示として、「くるみん」マークが定められている。
■ 次世代育成支援対策推進法15条の2の認定を受けた認定一般事業主(特例認定一般事業主)については、次世代育成支援対策推進法12条1項及び4項の規定は、適用しない。
■ 特例認定一般事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、毎年少なくとも1回、次世代育成支援対策の実施の状況を公表しなければならない。(次世代育成支援対策推進法15条の3)
■ 特例認定一般事業主は、広告等に厚生労働大臣の定める表示を付することができる
■ 何人も、上記の規定による場合を除くほか、広告等に上記の表示またはこれと紛らわしい表示を付してはならない。(次世代育成支援対策推進法15条の4)
■ 上記の厚生労働大臣が定める表示として、「プラチナくるみん」マークが定められている。
■ 平成27年4月1日から、雇用環境の整備に関し適切な行動計画を策定し実施している旨の厚生労働大臣による認定を受けた事業主のうち、特に次世代育成支援対策の実施の状況が優良なものについて、①厚生労働大臣による新たな認定(特例認定)の制度を創設、②特例認定を受けた場合、一般事業主行動計画の策定・届出義務に代えて、当該次世代育成支援対策の実施状況の公表を義務付けることとした。
■ 令和4年4月1日を施行日として、次世代育成支援対策推進法の施行規則が改正され、認定制度について、次の通りの見直しが行われた。
・ くるみんの認定基準とマークの改正
・ 男性の育児休業等の取得に関する基準の改正
・ 男性育児休業等取得率
・ 現行7%以上 → 10%以上(令和4年4月1日以降)
・ 男性の育児休業等・育児目的休暇取得率
・ 現行15%以上 → 20%以上(令和4年4月1日以降)
・ 認定基準に、男女の育児休業等取得率等を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表することを追加
・ プラチナくるみんの特例認定基準の改正
・ 男性の育児休業等の取得に関する基準の改正
・ 男性の育児休業等取得率
・ 現行13%以上 → 30%以上(令和4年4月1日以降)
・ 男性の育児休業等・育児目的休暇取得率
・ 現行30%以上 → 50%以上(令和4年4月1日以降)
・ 女性の継続就業に関する基準の改正
・ 出産した女性労働者及び出産予定だったが退職した女性労働者のうち、子の1歳時点での在職者割合
・ 現行55% → 70%(令和4年4月1日以降)
・ 新たな認定制度「トライくるみん」の創設
・ 認定基準は、現行のくるみんと同じ
・ トライくるみん認定を受けていれば、くるみん認定を受けていなくても直接プラチナくるみん認定を申請できる
・ 新たに不妊治療と仕事の料率に関する認定制度を創設
・ くるみん、プラチナくるみん、トライくるみんの一類型として、不妊治療と仕事を両立しやすい職場環境整備に取り組む企業の認定制度を創設(プラス認定)
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[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter9
女性活躍推進法
■ この法律は、近年、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍すること(女性の職業生活における活躍)が一層重要となっていることに鑑み、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進について、その基本原則を定め、並びに国、地方公共団体及び事業主の責務を明らかにするとともに、基本方針及び事業主の行動計画の策定、女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置等について定めることにより、女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、もって男女の人権が尊重され、かつ、急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化その他の社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力のある社会を実現することを目的とする。(女性活躍推進法1条)
■ この法律は、令和8年3月31日限り、その効力を失う。(女性活躍推進法附則2条)
■ 女性活躍推進法における一般事業主行動計画の策定等については、これまでは、常時雇用労働者数が300人を超える場合は義務、300人以下の場合は努力義務とされていたが、令和4年4月1日施行の改正で、常時雇用労働者数が100人を超える場合は義務、100人以下の場合は努力義務とされた。(女性活躍推進法8条)
■ 厚生労働大臣は、認定一般事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、女性活躍推進法9条の認定を取り消すことができる。
・ 女性活躍推進法9条に規定する基準に適合しなくなったと認めるとき
・ この法律又はこの法律に基づく命令に違反したとき
・ 不正の手段により女性活躍推進法9条の認定を受けたとき
■ 女性活躍推進法10条1項の規定の厚生労働大臣が定める表示として、「えるぼし」マークが定められている。(女性活躍推進法10条)
■ 特例認定一般事業主の特例等(女性活躍推進法13条)
・ 女性活躍推進法12条の認定を受けた一般事業主(特例認定一般事業主)については、女性活躍推進法8条1項及び7項の規定(一般事業主行動計画の策定・届出等)は、適用しない。
・ 特例認定一般事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、毎年少なくとも1回、女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施の状況を公表しなければならない。
■ 特例認定一般事業主の認定の取消し(女性活躍推進法15条)
・ 厚生労働大臣は、特例認定一般事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、女性活躍推進法12条の認定を取り消すことができる。
・ 女性活躍推進法11条の規定により同法9条の認定を取り消すとき
・ 女性活躍推進法12条に規定する基準に適合しなくなったと認めるとき
・ 女性活躍推進法13条2項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき
・ 前号に掲げる場合のほか、この法律又はこの法律に基づく命令に違反したとき
・ 不正の手段により女性活躍推進法12条の認定を受けたとき
■ 女性活躍推進法14条の厚生労働大臣の定める表示として、「プラチナえるぼし」マークが定められている。
■ 女性活躍推進法8条1項に規定する一般事業主(常時雇用する労働者数が300人を超えるものに限る)は、厚生労働省令で定めるところにより、職業生活を営み、又は営もうとする女性の職業選択に資するよう、その事業における女性の職業生活における活躍に関する次に掲げる情報を定期的に公表しなければならない。
・ その雇用し、又は雇用しようとする女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績
・ その雇用する労働者の職業生活及び家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績
■ 一般事業主行動計画の策定・届出などをしなくても、罰則の適用はない。
■ 常時雇用労働者数100人を分岐点として、義務と努力義務に区別される(次世代育成支援対策推進法における一般事業主行動計画も、常時雇用労働者数100人が分岐点)
[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter10
短時間労働者・有期雇用労働者雇用管理改善法
■ 短時間労働者・有期雇用労働者雇用管理改善法は、我が国における少子高齢化の進展、就業構造の変化等の社会経済情勢の変化に伴い、短時間・有期雇用労働者の果たす役割の重要性が増大していることに鑑み、短時間・有期雇用労働者について、その適正な労働条件の確保、雇用管理の改善、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図ることを通じて短時間・有期雇用労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もってその福祉の増進を図り、併せて経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。(パートタイム・有期雇用労働法1条)
■ この法律において、「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者(当該事業主に雇用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業主に雇用される労働者にあっては、原則として当該労働者と同種の業務に従事する当該通常の労働者)の1週間の所定労働時間に比して短い労働者をいう。
■ この法律において「有期雇用労働者」とは、事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者をいう。
■ パートタイム・有期雇用寮同法では、「短時間労働者」を、「1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比して短い労働者」と定義している。〇〇時間未満という要件がないことに注意。
■ 同法では、令和2年4月より、短時間労働者に有期雇用労働者を合わせて、「短時間・有期雇用労働者」と定義し、その雇用管理の改善等を図るための規定を設けている。
■ なお、「通常の労働者」は、短時間・有期雇用に該当しない「フルタイム・無期雇用の労働者」となるのが基本
■ 事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該短時間・有期雇用労働者に対して、労働条件に関する事項のうち労働基準法15条1項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定めるもの(特定事項)を文章の交付その他厚生労働省令で定める方法(文書の交付等)により明示しなければならない。(パートタイム・有期雇用労働法6条)
■ 「特定事項」とは、昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口(パートタイム・有期雇用労働則2条)
■ 「文書の交付等」とは、文書の交付のほか、ファクシミリを利用してする送信の方法、電子メールの送信の方法、等
■ 6条1項の規定に違反した者(特定事項について文書の交付等により明示しなかった者)は、「10万円以下の過料」に処せられる(パートタイム・有期雇用労働法47条)
■ 事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする。(パートタイム・有期雇用労働法7条)
■ 労働基準法上は、一部の労働者(例えばパートタイマー)のみに適用される就業規則といえども、これらも併せた就業規則全体について、過半数で組織する労働組合があれば労働組合、これがない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴けばよいことになるが、パートタイム・有期雇用労働法では、これに加え、当該事業所において雇用する短時間労働者(有期雇用労働者)の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くよう努力義務を設けている。
■ 令和2年4月施行の改正で、同一労働同一賃金の実現に向けて、「均衡待遇」規定の明確化が図られました。その待遇均衡規定がパートタイム・有期雇用労働法8条の条文となる。
■ また、パートタイム・有期雇用労働法9条で、「均等待遇」規定の対象に有期雇用労働者を加える改正も行われている。その他、従来からある賃金、教育訓練、福利厚生施設に関する均衡待遇規定の対象についても有期雇用労働者を加えるなどの改正が行われている。
■ 「均衡待遇規定」の内容(不合理な待遇差の禁止)
・ ①職務内容、②職務内容・配置の変更範囲、③その他の事情の内容を考慮して不合理な待遇差を禁止
■ 「均等待遇規定」の内容(差別的取扱いの禁止)
・ ①職務内容・②配置の変更範囲が同じ場合は、差別的取扱いの禁止
■ 事業主は、職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者(職務内容同一短時間・有期雇用労働者)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるもの(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者)については、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的な取扱いをしてはならない。(パートタイム・有期雇用労働法9条)
■ 事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者を除く)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し、その賃金(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く)を決定するように努めるものとする。(パートタイム・有期雇用労働法10条)
■ 厚生労働省令で定める賃金(パートタイム・有期雇用労働則3条)は、通勤手当、家族手当、住宅手当、別居手当、子女教育手当その他名称のいかんを問わず支払われる賃金(職務の内容に密接に関連して支払わせるものを除く)とする。
■ 「通勤手当」という名称であっても、距離や実際にかかっている経費に関係なく一律の金額を支払っているような、職務の内容に密接に関連して支払われているものは、正社員との均衡を考慮しつつ、短時間・有期雇用労働者の職務の内容、成果、意欲、能力、経験などの事項を考慮して決定するよう努める必要がある。
■ 「職務の内容、成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案する」とは、例えば、短時間・有期雇用労働者の賃金を短時間・有期雇用労働者だからということで一律に決定するのではなく、職務の内容や経験に応じて賃金を決定することをいう。
■ パートタイム・有期雇用労働法12条の対象となる福利厚生施設は、給食施設、休憩施設、更衣室(パートタイム・有期雇用労働則5条)
■ 事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間・有期雇用労働者について、次のいずれかの措置を講じなければならない。(パートタイム・有期雇用労働法13条)
・ 通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示することなどにより、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該事業所において雇用する短時間・有期雇用労働者に周知すること。
・ 通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間・有期雇用労働者に対して与えること
・ 一定の資格を有する短時間・有期雇用労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を設けることその他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること。
■ 令和2年4月施行の改正で、事業主が講ずる措置等の内容の説明の対象に有期雇用労働者を追加する、待遇差の内容の説明も必要とする、不利益な取扱いの禁止を設けるといった改正が行われた。14条2項については、求めがあれば、待遇差の内容の説明も必要となり、3項のように不利益な取扱いの禁止も規定されていることも注意
■ 15条の規定に基づいて、「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(いわゆる同一労働同一賃金ガイドライン)」が定められている。
■ 法の実効性を高めるため、平成27年4月1日からは、雇用管理の改善措置の規定に違反している事業主が、厚生労働大臣の勧告に従わない場合は、厚生労働大臣は事業主名を公表することができることとされた。(パートタイム・有期雇用労働法18条)
■ 苦情や紛争については、事業所内で自主的に解決することが望ましいが、解決できない場合には、都道府県労働局長の紛争解決の援助(24条)、調停(25条)の仕組みが適用される。
■ 事業主は、常時厚生労働省令で定める数(10人)以上の短時間・有期雇用労働者を雇用する事業所ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、指針に定める事項その他の短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項を管理させるため、短時間・有期雇用管理者を選任するように努めるものとする。(パートタイム・有期雇用労働法17条)
[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter11
最低賃金
■ 最低賃金法は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保証することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。(最低賃金法1条)
■ 最低賃金額は、時間によって定めるものとする。(最低賃金法3条)
■ 従来、時間額、日額、週額又は月額で定めることとされていた最低賃金額の表示単位が、「時間額のみ」となった。
■ 使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。(最低賃金法4条)
■ 最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で、最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、最低賃金と同様の定めをしたものとみなす。
■ 次に掲げる賃金は、最低賃金に算入しない。
・ 臨時に支払われる賃金
・ 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
・ 所定労働時間以外の労働や所定休日の労働に対する賃金
・ 深夜労働に対して支払われる賃金 等
■ 最低賃金の対象となる賃金には、1か月を超える期間ごとに支払われる賞与や残業手当(時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金)、精皆勤手当、通勤手当及び家族手当などは含まれない。
■ 最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類がある。
■ 地域別最低賃金とは、産業や職種にかかわりなく、都道府県内のすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金として、各都道府県に1つずつ、全部で47の最低賃金が定められている。
■ 特定最低賃金は、特定の産業について、関係労使が基幹的労働者を対象として、地域別最低賃金より金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めるものについて設定されており、各都道府県に全部で250の最低賃金が定められている。
■ なお、平成20年7月1日の改正最低賃金法の施行により、従前の「労働協約拡張適用方式」は廃止された。
■ 使用者が厚生労働省令で定めるところにより都道府県労働局長の許可を受けたときは、次に掲げる労働者については、当該最低賃金において定める最低賃金額から当該最低賃金額に労働能力その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める率を乗じて得た額を減額した額より最低賃金法4条の規定を適用する。(最低賃金法7条)
・ 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
・ 試しの使用期間中の者(特例適用期間は最長で6か月を限度とする)
・ 認定職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であって厚生労働省令で定めるもの
・ 軽易な業務に従事する者その他厚生労働省令で定める者(軽易な業務に従事する者・断続的労働に従事する者)
■ すべての労働者に最低賃金を適用するため、障害により著しく精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い労働能力の低い者、試の使用期間中の者、認定職業訓練を受けている者等に関する適用除外許可規定が廃止され、最低賃金の減額特例許可規定最低賃金の減額特例許可規定が新設された。
■ 最低賃金の適用を受ける使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該最低賃金の概要を、常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならない。(最低賃金法8条)
賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障するため、地域別最低賃金(一定の地域ごとの最低賃金をいう)は、あまねく全国各地域について決定されなければならない。
■ 地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定めなければならない。
■ 上記の労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする。(最低賃金法9条)
■ 最低賃金制度の第一義的な役割は、すべての労働者について賃金の最低額を保障する安全網であり、その役割は地域別最低賃金を果たすべきものであることから、すべての地域において地域別最低賃金を決定しなければならない旨を明確にした。
■ 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、一定の地域ごとに、中央最低賃金審議会又は地方最低賃金審議会(最低賃金審議会)の調査審議を求め、その意見を聴いて、地域別最低賃金を決定しなければならない。(最低賃金法10条)
■ 派遣中の労働者については、その派遣先の事業の事業場の所在地を含む地域について決定された地域別最低賃金において定める最低賃金額により最低賃金法4条(最低賃金の効力)の規定を適用する。(最低賃金法13条)
■ 特定最低賃金は、従来は産業別最低賃金と呼ばれていたもので、関係労使が、基幹的労働者を対象として、地域別最低賃金より高い水準の最低賃金を必要と認められるものについて設定される者である。
■ 特定最低賃金は、関係労使の申し出を受けて、厚生労働大臣又は都道府県労働局長が、決定(改正)の必要性を最低賃金審議会に諮問し、必要との意見が出された場合に、同審議会で審議された意見(答申)を尊重して決定(改正)するものである。
■ 厚生労働省に中央最低賃金審議会を、都道府県労働局に地域最低賃金審議会を置く。
■ 最低賃金審議会は、最低賃金法の規定によりその権限に属されられた事項をつかさどるほど、地方最低賃金審議会にあっては、都道府県労働局長の諮問に応じて、最低賃金に関する重要事項を調査審議し、及びこれに関し必要と認める事項を都道府県労働局長に建議することができる。(最低賃金法20条、21条)
■ 労働者は、事業場に最低賃金法又はこれに基づく命令の規定に違反する事実があるときは、その事実を都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官に申告して是正のため適当な措置をとるように求めることができる。
■ 使用者は、上記の申告をしたことを理由として、労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。(最低賃金法34条)
■ 34条2項(監督機関に対する申告をしたことを理由とする不利益取扱いの禁止)の規定に違反した者 → 6月以下の懲役又は30万円以下の罰金
■ 4条1項の規定に違反した者(地域別最低賃金額及び船員に適用される特定最低賃金に係る者に限る) → 50万円以下の罰金
■ 次のいずれかに該当する者 → 30万円以下の罰金
・ 8条の規定に違反した者(地域別最低賃金額及び船員に適用される特定最低賃金を周知させるための措置をとらなかった)
・ 29条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
・ 32条1項の規定による立入若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述せず、若しくは虚偽の陳述をした者
■ 特定最低賃金については、その不払について最低賃金法の罰則は適用されないことになるが、これについては賃金の全額払違反(労働基準法24条違反)となるから、これによる罰則(罰金額の上限30万円)が適用されることになる。
[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter12
労働組合法
■ 労働組合法は、労働者が使用者との交渉において対等な立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続きを助成することを目的とする。
■ 労働組合の正当な行為については、刑法35条の規定(法令によってなした行為、あるいは正当な業務によってなした行為は罰しない)の適用がある。ただし、いかなる場合においても、暴力の行使は、労働組合の正当な行為には該当しない。(労働組合法1条)
■ 労働組合法で「労働組合」とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。ただし、次のいずれかに該当するものは労働組合法上の労働組合としては取り扱われない。(労働組合法2条)
・ 使用者の利益を代表する者の参加を許すもの
・ 使用者の経理上の援助を受けるもの
・ 共済事業その他福利事業のみを目的とするもの
・ 主として政治運動又は社会運動を目的とするもの
■ 経理上の援助のうち、経理援助に該当しないもの
・ 最小限の広さの組合事務所を使用者が供与すること
■ 労働組合法で「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給与その他これに準ずる収入によって生活する者をいう。(労働組合法3条)
■ 労働者の比較
・ 労働組合法(3条)
・ 職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活をする者をいう。
・ 他人との間に使用従属の関係に立って労務に服し、報酬を受けて生活する者をいい、現に就業していると否とを問わないため、失業者を含む。
・ 労働基準法(9条)
・ 職業の種類を問わず、事業又は事業所(事業)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう
・ 事業に使用される者で、賃金を支払われる者に限定されるため、失業者は含まれない。
■ 労働組合の規約には、名称、主たる事業所の所在地、単位労働組合の組合員は、その労働組合のすべての問題に参与する権利及び均等の取扱いを受ける権利を有することなどのほか、「総会は、少なくとも毎年1回開催すること」を、その規定に含まなければならない。(法5条2項6号)
■ ここでいう「総会」とは、代議員制度を採っている場合には、その代議員制度による大会を指し、全組合員により構成されるものでなくてもよい(昭和29年労発126号)
■ 労働組合の規約には、「同盟罷業は、組合員又は組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票の過半数による決定を経なければ開始しないこと」を含まなければならない(法5条2項8号)
■ 組合側が従業員でないものを代表者として団体交渉を申し込んだ場合、その者が当該使用者に雇用される労働者の代表者である限り、使用者が単にその者が自己の従業員でないというだけの理由でその者との団体交渉を拒否することは、不当労働行為となる。
■ 不当労働行為(7条)
・ 黄犬契約を結ぶこと → 労働者が、労働組合に加入しないこと、又は労働組合から脱退することを雇用条件とする契約
・ 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと
■ 不当労働行為に該当しないもの
・ ショップ協定を締結すること → その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を結ぶこと
・ チェック・オフ → 組合費を組合員の賃金その他の給与から差し引くこと
■ 労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずる。(労働組合法14条)
■ 労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する協定は、書面に作成され、かつ両当事者の署名又は記名押印がなされている限り、その名称のいかんにかかわらず、労働組合法上の労働協約となる。
■ 労働協約は、3年を超える有効期間の定めをすることができない。(労働組合法15条)
■ 労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となった部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定めがない部分についても、同様とする。(労働組合法16条)
■ 労働協約中の「労働条件その他の労働者の待遇に関する基準」については、個々の労働契約を直接規律する「規範的効力」が与えられており、これに違反する労働契約の部分は無効となり、無効となった部分は労働協約上の基準に定めるところによる。また、労働契約に定めがない部分についても労働協約で定める基準によることになる。
■ 一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする。(労働組合法17条)
■ 労働委員会は、その事務を行うために必要があると認めるときは、使用者又はその団体、労働組合その他の関係者に対して、出頭、報告の提出若しくは必要な帳簿書類の提出を求め、又は委員若しくは労働委員会の職員に関係工場事業場に臨検し、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。(労働組合法22条)
■ 労働委員会は「使用者委員」「労働者委員」「公益委員」の三者から成り立っている。
■ 都道府県労働委員会又は中央労働委員会の証人等出頭命令又は物件提出命令(証人等出頭命令等)を受けた者は、証人等出頭命令等について不服があるときは、証人等出頭命令等を受けた日から1週間以内(天災その他この期間内に審査の申立てをしなかったことについてやむを得ない理由があるときは、その理由がやんだ日の翌日から起算して1週間以内)に、その理由を記載した書面により、中央労働委員会に異議又は審査を申し出ることができる(労働組合法27条の10)
■ 都道府県労働委員会の発した命令に不服がある当事者は、中央労働委員会に再審査の申立てをしたり、地方裁判所に命令の取消を求める行政訴訟(取消訴訟)を提起することができる。使用者が30日以内に救済命令等の取消の訴訟の訴えをしないときは、救済命令等は確定する
■ 使用者は、都道府県労働委員会の救済命令等の交付を受けたときは、15日以内(天災その他この期間内に再審査の申立てをしなかったことについてやむを得ない理由があるときは、その理由がやんだ日の翌日から起算して1週間以内)に中央労働委員愛に再審査の申立てをすることができる。ただし、この申し立ては、救済命令等の効力を停止せず、救済命令等は、中央労働委員会が再審査の結果、これを取消し、又は変更したときに、この効力を失う。
■ 上記の規定は、労働組合又は労働者が中央労働委員会に対して行う再審査の申立てについて準用する。(労働組合法27条の15)
■ 再審査の申立てにより救済命令等の効力は停止しないが、中央労働委員会の再審査の結果、交付した命令等を取消し、変更したときは、この効力を失う。
■ 救済命令等の全部または一部が確定判決によって支持された場合において、その違反があったときは、その行為をした者は、1年以下の禁錮もしくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。(労働組合法28条)
[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter13
労働関係調整法
■ 労働関係調整法は、労働組合法と相俟って、労働関係の公正な調整を図り、労働争議を予防し、又は解決して、産業の平和を維持し、もって経済の興隆に寄与することを目的とする。(労働関係調整法1条)
■ 労働関係調整法において「労働争議」とは、労働関係の当事者間において、労働関係に関する主張が一致しないで、そのために争議行為が発生している状態又は発生するおしれがある状態をいう。
■ 労働関係調整法において「争議行為」とは、同盟罷業(ストライキ)、怠業(サボタージュ)、作業所閉鎖(ロックアウト)その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行う行為及びこれに対抗する行為であって、業務の正常な運営を阻害するものをいう。(労働関係調整法6条から8条)
■ 争議行為が発生したときの届出について、「公益事業」と「公益事業以外」とで別の取扱いをしている。
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■ 労働争議の調整方法には、以下の3つがある。
・ 斡旋
・ 調停
・ 仲裁
■ 公益事業以外について、労働協約の定めがなくとも、労使の一方のみからの申請により開始できるのは、「斡旋」である。
■ 安全保持の義務と争議行為の制限について定めている。工場事業場の安全保持義務は、争議行為より優先される。
[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter14
個別労働関係紛争解決促進法
■ 個別労働関係紛争解決促進法は、労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての個々の求職者と事業主との間の紛争を含む。個別労働関係紛争)について、あっせんの制度を設けること等により、その実情に即した迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする。(個別労働関係紛争解決促進法1条)
■ 労働者と事業主との間の紛争であっても、「労働関係」に関しない事項についての紛争、例えば、労働者と事業主の私的な関係における金銭の貸借に関する紛争などについては、個別労働関係紛争には含まれない。
■ 個別労働関係紛争は、「個々の労働者」が一方の紛争当事者となる紛争であり、労働組合、労働者の家族、労働者が死亡した場合の相続人等が紛争当事者となる紛争は、個別労働関係紛争に該当しない。また、紛争当事者である事業主が倒産等により消滅し(合併による消滅を除く)、又は個人事業主が死亡した場合(相続人が事業を相続した場合を除く)は、紛争の一方の当事者が存在しないため対象とならない。
■ 労働者の募集又は採用に関する事項は、労働関係に入る以前の事項であるが、労働関係が生じる入口段階である募集及び採用は、労働者の職業生活を決定づける重要な段階であり、これらの紛争が生じた場合にも簡易・迅速な解決が求められることから、個別労働関係に含まれることとされている。(ただし、あっせんの対象となる個別労働関係紛争には含まれない)
■ 次の紛争は、助言及び指導の対象となる紛争に含まれない(あっせんの対象ともならない)
・ 労働関係調整法6条に規定する労働争議に当たる紛争
・ 行政執行法人の労働関係に関する法律26条1項に規定する紛争
・ 男女雇用機会均等法16条に関する紛争
・ パートタイム・有期雇用労働法23条に規定する紛争
・ 育児・介護休業法52条の3に規定する紛争
・ 障害者雇用促進法74条の5に規定する紛争
■ また、裁判において紛争中である紛争又は確定判決が出された紛争、裁判所の民事調停において手続きが進行している紛争又は調停が終了した紛争等については、その解決のためにこの法律に基づく助言又は指導をすることが不適当又は不必要と判断されるものであるため、助言又は指導は行わない。
■ 助言・指導は、私人間の紛争の解決の促進を図るために、紛争当事者双方から事情を聴取し、問題点を整理したうえで解決の方向性を示唆するものであり、行政処分には該当しないため、これを行わないとした場合でも、不作為に係る不服申し立て等の対象とはならない。
■ 都道府県労働局長は、個別労働関係紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く)について、当該個別労働関係紛争の当事者(紛争当事者)の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において当該個別労働関係紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとする。(個別労働官営紛争解決促進法5条)
■ 労働者の「募集及び採用」に関する事項についての紛争は、助言及び指導の対象となる紛争に含まれるが、あっせんの対象からは除かれている。
[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter15
労働契約法
■ 労働契約法は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑におこなわれるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。(労働契約法1条)
■ 「その他労働契約に関する基本的事項」には、労働契約法3条1項以外の1勝の労働契約の原則等を定める規定、6条及び8条以外の2章の就業規則と労働契約との法的関係等を定める規定、3章の出向、懲戒及び解雇に関する権利濫用禁止規定及び4章の期間の定めのある労働契約に関する規定が含まれる。
■ 労働契約法において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。
■ 労働契約法において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。(労働契約法2条)
■ 法2条1項の「労働者」とは、「使用者」と相対する労働契約の締結当事者であり、「使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者」のすべてが含まれる。
■ 法2条1項の「労働者」に該当するか否かは、同項に「使用者に使用されて」と規定しているとおり、労務提供の形態や報酬の労務対償性およびこれらに関連する諸要素を勘案して総合的に判断し、使用従属関係が認められるか否かにより判断されるものであり、これが認められる場合には、「労働者」に該当するものである。これは、労働基準法9条の「労働者」の判断と同様の考え方である。
■ 民法623条の「雇用」の労働に従事する者は、法2条1項の「労働者」に該当するものである。また、民法623条の「請負」、民法643条の「委任」又は非典型契約で労務を提供する者であっても、契約形式にとらわれず実態として使用従属関係が認められる場合には、法2条1項の「労働者」に該当するものである。
■ 法2条2項の「使用者」とは、「労働者」と相対する労働契約の締結当事者であり、「その使用する労働者に対して賃金を支払う者」というものである。したがって、個人企業の場合はその企業主個人、会社その他の法人組織の場合はその法人そのものである。これは、労働基準法10条の「事業主」に相当するものであり、同条の「使用者」より狭い概念である。
■ 労働契約は、労働者及び使用者が対等な立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
■ 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
■ 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
■ 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。(労働契約法3条)
■ 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
■ 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む)について、できる限り書面により確認するものとする。(労働契約法4条)
■ 法4条1項は、労働契約の締結前において使用者が提示した労働条件について説明等をする場面や、労働契約が締結又は変更されて継続している間の各場面が広く含まれるものである。これは、労働基準法15条1項により労働条件の明示が義務付けられている労働契約の締結時より広いものである。
■ 使用者は、労働契約に従い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。(労働契約法5条)
■ 通常の場合、労働者は、使用者の指定した場所に配置され、使用者の供給する設備、器具等を用いて労働に従事するものであることから、判例において、労働契約の内容として具体的に定めずとも、労働契約に伴い信義則上当然に、使用者は、労働者を危険から保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負っているものとされているが、これは、民法等の規定からは明らかになっていないところである。このため、法5条において、使用者は当然に安全配慮義務を負うことを規定したものである。
■ 法5条の「生命、身体等の安全」には、心身の健康も含まれるものである。
■ 法5条の「必要な配慮」とは、一律に定まるものではなく、使用者に特定の措置を求めるものではないが、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて、必要な配慮をすることが求められているものである。
■ 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。
■ 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、法12条に該当する場合を除き、この限りでない。(労働契約法6条・7条)
■ 法6条に「合意することによって成立する」と規定されているとおり、労働契約は、労働契約の締結当事者である労働者と使用者の合意のみにより成立するものである。したがって、労働契約の成立の要件としては、契約内容について書面を交付することまでは求められてないものである。
■ 法7条は労働契約の成立場面について適用されるものであり、既に労働者と使用者との間で労働契約が締結されているが就業規則は存在しない事業場において新たに就業規則を制定した場合については、適用されないものである。
■ 就業規則に定められている事項であっても、例えば、就業規則の制定趣旨や根本精神を宣言した規定、労使協議の手続に関する規定等労働条件でないものについては、法7条本文によっても労働契約の内容とはならないものである。
■ 法7条の「周知」とは、労働者が知ろうと思えばいつでも就業規則の存在や内容を知りえるようにしておくことをいうものである。このように周知させていた場合には、労働者が実際に就業規則の存在や内容を知っているか否かにかかわらず、法7条の「周知させていた」に該当するものである。
■ 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。(労働契約法8条)
■ 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、以下の場合は、この限りでない。
■ 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、労働契約法12条に該当する場合を除き、この限りでない。(労働契約法9条・10条)
■ 法10条は、「就業規則の変更」という方法によって、「労働条件を変更する場合」において、使用者が「変更後の就業規則を労働者に周知させ」たこと及び「就業規則の変更」が「合理的なものである」ことという要件を満たした場合に、労働契約の変更についての「合意の原則」の例外として、「労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによる」という法的効果が生じることを規定したものである。
■ 法10条の「就業規則の変更」には、就業規則の中に現に存在する条項を改廃することのほか、条項を新設することも含まれるものである。
■ 法10条本文の「労働組合等」には、労働者の過半数で組織する労働組合その他の多数労働組合や事業場の過半数を代表する労働者のほか、少数労働組合や、労働者で構成されその意思を代表する親睦団体等労働者の意思を代表するものが広く含まれるものである。
■ 就業規則の変更が法10条本文の「合理的」なものであるという評価を基礎づける事実についての主張立証責任は、従来通り、使用者側が負うものである。
■ 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準となる。(労働契約法12条)
■ 法13条の「法令」とは、強行法規としての性質を有する法律、政令及び省令をいうものであること。なお、罰則を伴う法令であるか否かは問わないものであり、労働基準法以外の法令も含むものであること。
■ 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。(労働契約法14条)
■ 最高裁の判例をいくつか見ると、出向(在籍型出向)の場合は労働者の個別的同意は不要(使用者は、労働者から個別的同意を得なくても、出向を命ずることができる)、転籍(移籍型出向)の場合は、労働者の個別的同意が必要、という考え方がされている。(いずれも前提要件あり)
■ 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。(労働契約法15条)
■ 使用者は、有期労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
■ 使用者は、有期労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。(労働契約法17条)
■ 法17条1項の「やむを得ない事由」があるか否かは、個別具体的な事案に応じて判断されるものであるが、契約期間は労働者及び使用者が合意により決定したものであり、遵守されるべきものであるから、「やむを得ない事由」があると認められる場合は、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である」と認められる場合よりも狭いと解されるものである。
■ 契約期間中であっても一定の事由により解雇することができる旨を労働者及び使用者が合意していた場合であっても、当該事由に該当することをもって法17条1項の「やむを得ない事由」があると認められるものではなく、実際に行われた解雇について「やむを得ない事由」があるか否かが個別具体的な事案に応じて判断されるものである。
■ こうした有期労働契約の現状を踏まえ、法18条において、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、有期契約労働者の申込みにより期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換させる仕組み(無期転換ルール)を設けることにより、有期労働契約の濫用的な資料を抑制し労働者の雇用の安定を図ることとしたものである。
■ 法18条1項の「同一の使用者」は、労働契約を締結する法律上の主体が同一であることをいうものであり、したがって、事業場単位ではなく、労働契約締結の法律上の主体が法人であれば法人単位で、個人事業主であれば当該個人事業主単位で判断されるものである
■ 有期労働契約の更新時に、所定労働日や始業就業時刻等の労働条件の定期的変更が行われていた場合に、無期労働契約への転換後も従前と同様に定期的にこれらの労働条件の変更を行うことができる旨の別段の定めをすることは差し支えないと解される。
■ 法18条2項は、同条1項の通算契約期間の計算に当たり、有期労働契約が不存在の期間が一定以上続いた場合には、当該通算契約期間の計算がリセットされること(クーリング)について規定したものである。すなわち、同一の有期契約労働者と使用者との間で、間をおいて有期労働契約が再度締結された場合、その間の長さが次のいずれかに該当する場合には、法18条2項の空白期間に該当し、当該空白期間前に終了しているすべての有期労働契約の契約期間は、同条1項の通算契約期間に算入されない(クーリングされる)こととなる。
・ 6か月以上である場合
・ その直前の有期労働契約の契約期間(複数の有期労働契約が間を置かずに連続している場合又は法18条2項の「契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準」に該当する場合にあっては、それらの有期労働契約の契約期間の合計)が1年未満の場合であっては、その期間に2分の1を乗じて得た期間を基準として厚生労働省令で定める期間以上である場合
■ 専門的知識等を有する有期雇用労働者及び定年後引き続いて雇用される有期雇用労働者についての無期転換ルールの適用に当たっては、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」により、18条に関する特例が設けられている。
・ 特例の対象となる労働者
5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務に従事する高収入(事業主から支払われると見込まれる賃金の額を1年間あたりの賃金の額に換算した額が1075万円以上)かつ、高度な専門的知識・技術・経験を持つ有期雇用労働者
・ 定年後に、「同一の事業主」又は高年齢者雇用安定法における「特殊関係事業主」に引き続き雇用される有期雇用労働者
・ 特例の対象となる事業主
・ 対象労働者に応じた適切な雇用管理の措置に関する計画について、厚生労働大臣から認定を受けた事業主
・ 特例の具体的な内容
・ その期間は無期転換申込権が発生しない
・ ①労働者→一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く期間(10年
・ ②労働者→定年後に引き続き雇用されている期間
■ 有期労働契約であって次のア又はイのいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
・ 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
・ 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。(労働契約法19条)
■ 法19条の「更新の申込み」及び「締結の申込み」は、要式行為ではなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者につたわるものでもよいこと。
■ 労働契約法12条については、船員法100条に同趣旨の規定が定められていることから、船員に関しては適用しない。
■ また、船員法における雇入れ契約は、有期契約が原則となっているが、雇入れ契約の解除事由については、船員法40条及び41条に具体的な規定が定められていること等から、第4章(期間の定めのある労働契約)については船員に関しては適用しない。
■ 労働契約法21条2項は、船員に関して労働契約法を適用するにあたって必要となる読み替えを規定したものである。
■ 労働契約法は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。
■ 労働契約法は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない。(労働契約法21条)
■ 労働契約法は、家事使用人の労働契約についても適用される(当該労働契約は、適用除外とされていない。)
[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter16
職業能力開発促進法
■ 職業能力開発促進法は、労働施策総合推進法と相俟って、職業訓練及び職業能力検定の内容の充実強化及びその実施の円滑化のための施策並びに労働者が自ら職業に関する教育訓練又は職業能力検定を受ける機会を確保するための施策等を総合的かつ計画的に講ずることにより、職業に必要な労働者の能力を開発し、及び向上させることを促進し、もって、職業の安定と労働者の地位の向上を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。(職業能力開発推進法1条)
■ 職業生活設計とは、労働者が、自らその長期にわたる職業生活における職業に関する目的を定めるとともに、その目的の実現を図るため、その適性、職業経験その他の実情に応じ、職業の選択、職業能力の開発及び向上のための取組その他の事項について自ら計画すること。
■ 厚生労働大臣は、職業能力の開発(職業訓練、職業能力検定その他この法律の規定による職業能力の開発及び向上をいう)に関する基本となるべき計画(職業能力開発基本契約)を策定するものとする。(職業能力開発推進法5条)
■ 事業主は、職業能力の開発及び向上に関する計画の作成及びその実施等の業務を行わせるため職業能力開発推進者を選任するよう努めなければならない。(職業能力開発す促進法12条)
■ 職業能力開発推進者の選任は、「キャリアコンサルタントその他の職業能力開発推進者の業務を担当するための必要な能力を有すると認められる者のうちから、」事業所ごとに行う(職業能力開発促進則2条1項)
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■ 技能検定の合格に必要な技能及びこれに関する知識の程度は、検定職種ごとに、厚生労働省令で定める(職業能力開発促進法44条2項)
■ 技能検定に合格した者は、技能士の名称を表示するときは、その合格した誤納検定の職種及び等級を表示するものとし、合格していない技能検定の職種又は等級を表示してはならない。また、厚生労働大臣は、技能士が合格していない技能検定の職種又は等級を表示した場合には、2年以内の期間を定めて技能士の名称の使用の停止を命ずることができる。(職業能力開発促進法50条2項・3項)
■ キャリアコンサルタントの業務(職業能力開発促進法30条の27)
・ キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルタントの信用を傷つけ、又はキャリアコンサルタント全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
・ キャリアコンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を洩らし、又は盗用してはならない。キャリアコンサルタントでなくなった後においても、同様とする。
■ 名称の使用制限(職業能力開発促進法30条の28)
・ キャリアコンサルタントでない者は、キャリアコンサルタント又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
■ キャリアコンサルタント試験(職業能力開発推進法30条の4)
・ キャリアコンサルタント試験は、厚生労働大臣が行う。
■ キャリアコンサルタントの登録(職業能力開発推進法30条の19第1項・3項)
・ キャリアコンサルタント試験に合格した者は、厚生労働省に備えるキャリアコンサルタント名簿に、氏名、事務所の所在地その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けてキャリアコンサルタントとなることができる。
・ 上記の登録は、5年ごとに更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
[労一] 労務一般常識・重要箇所・Chapter17
その他の労働関係法令
■ 中小企業退職金共済法
・ 中小企業退職金共済法は、中小企業の従業員について、中小企業者の相互扶助の精神に基づき、その拠出による退職金共済制度を確立し、もってこれらの従業員の福祉の増進と中小企業の振興に寄与することを目的とする。(中退共法1条)
・ 独立行政法人勤労者退職金共済機構(機構)と退職金共済契約を締結できる者は、中小企業者に限られる。
・ 中小企業者が退職金共済制度に加入するかどうかは任意だが、退職金共済契約を締結しようとする場合には、全従業員について契約を締結しなければならない。(包括加入の原則)。ただし、次に掲げる者については、契約を締結しないことができる。
・ 期間を定めて雇用される者
・ 機構は、中小企業者が退職金共済契約の申込みをすること及び共済契約者が掛金月額契約者の掛金の増加の申込みをすることを促進するため、厚生労働省令で定めるところにより、共済契約者の掛金に係る負担を軽減する措置として、一定の月分の掛金の額を減額することができる。新たに共済契約の申込みをする中小企業者(共済契約を締結したことのある中小企業者で、共済契約の申込みを促進するための掛金の減額の措置が講ぜられたことのあるもの及び社会福祉施設職員等退職手当共済法に規定する退職手当共済契約を締結している中小企業者及び同居の親族のみを雇用する中小企業者を除く)に対しては、共済契約の効力が生じた日の属する月から起算して4月を経過する月から15月を経過する月(その月以前に当該共済契約の共済契約者が中小企業者でない事業主又は同居の親族のみを雇用する共済契約者となったときは、当該中小企業者でない事業主となった月の前月)まで(契約後4か月目から1年間)、原則として掛金の月額に1/2を乗じて得た額(その額が5000円を超えるときは、5000円)を減額する。
・ なお、分割払の方法による退職金の支給の期間(分割支給期間)は、被共済者の選択により、請求後の最初の支給期月から、5年間又は10年間のいずれかとされる。(中退共法3条から27条)
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賃金支払確保法
賃金支払確保法は、景気の変動、産業構造の変化その他の事情により企業経営が安定を欠くに至った場合及び労働者が事業を退職する場合における賃金の支払等の適正化を図るため、貯蓄金の保全措置及び事業活動に著しい支障を生じたことにより賃金の支払を受けることが困難となった労働者に対する保護措置その他賃金の支払の確保に関する措置を講じ、もって労働者の生活の安定に資することを目的とする。(賃金支払確保法1条)
・ 事業主(中退共法に規定する退職金共済契約を締結した事業主その他の厚生労働省令で定める事業主を除く)は、労働契約又は労働協約、就業規則その他これらに準ずるものにおいて労働者に退職手当を支払うことを明らかにしたときは、当該退職手当の支払に充てるべき額について、一定の措置を講ずるように努めなければならない。(賃金支払確保法5条)
・ 貯蓄金の保全措置(3条)→義務
・ 退職手当の保全措置(5条)→努力義務
・ 事業主は、その事業を退職した労働者に係る賃金(退職手当を除く)の全部または一部をその退職の日(退職の日後に支払期日が到来する賃金にあっては、当該支払期日)までに支払わなかった場合には、当該労働者に対し、当該退職の日(又は支払期日)の翌日からその支払いをする日までの期間について、その日数に応じ、未払賃金額に年14.6%を乗じて得た額の遅延利息を支払わなければならない。(賃金支払確保法6条)
・ 在職中の労働者は対象にならない。
・ 退職手当は対象にならない。
・ 政府は、1年以上の期間にわたって労災保険の適用事業に該当する事業の事業主が、破産手続開始の決定等一定の事由に該当することになった場合において、当該事業に従事する労働者で所定の期間内に当該事業を退職した者に係る未払賃金(支払期日の経過後まだ支払われていない賃金をいう)があるときは、民法の規定にかかわらず、当該退職者の請求に基づき、未払賃金の総額の100分の80に相当する額を事業主に代わって弁済するものとする。(賃金支払確保法7条)
・ この未払賃金の立替払いは、労災保険法29条に規定する「社会復帰促進等事業」の一環として実施されている。
・ 未払賃金の立替払いは、退職手当も対象となる。
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・ 不正受給に対し、「返還命令+納付命令」の仕組みが設けられているのは、受験対策上は、「雇用保険」と「未払賃金の立替払事業」の2つだけである。(雇用保険については本規定に比べさらに厳しい「3倍返し」の規定(雇用法10条の4)が設けられている)
■ 労働時間等設定改善法
・ 労働時間等設定改善法は、我が国における労働時間等の現状及び動向を鑑み、労働時間等設定改善指針を策定するとともに、事業主等による労働時間等の設定の改善に向けた自主的な努力を促進するための特別の措置を講ずることにより、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もって労働者の健康で充実した生活の実現と国民経済の健全な発展に資することを目的とする。(労働時間等設定改善法1条)
・ 事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。(労働時間等設定改善法2条)
・ 上記条文内の事業主の責務(努力義務)の中の「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定」とは、勤務間の休息(勤務間インターバル)のこと。
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・ 「労働時間等設定改善企業委員会(2019年4月施行の改正で新設)」は、複数の事業場の全部の事業場を通じて1つの委員会で、その全部の事業に係る一括決議が認められるものである。
・ 労使協定に代わる決議が認められるのは、「割増賃金に係る代替休暇」「時間単位の年次有給休暇」「年次有給休暇の計画的付与」に限られている。
[労基法] 労働基準法・重要箇所・Chapter1
労働基準法の基本原則
■ 労働基準法は、文字通り労働条件の基準を規定した法律である。労働基準法1条1項は日本国憲法25条1項(すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する)と主旨を同じくするものであり、日本国憲法27条2項(賃金、就業時間、急速その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める)を受けて制定された。
■ 労働基準法は、方の実効力を確保するために刑事上の手段(原則として訓示規定を除くすべての規定に罰則が設けられている)と民事上の手段(本条違反に関して契約自体を無効とする)をとっている。
■ 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
■ 労働基準法で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。(労基法1条)
■ 本規定は、労働者に人格として価値のある生活を営む必要を充たすべき労働条件を保障することを宣明したものであり、労働基準法各法の解釈にあたり基本観念として常にこうりょされなければならないとされている。
■ 労使の合意があっても労働条件は労働基準法を下回る水準に低下できない。
■ 労働基準法、労働組合法、労働関係調整法を合わせて労働三法と呼ぶ
■ 労働条件とは、賃金、労働時間等のほか、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等を含む労働者の職場におけるすべての待遇(労働基準法が定める働く条件のすべて)をいう。(昭和63年基発150号)
■ 労働条件の低下が社会経済情勢の変動等の決定的な理由がある場合には、労働基準法1条の規定に抵触するものではない(昭和63年基発150号)
■ 労働者が人たるに値する生活を営むためには、その標準家族の生活をも含めて考えることとされている。標準家族の範囲はそのときその社会の一般通念によって理解されるべきものである。(昭和22年基発401号)
■ 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
■ 労働者および使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々の義務を履行しなければならない。(労基法2条)
■ 本条は、1条と同じく訓示的規定であり、就業規則等の遵守義務に違反しても労働者、使用者双方に対して罰則の定めはない。
■ 労働協約とは、労働組合と使用者の間で賃金、労働時間等の労働条件や団体交渉のルール、組合活動等の事項について交渉を行い、その結果を書面に表し、両当事者が署名又は記名押印したものをいう。協定当事者の一方が必ず「労働組合」であることから、労働組合のない事業場では、労働協約は締結できないことになる。
■ 労使協定とは、労働基準法において、「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定」のことを、「労使協定」と呼ぶ。
■ 労使協定を締結した場合には、強行法規である労働基準法の原則的な定めによらなくても労働基準法違反にならないという免罰的効果が与えられるのに対して、就業規則はその定めるところによって労働関係に権利義務を設定する(例えば、労働者に対して時間外労働を命ずることができるといった)民事的な効果をもつ。
■ 労働協約は「組合との約束」、労使協定は、原則として「労働者の過半数代表者」との約束、就業規則は「会社が定める働く上でのルール」です。労使協定と労働協約の相違点についてまとめておきました。
■ 労使協定
・ 根拠法令 労働基準法
・ 当事者 事業場の過半数労働者(これがない場合は過半数代表者)
・ 締結の形式 書面
・ 効果・効力 免罰的効果(労基法に違反しないだけで、命令規定ではない)
・ 備考 効果は、その事業場全体に及ぶ
■ 労働協約
・ 根拠法令 労働組合法
・ 当事者 労働組合
・ 締結の形式 書面(両当事者の署名又は記名押印が必要)
・ 効果・効力 規範的効力(個々の労働契約を直接規律する効力がある)
・ 備考 効力は、基本的には、その労働組合の組合員のみに及ぶ
■ 労使協定が、労働協約に該当する場合には、その有効期間や解除方法について労働組合法の適用があると解される。
■ 労基法2条は、労働条件の決定及びこれに伴う労使両当事者の義務に関する一般的減速を宣言した規定である。
■ 「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきである」との理念を明らかにした理由は、概念的には対等である労働者と使用者との間にある現実の力関係の不平等を解決することが、労働基準法の重要な視点であることにある。
■ 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的な取扱いをしてはならない。(労基法3条)
■ 本条は、日本国憲法14条1項(法の下の平等)を受け、労働条件に関して国籍、信条又は社会的身分の3つを理由とする労働者の差別待遇を禁止したものである。
■ 差別的取扱いとは、当該労働者を有利又は不利に取り扱うことをいう。
■ 本条では、性別を理由とした差別的取扱いは規定されていない。
■ 信条とは、宗教的信条だけでなく、政治的信条をも含み、かつ、政治的基本理念にとどまらず、国の具体的な政治の方向についての実践的な志向を有する政治的意見をも含む。(昭和22年発基17号、昭和44年12月26日大阪地裁判)
■ 社会的身分とは、生来の社会的事情によって生じている他人と区別される永続性を有する地位(生来の身分)を指す。よって、労働組合の組合員であって従業員組合の組合員でないという地位は、「社会的身分」には該当しない。
■ 社会的身分には、本工、臨時工のように雇用契約上の内容の差異から設定される労働契約上の地位は含まれない。(昭和39年11月9日名古屋地裁判、昭和40年4月15日宇都宮地裁判)
■ 労基法3条では、使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として労働条件の差別的取扱いを禁止しているが、労働者の雇入れは労働条件に含まれないものとされているため、その者の信条を理由として採用を拒んでも労基法3条には違反しない。(三菱樹脂事件昭和48年12月12日最高裁判)
■ 「その他の労働条件」には、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件も含まれる。(昭和63年基発150号)
■ 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。(労基法4条)
■ 本条は、従来(労基法の施行前)の国民経済の封建的構造のため、男性労働者と比較して一般に低位であった女性労働者の社会的、経済的地位の向上を賃金に関する差別待遇の禁止という面から実現しようとするものである。
■ 労働基準法には、賃金以外の労働条件について性別による差別を禁止する規定はない。なお、男女雇用機会均等法において、「募集及び採用(5条)」「配置、昇進、降格、教育訓練、福利厚生、退職の勧奨、定年、解雇、労働契約の更新等(6条)」について、性別にかかわりなく均等な機会を与えること、性別を理由として差別的取扱いをしてはならないこと等が規定されている。
■ 本条では、賃金についてのみ差別取扱いを禁止している。
■ 就業規則に労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いをする規定があっても、現実に男女差別待遇の事実がない場合には、その規定は無効であるが、労基法4条の違反とはならない。(平成9年基発648号)
■ 職務、能率、技能、年齢、勤続年数等によって、賃金に個人的差異があることは、労働基準法4条に規定する差別的取扱いではない。しかし、労働者が女性であることのみを理由として、あるいは女性労働者が男性労働者よりも一般的平均的に能率が悪いこと、勤続年数が短いこと、扶養家族が少ない等を理由として「賃金」に差別をつけることは違法である。また、これらが同一である場合、男性はすべて月給制、女性はすべて日給制とし、労働日数の同じ女性の賃金を男性より少なくすることは同法4条違反となる。なお、不利に取り扱う場合のみならず、有利に取り扱う場合も差別的取扱いんい該当するため、女性であることを理由として男性よりも高い賃金を支払うことも同法4条違反となる。(平成9年基発648号)
賃金額のみならず、賃金体系、賃金形態についての差別的取扱いも含まれる。(昭和23年基収4281号)
■ 労基法3条と4条の違い
・ 均等待遇(3条)
・ 差別理由 国籍、信条又は社会的身分
・ 差別禁止事項 賃金、労働時間その他の労働条件
・ 男女同一賃金の原則(4条)
・ 差別理由 女性であること
・ 差別禁止事項 賃金
■ 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。ただし、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。(労基法7条)
■ 「公民としての権利」とは、公民に認められる国家又は公共団体の公務に参加する権利のことをいう。本条は、使用者が拒んだだけで法違反(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)となる。
■ 権利の行使又は職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻、又は日を変更することは問題ない。しかし、公民権の行使を労働時間外に実施すべき旨を就業規則等に定めることにより、労働者が就業時間内に選挙権の行使を請求することを拒否することは違法である。(昭和23年基発1575号)
■ 公民としての権利・公の職務(昭和63年基発150号)
・ 公民としての権利
・ 該当するもの
・ 公職の選挙権、被選挙権
・ 最高裁判所裁判官の国民審査
・ 特別法の住民投票
・ 憲法改正の国民投票
・ 地方自治法による住民の直接請求権の行使
・ 行政事件訴訟法5条に規定する民衆訴訟
・ 選挙人名簿の登録の申し出等
・ 該当しないもの
・ 個人としての訴権の行使(個人的事由に基づく裁判の提訴等)
・ 行政不服審査法における無効等の確認の訴え
・ 他の立候補者の選挙運動の手伝い
・ 公の職務
・ 該当するもの
・ 衆議院議員その他の議員、労働委員会の委員、陪審員、検察審査員、労働審判員、裁判員、法令に基づいて設置される審議会の委員等の職務
・ 民事訴訟法による証人、刑事訴訟法による証人、労働委員会の証人等の職務
・ 公職選挙法による選挙立会人等の職務
・ 該当しないもの
・ 予備自衛官の防衛招集又は訓練招集
・ 非常勤の消防団員
■ 労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使するために就業しなかった場合の賃金については、有給にするか無給にするかは労働協約や労使協定等当事者の合意により決定する。(昭和22年基発399号)
■ 公職の就任を使用者に承認かからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者を懲戒解雇に附する旨の就業規則の条項は、労働基準法の規定の主旨に反し、無効のものと解すべきである。したがって、所論のごとく公職に就任することが会社業務の遂行を著しく阻害する恐れがある場合においても、普通解雇に附するは格別、同条項を適用して従業員を懲戒解雇に付することは、許されないものと言わなければならない。(十和田観光事件昭和38年6月21日最高裁判)
■ 昔の労働慣行としての「タコ部屋」等を禁止するために、刑法より規制の範囲を広げ、罰則を重くしたものである。
■ 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。(労基法5条)
■ 「暴行」とは、刑法208条に規定する暴行であり、労働者の身体に対して不法な自然力を行使することをいい、殴る、蹴る、水をかける等は全て暴行であり、通常傷害を伴いやすいが、必ずしもその必要はなく、また、身体に疼痛を与えることも要しない。
■ 「脅迫」とは、刑法222条に規定する脅迫であり、労働者に恐怖心を生じさせる目的で本人又は本人の親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して、脅迫者自ら又は第三者の手によって害を加えるべきことを通告することをいうが、必ずしも積極的言動によって示す必要なく、暗示する程度でも足りる。
■ 「監禁」とは、刑法220条に規定する監禁であり、一定の区画された場所から脱出できない状態に置くことによって、労働者の身体の自由を拘束することをいい、必ずしも物質的傷害を以て手段とする必要はない。暴行、脅迫、欺瞞などにより労働者を一定の場所に伴い来たり、その身体を抑留し、後難を畏れて逃走できないようにすることはその例である。
■ 「暴行」「脅迫」「監禁」以外の手段で「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」としては、長期労働契約、労働契約不履行に関する賠償額予定契約、前借り金契約、強制貯金のごときものがあり、労働契約に基づく場合でも、労務の提供を要求するにあたり、「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」を用いて労働を強制した場合には、本条違反となることはいうまでもなく、要はその手段の正当であるか不当であるかによって本条違反が決定される。
■ なお、就業規則に社会通念上認められる懲役罰を規定する如きはこれに該当しない。(昭和63年基発150号・婦発47号)
■ 精神又は身体の自由を拘束する手段とは、精神(の作用)又は身体(の行動)を何らかの形で妨げられる状態を生じさせる方法をいう。(昭和22年発基17号、昭和63年基発150号等多数)
■ 暴行、脅迫、監禁はそれぞれ刑法208条、222条、220条に規定するものを指す。1つの行為が労基法5条の構成要件のみならず暴行罪等の構成要件にも該当する場合には、本条違反の罪のみが成立して、刑法の暴行罪等は成立する余地がないものと解される。(昭和22年発基17号、昭和63年基発150号等)
■ 労働を強制した結果、実際に労働が行われなくとも労基法5条違反となる。(昭和23年基発381号)
■ 本条違反に対して、労働基準法では最も重い罰則(1年以上10年以下の懲役又は20万以上300万円以下の罰金)が課せられる。
■ 何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。(労基法6条)
■ 法律に基づいて許される場合としては、①職業安定法30条1項による有料職業紹介事業、②職業安定法36条1項による委託募集、③船員職業安定法により報酬を受ける場合がある。
■ 行為主体は「他人の就業に介入して利益を得る第三者」であって、個人、団体又は公人たると私人たるとを問わない。(昭和23年基発381号)
■ 他人の就業に介入するとは、使用者と労働者の間に、第三者が介入して、その労働関係の開始及び存続について、媒介又は斡旋をなす等、その労働関係についてなんらかの因果関係を有する関与をなしていることをいう。その例として、職業紹介事業、労働者募集事業、労働者供給事業等がある。(昭和23年基発381号)
■ 営利を目的として反復継続して利益を得る意思があれば、たとえ被害労働者1人1回の行為であっても「業」とされる(主業、副業を問わない)(昭和23年基発381号)
■ 労働者派遣は、労働契約関係の外にある第三者が他人の労働契約関係に介入するものではなく、労基法6条における「中間搾取」には該当しない。(平成11年基発168号)
■ 使用者は、労働契約の不履行に違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。(労基法16条)
■ 本条の趣旨は、このような違約金制度や損害賠償額予定の制度が、ともすると労働の強制にわたり、あるいは労働者の自由意思を不当に拘束し、労働者を使用者に隷属させることとなるので、これらの弊害を防止しようとする点にある。
■ また、本条は、使用者が労働者の親権者又は身元保証人との間で、これら親権者又は身元保証人が当該労働者の行為について違約金又は損害賠償額に支払義務を負担する契約を締結することも禁止されている。
■ 本条に違反して使用者が労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をした場合には、使用者は6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。
■ 「違約金」とは、労働者が労働契約を守らない場合に、使用者に損害が発生しなくても、あらかじめ約束しておいた金額を取り立てることができるというものです。「損害賠償額の予定」とは、債務不履行の場合に賠償すべき損害額を現実に生じた損害の額にかかわらず一定の金額として定めておくことです。この契約をしておけば、損害賠償額を予定すれば、実際の損害が発生した場合に、いちいち損害額を証明しなくても予定された金額を請求することができることになります。一般の契約では予定することが普通です。しかし、労働契約で損害賠償の余地絵をすると、働いている人が萎縮してしまいますし、実際の損害より多くの額を支払うことになりかねません。そこで、労働契約では損害賠償の予定を禁止しています。
■ 労働基準法16条は、金額を予定することを禁止するのであって、現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止する趣旨ではない(昭和22年発基17号)
■ 労働者が就業規則に反して同業他社に就職した場合において、その支給すべき退職金につき、支給額を一般の自己都合による退職の場合の半額と定めることも、退職金が功労報償的な性格を併せ有することにかんがみれば、合理性のない措置であるとすることはできない。(三晃社事件昭和52年8月9日最高裁判)
■ 労働基準法17条は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金とを相殺することを禁止し、金銭貸借関係と労働関係とを完全に分離することにより金銭貸借に基づく身分的拘束の発生を防止することを目的としたものである。
■ 使用者が本条に違反して前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金とを相殺すると、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。
■ ただし、労働することが条件となっていなければ相殺できるものとされている。例えば、介護休業期間中に事業主が立て替えた社会保険料などは相殺が可能である。
■ 労働契約の締結の際、労働することを条件として使用者から借り入れ、生来の賃金で返済することを約する金銭をいう。(昭和22年発基17号、昭和33年基発90号)
■ 労働者が「自己の意思」によって相殺することは禁止されていない。使用者が労働組合と労働協約の締結あるいは労働者からの申し出に基づき、生活必需品の購入等のための生活資金の貸付、その後この貸付金を賃金より分割控除する場合においても、その貸付の諸条件を総合的に判断して労働することが条件となっていないことが極めて明白な場合には本条の規定は適用されない。(昭和23年基収3633号、昭和23年基発1510号、昭和63年基発150号)
■ 事業主が介護休業期間中に社会保険料の被保険者負担分を立て替え、復職後に賃金から控除する制度については、著しい高金利が付される等により当該貸付が労働することを条件としていると認められる場合を除いて、一般的には労働基準法17条に定植しないと解されるが、24条(賃金の一部控除)により労使協定が必要である。また、一定年限労働すれば、当該債務を免除する旨の取扱いも労働基準法上の問題を生じさせない。(平成3年基発712号)
■ 使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。
■ 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合においては、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組街がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければならない。(労基法18条)
■ 貯蓄金の契約とは、使用者の指定のあるなしにかかわらず、銀行、郵便局その他等と貯蓄の契約をさせること
■ 貯蓄金を管理するとは次の2つの場合が含まれる。
・ 社内預金 使用者自身が直接預金を受け入れて管理する場合(直接管理)
・ 通帳保管 使用者が受け入れた労働者の預金を労働者個人ごとの名義で銀行その他の金融機関に預入し、通帳、印鑑を保管する場合
■ 条文上「労働者の預金の受け入れ」とあるのは、社内預金を指す。
■ 社内預金と通常保管の要件の整理です。社内預金は、預かったお金を使い込むこともあるため、保全措置を取らなければならないなど厳しい制限がつきます。
■ 労働者の預金の受入(社内預金)
・ 貯蓄金管理協定(労使協定) 必要(○)
・ 貯蓄金管理規程 必要(○)
・ 利子 必要(○)
・ 報告 必要(○)
・ 返還義務 あり(○)
■ 通帳保管
・ 貯蓄金管理協定(労使協定) 必要(○)
・ 貯蓄金管理規程 必要(○)
・ 利子 不要(☓)→銀行
・ 報告 不要(☓)
・ 返還義務 あり(○)
■ 届出
・ 貯蓄金管理に関する協定 必要(○)
・ 貯蓄金管理規程 不要(☓) ただし、周知義務あり
■ 貯蓄の目的及び貯蓄金返還請求の自由が保証される限り、貯蓄の金額につき賃金の10%、5%等の一定率を定めることは違法ではない。(昭和33年基発90号)
■ 本条は派遣元の使用者に適用されるので、派遣元の使用者は、一定の要件の下に派遣中の労働者の預金を受け入れることができる。一方、派遣先の使用者は、派遣中の労働者と労働契約関係がないので、派遣中の労働者の預金を受け入れることはできない。(昭和61年基発333号)
■ 中小企業等において行われている退職積立金制度のうち、使用者以外の第三者たる商店会又はその連合会等が労働者の毎月受けるべき賃金の一部を積み立てたものと使用者の積み立てたものを財源として行っているものについては、このような退職積立金は、傷病者に対する見舞金や結婚祝い金等の特殊の出費について労働者相互が共済し合う共済組合の掛け金とは異なり、労働者の金銭をその委託を受けて保管管理する貯蓄金と考えられるので、労働者がその意思に反してもこのような退職積立金制度に加入せざるを得ないようになっている場合は労働契約に附随する貯蓄の契約となり、労働基準法18条の禁止する強制貯蓄に該当する。(昭和25年基収2048号)
■ 貯蓄金管理に関する労使協定(貯蓄金管理協定)を締結し、所轄労働基準監督署長へ届け出ることが必要。(通帳保管の場合であっても届出が必要である)
■ 社内預金(労働者の預金の受け入れ)の場合の貯蓄金管理協定の内容(労基則5条の2)
・ 預金者の範囲
・ 預金者一人あたりの預金額の限度
・ 預金の利率及び利子の計算方法
・ 預金の受入れ及び払い戻しの手続
・ 預金の保全の方法
■ 貯蓄金の管理がいわゆる社内預金である場合には、貯蓄金管理協定の内容(労基則5条の2)の事項及びそれらの具体的取扱い、それがいわゆる通帳保管である場合には、預金先の金融機関名及び預金の種類、通帳の保管方法、預金の出し入れの取次の方法などについて規定することとされている。なお、貯蓄金管理協定(労使協定)と異なり、貯蓄金管理規程の行政官庁への届出は、不要である。なお、社内預金の場合の管理規程の内容は、労使協定により定められている事項及びそれらの具体的な取扱いとなる。(昭和63年基発150号)
■ 使用者は、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入れであるときは、利子をつけなければならない。当該利子が厚生労働省令で定める利率(年5厘)による利子を下るときは、当該利率(年5厘)による利子をつけたものとみなす。なお、上限利率については、制限はない。
■ 毎年、3月31日以前1年間における預金の管理の状況を、4月30日までに、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。(通帳保管の場合は報告不要)(労基則57条3項)
■ 労働者が貯蓄金の返還を請求した場合には、遅滞なく返還しなければならない。(労基法18条5項)
■ 使用者が労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理している場合において、労働者がその返還をせいきゅうしたにも関わらず使用者が返還を行わず、当該貯蓄金の管理を継続させることが労働者の利益を著しく害すると認められるときは、所轄労働基準監督署長は、使用者に対して、その必要の限度の範囲内でその貯蓄金の管理を中止すべきことを命ずることができる。この場合において、貯蓄金の管理を中止すべきことを命じられた使用者は、遅滞なく、その管理に係る貯蓄金を労働者に返還しなければならない。(労基法18条6項、7項)
■ 労働基準法は、原則としてすべての事業に適用される。適用される単位は、継続して行われる事業である。事業とは、業として継続的に行われているものを意味する。
■ 事業とは、工場、鉱山、事業所、店舗等のように一定の場所で相関連する組織のもとに業として継続的に行われる作業の一体をいうのであって、必ずしもいわゆる経営上一体をなす支店、工場等を総合した前事業を指すものではない。
■ 営利目的だけでなく、非営利のものでも事業とされる。したがって、非営利の社会事業団体や宗教団体にも適用される。
■ 一律に労働基準法を適用するのは適当でないとの考え方から、適用除外の規定も設けられている。
■ 一つの事業であるか否かは、主として同一の場所で行われているかどうかによって判断される。しかし、場所が分散していても規模が著しく小さく、独立性のないものは、直近上位と一括して一つの事業として取り扱われる。これに対して、同一の場所でも労働の態様が著しく異なっている場合には、別個の事業となることがある。(昭和22年発基17号、昭和23年基発511号、昭和33年基発90号)
■ 労働基準法は、日本国内の事業又は事業所については、そこに使用される外国人労働者、外国人経営の会社についても適用される(属地主義の原則)。逆に、日本国外にある海外支店等には適用されない。(昭和43年基収4194号)
■ 同一企業が複数の事業場を有する場合であって、同一の労働基準監督署管内に複数の事業場があるときは、各事業場に係る労働基準法に基づく報告又は届出については、当該企業内の組織上、各事業場の長より上位の使用者が、取りまとめて当該労働基準監督署に報告又は届出を行うことは差し支えない。(平成7年基発740号)
■ 別表に記載されている事業の区分は次のようになっている。
・ 第1号(製造業)
・ 物の製造、改造、加工、修理、洗浄、選別、包装、装飾、仕上げ、販売のためにする仕立て、破壊もしくは解体又は材料の変造の事業(電気、ガス又は各種動力の発生、変更もしくは電動の事業及び水道の事業を含む)
・ 第2号(鉱業)
・ 鉱業、石切業その他土石又は好物採取の事業
・ 第3号(建設業)
・ 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
・ 第4号(運輸交通業)
・ 道路、鉄道、軌道、索道、船舶又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業
・ 第5号(貨物取扱業)
・ ドック、船舶、岸壁、波止場、停車場又は倉庫における貨物の取扱の事業
・ 第6号(農林業)
・ 土地の耕作もしくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取もしくは伐採の事業その他脳裏の事業
・ 第7号(畜水産業)
・ 動物の飼育又は水産動植物の採捕もしくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業
・ 第8号(商業)
・ 物品の販売、配給、保管もしくは賃貸又は理容の業務
・ 第9号(金融広告業)
・ 金融、保険、媒介、周旋、集金、案内又は広告の事業
・ 第10号(映画、演劇業)
・ 映画の製作又は映写、演劇その他興行の事業
・ 第11号(通信業)
・ 郵便、信書便又は電気通信の事業
・ 第12号(教育研究業)
・ 教育、研究又は調査の事業
・ 第13号(保健衛生業)
・ 病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業
・ 第14号(接客娯楽業)
・ 旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業
・ 第15号(清掃と畜業)
・ 焼却、清掃又は畜場の事業
■ 1条から11条まで、次の第2項、117条から119条まで及び121条の規定を除き、労働基準法は船員法1条1項に規定する船員については、適用しない。
■ 労働基準法は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。(労基法116条)
■ 労働基準法の特別法である船員法の適用を受ける船員については、その労働の特殊性を考慮して、基本原則とこれに関しての罰則規定を除いて適用しないこととした。
■ 日本船舶又は日本船舶以外の国土交通省令で定める船舶に乗り込む船長及び海員並びに予備船員(船員法1条1項)
■ 船舶には、総トン数5トン未満の船舶、湖、川又は港のみを航行する延泊及び政令で定める総トン数30トン未満の漁船は含まれない(船員法1条2項)ことから、これらの船舶の乗組員については、全面的に労働基準法が適用される。
■ 同居の親族であっても、常時に同居の親族以外の労働者を使用する事業(適用事業となる)に使用される者であって、事業主の指揮命令にしたがっていることが明確であり、就労の実態がほかの労働者と同様であり、賃金もほかの労働者と同様に支払われているような場合には、労働者として取り扱う。(昭和54年基発153号)
■ 家事一般に従事している者がこれに該当する。
■ 法人に使用され、その役職員の家庭において、その家族の指揮命令の下で家事一般に従事している者→労働基準法は適用されない。
■ 個人家庭における家事を事業として請け負う者に雇われ、その指揮命令の下にとうがい 家事を行うもの→労働基準法が適用される。
■ 6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族を指す(民法725条)
■ 同居の親族であっても一定の場合には労働者として取り扱われる場合がある。
■ 国家公務員や地方公務員に関しては、労働基準法112条、ほかの法律及び通達により次のように整理される。
・ 一般職の国家公務員(行政執行法人に勤務する職員を除く)
・ 適用しない
・ 行政執行法人に勤務する職員
・ 全面適用
・ 一般の地方公務員
・ 一部適用しない
■ 行政執行法人以外の独立行政法人に勤務する職員には国家公務員の身分はない(そのため、労働基準法が全面適用される)
■ 労働基準法上の「労働者」であるためには、職業の種類を問わず、次の3つの条件を満たしていることが必要である。
・ 適用事業又は事業所に
・ 使用される者
賃金の支払を受けている者
■ 実際の労働基準法上の労働者であるか否かの判断は、次の2つの判断基準によって行われる。
・ 労働提供の形態が指揮命令下の労働であること
報酬賃金)が労働に対する対償として支払われていること
■ 具体例を次の通達で確認すること
■ 労働者となる者
・ 法人の重役で業務執行権又は代表権を持たず工場長、部長の職にあって賃金の支払を受ける者(昭和23年基発461号)
・ 共同経営事業の出資者であっても、実質的にみて使用従属の関係が認められ、賃金を受けて働いている者(昭和23年基発498号)
・ 配達部数に応じて報酬を与えている場合の新聞配達人(昭和22年基発400号)
・ 臨床研修は、医師の資質の向上を図ることを目的とするものであり、教育的な側面を有しているが、そのプログラムに従い、臨床研修指導医の指導の下に、研修医が医療行為等に従事することを予定している。そして、研修医がこのようにして医療行為等に従事する場合には、これらの行為等は病院の解説者のための労務の遂行という側面を不可避的に有することとなるのであり、病院の解説者の指揮監督の下にこれを行ったと評価することができる限り上記研修医は労働基準法9条の労働者に該当するとされている。(関西医科大学研修医事件平成17年6月3日最高裁判)
■ 労働者とならない者
・ 業務執行権、代表権を有する者(昭和23年基発14号)
・ 労働委員会の委員(昭和25年基収2414号)
・ 非常勤の消防団員(昭和24年基収3306号)
・ 競輪の選手等(昭和25年基収4080号)
・ 同居の親族(昭和54年基発153号)
・ 学生で実習等に従事している者(昭和57年基発121号)
・ 一般に、インターンシップにおける実習が、見学や体験的なものであって使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど、使用従属関係が認められない場合には、労働基準法9条に規定する労働者には該当しないが、直接生産活動に従事するなど、当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当することとなる。(平成9年基発636号)
・ 請負契約による下請負人は、当該業務を自己の業務として注文主から独立して処理するものである限り、たとえ本人が労務に従事することがあっても労働基準法9条の労働者となることはない(昭和23年基発14号、昭和63年基発150号、婦発47号)
・ 農家又は工場がその事業経営上必要な建物その他の施設を大工に修理させる場合は、一般に請負契約によることが多いが、請負契約によらず雇用契約によりその事業主と大工との間に使用従属関係が認められる場合は、労働基準法9条の労働者であるから、労働基準法の適用を受ける(昭和23年基収4281号、昭和63年基発150号、平成11年基発168号)
・ 次のいずれにも該当する場合には、労働基準法9条の労働者には該当しない(昭和63年基収355号)
・ 当人の提供する歌唱、演技等が基本的に他人によって代替できず、芸術性、人気等当人の個性が重要な要素となっていること
・ 当人に対する報酬は、稼働時間に応じて定められるものではないこと
・ リハーサル、出演時間等スケジュールの関係から時間が成約されることはあっても、プロダクション等との関係では時間的に拘束されていることはないこと
・ 契約形態は雇用契約ではないこと
・ (自己の所有するトラックを持ち込んで特定の会社の製品の運送業務に従事していた運転手が、労働基準法上の労働者に当たるか否かが問題になった事件において、)上告人は、業務用機材であるトラックを所有し、自己の危険と計算の下に運送業務に従事していたものである上、D紙業は、運送という業務の性質上当然に必要とされる運送物品、運送先及び納入時刻の指示をしていた以外には、上告人の業務の遂行に関し、特段の指揮監督を行っていたとは言えず、時間的、場所的な拘束の程度も、一般の従業員と比較してはるかに緩やかであり、上告人がD紙業の指揮監督の下で労務を提供していたと評価するには足りないものと言わざるを得ない。そして、報酬の支払方法、公租公課の負担等についてみても、上告人が労働基準法上の労働者に該当すると解するのを相当とする事情はない。そうであれば、上告人は、専属的にD紙業の製品の運送業務に携わっており、同社の運送係の指示を拒否する自由はなかったこと、毎日の紙業時刻及び終業時刻は、右運送係の指示内容のいかんによって事実上決定されることになること、右運賃表に定められた運賃は、トラック協会が定める運賃表による運送料よりも1割5分低い額とされていたなど原審が適法に確定したその余の事実関係を考慮しても、上告人は、労働基準法上の労働者ということはできず、労働者災害補償保険法上の労働者にも該当しないものというべきである。(横浜南労基署長事件平成8年11月28日最高裁判)
■ 代表取締役は労働者ではないため、労働基準法が適用されることはない。代表取締役以外の取締役は労働者に該当することがあり、その限度において労働基準法が適用されます。
■ 労働基準法で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為するすべての者をいう。(労基法10条)
■ 使用者とは、労働基準法上の義務について責任を負う者をいう。
■ 事業主とは、その事業の経営の主体をいい、個人企業にあってはその事業主個人、会社その他の法人組織の場合は法人そのものをいう。
■ 事業の経営担当者とは、事業経営一般について責任を負うものをいい、会社の取締役、個人企業の支配人等がこれに該当する。
■ その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為するすべての者とは、人事・給与・労務管理など労働に関する業務に関して権限を与えられている者(昭和62年基発169号)
■ 移籍型出向とは、出向元との労働契約関係は消滅し、出向先との間にのみろう付け医薬関係が存在するので、使用者責任はすべて出向先が負う
■ 在籍型出向とは、出向労働者は出向元、出向先の双方と労働契約関係を有することになるので、使用者責任は出向元、出向先及び出向労働者間の取り決めによって決められた権限と責任に応じてそれぞれ出向元、出向先が負う。(昭和61年基発333号)
■ 派遣元が使用者責任を負うもの
・ 労働契約
賃金・割増賃金
・ 男女同一賃金
・ 年次有給休暇
・ 産前・産後休業
・ 就業規則
■ 派遣先が使用者責任を負うもの
・ 労働時間
・ 休憩・休日
・ 公民権行使
・ 育児時間
■ 法令規定の規定により事業主等に申請等が義務付けられている場合において、事務代理の委任を受けた社会保険労務士がそのげたいにより当該申請等を行わなかった場合には、その社会保険労務士は、労基法10条にいう「使用者」及び各法令の両罰規定にいう「代理人、使用人その他従業者」に該当し、当該申請等の義務違反の行為者として各法令の罰則規定及び両罰規定に基づき、その責任を問われる。(昭和62年基発169号)
■ 使用者という概念が、その権限と責任に応じて相対的に確定されるため、労基法9条でいう労働者であってもその者が同時に使用者に該当する場合がある。
■ 労基法10条の使用者
・ 事業主
・ 経営担当者
・ 事業主のために行為をする者
・ 一般労働者 (☓)
■ 労基法9条の労働者
・ 事業主(☓)
・ 経営管理者
・ 事業主のために行為をする者
・ 一般労働者
以上
[労基法] 労働基準法・重要箇所・Chapter2
労働契約
■ 労働契約には、一般の契約と比較して次の特徴がある。
・ 労働力を提供する人が契約の要素となり、契約が継続するため、当事者の間で信頼関係が重要となる。
・ 使用者は多数の労働者を雇い入れた組織(企業)で活動するため、労働条件等について画一的な処理が必要となる。
・ 使用者は経済的にも優位であることから、労働者は不利な条件を飲まされがちである。
■ 労働契約の特殊性から、労働条件を規律する法律(労働基本法等)を作り、その基準に満たない労働条件を無効としている。
■ 労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、労働基準法で定める基準による。(労基法13条)
■ 労働契約中、労働基準法に定める基準に達しない労働条件を定めている部分のみが無効となる。残りの部分は有効な労働契約として存在する。また、無効となった部分は労働基準法に定める基準に置き換えられる。
■ 法令≧労働協約≧就業規則≧労働契約
・ 法令vs労働契約(労働基準法13条)
・ 労働協約vs労働契約(労働組合法16条)
・ 就業規則vs労働契約(労働契約法12条)
■ 「労使協定」は、それを締結することによって免罰(罰を免れる)効果が与えられるが、民事的な権利義務関係に影響を及ぼすものではなく、上記の効力の関係図と直接関係があるものではない。
■ 長期の労働契約期間は、不当に労働者を拘束することになることから、これを排除し、契約期間の最長期間を原則3年としている。
■ ただし、建設工事のように一定の事業の完了までの期間があらかじめわかっている場合は、その期間を契約期間とすることができる。
■ 労働契約の契約期間は3年を超えてはならない。これは契約期間を定める場合であり、契約期間を定めない労働契約も当然有効(本条により規制は受けない)である。期間を定める労働契約でその期間が3年を超える場合は、3年に短縮される。
■ 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほか、3年(一定の契約は5年)を超える期間について締結してはならない。(労基法14条)
■ 以下の場合は3年を超える契約が可能である。
・ 一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの(労基法14条)
・ 労働基準法70条の職業訓練の必要がある場合(労基法70条)
4年間で終了する建設工事で、技師を4年間の契約で雇入れる場合等である。この条件を満たすためには、その事業が有期的(期間が決められている)事業であることが客観的に明らかであり、その事業の終期までの期間を定める契約であることが必要である。
■ 職業能力開発促進法の規定による都道府県労働局長の許可を受けて行う認定職業訓練を受ける労働者について、長期の訓練期間を要するものについては、一定の範囲内で契約期間の特例が認められる。
■ 契約期間を定めるメリットは、期間満了により労働契約が終了する点にあります。期間を定めない場合は、解雇制限の適用を受けたり、解雇にあたって正当な事由が必要になります。
■ 専門的な知識、技術又は経験(専門的知識等)であって、高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約の期間を5年とすることができる。(労基法14条1項1号)
■ 専門的知識等を有する者(平成15年厚労告356号、平成27年厚労告68号)
・ 博士等 博士課程修了者
・ 有資格者 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、薬剤師、不動産鑑定士、弁理士、技術士、社労士、税理士
・ 試験合格者 ITストラテジスト、システムアナリスト、アクチュアリー
・ 発明者など 特許発明の発明者、登録意匠の創作者、登録品種の育成者
・ 技術者など ①農林水産業の技術者、鉱工業の技術者、機械・電気技術者、建築・土木技術者、システムエンジニア、デザイナー、②システムコンサルタント
■ 契約の更新にあたっても、更に5年の契約期間を定めることができる。
■ この例外は高度の連門的知識等を必要とする業務に就く者に限ります。高度の専門的知識等を必要とする業務に就いていない者の場合、最長3年となります。
■ 高年齢者の雇用の確保という観点から、60歳以上の労働者との契約期間の上限を5年とした。
■ 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約は、5年以内の期間を締結することができる。(労基法14条1項2号)
■ 労働契約更新の際も、5年以内の期間を定めた労働契約の締結が可能となる。
■ 当該規定の罰則は、使用者に対してのみ適用される。(昭和22年基発502号)
■ 法14条1項に規定する期間を超える期間を定めた労働契約を締結した場合は、同条違反となり、当該労働契約の期間は、法13条の規定により、専門的知識等を有する者・60歳以上の者との契約については5年、その他のものについては3年となる。(平成15年基発1022001号)
■ 契約期間のまとめ
・ 原則 契約期間は3年を超えてはならない。
3年を超える期間を定めた場合は、労基法13条の適用により、3年の期間として取り扱われる。
・ ただし、労働者は、政府が必要な措置を講ずるまでの間、民法628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
3年を超えてよい場合
・ 一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの(有期事業)
・ 労基法70条の職業訓練を受ける必要がある場合(職業訓練の修了するまでの期間内)
5年まで契約できる場合
・ 専門的な知識、技術又は経験があって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約
・ 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約
■ 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る)を締結した労働者(高度で専門的な知識等を有する者及び満60歳以上の者を除く)は、政府が必要な措置を講ずるまでの間、民法628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。(労基法附則137条)
■ これは、法14条1項の契約期間の上限が、「原則1年(例外3年)」から「原則3年(例外5年)」に延長された際に設けられた暫定措置です。(平成16年1月施行)
■ 契約期間の上限が1年から3年に延長された労働契約を対象とするもので、その改正の前から1年超えの期間が認められていた労働契約は対象になりません。
■ そのため、次のいずれの者は、退職の申出(法附則137条)の対象外です。
・ 一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約を締結する者
・ 高度で専門的な知識等を有する者及び満60歳以上の者
■ 厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が小実事を未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。(労基法14条2項、3項)
■ 厚生労働大臣は、「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準」を定め、当該基準に基づき、労働基準監督署長が必要な助言・指導を行うことを定めている。
■ 有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準を定めることができる根拠規定を設け、有期労働契約を締結する使用者に対し、労基法14条3項に基づき必要な助言及び指導を行うこととした。
■ 有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(雇止めに関する基準)告示
・ 使用者は、期間の定めのある労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。
・ 前条の場合において、使用者は、労働者が更新しないこととする理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。
・ 期間の定めのある労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されている者を除く)が更新されなかった場合において、使用者は、労働者が更新しなかった理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。
・ 使用者は、期間の定めのある労働契約(当該契約1回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限る)を更新しようとする場合においては、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない。
■ 雇止めの予告
・ 2か月→更新①→2か月→更新②→2か月→雇止め(予告不要)
・ 3回未満(契約期間をできるだけ長くする努力義務)
・ 2か月→更新①→2か月→更新②→2か月→更新③→2か月→雇止め(予告必要)
・ 3回以上
・ 5か月→更新①→5か月→更新②→5か月→雇止め(予告必要)
・ 3回未満であるが、雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務しているため
■ 平成10年の法改正で従来の「賃金に関する事項」のほか、新たに「労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項」が、平成15年の法改正で「解雇の事由」が加えられた。
■ 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法(書面の交付)により明示しなければならない。(労基法15条)
■ 明示すべき時期は、「労働契約の締結に際し」である。労働基準法上、募集時点での明示は必要ない。(ただし、職業安定法上は明治の義務が規定されている)が、契約期間が満了して契約を更新する場合には明示が必要である。労働条件の明示の方法は、絶対的明示事項を除いて、口頭又は文書のいずれでも差し支えない。(ただし、昇給に関する事項及び相対的明示事項は口頭でもよい)なお、使用者は、労働者に対して明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはならない。
■ 改めて本条による労働条件の明示の必要はない。例えば、フレックスタイム制が適用されている労働者について就業規則が変更された場合、当該労働者に対する周知は必要(106条)であるが、本条による明示義務は適用されないことになる。(昭和24年京都地裁判決)
■ 絶対的明示事項とは、必ず明示しなければならない事項で、書面の交付により明示する必要がある。ただし、昇給に関する事項については、書面の交付は必要とされていない。
■ なお、労働者が、書面の交付による明示事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを希望した場合には、書面の交付によらず、当該方法とすることができる。
・ ファクシミリを利用して送信する方法
・ 電子メールその他のその受診する者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電子メール等)の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る)
■ 労働条件の明示義務は、近年就業規則の絶対的必要記載事項との比較で出題されています。
■ 明示事項の比較
・ 絶対的明示事項
・ 労働契約の期間に関する事項
・ 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
・ 期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の場合に限り、明示しなければならない。
・ 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
・ 労働時間に関する事項
・ 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
賃金に関する事項
賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締め切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
・ 「昇給に関する事項」については、書面での交付義務はない。
・ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
・ 就業規則の絶対的必要記載事項
・ 労働契約の期間に関する事項 (× 必須ではない)
・ 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項 (× 必須ではない)
・ 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項 (× 必須ではない)
・ 労働時間に関する事項(〇)
・ 就業規則の絶対的必要記載事項から「所定労働時間を超える労働の有無」は除かれている。
賃金に関する事項(〇)
・ 退職に関する事項(〇)
■ 労働契約の期間に関する事項については、期間の定めのある労働契約の場合はその期間、期間がない労働契約の場合はその旨を明示しなければならない。
■ 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項については、雇入れ直後の就業の場所及び従事すべき業務を明示すれば足りるものであるが、将来の就業場所や従事させる業務を併せ網羅的に明示することは差し支えない。
■ 始業及び終業の時刻、所定労働時間をこえる労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項については、当該労働者に適用される労働時間等に関する具体的な条件を明示しなければならない。なお、当該明示すべき事項の内容が膨大なものとなる場合においては、労働者の利便性をも考慮し、所定労働時間を超える労働の有無以外の事項については、勤務の種類ごとの始業及び終業の時刻、休日当に関する考え方を示した上、当該労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことで足りる。
■ 退職に関する事項については、退職の事由及び手続、解雇の事由等を明示しなければならない。なお、当該明示すべき事項の内容が膨大なものとなる場合においては、労働者の利便性を考慮し、当該労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことで足りる(平成11年基発45号)
■ 交付すべき書面の内容については、就業規則の規定と併せ、賃金に関する事項が当該労働者について確定し得るものであればよく、例えば、労働者の採用時に交付される辞令等であって、就業規則等に規定されている賃金等級が表示されたものでも差し支えない。(平成11年基発168号)
■ 書面の交付によりめいじしなければならないこととされる更新の基準の内容は、有期労働契約を締結する労働者が、契約期間満了後の自らの雇用継続の可能性について一定程度予見することが可能となるものであることを要するものであること。当該内容については、例えば、「更新の有無」として、①自動的に更新する、②更新する場合があり得る、③契約の更新はしない、等を、また、「契約更新の判断基準」として、①契約期間満了時の業務量により判断する、②労働者の勤務成績、態度により判断する、③労働者の能力により判断する、④会社の経営状況により判断する、⑤従事している業務の進捗状況により判断する、等を明示することが考えられるものであること(平成24年基発1026第2号)
■ 書面による明示事項の明示の方法として認められることがある「電子メール等(電子メールその他のその受信する者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信)の送信」について、「その受信する者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信」とは、具体的には、LINEやFacebook等のSNS(ソーシャルネットワークサービス)メッセージ機能等を利用した電気通信が該当する。(平成30年基発1228第15号)
■ 就業規則の絶対的必要記載事項と比較すること
■ 昇給に関する事項については、文書による明示事項とされていない(高等でよい)
■ 「退職に関する事項」は絶対的明示事項であり、必ず明示しなければならないが、「退職手当に関する事項」は相対的明示事項であり、当該事業場にその定めがある場合にのみ明示すればよい。
■ 定めがある場合に限って明示すべき事項(相対的明示事項)には、以下のものがある。(労規則5条4号の2から11号)
・ 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
・ 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与及び則8条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項
・ 労働者に負担すべき食費、作業用品その他に関する事項
・ 安全及び衛生に関する事項
・ 職業訓練に関する事項
・ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
・ 表彰及び制裁に関する事項
・ 休職に関する事項
■ 明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は即時に労働契約を解除することができる。
■ 上記の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。(労基法15条2項、3項)
■ 使用者が労働条件を明示しなかった場合、労働者の帰郷旅費を負担しない場合には、30万円以下の罰金に処せられる。
■ 明示された労働条件のすべてを指すのではなく、労基法5条1項各号によって明示すべきこととされている労働条件に限られる。社宅等単なる福利厚生施設とみられるものは除かれる。(昭和23年基収3514号)
■ 雇入れに際して、他人の労働条件引き上げを条件として、自己の労働契約を締結した者が、実際には他人の労働条件引き上げが行われなかったことを理由に、自己の労働契約の即時解除をすることはできない。(昭和23年基収3514号)
■ 帰郷するまでに通常必要とする一切の費用をいう。交通費、食費、宿泊費等も含まれる。また、労働者本人のみならず、労働者によって生計を維持されている同居の親族(内縁の妻を含む)が転居した場合には、その者の旅費も含まれる。(昭和23年基収17号)
■ 派遣労働者に対する労働条件の明示は、「派遣元」の使用者が、賃金、労働時間等も含めて、行うこととされている。なお、この労働条件の明示は、労働者派遣法34条1項に定める就業条件の明示と併せて行っても差し支えないが、それぞれの明示すべき内容は異なる部分もあることから、就業条件の明示のみをもって労働条件の明示に代えることはできない。(昭和61年基発333号)
■ 解雇は、最高裁判所の判例により確立された「解雇権濫用法理」により、使用者の解雇権の濫用は認められないことになっていた。解雇権濫用法理とは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇を、権利の濫用として無効とするもの。判例法理であったが、平成16年1月1日より、労働基準法18条の2に明記され、その後、平成20年3月1日より、労働契約法の16条に移行された。労働基準法では、解雇制限(法19条)、解雇の予告(法20条)の規定を設け、労働者の保護を図っている。
■ 業務上の負傷・疾病により療養のために休業する期間とその後30日間は、解雇そのものが制限される。この期間に解雇したとしても、それは無効となる。
■ 使用者は、以下の場合解雇してはならない。(労基法19条)
・ 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため休業する期間及びその後30日
・ 産前産後の女性が労働基準法65条の規定によって休業する期間及びその後30日
■ 労働基準法65条による産前の休業は、労働者の請求がある場合にはじめて使用者に付与義務が発生する。したがって、出産予定日以前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)であっても労働者が休業せずに就労している場合には、解雇制限の対象とはならない。
■ 産後の休業については、出産日の翌日から8週間が法律上の休業期間である。しかし、産後6週間を経過すれば、労働者の請求により医師が支障がないと認めた業務に就かせることができるため、当該労働者がこれにより就業している期間は、「休業する期間」に該当しない。したがって、その後30日間の起算日は、産後8週間を経過した日又は産後6週間経過後その請求により就労させている労働者についてはその就労を開始した日となる。
■ 出産予定日以前6週間の休業が与えられた後においても、出産が出産予定日より遅れて休業している期間は労働基準法65条の産前休業期間と解され、この期間も解雇制限が適用される。
■ 業務上による負傷又は疾病を指す(労災事故)。通勤災害に関わる傷病による療養のために休業しても、解雇制限事由には該当しない。また、業務上の傷病により治療中であっても、そのために休業しないで出勤している場合は解雇制限を受けない。(昭和24年基発1134号、昭和25年基収1133号)
■ 解雇制限期間中は、労働者の責めに帰すべき事由、重大な過失等があっても解雇することはできない。(昭和24年基収3806号)
■ 一定の事業に限ってその完了に必要な期間を契約期間とする労働契約を締結している場合においては、当該労働者の労働契約はその契約期間の満了によって終了するものであって、労働基準法19条1項の解雇制限の規定の適用はない。(昭和63年基発150号)
■ 採用内定期間中の留保解約権の行使は、使用期間中の留保解約権の行使と同様に解すべきであり、採用内定の取消事由は、採用内定当時を知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる。(大日本印刷事件昭和54年7月20日最高裁判)
■ 使用者が労働者を新規に採用するにあたり、その雇用契約に期間を設けた場合において、その設けた趣旨、目的が労働者の適正を評価・判断するためのものであるときは、右期間の満了により右雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き、右期間は契約の存続期間ではなく、試用期間であると解するのが相当である。(神戸弘陵学園事件平成2年6月5日最高裁判)
■ 就業規則に定める定年制が労働者の定年に達した翌日をもってその雇用契約を自動的に終了する旨を定めたことが明らかであり、かつ、従来この規定に基づいて定年に達した場合に当然雇用関係が消滅する慣行となっていて、それを従業員に徹底させる措置を執っている場合は、原則、解雇の問題は生じず、解雇制限の問題も生じない。(昭和26年基収3388号、昭和22年基収2649号)
■ 解雇制限が解除される場合は次の通り(労基法19条1項但書)
・ 使用者が労働基準法81条の規定によって打切補償を支払う場合
・ 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
・ 上記の場合は、その事由について所轄労働基準監督署長の認定を受けなければならない。
■ 業務上の傷病により休業する期間が療養の開始後3年を超え、なお傷病の治癒しない場合(治らない場合)には、労基法81条の規定による平均賃金1200日分の打切り補償を支払うことにより、業務上の傷病のために休業している期間であっても解雇制限を解除できる。
■ なお、業務上の傷病によって療養の開始後3年を経過した日において、労災保険法から傷病補償年金を受けているとき又は同日後受けることとなった場合も解雇制限が解除される。
■ 悪用されることを防ぐ趣旨から、所轄労働基準監督署長の認定を受けることになっている。
■ 事業場が火災により焼失した場合。ただし、事業主の故意又は重大な過失に基づく場合を除く。震災に伴う工場、事業場の倒壊・類焼等により、事業の継続が不可能となった場合。(昭和63年基発150号)
■ 事業主が経済法令違反のため強制収容され、又は購入した諸機械・資材等を没収された場合。税金を滞納し、処分を受け事業廃止に至った場合→やむを得ない事由に該当しない(昭和63年基発150号)
■ 事業の全部又は大部分が継続不可能となった場合のことであって、事業の一部を縮小しなければならなくなった場合は含まれない。(昭和63年基発150号)
■ 少なくとも30日前に予告することを義務付けている。また、予告をしないで30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払うことで解雇することもできる。予告の日数は短縮することができるため、例えば、18日前に解雇予告して、12日分の解雇予告手当を支払うこともできる。また、解雇予告手当の支払は、原則として解雇の申し渡しと同時に行わなければならない。
■ 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
■ 予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。(労基法20条1項・2項)
■ 労働者側から行われる「任意退職」(労働契約の解除)については、就業規則等に別段の定めがない場合には、民法627条により、2週間前までに解約の申出をすればよく、労働基準法には特に規定が設けられているわけではない。
■ 使用者による解雇の意思表示の形式については、特に定められているわけではなく、文書であっても口頭であっても可能である。
■ 解雇予告がなされた日は算入されず、その翌日より計算され、期日の末日の修了をもって期間満了となるので、予告の日と解雇の効力発生の日との間に、中30日間の期間を置く必要がある。また、解雇予告期間は暦日で計算され、その間に休日や休業日があっても延長されない。
■ したがって、例えば、6月30日に解雇(その日の終了をもって解雇の効力発生)するためには、遅くとも5月31日には解雇の予告をしておかなければならない。(昭和24年基発1926号)
30日前に予告はしたが、その期間到来後、解雇期日を延長することを本人に伝達し、そのまま使用した場合、通常同一条件で、更に労働契約がなされたものとみなされるため、その後において、このものを解雇する場合には、改めて解雇予告の手続を行わなければならない。(昭和24年基発1926号)
■ 解雇予告期間満了前に業務上負傷し、療養のため休業を要する場合、休業期間及びその30日前に予告期間が満了したとしても、満了日に労働者を解雇することができない。解雇制限期間経過とともに解雇の効力が発生する。(昭和26年基収2609号)
・ 解雇予告→業務上負傷→休業→休業完了→30日間→解雇効力発生(解雇予告後30日経過しても、休業による解雇制限期間中は解雇できない)
■ 解雇予告と同時に労働者に休業を命じ、予告期間中労働基準法26条の休業手当を支払った場合には、予告期間の満了とともにその者を適法に解雇することができる。(昭和24年基収1224号)
■ 解雇予告の意思表示は、一般的に取り消すことはできないが、例外として、労働者が具体的事情の下に自由な判断によって同意を与えた場合には、取り消すことができる。解雇の意思表示の取消に対して労働者の同意がない場合は、自己退職の問題は生じない(昭和33年基発90号、昭和25年基収2824号)
■ 解雇の予告を受けた労働者が、解雇予告期間中に他の使用者と雇用契約を結ぶことはできる。ただし、自ら契約を解除した場合を除き、予告期間満了までは従来の使用者のもとで勤務する義務がある。(昭和33年基発90号)
■ 労働基準法19条は、解雇を制限しているだけであって解雇予告を制限しているわけではないから、禁止期間後に満了すべき解雇予告を禁止期間内に発することは法律上差し支えないとされている。(東洋特殊土木事件昭和55年1月18日水戸地裁龍ヶ崎支部判決)
■ 法律的な性質や支払時期などが問題となる。この点については、解雇予告手当は労働基準法上の賃金ではないため、労働基準法24条に規定する賃金支払の5原則は適用されないが、賃金に準じて通貨で直接労働者に支払うようにすべきであるとされている。(昭和23年基収2520号)
■ 即時解雇の場合における解雇予告に代わる30日分以上の平均賃金は解雇の申し渡しと同時に支払うべきであるが、30日の予告の一部を予告手当で支払う方法をとり、予告と予告手当を併用する場合における予告手当の支払時期については、予告の際に予告日数と予告手当で支払う日数が明示されている以上、現実の支払は解雇の日までに行われれば足りるものと解されている。(昭和23年基発464号)
■ 労働組合専従の労働者を解雇するにあたって、その労働者が組合専従期間中も会社に在籍する者である限り、解雇の予告又は解雇予告手当として30日分以上の平均賃金を市は割らなければならない。(昭和24年基収1351号)
■ 使用者の即時解雇の通知の予告として有効と認められ、かつ、その解雇の意思表示があったために予告期間中に労働者が休業した場合は、使用者は解雇が有効に成立するまでの間、休業手当を支払わなければならない。(昭和24年基収1701号)
■ 解雇予告手当は時効の問題は生じない(昭和27年基収1906号)
■ 使用者が労働基準法20条所定の予告期間をおかず、又は予告手当の支払をしないで労働者に解雇の通知をした場合、その通知は即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇に固執する趣旨でない限り、通知後同条所定の30日の期間を経過するか、又は通知の後に同条所定の予告手当の支払をしたときは、そのいずれかのときから解雇の効力を生ずるものと解すべきである。(細谷服装事件昭和35年3月11日最高裁判)
■ 法定の予告期間を設けず、また法定の予告に代わる平均賃金を支払わないで行った即時解雇の通知は、即時解雇としては無効であるが、使用者が解雇する意思があり、かつその解雇がかならずしも即時解雇であることを要件としていないと認められる場合には、その即時解雇の通知は法定の最短期間である30日経過後において解雇する旨の予告として効力を有するものとされている。(昭和24年基収1483号)
■ 未就学児童が禁止されている労働に従事しているのを発見した場合、これに配置転換その他の措置を講ずるが、その事業場をやめさせなければならないときは、労働基準法20条1項の規定によって30日分以上の平均賃金を支払い、即時解雇しなければならない。(昭和23年基収3102号)
■ 以下の場合は解雇予告が不要となる。(労基法20条1項但書)
・ 天災事変その他やむを得ない事由のために、事業の継続が不可能となった場合
・ 労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合
・ 上記のいずれも所轄労働基準監督署長の認定が必要
■ 「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に関しては、労働基準法19条と同じである。
■ 労働者の責に帰すべき事由(昭和31年基発111号)
・ 賭博、風紀等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合
・ 事業場内における盗取、横領、障害等刑法犯に該当する行為(極めて軽微なものを除く)があった場合
・ 雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合
・ 原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合
・ 出勤不良又は出勤が不定期で、数回にわたって注意を受けても改めない場合
■ 解雇制限に係る行政官庁の認定あるいは解雇予告に係る行政官庁の認定は、原則として解雇の意思表示をなす前に受けるべきものであるが、これらの認定は条文上の但書に該当する事実があるか否かを確認する処分であって、認定されるべき事実がある場合には使用者は有効な即時解雇をなし得るものと解されるので、即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得た場合、その解雇の効力は使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生すると解される。なお、使用者が認定申請を遅らせることは、労働基準法19条、20条に違反する。
■ 臨時的性質の労働者については解雇予告制度を適用することが困難又は不適当であるため、これを適用しないこととしながら、一方で解雇予告義務を免れるため、臨時的雇用の形にして濫用されることを防止するために、一定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合には、労働基準法20条を適用することを規定している。
■ 解雇予告が除外される者とその例外をまとめると次のとおりである(労基法21条)
・ 日日雇入れられる者
・ 例外 1箇月を超えて引き続き使用されるに至った場合
・ 2か月以内の期間を定めて使用されるもの
・ 季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者
・ 例外 所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合
・ 試みの使用期間中の者
・ 例外 14日を超えて引き続き使用されるに至った場合
■ やむを得ない事由によって契約期間満了前に契約を解除する場合、解雇予告は除外されても、損害賠償の責任を負う可能性はある。
・ 2か月の期間を定めて雇入れた労働者を、雇入れ後1か月を経過した日において当事者の一方の申出によってその事由が生じた場合
1日単位の契約期間で雇われ、その日の終了によって労働契約が終了する労働者をいう。これらの者は原則的には解雇の問題は発生する余地はないが、これらの者であっても1か月を超えて引き続き使用されるようになると労働関係は継続的なものとなり、実質的には期間の定めのない契約と性質が同じになるため、解雇予告の規定を適用することにしている。
■ 日日雇入れられる者として雇用していた労働者を数日経過後に2か月の期間を定めた労働者として雇用し、その2か月の期間満了前に解雇する場合には、当該2か月の契約が反復継続して行われたものでなければ、解雇の予告も解雇予告手当の支払も必要としない。
■ 日日雇入れられる者を、一般の労働者として雇用する場合、その後2週間の使用期間に解雇しようとする場合には、一般労働者への契約更新に伴い、明らかに作業内容の切り替え等が行われて、客観的にも2週間の使用期間が「試みの使用期間」と認められる場合を除いて、解雇予告が必要となる。
■ 本採用決定前の試験的使用期間中の労働者をいう。これらの者が、14日を超えて引き続き使用されるに至った場合は、その超えた日(15日目)から解雇予告の規定が適用されることになる。
■ 使用期間に関しては就業規則等で自由に定めることができるが、長期の試みの使用期間を定めた場合でも14日を超えて引き続き使用されるに至った場合は解雇予告の規定が適用される。
■ 1か月、2か月等の契約期間で使用される労働者をいう。これらの者が、その所定の期間(契約期間の日数)を超えて引き続き使用されるに至った場合には、原則としてその日から、解雇予告の規定が適用されることになる。
■ 春夏秋冬の四季、あるいは結氷期、積雪期、梅雨期当の自然現象に伴う業務(農業における収穫期の手伝い、冬期の除雪作業等)に、1か月、4週間当の契約期間を定めて使用される労働者をいう。これらの者が、その所定の期間(契約期間の日数)を超えて引き続き使用されることになった場合に、解雇予告の規定が適用されることになる。
■ 形式的に労働契約が更新されても、恒久的に同一内容の作業に従事させている労働者について、1か月ごとに雇用契約を更新して1年2年と継続勤務させている場合は、実質において期間の定めのない契約と同一に取扱うべきであるから、解雇予告の除外は適用されない(昭和24年基収2751号)
■ 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金、退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
■ 労働者が、労働基準法20条1項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がなされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
■ 退職時の証明及び解雇理由の証明の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。(労基法22条1項から3項)
■ 労働者の自己都合による退職の場合に限らず、使用者より懲戒解雇された場合や、契約期間の満了、定年退職等により自動的に契約が終了する場合も含まれる。また、証明書の請求は退職と同時に行わなくてもよい。
■ 使用者が退職時の証明書を遅滞なく交付しなければならないのは、労働者から請求があった場合に限られる。退職時の証明書の証明事項は、労働者が請求した事項に限られる。労働者の請求しない事項は、たとえ法定証明事項であっても記入することが禁止されている。なお、退職時から2年以内に請求する必要があるが、回数については、制限は設けられていない。
■ 退職時等の証明を請求できる時効は、2年とされている。(平成11年基発169号)
■ 退職時の証明書は、労働者が次の就職に役立たせる等その用途は労働者に委ねられているが、離職票は公共職業安定所に提出する書類であるため、退職時の証明書に代えることはできない。(平成11年基発169号)
■ 退職時の証明は、労働者が請求した事項についての事実を記載した証明書を遅滞なく交付して初めて労働基準法22条1項の義務を果たしたものと認められる。
■ また、労働者と使用者との間で退職の事由について見解の相違がある場合、使用者が自らの見解を証明書に記載し労働者の請求に対し遅滞なく交付すれば、基本的には労働基準法22条1項違反とならないが、それが虚偽であった場合(使用者がいったん労働者に示した事由と異なる場合等)には、労働基準法22条1項の義務を果たしたことにはならないものと解される(平成11年基発169号)
■ 労働者が解雇予告の期間中に当該解雇の理由について証明書を請求した場合は、その日以後に労働者が当該解雇以外の事由で退職した場合を除いて、使用者は、当該解雇予告の期間が経過した場合であっても、労働基準法22条2項に基づく証明書の交付義務を負う。この場合、労働者は、当該解雇予告の期間が経過したからと言って、改めて労働基準法22条1項に基づき解雇の理由についての証明書を請求する必要はない。(平成15年基発1022001号)
■ 労働基準法22条2項の規定は、解雇予告の期間中に解雇を予告された労働者から請求があった場合に、使用者は遅滞なく、当該解雇の理由を記載した証明書を交付しなければならないものであるから、解雇予告の義務がない即時解雇の場合には適用されない。
■ この場合、即時解雇の通知後に労働者が解雇の理由についての証明書を請求した場合には、使用者は労働基準法22条1項に基づいて解雇の理由についての証明書の交付義務を負うものと解されている。(平成15年基発1022001号)
■ 「解雇の理由」については、労働基準法22条1項・2項の規定ともに具体的に示す必要があり、就業規則の一定の条項に該当する事実が存在することを理由として解雇した場合には、就業規則の当該条項の内容及び当該条項に該当するに至った事実関係を証明書に記入しなければならない。なお、解雇された労働者が解雇の事実のみについて使用者に証明書を請求した場合、使用者は、労働基準法22条3項の規定により、解雇の理由を証明書に記載してはならず、解雇の事実のみを証明書に記載する義務がある。(平成15年基発1022001号)
■ 解雇された労働者が解雇の事実のみについて使用者に証明書を請求した場合、使用者は、労働基準法22条3項の規定により、解雇の理由を証明書に記載してはならず、解雇の事実のみを証明書に記載する義務を負う(平成15年基発1022001号)
■ 労働基準法22条2項の規定の「解雇の予告がなされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は当該退職の日以後、これを交付することを要しない」の場合、労働者が退職した理由は「解雇」ではないので、使用者は「解雇の理由についての証明書」を交付することを要しない。しかし、この場合であっても、労働者の請求があれば「退職時の証明書」を交付しなければならない。
■ 使用者がいわゆるブラックリストを作成して自分の会社に好ましくない労働者が入ることを防ぐ策を講じることを禁止し、労働者の正当な就職の機会を確保している。使用者は労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分あるいは労働組合運動に関する通信をすることを禁止されている。
■ 使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は退職時等の証明書に秘密の記号を記入してはならない。(労基法22条4項)
■ 禁止事項は限定列挙であり、「国籍、信条、社会的身分、労働組合運動」以外の事項についてリストを作成し、通信するようなことがあっても労働基準法には違反しない。
■ 「あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げること」を目的とした行為が禁止されているのであり、事前の申し合わせに基づかない「個別照会」に応じることが禁止されているわけではない。
■ 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があったと場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
■ 上記の賃金又は金品に関して争いがある場合においては、使用者は、異議のない部分を7日以内に支払い、又は返還しなければならない。(労基法23条)
■ 労働者の死亡の場合には労働者の相続人、労働者の退職の場合には労働者本人のことを言い、一般債権者は含まれない。
■ 積立金、貯蓄金等の金銭のほか、本来労働者に所有権のある物品(労働者の所有に属する布団等)も含まれる。
■ 退職手当は、就業規則等で定められた支払時期に支払えば、7日以内に支払わなくても労働基準法違反とはならない。(昭和63年基発150号)
賃金の所定支払日が、労働者の賃金支払の請求があってから7日より前の場合には、所定支払日までには、賃金を支払わなければならない。(昭和23年基発464号)
[労基法] 労働基準法・重要箇所・Chapter3
労働時間・休憩・休日
■ 労働時間とは、休憩時間を除いた拘束時間のことをいう。実際に労働した時間はもちろん、使用者の指揮命令に入ってからの時間は、手待時間も含めて労働時間として取り扱われる。
■ 所定労働時間とは、使用者によって就業規則や労働契約で決められた時間。法定労働時間を超えることはできない。
■ 法定労働時間とは、法律で労働時間の限度として決められている時間
・ 手持ち時間 作業と作業の間の待期時間
■ 労働時間に該当する例
・ 運転手2名が乗り込んで交代で運転に当たる場合において、運転しない者が助手席で休息し、又は仮眠をしている時間(昭和33年基収6286号)
・ 出勤を命ぜられ、一定の場所に拘束されている手待時間(昭和33年基収6286号)
・ 昼食休憩時間中の来客当番(昭和63年基発150号)
・ 特殊健康診断の実施に要する時間(昭和47年基発602号)
・ 事業場に火災が発生した場合、既に帰宅している所属労働者が任意に事業場に出勤し、消化作業に従事した時間(総和63年基発150号)
・ 労働基準法32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、この労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業基速、労働協約等の定めのいかんによって決定されるべきものではない(三菱重工業長崎造船所事件平成12年3月9日最高裁判)
・ 労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間害において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情がない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当する。(三菱重工業長崎造船所事件平成12年3月9日最高裁判)
・ 仮眠中に仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相応の対応をすることを義務付けられている仮眠時間(不活動仮眠時間であっても労働からの開放が保障されていない場合には労働時間に当たる)(大星ビル管理事件平成14年2月28日最高裁判)
■ 労働時間に該当しない例
・ 坑内労働者の作業終了後の入浴時間(昭和23年基発1575号)
・ 使用者が実施する技術教育を所定労働時間害に実施する場合においては、当該教育に参加することが就業規則上の出席の強制がなく自由参加のもの(昭和26年基収2875号)
・ 一般健康診断
■ 労働時間に含まれる例
・ 作業の準備・後始末→使用者の明示又は黙示の指揮命令下で行われている場合
・ 手待時間→原則として労働時間となる
・ 更衣→一定の作業着などの着用を義務付けている場合
・ 教育・研修→就業規則等で出席が強制されているもの
・ 健康診断→特殊健康診断(一般健康診断に係る時間は必ずしも労働時間としなくてもよい)
・ 自発的残業→使用者が知りながら放置している場合は労働時間
・ 安全委員会又は衛生委員会の開催に要する時間
■ 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働されてはならない。
■ 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。(労基法32条)
■ 月曜から日曜まで、あるいは金曜から翌週の木曜までなど、就業規則その他これに準ずるものに特別の定めがあれば、その定めるところによる。定めがない場合には、日曜から土曜までの1週間をいう。(昭和63年基発1号)
■ 原則として、午前零時から午後12時までの暦日24時間をいう。暦日をまたいだ継続勤務の場合は、一勤務として取扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の1日の労働と解される。(昭和63年基発1号)
■ 法定労働時間の特例
■ 常時10人未満の労働者を使用する次の事業(この特例措置は、満18歳に満たないものには適用されない(労基法60条1項)
・ 商業、理容業
・ 映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)
・ 保健衛生業
・ 接客娯楽業
・ 1週間の上限 44時間
1日の上限 8時間
■ 所轄労働基準監督署長の許可を受けて使用する満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの児童
・ 就学時間を通算して
・ 1週間の上限 40時間
1日の上限 7時間
■ 1週44時間の特例が適用される事業であっても、1年単位の変形労働時間制、フラックスタイム制(清算期間が1か月を超える場合に限る)又は1週間単位の非定型的変形労働時間制の規定により労働させる場合には、労働時間の特例は適用されません。
■ 使用者は、休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。(労基法34条1項)
・ 労働時間 6時間まで
・ 休憩時間 与えなくてもよい
・ 労働時間 6時間を超えて8時間まで
・ 休憩時間 少なくとも45分
・ 労働時間 8時間を超える場合
・ 休憩時間 すくなくとも1時間
■ 単に作業に従事していない手待時間は休憩時間に含まれない。(昭和22年発基17号)
■ 1か月単位の変形労働時間制により、1日16時間間隔日勤務制が取られている場合に、休憩時間を1時間とすることも、法律上は適法である。(昭和23年基収1582号)
■ 所定労働時間が7時間の場合に2時間延長する場合は、労働時間が9時間となり、45分の休憩の外にさらに15分の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。この場合、延長時間が何時間であっても、15分の休憩を追加して与えれば違法ではない(昭和26年基収5058号)
■ 次のものに対しては、業務の特殊性から休憩を付与しなくてもよいとされている。
・ 運送業務や郵便もしくは信書便の事業に従事する労働者のうち、列車等、自動車、船舶、航空機に乗務する乗務員で、長距離にわたり継続して乗務する者
・ 上記の乗務員のうち、長距離に渡り乗務しない者のうち、その者の従事する業務の性質上、休憩時間を与えることができないと認められる場合で、かつ、その勤務中における停車時間、折返しによる待ち合わせ時間その他の時間の合計が休憩時間に相当する者
・ 通信業の業務に使用される労働者で、屋内勤務者30人未満の日本郵便株式会社の営業所(郵便窓口業務を行うものに限る)において郵便の業務に従事する者
■ 休憩時間は、一斉に与えなければならない。(労基法34条2項)
■ 休憩時間を実効あるものとするために、一斉にあたえなければならないとされている。ただし、一定の場合には一斉休憩の例外(一斉に休憩を与えなくてもよい)が設けられている。
■ 一斉休憩の例外
・ 一定の事業
・ 運送、販売、理容、金融保険、映画製作、演劇、郵便、信書便、電気通信、病院等、保健衛生及び旅館等接客娯楽並びに官公署の事業(労働基準法別表第一に掲げる事業を除く)の各事業
・ 労使の書面協定(労使委員会の決議及び労働時間等設定改善委員会の決議を含む)上記以外の事業であっても労使協定(届け出不要)で以下の事項を定めた場合
・ 一斉に休憩を与えない労働者の範囲
・ 一斉休憩の適用を除外する労働者に対する休憩の考え方
・ 坑内労働
■ ただし、満18歳未満の年少者については上記の例外規定の適用がないため、上記に掲げた事業において年少者に対して一斉休憩を与えないこととするためには、労使協定(届出不要)を締結する必要がある。
■ 休憩時間は、原則として自由に利用させなければならない。(労基法34条3項)ただし、休憩時間の自由利用の原則は、次の労働者には適用されない。
・ 警察官、消防吏員、常勤の消防団員、准救急隊員及び児童自立支援施設に勤務する職員で児童と起居をともにする者
・ 乳児院、児童養護施設及び障害児入所施設に勤務する職員で児童と起居をともにする者(その員数、収容する児童数及び勤務の態様について、あらかじめ所轄労働基準監督署長の許可を受けなければならない)
・ 児童福祉法6条の3第11項に規定する居宅訪問型保育事業に使用される労働者のうち、家庭的保育者(同条9項1号に規定する家庭的保育者)として保育を行う者(同一の居宅において、一の児童に対して複数の家庭的保育者が同時に保育を行う場合を除く)
・ 坑内労働
■ 休憩時間の利用について、事業場の規律保持上制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えない(昭和22年発基17号)
■ 休憩時間中の外出について所属長の許可を受けさせることは、事業場内において自由に休憩しうる場合には、必ずしも違法ではない。(昭和23年基発1575号)
■ 労働基準法34条3項に基づく休憩時間の自由利用は、時間を自由に利用することが認められたものに過ぎず、その利用が企業施設内で行われる場合には施設管理件の合理的な行使として是認される範囲内の適法な規制による制約を免れず、また企業秩序維持の要請に基づく規律による制約を免れないから、企業施設内における演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等を休憩時間中であっても使用者の許可にかからしめることは合理的な制約である。(電電公社目黒電報電話局事件昭和52年12月13日最高裁判)
■ 休憩時間
・ 原則
・ 一斉に与える
・ 自由に利用させる
・ 例外
・ 一斉に与えなくてもよい
・ 特定の業種及び上記の事業以外+労使協定(届出不要)
・ 自由に利用させなくても良い
・ 所轄労働基準監督署長の許可
・ あたえなくてもよい
・ 特定の業務乗務
■ 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。(労基法35条1項)
■ 休日とは、労働契約において労働義務のない日をいう。週休2日制を採用している場合に、いずれかの日に労働させたとしても、ほかの1日の休日が確保されている限り労働基準法35条違反とはならない。これに対して休暇は、労働義務はあるが一定の手続によりその労働義務を免除される日のことをいう。
■ 休日の単位は、原則として一暦日、つまり午前零時からごと12時までの24時間の休みをいい、単に継続して24時間をいうものではない。(昭和23年基発535号)
■ 8時間3交替制労働のような番方編成による交替制の場合で、次のいずれにも該当するときは、休日は継続24時間を与えれば差し支えないとしている。(昭和63年基発150号)
・ 番方編成による交替制によることが就業規則等により定められており、制度として運用されていること
・ 各番方の交替が規則的に定められているものであって、勤務割表等により、その都度設定されるものでないこと。
■ 国民の祝日に休ませなくても、週1回の休日が与えられている限り、労働基準法35条には違反しない。(昭和41年基発739号)
■ 休憩時間と同じように一斉に与えることは、法律上要求されていない。休日は日曜日、月曜日等それを特定する必要はない。ただし、特定することが法の趣旨に沿うものであるから、就業規則ではできるだけ特定するほうがよい。(昭和23年基発513号)
■ 毎週少なくとも1回の休日を与えなくても、4週間に4日以上の休日を与えることでもよいとされている。
■ 特定の4週間に4日の休日があればよく、どの4週間を区切っても4日の休日が与えられていなければならないという趣旨ではない。したがって、次のような休日の取り決めも可能となる。
・ 第1週 なし
・ 第2週 1日
・ 第3週 2日
・ 第4週 1日
・ 第5週 なし
・ 第6週 なし
・ 第7週 2日
・ 第8週 2日
・ 上記の例では、第3週から第6週までの4週間については3日休しか休日がないが、特定の4週間については、4週4日を満たしている。
■ 常時10人未満の労働者を使用する使用者は、変形休日制の定めをした場合には、これを労働者に周知させるものとされている(労基則12条)
■ 出張中の休日は、その日の旅行する等の場合であっても、旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合のほかは、休日労働として取り扱わなくて差し支えない(昭和23年基発461号)
■ 労働基準法は、休日について特定することを要求していない。しかし、労働者の保護の観点から、休日は特定されていることが望ましいこととされている。休日を特定した場合は、原則としてその日に労働させることはできないが、業務の都合などにより、あらかじめ休日とされていた日を労働日とし、その代わり、ほかの労働日を休日とすることができる。これが休日の振替である。
■ 休日の振替と代休
・ 休日の振替
・ 意味 あらかじめ定めてある休日を、事前に手続して、ほかの労働日と交換すること。「本来は休日であった日に労働した日」は「通常の労働日」の扱いとなるため、休日労働にはならない。
・ 要件
・ 就業規則等に振替休日の規定をする
・ 振替日の事前に特定
・ 振替日は4週4休の法定休日を確保(鹿屋市教員事件(S48.2.8鹿児島地裁))
・ 遅くとも前日の勤務時間終了までに通知
賃金 同一週内で振り替えた場合、通常の賃金の支払でよい。週をまたがって振り替えた結果、週法定労働時間を超えた場合は、時間外労働に対する割増賃金の支払が必要
・ 代休
・ 意味 休日に労働させ、事後に代償措置として変わりに休日を与えること。「休日に労働した事実」は、代休の付与によって消えることはなく、休日労働の扱いのままとなる。
・ 要件 特になし。ただし、制度として行う場合、就業規則等に具体的な記載が必要(代休を付与する条件、賃金の取扱い等)
賃金 休日労働の事実は消えないので、休日労働に対する割増賃金の支払が必要。代休日を有給とするか無給とするかは、就業規則等の規定による。
■ 災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、使用者は、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、その必要な限度において法定の労働時間を延長し、又は法定の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届出なければならない。
■ 上記の但書の事後の届出があった場合において、行政官庁がその労働時間の延長又は休日の労働を不適当と認めるときは、その後にその時間に相当する休憩又は休日を与えるべきことを、命ずることができる。(労基法33条1項、2項)
■ 災害その他の原因によって、通常発生することを予測することが困難である事故等をいう。この判断を使用者の自由に任せることは濫用のおそれがあることから、所轄労働基準監督署長の事前の許可を受けるべきこととされている。
■ 以下は、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合に該当するか否かについての重要な通達である。
■ 該当するもの
・ 地震、津波、風水害、雪害、爆発、火災等の災害への対応(差し迫ったおそれがある場合における次戦の対応を含む)、急病への対応その他の人命又は公益を保護するための必要がある場合(令和元年基発0607第1号)
・ 事業の運営を不可能ならしめるような突発的な機械・設備の故障の修理、保安やシステム障害の復旧(令和元年基発0607第1号)
■ 該当しないもの
・ 単なる業務の繁忙、その他これに準ずる経営上の必要がある場合(令和元年基発0607第1号)
・ 通常予見される機械の部分的修理、定期的な保安(令和元年基発0607第1号)
■ 事後の届出があった場合において、所轄労働基準監督署長が、その労働時間の延長又は休日の労働を不適当と認めるときは、使用者に対して、その後にその時間に相当する休憩時間又は休日を与えればよく、その事案について賃金や休業手当を支払う必要はない(使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当しない)
■ 年少者についても、その必要の限度に応じて時間外・休日労働及び深夜業が認められている。
■ 派遣先の使用者は、派遣先の事業場において災害その他避けることのできない事由による臨時の必要がある場合には、派遣先の労働者を法定時間外又は法定休日に労働させることができる。この場合には、派遣先の使用者が事前に行政官庁の許可を受ける等の義務を負う。(昭和61年基発333号)
■ 公務のため臨時の必要がある場合等の時間外・休日労働(労基法33条3項)の場合、年少者にも必要の限度で時間外・休日労働をさせることができるが、深夜業については認められない。
■ 非常災害時と公務のため等の時間外、休日労働の比較
・ 非常災害時
・ 事由 災害その他避けることのできない事由・臨時の必要がある場合
・ 効果 法定労働時間、変形労働時間制による労働時間及び労働時間の特例による労働時間を延長し、又は法定休日に労働させることができる。
・ 手続
・ 原則 行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可
・ 例外 事態急迫の場合、事後に遅滞なく届出
・ 年少者 時間外・休日労働・深夜業→○
・ 公務
・ 事由 公務のため・臨時の必要がある場合
・ 効果 法定労働時間、変形労働時間制による労働時間及び労働時間の特例による労働時間を延長し、又は法定休日に労働させることができる。
・ 手続
・ 行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可は不要
・ 年少者 時間外・休日労働→○、深夜業→×
■ 時間外・休日労働に関する協定は、労働基準法36条に規定されていることから「サブロク協定」と呼ばれている。
■ 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを所轄労働基準監督署長に届け出た場合においては、法定の労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。(労基法36条1項)
■ 三六協定の締結を必要とする場合は、法定の労働時間を超えて労働させる場合、又は法定の休日に労働させる場合である。したがって、次のような場合には三六協定の締結は必要ない。具体例で考える。
■ 前提 週所定労働時間36時間、週休2日制の事業場、1週間の法定労働時間40時間
■ 月8、火6、水6、木8、金8、土休、日休
・ ケース1 火曜日に1時間、水曜日に2時間労働させた場合
1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えないため、協定の必要はない。
・ ケース2 土曜に4時間労働させた場合
・ 1週間40時間の法定労働時間を超えないため、協定の必要はない。
■ 三六協定は、届出を行ってはじめて、協定の定めるところにより労働させても労働基準法いはんとならないという刑事罰を免れる効力が発生する。したがって、単に協定を締結しただけで、届出を行わずに時間外労働・休日労働をさせた場合は労働基準法違反となる。
■ また、使用者が労働者に対して、時間外・休日労働をさせることができる民事上の効力は、労働協約、就業規則、労働契約等に根拠が必要となる。
■ 労働者が遅刻した場合、その時間だけ通常の終業時間を繰下げて労働させる場合において、1日の実労働時間を通算した時間が法定労働時間を超えないとき(昭和29年基収6143号)→三六協定を要しない
■ 労働基準法32条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(三六協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該三六協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは、当該就業規則の規定の内容が合理的なものである限り、それが具体的労働契約の内容をなすから、当該就業規則の規定の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて労働する義務を負うものと解するを相当とする(日立製作所武蔵工場事件平成3年11月28日最高裁判)
■ 1事業場に2以上の労働組合がある場合において、1の労働組合がその事業場の労働者の過半数で組織されている場合はその労働組合と協定すれば足り、ほかの労働組合と協定する必要はない。
■ 労働組合がない場合又は労働組合があってもそれが当該事業場の労働者の過半数で組織されていない場合には、当該事業場の「労働者の過半数を代表する者」が協定当事者となる。
■ 派遣元の使用者は、当該派遣元の事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合には、その労働組合と協定をし、過半数で組織する労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者と協定をすることになる。この場合の労働者とは、当該派遣元の事業場の全ての労働者であり、派遣中の労働者とそれ以外の労働者との両者を含む。(昭和61年基発333号)
■ 労働者には監督又は管理の地位にある者、機密の事務を取り扱う者、年少者、病欠、出張、休職期間中の者や、正社員のみならずアルバイト、パート、嘱託社員、契約社員等も含まれる。(平成11年基発168号、昭和46年基収6206号)
■ ここでいう過半数代表者は、次のいずれにも該当する者とする(労基則6条の2第1項・2項)
・ 労働基準法41条2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと
・ 労働基準法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続によって選出された者であって、使用者の以降に基づき選出されたものでないこと
・ なお、上記に該当する者がいない事業場(監督又は管理の地位にある者のみの事業場)にあっては、2に該当する者とする。
■ 労働者の過半数とは、協定成立時の効力要件であるのでその後過半数に満たなくなってもその効力に影響を及ぼさない。(昭和36年基収6619号)
■ 三六協定を締結した労働者側の当事者が労働者の過半数を代表する者でない場合、三六協定が有効であるとは認められず、労働者は使用者の時間外労働命令に従う義務があったということはできないとするのが最高裁判所の判例である。(トーコロ事件平成13年6月22日最高裁判)
■ 「監督又は管理の地位にある者」は、「労働者の過半数を代表する者」にはなれないが、「労働者の過半数」をみる場合の「労働者」には含まれる。
■ 使用者は、労働者が過半数代表者であることもしくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
■ 使用者は、過半数代表者が法に規定する協定等に関する事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならない。
■ 協定の内容については、次にように定められている。(労基法36条2項、労基則17条)
・ 労働基準法36条1項の協定(三六協定)においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
・ この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲
・ 対象期間(この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、1年間に限るものとする)
・ 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合
・ 対象期間における1日、1ヶ月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数
・ 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項
・ 三六協定(労働協約による場合を除く)の有効期間
・ 上記の1年の起算日(三六協定における対象期間の起算日)
・ 労働基準法36条6項2号及び3号に定める要件を満たすこと(時間外労働(休日労働を含む)が1ヶ月100時間未満)及び2から6ヶ月平均80時間以内の要件をみたすこと)
・ 限度時間を超えて労働させることができる場合
・ 限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康又は福祉を確保するための措置
・ 限度時間を超えた労働に係る割増賃金の率
・ 限度時間を超えて労働させる場合における手続
・ なお、使用者は、限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置の実施状況に関する記録を、三六協定の有効期間中及び当該有効期間の満了後5年間(当分の間、3年間)保存しなければならない。
■ 三六協定における対象期間とは、労働基準法36条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、1年間に限るものであり、時間外・休日労働協定において起算日を定めることによって期間が特定される。
■ これに対して、三六協定の有効期間とは、当該協定が効力を有する期間をいうものであり、対象期間が1年間に限られることから、有効期間は最も短い場合でも原則として1年間となる。また、三六協定について定期的に見直しを行う必要があると考えられることから、有効期間は1年間とすることが望ましい。
■ なお、三六協定において1年間を超える有効期間を定めた場合の対象期間は、当該有効期間の範囲内におて、当該三六協定で定める有効期間の起算日から1年毎に区分した各期間となる。(平成30年基発1228第15号)
■ 労使協定を更新しようとするときは、使用者は、その旨の協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることにより、労使協定の届出にかえることができる。
■ この場合において、協定の有効期間について自動更新の定めがなされているときには、当該協定の更新について労使両当事者からも異議の申し出がなかった事実を証する書面を届け出ることで足りるものとされている。(昭和29年基発355号)
■ 満18歳未満の年少者に関しては、三六協定による時間外労働・休日労働を冴えることはできない(労基法60条1項)
■ 妊産婦である女性については、その者の請求があった場合には三六協定による時間外労働・休日労働をさせることはできない。(労基法66条)
■ 時間外労働の上限については、これまで、法律上の規制はなく、いわゆる限度基準(大臣告示)により限度時間などが定められるにとどまり、罰則は設けられていなかった。しかし、働き方改革の一環として、長時間労働の是正を図ることとされ、2019(平成31)年4月1日施行の改正で、法律に時間外労働の上限が定められ、罰則も設けて規制することとされた
■ 労働基準法36条2項4号の労働時間を延長して労働させることができる時間(対象期間における1日、1ヶ月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間)は、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限る。
■ 上記の限度時間は、1ヶ月について45時間及び1年について360時間(1年単位の変形労働時間制に係る対象期間として3ヶ月を超える期間を定めてその規定により労働させる場合にあっては1ヶ月について42時間及び1年について320時間)とする。
■ 限度時間(原始的な時間外労働の上限)
・ 1ヶ月 45時間(1年単位変形(3ヶ月超え) 42時間)
1年 360時間(1年単位変形(3ヶ月超え) 320時間
■ 三六協定で対象期間として定められた1年間の中に、1年単位の変形労働時間制の対象期間が3ヶ月を超えて含まれている場合には、限度時間は月42時間及び年320時間となる。
■ 労働基準法36条1項の協定(三六協定)において、同条2項各号に掲げるもののほか、当該事業場における通常予見することができない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に上記の限度時間を超えて労働サエル必要がある場合において、1ヶ月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(同条2項4号に関して協定した時間を含め100時間未満の範囲内に限る)並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め720時間を超えない範囲内に限る)を定めることができる。この場合において、同条1項の協定に、併せて三六協定に係る対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が1ヶ月について45時間(1年単位の変形労働時間制に係る対象期間として3ヶ月を超える期間を定めてその規定により労働をさせる場合にあっては、1ヶ月について42時間)を超える月数(1年について6ヶ月以内に限る)を定めなければならない。(労基法36条5項)
■ 限度時間の延長(限度時間を超えて労働させることができる場合)
・ 臨時的に「限度時間」を超えて労働させる必要がある場合、1ヶ月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間を定めることができる
・ 1ヶ月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間
・ 協定した時間を含め100時間未満の範囲内に限る
1年について労働時間を延長して労働させることができる時間
・ 協定した時間を含め720時間以内の範囲内に限る
・ 1ヶ月あたりの限度時間(通常45時間)を超えることができる月数を定めなければならない。
1年について6ヶ月以内に限る。
■ 労働基準法36条5項の規定は、三六協定の内容に関する規制です。なお、720時間以内か否かは、休日労働の時間を含めずに判断することになります。
■ 「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合」とは、全体として1年の半分を超えない一定の限られた時期において一時的・突発的に業務量が増える状況等により限度時間を超えて労働させる必要がある場合をいうものであり、「通常予見することのできない業務量の増加」とは、こうした状況の一つの例として規定されたものである。なお、労働基準法33条の非常災害の場合等の時間外・休日労働に該当する場合はこれに含まれないこと。(平成30年基発1228第15号)
■ 限度時間又は1ヶ月及び1年についての延長期間の上限(1ヶ月について休日労働を含んで100時間未満、1年について720時間以内)もしくは月数の上限(6ヶ月以内)を超えている三六協定は全体として無効である。(平成30年基発1228第15号)
■ 使用者は、労働基準法36条1項(三六協定)で定めるところによって労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合であっても、次に掲げる時間について、当該次に定める要件を満たすものとしなければならない。
・ 坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務について、1日につきて労働時間を延長して労働させた時間→2時間を超えないこと
・ 1ヶ月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間→100時間未満であること
・ 対象期間の初日から1ヶ月毎に区分した各期間に当該各期間の直前の1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月及び5ヶ月の期間を加えたそれぞれの期間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の1ヶ月あたりの平均時間→80時間を超えないこと
■ この規定(労基法36条6項)に違反した者は、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられう(労基法119条)
■ 労働基準法36条6項の規定は、実際にそのように労働させてはならないという規制です。なお、動向に「年間720時間以内」という要件は、含まれていません。
■ 三六協定から生じる罰則(内容はいずれも6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金)
・ 締結・届出をせず(三六協定なしで)時間外労働・休日労働を行わせた場合→労基法32条(法定労働時間)、35条(法定休日)違反
・ 三六協定(特別条項付きを含む)の内容を超えて労働させた場合、特別条項を付けずに限度時間を超えて労働させた場合、特別条項に関する規制(単月100時間未満、年720時間以内等)を守らない場合等も、三六協定なしの場合と同様に、免罰の効力が生じず、労基法32条・35条違反とされることがある。
1日2時間以内の要件(一定の有害業務限定)を違反した場合
・ 単月100時間未満、複数月平均80時間以内の要件に違反した場合 → 労基法36条6項違反
■ 「1日について2時間を超えてはならない」とは、必ずしも8時間を超える部分だけでなく、就業規則等で変形労働時間制を定める場合は、特定の日の所定労働時間が10時間と定められた日については、12時間まで労働させることができる。なお、深夜業や危険な業務については、この制限の対象とはされていない。
1日の所定労働時間が8時間の場合において、合計した労働時間が10時間を超えていても、そのうち有害業務に従事した時間が10時間以内であれば違反とはならない。(平成11年基発168号)
■ 休日労働をさせる場合にも2時間の制限を考え、10時間を超えて労働させることはできないと解すべきである(昭和24年基収1484号)
■ 同一企業内のA事業場からB事業場へ転勤した労働者について、時間外労働時間数を通算して適用するのか(平成30年基発1228第15号)
・ 労働基準法36条4項に規定する限度時間及び同条5項に規定する限度時間を延長する場合の1年についての延長時間の上限は、事業場における時間外・休日労働協定の内容を規制するものであり、特定の労働者が転勤した場合は通算されない。
・ これに対して、同条6項2号及び3号の時間数の上限(単月100時間未満、複数月平均80時間以内)は、労働者個人の実労働時間を規制するものであり、特定の労働者が転勤した場合は労働基準法38条1項の規定により通算して適用される。
■ 労働基準法36条6項3号(罰則付きで上限である複数月平均80時間以内)は、複数の対象期間(三六協定の対象期間)をまたぐ場合にも適用されるものである。(平成30年基発1228第15号)
■ 厚生労働大臣は、労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするため、労働基準法36条1項の規定(三六協定)で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意するべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の健康、福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して、指針を定めることができる。
■ 行政官庁(所轄労働基準監督署長)は、上記の指針に関し、労働基準法36条1項の協定(三六協定)をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。(労基法36条7項から10項)
■ 2019(平成31)年4月1日施行の改正前は、「基準」を定めることができるとされていましたが、どう改正後は「指針」を定めることができることとされました。「指針」については、試験の直前期には抑えておきたい。
■ 指針は、時間外・休日労働を適正なものとするために留意すべき事項等を定めたものであり、法定要件を満たしているが、指針に適合しない時間外・休日労働協定は直ちには無効とはならない。なお、指針に適合しない三六協定は、行政官庁(所轄労働基準監督署長)による助言及び指導の対象となるものである。(平成30年基発1228第15号)
■ 新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務に関する特例は、労働安全衛生法の改正と連動した改正です。新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については、面談指導等を実施した上で、上限規制(従来からある「有害な業務についての上限」を除く)は適用しないこととされます(当該業務に従事する者に特化した面接指導等の規定を新設(労働安全衛生法66条の8の2))
■ 中小事業主については、新たな三六協定の仕組み(上限規制など)への対応の負担を考慮して、適用時期が1年遅れとされました。
■ 事業場外で労働する場合で、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間の算定が困難な業務が増加していることに対応して、当該業務における労働時間の算定が適切に行われるように法制度を整備したものである(昭和63年基発1号)
■ 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間の算定しがたいときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。
■ 上記の但書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を上記の但書の当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。
■ 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、上記の協定を所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。(労基法38条の2)
■ 事業場外で業務に従事する場合であっても、使用者の具体的な指揮監督が及んでいる場合については、労働時間の算定が可能であるので、みなし労働時間の適用はない。つまり、事業場外のみなし労働時間制が適用になるのは、労働時間の全部又は一部を事業場外で従事した場合で、使用者の指揮監督が及ばず労働時間を算定し難いときである。
■ 適用がない場合
・ 事業場外で業務に従事するが、無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合
・ 事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示通りに業務に従事し、その後事業場に戻る場合
・ 何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合
■ 労働時間の算定方法は、所定労働時間労働したものとみなす。
・ 労働時間の一部について事業場内で労働した場合には、事業場内での労働時間も含めてその日の所定労働時間労働したものとみなす。
■ 「事業場外の業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要な場合」には、「事業場外の業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす」
■ 労使協定では、「事業場外における業務の遂行に通常必要とされる時間」のみを定めるのであって、事業場内での労働時間を含めて協定することはできない。また、行政官庁への届出は、協定で定める事業場外で労働する時間が、法定労働時間を超える場合のみ必要となる。
■ 事業場外での業務に関してのみ、みなし労働時間制の適用があり、事業場内で業務に従事した時間は別にきちんと算定しなければならず、結局、その日は、事業場内の労働時間と事業場外で従事した業務に係る「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」とを加えた時間労働したことになる。(昭和63年基発150号)
■ 次に掲げるいずれの要件をも満たす形態で行われる在宅勤務(労働者が自宅で情報通信機器を用いて行う勤務形態をいう)については、原則として労基法38条の2の規定する事業場外労働に関するみなし労働時間制が適用される。(平成20年基発0728002号)
・ 当該業務が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること
・ 当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくことにされていないこと
・ 当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと
■ なお、この場合において、「情報通信機器」とは、一般的にはパソコンが該当すると考えられるが、労働者の個人所有による携帯電話端末等が該当する場合もあるものであり、業務の実態に応じて判断されるものであること
■ 「使用者の指示により常時」とは、労働者が自分の医師で通信可能な状態を切断することが使用者から認められていない状態の意味であること
■ 「通信可能な状態」とは、使用者が労働者に対して情報通信機器を用いて電子メール、電子掲示板等により随時具体的指示があった場合に労働者がそれに即応しなければならない状態(すなわち、具体的な指示に備えて手待ち状態で待期しているか、又は待期しつつ実作業を行っている状態)の意味であり、これ以外の状態、例えば、単に回線が接続されているだけで労働者が情報通信機器から離れることが自由である場合等は「通信可能な状態」にあたらないものであること
■ 「具体的な指示に基づいて行われる」には、例えば、当該業務の目的、目標、期限等の基本的事項を指示することや、これらの基本的事項について所要の変更の指示をすることは含まれないものであること。
■ また、自宅内に仕事を専用とする個室を設けているか否かにかかわらず、みなし労働時間制の適用要件に該当すれば、当該制度が適用されるものである。
■ 事業場外労働に関するみなし労働時間制が適用される場合であっても、休憩、休日及び深夜業に関する規定の適用は排除されない。(昭和63年基発1号)
■ 労使協定の届出(労規則24条の2第2項、4項)
・ 使用者は、協定の内容を労基法36条1項の時間外、休日労働の協定に係る届出に付記して、所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、この届出に代えることができる。
・ 労使協定の締結に際しては、労働協約による場合を除き(労使委員会の決議及び労働時間等設定改善委員会の決議の場合は除かれない)、有効期間を定めなければならない。この協定が、労働者の過半数で組織する労働組合との間で締結されたものである場合は、有効期間の定めをする必要はない。(労働組合法15条の規定により、労働協約は90日前に予告すればいつでも解約できるため)
■ 労使委員会の決議又は労働時間等設定改善委員会の決議によって労使協定に代えることとした場合には、決議で定める時間が法定労働時間を超える場合であっても所轄労働基準監督署長への届出は不要である。
■ 研究開発の業務等、その業務の性質上、業務の遂行の手段や時間配分について労働者の裁量にゆだねる必要があるため、使用者の具体的な指揮監督がなじまないような場合の労働時間の算定方法が適切に行われるようにするため設けられた規定である。
■ インターネットやパソコンの普及は、システム開発やWEBデザイナー等新しいタイプの業務を生むことになった。これらの業務は使用者の指揮監督になじまないし、労働時間の算定も困難・不明確になりがちとなる。そこで、労使協定により一定範囲の労働者に関して、当該協定で定めた時間労働したものとみなすこととした。
■ 労使協定(労使委員会の決議を含む)において次の事項を定める(労基法38条の3第1項)
・ 業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務(対象業務)
・ 対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間
・ 対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、当該対象業務に従事する労働者に対し具体的な指示をしないこと
・ 対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること
・ 対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること
・ 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
■ 労使協定を所轄労働基準監督署長に届出(労使委員会又は労働時間等設定改善委員会の決議の場合は不要)
■ 専門業務型裁量労働制の適用を受けている労働者について、健康上の不安を感じている労働者が多い等の現状があることから、裁量労働制が働きすぎに繋がることのないよう、専門業務型裁量労働制についても企画業務型労働制と同様に労使協定によって上記の使用者の講ずべき措置の導入が必要とされた(平成15年基発1022001号)
■ 数人でプロジェクトチームを組んで開発業務を行っている場合であっても、チーム員及びプロジェクト内の業務に付随する雑用、清掃等のみを行う労働者は、いずれも裁量労働に該当しない。(昭和63年基発150号)
■ 労使協定には、労働協約による場合を除き(労使委員会の決議及び労働時間等設定改善委員会の決議の場合は除かれない)有効期間の定めが必要である。
■ この有効期間については、不適切に制度が運用されることを防ぐため、3年以内とすることが望ましいものとされている。
■ また、使用者は、以下に関する労働者ごとの記録を、労使協定等の有効期間中及び有効期間の満了後5年間(当分の間、3年間)保存しなければならない(定期的な報告は不要である)
・ 労働者の労働時間の状況並びに当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置として講じた措置
・ 労働者からの苦情の処理に関する措置として講じた措置
■ この協定は所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。なお、労使委員会の決議又は労働時間等設定改善委員会の決議によって労使協定に代えることとした場合には、所轄労働基準監督署長への届出は不要である。
■ 労使協定で定める時間は、1日あたりの労働時間を定める。(昭和63年基発150号)
■ 専門業務型裁量労働制においても、休憩、休日及び深夜業に関する規定の適用は排除されず、使用者は労働時間の管理を行わなければならない。(昭和63年基発1号)
■ 個別の労働者の同意は不要である(後述の企画業務型裁量労働制は必要)
■ 専門業務型裁量労働制には定期報告の規定はない(後述の企画業務型裁量労働制には規定有り)
■ 健康・福祉確保措置及び苦情処理措置の具体的な内容については、企画業務型裁量労働制における同措置の内容と同等のものとすることが望ましい。
■ 労使協定に代えて「就業規則」によることはできない。
■ 経済社会の構造変化や労働者の就業意識の変化等が進む中で、活力のある経済社会を実現していくためには、事業活動の中枢である労働者が創造的な能力を十分に発揮し得る環境づくりをすることが必要である。また、労働者の側にも、自らの知識、技術や創造的な能力を生かし、仕事の進め方や時間配分に関し主体性をもって働きたいという意識が高まっており、こうしたじょうきょうに対応した新たな働き方のルールを設定することが重要である。
■ こうした考え方から、企画、立案、調査及び分析を行う事務系労働者であって、業務の遂行手段や時間配分を自らの裁量で決定し使用者から具体的な指示を受けない者を対象とする新たな労働裁量性が設けられることとされたものである(平成11年基発45号)
■ 対象業務(労基法38条の4第1項1号)
・ 事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析に関する業務
・ 業務の性質上これを適切に遂行するためにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務であること
・ 業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的指示をしない業務
■ 事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であるため、事業の運営、事業方針の決定、経営の在り方等、事業の基本的な事項に関わる企画、立案、調査及び分析が対象業務となる。ホワイトカラーの業務全てが対象となるわけではない(平成11年基発45号)
■ 実施要件(労基法38条の4等)
・ 事業場の賃金、労働時間等の労働条件に関する字応を調査審議し、事業主に対して当該事項について意見を述べることを目的とする労使委員会の設置
・ 労使委員会の委員の5分の4以上の多数の議決により以下の事項を決議
・ 対象業務
・ 対象労働者の具体的な範囲
・ 労働時間として算定される時間
1日についての対象労働者の労働時間数として、具体的に定められたものであることが必要である(平成15年厚労告353号)
・ 対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置
・ 対象労働者からの苦情処理に関する措置
・ 対象労働者の同意を得ること及び同意をしなかったことを理由に解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと
・ 決議の有効期間の定め
・ 上記に関する労働者事の記録を有効期間中及び当該有効期間の満了後5年間(当分の間、3年間)保存すること
・ 労使委員会の決議を所轄労働基準監督署長へ届け出る
■ 労使委員会の決議は、所轄労働基準監督署長に届け出る必要がある。決議の届出が当該裁量労働制の実施要件となっている。労使協定では企画業務型裁量労働制を実施することはできない。
■ 労使委員会は、次のような要件を満たさなければならない。
賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会であること
・ 使用者及び当該事業場の労働者を代表するものを構成員とする者であること
・ 委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者に厚生労働省令で定めるところにより任期を定めて指名されていること(当該事業場の労働者の過半数の信任は不要)
・ 上記の指名は、労基法41条2項に規定する監督又は管理の地位にある者以外の者について行わなければならない。
・ 当該委員会の議事について、厚生労働省令で定めるところにより、議事録が作成され、かつ保存(5年間(当分の間、3年間))されるとともに、当該事業場の労働者に対する周知がはかられていること 等
■ 個別の対象労働者の同意を得る旨を決議することが必要とされている。当該事業場の過半数の労働者の意思に基づき当該労働裁量性を採用する場合でも、これに反対する労働者の意思を尊重している。
■ 使用者は、労働者が労使委員会の委員であることもしくは労使委員会の委員になろうとしたこと又は労使委員会の委員として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない。(労規則24条の2の4第6項)
■ 厚生労働大臣は、対象業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るために、労働政策審議会の意見を聴いて、労使委員会が決議する事項について指針を定め、これを公表するものとする。(労基法38条の4第3項)
■ 適正な手続きを踏んだ上で労働時間等設定改善委員会が労使委員会の委員となって、両委員会の委員を重ねることにより、実質上、労働時間等設定改善委員会が新たな裁量労働制に係る労使委員会を兼ねることができる。(平成11年基発169号)
■ 企画業務型裁量労働制の実施状況について、使用者は労使委員会の決議が行われた日から起算して1年以内に1回(当分の間、則附則66条の2の規定により6か月以内ごとに1回)所轄労働基準監督署長に次の事項について報告しなければならない。(労基法38条の4第4項、労規則24条の2の5、則附則66条の2)
・ 労働者の労働時間の状況
・ 労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況(苦情の報告義務なし)
■ 労使委員会の委員数については、事業場の実態に応じて関係労使が任意に定めれば足りる。ただし、労働者代表、使用者代表それぞれ1名のような場合は、労使委員会とは認められない。(平成12年基発1号)
■ 労使委員会において、企画業務型裁量労働制の導入に係る決議をする場合の「委員の5分の4以上の多数による議決」とは、労使委員会に参加した委員の5分の4以上の多数による議決で足りることとされている。(平成15年基発1226002号)
■ 決議は、所轄労働基準監督署長に届出をしなければならない。この届出を行わなければ、企画業務型裁量労働制の効力は発生しない。(平成12年基発1号)
■ 労働者派遣法44条に企画業務型裁量労働制に関する規定がない以上、派遣労働者に企画業務型裁量労働制を適用することはできない。(平成12年基発180号)
■ 労使委員会の決議それ自体についても、もとより書面により所存すべきものであるが、これについては労働基準法109条に規定する「労働関係に関する重要な書類」に該当するものであり、同条により5年間(当分の間、3年間)保存しなければならない。8平成12年基発1号)
■ 企画業務型裁量労働制が適用される場合であっても、休憩、休日及び深夜に関する規定の適用は排除されない。(平成12年基発1号)
■ 労使委員会は、以下について労使協定に代えて委員の5分の4以上の多数による議決による決議(協定代替決議)を行うことができる。
■ 労使委員会及び労働時間等設定改善委員会の決議による代替可能
1箇月単位の変形労働時間制(32条の2第1項)
・ フレックスタイム制(32条の3第1項)
1年単位の変形労働時間制(32条の4第1項・2項)
・ 1週間単位の変形労働時間制(32条の5第1項)
・ 一斉休暇の適用除外(34条2項但書)
・ 時間外・休日労働協定(36条1項・2項・5項)
・ 代替休暇(37条3項)
・ 事業場外のみなし労働時間制(38条の2第2項)
・ 専門業務型裁量労働制(38条の3第1項)
・ 時間単位の年次有給休暇(39条4項)
・ 年次有給休暇の計画的付与(39条6項)
■ 労使委員会のみ協定代替決議可能
・ 年次有給休暇の賃金(標準報酬月額の30分の1に相当する額)(39条9項但書)
■ 労使委員会も労働時間等設定改善委員会も協定代替決議不可能
・ 社内預金(18条)
賃金の一部控除(24条)
■ 事業場外のみなし労働時間制、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制に係る労働時間のみなしは、法第4章の労働時間に関する規定の適用に係る労働時間の算定について適用されるものであり、第6章の年少者及び第6章の2の妊産婦等の労働時間に関する規定に係る労働時間の算定については適用されない。また、労働時間みなしが適用される場合であっても、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用は排除されない(みなし労働時間制が実施されたとしても、「年少者、妊産婦等の労働時間に関する協定」を優先する)(昭和63年基発1号、平成元年基発1号、平成12年基発1号)
■ みなし労働時間制まとめ
・ 事業場外
・ 要件 労使協定
・ 届出 要
・ ただし、協定で定めた時間が法定労働時間を超える場合のみ
・ 専門業務型
・ 要件 労使協定
・ 届出 要
・ 企画業務型
・ 要件 労使委員会の決議
・ 届出 要
■ 3つのみなし労働時間制(事業場外、専門業務型、企画業務型)は、いずれも、労働時間の算定において、「一定の時間、労働したものとみなす」という規定です。極端な言い方をすると、その効力しかありません。それを踏まえて、次の点には注意しましょう。
・ みなし労働時間制は、法定労働時間・法定休日に関する規定、休憩に関する規定、割増賃金に関する規定などの適用を排除するものではありません。
・ 例えば、「みなし労働時間(1日について定める)」が「8時間(1日の法定労働時間)」を超える場合には、36協定の締結・届出が必要です。
・ また、当然、みなし労働時間制の対象となる労働者に法定休日労働を行わせる場合にも、36協定の締結・届出が必要です。
■ 事業場を異にする場合とは、労働者が1日のうちA事業場で4時間労働し、次いでB事業場で5時間労働する場合のように、同一労働者が別個の事業場でそれぞれ労働することをいい、それぞれの事業主が同一であるかどうかは問われないこととされている。また、この場合、1時間の時間外労働が発生することとなるが、割増賃金の支払義務は原則として、B事業場の事業主に生じることになる。(労基法38条1項)
■ 労働者が坑口に入った時刻から坑口を出た時刻までの時間を、休憩時間を含め労働時間とみなす。ただし、この場合において、一斉休暇の原則(労基法34条2項)及び休憩時間の自由利用の原則(労基法34条3項)に関する規定は適用しない(労基法38条2項)
■ 労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の労働者については適用しない。(労基法41条、労規則23条)
・ 農業、畜産、養蚕、水産業従業者
・ 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
・ 監視又は断続的労働事業者で、使用者が行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可を受けたもの
・ 宿直又は日直の勤務で断続的な業務に就く者で使用者が行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可を受けたもの
■ 農業、畜産、養蚕、水産業従業者は、その事業が自然条件に左右されることから、労働時間等の規制を行うことは適当でないものとされ、労働時間、休憩、休日に関する適用が除外されている。なお、林業については、労働時間、休憩、休日に関する規定は適用される。
■ 事業経営の管理的立場にある者又はこれと一体をなす者であり、労働時間、休憩、休日に関する労働基準法の規制を超えて活動しなければならない企業経営上の必要から規定された。
■ 41条対象者であっても、深夜業や年次有給休暇に関する規定は適用される。
■ 監督又は管理の地位にある者(昭和63年基発150号)
・ 一般的には部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者。名称にこだわらず実態に即して判断される。
・ 権利監督者であるかの判定にあたっては、賃金面の待遇面についても無視し得ないものである。この場合、定期給与である基本給、約付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても約付者以外の一般労働者に比して優遇措置が講じられているか否か等について留意する必要がある。なお、一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからと言って、実態のない約付者が管理監督者に含まれるものではない。
■ 機密の事務を取り扱う者とは、秘書その他職務が経営者又は監督若しくは管理の地位にある者の活動と一体不可分であって、厳格な労働時間管理になじまない者(昭和22年基発17号)
■ 店舗の店長等が管理監督者に該当するか否かについては、昭和22年9月13日付け発基第17号、昭和63年3月14日付け基発第150号に基づき、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者であって、労働時間、休憩及び休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様及び賃金等の待遇を踏まえ、総合的に判断することとなるが、今般、店舗の店長等の管理監督者性の判断に当たっての特徴的な要素について、店舗における実態を踏まえ、最近の裁判例も参考として、下記の通り整理したところである。ついては、これらの要素も踏まえて判断することにより、店舗における管理監督者の範囲の適正化を図られたい。なお、下記に整理した内容は、いずれも管理監督性を否定する要素に係るものであるが、これらの否定要素が認められない場合であっても、直ちに管理監督性が肯定されることになるものではないことに留意されたい。
・ 「職務内容、責任と権限」についての判断要素
・ 店舗に所属する労働者に係る採用、解雇、人事考課及び労働時間の管理は、店舗における労務管理に関する重要な職うであることから、これらの「職務内容、責任と権限」については、次のように判断されるものであること
・ 採用 店舗に所属するアルバイト・パート等の採用(人選のみを行う場合も含む)に関する責任と権限が実質的にない場合には、管理監督性を否定する重要な要素となる。
・ 解雇 店舗に所属するアルバイト・パート等の解雇に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない場合には、管理監督性を否定する重要な要素となる。
・ 人事考課 人事考課(昇格、昇給、賞与等を決定するため労働者の業務遂行能力、業務成績等を評価することをいう)の制度がある企業において、その対象となっている部下の人事考課に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない場合には、管理監督性を否定する重要な要素となる。
・ 労働時間の管理 店舗における勤務割表の作成又は所定時間外労働の命令を行う責任と権限が実質的にない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。
・ 「勤務態様」についての判断要素
・ 管理監督者は、「現実の勤務態様も、労働時間の規制になじまないような立場にある者」であることから、「勤務態様」については、遅刻、早退等に関する取扱い、労働時間に関する裁量及び部下の勤務態様との相違により、次のように判断されるものであること。
・ 遅刻、早退等に関する取扱い
・ 遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課での負の評価等不利益な取扱いがされる場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。ただし、管理監督者であっても過重労働による健康障害防止や深夜業に対する割増賃金の支払の視点から労働時間の把握や管理が行われていることから、これらの観点から労働時間の把握や管理を受けている場合については管理監督者性を否定する要素とはならない。
・ 労働時間に関する裁量
・ 営業時間中は店舗に常駐しなければならない、あるいはアルバイト・パートなどの人員が不足する場合にそれらの者の業務に自ら従事しなければならないなどにより長時間労働を余儀なくされている場合のように、実際には労働時間に関する裁量がほとんどないと認められる場合には、管理監督者性を否定する補強要素となる。
・ 部下の勤務態様との相違
・ 管理監督者としての職務も行うが、会社から配布されたマニュアルに従った業務に従事している等労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務態様が労働時間の大半を占めている場合には、管理監督者性を否定する補強要素となる。
・ 「賃金等の待遇」についての判断要素
・ 管理監督者の判断に当たっては「一般労働者に比し優遇措置が講じられている」などの賃金等の待遇面に留意すべきものであるが、「賃金等の待遇」については、基本給、役職手当等の優遇措置、支払われた賃金の総額及び時間単価により、次のように判断されるものであること
・ 基本給、役職手当等の優遇措置
・ 基本給、役職手当等の優遇措置が、実際の労働時間数を勘案した場合に、割増賃金の規定が適用除外となることを考慮すると十分でなく、当該労働者の保護に欠けるおそれがあると認められるときは、管理監督性を否定する補強要素となる。
・ 支払われた賃金の総額
・ 一年間に支払われた賃金の総額が、勤続年数、業績、専門職種等と同程度以下である場合には、管理監督者性を否定する補強要素となる。
・ 時間単価
・ 実態として長時間労働を余儀なくされた結果、時間単価に換算した賃金額において、店舗に所属するアルバイト・パート等の賃金額に満たない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。特に、当該時間単価に換算した賃金額が最低賃金額に満たない場合は、管理監督者性を否定する極めて重要な要素となる。
■ 一般の労働の態様と異なり、労働密度が低いことから法規制を加えなくても、必ずしも労働者保護に欠けることにはならない。濫用を防ぐ意味で、適用除外の要件として所轄労働基準監督署長の許可を受けることを条件としている。
■ 使用者は、宿直又は日直の勤務で断続的な業務について、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合は、これを従事する労働者を法32条の規定にかかわらず、使用することができる。(労規則23条)
■ 宿直又は日直の勤務については、断続的労働の一態様として所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合には、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用が除外される(昭和23年基発33号)。ただし、労働基準法89条は適用されるため、就業規則に始業、終業の時刻を定める必要がある。
■ 宿直又は日直の許可基準(昭和63年基発150号)
・ 勤務の態様 ほとんど労働する必要のない勤務に限り許可される。ただし、通常の労働の継続であるようなものは許可されない。
・ 宿日直手当 1回の宿直手当又は日直手当の最低額は、当該事業場において宿直又は日直に就くことが予定されている同種の労働者に対して支払われる賃金(割増賃金の基礎となる賃金)の1人1日平均額の3分の1以上の額であること。
■ 所轄労働基準監督署長の許可の要否
・ 農業・畜産・養蚕・水産業従業者・管理監督者等 → 不要
・ 監視又は断続的労働従事者・宿日直勤務者 → 必要
■ 自律的で創造的な働き方を希望する方々が、高い収入を確保しながら、メリハリのある働き方ができるよう、本人の希望に応じた自由な働き方の選択肢を用意するものとして、2019(平成31)年4月1日施行の改正で、「高度プロフェッショナル制度」が創設された。この来ては、労働時間、休憩、休日、深夜の割町賃金の規定の適用を除外するもの。効果が高い分、実施要件は厳格なものとなっている。
賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会(使用者及び当該事業場の労働者を代表する者を構成員とするものに限る)が設置された事業場において、当該委員会がその委員の5分の4以上の多数による議決により以下の決議事項に関する決議をし、かつ、使用者が、厚生労働省令で定めるところにより当該決議を行政官庁に届け出た場合において、決議事項に掲げる労働者の範囲に属する労働者(対象労働者)であって書面その他の厚生労働省令で定める方法によりその同意を得たものを当該事業場における決議事項に掲げる業務に就かせたときは、労働基準法第4章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は、対象労働者については適用しない。(労基法41条の2第1項)
■ 高度プロフェッショナル制度の対象業務に従事する対象労働者の健康管理を行うために当該対象労働者が事業場内にいた時間(労使委員会が厚生労働省令で定める労働時間以外の時間(休憩時間その他労働者が労働していない時間)を除くことを決議したときは、当該決議に係る時間を除いた時間)と事業場外において労働した時間との合計の時間をいう。(健康管理時間)
■ 実施要件のポイント
・ 事業場に「労使委員会」を設置
・ 労使委員会で、所定の決議事項について、委員の5分の4以上の多数で決議
・ 使用者が、当該決議を行政官庁に届出(届出をして、初めて効力が発生)
・ 健康管理時間を把握する措置(決議事項)、一定の健康確保措置は、必ず講じていることが必要
■ 対象労働者のポイント
・ 対象業務は高度専門職のみ
・ 高度の専門的知識等を必要とし、従事した時間と成果との関連が高くない業務(具体的には、厚生労働省令で定める)のみ
・ 対象となるのは高所得者のみ
・ 年収が「労働者の平均給与額の3倍」を「相当程度上回る基準」(1075万円)以上の者に限る
・ 最終的には、書面による本人の同意を得ることが必要(同意の撤回も可能)
■ 労基法41条の2第1項の委員会(労使委員会)
・ 労基法38条の4第2項(委員会の要件)、3項(指針)及び5項(決議)の規定は、労基法41条の2第1項の委員会について準用する(労基法41条の2第3項)
・ 高度プロフェッショナル制度に関する決議をする委員は、当該決議の内容が上記において準用する労基法38条の4第3項の指針に適合したものとなるようにしなければならない。
・ 行政官庁は、上記において準用する労基法38条の4第3項の指針に関し、高度プロフェッショナル制度に関する決議をする委員に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
■ 高度プロフェッショナル制度に係る労使委員会は、企画業務型裁量労働制に係る労使委員会と同様である。
■ 労働安全衛生法と連動して、次のような要件もあります。
・ 高度プロフェッショナル制度の適用を受ける労働者であって、その健康管理時間が当該労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超えるものに対しては、医師による面談指導を実施しなければならない。(安衛法66条の8の4)
■ 高度プロフェッショナル制度の導入のフロー
・ STEP1 「労使委員会」を設置する
・ 労使委員会の要件
・ 委員の半数については、過半数労働組合がある場合には過半数労働組合が、過半数労働組合がない場合には過半数代表者が人気を定めて指名すること等
・ STEP2 労使委員会で決議をする
・ 決議の要件 委員の5分の4以上の多数による決議
・ 決議事項
・ 対象業務 高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者につかせることとする業務
・ 対象労働者の範囲 合意に基づき職務が明確に定められており、厚生労働省令で定める額(1075万円)以上の賃金が支払われている者
・ 対象労働者の健康管理時間を把握すること及びその把握方法
・ 対象労働者に年間104日以上、かつ、4週4日以上の休日を与えること
・ 対象労働者の健康確保措置
・ インターバル確保、深夜業制限
・ 1か月又は3か月の健康管理時間の上限措置
・ 2週間連続の休日
・ 臨時の健康診断
・ 対象労働者の健康管理時間の状況に応じた健康確保措置 厚生労働省令で定めるものから選択
・ 対象労働者の同意の撤回に関する手続
・ 対象労働者の苦情処理措置を実施すること及びその具体的内容
・ 同意をしなかった労働者に不利益な取扱いをしてはならないこと
・ その他厚生労働省令で定める事項 決議の有効期間等
・ STEP3 決議を労働基準監督署長に届け出る
・ STEP4 対象労働者の同意を書面で得る
・ STEP5 対象労働者を対象業務につかせる
・ 制度導入後の対応
・ 実施状況を労働基準監督署に定期報告する
■ 要件に該当する者に面接指導を行う(100時間超の残業・請求不要)
[労基法] 労働基準法・重要箇所・Chapter4
変形労働時間制
■ 月初、月末、特定の週など業務の繁閑に差がある事業場では、労働者の生活設計を損なわない範囲内において、労働時間の弾力的な運用を図ることを可能にした。これにより、使用者としては割増賃金の支払の負担から解放され、労働者にとっても効率的な業務が可能となり、労働時間が結果的に短縮されることを目的としている。
■ 1か月単位の変形労働時間制を採用するには、次の要件を充たす必要がある。(労基法32条の2)
・ 労使の書面協定又は就業規則その他これに準ずるものにより次の定めをする。
・ 変形期間(起算日を明らかにする)を1か月以内の期間とし
・ 変形期間を平均し1週間あたりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲で次の事項を定める
・ 変形期間中の各日、各週の具体的な労働時間(所定労働時間)
・ 就業規則その他これに準ずるもの又は労使協定において、変形期間中の各労働日の始業及び終業の時刻を定める。
・ 労使協定を所定労働基準監督署長に届け出る。
■ 労使の書面協定により1か月単位の変形労働時間制を採用した場合でも始業及び終業の時刻は就業規則の絶対的必要記載事項であるから、就業規則に規定することが必要である。(就業規則については、労基法89条の規定により届出が必要)
■ 労使の書面協定(労働協定による場合を除き、労使委員会の決議又は労働時間等設定改善委員会の決議を含む)には、有効期間の定めをするものとされている(労基則12条の2の2第1項)
■ 労使協定は、所定労働基準監督署長に届け出なければならない(労基則12条の2の2第2項)この届出は、労使協定の効力の発生要件ではないため、労使協定が有効に締結されていれば、適法に1か月単位の変形労働時間制が採用されているものとされる。
■ なお、届出を怠った場合には罰則の規定があり、30万円以下の罰金に処せられる(労基法120条1号)
■ 1か月単位の変形労働時間制を労使協定によって導入する場合には、当該労使協定の有効期間は、不適切な制度が運用されることを防ぐため、3年以内とするのが望ましい。(平成11年基発169号)
■ 就業規則の作成義務がある常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則に必ず定める必要があり、常時10人未満の労働者を使用する事業場では、就業規則に準ずるものにより定めをすれば足りる。なお、「その他これに準ずるもの」については、行政官庁に届け出る必要はない(昭和22年発基17号)。また、この定めをした場合には、これを労働者に周知させなければならない(労基則12条)
■ 変形期間は1か月以内とされており、1か月単位のほかに4週間単位等も可能である。
■ 1か月単位の変形労働時間制を採用した場合には、就業規則その他これに準ずるものにより定めるところにより、特定された週、特定された日において法定労働時間を超えて働かせることができる。(労基法32条の2第1項)
■ 1か月単位の変形労働時間制を採用した場合の変形期間における法定労働時間の総枠は、次の式による。
・ 40時間×変形期間の日数÷7
31日の月の例→40時間×31日÷7=177.1時間
・ 特例対象事業は44時間
■ 各変形期間における法定労働時間の総枠
■ 法定労働時間が週40時間の事業
・ 1か月単位(30日の月) 171.4時間
・ 1か月単位(31日の月) 177.1時間
・ 4週間単位 160.0時間
・ 1週間単位 40.0時間
■ 法定労働時間が週44時間の事業(特例対象事業)
・ 1か月単位(30日の月) 188.5時間
・ 1か月単位(31日の月) 194.8時間
・ 4週間単位 176.0時間
・ 1週間単位 44時間
■ 1か月単位の変形労働時間制の例
・ 1週目 8時間/日×5日=40時間
・ 2週目 9時間/日×5日=45時間
・ 3週目 10時間/日×5日=50時間
・ 4週目 7時間/日×4日=28時間
・ 5週目 7時間/日×2日=14時間
・ 40+45+50+28+14=177時間<177.1時間(1か月(31日)総枠)
■ 1か月単位の変形労働時間制を採用した場合に、時間外労働となるのは次の時間であり、割増賃金の支払義務が生じる
1日について 労使の書面協定又は就業規則その他これに準ずるものにより8時間を超える時間を定めた日はその時間を超えて労働した時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間
・ 1週間について 労使の書面協定又は就業規則その他これに準ずるものにより1週の法定労働時間を超える時間を定めた週はその時間を超えて労働した時間、それ以外の週は1週の法定労働時間を超えて労働した時間(上記で時間外となる時間を除く)
・ 変形期間について 変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(上記の時間外労働となる時間を除く)
■ 具体例
・ 1週間の法定労働時間が40時間、変形期間が4週間の場合
・ 変形期間の法定労働時間の総枠 160時間(40×28÷7=160)
・ 変形期間の所定労働時間の総枠 156時間(38+38+42+38)
・ 所定労働時間
・ 1,2週目 月曜(10),火曜(6),水曜(8),木曜(6),金曜(6),土曜(2)/38
・ 3週目 月曜(10),火曜(6),水曜(8),木曜(7),金曜(7),土曜(4)/42
・ 4週目 月曜(6),火曜(6),水曜(8),木曜(7),金曜(7),土曜(4)/38
・ 実労働時間
・ 1週目 月曜(12),火曜(10),水曜(8),木曜(6),金曜(6),土曜(6)/48
・ 2週目 月曜(10),火曜(6),水曜(8),木曜(6),金曜(6),土曜(6)/42
・ 3週目 月曜(10),火曜(6),水曜(8),木曜(7),金曜(7),土曜(3)/41
・ 4週目 月曜(6),火曜(8),水曜(8),木曜(7),金曜(7),土曜(4)/40
・ 1週目
・ 月曜 1日法定8時間を超えて10時間と定められている日にその所定労働時間を超えている→時間外労働
・ 火曜(6-8) 1日所定8時間未満8時間を超えていない日、1週法定未満→時間外でない
・ 火曜(8-) 1日所定8時間未満法定8時間を超えている→時間外労働
・ 土曜(2-4,4-) 
1日所定8時間未満法定8時間を超えていない→時間外でない
・ 1週間所定38時間 1週実労働(1日時間外以外【月10+火(6+2)+水8+木6+金6+土(2+4)=44>40(1週法定)→時間外(4時間分)
・ 2週目
・ 月-金 時間外なし
・ 土曜(2-4)
1日所定8時間未満法定8時間を超えていない→時間外でない
・ 1週所定38時間以上法定40時間未満→時間外でない
・ 土曜(4-)
1日所定8時間未満法定8時間を超えていない→時間外でない
・ 1週所定38時間以上法定40時間以上→時間外(10+6+8+6+6+4=42)>40(2時間時間外)
・ 3週目
・ 所定42時間→1月平均40時間未満(156÷4=39時間)OK
・ 土曜(4-)
・ 1週所定42時間以上法定40時間以上→時間外(42+2)>40(4時間分?)
・ 4週目
・ 火曜(8) 
1日所定8時間未満法定8時間未満→1日時間外なし
・ 1週所定38時間実40時間→1週時間外なし
1月実労働時間(38+38+42+38+(1週火2)+(2週土2)+(3週火2))=162>160
■ 特例(労基法40条)
・ 法定労働時間の特別措置対象事業(労基則25条の2第2項)
・ 特例対象事業については、1週平均44時間を超えない範囲での1か月安易の変形労働時間制を適用することができる。
・ 予備の勤務に就く者(労基則26条)
・ 運輸交通業において列車、気動車又は電車に乗務する労働者で予備の勤務に就く者については、1か月以内の一定の期間を平均し1週間あたりの労働時間が40時間を超えない限りにおいて、労使の書面協定又は就業規則その他これに準ずるものに定めをすることなく、1週間について40時間、1日について8時間を超えて労働させることができる。
■ 適用除外
・ 年少者(労基法60条3項2号)
・ 満18歳未満の年少者については、1か月単位の変形労働時間制は適用されない(労基法60条1項)。ただし、15歳以上(満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの間を除く)満18歳未満の年少者については、一定の制約(1週48時間、1日8時間を超えない範囲内)の下に、1か月単位の変形労働時間制の規定の例により労働させることができる。
・ 妊産婦(労基法66条1項)
・ 妊産婦が請求した場合には、1か月単位の変形労働時間制を採用している場合であっても、1週又は1日についての法定労働時間を超えて労働させることはできない
■ 特別の配慮を要する者(労基則12条の6)
・ 使用者は、変形労働時間制(フレックスタイム制を除く)の規定により労働者に労働をさせる場合には、育児を行うもの、老人等の介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるような配慮をしなければならない。
■ 勤務ダイヤによる1か月単位の変形労働時間制を採用する場合、就業規則においてできる限り具体的に特定すべきものであるが、業務の実態から月ごとに勤務割を作成する必要がある場合には、就業規則において各直勤務の始業終業時刻、各直勤務の組み合わせの考え方、勤務割表の作成手続及びその周知方法等を定めておき、それにしたがって各日ごとの勤務割は、変形期間の開始前までに具体的に特定することで足りる。(昭和63年基発150号)
■ フレックスタイム制は、一定の期間(清算期間)の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で始業又は終業の時刻を選択して働くことによって労働者がその生活と業務との調和を図りながら、効率的に働くことを可能とし、労働時間を短縮する制度。
■ なお、2019(平成31)年4月1日施行の改正で、清算期間の上限が、1か月から「3か月」に延長され、より柔軟な制度設計が可能となった。
■ フレックスタイム制の採用要件(労基法32条の3、労基則12条の3)
・ 就業規則その他これに準ずるものにおいて、始業又は終業の時刻を労働者の決定に委ねる旨を定める。
・ 以下の事項について労使の書面協定を締結すること(所轄労働基準監督署長への届出が必要(清算期間が1か月以内である場合は不要))
・ 必須
・ 対象労働者の範囲
・ 清算期間(3か月以内の期間に限る。また、起算日を定めることが必要)
・ 清算期間における総労働時間
・ 標準となる1日の労働時間
・ それ以外
・ コアタイム(労働者が必ず労働しなければならない時間帯)を定める場合には、その開始及び終了の時刻
・ フレキシブルタイム(労働者がその選択により労働することができる時間帯)に制限を設ける場合には、その開始及び終了の時刻(労基法32条の3、労基則12条の3)
・ 清算期間が1か月を超える者である場合にあっては、労使協定(労働協約による場合を除き、労使委員会の決議又は労働時間等設定改善委員会の決議を含む)の有効期間の定め
・ なお、コアタイム、フレキシブルタイムを設けるか否かは任意である(昭和63年基発1号)
■ 清算期間は、3か月以内の期間に限られている。3か月単位のほかに2か月単位・1か月単位・1週間単位なども可能。また、清算期間の起算日も明らかになるように定めておく必要がある。
■ 総労働時間とは、契約上労働者が労働すべき時間として定められた時間であり、清算期間を単位として決定することになる。
■ フレックスタイム制による労働者が年次有給休暇を取得した場合は、当該日に標準となる1日の労働時間、労働したものとして取り扱われる。(昭和63年基発150号)
■ フレックスタイム制に係る労使協定には、労使の双方から異議のない場合には、同じ内容の協定が次期にも自動的に更新されるという、いわゆる自動更新の規定を設けることができる(清算期間が1か月以内の場合、更新の都度の届出は不要)
■ フレックスタイム制に係る労使協定は、行政官庁(所轄労働基準監督署長)への届出が必要である。ただし、清算期間が1か月以内のものであるときは、この限りでない(労基法32条の3第4項、労基則12条の3)
■ なお、届出を怠った場合には罰則(30万円以下の罰金)の適用がある(労基法120条1号)
■ フレックスタイム制に係る労使協定
・ 清算期間が1か月以内→届出は不要
・ 清算期間が1か月超え(3か月以内)→届出が必要
■ フレックスタイム制は、始業の時刻及び終業の時刻の両方を労働者の決定に委ねる者でなければならない。一方だけを労働者に委ね、他方を使用者が決定するもの、始業又は終業の時刻の一方が就業規則等で特定されているもの、フレキスブルタイムが極端に短い場合、コアタイムの開始から終了までの時間と標準なる1日の労働時間がほぼ一致している場合などは、基本的には始業および終業の時刻を労働者の決定にゆだねたことにはならず、フレックスタイム制とは認められない。(昭和63年基発150号、婦発1号)
■ フレックスタイム制の特徴は、労働者に始業及び終業の両方の決定権を与えることにある。片方だけではフレックスタイム制とは言えない。
■ フレックスタイム制は、いわゆる「清算期間における法定労働時間の総枠」の範囲内の労働であれば、基本的に、時間外労働とならない制度である。(労基法32条の3)
■ 清算期間における法定労働時間の総枠
・ 清算期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が労基法32条1項の労働時間(40時間)を超えない範囲内(通達で、これを「清算期間における法定労働時間の総枠」という)
・ 計算式 40時間×清算期間の歴日数÷7
・ 特定対象事業では、清算期間が1か月以内である場合には、44時間として計算する
■ 清算期間における法定労働時間の総枠の典型例
・ 法定労働時間が週40時間の事業
・ 1か月以内(4週間) 160時間
・ 1か月以内(30日) 171.4時間
・ 1か月以内(31日) 177.1時間
・ 1か月超え(61日) 348.5時間
・ 1ヶ月超え(91日) 520.0時間
・ 1か月超え(92日) 525.7時間
・ 法定労働時間が週44時間の事業(特例対象事業)
・ 1か月以内(4週間) 176.0時間
・ 1か月以内(30日) 188.5時間
・ 1か月以内(31日) 194.8時間
・ 1か月超え(61日) 348.5時間
・ 1か月超え(91日) 520.0時間
・ 1か月超え(92日) 525.7時間
■ 清算期間が1か月を超える者である場合においては、清算期間における法定労働時間の総枠を超えず、かつ、当該清算期間をその開始の日以後1か月ごとに区分した各機関(最後に1か月未満の期間を生じたときは、当該期間)ごとに、当該各期間を平均し1週間当たりの労働時間が50時間を超えないことが求められる(労基法32条の3第2項)
■ 清算期間を1か月ごとに区分した各期間における週平均50時間の枠
・ 計算式 50時間×清算期間を1ヶ月毎に区分した各期間の歴日数÷7
■ 清算期間を1か月ごとに区分した各期間における週平均50時間の枠の典型例
・ 各期間 30日 214.2時間
・ 各期間 31日 221.4時間
・ 各期間 25日(最後1月) 178.5時間
■ フレックスタイム制を採用した場合に法定時間外労働となるのは、以下に示す労働時間である。
・ 従前のとおり、清算期間における実労働時間数のうち、法定労働時間の総枠を超えた時間が法定労働時間外労働となるものであること。具体的な計算方法は次の式によること
・ 清算期間における実労働時間数−(週の法定労働時間×清算期間における歴日数÷7)
・ 後述の労使協定がある場合は、「8時間×清算期間における所定労働日数」が限度(清算期間における法定労働時間の総枠)となる。
・ 次を合計した時間が法定時間外労働となるものであること
・ 清算期間を1か月ごとに区分した各期間(最後の1か月未満の期間を生じたときは、当該期間)における実労働時間のうち、各期間を平均し1週間当たり50時間を超えて労働させた時間。具体的な計算式は、次によること
・ 清算期間を1か月ごとに区分した期間における実労働時間数−50×清算期間を1か月ごとに区分した期間における歴日数÷7
・ 清算期間における総労働時間のうち、当該清算期間の法定労働時間の総枠を超えて労働させた時間(ただし、上記の算定された時間外労働時間を除く)
■ 清算期間が1箇月を超える場合のフレックスタイム制においては、労働基準法36条6項2号及び3号(時間外労働の時間+休日労働の時間が、単月100時間未満・複数月平均80時間以内という上限)は、清算期間を1か月ごとに区分した各期間について、当該各期間(最終の期間を除く)を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた時間に対して適用される。(平成30年基発1228第15号)
■ また、清算期間を1か月ごとに区分した各期間の最終の期間においては、当該最終の期間を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた時間に加えて、当該清算期間における総実労働時間から、①当該清算期間の法定労働時間の総枠及び②当該清算期間中のその他の機関において時間外労働として取り扱った時間を控除した時間が時間外労働時間として算定されるものであり、この時間について労働基準法36条6項2号及び3号が適用される。
■ なお、フレックスタイム制は、労働者があらかじめ定められた総労働時間の範囲内で始業及び終業の時刻を選択し、仕事と生活の調和を図りながら働く制度であり、長時間の時間外労働を行わせることは、フレックスタイム制の趣旨に合致しないことに留意すること
■ 1週間の所定労働日数が5日の労働者についてフレックスタイム制により労働させる場合、労使協定により、労働時間の限界について、当該清算期間における所定労働日数を労基法32条2項の労働時間(8時間)に乗じて得た時間とする旨を定めたときは、当該清算期間における日数を7で除して得た数をもってその時間を除して得た時間によって、法定労働時間の総枠を計算する。
■ 1週間の所定労働日数が5日の労働者については、労使協定により、労働時間の限度について、清算期間における所定労働日数を1日の法定労働時間(8時間)に乗じて得た時間とする旨を定めることができる。
■ この場合、当該清算期間における日数を7で除して得た数をもってその時間を除して得た時間が1週間の法定労働時間(1週間当たりの労働時間の限度)となる。
■ 労働時間の限度の要件の整理
・ 週の所定労働日数が5日
・ 労使協定で、「清算期間における所定労働日数×8時間」を、清算期間における労働時間の限度とすることができる。
・ この場合、1週間の法定労働時間は、「上記の時間(清算期間における所定労働日数×8時間)÷(清算期間における日数)/7」
・ 上記の時間を使って、フレックスタイム制を組める(結局、清算期間における法定労働時間の総枠は、上記の時間(清算期間における所定労働日数×8時間)となる。
■ 労働時間の限度の要件の例
・ 週の所定労働日数が5日で、清算期間が3か月(歴日数92日)とし、その間の所定労働日数が66日である場合の労働時間の限度(要・労使協定)
・ その清算期間(全体) 8時間×66日=528時間
・ 1週間当たり 528時間÷92日/7≒40.1時間
■ 清算期間が1か月を超える場合で、清算期間よりも短い時間しか働かなかった労働者、すなわち清算期間の途中で入社した労働者や退社した労働者の取扱いを定めたもの。1年単位の変形労働時間制にも、同様の規定があります。
・ 当該労働させた期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間(労働基準法33条又は36条1項の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く)の労働については、労働基準法37条の規定の例により割増賃金を支払わなければならない。(労基法32条の3の2)
■ フレックスタイム制を採用した場合にも、労働基準法34条の休憩時間に関する規定の適用は排除されないから、一斉休憩が必要な事業場においては、コアタイム中に休憩時間を設け、一斉に与えるようにしなければならない。(労使の書面要諦によって休憩を一斉に付与しないこととした場合を除く)。また、休憩時間を一斉に付与する必要のない事業場においては、休憩時間をとる時間帯は労働者に委ねられる旨の規定を就業規則に記載すればよく、フレックスタイム制に係る労使協定の中に定める必要はない。(昭和63年基発150号)
■ フレックスタイム制においては、始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねているが、このことは、使用者の労働時間の把握義務を免除したものではないので、フレックスタイム制の採用する事業場においても、各労働者の各日の労働時間の把握をきちんと行わなければならない。(昭和63年基発150号)
■ 派遣労働者の派遣先においてフレックスタイム制の下で労働させる場合には、派遣元の使用者は、次のことを行う必要がある。(昭和63年基発1号)
・ 派遣元事業場の就業規則その他これに準ずるものにより、始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねることを定めること
・ 派遣元事業場において労使協定を締結し、所要の事項について協定すること。
・ 労働者派遣契約において当該労働者をフレックスタイム制の下で労働させることを定めること
■ 清算期間における実際の労働時間に過剰があった場合に、総労働時間として定められた時間分はその期間の賃金支払日に支払うが、それを超えて労働した時間分を次の清算期間中の総労働時間の一部に充当することは、その清算期間内における労働の対価の一部がその期間の賃金支払日に支払われないことになり、労基法24条に違反する。
■ 一方、清算期間における実際の労働時間に不足があった場合に、総労働時間として定められた時間分の賃金はその賃金支払日に支払うが、それに達しない時間分を次の清算期間中の総労働時間に上積みして労働させることは、法定労働時間の総枠の範囲内である限り、その清算期間においては実際の労働時間に対する賃金よりも多くの賃金を支払い、次の清算期間でその分の賃金の過払を清算するものと考えられ、労基法24条に違反するものではない。(昭和63年基発1号)
■ フレックスタイム制において三六協定を締結する際、1日について延長することができる時間を協定する必要はなく、1か月及び1年について協定すれば足りる。(平成30年基発1228第15号)
■ 前述の通り、特例対象事業については、清算期間が1箇月以内である場合は、1週平均44時間を超えない範囲でのフレックスタイム制が適用される。(総規則25条の2第3項)
■ 特例対象事業における法定労働時間の総枠の計算
・ 清算期間1か月以内
・ 44時間を用いて計算(44時間×清算期間における歴日数÷7)
・ 清算期間が1か月超え
・ 40時間を用いて計算(40時間×清算期間における歴日数÷7)
■ 満18歳未満の年少者 フレックスタイム制は適用されない(労基法60条1項)
■ 非現業の一般職の地方公務員 フレックスタイム制は適用されない(地方公務員法58条)
■ 週40時間労働制が定着した後において、労働者の健康、生活のリズム等に及ぼす影響に配慮しつつ、休日の確保によるゆとりの確保、時間外、休日労働の減少を図ることが一層重要になることにかんがみ、時間外・休日労働の減少による総労働時間の短縮及び休日の確保を実現する制度(平成11年基発45号)
■ 採用条件(労基法32条の4、労規則12条の4第1項)
・ 労使の書面協定により次の事項を定めること
・ 対象労働者の範囲
・ 対象時間(その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲において労働させる期間をいい、1か月を超え1年以内の期間に限るものとする)
・ 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間(対象期間を1か月以上の期間ごとに区分することとした場合においては、当該区分による各期間のうち当該対象期間の初日の属する期間(最初の期間)における労働日及び当該労働日ごとの労働時間並びに当該最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間)
・ 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間)
・ 有効期間(労働協約による場合を除き、労使委員会の決議又は労働時間等設定改善委員会の決議である場合を含む)
■ 使用者は、労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。この届出をしなかった使用者は、30万円以下の罰金に処せられる(労基法120条1号)
■ 対象となる労働者には、対象期間に入ってから採用された労働者や対象期間中に契約期間が満了する者、定年退職予定の者も含まれる。
■ ただし、対象期間の途中で入社し又は途中で退職する労働者等については、労働時間が対象期間よりも短くなる。この場合、対象期間中の週当たりの労働時間を平均して40時間を超えることとなった労働者については、その超えた労働時間について使用者は、当該労働者に割増賃金を支払わなければならない。
■ 対象期間(労規則12条の2第1項)
・ 対象期間の長さは、1か月を超え1年以内の期間である。なお、対象期間の途中でその適用を中止することはできない。
・ 対象期間の起算日を就業規則その他これに準ずるもの又は労使協定で定めること
■ なお、対象期間中に特に業務が繁忙な期間を特定期間という。特定起案を設定する必要がない場合においても、労働基準法32条の4第1項の規定上、「特定期間を定めない」旨定める必要がある。ただし、特定期間について何ら定めのない規定については、「特定期間を定めない」旨定められているものとみなされる。また、労使協定において変形制を適用する時期と適用しない時期をあらかじめ定め、適用しても差し支えない。
■ 労使協定において、「労使双方が合意すれば、対象期間中であっても変形制の一部を変更することがある」との協定があっても、これに基づき対象期間の途中で変更することはできない(平成6年基発181号)
■ 労働日数の限度は、対象期間が3か月を超える場合は対象期間について1年当たり280日とされている。具体的には、以下の式で計算した日数が限度となる。
1年当たりの労働日数の限度×(対象期間中の歴日数÷365)
■ 労働時間の限度
1日の労働時間の限度 10時間
・ 1週間の労働時間の限度 52時間
■ 例外
・ 下記のものについては、対象期間の長さにかかわらず、労働時間の限度が設けられている。
・ 積雪地域の屋外労働者等(労規則65条)
1日 10時間
・ 1週間 52時間
・ 積雪地域の屋外労働者等は、積雪の度が著しく高い地域として厚生労働大臣が指定する地域(豪雪地域対策特別措置法に規定する豪雪地帯の例による)で次の業務を行うものについては、48時間を超える週数について制度の制限を設けない
・ 建設業 建設工事に係る業務(屋外で作業に従事する者に限る)
・ トラック運送業 上記の業務に使用する資材機械等又は上記の業務により生じた廃棄物等、運送のように供する自動車の運転の業務
・ 隔日勤務のタクシー運転手(労規則66条)
1日 16時間
・ 1週間 52時間
・ 隔日勤務のタクシー運転手は、タクシー運転手であって、労働時間の終了から次の労働時間の開始までの期間が継続して20時間以上ある業務であって、始業及び終業の時刻が同一の日に属しない業務に従事する者(ただし、上記の特例は、ハイヤーや長距離トラックの運転手には適用されない)
■ 労働時間の限度時間の設定は、対象期間が3か月を超えるときは、次の2つの条件を満たす必要がある。
・ 対象期間において、その労働時間が48時間を超える週が連続する場合の週数が3以下であること
・ 例
・ 40,40,40,50,52,50,49,36,38,40,38,40,40,40,38,40,40,40
・ 連続4週になる設定は不可
・ 対象期間をその初日から3箇月ごとに区分した各期間(3月未満の期間を生じたときは当該期間)において、その労働時間が48時間を超える週の初日の数が3以下であること
・ 例
・ 40,40,50,40,52,50,46,36,38,40,38,40,40,40,38,40,40,40
・ この期間内のどれかを48時間以上とすると、1期間(3か月)に3回を超える設定となるため不可
■ 連続して労働させることができる日数(労規則12条の4第5項)
・ 原則(対象期間) 連続6日
・ 特定期間 1週間に1日の休日が確保できる日数
・ 特に業務が繁忙な期間である特定期間については、結果的に連続12日間労働させることが可能となります。
・ 日(休日),(月,火,水,木,金,土,日,月,火,水,木,金,土),日(休日)
・ どちらも必ず1週間に1回の休日が必要となるため、変形休日制(4週間を通じ4日以上の休日)の採用は不可となる。
■ 原則として、全期間の労働日・労働日ごとの労働時間を定めなければならないが、労使協定で対象期間を1箇月以上の期間に区分する場合には、全期間の労働日とその労働日ごとの労働時間を特定することまでは必要とせず、次の事項を定めればよい
・ 最初の期間における労働日
・ 上記の労働日ごとの労働時間
・ 最初の期間を除く各期間における労働日数
・ 最初の期間を除く各期間における労働時間
・ 対象期間(1年以内)
・ 最初1か月
・ 最初の期間
・ 「最初の期間」とは、区分された各期間のうち、当該対象期間の初日の属する期間をいう。
・ 労働日
・ 労働日ごとの労働時間
・ 最初以外の1か月(2月目以降)
・ 労働日数
・ 労働時間
■ 最初の期間を除く各期間における労働日及び各労働日ごとの労働時間の決め方については、使用者は、その各期間の初日の少なくとも30日前に、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の同意を得て、書面により、当該労働日数を超えない範囲内において当該各期間における労働日及び総労働時間を超えない範囲において、それぞれの各期間における労働日ごとの労働時間を定めなければならない。
■ 労使協定の有効期間・届出
・ 有効期間の長さについては、対象期間より長い期間とする必要があるが、適切な運用を図るためには対象期間と同じ1年程度とするのが望ましい。
・ 労使協定は、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
1年単位の変形労働時間制の時間外労働(労基法32条の4第1項)
1日について、労使協定により8時間を超える労働時間を定めた日は、その時間を超えて労働した時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間
・ 1週間については、労使協定により40時間を超える労働時間を定める週はその時間、それ以外の週は40時間を超えて労働させた時間(上記で時間外労働となる時間を除く)
・ 変形期間の全期間については、変形期間における法定総労働時間の総枠を超えて労働した時間(上記のすべてで時間外労働となる時間を除く)
1年単位変形における時間外労働の考え方は、1か月単位変形と同じです。
■ 使用者は、変形労働時間制(フレックスタイム制を除く)の規定により、労働者に労働させる場合には、育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるような配慮をしなければならない。
■ 18歳未満の年少者(労基法60条3項2号)
1年単位の変形労働時間制は適用されない(労基法60条1項)。ただし、満15歳以上(満15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間を除く)満18歳未満の年少者については、一定の制約(1週48時間・1日8時間を超えない範囲内)のもとに、1年単位の変形労働時間制の規定の例により労働させることができる。
■ 妊産婦(労基法66条1項)
・ 妊産婦が請求した場合には、1年単位の変形労働時間制を採用し、特定の週又は特定の日において法定労働時間を超えて労働させることができとされている場合であっても、当該特定の週又は特定の日についても、法定労働時間を超えて労働させてはならない。
■ 非現業の一般職の地方公務員(地方公務員法58条)
1年単位の変形労働時間制は適用されない。
■ 対象期間より短い労働者→1週間当たり40時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間の労働について割増賃金を支払う必要がある。(労基法32条の4の2)
■ 日ごとの業務に著しい繁閑が生じることが多く、かつ、その繁閑が定期的に定まっていない場合に、1週間を単位として一定の範囲内で、就業規則その他これに準ずる物によりあらかじめ特定することなく、1日の労働時間を10時間まで延長することを認めることにより、労働時間のより効率的な配分を可能とし、全体として労働時間の短縮する仕組み(昭和63年基発1号)
■ 1週間単位の非定型的変形労働時間制の採用要件(労基法32条の5、労規則12条の5第1項、2項、4項)
・ 事業の種類が小売業、旅館、料理店及び飲食店のいずれかに該当するもの(日ごとの業務に著しい繁閑の差が生じることが多く、かつ、これを予測した上で就業規則その他これに準ずるものにより各日の労働時間を特定することが困難であると認められる事業に限る)
・ 常時使用する労働者の数が30人未満の事業規模であるもの
・ 労使の書面協定を所轄労働基準監督署長へ届け出ること
■ 1週の労働時間が40時間を超えない範囲内において、事前に通知することにより、1日8時間を超え10時間まで、労働させることができる。(労基法32条の5第1項・2項)
■ 1週間の各日の労働時間について、少なくとも、その1週間の始まる前に、書面により、各労働者に通知しなければならない。
■ また、1週間の各日の労働時間を定めるにあたっては、使用者は労働者の意思を尊重するように努めなければならない。(労規則12条の5第5項)
■ 緊急でやむを得ない事由がある場合には、あらかじめ通知した労働時間を、変更しようとする日の前日までに書面により労働者に通知することにより変更することができる。(昭和63年基発1号)
1年単位の変形労働時間制と同様、特別措置により1週の法定労働時間が44時間とされている事業場についても、1週40時間以下にしなければならない。(平成9年基発195号)
■ 満18歳未満の年少者(労基法60条1項)
・ 1週間単位の非定型的変形労働時間制は適用されない。
■ 妊産婦(労基法66条1項)
・ 妊産婦が請求した場合には、1週間単位の非定型変形労働時間制を採用し、特定の日において8時間を超え10時間まで労働させることができるとされている場合であっても、当該特定の日についても、8時間を超えて労働させてはならない。
■ 非現業の一般職の地方公務員(地方公務員法58条)
・ 1週間単位の非定型的変形労働時間制は適用されない。
■ 使用者は、変形労働時間制(フレックスタイム制を除く)の規定により労働者に労働させる場合には、育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者でその特別の配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるような配慮をしなければならない(労規則12条の6)
■ 4つの変形労働時間制の比較
・ 1か月単位の変形労働時間制
・ 内容 1箇月以内の一定期間を平均し、1週間の労働時間の平均が法定労働時間を超えなければ、特定の週や日に法定労働時間を超えて労働させることができる。
・ 手続 就業規則等 又は 労使協定+(就業規則等)
・ 定める内容 変形期間における各日、各週の所定労働時間を特定する
・ 労使協定の締結 〇 (就業規則等により採用する場合は不要)
・ 労使協定の届出 必要 (労使委員会/労働時間等設定改善委員会決議→不要)
・ 労使協定の内容
・ 変形期間を平均し1週間当たりの労働時間が法定労働時間を超えない定め
・ 変形期間
・ 変形期間における起算日
・ 変形期間の各労働日の労働時間
・ 有効期間(労働協約の場合を除く)
・ 規模・業種による制限 なし
・ フレックスタイム制
・ 内容 清算期間(3箇月以内)を平均し、1週間の労働時間の平均が40時間(一定の場合44時間)を超えなければ、特定の週や日に法定労働時間を超えて労働することができる。
・ 手続 就業規則等+労使協定
・ 特に定める内容 始業及び終業の時刻を労働者に委ねることを定める
・ 労使協定の締結 〇
・ 労使協定の届出 必要(清算期間が1か月以内の場合は不要)
・ 労使協定の内容
・ 対象となる労働者の範囲
・ 清算期間(3か月以内)
・ 清算期間における総労働時間
・ 標準となる1日の労働時間
・ コアタイム及びフレキシブルタイムを設ける場合はその開始及び終了の時刻
・ 清算期間の起算日
・ 有効期間(労働協約の場合を除く)(清算期間が1箇月以内の場合は不要)
1年単位の変形労働時間制
・ 内容 1か月超1年以内の一定期間を平均し、1週間の労働時間の平均が40時間を超えなければ、特定の週や日に法定労働時間を超えて労働させることができる
・ 手続 労使協定+(就業規則等)
・ 特に定める内容 特になし
・ 労使協定の締結 〇
・ 労使協定の届出 必要
・ 労使協定の内容
・ 対象となる労働者の範囲
・ 対象期間(1か月超1年以内)
・ 特定期間
・ 対象期間における労働者及び労働時間
・ 有効期間(労働協約の場合を除く)
・ 規模・業種による制限 なし
・ 1週間単位の非定型型変形労働時間制
・ 内容 1週間の労働時間を40時間以内と定めれば、1日10時間まで労働させることができる。
・ 手続 労使協定+(就業規則等)
・ 特に定める内容 なし
・ 労使協定の締結 〇
・ 労使協定の提出 〇
・ 労使協定の内容
・ 1週間の所定労働時間(40時間以内)
・ 1週間に40時間を超えたときは割増賃金を払うことを定める
・ 規模・業種による制限 常時使用する労働者が30人未満の小売業・旅館・料理店・飲食店
[労基法] 労働基準法・重要箇所・Chapter5
年次有給休暇
■ 年次有給休暇は、6カ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に、法律上当然(請求によって発生するものではない)にその権利が発生する。
■ 使用者は、その雇入れの日から起算して6カ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10営業日の有給休暇を与えなければならない。(労基法39条1項)
■ 継続勤務とは、労働契約の存続期間、すなわち在籍期間をいう。休職期間や長期病欠期間、組合専従期間等も、在籍している限り通算される。定年退職による退職者を引き続き嘱託等として再雇用している場合(所定の退職手当を支給した場合を含む)についても、実質的に労働関係が継続している限り勤務年数は通算する取扱いがなされる。また、企業の合併等により、権利義務関係が新会社に承継された場合も、勤務年数は通算される。(昭和63年基発150号)
■ 全労働日とは、労働契約上労働義務が課せられている日をいう。一般には1年間の総歴日数から就業規則等で定められた所定の休日を除いた日がこれに該当する。
・ 全労働日には含まれない日(平成21年基発0529001号、平成25年基発0710第3号)
・ 所定の休日に労働させた場合のその日
・ 不可抗力による休業日
・ 使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日
・ 正当な同盟罷免その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日
・ 法37条3項の代替休暇を取得して終日出勤しなかった日
・ 出勤したものとみなす
・ 出勤率を算定するときには、移換期間及び日をそれぞれ「出勤したものとみなす」取扱いが行われ、出勤率が不当に低くなるのを防止している。
・ 業務上(通勤災害は含まれない)負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
・ 産前産後の女性が労働基準法65条の規定により休業した期間
・ 育児・介護休業法による育児休業又は介護休業をした期間(以上労基法39条10項)
・ 年次有給休暇を取得した日(昭和22年基発17号)
・ 労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日(平成25年基発0710第3号)
■ 無効な解雇の場合のように労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日は、労働者の責めに帰すべき事由によるとは言えない不就労日であり、このような日は、使用者の責めに帰すべき事由による不就労日であっても、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当ではなく全労働日から除かれるべきものとはいえないから、労基法39条1項及び2項における出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものというべきである。(八千代交通事件、平成25年6月6日最高裁判)
■ 年次有給休暇の請求権の発生について、労基法39条が全労働日の8割出勤を条件としているのは、労働者の勤怠の状況を勘案して、特に出勤率の低い者を排除する立法趣旨であることから、全労働日の取扱いについては、次のとおりとする。
・ 年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の日数は就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいい、各労働者の職種が異なること等により異なることもあり得る。したがって、所定の休日に労働させた場合には、その日は、全労働日に含まれないものである。
・ 労働者の責に帰すべき事由によるとは言えない不就労日は、以下に該当する場合を除き、出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものとする。例えば、裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、労働委員会による救済命令をうけて会社が解雇の取消を行った場合の解雇日から復職日までの不就労日のように、労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日が考えられる。
・ 労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日であっても、次に掲げる日のように、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でないものは、全労働日に含まれないものとする。
・ 不可抗力による休業日
・ 使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日
・ 正当な同盟罷免その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日
■ 6週間以内に出産する予定の女性が、労働基準法65条の規定により休業したところ、予定の出産日より遅れて分娩し、結果的には産前6週間を超えた場合のその休業は、出勤率の算定に当たり出勤したものとして取り扱わなければならない。(昭和23年基収2675号)
■ 生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求して就業しなかった期間は、出勤率の算定に当たり出勤したものとはみなされないが、当事者の合意によって出勤したものとみなすとも、差し支えない。(昭和23年基収2675号)
■ 付与日数は平成10年に改正された。正社員だけでなくパートタイマー等にも出勤割合などに応じて年次有給休暇は比例的に付与される。
■ 年次有給休暇の付与日数は、継続勤務6カ月前で10労働日(職業能力開発促進法に基づく認定職業訓練を受ける未成年者については12労働日・労働基準法72条)、その後は、2年6カ月目までは継続勤務1年ごとに1営業日を加算し、更に3年6か月目までは継続勤務年数1年ごとに2労働日ずつ加算し、最高20営業日となっている。
・ 付与日数
・ 6カ月 10日
1年6カ月 11日
2年6カ月12日
3年6カ月14日
4年6カ月 16日
5年6カ月18日
6年6カ月20日
■ 6カ月経過後から1年6カ月目までの1年間において8割以上出勤していなかったため、年次有給休暇権が発生していなかった労働者についても、1年6カ月経過後から2年6カ月目までの1年間に8割以上出勤した場合に、2年6カ月経過後に発生する年次有給休暇の日数は、11日ではなく12日となる。(平成6年基発1号)
■ 労働基準法39条では「労働日」という文言を使用し、休暇の単位として労働日単位を表している関係から、分割が認められる最小単位は、1労働日と解され、時間単位の分割は認められない。なお、労働者が半日単位で有給休暇を申請した場合には、使用者はこれを半日単位で付与しても差し支えないが、付与する義務はない。(昭和63年基発150号、平成7年基発33号)
■ 年次有給休暇の請求権の時効は2年とされているので、前年度の年次有給休暇について翌年度に請求があった場合には、使用者は拒否できない。(昭和22年基発501号)
■ 就業規則で年次有給休暇は翌年度に繰り越してならないと定めても、年度経過後における年次有給休暇の権利は消滅しない。(昭和23年基発686号)
■ 有給休暇の起算日は、取得が可能となった時点である。従って、入社6カ月後に付与する10日のうち、5日を入社日に付与し、残りの5日を入社6カ月経過後に付与した場合、入社時に付与された5日については入社日、残りの5日については入社6カ月経過後の日となる。(平成6年基発330号)
■ 年次有給休暇の斉一的取扱い(原則として全労働者について一律の基準日を定めて年次有給休暇を与える取扱いをいう)を行っている事業場において、基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である「全労働者の8割以上」の算定に当たっては、短縮された期間は全部出勤したものとして取り扱い、短縮された期間を含めた全期間について算定するものとされている。(平成6年基発1号)
2月に私傷病で全く出勤できなかった場合を考えてみましょう。実際の期間だけで出勤率を算定すると、8割に満たないことになりますが、短縮された期間3か月間(4-6月)をいれると、8割基準を満たすことになります。
・ (1月1日入社で、一律の基準日が4月1日である場合、1/1-7/1までの6カ月で、2月1か月を欠勤している場合、4/1時点で、2/3の出勤で8割を満たさないが、短縮期間(4-6)を加えると、5/6となり8割出勤とみなすことができる)
■ 比例付与の対象となる労働者は、次のようになっている。(労基法39条3項・労規則24条の3)
・ 週の所定労働時間が30時間未満であって、かつ、
・ 週の所定労働日数が4日以下の者 または
・ 週以外の時間で所定労働日数が定められている場合は年間の所定労働日数が216日以下の者
■ 付与日数は、次の計算式により計算される。
・ 通常の労働者の有給休暇の日数×(比例付与対象者の週所定労働日数÷通常の労働者の週所定労働日数(5.2日))
・ 計算の結果、1日未満の端数が生じた場合は切り捨てることとされている。
・ 例 雇入れの日から2年6カ月経過した所定労働日数3日のパートタイマーの場合
12日×3/5.2=6.92となり、6日の年次有給休暇が付与される。
・ 比例付与される年次有給休暇日数
・ 週所定労働日数 4日(年間の所定労働日数 169日から216日まで)
・ 6カ月 7日
1年6カ月 8日
2年6カ月 9日
3年6カ月 10日
4年6カ月 12日
5年6カ月 13日
6年6カ月 15日
・ 所定労働日数 3日(年間の所定労働日数 121日から168日まで)
・ 6カ月 5日
1年6カ月 6日
2年6カ月 6日
3年6カ月 8日
4年6カ月 9日
5年6カ月 10日
6年6カ月 11日
・ 所定労働日数 2日 (年間所定労働日数 73日から120日まで)
・ 6カ月 3日
1年6カ月 4日
2年6カ月 4日
3年6カ月 5日
4年6カ月 6日
5年6カ月 6日
6年6カ月 7日
・ 所定労働日数 1日 (年間所定労働日数 48日から72日まで)
・ 6カ月 1日
1年6カ月 2日
2年6カ月 2日
3年6カ月 2日
4年6カ月 3日
5年6カ月 3日
6年6カ月 3日
■ 比例付与の適用を受ける労働者が、年度の途中で所定労働日数が変更された場合、休暇は基準日において発生するので、初めの日数のままである。(昭和63年基発150号)
■ 時間単位年休(労基法39条4項・労規則24条の4)
・ 労使の書面協定は必要、届出は不要
5日以内に限る。
・ 労働者に与えられる1年間の年次有給休暇の日数のうち5日以内をいう。5日に満たない日数の年次有給休暇が比例付与される労働者については、労使協定では、当該比例付与される日数の範囲内で定めることになる。
・ 当該年度に取得されなかった年次有給休暇の残日数・時間数は、次年度に繰り越しされることとなるが、当該次年度の時間単位年休の日数は、前年度からの繰り越し分も含めて5日の範囲内となるものである。(平成21年基発0529001号)
■ 年次有給休暇については、取得率が5割を下回る水準で推移しており、その取得の促進が課題となっている一方、現行の日単位による取得の他に、時間単位による取得の希望もみられるところである。このため、まとまった日数の休暇を取得するという年次有給休暇制度の本来の趣旨を踏まえつつ、仕事と生活の調和を図る観点から、年次有給休暇を有効に活用できるようにすることを目的として、労使協定により、年次有給休暇について5日の範囲内で時間を単位として与えることができることとしたものである。(平成22年4月1日施行)
■ 労使協定が締結されている事業場において、個々の労働者が、年次有給休暇を時間単位により取得するか日単位により取得するかは、労働者の意思による。(平成21年基発0529001号)
1日分の年次有給休暇が何時間分の時間単位年休に相当するかについては、当該労働者の所定労働時間数を基に定めることとなるが、所定労働時間数に1時間に満たない時間数がある労働者にとって不利益とならないようにする観点から、1日の所定労働時間数を下回らないものとされており、労使協定では、これに沿って定める必要があること。具体的には、1時間に満たない時間数については、時間単位を切り上げる必要がある。
■ 「1日の所定労働時間数」については、日によって所定労働時間数が異なる場合には1年間における1日平均所定労働時間数となり、1年間における総所定労働時間数が決まっていない場合には所定労働時間数が決まっている期間における1日平均所定労働時間数となる。(平成21年基発0529001号)
■ 2時間や3時間といったように、1時間の以外の時間を単位として時間単位年休を与えることとする場合には、労使協定で、その時間数を定める必要がある。
■ 「1日の所定労働時間数に満たないものとする」とは、1日の所定労働時間数と同じ又はこれを上回る時間数を時間単位年休とすることは、時間単位年休の取得を事実乗不可能とするものであるから、そのような労使協定の定めはできないことを確認的に規定している。(平成21年基発0529001号)
■ 時間単位年休についても、法39条5項の規定により、使用者の時季変更権の対象となるが、労働者が時間単位による取得を請求した場合に日単位に変更することや、日単位による取得を請求した場合に時間単位に変更することは、時季変更に当たらず、認められない。
■ また、事業の正常な運営を妨げるか否かは、労働者からの具体的な請求について個別的、具体的に客観的に判断されるものであり、あらかじめ労使協定において時間単位年休を取得することができない時間帯を定めておくこと、所定労働時間の中途に時間単位年休を取得することを制限すること、1日において取得することができる時間単位年休の時間数を制限すること等は認められない。(平成21年基発0529001号)
■ 時間単位年休は、労働者が時間単位における取得を請求した場合において、労働者が請求した時季に時間単位により年次有給休暇を与えることができるものであり、法39条6項の規定による計画的付与として時間単位年休を与えることは認められない。(平成21年基発0529001号)
■ 時間単位の年次有給休暇を労働者が取得した場合において、法39条8項の規定による時季指定の年次有給休暇を与えた場合として取り扱うことはできない。(平成21年基発0529001号)
■ 年次有給休暇の半日単位による付与については、年次有給休暇の取得促進の観点から、従来から、労働者がその取得を希望して時季を指定し、これに使用者が同意した場合であって、本来の取得方法による休暇取得の疎外とならない範囲で適切に運用される限りにおいて、問題がない者として取り扱われているが、この取り扱いに変更はない。(平成21年基発0529001号)
■ 時間単位年休として取得できる範囲のうち、1日に満たないため時間単位で保有している部分については、当該労働者の1日の所定労働時間の変動に比例して時間数が変更されることとなる。
■ 例えば、所定労働時間が8時間から4時間に変更され、年次有給休暇が3日と3時間残っている場合は、3日と3/8日残っていると考えられ、以下の通りとなる。(平成21年基発0529001号)
・ 変更前 3日1日あたりの時間数は8時間)と3時間
・ 変更後 3日1日あたりの時間数は4時間)と2時間(比例して変更すると1.5時間となるが、1時間未満の端数は切り上げる)
■ 使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。(労基法39条5項)
■ 年次有給休暇の権利は、労基法39条1項及び2項の要件を満たせば、法律上当然労働者に生じるものである。その具体的行使である休暇の時季指定の効果は、使用者の適法な時季変更権の行使を解除条件として発生するのであって、年次有給休暇の要件として、労働者による休暇の請求や、これに対する使用者の承認の観念を入れる余地はない。年次有給休暇の利用目的は問われない。休暇をどのように利用するかについて労働者は使用者の干渉を許さない。しかし、一斉休暇闘争は、「年次有給休暇の名を借りた同盟罷免」に他ならない。よって、年次有給休暇の行使ではないため、使用者は拒否でき、使用者の時季変更権の行使もあり得ない。当該労働者の所属事業場以外の事業場における争議行為に休暇中の労働者が参加したか否かは、当該年次有給休暇の成否に影響を及ぼさない。そのため、使用者は事業の正常な運営を妨げるか否かの判断は、当該労働者の所属する事業場を基準として判断する。(昭和48年基発110号、白石営林署事件、昭和48年3月2日最高裁判、昭和63年基発150号等)
■ 使用者の時季変更権の行使が、労働者の行使した休暇期間が開始し又は経過した後にされた場合であっても、労働者の休暇の請求自体がその指定した休暇期間の始期に極めて接近してされたため使用者において時季変更権を行使するか否かを事前に判断する時間的余裕がなかったようなときには、それが事前になされなかったことのゆえに直ちに時季変更権の行使が不適法となるものではなく、客観的に時季変更権を行使得る事由が存し、かつ、その行使が遅滞なくされたものである場合には、適法な時季変更権の行使があったものとしてその効力を認めるのが相当である。(此花電報電話局事件、昭和57年3月18日最高裁判)
■ 年次有給休暇は法律上当然に発生し、「請求」は「時季を指定する」という意味である。従って、使用者の承認は不要である。
■ 年次有給休暇の権利
・ 要件を満たせば、法律上当然に権利が発生
・ 請求=時季を指定すること、使用者の承認は不要
・ 使用者は適法な時季変更権の行使が可能
・ 請求により当該労働日の就労義務消滅
■ 労働者から請求があった場合は、その具体的月日は、使用者が時季変更権を行使する場合以外は、当然に年次有給休暇日となり、就労義務が消滅する。
■ したがって、休日、育児休業期間中の日その他労働義務の課せられていない日については、年次有給休暇を行使する余地はない。
・ 分割するか何日継続するかは、原則として労働者が自由に決定しうる
・ 年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは自由
■ 労働者が他の事業場における争議行為に年次有給休暇をとって参加する場合でも、使用者はこれを拒否することは許されない。(昭和48年最高裁判)
■ 負傷又は疾病等により療養中の者が休業期間中、年次有給休暇を請求したときは、年次有給休暇を労働者が病気欠勤等に充用することが許されることから、このような労働者からの請求があったときは、年次有給休暇を付与しなければならない。(昭和24年基発1456号)
■ 休職発令を受けた期間中は、労働義務がないため、年次有給休暇は取得できない
■ 年次有給休暇の買い上げは法律の趣旨に反するためできない。法定日数を超える日数について買い上げの制度を作るのは、労使間の自由である。(昭和23年基発3650号)
■ 41条の適用除外者にも、年次有給休暇に関する規定は適用される。(昭和22年基発389号)
■ 年次有給休暇の権利は解雇予告期間中に行使しなければ消滅する。(昭和23年基発651号)
■ 使用者は、労基法39条1項から4項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。(ただし、この規定について、罰則の適用は行われない)
■ 使用者側は、事業の正常な運営を妨げる場合には、時季を変更する権利を認めて事業運営との調整を図っている。
・ 事業の正常な運営を妨げる場合
・ 年末年始等特に業務繁忙な時季
・ 同一期間に多数の労働者が年次有給休暇の指定をし、競合したためその全員に年次有給休暇を付与し難い場合
■ 事業の正常な運営が妨げられるか否かの判断は、派遣元の事業についてなされる。(昭和61年基発333号)
■ 年次有給休暇の権利が労働基準法に基づくものである限り、使用者はいかに業務で繁忙であっても当該労働者の解雇予定日を超えての時季変更は行えない。(昭和49年基収5554号)
■ 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数を組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定(労使委員会又は労働時間等設定改善委員会の決議を含む)により年次有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、その定めにより有給休暇を与えることができる。(労基法39条6項)
■ 労使協定は届出は不要、有効期間の定めも不要
■ 計画的付与の方式には、
・ 事業場全体の休業による一斉付与方式
・ 班別の交替制付与方式
・ 年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式
■ 労使協定による計画的付与の対象となるのは、年次有給休暇の日数のうち、5日を超える部分とされている。
■ 年次有給休暇の付与日数が10日であるものについては5日13日である者については8日まで計画的付与の対象とすることができる。したがって、計画的付与の対象となる年次有給休暇の日数の附則若しくは請求権のない労働者を含めて年次有給休暇を計画的に付与する場合には、付与日数を増やす等の措置が必要となる。(昭和63年基発1号)
■ 年次有給休暇の計画的付与は、個人別に交代で付与すること、班別に交代で付与することも可能です。また、事業場全体(会社)の一斉付与もできますが、この場合に有給休暇が発生していない社員に対して、休業手当の支払、年休の付与日数を増やすなどの措置が必要となります。
■ 事業場全体の休業による一斉付与の場合、付与日数を増やすなどの措置を執らずに年次有給休暇の権利のない者を休業させる場合は、その者に休業手当を支払わなければならない。(昭和63年基発150号)
■ 前年度に取得できず当年度に繰り越された年次有給休暇がある場合には、繰り越された年次有給休暇を含めて、5日を超える部分を計画的付与の対象とすることができる。(昭和63年基発150号)
■ 労使協定で計画的付与が決まった日数については、個々の労働者には時季指定権がなくなり、使用者の時季変更権の行使もできない。(昭和63年基発150号)
■ 労働者が育児休業の申出の前に、育児休業期間中の日について労使協定に基づく年次有給休暇の計画的付与が行われた場合には、当該日については年次有給休暇を取得したものと解される。逆に、年次有給休暇は、労働義務のある日についてのみ請求できる者であるから、育児休業申出後には、育児休業中の日について年次有給休暇を請求する余地はない。(平成3年基発712号)
■ 年次有給休暇の取得を促進するため、2019(平成31)年4月1日施行の改正で、使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする規定が設けられた。ただし、労働者の時季指定や計画的付与により取得された年次有給休暇の日数分については指定の必要はない。
■ 時季指定義務制度のイメージ
・ 年次有給休暇を取得しない労働者がいると、
・ 使用者が積極的に取得させないと、罰則が適用される仕組みになった(罰則の内容は、30万円以下の罰金)
・ 改正前 労働者が自ら請求しなければ、年次有給休暇は取得できなかった。
・ 改正後 労働者が請求しない場合でも、年に5日は年次有給休暇を取得させる必要がある(使用者が労働者の希望を聞き、希望を踏まえて取得時期を指定)
■ 使用者は、年次有給休暇を当該年次有給休暇に係る基準日より前の日から10労働日以上与えることとしたときは、当該年次有給休暇の日数のうち5日については、基準日より前の日であって、10労働日以上の年次有給休暇を与えることとした(第一基準日)から1年以内の期間に、その時季を定めることにより与えなければならない。
■ 上記にもかかわらず、使用者が10労働日以上の年次有給休暇を基準日又は第一基準日に与えることとし、かつ、当該基準日又は第一基準日から1年以内の特定の日(第二基準日)に新たに10労働日以降の年次有給休暇を与えることとしたときは、履行期間(基準日又は第一基準日を始期として、第二基準日から1年を経過する日を終期とする期間)の月数を12で除して得た数に5を乗じた日数について、当該履行期間中に、その時季を定めることにより与えることができる。
4月1日入社、10月1日(6カ月後)に10日付与。その後4/1に11日付与した場合、4/1-3/31の12か月間及びその前10/1-4/1までの6カ月を合計した、18カ月が履行期間となる。この履行期間に対して、
・ 18/12 × 5日=7.5≒8
8日が時季指定義務による取得日となる?
■ 第一基準日から1年以内の期間又は履行期間が経過した場合においては、その経過した日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日を基準日とみなして時季指定義務の規定を適用する。
■ 使用者が年次有給休暇のうち10労働日未満の日数について基準日以前の日(特定日)に与えることとした場合において、特定日が複数あるときは、当該10労働日未満の日数が併せて10労働日以上になる日までの間に特定日のうち最も遅い日を第1基準日とみなして上記の規定を適用する。
■ この場合において、第一基準日とみなされた日より前に、労働者本人の時季指定又は計画的付与により与えた年次有給休暇の日数分については、時季を定めることにより与えることを要しない。
■ 対象者は、年次有給休暇の10日以上の労働者=比例付与の対象者の一部は不該当だが、それ以外は全て対象者に該当する。
■ 使用者が時季を指定して与えるべき5日からは、労働者の時季指定及び計画的付与により労働者が取得した日数は差し引かれる。
・ 労働者が時季指定した場合や計画的付与をした場合、あるいはその両方が行われた場合には、それらの日数の合計が年5日から差し引いた日数について使用者に義務付けるものとし、それらの日数の合計が年5日以上に達したときは、使用者は時季指定の義務から解放される。
■ 労基法39条7項の規定に違反した者は、30万円以下の罰金に処せられる(労基法120条)
■ 使用者は、労基法39条7項の規定により時季を定めることにより年次有給休暇を与えるに当たっては、あらかじめ、同項の規定により当該年次有給休暇を与えることを労働者に明らかにした上で、その時季について当該労働者の意見を聴かなければならないものとする。また、使用者は、当該意見を尊重するよう努めなければならないものとする。(労規則24条の6)
■ 労基法39条7項に規定する使用者による時季指定は、必ずしも基準日からの1年間の期首に限られず、当該期間の途中に行うことも可能である。(平成30年基発1228第15号)
■ 使用者が指定した時季について、使用者が意見聴取の手続を再度行い、その意見を尊重することによって変更することは可能である。
■ また、使用者が指定した時季について、労働者が変更することはできないが、使用者が指定した後に労働者に変更の希望があれば、使用者は再度意見を聴取し、その意見を尊重することが望ましい(平成30年基発1228第15号)
■ 付与期間(基準日から1年間の期間)の途中に育児休業から復帰した労働者等についても、5日間の年次有給休暇を取得させなければならない。
■ ただし、残りの期間における労働日が、使用者が時季指定すべき年次有給休暇の残日数より少なく、5日の年次有給休暇を取得させることが不可能な場合には、その限りでない。(平成30年基発1228第15号)
■ 年次有給休暇の半日単位による付与については、年次有給休暇の取得促進の観点から、労働者がその取得を希望して時季を指定し、これに使用者が同意した場合であって、本来の取得方法による休暇取得の阻害とならない範囲で適切に運用される限りにおいて、問題がないものとして取り扱うこととしているが、この取り扱いに変更はない。
■ この取り扱いに沿って、半日単位の年次有給休暇を労働者が取得した場合については、労働基準法39条8項の年次有給休暇を与えた場合として取り扱って差し支えない。
■ また、労働者の意見を聴いた際に半日単位の年次有給休暇の取得の希望があった場合においては、使用者が労基法39条7項の年次有給休暇の時季指定を半日単位で行うことも差し支えない。これらの場合において、半日単位の年次有給休暇の日数は0.5日として取り扱う。(平成30年基発0907第1号)
■ 時間単位の年次有給休暇を労働者が取得した場合については、労基法39条8項の年次有給休暇を与えた場合として取り扱うことはできない(平成30年基発0907第1号)
■ 使用者による時季指定の対象となる「有給休暇の日数が10労働日以上である労働者」は、基準日に付与される年次有給休暇の日数が10労働日以上である労働者を規定したものであり、比例付与の対象となる労働者であって、今年度の基準日に付与される年次有給休暇の日数が10労働日未満であるものについては、仮に、前年度繰越分の年次有給休暇も合算すれば10労働日以上となったとしても、「年次有給休暇の日が10労働日以上である労働者」には含まれない。(平成30年基発1228第15号)
■ 前年度からの繰越分の年次有給休暇を取得した場合は、その日数分を労基法39条7項の規定により使用者が時季指定すべき5日の年次有給休暇から控除することとする。
■ なお、労基法39条7項及び8項は、労働者が実際に取得した年次有給休暇が、前年度からの繰越分の年次有給休暇であるか当年度の基準日に付与された年次有給休暇であるかについては問わないものである。(平成30年基発1228第15号)
■ 労働者の個人的事由による取得のために労働者の指定した時季に与えられるものとして一定の日数を留保する観点から、労基法39条7項の規定による時季指定として5日を超える日数を指定することはできない。
■ また、使用者が時季指定を行うよりも前に、労働者自ら請求し、又は計画的付与により具体的な年次有給休暇日が特定されている場合には、当該特定されている日数について使用者が時季指定することはできない。(平成30年基発1228第15号)
■ 法定の年次有給休暇とは別に設けられた特別休暇について、平成31年4月施行の改正を契機に廃止し、年次有給休暇に振り替えることはその法改正の趣旨に沿わないものであるとともに、労働者と合意をすることなく就業規則を変更することにより特別休暇を年次有給休暇に振り替えた後の要件・効果が労働者にとって不利益と認められる場合は、就業規則の不利益変更法理に照らして合理的なものである必要がある。(平成30年基発1228第15号)
■ 年次有給休暇管理簿については、労働者名簿又は賃金台帳と併せて調製することができる(労規則55条の2)
■ 年次有給休暇管理簿については、労働基準法109条(書類の保存義務)に規定する重要な書類に該当しない(平成30年基発0907第1号)
■ 年次有給休暇管理簿については、上記の労働基準法施行規則24条の7の中で、5年間(当分の間、3年間)の保存義務を規定。
■ 年次有給休暇管理簿に記載すべき「日数」としては、労働者が自ら請求し取得したもの、使用者が時季を指定して取得したもの又は計画的付与により取得したものにかかわらず、実際に労働者が年次有給休暇を取得した日数(半日単位で取得した回数及び時間単位で取得した時間数を含む)を記載する必要がある。
■ また、労働者名簿、賃金台帳と同様の要件を満たした上で、電子機器を用いて磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク等により調整することは差し支えない。(平成30年基発1228第15号)
■ 年次有給休暇管理簿については、厚生労働省令(労働基準法施行規則)上の義務となっている点に注意しましょう。また、5年間(当分の間、3年間)という保存期間も確実に覚えておきましょう。
■ 使用者は、年次有給休暇の期間又は時間については、就業規則その他これに準ずるもので、以下の3種類のいずれかを定め、そのいずれかを支払えばよい。
・ 平均賃金
・ 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
・ 健康保険法による標準報酬月額の30分の1に相当する金額(その金額に、5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは、これを10円に切り上げるものとする)
・ 時間単位年休に係る1時間分の賃金については、上記の金額をその日の所定労働時間数(時間単位年休を取得した日の所定労働時間数)で除す
■ 上記の所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金は次のいずれかの方法によって算定した金額とする。
・ 時間によって定められた賃金について、その金額にその日の所定労働時間数を乗じた金額
・ 日によって定められた賃金については、その金額
・ 週によって定められた賃金については、その金額をその週の所定労働日数で除した金額
・ 月によって定められた賃金については、その金額をその月の所定労働日数を除した金額
・ 月、週以外の一定の期間によって定められた賃金については、上記に準じて算定した金額
・ 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金については、その賃金算定期間(当該期間に出来高払制その他の請負制によって計算された賃金がない場合においては、当該期間前において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金が支払われた最後の賃金算定期間)において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における総労働時間数で除した金額に、当該賃金算定期間における1日平均所定労働時間数を乗じた金額
・ 労働者の受ける賃金が上記の2以上の賃金よりなる場合には、その部分について上記によってそれぞれ算定した金額の合計額
■ 上記(健康保険法の標準報酬月額をベースにした金額)については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により定めることが必要である。(労基法39条9項、労規則25条)
■ いずれを選択するか就業規則その他これに準ずるもので規定する。
・ 平均賃金
・ 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
・ 健康保険法による標準報酬月額の30分の1に相当する金額→労使協定の締結(届出不要)
■ 年次有給休暇の際の賃金も、就業規則の絶対的必要記載事項としての賃金に該当するため、これを就業規則に定めておかなければならない。
■ 労働基準法39条9項の規定は、計算事務手続きの簡素化を図る趣旨であるから、日給者、月給者等につき、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う場合には、通常の出勤したものとして取り扱えば足り、労基則25条に定める計算をその都度行う必要はない。(昭和27年基発675号)
■ 変形労働時間制を採用している事業場における時給制労働者の変形期間中における労働基準法39条の通常の賃金の算定方法は、各日の所定労働時間に応じて算定される。(昭和63年基発150号)
■ 都道府県労働局長の許可を受けた使用者に使用される労働者でなければ、本条の適用対象とならない。
■ 職業訓練を受けている未成年者の年次有給休暇
・ 6カ月 12日10日
1年6カ月 13日11日
2年6カ月 14日12日
3年6カ月 16日14日
4年6カ月 18日16日
5年6カ月 20日18日
6年6カ月 20日20日
■ 未成年者であるときに取得した年次有給休暇の請求権は、労働基準法115条による2年の消滅時効にかかるまでは、労働者が未成年者でなくなった場合においても消滅することなく存続する。
[労基法] 労働基準法・重要箇所・Chapter6
■ 労働基準法で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うもののすべてのものをいう。(労基法11条)
賃金に該当するか否かは、次の3つを充たす必要がある。
・ 使用者が労働者に対して支払うもの
・ 労働の対償であること
賃金、給料、手当等の名称は問わないこと
賃金に当たるかどうかについては具体的な例で問われる。以下の通達を確認すること
賃金に含まれるもの
・ 基本給
・ 超過勤務手当、深夜手当、休日手当、
・ 扶養手当、子供手当、家族手当等
・ 日直・宿直料
・ 役職手当、管理職手当
・ 地域手当、教育手当、別居手当、技能手当、特殊作業手当、奨励手当、物価手当、調整手当
・ 賞与
・ 通勤手当、通勤定期券、回数券
・ 皆勤手当
・ 遡って昇給した場合に支給される差額の給与
・ 有給休暇日の給与
・ 休業手当(労基法26条の規定に基づくもの)
・ 所得税、雇用保険料、社会保険料等の労働者負担分を事業主が負担する場合
・ チップ(奉仕料の配分として事業主から受けるもの)
・ 客から受け取るチップは賃金とみなされない
・ 住居の利益
・ 住居の利益
・ 労働者より代金を徴収するものは、原則として賃金ではないが、その徴収金額が実際費用の3分の1以下であるときは、徴収金額と実際費用の3分の1との差額部分については、これを賃金とみなす。
賃金にふくまれないもの
・ 労基法76条の規定に基づく休業補償
・ 就業規則に基づいて休業補償の名目で、業務上の負傷により休業している労働者に平均賃金の100分の60(法定の額)を超える支給を行っている場合の当該休業補償は、平均賃金の100分の60を上回る部分を含めて、その全額を賃金とみなさない。(昭和25年基収3532号)
・ 退職金、結婚祝金、脂肪弔慰金、災害見舞金、出産見舞金等
・ 労働協約、就業規則、労働契約等によってあらかじめ支給条件が明確になっている場合は賃金とみなされる。
・ 出張旅費、宿泊旅費
・ 解雇予告手当
・ 制服、赴任手当
・ 会社が全額負担する生命保険の掛金
・ 役員報酬
・ 福利厚生として貸与されている住居
・ 住居の貸与は原則として福利厚生施設と解する。ただし、住居の貸与を受けない者に対して定額の均衡給与が支給されている場合は、住居貸与の利益が明確に評価され、住居の利益を賃金に含ませたものとみられるので、その評価額を限度として住宅貸与の利益は賃金であると解される。
・ 食事
・ 食事の現物支給は、次の要件を充たすものは賃金とはならない(昭和30年基発644号)
・ 食事の供与による利益の客観的評価額が、社会通念上、僅少なものであり、賃金の減額を伴わず、食事の支給が労働条件の内容となっていない。
・ ストックオプション制度から得られる利益
・ 所得税法上の取扱いとは別に、労働基準法上の賃金には該当しないものとして解されている。
・ 私有自動車を社用に提供するものに対し、社用に用いた走行距離に応じて支給されるガソリン代
・ 実費弁償であり、労基法11条の賃金ではない。(昭和28年基収6212号)
■ 労働者が、業務命令によって指定された時間、その指定された出張・外勤に従事せず内勤業務に従事したことは、債務の本旨に従った労務の提供をしたとはいえず、また、使用者は、業務命令を事前に発したことにより、その指定した時間については出張・外勤以外の労務の受領をあらかじめ拒絶していたものと解すべきであるから、労働者が提供した内勤業務についての労務を受領したものとはいえず、したがって、使用者は、当該労働者に対し当該内勤業務に従事した時間に対応する賃金の支払義務を負うものではないとするのが最高裁判所の判例である。(水道機工事件、昭和60年3月7日最高裁判)
■ 平均賃金は、労働基準法において、金銭を支給する場合において、その計算の基礎として用いられる。
■ 平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。(労基法12条1項)
■ 平均賃金=(賃金総額(算定事由の発生した日以前3ヶ月間に支払われたもの))÷総日数(算定事由の発生した以前3か月間)
■ 算定すべき事由の発生した日(起算日)(労基法12条2項)
・ 起算日の原則(算定すべき事由の発生した日)
・ 平均賃金の起算日となる日は、次のようになっている。
・ 解雇予告手当 労働者に解雇の通告をした日
・ 休業手当 その休業日(2日以内のときは初日)
・ 年次有給休暇日の賃金 当該休暇を与えた日(2日以上の期間に渡るときは初日)
・ 休業補償等各災害補償 事故発生の日又は診断によって疾病の発生が確定した日
・ 減給の制裁 制裁の意思表示が相手方に到達した日
賃金締切日がある場合
賃金締切日がある場合の3か月間は、算定すべき事由の発生した日の直前の賃金締切日から起算する(労基法12条2項)
・ 原則 毎月15日支給、事由の発生日 7/15の場合、4/15,5/15,6/15の3か月
・ 例外 毎月20日締め、事由発生日7/15の場合、4/20,5/20,6/20の3か月
賃金ごとに賃金締切日が異なる場合、例えば団体業績給以外の賃金は毎月15日及び月末の2回で、団体業績給のみは毎月月末1回のみの場合には、直前の賃金締切日は、それぞれ各賃金ごとの賃金締切日である。(昭和26年基収5626号)
■ 平均賃金の算定期間は3か月間の総歴日数である。
■ なお、「通常当該日には労務の提供が完全にはなされず賃金も全部支払われない場合が多く、これを3か月間に入れることにより帰って労働者に不利になることとなる」ことから、算定すべき事由の発生した日は総日数に含めないこととされている。(労基法12条1項)
■ 次の期間は、算定期間から日数を、賃金の総額からこの期間中の賃金を、それぞれ控除して、残余の期間の日数と賃金額で平均賃金を算定する。(労基法12条3項)
・ 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
・ 産前産後の女性が労基法65条の規定によって休業した期間
・ 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
・ 育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定する育児休業又は介護休業をした期間
・ 試みの使用期間
■ 組合専従期間は、その期間の賃金及び日数ともに平均賃金の算定基礎の賃金総額及び総日数から控除する。(昭和26年基収3783号)
■ 作業所閉鎖等の期間は、労働争議に正当に罷業若しくは怠業し、又は正当な作業場閉鎖のため休業した期間並びにその期間の賃金は、平均賃金の算定期間及び賃金の総額から除外する(昭和29年基収4240号)
■ 年次有給休暇の日数及びこれに対し支払われる平均賃金は、賃金の計算において算入しなければならない。(昭和22年基発231号)
■ 平均賃金の算定期間中に支払われた賃金の総額には次の賃金は算入しない。(労基法12条4項)
・ 臨時に支払われた賃金
・ 3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
・ 通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの(法令又は労働協約の別段の定めに基づかない現物給与)
■ 日給や時給、又は出来高払制その他の請負で働いている人は極端に平均賃金が低くなることがあるため、特殊として最低保障額を設けている。(労基法12条1項但書)
賃金が労働した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60
賃金の一部が月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の賃金の総額をその期間の総日数で処した金額と上記の金額の合算額
■ 雇入れ後3か月に満たない者の平均賃金は、雇入れ後の期間とその期間中の賃金の総額で算定する。なお、この場合でも賃金締切日があるときは、直前の賃金締切日から起算する(昭和23年基収1065号)
■ 平均賃金の例外的な計算方法
・ 試みの使用期間中に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合
・ その期間中の日数及びその期間中の賃金を平均賃金の総額に算入する
・ 労基法12条3項1号から4号までの期間が平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前3か月以上にわたる場合又は雇入れの日に平均賃金を算定すべき事由の発生した場合
・ 都道府県労働局長の定めるところによる
・ 日々雇い入れられる者
・ 従事する事業又は職業について、厚生労働大臣が定める金額を平均賃金とする
・ 具体的には、原則として、1労働日当たりの賃金額に100分の73を乗じて得た額とされている。
賃金が通貨以外のもので支払われる場合、法令又は労働協約の別段の定めに基づいて支払われる通貨以外の者が賃金の総額に算入される。この場合の通貨以外のものの評価額は、法令に別段の定めがある場合のほか、労働協約に定めなければならない。
■ 労働協約に定められた評価額が不適当と認められる場合又は当該評価額が法令若しくは労働協約に定められていない場合においては、都道府県労働局長がその評価額を定めることができる。(労基法12条5項、労基則2条)
■ 出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。(労基法27条)
■ 保障給は、労働者の労働時間に対応して支払うものであり、労働者が就業しなかった場合は、使用者は賃金支払の義務はないため保障給も当然支払うことを要しない。
■ 出来高払制その他の請負制で使用する労働者が就業しなかった場合
・ 労働者の責めに帰すべき理由→賃金の支払義務はない
・ 使用者の責めに帰すべき理由→休養手当の支払義務
・ 就業していないため保障給の支払義務はない。
■ 労働者の責めに帰すべき事由によって、実収賃金が低下することを防ぐ趣旨であるから、労働者に対し、常に通常の実収賃金とあまり隔たらない程度の収入が保障されるように保障給の額を定めるように指導すること(昭和22年基発17号、昭和63年基発150号)
■ 最低賃金の基準を定めることにより労働者の生活の安定を図っている。なお、具体的な基準は最低賃金法に委ねられている(労基法28条)
賃金は通貨(日本銀行発行の紙幣又は硬貨)によって支払うことが原則であることを規定し、小切手による支払や現物給与を原則として禁止している。
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(労基法24条1項)
■ 次の場合は、通貨以外(現物)のもので支払うことができる。(労基法24条1項但書)
・ 法令に別段の定めがある場合
・ 労働協約に別段の定めがある場合
・ 厚生労働省令で定める賃金(退職金等)について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合
■ 法律、政令、省令に限らず、条例等の地方自治法規による場合も含まれる。ただし、現在、現物給与について、法令で定められているものはない。
■ 通貨以外の賃金(現物支給)で支払う定めをする場合には、その評価額も同時に定めておくことが必要となる。なお、労働協約により現物支給ができる労働者の範囲は、その労働協約の適用を受ける労働者に限られる。(昭和63年基発150号)
■ 使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について次の方法によることができる。(労基則7条の2第1項・2項)
・ 銀行その他の金融機関に対する労働者の預金又は貯金への振込み
・ 金融商品取引業者に対する労働者の預り金(一定の要件を満たすものに限る)への払込み
■ 使用者は、労働者の同意を得た場合には、退職手当の支払について上記に規定する方法によるほか、次の方法によることができる。
・ 銀行その他の金融機関によって振り出された当該銀行その他の金融機関を支払人とする小切手を当該労働者に交付すること
・ 銀行その他の金融機関が支払保証をした小切手を当該労働者に交付すること
・ 郵便貯金銀行がその行う為替取引に関し負担する債務に係る権利を表章する証書を当該労働者に交付すること
■ いわゆる給与振込は、現物給与にはあたらず、労働者本人の同意があれば行うことができる。なお、労働協約や労使協定で給与振込について定めてある場合であっても労働者本人の同意が得られない場合には給与の支払を振込によることができない。
■ 退職手当については、その額が工学であり、現金の保管や持ち運びに伴う危険を回避する必要と銀行振出小切手(自己宛小切手)、郵便為替等による場合については支払が確実であること等の理由から、労働者の同意を得た場合には、小切手等によって支払うことが認められている。
■ 第一種小学電子募集取扱い業者(クラウドファンディングを取り扱う業者)は、資産の安全性が高くなく、労働者の賃金の払込み先としてはふさわしくないと考えられるため労基則7条の2第1項に規定する賃金の払込先から除かれている。(平成27年基発0528第7号)
賃金は、直接労働者に支払わなければならない。(労基法24条1項)
賃金を、労働者の親権者その他の法定代理人に支払うことや、労働者の委任を受けた任意代理人に支払うことはできない(昭和63年基発150号)
■ 使者(妻や子等)に対して賃金を支払うことはできる(社会通念条、確実であると考えられるため)(昭和63年基発150号)
■ 派遣中の労働者の賃金を派遣先の使用者を通じて支払うことは、派遣先の使用者が派遣中の労働者本人に対して、派遣元の使用者からの賃金を手渡すだけであれば、直接払いの原則に違反しない。(昭和61年基発333号)
■ 労働者が賃金の支払を受ける前に賃金債権を他に譲渡した場合でも、その支払については労働基準法24条が適用されるため、使用者は直接労働者に対して賃金を支払わなければならず、したがって、賃金債権の譲受人は、自ら使用者に対してその支払を求めることはできない(電電公社小倉電話局事件、昭和43年3月12日最高裁判)
賃金が、民事執行法の規定に基づいて差し押さえられた場合、使用者は、差し押さえられた賃金を、差し押さえた債権者に直接支払っても、労基法24条の賃金の直接払の原則に違反しない(昭和33年最高裁判決定(高橋事件))。また、行政官庁が国税徴収法の規定に基づいて行った差押処分にしたがって、使用者が労働者の賃金を控除のうえ当該行政官庁に納付することは、労基法24条の賃金の直接払いの原則に違反しない(国税徴収法76条他)
賃金は、その全額を支払わなければならない。(労基法24条1項)
■ 全額払いの例外(労基法24条1項但書)
・ 法令に別段の定めがある場合
・ 所得税法や、健康保険法、厚生年金保険法等で源泉控除の規定がある。
・ 労使協定がある場合
賃金の一部控除は、一定の要件を満たした労使の書面による協定がある場合に許されるが、この賃金の一部控除に係る労使協定は、労働基準監督署長への届出を必要としない。
■ 遅刻、早退の場合に、5分の遅刻を30分の遅刻として賃金をカットするという処理は、労働の提供のなかった限度を超えるカットについて、賃金の全額払いの原則に反し、違法となる。ただし、このような取扱いを就業規則に定める「減給の制裁」として、労基法91条の制限内で行う場合には、全額払の原則には反しない。(昭和63年基発150号)
■ 1か月の賃金支払額における全額払いに違反しない端数処理(昭和63年基発150号)
・ 1か月の賃金支払額に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以外を100円に切り上げて支払うこと
・ 1か月の賃金支払額に生じた1000円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うこと
■ 前月分の過払賃金を翌月分で生産する程度は賃金その自体の計算に関するものであるから、労働基準法24条の違反とは認められない。(昭和23年基発1357号)
■ 労働基準法24条1項但書の要件を具備するチェックオフ協定の締結は、これにより、使用者のチェックオフ(労働組合日の賃金控除)が賃金全額払いの原則の例外とされ、罰則の適用を受けないという効力を有するにすぎないものであって、当然に使用者がチェックオフをする権限を取得するものではないことはもとより、組合員がチェックオフを受忍すべき義務を負うものではないと解すべきである。(エッソ石油事件、平成5年3月25日最高裁判)
賃金の全額払の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を脅かすことのないようにしてその保護を図ろうとするものというべきであるから、労働者が退職に際しみずから賃金に該当する退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合に、全額払いの原則が意思表示の効力を否定する趣旨のものであるとまで解することはできない。(シンガー・ソーイング・メシーン事件、昭和48年1月19日最高裁判)
■ 適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、労働基準法24条1項但書によって除外される場合にあたらなくても、その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の経済生活の安定との関係上不当と認められないものであれば、同項に禁止するところではない。(福島県教祖事件、昭和44年12月18日最高裁判)
■ 労働基準法24条1項本文の定めるいわゆる賃金全額払いの原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を脅かすことの内容にしてその保護を図ろうとするものというべきであるから、使用者が労働者に対して有する債権をもって労働者の賃金債権と相殺することを禁止する趣旨も包含するものであるが、労働者がその自由な意思に基づき当該相殺に同意した場合においては、当該同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、当該同意を得てした相殺は当該規定に違反するものとはいえないものと解するのが相当である。なお、自由意思かどうかの認定判断は、「厳格かつ慎重に行わなければならない」としている。(日新製鋼事件、平成2年11月26日最高裁判)
■ 就業規則に賞与については支給日に在籍している者のみに支給するという支給日在籍要件がある場合には、支給日に在籍していて初めて賞与請求権が発生すると解されるので、支給日に在籍していない労働者には賞与請求権が発生せず、労働基準法24条の賃金の全額払の原則にも違反しない。(大和銀行事件、昭和57年10月7日最高裁判)
賃金は、毎月一回以上、一定期日に支払わなければならない。(労基法24条2項)
■ 毎月は歴月をいう。年俸制をとっていても支払いは毎月1回以上、行う必要がある。
■ 一定期日は、必ずしも「25日」等と指定する必要はなく、月給において、「末日支払」、週休における「月曜日支払」のように、その日が特定される方法で良い。したがって、「毎週第2土曜日」のように月7日の範囲内で変動するような期日の定めをすることは許されない。ただし、所定支払日が休日に該当する場合には、その支払日を繰上げ、又は繰り下げることを定めることは、一定期日払いの原則に違反しない。
■ 毎月1回払い、一定期日払いの例外(労基法24条2項、労基則8条)
・ 臨時に支払われる賃金
・ 賞与(以上、労基法24条2項但書)
・ 1か月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当
・ 1か月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤務手当
・ 1か月を超える期間にわたる自由によって算定される省令加給又は能力手当(以上、労基則8条)
賃金の支払5原則についてのまとめ
・ 通貨払
・ 小切手や現物で支払うことはできない。
・ 例外
・ 法令 現在、該当する法令はない。
・ 労働協約 通勤手当の現物支給、住宅貸与の現物支給
・ 厚生労働省令 銀行口座への振込、金融商品取引事業者への払込み、退職手当の銀行振出小切手、郵便貯金銀行がその行う為替取引に関し負担する債務に係る権利を表章する証書による支払
・ 直接払い
・ 仕事の仲介人や代理人に支払ってはならない。
・ 例外
・ 法律上の例外なし
・ 通達 使者たる家族への支払、派遣先の使用者が手渡す
・ 全額払い
・ 労働者への貸付金その他のものを控除してはならない
・ 例外
・ 法令 所得税、社会保険料控除
・ 労使の書面協定(届出不要) 組合費、購買代金の控除
・ 毎月1回以上払い
・ 毎月1回以上支払うことが必要
・ 一定期日払い
・ 一定の期日に支払う
・ 臨時に支払われる賃金(結婚手当、退職金、賞与等)
・ 厚生労働省令(1か月を超える期間を基礎として支払われる精勤手当、金属手当等)
■ 労働者は、支払期日が到来するまでの賃金の支払を請求できないのが原則であるが、一定の事情が発生した場合には、支払期日前に「既往の労働」に対する賃金の支払を請求できることを規定している。
■ 使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。(労基法25条)
■ 「既往の労働」とは、すでに働いた分ということです。働いていない期間の分まで支払う必要はありません。
■ 非常の場合(労基法25条、労規則9条)
・ 労働者又は労働者の収入によって生計を維持する者が出産し、疾病にかかり、又は災害を受けた場合
・ 労働者又はその収入によって生計を維持する者が結婚し、又は死亡した場合
・ 労働者又はその収入によって生計を維持する者が、やむを得ない事情により1週間以上にわたって帰郷する場合
■ 使用者の責に帰すべき事由により休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。(労基法26条)
■ 司法社の責めに帰すべき事由による休業とは、不可抗力による場合以外は、ほとんどの場合において使用者の責めに帰すべき事由に該当するものと解されている。
■ 労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」とは、使用者が故意または過失により労働者を休業させた場合よりも広い概念で、「使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するのが相当である」とされている。なお、不可抗力によるものは該当しないと解されている。(ノースウェスト航空事件、昭和62年最高裁判)
■ 使用者の責に帰すべき事由
・ 該当するもの
・ 親工場の経営難から下請け工場が資材、資金の獲得ができず休業(昭和23年基収1998号)
・ 企業の都合で採用内定者の就労の始期を繰下げる、いわゆる自宅待機の場合の待機期間(昭和63年基発150号)
・ 該当しないもの
・ 労基法33条2項に基づく代休付与命令による休憩又は休日(昭和23年基収1935号)
・ ロックアウト(使用者の葬儀行動たる工場閉鎖)のための休業で、社会通念上、正当と判断される場合(昭和23年基収1953号)
・ 労働安全衛生法の規定による健康診断の結果に基づいて使用者が休業ないし労働時間の短縮を行った場合(昭和63年基発150号)
■ 週のうちある日の所定労働時間が短く定められていても、その日の休業手当は平均賃金の100分の60に相当する額以上の額を支払わなければならない。また、イ1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業がなされた場合にも、その日について、全体として平均賃金の100分の60までは支払わなければならず、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の100分の60に相当する金額に満たないときには、その差額を支払う必要がある。(昭和27年基収3445号)
■ 例 平均賃金9000円の労働者が一部就労した場合で、その賃金が2500円の場合は、9000×60/100-2500=2900円
■ 労働基準法26条は、民法の一般原則では労働者の生活保障について不十分である事実に鑑み、強行法規で平均賃金の100分の60までを保障しようとする趣旨の規定であって、債権者の責に帰すべき事由に因って債務を履行することができない場合は、債務者は反対給付を受ける権利を失わないとする民法536条2項の規定を排除するものではないから、民法の規定に比して不利ではない。(昭和22年基発502号)
■ 労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、休業手当を支給する義務は生じない。(昭和24年基収4077号)
■ 休業手当は労働基準法11条の賃金であるから、その支払いについては労働基準法24条の規定が適用され、休業期間の属する賃金算定期間について定められた支払日に支払わなければならない。(昭和63年基発150号)
■ 派遣中の労働者について、労働基準法26条の休業手当に関する規定の適用における使用者の責に帰すべき事由があるかどうかの判断は、派遣元の使用者についてなされる(平成11年労告137号)
■ 使用者の責に帰すべき事由によって解雇された労働者が解雇期間中に他の職に就いて利益を得たときは、使用者は、右労働者に解雇期間中に賃金を支払うに当たり右利益(中間利益)の額を賃金額から控除することができるが、右賃金額のうち労働基準法12条1項所定の平均賃金の6割に達するまでの部分については利益控除の対象とすることが禁止されているものと解するのが相当である。したがって、使用者が労働者に対して有する解雇期間中の賃金支払債務のうち平均賃金額の6割を超える部分から当該賃金の支給対象期間と時期的に対応する期間内に得た中間利益の額を控除することは許されるものと解すべきであり、右利益の額が平均賃金額の4割を超える場合には、更に平均賃金算定の基礎に算入されない賃金(労働基準法12条4項所定の賃金)の全額を対象として利益額を控除することが許されるものと解されるとするのが最高裁判所の判例である。(あけぼのタクシー事件、昭和62年10月26日最高裁判)(いずみ福祉会事件、平成18年3月28日最高裁判)
■ 上記の判例(あけぼのタクシー事件、いずみ福祉会事件)を理解するために、次のポイント整理を確認してください。
■ 裁判によって解雇が無効と判断されたときは、使用者は、解雇した時点から解雇が無効と判断されたときまでの賃金をまとめて支払う必要があります。この賃金が、判例でいう「解雇期間中の賃金」です。そして、その解雇期間に、解雇された人がアルバイトなどで得た収入が、判例でいう「中間利益」です。
■ 使用者が、解雇期間中の賃金を支払う場合、中間利益を控除することが可能ですが、そこに次のような制限を示したのがこの判例です。
・ 平均賃金の6割については、中間利益があったとしても控除することができない。つまり、平均賃金の6割は必ず支払う必要がある。
・ 平均賃金の6割を超える部分については控除できるが、その賃金の支給対象期間と時期的に対応する期間に得た中間利益に限られる。
・ 中間利益が平均賃金の4割を超える場合は、平均賃金の算定の基礎に算入されない賃金(賞与など)からも控除できる。
・ 簡単な数字で例示
・ 使用者が本来支払わなければならない解雇期間中の賃金は630万円(平均賃金の算定基礎に算入される額が480万円。残りの150万円は賞与)と仮定
・ 被解雇者が解雇期間中に得た中間利益の総額は360万円と仮定
・ 使用者は、平均賃金の6割相当額である、480万円×60%=288万円は控除することが禁止されるので、その全額を被解雇者に支払う
・ 中間利益の額のうち平均賃金の4割相当額(480万円×40%=192万円)を超える部分の額は、360万円-192万円=168万円である。
・ この168万円を賞与の額から控除することができるので、賞与分の150万円は支払う必要はない。
・ 結局、使用者は、288万円を、被解雇者に支払わなければならない。
・ 中間利益を全て控除したと仮定した場合の使用者の支払額は270万円(630万円-360万円)ですから、このケースでは労働者に有利になる。
■ 労働時間を延長するとは、法定労働時間を超えて労働時間を延長することをいう。この場合、就業規則等に時間外労働を命じることができる旨の規定があることが必要である。
■ 使用者が労働基準法36条に規定する手続をしないで時間外労働又は休日労働をさせた場合、使用者は、労働基準法32条又は35条違反により処罰されるとともに、当該時間外労働又は休日労働に対する割増賃金を支払わなければならない。(昭和63年基発150号)
■ 休憩時間中に窓口事務、来客当番等に従事させた場合、その時間と他の労働時間を通算して法定労働時間を超える場合には、割増賃金の支払義務が生ずる(昭和23年基収1196号)
■ 坑内労働は、休憩時間を含め労働時間とみなされるため、休憩時間を含め1日の拘束時間が8時間又は1週間の拘束時間が週の法定労働時間を超えた場合に、割増賃金の支払義務が生ずる。(昭和63年基発150号)
■ 時間外労働が引き続き翌日の労働時間に及んだ場合、翌日の所定労働時間の始期までの超過時間に対して割増賃金を支払えば、労働基準法37条違反とはならない。(昭和26年基収3406号)
■ 派遣中の労働者について法定時間外労働等を行わせるのは派遣先の使用者であり、派遣先の使用者が派遣中の労働者に法定時間外労働等を行わせた場合に、派遣元の使用者が割増賃金の支払義務を負う(昭和61年基発333号)
■ 労使合意の上で割増賃金を支払わない申し合わせは、労働基準法37条に抵触し無効となる。(昭和24年基収68号)
■ 特殊健康診断は、事業の遂行上当然実施しなければならないものであるので、所定労働時間内に実施することを原則とする。所定労働時間外に行われた場合には、割増賃金を支払わなければならない。(昭和47年基発602号)
■ 休日労働とは、法定休日(労基法35条に規定する休日)に労働させることをいう。
■ 週休2日制で、法定休日が日曜日、
・ 所定休日が土曜日である場合、1週間の法定労働時間が40時間の会社で、土曜(所定休日)に労働させた場合、週の労働時間が48時間となり、8時間分について時間外労働となる。
・ 日曜日(法定休日)に労働させた場合、休日労働となる。
■ 毎週1回の法定休日の他に国民の祝日、創立記念日等の休日を定めている場合(昭和63年基発150号)、その日に労働させても、割増賃金を支払う必要はない。
■ 就業規則等の定めに基づいて、事前に法定の休日を振り替えた場合には、その日は休日労働とはならないため、割増賃金を支払う必要はない。ただし、結果としてその週の労働時間が1週間の法定労働時間を超えるときは、その超えた分については時間外労働となり、割増賃金の支払が必要となる。(昭和63年基発150号)
■ 深夜労働とは、午後10時から午前5時前での間において労働させた場合である。厚生労働大臣が必要であると認めると場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時とすることができる。深夜労働が所定労働時間内の労働であっても、割増賃金の支払義務は生じる
■ 適用除外(労基法41条)に該当する労働者に対しては、労働時間、休憩又は休日に関する規定は適用されず、時間外又は休日の割増賃金の支払義務は生じないが、深夜業に関する規定は適用されるため、深夜の割増賃金は支払わなければならない。(昭和23年基発1506号)
■ 監視又は断続的な労働に従事する者は、労働協約、就業規則その他により割増賃金を含めて所定賃金が定められていることが明らかな場合には、深夜の割増賃金を支払う必要はない。(昭和23年基発1506号)
■ 割増賃金の基礎となる賃金(労規則19条)
・ 割増賃金の計算の基礎となる賃金は、通常の労働時間又は労働日の賃金である。具体的には、労働基準法施行規則で定められている。(労規則19条)
・ 割増賃金の計算の基礎となる金額
・ 時間給 時間給
・ 所定労働時間が一定の場合
・ 日給 日給を1日の労働時間数で除した金額
・ 週給 週給を週の所定労働時間数で除した金額
・ 月給 月給を月における所定労働時間数で除した金額
・ 所定労働時間が異なる場合
・ 日給 日給を1週間における1日の平均所定労働時間数で除した金額
・ 週給 週給を4週間における1週の平均所定労働時間数で除した金額
・ 月給 月給を1年間における1月の平均所定労働時間数で除した金額
・ 出来高払制その他の請負制 出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を賃金算定期間(賃金締切日がある場合には賃金締切期間)における総労働時間数で除した金額
■ 次の賃金は割増賃金の計算の基礎となる賃金には算入されない(労規則21条)
・ 家族手当
・ 通勤手当
・ 別居手当
・ 子女教育手当
・ 住宅手当
・ 臨時に支払われる賃金
1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
■ 家族手当との名称でも、扶養家族数に関係なく一律に支給される手当や一家を扶養する者に対し基本給に応じて支払われる手当は、ここでいう家族手当ではない。扶養家族がある者との均衡上独身者に対しても一定額の手当が支払われている場合には、コレらの手当のうち、独身者に対して支払われている部分及び扶養家族のある者で本人に対して支給されている部分は家族手当とはならない。(昭和22年基発572号)
■ 労働者の通勤距離又は通勤に要する実際費用に応じて算定される手当であるから、一定額までは距離にかかわらず一律に支給する場合の一律の部分は通勤手当に該当しない。(昭和23年基発297号)
■ 住宅に要する費用に定率を乗じた額を支給するものや住宅に要する費用を段階的に区分し、費用が増えるにしたがって額を多くして支給するものが該当する。住宅の形態ごとに一律に定額で支給されるものや住宅以外の要素で定率又は定額支給するものはここでいう住宅手当に含まれない。(平成11年基発170号)
■ 年俸制で、年俸額を16あるいは18で除して、4あるいは6に相当する金額を賞与として支払う場合の賞与は、賞与部分を含めて確定した年俸額を算定の基礎として割増賃金を支払う必要がある。(平成12年基収78号)
■ 中小事業主
・ 資本金の額・出資の総額が次の額以下の事業主
・ 小売業、サービス業 5000万円
・ 卸売業 1億円
・ 上記以外 3億円
・ 又は、常時使用する労働者の数が次の数以下の事業主
・ 小売業 50人
・ サービス業、卸売業 100人
・ 上記以外 300人
■ 割増賃金の率(労基法37条1項)
・ 時間外労働(原則) 2割5分以上5割以下(割増賃金政令の規定により2割5分以上)
・ 時間外労働(月60時間を超えた部分) 5割以上
・ 休日労働 2割5分以上5割以下(割増賃金政令の規定により3割5分以上)
・ 深夜労働 2割5分以上
・ 時間外労働が深夜の時間帯に及んだ場合 5割以上
・ 時間外労働(月60時間を超えた部分)が深夜の時間帯に及んだ場合 7割5分以上
・ 休日労働が深夜の時間帯に及んだ場合 6割以上
■ 休日については、所定労働時間を考慮しない点に注意。
■ 割増賃金による使用者の経済的負担を加重することによって特に長い時間外労働を強力に抑制することを目的として、1か月について60時間を超えて時間外労働をさせた場合には、その超えた時間の労働について、法定割増賃金率を従来の2割5分以上の率から5割以上の率に引き上げることとした(平成22年4月1日施行)
■ なお、労働基準法附則138条に規定する中小事業主については、2023(令和5)年3月31日までの間、法定割増賃金率の引き上げの適用が猶予されている。(平成21年基発0529001号)
■ 平成22年から大手企業を対象に月60時間を超える時間外の割増率が50%以上の率に引き上げられた。これにより、45時間を超え、60時間までについては25%を超える率となるよう努めなければならないこととされている。
■ 使用者が1か月について60時間を超えて時間外労働をさせた場合に、その超えた時間の労働について、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
■ 「1か月」とは、暦による1か月をいうものであり、その起算日を「賃金の決定、計算及び支払の方法」として就業規則に記載する必要がある。
■ 「その超えた時間の労働」として5割以上の率による割増賃金の支払が義務付けられるのは、1か月の起算日から時間外労働時間を累計して60時間に達した時点より後に行われた時間外労働である。(平成21年基発0529001号)
■ 法定休日以外の休日(所定休日)における労働は、それが法定労働時間を超えるものである場合には、時間外労働に該当するため、労働基準法37条1項但書の「1か月について60時間」の算定の対象に含めなければならない。
■ なお、労働条件を命じする観点及び割増賃金の計算を簡便にする観点から、就業規則その他これに準ずるものにより、事業場の休日について法定休日と所定休日の別を明確にしておくことが望ましい。(平成21年基発0529001号)
■ 清算期間を1か月ごとに区分した各期間を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた時間については、清算期間の途中であっても、時間外労働としてその都度割増賃金を支払わなければならず、当該時間が月60時間を超える場合は5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない(労働基準法附則138条に規定する中小事業主を除く)
■ また、清算期間を1か月ごとに区分した各期間の最終の期間においては、当該最終の期間を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた時間に加えて、当該清算期間における総実労働時間から、①当該清算期間の法定時間の総枠及び②当該清算期間中のその他の機関において時間外労働として取り扱った時間を控除した時間が時間外労働として算定されるものであり、この時間が60時間を超える場合には5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない(労働基準法附則138条に規定する中小事業主を除く)
■ 協定すべき事項は、次のとおりである(労規則19条の2第1項)
・ 労基法37条3項の休暇(代替休暇)として与えることができる時間の時間数の算定方法
・ 代替休暇の単位(1日又は半日(代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇と併せて与えることができる旨を定めた場合においては、当該休暇と併せた1日又は半日を含む)とする)
・ 代替休暇を与えることができる時間(延長して労働させた時間が1か月について60時間を超えた当該1か月の末日の翌日から2か月以内とする)
・ なお、この労使協定は届出不要。
■ 代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法は、1か月について60時間を超えて延長して労働させた時間の時間数に、労働者が代替休暇を取得しなかった場合に当該時間の労働について支払うこととされている割増賃金の率(5割以上の率)と、労働者が代替休暇を取得した場合に当該時間の労働について支払うこととされている割増賃金の率(2割5分以上の率)との差に相当する率(換算率)を乗じるものとする(労規則19条の2第2項)
■ 代替休暇を与えても、原則的な時間外労働に係る割増賃金率(2割5分以上の率)による割増賃金の支払は必要である。(平成21年基発0529001号)
■ 代替休暇として与えることができる時間の時間数=(1か月の時間外労働時間数-60)×換算率
■ 換算率=(労働者が代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増賃金率(5割以上))-(労働者が代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率(2割5分以上))
■ 月60時間を超えた時間外労働のうち労働者が取得した代替休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、5割以上の率による割増賃金を支払うことを要しないが、この厚生労働省令で定める時間は、取得した代替休暇の時間数を換算率で除して得た時間数の時間とする(労規則19条の2第3項)
■ 労働者の健康を確保する観点から、特に長い時間外労働をさせた労働者に休息の機会を与えることを目的として、1か月について60時間を超えて時間外労働を行わせた労働者について、労使協定により、法定割増賃金率の引き上げ分の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を与えることができることとした(平成22年4月1日施行)
■ なお、労働基準法附則138条に規定する中小事業主の事業については、2023(令和5)年3月31日までの間、法定割増賃金率の引き上げは適用しないこととされていることに伴い、代替休暇も適用されない。
・ 代替休暇のイメージ(具体例)
・ 時間外労働を月76時間行った場合
・ 月60時間を超える16時間分の割増賃金の引き上げ分である、25%(50%-25%)の支払に代えて、代替休暇の付与も可能
・ この場合、代替休暇として与えることができる時間数は4時間となる。
・ 16時間×25%(50%-25%)=4時間
■ 代替休暇は、個々の労働者に対して取得を義務付けるものではない。労使協定が締結されている事業場において、個々の労働者が実際に代替休暇を取得するか否かは、労働者の意思による(平成21年基発0529001号)
■ 労働者が代替休暇を取得しなかった場合に支払う割増賃金率は、労働基準法37条1項但書の規定により5割以上の率とする必要があり、労働者が代替休暇を取得した場合に支払う割増賃金は、同項本文の規定により2割5分以上の率とする必要があり、いずれも「賃金の決定、計算又は支払の方法」として就業規則に記載する必要がある。(平成21年基発0529001号)
■ 代替休暇の単位については、まとまった単位で与えられることによって労働者の休息の機会とする観点から、1日又は半日とされており、労使協定では、その一方又は両方を代替休暇の単位として定める必要がある。なお、「半日」については、必ずしも厳密の1日の所定労働時間の2分の1とする必要はないが、その場合には労使協定で当該事業場における「半日」の定義を定めておく必要がある。(平成21年基発0529001号)
■ 代替休暇を与えることができる期間については、特に長い時間外労働が行われた月から一定の近接した期間に与えられることによって労働者の休息の機会とする観点から、時間外労働が1か月について60時間を超えた当該1か月の末日の翌日から2か月以内とされており、労使協定では、この範囲内で定める必要がある。
■ なお、代替休暇を与えることができる期間として労使協定で1か月を超える期間が定められている場合には、前々月の時間外労働に対応する代替休暇と前月の時間外労働に対応する代替休暇とを併せて1日又は半日の代替休暇として取得することも可能である。(平成21年基発0529001号)
■ 法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払が不要となり時間は、1か月について60時間を超える時間外労働のうち労働者が取得した代替休暇に対応する時間の労働とされており、具体的には、労働者が取得した代替休暇の時間数を換算率で除して得た時間数の時間とされている。したがって、代替休暇制度の意向があった労働者が実際には代替休暇を取得できなかったときには、取得できなかった代替休暇に対応する時間の労働については、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払が必要となる。(平成21年基発0529001号)
■ 労基法37条1項の規定による割増賃金の算定基礎となる賃金は、通常の労働時間又は通常の労働日の賃金の額である。以下に、労働の形態ごとに算定基礎となる賃金の計算方法を示す。
・ 時間によって定められた賃金 → その金額
・ 日によって定められた賃金 → その金額をその1日の所定労働時間数(日によって所定労働時間数が異なる場合には、1週間における1日の平均所定労働時間数)で除した金額
・ 週によって定められた賃金 → その金額を週における所定労働時間数(週によって所定労働時間数が異なる場合には、4週間における1週平均所定労働時間数)で除した金額
・ 月によって定められた賃金 → その金額を月における所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1月平均所定労働時間数)で除した金額
・ 月、週以外の一定の期間によって定められた賃金 → 上記に準じて算定した金額
・ 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金 → その賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金の算定における総労働時間数を除した金額
・ 労働者の受ける賃金が上記の2以上の賃金よりなる場合 → その部分について上記によってそれぞれ算定した金額の合計額
■ 8時間を超える休日労働の割増賃金については、当該休日労働の時間が深夜の時間帯に及ばない限り、3割5分以上の割増率による割増賃金を支払えば足りる(平成6年基発181号)
■ 所定労働時間が7時間である場合に、8時間労働させた場合は、法定労働時間との差1時間分については、割増賃金を支払う必要はない(昭和23年基発1592号)
■ 労働基準法37条は強行規定であり、たとえ労使合意の上で割増賃金を支払わない申し合わせをしても、同法37条に抵触するから無効である。(昭和24年基収68号)
■ 労働基準法36条1項の規定によらない時間外労働又は休日労働は、同法32条又は同法35条違反であるが、同法37条の規定は同法32条もしくは同法40条に定める労働時間を超え又は同法35条に定める休日に労働させた場合に割増賃金を支払わなければならないという法意であるから、割増賃金の支払義務は免れない。(昭和63年基発150号)
■ 割増率を次の2つの事例で整理していきましょう
・ 労働日の時間外・深夜労働の割増
・ 始業時間9時、終業時間17時、1日の所定労働時間7時間の場合
・ 9時から17時(12-13時休憩)所定労働時間
・ 17-18時 割増なし
・ 18-22時 2割5分以上
・ 22-翌5時 5割以上
・ 5-9時 2割5分以上
・ 上記のケースのポイントは、深夜割増の時間帯が22-5時という点
・ 法定休日・深夜労働の割増(休日→平日)
・ 9-12時 3割5分以上
・ 12-13時(休憩時間) なし
・ 13-17時 3割5分以上
・ 18-22時 3割5分以上
・ 22-24/0時 6割以上(休日+深夜)
・ 0-5時 5割以上(時間外+深夜)→ ここから休日労働ではなくなる
・ 5-9時 2割5分以上(時間外)
・ 上記のケースのポイントは、深夜割増の22-5時までという点と合わせて、法定休日は時間外という考えがない点、午前0時から翌日、つまり「平日」になるという点です。
・ 法定休日・深夜労働の割増(平日→休日)
・ 9-17時 通常労働
・ 17-18時 割増なし
・ 18-22時 2割5分以上
・ 22-24/0時 5割以上
・ 0-5時(休日+深夜) 6割以上
・ 5-9時(休日) 3割5分以上
・ 上記のケースは、その前のケースとは逆に、平日の労働が休日に及んだものです。
■ 端数処理に関するルールを通達で示している。次のような処理は法律違反とならない。
・ 1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること(時間計算)
・ 1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数の切捨て、それ以上を1円に切り上げること
・ 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。(賃金額)
■ 労働基準法37条が時間外労働等について割増賃金を支払うべきことを使用者に義務付けているのは、使用者に割増賃金を支払わせることによって、時間外労働等を抑制し、もって労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに、労働者への補償を行おうとする趣旨によるものと解される。また、割増賃金の算定方法は、同条並びに政令及び厚生労働省令の関係規定(労働基準法37条等)に定められているところ、同条は、労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまるものと解され、基本給や諸手当にあらかじめ含めることにより割増賃金を支払う方法自体が直ちに同条に反するものではなく、使用者は、雇用契約に基づき、時間外労働等に対する対価として定額の手当を支払うことにより、同条の割増賃金の全部又は一部を支払うことができる。そして、雇用契約においてある手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものとされているか否かは、雇用契約に係る契約書等の記載内容のほか、具体的事案に応じ、使用者の労働者に対する当該手当や割増賃金に関する説明の内容、労働者の実際の労働時間等の勤務状況などの事情を考慮して判断すべきであるとするのが最高裁判所の判例である。(日本ケミカル事件、平成30年7月19日最高裁判)
■ 労働基準法37条が時間外労働等について割増賃金を支払うべきことを使用者に義務付けているのは、使用者に割増賃金を支払わせることによって、時間外労働等を抑制し、もって労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに、労働者への補償を行おうとする趣旨によるものであると解される。また、割増賃金の算定方法は、労働基準法37条等に具体的に定められているが、労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまるものと解され、使用者が労働契約に基づき、労働基準法37条等に定められた方法以外の方法により算定される手当を時間外労働者等に対する対価として支払うこと自体が直ちに同条に反するものではない。他方において、使用者が労働者に対して労働基準法37条の定める割増賃金を支払ったとすることができるか否かを判断するためには、割増賃金として支払われた金額が、通常の労働時間の賃金に相当する部分の金額を基礎として、労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かを検討することになるところ、その前提として、労働契約における賃金の定めにつき、通常の労働時間の賃金に当たる部分と同条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要である。そして、使用者が、労働契約に基づく特定の手当を支払うことにより労働基準法37条に定める割増賃金を支払ったと主張している場合において、上記の判別をすることができるというためには、当該手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものとされていることを要するところ、当該手当がそのような趣旨で支払われるものとされているか否かは、当該労働契約に係る契約書等の記載内容の他諸般の事情を考慮して判断すべきであり、その判断に際しては、当該手当の名称や算定方法だけでなく、上記で説示した同条の趣旨を踏まえ、当該労働契約の定める賃金体系全体における当該手当の位置づけ等にも留意して検討しなければならないというべきである。(国際自動車事件、令和2年3月30日最高裁判)
[労基法] 労働基準法・重要箇所・Chapter7
年少者
■ 使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない。(労基法56条1項)
■ 非工業的事業(別表第1第1号から第5号までに掲げる事業以外の事業)に関しては、満13歳以上満15歳に達した日以後の3月31日が終了するまでの児童の使用が認められている。
■ 非工業的な事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が簡易なものであること。ただし、以下の業務(年少則9条)に関しては許可されない。
・ 公衆の娯楽を目的として曲馬又は軽業を行う業務
・ 戸々について、又は道路その他これに準ずる場所において、歌謡、遊芸その他の演技を行う業務
・ 旅館、料理店、飲食店又は娯楽場における業務
・ エレベータの運転の業務
・ 上記の他に厚生労働大臣が別に定める業務
■ 行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可を受けること
■ その使用時間が修学時間外であること(労基法56条2項、年少則9条)
■ ゴルフ場におけるキャディーの業務については、児童の健康及び福祉に有害でなく、年少則9条2号にいう娯楽場における業務には該当せず、かつ、労働が簡易であると解されている(平成6年基発181号)
■ 行政官庁の許可を受けようとする使用者は、使用許可申請書に児童の年齢証明書、児童の修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を添えて、所轄労働基準監督署長へ提出しなければならない。(年少則1条)
■ 所轄労働基準監督署長は、児童の居住地を管轄する労働基準監督署長の意見を聴き、許否を決定したときは使用者に通知するとともに、不許可の場合はその児童にも通知することとされている。(年少則2条)
■ 満13歳に満たない児童については、映画の製作や演劇の事業については就業が認められている。ただし、この場合でも児童の健康及び福祉の有害な業務に該当する場合や、労働が軽易なものではない場合には、許可されないこと等その取扱いは上記例外と同様である。
■ 義務教育課程にありながら、修学していないために使用許可申請書に学校長の修学に差し支えない旨の証明ができない場合は、許可されないことになっている。(昭和63年基発150号)
■ 使用者は、満18歳に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない。
■ 使用者は、労働基準法56条2項の規定によって使用する児童については、修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を事業場に備えなければならない。(労基法57条)
■ 年齢を証明する戸籍証明書は、住民票記載事項の証明書で足りる(昭和50年基発83号、婦発40号)
■ 年齢確認の義務は、労働基準法上の労働者の年齢を確認する義務は使用者にある。(昭和63年基発150号)
■ 年齢別の規制
・ 満13歳以上満15歳に達した日以後の最初の3月31日まで
・ 労働基準監督署長の許可が必要な期間
・ 学校長の証明書
・ 親権者又は後見人の同意書
・ 年齢を証明する戸籍証明書
・ 満15歳に達した日以後の最初の3月31日から満18歳
・ 年齢を証明する戸籍証明書
■ 親権者又は後見人は、未成年者に代わって労働契約を締結してはならない。
■ 親権者若しくは後見人又は所定労働基準監督署長は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては、将来に向かってこれを解除することができる。(労基法58条)
■ 民法上、親権者及び後見人は、法令代理人として未成年者に代わって契約を行うことができることとされているが、たとえ未成年者の同意を得ても未成年者に代わって労働契約の締結を行うことはできないことを罰則をもって定めている。
■ 労働契約が遡って効力を失わけではない。
■ 介助犬は所轄労働基準監督署長にも認められているのは、未成年者の保護のためには、法定代理人よりも、むしろ行政機関がこのような権限を行使する方がより適切であると認めらえる場合があるためである。
■ 民法によれば、親権者又は後見人は未成年者に代わって賃金を請求できるが、労働基準法においては未成年者である労働者が独立して賃金を請求することができる権利を認めるとともに、親権者等の代理受領を禁止した。
■ 法定代理人としての立場で賃金を受け取ることをいう。また、親権者が未成年者の委任を受けて賃金を受けることも禁止している。(労基法59条)
■ 満18歳に満たない者が解雇の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。(労基法64条)
■ この帰郷旅費については、労働者からの請求がなくても負担しなければならない。
■ 解雇にあたり、「労働者の責に帰すべき事由」のある時について所轄労働基準監督署の認定(労基法20条)を受けている場合は、重ねて認定を受ける必要はない。(年少則10条2項)
■ 満18歳未満の年少者については、以下の規定は適用されない(労基法60条1項)
・ 変形労働時間制(1箇月単位、フレックスタイム制、1年単位及び1週間単位)
・ 三六協定による時間外・休日労働
・ 労働基準法40条の規定に基づく法定労働時間(1週44時間)、休憩時間の特例(一斉休暇の除外等)
・ 高度プロフェッショナル制度
■ 満18歳未満の年少者については、変形労働時間制(1か月単位の変形労働時間制(32条の2)、フレックスタイム制(32条の3)、1年単位の変形労働時間制(32条の4)、1週間単位の非定形的変形労働時間制(32条の5))の規定はいずれも適用されない。
■ ただし、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した年少者については、1か月単位の変形労働時間制又は1年単位の変形労働時間制の規定の例により労働させることができる(労基法60条3項)
■ 年少者については、三六協定による時間外・休日労働をさせることができない。ただし、下記については、三六協定を伴わずに時間外・休日労働をさせることができる。
・ 非常災害及び公務による臨時の必要があるとき(労基法33条)
・ 農業・水産業、管理監督者等、監視又は断続的労働に従事している場合(労基法41条)
■ 年少者については、労基法40条に基づく法定労働時間・変形労働時間制の労働時間、休憩に関する特例が全て適用されず、労基法32条、34条がそのまま適用される。そのたえ、年少者に一斉休暇を与えないこととする場合には、34条2項の規定通りに労働者の過半数を代表する者との書面による協定を締結しなければならない。
■ 年少者については、労基法41条2項に基づく制度(高度プロフェッショナル制度)は、適用されない。
■ 労基法33条は年少者にも適用されるため、災害その他さけることのできない事由に臨時の必要がある場合において行政官庁の許可を受けたときは、年少者であっても孫必要の限度において時間外・休日労働及び深夜業をさせることができる。ただし、公務のため臨時の必要がある場合、労基法41条に該当する場合は、時間外・休日労働はさせることができるが、深夜業はさせることはできない。
■ 使用者は所轄労働基準監督署長の許可を受けて使用することが認められた児童の労働時間の上限は、休憩時間を除き、修学時間を通算して1週間40時間、1日について7時間とする。(労基法60条2項)
■ 学校教育法に定められている初等普通教育又は中等普通教育の課程を修める時間をいう。授業開始時刻から同日の最終授業終了時刻までの時間から休憩時間(昼食時間を含む)を除いた時間とされている。(昭和25年基収28号)
■ 休日は修学時間のない日(通常は日曜日)に与えなくてもよい。また、日曜日に労働させても修学日に休日を与えていれば、その週に40時間を超えない限り労働基準法60条違反とならない。(平成6年基発181号)
■ 使用者は、満15歳以上で満18歳に満たない者(満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの間を除く)については、次に定めるところにより、労働させることができる。(労基法60条3項、労規則34条の2)
・ 1週間の労働時間が40時間の労働時間を超えない範囲内において、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合において、他の日の労働時間を10時間まで延長すること
・ 1週間について48時間以内の範囲内で厚生労働省令で定める時間、1日について8時間を超えない範囲内において、1か月単位の変形労働時間制又は1年単位の変形労働時間制の例により労働させること
■ 4時間以内とは全1日労働させない場合も含まれる(昭和26年基発696号)
■ 他の日とは、他の1日に限られない。週休2日(土日)の場合に、月曜日4時間、火・水曜日10時間、木金曜日8時間とすることもできる。
■ 使用者は、満18歳に満たない者を深夜に使用してはならない。(労基法61条1項、2項、5項)
・ 満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの児童
・ 午後8時から午前5時
・ 厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、地域又は期間を限って午後9時から午前6時)
・ 満15歳以上(満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの児童を除く)18歳未満の者
・ 午後10時から午前5時
・ 厚生労働大臣が、必要であると認める場合においては、地域又は期間を限って午後11時から午前6時)
■ 上記の最初のケースにおける厚生労働大臣の指定として演劇の事業に使用される児童が演技を行う業務に従事する場合に限って、当分の間、午後9時まで就労させることが可能となった(平成16年厚労告407号)
■ 上記の二つ目のケースにおける厚生労働大臣の指定は、行われた例がない。
■ 次の場合は、満18歳に満たない者を深夜に労働させることができる。
・ 交替制によって使用される満16歳以上の男性
・ 交替制によって労働させる事業について所轄労働基準監督署長の許可を受けて午前10時30分まで労働(厚生労働大臣が必要と認める場合は午前5時30から)させる場合
・ 災害等による臨時の必要がある場合に労働時間を延長し、若しくは休日に労働させる場合でその時間が深夜に及ぶ場合
・ 農林水産業(別表第1第6号、7号)の事業に使用する場合
・ 保健衛生業(別表第1第13号)の事業に使用する場合
・ 電話交換の業務に従事させる場合
■ 上記の1については、所轄労働基準監督署長の許可を受ける必要はない。
■ 交替制とは、労働者が一定期日ごとに、昼間勤務と夜間勤務とに交替につく勤務(昭和23年基発971号)
■ 電話交換業務とは、電話専門の業務ではなくとも鉄道、鉱山、新聞その他の事業における電話交換業務に従事する年少者についても深夜業が認められる。(昭和63年基発150号、婦発47号)
■ 上記の「交替制によって使用される」は、事業として交替制が取られておらず、特定の労働者を対象とするものでも構いません。一方、上記の「交替制によって労働させる事業」は、事業全体として交替制を採っている場合を意味します。(必ずしも労働者全員が交替制で労働している必要はありません)。これは、実働8時間・休憩45分として深夜業に30分の例外を認めれば、基本的に深夜時間帯を外して二交替制が成り立つという理由から設けられたものです。
■ 危険及び有害業務については、年少則8条において規制されている。
■ 就業場所が坑内であれば、一切の直接・関節作業及び事務労働も禁止される。(労基法63条)
■ 都道府県労働局長の許可を受けた使用者が職業能力開発促進法に基づく認定職業訓練のために行う場合に限って、以下が認められている。(労基法70条、労規則34条の3)
・ 満18歳に満たない訓練生を危険・有害業務に従事させること
・ 満16歳以上満18歳未満の男性を、訓練に必要な限度で坑内労働させること
■ 年少者区分と保護規定
・ 未成年者(20歳未満)
・ 親権者等の代理契約・代理受領禁止
・ 年少者(満18歳未満)
・ 戸籍証明書の備付け
・ 時間外・休日・深夜労働の禁止
・ 危険・有害業務の就業禁止
・ 坑内労働の禁止
・ 帰郷旅費
・ 児童(15歳未満)
・ 原則使用禁止
・ 学校長の証明書、親権者又は代理人の同意書の備付け
・ 労働時間の制限
以上
[労基法] 労働基準法・重要箇所・Chapter8
妊産婦等
■ 使用者は、次の各号に掲げる女性を当該各号に定める業務に就かせてはならない。(労基法64条の2)
・ 妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後1年を経過しない女性 → 坑内で行われるすべての業務
・ 上記に掲げる女性以外の満18歳以上の女性 → 坑内で行われる業務のうち人力により行われる掘削の業務その他の女性に有害な業務として厚生労働省令でさだめるもの
■ 対象女性
・ 妊娠中の女性
・ 坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後1年を経過しない女性
・ 坑内で行われるすべての業務を就業禁止
・ 上記に該当しない満18歳以上の女性
・ 坑内で行われる業務のうち人力により行われる掘削の業務その他女性に有害な業務として厚生労働省令で定めるもの
・ 人力により行われる土石、岩石若しくは鉱物(鉱物等)の掘削又は堀採の業務
・ 動力により行われる鉱物等の掘削又は堀採の業務(遠隔操作により行うものを除く)
・ 発破による鉱物等の掘削又は堀採の業務には、装薬のための装薬及び結線当の業務を含むものがあるもの。
■ 満18歳未満の女性については、年少者の規定により坑内労働は禁止されている。
■ 使用者は、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(妊産婦)を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない。
■ 上記の規定は、同項に規定する業務のうち女性の妊娠又は出産に係る機能に有害である業務につき、厚生労働省令で、妊産婦以外の女性に関して、準用することができる。(労基法64条の3)
■ 妊産婦、妊産婦以外の女性に関する就業規則に関しては、女性則2条、3条に規定されている。
・ 重量物を取り扱う業務
・ 妊婦 ×
・ 産婦 ×
・ その他の女性 ×
・ つり上げ荷重5トン以上のクレーンもしくはデリック又は制御荷重が5トン以上の揚貨装置の運転の業務
・ 妊婦 ×
・ 産婦 申し出た場合×
・ その他の女性 〇(差し支えない)
・ 動力により駆動される土木機械用機械又は船舶荷扱用機械の運転の業務
・ 妊婦 ×
・ 産婦 申し出た場合×
・ その他の女性 〇
・ 高さ5メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれがあるところにおける業務
・ 妊婦 ×
・ 産婦 〇
・ その他の女性 〇
・ 削岩機、鋲打機等身体に著しい振動を与える機械器具を用いて行う業務
・ 妊婦 ×
・ 産婦 ×
・ その他の女性 〇
■ 年齢区分に応じ、重量以上の重量物を扱う業務が禁止される
・ 満16歳未満
・ 断続作業 12kg
・ 連続作業 8kg
・ 満16歳以上満18歳未満
・ 断続作業 25kg
・ 連続作業 15kg
・ 満18歳以上
・ 断続作業 30kg
・ 連続作業 20kg
■ 使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。(労基法65条1項)
・ 出産の範囲は、妊娠4ヶ月以上(85日以上)の分娩とし、流産、死産、妊娠中絶も含まれる(1か月を28日として計算するため、妊娠4ヶ月以上は28×3+1=85日以上)
・ 出産の当日は、産前6週間に含まれる。分娩予定日よりも遅れて出産した場合の予定日から出産当日までの期間は、産前の休業期間に含まれる。
■ 産前の休業については、女性の請求が条件となる。
■ 使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。(労基法65条2項)
■ 産後の休業については、女性からの請求の有無にかかわらず、出産日の翌日から8週間の就業が禁止される。
■ ただし、産後6週間を経過していれば、医師が支障がないと認める業務に限り、女性の請求によって就業させることができる。
■ 休業中の賃金については、労基法65条は規定していないため、当事者間で自由に定めるところになる。
■ 産前産後・妊産婦の時間外労働の制限
・ 妊婦
・ 請求による産前休暇6週間
・ 請求があれば他の軽易な業務に転換させなければならない。
・ 新たに軽易な業務を創設して与える義務まで課したものではない。
・ 産婦
・ 6週間経過前 強制休業
・ 6週間経過後 産婦の請求+その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることはできる。
■ 産前産後休業(労基法65条)を取得し、又は所定労働時間の短縮措置(育児・介護休業法第23条)を受けた労働者は、その間就労していないのであるから、その不就労期間に対応する賃金請求権を有しておらず、当該不就労期間を出勤として取り扱うかどうかは原則として労使間の合意に委ねられているというべきである。
■ 従業員の出勤率の低下防止等の観点から、出勤率の低い者につきある種の経済的利益を得られないことにするのは、一応の経済的合理性を有する者である。給与規定(就業規則)において賞与の支給について90%以上の出勤を条件とする条項(本件90%条項)は産前産後休業、所定労働時間の短縮措置を請求し得る法的利益に基づく不就労を含めて出勤率を算定する者であるが、これらの法規定の趣旨に照らすと、これにより上記権利等の行使を抑制し、ひいては労働基準法等が権利等を保障した趣旨を実質的に失わせると認められる場合に限り、公序に反するものとして無効となるとするのが最高裁の判例である。(東朋学園事件、平成15年12月4日最高裁判)
■ 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させられなければならない。(労基法65条3項)
■ 妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易の業務に転換させなければならないとされているが、これは、使用者に、新たに軽易な業務を創設して与える義務まで課したものではないとされている。(昭和61年基発151号、婦発69号)
■ 使用者は、妊産婦が請求した場合には、1箇月単位の変形労働時間制(労基法32条の2第1項)、1年単位の変形労働時間制(労基法32条の4第1項)及び1週間単位の非定型的変形労働時間制(労基法32条の5第1項)の規定にかかわらず、1週間について労働基準法32条1項の労働時間、1日について同条2項の労働時間を超えて労働させてはならない。
■ 使用者は、妊産婦が請求した場合には、非常災害により臨時の必要がある場合(労基法33条1項)及び公務のため臨時の必要がある場合(労基法33条3項)並びに三六協定(労基法36条1項)の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。
■ 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。(労基法66条)
■ 妊産婦のうち、労基法41条対象者(例えば管理監督者)については、労働時間に関する規定が適用されないため、上記のうち深夜業以外は適用の余地はないが、深夜業に関しては適用され、対象者が請求した場合にはその範囲で深夜業が制限されることとなる(昭和61年基発151号)
■ 妊産婦の制限と管理監督者
・ 妊産婦が請求した場合
・ 変形労働時間制(フレックスタイム制を除く)を採用する場合であっても、1日8時間、1週間40時間の法定労働時間を超えてはならない。
・ 以下の場合であっても、時間外労働、休日労働をさせてはならない。
・ 災害その他やむを得ない事由により臨時の必要がある場合
・ 公務のために臨時の必要がある場合
・ 36協定を締結している場合
・ 深夜業をさせてはならない。
・ 妊産婦である管理監督者
・ 「労働時間・休憩・休日」」に関する規定が適用されないことから、時間外・休日・変形労働時間制については適用されない。
・ 深夜業に関する規制は適用されるため、これらの者が請求した場合には、深夜業は制限される。
■ フレックスタイム制は、元々労働者にとって有利な制度のため、妊産婦の就業制限の対象となっていない(変形労働時間制そのものまで禁止しているわけではない)
■ 生後満1年に達しない生児を育てる女性は、労働基準法34条の休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。
■ 使用者は、上記の育児時間中は、その女性を使用してはならない。(労基法67条)
■ 育児時間は、労働基準法34条に定められた休憩時間とは別に与えられる。また、生児とは、当該女性が出産した子であるか否かは問われないこととされている。
■ 育児時間とは、1日の労働時間が4時間以内であるような場合には、1日1回、少なくとも30分の育児時間をその請求によって与えれば足りる。(昭和36年基収8996号)
■ その育児時間を有給とするか無給とするかは、当事者の合意による(昭和33年基収4317号)
■ 使用者は、生理日の就業が著しく困難な助成が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。(労基法68条)
■ 休暇の請求は、就業が著しく困難である事実に基づき行われるものであるから、必ずしも暦日単位で行わなければならないものではなく、半日又は時間単位で請求した場合には、使用者はその範囲で就業させなければ足りるものである。(昭和61年基発151号、婦発69号)
■ 生理期間、その間の苦痛の程度あるいは就労の難易は各人によって異なるものであり客観的な一般基準は定められない。したがって、就業規則その他によりその日数を限定することは許されない。ただし、有給の日数を定めておくことはそれ以上休暇を与えることが明らかにされていれば差し支えない(昭和23年基発682号、昭和63年基発150号、婦発47号)
■ 生理日の休暇を取得した日又は時間を有給とするか無給とするかは、当事者の自由である。(昭和63年基発150号、婦発47号)
[労基法] 労働基準法・重要箇所・Chapter9
就業規則
■ 「就業規則」とは、労働者が就業する際に守るべき規律及び労働条件に関する具体的細目等について定めた規程類の総称のことである。労基法89条、90条は、就業規則の作成(変更を含む)手続きについて規定している。
■ 就業規則は、事業場における労働者の行動を規律し、労働者はこれに拘束される。就業規則の法的性質については、代表的なものとして、法規範説、事実規範説及び契約説がある。
■ 就業規則に規定されている事項を労働者が知らなかった場合にどうなるのかが法的性質の議論のポイントです。結論としては、知る・知らないにかかわらず就業規則に拘束されます。周知されていることが前提です。
■ 就業規則は、それが合理的な労働条件を定めているものである限り、経営主体と労働者との間の労働条件は、その就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして、その法的規範性が認められるに至っているということができ、当該事業場の労働者は、就業規則の存在及び内容を現実に知っていると否とにかかわらず、また、これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず、当然にその適用を受ける。(秋北バス事件、昭和43年12月25日最高裁判)
■ 使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する。そして、就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生ずるためには、その内容の適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが取られていることを要するものというべきである。(フジ興産事件、平成15年10月10日最高裁判)
■ 従業員の出勤率の低下防止等の観点から、稼働率の低い者につきある種の経済的利益を得られないこととする制度は、一応の経済的合理性を有しており、当該制度が、労基法上の権利に基づくもの以外の不就労を基礎として稼働率を算定するものであれば、それを違法であるとすべきものではない。そして、労働協約において稼働率80%以下の労働者の賃上げ対象から除外する制度が、労基法上の権利に基づく不就労を含めて稼働率を算定するものである場合においては、基準となっている稼働率の数値との関連において、当該制度が、労基法上の権利を行使したことにより経済的利益を得られないこととすることによって権利の行使を抑制し、ひいては法律が労働者に各権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められるときに、当該制度を定めた労働協約条項は、公序に反するものとして無効となると買いするのが相当であるとするのが最高裁判所の判例である。(日本シェーリング事件、平成元年12月14日最高裁判)
■ 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、一定の事項について就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。変更した場合においても、同様とする。(労基法89条、労基則49条1項)
■ 常時10人以上の労働者を使用する使用者
・ 一時的に10人未満になることはあっても、常態として10人以上の労働者を使用していることをいう。したがって、常時は7人で繁忙期において更に4−5人雇い入れる場合は該当しない。また、この場合の「10人以上」には、パートタイム労働者やアルバイト等の臨時的な労働者も全て含まれることとされている。
・ 常時10人以上の労働者を使用しているか否かは、一企業単位ではなく個々の事業場単位で判断する。1企業が2つの工場をもっており、いずれの工場も10人未満であるが、2工場を併せた1企業とみたときは10人以上となる場合、2工場がそれぞれ独立した事業場と考えられる場合には、当該工場は、それぞれ常時10人未満の労働者を使用しているのであるから、就業規則の作成義務はない。
■ 10人未満の労働者を使用する使用者は、就業規則作成音義務はないが、就業規則の成文化が望ましいとされている。なお、当該使用者が就業規則を作成したときは、その就業規則も、常時10人以上の労働者を使用する使用者が作成する就業規則と法的な効力は何ら変わらない。
■ 派遣労働者については、派遣元の事業場の労働者数に算入されることとなるため、派遣中の労働者とそれ以外の労働者とを併せて常時10人以上の労働者を称する派遣元の使用者は、就業規則の作成及び届け出の義務を負うことになる。(昭和61年基発333号)
■ 作成は、法定の必要事項をすべて含んだものを作成することを意味し、必要記載事項を書いている場合には、それが絶対的必要記載事項であっても、相対的必要記載事項中、当然に当該事業場が適用を受けるべき事項である場合であっても作成義務を果たしたとはいえない(昭和25年基収276号)
■ 事業場の労働者の一部について、他の労働者と異なる労働条件を定める場合には、当該一部の労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成することは差し支えない。また、別個の就業規則を作成する場合には、当該2以上の基速を合わせたものが就業規則となり、それぞれが単独で労働基準法89条の数行規則となるわけではない。したがって、就業規則の作成・届け出に際しての意見聴取(労基法90条)については、それらを合わせて一体となった就業規則に対して行う必要がある。
■ 必要記載事項の一部を欠く就業規則についても、その効力発生についてのほかの要件(そこの記載されている内容が法令又は当該事業場について適用される労働協約に定植しないこと、その内容が労働者に周知されていること等)を具備する限り有効である(ただし、労基法89条には違反する)(昭和25年基収276号)
■ 就業規則は、当該事業場の全労働者について作成する必要があり、常用労働者については作成しているが、パートタイム労働者については作成していないという場合は労基法89条違反となる。なお、就業規則は、一部労働者に対して別個に作成が可能である。(昭和63年基発150号)
■ この場合は、就業規則の本則において、当該別個の就業規則の適用の対象となる労働者に係る適用除外規定又は委任規定を設けることが望ましい。(昭和63年基発150号)
■ 就業規則を作成及び届出義務のある使用者は、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないが(労基則49条1項)、正当な理由なく届出を怠ると罰則が適用(30万円以下の罰金)される(労基法120条1項)
■ 複数の事業場を有する企業等が、当該企業等の複数の事業場において同一の就業規則を適用する場合であって、本社において一括して就業規則の作成等を行い、かつ、本社以外の事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(所轄署長)宛に届け出る就業規則を本社の使用者が取りまとめて、当該本社の所轄署長に届出を行う場合には、次に掲げる要件を満たしているときは、本社以外の事業場の就業規則についても届出があったものとして取り扱うものとされている。
・ 本社の所轄署長に対する届出の際には、本社を含め事業場の数に対応した必要部数の就業規則を提出すること
・ 各事業場の名称、所在地及び所轄署長名並びに労基法89条各号に定める事項について当該企業の本社で作成された就業規則と各事業場の就業規則が同一の内容のものである旨が付記されていること。
・ 労働基準法90条2項に定める書面については、その正本が各事業場ごとの就業規則に添付されていること。
■ 労働条件の整備のため、就業規則において最低限の記載事項を法律で規定している。また、使用者における一方的な規定を防ぐため、作成手続きに関して労働者の意見を聴くように求めている。
■ 平成15年の改正により、「解雇の事由」が記載事項に含まれることとなった。
■ 就業規則の記載事項には、「絶対的必要記載事項」、「相対的必要記載事項」、「任意的記載事項」の3つに分類される。
■ 絶対的必要記載事項
・ 始業および就業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に数行させる場合においては就業時転換に関する事項
賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締め切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
・ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
■ 相対的必要記載事項
・ 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
・ 臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
・ 労働者に食費、作業用品その他負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
・ 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
・ 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
・ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
・ 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
・ 当該事業場の労働者の全てに適用される定め(相対的必要記載事項のうち上記の定めを除く)をする場合においては、これに関する事項
■ 任意的記載事項
・ 使用者において任意的に記載しうる事項(就業規則の制定趣旨等)
■ 絶対的記載事項は、就業規則に必ず記載しなければならない事項のこと。
■ 労基法41条3号該当者(監視又は断続的業務に従事する者)の許可を受けた者についても、労基法89条の規定は適用されるため、就業規則には始業及び終業の時刻を定めなければならない。(昭和23年基収4281号)
■ フレックスタイム制の対象となる労働者については、就業規則において始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねている旨の定めをすれば、要件を満たす。コアタイムやフレキシブルタイムを設ける場合には、これらに関する事項も始業及び終業の時刻に関する事項であるので、就業規則で定めておく必要がある。(昭和63年基発1号)
■ 始業および終業の時刻が勤務態様又は職種別に異なる場合には、それぞれの勤務形態又は職種ごとに規定しておくことが必要である。(昭和63年基発150号)
■ 育児休業法による育児休業も、この育児休暇に含まれるものであり、育児休業の対象となる労働者の範囲等の付与条件、育児休業取得に必要な手続、休業期間については、就業規則に記載する必要がある(平成11年基発168号)
■ 相対的必要記載事項は、必ずしもこれを規定することは必要ではないが、もしこれらに関して何らかの定めをするのであれば、必ず就業規則の一部としてその中に記載しなければならない事項のこと。
■ 退職手当について不支給事由又は減額事由を設ける場合には、退職手当の決定及び計算の方法に関する事項に該当するので、就業規則に記載する必要がある。(昭和63年基発1号)
■ 当該事業場の労働者すべてに適用される定めとは、休職に関する事項、財産形成制度等の福利厚生に関する事項、旅費、ストックオプションに関する一般的規定等が該当する。(昭和25年基収3751号)
■ 欠勤(病気事故)した場合、その日を労働者の請求により年次有給休暇に振り返ることは、当該取扱いが制度として確立している場合には、就業規則に規定することが必要である。(昭和23年基収4281号)
■ 旅費に関する事項は、就業規則の強制的記載事項ではないから、就業規則中に旅費に関する定めをしなくても差し支えないが、旅費に関する一般的規定を作る場合には就業規則の中に規定しなければならない。(平成11年基発168号)
■ 任意的記載事項は、上記の必要記載事項以外の事項であって、就業規則に記載することが義務付けられていないものである。根本精神の宣言、「労働条件の決定、変更についての労働組合と協議することを要する」というような定めなどがこれに該当し、記載するか否かは自由である。
■ 使用者の一方的な就業規則の作成により、労働者に不利にならないように、作成・変更に当たり労働者団体の意見を聞くことを定めている。
■ 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては、労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
■ 使用者は、届出をなすについて、上記の意見を記した書面を添付しなければならない。(労基法90条)
■ 事業場のすべての労働者のうち、その過半数の労働者が加入している労働組合をいう。一部の労働者のみについて作成する就業規則も当該事業場の就業規則の一部であるから、その作成又は変更に際しては、当該事業場全体の労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことが必要である。(昭和63年基発150号)
■ 労働者の過半数を代表する者とは、事業場の全部の労働者の半数を超える者によって代表された者で、労基則6条の2に規定する要件に該当する者である。
■ 当該事業場に労働組合がない場合、1つの労働組合があっても、その労働組合に労働者の過半数が加入していない場合、2つ以上の労働組合があっても、いずれの労働組合にも労働者の過半数が加入していない場合等には、労働者の過半数を代表する者(正社員とパートタイマーが混在する場合は、両方の合計労働者の過半数を代表する者)を選び、その者の意見を聴かなければならない。
■ なお、就業規則が法令又は労働協約に抵触するため、所轄労働基準監督署長がその変更を命じた場合にも労働者代表の意見を聴かなければならない。
■ 意見を聴くとは、諮問するという意味である。したがって、労働組合との競技決定を要求するものではなく、当該就業規則についての労働組合の意見を聴けば労基法違反とはならない。(昭和25年基収525号)
■ 就業規則に添付する意見を記した書面は、労働者を代表する者の氏名を記載したものでなければならない(労基則49条2項)
■ 労働組合が故意に意見を表明しない場合でも、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取り扱うものとされている。(昭和23年基発735号、昭和23年基発1575号)
■ 就業規則の作成にあたって同意を得るとか、協議をする等を要求していない点に注意しましょう
■ 使用者は、就業規則の作成、変更の際に聴取する意見に拘束されない。反対意見があっても効力発生についてのほかの要件を具備する限り、就業規則の効力には影響がない。(昭和24年基発373号)
■ 会社の中での懲罰としての制裁には、減給、けん責、出勤停止、即時解雇等がある。これらの制裁も使用者が自由に取り決めることができるが、減給については、その額が多額であると労働者の生活を脅かすおそれがあるため、限度を規制している。
■ 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、以下の要件を満たさなければならない。(労基法91条)
・ 1回の額が平均賃金1日分の半額を超え、
・ 総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。
■ 職場規律に違反した労働者に対して、本来その労働者が受ける賃金の中から一定額を差し引くことを減給の制裁という。
■ 「1回の額が平均賃金1日分の半額を超えてはならない」とは、1回の事案に対しては、減給の総額が平均賃金1日分の半額以内でなければならないということである(昭和23年基収1789号)
■ 一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が、当該賃金支払期における現実に支払われるべき賃金の総額(欠勤等のために少額となったときは、その少額となった賃金の総額)の10分の1以内でなければならないという意味である。
■ 減額の制裁が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えて行う必要が生じた場合、その減額は次期以降に繰り越して行うことは可能である。
■ 平均賃金1万2千円、賃金総額22万円、遅刻1回6千円の減給処分の場合には以下のようになる。
・ 1回目の遅刻 6千円
・ 2回目の遅刻 6千円
・ 3回目の遅刻 6千円(総額1万8千円)
・ 4回目の遅刻 6千円(総額2万4千円)
・ 4回目の遅刻の制裁金を合計すると2万4千円となり、総額の10分の1である2万2千円を超えてしまいます。したがって、この月には2万2千円までしか減給できません。
■ 制裁として賞与から減給することが明らかな場合は、賞与も賃金であり、労基法91条の減給の制裁に該当する。したがって、賞与から減給する場合も1回の事由について平均賃金の2分の1を超え、又は、総額については、一賃金支払期における賃金、すなわち賞与額の10分の1を超えてはならない。(昭和63年基発150号)
■ 就業規則に「将来に渡り本給の10分の1以内を減ずる」旨定める場合、その降給が、前の職務に従事させたまま賃金額のみを減ずるものであれば、減給の制裁として労基法91条の適用がある(昭和37年基発917号)
■ 就業規則中に30分単位の制裁規定を設け、30分に満たない遅刻、早退の時間を常に斬り上げる趣旨の規定は、労働基準法91条の減給の制裁として取り扱われる。(昭和26年基収4214号)
■ 就業規則に出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある場合において、労働者が出勤停止期間中の賃金を受けられないことは、制裁として出勤停止の当然の結果であって、減給の制裁に抵触しない(昭和23年基収2177号)
■ 労働者が遅刻、早退をした場合は、その時間についてはノーワークノーペイの原則により賃金債権が生じない。したがって、労働基準法91条の減給の制裁には該当しない(昭和63年基発150号)
■ 就業規則に「懲戒処分を受けた場合には昇給させない」との定めは、減給の制裁に該当しない(昭和26年基収938号)
■ 交通事故をおこした運転手を助手に格下げし、賃金も助手の賃金に低下させた場合、交通事故を起こしたことが運転手として不的確であるため助手に格下げするものであれば、賃金低下は職務変更に伴う当然の結果であり、制裁規定の制限に抵触するものではない。格下げ、降給の結果として賃金支給額が減少しても、減給の制裁に抵触しない。(昭和26年基収518号、昭和26年基収938号)
■ 制裁として月給者を日給者に格下げした場合は、賃金支払の方法を変更するものであり、この変更により、ある月において賃金額が月給であったときの賃金額よりも減少することとなっても、労働基準法91条にいう減給には該当しない。(昭和34年基収2664号)
■ 就業規則と法令及び労働協約との効力関係は、次のようになる。
■ 就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。
■ 所轄労働基準監督署長は、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができる(労基法92条、労基則50条)
■ 法令 法律、政令及び省令をいう
■ 変更命令 文書で所轄労働基準監督署長が行う
■ 労働協約 労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する合意事項を書面に作成し、両当事者が署名し又は記名押印したもの
■ 労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずる。(労働組合法14条)
■ 労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となった部分は、基準の定めるところによる.労働契約に定めがない部分についても、同様とする。(労働組合法16条)
■ 労働契約と就業規則との関係については、労働契約法12条の定めるところによる(労基法93条)
■ 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。(労働契約法12条)
■ 労働組合法16条、労働基準法13条、92条、労働契約法12条、13条を総合すると、次のようになる。
・ 法令(法令・政令・省令)>労働協約(使用者と労働組合)>就業規則(使用者が作成)>労働契約(使用者と労働者個人)
[労基法] 労働基準法・重要箇所・Chapter10
その他
■ 徒弟の弊害排除(労基法69条)
■ 労基法70条に基づく、職業訓練に関する特例の適用を受ける労働者は、都道府県知事の認定を受けて行う職業訓練を受ける労働者に限られる(職業能力開発促進法24条1項)。職業能力開発促進法の認定を受けて行う職業訓練を受ける労働者について必要がある場合においては、特例が認められている(労基法70条)
■ 労基法14条(契約期間)
・ 原則 期間の定めのあるものについて3年(一定の要件に該当する場合は5年)を超える期間について締結してはならない。
・ 特例 訓練生が受けることになっている訓練職種については訓練期間の範囲内で3年を超える労働契約期間を定めることができる(労基則34条の2の2)
■ 労基法62条・64条の3(危険有害業務の就業制限)
・ 原則 年少者及び女性を危険有害業務に就かせてはならない。
・ 特例 訓練生に技能を習得させるために必要がある場合は、その必要の限度で、満18歳未満の訓練生を危険有害業務に就かせることができる(労基則34条の3第1項)
■ 労基法63・64条の2(坑内業務の就業制限)
・ 原則 原則として、年少者及び女性を坑内労働に就かせてはならない。
・ 特例 訓練生に技能を習得させるために必要がある場合には、その必要の限度で、満16歳以上の男性である訓練生を坑内労働に就かせることができる(労基則34条の3第1項)
■ 特例を受けるためには、当該労働者を使用する使用者が、特例の適用に関して都道府県労働局長の許可を受けなければならない。(労基法71条)
■ 許可を受けた使用者が、特例で認められた範囲を超えて危険有害業務に従事させた場合等許可の条件に違反した場合には、都道府県労働局長は許可を取り消すことができる。(労基法73条)
■ 使用者は、事業の附属寄宿舎に寄宿する労働者の私生活の自由を侵してはならない。
■ 使用者は、寮長、室長その他寄宿舎生活の自治に必要な役員の選任に干渉してはならない。(労基法94条)
■ 寄宿舎
・ 常態として、相当人数の労働者が宿泊し、共同生活の実態を備えるものをいい、具体的には次の3つで判断される。
・ 常態として相当人数の労働者が宿泊しているか否か
・ その場所が独立又は区画された施設か
・ 共同生活の実態を備えているか
■ 附属する
・ 事業経営の必要上その一部として設けられているような事業との関連を持つことをいい、具体的には、次の基準による。
・ 宿泊している労働者について、労務管理上共同生活が要請されているのか否か
・ 事業場内又はその付近にあるか否か
・ 具体例として、建設業の現場寄宿舎、大病院の看護師寄宿舎等が該当する(昭和23年基発508号)
■ 私生活とは、業務から開放された労働関係外の生活をいう。私生活に関して、使用者が干渉することを禁止している。
■ 選任手続に対する干渉だけが禁止されているのではなく、役員の選任方法(自治組織体の役員の構成や議決方法等)について干渉したり、案を作成したりすることも違法とされる。また、会社側から選ばれた舎監、世話役等が役員の職に就くことも禁止される(昭和23年基収1317号)
■ 94条1項には罰則の適用はないが、2項の違反については罰則の適用(6月以下の懲役又は30万円以下の罰金)がある。
■ 「寄宿舎その他の設備」は、事業主の所有権等に基づく管理権のもとにあるから、このような施設の管理、寄宿労働者の痛く事務の処理などに従事する者を使用者側から選んで寄宿舎内に置くこと、すなわち、管理人、寮母などを置いても、私生活の自由を侵さない限り、労基法94条には抵触しない。ただし、これらの者が寄宿舎の自治に必要な役員を兼ねることはできない。(昭和22年発基17号)
■ 寄宿舎の自治のみに専念する寮長に対して使用者が賃金を支払うか否かは、当事者の自由である。(昭和23年基収1933号)
■ 事業の附属寄宿舎に労働者を寄宿させる使用者は、一定の事項について寄宿舎規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届出なければならない。これを変更した場合においても同様である。(労基法95条)
■ 寄宿舎規則の必要的記載事項
・ 作成・変更について寄宿労働者の過半数を代表する者の同意が必要
・ 起床、就寝、外出、外泊に関する事項
・ 行事に関する事項
・ 食事に関する事項
・ 安全及び衛生に関する事項
・ 作成・変更について寄宿労働者の過半数を代表する者の同意が不要
・ 建設物及び設備の管理に関する事項
■ 寄宿舎規則の届出は、原則、所轄労働基準監督署長にしなければならないが、寄宿舎の所在地を管轄する労働基準監督署長と所轄労働基準監督署長とが異なる場合には、寄宿舎の所在地を管轄する労働基準監督署長にすることができる(建設業附属寄宿舎規程2条1項)(労基法95条1項)
■ 届出には、寄宿労働者の過半数を代表する者の同意を証明する書面の添付が必要である(労基法95条2項・3項)
■ 使用者及び寄宿舎に寄宿する労働者は、寄宿舎規則を遵守しなければならない(労基法95条4項)、ただし、違反に対して罰則の適用はない。
■ 設備及び安全衛生の基準を定める厚生労働省令は、事業附属寄宿舎規程2章(第一種寄宿舎安全衛生基準)及び3章(第二種寄宿舎安全衛生基準)並びに建設物附属寄宿舎規程6条以下のことを指す。
■ 事業の附属寄宿舎に収容する労働者の安全・衛生確保の観点から、事業附属寄宿舎の設置等にあたりあらかじめ工事着手前にその計画を所轄労働基準監督署長に届け出るべきことを定め、安全衛生上不備がある場合には工事着手の差し止め又は計画の変更を命じうる権限を与えている。
■ 使用者は、以下の場合においては、危険防止等に関する基準に従い定めた計画を、工事着手14日前までに、所轄労働基準監督署長に届出なければならない。
・ 常時10人以上の労働者を就業させる事業の附属寄宿舎
・ 厚生労働省令で定める危険な事業の附属寄宿舎
・ 衛生上有害な事業の附属寄宿舎
・ 厚生労働省令で定める危険な事業、衛生上有害な事業
・ 例として、プレス機械又はシャーによる金属加工の業務、主として、発電、送電、変電、配電又は蓄電等の業務を行う事業等がある。労働者数に関係がなく適用される。
■ 労働者を就業させる事業の附属寄宿舎が、安全及び衛生に関し定められた基準に反する場合においては、所轄労働基準監督署長は、使用者に対して、その全部又は一部の仕様の停止、変更その他必要な事項を命ずることができる。
■ 事業附属寄宿舎の設置、変更又は移転の工事完了後、安全衛生基準違反が実際に行われている場合に、所轄労働基準監督署長に使用の停止、変更等の命令権を認めている。
■ また、事業附属寄宿舎の安全衛生基準違反について、刑罰権の行使だけでなく、所轄労働基準監督署長の命令で直接これを除去しようとする点が特徴である。
■ なお、上記に違反した場合、労働者にも罰則が適用される。
■ 使用者は、次の内容について労働者に周知をしなければならない。(労基法106条、労基則52条の2)
・ 労働基準法及び同胞の命令の要旨
・ 就業規則
・ 労使協定
・ 決議
■ 次のいずれかの方法により周知しなければならない。
・ 常時各作業場の見やすい場所にへ掲示、又は備え付ける
・ 書面を交付する。
・ 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずるものにより記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録内容を常時確認できる機器を設置する。
■ 周知義務のある法令
・ 労働基準法施行規則、年少者労働基準規則、女性労働基準規則、事業附属寄宿舎規則、建設業附属寄宿舎規則等
■ 労働基準法に規定されていない労使協定については、周知は義務付けられていない。
■ 労働者に周知すべき労使協定
・ 社内預金等(労基法18条2項)、賃金の一部控除(法24条1項但書)、1ヶ月単位の変形労働時間制(32条の2第1項)、フレックスタイム制(32条の3)、1年単位の変形労働時間制(32条の4)、1週間単位の非定型敵変形時間労働制(32条の5)、一斉休暇の適用除外(34条2項但書)、三六協定(36条1項)、割増賃金の代替休暇(37条3項)、事業外労働のみなし労働時間制(38条の2第2項)、専門業務型裁量労働制(38条の3)、年次有給休暇における時間単位年休、計画的付与及び賃金(標準報酬月額の30分の1)(39条4項・6項・9項但書)の14の労使協定
■ 労使委員会の委員5分の4以上の多数による決議についても、使用者にその決議の内容を労働者に周知させる義務を課している。
■ 労働者に周知すべき決議
・ 変形労働時間制(32条の2から33条の5)、一斉休暇の適用除外(34条)、三六協定(36条)、代替休暇制度(37条3項)、みなし労働時間制(38条の2)、裁量労働制(38条の3、38条の4)、年次有給休暇の時間単位年休、計画的付与、賃金(39条)、高度プロフェッショナル制度(41条の2)
■ 要旨とは、法令が容易に理解できるように整理したものであり、全文を知らせる必要はない。なお、就業規則又は労使協定は、全文を労働者に周知させなければならない。
■ 労働者名簿は、事業場ごとに調製することが必要である。1企業に2以上の事業所がある場合は、それぞれ別個に調製すること。
■ 使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日々雇い入れられる者を除く)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。
■ 記入すべき事項に変更があった場合においては、遅滞なく訂正しなければならない。(労基法107条)
■ 労働者名簿の記入事項(労基則53条)
・ 労働者の氏名、生年月日、履歴
・ その他命令で定める事項(性別、住所、従事する業務の種類、雇入の年月日、退職の年月日及びその事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む)、死亡の年月日及びその原因)
■ なお、従事する業務の種類については、常時30人未満の労働者を使用する事業においては記入することを要しない。
■ 使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。(労基法108条)
■ 2以上の事業場のある企業の場合は、事業場ごとに別個の賃金台帳を調製することが必要
賃金台帳の記入事項(労基則54条1項・2項)
賃金計算の基礎となる事項、賃金の額
・ その他厚生労働省令で定める事項
・ 氏名
・ 性別
賃金計算期間
・ 労働日数
・ 労働時間数
・ 労基法33条もしくは労基法36条1項の規定によって労働時間を延長し、もしくは休日に労働させた場合又は午後10時から午前5時(厚生労働大臣が日強づえあると認める場合には、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数。
・ 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額
・ 労基法24条1項の規定によって賃金の一部を控除した場合には、その額
・ 上記の賃金の種類中に通貨以外の者で支払われる賃金がある場合には、その評価総額
賃金台帳に記帳する時間外労働時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数は、就業規則において労働基準法の規定と異なる定めをした場合には、その就業規則に基づいて算定する労働時間を記帳することができる。
■ 記入事項の例外等(労基則54条4項・5項)
・ 日々雇い入れられる者(1ヶ月を超えて引き続き使用される者を除く)については、賃金計算期間の記入は不要
・ 労基法41条各号に該当する労働者については、労働時間数、労働時間の延長・休日労働の時間数の記入は不要
■ 例えば、賃金の増額についての労使間の交渉が8月に決着し、4月に遡って賃金が増額されることになった場合に、4月から7月までの各月の増額差額分を8月に一括して支払ったときは、過去4ヶ月分の増額差額分の賃金であることを明記して、8月分の賃金の種類による該当欄に記入することとなる。
■ 使用者は、年次有給休暇管理簿を、労働者名簿及び賃金台帳と併せて調製することができるものとする。
■ 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間(当分の間、3年間)保存しなければならない。(労基法109条、法附則143条)
■ 記録の保存期間に関しては、その起算日が問題となる。
■ 記録保存期間の計算の起算日(労基則56条)
・ 労働者名簿 労働者の死亡、退職又は解雇の日
賃金台帳 最後に記入した日
・ 雇入れ又は退職に関する書類 労働者の退職又は死亡の日
・ 災害補償に関する書類 災害補償が終わった日
賃金その他労働関係に関する重要な書類(出勤簿、タイムカード、三六協定等) その完結の日
■ 上記の規定に関わらず、賃金台帳又は賃金その他労働関係に関する重要な書類を保存すべき期間の計算については、当該記録に係る賃金の支払期日が上記起算日よりも遅い場合には、当該支払期日を起算日とする。
賃金その他労働関係に関する重要な書類に該当する「タイムカード」の保存期間について(月末締め、翌月20日払いの場合)
4月分の賃金計算期間(4月1日から4月30日まで)→ タイムカードの完結の日は4/30
4月分の賃金の支払期日(5月20日
・ この場合、記録に係る賃金の支払期日が、記録の完結の日より遅いので、「支払期日」が起算日となる。
■ 裁判所は、使用者が以下に該当する場合には、労働者の請求により、使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあったときから5年(当分の間、3年)以内にしなければならない。
・ 使用者が解雇予告手当を支払わないとき
・ 休業手当を支払わないとき
・ 割増賃金を支払わないとき
・ 年次有給休暇中の賃金を支払わないとき
■ 付加金の請求は、違反のあったときから5年(当分の間、3年)以内である。この5年は、時効ではなく除斥期間とされている。
■ 付加金とは、違反に対する一種の制裁のことです。大手ハンバーガーチェーンの店長が、未払残業代を求めた裁判では、500万円の未払残業代と250万円の付加金が課されました。最終的には1000万円で和解しています。
■ 付加金の支払い義務は、使用者が解雇予告手当等を支払わない場合に、当然発生するものではなく、労働者の請求により裁判所が支払を命ずるものであるため、たとえ法定の支払期限に所定の金額が全額支払われていなくても、労働者が裁判所に訴えるまでに全額が支払われれば、付加金の請求をすることはできない。(細谷服装事件、昭和35年3月11日最高裁判)
■ 除斥期間とは、権利関係を短期間に確定する目的で一定の権利について法律の定めた存続期間のこと。完成猶予及び更新がなく、当事者が援用しなくても当然に権利消滅の効力が生じるなどの店で、消滅時効と異なる。
■ 時効とは、一定の時間の経過によってその権利を消滅させること(消滅時効)。時効は、裁判上の請求を行って完成猶予及び更新をさせることができる。時効が完成する前に相手方に債務があることを認めさせたり(承認)、裁判上の手続をしない場合には、時効の完成によってその権利を行使できなくなるが、その場合には原則として当事者による「援用(時効の利益を受ける意思を表示すること)」が必要となる。
■ 時効
賃金(退職手当を除く)の請求権 これを行使することができるときから5年(当分の間、3年
・ 退職手当の請求権 これを行使することができるときから5年
・ 災害補償その他の請求権 これを行使することができるときから2年
・ その他の請求権 年次有給休暇の請求権も含まれる(昭和22年基発501号)
■ 労基法20条に定める解雇予告手当は、解雇の意思表示に際して支払わなければならない解雇の効力を生じないものと解されるので、一般には解雇予告手当については時効の問題は生じない。
■ 次の違いに注意
・ 年次有給休暇の請求権 → 時効の期間は2年
・ 年次有給休暇中の賃金の請求権(取得した日・時間に係る賃金を請求する権利) → 時効の期間は5年(当分の間、3年
■ 派遣労働者に係る適用の特例
・ 派遣「元}
・ 労働契約、賃金、変形労働時間制、フレックスタイム制の協定の締結・届出、労働条件の明示、時間外・休日、深夜の割街賃金、年次有給休暇、産前産後の休業、就業規則、災害補償、記録の保存
・ 派遣「先」
・ 公民権行使、労働時間、休憩、休日、育児時間、記録の保存
■ 行政組織(労基法97条、99条から101条)
・ 厚生労働省労働基準局 → 都道府県労働局(労働基準部)→労働基準監督署
■ 厚生労働省の女性主管局長(厚生労働省の内部部局として置かれる局で、女性労働者の特定に係る労働問題に関する事務を所掌するものの局長)は、厚生労働大臣の指揮監督を受けて、労働基準法中女性に特殊な規定の制定、改廃及び解釈に関する事項を担当し、その施行に関する事項については、労働基準主管局長及びその下級の官庁の長に勧告を行うとともに、労働基準主管局長が、その下級の官庁に対して行う指揮監督について援助を与える。
■ 女性主管局長は、自ら又はその指定する所属官吏をして、女性に関し労働基準主管局もしくはその下級の官庁、又はその所属官吏の行った監督その他に関する文書を閲覧し、又は閲覧せしめることができる。
■ 労基法101条及び105条の規定は、女性主管局長又はその指定する所属官吏が、この法律中の女性に特殊の規定の施行に関して行う調査の場合に、これを準用する。(労基法100条)
■ 労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物を臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者もしくは労働者に対して尋問を行うことができる。
■ 上記において、労働基準監督官は、その身分を証明する証票を携帯しなければならない。(労基法101条)
■ 労働基準監督官は、労働基準法違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。(労基法102条)
■ 労働者を就業させる事業の附属寄宿舎が、安全及び衛生に関して定められた基準に反し、かつ労働者に急迫した危険がある場合においては、労働基準監督官は、労基法96条の3の規定による行政官庁の権限を即時に行うことができる。(労基法103条)
■ 労働基準監督官は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。労働基準監督官を退官した後においても同様である。(労基法105条)
■ 事業場に、労働基準法又は労働基準法に基づいて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
■ 使用者は、上記の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。(労基法104条)
■ 労働基準法又は労働基準法に基づいて発する命令に違反する事実とは、労働基準法各方の構成要件に違反する事実があれば足りる。
■ 申告とは、行政官庁に対する一定事実の通告であり、労働基準法の場合は、違反事実を通告して監督機関の行政上の権限の発動を促すことをいう。
■ 労働組合法7条1号の不当労働行為と同様で、解雇、配置転換、降職、賃金引下げ等、他の労働者に比べて不利益な取扱をすることをいう。
■ 労働基準監督署長は、労働基準法を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
■ 労働基準監督官は、労働基準法を施行するため必要があると認めるときは、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。(労基法104条の2)
■ 報告事項(労基則57条)
・ 遅滞なく報告
・ 事業を開始した場合→適用事業報告 
・ 事業の附属寄宿舎における火災もしくは爆発又は倒壊の事故が発生
・ 事業の附属寄宿舎内での負傷等による死亡又は休業(休業4日以上)
・ 四半期に一度報告
・ 事業の附属寄宿舎内での負傷等による休業(休業4日未満)
・ 毎年4月30日までに報告
・ 預金管理状況報告
■ 労働基準監督署長は、個別的に使用者又は労働者に必要事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる(労基則58条)
■ 労働基準法104条の2の規定に違反した者(使用者又は労働者)に対して、30万円以下の罰金が課せられる。
■ 労働基準法及びこれに基づく命令に定める許可、認可、認定又は指定の申請書は、各々2通これを提出しなければならない。(労基則59条)
■ 労働基準法及びこれに基づく命令に定める許可、認可、認定もしくは指定の申請、届出、報告、労働者名簿又は賃金台帳に用いるべき様式(様式24号を除く)は、必要な事項の最小限度を記載すべきことを定めるものであって、横書、縦書その他異なる様式を用いることを妨げるものではない。
■ 使用者は、労働基準法及びこれに基づく命令に定める許可、認可、認定もしくは指定の申請、届出又は報告に用いるべき様式その他必要な書類に氏名を記載し、行政官庁に提出しなければならない。
■ 労働基準法及びこれに基づく命令の規定により、使用者が行政官庁に対して行う許可、認可、認定もしくは指定の申請、届出又は報告(届出等)について、当該使用者が、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律6条1項の規定により、動向に規定する電子情報処理組織を使用して当該届出等を行う場合には、上記の規定による氏名の記載については、厚生労働省の所管する法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則6条1項各号に掲げる措置(電子署名を行い、電子証明書を併せて送信する措置など)のほか、当該使用者の氏名を電磁的記録に記録することをもって代えることができる。(労基則59条の2)
■ 届出等について、社会保険労務士又は社会保険労務士法人(社会保険労務士等)が、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律6条1項の規定により、動向に規定する電子情報処理組織を使用して社会保険労務士法2条1項1号の2の規定に基づき当該届出等を使用者に代わって行う場合には、当該社会保険労務士等が当該使用者の職務を代行する契約を締結していることにつき証明することができる電磁的記録を当該届出等と併せて送信しなければならない。(労基則59条の3)
■ 主な場阿蘇区規定と罰則の内容は以下のとおりである。
1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金(労基法117条)
・ 強制労働の禁止(労基法5条)
1年以下の懲役又は50万円以下の罰金(労基法118条)
・ 中間搾取の排除(6条)、最低年齢(56条)、年少者の坑内労働の禁止(63条)、女性の坑内労働の禁止(64条の2)
・ 6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金(労基法119条)
・ 均等待遇(3条)、男女同一賃金の原則(4条)、公民権行使の保障(7条)、賠償予定の禁止(16条)、前借金相殺の禁止(17条の2)、強制貯金の禁止(18条)、解雇制限(19条)、解雇予告(20条)、退職時等の証明(22条4項)、労働時間(32条)、休憩(34条)、休日(35条)、時間外及び休日の労働(36条6項)、時間外・休日及び深夜の割増賃金(37条)、年次有給休暇(39条(7項除く))、年少者の深夜業(61条)、妊産婦等の危険有害業務の就業制限(64条の3)、産前産後休業(65条)、妊産婦の就業制限(66条)、育児時間(67条)、職業訓練に関する特例(72条)、療養補償(75条)、休業補償(76条)、障害補償(77条)、遺族補償(79条)、葬祭料(80条)、寄宿舎生活の自治(94条2項)、寄宿舎の設備及び安全衛生(96条)、監督機関に申告をした労働者に対する不利益取扱等(104条2項)等
・ 30万円以下の罰金(労基法120条)
・ 契約期間等(14条)、労働条件の明示(15条)、強制貯金(18条7項)、金品の返還(23条)、賃金の支払(24条)、非常時払(25条)、休業手当(26条)、出来高払の保障給(27条)、一ヶ月単位の変形労働時間制の協定届(32条の2)、清算期間が1ヶ月を超えるフレックスタイム制の協定届(32条の3)、1年単位の変形労働時間制の協定届(32条の4)、1週間単位の非定型敵変形労働時間制の協定届(32条の5)、災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等(33条1項但書)、事業外労働のみなし労働時間制の協定届(38条の2)、年次有給休暇の時季指定義務(39条7項)、年少者の証明書(57条)、未成年者の労働契約(58条、59条)、帰郷旅費(64条)、生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置(68条)、就業規則作成及び届出の義務(89条)、就業規則作成時等における意見聴取(90条)、制裁規定の制限(91条)、寄宿舎生活の秩序(96条の2)、監督上の行政措置(96条の2)、使用停止等(96条の3)、報告等(104条の2)、法令等の周知義務(106条)、労働者名簿(107条)、賃金台帳(108条)、記録の保存(109条)等
■ 両罰規定(労基法121条)
■ 療養補償(労基法75条1項)
・ 労働者が就業中又は事業場もしくは事業の附属建設物内で負傷し、疾病にかかり又は死亡した場合には、使用者は、遅滞なく医師に診断させなければならない。(労基則37条)
・ 労働者が業務上の疾病にかかった場合の療養補償及び休業補償は、毎月1回以上行わなければならない(労基則39条)
■ 休業補償(労基法76条1項)
・ 労働者が業務上負傷し又は疾病にかかったため、所定労働時間の一部分のみ労働した場合においては、使用者は、平均賃金と当該労働に対して支払われた賃金との差額の100分の60の額を休業補償として支払わなければならない。(労基則38条)
・ 休業補償は、毎月1回以上、行わなければならない(労基則39条)
・ 協業補償の額は、事故発生時において決定された平均陳儀によって支払われるため、休業が長期にわたる場合、物価の上昇が著しいときは、休業補償によって労働者の最低生活を保障しようとする本法の目的は事実上達成されないこととなるため、労働者の平均給与額をもとに、上昇の割合におうじて、休業補償の額をスライドさせて増額する規定を設けている。
■ 労働者派遣中の労働者が派遣労働中に派遣先事業場において業務上負傷した場合には、派遣元の使用者が休業補償を行う義務を負う。
■ 業務上の傷病の結果、身体に障害が残ったときに、その障害を14等級に区分し、その等級に応じて平均賃金1340日分から50日分の一時金を、障害補償として支給することを規定している。(労基法77条)
■ 使用者が労働者の重大な過失について認定を受けるためには、その事実を証明する書類を添えて所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。(労基則41条)
■ 遺族補償を受ける者及び順位(労基則42条、43条)
・ 第1順位 配偶者
・ 第2順位 生計関係のある子、父母、孫、祖父母
・ 第3順位 第2順位に該当しない子、父母、孫、祖父母
■ 葬祭料 平均賃金60日分(労基法80条)
■ 打切補償は、3年経過後であれば、いつでも行うことができる。使用者が打切補償を行った場合には、労基法19条1項但書の規定により解雇制限が解除され、その労働者を解雇することができる。(平均賃金1200日分)(労基法81条)
■ 分割補償(労基法82条) 障害補償又は遺族補償に代えて、6年にわたり毎年補償することができる
■ 補償を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。
■ 補償を受ける権利は、これを譲渡し、又は差押えてはならない。(労基法83条)
■ 労働基準法に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法又は厚生労働省令で定める法令に基づいて労働基準法の災害補償に相当する給付が行われるべきものである場合においては、使用者は、補償の責を免れる。(労基法84条)
■ 労災保険法の保険給付は、その一部が労働基準法の災害補償と内容が異なっているが、それぞれ当該災害補償に相当すると見られているので、労災保険に加入している事業の労働者については、労災保険法に基づき保険給付が行われるときは、使用者は、労働基準法による補償責任を免除される。ただし、労災保険法の休業補償給付が支給されない休業の最初の3日間(待機期間)については、使用者は、労働基準法上の休業補償を行わなければならない。
■ 災害補償の権利について異議のある場合に、民事裁判によらない簡単な救済手段を規定している。→ 行政官庁(労働基準監督署長)(労基法85条)
■ 所轄労働基準監督署長の行う審査及び仲裁に不服のある者は、第2審として、労働者災害補償保険審査官の審査又は仲裁を求めることができる。(労基法86条)
■ 事件について民事訴訟が提起された場合は、その事案については、審査、仲裁を行わない。
■ 審査・仲裁の請求がある場合や行政官庁が職権で審査・仲裁を開始した場合は、民法に規定する時効の完成猶予及び更新の効力を生ずる裁判上の請求とみなされる。
■ 建設の事業が数次の請負によって行われる場合には、原則として元請負人を災害補償義務者とする旨を規定したものである。(労基法87条)
■ 請負事業に関する例外規定適用事業(労基則48条の2)
・ 労基法87条1項の厚生労働省令で定める事業は、労基法別表第1第3号に掲げる事業(建設事業)とする。
■ 補償に関する細目(労基法88条)
・ 補償に関する細目は、厚生労働省令で定める。
・ 障害補償は、労働者の負傷又は疾病が治った後身体障害の等級が決定した日から7日以内にこれを行わなければならない。(労基則47条)
・ 遺族補償及び葬祭料は、労働者の死亡後遺族補償及び葬祭料を受けるべき者が決定した日から7日以内にこれを行い、又は支払わなければならない。(労基則47条)
・ 第2回以後の分割補償は、毎年、第1回の分割補償を行った月に応当する月に行わなければならない。(労基則47条)
・ 災害補償を行う場合には、死傷の原因たる事故発生の日又は診断によって疾病の発生が確定した日を、平均賃金を算定すべき事由の発生した日とする(労基則48条)
[労災法] 労働者災害補償保険法・重要箇所・Chapter1
総則及び共通事項
■ 労働保険法の目的と管掌
■ 労働者災害補償保険法(労災保険法)が労働基準法と時を同じくして制定された昭和22年当時は、業務上の事情により労災事故(負傷、疾病、障害又は死亡)が起きた際に必要な補償を行うことを目的としていたが、通勤事情の悪化による災害の増加に伴い、昭和48年から通勤災害に対しても業務災害並みの補償を行う制度が労災保険に追加された。
■ 平成13年には、過労死の防止という観点から、健康診断の結果、異常の所見が見られた労働者に対して、再度の健康診断又は保健指導を受ける費用を負担する二次健康診断等給付が新設された。
■ 更に、令和2年から、多様は働き方を選択する者やパートタイム労働者として複数終業している労働者が増加している実情を考慮して、そのような複数事業労働者が安心して働くことができる環境を整備するため、複数業務要因災害に関する保険給付が新設された。労災保険は、保険給付を行うだけではなく、労災事故にあった労働者の社会復帰の促進、労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図る社会復帰促進等事業も行っている。
■ 沿革
・ 昭和22年 制度
・ 昭和40年 年金化、特別加入
・ 昭和48年 通勤災害
・ 昭和51年 傷病補償年金
・ 平成8年 介護(補償)給付
・ 平成13年 二次健康診断等給付
・ 平成22年 船員保険の強制被保険者への適用
・ 令和2年 複数業務要因災害
■ 労働者災害補償保険は、業務上の事由、事業主が同一人でない二以上の事業に使用される労働者(複数事業労働者)の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、併せて、業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もって、労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。(労災法1条)
■ 労災保険
・ 保険給付
・ 業務災害に関する保険給付
・ 複数業務要員災害に関する保険給付(令和2年追加)
・ 通勤災害に関する保険給付(昭和48年追加)
・ 二次健康診断等給付(平成13年追加)
・ 社会復帰促進等事業
・ 社会復帰促進事業
・ 被災労働者等援護事業
・ 安全衛生確保等事業
■ 労働者災害補償保険は、政府が、これを管掌する。(労災法2条)
■ 労災保険の保険者は政府である。
■ 事務所の所轄等は次の通り。
・ 事務の所轄(労災則1条)
・ 労災保険に関する事務(労働者災害補償保険等関係事務)は、厚生労働省労働基準局長の指揮監督を受けて、事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長(所轄都道府県労働局長)が行う。
・ ただし、以下の場合は、当該以下に定める者を所轄都道府県労働局長とする。
・ 事業場が二以上の都道府県労働局の管轄区域にまたがる場合、その事業の主たる事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長
・ 当該労働者災害補償保険等関係事務が複数業務要因災害に関する者である場合、複数事業労働者の二以上の事業のうち、その収入が当該複数事業労働者の生計を維持する程度が最も高いもの(生計維持事業)の主たる事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長
・ 以下の4つの労働者災害補償保険等関係事務については、都道府県労働局長の指揮監督を受けて、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(事業場が2以上の労働基準監督署の管轄区域をまたがる場合には、その事業の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長(所轄労働基準監督署長))が行う。
・ 保険給付の支給(二次健康診断等給付を除く)
・ 労災就学等援護費の支給
・ 特別支給金の支給
・ 厚生労働省労働基準局長が定める給付(休業補償特別援護金)に関する事務
・ ただし、次の場合は、当該次に定める所轄労働基準監督署長とする。
・ 事業場が二以上の都道府県労働局の管轄区域にまたがる場合、その事業の主たる事業所の所在地を管轄する労働基準監督署長
・ 当該労働者災害補償保険等関係事務が複数業務要因災害に関するものである場合、生計維持事業の主たる事業所の所在地を管轄する労働基準監督署長
・ 二次健康診断等給付に関する事務は、都道府県労働局長が行う者とされている。
・ 複数事業労働者に関する保険給付を行うこととなるため、事務の所轄についても複数の都道府県労働局長(局)及び労働基準監督署長(署)が関係する場合が想定される。業務災害及び通勤災害に係る事務の所管の取扱いは従来通りであるが、複数業務要因災害に係る事務の所轄は、生計を維持する程度の最も高い事業の主たる事業所を管轄する局又は署となる。(労災則1条)。この場合における、生計を維持する程度の最も高い事業の主たる事業所とは、原則として複数就業先のうち給付基礎日額の算定期間における賃金総額が最も高い事業場を指すものである。
・ なお、業務災害に係る事務を所轄する局と署と複数業務要因災害に係る事務を所轄する局又は署が異なる場合、業務災害に係る事務を所轄する局又は署において保険給付に係る調査を優先して行うこととなるため、次の事務の委嘱のように、複数業務要因災害に係る事務を所属する局又は署の事務の全部又は一部を、業務災害に係る事務を所轄する局又は署に委嘱することができることとされている。(労災則2条の2)
■ 都道府県労働局長及び労働基準監督署長は、次に定めるところにより、複数業務要因災害に関する労働者災害補償保険等関係事務の全部又は一部を他の都道府県労働局長及び労働基準監督署長に委嘱することができる。
■ 生計維持事業の主たる事業所の所轄都道府県労働局長と他の事業の主たる事業所の所轄都道府県労働局長が異なる場合、生計維持事業の主たる事業所の所轄都道府県労働局長は、事務の全部又は一部を他の事業の主たる事業所の所轄都道府県労働局長に委嘱することができる。
・ 上記の規定による委嘱を受けた所轄都道府県労働局長の事務のうち、所轄労働基準監督署長が実施する事務(4つの事務)は、当該所轄都道府県労働局長の指揮監督を受けて、所轄労働基準監督署長が行う。
・ 生計維持事業の主たる事業所の所轄都道府県労働局長と他の事業の主たる事業所の所轄都道府県労働局長が同一である場合、生計維持事業の主たる事業所の所轄労働基準監督署長は、事務の全部又は一部を他の事業の主たる事業所の所轄労働基準監督署長に委嘱することができる。(労災則2条の2)
■ 労働者災害補償保険は、労災法1条の目的を達成するため、業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して保険給付を行うほか、社会復帰促進等事業を行うことができる。(労災法2条の2)
■ 労働者災害補償保険法に基づく政令及び厚生労働省令並びに労働保険の保険料の徴収等に関する法律に基づく政令及び厚生労働省令(労働者災害補償保険事業に係る者に限る)は、その草案について、労働政策審議会の意見を聴いて、これを制定する。(労災法5条)
■ 労働者災害補償保険法においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。(労災法3条1項)
■ 1人でも労働者を使用する事業は、原則としてすべて適用事業となる。
■ 労災保険の適用の単位となる「事業」とは、企業体を指すものではなく、本社、支店、工場、建設工事現場、店舗、事業所のように、1つの経営組織として独立性をもった最小単位の経営体をいう。(昭和22年基発36号)
■ 事業とは、業として反復継続的に行われるものでなければならないが、営利を目的とするものでなくてもよい。(昭和62年基発59号)
■ 労働者とは、労働基準法9条に準ずることとなるため、アルバイト、パートタイマーについても労災保険が適用される。
■ 試みの使用期間中の者にも、労災保険法が適用される。
■ 入館管理法制上の在留資格又は就労資格のない外国人労働者についても労災保険が適用される。
■ 船員法1条に規定する船員についても、労災保険が適用される。
■ 出向の目的及び出向元事業主と出向先事業主とが当該出向労働者の出向契約並びに出向先事業における出向労働者の労働の実態等に基づき、当該労働者の労働関係の所在を判断して、決定される。(昭和35年基発932号)
■ 派遣労働者に係る労災保険の適用については、派遣元事業主の事業に係る保険関係により取り扱われる。(昭和61年基発383号)
■ 労働時間の全部又は一部について、自宅で情報通信機器を用いて行う在宅勤務を行う者についても、労災保険の適用対象労働者となる。(平成16年基発0305003号)
■ 労災保険において、中小企業の事業主、一人親方等及び特定作業従事者等の労働者に準ずべき者については、労災保険への特別加入が認められている。また、労災保険法の適用は、原則として海外の事業場には及ばないため、日本国内にある継続事業から海外にある事業に派遣されるものについても特別加入が認められている。
■ 農林水産業の一部の事業のうち、常時5人以上の労働者を使用する事業以外の事業が、当分の間、任意適用事業として位置づけられている。具体的には、次の事業が該当する。
・ 農業
・ 常時5人未満の労働者を使用する個人経営の事業であって、次のいずれにも該当しないもの
・ 一定の危険又は有害な作業を主として行う事業
・ 農業関係の特別加入をしている事業主が行う事業
・ 林業
・ 労働者を常時には使用せず、かつ、1年以内の期間において使用労働者延人員が300人未満である個人経営の事業
・ 水産業
・ 常時5人未満の労働者を使用する個人経営の事業(船員法1条に規定する船員を使用して行う船舶所有者の事業を除く)であって、次のいずれかに該当するもの
・ 総トン数5トン未満の漁船により操業するもの
・ 5トン以上の漁船により災害発生の恐れの少ない河川、湖沼又は特定の水面において主として操業するもの
■ 暫定任意適用事業の規定は、昭和40年頃からの労災保険の提供拡大の議論のなかで、小規模の零細企業を一挙に適用事業にすることは事務処理上の理由等から困難であるとされ、当分の間、暫定的に設けられたものである。
■ 暫定任意適用事業は、個人経営の事業(船員法1条に規定する船員を使用して行う船舶所有者の事業を除く)に限られる。法人は強制適用となる。
■ 林業(立木の伐採の事業)であって常時労働者を使用する事業については、労働保険は当然に適用される。
■ 常時5人未満の労働者を使用して行う個人経営の農業の事業のうち、事業主が農業関係の特別加入(納号の特定作業従者に係る特別加入)をしたことにより適用事業となった事業については、その次号主がその後特別加入から脱退しても、当該事業主が行う事業について引き続き労働者が使用される限り、当然に労災保険法が適用され、労働者に係る保険関係は、消滅しない。
■ 国の直営事業及び官公署の事業(労働基準法別表第1に掲げる事業を除く)については、労災保険法は、適用しない。(労災法3条2項)
■ 法3条2項で労災保険法の適用除外となっているのは、労災保険制度の内容以上の災害補償制度の保護を受けられる事業となっている。次のとおりである。
・ 国の直営事業
・ 国家公務員災害補償法が適用される。
・ いわゆる非現業の官公署の事業
・ 国家公務員
・ 国家公務員災害補償法が適用される。
・ 地方公務員
・ 地方公務員災害補償法等が適用される。
・ 地方公務員のうち、現業、かつ非常勤の職員(例えば、市の経営する水道非常勤職員)については、労災保険が適用される。
■ 現業とは、自治体が行う水道事業や電気事業等、現場で行う業務のことであり、地方公務員の場合は、学校の用務員、ホームヘルパー、清掃作業員等が該当する。
■ 独立行政法人(行政執行法人を除く)の職員については、原則通り、労災保険が適用されるが、「行政執行法人」(独立行政法人国立印刷局、独立行政法人造幣局など)の職員は身分は国家公務員(国家公務員災害補償法が適用される)であるため、労災保険は適用されない。
■ 行政執行法人の各事業については、これらに勤務する職員の身分は国家公務員であるため、労災保険法は適用されず国家公務員災害補償法が適用される。(労働基準法の取扱いと異なる点に注意すること)
■ 労災保険の保険給付の種類としては、業務災害に関する保険給付、複数業務要因災害に関する保険給付、通勤災害に関する保険給付と二次健康診断等給付がある。
■ 労働者災害補償保険法による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。
・ 労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(業務災害)に関する保険給付
・ 複数事業労働者(これに類するものとして厚生労働省令で定めるものを含む)の二以上の次号の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(複数業務要因災害)に関する保険給付(上記に掲げるもの(業務災害に関する保険給付)を除く)
・ 負傷、疾病、障害又は死亡の原因又は要因となる事由が生じた時点において事業主が同一人でない二以上の事業に同時に使用されていた労働者とする(労災則5条)
・ 労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(通勤災害)に関する保険給付
・ 二次健康診断等給付
■ 各給付の関係の把握が重要である
・ 災害(業務災害・複数業務要因災害・通勤災害)が起き、ケガ等をした場合に、労災病院等で治療を受ける療養(補償)等給付(療養補償給付、複数事業労働者療養給付又は療養給付)が行われる。
・ その間、働くことができない場合には休業(補償)等給付(休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付)が行われ、1年6月経過した段階で一定の障害状態にある場合には、傷病(補償)等年金(傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金又は傷病年金)に切り替わる。
・ 治療の結果、治癒した場合に、一定の障害が残ってしまった場合には、障害(補償)等給付(障害補償給付、複数事業労働者障害給付又は障害給付)に切り替わることになる。(治癒とは、完全にもとの状態に治ることだけではなく、今後の治療の効果が期待できず、治療の余地がなくなった場合を含んでいる。)
・ 介護が必要な場合には介護(補償)等給付(介護補償給付、複数事業労働者介護給付又は介護給付)も支給される。
・ 災害により被災労働者が死亡した場合には、遺族(補償)等給付(遺族補償給付、複数事業労働者遺族給付又は遺族給付)、葬祭料等(葬祭給付)(葬祭料、複数事業労働者葬祭給付又は葬祭給付)が支給される。
■ また、業務災害、複数業務要因災害、通勤災害とは別に、二次健康診断等給付が設けられている。
■ 業務災害に関する保険給付(傷病補償年金及び介護補償給付を除く)は、労働基準法75条から77条、79条及び80条に規定する災害補償の事由又は船員法89条1項、91条1項(労働基準法に規定する災害補償の事由に相当する部分に限る)、92条本文、93条及び94条に規定する災害補償の事由が生じた場合に、補償を受けるべき労働者もしくは遺族又は葬祭を行う者に対し、その請求に基づいて行われる。(労災法12条の8第2項)
■ 労災保険法による保険給付は、同法所定の手続きにより行政機関が保険給付の決定をすることにより給付の内容が具体的に定まり、受給者は、それ以前において政府に対し具体的な一定の保険給付請求権を有しない。
■ 業務が原因となって発生した負傷、疾病、障害、死亡(以下傷病等)に関しては業務災害として楼台保険から給付が行われることになる。業務災害の認定に関しては、数多くの事例が積み上げられており、具体的には次の2つの基準により判断される。
・ 業務遂行性 労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態
・ 業務起因性 業務と傷病等との間の因果関係
■ 因果関係とは、「AがなければBもない」という関係で、「業務=働いていなければ、事故にあわなかった」という関係を指す。
■ 因果関係の前提として業務中であったということが必要となることから、業務遂行性が認められなければならない。具体的には、適用事業所で労働契約に基づき事業主の支配下で労働している状態を指す。
・ 事業主の支配・管理下(事業所内)で業務に従事している場合は、原則として、業務起因性は認められる。ただし、例外として、他の原因(恣意行為、私的行為、特に規模の大きい天災地変等)の場合には、業務棋院性が認められないケースがある。
・ 事業主の支配・管理下(事業所内)にあるが、業務に従事していない場合は、原則として、業務起因性は認められない。ただし、例外として、事業場施設の欠陥に起因して災害が生じた場合は業務災害となることもある。
・ 事業主の支配下にはあるが、管理下(事業所)を離れて業務に従事している場合は、原則として、業務起因性が認められる。ただし、他の原因(恣意行為、私的行為、天災地変等)の場合には、業務起因性が認められないケースもある。
■ 派遣労働者に係る業務災害の認定に当たっては、派遣労働者が派遣元事業主との間の労働契約に基づき派遣元事業主の支配下にある場合及び派遣元事業と派遣先事業との間の労働者派遣契約に基づき派遣先事業主の支配下になる場合には、一般に業務遂行性があるものとして取り扱う。
■ なお、派遣元事業場と派遣先事業場の間の往復の行為については、それが派遣元事業主又は派遣先事業主の業務命令によるものであれば一般に業務遂行性が認められる。
■ 業務上として認定される場合
・ 通勤途上の事故
・ 休日中に突発事故が発生し、出勤の呼び出しを受けて現場へ駆けつける途中の事故は、業務災害である。(昭和24年基収3375号)
・ 事業場の専用の通勤バスに乗車する際に発生した事故は、業務災害である(昭和25年基収32号)
・ 作業時間前後(作業準備行為、後始末行為等)の事故
・ 夏の大変暑い日に、作業を終えた日雇労働者が、近道である常時村人も通行している線路上を歩いて事務所に帰る途中、鉄橋から川に転落して死亡した。本件のように日雇労働者が、作業現場から事務所等へ帰る途中に転落溺死した事故は、業務災害である。(昭和28年基収5088号)
・ 緊急業務中の事故
・ 天災等の場合の事業場施設の防護行為中の事故は業務災害である。(昭和29年基収120号)
・ 作業中の事故
・ 駅長も黙認する状態の中、乗客が満員であったため、やむを得ず列車の連結器に飛び乗り、事故死した車掌の事故は業務災害である。(昭和25年1391号)
・ 上司の命令を受けて雑用を遂行していた用務員が感電死した場合の事故は業務災害である。(昭和23年基収3257号)
・ 同僚とともに土砂を運搬していた労働者が、土蜂に左大腿部を刺され、そのショックで死亡した。この工事現場では当時、数匹の蜂が付近を飛び回っていたため、どこかに蜂の巣があることが予測される。本件は、業務災害である。(昭和24年基収2693号)
・ 担当作業以外の作業中の事故
・ 事業主の命令なしで担当作業以外の作業に従事中に発生した事故であって、当該事業場の労働者として、当然するであろうと期待される行為を行った場合は、業務災害である。(昭和23年基災発243号)
・ 第三者の行為による事故
・ 警備員が暴漢に襲われて死亡した場合は、業務災害である。(昭和24年基災収5119号)
・ 天災事変による事故(天災事変であってもそれが予測できる場合であれば業務上となる)
・ 小型パイプが資材置き場に乱雑に荷下ろしされているのを整理する作業に従事していた労働者が、材料が小型のため草むらに投げ入れられていないかと探していたところ、この地に多く棲息するハブに噛まれ負傷した。本件は、業務災害である。(昭和27年基災収3026号)
・ 時々爆発が起こる活火山に設置されているロープウェイの補強工事中、突如火山が爆発し、噴石の落下によりその作業中の労働者が死亡した。本件は、業務災害である。(昭和33年基収4633号)
・ 山頂付近での作業の現場監督員である労働者は、夕方のような異様な天候になったので、現場における作業を中止させ、自らも山頂の休憩小屋に退避しようとして、小屋近くまで来た時に落雷の直撃を受けて死亡した、なお、当該山頂付近は天候の変化が激しく雷の発生頻度が高い上、はげ山であったため落雷を退避する適当な場所がなかった。本件は、業務災害である。(昭和36年基収1844号
・ 作業中断中又は休憩時間中の事故
・ 断崖絶壁の石切り場で職人の手伝いとして働いていた労働者が、休憩時間中、職人らが「のどが渇いたな」と言い出したので、やかんをもち水汲みに行く途中、がけから転落し負傷した。本件は、業務災害である。(昭和24年基収4173号)
・ トラックによる貨物の運送作業中に、国道上でトラックの荷台のシートがめくれたので、トラックを停止してトラック助手である労働者がシートをかけなおした。その時強風が吹いて防寒帽が吹き飛ばされたので、当該労働者はとっさにその帽子を追って走り出したが、その前方より疾走してきた自動車に跳ね飛ばされ死亡した。本件は業務災害である。(昭和25年基収1006号)
・ 自動車運転手が、長距離定期貨物便の運送業務の途上、会社が利用を認めている食堂で食事をするため停車して道路を横断中に、自動車にはねられて死亡した事故は、業務災害である(昭和32年基収4390号)
・ 作業に付随した必要又は合理的な行為中
・ 事業所の定休日に日直勤務のため出勤した修理工が、修理途中だった車の修理を完了したので無免許ではあったが、日直職員の許可を得て試運転していたところ、途中道路下に転落して死亡した。本件は、業務の延長と解されるので業務災害である。(昭和28年基収5088号)
・ 労災病院に入院中
・ 労災病院に入院している労働者が医師の指示に基づいて療養の一環として機能回復訓練を行っているときに発生した災害は、当初の業務上の負傷との間に相当因果関係が認められるので、業務災害である(昭和42年基収7808号)
・ 出張途上の事故
・ 労働者が、下請け業者が実施する作業を指導するために、部下一名を連れて出張するように命ぜられたので、部下と直接出張地に赴くことを打ち合わせた。出張当日の朝、当該労働者は、自転車で自宅を出発し、列車に乗車すべく駅へ向かう途中、踏切で列車に衝突して死亡した。本件は業務災害である。(昭和24年基収3001号)
・ 自宅から出張に赴いて直接自宅へ帰る慣行があるときは、自宅を出てから帰るまでが出張とされ、私的行為中の事故を除き、業務災害である。(昭和34年基収2980号)
・ 事業場施設の利用中の事故
・ タクシー会社の営業所の管理責任者である労働者と同管理責任者の妻で同社賄い婦をしている者がその2階に住み込んでいた。ある日、階下の仮眠室で当直の運転手が石油ストーブを誤って倒し、置かれていた段ボール箱及び自動車オイルに引火したため、同営業所は全焼し、管理責任者とその妻は逃げ遅れて死亡した。本件は、業務災害である。(昭和41年基収3520号)
・ 運動会等行事に出席している間
・ その運動競技会に労働者を参加させることが、事業の運営のために社会通念上必要と認められ、かつ、事業主の強制によってなされた場合に限って業務災害である。(昭和32年基発465号)
・ 比較
・ 企業に所属して、労働契約に基づき労働者として運動競技を行う者が、企業の代表選手として対外的な運動競技会に出場するのに備え、事業主が定めた練習計画以外の自主的な運動をしていた際に負傷した場合、業務外である。(平成12年基発366号)
・ 赴任途上の災害
・ 赴任途上で発生した災害のうち次の要件をすべて満たす場合は業務上災害とする(平成3年基発75号)
・ 新採用の労働者が、採用日以後の日において、その採用による移転のため住所若しくは居所(住居地)から採用事業場等に赴く途上、又は転勤命令を受けた労働者が、その転勤に伴う移転のため転勤前の住居地から赴任先事業場等に赴く途上に発生した災害であること
・ その赴任が赴任先事業主の命令に基づいて行われている場合であって、社会通念上合理的な経路及び方法による赴任であること
・ 赴任のために直接必要でない行為又は恣意的な行為が原因となって発生した災害でないこと
・ その赴任に対し赴任先事業主から旅費が支給される場合であること。
■ 業務上として認定されない場合
・ 自家用車で出勤途上の事故
・ 事業主の承認により、自家用車で出勤した労働者の災害であっても、業務遂行性が認められない場合は、業務外である。(昭和43年基収3930号)
・ 緊急業務中の事故
・ ストライキ中の廃坑内で滞留ガスで倒れた人の通知を社宅で聞き救助を行って、その滞留ガスによって死亡した労働者の事故は業務外である。(昭和31年基収6806号)
・ 休憩時間中の事故
・ 不発雷管を拾って、休憩中にもてあそんでいるうちに発生した負傷事故は、業務外である。(昭和27年基災収3907号)
・ 昼の休憩時間中、皮革工場の構内で労働者が同僚とキャッチボールをしていたところ銃の流れ弾に当たり負傷した。本件は業務外の災害である(昭和24年基収1410号)
・ 私的行為中の事故
・ 私傷病の療養のために通院していた途上の事故は豪無害である。(昭和24年基災発34号)
・ 砂利の運搬後、たまたまあった知り合いにトラックを運転させて生じた負傷は、業務外である。(昭和26年基収1497号)
・ 解雇抗争中の事故
・ 人員整理に関し会社と労働組合が抗争中に、労働組合が裁判所の決定を待たず被解雇者らを就労させ、作業中に負傷事故が発生した。この場合、業務外である。(昭和28年基収4466号)
■ 過去の出題では、労災認定事例から同じ事例が出題される可能性は低いため、問題の事例を暗記しても意味がなく、認定基準の理解が大切となる。
■ 私的行為は労災とは認定されない。また、天災地変は、基本的には労災とは認定されない。
■ 出張中の事故については、労災保険が適用される。(業務災害とされ、通勤災害とはされない。)
■ 業務上の疾病には、災害性疾病と職業性疾病があり、業務起因性を立証することが困難な場合が多い。こういったことを踏まえ、厚生労働省令(労働基準法施行規則別表第1の2)及びこれに基づく告示では、業務上の疾病の範囲が列挙されており、これらの疾病が発症した場合には、因果関係が立証されなくても原則として業務起因性を推定することになっている。
■ なお、具体的に疾病の原因及び種類が列挙されている疾病に該当しなくても、「その他業務に起因することの明らかな疾病(労基法施行規則別表第1の2第11号)」であれば、保険給付の対象となる。
■ 精神障害や過労死等は、業務と疾病との間の相当因果関係を判断するのが難しい。そのため、次のような認定基準が、通達として発出されている。
・ 心理的負荷による精神障害の認定基準
・ この認定基準は、労働者に発症した精神障害が、労働基準法施行規則別表1の2第9号の疾病に該当するか否かを判断するものである。
・ 次の1,2及び3のいずれの要件も満たす対象疾病は、労働基準法施行規則別表第1の2第9号に該当する業務上の疾病として取り扱う。
・ 対象疾病を発病していること
・ 対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
・ 業務以外の心理的負荷及び個体的要因により対象疾病を発病したとは認められないこと。
・ 対象疾病の発病に至る原因の考え方は、環境由来の心理的負荷(ストレス)と、個体側の反応性、脆弱性との関係で精神的破綻が生じるかどうかが決まり、心理的負荷が非常に強ければ、個体側の脆弱性が小さくても精神的破綻が起こるし、逆に脆弱性が大きければ、心理的負荷が小さくても破綻が生じるとする「ストレス-脆弱性理論」に依拠している。
・ この場合の強い心理的負荷とは、精神障害を発病した労働者がその出来事及び出来事後の状況が持続する程度を主観的にどう受け止めたかではなく、同種の労働者が一般にどのように受け止めるかという観点から評価されるものであり、「同種の労働者」とは、職種、職場における立場や職責、年齢、経験等が類似するものをいう。
・ このため、業務による心理的負荷の強度の判断に当たっては、精神障害の発病前6か月の間に、対象疾病の発病に関与したと考えられる業務によるどのような出来事があり、また、その後の状況がどのようなものであったかを具体的に把握し、それらによる心理的負荷の強度はどの程度であるかについて、別表1「業務による心理的負荷評価表」(別表1)を指標として、「強」、「中」、「弱」の三段階に区分する。
・ 極度の長時間労働は、心身の極度の疲弊、消耗を来し、うつ病等の原因となることから、発病日から起算した直前の1か月間におおよそ160時間を超える時間外労働を行なった場合等には、当該極度の長時間労働に従事したことのみで心理的負荷の総合評価を「強」とする。
・ 項目16(1か月に80時間以上の時間外労働を行なった)の平均的な審理的負荷の強度はⅡであるが、発病日から起算した直近の2か月間に1月あたりおおむね120時間以上の時間外労働を行い、その業務内容が通常その程度の労働時間を要するものであった場合等には、心理的負荷の総合評価を「強」とする。
・ いじめやセクシャルハラスメントのように、出来事が繰り返されるものについては、発病の6ヶ月よりも前にそれが開始されている場合でも、発病前6か月以内の機関にも継続しているときは、開始時からのすべての行為を評価の対象とすること。
・ 業務によりICD-10のF0からF4に分類される精神障害を発病したと認められる者が自殺を図った場合には、精神障害によって正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、あるいは自殺行為を思いとどまる精神的抑制力が著しく阻害されている状態に陥ったものと推定し、業務起因性を認める。
・ 発病直前に1か月におけるおおむね160時間をこえるような、又はこれを満たない期間にこれと同程度の(例えば、3週間におおむね120時間以上の)時間外労働を行なった(休憩時間は少ないが手持ち時間が多い場合など、労働密度が特に低い場合を除く)
・ 「上司等」には、職務上の地位が上位の者のほか、同僚又は部下であっても、業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、そのものの協力が得られなければ業務の円滑な遂行を行うことが困難な場合、同僚又は部下からの集団による行為でこれに抵抗又は拒絶することが困難である場合を含む。
・ 心理的負荷が「中」になる具体例
・ 上司等による次のような身体的攻撃・精神的攻撃が行われ、行為が反復・継続していない場合
・ 治療を要さない程度の暴力による身体的攻撃
・ 人格や人間性を否定するような、職務上明らかに必要性がない又は業務の目的を逸脱した精神的攻撃
・ 必要以上に長時間にわたる叱責、他の労働者の門前における威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃
・ 血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準
・ 次の業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳・心臓疾患は、業務に起因する疾病として取り扱う。
・ 発症前の長期間に渡って、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務(長期間の過重業務)に就労したこと
・ 発症に近接した時期において、特に過重な業務(短期間の過重業務)に就労したこと
・ 発症直前から前日までの間において、発症状態を時間的及び場所的に明確にしうる異常な出来事(異常な出来事)に遭遇したこと。
・ 特に過重な業務とは、日常業務に比較して特に過重な身体的、精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる業務をいうものであり、日常業務に就労する上で受ける負荷の影響は、血管病変等の自然経過の範囲にとどまるものである。
・ ここでいう日常業務とは、通常の所定労働時間内の所定業務内容をいう。
・ 発症前の長期間とは、発症前おおむね6か月間をいう。
・ 著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したと認められるか否かについては、業務量、業務内容、作業環境等を考慮し、同種労働者にとっても、特に過重な身体的、精神的負荷と認められる業務であるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断すること。
・ ここでいう同種労働者とは、当該労働者と職種、職場における立場や職責、年齢、経験等が類似する者をいい、基礎疾患を有していたとしても日常業務を支障なく遂行できるものを含む。
・ 発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断すること。ここでいう時間外労働時間数は、1週間あたり40時間を超えて労働した時間数である。
・ 拘束時間の長い業務については、拘束時間数、実労働時間数、労働密度(実作業時間と手待時間の割合等)、休憩・仮眠時間数及び回数、休憩・仮眠施設の状況(広さ、空調、騒音等)、業務内容等の観点から検討し、評価すること。
・ 発症に近接した時期とは、発症前おおむね1週間をいう。
・ 特に過重な業務に就労したと認められるか否かについては、業務量、業務内容、作業環境等を考慮し、同種労働者にとっても、特に過重な身体的、精神的負荷と認められる業務であるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断すること。
・ 業務による過重負荷を原因とする脳血管疾患及び虚血性心疾患等については、平成13年12月に改正した「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く)の認定基準」に基づき労災認定を行なっていたが、改正から約20年が経過する中で、働き方の多様化や職場環境の変化が生じていることから、最新の医学的知見を踏まえて、「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」において検証等を行い、令和3年7月16日に報告書が取りまとめられたことを受けて、認定基準の改正を行なった。
・ 予防接種については、通常、本人の自由意思によって行われ、当該労働者の業務として行われるものとは認められないことから、当該予防接種により疾病、障害又は死亡(健康被害)が生じたとしても、健康被害は業務に起因するものとは一般に認められず、労災保険給付の対象となるものではない。
・ しかしながら、医師、看護師等医療従事者については、今般の優先接種の取扱いに伴い、必要な医療体制を維持する観点から、業務命令等に基づいて予防接種を受けざるを得ない状況にあると考えられることから、予防接種による健康被害が生じた場合(予防接種と健康被害との間に医学的な因果関係が認められる場合に限る)については、当該予防接種が明らかに私的な理由によるものと認められる場合を除き、労働基準法施行規則別表1の2の6号の5の業務上疾病又はこれに起因する死亡等として取り扱う。(平成21年基労補発1216第1号)
・ 本認定基準が対象とする疾病は、上肢等に過度の負担のかかる業務によって、後頭部、頸部、肩甲帯、上腕、前腕、手及び指に発生した運動器の障害(上肢障害)である。(平成9年基発65号)
・ 次のいずれの要件も満たし、医学上療養が必要であると認められる上肢障害は、労働基準法施行規則別表1の2第3号4又は5に該当する疾病と取り扱うこと。
・ 上肢等に負担のかかる作業を首都する業務を相当期間(原則として6か月程度以上)従事した後に発症したものであること。
・ 一般に上肢障害は、業務から離れ、あるいは業務から離れないまでも適切な作業の指導・改善等を行い就業すれば、症状は軽快する。
・ また、適切な療養をおこなうことによっておおむね3か月程度で症状が軽快すると考えられ、手術を施行された場合でも一般的におおむね6か月程度の療養が行われれば治癒するものと考えられるので留意すること。
■ 令和2年の改正により、複数事業労働者が安心して働くことができる環境を整備するため、複数業務要因災害に関する保険給付が、労災法に規定された。
■ 複数業務用院災害とは、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡をいう。
■ 複数事業労働者
・ 事業主が同一人でない二以上の事業に使用される労働者
■ 複数業務要因災害
・ 複数事業労働者(これに類する者として厚生労働省令で定めるものを含む)の二以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡
・ 複数事業労働者に類する者として厚生労働省令で定めるものとは、負傷、疾病、障害又は死亡の原因又は要因となる事由が生じた時点において事業主が同一人でない二以上の事業に同時に使用されていた労働者とする(労災則5条)
■ 複数事業労働者については、新労災法7条1項2号により、これに類する者も含むとしており、その範囲について新労災則5条において、傷病等の原因又は要因となる事由が生じた時点において事業主が同一人でない二以上の事業に同時に使用されていた労働者と定めている。
■ これは、傷病等の要因となる出来事と傷病等の発症の時期が必ずしも一致しないことがあるため、複数業務要因災害の対象である複数事業労働者について、傷病が発症した時点において複数事業労働者に該当しない場合であっても、当該傷病等の要因となる出来事と傷病等の因果関係が認められる期間の範囲内で複数事業労働者に当たるか否かを判断すべきときとあることから規定されたものである。
■ 従来は、労働者を使用する事業ごとに業務上の負荷を評価しており、仮に単独の事業であれば業務災害と認定しうる業務上の負荷を複数の事業において受けている場合には保険給付が行われず、労働者の稼得能力や遺族の被扶養利益の損失に対する填補が不十分であった。
■ そこで、令和2年の改正で、業務災害には該当しないものの、 各事業おける業務上の負荷を総合的に評価すれば労災認定される場合には、労働者の稼得能力や遺族の被扶養利益の損失を填補する観点から複数業務要因災害という新たな保険給付が創設された。
■ ここで、「二以上の事業の業務を要因する」とは、複数の事業での業務上の負荷を総合的に評価して当該業務と当該業務と負傷、疾病、障害又は死亡(傷病等)の間に因果関係が認められることをいう。
■ なお、業務災害の認定に関する取扱いは従来のとおりであり、複数事業労働者に対して業務災害として保険給付を行う場合を除き、複数業務要因災害に該当するか否かの判断を行う者である。
■ 複数業務用院災害による疾病の範囲は、労災則18条の3の6により、労働基準法施行規則別表1の2第8号及び9号に掲げる疾病(「脳・心臓疾患、精神障害」)及びその他二以上の事業の業務を要因とすることの明らかな疾病としており、現時点においては、脳・心臓疾患、精神障害が想定されている。
■ 通勤災害は、労使保険法制定時には保険給付の対象外とされていたが、昭和48年に追加された。通勤災害とは、通勤に通常伴う危険が具現化して生じた負傷、疾病、障害又は死亡をいう(平成3年基発75号)。通勤の定義と具体的な認定例を確認すること。
■ 通勤とは、労働者が、就業に関し、次にかかげる移動を、合理的な経路及び方法によりおこなうことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。
・ 住居と就業の場所との間の往復
・ 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
・ 上記に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る)
■ 労働者が、上記に掲げる移動の経路を逸脱し、又は上記に掲げる移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の上記に掲げる移動は、通勤としない。ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、その限りでない。(労災法7条2項・3項)
■ 住居→(ア)→A事業場→イ→B事業場→ウ→住居
・ ア、ウが通常の通勤に該当する部分
・ イが「就業の場所」から「他の就業の場所」への移動に該当する。
■ 厚生労働省令で定める就業の場所(労災則6条)
・ 強制適用事業所及び労働保険にかかる保険関係が成立している暫定任意適用事業
・ 特別加入者(通勤災害の適用が除外されている者を除く)に係る就業の場所
・ その他上記に類する就業の場所
■ 事業場間移動は当該移動の終点たる事業場において労務の提供を行うために行われる通勤であると考えられ、当該移動の間に起こった災害に関する保険関係については、終点たる事業場の保険関係で行う。(平成18年基発0330142号)
■ C事業場←ア→単身赴任先の住居←ウ→帰省先の住居←イ→C事業場
・ ア・イが通常の通勤に該当する部分
・ ウが住居間の移動に該当する。
■ 厚生労働省令で定める要件(労災則7条)
・ 配偶者との別居
・ 転任に伴い、当該転任の直前の住居と就業の場所との間を日々往復することが当該往復の距離等を考慮して困難となったため住居を移転した労働者であって、一定のやむを得ない事情により、当該転任の直前の住居に居住している配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)と別居することとなったもの。
・ 上記の「一定のやむを得ない事情」
・ 配偶者が、要介護状態(負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、二週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいう)にある労働者又は配偶者の父母又は同居の親族を介護すること。
・ 配偶者が、学校等に在学し、保育所若しくは幼保連携型認定こども園に通い、又は公共職業能力開発施設の行う職業訓練を受けている同居の子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子に限る)を養育すること。
・ 配偶者が、引き続き就業すること
・ 配偶者が、労働者又は配偶者の所有に係る住宅を管理するため、引き続き当該住宅に居住すること
・ その他配偶者が労働者と同居できないと認められる上記までに類する事情
・ 子との別居
・ 転任に伴い、当該転任の直前の住居と就業の場所との間を日々往復することが当該往復の距離等を考慮して困難となったため住居を移転した労働者であって、一定のやむを得ない事情により、当該転任の直前の住居に居住している子と別居することとなったもの(配偶者がないものに限る)
・ 父母又は親族との別居
・ 転任に伴い、当該転任の直前の住居と就業の場所との間を日々往復することが当該往復の距離等を考慮して困難となったため住居を移転した労働者であって、一定のやむを得ない事情により、当該店員の直前の住居に居住している当該労働者の父母又は親族(要介護状態にあり、かつ、当該労働者が介護していた父母又は親族に限る)と別居することとなったもの(配偶者及び子がないものに限る)
・ その他上記に類する労働者
■ 通勤の途中において労働者が逸脱・中断を行い再び経路に復したり、中断となった行為を中止したとしても、原則としてその後の往復は通勤とは認められない。
■ 事業場→通勤○→逸脱・中断(例:パチンコ、映画鑑賞、飲酒など)→通勤×→住居(自宅)
■ 逸脱又は中断が「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるもの」をやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合には、 当該逸脱又は中断の間を除き、再び合理的な経路に復した後は、通勤とされる。
■ 事業場→通勤○→逸脱・中断(日常生活上必要な行為)→通勤○→住居(自宅)
■ 日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるもの(労災則8条)
・ 日用品の購入その他これに準ずる行為
・ 職業訓練、学校教育法1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
・ 選挙権の行使その他これに準ずる行為
・ 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
・ 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)
・ 要介護状態とは、負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいう。
■ 「通勤による」とは、通勤と相当因果関係があること、つまり、通勤に通常伴う危険が具現化したことをいう。
・ 具体的には、通勤の途中において、自動車にひかれた場合、電車が急停車したため点灯して受傷した場合、駅の階段から転落した場合、歩行中にビルの建設現場から落下してきた物体により負傷した場合、転倒したタンクローリーから流れ出す有害物質により急性中毒にかかった場合等、一般に通勤中に発生した災害は通勤によるものと認められる。
・ しかし、自殺の場合、その他被災者の故意によって生じた災害、通勤の途中に怨恨をもってけんかをしかけて負傷した場合などは、通勤をしていることが原因となって災害が発生したものではないので、通勤災害とは認められない。
■ 「就業に関し」とは、移動行為が業務に就くため又は業務を終えたことにより行われるものであることを必要とする。つまり、通勤と認められるには、移動行為が業務と密接な関連をもって行われることを要するものである。
・ まず、労働者が、業務に従事することになっていたか否か、又は現実に業務に従事したか否かが、問題となる。
・ この場合に所定の就業日に所定の就業場所で所定の作業をおこなうことが業務であることはいうまでもない。また、事業主の命によって物品を届けに行く場合にも、これが業務となる。また、このような本来の業務でなくとも、全職員について参加が命じられ、これに参加すると出勤扱いにされるような会社主催の行事に参加する場合などは業務と認められる。さらに、事業主の命を受けて得意先を接待し、あるいは、得意先との打合sウェに出席するような場合も、業務となる。逆に、このような事情のない場合、例えば、休日に会社の運動施設を利用しに行く場合はもとより会社主催ではあるが参加するか否かが労働者の任意とされているような行事に参加するような場合には、業務とならない。ただし、そのような会社のリクリエーション行事であっても、厚生課員が仕事としてその行事の運営に当たる場合には当然業務となる。また、事業主の命によって労働者が拘束されないような同僚との懇親会、同僚の送別会への参加等も、業務とはならない。
・ さらに、労働者が労働組合大会に出席するような場合には、労働組合に雇用されていると認められる専従役職員については就業との寒冷性が認められるのは当然であるが、一般の組合員については就業との寒冷性は認められない。
・ 出勤(住居から就業の場所への移動をいい、第1の就業の場所から第2の就業の場所への移動を含む)の就業との関連性についてであるが、所定の就業日に所定の就業開始時刻を目途に住居を出て就業の場所へ向かう場合は、寝過ごしによる遅刻、あるいはラッシュを避けるための早出等、時刻的に若干の前後があっても就業との関連性があることはもちろんである。
・ 他方、運動部の練習に参加する等の目的で、以下の場合には、当該行為は、むしろ当該業務以外の目的のために行われるものと考えられるので、就業との関連性はないと認められる。
・ 午後の遅番の出勤者であるにもかかわらず、朝から住居を出るなど、所定の就業開始時刻とかけ離れた時刻に会社に行く場合
・ 第2の就業場所にその所定の就業開始時刻と著しくかけ離れた時刻に出勤する場合
・ なお、日々雇用される労働者については、継続して同一の事業に就業しているのような場合は、就業することが確実であり、その際の出勤は、就業との関連性が認められるし、また公共職業安定所等でその日の照会を受けた後に照会先へ向かう場合で、その事業で就業することが見込まれるときも、就業との関連性を認めることができる。
・ しかし、公共職業安定所等でその日の紹介を受けるために住居から公共職業安定所等まで行く行為は、未だ就職できるかどうか確実でない段階であり、職業照会を受けるための行為であって、就業のための出勤行為であるとは言えない。
・ 「所定の就業開始時刻とかけ離れた時刻」とは、おおむね2時間を超えたものとするが、上記における「所定の就業開始時刻と著しくかけ離れた時刻」とは、事業場間における移動の場合にあっては、第1の事業場における就業終了時刻等によりやむを得ない事情によることがあることから、上記よりも長時間であっても差し支えないものとする。なお、第1の事業場における就業終了時刻後の業務以外の行為による時間の経過は、第2の事業場への移動による就業との関連性を失わせるものではない。(平成18年基労管発0331001号、平成18年基労補発0331003号)
・ 退勤(就業の場所から住居への移動をいう)の場合であるが、この場合にも、終業後直ちに住居へ向かう場合は就業に関するものであることについては、問題ない。このことは、日々雇用される労働者の場合でも同様である。
・ また、所定の就業時間終了前に早退をするような場合であっても、その日の業務を終了して変えるものと考えられるので、就業との関連性を認められる。
・ なお、通勤は、1日について1回のみしか認められないものではないので、昼休み等就業の時間の間に相当の感覚があって帰宅するような場合には、昼休みについて言えば、午前中の業務を終了して帰り、午後の業務に就くために出勤するものと考えられるので、その往復行為は就業との関連性を認められる。
・ また、業務の終了後、事業場施設内で、囲碁、麻雀、サークル活動、労働組合の会合に集積をした後に帰宅するような場合には、社会通念上就業と帰宅との直接的関連を失わせると認められるほど長時間となるような場合を除き、就業との関連性を認めても差し支えない。
・ 帰省先住居から赴任先住居への移動の場合であるが、実態等を踏め、業務に就く当日又は前日に行われた場合は、就業との関連性を認めて差し支えない。ただし、前々日以前に行われた場合は、交通機関の状況等の合理的理由があるときに限り、就業との関連性が認められる。
■ 「合理的な経路及び方法」とは、当該移動の場合に、一般に労働者が用いるものと認められる経路及び手段等をいう。
・ 経路については、乗車定期券に表示され、あるいは、会社に届け出ているような、鉄道、バス等の通常利用する経路及び通常これを代替することが考えられる敬老等が合理的な経路となることはいうまでもない。また、タクシー等を利用する場合に、通常利用することが考えられる経路が2、3あるような場合には、その経路は、いずれも合理的な経路となる。また、経路の道路工事、デモ行進等当日の交通事情により迂回してとる経路、マイカー通勤者が貸切の車庫を経由して通る経路等通勤のためにやむを得ず取ることとなる経路は合理的な経路となる。さらに、他に子供を監護する者がいない共稼ぎ労働者が託児所、親戚等に預けるために取る経路などは、そのような立場にある労働者であれば、当然、就業のためにとらざるを得ない経路であるので、合理的な経路となるものと認められる。
・ 逆に、特段の合理的な理由もなく著しく遠回りとなるような経路を取る場合には、これは合理的な経路とは認められないことはいうまでもない。また、経路は、手段も併せて合理的なものであることを要し、鉄道線路、鉄橋、トンネル等を歩行して通う場合は、合理的な経路とはならない。
・ 方法については、鉄道、バス等の公共交通機関を利用し、自動車、自転車等を本来の用法に従って使用する場合、徒歩の場合等、通常用いられる交通方法は、当該労働者が平常用いているか否かにかかわらず一般に合理的な方法と認められる。しかし、例えば、免許を一度も取得したことのないような者が自動車を運転する場合、自動車、自転車等を泥酔して運転するような場合には、合理的な方法と認められない。なお、飲酒運転の場合、単なる免許証不携帯、免許証更新忘れによる無免許運転の場合等は、必ずしも、合理性を欠くものとして取り扱う必要はないが、この場合において、諸般の事情を勘案して、給付の支給制限が行われることがあることは当然である。
■ 「業務の性質を有するもの」とは、当該移動による災害が業務災害と解されるものをいう。具体例として、事業主の提供する専用交通機関を利用してする通勤、突発的事故等による緊急用務のため、休日又は休暇中に呼び出しを受け予定外に緊急出勤する場合がこれに当たる。
■ 「住居」とは、労働者が居住して日常生活のように供している家屋等の場所で、本人の就業のための拠点となるところを指す。
■ したがって、就業の必要性があって、労働者が家族の住む場所とは別に就業の場所の近くに単身でアパートを借りたり、下宿をしてそこから通勤しているような場合は、そこが住居である。更に通常は家族のいるところから出勤しているが、別のアパート等を借りていて、早出や長時間の残業の倍には当該アパートに止まり、そこから通勤するような場合には、当該家族の住居とアパートの双方が住居と認められる。また、長時間の残業や、早出出勤及び新規赴任、転勤のため等の勤務上の事情や、交通ストライキ等交通事情、台風などの自然現象等の不可抗力的な事情により、一時的に通常の住居以外の場所に宿泊するような場合には、やむを得ない事情で就業のために一時的に住居の場所に宿泊するような場合には、やむを得ない事情で就業のために一時的に居住の場所を移していると認められるので、当該場所を住居と認めて差し支えない。
■ 逆に、友人宅で麻雀をし、翌朝そこから直接出勤する場合等は、就業の拠点となっているものではないので、住居とは認められない。
■ なお、転任等のやむを得ない事情のために同居していた配偶者と別居して単身で生活する者や家庭生活の維持という観点から自宅を本人の生活の本拠地とみなしうる合意的な理由のある独身者にとっての家族の住む家屋Ⅱついては、当該家屋と就業の場所との間を往復する行為は反復・継続性が認められるときは住居と認めて差し支えない。
■ 赴任先住居とは、上記の住居の考え方と同様に、労働者が日常生活のように供している家族等の場所で本人が就業のための拠点となるところを指すものである。また、帰省先住居についても、当該帰省先住居への移動に反復・継続性がみとめられることが必要である。さらに、労災則7条に会おける労働者又は配偶者の父母の居住している場所についても、反復・継続性が認められる場合は、「住居」と認められる。
・ 「反復・継続性」とは、おおむね毎月1回以上の往復行為又は移動がある場合に認められる。「おおむね毎月1回以上」とは、原則として、被災日を含む月以前3か月間について、毎月1回以上の往復行為又は移動を行なっているというものとする。
・ なお、出張の機会を利用して当該出張期間内において、出張先に赴く前後に自宅に立ち寄る行為(自宅から次の目的地に赴く行為を含む)については、当該立ち寄る行為が、出張経路を著しく逸脱していないと認められる限り、原則として、通常の出張の場合と同様、業務として取り扱う(平成18年基労管発0331001号、平成18年基労補発0331003号)
■ 「就業の場所」とは、業務を開始し、又は終了する場所をいう。
■ 具体的な就業の場所には、本来の業務を行う場所のほか、物品を得意先に届けてその届け先から直接帰宅する場合の物品の届け先、全員参加で出勤扱いとなる会社主催の運動会の会場等がこれに当たることになる。
■ なお、外勤業務に従事する労働者で、特定区域を担当し、区域内にある数カ所の用務先を受け持って自宅との間を往復している場合には、自宅を出て最初の用務先が業務開始の場所であり、最後の用務先が、業務終了の場所と認められる。
■ また、第1の就業の場所についても、労災保険法の適用事業、通勤災害保護制度の対象となっている特別加入者に係る就業の場所及びこれらに類する就業の場所とする。「類する就業の場所」とは、具体的には、地方公務員災害補償法、国家公務員災害補償法又は船員保険法による通勤災害保護対象となる勤務場所又は就業の場所とする。
■ 「逸脱」とは、通勤の途中において就業又は通勤とは関係のない目的で合理的な経路をそれることをいい、「中断」とは、通勤の経路上において通勤とは関係のない行為を行うことをいう。具体的には、途中で麻雀を行う場合、映画館に入る場合、バー、キャバレー等で飲酒する場合、デートのため長時間に渡ってベンチで話し込んだり、経路から外れる場合がこれに該当する。
■ しかし、経路の近くにある公衆便所を利用する場合、帰途に経路の近くにある公園で短時間休息する場合や、経路上の店でタバコ、雑誌等を購入する場合、駅構内でジュースの立ち飲みをする場合、経路上の店で乾きを癒やすために極く短時間、お茶、ビール等を飲む場合、経路上で商売している大道の手相見、人相見に立ち寄って極く短時間手相や人相をみてもらう場合等のように通常経路の途中で行うささいな行為を行う場合には、逸脱、中断に該当しない。ただし、飲み屋やビヤホール等において、長時間にわたって腰を落ち着けるに至った場合や、経路から外れ又は門戸を構えた観相家のところで、長時間にわたり、手相、人相等をみてもらう場合等は、逸脱、中断に該当する。
■ 逸脱、中断の間及びその後の移動は原則として通勤とは認められないが、当該逸脱、中断が日用品の購入その他これに準ずる行為等をやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合には、当該逸脱、中断の後、合理的な経路に復した後は通勤と認められる。
■ なお、「やむを得ない事由により」とは、日常生活の必要のあることをいい、「最小限度のもの」とは、当該逸脱又は中断の原因となった行為の目的達成のために必要とする最小限度の時間、距離等をいう。
・ 「日用品の購入その他これに準ずる行為」とは、具体的には、帰途で惣菜等を購入する場合、独身者が食堂に食事に立ち寄る場合、クリーニング店に立ち寄る場合等がこれに該当する。また、労災法7条2項2号の通勤では、これらに加え、次の就業場所の始業時間との関係から食事に立ち寄る場合、図書館等における業務に必要な情報収集等を行う場合等も含み、第3号の通勤では、長距離を移動するための食事に立ち寄る場合やマイカー通勤のための仮眠を取る場合等も該当する。
・ 「これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為」とは、開発能力総合大学校における職業訓練及び専修学校における教育がこれに該当する。各種学校における教育については、就業期間が1年以上であって、課程の内容が一般的に職業に必要な技術、例えば、鉱業、医療、栄養士、調理師、理容師、美容師、保母教員、商業経理、和洋歳等に必要な技術を教授するもの(茶道、華道等の課程又は自動車教習所若しくはいわゆる予備校の課程はこれに該当しないものとして取り扱う)は、これに該当するものとして取り扱うこととする。
・ 「選挙権の行使その他これに準ずる行為」とは、具体的には、選挙権の行使、最高裁判所裁判官の国民審査拳の行使、住民の直接請求権の行使等がこれに該当する。
・ 「病院又は診療所において診察又は治療をうけることその他これに準ずる行為」とは、病院又は診療所において通常の医療を受ける行為に限らず、人工透析など比較的長時間を要する医療を受けることも含んでいる。また、施術所において、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等の施術を受ける行為もこれに該当する。
■ 「転任」とは、企業の命を受け、集合する場所が変わることをいう。また、就業していた場所、つまり事業場自体の場所が移転した場合も該当する。
■ 転任直前の住居と就業の場所との間の距離について、最も経済的かつ合理的と認められる通常の経路で判断する。具体的には、その経路について、徒歩による測定距離や鉄道事業法に規定する鉄道運送事業者の調べに係る鉄道旅客貨物運賃算出表に掲げる距離等を組み合わせた距離が60キロメートル以上の場合又は、60キロメートル未満であっても、移動方法、移動時間、交通機関の状況等から判断して60キロメートル以上の場合に相当する程度に通勤が困難である場合とする。
■ 派遣労働者に係る通勤災害の認定に当たっては、派遣元事業主又は派遣先事業主の指揮命令により業務を開始し、又は終了する場所が「就業の場所」となること。したがって、派遣労働者の住居と派遣元事業場又は派遣先事業場の間の往復の行為は、一般に「通勤」となる。(昭和61年基発383号)
■ 通勤災害として認定される場合
・ 午後8時30分ごろ最寄りの駅で下車して人気のない路上を徒歩で帰宅する途中の女性労働者が、後方から進行してきた自動車により、ハンドバッグと革袋をひったくられ、その際、その自動車に接触し転倒して負傷した。本件のような状況下で女性がひったくりに会うこと、また、その際の接触等によって店頭負傷することはどちらも一般的にありうることで異例な事象とはいえない。よって通勤に伴う危険が具体化したものと認められ通勤災害である(昭和49年基収69号)
・ いつもどおり会社から約300メートル離れた自宅で昼食をとって、その後再び会社に向かう途中、野良犬に右下腿部を噛まれ、負傷した。本件では、その発生原因に関し、労働者の積極的な恣意行為は認められず、また、その原因は「機会原因」であるとはいえないことから経験則上通勤経路に内在すると認められる危険が具体化したものである。よって、通勤災害である。(昭和53年基収272号)
・ 出勤のためアパートの2階の自室から出て、階段を降りている途中で転落し負傷した。本件では、労働者が居住しているアパートの扉が、住居と通勤経路の境界であり、アパートの階段は、住居内ではなく、通勤の経路と認められるので通勤災害である。(昭和49年基収314号)
・ 一戸建ての場合、住居と通勤経路の境界は、公道に面した自宅の門又は戸外である。例えば、自宅敷地内にある車庫は住居内であり、そこで発生した事故は通勤災害とは認められない。なお、通勤経路か否かは一般の人が自由に通行できるかどうかにより区分されることとされている。(昭和49年基収2110号)
■ 通勤災害として認定されない場合
・ 業務の性質を有するもの
・ 休日出勤等の呼出しにより、突発事故の発生現場へ駆けつける途上の事故は、業務災害である。(昭和24年基収3375号)
・ 事業場に専用の通勤バスに乗車する際の事故は、業務災害である。(昭和25年基収32号)
・ 労働者が、自宅から勤務場所へ向かう途中で選挙権行使のために近くの投票所に立ち寄りそこで発生した災害は、通勤災害として取り扱われない。(昭和48年基発644号)
■ 通勤による疾病の範囲については、労災法22条1項において「厚生労働省令で定めるものに限る」とされている。当該厚生労働省令(労働者災害補償保険法施行規則18条の4)には、「労災法22条1項の厚生労働省令で定める疾病は、通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病とする」と規定されているが、具体的な疾病の種類が列挙されているわけではない。
■ 労災保険の保険給付のほとんどは、現金を直接支給することによって行われる。この現金給付に関しては一部の例外(療養の費用の支給及び介護(補償)給付並びに二次健康診断等給付)を除いて、その計算の基礎として給付基礎日額を用いる。
■ 労災保険の保険給付は、事故に遭って働けなくなった場合に、働いていれば本来得ることができた賃金等(稼得能力)の損失を補うことを目的としている。したがって、被災労働者の被災時における稼得能力をできる限り忠実に反映するために、労働基準法12条の平均賃金に相当する額が給付基礎日額とされている。
■ 給付基礎日額は、労働基準法12条の平均賃金に相当する額とする。この場合において、平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は診断によって疾病の発生が確定した日(算定事由発生日)とする。(労災法8条1項)
■ 原則として、算定すべき事由の発生した日(賃金締切日がある場合には、算定事由の発生した日の直前の賃金締切日)以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額。
■ 負傷もしくは死亡の原因である事故が発生した日又は医師の診断によって疾病の発生が確定した日
・ 塵肺のように長期にわたって傷病が発生するものに関しては、医師の診断による。
■ 平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められる場合には、上記の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところにより政府が算定する額を給付基礎日額とする。具体的には、所轄労働基準監督署長が次の方法によって算定する。
■ 医師の診断によって疾病の発生が確定した日に、作業が変わって賃金が低くなっているような場合(坑内労働の方が一般的には賃金が高い)には、作業転換時を算定事由発生日として算定した平均賃金相当額と、本来の計算による平均賃金相当額とを比較して、高い方の額を給付基礎日額とする。
■ 平均賃金の算定期間中に親族の疾病又は負傷等の看護のため休業した期間がある場合等には特例の場合に該当するものとして、平均賃金の算定の元となる期間中に業務外の事由による負傷又は疾病の療養のために休業した期間がある場合と同様に取扱うこととされている。
■ 特例は給付基礎日額の底上げの規定である。常に特例の方法で計算するわけではない点に留意すること。なお、後述のスライド制の適用があるため、スライド適用前の給付基礎日額が自動変更対象額を下回る場合もある。
■ 給付基礎日額の算定方法は、負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は診断によって疾病の発生が確定した日以前3か月間にその労働者に支払われた総額を、その期間の総日数で除して算定することを原則としているが、日雇労働者の給付基礎日額の算定は、一般常用労働者の平均賃金と同一に取扱うのは適当でないため、労働基準法12条7項の厚生労働大臣の定める金額に相当する額とする。(昭和38年労告52号)
■ 厚生労働大臣は、年度の平均給与額が直近の自動変更対象額が変更された年度の前年度の平均給与額を超え、又は下るに至った場合においては、その上昇し、又は低下した比率に応じて、その翌年度の8月1日以後の自動変更対象額を変更しなければならない。
■ 自動変更対象額に5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは、これを10円に切り上げる。(労災則9条2項・3項)
■ 平均給与額とは、厚生労働省において作成する毎月勤労統計における労働者1人当たりの毎月決まって支給する給与の額(平均定期給与額)の4月分から翌3月分までの各月分の合計額を12で除して得た額のこと。
■ 年度とは、4月1日から翌年3月31日までの期間をいう。
■ 給与基礎日額の最低保障額を「自動変更対象額」といい、完全自動賃金スライド制が採用されている。
■ 厚生労働大臣は、自動変更対象額を変更するときは、当該変更する年度の7月31日までに当該変更された自動変更対象額を告示するものとする。(労災則9条4項)
■ 労災法8条3項の規定による複数事業労働者の給付基礎日額の算定は、所轄労働基準監督署長が、次に定めるところによって行う。(労災則9条の2の2)
・ 当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額とする。ただし、労災則9条1項5号の規定(自動変更対象額)は、適用しない。
・ 上記の規定により算定して得た額が労災則9条1項5号に規定する自動変更対象額に満たない場合には、上記の規定により算定して得た額を平均賃金相当額とみなして同号の規定を適用したときに得られる同号の額とする。
・ 上記に定めるもののほか、当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められる場合には、厚生労働省労働基準局長が定める基準に従って算定する額とする。
■ 自動変更対象額は、複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額に適用する。
■ 複数事業労働者に関する保健給付に係る給付基礎日額については、業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害のいずれの場合においても、複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算することとなる。(令和2年基発0821第1号)
■ 具体的な算定方法と注意点
・ 2つの事業場でそれぞれ月給制により就業しているケース
・ 次のようにA社とB社の2社で就業中。A社では月給30万円、B社では月給15万円、直近3か月の歴日数は90日
・ 計算方法
・ A社→30万円×3か月÷90日=10,000円
・ B社→15万円×3か月÷90日=5,000円
・ A社+B社→10,000円+5,000円=15,000円
・ 給付基礎日額 15,000円
・ 2つの事業場で就業しており、そのうち1つの事業場については月給制、もう一つの事業場については日給制である場合
・ 次のようにA社及びB社の2社で就業中。A社では月給30万円、B社では日給1万円で12日/月勤務、直近3か月の歴日数は90日
・ 計算方式
・ A社→30万円×3か月÷90日=10,000円
・ B社→1万円×12日×3か月÷90日=4,000円(注意点)
・ A社+B社→10,000円+4,000円=14,000円
・ 給付基礎日額 14,000円
・ 合算する場合は、労基法12条1項但書の規定による平均賃金の最低保障の規定は適用せずに計算した上で合算する。
・ B社については、平均賃金の最低保障額を計算すると
・ 1万円×12日×3か月÷(12日×3か月)×0.6=6,000円
・ となるが、合算する場合には、この最低保障額は適用せずに計算した上で合算する。
・ ただし、各事業場の平均賃金の最低保障額が、合算額より高い場合は、給付基礎日額は各事業場の平均賃金の最低保障額のうち最も高い額とする。
■ 実際に保険給付の額を計算する段階では、世の中の賃金水準や受給時の年齢に応じた給付水準となるように、上記の給付基礎日額(労災法8条の給付基礎日額)をベースとして、給付基礎日額が調整される。その結果、給付基礎日額が次のように分類されるようになる。
・ 8条の2の給付基礎日額 → 休業給付基礎日額
・ 8条の3の給付基礎日額 → 年金給付基礎日額
・ 8条の4の給付基礎日額 → 一時金の給付基礎日額
■ 休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付の額の算定の基礎として用いる金額を休業給付基礎日額という。給付基礎日額は、原則として上記で説明した給付基礎日額と算定した額を用いるが、支給期間が長引くと物価や賃金の上昇に伴い目減りしていくことがあるため、賃金をベースにスライドさせることにしている。給付基礎日額にスライドを適用し、実際の支給額として計算されたものが窮境給付基礎日額となる。
■ 四半期ごとの平均給与額が、算定事由発生日の属する四半期の平均給与額の100分の110を超え、又は100分の90を下るに至った場合において、その上昇し、又は低下するに至った四半期の翌々四半期に属する最初の日以後に支給すべき事由が生じた休業補償給付等については、その上昇し、又は低下した比率を基準として厚生労働大臣が定める率を労災法8条の規定により給付基礎日額として算定した額に乗じて得た額を休業給付基礎日額とする。(労災法8条の2第1項2号)
・ スライドにより改定された場合は当該スライド改定が行われた四半期の前々四半期
・ スライドが行われた場合にはスライド後の額
・ スライド制が適用される場合には、労災法8条の給付基礎日額で算定した額を基礎として、これにスライド率を掛け合わせて算出した額が休業給付基礎日額とされる。
■ つまり、スライド制が適用される場合には次のようになる。
・ 休業給付基礎日額=労災法8条の給付基礎日額×スライド率
■ なお、自動変更対象額のスライド制との関係については、後述を参照のこと。
■ 休業給付基礎日額のスライド制の仕組み
10月から12月の四半期の平均給与額が、算定事由発生日を含む四半期(1月から3月)の平均給与額に対し、10%を超えて変動した場合、翌々四半期(翌年4月から6月)からスライド適用となる。
・ 次のスライドは、10月から12月の四半期の平均給与額に対し、10%を超えて変動した場合に、同様のスライドが適用される。
■ スライドの適用が行われた場合において、更にスライド適用が行われる場合には、直前のスライド後の四半期の平均給与額と比較することになる。
■ 休業補償給付等を支給すべき事由が生じた日が当該休業補償給付等にかかる療養を開始した日から起算して1年6か月を経過した日以後の日である場合においては、年齢階層別の賃金構造基本統計調査(厚生労働省)による1月あたりの決まって支給する現金給与額を考慮して、毎問7月31日までに厚生労働大臣が定め告示する最低限度額及び最高限度額が適用される。これらは賃金構造の実態等に基づき12の年齢階層別に定められ、休業補償給付等を支給すべき事由が生じた日の属する四半期の初日における被災労働者の年齢により適用される。
■ 療養を開始した日から起算して1年6か月を経過した日とは、療養の開始の日の属する月の翌月から起算して18か月目の月において当該療養の開始の日に応当する日(応当する日がない場合は、当該18か月目の月の末日の翌日)である(労災法43条、民法143条2項)
■ 例えば、令和3年10月3日に療養を開始した場合には、令和3年11月から起算して18か月目の令和5年4月3日1年6か月を経過した日となる。また、10月31日に療養を開始したような場合は、4月31日という応当日がないため5月1日となる。
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■ 休業給付基礎日額の算定は、労災法8条の2第1項の休養給付基礎日額(スライド制を適用すべき場合はスライド制適用後の額)と被災労働者の年齢の属する年齢階層の最低・最高限度額とを比較して次のように行う。
■ X=労災法8条の2第1項の休業給付基礎日額(スライド制を適用すべき場合はスライド制適用後の額)
・ 最低限度額≦X≦最高限度額 → X
・ X<最低限度額 → 最低限度額
・ 最高限度額<X → 最高限度額
■ 毎月勤務統計と賃金構造基本統計調査
・ スライド制 → 毎月勤務統計
・ 年齢階層別最低限度額・最高限度額 → 賃金構造基本統計調査
■ 休業給付基礎日額の最低限度額及び最高限度額による年齢階層は、20歳未満、20歳以上25歳未満、・・、65歳以上70歳未満、70歳以上の12の年齢階層とされるが、この年齢階層ごとに、常用労働者の賃金を低い方から高い方へ並べ、最低限度額は、「下から5%目」の労働者が受けている賃金額を、最高限度額は「下から95%目」の労働者が受けている賃金額を基礎として定められている。
■ 算定事由発生日の属する年度の翌々年度の8月以降の分として支給する年金たる保険給付については、労災法8条の規定により給付基礎日額として算定した額に当該年金たる保険給付を支給すべき月の属する年度の前年度の平均給与額を算定事由発生日の属する年度の平均給与額で除して得た率を基準として厚生労働大臣が定める率を乗じて得た額を年金給付基礎日額とする。(労災法8条の3第1項2号)
■ 当該月が4月から7月までに該当する場合にあっては、前々年度の平均給与額
■ つまり、スライド制が適用される場合は次のようになる。
・ 年金給付基礎日額=労災保険法8条の給付基礎日額×スライド率
・ なお、自動変更対象額とスライド制との関係については、後述を参照のこと
■ 年金給付基礎日額のスライドについては、厚生労働省令で作成する毎月勤労統計による労働者1人当たりの平均給与額とその人の算定事由発生日の属する年度(毎年4月から翌年3月まで)における平均給与額との比率を基準として厚生労働大臣が定める率をスライド前の給付基礎日額に乗じて得た額が、算定事由発生日の属する年度の翌々年度の8月以降の年金給付基礎日額となる。
■ 年金たる保険給付が支給される最初の月から、支給されるべき労働者の年齢階層別に年金給付基礎日額の最低限度額と最高限度額を設ける。この限度額は、その年の8月から翌年の7月までに適用されるものであり、毎年、前年の賃金構造基本統計調査の結果に基づき定められる。(労災法8条の3第2項)
■ 年金給付基礎日額の算定は、労災法8条の3第1項の年金給付基礎日額(スライド制を適用すべき場合はスライド制適用後の額)と被災労働者の年齢の属する年齢階層の最低・最高限度額とを比較して次のように行う。
■ X=労災法8条の3第1項の年金給付基礎日額(スライド制を適用すべき場合はスライド制の適用後の額)
・ 最低限度額≦X≦最高限度額 → X
・ X<最低限度額 → 最低限度額
・ 最高限度額<X → 最高限度額
■ 傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金、傷病年金及び障害補償年金、複数事業労働者障害年金、障害年金にあっては、当該年金たる保険給付を受けている労働者の8月1日における年齢をもって同日から1年間の被災労働者の年齢とし、遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金、遺族年金の支給を受けている者に対する年齢階層別の最低・最高限度額の適用にあたっては、死亡した労働者が生きていると仮定した場合の8月1日における年齢をもって同日から1年間の年齢とする。
■ 年金給付基礎日額のスライドは、休業給付基礎日額と異なり、完全自動賃金スライドが採用されている。従って、微少な変動であってもスライド制が適用される(上下10%超の変動の要件はない)
■ 年金給付基礎日額に係る最低限度額・最高限度額は、療養開始後1年6か月を経過した者に対して適用される休業給付基礎日額と異なり、年金が支給される最初の月から適用される。
■ 年金給付基礎日額に適用される年齢階層別の最低・最高限度額は、休業給付基礎日額に適用されるものと同一のものである。
■ 給付基礎日額に休業給付基礎日額に係るスライド制又は年金給付基礎日額に係るスライド制が適用される場合には、自動変更対象額を下回る額が労災法8条の給付基礎日額とされることもある(労災則9条1項5号)
■ 自動変更対象額≦平均賃金相当額×スライド率の場合
・ 現金給付の額を決定する場合には、自動変更対象額以上の給付基礎日額によってその額を算定することとなるが、スライド制が適用される結果、自動変更対象額を超えることになる場合には、自動変更対象額を給付基礎日額とする必要がないため、平均賃金額を給付基礎日額として用いることとしている。
・ 例→平均賃金相当額3800円、スライド率1.11の場合
・ 3940円(自動変更対象額)≦3800円×1.11=4218円
・ この場合、3800円を8条の給付基礎日額とする。そうすると、休業・年金給付基礎日額は3800円×1.11=4218円となる。
■ 平均賃金相当額×スライド率≦自動変更対象額
・ 平均賃金相当額 3500円 スライド率1.11の場合
・ 3500×1.11=3885円<3940円(自動変更対象額)
・ この場合、3940を1.11で除して得た額を給付基礎日額とする。そうすると、休業給付基礎日額・年金給付基礎日額は3920円/1.11×1.11=3940円となる。
■ 障害補償一時金もしくは遺族補償一時金、複数事業労働者障害一時金若しくは複数事業労働者遺族一時金又は障害一時金若しくは遺族一時金の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額については、年金給付基礎日額と同様の方法によりスライド制が適用される。(労災法8条の4)
■ なお、これらの一時金の算定の基礎として用いる給付基礎日額については、年齢階層別の最低・最高限度額の適用はない。
■ 障害補償年金差額一時金、障害補償年金前払一時金、遺族補償年金前払一時金、複数事業労働者障害年金差額一時金、複数事業労働者障害年金前払一時金、複数事業労働者遺族年金前払一時金、障害年金差額一時金、障害年金前払一時金、遺族年金前払一時金のスライドについても本条の例によりスライドすることとされている。
■ 労災法17条、20条の7及び22条の5の規定により厚生労働大臣が定めることとされている。スライドについては遺族補償一時金等と同様のスライド措置が講じられる。
■ 給付基礎日額に1円未満の端数があるときは、これを1円に切り上げるものとする。(労災法8条の5)
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■ 特別加入者の給付基礎日額についてもスライド制は適用されるが、年齢階層別の最低・最高限度額の適用はない。
[労災法] 労働者災害補償保険法・重要箇所・Chapter2
業務災害による保険給付1
■ 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、療養を必要とする場合には、療養補償給付が行われる。療養補償給付には、療養の給付(病院等で診察や手術などを行う)と、療養の費用の支給(療養の給付を行うことが困難な場合や療養の給付を受けないことについて労働者に相当な理由がある場合に限り例外的に行われる)がある。
■ 療養補償給付は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合に行われる(労災法7条1項1号、12条の8第1項1号)
・ 療養補償給付は、療養の給付とする。
・ 上記の療養の範囲は、次のもの(政府が必要と認めるものに限る)とする。
・ 診察
・ 薬剤又は治療材料の支給
・ 処置、手術その他の治療
・ 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
・ 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
・ 移送
■ 療養の給付は、保険者である政府が労災保険の社会復帰促進等事業の一環として設置した病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院もしくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者(指定病院等)において行われる療養行為そのもの(現物支給)である。
■ 療養の給付は、その傷病が療養を必要としなくなるまで行われ、いったん療養を必要としなくなった場合であっても、その後再び当該傷病に就き療養を必要とするに至った場合(いわゆる再発の場合)は、再び給付が行われる。
■ リハビリテーション医療として行われる「業務上の事由又は通勤による傷病労働者に対して当該傷病に係る本来の治療に加え、疾病別リハビリテーション等を個々の症例に応じて総合的に実施して、労働能力の回復を図り職場復帰への医学的指針を与えるまでの一連の行為」についても、療養(補償)給付の一環として行われる。(平成19年基発0130005号)
■ 療養を行うべき範囲は、医師が療養上必要と認めたものをいい、現実に必要な療養のために用いた費用はそのまま支給される。ただし、医師が直接の指導を行わない温泉療養には、療養補償給付は支給しないが、病院等の付属施設で医師が直接指導するものについては、この限りでない。(昭和22年基発515号等)
■ 医師の同意がある場合の柔道整復師の施術は、療養補償給付である。(昭和51年基発171号等)
■ 歯科補綴の効果や技術上の必要から、特に金を使用することが適当である限り、これを両方補償として取り扱う(昭和23年基災発24号)
■ 義歯について、特別な必要から、金を使用する場合は療養補償給付である(昭和23年基災発171号)
■ 業務上災害で眼鏡又は義肢を破損した場合の修理又は購入の費用は療養補償の範囲ではない(昭和24年基災発313号)
■ 間接補助器、コルセット付歩行車は療養補償の範囲ではない。(昭和28年基災発140号)
■ 医師が必要と認めた場合の固定器具(コルセット等)は、療養補償給付である。(昭和31年基収3319号)
■ 労災指定医療機関又は労災指定病院に入院中の寝具料は療養の給付である。(昭和49年基発222号)
■ 死体移送に係る費用は療養補償給付ではない。(昭和27年基発747号)
■ 当初は受信が目的であったが、医師の診療を受けたときには既に死亡していた場合の往診、診療の費用は、療養補償給付である。(昭和34年基発1461号)
■ 死体検案料は療養補償給付ではない。(昭和34年基発1461号)
■ 労働者が遠隔地で死亡した場合の火葬料、遺体の移送費用は療養補償給付ではない。(昭和24年基収2303号)
■ 療養補償給付たる療養の給付を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した請求書(療養補償給付たる療養の給付請求書)を、当該療養の給付を受けようとする病院もしくは診療所、薬局又は訪問看護事業者(指定病院等)を経由して所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。(労災則12条)
・ 労働者の氏名、生年月日及び住所
・ 事業の名称及び事業場の所在地
・ 負傷又は発病の年月日
・ 災害の原因及び発生状況
・ 療養の給付を受けようとする指定病院等の名称及び所在地
・ 労働者が複数事業者である場合は、その旨
■ 前記3、4に掲げる事項については、事業主の証明を受けなければならない。
・ 労災法7条1項1号又は2号に規定する負傷、疾病、障害又は死亡が発生した事業場以外の事業場(非災害発生事業場)の事業主を除く。
■ いったん給付決定を受けた後に指定病院等を変更する場合には、療養補償給付たる量料の給付を受ける「指定病院等変更届」を、新たに療養の給付を受けようとする指定病院等を経由して、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
■ 他の業務災害に関する保健給付の請求書、通勤災害に関する保健給付の請求書にも、その記載事項として「(死亡した)労働者が複数事業労働者である場合は、その旨」が追加されている。
■ 療養の費用の支給は労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合に療養の給付をすることが困難な場合のほか、療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合に療養の給付に代えて行われる。(労災法7条1項1号、12条の8第1項1号、13条3項)
■ その地域に指定病院等が置かれていなかった場合や、特殊な医療技術や医療施設を必要とする傷病であって、近くの指定病院等に、これらの技術や施設が整っていない場合等、保険者(政府)側の事情によって療養の給付を行うことが困難な場合である。(昭和41年基発73号)
■ 当該傷病が指定病院等以外の病院、診療所等で緊急な療養を必要とする場合や、最寄りの病院、診療所等が指定病院等でない等の事情がある場合をいう。(昭和41年基発73号)
■ 療養補償給付たる療養の費用の支給を受けようとする者は、一定の事項を記載した請求書(療養補償給付たる療養の費用請求書)を、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。(労災則12条の2)
■ なお、請求書に記載すべき項目のうち、「負傷又は発病の年月日」、「災害の原因及び発生状況」については事業主の証明を、「傷病名および療養の内容」、「療養に要した費用の額」については医師その他の診療担当者の証明を受けなければならない。(非災害発生事業場の事業主を除く。)
■ 休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給する。(労災法14条1項)
■ 休業補償給付は、支給要件を満たしていれば、会社の所定休日分についても支給される。
■ 療養とは、原則として、業務災害による傷病について、医師又は歯科医師等の診療又は指導を受けていることをいい、当該傷病が治癒した後に行われる社会復帰促進等事業としての外科後処置診療は、療養には含まれない。従って、外科後処置診療のために労働不能であっても休業補償給付は支給されない。
■ 一般的に労働に従事することができない場合をいう。必ずしも傷病前に従事していた労働をすることができない場合に限るものではない。
■ 事業主から賃金を受けていないこととは、次のような日が該当すると解釈されている。(昭和40年基災発14号)
・ 全く働けない日で、事業主から平均賃金の60%未満の金額しか受けない日
1日の一部しか働けない場合で、その労働できない時間について、賃金を全く受けないか、平均賃金と実際の労働時間に対して支払われる賃金との差額の60%未満の金額しか受けない日
■ 負傷又は疾病が、当日の所定時間内に発生し、所定労働時間の一部について労働することができない場合については、平均賃金と実労働時間に対して支払われる賃金との差額の100分の60以上の金額が支払われているときであっても、休業補償が行われたものとして取り扱うので、その日は「休業する日」とされる。(休業補償は賃金に該当しないため、待期期間に算入される。)
■ 通院等のため所定労働時間の一部について労働することができない場合で、平均賃金と実労働時間に対して支払われる賃金との差額の100分の60以上の金額が支払われている場合にも、休業最初の3日間について休業補償がおこなわれたものとして取り扱うこととされている。(この場合も、待期期間に算入される。)
■ 休業補償給付は、継続していると断続しているとを問わず、実際に休業した日の第4日目から支給する。
■ 休業補償給付の支給が開始されるまでの3日間(待期期間)の休業日については、事業主は、労働基準法76条による休業補償(平均賃金の60/100相当額)を行わなければならない。
■ なお、休業補償給付の支給期間に制限は設けられていない。
■ 休業最初の3日間については、1日のうち一部でも休業していれば待期としてカウントされる。
■ 負傷当日は、諸例労働時間中に負傷した場合のみ休業日数に算入し、所定労働時間外の残業中に負傷した場合は、負傷当日は休業日数に算入しない。(昭和27年基収3208号)
■ 日雇、臨時雇い、パートタイマーの負傷、疾病は、休業補償給付の適用対象である。(昭和23年基収2370号)
■ 健康保険の被保険者が、労災保険法の休業補償給付を受けている間に新たに業務外の事由により疾病にかかり、その疾病の療養のために労働に服することができない場合においては、業務上の負傷に対する療養のため労務に服することができないと認められる期間中は休業補償給付を支給する。(昭和23年基収102号)
■ 休業補償給付は、1日につき給付基礎日額の100分の60に相当する額とする。
■ 労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日若しくは賃金が支払われる休暇(部分算定日)又は複数事業労働者の部分算定日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額(労災法8条の2第2項2号に定める額(最高限度額)を給付基礎日額とすることとされている場合にあっては、この規定の適用がないものとした場合における給付基礎日額)から部分算定日に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあっては、最高限度額に相当する額)の100分の60に相当する額とする。(労災法14条1項)
■ 業務災害に関する保険給付については、原則として従来と取扱いが変わるものではないが、複数事業労働者に関する保険給付に係る給付基礎日額については、複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算することとなる。
■ これに伴い、一の事業場において有給休暇を取得するなどして一部の賃金を受けつつ、他の事業場において負傷又は疾病により無給での休業をして、「賃金を受けない日」に該当する場合がありうる。
■ 複数事業労働者に対する稼得能力の填補の観点からは、一の事業場で有給休暇の取得により賃金を受けている場合であっても、他の事業場における無給での休業に対し、休業補償給付が支払われることが適切であることから、所定労働時間のうちその一部についてのみ労働する日に加えて、同じくその一部についてのみ賃金が支払われる休暇(部分算定日)が新たに規定された。(令和2年基発0821第2号)
■ 支給額の原則
1日につき→給付基礎日額×100分の60
■ 所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日がある場合
1日につき→(給付基礎日額-部分算定日(労働する日)に対して支払われる賃金の額)×100分の60
■ 年齢階層別さの最高限度額との関係は、給付基礎日額(最高限度額が適用される場合にあっては、その適用がないものとした場合の額)から部分算定日に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(その額が最高限度額を超える場合にあっては、最高限度額)の100分の60相当額とする。
■ 所定労働時間の全部を休業する場合の「賃金を受けない日」には、「平均賃金の60%未満の金額しか受けられない日」が含まれる。例えば、事業主から平均賃金の50%が支給される場合でも、「賃金を受けない日」とされ、休業補償給付は全額支給される。このため、①事業主から平均賃金の50%、②労災保険からの休業補償給付として給付基礎日額(平均賃金)の60%、休業特別支給金として休業補償給付(平均賃金)の20%、①と②の合計額は平均賃金の130%と、結果的に平均賃金額より高くなることもある。
■ 複数事業労働者の休業(補償)等給付に係る部分算定日当の取扱いについて(令和3年基管発0318第1号・基補発0318第6号・基保発0318第1号)
■ 記載事項のうち一定の事項については、事業主又は診療担当者の証明を受けることが必要である。
■ なお、平均賃金などの給付の額の算定の基礎となる事項については、複数事業労働者に係る非災害発生事業場の事業主の証明を受けることも必要である(給付基礎日額に基づき給付額を算定する他の保険給付についても同様)
■ 休業補償給付を受ける労働者が、同一の事由について厚生年金保険法の規定による障害厚生年金又は国民年金法の規定による障害基礎年金を受けることができるときは、政令で定める調整率(調整率は傷病補償年金と同じ)を休業補償給付の額に乗じることによって減額調整を行う。(労災法14条2項)
■ なお、休業補償給付の額に調整率を乗じて得た額が、調整前の休業補償給付の額から同一の事由により支給される障害厚生年金等の額の365分の1に相当する額を減じた額を下回る場合には、調整前の休業補償給付の額から当該障害厚生年金等の額の365分の1に相当する額を減じた額が、休業補償給付の支給額とされる(労災法別表第1、労災令1条)
■ 労働者が次のどれかに該当する場合(厚生労働省令で定める場合に限る)には、休業補償給付は、行わない。(労災法14条の2)
・ 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されている場合
・ 少年院その他これに準ずる施設に収容されている場合
■ 労災法14条の2の厚生労働省令で定める場合は、次のいずれかに該当する場合とする。
・ 懲役、禁錮若しくは交流の刑の執行のためもしくは死刑の言い渡しを受けて刑事施設に拘置されている場合若しくは留置施設に留置されて懲役、禁錮若しくは交流の刑の執行を受けている場合、労役場留置の言い渡しを受けて労役場に留置されている場合又は監置の裁判の執行のため監置場に留置されている場合
・ 少年法24条の規定による保護処分として少年院若しくは児童自立支援施設に送致され、収容されている場合又は売春防止法17条の規定による補導処分として婦人補導院に収容されている場合
■ これらの施設に拘禁又は収容されている期間は、待期期間には算入されない。また事業主は、労働基準法の規定による休業補償を行う必要もない。
■ この規定は、複数事業労働者休業給付、休業給付についても準用されている。
■ 休業補償給付を受ける権利は、業務上の傷病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日ごとに発生し、その日ごとに発生する受給権については、それぞれその翌日から起算して2年を経過したときは、時効によって消滅する。(労災法42条)
■ 休業補償給付の受給権者には、社会復帰促進等事業の一環として、休業第4日目から休業1日について休業給付基礎日額の100分の20に相当する額の休業特別支援金が支給される。(特支則3条)
■ 療養開始後1年6か月を経過した者は、その後も引き続き長期にわたる療養を要することが多く、療養開始後1年6か月を経過すると、その傷病の治癒の有無にかかわらず、その傷病について障害厚生年金等が支給されることになっている。これらの制度との均衡を保つために昭和51年度の改正により新設された。
■ 傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病にかかる療養の開始後1年6か月を経過した日において次のいずれにも該当しているとき、又は同日後次のいずれにも該当することとなったときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。(労災法12条の8第3項)
・ 当該負傷又は疾病が治っていないこと。
・ 当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級(第1級から第3級)に該当すること。
■ 療養開始後1年6か月を経過した日に傷病が治癒していないが、その傷病による障害の程度が傷病等級に該当しない労働者には、引き続き療養補償給付のほか、所定の要件に該当すれば休業補償給付が支給される。また、1年6か月経過後、その労働者の傷病の程度が重くなり、傷病等級に該当するに至った場合には、そのときから傷病補償年金が支給される。
■ 傷病補償年金の支給については、所轄労働基準監督署長は、当該労働者についてその支給の決定をしなければならない。(労災則18条の2第1項)
■ 傷病補償年金の支給は、労働者からの請求に基づいて行われるものではなく、政府(所轄労働基準監督署長)が職権で、その支給決定を行うこととなっている。変更についても同様である(労災則18条の2第1項)
・ 届出(労災則18条の2第2項・3項)
・ 所轄労働基準監督署長は、傷病補償年金の支給決定を行う必要から、労働者の傷病が療養開始後1年6か月を経過した日において治っていない場合は、同日以後1箇月以内に「傷病の状態等に関する届書」を労働者に提出させることとしている。
・ この届書には、届書を提出するときにおける傷病の状態の立証に関し必要な医師又は歯科医師の診断書その他の資料を添えなければならない。
・ 障害の状態の認定(労災則18条2項)
・ 傷病等級に定められた障害の程度は、6か月以上の期間にわたって存する障害の状態によって認定する。
■ 傷病補償年金は、支給要件を満たした月の翌月から支給される。この場合に、休業補償給付との関係が問題となる。
■ 傷病補償年金を受ける者には、休業補償給付は、行わない。(労災法18条2項)
■ 傷病補償年金の支給は支給事由が生じた月の翌月から始め、支給を受ける権利が消滅した月で終わるため、傷病補償年金の支給事由が生じた場合にも、その支給事由の生じた月の末日まで、引き続き休業補償給付が行われる。
■ 傷病補償年金と、休業補償給付は併給できないが、傷病が治癒するまで行われる療養補償給付と傷病補償給付は、併給することができる。(昭和52年基発192号)
■ 傷病補償年金は、傷病等級に応じ、次の額とする。
・ 第1級(常時介護を要する状態)→ 給付基礎日額の313日
・ 第2級(随時介護を要する状態)→ 給付基礎日額の277日
・ 第3級(常に労務に服することができない状態)→ 給付基礎日額の245日
313日の根拠とは
1年=52週。週休1日とすると、365-52=313日(第1級)
■ 傷病補償年金の受給権者の障害の程度が傷病等級に該当しなくなったときは、傷病補償年金の受給権は消滅するが、その者の同一の傷病による障害の程度が再び傷病等級に該当するに至った場合には、当然その者に再び傷病補償年金が支給されることとなる。
■ 所轄労働基準監督署長は、障害の程度に変更があった場合は、当該労働者について傷病等級の変更による傷病補償年金の変更に関する決定をしなければならない。(労災則18条の3)
■ 傷病補償年金が支給される場合に、同一の事由により厚生根人保険の障害厚生年金等が支給されるときには、政令で定める調整率を傷病補償年金の所定額に乗ずることによって、減額調整を行う。
■ ただし、併給の結果、傷病補償年金のみの受給権を有する場合より、受給合計額が低くなることのないよう調整限度額が設けられている。傷病補償年金の所定額に調整率を乗じて得た額が、調整前の傷病補償年金の額から同一の事由により支給される障害厚生年金等の額を減じた残りの額を下回る場合には、その調整前の傷病補償年金の額から同一の事由により支給される障害厚生年金等の額を減じた残りの額に相当する額が、傷病補償年金の支給額とされる(労災法別表第1、労災令3条、5条、7条)。その場合には減額後の傷病補償年金の額と当該厚生年金等の額を合算した額が、調整前の傷病補償年金の額と同額となる。
■ 傷病補償年金は、政府(所轄労働基準監督署長)が職権によりその支給を決定するものであり、これを受ける権利については、時効の問題は生じない。
■ ただし、支給が決定された支払期ごとに生ずる請求権(これを支分権という)については、会計法30条の規定により、5年の消滅時効にかかることとなる。
■ 傷病補償年金の受給権者に対しては、社会復帰促進等事業の一環として、傷病特別支給金及び傷病特別年金が支給される。(労災法29条)
■ 労働者が、次のいずれかに該当した場合には、使用者は、その日に、労働基準法81条の打切補償を支払ったものとみなされ、当該労働者について同法19条の規定による解雇制限が解除される。(労災法19条)
・ 労働者が、業務上の傷病による療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合(その日)
・ 労働者が、業務上の傷病による療養の開始後3年を経過した後において傷病補償年金を受けることとなった場合(受けることとなった日)
■ 使用者は業務上の傷病により休業する期間が療養の開始後3年を超え、なお、傷病が治癒しない場合には、労働基準法81条の規定による平均賃金1200日分の打切補償を支払うことにより、業務上の傷病のために休業している期間であっても解雇制限は解除される。
[労災法] 労働者災害補償保険法・重要箇所・Chapter3
業務災害による保険給付2
■ 障害補償給付は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり治った場合(これを「治癒」という)に身体に障害が残ったときに、その障害の程度に応じて支給される。
■ 労災保険法では、障害を140種類ほどに類型化し、第1級から第14級までの障害等級表を定めている。この障害等級に応じて、比較的軽い障害に関しては一時金で支給し、重い障害に関しては年金給付を行う。
■ 障害補償給付は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり治ったときに厚生労働省令で定める障害等級に該当する場合に、その等級に応じ、第1級障害から第7級障害の場合は、障害補償年金、第8級障害から第14級障害の場合は障害補償一時金が支給される。(労災法15条1項)
■ 治癒とは、症状が安定し、疾病が固定した状態にあるものをいうのであって、治療の必要がなくなったものである。(昭和23年基災発3号)
■ 同一の負傷又は疾病が再発した場合には、その療養の期間中は、障害補償年金の受給権は消滅する。
■ 障害補償年金又は障害補償一時金の額は、それぞれ、別表第1又は別表第2に規定する額とする。
・ 障害補償年金(別表第1)
・ 第1級→313日
・ 第2級→277日
・ 第3級→245日
・ 第4級→213日
・ 第5級→184日
・ 第6級→156日
・ 第7級→131日
・ 障害補償一時金(別表第2)
・ 第8級→503日
・ 第9級→391日
・ 第10級→302日
・ 第11級→223日
・ 第12級→156日
・ 第13級→101日
・ 第14級→56日
■ 傷病補償年金と異なり、障害補償給付の支給を受けるには請求が必要である。
■ 障害補償年金が支給される場合に、同一の事由により厚生年金保険の障害厚生年金等が支給されるときには、政令で定める調整率を障害補償年金の所定額に乗ずることによって減額調整を行う。商材は社会保険との調整を参照のこと
■ 障害補償給付(障害補償年金、障害補償一時金)を受ける権利は、傷病が治った日の翌日から起算して5年を経過したときは、時効によって消滅する。(労災法42条)
■ 障害補償給付の受給権者に対しては、社会復帰促進等事業の一環として、障害特別支給金及び障害特別年金又は障害特別一時金が支給される。(労災法29条)
■ 障害等級は、年金給付になるか一時金給付になるかの区別に加え、本試験対策としては、その決定方法に関しても重要項目となる。障害等級表には、典型的な障害を140種類ほど上げているに過ぎないため、この決定に関して一定の基準が設けられている。
■ 障害等級表(別表第1)に掲げるもの以外の身体障害については、その障害の程度に応じ、同表に掲げる身体障害に準じてその障害等級を定める。(労災則14条4項)
■ 障害等級表に掲げられていない障害については、障害等級表に定められている同程度の障害等級に準じた障害等級となる。
■ 身体障害が2以上ある場合には、重い方の身体障害の該当する障害等級による。(労災則14条2項)
■ 同一の業務災害により2以上の身体障害を残した場合の障害等級は、原則としてこれらのすべての身体障害のうち最も重い身体障害の属する障害等級とされる。しかし、この原則をそのまま適用すると、時に著しく不均衡な場合が生ずることがあるため、一定の場合には障害等級の繰上げが行われる。
■ 次の場合には、重い方の身体障害の該当する障害等級を、それぞれ1級から3級繰り上げて障害等級を決定する。(労災則14条3項)
・ 第13級以上の身体障害が2以上あるとき→1級繰り上げる
・ 第8級以上の身体障害が2以上あるとき→2級繰り上げる
・ 第5級以上の身体障碍が2以上あるとき→3級繰り上げる
■ 例外に該当するのは、第9級と第13級とが繰り上げられる場合だけであり、「第9級(391日分)+第13級(101日分)=491日分<「第8級=503日分」となるため、支給額は合算額(492日)となる。(障害等級その者は併合繰上げにより第8級となる)
■ 右手の母指の亡失(第9級、給付基礎日額391日分)と左小指の亡失(第13級、給付基礎日額101日分)が存する場合→原則を適用すると、同一の業務災害により9級と13級の障害を残した場合に該当し、障害等級は(9級、391日分)+(13級、101日分)となり、繰り上げて第8級(503日分)となる。ここで、第8級の支給額(503日分)が第9級と第13級の各一時金の合算額(492日分)を上回るため、この場合の障害補償一時金の額は、当該合算額(492日分)となる。
■ 既に身体障害のあった者(業務上のものであるか業務外のものであるか、選定性のものであるか後天性のものであるかを問わない)が、負傷又は疾病により同一の部位について障害の程度を加重した場合における当該事由に係る障害補償給付は、現在の身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付とする。(労災則14条5項)
■ 同一の部位とは、必ずしも場所的に完全に一致する必要はない。例えば、左耳の聴力を失った労働者がさらに右耳の聴力も失ったとき等も含まれる(左右両器官をもって一機能を果たす相対性器官であるため両耳を同一部位とする)。
■ 業務上の負傷又は疾病により障害等級が加重することをいう。
■ 自然的経過によって障害の程度が重くなった場合は、「加重」とは言わず、「変更」と呼ぶ
■ 加重後の身体障害の該当する等級の給付の額(日数)から、加重前の身体障害に該当する等級の給付の額(日数)を控除して得た日数となる。
・ 加重前・加重後の障害がともに第7級以上(年金)の場合
・ 加重後の障害補償年金の日数-加重前の障害補償年金の日数
・ 加重前・加重後の障害がともに第8級以下(一時金)の場合
・ 加重後の障害補償一時金の日数-加重前の障害補償一時金の日数
・ 加重前の障害が第8級以下(一時金)で加重後の障害が第7級以上(年金)の場合
・ 加重後の障害補償年金の日数-加重前の障害補償一時金の日数×1/25
■ 加重前の障害が7級で加重後の障害が1級の場合は
313日分(1級)-131日分(7級)=182日
131日分と182日分の2つの年金の支給(ただし、給付基礎日額は異なる)
■ 加重前の障害が8級で加重後の障害が1級の場合
313日分(1級)-503日分(8級)×1/25=1つの年金として支給
■ 加重前が一時金、加重後が根人の場合は、一時金を年金に引き直して額の算定が行われる。
■ 障害補償一時金の支給を受けた労働者について、その傷病が再発し、治癒した場合に障害の程度が障害等級第7級以上に該当する場合には、加重の取扱いが適用され障害補償根人が支給さえることから、その額は原則として、既に受けた障害補償一時金の額の25分の1を差し引いた額となる。
■ 障害補償年金を受ける労働者について、その障害の程度が自然的な経過により増進し、又は軽減したために、新たに他の障害等級に該当するに至った場合には、以後これに応じて、その該当するに至った障害等級に応ずる障害補償給付が支給される。
■ 障害補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があったため、他の障害等級に該当するに至った場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに該当するに至った障害等級に応ずる障害補償年金又は障害補償一時金を支給するものとし、その後は、従前の障害補償年金は、支給しない。(労災法15条の2)
■ 変更後の障害等級がs第1級から第7級までのときには障害補償年金の額が改定され、第8級から第14級までの時には従前の障害補償年金の支給を打ち切り、新たに障害補償一時金が支給されることとなる。
■ 障害の程度の変更により障害補償給付の変更が行われるのは、障害補償年金を受けている労働者に限られ、障害補償一時金を受けた場合には、変更は行われない。
■ 障害補償年金、複数事業労働者障害年金又は障害年金の受給権者は、その障害の程度に変更があった場合には、遅滞なく、文書でその旨を所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。(労災則21条の2第1項5号)
■ 障害補償年金の支給事由となっている障害の程度が、自然的に変更した場合(新たな傷病、又は傷病の再発によらない変更)には、職権又は請求により、その変更が障害等級第1級から第7級(年金)の範囲内であるときは、その変更のあった月の翌月から障害補償年金の額を改定し、その変更が障害等級第8級以下(一時金)に及ぶときは、その月までの障害補償年金の支給を打ち切り、障害補償一時金を支給することとされている。(昭和41年基発73号)
■ 障害補償年金の受給権者が、年金の支給を受け始めてすぐに死亡したような場合に、一定の額を支給する制度が障害補償年金差額一時金である。
■ 政府は、当分の間、障害補償年金を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その者に支給された障害補償年金及び障害補償年金前払一時金の額の合計額が障害等級に応じて定められている一定額に満たないときは、その者の遺族に対し、その請求に基づき、保険給付として、その差額に相当する額の障害補償年金差額一時金を支給する。(労災法附則58条1項)
■ 障害補償年金差額一時金を受給することができる者は、次に掲げる者である。
・ 労働者の死亡当時その者と生計を同じくしていた配偶者(いわゆる内縁関係にあった者を風k無)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹
・ 上記に該当しない配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹
■ 支給を受ける順位は、上記1の遺族が優先し、また、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹のうちにあっては、この順序による。
■ 遺族補償年金は業務上の事由以外の事由によって受給権が発生することはないが、障害補償年金差額一時金の死亡事由は私傷病であっても構わない。
■ 障害補償年金差額一時金の支給事由及び支給額の基礎となる一定額は、障害等級に応じ、次のように定められている。
・ 第1級→1340日
・ 第2級→1190日
・ 第3級→1050日
・ 第4級→920日
・ 第5級→790日
・ 第6級→670日
・ 第7級→560日
■ 障害補償年金差額一時金の受給権者が2人以上あるときは、所定の額をその人数で除して得た額が各受給権者に対して支給される障害補償年金差額一時金の額とされる。(労災法附則58条5項)
■ また、加重障害の場合の障害補償年金差額一時金の額については、加重後の障害等級に応ずる表中の額から既にあった身体障害の該当する障害等級(加重前の障害等級)に応ずる表中の額を控除した額を差し引いた額とされている。
■ 障害補償年金の受給権者のうち自然的経過によって障害の程度の変更があった者が死亡した場合における障害補償年金差額一時金については、当該死亡したときにおける障害の程度によって支給額を算定することとされている。
■ 時効→5年
■ 障害補償年金差額一時金の受給権者に対しては、社会復帰促進等事業の一環として、障害特別年金差額一時金が支給される(労災法29条・特別支給金支給規則附則6項)
■ 障害補償年金の受給権者を故意に死亡させた者及び障害補償年金の受給権者の死亡前に、当該受給権者の死亡によって障害補償年金差額一時金を受けることができる先順位又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、障害補償年金差額一時金の受給資格者としない(労災法附則58条5項)
■ 労働者の死亡の推定に関する規定(労災法10条)の適用にあたっては、障害補償年金差額一時金は遺族補償給付とみなして、この規定が適用される。(労災法附則58条4項)
■ 障害補償年金の前払として、受給権者の請求により、一定額の範囲内の年金を一括して一時金として支給する障害補償年金前払一時金制度が設けられている。被災労働者の社会復帰に際して、一時的に資金を必要とすることが多いことに応えた規定である。
■ 障害補償年金の受給権者の請求により障害等級に応じて、給付基礎日額の1340日分(第1級)から560日分(第7級)までの額を上限として、その選択する額を前払することとしている。
■ 障害補償年金前払一時金の額(労災則附則24項)
・ 第1級→200日分から200日刻みで最高1200日分又は1340日
・ 第2級→200日分から200日刻みで最高1000日分又は1190日
・ 第3級→200日分から200日刻みで最高1000日分又は1050日
・ 第4級→200日分から200日刻みで最高800日分又は920日
・ 第5級→200日分から200日刻みで最高600日分又は790日
・ 第6級→200日分から200日刻みで最高600日分又は670日
・ 第7級→200日分、400日分又は560日
■ 障害補償年金前払一時金の額は、算定事由発生日の属する年度の翌々年度の8月以降に障害補償年金の支給を受ける権利が生じた場合にあっては、当該障害補償年金前払一時金を障害補償一時金と、当該障害補償年金を受ける権利が生じた月を障害補償一時金を支給すべき事由が生じた月とそれぞれみなして労災保険法8条の4(一時金の給付基礎日額のスライド制)を適用したときに得られる給付基礎日額に基づいて算定される。
■ 障害補償年金前払一時金の請求は、障害補償年金の請求と同時に行わなければならない。障害補償年金前払一時金の請求は、同一の事由に関し、1回に限り行うことができる。(労災則附則26項、27項)
■ 障害補償年金の決定の通知があった日の翌日から起算して1年を経過する日までの間は、障害補償年金の請求と同時でなくても障害補償年金前払一時金を請求することができる(ただし、その額は、前払一時金の最高限度額から既に支払われた障害補償年金の額の合計額を減じた額の範囲内で選択することになる)。この場合の支給時期は、1月3月5月7月9月又は11月のうち当該障害補償年金前払一時金の請求をした月後の最初の月とされている。
■ 労災法附則59条3項の規定により障害補償年金の支給が停止される期間は、以下に掲げる額の合算額が障害補償年金前払一時金の額に達するまでの間とする。
・ 障害補償年金前払一時金が支給された月後最初の障害補償年金の支払期月から1年を経過した月前に支給されるべき障害補償年金の額
・ 障害補償年金前払一時金が支給された月後最初の障害補償年金の支払期月から1年を経過した月以後各月に支給されるべき障害補償年金の額を算定事由発生日における法定利率にその経過した年数(当該年数に1未満の端数を生じたときは、これを切り捨てる者とする)を乗じて得た数に1を加えた数で除して得た額の合算額(労災則附則30項)
■ 時効→2年
■ 障害補償年金前払一時金の支給を受けたため障害補償年金の支給が停止されることとなった場合であっても、国民年金法30条の4の規定による障害基礎年金(いわゆる20歳前の傷病による障害基礎年金)並びに児童扶養手当法等による一定の手当は、支給されない。(労災法附則59条6項)
■ 児童扶養手当法に規定する児童扶養手当、特別児童扶養手当、障害児童福祉手当をいう。
■ 介護が必要となった被災労働者の家族の負担を軽減するとともに、被災労働者が必要な介護を受けられるようにきめ細やかな援助をしていくために、従来労働福祉事業(現在、社会復帰促進等事業)の一環として支給されていた介護料を、平成7年の法改正により、その支給対象を拡大し、保険給付として位置づけたのが介護(補償)給付である。
■ 介護補償給付は、障害補償年金又は傷病補償年金を受ける権利を有する労働者が、その受ける権利を有する障害補償年金又は傷病補償年金の支給事由となる障害であって厚生労働省令で定める程度のものにより、常時又は随時介護を要する状態にあり、かつ、常時又は随時介護を受けているときに、当該介護を受けている間(不支給対象施設に入所している間を除く)、当該労働者に対し、その請求に基づいて行う。(労災法12条の8第4項)
■ 介護補償給付、複数事業労働者介護給付又は介護給付における介護を要する障害の程度については、労災保険法施行規則別表第3の要介護障害程度区分表により定められている。(第2級以上のすべての障害が対象となるわけではない。)
■ 要介護障害程度区分表(労災則別表第3)
・ 常時介護を要する状態
・ 障害等級1級のうち神経系統の機能若しくは精神に著しい障害を残し、常に介護をようするもの又は傷病等級1級のうち神経系統の機能若しくは精神に著しい障害を有し、常に介護を要するもの。
・ 障害等級1級のうち胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの又は傷病等級1級のうち胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に介護を要するもの
・ 上記のいずれにも該当しない身体障害が2以上ある場合その他の場合における障害等級1級の身体障害又は傷病等級1級の障害の状態(上記と同程度の介護を要する状態にあるものに限る)
・ 随時介護を要する状態
・ 障害等級2級のうち神経系統の機能若しくは精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの又は傷病等級2級のうち神経系統の機能若しくは精神に著しい障害を有し、随時介護を要するもの
・ 障害等級2級のうち胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの又は傷病等級2級のうち胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、随時介護を要するもの
・ 上記のいずれにも該当しない障害等級1級の身体障害又は傷病等級1級の障害の状態(上記と同程度の介護を要する状態にある者に限る)
■ 介護補償給付は、月を単位として支給するものとし、その月額は、常時又は随時介護を受ける場合に通常要する費用を考慮して厚生労働大臣が定める額とする。
・ 介護費用を支出して介護を受けた日がある場合(以下を除く)
・ 支給すべき事由が生じた月及び支給すべき事由が生じた月の翌月から支給すべき事由が消滅した月
・ 実費、ただし、その額が171650円(85780円)を超えるときは171650円(85780円)
・ 親族等による介護を受けた日がある場合
・ 介護費用を支出した場合でその額が73090円(36500円)未満の場合
・ 支給すべき事由が生じた月 → 実費
・ 支給すべき事由が生じた月の翌月から支給すべき事由が消滅した月 → 73090円(36500円)
・ 介護を受けることがなくなった月については、1か月分の給付を行う。
・ 介護費用を支出していない場合
・ 支給すべき事由が生じた月 → 支給しない
・ 介護を受け始めた月には給付を行わず、その翌月から給付を行う。
・ 支給すべき事由が生じた月の翌月から支給すべき事由が消滅した月→ 73090円(36500円)
・ 介護を受けることがなくなった月については、1か月分の給付を行う。
・ ()内は要介護障害程度区分表(労災則別表第3)の「随時介護を要する状態」のいずれかの障害の程度に該当する場合
■ 被災労働者(常時介護を要する状態)について、73090円が最低保障されるのは、「その月に費用を支出して介護を受けた日がない場合又は介護に要する費用とし出された額が73090円に満たない場合であって、親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日がある場合」とされる。
■ したがって、その月において親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日がない場合には、最低保障はない。
■ 介護補償給付は、月を単位として支給する。従って、原則として支給事由の発生した月(介護を受け始めた月)から介護を受けなくなった月まで支給される。
■ 細かい金額を覚えるのではなく、どういう場合に実費が支給されるのか、最低保障額が支給されるのか、支給されないのかを押さえること。
■ 親族等による介護を受けた日がある場合の支給の形態
・ 業者のみ
・ 当月→実費
・ 翌月以降→実費
・ 親族など+業者
・ 当月→実費
・ 翌月以降→定額
・ 親族など
・ 当月→×(支給しない)
・ 翌月以降→定額
■ 介護補償給付の請求は、障害補償年金を受ける権利を有する者については障害補償年金の請求と同時に又は請求後に、傷病補償年金を受ける権利を有する者については、当該傷病補償年金の支給決定を受けた後に行わなければならない。(労災則18条の3の5第1項・2項・平成8年基発95号)
■ 請求の際に、医師又は歯科医師の診断書の添付が必要であるが、継続して2回目以降を請求する場合には、診断書の添付は必要としない。
■ 以下の場合には、その間、介護補償給付は支給されない。(労災法12条の8第4項)
・ 障害者総合支援法に規定する障害者支援施設に入所している間(同法に規定する生活介護を受けている場合に限る。)
・ 障害者支援施設(生活介護を行う者に限る)に準ずる施設として厚生労働大臣が定めるものに入所している間
・ 病院又は診療所に入院している間
■ 厚生労働大臣が定めるもの(労災則18条の3の3)
・ 老人福祉法の規定による特別養護老人ホーム
・ 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に規定する原子爆弾被爆者特別養護ホーム
・ 上記に定めるもののほか、親族又はこれに準ずる者による介護を必要としない施設であって当該施設において提供される介護に要した費用に相当する金額を支出する必要のない施設として厚生労働大臣が定めたもの(現在定められていない。)
■ 介護補償給付を受ける権利は、支給事由が生じた月の翌月の初日から起算して2年を経過したときは時効によって消滅する。
[労災法] 労働者災害補償保険法・重要箇所・Chapter4
業務災害による保険給付3
■ 遺族補償給付は、遺族補償年金又は遺族補償一時金とする。(労災法16条)
■ 遺族補償年金前払一時金の請求ができる者は、遺族補償年金の受給権を有する者に限られる。
■ 労働者が業務上死亡した場合において、一定の遺族に対して遺族補償年金が支給される。(労基法79条、労災法12条の8第1項4号)
■ 労働者が業務上の事由により死亡した場合のほか、船舶・航空機に乗っていた労働者が沈没・墜落などの事故により行方不明になり、その生死が3か月間わからない場合にも支給される。
■ 遺族補償年金は、実際に遺族補償年金の支給を受ける遺族(受給権者=受給資格者のうち最先順位者)と、この給付を受けることができる遺族(受給資格者)の2つに分けて考える。これは、労災保険の遺族補償給付では、最先順位者が受給権を失ったときに、次順位者が受給権者となる転給という制度があるためである。
■ 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとする。(労災法16条の2、昭和40年労災法附則43条)
■ 妻
・ 年齢条件 なし
・ 障害条件 なし
・ 生計維持 要
■ 子・孫
・ 年齢条件 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間
・ 障害条件 厚生労働省令で定める障害の状態
・ 生計維持 要
■ 夫・父母・祖父母
・ 年齢条件 60歳以上(当分の間、55歳以上(60歳まで支給停止))
・ 障害条件 厚生労働省令で定める障害の状態
・ 生計維持 要
■ 兄弟姉妹
・ 年齢条件 
・ 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間
・ 60歳以上(当分の間、55歳以上(60歳まで支給停止))
・ 障害条件 厚生労働省令で定める障害の状態
・ 生計維持 要
■ 夫・妻については、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同等の事情にあった者を含む
■ 労働者の死亡の当時対峙であった子が出生したときは、受給資格者の規定の適用については、将来に向かって、その子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたことみなされる。この場合、当該子が労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していなかった母(死亡労働者の妻)から出生した場合であっても、当該子は、将来に向かった受給資格者となる。
■ 遺族補償年金を受けるべき遺族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹の順序とされる。
■ 遺族補償給付を受けることができる配偶者には、「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情があった者」も含まれ、重婚的内縁関係にあった者でも、届出による婚姻関係がその実態を失って形骸化し、かつ、その状態が固定化して近い将来解消される見込みがなかった場合には、当該事実上の婚姻関係にあった者が、遺族補償給付をうけることができる配偶者となりうる。(平成10年基発627号)
■ 夫、父母、祖父母及び兄弟姉妹については、当分の間、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持し、かつ、55歳以上60歳未満であって者も受給資格者とする。(昭和40年労災法附則43条)
■ 身体が別表第1の障害等級の第5級以上に該当する障害がある場合又は負傷若しくは疾病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、労働が高度の制限を受けるか、もしくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態とする。(労災則15条)
■ 必ずしも死亡時点に現に労働者の収入によって生計を維持していることを要しない。労働者が負傷し、又は疾病にかかった当時にその収入によって生計を維持していた場合には、一般に労働者が業務上被災しなかったならばその死亡当時においてもその収入によって生計を維持していたであろうと推定できるから、死亡時点において状況が変わっていても、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していたものとして扱われる。
■ 労働者の収入によって何らかの程度において生計を維持していたということで足り、専ら又は主として労働者の収入によって生計を維持していたということまで必要ではなく、例えば、共稼ぎの夫婦も互いにその収入によって生計を維持していたものとされる。ただし、いわゆる三世代同居の場合において、死亡労働者の子又は父母に相応の所得(当該収入によって当該遺族の消費生活のほとんどを維持しうると認められる程度の収入)がある場合には、死亡労働者の孫や祖父母はこれらの者(死亡労働者の子又は父母)によって生計を維持されているのが通常であり、死亡労働者の収入によって生計を維持していたとは、検束として認められない。
■ 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたことの認定は、当該労働者との同居の事実の有無、当該労働者以外の扶養義務者の有無その他必要な事項を基礎として厚生労働省労働基準局長が定める基準によって行う。(労災則14条の4)
■ 「生計を維持していた」とは、専ら又は主として労働者の収入によって生計を維持していたことを要せず、労働者の収入によって生計の一部を維持していれば足りる。(昭和41年基発73号)
■ 遺族補償年金は、受給資格者のうちの最先順位者だけが支給を受けることになる。この最先順位者のことを受給権者と呼ぶ。受給権者となる順位は次のとおりである。
・ 第1順位 妻・夫 (夫→60歳以上又は一定の障害)
・ 第2順位 子 (18歳年度末まで又は一定の障害)
・ 第3順位 父母 (60歳以上又は一定の障害)
・ 第4順位 孫 (18歳年度末まで又は一定の障害)
・ 第5順位 祖父母 (60歳以上又は一定の障害)
・ 第6順位 兄弟姉妹 (18歳年度末まで又は60歳以上又は一定の障害)
・ 第7順位 夫 (55歳以上60歳未満(ただし60歳までは支給停止)・若年支給停止)
・ 第8順位 父母 (55歳以上60歳未満(ただし60歳までは支給停止)・若年支給停止)
・ 第9順位 祖父母 (55歳以上60歳未満(ただし60歳までは支給停止)・若年支給停止)
・ 第10順位 兄弟姉妹 (55歳以上60歳未満(ただし60歳までは支給停止)・若年支給停止)
■ 最先順位者が2人以上あるときは、その全員がそれぞれ受給権者となる。
■ 遺族補償年金の受給権者となる者は、労働者が死亡した当時の最先順位者だけではない。幸先順位者が死亡や再婚などで受給権を失った場合には、次の順位の者が最先順位者として受給権者となる。これを転給という。
■ 若年支給停止者とは、受給資格者のうち、労働者の死亡の当時、55歳以上60歳未満で一定の障害にない夫、父母、祖父母、兄弟姉妹(受給順位7-10の遺族)のことである。若年支給停止者は、仮に受給権者となっても、60歳に達する月までの間、遺族補償年金の支給が停止される。なお、若年支給停止者は、60歳に達するまでは、後述の遺族補償年金の額の計算の基礎となる遺族の数にも含まれない。
■ 遺族補償年金の額は、受給権者及び受給権者と生計を同じくしている受給資格者の数に応じ、次のようになっている。
・ 遺族の数 1人 → 給付額(給付基礎日額) 153日分(175日分(55歳以上の妻又は一定の障害状態の妻)
・ 遺族の数 2人 → 201日
・ 遺族の数 3人 → 223日
・ 遺族の数 4人以上 → 245日
■ なお、遺族補償年金を受ける権利を有する者が2人以上あるときは、遺族補償年金の額は、表中の額をその人数で除して得た額とする。
■ 遺族補償年金の額は、遺族の数によって異なるが、この遺族補償年金の額の計算の基礎となる遺族は、受給権者自身及び受給権者と生計を同じくしている受給資格者である。なお、若年支給停止者は、60歳に達するまでは、当該遺族の数に含めない。
■ 遺族の数に増減を生じたとき(労災法16条の3第3項)
・ 遺族補償年金の額の算定の基礎となる遺族の数に増減が生じたときは、その増減を生じた月の翌月から、遺族補償年金の額を改定する。
■ 受給権者が妻の場合(労災法16条の3第4項)
・ 遺族補償年金を受ける権利を有する遺族が妻であり、かつ、当該妻と生計を同じくしている遺族補償年金を受けることができる遺族がない場合において、当該妻が次のいずれかに該当するに至ったときは、その該当するに至った月の翌月から、遺族補償年金の額を改定する。
・ 55歳に達したとき(別表第1の厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く)
・ 別表第1の厚生労働省令で定める障害の状態になり、又はその事情がなくなったとき(55歳以上であるときを除く)
■ 遺族厚生年金の額は、スライド、遺族の数の増減、妻の年齢(55歳以上かどうか)、妻の一定障害の状態(障害等級第5級以上に該当するかどうか)により改定される。
■ 額の改定は、改定すべき事由の発生した月の翌月から行われる。
■ 若年支給停止者がいる場合の遺族補償年金の額の例
・ 妻(35歳)、子(7歳)、母(57歳)→若年支給停止者
・ 遺族数2人→201日
・ 上記から3年後、妻(38歳)、子(10歳)、母(60歳)
・ 遺族数3人 →223日
■ 遺族補償年金を受ける権利を有する者が2人以上あるときは、これらの者は、そのうち1人を、遺族補償年金の請求及び受領についての代表者に選任しなければならない。ただし、世帯を異にする等やむを得ない事情のため代表者を選任することができないときは、この限りでない(労災則15条の5第1項)
■ 上記の規定により代表者を選任し、又はその代表者を解任したときは、遅滞なく、文書で、その旨を所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。この場合には、併せてその代表者を選任し、又は解任したことを証明することができる書類を提出しなければならない。(この規定は、遺族補償一時金や障害補償年金差額一時金にも適用される)(労災則15条の5第2項、16条4項、則附則23項)
■ 遺族補償年金が支給される場合に、同一の事由により厚生年金保険の遺族厚生年金等が支給される場合には、政令で定める調整率を遺族補償年金の所定額に乗ずることによって、減額調整を行う。
■ 遺族補償年金を受ける権利は、労働者が死亡した日の翌日から起算して5年を経過したときは、時効によって消滅する。(労災法42条)
■ 遺族補償年金の受給権者に対しては、社会復帰促進等事業の一環として遺族特別支給金及び特別給与を基礎とする遺族特別年金が支給される。(労災法29条)
■ ただし、遺族特別支給金は、転給により受給権者となった者には支給されない。
■ 遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が次のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。この場合において、同順位者がなくて後順位者があるときは、次順位者に遺族補償年金を支給する。(労災法16条の4)
・ 死亡したとき
・ 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係を同様の事情にある場合を含む)をしたとき
・ 直系血族又は直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む)となったとき。
・ 離縁によって、死亡した労働者との親族関係が終了したとき
・ 子、孫又は兄弟姉妹については、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(労働者の死亡の当時から引き続き16条の2第1項4号の厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く)
・ 16条の2第1項4号の厚生労働省令で定める障害の状態にある夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、その事情がなくなったとき(夫、父母又は祖父母については、労働者の死亡の当時55歳以上であったとき、子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるとき、兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は労働者の死亡の当時55歳以上であったときを除く)(労災法16条の4、昭和40年労災法附則43条1項)
■ 「離縁」とは、養子縁組関係の解消のことをいい、婚姻関係の修了(離婚)とは異なる。
■ 死亡した労働者の妻が、婚姻関係を終了する意思を示し、婚姻前の氏に復することは離縁には該当しないため、遺族補償年金の受給権、受給資格を失うことはない。
■ 受給権者の消滅事由に該当した場合に、他の同順位者がなく後順位者があるときは、次順位者が新たな受給権者となる(転給)。
■ いったん失権・失格した場合には、再び遺族補償年金の受給権者・受給資格者となることはない。
■ 遺族補償年金を受ける権利を有する者の所在が1年以上明らかでない場合には、当該遺族補償年金は、同順位者があるときは同順位者の、同順位者がないときは次順位者の申請によって、その所在が明らかでない間、その支給を停止する。この場合において、同順位者がないときは、その間、次順位者が先順位者とする。
■ 上記の規定により遺族補償年金の支給を停止された遺族は、いつでも、その支給停止の解除を申請することができる。
■ 所在不明によって支給停止された場合、同順位者がある場合であって同順位者に支給する遺族補償年金の支給額は、所在不明者及びその者とのみ生計を同じくしていた受給資格者についての加算分を減額して改定することになる。(労災法16条の5)
■ 業務災害により労働者が死亡した場合、残された遺族にとって、出費を必要とする場合が多いため、遺族補償年金の受給権者が請求した場合に一定限度で前払一時金を支給することとしている。
■ 政府は、当分の間、労働者が業務上の事由により死亡した場合における当該死亡に関しては、遺族補償年金を受ける権利を有する遺族に対し、その請求に基づき、保険給付として、遺族補償年金前払一時金を支給する。(労災法附則60条1項)
■ 遺族補償年金前払一時金は、一定の遺族が請求した場合に支給される。
■ 遺族補償年金前払一時金の額は、給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分又は1000日分に相当する額である。(労災則附則31項)
■ 遺族補償年金前払一時金が支給されると、遺族補償年金の毎月分の額(1年経過後の分は算定事由発生日における法定利率で割り引いた額)の合計額が当該前払一時金の額に達するまでの間、遺族補償年金は、支給停止される。(労災法附則60条3項)
■ 遺族補償年金の受給権者のうち、若年支給停止者である者は、若年支給停止期間中は遺族補償年金の支給は停止されるが、遺族補償年金前払一時金については、当該期間中であっても、その請求に基づき支給される。(昭和40年労災法附則43条3項)
■ 前払一時金の支給を受けた受給権者が失権し、次順位者が年金の受給権者となった場合でも、支給停止期間が満了していなければ、新たに受給権者になった者についても、年金の支給停止期間は続くことになる。
■ 転給により遺族補償年金の受給権者となった者は、先順位者が遺族補償年金前払一時金の請求を既に行っている場合には、当該前払一時金の請求を行うことはできない。つまり、前払一時金の請求は、同一の事由に関しては1回に限り行うことができるということになる。
■ 遺族補償年金前払一時金の支給を受けようとする者は、「遺族補償年金前払一時金請求書」に支給を受けようとする前払の額を示して、原則として遺族補償年金の請求と同時に所轄労働基準監督署長に対して請求をしなければならない。(労災則附則33項)
■ 遺族補償年金の支給の決定の通知があった日の翌日から起算して1年を経過する日までの間は、遺族補償年金の請求と同時でなくても遺族補償年金前払一時金を請求することができる。(ただし、その額は、給付基礎日額の1000日分から既に支払われた遺族補償年金の額の合計額を減じた額の範囲内で選択することになる)。この場合、1月3月5月7月9月又は11月のうち当該遺族補償年金前払一時金の請求をした月後の最初の月とされる。(労災則附則33項)
■ 遺族補償年金前払一時金の支給を受けたため遺族補償年金の支給が停止されている場合であっても、国年法30条の4の規定による障害基礎年金(いわゆる20歳前の傷病による障害基礎年金)並びに児童扶養手当法等による一定の手当は、支給されない。(労災法附則60条7項)
■ 遺族補償一時金は、昭和40年の法改正により設けられた制度である。従来の制度であれば遺族補償を受けられた遺族に一定の給付を保障する意味と、年金累計額の最低保障の意味から設けられたものである。労働基準法の遺族補償の規定を確認されたい。
■ 遺族補償一時金は次の場合に支給する。(労災法16条の6)
・ 労働者の死亡の当時遺族補償年金を受けることができる遺族がないとき。
・ 遺族補償年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した場合において、他の当該遺族補償年金を受けることができる遺族がなく、かつ、当該労働者の死亡に関し支給された遺族補償年金の額の合計額が当該権利が消滅した日において上記に掲げる場合に該当することとなるものとしたときに支給されることとなる遺族補償一時金の額に満たないとき。
■ 遺族補償一時金を受けることができる遺族は、次の各号に掲げる者とする。
・ 配偶者
・ 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母
・ 上記に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹
■ 遺族補償一時金を受けるべき遺族の順位は、上記の1,2,3の順序により、2及び3に掲げる者のうちにあっては、それぞれ、各号に掲げる順序による。
■ 一時金の性格上、労働者の死亡の当時の身分によって、受給資格及び受給権の順位が定められている(昭和41年基発73号)
■ 労働者の死亡当時、遺族補償年金を受けることができる遺族がいないとき、給付基礎日額の1000日
■ 上記の遺族がいたが、支給された遺族補償年金及び遺族補償年金前払一時金(遺族補償年金等)の額の合計額が、給付基礎日額の1000日分に満たないとき、給付基礎日額の1000日分から遺族補償年金等の額の合計額を控除した額
■ 遺族補償一時金の受給権者が2人以上ある場合には、遺族補償一時金の額をその人数で除して得た額がそれぞれの受給権者に支給される遺族補償一時金の額となる。(労災法16条の8第2項)
■ 遺族補償年金の受給権者がすべて失権した場合に支給される遺族補償一時金の額は次の通りとなるが、金銭価値の異なる保険給付の額をそのまま用いて「差額」を計算するのは不合理である。そのため、2の「死出に支給された遺族補償年金等の額の合計額」を計算する場合には、それぞれ支給された遺族補償年金の額を現在価値に評価し直すため、厚生労働大臣が定める率(換算率)を乗ずることとし、「換算率」を乗じた(すなわち現在価値に評価し直した)遺族補償年金等の額の合計により、1との差額を計算することにしている。
・ 給付基礎日額×1000日
・ 既に支給された遺族補償年金等の額の合計額(×換算率)
■ 遺族補償一時金の支給を受ける権利は、労働者が死亡した日の翌日から起算して5年を経過したときは、時効によって消滅する。(労災法42条)
■ 遺族補償一時金の受給権者に対しては、社会復帰促進等事業として遺族特別支給金(労働者の死亡当時、遺族補償年金を受けることができる遺族がいないときに支給される場合に限る)及び特別給与を基礎とする遺族特別一時金が支給される。(労災法29条)
■ 労働者を故意に死亡させた者は、遺族補償給付を受けることができる遺族としない。
■ 労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によって遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族補償年金を受けることができる遺族としない。
■ 遺族補償年金を受けることができる遺族を故意に死亡させた者は、遺族補償一時金を受けることができる遺族としない。労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によって遺族補償年金を受けることができる遺族となるべき者を故意に死亡させた者も、同様とする。
■ 遺族補償年金を受けることができる遺族が、遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の他の遺族を故意に死亡させたときは、その者は、遺族補償年金を受けることができる遺族でなくなる。この場合において、その者が遺族補償年金を受ける権利を有する者であるときは、その権利は消滅する。
■ 上記において、同順位者でなく後順位者であるときは、次順位者に遺族補償年金を支給する。(労災法16条の9)
■ 葬祭料は、労働者が業務災害により死亡した場合に、葬祭を行う者に対し、その請求に基づいて支給される。(労災法17条、12条の8第2項)
■ 必ずしも現実に葬祭を行った者であることを要しない。葬祭料は、通常は葬祭を行う遺族に支給されるが、葬祭を行う遺族がいない場合において、事業主、友人等が葬祭を行ったときは、当該事業主又は友人等に支給されることとなる。(昭和23年基災収2965号)
■ 恩恵的、厚意的性質に基づき社葬が行われた場合、葬祭料は遺族に支給される。
■ 葬祭を行う遺族がおらず、会社が葬祭を行った場合、葬祭料は当該会社に支給される。(昭和23年基災収2965号)
■ 31万5000円に給付基礎日額(算定事由発生日の属する年度の翌々年度の8月以降に当該葬祭料を支給すべき事由が生じた場合にあっては、当該葬祭料を遺族補償一時金とみなしてスライド制の規定を適用したときに得られる給付基礎日額に相当する額)の30日分を加えた額である。ただし、その額が給付基礎日額の60日分に満たない場合は、給付基礎日額の60日分が葬祭料の額とされる。(労災則17条)
■ 葬祭料にはスライド制の適用がある。なお、スライド率は遺族補償一時金と同じである。
■ 年齢階層別の最低限度額・最高限度額の適用はない。
■ 葬祭料の請求は、遺族補償給付の請求と同時に行う必要はない。
■ 葬祭料の支給額は給付基礎日額によって決まるため、支給請求手続において、葬祭に要した費用(領収書)等の添付は不要である。
■ 時効の起算日は、死亡した日の翌日である。
[労災法] 労働者災害補償保険法・重要箇所・Chapter5
複数業務要因災害
■ 業務要因災害に関する保険給付は、次に掲げる保険給付とする。(労災法20条の2)
・ 複数事業労働者療養給付
・ 複数事業労働者休業給付
・ 複数事業労働者障害給付
・ 複数事業労働者遺族給付
・ 複数事業労働者葬祭給付
・ 複数事業労働者傷病年金
・ 複数事業労働者介護給付
■ なお、業務災害に関する保険給付と同様に、次のような経過措置による保険給付もある(労災法附則60条の2から60条の4)
・ 複数事業労働者障害年金差額一時金
・ 複数事業労働者障害年金前払一時金
・ 複数事業労働者遺族年金前払一時金
■ 複数業務要因災害による疾病の範囲は、労災則18条の3の6により、労働基準法施行規則別表1の2第8号及び第9号に掲げる疾病(脳・心臓疾患、精神障害)及びその他二以上の事業の業務を要因とすることの明らかな疾病としており、現時点において、脳・心臓疾患、精神障害が想定されている。(令和2年基発0821第1号)
■ 待期期間の3日間については、業務上の傷病による休業の場合と異なり、各事業主には、労働基準法76条による休業補償を行う義務はない。
■ 他の社会保険から給付が行われる場合の調整、労働者が刑事施設等に拘禁された場合等の不支給の取扱いは、休業補償給付の場合と同様である。
■ 複数事業労働者休業給付の受給者に対しては、休業補償給付の受給者と同様に、休業特別支給金が支給される。
■ 障害の等級の評価に用いられる障害等級表、給付額及び他の社会保険から給付が行われる場合の調整並びに障害の程度の変更の場合の取扱いは、障害補償給付の場合と同様である。
■ 複数事業労働者障害給付の受給者に対しては、障害補償給付の受給者と同様に障害特別支給金及び障害特別年金又は障害特別一時金が支給される。
■ 複数事業労働者遺族年金の受給資格者の範囲及び受給権者となるべき順位、支給額及び同一の事由により他の社会保険から給付が行われる場合の調整、受給権の消滅、支給停止、複数事業労働者遺族一時金の支給事由、受給資格者の範囲及び受給権者となるべき順位、支給額並びに複数事業労働者遺族給付の受給資格者の欠格事由等の規定は、遺族補償給付の場合と同様である。
■ 複数事業労働者遺族給付の受給者に対しては、遺族補償給付の受給者と同様に、遺族特別支給金及び遺族特別年金又は遺族特別一時金が支給される。
■ 複数事業労働者傷病年金は、傷病補償年金の場合と同様に、労働者がその要件に該当する場合に政府の職権で支給決定が行われ、労働者からの請求に基づいて行われるものではない。
■ 複数事業労働者傷病年金の額、同一の事由により他の社会保険から給付が行われる場合の調整、複数事業労働者傷病年金を受けることとなった場合の複数事業労働者休業給付の不支給及び障害の程度の変更の場合の取扱いは、傷病補償年金の場合と同様である。
■ 複数事業労働者傷病年金の受給者に対しては、傷病補償年金の受給者と同様に、傷病特別支給金及び傷病特別年金が支給される。
■ 複数事業労働者介護給付の額などは、介護補償給付の場合と同様である。
■ 障害補償年金又は傷病補償年金を受ける権利を有する労働者が要件に該当する場合→介護補償給付
■ 複数事業労働者障害年金又は複数事業労働者傷病年金を受ける権利を有する労働者が要件に該当する場合→複数事業労働者介護給付
■ 複数業務要因災害に関する保険給付の実施に伴う必要な細則についても、労災法20条の業務災害に関する保険給付と同様に厚生労働省令で定めることとされており、これに基づいて、労働者災害補償保険法施行規則に、保険給付の請求手続、請求書記載事項、請求書添付書類等の必要な事項が定められている。
■ 原則として、労災保険の保険給付の請求書については、業務災害等が発生した事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長に提出することになる。
■ 複数事業労働者の場合は、各事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長のいずれかに提出することになり、各事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長のそれぞれに提出する必要はない。
■ 複数業務要因災害に係る事務の所轄については、前述のとおり、生計を維持する程度が最も高い事業の主たる事業所音管轄する都道府県労働局長又は労働基準監督署長が、所轄都道府県労働局長又は所轄労働基準監督署長となる(労災則1条)
■ なお、業務災害に関する事務を所轄する都道府県労働局長又は労働基準監督署長と、複数業務要因災害に係る事務を所轄する都道府県労働局長又は労働基準監督署長が異なる場合、業務災害に係る事務を所轄する都道府県労働局長又は労働基準監督署長において保険給付に係る調査を優先して行うこととなるため、複数業務要因災害に係る事務を所轄する都道府県労働局長又は労働基準監督署長の事務の全部又は一部を、業務災害に係る事務を所轄する都道府県労働局長又は労働基準監督署長に委嘱することができる規定も設けられている。(労災則2条の2)
■ 複数業務要因災害に係る保険給付は、局署において各事業場の業務上の負荷を調査しなければわからないことがあること、また、業務災害又は複数業務要因災害のどちらに該当するかを請求人の請求の際に求めることは請求人の過度の負担となることから、複数業務要因災害に関する保険給付の請求と業務災害に関する保険給付の請求は、同一の請求様式に必要事項を記載させることとする。
■ このため、一の事業のみに使用される労働者が保険給付を請求する場合は、業務災害に関する保険給付のみを請求したものとし、複数事業労働者が保険給付を請求する場合は、請求人が複数業務要因災害に係る請求のみを行う意思を示す等の請求人の特段の意思表示のない限り業務災害及び複数業務要因災害に関する両保険給付を請求したものとする。
■ この場合において、複数事業労働者の業務災害として認定する場合は、業務災害の認定があったことをもって複数業務要因災害に関する保険給付の請求が、請求時点に遡及して消滅したものとし、複数業務要因災害に関する保険給付の不支給決定及び請求人に対する不支給決定通知は行わないものとする。
■ これに対し、業務災害の不支給を決定する場合は複数業務要因災害として認定できるか否かにかかわらず、その決定を行うとともに、請求人に対して不支給決定通知を行うこと。(令和2年基発0821第1号)
■ 複数業務要因災害に関する保険給付は、それぞれの就業先の業務上の負荷のみでは業務と疾病等との間に因果関係が認められないことから、いずれの就業先も労働基準法上の災害補償責任は負わないものである。(令和2年基発0821第1号)
■ 後に学習する労働保険徴収法のメリット性という制度がありますが、そのメリット収支率の算定にあたって、複数業務要因災害に関する保険給付については、災害発生事業場における賃金額を元に算定した額に相当する額のみを算入するなど、業務災害に関する保険給付とは異なる取扱いがされる。労働保険徴収法の学習の際には注意すること。
■ 複数業務要因災害に関する保険給付は、労災法20条の2に規定されているとおり、複数事業労働者療養給付、複数事業労働者休業給付、複数事業労働者障害給付、複数事業労働者遺族給付、複数事業労働者葬祭給付、複数事業労働者傷病年金及び複数事業労働者介護給付であり、これらの給付はそれぞれ業務災害に関する療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付、葬祭料、傷病補償年金及び介護補償給付又は通勤災害に関する療養給付、休業給付、障害給付、遺族給付、葬祭給付、傷病年金及び介護給付と同一内容であり、その給付内容、受給権者、他の社会保険による給付との調整等も業務災害又は通信災害の場合と同様である。(労災法20条の2から20条の10)
■ このため、業務災害及び通勤災害に関する保険給付について療養(補償)給付のように略称していたものについては、今後、業務災害、服す業務要因災害及び通勤災害に関する保険給付をまとめて療養(補償)等給付のように略称するものとする。(令和2年基発0821第1号)
[労災法] 労働者災害補償保険法・重要箇所・Chapter6
通勤災害
■ 通勤災害に関する保険給付は、次に掲げる保険給付とする。(労災法21条)
・ 療養給付
・ 休業給付
・ 障害給付
・ 遺族給付
・ 葬祭給付
・ 傷病年金
・ 介護給付
■ 通勤災害に関する保険給付の種類は上記の7種類であり、それぞれが業務災害に対応した形で定められている。通勤災害は、労働基準法の災害補償には含まれておらず、各称にも「補償」という文字は使われていない。労働基準法においては、「通勤災害」はあくまで私傷病と位置付けられている点を確認願いたい。
■ なお、業務災害に関する保険給付と同様に、次のような経過措置による保険給付もある(労災法附則61条から63条)
・ 障害年金差額一時金
・ 障害年金前払一時金
・ 遺族年金前払一時金
■ 労災法22条1項の厚生労働省令で定める疾病は、通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することが明らかな疾病とする。
■ なお、療養給付を受ける労働者からは、原則として、200円を超えない範囲内で厚生労働省令で定める額の一部負担金が徴収される。(労災法22条の2、25条参照)
■ 休業給付は、労働者が通勤による負傷又は疾病にかかる療養のため労働することができないために賃金を受けない場合に、当該労働者に対し、その請求に基づいて行う
■ 休業補償給付(労災法14条)及び休業補償給付の制限(14条の2)の規定は、休業給付について準用する。(労災法22条の2)
■ 休業補償給付との相違点
・ 待期期間の3日間については、業務上の疾病による休業の場合と異なり、事業主には、労働基準法76条による休業補償を行う義務はない。
・ 通勤災害により療養給付を受ける労働者からは、200円を超えない範囲内で厚生労働省令で定める額が一部負担金として徴収される。ただし、一部負担金を納付すべき療養給付を受ける労働者に支給する休業給付であって最初に支給すべき事由の生じた日(休業第4日目)に係る休業給付の額は、一部負担金相当額(原則として200円)を減額した額として支給することとされている。なお、同一の通勤災害に係る療養給付については、改めて一部負担金の徴収は行われない。
■ 休業補償給付に準ずる点
・ 以下の事項については休業補償給付に準じて取り扱われる。
・ 他の社会保険の年金給付との調整
・ 労働者が刑事施設等に拘禁された場合等の不支給
・ 休業給付の受給者に対して休業特別支給金を支給
■ 障害の程度の評価に用いられる障害等級表、給付額お及び社会保険の年金給付が行われる場合の調整並びに障害の程度の変更の場合の取扱いは、障害補償給付の場合と同様である。
■ 障害給付の受給者に対しては、障害補償給付の受給者と同様に、障害特別支給金及び障害特別年金又は障害特別一時金が支給される。
■ 遺族年金の受給資格者の範囲及び受給権者とあるべき順位、支給額及び同一の事由により他の社会保険から給付が行われる場合の調整、受給権の消滅、支給停止、遺族一時金の支給事由、受給資格者の範囲及び受給権者となるべき順位、支給額並びに遺族給付の受給資格の欠格事由等の規定は、いずれも遺族補償給付の場合と同様である。
■ 遺族補償年金の場合と同様に、遺族根人に関しては遺族年金前払一時金の制度が設けられている。
■ 遺族給付の受給者に対しては、遺族補償給付の受給者と同様、遺族特別支給金及び遺族特別年金又は遺族特別一時金が支給される。
■ 業務災害の場合は、「葬祭料」となり、通勤災害の場合と名称(葬祭給付)が異なる。
■ 傷病年金は、傷病補償年金と同様に、労働者がその要件に該当する場合に政府の職権で支給決定が行われ、労働者からの請求に基づいて行われるものではない。
■ 傷病年金の額、同一の事由により他の社会保険から給付が行われる場合の調整、傷病年金を受けることとなった場合の休業給付の不支給及び障害の程度の変更の場合の取扱いは、傷病補償年金の場合と同様である。
■ 傷病年金の受給者に対しては、傷病補償年金の受給者の場合と同様、傷病特別支給金及び傷病特別年金が支給される。
■ 通勤災害による休業については、労働基準法19条の解雇制限の規定の適用はないため、打切補償(労働基準法81条)の問題は発生しない。
■ 介護給付の額などは、介護補償給付の場合と同様である。
■ 障害補償年金又は傷病補償年金を受ける権利を有する労働者が要件に該当→介護補償給付
■ 障害年金又は傷病年金を受ける権利を有する労働者が要件に該当→介護給付
■ 通勤災害に関する保険給付の実施に伴う必要な細則についても、労災法20条の業務災害に関する保険給付と同様に厚生労働省令で定めることとされており、これに基づいて、労働者災害補償保険法施行規則に保険給付の請求手続、請求書記載事項、請求書添付資料等の必要事項が定められている。
■ 通勤災害に関する保険給付は以下の点で業務災害に関する保険給付と相違点がある。
・ 保険給付には、「補償」という言葉が用いられていない。
・ 特別加入者の中には適用されない者もいる。
・ 療養給付では、初回に限り200円の限度で一部負担金が徴収される。
・ 休業給付の待期期間3日間について事業主の補償義務はない。
・ 傷病年金では、労働基準法の解雇制限の規定は適用されない。したがって、打切補償を支払わずに解雇できることになる。
[労災法] 労働者災害補償保険法・重要箇所・Chapter7
二次健康診断等給付
■ 過労死の原因である脳血管疾患、心臓疾患を安衛法で定める定期健康診断等により事前に把握し、適切な保健指導等を行うことを目的として平成13年4月に二次健康診断等給付が創設された。
■ 二次健康診断等給付は、労働安全衛生法66条1項の規定による健康診断又は当該健康診断に係る同条5項但書の規定による健康診断(事業者が指定した医師等以外の医師等による健康診断)のうち、直近のもの(一次健康診断)において、血圧検査、血液検査その他業務上の事由による脳血管疾患及び心臓疾患の発生にかかわる身体検査を受けた労働者がそのいずれの項目にも異常の所見があると診断されたときに、当該労働者(当該一次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められるものを除く)に対し、その請求に基づいて行う。(労災法26条1項)
■ 厚生労働省令で定める検査(労災則18条の16)
・ 血圧の測定
・ 低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)又は血清トリグリセライドの量の検査
・ 血糖検査
・ 胸囲の検査又はBMI(次の算式により算出した値)の測定(BMI=体重/身長^2)
■ 異常の所見(平成13年基発233号)
・ 一次健康診断の担当医が、上記の検査について、異常なしの所見と診断した場合であっても、労働安全衛生法に基づき事業場に選任されている産業医等が、一次健康診断の担当医が異常なしの所見と診断した検査項目について、当該検査を受けた労働者の就業環境等を総合的に勘案し、異常の所見があると診断した場合には、産業医等の意見を優先し、当該検査項目については、異常の所見があると診断されたものとみなす。
■ 二次健康診断等給付は、所定の検査項目全てに異常の所見がある場合に、労働者の請求に基づいて行われる。
■ 二次健康診断を勤務中に受診せざるを得ない場合においては、脳及び心臓疾患の発症の恐れのある労働者の健康確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業主が支払うことが望ましい。(平成13年基発233号)
■ 二次健康診断等給付の範囲は、次の通りとする。(労災法26条2項)
・ 二次健康診断
・ 脳血管及び心臓の状態を把握するための検査(労災保険法26条1項に規定する検査を除く)であって厚生労働省令で定めるものを行う医師による健康診断(1年度につき1回に限る)
・ 特定保健指導
・ 二次健康診断の結果に基づき、脳血管疾患及び心臓疾患の発生の予防を図るため、面接により行われる医師又は保健師による保健指導(二次健康診断ごとに1回に限る)
■ 二次健康診断の検査項目(労災則18条の16第2項)
・ 空腹時の低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量の検査
・ 空腹時の血中グルコースの量の検査
・ ヘモグロビンAlc検査(一次健康診断において、当該検査を行なった場合を除く)
・ 負荷心電図検査又は胸部超音波検査
・ 頸部超音波検査
・ 微量アルブチン尿検査(一次健康診断における尿中の蛋白の有無の検査において、疑陽性又は弱陽性の所見があると診断された場合に限る)
■ 二次健康診断等給付について(平成13年基発233号)
・ 特定保健指導は、栄養指導、運動指導、生活指導のすべてを行うものとされている。
・ 安衛法45条に基づき6か月に1回の定期健康診断が義務付けられている特定業務従事者等、同一年度内に定期健康診断等を2回行なっている場合で、1回目の定期健康診断等の結果において給付対象所見が認められ、二次健康診断等給付を支給した場合には、2回めの定期健康診断等の結果において給付対象所見が認められた場合においても、当該年度内は二次健康診断等給付は支給しない。ただし、2回めの定期健康診断等を受給した日から3か月以内であれば、翌年度に二次健康診断等給付を受けることは可能である。
■ 二次健康診断等給付は、社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院又は診療所(健診給付病院等)において、直接、二次健康診断及び特定保健指導を給付することにより行う。
■ 都道府県労働局長は、二次健康診断等給付を行う病院又は診療所を指定し、又はその指定を取り消すときは、当該病院又は診療所の名称及び所在地を公告しなければならない。
■ 健診給付病院等に薬局・訪問看護事業者は含まれていない。労災指定病院等と比較すること。
■ 政府は、二次健康診断の結果その他の事情によりすでに脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる労働者については、二次健康診断に係る特定保健指導を行わないものとする。
■ 二次健康診断等給付については、労災法12条の2の2に基づく支給制限の問題は生じない。(故意等)
■ 二次健康診断等給付における不正受給者からの費用徴収において徴収する徴収金の価額は、保険給付を受けた者が受けた保険給付から、偽りその他不正の手段により給付を受けた部分に相当する価額とする。(平成13年基発233号)
■ 二次健康診断等給付については、労災法12条の4に基づく第三者に対する損害賠償請求の取得の問題は発生しない。(労災法12条の4関係)
■ 労災法31条1項1号から3号までに該当する事故について保険給付を行う場合は、労働基準法の規定による災害補償の価額の程度で、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することとなっているが、労働基準法上規定のない二次健康診断等給付については費用徴収は行わない。(労災法31条関連)
■ 特別加入者は、二次健康診断等給付の対象とはされていない。そもそも特別加入は「労働者」に該当しないことから、労働安全衛生法の適用を受けることはなく、定期健康診断の対象ともなっていない。(定期健康診断の対象は常用労働者である。)
■ 二次健康診断等給付を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した請求書を、当該二次健康診断等給付を受けようとする健診給付病院等を経由して所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。
・ 労働者の氏名、生年月日及び住所
・ 事業の名称及び事業場の所在地
・ 一次健康診断を受けた年月日
・ 一次健康診断の結果
・ 二次健康診断等給付を受けようとする健診給付病院等の名称及び所在地
・ 請求の年月日
■ 請求書には、一次健康診断において所定の検査のいずれの項目にも異常の所見があると診断されたことを証明することができる書類を添えなければならない。
■ 一次健康診断を受けた年月日及び上記の書類が一次健康診断に係るものであることについては、事業主の照明を受けなければならない。
■ 二次健康診断等給付の請求は、一次健康診断を受けた日から3か月以内に行わなければならない。ただし、天災その他請求をしなかったことについてやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
■ 二次健康診断等給付に関する事務は、原則として、二次健康診断等給付を請求した労働者の所属する事業場の所轄都道府県労働局長が行う。
■ 有期事業の一括が行われている場合には、作業現場等が他の都道府県労働局の管内であっても、二次健康診断等給付に関する事務は、労働保険料の納付の義務を行う事業所(一括事業所)の所轄都道府県労働局長が行う。
■ 二次健康診断等給付に関する事務はそれぞれの事業場の所轄都道府県労働局長が行う。例えば、本社(指定事業場)がA都道府県労働局の管内にあり、各支店が他の都道府県労働局の管内に散財している場合は、それらの各支店の被災労働者に対する二次健康診断等給付に関する事務はA都道府県労働局長ではなく、各支店の所轄都道府県労働局長が行う。
■ 二次健康診断を受けた労働者から当該二次健康診断の実施の日から3か月以内に当該二次健康診断の結果を証明する書面の提出を受けた事業者は、当該二次健康診断の結果(異常の所見があると診断された労働者に限る)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、当該二次健康診断の結果を証明する書面が事業者に提出された日から2か月以内に医師の意見を聴かなければならない。
■ 医師から聴取した意見を労働安全衛生法に規定する健康診断個人票に記載しなければならない。
■ 労働者→(二次健康診断を受けた日から3か月以内に書面提出)→事業者→(書面が提出された日から2か月以内に意見聴取)→医師
■ 二次健康診断等給付を受ける権利は、労働者が一次健康診断の結果を了知し得る日の翌日から起算して2年を経過したときは、時効によって消滅する。(労災法42条)
[労災法] 労働者災害補償保険法・重要箇所・Chapter8
給付通則
■ 年金たる保険給付の端数処理に関しては、平成12年の改正により削除された。したがって、労災保険では年金は1円単位で支給されることになる。年金の支給期間は公的年金と同様である。
■ 年金たる保険給付の額とは、その年額をいう。スライド制の適用がある場合にはスライド率を乗じて得た額の年額、厚生年金保険等との併給が行われる場合には調整率を乗じて得た額の年額となる等、所要の計算を行なった後の年額となる。
■ 年金たる保険給付の支払期ごとの支払金額や年金形態以外の保険給付の額の端数処理については、1円未満の端数を切り捨てることとされている。(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律2条)
■ 年金たる保険給付の支給は、支給すべき事由が生じた月の翌月からはじめ、支給を受ける権利が消滅した月で終わるものとする。
■ 年金たる保険給付は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅した月までの間は、支給しない。(労災法9条1項・2項)
■ 年金たる保険給付は、毎年2月4月6月8月10月及び12月の6期に、それぞれの前月分までを支払う。ただし、支給を受ける権利が消滅した場合におけるその期の年金たる保険給付は、支払期月でない月であっても、支払うものとする。(労災法9条3項)
■ 船舶が沈没し、転覆し、滅失し、もしくは行方不明となった際限にその船舶に乗っていた労働者もしくは船舶に乗っていてその船舶の航行中に行方不明となった労働者の生死が3か月間わからない場合又はこれらの労働者の死亡が3か月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族補償給付、葬祭料、遺族給付及び葬祭給付の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった日又は労働者が行方不明となった日に、当該労働者は、死亡したものと推定する。航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となった際限にその航空機に乗っていた労働者若しくは航空機に乗っていてその航空機の航行中行方不明となった労働者の生死が3か月間分からない場合又はこれらの労働者の死亡が3か月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合にも、同様とする。(労災法10条)
■ 死亡推定後に、労働者が実は生きていたというように推定とは異なる事実が明らかとなった場合には、その事実に基づいて処理される。例えば、すでに遺族補償給付等が支給されていれば、これを返還しなければならない。
■ 死亡の推定は、民法の例外規定と考えるとよい。ただし、法律関係が確定したわけではなく、反証が可能である。この点で「推定」と「みなす」は決定的に異なっている。
■ 複数業務要因災害に関する保険給付は、死亡の推定の規定の対象には含まれない。
■ 本条は、民法の相続に対する特例措置として未支給の保険給付についての規定が設けられている。未支給の保険給付に関しては本来相続人に支給されるべきものであるが、所得保障の観点から、生計を同一にしていた遺族に支給することとしている。
■ 労災法に基づく保険給付を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届け出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(遺族補償年金については当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族、複数事業労働者遺族年金については、当該複数事業者遺族年金を受けることができる他の遺族、遺族年金については当該遺族年金を受けることができる他の遺族)は、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。(労災法11条)
■ 年金たる保険給付の場合、前2ヶ月分が年6期に分けて支給されるため、必ず未支給が発生することとなる。
■ 上記の場合において、死亡した者がその保険給付を請求していなかったときは、上記に規定する者は、自己の名で、その保険給付を請求することができる。
■ 未支給の保険給付(昭和41年基発73号)
・ 支給事由が生じた保険給付であって、まだ請求されていないもの
・ 請求はあったがまだ支給決定がないもの
・ 支給決定があったがまだしはらわれていないもの
■ 未支給の保険給付を受けるべき者の順位は、上記に規定する順位(遺族補償年金については当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族、複数事業労働者遺族年金については当該複数事業労働者遺族年金を受けることができる他の遺族、遺族年金については当該遺族年金を受けることができる他の遺族の順序)による。
■ 遺族(補償)等年金には転給があるため、他の保険給付とは未支給の取扱いが異なる。
■ 未支給の保険給付をうけるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人がした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。
■ 未支給の保険給付の請求権者は、遺族(補償)等年金とその他の保険給付とでは異なる(転給という独特の仕組みがあるためこのような取扱いとされる)
■ 労災保険法11条(未支給の保険給付)は、その範囲内において民法の相続に関する規定を排除するものであるが、未支給の保険給付の請求権者となる者がいないときは、民法の相続に関する規定により、死亡した者の相続人が保険給付の請求権者となり、また、未支給の保険給付の請求権者が、その支給を受けないうちに死亡した場合には、その者の相続人がその支給を受けることとなる。(昭和41年基発73号)
■ 一個の生計単位の構成員であるということであるから、生計を維持されていることを要せず、また、必ずしも同居していることを要しないが、生計を維持されている場合には、生計を同じくしているものと推定して差し支えない。(昭和41年基発73号)
■ 年金たる保険給付の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金たる保険給付が支払われたときは、本来、支払う必要のないものを支払ってしまったことになるため、民法の規定により不当利得返還請求の手続(もらう理由のないものをもらってしまった者から取り戻す手続)によることになるが、事務手続の簡素化のために、その後に正当に支払われるべき保険給付について、過払分の内払があったとみなして処理することができることを規定している。
■ 年金たる保険給付の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金たる保険給付が支払われたときは、その支払われた年金たる保険給付は、その後に支払うべき年金たる保険給付の内払とみなすことができる。
■ 年金たる保険給付を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた月の翌月以降の分として減額しない額の年金たる保険給付が支払われた場合における当該年金たる保険給付の当該減額すべきであった部分についても、同様とされる。(労災法12条1項)
■ 同一の業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による負傷又は疾病(同一の傷病)に関し、年金たる保険給付(遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金及び遺族年金を除く。「乙年金」)を受ける権利を有する労働者が他の年金たる保険給付(遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金及び遺族年金を除く。「甲年金」)を受ける権利を有することとなり、かつ、乙年金を受ける権利が消滅した場合において、その消滅した月の翌月以降の分として乙年金が支払われたときは、その支払われた乙年金は、甲年金の内払とみなす。
■ 同一の傷病に関し、年金たる保険給付(遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金及び遺族年金を除く)を受ける権利を有する労働者が休業補償給付、複数事業労働者休業給付若しくは休業給付又は障害補償一時金、複数事業労働者障害一時金若しくは障害一時金を受ける権利を有することとなり、かつ、当該年金たる保険給付を受ける権利が消滅した倍において、その消滅した月の翌月以降の分として当該年金たる保険給付が支払われたときも、同様とする。(労災法12条2項)
■ 同一の傷病に関し、休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付を受けている労働者が障害補償給付若しくは傷病補償年金、複数事業労働者障害給付若しくは複数事業労働者傷病年金又は障害給付若しくは傷病年金を受ける権利を有することとなり、かつ、休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付を行わないこととなった場合において、その後も休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付が支払われたときは、その支払われた休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付は、当該障害補償給付若しくは傷病補償年金、複数事業労働者障害給付若しくは複数事業労働者傷病年金又は障害給付又は傷病年金の内払とみなす。(労災条12条3項)
■ 遺族(補償)等年金には、上記の規定は適用されない。
■ 年金たる保険給付を受ける権利を有する者が死亡したためその支給を受ける権利が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以降の分として当該年金たる保険給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権(返還金債権)に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき保険給付があるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該保険給付の支払金の金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当することができる。(労災法12条の2)
■ 労災法12条の2の規定による年金たる保険給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権への充当は、次の各号に掲げる場合に行うことができる。(労災則10条の2)
・ 年金たる保険給付の受給権者の死亡に係る遺族補償年金、遺族補償一時金、葬祭料もしくは障害補償年金差額一時金、複数事業労働者遺族年金、複数事業労働者遺族一時金、複数事業労働者葬祭給付若しくは複数事業労働者障害年金差額一時金又は遺族年金、遺族一時金、葬祭給付若しくは障害年金差額一時金の受給権者が、当該年金たる保険給付の受給権者の死亡に伴う当該年金たる保険給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき
・ 遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金又は遺族年金の受給権者が、同一の事由による同順位の遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金又は遺族年金の受給権者の死亡に伴う当該遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金又は遺族年金の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき。
■ 過誤払の返還金債権への充当に関しては以下の過誤払された年金たる保険給付の種類に応じ、当該死亡に関して新たに保険給付の受給権者となった者に支給すべき保険級の支払金の金額を当該過誤払に係る返還金債権の金額に充当することができる。
・ 障害(補償)等年金 → 遺族(補償)等年金、遺族(補償)等一時金、葬祭料等(葬祭給付)、障害(補償)等年金差額一時金
・ 遺族(補償)等年金 → 遺族(補償)等年金、遺族(補償)等一時金、葬祭料等(葬祭給付)
・ 傷病(補償)等年金 → 遺族(補償)等年金、遺族(補償)等一時金、葬祭料等(葬祭給付)
■ 年金たる保険給付の受給権者の死亡に関し支給される保険給付が2種類あるときは、葬祭料等(葬祭給付)以外の保険給付を優先して返還金債権に充当する。
■ この充当の取扱いは、年金たる保険給付の受給権者が死亡した場合の規定であるから、休業(補償)等給付について適用されることはない。
■ 内払と充当との違い
・ 内払
・ 主旨 過払分の支払調整
・ 内容 同一人に対して支払う年金の支払調整
・ 充当
・ 内容 返還金債権に係る債務の弁済
・ 内容 死亡した年金受給権者に対する過誤払分を、遺族が受ける死亡に関する保険給付で調整
・ 受給権者の死亡
・ 過誤払の発生
・ 遺族が受ける死亡保険給付で充当処理
■ 労働者が、故意に負傷、疾病、障害もしくは死亡又はその直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない。
■ 労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡もしくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、もしくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。(労災法12条の2の2)
■ 故意とは、自己の行為により一定の結果が生ずることを認識し、かつ、その結果の発生を認容していることをいう。(昭和40年基発901号)
■ 一定の場合には、特別加入者に対しても支給制限が行われる。
■ 特別支給金もこの支給制限の対象となる。
■ 二次健康保険等給付は、この支給制限の対象とならない。
■ 故意の犯罪行為もしくは重大な過失により負傷、疾病、障害もしくは死亡若しくはこれらの原因となった自己を生じさせたとき
・ 支給制限の対象となる保険給付
・ 休業(補償)等給付
・ 障害(補償)等給付(再発に係るものを除く)
・ 傷病(補償)等年金
・ 支給制限の期間
・ 支給事由の存する期間(障害、傷病等の年金については、療養開始後3年以内に支払われる分に限る)
・ 支給制限の率
・ 保険給付の都度、所定給付額の30%
■ 正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、もしくはその回復を妨げたとき
・ 支給制限の対象となる保険給付
・ 休業(補償)等給付
・ 傷病(補償)等年金
・ 支給制限の期間
・ その都度
・ 支給制限の率
・ 当該傷病の程度を増進させ、又は回復を妨げた事案1件につき休業(補償)等給付の10日分、傷病(補償)等年金の365分の10程度額
■ 保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。
■ 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。(労災法12条の5)
■ 特別支給金については、譲り渡し、又は差し押さえることができることとされている。(担保については規定そのものがない。)
■ メリット制適用事業場の業務上被災労働者が、労災保険給付を受けるべき補償費について当該事業主より補償費の立替払いを受けたときは、当該労働者がその補償費の受領方を事業主に委任した場合に限って、その委任を受けた事業主にその補償費を支払って差し支えない。(昭和27年基発611号)
■ 休業補償給付に限って、当該労働者が事業主に対して休業補償給付の受領方を委任した場合等の場合出会っては、事業場の規模を限定せず受任者払いを行なって差し支えない。(昭和43年基発114号)
■ 租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として課することはできない。(労災法12条の6)
■ 特別支給金についても、租税その他の公課を課さないこととされている。
■ 労災法の社会復帰促進等事業として支給される特別支給金に対しては所得税を課税しないこととする。(昭和50年国税庁直税部審理課長より労災管理課長あて回答)
■ 保険給付に関する届出として、厚生労働省令で定めるものをまとめると次の通り(労災則19条の2、21条、21条の2、21条の3)
■ 傷病の状態等に関する報告書
1月1日に療養の開始後1年6か月を経過している休業(補償)等給付の受給者が報告
・ 期限 → 毎年1月1日から同月末日までの間(その間に、休業(補償)等給付の請求書に添えて報告書を提出)
・ 提出先 → 所轄労働基準監督署長
■ 定期報告書
・ 年金たる保険給付の受給権者が報告(障害(補償)等年金、傷病(補償)等年金について、日本年金機構等とのマイナンバー情報連携により把握が可能なものを除く)
・ 期限
・ 毎年6月30日(受給権者又は死亡労働者の生年月日が1月から6月
・ 毎年10月31日(受給権者又は死亡労働者の生年月日が7月から12月
・ 提出先 → 所轄労働基準監督署長
■ 氏名等の変更の届書
・ 年金たる保険給付の受給権者が、以下の場合
・ 受給権者の氏名、住所及び個人番号に変更があった場合
・ 同一の事由により厚生年金保険による年金等が支給されることとなった場合
・ 障害(補償)等年金の受給権者の障害の程度に変更があった場合など
・ 期限 → 遅滞なく
・ 提出先 → 所轄労働基準監督署長
■ 払渡希望金融機関等の変更の届書
・ 年金たる保険給付の受給権者が届出
・ 期限 → 払渡希望金融機関等を変更しようとするとき
・ 提出先 → 所轄労働基準監督署長
■ 休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付を受ける者のうち、療養開始後1年6か月を経過したものについては、毎年1回、傷病の状態等に関する報告書の提出が義務付けられている(労災則19条の2)が、この報告書の提出を怠った場合には、適正な保険給付の実施に支障をきたすので支払の一時差止めが行われる。(労災法47条の3)
■ なお、厚生年金保険又は健康保険の提供事業所の事業主が提出するものであって、継続事業(労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託するものを除く)に係るものであるときは、年金事務所を経由して提出することができる。
■ 保険給付を受けるべき者が、事故のため、自ら保険給付の請求その他の手続を行うことが困難である場合には、事業主は、その手続を行うことができるよう助力しなければならない。
■ 事業主は、保険給付を受けるべき者から保険給付を受けるために必要な証明を求められたときは、速やかに証明をしなければならない。(労災則23条)
■ 事業主は、労災保険に関する法令のうち、労働者に関係のある規定の要旨、労災保険に係る保険関係成立の年月日及び労働保険番号を常時事業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける等の方法によって、労働者に周知させなければならない。
■ 事業主は、その事業についての労災保険に係る保険関係が消滅したときは、その年月日を労働者に周知しなければならない。(労災則49条)
■ 労災保険に係る保険関係が成立し、もしくは成立していた事業の事業主又は労働保険事務組合もしくは労働保険事務組合であった団体は、労災保険に関する書類(徴収法又は同法施行規則による書類を除く)を、その完結の日から3年間保存しなければならない。(労災則51条)
■ 労災保険法、労災保険法施行規則並びに特別支給金支給規則の規定による申請書、請求書、証明書、報告書及び届書のうち厚生労働大臣が別に指定するもの並びにこの省令の規定による年金証書の様式は、厚生労働大臣が別に定めて告示するところによらなければならない。(労災則54条)
[労災法] 労働者災害補償保険法・重要箇所・Chapter9
社会復帰促進等事業と特別支給金
■ 政府は、この保険の適用事業に係る労働者及びその遺族について、社会復帰促進等事業として、次の事業を行うことができる。(労災法29条1項)
・ 療養に関する施設及びリハビリテーションに関する施設の設置及び運営その他業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害を被った労働者(被災労働者)の円滑な社会復帰を促進するために必要な事業(社会復帰促進事業)
・ 被災労働者の療養生活の援護、被災労働者の受ける介護の援護、その遺族の就学の援護、被災労働者及びその遺族が必要とする資金の貸付による援護その他被災労働者及びその遺族の援護を図るために必要な事業(被災労働者等援護事業)
・ 業務災害の防止に関する活動に対する援助、健康診断に関する施設の設置及び運営その他労働者の安全及び衛生の確保、保険給付の適切な実施の確保並びに資金の支払の確保を図るために必要な事業(安全衛生確保等事業)
■ 社会復帰促進等事業は、適用事業に係る労働者及びその遺族について行われ、次の3つに大別される。
■ 社会復帰促進事業(労災則24条)
・ 義肢等補装具費の支給、外科後処置、労災はり・きゅう施術特別援護措置、アフターケア、アフターケア通院費の支給、振動障害者社会復帰援護金の支給及び頭頚部外傷性症候群等に対する機能回復援護
・ アフターケア
・ 業務災害、複数業務要因災害又は通勤災害により、脊髄損傷等の傷病にり患した者にあっては、症状固定後においても行為症状に動揺をきたす場合がみられること、後遺障害に付随する疾病を発症させるおそれがあることにかんがみ、必要に応じてアフターケアとして予防その他の保健上の措置を講じ、当該労働者の労働能力を維持し、円滑な社会生活を営ませるものとする。
・ その措置の範囲は、次の事項について傷病別実施要綱に定めるところによる
・ 診療
・ 保健指導
・ 保健のための措置
・ 検査
・ アフターケアの対象傷病は、「社会復帰促進等事業としてのアフターケア実施要綱」によって、脊髄損傷等20の傷病が定められている。なお、当該対象傷病には、サリン中毒、精神障害も含まれている。
・ アフターケアを受けようとする者は、その都度、実施医療機関等に「健康管理手帳」を提出するものとし、アフターケアの実施に関する記録の記入を受けるものとする。健康管理手帳の交付を受けようとする者は、「健康管理手帳交付申請書」を、事業場の所在地を管理する労働基準監督署長の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。
・ 外科後処置
・ 業務災害、複数業務要因災害又は通勤災害による傷病が治癒した者に対する義肢装着のための断端部の再手術、醜状の軽減のための再手術等
・ 義肢等の支給
・ 業務災害、複数業務要因災害又は通勤災害により傷病を被った者に対して、義肢、義眼、眼鏡、補聴器、車いす、電動車いす、歩行車等の支給を行う。
■ 被災労働者等援護事業(労災則32条)
・ 労災就学援護費、労災就労保育援護費、休業補償特別援護金、長期家族介護者援護金及び労災療養援護金の支給を行うものとする。
・ 労災就学援護費
・ 業務災害、複数業務要因災害又は通勤災害により死亡した労働者の遺族、もしくは重度障害を受けた労働者及び傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金又は傷病年金を受けている労働者並びにこれらの子で、学費等の支弁が困難な者に、学校の種別に応じて一定額(月額)の労働就学援護費が支給される。
・ 重度障害者 障害等級第1級から第3級
・ 労災就学援護費の支給対象者 小学校から大学生が対象。婚姻は対象外
・ 申請のあったものに支給
・ 労働基準監督署長の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使であり、被災労働者又はその遺族の権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものであるから、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたるものと解するのが相当である。(最判平15.9.4/中央労基署長(労災就学援護費)事件)
・ 労災就労保育援護費
・ 就労のため未就学の児童を保育所、幼稚園に預けており、保育に係る費用を援護する必要があると認められる者等に対して、保育児童1人につき一定額(月額)の労災就労保育援護費が支給される。労災就学援護費と労災、就労保育援護費を併せて労災就学等援護費という。
・ 特別支給金
・ 休業補償特別援護金
・ 特定疾病に対する特定業種(港湾貨物取扱事業、沿岸荷役業又は船内荷役業、林業又は建設の事業)に従事した労働者で、事業主を異にする2以上の事業場のうち、当該疾病の原因となった業務に従事した最後の事業場を短期間で去った者、又は疾病の発生が診断により確定したときに、当該疾病の原因となった業務に従事した事業場が廃止され、又はその事業主の行方が知れないため、待期期間の3日分に相当する額の休業補償特別援護金の制度が設けられている。(労災則35条)
・ その他
・ 労災援護金の支給など
■ 安全衛生確保等事業
・ 健康診断センターの設置・運営、業務災害防止対策の実施に関する補助金の交付などを行っている。
賃金の支払の確保等に関する法律により、企業の倒産等のため事業主から賃金が支払われない労働者のために未払賃金の立替払事業を行っている。
・ 次の助成金等の支給を行っている(労災則24条)
・ 働き方改革推進支援助成金
・ 受動喫煙防止対策助成金
■ 社会復帰促進等事業(特別支給金の支給に関する事業を除く)に要する費用及び労働者災害補償保険事業の事務の執行に要する費用に充てるべき額は、一定の額(労災保険に係る労働保険料の額及び労働保険特別会計の労災勘定の積立金から生ずる収入の額の合計額等に120分の20を乗じて得た額等)を超えないものとする。(労災則43条)
■ 政府は、社会復帰促進等事業のうち、独立行政法人労働者健康安全機構法12条1項に掲げるものを独立行政法人労働者健康安全機構に行わせるものとする。(労災法29条3項)
■ 独立行政法人労働者健康安全機構法12条1項に掲げる業務
・ 療養施設の設置及び運営を行うこと
・ 労働者の健康に関する業務を行う者に対して研修、情報の提供、相談その他の援助を行うための施設の設置及び運営を行うこと
・ 事業場における災害の予防に係る事項並びに労働者の健康の保持増進に係る事項及び職業性疾病の病院、診断、予防その他の職業性疾病にかかる事項に関する総合的な調査及び研究を行うこと(次号に掲げるものを除く)
・ 化学物質で労働者の健康障害を生ずるおそれのあるものを有害性の調査を行うこと
・ 前記3、4に掲げる業務に係る成果を普及すること
賃金の支払の確保等に関する法律に規定する未払賃金の立替払事業を実施すること
・ 被災労働者に係る納骨堂の設置及び運営を行うこと
・ 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと
■ 療養施設の設置・運営、未払賃金の立替払事業等であるが、特別支給金の支給は含まれていない。
■ 社会復帰促進等事業の中で被災労働者及びその遺族の援護を図るために必要な事業として行われるものの一つがこの特別支給金の支給である。特別支給金の支給に関し必要な事項は、「労働者災害補償保険特別支給金支給規則」により定められている。
■ 特別支給金の種類
・ 例 目的 保険給付 特別支給金 ボーナス特別支給金
・ 休業 休業(補償)等給付 休業特別支給金 なし
・ 障害1 障害(補償)等年金 障害特別支給金 障害特別年金
・ 障害2 障害(補償)等一時金 障害特別支給金 障害特別一時金
・ 傷病 傷病(補償)等年金 傷病特別支給金 傷病特別年金
・ 遺族1 遺族(補償)等年金 遺族特別支給金 遺族特別年金
・ 遺族2 遺族(補償)等一時金 遺族特別支給金 遺族特別一時金
・ 死亡 障害(補償)等年金差額一時金 なし 障害特別年金差額一時金
■ 特別支給金は、すべての保険給付に関連して支給されるわけではない。療養(補償)等給付、葬祭料等(葬祭給付)、介護(補償)等給付、二次健康診断等給付に関連する特別支給金はない。
■ 休業特別支給金(特別支給金支給規則3条)
・ 支給要件
・ 休業特別支給金は、休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付の支給の対象となる日(療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給)について、その休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付を受ける者に支給される。労働者が刑事施設等に拘禁・収容された場合には、休業特別支給金は支給されない。
・ 給付内容
1日につき休業給付基礎日額(労災法8条の2のスライド制及び年齢階層別の最低・最高限度額が適用される)の100分の20に相当する額である。
・ 手続
・ 休業特別支給金の支給申請は、原則として、休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付の請求と同時に行う必要がある。また、この申請は、休業特別支給金の支給の対象となる日の翌日から起算して2年以内に行わなければならない。
・ 特別給与の総額の届出(特別支給金支給規則12条)
・ 休業特別支給金の支給を受けようとする者は、当該休業特別支給金の支給の申請の際に、所轄労働基準監督署長に特別給与の総額を記載した届書を提出しなければならない。なお、特別給与の総額については、事業主の証明を受けなければならない。この届出は、最初の休業特別支給金の支給の申請の際に行えば、以後行わなくてもよい(昭和52年基発192号、昭和56年基発415号)
■ 傷病特別支給金(特別支給金支給規則5条の2)
・ 支給要件
・ 傷病特別支給金は、業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病にかかる療養の開始後1年6か月を経過した日以後に、以下のいずれにも該当することとなったときに、受給権者の申請に基づいて支給される。
・ 当該負傷又は疾病が治っていないこと
・ 当該負傷又は疾病による障害の程度が傷病等級に該当すること
・ 給付内容
・ 傷病等級 1級 114万円
・ 傷病等級 2級 107万円
・ 傷病等級 3級 100万円
・ 手続
・ 傷病特別支給金の支給申請は、支給要件に該当するに至った日の翌日から起算して5年以内に行わなければならない。
・ 当分の間、事務処理の便宜を考慮し、傷病(補償)等年金の支給の決定を受けた者は、傷病特別支給金の申請を行ったものとして取り扱って差し支えない。後述の傷病特別年金の申請についても同様である。(昭和56年基発393号)
■ 障害特別支給金(特別支給金支給規則4条)
・ 支給要件
・ 障害特別支給金は、障害補償給付、複数事業労働者障害給付又は障害給付の受給権者に対して、一時金で支給される。
・ 給付内容
・ 障害等級に応じ、次の表に掲げる額とする
・ 障害等級1級 342万円
・ 障害等級2級 320万円
・ 障害等級3級 300万円
・ 障害等級4級 264万円
・ 障害等級5級 225万円
・ 障害等級6級 192万円
・ 障害等級7級 159万円
・ 障害等級8級 65万円
・ 障害等級9級 50万円
・ 障害等級10級 39万円
・ 障害等級11級 29万円
・ 障害等級12級 20万円
・ 障害等級13級 14万円
・ 障害等級14級 8万円
・ 障害等級の併合繰上げが行われた場合において、各々の障害の該当する障害等級に応ずる障害特別支給金の合算額が、繰り上げられた障害等級に応ずる障害特別給付金の額に満たないときの障害特別支給金の額は、各々の障害の該当する障害等級に応ずる障害特別給付金の額の合算額となる。
・ 手続
・ 障害特別支給金の支給申請は、原則として、障害補償給付、複数事業労働者障害給付又は障害給付の請求と同時に行う必要がある。また、この申請は、障害に係る負傷又は疾病が治った日の翌日から起算して5年以内に行わなければならない。
■ 加重障害の場合は、加重後の障害等級に該当する障害特別支給金から加重前の障害等級に該当する障害特別支給金の額を差し引いた額となる。
■ 障害の程度が自然的経過により増進した場合であっても、新たな障害等級に該当する障害特別支給金が支給されることはない。
■ 傷病特別支給金の支給を受けた者の傷病が治った場合は、治癒後の障害等級に該当する障害特別支給金の額が既に支給を受けた傷病特別支給金の額を超える場合に限り、その差額が支給されることとなる。
・ A療養開始→(1年6か月)①療養(補償)等給付、②休業(補償)等給付→B傷病等級3級以上の該当→①療養(補償)等給付、③傷病(補償)等年金→C治癒→④障害(補償)等年金
・ B → 傷病特別支給金(1級114万円から3級100万円)
・ C → 障害特別支給金(1級342万円から7級159万円)
・ B-Cの差額が支給される(Cのタイミング)
・ 障害等級8級(65万円)以下は支給なし(マイナスになるため)
■ 傷病差額特別支給金(昭和52年特別支給棋院支給規則附則6条)
・ 傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金又は傷病年金を受けることとなった労働者が支給を受ける傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金又は傷病年金の額と傷病特別年金の額との合計額が、年金給付基礎日額の292日分に満たない場合には、その差額に相当する額を特別支給金として支給する。
・ 厚生年金保険等との併給調整が行われる場合には、厚生年金保険等との併給調整に該当しないものとして得られる額
1年365日分の100分の80=292日
・ 休業(補償)等給付(休業給付基礎日額×60/100)+休業特別支給金(休業給付基礎日額×20/100)= 傷病(補償)等年金+傷病特別年金+傷病差額特別支給金
■ 遺族特別支給金(特別支給金支給規則5条)
・ 支給要件
・ 遺族特別支給金は、業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者が死亡した場合に、当該労働者の遺族に対し、その申請に基づいて支給する。
・ 遺族特別支給金を受けることができる遺族の範囲は、遺族補償給付、複数事業労働者遺族給付又は遺族給付を受けることができる遺族の範囲と同様である。
・ 給付内容
・ 300万円(遺族特別支給金の支給を受けることができる遺族が2人以上ある場合には、300万円をその人数で除して得た額)とする。
・ 手続
・ 遺族特別支給金の支給申請は、原則として、遺族補償給付、複数事業労働者遺族給付又は遺族給付の請求と同時に行わなければならない。また、遺族特別支給金の支給の申請は、労働者の死亡の日の翌日から起算して5年以内に行わなければならない。
■ 遺族特別支給金は、若年支給停止者に対しても支給される。
■ 死亡の推定や代理人の選任規定は準用される。
■ 特別の給与を対象とする特別支給金は賞与等の特別給与の額を元に算定された額(算定基礎年額・算定基礎日額)に基づいて支給されるものである。
■ 被災労働者が被災時に属していた事業の事業主から、原則として、負傷又は発病の日以前1年間(雇入れ後1年に満たない者については、雇入れ後の期間)に受けた労働基準法12条4項の3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(臨時に支払われる賃金は含まれない)の合計額をいう。(特支則6条1項)
■ ただし、その額を算定基礎年額とすることが適当でないと認められるときは、厚生労働省労働基準局長が定める基準に従って算定する額を算定基礎年額とする。
■ 算定した額が、スライド制や年齢階層別最低・最高限度額が適用される労災法8条の3の年金給付基礎日額(スライド制を準用する一時金の給付基礎日額を含む)を365倍した額の20%相当額又は150万円のうちどちらか低い額を超える場合には、その低い方が算定基礎年額となる。
■ 算定基礎日額
・ 次のうちから、最も低い額
・ 被災日以前1年間(雇入れ後1年に満たない者については、雇入れ後の期間)に支払われた特別給与の総額
・ 年金給付基礎日額×365×20/100
・ 150万円
■ 特別給与の総額が180蔓延、年金給付基礎日額が2万円の場合の算定急日額は
・ 180万円(1年間に支払われた賞与)
・ 2万円×365日×20/100=146万円
・ 150万円
・ 最も低い額(146万円)×1/365=4,000円
■ 本来の保険給付に準じて、算定企保日額の基礎として次の範囲で支給される。
・ 障害特別年金 → 第1級(313日分)から第7級(131日分)
・ 自然的な経過により障害の程度が変更になった場合や、併合繰上げが行われた場合や、加重障害の場合の支給額の算定方法は、障害(補償)等年金の場合と同様とする。ただし、前払一時金の制度はないため、障害(補償)等年金に係る前払一時金の支給により支給停止がなされていても、障害特別年金は支給される。
・ 障害特別年金一時金 → 障害(補償)等年金差額一時金に準じて支給
・ 障害特別一時金 → 第8級(503日分)から第14級(56日分)
・ 障害等級の併合繰上げが行われた場合、加重障害の場合の障害特別一時金の支給額については、障害(補償)等一時金と同様に算定される。
・ 傷病特別年金 → 第1級(313日分)から第3級(245日分)
・ 遺族特別年金 → 遺族の数に応じて1人(153日分)から4人(245日分)
・ 算定基礎日額に乗ずべき日数は、遺族(補償)等年金と同様である。ただし、前払一時金制度は設けられていないため、遺族(補償)等年金に係る前払一時金の支給により支給停止がなされていても、遺族特別年金は支給される。遺族(補償)等年金が受給権者の所在不明又は若年支給停止とされている間は、同様に支給が停止される。
・ 遺族特別一時金 → 1000日分を限度として、遺族(補償)等一時金に準じて支給
■ 手続
・ ボーナス特別支給金の支給の申請については、本来の保険給付の受給権者となった日の翌日から起算して5年以内に、原則として本来の保険給付の請求と同時に行わなければならない。
■ 年金たる特別支給金の支給は、支給の事由が生じた月の翌月から始め、支給事由が消滅した月で終わるものとする。
■ 年金たる特別支給金は、毎年2月4月6月8月10月及び12月の6期に、それぞれその前月分までを支払う。
■ ただし、支給の事由が消滅した場合におけるその期の年金たる特別支給金は、支払期月でない月であっても、支払うものとする。(特別支給金支給規則13条)
■ 未支給の特別支給金は、未支給の保険給付の支給の例により、その死亡した者の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹で、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものが、事故の名で、その申請をすることができる。(特別支給金支給規則15条)
■ 中小事業主等、一人親方等、海外派遣者の特別加入者に対しても休業特別支給金、障害特別支給金、遺族特別支給金、傷病特別支給金は支給される。ただし、特別加入保険料滞納中に発生した事故(中小事業主等については、この他、事業主の故意または重大な過失により発生した事故)については、特別支給金の支給が制限される。
■ 特別加入者には、算定基礎年額のもととなるボーナス等の特別給与というものがない。したがって、障害特別年金等のボーナス特別支給金は支給されない。(特別支給金支給規則16条)
■ 特別支給金に関するその他の重要事項
・ 他の社会保険、民事損害賠償との併給調整は生じない。
・ 前払一時金が支給され、本体の年金が支給停止となっているときでも、特別支給金は支給停止されない。
・ 保険給付と同様、非課税扱い
・ 労災保険の不正受給者からの費用徴収の対象とならない(特別支給金は保険給付でないため、不正受給に対する費用徴収は国税徴収の例により行うことができず、不当利得として民事上の手続をとることにより返還を求めることとなる)
・ 譲渡、差押えが可能
・ 受給手続は「請求」ではなく、「申請」による
・ 傷病特別支給金の除き、申請は保険給付の請求と同時に行わなければならない。
・ 第三者行為災害等の場合において、第三者から損害賠償を受けた場合等であっても、損害賠償と特別支給金として支給される給付は、調整されない。
・ 事業主が、故意又な重大な過失によって保険関係成立届の提出を怠っている期間中に生じた事故等について、保険給付に要した費用の全部又は一部を徴する場合においても、特別支給金については、当該事業主からの費用徴収の対象とはならない。
・ 特別支給金の支給決定に不服があっても、労働者災害補償保険審査官及び労働保険審査会に対して審査請求及び再審査請求をすることができない。
・ 特別支給金を受ける権利は労働者の退職によって変更されない。
・ 内払・充当については保険給付と同じ扱いがなされる。
・ 一時差し止めの規定が適用される。
■ 年金たる特別支給金の額の端数処理は、1円未満の端数は切り捨ての処理がなされる。
■ 算定基礎年額又は算定基礎日額に1円未満の端数がある場合はこれを1年に切り上げる。
■ 特別支給金支給規則の規定は、労災保険法の保険給付に関する規定が多く準用されているが、費用徴収又は第三者行為災害等の規定は準用されない。
[労災法] 労働者災害補償保険法・重要箇所・Chapter10
第三者行為災害等・社会保険と労災保険との調整
■ 保険給付の原因である事故が保険関係外にある第三者の行為(不法行為)によって生じた場合において、政府が保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、政府は、保険給付を受けた者が第三者にたいして有する損害賠償の請求権を取得する。
■ また、保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を受けるべき者が第三者から同一の事由による損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で保険給付をしないことができる。
■ 業務災害や通勤災害が不法行為によって発生し、被災者が労災保険に対する給付請求権と第三者に対する損害賠償請求権とを同時に取得することになる場合、両者間での調整が問題となる。
■ 労災保険の給付も損害賠償も、ともに損失の填補を目的とするものであり、被災労働者が同一の損害について労災保険の給付と加害者からの損害賠償を二重に受けることは不合理な結果となる。また、被災労働者が労災保険の給付を選択することにより、加害者たる第三者が保険給付に相当する損害賠償を免れることも妥当ではない。
■ そこで、労災保険では保険給付の「控除」と「求償」という方法で保険給付と損害賠償との調整を行っている。
■ 政府は、保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、保険給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
■ 上記の場合において、保険給付を受けるべき者が当該第三者から同一の受有について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で保険給付をしないことができる。(労災法12条の4)
■ 労災保険が先に受給権者に対して保険給付を行った場合に、受給権者が第三者に対して有している損害賠償請求の権利を、保険給付の価額の限度で政府が取得して、受給権者に代わって第三者に損害賠償請求を行う。これを「求償」という。
■ 求償する損害賠償の範囲は、その損害賠償のうち保険給付と同一の事由のものに限られ、求償の価額は、損害賠償の額と保険給付の額のうち、いずれか少ない方の額を限度とする。ただし、年金給付のように継続的に支給される給付についての求償は、災害発生後5年が限度とされている。
■ 第三者行為による場合であっても、次の災害については、求償を差し控える(全く求償しない)
・ 同じ事業主に使用されている同僚労働者相互の間に災害が生じた場合
・ 同じ事業主の事業場を異にする労働者相互の間に災害が生じた場合
・ 同一作業場内で同時に作業している事業主の相違する労働者相互の間に災害が生じた場合
■ 同一の事由について損害賠償が先に行われたときは、その価額の限度で、政府(労災保険)は災害発生後7年間を限度として保険給付の義務を免れる。
■ 受給権者が第三者から保険給付の事由と同一の事由に基づき損害賠償(示談の場合を含む)を受けた場合には、損害賠償の行われた日又は示談成立の日の属する月の翌月以後に受給権者に支給されるべき年金について、第三者から受けた損害賠償の額に相当する額に達するまでの間、その支給を停止する。支給を呈する期間は災害発生後7年が限度である。
■ 受給権者と第三者との間に示談が行われている場合は、その示談が、次の要件をすべて充たしているときに限り、保険給付は行われない。(昭和38年基発687号)
・ 当該示談が真正に成立していること。当該「示談」が錯誤又は心裡留保、詐欺、強迫等に基づく場合は、真正に成立している「示談」とは認められない。
・ 当該示談の内容が、受給権者の第三者に対して有する損害賠償請求権の全部の填補を目的としているものであること。
■ 示談書の文面上、全損害の填補を目的とする旨の記述がある場合であっても、示談の内容、当事者の供述等から、全損害の填補を目的としている認められないときは、全損害の填補とはならない。
■ 被災労働者等が加害者から慰謝料、見舞金、香典等精神的苦痛に対する損害賠償を受けても、原則として政府の保険給付の支払義務に影響しない。(昭和32年基発551号、昭和35年基発934号)
■ 保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じたときは、保険給付を受けるべき者は、その事実、第三者の氏名及び住所(第三者の氏名及び住所がわからないときは、その旨)並びに被害の状況を、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。(労災則22条)
■ 特別支給金については、これが保険給付に該当しないことから、第三者に対する損害賠償請求との調整対象とはならず、そのまま支給される。
■ 二次健康診断等給付については、第三者に対する損害賠償請求権の取得の問題は生じないものとされている。(平成13年基発233号)
■ 労災保険法12条の4は、保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じた場合において、受給権者に対し、政府が先に保険給付をしたときは、受給権者の第三者に対する損害賠償請求権はその給付の価額の限度で当然国に移転し、第三者が先に損害賠償をしたときは、政府はその価額の限度で保険給付をしないことができると定め、受給権者に対する第三者の損害賠償義務と政府の保険給付義務とが相互補完の関係にあり、同一の事由による損害の二重填補を認めるものではない趣旨を明らかにしているものである。(最判平元4.11/高田建設従業員事件)
■ 労災保険法に基づく保険給付の原因となった事故が第三者の行為により惹起され、第三者が当該行為によって生じた損害につき賠償責任を負う場合において、当該事故により被害を受けた労働者に過失があるため損害賠償額を定めるにつきこれを一定の割合で斟酌すべきときは、保険給付の原因となった事由と同一の事由による損害の賠償額を算定するには、当該損害の額から過失割合による減額をし、その残額から当該保険給付の価額を控除する方法によるのが相当である(最判平元4.11/高田建設従業員事件)
■ 労災保険法に基づく保険給付の原因となった事故が第三者の行為により惹起された場合において、被災労働者が、示談により当該第三者の負担する損害賠償債務を免除した場合、政府がその後保険給付をしても、第三者に対し損害賠償を請求することができない(損害賠償請求権は消滅するので、請求する余地がない)とされている(最判昭38.6.4/小野運送事件)
■ 労働者又はその遺族が保険給付の受給権を有し、かつ、同一の事由について、事業主からも民事の損害賠償を受けることができる場合には、第三者行為と同じように二重の填補を受ける可能性があり、また、事業主は、労災保険に関する保険料を全額負担しているため、その保険利益を考慮する必要もある。そのため、この暫定措置が設けられている。
■ この暫定措置は、昭和55年の改正で設けられたものであるが、その契機となったのは、次の最高裁判所の判例である。(この判例により、事業主の有する労災保険における保険利益が失われることになったため、その不合理な事態を解消するために設けられた)
■ 政府が保険給付をしたことによって、受給権者の使用者に対する損害賠償請求権が失われるのは、保険給付が損害の填補の性質をも有する以上、政府が現実に保険金を給付して損害が填補されたときに限られ、いまだ現実の給付がない以上、たとえ将来にわたり継続して給付されることが確定していても、受給権者は使用者に対し損害賠償の請求をするにあたり、このような将来の給付額を損害賠償債権額から控除することを要しないと解するのが相当である(最判昭52.10.25/三共自動車事件)
■ 労働者又はその遺族が年金給付を受けるべき場合(当該年金給付を受ける権利を有することとなったときに、当該年金給付に係る前払一時金給付を請求することができる場合に限る)であって、同一の事由について、当該労働者を使用している事業主又は使用していた事業主から損害賠償(当該年金給付について填補される損害を填補する部分に限る)を受けることができるときは、当該損害賠償については、当面の間、次に定めるとことによるものとする。(労災法附則64条1項)
・ 事業主は、当該労働者又はその遺族の年金給付を受ける権利が消滅するまでの間、その損害の発生時から当該年金給付に係る前払一時金を受けるべきときまでのその損害の発生時における法定利率により計算される額を合算した場合における当該合算した額が当該前払一時金給付の最高緒限度額に相当する額となるべき額(以下の規定により損害賠償の責めを免れたときは、その免れた額を控除した額)の限度で、その損害賠償の履行をしないことができる。
・ 上記の規定により損害賠償の履行が猶予されている場合において、年金給付又は前払一時金給付の支給が行われたときは、事業主は、その損害の発生時から当該支給が行われたときまでのその損害の発生時における法定利率により計算される額を合算した場合における当該合算した額が当該年金給付又は前払一時金給付の額となるべき額の限度で、その損害賠償の責めを免れる。
■ 被災労働者が、労災給付と同時に事業主に対して損害賠償請求権を有する場合に、事業主側から見れば、損害賠償のみを行って労災保険からの給付が行われないとすると、労災保険に加入しているメリットが失われる。
■ 他方、政府からすれば、被災労働者に両方(労災給付と損害賠償)の二重取りをゆするわけにはいかず、調整の必要が生じる。そこで、あらかじめ免責するのではなく前払一時金給付の限度(前払一時金は確実に給付が行われる部分とみなすことができるため)で損害賠償の履行を猶予しておいて、実際に労災保険から前払一時金給付の最高限度額の範囲内に対応する年金給付又は前払一時金給付の支給が行われたときに、その給付額を損害発生時の評価額に引き直した額(損害発生時から年金給付又は前払一時金給付の支給を受けたときまでのその損害の発生時における法定利率により計算される利子相当額を控除した額)について、賠償責任が免責されることとしている。
■ なお、時効で前払一時金給付を請求できないだけであるときは「年金の受給権を取得したときに前払一時金を請求することができる場合」に該当し、この調整規程が適用される。
■ 事業主が損害賠償を受けることができる場合であって、保険給付を受けるときに、同一の事由について保険給付に相当する損害賠償が行われた場合には、政府は、労働政策審議会の議を経て厚生労働大臣が定める基準により、その価額の限度で労災保険の保険給付を行わないことができる。ただし、上記による前払一時金給付の最高限度額の範囲については、支給調整は行われない。(労災法附則64条2項)
■ 障害補償年金若しくは遺族補償年金、複数事業労働者障害年金若しくは複数事業労働者遺族年金又は障害年金もしくは遺族年金を受けるべき場合においては、民事損害賠償の側での調整規定の適用があるので、これらの年金給付に係る前払一時金給付の最高限度額の範囲内において支給される保険給付については、労災保険給付の側では支給調整せずに、その損害部分に対応する給付を行うこととしている。
9年又は就労可能年齢を超えるに至ったときまでの期間のうち短い期間(支給停止)
■ 以下のような民事損害賠償に応じ、労災保険給付が支給調整される。
・ 逸失利益 → 障害(補償)等給付、遺族(補償)等給付、傷病(補償)等年金、休業(補償)等給付
・ 療養費 → 療養(補償)等給付
・ 葬祭費用 → 葬祭料等(葬祭給付)
・ 介護費用 → 介護(補償)等給付
■ 企業内労災補償、示談金及び和解金、見舞金等については、以下のように取り扱う
・ 企業内労災補償
・ 制度を定めた労働協約、就業規則その他の規定の文面上労災保険給付相当分を含むことが明らかである場合を除き、労災保険給付の支給調整は行わない。
・ 示談金及び和解金
・ 労災保険給付が将来にわたり支給されることを前提としてこれに上積みして支払われるものについては、労災保険給付の支給調整を行わない。
・ 見舞金等
・ 単なる見舞金等民事損害賠償の性質をもたないものについては、労災保険給付との支給調整を行わない。
■ 支給調整を行う範囲
・ 労災保険の種類
・ 一定の保険給付に限定して支給調整を行い、特別支給金については支給調整を行わない。
・ 受給権者の範囲
・ 労災保険給付の支給調整の対象となる民事損害賠償を受けた労使保険給付の受給権者について支給調整を行う。ただし、遺族(補償)等年金の受給権者のうち先順位の受給権者が失権した後の後順位の受給権者については、支給調整は行われない。
■ 政府が被災労働者に対し労災保険法に基づく保険給付をしたときは、当該労働者の使用者に対する損害賠償請求権は、その保険給付と同一の事由については損害の填補がされたものとしてその給付の価額の限度において減縮するが、保険給付が損害の額を上回るとしても、当該超過分を、財産的損害の積極損害(入院雑費、付添看護費を含む)及び精神的損害(慰謝料)を填補するものとして、これらとの関係で控除することは許されない。(最判昭62.7.10/青木鉛鉄事件)
■ 労働者が使用者の不正行為によって死亡し、その損害賠償請求権を取得した相続人が遺族補償年金の支給を受けることが確定したときは、損害賠償額を算定するにあたり、当該遺族補償年金の填補の対象となる損害は、特段の事情のない限り、不法行為の時に填補されたものと法的に評価し、損益相殺的な調整をすることが相当である。(最判平27.3.4/フォーカスシステムズ労災遺族年金事件)
■ 労災保険より一定の給付が支給される場合において、同一の事由により厚生年金保険法等から一定の給付が支給されるときには、政令で定める調整率を労災保険の保険給付の額に乗ずることによって減額調整を行う。(労災法14条他)
■ 社会保険の給付と労災保険の給付は、同時に両方受けることができるが、労災保険に政令所定の調整率を乗ずることによって調整が図られている。
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■ 休業(補償)等給付の額に調整率を乗じて得た額が、調整前の休業(補償)等給付の額から同一の事由により支給される障害厚生年金等の額の365分の1に相当する額を減じた額を下回る場合には、調整前の休業(補償)等給付の額から当該障害厚生年金等の額の365分の1に相当する額を減じた額が、休業(補償)等給付の支給額とされる(法別表第1、令1条)
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■ 年金給付の所定額に調整率を乗じて得た額が、調整前の年金給付の額から同一の事由により支給される障害厚生年金等の額を減じた残りの額を下回る場合には、その調整前の年金給付の額から同一の事由によって支給される障害厚生年金等の額を減じた残りの額に相当する額が、年金給付の支給額となる
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■ 障害(補償)等一時金と厚生年金保険法の障害手当金が支給される場合、障害手当金が不支給となり、障害(補償)等一時金が全額支給される。
■ 特別支給金は減額調整されない。
■ 遺族(補償)等年金の場合、同一人の死亡について支給される遺族厚生年金や遺族基礎年金の受給権者と遺族(補償)等年金の受給権者が異なる場合であっても、遺族(補償)等年金の額については減額調整が行われる。
[労災法] 労働者災害補償保険法・重要箇所・Chapter11
費用徴収
■ 労働者災害補償保険事業に要する費用に充てるため政府が徴収する保険料については、徴収法の定めるところによる。(労災法30条)
■ 事業主が、故意又は重大な過失により生じさせた業務災害について保険給付を行った場合等に事業主からペナルティとして費用を徴収することができる旨を規定している。
■ 政府は、次に該当する事故について保険給付を行ったときは、厚生労働省令で定めるところにより、業務災害に関する保険給付であって労働基準法の規定による災害補償の価額の限度又は船員法の規定による災害補償のうち労働基準法の規定による災害補償に相当する災害補償の価額の限度で、複数業務要因災害に関する保険級にあっては複数業務要因災害を業務災害とみなした場合に支給されるべき業務災害に関する保険給付に相当する同法の規定による災害補償の価額(当該複数業務要因災害に係る事業ごとに算定した額に限る)の限度で、通勤災害に関する保険給付にあっては通勤災害を業務災害とみなした場合に支給されるべき業務災害に関する保険給付に相当する同法の規定による災害補償の価額の限度で、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。(労災法31条1項)
・ 事業主が故意または重大な過失により徴収法4条の2第1項の規定による届出であってこの保険に係る保険関係の成立に係るものとしていない期間(政府が当該事業について徴収法15条3項の規定による認定決定をしたときは、その決定後の期間を除く)中に生じた事故
・ 事業主が徴収法10条2項第1号の一般保険料を督促状に指定する期間内に納付しない期間(天災事変その他やむを得ない事由により保険料を納付することができなかったと認められる場合を除く)中に生じた事故
・ 事業主が故意または重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故
■ 具体的な徴収金の額は、厚生労働省労働基準局長が保険給付に要した費用、保険給付の種類、一般保険料の納付状況その他の事情を考慮して定める基準に従い、所轄労働基準監督署長が定めるものとされている。(労災則44条)
■ 事業主が故意または重大な過失により業務災害を生じさせ、政府により、保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を徴収されるのは、事業主が法令に規定された危害防止のための措置に違反した場合に限らず、法令に規定されていないが、事故発生の危険が明白かつ急迫であるため、事業主が監督行政庁に直接的かつ具体的な措置について指示を受け、その措置を講ずることを怠ったために事故を発生させたと認められるときにも費用徴収が行われる。(昭和47年基発643号)
■ 故意または重大は過失により保険関係成立届を提出していない場合
・ 保険関係成立届の提出期限の翌日から保険関係成立届の提出のあった日の前日までに生じた事故(認定決定のあった場合はその日の前日)
・ 対象
・ 業務災害
・ 通勤災害
・ 保険給付
・ 介護(補償)等給付、療養(補償)等給付、二次健康診断等給付以外の保険給付(特別支給金についても、費用徴収は行われない)
・ 徴収額
・ 保険関係成立届の提出について行政機関からの指導等を受けたことがある事業主であって、指導等を受けたにもかかわらず、10日以内の保険関係成立届を提出していない者について、「故意」と認定され、費用徴収率が100%とされる。
・ 保険関係成立届の提出について行政機関から指導等を受けたことがない事業主であって、保険関係成立以降1年を経過してなおその提出を行っていないものについて、「重大な過失」と認定され、費用徴収率は40%とされる。
・ 上記の場合であっても、次のいずれかの事情が認められるときは、事業主の重大な過失として認定しない。
・ 事業主が、その雇用する労働者について、労働者に該当しないと誤認したために保険関係成立届を提出していなかった場合(当該労働者が取締役の地位にある等労働者性の判断が容易でなく、事業主が誤認したことについてやむをえない事情が認められる場合に限る)
・ 事業主が、本来独立した事業として取り扱うべき出張所等について、独立した事業には該当しないと誤認していたため、当該事業の保険関係について直近上位の事業等他の事業に包括して手続をとっている場合
■ 一般保険料を納付しない期間
・ 督促状の指定期限の翌日から当該一般保険料の完納した日の前日までの期間中に生じた事故
・ 対象
・ 業務災害
・ 通勤災害
・ 対象保険給付
・ 介護(補償)等給付、療養(補償)等給付、二次健康診断等給付以外の保険給付(特別支給金についても、費用徴収は行われない)
・ 徴収額
・ 保険給付相当額に滞納率(最高100分の40)を乗じて得た額(療養を開始した日(即死の場合は事故発生日)の翌日から起算して3年以内の期間において支給事由の生じたものに限られる)
・ 滞納率 → 納付すべき概算保険料に対する滞納額の割合
■ 事業主の故意又は重大な過失による業務災害が原因
・ 対象
・ 業務災害のみ
・ 対象保険給付
・ 介護(補償)等給付、療養(補償)等給付、二次健康診断等給付以外の保険給付(特別支給金についても、費用徴収は行われない)
・ 徴収額
・ 保険給付相当額の100分の30
■ 徴収金の納付先(労災則45条)
・ 日本銀行(本店、支店、代理店及び歳入代理店)
・ 都道府県労働局
・ 労働基準監督署
■ 政府は、通勤災害により療養給付を受ける労働者から、200円を超えない範囲で厚生労働省令で定める額を一部負担金として徴収する。(労災法31条2項)
■ 保険給付に要する保険料は、全額事業主の負担とされているが、通勤災害により療養給付を受ける労働者からは一部負担金を徴収することとしている。
■ 一部負担金の額は、原則として200円(健康保険法の日雇特例被保険者については、100円)とする。ただし、現に療養に要した費用の総額がこの額に満たない場合には、現に療養に要した費用の総額に相当する額とされている。(労災則44条の2第2項)
■ 納付義務が免除される者(労災則44条の2第1項)
・ 第三者の行為によって生じた事故により、療養給付を受ける者
・ 療養開始後3日以内に死亡した者その他休業給付を受けない者
・ 同一の通勤災害に係る療養給付について既に一部負担金を納付した者
■ 特別加入者については、労災法31条の規定は適用されないこととされており、したがって通勤災害により療養給付を受ける場合にも一部負担金は徴収されないこととされている。(昭和52年基発192号)
■ 一部負担金は原則として、最初に支給すべき事由の生じた日(休業の第4日目)の分として、休業給付の額から一部負担金相当額を減じた額を支給することにして、徴収に代えている。(労災法31条3項、労災則44条の2第3項)
■ 徴収法26条(督促及び滞納処分)、28条(先取特権の順位)、29条(徴収手続)、41条(時効)に関する規定について、準用されている。これにより、事業主からの費用徴収及び一部負担金は、国税滞納処分の例により徴収される。また、時効は2年とする。
■ 国庫は、予算の範囲内において、労働者災害補償保険事業に要する費用の一部を補助することができる。(労災法23条)
■ 労災保険に加入していない暫定任意適用事業において、保険関係成立前に発生した業務上又は通勤による傷病について、労災保険からの給付を行うこととしている。試験での出題可能性は低いため概略を提示するにとどめる。
■ 労災保険に加入していない暫定任意提供事業において、保険関係成立前に発生した業務上、複数業務要因災害又は通勤による傷病について、事後に当該事業が労災保険に加入した場合には、事業主の申請により、特例として年金たる保険給付のほかその他の保険給付を行うことができる。(整備法18条、18条の3)
■ 政府は、上記の規定により保険給付を行うこととなった場合は、厚生労働省令で定める期間、当該事業主から、労働保険料の他、特別保険料を徴収する。(整備法19条1項)
■ 介護保険給付も、上記の特別保険料の対象となる、という旨が出題されたことがある。
■ 偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
■ 上記の場合において、事業主(徴収法8条1項又は2項の規定により元請負人が事業主とされる場合にあっては、当該元請負人)が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行われたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して上記の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。
■ 徴収法27条、29条、30条及び41条の規定は、上記の規定による徴収金について準用する。(労災法12条の3)
■ 準用
・ 当該徴収金を納付しないものについては、政府は一定の納付期限を指定して督促状によって督促し、なおこれに従わないときは国税滞納処分の例による滞納処分を行う(徴収法27条の準用)
・ 当該徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐ(徴収法29条の準用)
・ 当該徴収金は国税徴収の例により徴収する(徴収法30条の準用)
・ 当該徴収金を徴収する権利の消滅時効は2年であり、当該徴収金の徴収の告知又は督促には事項の更新の効果がある(徴収法41条の準用)
■ 特別支給金を不正受給した場合も費用徴収が行われるが、この場合の手続は国税徴収の例により行うことができず、不当利得として民事上の手続を経て返還請求が行われることとなる。なお、不正受給者からの費用徴収と併せての罰則の適用はない。
[労災法] 労働者災害補償保険法・重要箇所・Chapter12
特別加入
■ 労災保険に特別加入できる者は、以下の3種類に大別される。これらの者の業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に関しては、労災保険法の特別加入に関する規定に定めるところによる。
・ 第1種特別加入者(中小事業主等)
・ 第2種特別加入者(一人親方等)
・ 第3種特別加入者(海外派遣者)
■ 厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業(特定事業)の事業主であって、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する者(事業主が法人その他の団体である場合は代表者)(労災法33条1号・2号)
■ 上記の事業主が行う事業に従事する者(労働者である者を除く)
・ 金融業、保険業、不動産業、小売業 → 常時50人以下の労働者を使用する事業主
・ 卸売業、サービス業 → 常時100人以下の労働者を仕様する事業主
・ それ以外の事業 → 常時300人以下の労働者を使用する事業主(労災則46条の16)
■ 使用労働者数の算定にあたっては、事業主単位で行う。2以上の事業を行う事業主については、各事業の使用労働者数の合計数で判断される。(昭和40年基発1454号)
■ それぞれの事業に使用される労働者数により主としてどの業種に属しているかを判断する。(昭和40年基発1454号)
■ 数次の請負による建設の事業の場合には、保険関係が一括されて元請負人のみが事業主となるが、特別加入の制度では下請負人も事業主として取り扱う。(平成3年基発259号)
■ 次の要件を満たしていることが必要である。
・ その事業について労災保険に関する保険関係が成立していること
・ 労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託するものであること(この要件が課せられているのは、中小事業主等の特別加入の場合に限られる)
・ 中小事業主が行う事業に従事する労働者以外の者(家族従事者等)があるときは、それらの者全てを包括して加入すること
・ 政府の承認
■ 特別加入の申請は、特別加入希望者の氏名、業務の内容等所定の事項を記載した「特別加入申請書(中小事業主等)」を、労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出することによって行わなければならない。なお、この申請書の提出は、労働保険事務組合が代行することになる。(労災則46条の19)
■ 政府は、承認を行ったときは「特別加入承認通知書」により、その旨を申請者に通知する。承認しないこととした時も同様である。なお、この承認は、政府の職権で取り消すことができる。(労災則46条の19第5項)
■ 委託の時期は、必ずしも特別加入の申請前である必要はなく、これと同時であってもよい。(昭和40年基発1454号)
■ 中小事業主等の特別加入においては、事業主が事業主と当該事業に従事するその他の者を包括して加入申請を行い、政府の承認を受けることにより労災保険が適用されるものであり、事業主自身が加入することが前提となっている。
■ しかしながら、これらの中小事業主の中には、以下のような事業主もいることから、業務の実情、災害の発生状況等に照らし実質的に労働者に準じて保護するにふさわしい者に対し労災保険の適用を及ぼそうとする特別加入制度の趣旨からして、実態として当該事業場において就業していない者まで包括して加入させることは必ずしも適当ではない。このため、就業実態のない事業主が自らを包括加入の対象から除外することを申し出た場合には、当該事業主を特別加入者としないこととする。(平成15年基発0520002号)
・ 病気療養中、高齢等の事情により実態として当該事業場において就業していない事業主
・ 事業主の立場において行う事業主本来の業務のみに従事する事業主
■ 労災保険法が定める中小事業主(等)の特別加入の制度は、労働者に関し成立している労災保険の保険関係を前提として、当該保険関係上、中小事業主又はその代表者を労働者とみなすことにより、当該中小事業主又はその代表者に対する法の適用を可能とする制度である。(最判平24.2.24/広島中央労基署長(労災特別加入)事件)
■ 建設の事業を行う事業主が、その使用する労働者を個々の建設等の現場における事業にのみ従事させ、本店等の事業所を拠点とする営業等の事業に従事させていないときは、その営業等の事業について、当該事業主が労災保険法に基づく中小事業主等の特別加入の承認を受けることができず、その営業等の事業に係る業務に起因する事業主又はその代表者の死亡等に関し、その遺族等が同法に基づく保険給付を受けることができない。(最判平24.2.24/広島中央労基署長(労災特別加入)事件)
■ 中小事業主等の特別加入に関する政府の承認があれば、これらの者は、当該事業に使用される労働者とみなされ、次のような効果が生ずる。
・ 中小事業主等が業務災害、複数業務要因災害又は通勤災害により負傷等を被った場合には、本来の労働者と同様の内容の保険給付が支給される(ただし、二次健康診断等給付を受けることはできない。)
・ 本来の労働者と同様のないようの社会復帰促進等事業(ボーナス特別支給金を除く)を受けることができる。
■ 給付基礎日額についてのスライド制も適用される。(年齢階層別の最低・最高限度額の適用はない。)
■ 休業(補償)等給付の支給に関しては、賃金を受けないことという要件はない。
■ 中小事業主等の事故発生について、故意の場合等の支給制限についても、一般労働者の場合と同様に取扱いとされる。
■ 中小事業主等の給付基礎日額は、これらの者に「賃金」という概念がないことから、個々の中小事業主等について、3500円、4000円、5000円、6000円、7000円、8000円、9000円、10000円、12000円、14000円、16000円、18000円、20000円、22000円、24000円、25000円の中から厚生労働大臣(権限は、都道府県労働局長に委任されている)が決定する額による。
■ また、中小事業主等の給付基礎日額は、政府の特別加入承認時に決定されるが、その後、当該事業における賃金上昇があった場合等には改定が可能である。給付基礎日額の改定を希望する者は、労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長にその旨を申し出ることができる。
■ 保険料の算定にあたっては、その事業についての本来の労働者に関する保険料の算定の際に用いる保険料率により行う。(徴収法13条)
■ 保険料の納付も、本来の労働者に関する保険料と一括して、通常の納付手続により行う(徴収法15条1項2号)。なお、保険料算定基礎額は、給付基礎日額を365倍した額である。
■ 労働者であって、かつ、特別加入者である者及び複数の特別加入を行っている者も複数事業労働者に含まれるところであるが、これらの者に関する保険給付を行う場合の給付基礎日額は、労災則46条の20(労災則46条の24及び46条の25の3において準用する場合を含む)によることとした。
■ この趣旨は、特別加入者は自ら給付基礎日額を選択して申請し、自らの医師で一定の額の給付基礎日額に応じた保険料について労働保険事務組合等を経由して納付していることを踏まえると、労働者であって、かつ、特別加入者である場合及び複数の当別加入を行っている場合に、労働者として複数就業している場合と同様の給付基礎日額の算定を行うことは必ずしも適当でないことによるものであり、その算定にあたっては下記事項に留意すること
・ 基本的な考え方
・ 特別加入者に係る給付基礎日額については、従来から自動変更対象額及び年齢階層別の最低・最高限度額の適用対象としておらず、今般の改正においても同趣旨の変更はない者である。
・ このため、複数事業労働者に該当する特別加入者のうち、労働者であって、かつ、特別加入者である者に係る労働者としての給付基礎日額相当額は、所定のルールに沿って給付基礎日額相当額を算定し、特別加入者としての給付基礎日額相当額は、特別加入者に申請した給付基礎日額とし、これらを合算して給付算定日額を算定する。
・ この場合、労働者としての給付基礎日額相当額は合算前に児童変更対象額、スライド制及び年齢階層別最低・最高限度額を適用し算定し、特別加入者としての給付基礎日額相当額は合算前に、スライド制のみ適用し算定することとする。
・ また、複数事業労働者に該当する特別加入者のうち、複数の特別加入を行っている者に係る給付基礎日額相当額は、特別加入者としての各給付基礎の地学相当額の合算後に、スライド制のみを適用し、これらを合算して算定する。
・ 平均賃金相当額又は給付基礎日額相当額の特定
・ 特別加入者の平均賃金相当額又は給付基礎日額相当額の算定においても、労働者であって、かつ、特別加入者である者に係る労働者としての給付基礎日額相当額は、上記と同様に算定すること
・ また、労働者としての平均賃金相当額算定期間の途中から特別加入した場合又は算定期間の途中で特別加入から脱退した場合は、労働者に係る特例と同様に算定期間と重なる部分で除して給付基礎日額相当額を算定すること。(令和2年基発0821第2号)
■ 特別加入者たる地位の喪失
・ 特別加入の任意脱退
・ 特別加入をした中小事業主等は、政府の承認を受けることによって、いつでも特別加入を脱退することができる。この場合、中小事業主等が行う事業に従事する労働者以外の者(家族従事者等)がいるときは、これらの者を包括して脱退しなければならない。
・ 特別加入している中小事業主等が当該事業の事業主又は当該事業に従事する労働者以外のものでなくなったとき
・ 特別加入している中小事業主等が、労働保険事務組合等への労働保険事務の処理の委託を解除し、又は解除されたとき
・ 労働者に関し成立している保険関係が消滅したとき
・ 政府が特別加入の承認を取り消したとき
・ 中小事業主が労災保険等の法令に違反した場合には、政府は特別加入の承認を取り消すことができる。
■ 特別加入の任意脱退又は承認の取消があった場合であっても、特別加入期間中に生じた事故に係る保険給付を受ける権利は変更されない。
■ 事業主の故意または重大な過失による事故及び第1種特別加入保険料の滞納中の事故については、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができることとされており、具体的には、特別の費用徴収によらずに、保険給付の支給制限が行われる。
■ 特別給与を算定の基礎とする特別支給金(ボーナス特別支給金)は、支給されない。
■ 特別加入者に係る業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害の認定は、厚生労働省労働基準局長が定める基準によって行う。
■ 特別加入の申請に対する所轄都道府県労働局長の承認は、申請の日の翌日から起算して30日以内において申請者が加入を希望する日とされている。(平成26年厚労告386号)
■ 労災法12条の2の2(支給制限)と労災法34条1項4号前段又は35条1項7号(特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるとき)とが同時に適用される場合には、まず労災法12条の2の2を適用し、その残余の部分について労災法34条1項4号前段又は35条1項7号を適用する。
■ 労災法12条の2の2(支給制限)と労災法34条1項4号後段(業務災害の原因である事故が事業主の故意または重大な過失によって生じたものであるとき)とが同時に提供される場合には、同号後段のみを適用する。
■ 労災法34条1項4号の前段(特別加入保険料が滞納されている期間に生じたものであるとき)と後段(業務災害の原因である事故が事業主の故意または重大な過失によって生じたものであるとき)とが同時に適用される場合には、いずれか支給制限率の高い方の規定のみ適用される。(昭和40年基発1591号)
■ 保険料
・ 保険料算定基礎額×第1種特別加入保険料率(その事業の労災保険率から過去3年間の二次健康保険等給付に要した費用の額を考慮して厚生労働大臣が定める率を減じた率)
■ 一人親方等の特別加入者の範囲(労災則46条の17)
・ 特別加入できるのは、一人親方等と特定作業従事者である。
・ 一人親方等
・ 次の事業を労働者を使用しないで行うことを状態とする者と家族従事者をいう。
・ 自動車を使用して行う旅客若しくは貨物の運送の事業又は原動機付自転車若しくは自動車を使用して行う貨物の運送の業務(個人タクシー業者、個人貨物運送業者)
・ 土木、建築その他の工作物の建設、改造、原状回復、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業(大工、左官、とび、石工、除染作業等)
・ 漁船による水産動植物の採捕の事業(漁船に乗り込んでその事業を行う者に限る)
・ 林業の事業(植林、伐採、木炭製造等)
・ 医薬品の配置販売の事業(各家庭に常備薬等の医薬品を配置販売する者等)
・ 再生理由の目的となる産廃物等の収集、運搬、遠別、解体等の事業(廃品回収の事業)
・ 船員法1条に規定する船員が行う事業
・ 柔道整復師法2条に規定する柔道整復師が行う事業
・ 高年齢者雇用安定法10条の2第2項に規定する創業支援等措置に基づく、同項1号に規定する委託契約その他の契約に基づいて高年齢者が新たに開始する事業又は同項2号に規定する社会貢献事業に係る委託契約その他の契約に基づいて高年齢者が行う事業であって、厚生労働省労働基準局長が定めるもの
・ 特定作業従事者(労災則46条の18)
・ 特定農作物従事者(年間農業生産物総販売額300万円以上又は経営耕地面積2ヘクタール以上の規模の事業場における特定の農作物に従事する者)、特定農業機械作業従事者、職場適応訓練として行われる作業に従事する者、事業主団体等委託訓練として行われる作業に従事する者、危険有害な作業に従事する家内労働者又は補助者及び労働組合等の常勤役員、介護作業従事者、家事支援従事者、芸能従事者、アニメーション制作従事者、情報システムの設計等の情報処理に係る作業従事者(いわゆるITフリーランス)がある。
・ 家事支援作業(家事(炊事、洗濯、掃除、買物、児童の日常生活上の世話及び必要な保護その他家庭において日常生活を営むのに必要な行為)を代行し、又は補助する業務)に携わる者には、自発的、かつ、報酬を得ないで労務を提供するいわゆるボランティアが存在するが、労災保険の特別加入制度は、労働者に準じて労災保険により保護するにふさわしい者に対し、労災保険の適用を及ぼそうとするものであるから、これらの者については、家事支援従事者としての特別加入は認められない。なお、交通費等の実費弁償として支払われるものはここでいう報酬に含まれない。(平成30年基発0208第1号)
・ 介護作業従事者又は家事支援従事者として特別加入した者は、労災則46条の18第5号加入者として、介護作業及び家事支援作業のいずれの作業にも従事する者として取り扱われる。また、家事支援作業が特別加入の対象となる前に介護作業従事者として特別加入していた者も、労災則46条の18第5号加入者として、介護作業及び家事支援作業のいずれの作業も従事する者として取り扱われる。(平成30年基発0208第1号)
■ 個別に加入申請を行うことはできない。(必ず団体を通じて加入することとなる。)
■ 申請書は、当該団体の主たる事業所の所轄労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局長に提出する。
■ 保険給付及び社会復帰促進等事業の規定の適用については、一人親方等の団体は適用事業及び事業主とみなされ、業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害(一部の者については通勤災害は非適用)に関する保険給付を受けることができ、又、社会復帰促進等事業として行われる事業を利用することができる。
■ ただし、次の事項については一般労働者と異なる扱いがされている。
・ 一人親方等の給付基礎日額については、中小事業主等の特別加入者の場合に準ずる。ただし、家内労働者又は補助者については、3500円から25000円のほかに、2000円、2500円、3000円の給付基礎日額も認められている。(労災則46条の24、平成5年則附則2条3項)
・ 第2種特別加入者保険料の滞納中の事故については、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができることとされており、具体的には、特別の費用徴収によらずに、保険給付の支給制限が行われる。
・ 特別給与を算定の基礎とする特別支給金(ボーナス特別支給金)は、支給されない。
・ 以下のものについては、その住居とその就業の場所との間の往復の実態が明らかでないこと等から、通勤災害に関する保護制度は適用されない。
・ 個人タクシー業者、個人貨物運送業者
・ 個人水産業者
・ 特定脳作業従事者及び指定農業機械作業従事者
・ 家内労働者又は補助者
■ 特別加入者たる地位の喪失
・ 任意の保険関係の消滅
・ 一人親方等の団体は、政府の承認を受けることによって、いつでも当該団体についての保険関係を消滅させることができる。
・ 政府の職権による保険関係の消滅
・ 一人親方等の団体が労災保険等の法令に違反した場合には、政府は、その団体の保険関係を消滅させることができる。この場合、当該団体を通じて特別加入している一人親方等又は特定作業従事者は、すべて特別加入者たる地位を喪失する。
・ 特別加入している一人親方等又は特定作業従事者が、一人親方等又は特定作業従事者でなくなったとき
・ 特別加入している一人親方等又は特定作業従事者が、これらの者の特定加入の承認をうけた団体の構成員でなくなったとき
・ 特別加入の承認を受けた団体が解散したとき
■ 一人親方等の特別加入期間中に生じた事故に係る保険給付を受ける権利は、これらの者が当該団体から脱退すること等によってその特別加入者たる地位が消滅した場合であっても、変更されない。
■ 一人親方等として特別加入した者は、同一の種類の事業又は同一の種類の作業に関しては、他の団体を通じて重ねて特別加入することはできないが、異なる種類の事業又は作業に関しては重ねて特別加入することができる。
■ 保険料
・ 保険料算定基礎額×第2種特別加入保険料率(23区分3/1000から52/1000)
■ 特別加入者に係る業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害の認定は、厚生労働省労働基準局長が定める基準によって行う。
■ 海外へ労働者を派遣する国内の団体が、有期事業であるときは、そこから海外へ派遣される者は特別加入できない。
■ 従事する事業の種類、形態等は問わない。平成7年の改正により、海外の中小事業の代表者として派遣される者も特別加入者の範囲に加えることができるようになった。また、新たに派遣される者だけでなく、既に海外の事業に派遣されている者も特別加入することは可能である。ただし、現地採用者には特別加入の資格はない。(昭和52年基発192号)
■ 留学を目的として派遣される者は事業に従事しるため派遣される者に該当しないため、特別加入の対象とはならない。(昭和52年基発192号)
■ 次の要件を満たしていることが必要である。
・ 国内の派遣団体又は派遣事業主の事業について、継続事業としての労災保険の保険関係が成立している。
・ 国内の派遣団体又は派遣事業主が、上記の保険関係に基づいて特別加入の申請をして政府の承認を得る。
■ なお、申請書は所轄労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局長に提出することによって行わなければならない。(労災則46条の25の2)
■ 保険給付及び社会復帰促進等事業の規定の適用については、海外派遣者は当該事業に使用される労働者とみなされ、業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に関する保険給付を受けることができ、社会復帰促進等事業として行われる事業を利用することができる。
・ 海外派遣者の給付基礎日額は、中小事業主等の特別加入者の場合に準ずる。
・ 保険給付を受ける権利の不変更、特別加入の任意脱退、特別加入の承認の取消については、中小事業主等の特別加入者の場合に準じて取り扱われ、これらの規定が海外派遣者、派遣元の団体又は事業主に準用される。
・ 支給制限
・ 第3種特別加入保険料の滞納中の事故については、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができることとされており、具体的には特別の費用徴収によらずに、保険給付の支給制限が行われる。
・ 特別支給金の取扱い
・ 特別給与を算定の基礎とする特別支給金(ボーナス特別支給金)は、支給されない。
・ 海外派遣される事業主等として特別加入している者に対する災害の業務上外等の認定については、国内における中小事業主等の特別加入の場合に準ずる(平成8年基発95号)
・ 派遣先の海外の事業が厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業(特定事業)に該当する場合には、その事業の代表者として派遣する者も海外派遣者の特別加入制度の対象となる。(平成11年基発695号)
■ 国内の団体が有期事業の場合には海外派遣者の特別加入はできないが、国外の事業は有期事業であっても構わない。
■ 海外出張については、労災保険の保険給付が行われるため、特段の加入手続きは不要である。
■ 同一の事由について派遣先の事業の所在する国の労災保険から保険給付を受けられる場合にも、日本の労災保険の保険給付との間の調整を行う必要はない。(平成11年基発77号)
■ 保険料
・ 保険料算定基礎額×第3種特別加入保険料率(3/1000)
[労災法] 労働者災害補償保険法・重要箇所・Chapter13
不服申立て及び訴訟
■ 行政庁の処分に不服がある場合、裁判によると、訴訟手続が複雑で経済的・基幹的に多くの負担を不服申立人に強いることになる。そこで、一般には行政不服審査法により、簡易迅速な手続による行政庁への不服申し立ての途が開かれている。本条では、行政不服審査法の特例として、保険給付に関する決定に不服のある者の特別の不服申立制度について規定している。なお、平成28年4月1日を施行日として、不服申立前置の縮小、審査請求期間・再審査請求期間の延長、異議申立ての廃止などの大幅な改正が行われた。
■ 保険給付に関する決定に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
■ 上記の審査請求をしている者は、審査請求をした日から3か月を経過しても審査請求について決定がなされないときは、労働者災害補償保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。
■ 上記は、時効の完成猶予及び更新に関しては、これを裁判上の請求とみなす。(労災法38条)
■ 保険給付(傷病(補償)等年金を含む)についての不服申立てには、労働基準監督署長が行った保険給付の支給・不支給の決定などの保険給付に関する処分についての審査請求(一審)と、原則としてその審査請求に対して行われた審査決定についての再審査請求(二審)とがある。
■ 不服申立ての対象となる保険給付に関する決定とは、直接、受給権者の権利に法律的効果を及ぼす処分をいう。したがって、単なる案件事実の認定(例えば、業務上外、給付基礎日額、傷病の治癒日等の認定)は、これに含まれない。
■ 審査請求は、保険給付に関する決定があったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由によりこの期間内に審査請求をすることができなかったことを疎明したときはこの限りでない。
■ 審査請求は、保険給付に関する決定をした労働基準監督署の所在地を管轄する都道府県労働局に置かれている労働者災害補償保険審査官に対して行うが、審査請求人の住所を管轄する労働基準監督署長又は保険給付に関する決定をした労働基準監督署長を経由して行うことができる。
■ 審査請求は、文書又は口頭で行うことができる。
■ 審査請求は、保険給付に関し労働基準監督署長の違法又は不当な処分により直接に権利利益の侵害をうけた者のほか、審査請求人が直接委任した代理人によっても行うことができる。
■ 再審査請求は、労働者災害補償保険審査官から決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由によりこの期間内に再審査請求することができなかったことを疎明したときは、この限りでない。
■ 再審査請求は、原処分をした労働基準監督署長を相手方として、労働保険審査会に対し行うが、再審査請求人の住所を管轄する労働基準監督署長、原処分をした労働基準監督署長又は決定をした労働災害補償保険審査官を経由してすることができる。
■ 再審査請求は、文書でしなければならない。
■ 再審査請求は代理人によってすることができる。
■ 審査請求又は再審査請求は、裁判上の請求と同様、時効の完成猶予及び更新の効力を有する。ただし、審査請求又は再審査請求が却下され、又はこれを取り下げた場合には事項の完成猶予及び更新の効力を生じない。
■ 保険給付に関する決定に関する不服申し立てについては、一般法である行政不服審査法の特例として労災法38条の規定があり、この規定の実施のためには、一般法である行政不服審査法の手続とは異なる手続等を必要とするので、これを「労働保険審査官及び労働保険審査会法」が定めている。従って、特別法である同法の手続と一般法の行政不服審査法の手続が重複することとなる限りにおいて、行政不服審査法の審査請求及び再審査請求の手続規定の一部の適用を排除し、特別法を定めることによることとしている。
■ 処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する労働者災害補償保険間の決定を経た後でなければ、提起することができない。(労災法40条)
■ 一般に行政処分に不服のある者は、不服申し立ての手続を経ることなく、いつでも裁判所に出訴することができる。しかし、行政事件にあっては、専門的知識をもった行政機関によってまず判断する方が、より適切・迅速である。そこで、保険給付に関する処分については、不服申立前置主義が取られ、裁判所へ提起する前に、原則として、当該処分についての審査請求に対する労働者災害補償保険審査官の決定を経なければならないこととされている。なお、労働者災害補償保険審査官の決定を経た後は、再審査請求をするか、提訴するかを選択できる。
■ 審査請求をした日から3か月を経過しても審査請求についての決定がなく、労働者災害補償保険審査官が審査請求を棄却した者とみなすこととなった場合、棄却も決定の1種であり、決定を経たことになるので、再審査請求をするか、提訴するかを選択できる。
■ 保険給付に関する決定以外の処分(事業主からの費用徴収、不正受給者からの費用徴収、特別加入の承認などの処分)についての不服申し立てについては、行政不服審査法により、厚生労働大臣に対して審査請求することができるが、不服申立前置の規定はなく、行政事件訴訟法により、直ちに、裁判所に処分の取消しの訴えを提起することも可能である。
[労災法] 労働者災害補償保険法・重要箇所・Chapter14
雑則及び罰則
■ 療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付、複数事業労働者療養給付、複数事業労働者休業給付、複数事業労働者葬祭給付、複数事業労働者介護給付、療養給付、休業給付、葬祭給付、介護給付及び二次健康診断等給付を受ける権利は、これらを行使することができるときから2年を経過したとき、障害補償給付、遺族補償給付、複数事業労働者障害給付、複数事業労働者遺族給付、障害給付及び遺族給付を受ける権利は、これらを行使することができるときから5年を経過したときは、時効によって消滅する。(労災法42条1項)
■ 労災保険法における保険給付を受ける権利等は、その行使が容易であり、またこれらの権利関係を長期にわたって不安定な状態のもとにおくことは、煩雑な事務をますます複雑化するおそれがあるため、消滅時効を2年若しくは5年として定めている。
■ 時効のまとめ
・ 療養(補償)等給付(療養の費用に支給に係るもの)
・ 起算日
・ 療養の費用を支払った都度(又は当該費用の支出が具体的に確定した都度)、その日の翌日
・ 期間
2年
・ 休業(補償)等給付
・ 起算日
・ 業務上、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤の傷病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日ごとにその日の翌日
・ 期間
2年
・ 障害(補償)等給付
・ 起算日
・ 傷病が治った日の翌日
・ 期間
5年
・ 障害(補償)等年金差額一時金
・ 起算日
・ 受給権者が死亡した日の翌日
・ 期間
5年
・ 障害(補償)等年金前払一時金
・ 起算日
・ 傷病が治った日の翌日
・ 期間
2年
・ 遺族(補償)等給付
・ 起算日
・ 労働者が死亡した日の翌日
・ 期間
5年
・ 遺族(補償)等年金前払一時金
・ 起算日
・ 労働者が死亡した日の翌日
・ 期間
2年
・ 葬祭料(葬祭給付)
・ 起算日
・ 労働者が死亡した日の翌日
・ 期間
2年
・ 介護(補償)等給付
・ 起算日
・ 支給事由が生じた月の翌月の初日
・ 期間
2年
・ 二次健康診断等給付
・ 起算日
・ 労働者が一次健康診断の結果を了知し得る日の翌日
・ 期間
2年
・ 傷病(補償)等年金
・ 起算日
・ 政府の職権により支給決定がなされるため時効の問題は生じない
■ 請求をして支給決定が行われた保険給付の支払を受ける権利(年金の場合は、各支払期月毎に生ずる支払請求権)については、労働者災害補償保険法の規定によらず、公法上の金銭債権として会計法30条の規定により、これを行使することができるときから5年間行使しないときは、時効によって消滅する。(昭和41年基発73号)
■ 療養の給付(療養の費用の支給に係るものを除く)については、時効の規定は適用されない。
■ 法令上の給付額に変更が生じた場合の取扱い(未支給の保険給付の時効援用の特定)
・ 四半期ごとの平均給与額又は年度の平均給与額が修正されたことにより、厚生労働大臣の定める率、政府が算定する額がそれぞれ変更された場合において、当該変更に伴いその額が再び算定された保険給付であるときは、当該保険給付に係る労災保険法11条の規定による未支給の保険給付の支給を受ける権利については、会計法31条1項の規定を提供しないこととされた(労災法42条2項)
・ 不適切な毎月勤労統計などにより、広範囲の受給者に追加給付が必要となったが、そのような場合において、対象となる当時の受給者が死亡したときには、未支給の保険給付として、新たな請求が必要であり、その遺族に給付を行うためには、連絡及び手続に時間を要する。
・ しかし、消滅時効の期間を徒過してしまうと、そのような遺族に対する追加給付を処理することができないことになる。
・ そこで、対象者の安心のため、こうした場合の保険給付に係る未支給の保険給付の支給を受ける権利については、会計法31条1項の規定を適用しない。(消滅時効を援用しない)こととされている。
■ 労働者災害補償保険法又は労働者災害補償保険法に基づく政令及び厚生労働省令に規定する期間の計算については、民法の期間の計算に関する規定を準用する。(労災法43条)
■ 労働者災害補償保険法に関する書類は、印紙税を課さない。(労災法44条)
■ 市町村長(特別区の区長を含むものとし、及び地方自治法252条の19第1項の指定都市においては、区長又は総合区長とする)は、行政庁又は保険給付を受けようとする者に対して、当該市(特別区を含む)町村の条例で定めるところにより、保険給付を受けようとする者又は遺族の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。(労災法45条)
■ 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者を使用する者、労働保険事務組合、労災法35条1項(一人親方等)に規定する団体、労働者派遣法に規定する派遣先の事業主又は船員職業安定法に規定する船員派遣の役務を提供する者に対して、労働者災害補償保険法の施行に関し必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる。(労災法46条)
■ 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、保険関係が成立している事業に使用される労働者(労災法34条1項1号、労災法35条1項3号又は労災法36条1項1号の規定により当該事業に使用される労働者とみなされる者を含む)若しくは保険給付を受け、若しくは保険給付を受けようとする者に対して、労災法の施行に関し必要な報告、届出、文書その他の物件の提出(報告等)もしくは出頭を命じ、又は保険給付の原因である事故を発生させた第三者(派遣先の事業主及び船員派遣の役務の提供を受ける者を除く。第三者)に対して、報告等を命ずることができる。(労災法47条)
■ 行政庁は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受け、又は受けようとする者(遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金又は遺族年金の額の算定の基礎となる者を含む)に対し、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができる。(労災法47条の2)
■ 政府は、保険給付を受ける権利を有する者が、正当な理由がなくて、保険給付に関する届出をせず、若しくは書類その他の物件の提出をしないとき、又は上記の命令に従わないときは、保険給付の支払の一時差し止めることができる。(労災法47条の3)
■ 行政庁は、労災法の施行に必要な限度において、当該職員に、適用事業の事業場、労働保険事務組合若しくは労災法35条1項に規定する団体の事務所、労働者派遣法に規定する派遣先の事業の事業場又は船員派遣の役務の提供を受ける者の事業場に立ち入り、関係者に質問をさせ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。なお、立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。(労災法48条)
■ 行政庁は、保険給付に関して必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところによって、保険給付を受け、又は受けようとする者(遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金又は遺族年金の額の算定の基礎となる者を含む)の診療を担当した医師その他の者に対して、その行った診療に関する事項について、報告若しくは診察録、帳簿書類その他の物件の提示を命じ、又は当該職員に、これらの物件を検査させることができる。なお、立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。(労災法49条)
■ 厚生労働大臣は、船員法1条に規定する船員について、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、国土交通大臣に対し、船員法に基づき必要な措置を執るべきことを要請することができる。なお、上記の規定による措置をとるため必要があると認めるときは、国土交通大事には厚生労働大臣に資料の提供を求めることができる。(労災法49条の2)
■ 厚生労働大臣は、この法律の施行に関し、関係行政機関又は公私の団体に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。なお、当該厚生労働大臣の権限は、都道府県労働局長に委任されている。なお、上記の規定による協力を求められた関係行政機関又は公私の団体は、できるだけその求めに応じなければならない。(労災法49条の3)
■ 事業主、派遣先の事業主又は船員派遣の役務の提供を受ける者が、
・ 労災法46条の規定による行政庁の報告の命令に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同条の規定による行政庁の文書提出命令に対し、これを提出せず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出した場合
・ 労災法48条1項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、もしくは虚偽の陳述をし、若しくは同条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合
■ これらを罰するとともに、労働保険事務組合又は労災法35条1項(一人親方等)に規定する団体が上記の行為を行った場合の当該労働保険事務組合又は当該特別加入者の団体の代表者又は代理人、使用人その他の従業者についても同様とし、これを6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する(労災法51条)
■ 不正受給者に対する罰則は設けられていない。
■ 事業主、労働保険事務組合、労災法35条1項に規定する団体、派遣先の事業主及び船員派遣の役務の提供を受ける者以外のもの(第三者を除く)が労災法により課された義務に違反した場合は、6か月以下の懲役または20万円以下の罰金に処する。(労災法53条)
■ 法人の代表者又は法人若しくは代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、労災法51条又は労災法53条の各号に掲げる違反行為をした場合には、行為者を罰する他、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。(労災法54条)
[厚年法] 厚生年金保険法・重要箇所・Chapter1
■ 厚生年金保険は、被用者年金制度の代表選手である。民間の会社、工場、船舶等で働く労働者の老齢・障害・死亡といった保険事故に対して保険給付を行い、労働者本人のみならず、その家族の生活の安定と福祉の向上を図ることを目的としている。
■ 厚生年金保険法の前身は、昭和16年公布(昭和17年施行)の労働者年金保険法である。実施当初は、常時10人以上の従業員を使用する鉱業・工業・運輸業の事業所に使用される男子労働者のみを対象としていた。
■ 昭和19年に適用範囲が広げられ5人以上の事業所、女子も含まれるようになった。また、厚生年金保険法とその名称も変更された(ただし、戦前の法律ということもあり、当時はまだ文語体だった)
■ 昭和29年に大改正が行われ、①定額部分と報酬比例部分への分離、②老齢年金の支給関係年齢を55歳から60歳へと引き上げる(女子は従前が50歳だったものを55歳へ引き上げ)、③本来の受給資格期間である「20年」に対して、40歳以後15年(女子、坑内員については35歳以上15年)という受給資格期間の短縮特例(中高齢者の特例)の創設が行われた(この時に口語体に改められた法律条文を、現在私たちは学習していることになる)
■ 昭和36年に国民年金がスタートして国民皆年金が達成されたが、当時はまだ基礎年金制度が導入されておらず、いわば年金制度が乱立している状況であった。
■ 昭和61年には基礎年金制度が導入され、この時から基礎年金は年金制度の1階部分、そして厚生年金保険制度は、2階部分を担当することとなった。
■ 基礎年金制度の導入の後も、基本的に5年に一度の財政再計算により必要な制度改正が行われてきた。
■ 代表的なものに、平成6年改正:特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引き上げ、平成12年改正:特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げ、給付水準(乗率)の5%適正化、総報酬制の導入(総報酬制の実施は平成15年)などがあり、これらは、その改正に伴う経過措置の内容が今もなお重要である。
■ 平成16年改正では、保険料水準固定方式・マクロ掲載スライドなどが導入され、これらの仕組みのもとに、少なくとも5年ごとに財政検証を行うこととされた(財政再計算から財政検証へ)
■ 平成26年には、厚生年金基金制度が廃止され、同年4月以後は新規の設立は認めないこととされた。なお、既に設立済みのものは、存続厚生年金基金として存続するが、解散促進の措置などが規定された。
■ 平成27年10月)からは、国家国務院共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度が厚生年金保険に統合された(被用者年金制度の一元化)。
■ 平成27年9月の時点において、4つの制度に分かれていた被用者年金制度について、年金財政の範囲の拡大、公平性の確保(制度間の差異の是正)を目的として、平成27年10月からは、これらの制度を厚生年金制度に統合することとされた。
・ 基本的には、共済年金制度を厚生年金保険制度にそろえることにより実施。
■ 厚生年金保険に統合(一元化)後も、効率的な事務の処理を行う観点から、厚生年金保険の被保険者の資格、標準報酬、保険給付、保険料などに関する事務を実施する期間(実施機関)として共済組合等を活用することとされた。そして、規定に応じて適用を区分する必要もあることから、厚生年金保険の被保険者に新たな種別が設けられた。
・ この改正は、「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律63号)に基づいて実施された。本書では、この法律を、「平成24年一元化法」と略すことがある。
■ 厚生年金保険法は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。(厚年法1条)
■ 厚生年金保険には、老齢、障害及び死亡の3つの大きな保険事故があり、これらのうちいずれかの保険事故が発生した場合に、労働者又はその遺族の請求に基づいて保険給付を行い、それによって加入者と遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的にしている。
■ 国民年金法においては「保険給付」ではなく、「給付」とされていることに注意。
■ 厚生年金保険は、政府が、管掌する。(厚年法2条)
■ 公的年金制度である厚生年金保険は、国が責任を担うことを明記したものである。
■ 厚生年金保険法84条の3(交付金)、84条の5(拠出金)、84条の6(拠出金の額)、84条の8及び84条の9(報告等)の規定に係るものについては、国家公務員共済組合連合会又は地方公務員共済組合連合会が行い、その他の規定に係るものについては、政令で定めるところにより、国家公務員共済組合又は国家公務員共済組合連合会又は地方公務員共済組合、全国市町村職員共済組合連合会及び地方港無為に共済組合連合会のうち政令で定める者が行う。(国年法2条の5)
■ 被用者年金制度の一元化後も、厚生年金保険事業の実施にあたり、効率的な事務処理を行う観点から、各種の共済組合(連合会)や日本私立学校復興・共済事業団を活用することとしている。
■ 厚生年金保険における被保険者の種別と実施機関
・ 第1号厚生年金被保険者(第2号から第4号厚生年金被保険者以外の厚生年金被保険者)
・ 実施機関 厚生労働大臣
・ 第2号厚生年金被保険者(国家公務員共済組合の組合員たる厚生年金保険の被保険者)
・ 実施機関 国家公務員共済組合及び国家公務員共済組合連合会
・ 第3号厚生年金被保険者(地方公務員共済組合の組合員たる厚生年金保険の被保険者)
・ 実施機関 地方公務員共済組合、全国市町村職員共済組合連合会及び地方公務員共済組合連合会
・ 第4号厚生年金被保険者(私立学校教職員共済制度の加入者たる厚生年金保険の被保険者)
・ 実施機関 日本私立学校復興・共済事業団
■ 国民生活の水準や賃金などに著しい変動が生じた場合には、速やかに年金額の改定を行う。
■ 厚生年金保険法による年金たる保険給付の額は、国民の生活水準、賃金その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講じられなければならない。(厚年法2条の2)
■ 国民年金法4条の規定においては、「賃金」という文言はない。
■ 上記の財政均衡期間(厚生年金保険法34条1項及び84条の6第3項2号において「財政均衡期間」)は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね100年間とする。(厚年法2条の4)
■ 将来にわたり年金財政を均衡させる従前の財政計算の方法(永久均衡方式)を見直し、約100年間の財政均衡を図るものとし、積立金を、約100年後に給付費の1年分程度の積立金を保有する方式(有限均衡方式)を採用する。これにより、現在保有している3から5年分の積立金は、高齢化率が高まる次世代及び次々世代の給付に活用されることになる。なお、上記の「財政の現況及び見通し」の作成のことを「財政検証」と呼ぶ。
■ 厚生年金保険法では、従来は少なくとも5年に一度行われる財政再計算期ごとに、年金額等の見直しを行うこととなっていた。その間に物価が上昇すると、年金額の実質価値が低下するため、物価変動による年金額の実質価値の変動に調整を加え、年金額を自動的に改定する物価スライド制が導入されていたのである。平成16年の法改正において、財政再計算が廃止されるとともに財政検証が導入され、国民年金同様(調整期間)という概念を新たに設け、従来型の「永久均衡方式」から「風現均衡方式」への移行を宣言している。
■ 政府は、厚生年金保険法2条の4第1項の規定により財政の現況及び見通しを作成するにあたり、厚生根人保険事業の財政が、財政均衡期間の終了時に保険給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金(年金特別会計の厚生年金勘定の積立金及び厚生年金保険法79条の2に規定する実施機関積立金をいう)を政府等が保有しつつ当該財政均衡期間にわたってその均衡を保つことができないと見込まれる場合には、保険給付の額を調整するものとし、政令で、保険給付の額を調整する期間(調整期間)の開始年度を定める者とする。
■ 調整期間の開始年度は、平成17年度とされる。(厚年法34条・厚年則2条)
■ 「報酬」とは、賃金、給料、棒給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受ける全てのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び3月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。(厚年法3条1項3号)
■ 金銭、現物等を問わず、労働の対償として支払われるものはすべて報酬に含まれる。(ただし、3か月を超える期間ごとに受けるもの、臨時に受けるものを除く)
・ 臨時に受けるものとは、例えば、大入り袋のように臨時的、突発的自由に基づいて支払われるものをいう。
3月を超える期間ごとに受けるものとは、年間の支給回数が3回以下のものをいう。したがって、名称が異なっても同一性質と認められるものが、年間を通じ4回以上支給される場合は、報酬に該当する。
・ 健康保険法と同じ扱いとされているため、健康保険法3条を参照のこと
■ 「賞与」とは、賃金、給料、棒給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受ける全てのもののうち、3月を超える期間ごとに受けるものをいう。(厚年法3条1項4号)
■ 「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。(厚年法3条2項)
■ 「子」については、法律上の子(実子、養子)であり、事実上養子縁組関係と同様の事情にある子は、子には含まれない。
■ 昭和61年4月前の旧法においては、次のような被保険者の種別が設けられていた。経過的に保険料の負担割合や受給資格期間において種別による取扱いが異なる部分があるため、一部の経過措置において残されている。なお、現在、船員任意継続被保険者に該当する者は存在しない。(昭和60年厚年法附則5条)
・ 第一種被保険者(10号)
・ 男子である厚生年金保険法による被保険者(第1号厚生年金被保険者に限る)であって、第三種被保険者、第四種被保険者及び船員任意継続被保険者以外の者
・ 第二種被保険者(11号)
・ 女子である厚生年金保険法による被保険者(第1号厚生年金被保険者に限る)であって、第三種被保険者、第四種被保険者及び船員任意継続被保険者以外の者
・ 第三種被保険者(12号)
・ 鉱業法4条に規定する事業の事業場に使用され、かつ、常時坑内作業に従事する厚生年金保険法による被保険者(第1号厚生年金被保険者に限る)又は船員法1条に規定する船員として厚生年金保険法6条1項3号(適用事業所)に規定する船舶に使用される同法による被保険者(第1号厚生年金被保険者に限る)であって、第四種被保険者及び船員任意継続被保険者以外の者
・ 第四種被保険者(13号)
・ 昭和60年厚年法附則43条1項の規定により、なおその効力を有するものとされた旧厚生年金保険法15条1項の規定によって厚生年金保険法による被保険者となった者及び厚年法附則43条2項又は5項の規定によって同法の被保険者となった者
・ 船員任意継続被保険者(14号)
・ 昭和60年厚年法附則44条1項の規定によって厚生年金保険法による被保険者となった者
[厚年法] 厚生年金保険法・重要箇所・Chapter2
被保険者
■ 昭和60年の法改正により船員法の船員が適用事業所になったほかは、基本的に健康保険法と同じ取扱いがされている。
■ 次のいずれかに該当する事業所若しくは事業所(事業所)又は船舶を適用事業所とする。
・ 次に掲げる事業の事業所又は事業所であって、常時5人以上の従業員を使用するもの
・ 物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業
・ 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
・ 鉱物の採掘又は採取の事業
・ 電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業
・ 貨物又は旅客の運送の事業
・ 貨物積みおろしの事業
・ 焼却、清掃又はと殺の事業
・ 物の販売又は配給の事業
・ 金融又は保険の事業
・ 物の保管又は賃貸の事業
・ 媒体周旋の事業
・ 集金、案内又は広告の事業
・ 教育、研究又は調査の事業
・ 疾病の治療、助産その他医療の事業
・ 通信又は報道の事業
・ 社会福祉法に掲げる社会福祉事業及び更生保護事業法に定める更生保護事業
・ 上記に掲げるもののほか、国、地方公共団体又は法人の事業所又は事業所であって、常時従業員を使用するもの
・ 船員法1条に規定する船員(船員)として船舶所有者(船員保険法3条に規定する場合にあっては、同条の規定により船舶所有者とされる者。「船舶所有者」)に使用される者が乗り組み船舶
■ 上記に規定する船舶の船舶所有者は、適用事業所の事業主とみなす。(厚年法6条1項・2項)
■ 任意適用業種のうち、主なものとしては以下に挙げるものがある。(法定16業種以外の事業)
・ 第一次産業(農林、水産、畜産業)
・ 接客娯楽業(旅館、料理店、飲食店、理容業等)
・ 法務業(弁護士、社会保険労務士等の事業所)
・ 宗教業(神社、寺院、教会等)
■ これらについては、使用される従業員数にかかわらず任意適用事業となる。ただし、これらが法人の場合には適用事業となる。
■ 5人以上の計算をする場合には、適用除外者も含め常時使用される者についてはこれを算入する。(昭和18年保発905号)
■ 法人は、公法人、私法人、公益法人、社団法人、財団法人等どれであってもよい。(昭和18年保発905号)
■ 上記の国、地方公共団体又は法人の事業所については、その従業員数を問わず適用事業所となる。
■ 上記船舶については、強制提供事業所とされた船舶の船舶所有者が適用事業所の事業主とみなされる。
■ 上記に掲げる事業(法定16業種)であっても常時5人未満の従業員を使用する個人経営の事業については、任意適用事業となる。
■ 社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、国民健康保険、国民年金より給付水準が高いことから適用事業所以外の事業所も任意に適用を受け適用事業所となることができる。
■ 敵表事業所以外の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所とすることができる。
■ 任意適用事業の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(適用除外事由(厚生年金保険法12条)に規定する者を除く)の2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。(厚年法6条3項・4項)
■ 任意適用事業所になるための要件
・ 当該事業所に使用される者(手強除外事由の該当者を除く)の2分の1以上の同意を得ること
・ 厚生労働大臣の認可を受けること
・ 厚生労働大臣の認可があったときは、その事業所に使用される者(70歳未満の者)は、適用除外事由に該当する者を除き、加入に反対である者も含めて全員が被保険者となる。
■ 任意適用事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる。
■ 上記の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(適用除外事由(厚生年金保険法12条)に規定する者を除く)の4分の3以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。(厚年法8条)
■ 任意適用事業所の事業主が適用事業所でなくするための要件
・ 当該事業所に使用される者(適用除外事由の該当者を除く)の4分3以上の同意を得ること
・ 厚生労働大臣の認可を受けること
■ 強制適用事業所が、強制適用事業所に該当しなくなったときは、その事業所について、任意適用の認可があったものとみなされる。(厚年法7条)
■ 個人経営で常時使用する従業員数が5人以上の適用業種の事業所が、事業規模の縮小により、その使用する従業員数が5人未満となった場合や、事業の種類が変更となり、任意適用業種となった場合等、強制適用事業所が強制適用事業所に該当しなくなった場合に、再び任意適用事業所の認可を受けることは手続き上煩雑であるため、任意適用事業の認可があったものとして扱うこととし、引き続き厚生年金保険が適用される。
■ 擬制任意提供が行われたとしても、被保険者は資格を喪失しない。
■ 厚生年金保険の手強は、原則として事業所を単位として行われる。従って、例えば事業所が複数ある会社では、個別に事務処理をしなければならない。
■ しかし、近年のコンピュータなどの発達により、本社で人事・給与などを一括して管理している会社が多い。そこで、2以上の適用事業所の事業主が同一人である場合には、2以上の適用事業所を一括して1つの適用事業所とすることができることとしている。
■ 2以上の適用事業所(船舶を除く)の事業主が同一である場合には、当該事業主は、厚生労働大臣の承認を受けて、当該2以上の事業所を一の適用事業所とすることができる。(厚年法8条の2)
■ 一括の承認を受けようとする事業主は、所定の事項を記載した申請書を、機構に提出しなければならない。なお、一括が行われた場合に、当該2以上の事業所間で被保険者が転勤した場合であっても、資格の得喪は行われない。
■ 2以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該2以上の船舶は、一の適用事業所とする。この場合において、当該2以上の船舶は、厚生年金保険法6条の適用事業所でないものとする。(厚年法8条の2)
■ 厚生年金保険法に統合される前の船員保険法の規定を引き継ぎ、2以上の船舶所有者が同一である場合には、当該2以上の船舶は、当然に(船舶所有者の手続は不要)一の適用事業所として取り扱われる。
■ 一括の比較
・ 船舶以外 → 厚生労働大臣の承認を受けて一括される。
・ 船舶 → 法律上当然に一括される。
■ 厚生年金保険法の被保険者には、次の種類がある。
・ 当然被保険者
・ 適用事業所(70歳まで)
・ 任意単独被保険者
・ 非適用事業所(事業主の同意+厚生労働大臣の認可)
・ 高齢任意加入被保険者
・ 適用事業所(実施機関へ申出)
・ 非適用事業所(事業主の同意+厚生労働大臣の認可)
・ 第四種被保険者(旧法の任意継続被保険者)【旧法からの経過措置】
■ 適用事業所に使用される70歳未満の者は、厚生年金保険の被保険者となる。(厚年法9条)
■ 強制適用事業所及び任意適用事業所に使用される70歳未満の者は、国籍、国内居住などを問わず、また、本人の意思にかかわらず被保険者(当然被保険者)とされる。
■ ただし、適用除外事由に該当する者は、これらの適用事業所に使用されていても被保険者とはされない。
■ 最高学年の在学者で卒業後就職する予定の事業所で職業実務を受けている者は、厚生年金保険の被保険者とする。(昭和16年社発1580号)
■ 法人の理事、監事、取締役、代表社員、無限責任社員等の法人のいわゆる代表者又は業務執行者であっても、法人から労務の対償として報酬を受けている者は、法人に使用されるものとして被保険者資格を取得する。個人事業の事業主は使用される者には該当せず、被保険者とはならない。(昭和24年保発74号)
■ 次のいずれかに該当するに至ったとき、被保険者の資格を取得する。
・ 適用事業所に使用されるに至ったとき(事実上の使用関係が発生したとき) → その日
・ その使用される事業所が適用事業所となったとき(常時使用する従業員数が3人の個人経営の適用業種の事業所が、常時5人以上の従業員を使用するようになった場合等) → その日
・ 適用除外の規定に該当しなくなったとき(日々雇い入れられる者が1月を超えて引き続き使用されるようになった場合等) → その日
■ 次のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に厚生年金保険法13条(資格取得の時期)に該当するに至ったとき、又は5に該当するにいたったときは、その日)に、被保険者の資格を喪失する。(厚年法14条)
・ 死亡したとき
・ その事業所又は船舶に使用されなくなったとき
・ 厚生年金保険法8条1項(任意適用事業所の取消)又は厚生年金保険法11条(任意単独被保険者の資格喪失)の認可があったとき
・ 厚生年金保険法12条(適用除外)に該当するに至ったとき
・ 70歳に達したとき
■ 次のいずれかに該当するに至ったときは、被保険者の資格を喪失する。
・ 死亡したとき → その日の翌日
・ 事業所又は船舶に使用されなくなったとき → その日の翌日
・ 任意適用事業所の適用取消の認可があったとき → その日の翌日
・ 適用除外の規定に該当するに至ったとき → その日の翌日
・ 70歳に達したとき → その日
・ 資格喪失事由に該当するに至った日に更に厚生年金保険の被保険者資格を取得したときには、その日が資格喪失日となる。
■ 同じ事業所において雇用契約の上でいったん退職した者が、1日の空白もなく再雇用された場合は、退職金の支払の有無又は身分関係若しくは職務内容の変更に関係なく、その者が事実上の使用関係を中断することなく存続しているときは、被保険者の資格も存続する。ただし、60歳以上の者で退職後引き続き再雇用されるときは、例外として被保険者資格をいったん中断したものとみなして、事業主から被保険者資格喪失届及び被保険者資格取得届を提出させる取り扱いをしても差し支えない。(平成25年年年発0125第1号他)
■ 厚生年金保険及び健康保険の被保険者は、適用事業所と常用的使用関係にある者であり、事業主との間の事実上の使用関係が消滅した場合に被保険者資格が喪失する。この使用関係の有無等は、契約の文言のみをみて判断するのではなく、就労の実態に照らして個別具体的に判断する必要がある。
■ 有期の雇用契約又は任用が1日ないし数日の間をあけて再度行われる場合においても、雇用契約又は任用の終了時にあらかじめ、事業主と被保険者との間で次の雇用契約又は任用の予定が明らかであるような事実が認められるなど、事実上の使用関係が中断することなく存続していると、就労の実態に照らして判断される場合には、被保険者資格を喪失させることなく取り扱う必要がある。(平成26年年管管発0117第1号)
■ 昭和20年10月2日以後に生まれた者であり、かつ、施行日(平成27年10月1日)の前日において国家公務員共済組合の組合員、地方公務員きょうさいくみあいの組合員又は私立学校用職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者であった者であって、施行日において平成24年一元化法による改正前は厚生年金保険法12条の適用除外に該当していた者のうち厚生年金保険の適用事業所であるものに使用されているものは、施行日に、厚生年金保険の被保険者の資格を取得する。(平成24年厚年法附則5条)
・ 昭和20年10月2日以後に生まれた者とは、施行日(平成27年10月1日)以後に70歳に達する者のこと。逆に言えば、施行日の前日において70歳以上である者は、この経過措置の対象とならない。
■ 任意単独被保険者とは、適用事業所以外の次号所に使用される70歳未満の者(適用除外者を除く)に、その者の希望によって単独で被保険者の資格を与える、厚生年金保険独自の制度である。
■ 適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者は、厚生労働大臣の認可を受けて、厚生年金保険の被保険者となることができる。
■ 上記の認可を受けるには、その事業所の事業主の同意を得なければならない。
■ 任意単独被保険者は、厚生労働大臣の認可があった日に、被保険者の資格を取得する。(厚年法10条1項、13条2項)
■ 任意単独被保険者となるための要件
・ 事業主の同意を得ること
・ 厚生労働大臣の認可を受けること
■ 任意単独被保険者の厚生年金保険における被保険者としての効果は、当然被保険者と何ら区別はない。
■ 任意単独被保険者は、厚生労働大臣の認可を受けて、被保険者の資格を喪失することができる。(厚年法11条)
■ 任意単独被保険者は、次のいずれかに該当するに至ったときは、被保険者の資格を喪失する。
・ 死亡したとき
・ 事業所又は船舶に使用されなくなったとき
・ 厚生労働大臣の認可を受けて資格を喪失するとき
・ 適用除外の規定に該当するに至ったとき
・ 70歳に達したとき → その日
・ 資格喪失事由に該当するに至った日にさらに厚生年金保険の被保険者資格を取得したときは、その日が資格喪失日となる。
■ 任意単独被保険者は、厚生労働大臣の認可を受けて、いつでも任意にその資格を喪失することができる。(事業主にその旨を申し出れば足り、同意を得る必要はない)
■ 当然被保険者との比較学習を行うと効率的な理解が得られる。
■ 当然被保険者と任意単独被保険者の比較
・ 当然被保険者
・ 定義・要件
・ 適用事業所に使用される70歳未満の者
・ 資格取得時期(→その日)
・ 適用事業所に使用されるに至ったとき
・ その使用される事業所が適用事業所となったとき
・ 適用除外の規定に該当しなくなったとき
・ 資格喪失時期(→5以外はその日の翌日)
・ 死亡したとき
・ 事業所又は船舶に使用されなくなったとき
・ 任意適用事業所の適用取消の認可があったとき
・ 適用除外の規定に該当するに至ったとき
・ 70歳に達したとき(→その日)
・ 任意単独被保険者
・ 定義・要件
・ 適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者
・ 厚生労働大臣の認可
・ 事業主の同意
・ 資格取得時期(→その日)
・ 厚生労働大臣の認可があったとき
・ 資格喪失時期(→5以外はその日の翌日)
・ 死亡したとき
・ 事業所又は船舶に使用されなくなったとき
・ 厚生労働大臣の認可を受けて資格を喪失するとき
・ 適用除外の規定に該当するに至ったとき
・ 70歳に達したとき(→その日)
■ 資格喪失事由に該当するに至った日に更に厚生年金保険の被保険者資格を取得したときには、その日が資格喪失日となる。
■ 旧法当時は、厚生年金保険の被保険者には年齢制限がなかったが、昭和60年の法改正により、65歳に達したときは被保険者の資格を喪失することとなった。しかし、その際、事業所に使用される者が、65歳に達しても老齢又は退職を支給事由とする年金給付の受給権を有していない場合があり、その受給権を取得するまで任意に厚生年金保険の被保険者になることができるとされていた(高齢任意加入被保険者)。
■ なお、平成14年4月の法改正により、現在の厚生年金保険の被保険者の原則的な年齢制限は、65歳から70歳に引き上げられているため、高齢任意加入被保険者は70歳以上ということになる。
■ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者
・ 資格取得要件(厚年法附則4条の3第1項)
・ 適用事業所に使用されていること
・ 70歳以上であること
・ 老齢基礎年金等の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって、政令で定める給付の受給権を有していないこと
・ 実施機関に申し出ること
・ 「政令で定める給付」(厚年令5条)
・ 老齢厚生年金及び特例老齢年金並びに旧厚年法による老齢年金、通算老齢年金及び特例老齢年金
・ 国年金法に依る老齢基礎年金及び国年法附則9条の3第1項の規定による老齢年金並びに旧国民年金法による老齢年金及び通算老齢年金
・ 旧船員保険法による老齢年金、通算老齢年金及び特例老齢年金
・ 平成24年一元化法による改正前の国家公務員共済組合法による退職共済年金並びに旧国家公務員等共済組合並びに同法の施行法による退職年金、減額退職年金及び通算退職年金
・ 遺族給付や障害給付の受給権者であっても上記の要件に該当すれば高齢任意加入被保険者となることができる。
・ 資格取得日(厚年法附則4条の3第2項)
・ 実施機関に資格取得の申出が受理された日に、その資格を取得する。
・ 資格喪失日(厚年法附則4条の3第5項)
・ 次の事実に該当する場合に、それぞれの事実が発生した日の翌日に資格を喪失する。ただし、その事実があった日に、更に被保険者の資格を取得したときは、その日に資格を喪失する(→7を除きその日の翌日に喪失)
・ 死亡したとき
・ その事業所又は船舶に使用されなくなったとき
・ 適用除外事由に該当するようになったとき
・ 任意適用事業所の取消の認可があったとき
・ 老齢基礎年金等の受給権を取得したとき
・ 実施機関に資格を喪失する旨の申出が受理されたとき
・ 保険料の負担及び納付に月、事業主の同意を得ていない場合において、保険料(初めて納付すべき保険料を除く)を滞納し、督促状に指定する期限までにその保険料を納付しないとき → 当該保険料の納期限の属する月の前月の末日
・ 初めて納付すべき保険料を滞納し、督促状の指定期限までに納付しないときは、当初から高齢任意加入被保険者とならなかったものとみなされる(厚年法附則4条の3第3項)
・ 保険料の負担(厚年法附則4条の3第7項)
・ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者は、原則として保険料の全額を自己負担し、当月分の保険料を翌月の末日までに納付することになっている。
・ 事業主の同意があるときは、保険料の半額を事業主が負担し、かつ、その納付義務も事業主が負う。
・ 同意の撤回(厚年法附則4条の3第8項)
・ 保険料の半額負担及び納付につき上記のように同意をした事業主は、被保険者の同意を得て、将来に向かってその同意を撤回することができる。
・ 標準報酬(標準報酬月額・標準賞与額)
・ 高齢任意加入被保険者の標準報酬は、一般の被保険者と同様に決定され、標準報酬月額は、「定時決定」「随時決定」等の規定により決定又は改定される。
・ 第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る事業主への適用の除外(厚年法附則4条の3第10項)
・ 第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る事業主については、厚年法附則4条の3第3項及び6項から8項までの規定は、適用しない。
・ 第1号厚生年金被保険者のほか、第4号厚生年金被保険者には適用される。
・ 適用されない規定
・ 上記のうち、保険料の滞納による資格喪失の規定、初めて納付すべき保険料の滞納の場合に被保険者とならなかったものとみなされる規定等
■ 高齢任意加入被保険者を使用する事業主は、保険料の負担等の同意の有無にかかわらず、高齢任意加入被保険者の退職等に係る資格喪失及び報酬月額について申出書等を機構に提出する義務を負う。
■ 適用事業所以外の事業所に使用される高齢任意加入被保険者
・ 資格取得要件(厚年法附則4条の5第1項)
・ 適用事業所以外の事業所に使用されていること
・ 70歳以上であること
・ 老齢基礎年金等の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって、政令で定める給付の受給権を有していないこと
・ 政令で定める給付は、提供事業所に使用される高齢任意加入被保険者の場合と同様
・ 当該事業所の事業主の同意を得ること
・ 厚生労働大臣の認可を受けること
・ 資格取得日(厚年法附則4条の5第1項)
・ 資格取得に係る厚生労働大臣の認可があった日に、その資格を取得する。
・ 適用事業所に使用される者 実施機関に申出が受理されること
・ 適用事業所以外の事業所に使用される者 厚生労働大臣の認可を受けること
・ 資格喪失日(厚年法附則4条の5第2項)
・ 次のいずれかに該当した場合に、その日の翌日に資格を喪失する。ただし、その事実があった日に、更に被保険者の資格を取得したときは、その日に資格を喪失する。
・ 死亡したとき
・ その事業所又は船舶に使用されなくなったとき
・ 適用除外事由に該当するようになったとき
・ 老齢基礎年金等の受給権を取得したとき
・ 資格喪失についての厚生労働大臣の認可があったとき
・ 保険料の負担
・ 資格取得の際、既に事業主の同意を得ているため、保険料の負担は労使折半となり、納付義務については事業主が負う。
・ 適用事業所以外の事業所に使用される高齢任意加入被保険者の事業主の場合には、適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者の場合とは異なり、「保険者の同意を得て保険料の半額負担及び納付についてその同意を撤回することができる」という規定はない。
・ 育児休業等期間中及び産前産後休業期間中の保険料徴収の特例(厚年法81条の2、81条の2の2)も適用される。
・ 標準報酬
・ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者の標準報酬と同様である。
■ 適用事業所以外の事業所に使用される高齢任意加入被保険者の資格喪失要件には、「保険料の滞納」は含まれていない。保険料の納付義務者が事業主とされているからである。
■ 高齢任意加入被保険者は、老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって、政令で定める給付の受給権を有していないことから、国民年金法においては、第2号被保険者に該当する。
■ 高齢任意加入被保険者の資格について、要点を整理しておきます。「適用事業所」と「適用事業所以外の事業所」で異なる部分に注意してください。
■ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者
・ 定義・要件
・ 適用事業所に使用されていること
・ 70歳以上の者
・ 老齢基礎年金等の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有していないこと
・ 実施機関に申し出ること
・ 資格取得時期
・ 実施機関に資格取得の申出が受理されたとき(その日)
・ 資格喪失時期(7以外はその日の翌日)
・ 死亡したとき
・ その事業所又は船舶に使用されなくなったとき
・ 適用除外事由に該当するようになったとき
・ 老齢基礎年金等の受給権を取得したとき
・ 任意適用事業所の取消の認可があったとき
・ 実施機関に資格を喪失する旨の申出が受理されたとき
・ 保険料の負担及び納付につき事業主の同意を得ていない場合において、保険料を滞納し、指定の期限までにその保険料(初めて納付すべき保険料を除く)を滞納し、督促状に指定する期限までに納付しないとき → 納期限の属する月の前月の末日
■ 適用事業所以外の事業所に使用される高齢任意加入被保険者
・ 定義・要件
・ 適用事業所以外の事業所に使用されていること
・ 70歳以上の者
・ 老齢基礎年金等の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有していないこと
・ 当該事業所の事業主の同意を得ること
・ 厚生労働大臣の認可を受けること
・ 資格取得時期
・ 厚生労働大臣の認可があったとき(その日)
・ 資格喪失時期(その日の翌日)
・ 死亡したとき
・ その事業所又は船舶に使用されなくなったとき
・ 適用除外事由に該当するようになったとき
・ 老齢基礎年金等の受給権を取得したとき
・ 資格喪失についての厚生労働大臣の認可があったとき
■ 国民年金法の任意加入被保険者、特例による任意加入被保険者の申出による資格の得喪について
・ 資格取得 申出をした日(その日)
・ 資格喪失 申出が受理された日(その日)
・ 同じ「任意加入」の立場にある被保険者であっても、資格喪失の時期が国年法・厚年法で異なるため、注意されたい。
■ 第四種被保険者制度は、旧法の老齢年金の受給権取得のために必要な20年(中高齢者の特例に該当する者はその期間)の被保険者期間を満たせない者のための任意加入の制度である。新法施行(昭和60年の法改正)により廃止されたが、一挙に廃止すると一部について不都合が生ずることがあるため、経過措置として残している。船員任意継続被保険者制度は、新法施行(昭和60年の法改正)により船員保険の職務外の年金部門が厚生年金保険制度に統合されたことに伴い、船員保険の年金任意継続被保険者であった者を、船員任意継続被保険者として厚生年金保険の被保険者としたものであるが、現在、船員任意継続被保険者に該当する者はいないため、試験対策上は重要な制度ではない。
■ 第四種被保険者
・ 資格取得の要件(昭和60年厚年法附則43条1項から3項)
・ 厚生年金保険の被保険者期間(厚生年金保険の被保険者であった期間とみなされた期間に係るものを含む)が10年以上20年(中高齢者の特例に該当する者は、その期間)未満であること
・ 次のいずれかに該当していること。ただし、1,2,4に該当する場合は、昭和61年4月から被保険者でなくなった月の前月までの全期間が厚生年金保険の被保険者であった者
・ 昭和16年4月1日以前に生まれた者で、昭和61年4月1日に厚生年金保険の被保険者であった者
・ 昭和61年4月1日に65歳以上であるため、被保険者の資格を喪失した者
・ 昭和61年3月31日に第四種被保険者であった者
・ 昭和61年3月31日に第四種被保険者の資格取得の申出をすることができた者で、その申出をしていなかった者
・ 厚生年金保険の被保険者の資格を喪失した日から起算して6月以内に厚生労働大臣に申し出ること。ただし、厚生労働大臣は、正当な事由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても、受理することができる。
・ 資格取得日(昭和60年厚年法附則43条4項)
・ 第四種被保険者の資格取得の申出が厚生労働大臣に受理されたときは、次のいずれかのうち、その者の選択した日に被保険者の資格を取得する。
・ 厚生年金保険の被保険者の資格を喪失した日
・ 第四種被保険者の資格取得の申出が受理された日
・ ただし、資格取得の申出が受理された日に、再び厚生年金保険の被保険者となっていた場合は、上記の日が資格取得日となる。
・ 資格喪失日(昭和60年厚年法附則43条8項、9項)
・ 第四種被保険者が次の事実に該当する場合は、その日の翌日(5に該当したときは、その日)に、資格を喪失する。
・ 死亡したとき
・ 厚生年金保険の被保険者期間が20年(中高齢者の特例に該当する者は、その期間)に達したとき
・ 資格喪失の申出が厚生労働大臣に受理されたとき
・ 保険料(始めて納付すべき保険料を除く)を滞納し、督促状に指定する期限までに、その保険料を納付しないとき
・ 厚生年金保険の当然被保険者又は任意単独被保険者となったとき(→その日)
・ 初めて納付すべき保険料を滞納し、督促状の指定期限までに納付しないときは、第四種被保険者とならなかったものとみなされる。
・ 保険料の負担・納付(昭和60年厚年法附則80条3項9
・ 第四種被保険者は、保険料の全額を自己負担し、当月分の保険料をその月の10日までに納付しなければならない。なお、将来の一定期間の保険料を前納することが認められている(前納に係る各月の初日が到来したときに、それぞれの月の保険料が納付されたものとみなされる)
・ 保険料免除(昭和60年厚年法附則43条12項)
・ 標準報酬月額(昭和60年厚年法附則50条1項)
・ 第四種被保険者の標準報酬月額は、その資格を取得する前の最後の標準報酬月額とされている。
■ 40歳(女子等35歳)以後の厚生年金保険の被保険者期間が生年月日に応じて15年から19年以上あればよいとする特例。遺族基礎年金等の長期要件に関する特例の一つでもある。
■ 船員任意継続被保険者
・ 船員任意継続被保険者の要件(昭和60年厚年法附則44条1項)
・ 昭和61年3月31日に、旧船員保険法20条による船員保険の年金任意継続被保険者であった者が、次のいずれかに該当しない場合は、同年4月1日に厚生年金保険の船員任意継続被保険者となったものとする。いわば、船員保険における第四種被保険者である。
・ 昭和61年3月31日に、船員保険の老齢年金の受給資格要件を満たしているとき、年金任意継続被保険者の資格喪失の申出を申請したとき、又は保険料を滞納して督促状の指定期限までに納付しなかったとき
・ 昭和61年4月1日に共済組合の組合員であるとき
■ 適用除外事由に該当する者は、当然被保険者、任意単独被保険者など、厚生年金保険の被保険者となることができない。
■ なお、平成28年10月1日施行の改正で、健康保険法・厚生年金保険法において、短時間労働者への適用の拡大が図られた。経過措置があること、平成29年4月1日施行の改正で任意に適用拡大の適用を受けることができる規定(労使合意に基づく適用拡大)が設けられたことなど、内容は、健康保険法で学習したものとほぼ同じである。
■ 次のいずれかに該当する者は、厚生年金保険法9条(被保険者)及び10条1項(任意単独被保険者)の規定にかかわらず、厚生年金保険の被保険者としない。
・ 臨時に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く)であって、次に掲げるもの
・ 日々雇い入れられる者(1月を超え、引き続き使用されるに至った場合を除く)
2月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超え、引き続き使用されるに至った場合を除く)
・ 所在地が一定しない事業所に使用される者
・ 季節的業務に使用される者(船舶所有者に使用される者を除く)であって4月以内の期間を定めて使用される者(継続して4月を超えて使用されるべき場合を除く)
・ 臨時的事業の事業所に使用される者であって6月以内の期間を定めて使用される者(継続して6月を超えて使用されるべき場合を除く)
・ 事業に使用される者であって、その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者(当該事業所に使用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業所に使用される者にあっては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該者と同種の業務に従事する当該通常の労働者。「通常の労働者」)の1週間の所定労働時間の4分の3未満である短時間労働者(1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短い者をいう)又はその1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3未満である短時間労働者に該当し、かつ、以下のいずれかの要件に該当するもの
・ 1週間の所定労働時間が20時間未満であること
・ 当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれないこと
報酬(最低賃金法4条3項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く)について、厚生労働省令で定めるところにより、法22条1項の規定の例により算定した額が、88000円未満であること
・ 学校教育法50条に規定する高等学校の生徒、同法83条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること
・ 当分の間、特定適用事業所以外の適用事業所(国又は地方公共団体の当該適用事業所を除く)に使用される次に掲げる者であって改正の後の厚生年金保険法12条各号のいずれにも該当しないもの(特定4分の3未満短時間労働者)については、同項の規定にかかわらず、厚生年金被保険者としない。
・ その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である短時間労働者
・ その1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3未満である短時間労働者
・ 特定適用事業所とは、事業主が同一である一又は二以上の適用事業所で、当該一又は二以上の適用事業所に使用される特定労働者(70歳未満の者のうち、改正後の厚生年金保険法12条各号のいずれにも該当しないものであって、特定4分の3未満短時間労働者以外の者をいう)の総数が常時500人を超えるものの各適用事業所のこと
・ なお、特定適用事業所に該当しなくなった適用事業所に使用される特定4分の3未満短時間労働者については、上記1項の規定は、適用しない。ただし、当該適用事業所の事業主が、所定の同意を得て、実施機関(厚生労働大臣及び日本私立学校復興・共済事業団に限る)に申出をした場合は、この限りでないこととされている。
・ この申出(特定適用事業所の不該当の申出)を行う場合、申出書に同意を得たことを証する書類を添えて行わなければならない。(厚年則14条の4)
・ 特定適用事業所以外の適用事業所において1項の規定の適用を受けない旨の申出をする場合、
・ 同意 2分の1以上の同意
・ 2分の1以上同意対象者の過半数で組織する労働組合があるときは当該労働組合の同意、当該労働組合がないときは、2分の1以上同意対象者の過半数を代表する者の同意又は2分の1以上同意対象者の2分の1以上の同意をいう。なお、2分の1以上同意対象者とは、当該事業主の一又は二以上の適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者、70歳以上の使用される者及び特定4分の3未満短時間労働者をいう。
・ 効果 当該申出が受理された日以後、1項の規定は適用しない。
・ 上記の申出をした事業主の事業所において1項の規定の適用を受ける旨の申出をする場合及び特定適用事業所に該当しなくなった適用事業所において1項の規定の適用を受ける旨の申出をする場合
・ 同意 4分の3以上の同意
・ 公課 厚生年金保険の被保険者資格を有する特定4分の3未満短時間労働者は、当該申出が受理された日の翌日にその資格を喪失する。
1月を超えて引き続き使用されるようになったときは、1月を超えた日から被保険者となる。(日々雇い入れられる者)
■ その所定の期間を超えて引き続き使用されるようになったときは、その所定の機関を超えた日から被保険者となる。例えば、50日間の期間を定めて使用される者が、51日目以降も引き続き使用されるようになったときは、51日目に被保険者の資格を取得することとなる。(2月以内の期間を定めて使用される者)
■ 臨時に使用される者若しくは季節的業務に使用される者であっても、船舶所有者に使用される船員は、当初より被保険者となる。(船舶所有者に使用される者)
■ 例えば、巡回興行のように事業所の所在地の一定しない事業所のことをいう。この場合には、保険料徴収や保険給付の仕組みを適用することが技術的に困難であるから、使用期間等に関係なく、すべて適用除外とされる。(所在地が一定しない事業所)
■ 例えば、製糖、酒類の醸造、製茶、製氷、水産品の製造、硫黄の採取及び製錬等の業務をいうが、これらの業務であっても当初より継続して4月を超えて使用される見込みのある場合には、当初より被保険者となる。(昭和17年総年56号)(季節的業務)
■ 事業自体が臨時的なもの(万国博覧会のような事業)であって、相当期間継続する見込みのないものをいう。これらの事業であっても、当初より継続して6月を超えて使用される見込みがある場合には、当初より被保険者となる。(臨時的事業)
■ 季節的業務に使用される者や臨時的業務に使用される者は、業務の都合等により、たまたま継続して4月又は6月を超えて使用されるに至っても被保険者とはならない。
■ 経過措置を考慮して、適用除外に該当する者と被保険者となりうるものを整理すると次のようになる。(短時間労働者)
・ 適用除外
・ 1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である短時間労働者又はその1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働時間の4分の3未満である短時間労働者
・ 上記の例外
・ 上記の4分の3基準を満たさない短時間労働者で次のいずれかの要件に該当するもの
・ 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
・ 当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれること
・ 所定の方法で算定した報酬の額(賃金の月額)が、88000円以上であること
・ 学生等でないこと
・ 事業所が特定適用事業所であること
・ 国又は地方公共団体の適用事業所は、規模を問わず、特定適用事業所と同様の取扱いとなる。
・ 特定適用事業所以外の適用事業所(国又は地方公共団体の適用事業所を除く)でも、労使合意に基づく適用拡大の申出(労働者側の同意+事業主の申出)を要件として、上記の規定により判断することが可能(4分の3基準を満たさない短時間労働者(特定4分の3未満短時間労働者)への厚生年金保険の適用が可能)
・ 特定適用事業所以外の適用事業所においては、1週間の所定労働時間及び1か月間の所定労働日数が、同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間及び1月間の所定労働日数の4分の3以上(4分の3基準)である者を被保険者として取り扱うこととされているが、雇用契約書における所定労働時間又は所定労働日数と実際の労働時間又は労働日数が乖離していることが常態化しているとき、4分の3基準を満たさないものの、事業主等に対する事情の聴取やタイムカード等の書類の確認を行った結果、実際の労働時間又は労働日数が直近2か月において4分の3基準を満たしている場合で、今後も同様の状態が続くと見込まれるときは、4分の3基準を満たしているものとして取り扱う。(平成28年年管管発0513第1号)
■ 60歳台前半の老齢厚生年金又は老齢厚生年金を受給している者が、短時間労働者として厚生年金保険の被保険者・被用者(70歳以上の使用される者)となった場合でも、在職老齢年金の仕組みによる支給停止は行われる。
■ 障害者の特例又は長期加入者の特例により定額部分も加算された60歳台前半の老齢厚生年金を受給している者が、短時間労働者として厚生年金保険の被保険者となった場合でも、当該定額部分が支給停止される(被保険者でないことという要件を満たせないため)
■ ただし、この定額部分の支給停止の措置については、次のような特例的な経過措置が設けられている。
・ 次の要件に該当する者については、定額部分の支給停止は行わない。
・ 平成28年10月1日(適用拡大の施行日)の前日以前から、障害者の特例又は長期加入者の特例に該当し、定額部分も加算された60歳台前半の老齢厚生年金を受給している者であって、かつ
・ 同日以前から同じ適用事業所に使用されており、適用拡大によって短時間労働者として日労働者の資格を取得した者
・ なお、労使合意に基づく適用拡大の申出により短時間労働者として被保険者の資格を取得した者についても、平成29年4月1日(労使合意に基づく適用拡大に施行日)の前日以前から同じ適用事業所に使用されていることなどを要件として、同様の特例が設けられている。(特例による老齢厚生年金の額の計算等の特例の経過措置(平成24年厚年法附則28条他)
■ 被保険者の資格の取得及び喪失は、厚生労働大臣の確認によって、その効力を生ずる。ただし、厚生年金保険法10条1項(任意単独被保険者)の規定による被保険者の資格の取得及び厚生年金保険法14条3号(任意適用事業所の運用取消)に該当したことによる被保険者の資格の喪失は、この限りでない。
■ 上記の確認は、厚生年金保険法27条(届出)の規定による届出もしくは厚生年金保険法31条1項(確認の請求)の規定による請求により、又は職権で行うものとする。
■ 上記の確認については、行政手続法3章(12条及び14条を除く)の規定は、適用しない。
■ 第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者及び第4号厚生年金被保険者の資格の取得及び喪失については、上記の規定は、適用しない。(厚年法18条)
■ 確認は、原則として事業主の届出によって行われるが、本人の確認請求又は行政庁の職権によって行われることもある。
■ 確認を必要としないもの
・ 任意単独被保険者の資格の取得及び任意の資格の喪失
・ 任意適用事業所の適用取消による資格の喪失
・ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者の資格の取得及び喪失(その事業所又は船舶に使用されなくなったこと及び適用除外事由に該当したことによる資格の喪失を除く)
・ 適用事業所以外の事業所に使用される高齢任意加入被保険者の資格の取得及び任意の資格の喪失
・ 第四種被保険者及び船員任意継続被保険者の資格の取得及び喪失
■ 確認を必要としないのは、これらの資格の得喪そのものが処分を要件としているため、あるいは事実が能動的に処理される性質を有しているためである。
■ 上記に関連して、任意適用事業所の認可に伴う資格の取得については、確認が必要である。
■ 第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者及び第4号厚生年金被保険者の資格の得喪については、厚生労働大臣の確認に関する規定は適用されない。
■ 第1号厚生年金被保険者が同時に第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者の資格を有するにいたったときは、その日に、当該第1号厚生年金被保険者の資格を喪失する。(厚年法18条の2)
■ 厚生年金保険の被保険者の資格等に関する事務は実施機関ごとに行われるが、資格の重複が生じないようにするため、上記のような規定が必要となる。
■ なお、第2号厚生年金被保険者であり、若しくはあった者、第3号厚生年金被保険者であり、もしくはあった者又は第4号厚生年金被保険者であり、若しくはあった者及びこれらの者に係る事業主については、厚年法31条(確認の請求)の規定は、適用しない。(厚年法31条の3)
■ 被保険者又は被保険者であった者の行う「被保険者の資格の取得若しくは喪失又は種別の変更」の確認の請求は、文書又は口頭で行う。(厚年則12条1項)
■ 実施機関は、厚生年金保険制度に対する国民の理解を増進させ、及びその信頼を向上させるため、主務省令で定めるところにより、被保険者に対し、当該被保険者の保険料納付の実績及び将来の給付に関する必要な情報をわかりやすい形で通知するものとする。(厚年法31条の2)
■ 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。
■ 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を1か月として被保険者期間に算入する。ただし、その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(第2号被保険者を除く)の資格を取得したときは、この限りでない。
■ 被保険者の資格を喪失した後、更にその資格を取得した者については、前後の被保険者期間を合算する。
■ 上記の規定は、被保険者の種別ごとに適用する。
■ 同一の月において被保険者の種別に変更があったときは、上記の規定により適用するものとされた上記の規定にかかわらず、その月は変更後の被保険者の種別の被保険者であった月(2回以上にわたり被保険者の種別に変更があったときは、最後の被保険者の種別の被保険者であった月)とみなす。(厚年法19条)
■ 被保険者期間を計算する場合には、月単位とし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までを算入する。したがって、被保険者の資格を取得した日の属する月は、その日が月の初日であっても末日であっても1か月として計算し、資格を喪失した日の属する月は、その月が月の初日であっても末日であっても被保険者期間に算入しない。
■ 保険料を徴収する権利が時効によって消滅した期間も「被保険者であった」期間とされるが、原則として保険料納付の計算の基礎とはならず、また国民年金法における保険料納付済期間にもならない。(厚年法75条)
■ 厚生年金保険の被保険者資格を取得した月に、その資格を喪失し、同月内に、国民年金の被保険者(第2号被保険者を除く)の資格を取得したとき
・ 国民年金の被保険者期間としてはカウントされるが、厚生年金保険の被保険者期間としてはカウントされない(改正により、取り扱いを変更)
■ 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したとき
・ その月を1か月として被保険者期間に算入する。ただし、その月に更に資格を取得した場合は、後の事業所における期間についてのみ被保険者期間を1か月として計算する。したがって、同一月内に南海資格の得喪を繰り返しても、1か月として計算されることになる。
■ 被保険者期間の合算
・ 被保険者期間は、事業所を複数移動した場合であっても、すべて合算される。
■ 旧種別の変更の場合の被保険者期間の計算(昭和60年厚年法附則46条)
・ 被保険者の種別の変更(第一種被保険者と第三種被保険者の間の変更をいう)があったときは、その月は、変更後の種別の被保険者であった月とみなされる。
・ 同一の月において、2回以上被保険者の種別に変更があったときは、その月は最後の種別の被保険者であった月とみなされる。
■ 旧厚生年金保険法による被保険者期間(法附則4条)
・ 昭和61年4月1日前の旧厚生年金保険法による被保険者出会った期間(脱退手当金の計算の基礎となった期間を除く)については、厚生年金保険法の被保険者であった期間とみなされる。
■ 旧適用邦人共済組合員期間(平成8年厚年法附則5条)
・ 恩給公務員等を除く旧適用邦人共済組合員期間(脱退一時金の計算の基礎となった期間を除く)については、第1号厚生年金被保険者期間とみなされる。
■ 旧船員保険法による被保険者期間(昭和60年厚年法附則47条1項)
・ 昭和61年4月1日前の旧船員保険法による被保険者であった期間(脱退手当金の計算の基礎となった期間を除く)は、第1号厚生年金被保険者期間とみなされる。
■ 被保険者期間の計算
・ 旧厚生年金保険法による第三種被保険者であった期間等(昭和60年厚年法附則47条2項・3項)
・ 昭和61年4月1日前の旧厚生年金保険法による第三種被保険者であった期間及び上記により第1号厚生年金被保険者期間とみなされた旧船員保険法による被保険者であった期間については、実際の期間を3分の4倍したものを被保険者期間とする。
・ 平成3年3月31日までの第三種被保険者であった期間(昭和60年厚年法附則47条4項)
・ 昭和61年4月1日から平成3年3月31日までの第三種被保険者であった期間については、実際の期間を5分の6倍したものを被保険者期間とする。
■ 3分の4又は5分の6を乗じて得た被保険者期間は、老齢厚生年金の学には反映されるが、老齢基礎年金の額を算定する際には、この経過措置は適用されない。
■ 障害厚生年金や遺族厚生年金等の保険料納付要件を見る場合は、3分の4倍等しない実期間で算定する。
■ 3分の4倍又は5分の6倍した期間を合計した期間に1月に満たない端数が生じた場合は、戦時加算の場合も含めて、1月に切り上げる(昭和40年庁保発22号)
■ 被保険者の特例
・ 戦時特例(厚年法附則24条)
・ 昭和19年1月1日から昭和20年8月31日までの間(20月)において、坑内員として従事する被保険者であった者のその期間における被保険者期間については、3分の4倍により計算した期間にさらに3分の1を乗じて得た期間が加算(戦時加算)される。
・ 旧共済組合員期間に関する特例(厚年法附則28条の2)
・ 厚生年金保険の被保険者期間(第1号厚生年金被保険者期間に限る)が1年以上である者について、老齢又は死亡に関する保険給付を支給する場合において、旧陸軍共済組合等の政令で定める共済組合の組合員であった期間(旧共済組合員期間)のうちに、昭和17年6月から昭和20年8月まで(39月)の期間があるときは、その期間は、厚生年金保険法による坑内員たる被保険者及び船員たる被保険者以外の被保険者であった期間とみなされる。ただし、年金額の計算にあたっては、定額部分についてのみ計算の対象とされ、報酬比例部分の額の計算の基礎とはならない。
■ 「1年以上」という要件は、「通算老齢年金」の考え方を引き継いだものである。
報酬比例部分の額の計算の基礎に入れない理由は、厚生年金保険の保険料が拠出されていないからである。
■ 被保険者に算入されないもの
・ 脱退手当金の基礎となった期間(昭和60年厚生法附則75条)
・ 脱退手当金の支給を受けたときの、その額の計算の基礎となった期間は、被保険者でなかたものとみなされるため、被保険者期間に算入されない。ただし、昭和61年4月1日までに脱退手当金を受けた者が、昭和61年4月以後65歳に達する日の前日までの間に、保険料納付済期間又は保険料免除期間を有する限り、昭和36年4月1日以後昭和61年4月1日前の期間は合算対象期間とされる。
・ 脱退一時金の支給を受けた場合における脱退一時金の計算の基礎となった期間(厚年法附則29条4項)
■ 被用者年金制度の一元化に係る被保険者期間の経過措置
・ 旧国家公務員共済組合員期間等(平成24年厚年法附則7条1項本文)
・ 平成27年10月1日(施行日)前の旧国家公務員共済組合員期間(国家公務員共済組合の組合員であった者の施行日前における当該組合員であった期間をいう)、旧地方公務員共済組合員期間(地方公務員共済組合の組合員であった者の施行日前における当該組合員であった期間をいう)又は旧私立学校教職員共済加入者期間(私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職共済制度の加入者であった者の施行日前における当該加入員であった期間)は、一定の期間を除き、それぞれ、第2号厚生年金被保険者期間、第3号厚生年金被保険者期間又は第4号厚生年金保険者期間とみなす。
・ 上記の被保険者期間に算入されない期間(同項各号)
・ 平成24年一元化法による改正前の国家公務員共済組合法附則13条の10の規定による脱退一時金の支給をうけた場合におけるその脱退一時金の計算の基礎となった期間など。
■ 被保険者期間とその特例をまとめておきます。整理しておきましょう。
■ 被保険者期間
・ 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。
・ 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を1月として被保険者期間に算入する。ただし、その月にさらに被保険者又は国民年金の被保険者(第2号被保険者を除く)の資格を取得したときは、この限りでない。
■ 特例
・ 旧厚生年金保険法による被保険者期間(法附則4条)
・ 昭和61年4月1日前の旧厚生年金保険法による被保険者期間(脱退手当金の計算の基礎となった期間を除く)は、厚生年金保険の被保険者期間とみなされる。
・ 旧厚生年金保険による第三種被保険者であった期間等
・ 昭和61年4月1日前の旧厚生年金保険法による第三種被保険者であった期間及び第1号厚生年金被保険者期間とみなされた旧船員保険法による被保険者であった期間については、実際の3分の4倍したものを被保険者期間とする。
・ 平成3年3月31日までの第三種被保険者であった期間
・ 昭和61年4月1日から平成3年3月31日までの第三種被保険者であった期間については、実際の期間を5分の6倍したものを被保険者期間とする。
・ 戦時特例(法附則24条)
・ 昭和19年1月1日から昭和20年8月31日までの間(20月)坑内員としての被保険者であった者の被保険者期間については、上記の3分の4倍した被保険者期間に、さらに当該期間に3分の1を乗じて得た期間が加算(戦時加算)される。
■ 一元化による経過措置
・ 一元化前の組合員期間等(平成24年厚年法附則7条1項)
・ 平成27年10月1日前の旧国家公務員共済組合員期間、旧地方公務員共済組合員期間又は旧私立学校教職員共済加入者期間(それぞれ、脱退一時金の計算の基礎となった期間などを除く)は、それぞれ、第2号厚生年金被保険者期間、第3号厚生年金被保険者期間又は第4号厚生年金被保険者期間とみなす。
■ 厚生年金保険法(健康保険法、船員保険法についても同様)では、保険料の額や保険給付の額の計算に際して、定額制の国民年金と異なり、報酬の額を基礎としている。一定の枠を設けて、各個人が受ける報酬に対し、仮定的な報酬を定め、それを「標準報酬月額」として、保険料や保険給付の額を計算することとしている。
■ 標準報酬月額に関しては健康保険法で詳しく解説しているため、ここでは簡単な説明にとどめる。なお、「平均標準報酬額」に関しては、後述
■ 標準報酬月額は、被保険者の報酬月額に基づき、第1級(標準報酬月額88000円)から32級(標準報酬月額650000円)までに区分された標準報酬月額等級表に当てはめて定められる。当該規定は、70歳以上の使用される者に係る「標準報酬月額に相当する額」についても準用される。(厚年法46条2項)
・ 第四種被保険者の標準報酬月額は、その被保険者の資格を取得する前の最後の標準報酬月額による。また、船員任意継続被保険者の標準報酬月額は、その被保険者の昭和61年3月の標準報酬月額によることとされている。(昭和60年厚年法附則50条)
・ 昭和60年の法改正により、船員保険の職務外の年金給付部門が厚生年金保険に統合され、船員も厚生年金保険の被保険者となったが、従来から船員保険の被保険者の標準報酬月額については、厚生年金保険と異なる取扱いが行われてきた。したがって、法改正後においても、従来通り、船員保険法の規定の例により標準報酬月額の決定及び改定を行うこととしている。(厚年法24条の2)
・ 旧適用法人共済組合員期間における改正前の国家公務員等共済組合法に依る標準報酬月額は、厚生年金保険法による標準報酬月額とみなされる。
■ 実施機関は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に被保険者が受けた賞与額(1000円未満の端数は切り捨てる)に基づいて、その月における標準賞与額を決定する。(この場合、標準賞与額が150万円を超えるときは、これを150万円とする)なお、同時に2以上の事業所で賞与を受ける被保険者について標準賞与額を算定する場合には、各事業所において算定した額の合算額をその者の標準賞与額とする。(厚年法24条の3)
報酬又は賞与の全部又は一部が、通貨以外のもので支払われている場合においては、その価額は、その地方の時価によって、厚生労働大臣が定める。(厚年法25条)
・ 現物給与の価額は、厚生労働大臣がその地方の価額を考慮して定めることになっており、時価が変動したときはそれに応じて改定され、告示される。
報酬又は賞与の全部又は一部が製品等現物で支給されている場合、それを金銭に換算した額を報酬として計上するが、食事・住居については、現物給与の価額によって金銭に換算する。なお、被服についても現物給与の価額によることになっているが、実際は、時価で計上されている。
・ 本社及び支店等を併せて1つの適用事業所(一括適用事業所)とされている場合、支店等に勤務する被保険者については、被保険者の勤務先が所在する都道府県の現物給与の価額が適用される。
・ 派遣労働者については、派遣元事業所において社会保険の適用を受けるが、派遣元と派遣先の事業所が所在する都道府県が異なる場合は、派遣元事業所が所在する都道府県の現物給与の価額を適用する。
・ 在籍出向、在籍勤務等により適用事業所以外の場所で常時勤務する者については、適用事業所と常時勤務する場所が所在する都道府県が異なる場合は、その者の勤務地ではなく、その者が使用される事業所が所在する都道府県の現物給与の価額を適用する。
■ 厚生年金保険法の標準賞与額については、健康保険法と取扱いが異なり、保険給付の額に反映される。
■ 「標準報酬月額及び標準賞与額」のことを標準報酬という。
■ 毎年3月31日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の9月1日から、健康保険法40条1項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。(厚年法20条2項)
■ 実施機関は被保険者が毎年7月1日現に使用される事業所において同日前3月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が17日(厚生労働省令で定める者にあっては、11日)未満である月があるときは、その月を除く)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を標準月額として、標準報酬月額を決定する。
■ 上記の規定によって決定された標準報酬月額は、その年の9月から翌年の8月までの各月の標準報酬月額とする。
■ 上記の規定は、6月1日から7月1日までの間に被保険者の資格を取得した者及び厚生年金保険法23条(随時改定)、厚生年金保険法23条の2(育児休業等を終了した際の改定)又は厚生年金保険法23条の3(産前産後休業を終了した際の改定)の規定により7月から9月までのいずれの月から標準報酬月額が改定され、又は改定されるべき被保険者については、その年に限り適用しない。(厚年法21条)
・ 厚生労働省令で定める者とは、被保険者(70歳以上の使用される者にも準用)であって、その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である短時間労働者又はその1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働時間の4分の3未満である短時間労働者とする(厚年則9条の6) 短時間労働者である被保険者等
■ 実施機関は、被保険者の資格を取得した者があるときは、次のいずれかに規定する額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。
・ 月、週その他一定期間によって報酬が定められている場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額
・ 日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められている場合には、被保険者の資格を取得した月前1月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受けるものが受けた報酬の額を平均した額
・ 上記の規定によって算定することが困難である者については、被保険者の資格を取得した月前1月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額
・ 上記の2以上に該当する報酬を受ける場合には、それぞれについて、上記の規定によって算定した額の合算額
■ 上記の規定によって決定された標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した月からその年の8月6月1日から12月31日までの間に被保険者の資格を取得した者については、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。(厚年法22条)
■ 実施機関は、被保険者が現に使用される事業所において継続してした3月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、17日(厚生労働省令で定める者にあっては、11日)以上でなければならない)に受けた報酬の総額を3で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる。
■ 上記の規定によって改定された標準報酬月額は、その年の8月7月から12月までのいずれの月から改定された者については、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。(厚年法23条・随時改定)
■ 実施機関は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律2条1号に規定する育児休業若しくは同法23条2項の育児休業に関する制度に準ずる措置若しくは同法24条1項(2号に係る部分に限る)の規定により同項2号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業、国会職員の育児休業等に関する法律3条1項の規定による育児休業、国家公務員の育児休業等に関する法律3条1項(同法27条1項及び裁判所職員臨時措置法(7号に係る部分に限る)において準用する場合を含む)の規定による育児休業、地方公務員の育児休業等に関する法律2条1項の規定による育児休業又は裁判案の育児休業に関する法律2条1項の規定による育児休業(育児休業等)を終了した被保険者が、当該育児休業等を終了した日(育児休業等終了日)において当該育児休業等に係る3歳に満たない子を養育する場合において、その使用される事業所の事業主を経由して主務省令で定めるところにより実施機関に申し出たときは、厚生年金保険法21条の規定(定時決定)にかかわらず、育児休業等終了日の翌日が属する月以降3月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所に継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が17日(厚生労働省令で定める者にあっては、11日)未満である月があるときは、その月を除く)にうけた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。ただし、育児休業等終了日の翌日に厚生年金保険法23条の3に規定する産前産後休業を開始している被保険者は、この限りでない。
■ 上記の規定により改定された標準報酬月額は、育児休業等終了日の翌日から起算して2月を経過した日の属する月の翌月からその年の8月(当該翌月が7月から12月までのいずれかの月である場合は、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。(厚年法23条の2)
■ 随時改定とほぼ同様の規定であるが、以下の点で随時改定よりも適用されるための条件は緩やかなものとなっている。
報酬支払の基礎となった日数が17日(厚生労働省令で定める者にあっては、11日)未満である月があるときには、その月を除いて規定を適用すること
・ 著しく高低を生じた場合という要件がないこと。
■ 実施機関は、産前産後休業(出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において労務に従事しないこと(妊娠又は出産に関する事由を理由として労務に従事しない場合に限る)をいい、船員(国家公務員共済組合の組合員たる船員及び地方公務員共済組合の組合員たる船員を除く)たる被保険者にあっては、船員法87条1項又は2項の規定により職務に服さないことをいう)を終了した被保険者が、当該産前産後休業を終了した日(産前産後休業終了日)において当該産前産後休業に係る子を養育する場合において、その使用される事業所の事業主を経由して主務省令で定めるところにより実施機関に申出をしたときは、厚生年金保険法21条の規定(定時決定)にかかわらず、産前産後休業終了日の翌日が属する月以後3月間(産前残後休業終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が17日(厚生労働省令で定める者にあっては、11日)未満である月があるときは、その月を除く)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。ただし、産前産後休業終了日の翌日に育児休業等を開始している被保険者は、この限りでない。(厚年法23条の3)
■ 被保険者の報酬月額が、定時決定、資格取得時決定、育児休業等を終了した際の決定もしくは産前産後休を終了した際の決定の規定によって算定することが困難であるとき、又は定時決定、資格取得時決定、随意改定、育児休業等を終了した際の決定もしくは産前産後休業を終了した際の決定の規定によって算定した額が著しく不当であるときは、これらの規定にかかわらず、実施機関が算定する額を当該被保険者の報酬月額とする。(厚年法24条)
■ 実施機関は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに1000円未満の端数を生じたときはこれを切り捨て、その月における標準賞与額を決定する。この場合において、当該標準賞与額が150万円(厚生年金保険法20条2項の規定による標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは政令で定める額)を超えるときは、これを150万円とする。(厚年法24条の4)
7月1日前の1年間に4回以上支給された小穂当(決算手当や期末手当等、賞与と同じものとみなされるものを含む)は賞与の対象とせず、7月1日1年管の合算額を12で除して得た額を報酬に含め保険料の対象とする。
・ なお、賞与の支給回数が、当該年の7月2日以降新たに年間を通じて4回以上又は4回未満に変更された場合に、次期標準報酬月額の定時決定(7月8月又は9月の随時改定を含む)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、報酬に係る当該賞与の取扱いは変わらない。
・ また、「賞与」について、7月2日以降に新たにその支給が諸規定に定められた場合には、年間を通じ4回以上の支給につき客観的ンに定められているときであっても、次期標準報酬月額の定時決定(7月8月又は9月の随時改定を含む)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、賞与に係る報酬に該当しない。
7月1日前の1年間を通じ4回以上の賞与が支給されており当該賞与を報酬として取り扱っていた場合において、例えば、その年の8月1日に賞与の支給回数を、年間を通じて3回に変更した場合、その年の8月1日以降に支給される賞与は、基本的に時期定時決定までは報酬に該当するため、その間に支給する賞与については、賞与支払届の提出も不要である。
■ 3歳に満たない子を養育し、又は養育していた被保険者又は被保険者であった者が主務省令で定めるところにより実施機関に申出(被保険者であっては、その使用される事業所の事業主を経由して行うものとする)をしたときは、当該子を養育することとなった日(厚生労働省令で定める事実が生じた日にあっては、その日)の属する月から次のいずれかに該当するに至った日の翌日の属する月の前月までの各月のうち、その標準報酬月額が当該子を養育することとなった日の属する月の前月(当該月において被保険者でない場合にあっては、当該月前1年以内における被保険者であった月のうち直近の月「基準月」)の標準報酬月額(この規定により当該子以外の子に係る基準月の標準報酬月額「従前標準報酬月額」)を下回る月(当該申出が行われた日の属する月前の月であって、当該申出が行われた日の属する月の前月までの2年間のうちにあるものに限る)については、従前標準報酬月額を当該下回る月の厚生年金保険法43条1項に規定する老齢厚生年金の年金額の計算については、平均標準報酬月額の計算の基礎となる標準報酬月額とみなす。(厚年法26条)
・ 当該子が3歳に達したとき
・ 厚生年金保険法14条各号の資格喪失の時期のいずれかに該当するに至ったとき
・ 当該子以外の子についてこの条の規定の適用を受ける場合における当該子以外の子を養育することとなったときその他これに準ずる事実として厚生労働省令で定めるものが生じたとき
・ 当該子が死亡したときその他当該被保険者が当該子を養育しないこととなったとき
・ 当該被保険者に係る厚生年金保険法81条の2第1項(育児休業等期間中の保険料徴収の特例)の規定の適用を受ける育児休業等を開始したとき
・ 当愛被保険者に係る厚生年金保険法81条の2の2第1項(産前産後休業期間中の保険料徴収の特例)の規定の適用を受ける産前産後休業を開始したとき
■ この規定により、3歳に満たない子の養育期間中に標準報酬月額が低下した場合であっても、年金たる保険給付の額の計算については、従前の標準報酬月額がその期間の標準報酬月額とみなされる。
■ 上記の産前産後休業期間中により、第2子に係る保険料免除の対象となる産前産後休業を開始した場合には、第1子に係る従前標準報酬月額みなし措置は終了することになるが、第2子に係る産前産後休業を開始したときに第1子に係る従前標準報酬月額みなし措置が終了することになると、第2子に係る産前産後休業を開始した時点で、基準月に第1子に係る従前標準報酬月額みなし措置が終了している場合がある。そうすると、第2子の産前産後休業に係る従前標準報酬月額が、第1子に係る従前標準報酬月額みなし措置による従前標準報酬月額ではなく、実際の標準報酬月額となってしまうケースが想定される。そこで、第2子の産前産後休業開始のためにみなし措置が終了する場合で、第1子のみなし措置による従前標準報酬月額を第2子の産前産後休業に係る従前標準報酬月額とみなすことができない場合については、第2子の基準月において第1子のみなし措置による従前標準報酬月額を用いる措置が講じられている。
■ 厚年法26条に規定する3歳に満たない子を養育する被保険者等の標準報酬月額の特例は、子を養育し又は養育していたことが要件であり、被保険者の配偶者が出産した場合であっても、所定の要件を満たす被保険者は、その特例の申出をすることができる。
■ 実施機関は、被保険者に関する原簿を備え、これに被保険者の氏名、資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額)、基礎年金番号(国民年金法14条に規定する基礎年金番号)その他主務省令で定める事項を記録しなければならない。(厚年法28条)
■ 主務省令で定める事項のうち厚生労働大臣に係るものは、次のとおりである。(厚年則89条)
・ 被保険者の生年月日及び住所、被保険者の種別及び基金の加入員であるかいなかの区別、事業所の名称及び船舶所有者の氏名(船舶所有者が法人であるときは、名称)、被保険者が基金の加入員であるときは、当該基金の名称、賞与(第1号厚生年金被保険者に係るものに限る)の支払年月日、保険給付(厚生労働大臣が支給するものに限る)に関する事項がある。
■ 実施機関は、被扶養配偶者みなし被保険者及び離婚時みなし被保険者に係る事項についても原簿に記録しなければならない。(厚年法78条の7、78条の15)
■ 厚生労働大臣は、任意適用事業所の取消、任意単独被保険者の資格の取得若しくは任意単独被保険者の資格の喪失の認可、資格の得喪の確認又は標準報酬の決定若しくは改定(離婚時の厚生年金の分割並びに厚生年金保険法78条の14第2項及び3項による標準報酬の改定又は決定を除く)を行ったときは、その旨を当該事業主に通知しなければならない。(厚年法29条)
■ 通知すべき事項は、厚生労働大臣が行う次の事項である。
・ 任意適用事業所の取消(厚年法8条)
・ 任意単独被保険者の資格の取得及びその任意単独被保険者の創始sつに係る認可(厚年法10条1項、11条)
・ 資格の得喪に係る確認(厚年法18条1項)
・ 標準報酬の決定若しくは改定(離婚時の年金分割(合意分割・3号分割)によるものを除く)
■ 事業主は、厚生労働大臣から上記の事項について通知を受けたときは、速やかに、これを被保険者又は被保険者であった者に通知しなければならない。(厚年法29条2項)この場合、事業主は、通知をした日を明らかにすることができる書類を作成して置かなければならない。(厚年則25条1項)
■ 被保険者がその資格を喪失した場合において、その者の所在が不明のため通知をすることができないときは、事業主は、厚生労働大臣にその旨を届けでなければならない。(厚年法29条3項)。この届け出は、速やかに、文書によって行うものとする(厚年則25条2項)
■ 厚生労働大臣は、被保険者の資格の取得、喪失、種別の変更、標準月額について事業主から届け出があった場合に、その届け出に係る事実がないと認めるときは、その旨を事業主に通知しなければならない。(厚年法30条)
■ 第2号厚生年金被保険者であり、もしくはあった者、第3号厚生年金被保険者であり、若しくはあった者又は第4号厚生年金被保険者であり、若しくはあった者及びこれらの者に係る事業主については、厚年法29条、30条(通知)の規定は、適用しない。(厚年法31条の3)
■ 被保険者等は、厚生年金保険の原簿に記録された自己に係る特定厚生年金保険原簿記録(被保険者の資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬その他厚生労働省令で定める事項の内容をいう)が事実でない、又は厚生年金保険の原簿に自己に係る特定厚生年金保険原簿記録が記録されていないと思われるときは、厚生労働大臣に対し、厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができる。また、死亡した被保険者等に係る未支給の保険給付又は遺族厚生年金が発生する場合においては、当該被保険者等の原簿記録に基づき裁定処分が行われ、未支給の保険給付や遺族厚生年金の額が決定されるため、これらの受給権者である遺族等が、当該被保険者等の原簿記録について訂正請求を行うことができる。この他、厚生年金保険の被保険者期間として、離婚等により婚姻期間中の配偶者の標準報酬を分割した場合において、被保険者であった期間とみなされた期間のみを有する者についても、当該期間及び当該期間に係る分割後の標準報酬について訂正請求を行うことができる。
■ なお、被用者年金制度の一元化後、厚生年金保険法に規定する訂正の請求の対象となるのは、第1号厚生年金被保険者であり、又はあった者とされている。
■ 第1号厚生年金被保険者であり、又はあったものは、厚生年金保険法28条の原簿(厚生年金保険原簿)に記録された自己に係る特定厚生年金保険原簿記録(第1号厚生年金被保険者の資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬その他厚生労働省令で定める事項の内容をいう)が事実でない、又は厚生年金保険原簿に自己に係る特定厚生年金保険原簿記録が記録されていないと思料するときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、厚生年金保険原簿の訂正を請求することができる。
■ 上記の規定は、第1号厚生年金被保険者であり、又はあった者が死亡した場合において、以下の左に掲げる者について準用する。この場合において、同項中「自己」とあるのは、右に掲げる者の区分に応じ、下に掲げる軸に読み替えるものとする。
・ 37条の規定により未支給の保険給付の支給を請求することができる者 死亡した保険給付の受給権者
・ 遺族厚生年金を受けることができる遺族 死亡した第1号厚生年金被保険者であり、又はあった者
■ 特定厚生年金保険原簿記録に係る厚生労働省令で定める事項は、以下の事項とする
・ 被保険者の種別及び基金の加入員であるかないかの区別、賞与(第1号厚生年金被保険者に係るものに限る)の支払年月日、保険給付(厚生労働大臣が支給するものに限る)
・ 離婚時みなし被保険者期間、離婚時みなし被保険者期間に係る標準報酬及び保険給付に関する事項
・ 被扶養配偶者みなし被保険者期間、被扶養配偶者みなし被保険者期間に係る標準報酬及び保険給付
■ 厚年法28条の2第1項による訂正の請求をしようとする者は、所定の事項を記載した請求書に、所定の書類を添えて、日本年金機構に提出しなければならない。
■ 厚生労働大臣は、厚生年金保険法28条の2第1項(同条2項及び3項において準用する場合を含む)の規定による請求(厚生年金保険法28条の4において「訂正請求」)に係る厚生年金保険原簿の訂正に関する方針を定めなければならない。
■ 厚生労働大臣は、上記の方針を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、社会保障審議会に諮問しなければならない。(厚年法28条の3)
[厚年法] 厚生年金保険法・重要箇所・Chapter3
老齢厚生年金
■ 昭和61年4月1日前は、旧厚生年金保険法による老齢年金は原則として60歳から支給されていた。昭和61年4月1日以後の新年金制度では、老齢厚生年金として65歳から支給されるようになった。
■ そこで、当分の間の措置として、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしているものには、「特別支給の老齢厚生年金」を支給することとした。
■ その後平成6年の年金法(国民年金法・厚生年金保険法)の改正で、厚生年金保険から支給される老齢に関する年金の仕組みが変わった。
■ 60歳台前半の受給形態が、「定額部分と報酬比例部分からなる特別支給の老齢厚生年金」から「報酬比例部分相当のみ」に切り替わることとなった。具体的には、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年令を段階的に引上げ、報酬比例部分相当の年金(部分年金)を支給することとなった。
■ さらに、平成12年の法改正で、60歳台前半の老齢厚生年金を、段階的に廃止することとした。一般男子は平成25年度から平成37年(令和7年)度、女子は、平成30年度から平成42年(令和12年)度にかけて、報酬比例部分の支給開始年齢が段階的に引き上げられていく。
■ 以下は、第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生年金被保険者期間を有する女子に限られる(一元化前の厚生年金保険制度の制定を維持)。
■ 第2号から第4号厚生年金被保険者であり、又は第2号から第4号厚生年金被保険者期間を有する女子については、男子と同様に取り扱われる。(一元化前の共済年金制度の規定を維持)
・ 60歳から特別支給の老齢厚生年金が支給されるもの
・ 男子 昭和16年4月1日以前生まれ
・ 女子 昭和21年4月1日以前生まれ
・ 60歳から65歳まで特別支給の老齢厚生年金
・ 65歳以上 老齢基礎年金+老齢厚生年金
・ 特別支給の老齢厚生年金の支給開始が61歳から64歳までの者
・ 男子 昭和16年4月2日から昭和18年4月1日まで
・ 女子 昭和21年4月2日から昭和23年4月1日まで
・ 60歳から61歳 部分年金
・ 61歳から65歳 特別支給の老齢厚生年金
・ 65歳以上 老齢基礎年金+老齢厚生年金
・ 男子 昭和18年4月2日から昭和20年4月1日まで
・ 女子 昭和23年4月2日から昭和25年4月1日まで
・ 60歳から62歳まで 部分年金
・ 62歳から65歳まで 特別支給の老齢厚生年金
・ 65歳以上 老齢基礎年金+老齢厚生年金
・ 男子 昭和20年4月2日から昭和22年4月1日まで
・ 女子 昭和25年4月2日から昭和27年4月1日まで
・ 60歳から63歳まで 部分年金
・ 63歳から65歳まで 特別支給の老齢厚生年金
・ 65歳以上 老齢基礎年金+老齢厚生年金
・ 男子 昭和22年4月2日から昭和24年4月1日まで
・ 女子 昭和27年4月2日から昭和29年4月1日まで
・ 60歳から64歳まで 部分年金
・ 64歳から65歳まで 特別支給の老齢厚生年金
・ 65歳以上 老齢厚生年金+老齢基礎年金
・ 男子 昭和24年4月2日から昭和28年4月1日まで
・ 女子 昭和29年4月2日から昭和33年4月1日まで
・ 60歳から65歳まで 部分年金
・ 65歳以上 老齢厚生年金+老齢基礎年金
・ 男子 昭和28年4月2日から昭和30年4月1日まで
・ 女子 昭和33年4月2日から昭和35年4月1日まで
・ 61歳から65歳まで 部分年金
・ 65歳以上 老齢厚生年金+老齢基礎年金
・ 男子 昭和30年4月2日から昭和32年4月1日まで
・ 女子 昭和35年4月2日から昭和37年4月1日まで
・ 62歳から65歳まで 部分年金
・ 65歳以上 老齢厚生年金+老齢基礎年金
・ 男子 昭和32年4月2日から昭和34年4月1日まで
・ 女子 昭和37年4月2日から昭和39年4月1日まで
・ 63歳から65歳まで 部分年金
・ 65歳以上 老齢厚生年金+老齢基礎年金
・ 男子 昭和34年4月2日から昭和36年4月1日まで
・ 女子 昭和39年4月2日から昭和41年4月1日まで
・ 64歳から65歳まで 部分年金
・ 65歳以上 老齢厚生年金+老齢基礎年金
・ 男子 昭和36年4月2日以降
・ 女子 昭和41年4月2日以降
・ 65歳以上 老齢厚生年金+老齢基礎年金
■ 厚生年金保険から支給される老齢給付は、経過措置を含めると3種類に分けられる。また、これ以外にも、「経過的加算」という調整額や、いわば扶養手当のような「加給年金額」が加算されることがある。
・ 部分年金 報酬比例部分
・ 特別支給の老齢厚生年金 定額部分+報酬比例部分(+加給年金額)
・ 老齢厚生年金 報酬比例部分(+経過的加算)(+加給年金額)+老齢基礎年金
■ 次に該当する者には、老齢厚生年金は支給されず、なお旧法による保険給付が支給される。(昭和60年厚年法附則63条)
■ 施行日において60歳以上である者に係る特例
・ 大正15年4月1日以前に生まれた者
・ 昭和61年4月1日の前日において、旧厚生年金保険法による老齢年金、通算老齢年金、特例老齢年金、旧船員保険法による老齢年金の受給権を有している者
・ 昭和61年4月1日の前日において、共済組合等が支給する退職年金(同日においてその受給権者が55歳に達しているものに限る)もしくは減額退職年金(同日においてその受給権者が55歳に達しているものに限る)の受給権を有している者
■ 国民年金法でも学習したが、無年金者をできる限る救済すると同時に、納付した年金保険料を極力給付に結びつける観点から、老齢基礎年金、老齢厚生年金等の受給資格期間を25年から10年に短縮することとされた。(施行期日は平成29年8月1日
・ 支給要件(厚年法42条、厚年法附則14条)
・ 厚生年金保険の被保険者期間を有していること(1か月以上あること)
・ 65歳以上であること
・ 次のいずれかの受給資格期間を満たしていること
・ 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上あること
・ 保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が10年以上あること
・ 「受給資格期間」「保険料納付済期間」「保険料免除期間」及び「合算対象期間」については、国民年金法と全く同じ定義である。
■ 老齢厚生年金の額は、報酬比例の年金額(当分の間、経過的に加算される額を合算した額)に加給年金額を加算した額である。
報酬比例の年金額(経過的加算を合算)+加給年金額=老齢厚生年金
■ 老齢厚生年金の額は、被保険者であった全期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に再評価率を乗じて得た額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう)の1000分の5.481に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする。(厚年法43条1項)
■ 老齢厚生年金の年金額は、平成15年4月から総報酬制が導入されたために、平成15年4月前と平成15年4月以後の被保険者期間分に分けて計算する。また、平成16年法改正後の報酬比例部分の年金額と従前の年金額算定方式による報酬比例部分の年金額を比べて、従前額が高い場合は、従前額が保障される。
■ 次の1+2の合算額(一定の要件を満たす配偶者、子がいる場合は加給年金額が加算される)が年金額の合計となる。
・ 平成15年3月までの被保険者期間分
・ 平均標準報酬月額(再評価率)×7.125/1000×被保険者期間の月数
・ 平成15年4月以後の被保険者期間分
・ 平均標準報酬額(再評価率)×5.481/1000×被保険者期間の月数
・ 平成15年3月までの利率(昭和21年4月1日以前に生まれた者は、生年月日に応じて1000分の9.500から1000分の7.230に読み替える)
・ 平成15年4月以降の利率(昭和21年4月1日以前に生まれた者は、生年月日に応じて1000分の7.230から1000分の5.562に読み替える)
・ 再評価率は、平成16年改正後の毎年度改定される再評価率を用いる。
■ 総報酬制実施後の給付乗率は、被用者年金制度の全加入者の月収総額を1とした場合、平均的な賞与総額の割合は0.3であることから5.841/1000となった。
・ 7.125/1000×(1+0.3)=5.481/1000
■ 障害厚生年金の額については、障害認定日の属する月後における被保険者であった期間は、その計算の基礎としない。
■ 前記1,2の合算額が次の1,2の合算額を下回る場合は、次の(1+2)×従前額改定率)が支給される)
・ 平成15年3月までの被保険者期間分
・ 平均標準報酬月額(旧再評価率)×7.5/1000×被保険者期間の月数
・ 平成15年4月以後の被保険者期間分
・ 平均標準報酬月額(旧再評価率)×5.769/1000×被保険者期間の月数
・ 昭和21年4月1日以前に生まれたものは、生年月日に応じて10/1000から7.610/1000に読み替える。
・ 昭和21年4月1日以前に生まれた者は、生年月日に応じて7.692/1000から5.584/1000に読み替える。
・ 旧再評価率は、平成6年度改正のもの(毎年度改正されない)を用いる
■ 従来額改定率の改定は、法律上、既裁定者の再評価率の改定尾例によることとされている。令和3年度においては、昭和13年4月1日以前に生まれた者については、1.001、昭和13年4月2日以後に生まれた者については、0.999とされている。
■ 平均標準報酬月額とは、平成15年4月以後の各月の標準報酬月額と標準賞与額に再評価率を乗じて得た額の総額を被保険者月数で除した額をいう
■ 平均標準報酬月額等(昭和44年厚年法附則3条、4条、昭和51年厚年法附則35条等)
・ 平均標準報酬月額の原始的な計算
・ 平均標準報酬月額は、被保険者期間中の標準報酬月額を平均した額であり、次の式で計算される。
・ 平均標準報酬月額=(被保険者であった期間の標準報酬月額の額)/被保険者であった期間の総月数
・ 昭和32年10月1日前の被保険者期間を有する者についての平均標準報酬月額の計算(略)
・ 平均標準報酬月額を計算する場合に、昭和44年11月1日前に10000円未満の標準報酬月があるときは、これを10000円として計算する(昭和44年厚年法附則3条)
■ 再評価率の改定
・ 平成16年改正における年金額改定の考え方
・ 平成16年改正まで、再評価率は、5年に1度の財政再計算に「賃金スライド」により改正されていた。これを平成16年法改正で改め、賃金スライドと物価スライドをあわせた形で毎年度自動的に改定していくこととした。
・ 再評価率の改定の基準は、国民年金法で学習した改定率の改定の基準と同様である。
・ 調整期間における改定の仕組みである「マクロ経済スライド」について、平成30年4月1日施行の改正により、調整ルールの見直しが行われることとなったことも同様である。(いわゆるキャリーオーバー分も含めて調整)
・ 新規裁定者
・ 平成16年度改正後
・ 68歳到達年度前の受給権者・新規裁定者 → 名目手取り賃金変動率による自動改定
・ 68歳到達年度以後の受給権者は物価変動率に応じた自動改定
・ 調整期間中はスライド調整率による抑制
・ さらに、いわゆるキャリーオーバー分も含めて調整
・ 令和3年度の再評価率の改定の基礎となる物価変動率は0.0%(1.000)、名目手取り賃金変動率は▲0.1%(0.999)であった。また、調整率は▲0.1%(0.999)であった。物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回ることから(物価変動率又は名目手取り賃金変動率が1を下回るときを除く)、新規裁定者、既裁定者ともに名目手取り賃金変動率を用いることとされた。特別調整率については、未調整分は発生していないため、「1.000」となる。
・ これにより、令和3年度の再評価率の改定に係る率は、新規裁定者、既裁定者ともに、「0.999×1.000=0.999」となり、令和3年度の再評価率の改定に係る算出率(既裁定者は基準年度以後歳出率)は、「1.001×0.999=1.000」となった
・ 調整率として、「公的年金被保険者総数変動率(平成29年から31年度の平均)」「平均余念の伸び率(定率の0.3%)」の合計を賃金n上昇率や物価の上昇率から差し引くこととなる。
・ 公的年金被保険者総数変動率(公的年金全体の被保険者数の減少率)
3年平均を取るが、2004年から2025年度は0.6%と見込まれている
・ 平均余命の伸び率(平均余命の伸びを勘案した率)
2000年から2025年は0.3%(定数0.997)と見込まれている。
・ なお、令和3年度においては、平成26年財政検証時の予想よりも60歳以上の高齢者雇用が進み厚生年金被保険者が増加したことにより、実際の調整率は、▲0.1%(0.999)と、見込みより低くなった。
■ 新規裁定者 → 名目手取り賃金変動率×調整率×前年度の特別調整率(毎年度改定)
■ 既裁定者 → 物価変動率×調整率×前年度の基準年度以後特別調整率(毎年度改定)
■ 特別調整率とは
・ 令和3年度においては、「1.000」
・ 以後、毎年度、「名目手取り賃金変動率×調整率÷算出率(名目手取り賃金変動率が1を下回るときは、調整率)」を基準として改定
■ 基準年度以後特別調整率とは
・ 「前年度の特別調整率×物価変動率(物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率)×調整率÷基準年度以後算出率(物価変動率又は名目手取り賃金変動率が1を下回るときは、調整率)」
・ 毎年度、「物価変動率(物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率)×調整率÷基準年度以後算出率(物価変動率又は名目手取り賃金変動率が1を下回るときは、調整率)」を基準として改定する。
■ 名目手取り賃金変動率
■ ①物価変動率×②実質賃金変動率×可処分所得割合変動率
・ 物価変動率とは、一般は消費者物価上昇率 前年の物価指数÷前々年の物価指数
実質賃金変動率とは、前々年度以前3年間の「標準報酬平均額」の平均
・ 「標準報酬平均額」とは、各年度における標準報酬の総額を各年度における厚生年金保険の被保険者の数で除して得た額を12で除して得た額に相当する額として、厚生年金保険の被保険者の性別構成及び年齢別構成並びに標準報酬の分布状況の変動を参酌して政令で定めるところにより算定した額をいう。
・ 計算式
・ 前々年度の「標準報酬平均額」/5年前の年度の「標準報酬平均額」
・ 前々年度の消費者物価指数/5年前の消費者物価指数
・ 上記1÷2の3乗根(3年平均と考える。)
・ 可処分所得割合変化率とは、厚生年金等の保険料アップによる手取りの変化を調整するためのもの
■ 実際の改定に用いられるもの
・ 改定率による改定 加給年金額・障害手当金の最低保障額等
・ 再評価率による改定 報酬比例部分の年金、障害手当金等
・ 保険料率による改定 脱退一時金等(自動改定の仕組みが適用されない。)
■ 受給権者が毎年9月1日(基準日)において被保険者である場合(基準日に被保険者の資格を取得した場合を除く)の老齢厚生年金の額は、基準日の属する月前の被保険者であった期間をその計算の基礎とするものとし、基準日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。
■ ただし、基準日が被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの間に到来し、かつ、当該被保険者の資格を喪失下日から再び被保険者の資格を取得した日までの期間が1か月以内である場合、基準日の属する月前の被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、基準日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。(厚年法43乗2項)
■ 上記の在職定時改定は、令和4年4月1日施行の改正で新たに設けられた規定です。これは、高齢期の就労継続を早期に年金額に反映するため、在職中の老齢厚生年金の受給権者(65歳以上)の年金額を、毎年、定時に(基準日の属する月の翌月(10月)から)改定するものです。
■ なお、上記の「但書」は、基準日に被保険者でない場合でも、在職定時改定が行われることがあることを定めている。
■ 70歳まで被保険者である場合のケース
・ 改正前
・ 厚生年金保険に加入し、70歳まで継続就労
・ 70歳到達時(被保険者資格喪失時)に年金額改定(退職時改定による増額)
・ 改正後
・ 在職中毎年1回の改定
・ 在職定時改定による増額(65歳から70歳までが在職期間とした場合、66歳の10月から毎年1回改定される)
■ 在職定時改定の規定は、特別支給の老齢厚生年金には適用されない。(厚年法附則9条)
■ 被保険者である受給権者がその被保険者資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、資格を喪失した日(厚生年金保険法14条2号から4号までのいずれかに該当するに至った日にあっては、その日)から起算して1月を経過した日の属する月から、年金の額を改定する。(厚年法43条3項)
■ 厚生年金保険法14条2号から4号
・ その事業所又は船舶に使用されなくなったとき(退職したとき)
・ 任意適用事業所の適用取消しの認可又は任意単独被保険者の資格喪失の認可があったとき
・ 適用除外に該当するに至ったとき
■ 受給権者が70歳到達により被保険者資格を喪失した場合、被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過した日の属する月から年金の額が改定される。
■ 特別支給の老齢厚生年金においても同様の改定が行われる。
■ 経過的加算(昭和60年高念法附則59条2項)
・ 経過的加算=定額部分(ア)−老齢基礎年金(イ)
・ 定額部分 1680円×改定率×乗率(1.875から1.000)×被保険者期間の月数
・ 老齢基礎年金 780900円×改定率×(昭和36年4月1日以後の20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者期間の月数)/(加入可能年数×12)
・ 定額部分の詳細は60歳台前半の老齢高齢年金の章で
■ 改定率は、国民年金に規定する改定率である。
■ 老齢基礎年金の年金額の計算を行う場合の厚生年金の被保険者期間は、第三種被保険者の特例の適用がないものとした被保険者期間の月数(実期間)で行う。
■ 経過的加算は、定額部分と老齢基礎年金との差額である。
■ 特別支給の老齢厚生年金を支給されている者については、その定額部分が65歳からは老齢基礎年金に切り替わる。しかし、当分の間は、老齢基礎年金の額に比べて定額部分に相当する額のほうが高額となるため、その差額部分を支給する必要がある。
■ この差額は、拠出制国民年金が施行された昭和36年4月1日より前の厚生年金保険の加入期間がある場合があることと、昭和36年4月1日以後の期間でも20歳未満60歳以後の期間が国民年金の老齢基礎年金の保険料納付済期間に算入されない事等から生じている。
■ 加給年金額とは、受給権者に生計を維持されている一定の条件の者がいる場合に一定額をプラスする、扶養手当のような制度である。
■ 老齢厚生年金の額に加給年金額が加算されるためには、次の要件を満たしていることが必要である。(厚年法44条1項)
・ 当該老齢厚生年金の年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240(中高齢者の特例に該当する者は、その期間)以上であること
・ 老齢厚生年金の受給権者が受給権を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であったとは、厚生年金保険法43条2項又は3項の規定(在職定時改定又は退職時の改定)により当該月数が240以上となるに至った当時)、その者によって生計を維持していた、次のいずれかに該当すする者がいること
・ 65歳未満の配偶者
・ 18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にあるか又は20歳未満で障害等級の1級もしくは2級の障害の状態にある子
・ 旧共済組合員期間のうち、昭和17年6月から昭和20年8月までの期間に係るものを含む(ただし、この期間については、老齢厚生年金の額に反映されることはない)
・ 生計維持とは、受給権を取得した当時、その者と生計を同じくしていた配偶者又は子であって、厚生労働大臣の定める金額(年間850万円)以上の収入が恒常的に将来に渡って得られない状態をいう。(厚年法44条5項、厚年令3条の5第1項)
・ なお、上記の年額850万円以上の収入が恒常的に将来に渡って得られない状態とは、以下の状態をいう。
・ 前年の収入が年額850万円未満である状態
・ 前年の所得が年額655.5万円未満である状態
・ 定年退職等の事情により近い将来収入が年額850万円未満又は所得が年額655.5万円未満となると認められる状態
■ 受給権者がその権利を取得した当時胎児であった子が出生したときは、その子は、受給権者がその権利を取得した当時からその者によって生計を維持していた子とみなされ、その出生の月の翌月から、加給年金額が加算される。
■ 加給年金の額は、次の通り
・ 配偶者 224700円×改定率
・ 第1子・第2子 224700円×改定率
・ 第3子以降 74900円×改定率
■ 加算年金額の額の改定に用いる改定率は、受給権者の年令に関わらず、新規裁定者に適用される基準を基準として改定される(他の加算年金額、特別加算の額の改定に用いる改定率についても同様)
■ 改定率を乗じて得た額が50円未満の端数が生じたときはこれを切り捨て、50年以上100円未満の端数が生じたときはこれを100円に切り上げるものとする。(他の加給年金額の規定、特別加算額の規定についても同様の端数処理が行われる)
■ 加給年金額の特例(昭和60年厚年法附則60条)
・ 老齢厚生年金の受給権者の配偶者が大正15年4月1日以前に生まれた者であるときは、その配偶者には老齢基礎年金が支給されないため、当該配偶者が65歳以上になっても加給年金額が支給される(振替加算に振り替わることはない)
・ 老齢厚生年金の受給権者が昭和9年4月2日以後に生まれた者であるときは、配偶者に係る加給年金額に更に次の表の額が特別加算される。
・ 昭和9年4月2日から昭和15年4月1日 33200円×改定率
・ 昭和15年4月2日から昭和16年4月1日 66300円×改定率
・ 昭和16年4月2日から昭和17年4月1日 99500円×改定率
・ 昭和17年4月2日から昭和18年4月1日 132600円×改定率
・ 昭和18年4月2日以後 165800円×改定率
■ 特別加算の要件は「配偶者」ではなく「受給権者」の生年月日である。
■ 「子」に係る加算年金額に特別加算額の加算は行われない。
■ 加算年金額の支給対象となる者が次のいずれかに該当したときは、その翌月から、その対象者の分の加算年金額を差し引いた額に改定される。
・ 死亡したとき
・ 受給権者による生計維持の状態がやんだとき
・ 配偶者が、離婚又は婚姻の取消しをしたとき
・ 配偶者が65歳に達したとき
・ 配偶者が大正15年4月1日以前の生まれの者である場合は、旧法対象者に該当することから加給年金額が振替加算に振り替わることはなく、当該配偶者が65歳に達した以後も加給年金額の加算の対象となる。
・ 子が、養子縁組によって受給権者の配偶者以外の者の養子となったとき
・ 養子縁組による子が、離縁をしたとき
・ 子が、婚姻したとき
・ 子について、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(1級又は2級の障害の状態にある時を除く)
・ 障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある子について、その事情がやんだとき(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子を除く)
・ 子が、20歳に達したとき
・ 加給年金額の対象となっている子が18歳に達する以後の最初の3月31日までの間に障害等級1級又は2級の障害の状態に該当した場合は、20歳まで加給年金額が加算される。
■ 国民年金法33条の2第1項(障害基礎年金の加算)の規定により加算が行われている子があるとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときを除く)は、その間、当該子について加算する額に相当する部分の支給を停止する。(厚年法44条1項)
■ 障害基礎年金と老齢厚生年金が併給される場合であって、障害基礎年金の子の加算額、老齢厚生年金の子に係る加給年金額がそれぞれ加算される場合には、老齢厚生年金の子に係る加給年金額の支給が停止される。
■ 配偶者が、次の年金たる保険給付又は年金たる給付の支給を受けることができるとき(障害を支給事由とする給付であって、その全額につき支給を停止されているものを除く)は、その間、当該配偶者について加算する額に相当する部分の支給が停止される。(厚年法46条6項、厚年令3条の7)
・ 老齢厚生年金(年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240(中高齢者の特例に該当する者は、その期間)以上である者に限る)
・ 障害厚生年金
・ 国民年金法による障害基礎年金
・ 平成24年一元化法による改正前の共済組合が支給する年金たる給付、私立学校教職員共済法による年金たる給付その他の年金たる給付のうち老齢もしくは退職又は障害を支給事由とする給付であって政令で定めるもの
■ 令和4年4月1日施行の改正で、加給年金の支給停止ルールの改善が図られました。この改正前は、加給年金額の加算の対処うとなっている配偶者が老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る)などの老齢又は退職を支給事由とする給付の受給権を有している場合でも、その全額が支給停止されているときは、加給年金額に相当する部分が支給されることになっていました。しかし、改正後は、加給年金額の加算の対象となっている配偶者がそのような老齢又は退職を支給事由とする給付の受給権を有している場合には、その全額が支給停止されているときであっても、加給年金額に相当する部分の支給を停止することとされました。
■ 配偶者が老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていても、配偶者分の加給年金額は支給停止にならず、配偶者が65歳に達するまで加算される。
■ まとめ
報酬比例部分(平成16年度改正後の式)
・ 平成15年3月までの被保険者期間分
・ 平均標準報酬月額(再評価率)×乗率(7.125/1000)×被保険者期間の月数
・ 平成15年4月以後の被保険者期間分
・ 平均標準報酬月額(再評価率)×乗率(5.481/1000)×被保険者期間の月数
・ 平均標準報酬月額とは、平成15年4月以後の各月の標準報酬月額及び標準賞与額に再評価率を乗じて得た額の総額を被保険者期間の月数で除した額をいう
・ 乗率 生年月日による読み替えあり
・ 経過的加算
・ (定額部分の額)−(昭和36年4月1日以後の20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者期間で計算した老齢基礎年金相当額)
・ 加給年金額
・ 老齢厚生年金(年金額の計算の基礎となる被保険者期間のつく数が240(中高齢者の特例に該当する者は、その期間)以上ある者に限る)のう旧県社が、その権利を取得した当時その者によって生計を維持していたその者に以下の者がいるときは、加給年金額が加算される
・ 65歳未満の配偶者 又は
・ 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子 又は、20歳未満で障害等級1級又は2級の障害の状態にある子
・ ただし、平成18年4月より障害基礎年金と老齢厚生年金(65歳以上に限る)の併給が可能となったことから、障害基礎年金に子についての加算がある場合は、老齢厚生年金の子の加算部は支給停止となる。
・ 配偶者特別加算額
・ 老齢厚生年金の受給権者が昭和9年4月2日以後に生まれた者であるときは、配偶者の加給年金額に受給権者の生年月日に応じて、33200円×改定率(昭和9年4月2日から昭和15年4月1日)から165800円×改定率(昭和18年4月2日以後)の特別加算が行われる。
■ 平成12年の法改正によって導入された支給開始年齢の引上げ措置のため、60歳台前半の老齢給付の支給がなくなることとなった。そこで、65歳前から老齢厚生年金を繰上げて受給することができることとされた。
■ また、当該支給開始年齢の引上げの過程にある者も、経過的に、その支給開始年齢の到達前から老齢厚生年金を繰上げて受給することができるとされた。
■ これらの支給の繰上げの規定は、後述の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢と密接に関係するので、生年月日などの暗記は、当該支給開始年齢と連動して覚えるとよい。
■ なお、令和4年4月1日施行の改正で、繰上げ減額率が見直された。(1月あたり1000分の5→1000分の4)。この点にも注意が必要である。
■ 以下に掲げる者であって、被保険者期間を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるもの(国民年金の任意加入被保険者でないものに限る)は、政令で定めるところにより、65歳に達する前に、実施機関に当該以下に掲げる者の区分に応じ当該者の被保険者の種別に係る被保険者期間に基づく老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる。ただし、その者が、その請求があった日の前日において、老齢厚生年金の受給資格期間を満たしていないときは、支給繰上げの請求をすることができない。
・ 男子又は女子(第2号厚生年金被保険者であり、若しくは第2号厚生年金被保険者期間を有する者、第3号厚生年金被保険者であり、若しくは第3号厚生年金被保険者期間を有する者又は第4号厚生年金被保険者であり、若しくは第4号厚生年金被保険者期間を有する者に限る)であって、昭和36年4月2日以後に生まれた者(以下に掲げる者を除く)
・ 女子(第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生年金被保険者期間を有する者に限る)であって昭和41年4月2日以後に生まれた者(以下に掲げる者を除く)
・ 坑内員たる被保険者であった期間と船員たる被保険者であった期間とを合算した期間が15年以上あるものであって、昭和41年4月2日以後に生まれた者
・ 特定警察職員等である者で昭和42年4月2日以後に生まれた者
■ 特定警察職員等とは、警察官若しくは皇宮護衛官又は消防吏員若しくは常勤の消防団員(政令で定める階級以下の階級である者に限る)である被保険者又は被保険者であった者のうち、厚年法附則8乗各号(60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者)のいずれにも該当するに至ったとき(すでに被保険者の資格を喪失している者にあっては、その資格を喪失した日の前日)において、引き続き20年以上警察官若しくは皇宮護衛官又は消防吏員若しくは常勤の消防団員として在職していた者その他これらに準ずる者として政令で定める者をいう。
■ 当該老齢厚生年金の支給繰上げの請求は、老齢基礎年金の支給繰上げの請求を行うことができる者にあっては、同時に行わなければならない。(厚年法附則7条の3第2項)
■ 当該繰上げ支給の老齢厚生年金は、請求があった日の属する月から、その者に老齢厚生年金を支給する(受給権が発生)こととされており、受給権が発生した月の翌月から、年金の支給が開始される。(厚年法附則7条の3第3項)
■ 当該繰上げ支給の老齢厚生年金の額は、65歳からうけるべき本来の老齢厚生年金の額から政令で定める額を減じた額とされる。(厚年法附則7条の3第4項)
■ 支給繰上げの請求をした日の属する月の前月までの被保険者期間(請求日前被保険者期間)を基礎として、厚年法43条1項の規定によって計算した老齢厚生年金の額(経過的加算額を含む)に減額率(1000分の4に請求日の属する月から65歳に達する月の前月までの月数を乗じて得た率)を乗じて得た額である。
・ 令和4年4月1日施行の改正により、減額率が引き下げられた(1月あたり1000分の5→1000分の4)が、新たな減額率(1月あたり1000分の4)は、施行日の前日(令和4年3月31日)において、60歳に達していない者(昭和37年4月2日以後に生まれた者)に適用される。(令和2年令附則6条)
・ 施行日の前日において、60歳に達している者(昭和37年4月1日以前に生まれた者)には、改正前の規定(1月あたり1000分の5)が適用される。
■ 当該繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者であって、支給繰上げの請求があった日以後の被保険者期間を有する者が65歳に達したときは、65歳に達した日の属する月前における被保険者であった期間を当該老齢基礎年金の額の計算の基礎とするものとし、65歳に達した日の属する月の翌月から年金の額を改定する(厚年法附則7条の3第5項)
■ 加給年金の要件を満たす場合であっても、加給年金額が加算されるのは、65歳以後となる。(厚年法附則7条の3第6項)
■ 特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢が段階的に引き上げられる者であって、60歳以上である者は、その支給開始年齢に達する前に、実施機関に老齢厚生年金の支給繰上げ(経過的な支給繰上げ)の請求をすることができる。
■ なお、この支給繰上げの請求についても、国民年金の任意加入被保険者である者は請求できない。
■ 支給開始年齢が段階的に引き上げられる者は次の者である。
・ 男子又は女子(第2号から第4号厚生年金被保険者であり、又は第2号から第4号厚生年金被保険者期間を有する者)であって、昭和28年4月2日から昭和36年4月1日までの間に生まれた者
・ 女子(第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生年金被保険者期間と有する者)であって、昭和33年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた者
・ 坑内員たる被保険者であった期間と船員たる被保険者であった期間とを合算した期間が15年以上ある者であって、昭和33年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた者
・ 特定警察職員等であるものであって、昭和34年4月2日から昭和42年4月1日までに生まれた者
■ 上記とほぼ同等の規定が設けられている。注意すべき点のみ紹介する。
・ 老齢厚生年金の経過的な支給繰上げの請求も、老齢基礎年金の支給繰上げと同時に行わなければならない。
・ 定額部分も支給される特例に該当し、報酬比例部分と定額部分とを合わせて支給開始年齢が引き上げられる者については、老齢基礎年金の支給繰上げは、必ず一部繰上げとなる。(全部繰上げは選択できない)
・ 減額率は、1000分の4(昭和37年4月1日以前に生まれた者については1000分の5)に請求日の属する月から特例支給開始年齢に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率(請求日の属する月と当該年齢に達する日の属する月が同一の場合には、零)となる。
・ 特例支給開始年齢とは、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢をいう。
・ 被保険者期間を有する者の年金額の改定は、次のように行われる。
・ 当該繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者であって、当該支給繰上げの請求があった日以後の被保険者期間を有するものが特例支給開始年齢に達したときは、当該年齢に達した日の属する月前における被保険者であった期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、当該年齢に達した月の翌月から、年金の額を改定する。
・ 当該繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者であって、特例支給開始年齢に達した日以後の被保険者期間を有するものが65歳に達したときは、65歳に達した日の属する月前における被保険者であった期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、65歳に達した日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。
■ 平成14年4月1日に60歳台後半の在職老齢年金制度が実施されたため、厚年法44条の3の規定による支給繰下げは廃止された。平成16年改正で、平成19年度より新たな老齢厚生年金の繰下げ支給制度が再び導入された。
■ 令和2年改正では、老齢厚生年金・老齢基礎年金の受給開始時期の選択肢の範囲を拡大することから、繰下げの上限が「受給権取得日から起算して5年を経過した日(一般的には70歳)」から「受給権取得日から起算して10年を経過した日(一般的に75歳)」に改められ、その改正規定が令和4年4月1日から施行されることとなった。
■ 老齢厚生年金の受給権を有する者であってその受給権を取得した日から起算して1年を経過した日(1年を経過した日)前に当該老齢厚生年金を請求していなかったものは、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。ただし、その者が当該老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付(他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金を除く)をいう)の受給権者であったとき、又は当該老齢厚生年金の受給権を取得した日から1年を経過した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは、この限りでない。(厚年法44条の3第1項)
■ 次のすべてを満たした場合に繰下げの申出を行うことができる
・ 老齢厚生年金の受給権を有する者
・ 老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に老齢厚生年金を請求しなかった
・ 当該老齢厚生年金の受給権を取得したときに、次の受給権者でない
・ 他の年金たる給付
・ 国民年金法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金を除く)
・ 老齢厚生年金の受給権を取得した日から1年を経過した日までの間において上記の受給権者となっていない。
■ 支給繰下げの申出は、実施機関に対して行う。
■ 支給繰下げの申出をした者に対する老齢厚生年金の支給は、第36条1項(年金の支給期間及び支払期月)の規定にかかわらず、当該申出のあった月の翌月から始めるものとする。
1年を経過した日後に次のいずれかに掲げる者が支給繰下げの申出をしたときは、当該次に定める日において、支給繰下げの申出があったものとみなす。
・ 老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して10年を経過した日(以下において10年を経過した日)前に他の年金たる給付の受給権者となった者
・ 他の年金たる給付を支給すべき事由が生じた日
10年を経過した日後にある者
10年を経過した日
・ 令和4年4月1日施行の改正の前は、上記の10年の部分は、「5年」であったが、改正後の規定は、施行の前日(令和4年3月31日)において、老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過していない者に適用される(令和2年法附則8条)
■ 老齢厚生年金の受給権を取得した日から1年を経過した日後に、その受給権を取得した日から10年を経過する日の前日までの間に、遺族厚生年金など老齢厚生年金以外の補完の年金給付の受給権を取得した場合には、その受給権を取得した日に老齢厚生年金の支給の繰下げの申出があったものとみなされる。
■ さらに、老齢厚生年金の受給権を取得した日から10年を経過した日後に支給の繰下げの申出があった場合には、10年を経過した日に支給繰下げの申出があったものとみなされる。
■ 支給繰下げの申出をした者に支給する老齢厚生年金の額は、老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月の前月までの被保険者期間を基礎として計算した額と在職老齢年金により支給調整された後の額を勘案して政令で定める額(繰下げ加算額)を加算した額とする。
・ 繰下げ加算額=(繰下げ対象額+経過的加算額)×増額率
・ 繰下げ対象額とは、老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月(受給権取得月)の前月までの被保険者期間(受給権取得月前被保険者期間)を基礎として計算した老齢厚生年金の額 × 平均支給率
・ 増額率=1000分の7×受給権取得月から申出日の属する月の前月までの月数(当該月数が120月を超えるときは、120)
・ 平均支給率=(受給権取得月(当該受給権取得月から申出日の属する月までの期間が10年を超える場合にあっては、当該申出日の10年前の日の属する月)の翌月から申出日の属する月までの各月の支給率を合算した率)/受給権取得月の翌月から申出日の属する月までの月数
・ 当該各月のうち、老齢厚生年金の受給権者が被保険者である月にあっては、次の通り。
・ 支給率=1-(在職老齢年金の規定により、その支給を停止するものとされた額)/(受給権取得月前被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額)
・ それ以外の月(在職老齢年金の対象とならない月)については、1とする。
■ 平成19年4月1日前に老齢厚生年金の受給権を取得した者については、老齢厚生年金の支給繰下げの規定の適用はない。
■ 老齢基礎年金と同じに繰下げの申出を行う必要はない。
■ 65歳に達したときに、老齢や退職を支給事由とする年金たる給付の受給権者であっても、老齢厚生年金の繰下げの申出はできる。
■ 65歳に達したときに、障害基礎年金の受給権はであっても、老齢厚生年金の支給繰下げの申出はできる。
■ 加給年金額は、繰り下げしても増額されない。
■ 老齢厚生年金の受給権は、受給権者が死亡したときは、消滅する。(厚年法45条)
■ 老齢厚生年金の受給権が消滅するのは、受給権者が死亡したときだけに限られる。
■ 平成12年の法改正により、平成14年4月1日から、65歳以上70歳未満の老齢厚生年金の受給権者である被保険者に対して、新たに60歳台後半の在職老齢年金の支給停止の制度が導入された。また、平成16年の改正によって、平成19年4月から70歳以上の使用される者についても在職老齢年金の対象となった。
■ 老齢厚生年金の受給権者が被保険者(前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者に限る)である日(厚生労働省令で定める日を除く)、国会議員若しくは地方公共団体の議会の議員(前月以前の月に属する日から引き続き当該国会議員又は地方公共団体の議会の議員である者に限る)である日又は70歳以上の使用されるもの(前月以前の月に属する日から引き続き当該適用事業所において厚生年金保険法27条の厚生労働省令で定める要件に該当する者に限る)である日が属する月において、その者の総報酬月額相当額及び老齢厚生年金の額(加給年金額及び繰下げ加算額を除く)を12で除して得た額(基本月額)との合計額が支給停止調整額を超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、総報酬月額相当額と基本月額の合計額から支給停止調整額を控除して得た額の2分の1に相当する額に12を乗じて得た額(支給停止基準額)に相当する部分の支給を停止する。ただし、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部(繰下げ加算額を除く)の支給を停止するものとする。(厚年法46条1項)
■ 経過的加算額も除かれる。
■ 総報酬月額相当額とは、標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額。70歳以上の使用される者については、その者の標準報酬月額に相当する額とその月以前の1年間の標準賞与額及び標準賞与額に相当する額の総額を12で除して得た学徒を合算して得た額とする。
■ 総報酬月額相当額
・ 被保険者である者
・ 標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞与額の総額÷12
・ 70歳以上の使用される者
・ 標準報酬月額に相当する額+その月以前の1年間の標準賞与額及び標準賞与額に相当する額の総額÷12
■ 国会議員又は地方公共団体の議会の議員についての総標準報酬月額は、その者の標準報酬月額に相当する額として政令で定める額とその月以前の1年間の標準賞与額及び標準賞与額に相当する額として政令で定める額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額とする。
■ 賞与の支給等により総報酬月額相当額が改定された場合には、「改定された月」から、新たな総報酬月額相当額に基づいて計算された額に変更される。
■ 支給停止調整額は、48万円とする。ただし、48万円に物価変動率及び実質賃金変動率を乗じて改定される。改定された場合の額に5千円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、5千円以上1万円未満の端数が生じたときは、これを1万円に切り上げるものとする。この規定により、現在は、47万円とされている。(令和7年度 51万円)
■ 離婚等による標準報酬の改定又は決定の規定による改定前の標準賞与額とし、決定された標準賞与額を除く。(厚年法78条の11ほか)
■ 総報酬月額相当額+基本月額>支給停止調整額(51万円)
・ 支給停止基準額に相当する部分の支給を停止
■ 総報酬月額相当額+基本月額≦支給停止調整額(51万円)
・ 支給停止なし
■ ((総報酬月額相当額+基本月額)−支給停止調整額(51万円)/2)×12
■ なお、支給停止基準額が老齢厚生年金の額(加給年金額、経過的加算額及び繰下げ加算額を除く)以上の場合は、老齢厚生年金の全部(経過的加算額及び繰下げ加算額を除く)が支給停止される。
■ 老齢厚生年金が支給停止される場合であっても、老齢基礎年金は支給されず全額が支給される。
■ 加給年金額、経過的加算額、繰下げ加算額が加算されている老齢厚生年金の場合の支給調整は、加給年金額、経過的加算額、繰下げ加算額を除いた老齢構成根金の本体部分の年金額に基づいて行われる。本体部分が一部でも支給されている間は、加給年金額、経過的加算額、繰下げか山岳は全額支給されるが、本体部分の年金が全部支給停止となったときには、加給年金額も全額支給停止となる。ただし、経過的加算額及び繰下げ加算額は支給される。
■ 老齢厚生年金が全額支給停止されても、「経過的加算額」及び「繰下げ加算額」は支給される。
■ 70歳以上の被用者に対する在職老齢年金の調整のポイント
・ 60歳台後半の在職老齢年金の場合と異なり、70歳以上の被用者を被保険者として保険料徴収の対象とすることはしない。したがって、在職定時改定及び退職時改定の規定も適用されない。
・ 総報酬月額相当額と基本月額の合計が、51万円(支給停止調整額)を上回る場合には、老齢厚生年金の全部又は一部が停止される(60歳台後半の在職老齢年金の仕組みと同じ)
・ 支給停止基準額(上記の支給停止額×12)が、老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部が停止されることになるが、老齢厚生年金のうち経過的加算額及び支給繰下げによる繰り下げ加算額だけは停止されない。(60歳台後半の在職老齢年金のしくみと同じ)
・ 厚生年金保険の適用事業所の事業主は、70歳以上の被用者についても、年金の調整に必要な報酬及び賞与に関する届出義務が課される(厚年法27条、厚年法附則6条の2)
■ 被用者年金制度の一元化に伴い、60歳台後半(70歳以上)の在職老齢年金について、次のような改正が行われている。
・ 老齢厚生年金の受給権者が、前月以前の月に属する日から引き続き「国会議員又は地方公共団体の議会の議員である日」が属する月にも、支給停止の仕組みを適用(一元化前は適用なし)
・ 老齢厚生年金の受給権者にあっては、前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者が、「被保険者の資格を喪失した日」が属する月には、支給停止の仕組みは適用しない。(一元化前は適用あり)
・ 70歳以上の在職老齢年金に関する経過措置の廃止→「適用事業所に使用される70歳以上の者に適用される在職老齢年金の規定は、昭和12年4月1日以前に生まれた者については、適用しない」(一元化前の平成16年厚年法附則43条)」とする規定があったが、これが削除された。そのため、昭和12年4月1日以前に生まれた者についても、在職老齢年金の規定が適用される。また、その者について、これまで不要とされていた「70歳以上の被用者該当届」などん提出の必要とされた。
・ 昭和12年4月1日以前に生まれた者とは、70歳以上の者の在職老齢年金の規定が施行された平成19年4月1日において70歳以上であった者のこと
■ 60歳台後半の在職老齢年金の支給停止
・ 基本月額+総報酬月額相当額≦支給停止調整額(51万円) → 全額支給
・ 基本月額+総報酬月額相当額>支給停止調整額(51万円) → (基本月額+総報酬月額相当額−支給停止調整額(51万円))/2
・ 支給停止基準額≧老齢厚生年金 → 全額支給停止
■ 新年金制度では、老齢厚生年金は65歳を原則的な支給開始年齢としている。
■ 新年金制度を施行する際、当分の間の措置として、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている者には、旧厚生年金保険法による老齢年金に相当する特別支給の老齢厚生年金を支給することとした。
■ また、平成6年の法改正においては、年金財政の悪化から特別支給の老齢厚生年金が見直しの対象とされ、特別支給の老齢厚生年金を「報酬比例部分+定額部分の年金」から「報酬比例部分相当額だけの年金」に段階的に切り替えることとした。
■ 一般男子は平成13年度から平成25年度、女子は平成18年度から平成30年度にかけて移行することとする。
■ さらに、平成12年の法改正において、60歳台前半に支給する老齢厚生年金についても、段階的に廃止することとした。
■ 一般男子は平成25年度から平成37年(令和7年)度、女子は平成30年度から平成42年度(令和12年)度にかけて、報酬比例部分相当額の老齢厚生年金の支給開始年齢を段階的に引き上げることになっている。
■ この引上げ措置により、60歳台前半の老齢厚生年金の支給が廃止されることとなり、一方で繰上支給の請求ができることとされた。
■ なお、被用者年金制度の一元化に伴い、厚年法附則の規定が見直され、支給開始年齢が一般の男子より5年遅れとなる一般の女子は、第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生年金被保険者期間を有する者(第1号女子)に限ることとされた(一元化前の厚生年金保険制度の規定を維持)
■ そして、一般の女子のうち、第2号から第4号厚生年金被保険者であり、又は第2号から第4号厚生年金被保険者期間を有する者(第2号から第4号女子)については、一般の男子と同様の支給開始年齢とされた(一元化前の共済年金制度の規定を維持)
■ 60歳台前半の年金の概要
・ 男子(第2号から第4号女子)
・ 特別支給の老齢厚生年金
・ 昭和16年4月1日以前生まれの者
・ 繰上げの支給対象年齢
・ 昭和16年4月2日以後生まれの者から昭和36年4月1日以前生まれの者まで
・ 第1号女子
・ 特別支給の老齢厚生年金
・ 昭和21年4月1日以前に生まれた者
・ 繰上げの支給対象年齢
・ 昭和21年4月2日以後に生まれた者から昭和41年4月1日以前に生まれた者まで
・ 支給要件
・ 保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が10年以上あること
・ 厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あること
・ 60歳以上65歳未満であること
・ 加給年金額については、一定の支給要件に該当した場合のみ支給される。
■ 特別支給の老齢厚生年金の支給を受けるためには原則として、次の要件を満たしていることが必要である。(厚年法附則8条)
・ 60歳以上であること
1年以上の被保険者期間を有すること
・ 保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が10年以上あること
・ 昭和36年(女子は41年4月1日以前生まれであること
■ 生年月日別の支給開始年齢
・ 平成6年と平成12年改正で、生年月日に応じて次のような支給形態をとった
・ 平成6年改正
・ 大正15年4月2日から昭和16(21)年4月1日まで
報酬比例部分 60歳支給
・ 定額部分 60歳支給
・ 昭和16(21)年4月2日から昭和18(23)年4月1日まで
報酬比例部分 60歳支給
・ 定額部分 61歳支給
・ 昭和18(23)年4月2日から昭和20(25)年4月1日まで
報酬比例部分 60歳支給
・ 定額部分 62歳支給
・ 昭和20(25)年4月2日から昭和22(27)年4月1日まで
報酬比例部分 60歳支給
・ 定額部分 63歳支給
・ 昭和22(27)年4月2日から昭和24(29)年4月1日まで
報酬比例部分 60歳支給
・ 定額部分 64歳支給
・ 昭和24(29)年4月2日から昭和28(33)年4月1日まで
報酬比例部分 60歳支給
・ 定額部分 65歳支給
・ 平成12年改正
・ 昭和28(33)年4月2日から昭和30(35)年4月1日まで
報酬比例部分 61歳支給
・ 昭和30(35)年4月2日から昭和32(37)年4月1日まで
報酬比例部分 62歳支給
・ 昭和32(37)年4月2日から昭和34(39)年4月1日まで
報酬比例部分 63歳支給
・ 昭和34(39)年4月2日から昭和36(41)年4月1日まで
報酬比例部分 64歳支給
・ 昭和36(41)年4月2日以後
報酬比例部分 65歳支給
■ 厚年法附則8条の規定により、65歳前に支給される老齢厚生年金については、本来の65歳から支給される老齢厚生年金と区別するため、「特別支給の老齢厚生年金」とか、「60歳台前半の老齢厚生年金」と呼ばれることがある。
■ ここ数年の本試験では、法附則8条の規定による老齢厚生年金は、報酬比例部分のみの支給となる者も含め、「特別支給の老齢厚生年金」と表示しているので、本書でも、「特別支給の老齢厚生年金」という名称を用いている。
■ 65歳前の支給については、その名称よりも、その年金額が「報酬比例部分+定額部分(+加給年金額)」となるか、「報酬比例部分のみ」となるかに着目して、生年月日の要件などをしっかり押さえたい。
20年かけて支給開始年齢がずれていく。旧法時代の定年(男子55歳、女子50歳)との関係で、第1号女子については、+5歳となる
・ 昭和16年4月1日以前 (-) 60歳から特別支給
・ 昭和16年4月2日から昭和24年4月1日 (8年) 定額部分がずれていく
・ 昭和24年4月2日から昭和28年4月1日 (4年) 報酬比例部分のみ
・ 昭和28年4月2日から昭和36年4月1日 (8年) 報酬比例部分がずれていく
・ 昭和36年4月2日以後 (‐) 65歳以後支給開始
■ 女子については、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢について特例措置が設けられており、次のように60歳前から支給が開始されることがあった
・ 昭和7年4月1日以前 支給開始年齢55歳
・ 昭和7年4月2日から昭和9年4月1日 支給開始年齢56歳
・ 昭和9年4月2日から昭和11年4月1日 支給開始年齢57歳
・ 昭和11年4月2日から昭和13年4月1日 支給開始年齢58歳
・ 昭和13年4月2日から昭和15年4月1日 支給開始年齢59歳
・ 昭和15年4月2日から昭和21年4月1日 支給開始年齢60歳
■ 障害者特例(厚年法附則9条の2第1項・2項、平成6年厚年法附則22条)
・ 60歳台前半の老齢厚生年金の(報酬比例部分のみの受給権者に限る)受給権者(老齢厚生年金の受給権者)が高齢年金保険法に規定する障害等級3級以上の障害の状態にあり、被保険者でない場合には、請求により、特別支給の老齢厚生年金に相当する年金(報酬比例部分+定額部分)が支給される。
・ 老齢厚生年金の受給権者又は老齢厚生年金の受給権者であった者が、次のいずれかに該当するときは、障害者の特例の請求をすることができる。この場合には、次に規定する日に障害者の特定の請求があったものとみなす。
・ 老齢厚生年金の受給権者となった日について、被保険者でなく、かつ、障害状態にあるとき(障害厚生年金その他の障害を支給事由とする年金たる給付であって政令で定めるもの(障害厚生年金等)を受けることができるときに限る)
・ 老齢厚生年金の受給権者となった日
・ 障害厚生年金等を受けることができることとなった日において、老齢厚生年金の受給権者であって、かつ、被保険者でないとき
・ 障害厚生年金等を受けることができることとなった日
・ 被保険者の資格を喪失した日において、老齢厚生年金の受給権者であって、かつ、障害状態にあるとき(障害厚生年金等を受けることができるときに限る)
・ 被保険者の資格を喪失した日
■ この障害者の特例については、障害厚生年金の受給権者である必要はなく、障害等級3級以上の障害の状態にあればよい。
■ 被保険者でない者が、請求することが必要となる。
■ 障害厚生年金等の受給権者であり、しかも障害等級の1級から3級に該当することが客観的に判断できる者に対しては、障害者の特例の請求があった場合には、「報酬比例部分の支給開始年齢到達時」、「障害厚生年金等を受けることができることとなった日(障害認定日)」又は「被保険者である場合には被保険者の資格を喪失した日」の3つの要件のうち、最後の要件が満たされた日に請求があったものとみなされ、その翌月から報酬比例部分と定額部分を合わせた特例支給の老齢厚生年金が支給される。
■ 60歳以上64歳未満である間は報酬比例部分のみ、64歳以上65歳未満である間は報酬比例部分+定額部分の例。
・ 老齢厚生年金の受給権者となった日において、被保険者でなく、かつ、障害状態にあるとき→報酬比例部分の支給開始年齢到達時
・ 障害厚生年金等を受けることができることとなった日において、老齢厚生年金の受給者であって、かつ、被保険者でないとき→障害認定日
・ 被保険者の資格を喪失した日において、老齢厚生年金の受給権者であって、かつ、障害状態にあるとき→被保険者の資格を喪失した日
■ 長期加入者の特例(厚年法附則9条の3第1項・2項、平成6年厚年法附則22条)
・ 60歳台前半の老齢厚生年金の(報酬比例部分の受給権者に限る)受給権者であって、その権利を取得した当時被保険者でなく、かつ、厚生年金保険の被保険者期間が44年528月)以上ある者については、特別支給の老齢厚生年金に相当する年金(報酬比例部分+定額部分)が支給される。
・ この長期加入者の特例については、障害者の特例と異なり、請求が要件とはされていない。
■ 障害者の特例、長期加入者の特例は、一定要件に該当した者が報酬比例部分の老齢厚生年金の支給を受けることができるようになったときに、同時に定額部分についても支給するというものである。
・ 63歳から65歳まで 報酬比例部分+定額部分
・ 65歳以後 老齢基礎年金+経過的加算額+報酬比例部分
■ 坑内員たる被保険者であった期間と船員たる被保険者であった期間とを合算した期間が15年以上であり、かつ、老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている者(報酬比例部分の受給権者に限る)については、定額部分を含めた特別支給の老齢厚生年金が支給される(昭和21年4月1日以前に生まれた者には55歳から支給)。ただし、平成6年の厚年法改正により、生年月日に応じて段階的に特別支給の老齢厚生年金の支給が60歳まで引き上げられ、更に平成12年の改正により、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢を生年月日に応じて段階的に64歳まで引き上げることとし、昭和41年4月2日以後に生まれた者については、60歳台前半の老齢厚生年金は支給されないこととなった。この船員、坑内員の特例の適用については、被保険者の資格を喪失しているか否かは要件とされない。なお、昭和41年4月2日以後生まれの者については、要件を満たせは老齢厚生年金の支給の繰上げを請求することができる。(平成6年厚年法附則15条、厚年法附則18条の2)
・ 昭和21年4月1日以前 55歳
・ 昭和21年4月2日から昭和23年4月1日まで 56歳
・ 昭和23年4月2日から昭和25年4月1日まで 57歳
・ 昭和25年4月2日から昭和27年4月1日まで 58歳
・ 昭和27年4月2日から昭和29年4月1日まで 59歳
・ 昭和29年4月2日から昭和33年4月1日まで 60歳
・ 昭和33年4月2日から昭和35年4月1日まで 61歳
・ 昭和35年4月2日から昭和37年4月1日まで 62歳
・ 昭和37年4月2日から昭和39年4月1日まで 63歳
・ 昭和39年4月2日から昭和41年4月1日まで 64歳
・ 昭和41年4月2日以後 65歳以後支給開始
■ 特例の要件のまとめ
報酬比例部分の老齢厚生根人の受給権者が以下に該当したときには、生年月日にかかわらず、定額部分を合わせた特別支給の老齢厚生年金が支給される
・ 対象
・ 障害者・長期加入者
・ 昭和16年4月2日から昭和36年4月1日(第1号女子は+5歳:昭和21年4月2日から昭和41年4月1日)(昭和16年4月1日から昭和28年4月1日まで生まれは、60歳から65歳まで、昭和28年4月2日から昭和36年4月1日まで生まれは、特例支給開始年齢から65歳まで)
・ 坑内員・船員
・ 大正15年4月2日から昭和41年4月1日
・ 対象者
・ 障害者
・ 障害等級(3級以上)に該当する程度の障害の状態にあるとき(症状の状態が固定していないときは初診日から1年6月を経過した日以後において、その傷病によって障害の状態にあるとき)
・ 長期加入者
・ 被保険者期間が44年以上あるとき
・ 坑内員・船員
・ 坑内員たる被保険者であった期間と船員たる被保険者であった期間を合算した期間が15年以上ある
・ 要件
・ 障害者
・ 被保険者でないこと
・ 請求が必要
・ 長期加入者
・ 被保険者でないこと(請求不要)
・ 坑内員・船員
・ 在職中も可(請求不要)
■ 特例支給開始年齢は、定額部分がずれていく年代の人の場合には、定額部分の支給開始年齢を指す。報酬比例部分がずれていく年代の人の場合には、報酬比例部分の支給開始年齢のことを指す
■ 特別支給の老齢厚生年金は、一般的には定額部分+報酬比例部分を合算した年金のことをさすが、報酬比例部分がずれていく年代の人には報酬比例部分の年金を指すことがある。つまり、60歳台前半の厚生年金からの支給をいう。
■ 被用者年金制度の一元化前の共済年金制度の特例を維持するもの。特定警察職員等とは、警察官もしくは皇宮護衛官又は消防吏員若しくは常勤n消防団員(政令で定める階級以下の階級である者に限る)である被保険者又は被保険者であった者のうち、厚年法附則8条各号(60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者)のいずれにも該当するに至ったとき(既に被保険者の資格を喪失している者にあっては、その資格を喪失した日の前日)において、引き続き20年以上警察官若しくは皇宮護衛官又は消防吏員若しくは常勤の消防団員として在職していた者その他これに準ずる者として政令で定める者をいうが、その者の60歳台前半の老齢厚生年金の支給開始年齢は次の通りとされている。
・ 昭和22年4月1日以前 
報酬比例部分 60歳
・ 定額部分 60歳
・ 昭和22年4月2日から昭和24年4月1日
報酬比例部分 60歳
・ 定額部分 61歳
・ 昭和24年4月2日から昭和26年4月1日
報酬比例部分 60歳
・ 定額部分 62歳
・ 昭和26年4月2日から昭和28年4月1日
報酬比例部分 60歳
・ 定額部分 63歳
・ 昭和28年4月2日から昭和30年4月1日
報酬比例部分 60歳
・ 定額部分 64歳
・ 昭和30年4月2日から昭和34年4月1日
報酬比例部分 60歳
・ 昭和34年4月2日から昭和36年4月1日
報酬比例部分 61歳
・ 昭和36年4月2日から昭和38年4月1日
報酬比例部分 62歳
・ 昭和38年4月2日から昭和40年4月1日
報酬比例部分 63歳
・ 昭和40年4月2日から昭和42年4月1日
報酬比例部分 64歳
・ 昭和42年4月2日以後 65歳以後支給開始
■ 60歳台前半の年金額は、生年月日に応じて報酬比例部分と定額部分と加給年金額を組み合わせた額となる。
■ 特別支給の老齢厚生年金の額は、報酬比例部分相当の年金額の計算式で計算した額と同様である。(厚年法43条)従前額保障、総報酬制の仕組みも同様となる
■ 定額部分は次の計算式で計算する。
・ 1628円×改定率×乗率(1.875から1.000)×被保険者期間の月数
■ 改定率は、国民年金法に規定する改定率である。1628円に改定率を乗じて得た額に端数が生じた場合は、50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げ処理をする。
■ 乗率は、大正15年4月2日以後生まれから昭和21年4月1日生まれは生年月日に応じて、1.875から1.032とされる。
■ 被保険者期間の月数の上限は、生年月日に応じて、次のようになっている。
・ 昭和4年4月1日以前生まれ 420月
・ 昭和4年4月2日から昭和9年4月1日まで 432月
・ 昭和9年4月2日から昭和19年4月1日まで 444月
・ 昭和19年4月2日から昭和20年4月1日まで 456月
・ 昭和20年4月2日から昭和21年4月1日まで 468月
・ 昭和21年4月2日以後 480月
■ 被保険者期間の月数の下限は、中高齢者の特例に該当する者については、被保険者期間の月数が240に満たないときは、これを240とする。
■ 加給年金額は、昭和16年4月1日以前生まれ(第1号女子は昭和21年4月1日以前生まれ)の者、定額部分の支給開始年令引き上げの経過措置期間中の者、障害者・長期加入者の特例に該当する者が対象となる→定額部分が支給されるものということ
■ 昭和16年4月1日以前に生まれた者に支給される「特別支給の老齢厚生年金」については、その受給権者が繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けるときは、その間、特別支給の老齢厚生年金の支給が(定額部分も含めて)全額停止される。
■ 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分のみ)を60歳から受けられる者については、その受給権者が繰上げ支給の老齢基礎年金の請求をしたときは、当該年金と繰上げ支給の老齢基礎年金の両年金を併給することができる。(昭和24年4月2日(第1号女子は昭和29年4月2日)以後に生まれた者)
■ 特別支給の老齢厚生年金を受けられる者が、繰上げ支給の老齢基礎年金を受けるときは、その間、当該老齢厚生年金の定額部分のうちの基礎年金相当部分(厚生年金保険の被保険者期間(昭和36年4月以後及び20歳以上60歳未満の者に限る)に係る老齢基礎年金の年金額)が支給停止される。(昭和16年4月2日から昭和21年4月1日生まれた第1号女子)
■ 昭和16年4月2日から昭和24年4月1日(第1号女子は、昭和21年4月2日から昭和29年4月1日)までの間に生まれた者は、報酬比例部分の老齢厚生年金(部分年金)を受給している者が老齢厚生年金の繰上げ受給することを希望した場合には、定額部分の支給開始年齢に達する前に老齢基礎年金の一部の繰上げ請求を行うことができることになっている。この場合には、定額部分の額について一定の調整が行われる。また、これらの者は老齢基礎年金の一部の繰上げ請求ではなく、全部を繰上げ請求することもできるが、この場合には、定額部分支給開始年齢に達した後、老齢厚生年金の定額部分のうち、基礎年金相当額(厚生年金保険の被保険者期間(昭和36年4月以後及び20歳以上60歳未満のものに限る)に係る老齢基礎年金の年金額)が支給停止される。また、報酬比例部分と定額部分を合わせた額の老齢厚生年金を受給している間に老齢基礎年金の繰上げ請求を行った場合にも、基礎年金相当部分が支給停止される。(平成6年厚年法附則27条)
■ 特別支給の老齢厚生年金及び部分年金の受給権は、受給権者が次のいずれかに該当するときは消滅する。(厚年法附則10条)
・ 死亡したとき
・ 65歳に達したとき
■ 平成7年3月までの在職老齢年金の仕組みは、標準報酬月額に応じて、支給停止する者であった。
■ 平成6年度の年金法の改正により、平成7年4月からの在職老齢年金は、「標準報酬月額と年金月額」の合計額から算出する方式に改められた。
■ 平成15年4月から総報酬制が導入されたことに伴い、年金保険料賦課の対象とされる賞与(1000円未満切捨て)を標準賞与額とし、標準報酬月額と併せて標準報酬とされた。
■ 総報酬制の導入後1年を経過した平成16年4月から新たな在職老齢年金の調整が実施されたが、さらに改正が加えられ、平成17年4月からは一律2割の支給停止の規定が撤廃された。
■ そして、令和2年改正では、支給停止とならない範囲を拡大することとされ、支給停止の仕組みが、基本的には60歳以後の在職老齢年金と同様の仕組みに改められた。
■ 総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整額以下であるとき老齢厚生年金を全額支給する。(支給停止しない)
■ 総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整額を超えるとき、その月の分の在職老齢年金として、次の額を減じて得た額に12を乗じて得た額が支給される。
・ (総報酬月額相当額+基本月額-支給停止調整額)× 1/2
・ ただし、支給停止基準額(上記の支給停止額に12を乗じて得た額)が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部の支給が停止される。また、原則として、加給年金額(特別加算を含む)が年金額に加算されるときは、老齢厚生年金の全部が支給停止されているとき等を除いて、全額加算される。
・ 厚生年金保険の被保険者であった期間の全部又は一部が厚生年金基金の加入員であった期間を有する者の支給停止基準額の計算において、加入員であった期間を加入していなかったものとして計算した老齢厚生年金の額を用いる(厚年法附則11条5項)
・ 基本月額とは、年金額(加給年金額を除く)を12で除して得た額である。
■ 60歳台前半の在職老齢年金の支給停止
・ 基本月額+総報酬月額相当額≦支給停止調整額(51万円) 全額支給
・ 基本月額+総報酬月額相当額>支給停止調整額(51万円) (基本月額+総報酬月額相当額-支給停止調整額)/2
・ 支給停止基準額≧老齢厚生年金 全額支給停止
■ 65歳以上の在職老齢年金で用いる「支給停止調整額」と同じである。令和7年度は51万円です。
■ 老齢厚生年金(加給年金額を除く)の年金額を12で除して得た額(基本月額)
■ 本体部分の年金が一部でも支給→加給年金額は全額支給
■ 本体部分の年金が全額支給停止→加給年金額は支給停止
■ 被用者年金制度の一元化に伴い、60歳台全派の老齢厚生年金の受給権者が、前月以前の月に属する日から引き続き「国会議員又は地方公共団体の議会緒議員である日」が属する月にも、支給停止の仕組みを適用することになっている。(一元化前は適用なし)
■ 従来、60歳で退職すると、厚生年金保険から特別支給の老齢厚生年金、雇用保険法から基本手当の療養の給付が受けられることとなっていた。
■ 平成6年度の年金法の改正により、平成10年4月1日以後に特別支給の老齢厚生年金の受給権が発生するものについて併給調整を行うこととした。
■ 基本手当が受けられる間(求職の申込をしたとき)は、特別支給の老齢厚生年金は、支給停止される。
■ 支給停止される期間は、特別支給の老齢厚生年金の受給権者(厚年法14条2項1号に規定する受給資格を有する者に限る)が失業の認定を受けるために公共職業安定所に求職の申込のあった月の翌月から、その申込みによる基本手当に係る受給期間が経過したとき又は所定給付日数に相当する日数分の基本手当の支給を受け終ったとき(延長給付を受ける者にあっては、当該延長給付が終わったとき)に該当するに至った月までの各月(調整対象期間)となる。(厚年法附則11条の5)
■ 調整対象期間の各月に、基本手当の支給を受けた日とみなされる日及びこれに準ずる日として政令で定める日が1日もない月や、60歳台前半の在職老齢年金の仕組みにより年金額の全部又は一部が支給停止になっている月がある場合は、その月については特別支給の老齢厚生年金が支給される。
・ 「基本手当の支給を受けた日とみなされる日」は、失業していることについての認定を受けた日のうち、基本手当の支給に係る日の日数に相当する日数分を当該失業の認定日の直前の各日にあるとみなした費とする。ただし、当該「基本手当の支給を受けた日とみなされる日」が、老齢厚生年金の受給権者が65歳に達した日の属する月の翌月以降の各月に属するときは、この限りでない。
・ 待期期間(雇用保険法21条)
・ 職業紹介拒否、訓練受講拒否に係る給付制限期間(雇用保険法32条1項・2項)
・ 離職理由による給付制限期間(雇用保険法33条1項)
■ 支給停止された特別支給の老齢厚生年金については、基本手当に係る受給期間が経過したとき又は所定給付日数に相当する日数分の基本手当の支給を受け終ったときにおいて、次の式で計算した支給停止解除月数が1以上のときは、支給停止した月(年金停止月)のうち、支給停止解除月数分の支給停止が解除される。この場合の支給停止の解除は、直近の年金停止月より順次、前にさかのぼって行われる。
・ 支給停止解除月数=年金停止月数-(基本手当の支給対象となった日数)/30
・ 1未満の端数は1に切り上げる
■ 老齢厚生年金の受給権者(裁定請求書に雇用保険被保険者番号を記載していない者に限る)は、求職の申込みを行ったときは、速やかに、「厚生年金保険老齢厚生年金受給権者支給停止事由該当届」に雇用保険受給資格証を添えて、日本年金機構に提出しなければならない。ただし、受給権者の申出によって老齢厚生年金の額の全部につき支給が停止されているとき又は雇用保険被保険者番号の記載した届書を日本年金機構に提出したことがあるときは、この限りでない。(厚年則33条1項)
■ 雇用保険法の給付で調整の対象とされるのは基本手当であり、特例一時金との調整は行われない。
■ 65歳未満である間に支給される繰上げ支給の老齢厚生年金については基本手当との調整対象となるが、65歳以降に支給される老齢厚生年金、障害厚生年金及び遺族厚生年金については、基本手当との調整対象にはならない。
■ 老齢厚生年金の裁定請求書に雇用保険被保険者番号を記載した場合には、支給停止事由該当届の提出は不要である。
■ 特別支給の老齢厚生年金の受給権者が、在職中の被保険者で、高年齢雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金又は高年齢再就職給付金)の支給を受けられる間は、特別支給の老齢厚生年金について、年金額の一部が支給停止される。
■ 高年齢雇用継続給付との併給期間は、在職老齢年金の仕組みにより支給停止される額に加え、次に掲げる額に相当する額が支給停止される。ただし、調整後の支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全額の支給が停止される。
・ 受給権者の標準報酬月額が雇用保険のみなし賃金日額に30を乗じて得た額の100分の61に相当する額未満であるとき
・ 当該受給権者の標準報酬月額に100分の6を乗じて得た額
・ 受給権者の標準報酬月額がみなし賃金日額に30を乗じて得た額の100分の61以上100分の75に相当する額未満であるとき
・ 標準報酬月額に100分の6から一定の割合で逓減するように厚生労働省令で定める率を乗じて得た額
・ 上記により計算した額に6分の15を乗じて得た額に受給権者の標準報酬月額(360584円)を超えるとき
・ 支給限度額から当該標準報酬月額を減じて得た額に15分の6を乗じて得た額
■ 調整が行われない場合
・ 標準報酬月額がみなし賃金日額に30を乗じて得た額の100分の75に相当する額以上であるとき
・ 標準報酬月額が支給限度額以上であるとき
■ 上記のいずれも、高年齢雇用継続給付が支給されないため、調整が行われることはない。
■ 高年齢雇用継続給付との調整は「総報酬月額相当額」ではなく「標準報酬月額」で計算する(みなし賃金日額に賞与額が反映されていないため)
■ 老齢厚生年金の受給権者(裁定請求書に雇用保険被保険者番号を記載していないものに限る)は、高年齢雇用継続給付の支給決定を受けたときは、速やかに、「厚生年金保険老齢厚生年金受給権者支給停止事由該当届」に高年齢雇用継続給付支給決定通知を添えて、日本年金機構に提出しなければならない。ただし、受給権者の申出によって老齢厚生年金の額の全部につき支給が停止されているとき又は雇用保険被保険者番号を記載した届書を日本年金機構に提出したことがあるときは、この限りでない。(厚年法33条3項)
■ 特例老齢年金とは、老齢基礎年金の受給資格期間をみたしていない者が、旧陸軍共済組合その他政令で定める共済組合の組合員であった期間(旧共済組合員期間)と厚生年金保険の被保険者期間とを合算して20年以上ある場合に、厚生年金保険の被保険者期間に応じて支給される年金である。
■ 特例老齢根金を受けるためには、次のすべての要件を満たしていることが必要である。
・ 60歳以上であること(被保険者であるか否かは不問)
1年以上の被保険者期間を有すること
・ 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしておらず、かつ、被保険者期間と旧共済組合員期間とを合算した期間が20年以上あること
[厚年法] 厚生年金保険法・重要箇所・Chapter4
障害厚生年金
■ 厚生年金保険では、障害等級の1級・2級以外にも、3級の障害厚生年金があり、また、これに満たない障害の場合には、障害手当金を支給する。
■ 障害厚生年金は、業務上・業務外の別を問わず、次の3つの要件すべてを満たしたものに支給される。
■ 初診日の要件(厚年法47条)
・ 初診日において、厚生年金保険の被保険者であること
■ 障害認定日に関する要件
・ 障害認定日において、その傷病により障害等級の1級、2級又は3級に該当する程度の障害の状態にあること
■ 保険料納付要件
・ 初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があるものについては、当該被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が3分の2以上あること
■ 障害厚生年金の支給要件は、障害基礎年金と異なり、初診日において被保険者である必要がある。
■ 初診日とは、傷病につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日
■ 障害認定日とは、初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内に傷病が治った場合には、その治った日。なお、その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
■ 保険料の納付要件は、初診日の属する月の前々月までに被保険者期間がある場合に適用される。
■ 初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があるものについて、その被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が3分の2以上あること。
■ 上記において、「初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間がある」という場合の、「国民年金の被保険者期間」は、第1号被保険者(20歳以上60歳未満である自営業、学生等)であった期間、第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者等)であった期間、第3号被保険者(20歳以上60歳未満である厚生年金保険の被保険者等の被扶養配偶者)であった期間を示す。
■ 初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者がない場合には、保険料納付要件は問われない。例えば、19歳で初めて厚生年金保険の被保険者となった者が、資格取得日から10日目に初診日がある傷病によって障害等級に該当した場合などがある。
■ 船員又は坑内員としての被保険者期間は、障害構成年金及び障害手当金の保険料納付要件を判定する際に、3分の4倍等しない実期間を保険料納付済期間として国民年金の被保険者とする。
■ 令和8年4月1日前に初診日のある場合は、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの直近の1年間に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がなければ、保険料納付要件を満たしていることとされる。(昭和60年厚年法附則64条1項)
■ 保険料納付要件の特例が適用されるのは、当該初診日において65歳未満である場合に限られる。
■ 障害厚生年金の支給要件のまとめ
・ 初診日要件
・ 厚生年金の被保険者であること
・ 障害認定日要件
・ 障害等級が1級から3級の障害の状態に該当すること
・ 保険料納付要件
・ 初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があるときは、その被保険者期間のうち保険料納付期間と保険料免除期間とを合算した期間が3分の2以上あること
・ 初診日が令和8年4月1日前の場合は、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの直近の1年間に保険料滞納期間がないこと(ただし、初診日において65歳未満である場合に限る)
■ 国民年金の障害基礎年金には、「被保険者であった者であって、日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者」という条件がありますが、厚生年金保険では、「被保険者期間中に初診日があること」が絶対条件です。
■ 障害認定日に障害等級(1級から3級の障害の状態)に該当しなかったものが、その後65歳に達する日の前日までに障害等級(1級から3級)に該当した場合、障害厚生年金の支給を請求できる制度がある。
■ 初診日に関する要件(厚年法47条の2)
・ 初診日において被保険者であること
■ 障害認定日に関する要件
・ 障害認定日において、障害等級1級、2級又は3級に該当する程度の障害の状態になかった者が、障害認定日後65歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったこと
■ 保険料納付要件
・ 本来の障害厚生年金と同様
■ 請求に関する要件
・ 65歳に達する日の前日までに障害厚生年金の支給を請求すること
■ 本来の障害厚生年金は支給要件を満たせば自動的に受給権が発生する。それに対し、事後重症による障害厚生年金は、65歳に達する日の前日までに請求をしたときに受給権が発生し、実際の支給は請求があった月(受給権が発生した月)の翌月から開始される。
■ 繰上げ支給の老齢厚生年金若しくは経過的な繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者又は繰上げ受給の老齢基礎年金もしくは一部繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者は、当該事後重症による障害厚生年金を請求することができない。(厚年法附則16条の3第1項)
■ 事後重症の規定による障害厚生年金は、同一の傷病による障害について旧厚生年金保険法による障害年金又は旧国民根金法に依る障害年金の受給権を有していたことがある者については、支給しない。(昭和60年国年法附則66条)
■ 事後重症の規定による障害厚生年金は、同一の傷病による障害んいついて平成24年一元化法による改正前の国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法及び私立教職員共済法による年金たる給付(他の法令の規定によりこれらの年金たる給付とみなされたものを含む)のうち障害を支給事由とするものの受給権を有していたことがある者その他で定める者については、支給をしない(平成24年厚年法附則18条)
■ 事後重症のまとめ
・ 初診日要件
・ 厚生年金の被保険者であること
・ 障害認定日要件
・ 障害認定日には、障害等級1級から3級の障害の状態に該当していなかった者が、その後65歳に達する日の前日までの間に、その傷病により障害等級の1級から3級の障害の状態に該当しているとき
・ 保険料納付要件
・ 必要
・ その他
・ その期間内(65歳に達する日の前日まで)に請求すること
■ 事後重症の障害厚生年金は、請求して初めて権利が発生する。(基準障害と区別すること)
■ 障害等級(1級又は2級)に該当する程度の障害の状態になかった者が新たに別の傷病にかかり、前後の障害を併合してはじめて2級以上になった場合に障害厚生年金を支給する制度である。(基準障害(初めて2級)による障害厚生年金)
■ 初診日に関する要件(厚年法47条の3)
・ 基準障害に係る初診日において、厚生年金保険の被保険者であること
■ 障害認定日に関する要件
・ 障害認定日に障害等級(1級又は2級)に該当しない程度の障害の状態にあった者がその後新たに別の傷病(基準傷病)にかかり、基準傷病に係る障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間に、基準傷病による障害(基準障害)と前の障害とを併合してはじめて障害等級(1級又は2級)に該当する程度の障害の状態に該当すること(基準傷病の初診日が、基準傷病以外の傷病(基準傷病以外の傷病が二以上ある場合は、基準傷病以外のすべての傷病)に係る初診日以降であるときに限る)
■ 保険料納付要件
・ 本来の障害厚生年金と同様
■ 請求に関する要件
・ 障害厚生年金の支給を請求すること
■ この障害厚生年金の受給権は、事後重症の障害厚生年金と異なり請求が要件とされるものではないが、実際に支給を受けるためには請求が必要であり、請求があった月の翌月から始められる。(請求は65歳以降であっても支給される)
■ 事後重症による障害厚生年金は、請求により受給権が発生する年金であるので、65歳に達する日の前日までに請求しなければならないが、基準障害による障害厚生年金は65歳以後でも請求することができる。ただし、65歳に達する日の前日までに障害等級に該当していることが要件とされている。
■ 繰上げ支給の老齢厚生年金もしくはけいかてき繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者又は繰上げ支給の老齢基礎年金若しくは一部繰上げの老齢基礎年金の受給権者は、当該基準障害による障害厚生年金を請求することはできない。(厚年法附則16条の3第1項)
■ 基準障害まとめ
・ 障害等級(1級又は2級)に該当しない障害の状態にある者に、新たに傷病による障害が発生し、65歳に達する日の前日までに両者を併合して初めて障害等級2級以上に該当した場合に支給される障害厚生年金
・ 初診日要件
・ 基準傷病に係る初診日において厚生年金の被保険者であること
・ 障害認定日要件
・ 障害等級1・2級の障害の状態に該当しない者に基準傷病が発生
・ 基準傷病に係る障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間に、基準障害と他の障害を併合して初めて1・2級の障害の状態に該当すること
・ 保険料納付要件
・ 基準傷病について必要
■ 事後重症による障害厚生年金と違い、請求により受給権が発生するものではないが、支給の開始にあたっては請求が必要とされている。通常の年金の場合、時効にかからなければ、受給権が発生した月の翌月までさかのぼって支給されるが、基準障害による障害厚生年金の場合は、請求があると、その翌月から支給が開始される。なお、請求については65歳以後でも可能である。
■ 既存の障害(障害等級1・2級の障害状態に該当しない障害)については、初診日要件は不問。先天性の障害でも可です。
■ 重い障害等級は年金額も多く、受給権者に65歳未満の配偶者がいる場合は、当該障害厚生年金に加算額を加算して支給する。これまで、障害厚生年金の受給権発生時に生計維持している配偶者がある場合に加給年金額の加算を行うこととしていたが、これに加えて、平成23年4月1日からは、受給権発生後に婚姻等により配偶者を有し、その配偶者との間で生計維持関係がある場合にも、加給年金額の加算を行うこととした。
■ 障害厚生年金の額は、厚生年金保険法43条1項の規定の例により計算した額とする。この場合において、当該障害厚生年金の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300とする。
■ 障害の程度が障害等級1級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、上記の規定にかかわらず、上記に定める額の100分の125に相当する額とする。
■ 障害厚生年金の給付事由となった障害について国民年金法による障害基礎年金を受けることができない場合において、障害厚生年金の額が国民年金法33条1項に規定する障害基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする)に満たないときは、上記の規定にかかわらず、当該額を障害厚生年金の額とする。
■ 厚生年金保険法48条1項の規定(併給の調整)による障害厚生年金の額は、その額が同条2項の規定により消滅した従前の障害厚生年金(障害を併合する前の障害厚生年金)の額より定額であるときは、上記の規定にかかわらず、従前の障害厚生年金の額に相当する額とする。(厚年法50条)
■ 障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の年金額の計算の例による。障害等級2級の障害について、老齢厚生年金の計算式で計算した額を支給し、障害等級1級の障害については2級の障害厚生年金の額の100分の125に相当する額が支給される。
・ 障害等級1級=報酬比例部分の年金額×125/100+配偶者加給年金額
・ 障害等級2級=報酬比例部分の年金額+配偶者加給年金額
・ 障害等級3級=報酬比例部分の年金額
・ 受給権者によって生計を維持している65歳未満の配偶者がいるときは、加給年金額が加算される。
■ 従来は3級障害厚生年金と障害手当金にのみ最低保障額の規定が設けられていたが、65歳以上70歳未満の被保険者(厚生年金の被保険者であるが、国民年金の第2号被保険者には該当しない)については、障害基礎年金は支給されず、障害厚生年金のみが支給されることもあり得る。
・ このケースでは、障害認定日に2級以上の障害の状態にあっても、障害基礎年金は支給されない。
■ この場合、1級又は2級には最低保障がないことから、障害の程度が重いにも関わらず年金額が低額となってしまうことになる。
■ そこで、平成16年の法改正によって、1級又は2級の障害厚生年金についても、最低保障額の制度が導入されることとなった。
■ なお、障害厚生年金の最低保障額は、障害基礎年金(2級)の額に4分の3を乗じて得た額であるが、この規定は障害基礎年金を受けることができない場合に限って適用される。
■ 障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日(基準障害による障害厚生年金については基準傷病に係る障害認定日とし、併合認定による障害厚生年金については併合されたそれぞれの障害に係る障害認定日のうちいずれか遅い日とする)の属する月後における被保険者であった期間は、その計算の基礎としない。
■ 平均標準報酬額を計算する場合において、障害認定日の属する月後の被保険者期間に係る標準報酬月額及び標準賞与額はその計算の基礎としない。(厚年法51条)
■ 障害の程度が障害等級1級又は2級の障害厚生年金の受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者があるときは、障害厚生年金の額に加給年金額が加算される。(厚年法50条の2)
■ 大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には老齢基礎年金が支給されないため、配偶者が65歳以上になった後も加給年金額が加算される(昭和60年厚年法附則60条1項)
■ 加給年金額(65歳未満の配偶者) 224700円×改定率
■ 障害厚生年金の配偶者加給年金額には、老齢基礎年金に設けられている配偶者の特別加算の制度はない。
■ 子に係る加給年金額は加算されない。(国民年金の障害基礎年金においては、子の加算額の規定が設けられている点に注意)
■ 配偶者と生計を同じくしている者であって、厚生労働大臣の定める額(年額850万円)以上の収入を有すると認められる者以外のもの及びこれに準ずる者として厚生労働大臣が定める者(厚年令3条の5第4項)
■ 受給権者がその権利を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者を有するに至ったことにより加給年金額を加算することとなったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、障害厚生年金の額が改定される。(厚年法50条の2第3項)
■ 施行日(平成23年4月1日)において現に障害厚生年金の受給権によって生計を維持ししているその者の配偶者(当該障害厚生年金の受給権発生後に有することになった配偶者に限る)がある場合には、施行日の属する月から年金額の改定を行う。また、施行日において現に旧厚生年金保険法による障害年金の受給権者によって生計を維持しているその者の配偶者又は子(当該障害年金の受給権発生後に有することになった配偶者又は子に限る)がある場合には、施行日の属する月から年金額を改定する。
■ 加給年金額は、配偶者が次のいずれかに該当したときは、加算しないものとし、次のいずれかに該当した月の翌月から年金額が改定される。(厚年法附則50条の2第4項)
・ 死亡したとき
・ 受給権者による生計維持の状態がやんだとき
・ 離婚又は婚姻取消をしたとき
・ 65歳に達したとき
■ 加給年金額は、配偶者が自分自治の老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間が240月(中高齢者の特例に該当する者は、その期間)以上ある者に限る)、障害厚生年金、障害基礎年金、平成24年一元化法による改正前に共済組合が支給する年金たる給付、私立学校教職員共済法による年金たる給付その他の年金たる給付のうち、老齢もしくは退職又は障害を支給事由とする給付であって政令で定めるものの支給を受けられる間は、支給停止される。(厚年法54条3項)
■ 実施機関は、障害厚生年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、その程度に応じて障害厚生年金の額を改定することができる。この場合、改定後の額による障害厚生年金の支給は、改定が行われた月の翌月から開始される。
■ 障害厚生年金の受給権者は、実施機関に対し、障害の程度が増進したことによる年金の額の改定を請求することができるが、この請求は、障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、当該障害厚生年金の受給権を取得した日又は実施機関の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができない。
■ ただし、65歳以上の者であって、かつ、障害厚生年金の受給権者(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による障害基礎年金の受給権を有しない者に限る)は、障害の程度が増進したことによる額の改定の請求をすることができない。
■ 障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く)の受給権者に更に障害等級の1級又は2級にみたない程度の軽度の障害(その他の障害)が発生し、そのその他障害の障害認定日後65歳に達する日の前日までの間に、前後の障害を併合した障害の程度が受給中の障害厚生年金の障害の程度より増進したときは、実施機関に対し、その期間内に障害厚生年金の額の改定を請求することができる。(厚年法52条)
■ 障害基礎年金の受給権者で、障害の程度が軽減したことにより支給停止となっていた者が、65歳以後に再び障害の程度が増進して障害等級1・2級に該当した場合は、額の改定請求ができる。
■ 国民年金法側から見ると、65歳以後に障害等級に該当することになるが、事後重症による障害基礎年金は65歳以後に請求することはできない。この規定との整合性を保つため、障害厚生年金においても当該額の改定の請求を行うことができないこととされているものである。
■ 「その他障害」については、次の要件を満たしていることが必要
・ 新たな傷病(本来の障害厚生年金の支給事由となった障害に係る初診日後に初診日があるものに限る)の初診日において、被保険者であったこと
・ 新たな傷病に係る初診日の前日における保険料納付要件を満たしていること
■ 障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く)の受給権者(障害基礎年金の受給権者に限る)に新たに障害基礎年金の受給権が生じた場合には、前後の障害の程度を併合して、障害厚生年金の額が改定される。(厚年法52条の2)
■ 上記は、新たな障害厚生年金の受給権が発生するわけではない。
■ 年金額の改定まとめ
・ 実施機関の職権によるもの
・ 受給権者の請求によるもの
・ 障害基礎年金の併合によるもの
・ その他障害の発生によるもの
・ 額の改定の請求は、原則として実施機関の診査を受けた日又は受給権を取得した日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができない。
・ 障害厚生年金の受給権者(障害基礎年金の受給権者を除く)は、65歳以後は、額の改定を請求することができない。
・ 障害厚生年金の受給権者(障害基礎年金の受給権者に限る)に新たに障害基礎年金の受給権が生じた場合には、前後の障害の程度を併合して、障害厚生年金の額が改定される。
■ 平成6年の厚年法改正により、失権事由が改められ、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく3年をけいかしたとき又は当該障害の状態に該当することなく65歳に達したときのいずれか遅い方の事由に該当したときに失権することとされた。
■ 障害厚生年金の受給権は、次のいずれかに該当したときに消滅する。
・ 死亡したとき
・ 障害等級に該当する程度の障害の状態にない者が、65歳に達したとき(65歳に達した日において、障害等級1級から3級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して、障害等級1級から3級に該当する程度の障害の状態に該当することなく3年を経過していないときを除く)
・ 障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく3年を経過したとき(3年を経過した日において、当該受給権者が65歳未満であるときを除く)
・ 前後の障害を併合認定した障害厚生年金の受給権を取得したとき(従前の障害厚生年金の受給権が消滅する。)(厚年法53条、48条2項)
■ 平成6年の改正で失権の制度が変わったことを受けて、経過措置を規定している。
■ 平成6年11月9日(改正法の施行日)前に障害厚生年金の受給権を有していたことがある者(施行日において当該障害厚生年金の受給権を有する者を除く)が、施行日において障害等級の3級以上に該当する程度の障害の状態にあるとき、又は施行日の翌日から65歳に達する日の前日までの間において、当該障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その者は、施行日(施行日において当該障害等級に該当する程度の障害の状態にない者にあっては、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったとき)から65歳に達する日の前日までの間に、厚年法47条1項の障害厚生年金の支給を請求することができる。
■ この経過措置は、施行日(平成6年11月9日)前に旧厚生年金保険法による障害年金の受給権を有していた者で、その障害年金の受給権が消滅している者についても同様に適用される。この請求が行われた場合には、厚年法47条1項の本来の障害厚生年金が支給される。
■ 平成6年の改正前までに障害等級の3級に該当しなくなり、その状態が3年間継続したときに障害厚生年金の受給権が消滅することになっていた。平成6年の改正により、障害等級の3級に該当しなくなっても65歳まではその障害厚生年金の受給権が消滅しないこととされたため、こうした経過措置が設けられることとなった。
■ 障害厚生年金は、その受給権者が当該傷病について、労働基準法77条の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、6年間、その支給を停止する。
■ 障害厚生年金は、受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときは、その障害の状態に該当しない間、その支給を停止する。ただし、その支給を停止された障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く)の受給権者は更にその他障害が発生し、その他障害の障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間において、前後の障害を併合した障害の程度が障害等級1級又は2級に該当したときは、その支給停止が解除される。(厚年法54条)
■ 当該傷病について労災保険法による障害補償年金が支給されるときは障害厚生年金が全額支給され、障害補償年金について減額調整が行われる。
■ 障害厚生年金の受給権者は、その傷病について労基法77条の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、10日以内に、業務上障害補償の該当の届書を、機構に提出しなければならない。(厚年則49条)
■ 障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く)の受給権者に対し更に障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金を支給する。
■ 併合認定により新たな障害厚生年金の受給権を取得したときは、従前の障害厚生年金の受給権は、消滅する。(厚年法48条)
■ 併合認定が行われるのは、障害の程度が2級以上又は過去に2級以上になったことのある障害厚生年金の受給権者に、更に1級又は2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じた場合に限られる。当初から引き続き3級の障害厚生年金を受給している場合は併合の対象とならない。
■ 国民年金法の施行日以後に支給事由の生じた旧障害厚生年金と施行日前に支給事由の生じた旧障害厚生年金との併合に関しては、次のように扱われる。
・ 昭和36年4月1日以後に支給事由の生じた旧厚生年金保険法による障害年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く)であって障害基礎年金にそうとうするものとして政令で定めるものの受給権者に対して、更に新法による1級又は2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じた場合、併合認定が行われる。この場合、旧厚生年金保険法による障害年金の受給権は消滅せず、旧法による障害年金と新法による1級の障害厚生年金とのいずれかを選択受給することとなる(昭和60年厚年法附則69条1項)
・ 昭和36年4月1日前に支給事由の生じた旧厚生年金保険法による障害年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く)であって、障害基礎年金に相当するものとして政令で定めるものの受給権者に対して、更に障害基礎年金又は障害厚生年金(1級又は2級に限る)を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度に応じて、旧厚生年金保険法による障害年金の額が改定される。(昭和60年厚年法附則69条2項)
■ 期間を定めて支給を停止されている1級又は2級の障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く)の受給権者に対して更に1級又は2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、併合認定の規定により支給する前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金は、従前の障害厚生年金の支給を停止すべきであった期間、その支給を停止するものとし、その間、その者に従前の障害を併合しない障害の程度による障害厚生年金を支給する。
■ 障害厚生年金の受給権者(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く)が更に障害厚生年金の受給権を取得した場合において、新たに取得した障害厚生年金が労働基準法の規定による障害補償を受けることとなったため後の障害厚生年金が6年間支給停止される場合は、その停止すべき期間、その者に対して従前の障害厚生年金を支給する。
■ 障害給付の改定・併合認定・支給停止解除のまとめ
・ 併合認定
・ 条文 48条、昭和60年附則69条1項
・ 65歳前障害等級該当 ×
・ 65歳前に請求 ×
・ 2級障害厚生年金の額の改定
・ 条文 52条1項から3項
・ 65歳前障害等級該当 ×
・ 65歳前に請求×
・ 2級障害厚生年金+その他障害
・ 条文 52条4項
・ 初診日要件/保険料納付要件 必要
・ 65歳前障害等級該当 〇(必要)
・ 65歳前に請求 〇(必要)
・ 2級障害厚生年金+2級障害基礎年金
・ 条文 52条の2第1項
・ 65歳前障害等級該当 ×(不要)
・ 65歳前に請求 ×(不要)
・ 3級障害厚生年金の額の改定
・ 条文 52条7項
・ 65歳前障害等級該当 〇(必要)
・ 65歳前に請求 〇(必要)
・ 支給停止解除
・ 条文 54条2項
・ 初診日要件/保険料納付済要件 〇(必要)
・ 65歳前障害等級該当 〇(必要)
・ 65歳前に請求 ×(不要)
以上
[厚年法] 厚生年金保険法・重要箇所・Chapter5
遺族厚生年金
■ 昭和61年4月からの新年金制度と旧法時代の年金における区分について規定している。
■ 次に掲げる者等が、昭和61年4月1日以後に死亡したときには、その一定の遺族に遺族厚生年金が支給される(昭和60年厚年法附則72条1項)
・ 旧厚生年金保険法による障害等級の1級又は2級の障害の状態にある障害年金の受給権者が死亡したとき
・ 大正15年4月1日以前に生まれた者で旧厚生年金保険法による老齢年金、通算老齢年金の受給資格要件を満たしている者が死亡したとき
・ 被保険者の資格喪失後、昭和61年4月1日前の被保険者期間中に初診日のある傷病により、初診日から5年以内に死亡したとき
・ その他政令で定めるもの(旧船員保険法による障害等級の1級又は2級の障害の状態にある障害年金の受給権者等)が死亡したとき
■ 遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者又は被保険者であった者が、次のいずれかに該当するときは、その者の遺族に支給する。(厚年法58条1項)
・ 被保険者(失踪の宣告をうけた被保険者であった者であって、行方不明となった当時被保険者であった者を含む)が死亡したとき
・ 被保険者の資格を喪失した後、被保険者であった間に初診日のある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき
・ 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したとき
・ 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上ある者に限る)又は保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上ある者が、死亡したとき
25年以上の要件を判断する際、「合算対象期間」を含めてもよい。
・ また、当該、25年以上の要件は、「長期要件に関する特例(25年以上の要件の短縮の特例)」により短縮されることがある。
■ 上記1-3を短期要件の遺族厚生年金、4を長期要件の遺族厚生年金といい、年金額の計算で異なる取扱いがなされる。遺族厚生年金の裁定請求時に短期要件衣該当するか長期要件に該当するがを区別しており、短期要件と長期要件の両方に該当するときは、遺族から別段の申出をした場合を除き、短期要件にのみ該当し、長期要件には該当しないものとみなされる。
■ 保険料の納付要件は、対象者の1,2に該当する者の死亡について、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間がある場合について適用される。3,4の場合には、保険料納付要件は問われない。
■ 死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間がある場合には、当該国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上あることが必要(厚年法58条1項)
■ 厚生年金保険に加入直後に死亡した場合のように、実質的に保険料を納付した期間がなくても、死亡日において被保険者であれば、遺族厚生年金が支給される。
■ 上記の原則の保険料納付要件に該当しない場合でも、令和8年4月1日前に死亡した場合は、特例が適用される。なお、この特例が適用されるのは、当該死亡に係るものが当該死亡日において65歳未満である場合に限られる。(昭和60年厚年法附則64条2項)
■ 死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの直近の1年間(死亡日において国民年金の被保険者でなかった者については、死亡日の属する月の前々月以前における直近の国民年金の被保険者期間に係る月までの1年間)に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がないこと
■ 上記において、「死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間がある」という場合の、国民年金の被保険者期間は、第1号被保険者(20歳以上60歳位未満である自営業、学生等)であった期間、第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者等)であった期間、第3号被保険者(20歳以上60歳未満のである厚生年金保険の被保険者等の被扶養配偶者)であった期間を指す。
■ 死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間がない場合には、保険料納付要件は問われない。例えば、19歳で初めて厚生年金保険の被保険者となった者が、資格取得日から10日目に死亡した場合等である。
■ 遺族厚生年金の長期要件について、「保険料納付済期間+保険料免除期間(+合算対象期間)が25年以上あること」という要件(25年以上の要件)があるが、この25年以上の要件を短縮する特例が設けられている。(昭和60年厚年法附則12条)
■ 老齢厚生年金の受給資格期間は、原則25年(以上)から10年(以上)に短縮されたが、遺族厚生年金の支給要件においては、短縮されていない。
■ 老齢厚生年金の受給権者の死亡によって支給される場合、その受給権者が原則として、25年以上年金制度に加入していたことが要件
■ 短期要件、長期要件の区分と、保険料納付要件が求められるかどうかの区分は異なる。
■ 兄弟姉妹は、遺族厚生年金の遺族とはならない。
■ 被保険者が月の末日に死亡したときは、被保険者の資格喪失日は翌月の1日になるが、遺族厚生年金の受給権は死亡した日に発生するので、当該死亡者の遺族が士族厚生年金を受給できるのは、死亡した日の属する月の翌月から遺族厚生年金が支給される。(昭和40年庁文発6738号)
■ 遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であった者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時(失踪の宣告を受けた被保険者であった者にあっては、行方不明となった当時)その者によって生計を維持したものとする。ただし、妻以外の者にあっては、次に該当した者に限る。(厚年法59条1項)
・ 夫、父母又は祖父母については、55歳以上であること(支給開始は60歳から・60歳に達するまでは支給停止)
・ 子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、又は20歳未満で障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にあり、かつ、婚姻をしていないこと。
■ 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持していた遺族とは、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた者であって、厚生労働大臣の定める金額(年額850万円)以上の収入を将来にわたって得られないと認められるもののことである。(厚年法59条4項・厚年令3条の10)
■ 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、将来に向かって、その子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡当時その者によって生計を維持していた子とみなす。(厚年法59条3項)
■ 配偶者と子を第1順位、父母を第2順位、孫を第3順位、祖父母を第4順位とし、最先順位のものが遺族厚生年金を受ける権利を取得する。先順位の遺族厚生年金の受給権が消滅した場合でも次順位の遺族に転給することはない。(厚年法59条2項)
■ 平成8年4月1日前に死亡した者の夫、父母又は祖父母は、55歳未満であっても障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある場合は、遺族厚生年金を受けることができる遺族に該当するという特例措置が設けられている。(昭和60年厚年法附則72条2項)→該当なし
■ 旧適用法人共済組合員期間を有する退職共済年金の受給権者等が平成19年4月1日前に死亡した場合、その者の夫、父母又は祖父母は、55歳未満であっても障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある場合は、遺族厚生年金を受けることができる遺族に該当するという特例措置が設けられている。(平成8年厚年法附則11条)
■ 遺族厚生年金が支給される遺族には、実父母だけでなく養父母も含まれるが、義父母は含まれない。
■ 妻は年齢要件、障害要件を問われることなく、生計維持要件だけで最先順位の受給権者となる。
■ 労働者災害補償保険法の遺族補償年金と異なり、「転給」がないことから、「受給資格者」という概念は、遺族厚生年金には存在しない。
■ 配偶者には、届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む
■ 配偶者と子は、ともに第1順位の遺族であるが、支給優先順位は配偶者→子である。
■ 遺族厚生年金は、報酬比例の年金となっているが、死亡した者が短期要件に該当するか長期要件に該当するかによって計算方法が異なる。
■ 遺族厚生年金の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする。ただし、遺族厚生年金の受給権者が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金を受けるときは、1に定める額とする。
・ 厚生年金保険法59条1項に規定する遺族(次に掲げる遺族を除く)が遺族厚生年金の受給権を取得したとき
・ 死亡した被保険者又は被保険者であった者の被保険者期間を基礎として厚生年金保険法43条1項の規定の例により計算した額の4分の3に相当する額
・ ただし、厚生年金保険法58条1項1号から3号までのいずれか(いわゆる短期要件)に該当することにより支給される遺族厚生年金については、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300として計算する。
・ 厚生年金保険法59条1項に規定する遺族のうち、老齢厚生年金の受給権を有する配偶者(65歳に達している者に限る)が遺族厚生年金の受給権を取得したとき
・ 上記で定める額又は次のいずれかに掲げる額を合算した額のうちいずれか多い額
・ 上記に定める額に3分の2を乗じて得た額
・ 当該遺族厚生年金の受給権者の老齢厚生年金の額(加給年金額が加算された老齢厚生年金にあっては、これらの規定を適用しない額とする)に2分の1を乗じて得た額
■ 短期要件に該当する場合の年金額の計算
・ 次の合算額
・ 平成15年3月前の被保険者期間分
・ 平均標準報酬月額(再評価率)×7.125/1000×被保険者期間の月数×3/4
・ 平成15年4月以降の被保険者期間分
・ 平均標準報酬月額(再評価率)×5.481/1000×被保険者期間の月数×3/4
■ 長期要件に該当する場合の年金額の計算
・ 次の合算額
・ 平成15年3月までの被保険者期間
・ 平均標準報酬月額(再評価率)×9.5/1000から7.125/1000×被保険者期間の月数×3/4
・ 平成15年4月以降の被保険者期間分
・ 平均標準報酬月額(再評価率)×7.308/1000から5.481/1000×被保険者期間の月数×3/4
■ 短期要件と長期要件のいずれにも該当する場合(例えば、61歳で働きながら(現に被保険者である)、特別支給の老齢厚生年金を受給している者が死亡したような場合)は、原則として短期要件の年金額の計算式で計算される。
■ ただし、遺族が裁定請求時に申し出た場合にのみ、長期要件の年金額の計算式で計算される。
■ 遺族厚生年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る)は、その受給権者が老齢厚生年金の受給権を有するときは、当該老齢厚生年金の額に相当する部分の支給を停止する。(厚年法64条の2)
■ 老齢厚生年金の支給が優先され、遺族厚生年金の額のうち、老齢厚生年金に相当する額の支給が停止される。従って、老齢厚生年金の額の方が遺族厚生年金の額よりも多いときは、老齢厚生年金のみが支給され、遺族厚生年金は全額支給停止となる。
■ 遺族厚生年金の受給権者が配偶者以外の者であっても、その者が65歳以上であれば適用される。
■ 配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者が2人以上であるときは、それぞれの遺族厚生年金の額は、受給権者の1人につき、算定した額を受給権者の数で除して得た額とされている。(厚年法60条2項)
■ 配偶者以外の者が遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者の数に増減が生じたときは、増減を生じた月の翌月から、年金の額を改定する。
■ 上記の規定は、老齢厚生年金の受給権を取得した場合に、額の改定を行うという規定である。
■ 上記の規定は、老齢厚生年金の年金額が在職定時改定又は退職時改定により増額された場合に、額の改定を行うという規定である。
■ 当該厚生年金保険の被保険者又は被保険者であったものの死亡の当時、その配偶者が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子又は20歳未満で障害等級の1級又は2級の障害の状態にある子と生計を同じくしているにもかかわらず、配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得しないときは、遺族厚生年金の額に当該遺族基礎年金に相当する額が加算される。
■ 厚生年金保険の被保険者又は被保険者であった者の死亡につき、その子が遺族基礎年金の受給権を取得しないときは、遺族厚生年金の額に当該遺族基礎年金に相当する額が加算される。(昭和60年厚年法附則7条)
■ 旧年金制度において、遺族年金に最低保障額が設けられていた。新年金制度においては、子のある妻又は子については遺族基礎年金を支給し、また、遺族基礎年金の支給されない一定の妻には、中高齢の加算を行うこととしている。
■ 遺族厚生年金(長期要件(厚生年金保険法58条1項4号)に該当する者であって、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240(中高齢者の特例に該当するときは、その期間)未満であるものを除く)の受給権者である妻であって、その権利を取得した当時次のいずれかに該当する場合には、当該妻が65歳未満であるときは、中高齢の寡婦加算が行われる。(厚年法62条1項)
・ 夫の死亡の当時、40歳以上65歳未満であったこと
・ 40歳に達した当時、夫の死亡の当時その夫により生計を維持し、かつ、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は20歳未満で障害等級の1級又は2級の障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていない子と生計を同じくしていたこと
・ 旧共済組合員期間のうち昭和17年6月から昭和20年8月までの期間に係るものを含む
■ 中高齢の寡婦加算の額は、遺族基礎年金の額(780900円×改定率)に4分の3を乗じて得た額である。
■ 端数処理については、50円未満は切り捨て、50円以上100円未満は100円に切り上げる。
■ 中高齢の寡婦に対する加算
・ 支給要件
・ 夫の死亡の当時、40歳以上65歳未満である妻
・ 40歳に達したときに、夫の死亡の当時から引き続き生計を同じくしている子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子があるか又は20歳未満で1級若しくは2級の障害の状態にある子)がある妻
・ 支給期間
・ その妻が40歳以上65歳未満である間
・ 加算額
・ 遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額
■ 長期要件により支給される遺族厚生年金については、被保険者期間の月数が240(中高齢者の特例に該当する場合は、その期間)以上ある場合に限る。
■ 遺族基礎年金と中高齢の寡婦加算の支給を同時に受けることはできないが、時期が異なれば両者とも支給を受けることは可能である。
■ 中高齢の寡婦加算が加算された妻が、65歳に達した後、遺族厚生年金と自分自身の老齢基礎年金を受給することになる。しかし、新法施行日(昭和61年4月1日)において30歳以上の者(昭和31年4月1日以前生まれ)については、それまでの公的年金の加入期間が短いことも考えられるため、そうした場合には老齢基礎年金の額が中高齢の寡婦加算額に比べて非常に定額になってしまうこととなる。そうした事情を勘案し、65歳以後についても遺族厚生年金に経過的寡婦加算を行うこととしたものである。
■ 中高齢の寡婦加算額が加算された遺族厚生年金の受給権者であって、昭和31年4月1日以前に生まれた者は、65歳に達したときに行われる。
■ なお、昭和31年4月1日以前に生まれた者で、65歳に達した月以後になってかrあ初めて遺族厚生年金の受給権を取得した妻についても、この規定による加算を行い、65歳前から加算を受けている妻との均衡を図ることとされている。(昭和60年厚年法附則73条1項)
■ 中高齢の寡婦加算額−老齢基礎年金の満額×寡婦の生年月日に応じて定める率
■ 妻の受給する遺族厚生年金の流れ
・ 夫死亡(妻40歳未満)及び子が18歳の年度末前
・ 遺族基礎年金+遺族厚生年金
・ 妻40歳以上及び子が18歳の年度末前
・ 遺族基礎年金+遺族厚生年金(中高齢の寡婦加算は支給停止)
・ 妻が40歳以上65歳未満及び子が18歳の年度末後
・ 遺族基礎年金失権
・ 遺族厚生年金+中高齢の寡婦加算
・ 妻が65歳以後
・ 中高齢の寡婦加算失権
・ 老齢基礎年金(自ら)支給開始
・ 老齢厚生年金(自ら)支給開始
・ 遺族厚生年金のうち老齢厚生年金相当額の支給を停止(遺族厚生年金−老齢厚生年金)
・ 中高齢の寡婦加算額−老齢基礎年金×寡婦の生年月日に応じて定める率
■ 平成18年4月以降、遺族厚生年金の受給権者が、障害基礎年金又は旧法の障害年金の受給権を有する場合(全額につき支給を停止されているときを除く)には、その間、経過的寡婦加算相当部分の支給は停止される。
■ 遺族厚生年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するにいたったときは、消滅する。(厚年法63条1項)
・ 死亡したとき
・ 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む)をしたとき
・ 直系血族又は直系姻族以外の者の養子(届けをしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む)となったとき
・ 離縁によって、死亡した被保険者又は被保険者であった者との親族関係が終了したとき
■ 妻が受給権者の失権事由(厚年法63条1項)
・ 遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満である妻が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金を取得しないとき
・ 当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過したとき
・ 遺族厚生年金と当該遺族厚生年金と同一の支給事由による遺族基礎年金の受給権を有する妻が30歳に到達する日前に当該遺族基礎年金の受給権が消滅したとき
・ 当該遺族基礎年金の受給権が消滅した日から起算して5年を経過したとき
■ 平成19年4月1日前に取得した遺族厚生年金の受給権者には、上記の規定は適用しない。
■ 夫の死亡日から5年間以内に、遺族基礎年金の受給権を取得しない場合
■ 夫の死亡日から遺族基礎年金及び遺族厚生年金を受給している妻が、30歳に達する日前に遺族基礎年金を失権した場合、遺族基礎年金の失権日から5年後に遺族厚生年金は執権する。
■ 遺族厚生年金の受給権者が婚姻をしたときは執権するが、その後離婚しても受給権は復活しない。(昭和31年保文発3098号)
■ 遺族厚生年金の受給権者である妻が実家に復籍し、姓名も旧に復した場合も、当該受給権は消滅しない。(昭和32年保文発9485号)
■ 子又は孫の有する遺族厚生年金の受給権は、受給検査が次のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する(厚年法63条2項)
・ 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にあるときを除く)
・ 障害等級の1級又は2有に該当する障害の状態にある子又は孫について、その事情がやんだとき(子又は孫が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある時を除く)
・ 子又は孫が20際に達したとき
■ 父母、孫又は祖父母が有する遺族厚生年金の受給権は、被保険者又は被保険者であった者の死亡当時胎児であった子が出生したときは、消滅する。(厚年法63条3項)
■ 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、父母、孫、祖父母の遺族厚生年金の受給権は消滅するが、妻の受給権は消滅しない。
■ 国民年金法とほぼ同じ構成になっている。
■ 被保険者又は被保険者であったものの死亡について、労働基準法79条の規定による遺族補償の支給が行われるべきものであるときは、遺族厚生年金は、死亡の日から6年間、支給停止される。(厚年法64条)
■ 夫、父母又は祖父母が遺族厚生年金を受けられる遺族となるためには、被保険者又は被保険者であったものが死亡した当時、55歳以上であることが要件であるが、これらの者が遺族厚生年金の受給権者となった場合であっても、60歳に達するまでの間は、当該遺族厚生年金は支給停止される。ただし、夫に対する遺族厚生年金については、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、夫が遺族基礎年金の受給権を有するときは、この限りではない。(厚年法65条の2)
■ 55歳以上60歳未満の夫が遺族厚生年金の受給権者となったときは、60歳に達するまで支給停止されるが、平成26年4月施行の改正で、夫に対し遺族基礎年金が支給されることに伴って、配偶者に遺族基礎年金を支給することを優先させるため、夫が遺族基礎年金の受給権を有する場合には、60歳に達するまでの期間の遺族厚生年金の若年支給停止は行われないことになった。
■ 子に対する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止される。ただし、配偶者に対する遺族厚生年金が支給を停止されている間は、子に対する遺族厚生年金は支給停止されない。(厚年法66条)
・ 夫に対する遺族厚生年金が若年支給停止されているとき
・ 配偶者が遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子にのみ遺族基礎年金が支給されるため、配偶者に対する遺族厚生年金が支給停止されているとき
・ 所在不明により支給停止されているとき
■ 配偶者に対する遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、配偶者が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって、子にのみ遺族基礎年金が支給される場合には、子に対する遺族厚生年金を支給し、配偶者に対する遺族厚生年金は支給停止される。ただし、子に対する遺族厚生年金がその者の所在が1年以上明らかでないことにより支給を停止されている間は、その支給は停止されない。
■ 配偶者又は子に対する遺族厚生年金は、その配偶者又は子が1年以上所在不明のときは、遺族厚生年金の受給権を有する子又は配偶者の申請によって、その所在が明らかでなくなったときにさかのぼって、支給を停止する(厚年法67条1項)
■ 遺族厚生年金の受給権者(配偶者以外の者に限る)が2人以上ある場合において、受給権者のうち1人以上の者の所在が1年以上明らかでないときは、その者に対する遺族厚生年金は、他の受給権者の申請によって、その所在が明らかでなくなったときにさかのぼって、支給を停止する。(厚年法68条1項)
■ 上記によって支給停止された者は、いつでもその支給停止の解除を申請することができる。
■ 支給停止のまとめ
・ 死亡について労働基準法79条の遺族補償が行われるべきときは、死亡日から6年間支給停止
・ 55歳以上60歳未満の夫(遺族基礎年金の受給権を揺するときを除く)、父母、祖父母→60歳に達するまで支給停止
・ 子→配偶者が受給権を有する間支給停止
・ 配偶者→配偶者が遺族基礎年金の受給権がなく子が遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間支給停止
・ 配偶者又は子が1年以上所在不明のとき、子又は配偶者の申請によって所在不明時に遡って支給停止
・ 受給権者(配偶者以外の者に限る)が2人以上であるとき、1人以上の者が1年以上所在不明のとき、他の受給権者の申請んより、所在が明らかでなくなったときに遡って支給停止
■ 厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あり、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年に満たない者で、厚生年金保険の被保険者期間と旧共済組合の組合員期間を合算した期間が20年以上あるものが死亡した場合において、その遺族が遺族厚生年金の受給権を取得しないときは、その遺族に特例遺族年金が支給される。
■ 特例遺族年金の額は、特別支給の老齢厚生年金額の100分の50に相当する額である。(第1号厚生年金被保険者期間に限る)
[厚年法] 厚生年金保険法・重要箇所・Chapter6
独自給付
■ 障害手当金は、厚生年金保険独自の保険給付であり、厚生年金保険の被保険者であった期間中に初診日のある傷病が治ったときに一定の障害の状態にある場合に一時金として支給される。
■ 障害手当金は次の要件を満たすものに支給される。(厚年法55条)
・ 初診日において被保険者であったこと
・ 初診日から起算して5年を経過する日までの間に、その傷病がなおったこと
・ 障害の程度が一定の障害(厚年令別表2に定める障害)の状態にあること
・ 障害等級3級より程度の軽い障害
・ 本来の障害厚生年金と同様の保険料納付要件を満たしていること
■ 障害手当金の額は、障害厚生年金(厚生年金保険法50条1項)の規定の例により計算した額の100分の200に相当する額とする。ただし、その額が障害厚生年金の最低保障額に2を乗じて得た額に満たないときは、当該額とする。(厚年法57条)
■ 障害手当金は、次の式で計算した額である。
・ (老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額の規定の例により計算した額)×200/100
・ 給付乗率は定率であり、生年月日による読み替えは行われない。また、被保険者期間の月数が300未満の場合は、300とする
■ 最低保障額
・ 障害厚生年金 780900円×改定率×3/4
・ 障害手当金 780900円×改定率×3/4×2
■ 障害の程度を定めるべき日において、次のいずれかに該当するものには、障害手当金は支給されない。(厚年法56条)
・ 年金たる保険給付の受給権者(最後に障害等級に該当する程度の障害の状態(障害状態)に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害厚生年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る)を除く)
・ 障害厚生年金支給後3級不該当後3年を経過した場合であっても、障害厚生年金の受給権者であってもこの不該当から3年を経過した後65歳未満の間に別の傷病による障害について障害手当金の支給要件を満たせば障害手当金が支給される。
・ 国民年金法による年金たる保険給付(最後に障害状態に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害基礎年金の受給権者(現に障害状態に該当しないものに限る)その他の政令で定める者を除く)
・ 同一の傷病について、国家公務員災害補償法、地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律若しくは労働基準法77条の規定による障害補償、労働者災害補償保険法の規定による障害(補償)等給付又は船員保険法による障害を支給事由とする給付を受ける権利を有する者
■ 障害手当金は、要件を満たせば複数回受給することができる。
■ 一定の被保険者期間を有する者が老齢年金等の受給資格期間を満たさない場合に支給される久宝寺台の一時金制度であったが、新年金制度においては廃止された
■ 現在は、昭和16年4月1日以前に生まれた者を対象とする経過措置として設けられている。合算対象期間との関係で試験では出題されることが多い。
■ 脱退手当金は、次のすべての要件に該当する者に支給される。
・ 昭和16年4月1日以前に生まれたものであること
・ 厚生年金保険の被保険者期間(第四種被保険者であった期間を含む)が5年以上あること
・ 60歳に達していること
・ 被保険者の資格を喪失していること
・ 厚生年金保険の老齢厚生年金(旧法における老齢年金及び通算老齢年金を含む)や障害厚生年金を受ける資格がないこと
■ 上記の要件に該当している者であっても、次のいずれかに該当する場合は、脱退手当金の支給を受けることはできない。
・ 旧法に障害年金の受給権者であるとき
・ 障害厚生年金(旧法による障害年金を含む)又は障害手当金(旧法による障害手当金を含む)を受けたことがある場合で、すでに支給を受けた障害厚生年金又は障害手当金の額が、脱退手当金の額を計算した場合にこれに等しいか、又はこれを上回るとき(ただし、この額が脱退手当金の額に待たないときは、その差額が脱退手当金として支給される。)
■ 脱退手当金の額は、被保険者であった期間の平均標準報酬月額に一定率を乗じて得た額である。
・ 被保険者であった期間の平均標準報酬月額×一定率
・ 被保険者であった期間の全部又は一部が平成15年4月1日前である者に支給する脱退手当金につき、その額を計算する場合においては、同日前の被保険者期間の各月の標準報酬月額並びに同日以後の被保険者期間の各月の標準報酬月額及び標準賞与額を1.3を除して得た額を合算して絵多額を、被保険者期間の月数で除して得た額とする。
・ 一定率は1.1(60月以上72月未満)から5.4(228月
・ 障害年金又は障害手当金の支給を受けたことがあるときは、すでに支給された障害年金又は障害手当金の額を控除した額の脱退手当金が支給される。
■ 脱退手当金の支給を受けたときは、その額の計算の基礎となった被保険者期間は、被保険者出なかったものとみなされる(昭和60年厚年法附則78条1項)
■ ただし、新法施行時(昭和61年4月1日)の年齢が60歳未満で、同日前にすでに脱退手当金を受けている者が、昭和61年4月以後65歳に達する日の前日までの間に国民年金の保険料納付済期間又は保険料免除期間を有するに至った場合には、昭和36年4月から昭和61年3月までの脱退手当金の計算の基礎となった期間は、老齢基礎年金の受給資格期間を見る場合には、合算対象期間となる。
■ 脱退手当金の受給権は、次のいずれかに該当するときは、消滅する。
・ 再び被保険者となったとき
・ 老齢厚生年金、障害厚生年金、旧厚生年金保険法による通算老齢年金、障害年金の受給権を取得したとき
■ 脱退手当金には、租税その他の公課を課すことができる。
■ 脱退手当金の請求書には、以下の書類を添付しなければならない。
・ 既存絵金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
・ 請求者の生年月日に関する市町村長の証明書又は戸籍抄本
■ 遺族厚生年金の受給権者には、脱退手当金が支給されることがある。
[厚年法] 厚生年金保険法・重要箇所・Chapter7
脱退一時金
■ 平成15年4月から総報酬制が導入されたことに伴い、脱退一時金の計算方法が変k脳された。平成17年4月からは、従来の平均標準報酬額をベースとする計算方法から、保険料率をベースとする計算方法へと変更されている。
■ さらに、令和3年4月1日からは、脱退一時金の支給上限年数が3年36月)から5年60月)に見直された。
■ 当分の間、被保険者期間が6月以上である日本国籍を有しない者(国民年金の被保険者でないものに限る)であって、老齢厚生年金の受給資格期間を満たしていない者その他これに準ずるものとして政令で定めるものは、脱退一時金の支給を請求することができる。
■ 次のいずれかに該当するときは脱退一時金は支給されない。
・ 日本国内に住所を有するとき
・ 障害厚生年金その他政令で定める保険給付の受給権を有したことがあるとき
・ 最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているとき
■ 脱退一時金の額は、被保険者であった期間に応じて、その期間の平均表運報酬額に支給率を乗じて得た額とする。
■ 支給率は、最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月をいう)の属する年の前年10月の保険料率(最終月が1月から8月までの場合にあっては、前々年10月の保険料率)に2分の1を乗じて得た率に、被保険者であった期間に応じて政令で定める数を乗じて得た率とし、その率に小数点以下1位未満の端数があるときは、これを四捨五入する。(厚年法附則29条4項)
■ 被保険者であった期間に応じて政令で定める数(厚年令12条の2)
6月以上12月未満 6
12月以上18月未満 12
18月以上24月未満 18
24月以上30月未満 24
30月以上36月未満 30
36月以上42月未満 36
42月未満48月未満 42
48月以上54月未満 48
54月以上60月未満 54
60月以上 60
■ 例 第1号厚生年金被保険者について最終月が令和3年12月で、被保険者期間であった期間が65月の場合の支給率
・ 183.00/1000×1/2×60=5.49≒5.5(小数点以下1医未満四捨五入)
・ 令和2年度までは、当該数の上限は「36月」であった
■ 脱退一時金の額に用いられる平均標準報酬額には再評価率は乗じない。
■ 保険料率の変動に伴い、脱退一時金の額が自動的員改定される仕組みとなっている。
■ 平成15年4月前後の被保険者期間がある場合の平均標準報酬額の算出
・ 平均標準報酬額=平成15年3月までの被保険者期間分+平成15年4月以後の被保険者期間分=(被保険者だった各月に係る標準報酬月額×1.3の合計)+(被保険者だった各月に係る標準報酬月額+標準報酬額の合計)/全被保険者期間
■ 脱退一時金を受ける権利は、実施機関が裁定する。また、未支給の脱退一時金(請求済みのものに限る)は、未支給の保険給付に準じて扱われる。
・ 死亡した受給権者が生前に脱退一時金支給の請求をしていなかった場合は、遺族は未支給の当該脱退一時金を請求することができない。
■ 厚生労働大臣による脱退一時金に関する処分に不服があるものは、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。(一審制)
■ なお、厚生労働大臣以外の実施機関による脱退一時金に関する処分に不服がある者は、それぞれ、国家公務員共済組合法に規定する国家公務員共済組合審査会、地方公務員等共済組合法に規定する地方公務金共済組合審査会、私立学校教職員共済会に規定する日本私立学校復興・共済事業団の共済審査会に対して審査請求をすることができる。
■ 脱退一時金については課税対象となる。また、脱退一時金を受ける権利は、譲り渡し、担保の供することはできないが、国税滞納処分(その例による処分を含む)により差し押さえることはできる。
■ 脱退一時金の支給を受けたときは、その額の計算の基礎となった被保険者であった期間は、被保険者でなかったものとみなす。
■ 平成17年4月前のみの被保険者期間を有する者の脱退一時金は改正前の従前額とする。
■ 日本国籍を有する者には脱退一時金は支給されない。
■ 脱退一時金の請求期間の2年は除斥期間で、時効中断はない。
■ 脱退一時金の支給要件には、回数による制限はない。
■ 脱退一時金の支給率の算定に用いる保険料率の決定の仕組みは、次のとおりである。
・ 最終月が9月以後→この場合前年の10月の保険料率が用いられる。
・ 最終月が1月から8月の間にある場合→前々年の10月の保険料率が用いられる。
[厚年法] 厚生年金保険法・重要箇所・Chapter8
併給の調整及び保険給付の制限
■ 昭和61年4月1日施行の新年金制度では、支給事由が同一である場合、国民年金から支給される基礎年金と厚生年金保険や共済組合から支給される報酬比例の年金を2階建ての給付の仕組みにより支給することとしている。
■ また、同一人が同日に2つ以上の年金の受給権を取得したときは、受給権者の選択により、1つの年金を支給し、他の年金を支給停止するという「一人一年金」を原則としている。
■ 一人一年金の原則から、国年・厚年ともに、以下の仕組みとなる。
・ 併給 障害及び障害のみ
■ 同一の支給事由によって受けられる国民年金から支給される基礎年金と厚生年金保険から支給される厚生年金は併給が可能である。
■ 支給事由が異なる場合は、原則として併給されない。
■ 例外的に異なる支給事由であっても併給が行われる場合(いずれも65歳以後に限る)は以下のとおりです。
・ 老齢厚生年金
・ 老齢厚生年金+障害基礎年金
・ 遺族厚生年金+老齢厚生年金+障害基礎年金
・ 遺族厚生年金+老齢厚生年金+老齢基礎年金
・ 老齢厚生年金は、障害厚生年金、遺族基礎年金とは併給できない。
・ 上記1,2のように、老齢厚生年金と障害基礎年金が併給される場合に、障害基礎年金の子の加算が行われているときは、老齢厚生年金のうちその子に係る加給年金額に相当する部分の支給が停止される。
・ 上記2,3の場合、老齢厚生年金と遺族厚生年金との間で支給調整が行われる→老齢厚生年金が全額支給され、老齢厚生年金との差額分が遺族厚生年金として支給される。
・ 2の場合、遺族厚生年金のうち経過的寡婦加算額に相当する部分の支給が停止される。
・ 遺族厚生年金
・ 遺族厚生年金+老齢基礎年金
・ 遺族厚生年金+障害基礎年金
・ 遺族厚生年金は、障害厚生年金とは併給できない。
・ 1の場合、付加年金の受給権を有するときは、付加年金も併給される。
・ 2の場合、遺族厚生年金のうち経過的寡婦加算額に相当する部分の支給が停止される。
・ 旧法との併給調整
・ 基本的な組み合わせは、新法での仕組みと同様である。ただし、次のいずれかの組み合わせの場合は、65歳以後に限り特例的に併給される。
・ 旧厚年法の遺族年金+老齢基礎年金
・ 遺族厚生年金+旧国民年金法の老齢年金
・ 遺族厚生年金+旧厚年法の老齢年金の1/2
・ 旧厚生年金保険法による遺族年金は、旧厚生年金保険法の老齢年金の2分の1に相当する年金である。
・ 旧厚生年金保険法による老齢年金は、特別支給の老齢厚生年金と同様の給付がなされる。
・ 老齢厚生年金+旧国民年金法による障害年金
・ 遺族厚生年金+旧国民年金法による障害年金
・ 遺族厚生年金+老齢厚生年金+旧国民年金法による障害年金
・ 6の場合、老齢厚生年金と遺族厚生年金との間で支給調整が行われる。→老齢厚生年金が全額支給され、老齢厚生年金との差額が遺族厚生年金として支給される。
・ 5,6の場合、遺族厚生年金のうち経過的寡婦加算額に相当する部分の支給が停止される。
・ 3と同様の調整は、旧厚年法の補完お老齢関係の年金と厚年法の遺族関係の年金とのあいだでも行われる。旧厚年法による年金たる保険給付のうち老齢年金、通算老齢年金及び特例老齢年金は、その受給権者が遺族厚生年金もしくは特例遺族年金又は遺族共済年金の支給を受けるときは、当該老齢年金、通算老齢年金及び特例老齢年金の額の2分の1に相当する部分を支給(残りの2分の1に相当する部分は支給停止)
■ 年金たる保険給付(厚生年金保険法の他の規定又は他の法令の規定によりその全額につき支給を停止されている年金の保険給付を除く)は、その受給権者の申出により、その全額の支給を停止する。ただし、厚生年金保険法の他の規定又は他の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額の支給を停止する。(厚年法38条の2)
■ 政令で定める法令(主なもの)
・ 労働者災害補償保険法別表1第1号及び第2号(労災保険則が調整される社会保険の年金)
・ 健康保険法施行令38条但書(資格喪失後の継続給付としての障害手当金の支給を受けることができる者が、老齢退職年金給の支給を受けることができる場合における傷病手当金の併給調整)
・ 厚生年金保険法施行令3条の7但書(加給年金額の加算対象となる配偶者が、老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上あるものに限る)、障害厚生年金、国民年金法による障害基礎年金等を受けることができる場合における当該配偶雨者に対する加給年金額)
■ 年金たる保険給付の一部のみの支給停止を申し出ることはできないが、例えば、在職老齢年金の仕組みにより一部が支給停止されているときには、申出により停止されていない部分の支給が停止される。
■ 過去に遡って当該支給停止の申出や申出の撤回をすることはできない。
■ 被保険者又は被保険者であった者が、故意に、障害又はその直接の原因となった事故を生ぜしめたときは、当該障害を支給事由とする障害厚生年金又は障害手当金は、支給しない。(厚年法73条)
■ 自殺による遺族年金の給付制限は行わない。(昭和35年保険発123号)
■ 遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であった者を故意に死亡させた者には、支給しない。被保険者又は被保険者であった者の死亡前に、その者の死亡によって遺族厚生年金の受給権者となるべきものを故意に死亡さあせた者についても、同様とする。
■ 遺族厚生年金の受給権は、受給権者が他の受給権者(同順位者)を故意に死亡させたときは、消滅する。(厚年法76条)
■ 被保険者又は被保険者であった者が、自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった自己を生ぜしめ、もしくはその障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。(厚年法73条の2)
■ 障害厚生年金の受給権者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、職権による改定(厚年法52条1項)を行わず、又はその者の障害の程度が現に該当する等級以下の障害等級に該当するものとして、同項の規定による改定を行うことができる。(厚年法74条)
■ 保険料を徴収する権利が時効によって消滅したときは、当該保険料に係る被保険者であった期間に基づく保険給付は、行わない。ただし、当該被保険者であった期間に係る被保険者の資格の取得について厚年法27条の規定による事業主の届出若しくは厚年法31条1項の規定による確認の請求又は厚年法28条の2第1項(同条第2項及び第3項において準用する場合を含む)の規定による訂正の請求があった後に、保険料を徴収する権利が時効によって消滅したものであるときは、この限りでない。(厚年法75条)
■ 第三種被保険者であった期間については、第一種被保険者としての保険料が徴収されていた場合で、その差額保険料を徴収する権利が時効によって消滅したときは、その期間について、第三種被保険者であった期間としての保険給付は行わない。(昭和60年厚年法附則76条)
■ 受給権者が、正当な理由がなくて、厚年法98条3項(届出等)の規定による届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、保険給付の支払を一時差止めることができる(厚年法78条1項)
・ 第2号厚生年金被保険者期間、第3号厚生年金被保険者期間又は第4号厚生年金被保険者期間に基づく保険給付については、上記の規定は適用しない(厚年法78条2項)
■ 差止事由が消滅したときは、差止め分の支給を遡って受けることができる。
■ 年金たる保険給付は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる。(厚年法77条)
・ 受給権者が、正当な理由がなくて、実施機関の提出命令(厚年法96条1項)の規定による命令に従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に応じなかったとき
・ 障害等級に該当する程度の障害の状態にあることにより、年金たる保険給付の受給権を有し、又は老齢厚生年金の加給年金額(厚年法44条1項)の規定によりその者について加算が行われている子が、正当な理由がなくて、実施機関の診断命令(厚年法97条1項)の規定による命令に従わず、又は同項の規定による診断を拒んだとき
・ 上記に規定する者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の回復を妨げたとき
[厚年法] 厚生年金保険法・重要箇所・Chapter9
給付通則
■ 厚生年金保険からは年金制度の2回部分として基礎年金に上乗せする形で報酬比例の年金が支給される。報酬比例の年金には、老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金がる。
■ 国民年金法との違いである厚生年金保険独自の給付としては、特別支給の老齢厚生年金、部分年金、3級の障害厚生年金、障害手当金、「子のある配偶者又は子」以外の遺族に支給される遺族厚生年金がある。
■ 厚生年金保険から支給される給付の種類は、次の通りとし、政府及び実施機関(政府等)が行う。
・ 老齢
・ 給付 老齢厚生年金
・ 独自 特別支給の老齢厚生年金・部分年金
・ 障害
・ 給付 障害厚生年金(1級、2級)
・ 独自 障害厚生年金(3級)、障害手当金
・ 死亡
・ 給付 遺族厚生年金
・ 独自 遺族厚生年金(「子のある配偶者又は子」以外)
■ その他に、附則で定める給付として、特例老齢年金、特例遺族年金、脱退手当金、脱退一時金が支給される。(厚年法32条)
■ 保険給付を受ける権利は、その権利を有する者(受給権者)の請求に基づいて、実施機関が裁定する。(厚年法33条)
■ 年金や一時金を受ける権利(受給権)の存在の確認請求に対して、その権利が存在するか田舎を確認する行為である。現在の制度では、支給要件を満たせば年金が自動的に支払われるのではなく、年金の支給を受けようとする受給権者自身が裁定請求書を提出し、権利の発生を確認してもらい、初めて年金が支払われる仕組みとなっている。なお、特別支給の老齢厚生年金の受給者が65歳に達したときも、65歳から支給される老齢基礎年金及び老齢厚生年金の裁定請求を行う必要がある。
■ 保険給付を受ける権利を裁定する場合又は保険給付の額を改定する場合において、保険給付の額に50銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは、これを1円に切り上げるものとする。(厚年法35条1項)
■ 加給年金額(法定の額に改定率を乗じて得た額)、障害厚生年金の最低保障額(障害基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額)、中高齢の寡婦加算の額(遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額)などについては、50円未満の端数は切り捨て、50円以上100円未満の端数は100円に切り上げるものとされている。
■ 年金の支給は、年金を支給すべき事由が生じた月の翌月からはじめ、権利が消滅した月で終わるものとする。
■ 年金は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅した月までの間は、支給しない。(厚年法36条1項・2項)
■ 年金は、毎年2月4月6月8月10月及び12月の6期に、それぞれの前月分までを支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであった年金又は権利が消滅した場合若しくは年金の支給を停止した場合におけるその期の年金は、その支給期月でない月であっても、支払うものとする。(厚年法36条3項)
■ 厚生年金保険法36条3項の規定による支払額に1円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てるものとする。
■ 毎年3月から翌年2月までの間において上記の規定により切り捨てた金額の合計k額(1円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てた額)については、これを当該2月の支払期月の年金額に加算するものとする。(厚年法36条の2)
■ 厚年法36条3項の規定による支払額→前述の支払期月(毎年、偶数月の6期)ごとに支払われる金額のこと
■ 端数処理等の整理
・ 保険給付を受ける権利を裁定する場合又は保険給付の額を改定する場合の保険給付の額
・ 50銭未満は切り捨て、50銭以上1円未満は切り上げる
・ 保険給付の額の計算をする過程
・ 50銭未満を切り捨て、50銭以上1円未満は1円に切り上げることができる。
・ 支払期月における支払額
・ 1円未満は切り捨てるものとする。
・ 毎年3月から翌年2月の間に切り捨てた金額の合計額(1円未満の端数は切り捨て額)については、当該2月の支払期月の年金額に加算するものとする。
■ 裁定、改定時でも、法定の額に改定率を乗じて得た額については、50円未満は切り捨て、50円以上100円未満は100円に切り上げるという端数処理をする。次の場合に注意すること
・ 100円単位で算出(50円未満は切り捨て、50円以上100円未満は100円に切り上げ)
・ 法定の額に改定率を乗じて得た額、加給年金額、特別加算の額
・ 障害厚生年金の最低保障額(障害基礎年金(2級)の額×4分の3)
・ 中高齢の寡婦加算の額(遺族基礎年金の額×4分の3)
■ 船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった際現にその船舶に乗っていた被保険者又は被保険者であった者若しくは船舶に乗っていてその船舶の航行中に行方不明となった被保険者若しくは被保険者であった者の生死が3月間分からない場合又はこれらの者の死亡が3月以内に明らかになり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族厚生年金の支給に関する規定の適用については、船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった日又はその者が行方不明となった日に、その者は、死亡したものと推定する。航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となった際現にその航空機に乗っていた被保険者又は被保険者であった者若しくは航空機に乗っていてその航空機の航行中に行方不明となった被保険者又は被保険者であった者の生死が3月間分からない場合又はこれらの者の死亡が3月以内に明らかになり、かつ、その死亡の時期がわからない場合にも、同様とする。(厚年法59条の2)
■ 死亡の推定とは、死亡の時期も推定する。この規定は、遺族厚生年金の支給規定を適用する場合に限られ、受給権者の死亡による未支給の保険給付に関しては適用されない。
■ 保険給付の受給権者が裁定請求をしないまま死亡した場合、また、年金を受給中に死亡し、まだ受け取っていない年金が残っている場合には、その者の一定の遺族は、死亡した受給権者が死亡するまでに受けるべきであった給付を請求することができる。
■ 未支給の保険給付は、死亡した受給権者に支給されていた保険給付の受給権がそのまま相続されるのではない。あくまで未支給となった分について、一時金の形で支給されるものである。
■ 未支給の保険給付は、年金に限らず一時金である障害手当金にも適用される。
■ 未支給の保険給付(脱退一時金を含む)を請求できるのは、受給権者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と「生計を同じくしていた」ものであり、当該遺族は「自己の名」で、請求することができる。
■ 未支給の保険給付を受ける順位は、政令で定める。(厚年法37条1項・2項)
■ 未支給の保険給付を受けるべき者の順位は、死亡した者の配偶者、子(死亡したものが遺族厚生年金の受給権者である夫であった場合における被保険者又は被保険者であったものの子であってその者の死亡によって遺族厚生年金の支給の停止が解除されたものを含む)、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹及びこれら以外の三親等内の親族の順序とする。(厚年令3条の2)
■ 死亡した者が遺族厚生年金の受給権者である妻であったときは、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた被保険者又は被保険者であった者(夫)の子であって、その者の死亡によって遺族厚生年金の支給の停止が解除されたものは、未支給の遺族厚生年金を請求することができる子とみなす。(厚年法37条2項)→妻と養子縁組をしなかった死亡した夫の連れ子でもよい
■ 国民年金法の未支給の規定は、「未支給年金」についての規定である点に注意すること。
■ 同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。(厚年法37条5項)
■ 死亡した受給権者が死亡前にその保険給付を請求していなかったときは、遺族は、「自己の名」でその保険給付を請求することができる。(厚年法37条3項)
■ 乙年金の受給権者が甲年金の受給権を取得したため乙年金の受給権が消滅し、又は同一人に対して乙年金の支給を停止して甲年金を支給すべき場合において、乙年金の受給権が消滅し、又は乙年金の支給を停止すべき事由が生じた月の翌月以後のぶんとして、乙年金の支払が行われたときは、その支払われたお常金は、甲年金の内払とみなす。(厚年法39条1項)
■ 年金の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金が支払われたときは、その支払われた年金は、その後に支払うべき年金の内払とみなすことができる。年金を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた月の翌月以後の分として減額しない額の年金が支払われた場合における当該年金の当該減額すべきであった部分についても、同様とする。(厚年法39条2項)
■ 同一人に対して国民年金法による年金たる給付の支給を停止して年金たる保険給付(厚生労働大臣が支給するものに限る)を支給すべき場合において、年金たる保険給付を支給すべき事由が生じた月の翌月以降の分として国民年金法による年金たる給付の支払が行われたときは、その支払われた国民年金法による年金たる給付は、厚生年金法による年金たる保険給付の内払とみなすことができる。(厚年法39条3項)
■ 国民年金法による年金たる給付との間で内払の調整が行われるのは、厚生年金保険法による年金たる保険給付が、厚生労働大臣が支給するものである場合に限られる。
■ 年金たる保険給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以後の分として当該年金たる保険給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に関する債権(返還金債権)に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき年金たる保険給付があるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該年金たる保険給付の支払金の金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当することができる。(厚年法39条の2)
■ 年金たる保険給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権への充当は、次の各号に掲げる場合に行うことができる。(厚年則89条の2)
・ 年金たる保険給付の受給権者の死亡を支給事由とする遺族厚生年金(当該年金たる保険給付と同一の実施機関が支給するものに限る)の受給権者が、当該年金たる保険給付の受給権者の死亡に伴う当該年金たる保険給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき
・ 遺族厚生年金の受給権者が同一の支給事由に基づく他の遺族厚生年金(同一の実施機関が支給するものに限る)の受給権者の死亡に伴う当該遺族厚生年金の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき
■ 仕組みは国民年金法と同様である。
■ 充当の処理は、国民年金と厚生年金保険との間では行われない。
■ 内払と充当の比較
・ 内払
・ 甲年金の受給権取得のため、受給権が消滅又は支給停止した乙年金が、その翌月以後に支払われたとき → 支払われた乙年金は、甲年金の内払とみなす。
・ 同一制度内及び国民年金との間で可
・ 充当
・ 年金の受給権者が死亡し過誤払があった場合に、返還金債権の債務の弁済をすべき者に支払うべき死亡を支給事由とする年金があるとき → 支払うべき年金の支払金の金額を過誤払による返還金債権の金額に充当することができる。
・ 同一制度内のみ可
■ 政府等は、事故が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
■ 上記の場合において、受給権者が、当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府等は、その価額の限度で、保険給付をしないことができる。(厚年法40条)
■ 政府等とは、政府及び実施機関(厚生労働大臣を除く)をいう。
■ 慰謝料、医療費、葬祭費等は保険給付の調整の対象とはならない。
■ 国民年金法において偽りその他の不正の手段により給付を受けた者には罰金(3年以下の懲役及び100万円以下の罰金)が課せられるが、厚生年金保険法においては偽りその他不正の手段により保険給付を受けたものに対して罰則の規定はない。(厚年法40条の2)
■ 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし、老齢厚生年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む)により差し押さえる場合は、この限りでない。(厚年法41条1項)
■ 老齢厚生年金のほか、特例老齢年金、脱退一時金、脱退手当金を受ける権利についても、国税滞納処分により差し押さえることができる。
■ 租税その他の公課は、保険給付として支給をうけた金銭を標準として、課することができない。ただし、老齢厚生年金については、この限りでない。
■ 老齢厚生年金のほか、特例老齢年金、脱退一時金、脱退手当金についても、雑所得として課税の対象となる。
[厚年法] 厚生年金保険法・重要箇所・Chapter10
離婚時の年金分割
■ 年金分割制度は、年金額を直接分割するのではなく、年金に加入していた期間や報酬額を分割(納付記録の分割)し、結果として夫婦双方に年金を受ける権利を発生させる形をとる。離婚分割が行われると、婚姻期間中の標準報酬の総額の多い方から少ない方へ分割することになる。分割する側のことを「第1号改定者」、分割を受ける側のことを「第2号改定者」と呼ぶ。(一般的には夫が第1号改定者、妻が第2号改定者となることが多いが、逆もある)分割されるのは老齢厚生年金の報酬比例部分のみで、定額部分や基礎年金の部分には分割は及ばない。
■ 概要としては、夫婦が①平成⑲年4月以降に離婚等をした場合に、②分割の割合(按分割合)について当事者の合意若しくは家庭裁判所の決定がある場合、③離婚等の翌日から2年以内に分割の請求(標準報酬の改定請求)ができる。
■ 第1号改定者又は第2号改定者は、離婚等をした場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、実施機関に対し、当該離婚等について対象期間(婚姻期間その他の厚生労働省令で定める期間をいう)に被保険者期間の標準報酬の改定又は決定を請求することができる。ただし、当該離婚等をしたときから2年を経過したときその他の厚生労働省令で定める場合に該当するときは、この限りでない。
・ 当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合(当該改定又は決定後の当事者の次条1項に規定する対象期間標準報酬総額の合計額に対する第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合をいう)について合意しているとき
・ 以下の規定により家庭裁判所が請求すべき按分割合を定めたとき
■ 上記の規定による標準報酬の改定又は決定の請求(標準報酬改定請求)について、上記の当事者の合意のための協議が調わないとき、又は協議することができないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所は、当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができる。
■ 標準報酬改定請求は、当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合について合意している旨が記載された公正証書の貼付その他の厚生労働省令で定める方法によりしなければならない。(厚年法78条の2)
■ 第1号改定者(厚生年金の標準報酬を分割する人)は、被保険者又は被保険者であった者であって、78条の6第1項1号及び2項1号の規定により標準報酬で改定sれたものをいう。
■ 第2号改定者(厚生年金の標準報酬の分割を受ける人、被保険者の(被保険者であったときの)種別はいずれでもよい)は、第1号改定者の配偶者であった者であって、同条1項2号及び2項2号の規定により標準報酬が改定され、又は決定されるものをいう。
■ 離婚等
・ 離婚(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあったものについて、当該事情が解消した場合を除く)
・ 婚姻の取消(詐欺、脅迫による婚姻、再婚禁止期間中の婚姻、不適齢婚姻、近親婚、重婚等の取消)
・ その他厚生労働省令で定める事由(厚年則78条)
■ 婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情(事実婚)にあった当事者について、(主に)夫の被扶養配偶者である第3号被保険者であった(主に)妻が第3号被保険者としての国民年金の資格を喪失し、事実婚が解消したと認められることをいう。ただし、当該当事者が正式な婚姻関係(法律婚)になったことによって事実婚の状態が解消した場合は除かれる。
■ 当事者同士で分割の割合(按分割合)について合意がある場合はその合意に従い、そうでない場合は当事者の一方の申立てにより、①家事審判手続、②家事調停手続、③人事訴訟の手続により按分割合を決定する。(厚年則78条の4第1項)
■ 標準報酬の分割改定の請求は、原則として次に該当した日の翌日から2年以内にしなければならない。(厚年法78条の3)
・ 離婚が成立した日
・ 婚姻が取り消された日
・ 事実婚で、被扶養配偶者であった(主に)妻が第3号被保険者の資格を喪失し、事実婚が解消した日
■ 対象期間(厚年則78条の2)
・ 離婚をした場合は、婚姻が成立した日から離婚が成立した日までの期間
・ 婚姻の取消しをした場合は、婚姻が成立した日から婚姻が取り消された日までの期間である。
・ 事実婚である場合は、当事者の一方が他方の当事者の被扶養配偶者である第3号被保険者出会った期間(事実婚第3号被保険者期間という)が対象期間となる。事実婚の状態が解消しない間に事実婚第3号被保険者期間が複数ある場合は、それらの期間は通算される。
■ 厚年法78条の2第1項但書に規定する厚生労働省令で定める場合(標準報酬改定請求をすることができない場合)は、原則として、次に掲げる日の翌日から起算して2年を経過した場合とする。
・ 離婚が成立した日
・ 婚姻が取り消された日
・ 厚年則78条に定める事由に該当した日(いわゆる事実婚が解消した日)
■ 上記に掲げる日の翌日から起算して2年を経過した日以後に、又は上記に掲げる日の翌日から起算して2年を経過した日前6月以内に、上記のいずれかに該当した場合(上記に掲げる場合に該当した場合あっては、上記に掲げる日の翌日から起算して2年を経過した日前に請求すべき按分割合に関する審判又は調停の申立てがあったときに限る)について、厚年法78条の2第1項但書に規定する厚生労働省令で定める場合は、上記の規定にかかわらず、次のいずれかに該当することとなった日の翌日から起算して6月を経過した場合とする。
・ 請求すべき按分割合を定めた審判が確定したとき
・ 請求すべき按分割合を定めた調停が成立したとき
・ 人事訴訟法の規定による請求すべき按分割合を定めた判決が確定したとき
・ 人事訴訟法の規定による処分の申立てに係る請求すべき按分割合を定めた和解が成立したとき
■ 当事者の一方が死亡した日から起算して1月以内に厚年法78条の2第3項に規定する方法(厚生労働省令で定める方法(請求すべき按分割合について合意している旨が記載された公正証書の謄本など)に限る)により当事者の他方により標準報酬改定請求があったときは、当事者の一方が死亡した日の前日に標準報酬改定請求があったものとみなす。(厚年令3条の12の7)
■ 按分割合とは、第1号改定者と第2号改定者の対象期間標準報酬総額の合計額のうち、分割を受けることによって増額される第2号改定者の分割後の持ち分となる割合を示したものをいう。すなわち、対象期間標準報酬総額の少ない側(第2号改定者)が多い側(第1号改定者)から分割を受ける場合、対象期間において元々自分が持っていた標準報酬総額と相手側の標準報酬総額を分割してもらった分とを合計した額が、対象期間における当事者それぞれの標準報酬総額の合計額のうちどの程度の割合になるか、を示したものになる。
■ 請求すべき按分割合は、当事者それぞれの対象期間標準報酬総額(対象期間に係る被保険者の各月の標準報酬月額)の合計額に対する第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え2分の1以下の範囲(按分割合の範囲)内で定めなければならない。
■ 26条1項の規定(3歳に満たない子を養育する被保険者の特例)により動向に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月であっては、従前標準報酬月額と標準賞与額に当事者を受給権者とみなして対象期間の末日において適用される再評価率を乗じて得た額の総額をいう。(厚年法78条の3)
■ 按分割合の範囲は、以下を満たす範囲とされる。
・ 分割したことによって、分割を受ける側である第2号改定者の標準報酬総額が元の額より減らないようにする。
・ 分割することによって、分割をする側である第1号改定者の標準報酬額が、式で示すと、下記のようになる
・ (第2号改定者の対象期間標準報酬総額)/(第1・2号改定者の対象期間標準報酬の合計額)<按分割合≦50%
・ 対象期間標準報酬総額とは、対象期間各月の標準報酬月額と標準賞与額に当事者を受給権者とみなして対象期間の末日において適用される再評価率を乗じて得た額の総額をいう。ただし、按分割合の範囲及び改定割合を算定する場合は分割後の標準報酬で計算した年金の額が決定した按分割合通りになるように、総報酬制前(平成15年4月前)の期間については、「平成15年4月前の被保険者期間の各月の標準報酬月額の1.3を乗じて得た額」とする。
■ 第1号改定者の対象期間標準報酬総額を7000万円、第2号改定者の対象期間表運報酬総額を3000万円と仮定した場合、按分割合の範囲は、30%を超え50%以下の範囲内となる。もし、離婚の協議若しくは裁判所の決定で按分割合が45%と決定したのであれば、第2号改定さの改定後の対象期間標準報酬総額が45%になるように各月の標準報酬月額と標準報酬額を分割改定していく。その標準報酬月額と標準賞与額を分割していく割合を改定割合という。
■ 当事者又はその一方は、実施機関に対し、主務省令で定めるところにより、標準報酬改定請求を行うために必要な情報であって次に規定するものの提供を請求することができる。
■ ただし、当該請求が標準報酬改定請求後に行われた場合又は78条の2第1項但書に該当する場合その厚生労働省令で定める場合においては、この限りでない。
・ 厚生労働省令で定める場合は、情報の提供を受けた日の翌日から起算して3月を経過していない場合(一定の場合を除く)とする(厚年則78条の7)
■ 上記の情報は、対象期間標準報酬総額、按分割合の範囲、これらの算定の基礎となる期間その他厚生労働省令で定めるものとし、上記の請求があった日において対象期間の末日が到来していないときは、上記の請求があった日を対象期間の末日としてみなして算定したものとする。
■ 実施期間は、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官に対し、その求めに応じて、請求すべき按分割合に関する処分を行うために必要な資料を提供しなければなrな愛。(厚年法78条の5)
■ 改定割合とは、按分割合を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した率とされている。(厚年法78条の6第1項・2項、厚年則78条の9)
・ 改定割合=(按分割合−((第2号改定者の対象期間標準報酬総額)/(第1号改定者の対象期間標準報酬総額))×(1−按分割合))÷(按分割合+変換率×(1−按分割合))
・ 変換率=(第1号改定者の対象期間標準報酬総額(第2号改定者の再評価率で再評価した物))/第1号改定者の対象期間標準報酬総額
■ 変換率とは、生年月日による再評価率の違いにより、当事者間で標準報酬総額がアンバランスになるのを調整するものである。ただし、同じ年度生まれの夫婦のケースや、夫婦二人共に68歳到達前であれば再評価率は同じであるため、変換率は「1」である。
■ 按分割合が決定すると、改定割合が決まるので、当事者の各月の標準報酬月額及び標準賞与額が下記の式に従い分割されていく。
・ 各月の標準報酬月額
・ 第1号改定者の標準報酬月額
・ 改定前の自分の標準報酬月額×(1−改定割合)
・ 第2号改定者の標準報酬月額
・ 改定前の自分の標準報酬月額+改定前の第1号改定者の表運報酬月額×改定割合
・ 標準賞与額
・ 第1号改定者の標準賞与額
・ 改定前の自分の標準賞与額×(1−改定割合)
・ 第2号改定者の標準賞与額
・ 改定前の自分の標準賞与額+改定前の第1号改定者の標準賞与額×改定割合
■ 標準報酬の分割改定請求が行われることによって、第2号改定者が厚生年金の被保険者でなかった期間も被保険者であった期間とみなされる。このみなされた期間を「離婚時みなし被保険者期間」という。分割された標準報酬及びみなし被保険者期間は、改定請求があった日以後に将来に向かって公課が及ぶので、みなし被保険者期間中に初診日の傷病で障害になっても障害厚生年金は支給されない。(厚年法78条の6第3項、78条の7)
■ 離婚時みなし被保険者期間は年金額を計算する場合は、通常の被保険者期間と同様の効果を持つが、以下に示すような法的な制約や特徴も併せ持っている。
・ 加給年金額の支給要件である「240月以上の被保険者期間」には離婚時みなし被保険者期間は算入されない。例えば、厚生年金保険の被保険者期間が10年である第2号改定者が10年分の離婚時みなし被保険者期間を分割された時点で要件に該当する子が板としても、加給年金額は支給されない。(厚年法44条1項の読み替え)
・ 在職老齢年金を計算する上で使用する総報酬月額相当額には、改定後の標準賞与額ではなく、改定前の標準賞与額を使用する。離婚後の在職老齢年金の支給停止額は、本来は離婚後の自身の報酬で計算されるべきであるが、総報酬月額相当額には過去1年間の賞与も含まれている。総報酬月額相当額に賞与の分割まで反映されてしまうと、自分自身の離婚後の賞与が増減したわけでもないのに支給停止額が増減するという不合理が生じる。結果的に妻の支給停止額が増えてしまい、分割前よりも実際ん支給額が減るということもありうるからである。(厚年法46条1項、平成6年厚年法附則21条1項の読み替え)
・ 離婚時みなし被保険者期間を有する者が死亡した場合で、一定の遺族がいる場合は長期要件の遺族厚生年金が支給される。例えば、ずっと第1号被保険者で老齢基礎年金の受給資格を満たしていた第2号改定者が離婚時みなし被保険者期間を有していて死亡した場合は、その期間から計算された遺族厚生年金がその遺族に支給される。(厚年法58条1項の読み替え)
・ 特別支給の老齢厚生年金の支給要件である「1年以上被保険者期間」に離婚時みなし被保険者期間は算入されない。例えば、25年間第1号被保険者であった者に5年間分の離婚時みなし被保険者期間が分割され60歳に達したとしても65歳前からの特別支給の老齢厚生年金は支給されない。ただし、60歳前から1年以上の被保険者期間を有している場合は60歳で、もしくは60歳以降に厚生年金に加入し離婚時みなし被保険者期間以外の被保険者期間が1年以上になった時点で、特別支給の老齢厚生年金の受給権は取得できるので、その場合は65歳未満であっても離婚時みなし被保険者期間分も加算した特別支給の老齢厚生年金を受給できることになる。また、65歳前に厚生年金に加入した期間が1年未満のまま65歳になった場合は、65歳から離婚時みなし被保険者期間分も加味した老齢厚生年金は受給することができる。(厚年法附則8条2号の読み替え)
・ 特別支給の老齢厚生年金の定額部分を計算する際の被保険者期間の月数に離婚時みなし被保険者期間は算入しない。例えば、厚生年金の加入期間が25年の第2号改定者の10年分の離婚時みなし被保険者期間が分割された場合、報酬比例部分は35年分で計算するが、定額部分は25年分で計算する。(厚年法附則9条の2第2項1号の読み替え)
・ 特別支給の老齢厚生年金の長期加入者の特例の要件である「44年以上の加入」には離婚時みなし被保険者期間は算入されない。例えば、35年間の被保険者期間を持つ第2号改定者に10年分の離婚時みなし被保険者期間が分割され、被保険者の資格を喪失しているとしても長期加入者の特例の適用を受けることはできない。(厚年法附則9条の3第1項の読み替え)
・ 昭和36年4月から昭和61年3月までの厚生年金の被保険者期間は国民年金法上は「保険料納付済期間とみなす」とされるが、このみなされた期間に離婚時みなし被保険者期間は算入されない。上記からわかることは、離婚時みなし被保険者期間は「年金額の計算の基礎」とはなるが、「保険料納付済期間」と同じものではなく、老齢基礎年金の受給資格の判断時には参入されないということである。例えば、第2号改定者がずっと第1号被保険者でありながら保険料を滞納していても、離婚により離婚時みなし被保険者期間を10年分分割を受けたとしても、老齢基礎年金及び老齢厚生年金の受給権は発生しないのである。(昭和60年厚年法附則8条2項1号の読み替え)
・ 振替加算が加算された老齢基礎年金の受給権者が、老齢厚生年金(その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が原則として240以上ある者に限る)を受給できるときは、振替加算は行われないが、この「240月以上の被保険者期間」に離婚時みなし被保険者期間は算入されるため、振替加算が、離婚時みなし被保険者期間を含めて240月以上となったときは、振替加算は行われなくなる。(昭和60年国年法附則14条1項1号の読み替え)
・ 旧令共済組合の期間を有する者の特例(特例老齢年金、特例遺族年金)、脱退一時金の被保険者期間にも離婚時みなし被保険者期間は算入されない。(厚年法附則28条の2、28条の3、28条の4、29条1項ほかの読み替え)
■ 実施機関は、厚生年金保険原簿に前条3項の規定により被保険者期間であったものとみなされた期間(離婚時みなし被保険者期間)を有する者の氏名、離婚時みなし被保険者期間、離婚時みなし被保険者期間に係る標準報酬その他主務省令で定める時効を記録しなければならない。(厚年法78条の7)
■ 老齢厚生年金の受給権者について、厚生年金法78条の6第1項及び2項の規定により標準報酬の改定又は決定が行われたときは、厚生年金保険法43条1項の規定にかかわらず、対象期間に係る被保険者期間の最後の月以前における被保険者期間(対象期間の末日後に当該老齢厚生年金を支給すべき事由が生じた場合その他ん政令で定める場合にあっては、政令で定める期間)及び改定又は決定後の標準報酬を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、当該標準報酬改定請求のあった日の属する月の翌月から年金の額を改定する。(厚年法78条の10)
■ 原則として、標準報酬の改定請求をした月の翌月から年金額が改定される。(厚年法78条の10第1項)
・ 夫婦ともに老齢構成根金の受給権者の場合は、ともに請求月の翌月から年金額が改定される。
・ 第1号改定者が老齢厚生年金の受給権者、第2号改定者が老齢厚生年金の受給権者でない場合は、請求月の翌月から第1号改定者の年金額は減額され、第2号改定者は受給権を取得した月から増額された年金を受給する。
・ 第1号改定者が老齢厚生年金の受給権者でなく、第2号改定者が老齢厚生年金の受給権者であると場合は、第1号改定者は自分自身が老齢厚生年金の受給権を取得した時点で減額された年金を受給し、第2号改定者は請求月の翌月から増額された年金を受給する。
■ 原則として、標準報酬改定請求があった翌日から年金額が改定される。ただし、300月みなしの障害厚生年金の場合は、離婚時みなし被保険者期間は以下のような理由で年金額の計算の基礎とされない。(厚年法78条の10第2項)
■ 妻が国民年金の第2号被保険者でなかった期間については、妻に夫んお保険料納付記録が分割され、その期間は離婚時みなし被保険者期間となる。例えば、夫の標準報酬月額が25万円で、妻が20万円、按分割合が0.5とすると障害厚生年金の受給権が発生した時点での標準報酬(月)額が、20万円から17.5万円((12.5万円×10年+22.5×10年)÷20年)に下がり、結果として障害厚生年金の受給額が下がってしまうことになる。その不合理を解消するため、300月のみなしの障害厚生年金の受給権者は離婚時みなし被保険者期間は計算の基礎とされないのである。この場合は、妻が第2号被保険者であった期間に対応した標準報酬の改定が行われ、300月みなしの障害厚生年金の額が改定されることになる。
■ 実施機関は、厚年法78条の6第1項及び2項の規定により標準報酬の改定又は決定を行ったときは、その旨を当事者に通知しなければならない。(離婚時分割、3号分割による標準報酬の改定・決定については、事業主には通知しない(厚年法29条))(厚年法78条の8)
■ 厚年法78条の2から前条までに定めるもののほか、標準報酬改定請求及び標準報酬の改定及び決定の手続に関し必要な事項は、主務省令で定める。(厚年法78条の9)
■ 特定被保険者が死亡した日から起算して1月以内に被扶養配偶者(当該死亡目に当該特定被保険者と3号分割標準報酬改定請求の事由である離婚又は婚姻の取消し等をした被扶養配偶者に限る)から3号分割標準報酬改定請求があったときは、当該特定被保険者が死亡した日の前日に第3号分割標準報酬改定請求があったものとみなす。(厚年則3条の12の14)
■ 被扶養配偶者に対する年金たる被検給付に関しては、第3章(保険給付)に定めるもののほか、被扶養配偶者を有する被保険者が負担した保険料について、当該被扶養配偶者が共同して負担したものであるという基本的認識の下に、この章の定めるところによる。(厚年法78条の13)
■ 被保険者(被保険者であった者を含む。「特定被保険者」)が被保険者であった期間中に被扶養配偶者を有する場合において、当該特定被保険者の被扶養配偶者は、当該特定被保険者と離婚又は婚姻の取消をしたときその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定めるときは、実施機関に対し、特定期間に係る被保険者期間(次の規定により既に標準報酬が改定され、及び決定された被保険者期間を除く)の標準報酬(特定保険者及び被扶養配偶者の要順報酬)の改定お世b決定を請求することができる。ただし、当該請求をした日において当該特定被保険者が障害厚生年金(当該特定期間の全部又は一部をその額の計算の基礎とするものに限る)の受給権者であるときその他厚生労働省令で定めるときは、この限りでない。
■ 実施機関は、上記の請求があった場合において、特定期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当該特定被保険者及び被扶養配偶者の標準報酬月額を当該特定被保険者の標準報酬月額(3歳に満たない子を養育する被保険者等の標準報酬月額の特例により従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とされた月にあっては、従前標準報酬月額)に2分の1を乗じて得た額にそれぞれ改定し、及び決定することができる。
■ 実施機関は、上記の請求があった場合において、当該特定被保険者が標準賞与額を有する特定期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当該特定被保険者及び被扶養配偶者の標準賞与額を当該特定被保険者の標準賞与額に2分の1を乗じて得た額にそれぞれ改定し、及び決定することができる。
■ 上記の場合において、特定期間に係る被保険者期間については、被扶養配偶者の被保険者期間であったものとみなす(被扶養配偶者みなし被保険者期間)
■ 上記の規定により改定され、及び決定された標準報酬は、上記の請求のあった日から将来に向かってのみその効力を有する。(厚年法78条の14)
■ 被扶養配偶者とは、特定被保険者の配偶者として国民年金法に規定する第3号被保険者であった期間をいう。
■ 特定期間とは、特定被保険者が被保険者であった期間であり、かつ、その被扶養配偶者が当該特定被保険者の配偶者として国民年金法に規定する第3号被保険者であった期間をいう。
■ 「特定被保険者及び被扶養配偶者についての標準報酬の特例」の適用については、平成20年4月1日前の期間については、特例期間に算入しない。(平成16年厚年法附則49条)
・ 20歳未満及び60歳以後の期間は、第3号被保険者とならないため、3号分割の対象にならない。
■ 特定期間に係る被保険者期間については、厚生労働省令で定めるところにより、特定期間の初日の属する月はこれに算入し、特定期間の末日の属する月はこれに算入しない。ただし、特定期間の初日と末日が同一の月に属するときは、その月は、特定期間に係る被保険者期間に算入しない。(厚年令3条の12の12)
■ 離婚又は婚姻の取消しに準ずるものとして高齢労働省令で定めるとき(厚年則78条の14)
・ 婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった特定被保険者及び被扶養配偶者について、当該被扶養配偶者が国民年金の第3号被保険者の資格を喪失し、当該事情が解消したと認められる場合(当該特定被保険者及び被扶養配偶者が婚姻の届出をしたことにより当該事情が解消した場合を除く)
・ 3号分割標準報酬改定請求のあった日に、次に掲げる場合に該当し、かつ、特定被保険者の被扶養配偶者が国民年金の第3号被保険者の資格を喪失している場合
・ 特定被保険者が行方不明となって3年が経過している認められる場合(離婚の届出をしていない場合に限る)
・ 離婚の届出をしていないが、事実上離婚したと同様の事情にあると認められる場合であって、かつ、特定被保険者及び被扶養配偶者がともに当該事情にあると認めている場合
■ 請求できないときとして厚生労働省令で定めるとき(厚年則78条の17)
・ 3号分割標準報酬改定請求のあった日に特定被保険者が障害厚生年金の受給権者であって、特定期間の全部又は一部がその額の計算の基礎となっているっ場合(当該3号分割標準報酬改定請求において厚年令3条の12の11の規定により当該障害厚生年金の額の計算の基礎となった特定期間に係る被保険者期間が除かれている場合を除く)
・ 次に掲げる日の翌日から起算して2年を経過したとき
・ 離婚が成立した日
・ 婚姻が取り消された日
・ 上記の事実上婚姻関係の事情が解消した日
・ 上記に掲げる日の翌日から起算して2年を経過した日以後に、又は王騎に掲げる日の翌日から起算して2年を経過した日前6月以内に、厚年則78条の3第2項各号のいずれかに該当した場合(同項1号又は2号に掲げる場合に該当した場合にあっては、上記に掲げる日の翌日から起算して2年を経過した日前に請求すべき按分割合に関する審判又は調停の申出があったときに限る)について、請求できないとして厚生労働省令で定めるときは、上記の規定にかかわらず、厚年則78条の3第2項各号のいずれかに該当することとなった日の翌日から起算して6月を経過した場合とする。
・ 厚年則78条の3第2項各号
・ (1号)請求すべき按分割合を定めた審判が確定したとき
・ (2号)請求すべき按分割合を定めた調停が成立したとき
・ (3号)人事訴訟法の規定による請求すべき按分割合を定めた判決が確定したとき
・ (4号)人事訴訟法の規定による処分の申立てに係る請求すべき按分割合を定めた和解が成立したとき
・ 後述の離婚時分割(合意分割)を行う場合の特例(厚年法78条の20)が適用されるケースもあるので、離婚時分割(合意分割)の場合と同様に上記のような規定も設けられている。
■ 3号分割は、被扶養配偶者の請求だけで分割が行われ、分割の割合について他方の合意(家庭裁判所の決定)は不要
■ 離婚等が成立し、3号分割標準報酬改定請求をする前に特定被保険者又は被扶養配偶者が死亡した場合、原則として、その後、3号分割標準報酬改定請求は認められないが、死亡した日から起算して1月以内に3号分割標準報酬改定請求があったときは、当該特定日保険さが死亡した日の前日に3号分割標準報酬改定請求があったものとみなすこととしている。(厚年令3条の12の14)
■ 3号分割標準報酬改定請求をする者(請求者)は、所定の事項を記載した請求書に、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を聴感することができる書類等を添えて、機構に提出しなければならない。(厚年則78条の19)
■ 3号分割による標準報酬の改定及び決定が行われた後に、被扶養配偶者について国民年金法附則に規定する届出(遡って第3号被保険者となるための届出)が行われた場合については、当該届出が行われた日に3号分割標準報酬改定請求があったものとみなすこととしている(厚年令3条の12の13)
■ 実施機関は、厚生年金保険原簿に被扶養配偶者みなし被保険者期間を有する者の氏名、被扶養配偶者みなし被保険者期間、被扶養配偶者みなし被保険者期間に係る標準報酬その他主務省令で定める事項を記録しなければならない。(厚年法78条の15)
■ 実施機関は、「特定被保険者及び被扶養配偶者についての標準報酬の特例」の規定により標準報酬の改定及び決定を行ったときは、その旨を特定被保険者及び被扶養配偶者に通知しなければならない。
■ 「離婚時分割による標準報酬の改定又は決定」と同様に、事業主には通知しない(厚年法29条)
■ 特定被保険者及び被扶養配偶者について標準報酬の特例(いわゆる3号分割)のイメージは以下の通り。
■ 施行日(平成20年4月1日)以後、特定被保険者の標準報酬月額に2分の1を乗じて得た額を、被扶養配偶者に分割する。
■ 婚姻期間に対象期間と特定期間(平成20年4月1日から国年法の第3号被保険者期間中)がある場合のに合意分割の請求が行われた場合、特定期間内については、同時に3号分割の請求があったものとみなして、まず3号分割を行い、更に改定・決定後の当事者双方の対象期間標準報酬総額について合意分割を行う。(厚年法78条の20第1項)
■ 平成20年4月1日以降の特定期間に加え、合意分割の対象となる国民年金の第2号被保険者期間を有する被扶養配偶者が、合意分割の請求を行うときは、請求があった時点で、あわせて3号分割の請求があったものとみなされる。
■ この場合、3号分割の請求があったものとみなされた特定期間に係る被保険者期間については、標準報酬を2分の1に分割し、特定被保険者と被扶養配偶者それぞれの標準報酬に反映した上で、合意分割が行われる。ただし、特定被保険者が特定期間を額の計算の基礎とする障害厚生年金の受給権者である場合には、当該期間は3号分割の対象外となる。
■ なお、平成20年4月1日以降の特定期間のみを有する被扶養配偶者が離婚等をした場合は3号分割のみを行うことができる(3号分割に加えて合意分割することはできない)
■ 老齢厚生年金の受給権者について、「特定被保険者及び被扶養配偶者についての標準報酬の特例」の規定により標準報酬の改定又は決定が行われたときは、厚生年金保険法43条1項及び2項の規定にかかわらず、特定期間に係る被保険者期間の最後の月以前における被保険者期間(対象期間の末日後に当該老齢厚生年金を支給すべき事由が生じた場合その他の政令で定める場合にあっては、政令で定める期間)及び改定又は決定後の標準報酬を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、当該「特定被保険者及び被扶養配偶者についての標準報酬の特例」の請求のあった日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。(厚年法78条の18、厚年法附則17条の11)
■ 「被不要配偶者みなし被保険者期間」については、次の場合の被保険者期間には含まれない(厚年法78条の19)
・ 60歳台前半の老齢厚生年金の支給要件となる被保険者期間(1年以上)
・ 60歳台前半の老齢厚生年金の定額部分の計算の基礎となる被保険者期間
・ 加給年金額の加算要件となる被保険者期間(240月
・ 長期加入者の特例の要件となる被保険者期間(44年
・ 脱退一時金の支給要件となる被保険者期間
・ 老齢基礎年金の受給資格期間
■ 「特定被保険者及び被扶養配偶者についての標準報酬の特例」の規定により標準報酬が改定され、又は決定された者について総報酬月額相当額を計算する場合の標準賞与額については、改定前の標準賞与額で計算することとし、「特定被保険者及び被扶養配偶者についての標準報酬の特例」の規定により決定された標準報酬額は含めない。(厚年法78条の19、平成16年厚年法附則50条)
■ 離婚時みなし被保険者期間及び被扶養配偶者みなし被保険者期間の取扱いのまとめ
・ 算入されない
・ 老齢厚生年金の加入年金額の加算の要件(240月以上の要件をみる場合)
・ 特別支給の老齢厚生年金の支給要件(1年以上の要件をみる場合)
・ 特別支給の老齢厚生年金の定額部分の計算
・ 長期加入者の特例の要件(44年以上の要件をみる場合)
・ 国民年金の保険料納付済期間
・ 老齢基礎年金の受給資格期間
・ 特例老齢献金、特例遺族年金の支給要件(1年以上の要件をみる場合)
・ 脱退一時金の支給要件(6月以上の要件をみる場合)
・ 算入される
・ 平均標準報酬額の算定
報酬比例部分の計算
・ 遺族厚生年金の支給要件(長期要件の遺族厚生年金)
・ 算入される(不算入とする規定がない)
・ 振替加算を行うか否かの判断(振替加算が加算される老齢基礎年金の受給権者が老齢厚生年金を受給できる場合に、その額の計算の基礎となる期間が240月以上あるか否かをみる場合)
■ いわゆる離婚時分割と3号分割を比較・整理しておきましょう
■ いわゆる離婚時分割
・ 施行日 平成19年4月1日
・ 当事者 第1号改定者(主に夫) 第2号改定者(主に妻)
・ 分割請求者 第1号改定者又は第2号改定者
・ 分割により厚生年金保険の被保険者とみなされた期間 離婚時みなし被保険者期間
・ 分割対象期間 対象期間(婚姻期間)平成19年4月1日前の期間も含む
・ 合意 必要(分割・按分割合に関する合意又は家庭裁判所の決定→公正証書等の作成)
・ 按分割合 1/2が上限(按分割合の下限は、夫婦の標準報酬総額合計額に対する分割前の第2号改定者の標準報酬総額の割合を超えること)
・ 改定割合 按分割合により計算される
・ 請求期限 離婚後2年以内
・ 第1号改定者又は特定改定者が障害厚生年金受給権者である場合の取扱い 規定なし
■ いわゆる3号分割
・ 施行日 平成20年4月1日
・ 当事者 特定被保険者(主に夫/厚生年金保険の被保険者) 被扶養配偶者(主に妻/国民年金の第3号被保険者)
・ 分割請求者 被扶養配偶者
・ 分割により厚生年金保険の被保険者とみなされた期間 被扶養配偶者みなし被保険者期間
・ 分割対象期間 特定期間(婚姻期間のうち、主に妻が第3号被保険者であった期間で、平成20年4月1日以後の期間)
・ 合意 不要
・ 按分割合 1/2
・ 改定割合 一律1/2
・ 請求期限 離婚後2年以内
・ 第1号改定者又は特定被保険者が障害厚生年金受給権者である場合の取扱い 不可(特定期間の全部又は一部が、特定被保険者の障害厚生年金の額の計算の基礎となっているときは、分割の請求はできない)
[厚年法] 厚生年金保険法・重要箇所・Chapter11
2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の特例
■ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の特例
■ 保険給付の通則関係
■ 年金たる保険給付の併給の調整の特例(厚年法78条の22)
・ 「老齢厚生年金」と「それと同一の支給事由に基づいて支給される他の期間に基づく老齢厚生年金」は併給可能
・ 「遺族厚生年金」と「それと同一の支給事由に基づいて支給される他の期間に基づく遺族厚生年金」は併給可能
・ 障害厚生年金については、特例がなく、他の期間に基づく障害厚生年金と併給不可
■ 申出が要る支給停止の特例
・ 一の期間に基づく年金と同一の支給事由に基づく他の期間に基づく年金についての支給停止(撤回)の申出は、同時に行う必要がある。(厚年法78条の23)
■ 年金の支払の調整の特例
・ 年金の受給権の消滅・支給停止に伴って行われる厚生年金保険の年金間の内払調整は、一の期間に基づく年金同士で行われる。(異なる種別に基づく年金とは行われない。)(厚年法78条の24)
■ 損害賠償請求権の特例
・ 当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府等は、その価額をそれぞれの保険給付の価額に応じて按分した価額の限度で、保険給付をしないことができる。(厚年法78条の25)
■ 老齢厚生年金の受給権者及び年金額の特例(厚年法78条の26)
・ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金については、各号の厚生年金被保険者期間ごとに受給権の有無を判断する
・ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金については、各号の厚生年金被保険者期間ごとに区分して計算する。
・ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金の退職時改定について被保険者資格の喪失をみる場合、被保険者の種別ごとに資格の喪失の時期を見ることになる。
■ 老齢厚生年金に係る加給加算額の特例
・ 加給加算額の加算の要件(被保険者期間の月数が240以上)をみる場合、その者の2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして判断する。
・ そして、各号の厚生年金被保険者期間のうち一の期間に係る被保険者期間を計算の基礎とする老齢厚生年金の額に加算する
・ どの老齢厚生年金に加給加算額を加算するか(厚年令3条の13ほか)
・ 最も早い日において受給権を取得した老齢厚生年金に加算する
・ 上記の老齢厚生年金が2以上ある場合、各号の厚生年金被保険者期間のうち最も長い一の期間に基づく老齢厚生年金(最も加入期間が長い年金)に加算する
・ 上記の老齢厚生年金が2以上ある場合、第1号厚生年金被保険者期間、第2号厚生年金被保険者期間、第3号厚生年金被保険者期間、第4号厚生年金被保険者期間に基づく年金の優先順位で加算する。
・ 例
・ 第3号厚生年金被保険者期間13年、第1号厚生年金被保険者期間11年
・ 第1号分と第3号分を同時に取得
・ 厚生年金被保険者の被保険者期間は、13年11年24年288月240月
・ 加入期間が長い第3号老齢厚生年金に配偶者加給加算額が加算される
■ 配偶者加給年金額の加算対象となっている配偶者が年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上の老齢厚生年金を受給できる場合は、加給年金額の部分が支給停止されるが、この規定における240以上という要件についても、2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間を合算して判断する。
■ 老齢厚生年金の支給の繰下げの特例(厚年法78条の28)
・ 一の期間に基づく老齢厚生年金についての支給繰下げの申出は、他の期間に基づく老齢厚生年金についての当該申出と同時に行わなければならない。
・ 国民年金の老齢厚生年金の支給繰下げの申出は、同時に行う必要はない。
・ 至急繰下げの申出が制限される「他の年金たる給付」からは、「当該老齢厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される老齢厚生年金」は除かれる。
■ 老齢厚生年金の支給停止の特例(厚年法78条の29)
・ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者について、在職老齢年金の支給調整を適用する場合には、第1号から第4号までの各号の厚生年金被保険者期間のうちいずれか1つの厚生年金被保険者期間を計算の基礎とする老齢厚生年金の受給権者が被保険者である日が属する月において適用されることとなる。
・ この場合、第1号から第4号までの各号の厚生年金被保険者期間のうちいずれか1つの厚生年金被保険者期間を計算の基礎とする老齢厚生年金の額を合算して得た額を12で除して得た額を基本月額(合算基本月額)とし、総報酬月額相当額と「合算基本月額」との合計額を支給停止調整額(51万円)と比較して、支給停止基準額を計算する。
・ なお、1つの厚生年金被保険者期間を計算の基礎とする老齢厚生年金の支給停止基準額は次のようになる。
・ 支給停止基準額(年額)=(総報酬月額相当額+「合算基本月額」-支給停止調整額(51万円))×1/2×(「1期間基本月額÷「合算基本月額」」×12
・ 1期間基本月額とは、第1号から第4号までの各号の厚生年金被保険者期間のいずれか1つの厚生年金被保険者期間を計算の基礎とする老齢厚生年金の額を12で除して得た額
・ この支給停止基準額が、第1号から第4号までの各号の厚生年金被保険者期間の1つの厚生年金被保険者期間を計算の基礎とする老齢厚生年金の額以上であるときは、その厚生年金被保険者期間を計算の基礎とする老齢厚生年金の全部の支給が停止される。
・ 例
・ 第1号老齢厚生年金(年金額) 60万円
・ 60万円÷12=50000円(第1号老齢厚生年金の基本月額)
・ 第4号老齢厚生年金(年金額) 36万円
・ 36万円÷12=30000円(第4号老齢厚生年金の基本月額)
・ 総報酬月額相当額 40万円
・ 「合算基本月額」 5万円+3万円=8万円
・ 支給停止(月額) (40万円+8万円-47万円)×1/2=5000円
・ (40万円+8万円-51万円)×1/2=-15000円(停止なし)
・ 第1号老齢厚生年金の支給停止月額 5000×50000/80000=3125円
・ 第4号老齢厚生年金の支給停止月額 5000×30000/80000=1875円
■ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る特例による老齢厚生年金の特例(厚年法附則20条)
・ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者については、厚年法附則8条(附則8条の2において読み替えて適用する場合を含む)の規定を適用する場合においては、各号の厚生年金被保険者期間に係る被保険者期間ごとに適用する。
・ ただし、同法附則8条の2の規定(「1年以上の厚生年金保険の被保険者期間を有すること」)については、その者の2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして適用する。
・ 上記に規定するものであって、厚年法附則8条の規定による老齢厚生根人の受給権者であるものについては、各号の厚生年金被保険者期間ごとに厚年法附則9条の2から9条の4まで及び11条から11条の6までの規定(60歳台前半の老齢厚生年金の障害者の特例、長期加入者の特例、坑内員・船員の特例、60歳台前半の在職老齢年金などの規定)を適用する。
・ 長期加入者の特例の厚生年金保険の被保険者期間の要件(44年以上)をみる際、各号の厚生年金被保険者期間は合算しない。
・ 60歳台前半の在職老齢年金の特例の内容は、おおむね、60歳代後半の在職老齢年金と同様である。いわゆる合算基本月額と総報酬月額相当額の組み合わせに応じて、要件と当てはまる計算式を判断する。→1月あたりの支給停止の月額に「1期間基本月額÷合算基本月額」を乗じて種別ごとに支給停止額を算出
■ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金の支給の繰下げの特例(厚年法附則18条、21条)
・ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者について、厚年法附則7条の3第1項又は厚年法附則13条の4第1項の規定(老齢厚生年金の支給繰上げ又はいわゆる経過的な老齢厚生年金の支給繰上げの規定)を適用する場合においては、当該2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間のうち一の期間に基づく老齢厚生年金についての同行の請求は、他の期間に基づく老齢厚生年金についての当該請求と同時に行わなければならない
■ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金の基本手当等との調整の特例(厚年法附則19条)
・ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者については、各号の厚生年金被保険者期間ごとに基本手当との調整及び高年齢雇用継続給付との調整の規定を適用する。
■ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る加給年金額に関する経過措置の特例(厚年法22条)
・ 本来の老齢厚生年金の加給年金額と同様の特例が設けられている
■ 受給資格期間の要件の判定等(平成27年年管管発0930第13号)
・ 原則として、平成24年一元化法施行後の老齢給付の資格期間等の判定において、2以上の種別の厚生年金期間が合算されるもの、合算されないものについては、主に次の通りであるので留意の上、事務を行うこと
・ 期間が合算されるもの
・ 特別支給の老齢厚生年金の資格要件(12月)、加算・停止等の期間要件(240月)(加給年金額、振替加算)
・ 期間が合算されないもの
・ 長期加入の特例(44年)、定額部分の月数計算(480月)、経過的加算の月数計算(480月)、中高齢者の特例(40歳以上15年)、船員の支給開始年齢の特例
■ 障害厚生年金の受給権者であって、当該障害に係る障害認定日において2以上の種別の厚生年金被保険者期間を有する者に支給される障害厚生年金の額は、その者の2以上の種別の厚生年金被保険者期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして、障害厚生年金の額の計算及びその支給停止に関する規定その他の規定を適用する。(厚年法78条の30)
■ 障害手当金の受給権者であって、当該障害に係る障害認定日において2以上の種別の日帆園舎であった期間を有する者に係る当該障害手当金の額についても、上記の規定が準用される。(厚年法78条の31)
■ 遺族厚生年金の額の特例(厚年法78条の32)
・ 短期要件に該当する場合
・ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の遺族に係る遺族厚生年金の額については、死亡した者に係る2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして、遺族厚生年金の額の計算及びその支給停止に関する規定その他の規定を適用する。
・ それぞれの期間を合算しても300月に満たない場合には、300月として計算する規定も適用される。
・ 長期要件に該当する場合
・ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の遺族に係る遺族厚生年金については、各号の厚生年金被保険者期間に係る被保険者期間ごとに支給する。
・ それぞれの遺族厚生年金の額は、死亡した者に係る2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして計算した遺族厚生年金の額をそれぞれ一の期間に係る被保険者期間を計算の基礎として計算した額に応じて按分した額とする。
・ 中高年の寡婦加算の額
・ 長期要件の際の加算の要件(被保険者期間の月数が240月以上)をみる場合、その者の2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして判断する。
・ 長期要件で複数の遺族厚生年金が支給される場合、一の期間に係る被保険者期間を計算する基礎とする遺族厚生年金の額に加算する。優先順位は次の通り
・ 各号の厚生年金被保険者期間のうち最も長い一の期間に基づく遺族厚生年金(最も加入期間の長い年金)に加算する
・ 上記の遺族厚生年金が2以上ある場合、第1号厚生年金被保険者期間、第2号厚生年金被保険者期間、第3号厚生年金被保険者期間、第4号厚生年金金被保険者期間に基づく年金の順に加算する。
■ 障害厚生年金等の支給に関する事務の特例(厚年法78条の33)
・ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に支給する障害厚生年金及び障害手当金の支給に関する事務は、政令で定めるところにより、当該障害に係る「初診日」における被保険者の種別に応じて、厚生年金被保険者の種別ごとに定められた事務の実施機関が行う。
■ 遺族厚生年金の支給に関する事務の特例
・ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の遺族に支給される遺族厚生年金の支給に関する事務についても、厚生年金被保険者の種別ことに定められた事務の実施機関が行う。
・ 短期要件の遺族厚生年金
・ 原則として、死亡日における厚生年金被保険者の種別に応じて、それぞれの厚生年金被保険者の種別ことに定められた事務の実施機関が行う。
・ 長期要件の遺族厚生年金
・ それぞれの厚生年金被保険者の種別ごとに、それぞれの実施機関が行う。
■ 老齢厚生年金及び長期要件の遺族厚生年金については、それぞれの加入期間ごとに各実施機関が決定、支給事務を行うこと。年金証書及び各種通知書も各実施機関がそれぞれ実行すること
■ 障害厚生年金、障害手当金及び短期要件の遺族厚生年金については、原則として、それぞれ初診日又は死亡日に加入していた実施機関が、他の実施機関の加入期間分も含め年金額を計算し、決定、支給事務を行うこと。年金証書及び各種通知書は当該決定を行う実施機関(いわゆる「とりまとめ実施機関」)が発行すること。(平成27年年管管発0930第13号)
■ 遺族厚生年金の支給停止に係る申請の特例(厚年法78条の34)
・ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の遺族について、2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に基づく遺族厚生年金を受けることができる場合には、一の期間に基づく遺族厚生年金について所在不明による支給停止の申請は、当該一の期間に基づく遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく他の期間に基づく遺族厚生年金についての当該申請と同時に行わななければならない。
■ 離婚等をした場合の特例(厚年法78条の35)
・ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者について、いわゆる離婚時分割の規定を適用する場合において、各号の厚生年金被保険者期間のうち一の期間に係る標準報酬についての離婚時分割の請求は、他の期間に係る標準報酬についての離婚時分割の請求と同時に行わなければならない。
・ この場合、2以上の被保険者の種別に係る被保険者があった期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有する者とみなして、標準報酬の分割請求及び請求すべき按分割合を適用し、各号の厚生年金被保険者期間に係る被保険者期間ごとに標準報酬の改定又は決定及び標準報酬が改定又は決定された者に対する保険給付の支給要件の特例等を適用する。
■ 被扶養配偶者である期間についての特例(厚年法78条の36)
・ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者について、いわゆる3号分割の規定を適用する場合においては、各号の厚生年金被保険者期間のうち一の期間に係る標準報酬についての3号分割の請求は、他の期間に係る標準報酬についての3号分割の請求と同時に行わなければならない。
・ この場合、2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有する者とみなして、3号分割の請求及び標準報酬の改定請求の特例を適用し、各号の厚生年金被保険者期間に係る被保険者期間ごとに3号分割の請求、標準報酬の改定請求及び被扶養配偶者である期間についての特例を適用する。
■ 政令への委任(厚年法78条の37)
・ 厚年法第3章の4(厚年法78条の22から78条の37)に定めるもののほか、2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る保険給付の額の計算及びその支給停止その他この法律の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
■ 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る脱退一時金については、その者の2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間に係る被保険者期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有する者に関するものとみなして厚年法29条1項(支給要件)の規定を適用する。
■ ただし、当該脱退一時金の額は、各号の厚生年金被保険者期間に係る被保険者期間ごとに、同条3項及び4項の規定の例により計算した額とする。この場合において、同条の規定の適用に関し必要な読み替えその他必要な事項は政令で定める。(厚年法附則30条)
■ 脱退一時金の特例
・ 支給要件は、各号の被保険者期間を合算して判断
・ 額の計算は、種別ごとに行う。
■ 2以上の種別の被保険者期間であった期間を有する者の特例について、異なる種別の被保険者であった期間が合算されるか否か(主要なもの)
・ 合算される規定
・ 加給年金額(振替加算)の加算要件・支給停止の要件(240月要件)
・ 特別支給の老齢厚生年金の支給要件(1年要件)
・ 長期要件の場合の中高齢の寡婦加算の加算要件(240月要件)
・ 脱退一時金の支給要件(6月
・ 合算されない規定
・ 特別支給の老齢厚生年金の長期加入者の特例の適用要件(44年528月)要件)
・ 特別支給の老齢厚生年金の定額部分の上限
・ 中高齢の受給資格期間の特例(原則40歳以後15年要件(第1号のみ))
[厚年法] 厚生年金保険法・重要箇所・Chapter12
厚生年金保険事業の円滑な実施を図るための措置と積立金の運用
■ 政府等は、厚生年金保険事業の円滑な実施を図るため、厚生年金保険に関し、次に掲げる事業を行うことができる。(厚年法79条)
・ 教育及び広報を行うこと
・ 被保険者、受給権者その他の関係者(被保険者等)に対し、相談その他の援助を行うこと
・ 被保険者等に対し、被保険者等が行う手続に関する情報その他の被保険者等の利便の向上に資する情報を提供すること
■ 政府等は、厚生年金保険事業の実施に必要な事務(基礎年金拠出金の負担及び納付に伴う事務を含む)を円滑に処理し、被保険者等の利便の向上に資するため、電子情報処理組織の運用を行うものとする。
■ 政府は上記に掲げる事業及び上記に掲げる運用の全部又は一部を日本年金機構に行わせることができる。
■ 政府等とは、「政府及び実施機関(厚生労働大臣を除く)」をいう。
■ 平成13年4月より、保険者(厚生労働大臣)が、年金制度の運営全般について責任と権限を有することとなり、保険者による年金積立金の自主運営が開始された。
■ なお、被用者年金制度の一元化に伴い、厚生年金保険法に、特別会計積立金(従前の積立金)のほか、実施機関積立金についても必要な規定を置くこととされた。
■ 積立金(年金特別会計の厚生年金勘定の積立金(特別会計積立金)及び実施機関(厚生労働大臣を除く)の積立金のうち厚生年金保険事業(実施機関積立金)の運用は、積立金が厚生年金保険の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の保険給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって、厚生年金保険事業の運営の安定に資することを目的として行うものとする。(厚年法79条の2)
■ 特別会計積立金の運用は、厚生労働大臣が、厚生年金保険法79条の2の目的に沿った運用に基づく納付金の納付を目的として、年金積立金管理運用独立行政法人に対し、特別会計積立金を寄託することにより行うものとする。
■ 厚生労働大臣は、上記の規定にかかわらず、上記の規定に基づく寄託をするまでの間、財政融資資金に特別会計積立金を預託することができる。
■ 実施機関積立金の運用は、厚生年金保険法の79条の2の目的に沿って、実施機関が行うものとする。ただし、実施機関積立金の一部については、政令で定めるところにより、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法又は私立学校教職員共済法(共済各法)の目的に沿って運用することができるものとし、この場合における同条の規定の運用については、同条中「専ら厚生年金保険」とあるのは、「厚生年金保険」とする。(厚年法79条の3)
[厚年法] 厚生年金保険法・重要箇所・Chapter13
■ 国庫は、毎年度、厚生年金保険の実施者たる政府が国民年金法94条の2第1項の規定により負担する基礎年金拠出金の2分の1に相当する額を負担する。(厚年法80条1項)
■ 基礎年金拠出金の国庫負担の割合は、平成16年の改正で、それまでの「3分の1」から「2分の1」に引き上げられた。しかし、経過措置により、その引き上げは段階的に行うこととされた。
■ 上記の2分の1への引上げは、「特定年度」に完了する。この特定年度は、当初、「平成21年までの間のいずれかの年度」とされることになっていた。しかし、平成21年度までに、安定した財源が確保できなかったため、「税制の抜本的な改革により所要の安定した財源の確保が図られる年度」とすることとされ、特定年度が先送りされる形となった。なお、平成26年4月1日施行の改正によって、特定年度が「平成26年度」と定められ、平成26年4月1日より実施されることとなった。
■ 平成21年度までに安定した財源が確保できなかったことから、次のような経過措置の特例(平成16年厚年法附則32条の2)が設けられていた。
・ 平成21年度から平成25年度までの厚生年金保険の基礎年金拠出金の国庫負担に関する経過措置の特例(概要)(平成16年厚年法附則32条の2)
・ 国庫は、平成21年度から平成25年度までについては、従来の経過措置による負担額(基礎年金拠出金の額に、「3分の1+1000分の32」を乗じて得た額)の他、財政投融資特別会計から一般会計への特例的な繰入金等を活用し、当該額と法律本来の負担額(基礎年金拠出金の額の「2分の1」に相当する額)との差額を負担する。
■ 特定年度以後の各年度において、改正後の厚生年金保険法80条1項の規定により国庫が負担する費用のうち従来の経過措置による負担額と法律本来の負担額との差額に相当する費用の財源については、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する当の法律の施行により増加する消費税の収入を活用して、確保するものとする。(平成16年厚年法附則32条の3)
■ 昭和36年4月前の被保険者期間に係る保険給付に要する費用の100分の20、当該期間のうち第三種被保険者であった期間に係る保険給付に要する費用の100分の25に相当する額(昭和60年厚年法附則79条)
■ 国庫は、厚生年金保険法80条1項に規定する費用のほか、毎年度、予算の範囲内で、厚生年金保険事業の事務(基礎年金拠出金の負担に関する事務を含む)の執行(実施機関(厚生労働大臣を除く)によるものを除く)に要する費用を負担する。(厚年法80条2項)
■ 事務の執行に要する費用に関する国庫負担は、予算の範囲内で行われる。
■ なお、実施機関(厚生労働大臣を除く)が納付する基礎年金拠出金及び実施機関による厚生年金保険事業の事務の執行に要する費用の負担については、この法律で定めるもののほか、共済各法の定めるところによる。(厚年法80条3項)
■ 政府等は、厚生年金保険事業に要する費用(基礎年金拠出金を含む)に充てるため、保険料を徴収する。
■ 保険料は、被保険者期間の計算の基礎となった各月につき、徴収するものとする。
■ 保険料額は、標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ保険料率を乗じて得た額とする。(厚年法81条1項から3項)
・ 政府等とは、「政府及び実施機関(厚生労働大臣を除く)」をいう。
・ 標準報酬月額に係る保険料=標準報酬月額×183.0/1000(労使折半)
・ 標準賞与額に係る保険料=標準賞与額×183.00/1000(労使折半)
■ 平成16年の法改正により、保険料水準を固定したうえで、その収入の範囲内で給与水準を自動的に調整する仕組み(保険料水準固定方式)が導入され、厚生年金保険の保険料率は平成16年10月から毎年1000分の3.54ずつ引き上げられ、平成29年9月以降183.00となることとされた。
・ 平成16年10月以後の保険料率
・ 平成16年10月から平成17年8月 139.34(152.08)
・ 平成17年9月から平成18年8月 142.88(154.56)
・ 平成18年9月から平成19年8月 146.42(157.04)
・ 平成19年9月から平成20年8月 149.96(159.52)
・ 平成20年9月から平成21年8月 153.50(162.00)
・ 平成21年9月から平成22年8月 157.04(164.48)
・ 平成22年9月から平成23年8月 160.58(166.96)
・ 平成23年9月から平成24年8月 164.12(169.44)
・ 平成24年9月から平成25年8月 167.66(171.92)
・ 平成25年9月から平成26年8月 171.20(174.40)
・ 平成26年9月から平成27年8月 174.74(176.88)
・ 平成27年9月から平成28年8月 178.28(179.36)
・ 平成28年9月から平成29年8月 181.82(181.84)
・ 平成29年9月以後 183.00
■ 被保険者の種別による保険料率に関しては、次のようになっている(高齢任意加入被保険者の保険料率は、その者の種別による保険料率となる)
・ 第一種被保険者 1000分の183.00
・ 第二種被保険者 1000分の183.00
・ 第三種被保険者 1000分の183.00
・ 第四種被保険者 1000分の183.00
■ 日本たばこ産業株式会社、旅客鉄道格式会社等又は農林漁業団体の事業所に使用される被保険者については保険料率の特例が設けられていたが、平成21年9月より一般の被保険者と同じ保険料率が適用されている。
■ 第2号から第4号厚生年金被保険者の厚生年金保険の保険料率は、経過措置により、一元化の時点においては、一元化前の共済年金制度の掛金率などを引き継いだ率とされる。その率を、段階的に、厚生年金保険の保険料率の最終水準(1000分の183.00)まで引き上げることとされている(平成24年厚年法附則83条から85条)
・ 第1号厚生年金被保険者(平成29年9月
・ 原則 1000分の183.00
・ 第三種 1000分の183.00
・ 第2号厚生年金被保険者(平成30年9月
・ 1000分の183.00
・ 第3号厚生年金被保険者(平成30年9月
・ 1000分の183.00
・ 第4号厚生年金被保険者(令和9年4月
・ 1000分の168.32(実際には1000分の156.81)
・ 令和11年8月までは、更に一定の特例があるので、令和11年9月
■ 特例第一種被保険者(基金一般男子)、特例第二種被保険者(基金一般女子)、特例第三種被保険者(基金坑内員)は、加入員でない被保険者に係る種別ごとの保険料率から免除保険料率を控除して得た率となっている。
■ 免除保険料率は、基金が国に代わって支給する報酬比例部分の給付に必要な保険料率(代行保険料率)を基準として、厚生労働大臣が存続厚生年金基金毎に、当分の間、100分の24から1000分の50の範囲内で決定する率である。
■ 代行保険料率は、厚生年金基金が算定し、厚生労働大臣に届け出る。
■ 免除保険料率は厚生労働大臣が決定し、当該厚生年金基金へ通知する。
■ 育児休業等をしている被保険者(産前産後休業中の保険料の徴収の特例の適用を受けている被保険者を除く)が使用される事業所の事業主が、主務省令の定めるところにより実施機関に申出をしたときは、当該被保険者に係る保険料であってその育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係るものの徴収を行わない。(厚年法81条の2)
■ 保険料免除の対象となる期間には育児休業期間と育児休業制度に準ずる措置による休業が含まれ、子が3歳に達するまでとする。
・ 育児休業期間中の被保険者に係る保険料の徴収の特例の申出(第1号厚生年金保険者に係るものに限る)は、事業主が所定の事項を記載した申出書を機構に提出することにより行う(厚年則25条の2)
・ 事業主負担分、被保険者負担分ともに免除される。
・ 保険給付の額の計算にあたっては、育児休業期間中の保険料の徴収の特例を受けた期間についても、保険料納付済期間と同様に扱われる。
・ 事業主は、当該特例を受ける被保険者が休業等終了予定日を変更したとき又は育児休業等終了予定日の前日までに育児休業等を終了したときは、速やかに、これを機構に届け出なければならない。
■ 高齢任意加入被保険者についても、育児休業等期間中の保険料の徴収の特例の規定は適用される。
■ 育児休業等期間中の保険料の徴収の特例が適用される期間中に支払われた賞与については、保険料の徴収の対象とならないが、賞与額の届出は行う必要がある。
■ 産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、主務省令で定めるところにより実施機関に申出をしたときは、当該被保険者に係る保険料であってその産前産後休業を開始した日の属する月からその産前産後休業が終了する日の翌日の属する月の前月までの期間に係るものの徴収は行わない。
■ 第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る保険料について、上記の規定を適用する場合においては、上記中の「被保険者が使用される事業所の事業主」とあるのは、「被保険者」とする。(厚年法81条の2の2)
■ 基本的に「育児休業等をしている期間中の保険料の徴収の特例」(保険料免除)と同様である。
■ 厚生年金保険法では、育児休業については育児・介護休業法の定義が引用されているが、産前産後休業の定義は改められている(厚年法23条の3参照)ため、労働基準法の産前産後休業期間(産前は請求が要件)と厚生年金保険法上の産前産後休業期間とが異なるケースがあり、第1子における育児休業期間と、第2子における厚生年金保険法の規定による産前産後休業が重複することが考えられるが、育児休業期間中の保険料免除と産前産後休業期間中の保険料免除の規定が重複しないように、育児・介護休業法による育児休業と労働基準法による産前産後休業の優先関係について、厚生年金保険法による産前産後休業期間中の保険料免除を育児休業期間中の保険料免除を優先することとしている。
・ 第1子養育中(育児・介護休業の育休)→育休終了・第2子出産→労基法の産休→第2子養育中(育児・介護休業の育休)
・ 厚年法の産休は、第2子出産の前から取得できるため、第1子養育中(育児・介護休業の育休)と厚年法の産休の重複期間が発生する。
・ この場合、第1子養育中(育児・介護休業の育休)を優先する。
■ 産前産後休業期間中の保険料の徴収の特例が適用される期間中に支払われた賞与については、保険料の徴収の対象とならないが、賞与額の届出は行う必要がある。
■ 厚生年金保険法は事業所単位に適用され、保険料に関しては、事業主に負担義務が課せられている。
■ 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。
■ 事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。
■ 被保険者が同時に2以上の事業所又は船舶に使用される場合における各事業主の負担すべき保険料の額及び保険料の納付義務については、政令で定めるところによる。
■ 第2号厚生年金被保険者についての上記の規定の適用については、上記中の「事業主」とあるのは、「事業主(国家公務員共済組合法99条6項に規定する職員団体その他政令で定める者を含む)は、政令で定めるところにより」とする。
■ 第3号厚生年金被保険者についての上記の規定の適用については、上記中の「事業主」とあるのは、「事業主(市町村立学校職員給付負担報1条又は2条の規定により給与を負担する都道府県その他政令で定める者を含む)は、政令で定めるところにより」とする。(厚年法82条)
■ 同時に2以上の事業所(船舶を除く)に使用される場合、
・ 各事業主は、被保険者が当該事業所で受けている報酬に基づき算定した報酬月額を当該被保険者の報酬月額で除して得た数を当該被保険者の保険料の半額に乗じて得た額を負担し、当該被保険者の負担分を併せて納付する義務を負う。
■ 同時に船舶及び船舶以外の事業所に使用される場合
・ 船舶所有者以外の事業主は保険料を負担せず、保険料を納付する義務を負わないものとし、船舶所有者のみが、保険料の半額を負担し、当該被保険者の負担分を併せて納付する義務を負う。(厚年令4条)
■ 保険料の半額を負担し、保険料を納付する義務を負う事業主(納入告知書により納付)
・ 強制適用事業所の事業主
・ 任意適用の認可を受けた事業所の事業主
・ 任意単独被保険者を使用する事業主
・ 適用事業所以外の事業所に使用される高齢任意加入被保険者を使用する事業主
・ 適用事業所に使用される高齢人加入被保険者の保険料の半額負担及び納付について同意をした事業主
■ 保険料の全額を負担し、かつ、納付義務を負う被保険者(納付書により納付)
・ 第四種被保険者
・ 船員任意継続被保険者
・ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者で、保険料の半額負担及び納付について事業主の同意を得ていない者
■ 毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。(厚年法83条1項)
■ 第四種被保険者及び船員任意継続被保険者は、毎月の保険料を、その月の10日(初回分は、保険者の指定日)までに納付しなければならない。(昭和60年厚年法附則80条3項・4項)
■ 厚生労働大臣は、納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったとき、又は納付された保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったときは、その超えている部分に関する納入の告知又は納付を、その納入の告知又は納付の日の翌日から6か月以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる(厚年法83条2項)
■ 上記の規定によって、納期を繰り上げて納入の告知又は納付をしたものとみなした時は、厚生労働大臣は、その旨を当該納付義務者に通知しなければならない。(厚年法83条3項)
■ 第四種被保険者及び船員任意継続被保険者については、保険料を前納することができる。
■ 前納すべき額は、当該期間の各月の保険料の額から政令で定める額を控除した額とする。
■ 前納された保険料については、前納に係る期間の初日が到来したときに、それぞれの月の保険料が納付されたものとみなす。(旧厚年法83条の2第1項から3項、昭和60年厚年法附則80条3項・4項)
■ 国民年金において前納された保険料については、前納に係る期間の各月が経過した際に、それぞれの月の保険料が納付されたものとみなされる(国年法93条3項)
■ 厚生労働大臣は、納付義務者から、預金又は貯金の払い出しとその払い出した金銭による保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があった場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。(厚年法83条の2)
■ 保険料の負担と納付義務
・ 当然被保険者
・ 負担 半額
・ 納付期限 翌月末日
・ 納付義務者 事業主
・ 前納 なし
・ 第四種被保険者・船員任意継続被保険者
・ 負担 全額
・ 納付期限 その月の10日(初めての納付分は指定期限までに納付)
・ 納付義務者 本人
・ 前納 あり
・ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者で事業主の同意を得られない者
・ 負担 全額
・ 納付期限 翌月末日
・ 納付義務者 本人
・ 前納 なし
■ 事業主は、保険料を被保険者負担分と合わせて納付するため、その被保険者が負担すべき前月分の保険料を、報酬から控除することが認められている。労働基準法の賃金の全額払の原則の例外に当たる部分である。
■ 事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。
■ 事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。
■ 事業主は、上記の規定によって保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。(厚年法84条)
報酬から控除できるのは、原則として前月の標準報酬月額に係る保険料に限られる。ただし、被保険者が、月の末日に退職した場合には、例外的に、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料を控除することができる。
■ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者であって、保険料の半額負担及び納付について除業主の同意を得ていない者には、保険料の源泉控除の規定は適用されない。(厚年法附則4条の3第7項)
■ 保険料控除の計算書に記載すべき事項(厚年則26条)
・ 被保険者の氏名
・ 控除した保険料の額及び控除した年月日
・ 控除した標準賞与額に係る保険料の額及び控除した年月日
■ 保険料の徴収が困難となるような一定の場合には、納期を繰上げ、納期前でも保険料の全額を徴収することができる旨を規定している。
■ 保険料は、次に掲げる場合においては、納期前であっても、すべて徴収することができる。(厚年法85条)
・ 納付義務者が、次のいずれかに該当する場合
・ 国税、地方税その他の公課の滞納によって、滞納処分を受けるとき
・ 強制執行を受けるとき
・ 破産手続開始の決定を受けたとき
・ 企業担保権の実行手続きの開始があったとき
・ 競売の開始があったとき
・ 法人たる納付義務者が、解散をした場合
・ 被保険者の使用される事業所が、廃止された場合
・ 健康保険法同様「事業主が変更になった場合」も含まれる
・ 被保険者に使用される船舶について船舶所有者の変更があった場合、又は当該船舶が滅失し、沈没し、もしくは全く運航に堪えなくなるに至った場合
・ 健康保険法の繰上徴収の事由には、本要件は規定されていない。
■ 第1号改定者又は特定被保険者に厚生年金基金の加入員であった期間があるときは、当該期間に係る基金の老齢年金給付の第2号改定者又は被扶養配偶者への分割部については政府から支給される
■ 被扶養配偶者へ分割されるのは、存続厚生年金基金の代行部分に相当する額の一部で、基金の加算部分は分割の対象とならない。(旧厚年法85条の3、平成25年厚年法附則5条1項、38条1項)
■ 督促及び滞納処分、厚年法87条は督促状の指定期限までに保険料等を完納しなかった場合の延滞金の徴収について規定している。
■ 保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、保険料の繰上徴収(厚年法85条)の規定により保険料を徴収するときは、この限りでない。
■ 上記の規定によって督促をしようとするときは、厚生労働大臣は、納付義務者に対して、督促状を発する。
■ 上記の規定による督促状は、納付義務者が、健康保険法180条の規定によって督促を受けている者であるときは、同条の規定による督促状に併記して、発することができる。
■ 上記の督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければならない。ただし、厚年法85条各号の一に該当する場合は、子のア限りでない。(厚年法86条1項から4項)
■ 厚生労働大臣は、納付義務者が次のいずれかに該当する場合においては、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法252条の19第1項の指定都市にあっては、区又は総合区とする)に対して、その処分を請求することができる。
・ 督促状における督促を受けた者がその指定の期限までに保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないとき
・ 保険料の繰上徴収(厚年法85条)に該当したことにより納期を繰り上げて保険料納入の告知を受けた者がその指定の期限までに保険料を納付しないとき
■ 市町村は、上記の規定により処分の請求を受けたときは、市町村税の例によってこれを処分することができる。この場合においては、厚生労働大臣は、徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。(厚年法86条5項、6項)
■ 厚生年金保険法86条2項の規定によって督促をしたときは、厚生労働大臣は、保険料額に、納期限の翌日から保険料完納又は財産差押の日の前日までの期間の日数に応じ、年14.6パーセント(当該納期限の翌日から3月を経過する日までの期間については、年7.3パーセント)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。(厚年法87条1項)
■ 延滞金の年14.6%の割合及び7.3%の割合は、当分の間、厚年法87条1項の規定にかかわらず、各年の延滞税特例基準割合(租税特別措置法94条1項に規定する延滞税特例基準割合)が年7.3%の割合に満たない場合には、その年中においては、年14.6%の割合にあっては当該延滞税特別基準割合に年7.3%の割合を加算した割合とし、年7.3%の割合にあっては、当該延滞税特例基準割合に年1%の割合を加算した割合(当該加算した割合が年7.3%の割合を超える場合には、年7.3%の割合)とする。(厚年法附則17条の14)
■ 延滞金を徴収しない場合(厚年法87条1項但書、4項)
・ 保険料額が1000円未満であるとき
・ 納期を繰り上げて徴収するとき
・ 納付義務者の住所若しくは居所が国内にないため、又はその住所及び居所がともに明らかでないため、公示送達の方法により督促した場合
・ 滞納につきやむを得ない事情があると認められる場合
・ 督促状の指定した期限までに保険料を完納したとき
・ 延滞金として計算した金額が100円未満であるとき
■ 延滞金の端数処理(厚年法87条3項、5項)
・ 延滞金を計算するにあたり、保険料額に1000円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
・ 延滞金の金額に100円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる。
■ 保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。(厚年法88条)
■ 保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金は、厚生年金保険法に別段の規定がある者を除き、国税徴収の例により徴収する。(厚年法89条)
■ 第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者、第4号厚生年金被保険者は、保険料徴収等の特例、保険料の滞納処分等の特例、適用除外に関して、共済各法の定めるところによる。
■ 政府は、政令で定めるところにより、毎年度、実施機関(厚生労働大臣を除く)ごとに実施機関に係るこの法律の規定による保険給付に要する費用として政令で定める者その他これに相当する給付として政令で定めるものに要する費用(厚生年金保険給付費等)として算定した金額を、当該実施機関に対して交付金として交付する。(厚年法84条の3)
■ 実施機関は、毎年度、拠出金を納付する。(厚年法84条の5)
■ 拠出金算定対象額とは、当該年度における厚生年金保険給付費等の総額に、当該年度において政府等が負担し、又は納付する基礎年金拠出金保険料相当分の合計額を加えた額とする。(厚年法84条の6第2項)
■ 実施機関が納付する拠出金の額は、当該年度における拠出金算定対象額に、それぞれ次に掲げる率を乗じて得た額の合計額から、当該実施機関が納付する基礎年金拠出金保険料相当分の額を控除した額とする。
・ 標準報酬按分率
・ 積立金按分率
以上
[厚年法] 厚生年金保険法・重要箇所・Chapter14
不服申立・雑則・罰則
■ 不服申立制度は、一般の裁判手続と違い、簡易な手続により迅速に処理することによって、年金制度における権利の救済を図ろうとする制度である。
■ 被用者年金制度の一元化に伴い、社会保険審査官、社会保険審査会に対する審査請求、再審査請求の対象となるのは、厚生労働大臣による処分に限るとされた。
■ なお、改正行政不服審査法の施行日が平成28年4月1日とされ、その施行に伴う改正も行われている。
■ 厚生労働大臣による被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。ただし、厚生年金保険法28条の4第1項又は第2項の規定(訂正請求に対する措置)による決定については、この限りでない。
■ 次に掲げる者による被保険者の資格又は保険給付に関する処分に不服がある者は、当該次に定める者に対して審査請求をすることができる。
・ 厚生年金保険法2条の5第1項2号に定める者 国家公務員共済組合法に規定する国家公務員共済組合審査会
・ 同項3号に定める者 地方公務員等共済組合法に規定する地方公務員共済組合審査会
・ 同項4号に定める者 私立学校教職員共済会に規定する日本市立学校復興・共済事業団の共済審査会
■ 上記の審査請求をした日から2月以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。
■ 上記の審査請求並びに上記の再審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求をみなす。(厚年法90条1項から4項)
■ 厚生労働大臣による以下の処分に関して、不服申立を行う場合には、まず、第一次の審査機関として各地方厚生局に設置されている社会保険審査官に対して審査請求を行い、その決定に不服がある場合には、さらに第二次の震災期間として厚生労働省に設置されている社会保険審査会に対して再審査請求を行うことができるとされている。(二審制)
■ 厚生労働大臣の処分
・ 被保険者の資格に関する処分
・ 被保険者の資格取得
・ 被保険者の資格喪失
・ 被保険者の資格の特捜の確認
・ 標準報酬に関する処分
・ 定時決定
・ 資格取得時の決定
・ 改定
報酬月額の算定の特例
・ 標準賞与額の決定
・ 保険給付に関する処分
・ 裁定
・ 額の改定
・ 支給の停止
・ 失権
・ 支払の差止め等
■ 審査請求、再審査請求の期限と方法
・ 審査請求
・ 期限
・ 処分があったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときは、することができない。
・ 方法 文書又は口頭
・ 提出先 社会保険審査官
・ 再審査請求
・ 期限
・ 社会保険審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2月を経過したときは、することができない
・ 方法 文書又は口頭
・ 提出先 社会保険審査会
■ 次に掲げる者による被保険者の資格又は保険給付に関する処分に不服がある者は、それぞれ定める者に対して審査請求をすることができる。
・ 第2号厚生年金被保険者に係る実施期間による処分
・ 国家公務員共済組合法に規定する国家公務員共済組合審査会
・ 第3号厚生年金被保険者に係る実施機関による処分
・ 地方公務員等共済組合法に規定する地方公務員共済組合審査会
・ 第4号厚生年金被保険者に係る実施期間による処分
・ 私立学校教職員共済法に規定する日本市立学校復興・共済事業団の共済審査会
■ 厚生労働大臣による保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金の賦課もしくは徴収の処分又は厚生年金保険法86条の規定による処分(保険料の督促及び滞納の処分)に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。(厚年法91条)
■ 厚生労働大臣による以下の処分に関して、不服申立を行う場合には、直接、社会保険審査会に対して審査請求を行うことができるとされている(一審制)
・ 保険料その他の徴収金の賦課、徴収の方法
・ 保険料その他の徴収金の督促及び滞納処分
・ 厚生労働大臣による脱退一時金に関する処分(厚年法附則29条5項)
■ 審査請求の期限と方法
・ 期限 処分のあったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときは、することができない。
・ 方法 文書又は口頭
■ 第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者に係る実施機関による保険料等の処分については、それぞれ、国家公務員共済組合法に規定する国家公務員交際組合審査会、地方公務員等共済組合法二規定する地方公務員共済組合審査会に対して審査請求をすることができる。
■ 被保険者の資格又は標準報酬に関する処分が確定したときは、その処分についての不服を当該処分に基づく保険給付に関する処分についての不服の理由とすることはできない。(厚年法90条5項)
■ 審査請求及び再審査請求については、行政不服審査法第2章(22条を除く)及び第4章の規定は、適用しない(厚年法91条の2)
■ 厚生年金保険法90条1項に規定する処分(被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分)の取り消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する社会保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができない。(厚年法91条の3)
■ 訂正決定の不服申立については、社会保険審査官及び社会保険心赤いに不服申立をするのではなく、行政不服審査法に基づいて、厚生労働大臣に対して不服申立をすることができる。なお、この場合であっても、不服申立をせずに、行政事件訴訟法の広告訴訟を提起することもできる。
■ 厚生年金保険法の不服申立てのまとめ
・ 厚生労働大臣による以下の処分
・ 被保険者の資格に関する処分
・ 標準報酬に関する処分
・ 保険給付に関する処分
・ 審査請求→社会保険審査官(知った日の翌日から3月以内)
・ 決定 (2月以内に決定がないときは、審査請求は却下されたものとみなす)
・ 再審査請求→社会保険審査会(社会保険審査官の決定書の謄本が送付されて日の翌日から起算して2月以内)
・ 裁決 →不服な場合は訴訟
・ 厚生労働大臣による以下の処分
・ 脱退一時金に関する処分
・ 審査請求→社会保険審査会
・ 裁決 →不服な場合は訴訟
・ 厚生労働大臣による以下の処分
・ 保険料等の処分、督促及び滞納処分
・ 審査請求か訴訟(抗告訴訟)を選択可能
・ 審査請求→社会保険審査会
■ 保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、これらを行使することができるときから2年を経過したとき、保険給付を受ける権利は、その支給をすべき事由が生じた日から5年を経過したとき、当該権利に基づく支払期月ごとに支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利は、当該日の属する月の翌月以後に到来する当該保険給付の支給に係る厚生年金保険法36条3項本文に規定する支払期月の翌日初日から5年を経過したとき、保険給付の還付を受ける権利は、これを行使することができるときから5年を経過したときは、時効によって、消滅する。
■ 保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金を徴収し、もしくはその還付を受ける権利又は保険給付の返還を受ける権利の時効については、その援用を要せず、又、その利益を放棄することができないものとする。
■ 年金たる保険給付を受ける権利の時効は、当該年金たる保険給付がその全額につき支給を停止されている間は、進行しない。
■ 保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金の納入の告知又は厚生年金保険法86条1項の規定による督促は、時効の更新の効力を有する。
■ 上記に規定する保険給付を受ける権利又は当該権利に基づく支払いき月ごとにしはらうものとされる保険給付の支給を受ける権利については、会計法31条の規定を適用しない。(厚年法92条)
■ 年金たる保険給付を受ける権利の消滅時効は、年金たる保険給付の全部が支給を停止されている間は進行しないが、一部の支給を停止されている間は進行する。
■ 厚生労働大臣は、施行日(平成19年7月6日)において厚生年金保険法による保険給付を受ける権利を有するもの又は施行日前において当該権利を有していた者(厚年法37条の未支給の保険給付の支給の請求をする権利を有する者を含む)について、厚年法28条の規定により記録した事項の訂正がなされた上で当該保険給付を受ける権利に係る裁定(裁定の制定を含む)が行われた場合においては、その裁定による当該記録した事項の訂正に係る保険給付を受ける権利に基づき支払期月ごとに又は一時金として支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利について当該裁定の日まで消滅時効が完成した場合においても、当該権利に基づく保険給付を支払うものとする。(年金時効特例法1条)
■ 市町村長は、実施機関又は受給権者に対して、当該市町村の条例の定めによるところにより、被保険者、被保険者であった者又は受給権者の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。(厚年法95条)
■ 戸籍事項の無料証明とは、戸籍記載事項の証明のみに係る者であって、戸籍謄本や抄本、住民票謄本の発行手数料が無料となるものではない。
■ 実施機関は、必要があると認めるときは、年金たる保険給付の受給権者に対して、その者の身分関係、障害の状態その他受給権の消滅、年金額の改定もしくは支給の停止に係る事項に関する書類その他の物件の提出を命じ、又は当該職員をしてこれらの事項に関し、受給権者に質問させることができる。
■ 上記の規定によって質問を行う当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。(厚年法96条)
■ 実施機関は、必要があると認めるときは、障害等級に該当する程度の障害の状態にあることにより、年金たる保険給付の受給権を有し、又は厚年法44条1項の規定によりその者について加算がされている子に対して、その指定する医師の診断を受けるべきことを命じ、又は当該職員をしてこれらの者の障害の状態を診断させることができる。(厚年法97条1項)
■ 厚生労働大臣は、被保険者の資格、標準報酬、保険料又は保険給付に関する決定に関し、必要があると認めるときは、適用事業所もしくは適用事業所であると認められる事業所の事業主又は厚年法10条2項の同意(任意単独被保険者の認可に係る事業主の同意)をした事業主(適用事業所等の事業主)に対して、文書その他の物件を提出すべきことを命じ、又は当該職員をして事業所に立ち入って関係者に質問をし、もしくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。(厚年法100条1項)
・ 第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者及びこれらの者に係る適用事業所等の事業主については、上記の規定は、適用しない(厚年法100条4項)
■ 実施機関は、被保険者の資格、標準報酬又は保険料に関し必要があると認めるときは、官公署(実施機関を除く)に対し、法人の事業所の名称、所在地その他の事項につき、必要な資料の提供を求めることができる。(厚年法100条の2)
■ 実施機関(厚生労働大臣を除く)は、厚生労働省令で定めるところにより、当該実施機関を所管する大臣を経由して、厚生年金保険法43条の2第1項2号イに規定する標準報酬平均額の算定のために必要な事項として厚生労働省令で定める事項について厚生労働大臣に報告を行うものとする。
■ 厚生労働大臣は、厚生労働省令で定めるところにより、上記に規定する標準報酬平均額その他これに関連する事項で厚生労働省令で定めるものについて、実施機関を所管する大臣に報告を行うものとする。(厚年法100条の3)
■ 厚年法102条は事業主等に対する罰則、厚年法103条は事業主等以外の者に対する罰則、厚年法104条は法人等に対する罰則、厚年法105条は届出義務違反に対する罰則を規定している。
■ 事業主が、正当な理由がなくて次の場合に該当するときは、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
・ 厚年法27条(被保険者の資格の取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額に関する事項の届出)の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき
・ 厚年法29条2項(任意適用取消に係る認可、資格の取得又は喪失の確認、標準報酬の決定等を行ったときの通知)(厚年法30条2項において準用する場合を含む)の規定に違反して、通知をしないとき
・ 厚年法82条2項(保険料の納付義務)の規定に違反して、督促状に指定する期限までに保険料を納付しないとき
・ 存続厚生年金基金又は存続連合会が、正当な理由がなくて、旧厚年法85条の3(第1号改定者の標準報酬の改定に伴う現価相当額の徴収)の規定により負担すべき徴収金を督促状に指定する期限までに納付しないときも同様とする。
■ 適用事業所等の事業主が、正当な理由がなくて、厚年法100条1項(立入検査等)の規定に違反して、文書その他の物件を提出せず、又は当該職員等の質問に対して答弁せず、もしくは虚偽の陳述をし、もしくは検査を拒み、妨げ、もしくは忌避したときは、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
■ 適用事業所等の事業主以外の者が、厚年法100条1項(立入検査等)の規定に違反して、当該職員の質問に対して答弁せず、もしくは虚偽の陳述をし、又は検査を拒み、妨げ、もしくは忌避したときは、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。(厚年法103条)
■ 次のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をしたものは、50万円以下の罰金に処する。(厚年法103条の2)
・ 国税徴収法141条の規定による徴収職員の質問に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をしたとき
・ 国税徴収法141条の規定による検査を拒み、妨げ、もしくは忌避し、又は当該検査に関し偽りの記載もしくは記録をした帳簿書類を提示したとき
■ 法人の代表者又は法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して上記の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。(厚年法104条)
■ 次のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした管理運用主体の役員又は職員は、20万円以下の過料に処する。(厚年法104条の2)
・ 厚年法79条の5第3項、79条の6第5項又は79条の8第1項の規定により公表しなければならない場合において、その公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき
・ 厚年法79条の5第4項の規定による主務大臣の命令又は厚年法79条の6第7項もしくは79条の7の規定による所管大臣の命令に違反したとき
・ 厚年法79条の6第4項の規定により承認を受けなければならない場合において、その承認を受けないで管理運用の方針を定め、又は変更したとき
■ 機構の役員は、次のいずれかに該当する場合には、20万円以下の過料に処する(厚年法104条の3)
・ 厚年法100条の6第1項・2項(機構が行う滞納処分等の認可及び徴収職員の任命に係る認可)、厚年法100条の7第1項(滞納処分等実施規程に係る認可)、厚年法100条の8第1項(機構が行う立入検査等に係る認可)並びに厚年法100条の11第2項(保険料等の収納を行う職員の任命に係る認可)の規程により厚生労働大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったとき
・ 厚年法100条の7第3項(滞納処分等の実施規程の変更命令)に違反したとき
■ 次に掲げる場合には、10万円以下の過料に処する。(厚年法105条)
・ 厚年法98条1項の規程に違反して、事業主が届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき
・ 厚年法98条2項(届出)の規定に違反して、被保険者が届出をせず、もしくは虚偽の届出をして、又は申出をせず、もしくは虚偽の申出をしたとき
・ 厚年法98条4項(受給権者の死亡の届出)の規定に違反して、戸籍法の規定による死亡の届出義務者が、届出をしないとき
[厚年法] 厚生年金保険法・重要箇所・Chapter15
届出等・権限の委任等
■ 適用事業所の事業主又は任意単独被保険者(厚年法10条2項)の同意をした事業主(事業主)は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者(被保険者であった70歳以上の者であって当該適用事業所に使用されるものとして厚生労働省で定める要件に該当するもの(70歳以上の使用される者)を含む)の資格の取得及び喪失(70歳以上の使用される者にあっては、厚生労働省令で定める要件に該当するに至った日及び当該要件に該当しなくなった日)並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。(厚年法27条)
・ 第2号厚生年金被保険者であり、もしくはあった者、第3号厚生年金被保険者であり、若しくはあった者又は第4号厚生年金被保険者であり、若しくはあった者及びこれらの者に係る事業主については、厚年法27条(届出)の規定は、適用しない。(厚年法31条の2)
■ 事業主は、被保険者、被保険者であった者(旧船員保険法による被保険者であった者、旧適用法人共済組合の組合員出会ったも者及び旧農林共済組合の組合員であった者を含む)又はこれらの者の遺族から、厚生年金保険法施行規則に規定する書類について証明を求められたときは、速やかに、正確な証明をしなければならない。(厚年則27条)
■ 事業主は、厚生年金保険に関する書類を、その完結の日から2年間、保存しなければならない。(厚年則28条)
■ 事業主は、厚生労働省令の定めるところにより、厚生年金保険法27条の規定する事項を除くほか、厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。
■ 被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に届け出、又は事業主に申出なければならない。
■ 受給権者又は受給権者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、厚生労働省令で定める事項を届け出、かつ、厚生労働省令の定める書類その他の物件を提出しなければならない。
■ 受給権者が死亡したときは、戸籍法の規定による死亡の届出義務者は、10日以内に、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。ただし、厚生労働省令で定める受給権者の死亡について、同法の規定による死亡の届出をした場合(厚生労働省令で定める場合に限る)は、この限りでない。(厚年法98条1項から4項)
・ 第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者、これらの者に係る事業主及び第2号厚生年金被保険者期間、第3号厚生年金被保険者期間又は第4号厚生年金被保険者期間に基づく保険給付の受給権者については、厚年法98条1項から4項までの規定は、適用しない。(厚年法98条5項)
・ 厚生労働省令で定める受給権者とは、厚生労働大臣は住民基本台帳法の規定により当該受給権者に係る機構保存本人確認情報の適用を受けることができる受給権者
・ 厚生労働省令で定める場合とは、受給権者の死亡の日から7日以内に当該受給権者に係る戸籍法の規定による死亡の届出をした場合
■ 年金たる保険給付の受給権者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者は、当該受給権者の所在が1か月以上明らかでないときは、速やかに、所定の事項を記載した届書を機構に提出しなければならない。(厚年則40条の2ほか)
■ 日本年金機構の設立に伴い、事業主、被保険者及び受給資格者の届出は、厚生労働大臣に行うこととされていたが、提出先は概ね「機構」である。
■ 事業主が行う主な届出
・ 船舶所有者以外5日以内、船舶所有者10日以内
・ 新規適用事業所の届出
・ 適用事業所に該当しなくなった場合の届出
・ 特定適用事業所の該当の届出(船舶所有者以外)
・ 被保険者資格取得届
・ 被保険者資格喪失届
・ 賞与額の届出
・ 被保険者の種別等の変更届
・ 被保険者の区分変更の届出
・ 事業主の氏名等の変更届(船舶所有者は速やかに)
・ 事業主変更の届出(船舶所有者以外・新規事業主が行う)
10日以内
・ 高齢任意加入被保険者に係る同意
・ 高齢任意加入被保険者に係る同意の撤回
・ 速やかに
報酬月額変更の届出(月額変更届)(船舶所有者は10日以内)
・ 育児休業を終了した歳の報酬月額変更の届出(船舶所有者は10日以内)
・ 標準報酬月額の特例の届出(3歳に満たない子を養育する場合の従前標準報酬月額みなし措置)
・ 被保険者の氏名変更届
・ 被保険者の住所変更届
・ 被保険者の個人番号の変更の届出
・ 保険料の徴収を行わない被保険者を使用する事業主は、当該被保険者が休業等終了予定日を変更したとき又は休業等終了予定日の前日までに育児休業等を終了したとき
・ 7/10まで
報酬月額の届出(算定基礎届)(船舶所有者は10日以内)
・ あらかじめ
・ 代理人選任の届出(船舶所有者以外)
■ 次の場合には資格喪失の届出は不要
・ 任意単独被保険者が厚生労働大臣の認可を受けて資格を喪失する場合
・ 適用事業所以外の事業所に使用される高齢任意加入被保険者が厚生労働大臣の認可を受けて資格を喪失する場合
・ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者が厚生労働大臣に申し出て資格を喪失する場合
・ 高齢任意加入被保険者が老齢又は退職を支給事由とする年金給付の受給権を取得したことにより資格を喪失する場合
・ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者(事業主の同意がある場合を除く)が保険料を滞納したことにより資格を喪失する場合
■ 70歳以上の使用される者についても、60歳台後半の在職高齢年金制度の対象とされたことに伴い、事業主は、一定の事項について届け出なければならない。
・ 70歳以上被用者該当届(5日以内)
・ 70歳以上被用者不該当届(5日以内)
・ 70歳以上被用者区分変更届(5日以内)
・ 70歳以上被用者月額変更届(速やかに)
・ 70歳以上被用者賞与支払届(5日以内)
・ 70歳以上被用者算定基礎届(7/1-10)
・ 70歳以上被用者育児休業等終了時報酬月額変更届(速やかに)
■ 70歳以上被用者該当届及び70歳到達時の被保険者資格喪失届の省略
・ 被保険者が、同一の適用事業所に引き続き使用されることにより「70歳以上の使用される者の要件」に該当するに至ったとき(当該者の標準報酬月額に相当する額が70歳以上の使用される者の要件に該当するに至った日の前日における標準報酬月額と同額である場合に限る)は、70歳以上被用者該当届及び70歳到達時の被保険者資格喪失届の提出を省略できる。
■ 70歳以上被用者該当の届出と被保険者の資格喪失の届出を同時に行うときは、70歳以上被用者該当の届出及び被保険者の資格喪失の届出は、当該事実があった日から5日以内に、「厚生年金保険被保険者資格喪失届・70歳以上被用者該当届」を機構に提出する異によって行うものとする。
■ 対象となる70歳以上の者を新たに雇い入れたときにも、70歳以上の使用される者の該当の届出が必要
■ 同一の適用事業所に引き続き使用される者については、70歳以上被用者該当届及び70歳到達時の被保険者資格喪失届の提出を省略できる場合がある(標準報酬月額相当額が70歳以上で使用される者の要件に該当するに至った日の前日における標準報酬月額と同額であることが要件)
■ 被保険者が行う主な届出
・ 日本年金機構へ提出
10日以内
・ 選択届
・ 被保険者又は70歳以上の使用される者は、同時に2以上の事業所に使用されるに至ったとき(当該2以上の事業所に係る日本年金機構の業務が2以上の年金事務所に分掌されている場合に限る)は、その者に係る機構の分掌する年金事務所を選択しなければならない。
・ 2以上の事業所勤務の届
・ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者の氏名変更届、住所変更届
・ 第4種被保険者の氏名変更届、住所変更届
・ 第4種被保険者が共済組合の組合員又は私学教職員共済制度の加入者になったことによる資格喪失の届
・ 速やかに
・ 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者の個人番号の変更の届出
・ 直ちに
・ 選択基金等の届出
・ 事業主へ提出
・ 速やかに
・ 氏名変更・住所変更・個人番号の申出(適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者及び第4種被保険者を除く)
・ 厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により機構保存本人確認情報の適用を受けることができない被保険者に限る
・ 直ちに
・ 基礎年金番号通知書等の提出
・ かつて被保険者であったことがある者は、被保険者(当然被保険者)の資格を取得したとき(70歳以上の使用される者にあっては、その要件に該当するに至ったときとし、事業主に個人番号を提供している場合を除く)は、直ちに、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を事業主に提出。
また、初めて当然被保険者の資格を取得した者は、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を所持しているとき(事業主に個人番号を提供している場合を除く)は、直ちに、当該書類を事業主に提出
■ 受給権者が行う主な届出
・ 厚生労働大臣が指定する日(指定日)までに
・ 機構保存本人確認情報の提供を受けることができない受給権者に係る届出
・ 加給年金額の対象者がある老齢厚生年金の受給権者等の届出
・ 加給年金額の対象者である子について、その障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定した者(障害の現状に関する医師等の診断書)
・ 老齢厚生年金の全額につき支給が停止されているとき及び老齢厚生年金の裁定が行われた日以後1年以内に指定日が到来する年については不要
・ 老齢厚生年金の受給権者に係る障害の現状に関する届出
・ 老齢厚生年金の受給権者であって、その障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定した者(その障害の現状に関する医師等の診断書)
・ 老齢厚生年金の全額につき支給が停止されているときは不要
・ 加給年金額の対象者がある障害厚生年金の受給権者の届出
・ 引き続き受給権者によって生計を維持している者
・ 障害厚生年金の額の全額につき支給が停止されているとき及び障害厚生年金の裁定が行われた日、額の改定が行われた日並びに全額支給停止の解除が行われた日以後1年以内に指定日が到来する年については不要
・ 障害厚生年金の受給権者に係る障害の現状に関する届出
・ 障害厚生年金の受給権者であって、その障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定したもの(その障害の現状に関する医師等の診断書)
・ 障害厚生年金の全額につき支給が停止されているときは不要
・ 遺族厚生年金の受給権者等に係る障害の現状に関する届出
・ 遺族厚生年金の受給権者であって、その障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定したもの(その障害の現状に関する医師等の診断書)
・ 遺族厚生年金の額の全部につき支給が停止されているときは、不要
10日以内
・ 氏名変更の届出
・ 住所変更の届出
・ 厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により当該受給権者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができない受給権者に限る
・ 死亡の届出
・ 厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる受給権者の死亡について、死亡の日から7日以内に戸籍法の規定による死亡の届出をした場合は、届出不要
・ 胎児出生の届出
・ 加給年金額対象者不該当の届出
・ 配偶者が65歳に達した場合
・ 子について18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した場合又は障害等級1級・2級にある子が20歳に達した場合、届出不要
・ 加給年金額対象者不該当の届出
・ 配偶者が65歳に達した場合、届出不要
・ 配偶者を有するに至ったときの届出
・ 障害等級1級又は2級の障害厚生年金の受給権者が、配偶者を有するに至った場合に提出
・ 業務上障害補償の該当の届出
・ 失権の届出
・ ただし、子又は孫について18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した場合、子又は孫が20歳に達した場合は届出不要
・ 氏名の変更の理由の届出
・ 氏名を変更した場合であって、厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる者であるため氏名変更の届書の提出を要さないとき
・ 速やかに
・ 個人番号の変更の届出
・ 加給年金額対象者の障害状態該当の届出
・ 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子が障害等級う1級・2級の障害の状態ん該当した場合に提出
・ 障害者特例不該当の届出
・ 3級以上の障害状態に該当しなくなり、障害者の特例に該当しなくなったとき
・ 国会議員等になったときの支給停止の届出
・ 国会議員等になったとき
・ 老齢厚生年金の受給権者でない被保険者が国会議員等になっても届出不要
・ 障害不該当の届出
・ 障害等級2級の障害厚生年金の受給権者について、その障害の程度が障害等級3級にも該当しない程度となったときは、障害厚生年金又は当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく障害基礎年金のいずれかについて、障害不該当の届出を日本年金機構に提出すれば良い
・ 障害状態該当の届出
・ 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子又は孫が障害等級1級又は2級の障害の状態に該当した場合に提出
・ 期限なし
・ 年金払渡方法等の変更の届出
・ 年金証書再交付の申請
■ 平成30年3月5日施行の改正により、被保険者、事業主又は受給権者が提出する届書等であって、その改正前は「基礎年金番号」を記載しなければならないこととされていたもの(一部を除く)について、「個人番号又は基礎年金番号」のいずれかの記載を求めることとされた。
■ 令和2年4月施行の改正で、特定法人を対象として、一部の届出(報酬月額算定基礎届、報酬月額変更届、賞与支払届(それぞれ、70歳以上被用者に係るものを含む))についての電子申請が義務化されることとなりました。
■ 届出の提出の経由
・ 新規適用事業所の届出に係る届書
・ 所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長経由
・ 適用事業所に該当しなくなった場合の届出に係る届書
・ 所轄公共職業安定所長経由(雇用保険法施行規則の届書を提出する場合)
・ 被保険者資格取得届
・ 所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長経由
・ 被保険者資格喪失届
・ 所轄公共職業安定所長経由
■ この規定は、労働保険・社会保険の届出で届出の計器が同じものは、まとめて一箇所に提出することができるという、いわゆる各行政機関等におけるワンストップでの届出を可能にするための規定です(令和2年1月施行)。なお、あくまでも、経由規定であり、最終的な提出先はこれまで通りである。
■ 厚生年金保険法に規定する厚生労働大臣の権限について、委任規定が設けられている。また、同法に規定する厚生労働大臣の権限に係る事務について、委任規定が設けられている。その他、厚生労働大臣の権限・事務等について、必要な規定が設けられている。
■ 厚生年金保険法に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより地方厚生局長に委任することができる。
■ 上記の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。
■ 上記の規定により厚年法28条の4の規定する厚生労働大臣の権限が地方厚生局長に委任された場合には、「社会保障審議会」とあるのは「地方年金記録訂正審議会」とする。
■ 厚生労働大臣は、滞納処分等その他の処分に係る納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠蔽しているおそれがあることその他の政令で定める事情があるため保険料その他この法律の規定による徴収金の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、財務大臣に、当該納付義務者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該納付義務者に係る滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を委任することができる。(厚年法100条の5第1項)
・ 政令で定める事情(厚年令4条の2の16)
・ 次のいずれにも該当すること
・ 納付義務者が厚生労働省令で定める月数分以上(24月分以上)の保険料を滞納していること
・ 納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠蔽しているおそれがあること
・ 納付義務者滞納している保険料等の額が厚生労働省令で定める金額以上(5千万円以上)であること
・ 滞納処分等その他の処分を受けたにもかかわらず、納付義務者が滞納している保険料等の納付について誠実な意思を有すると認められないこと
■ 次に掲げる厚生労働大臣の権限に係る事務は、機構に行わせるものとする。ただし、32から34まで及び36から38までに掲げる権限は、厚生労働大臣が自ら行うことを妨げない。
・ 任意適用事業所の適用に係る認可、取消に係る認可及びこれらの申請の受理、並びに適用事業所の一括に係る承認(法6条3項、8条1項、8条の2第1項、6条4項、8条2項)
・ 被保険者の資格の得喪の確認(18条1項)
・ 離婚時合意分割による標準報酬月額及び標準賞与額の改定又は決定(法78条の6第1項・2項)
・ 32 戸籍事項に関する証明書の受領(法95条)
・ 33 受給権者(脱退一時金を含む)に対する書類その他の物件の提出命令及び質問(法96条1項)
・ 34 受給権者及び加給年金額の加算対象となっている子への受診命令及び診断(法97条1項)
・ 36 事業所への書類その他の物件の提出命令並びに質問及び検査(法100条1項)
・ 37 官公署等への資料の提供の求め(法100条の2)
・ 38 100条の5第2項の規定(財務大臣の滞納処分等その他の処分の執行の状況及び結果の報告)による報告の受理(法100条の5第2項)
■ 滞納処分等実施規程の認可等(厚年法100条の7)、機構が行う滞納処分等に係る認可等(厚年法100条の6)、機構が行う立入検査等に係る認可等(厚年法100条の8)に国民年金法109条の6から109条の8と同様の規程が設けられている。
■ 日本年金機構において国の毎会計年度所属の保険料等を収納するのは、翌年度の4月30日限りとする(厚年令4条の7)
[国年法] 国民年金法・重要箇所・Chapter1
■ 現在の日本の年金制度は、主に自営業者を対象とする国民年金制度とサラリーマン・公務員等を対象とする厚生年金保険制度を主体として、国民皆年金の体制が作られている。現在の姿に至るまでの沿革を、国民年金制度を中心に確認しておく。
■ 国民年金制度の沿革
・ 昭和14年 船員保険法
・ 昭和17年 労働者年金保険法
・ 昭和19年 労働者年金保険法→厚生年金保険法
・ 昭和29年 新厚生年金保険法
・ 昭和34年4月 国民年金法(制定)
・ 昭和34年11月 福祉年金(開始)
・ 昭和36年4月1日 国民年金法(施行)→国民皆年金
・ 昭和61年4月1日 改正→基礎年金(新法)
■ 国民年金制度は、昭和61年4月1日前までは、厚生年金保険や共済組合などの被用者年金制度に加入していない自営業者のみを対象としていた。
■ 昭和61年4月1日からの新しい制度では、この国民年金制度の適用がすべての国民に拡大され、被用者年金制度(厚生年金制度・共済組合等)の加入者とその被扶養配偶者も被保険者となった。従って、被用者年金制度の加入者は、同時に国民年金にも二重加入していることになる。そのため、国民年金のことを、「基礎年金」と呼んでいる。
■ 国民皆年金は、昭和36年4月に、それまで整備されていた被用者年金制度に加えて、被用者以外の一般国民(20歳以上60歳未満の自営業者等)を対象とする国民年金制度(保険料の拠出を伴わない無拠出制の福祉年金は昭和34年から開始されている)がスタートすることによって達成された。複数の年金制度の加入期間を通算することができる通算年金制度が導入されたのも昭和36年4月のことである。
■ 昭和36年4月から保険料拠出制の国民年金がスタートして、「国民皆年金」の実現といわれたが、当時はまだ夫がサラリーマンである専業主婦などは「任意加入」とされたため、決して皆年金とは言い難いものだった。
■ その後25年経過した昭和61年4月になって、国民年金だけではなく、厚生根人保険等他の年金制度も含めた大きな改正が行われた。
■ ここまでの説明でわかる通り、昭和61年4月を境に、日本の年金制度は大きく変わることとなった。そこで、便宜上、昭和61年4月前を旧法時代、昭和61年4月以降を新法施行日以後と呼ぶことにしている。
■ また、昭和34年4月に国民年金法が制定された後、全額国庫負担である保険料無拠出制の給付が11月から開始されたが、この制度では、制度の発足時に既に高齢に達していた人や身体障害の人、また母子状態の人が適用対象となっている。保険料の拠出を伴わないことから、「福祉年金」とも呼ばれている。
■ なお、最近、日本の年金制度について、「被用者年金制度の一元化(平成27年10月1日施行)」、「老齢基礎年金等の受給資格期間の短縮(平成29年8月1日施行)」といった大きな改正が行われている。
■ 平成27年10月から「被用者年金制度の一元化」が実施された。これは、いわゆる2階部分の被用者年金制度に関する改正であり、1階部分の国民年金については、制度の仕組み自体に変更はない。しかし、試験対策上、用語の変更などに対応する必要がある。
■ 「被用者年金制度の一元化」の詳しい学習は厚生年金保険法で行うが、その概要や厚生年金保険の被保険者の種別など、国民年金法を学習するうえで知っておきたいこともある。
■ 国民年金法の目的と給付の全体的な概要に関して規定している。日本国憲法25条2項に規定する理念を具体化するために創設された制度で、老齢、障害、死亡によって国民生活の安定が損なわれることを防止し、健全な国民生活の維持、向上に寄与することを目的とした社会保障制度である。
■ 国民年金制度は、日本国憲法25条2項に規定する理念に基づき、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。(国年法1条)
■ 国民年金は、国民が老齢、障害又は死亡という事故の発生による貧困化を防止すること(防貧的政策)を目的として制定された制度である。
■ 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。(日本国憲法25条2項)
■ 国民年金は、国民年金法1条の目的を達成するため、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な給付を行うものとする。(国年法2条)
■ 保険制度の一つである国民年金法では、一定の事故(保険事故)が生じた場合に一定の給付を行うという仕組みになっている。国民年金法では、老齢、障害及び死亡を主な保険事故としており、これらの保険事故が発生した場合に必要な給付が行われることとなる。
■ 保険事故と給付
・ 老齢
・ 老齢基礎年金(老齢福祉年金)・付加年金
・ 障害
・ 障害基礎年金(1級、2級)
・ 死亡
・ 遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金
■ これらの給付以外に、「特別一時金」及び「脱退一時金」の給付も行われている。
■ 国民年金制度においては、老齢福祉年金に見られるように、保険料の拠出を伴わない給付が行われたり、後述のように保険料を免除する取扱いが導入されていることから、基本的には社会保険の仕組みを採用しているにもかかわらず、「国民年金保険法」とせず、「国民年金法」、又は「保険給付」とせずに「給付」という用語の使い方をしている。
■ ~福祉年金という名称であって、新法制度において給付が行われているのは老齢福祉年金のみである。
■ 母子年金と母子福祉年金、準母子年金と準母子福祉年金は、それぞれ全く別の年金給付である。
■ 国民年金事業は、政府が、管掌する。
■ 国民年金事業の事務の一部は、政令で定めるところにより、法律によって組織された共済組合(共済組合)、国家公務員共済組合連合会、全国市町村職員共済連合会、地方公務員共済連合会又は私立学校教職員共済法のきていにより私立学校教職員共済制度を管掌することとされた日本私立学校復興・共済事業団(共済組合等)に行わせることができる。
■ 国民年金事業の事務の一部は、政令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む)が行うことができる。(国年法3条)
■ 共済組合(国家公務員共済組合連合会又は全国市町村職員共済組合連合会を組織する共済組合であって、当該連合会)又は日本私立学校復興・共済事業団に行わせる事務については、国年令1条に規定されている。
■ 市町村長が行うこととすることができる事務については、国年令1条の2に規定されており、その一例として以下のものがある。
・ 第1号被保険者としての被保険者期間のみを有する者に支給する老齢基礎年金を受ける権利の裁定請求の受理及びその請求に係る事実についての審査に関する事務
・ 任意加入被保険者の資格の取得・喪失及び口座振替納付等、特例による任意加入被保険者の資格の取得・喪失及び口座振替納付等の申出の受理及びその申出(口座振替納付等の申出を除く)に係る事実についての審査に関する事務
・ 国民年金法16条に規定する給付を受ける権利の裁定(一定の給付を受ける権利の裁定に限る(例えば、死亡一時金を受ける権利の裁定))の請求の受理及びその請求に係る事実についての審理に関する事務
・ 付加保険料を納付することとなること及び納付するものでなくなることの申出の受理及びその申出に係る事実についての審査に関する事務
・ 保険料免除に係る申請の受理及びその申請に係る事実についての審査に関する事務
■ 市町村長が行うこととすることができる事務は、地方自治法に規定する第1号法定受託事務とされている。
■ 給付の支払に関する事務は、厚生労働大臣が取り扱う。
■ 脱退一時金の支払に関する事務は、厚生労働大臣が取り扱う。(国年法14条の5)
■ 事務を担当する行政庁については、過去問題の範囲で押さえておけば足りる。
■ 年金額の改定について規定している。公的年金制度の特徴は物価水準や賃金水準に併せた年金額の改定を行う点にある。この規定は、一般的な宣言をしたものであり、具体的には、①調整機関(国年法16条の2)と②改定率の改定(国年法27条の2~5)の2つの規定により実現されている。
■ 国民年金法による年金の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講じられなければならない。(国年法4条)
■ 政府は、少なくとも5年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びに国民年金法に依る給付に要する費用の額その他の国民年金事業の財政に係る収支についてその元凶及び財政均衡期間における見通し(財政の現況及び見通し)を作成しなければならない。
■ 上記の税制均衡期間(国民年金法16条の2第1項において財政均衡期間)は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね100年間とする。
■ 年金の財政に係る計算方法
・ 給付と負担の均衡に関する考え方
・ 平成16年改正前の仕組み
・ 永久均衡方式
・ 改正後の仕組み
・ 有限均衡方式(おおむね100年
・ 給付と負担の見直しの具体的方法に関する考え方
・ 平成16年改正前の仕組み
・ 給付水準維持方式(5年ごと)
・ 改正後の仕組み
・ 保険料水準固定方式
■ 政府は、国民年金法4条の3第1項の規定により財政の現況と見通しを作成するにあたり、国民年金事業の財政が、財政均衡期間の終了時に給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金(年金特別会計の国民年金勘定の積立金をいう)を保有しつつ当該財政均衡期間にわたってその均衡を保つことができないと見込まれる場合には、年金たる給付(付加年金を除く)の額(給付額)を調整するものとし、政令で、給付額を調整する期間(調整期間)の開始年度を定めるものとする。
■ 平成16年の法改正において、従来の仕組み(5年に1度財政再計算を行って将来にわたって給付と負担が均衡するように見直していく方式)から、保険料の水準を固定した上で、年金財政が均衡するまでの間、給付水準の調整を行っている期間(調整期間)については、年金を支える力の現象や平均余命の伸びを年金額の改定に反映させ、その伸びを一人当たりの賃金の伸びや物価の伸びよりも抑えることとした。この仕組みのことを「マクロ経済スライド」と呼ぶ
■ 調整期間とは、このマクロ経済スライドが適用される期間のことであり、調整期間の開始年度は平成17年度とされる。(国年令4条の2)
■ 平成16年版厚生労働白書には年金の財政方式の方式と積立金の活用についても言及が行われている。
■ 「将来にわたり年金財政を均衡させる現行の財政計算の方式(永久均衡方式)を見直し、約100年で財政均衡を図ることとし、積立金は、約100年後の給付費の1年分程度の積立金を保有する方法(有限均衡方式)を採用する。これにより、現在保有している3から5年分の積立金は、高齢化率の高まる次世代及び次々世代の給付に活用されることになる」(平成16年版厚生労働白書P213)
■ 通常の場合、年金を初めて受給する場合(65歳時点)には、一人当たり手取り賃金の伸びを反映して年金額が裁定され、受給後に、物価の伸びで改定されるが、固定した保険料負担の範囲内でバランスがとれるようになるまでは、年金額の計算にあたって賃金や物価の伸びをそのまま使うのではなく、年金額の伸びを自動的に調整する仕組みを導入する。
■ この年金額の調整を行う機関においては、年金制度を支える力を表す被保険者数の減少率や平均余命の伸び等を勘案した一定率を年金額の改定に反映させ、改定率を一人当たり手取り賃金や物価の伸びよりも抑制することとする。(この仕組みを「マクロ経済スライド」)
■ ただし、一人当たり手取り賃金や物価の伸びが小さく、調整を行うと現在受給している年金額(名目)を下回ってしまう場合には、名目額を下限として調整を行う(前年度の年金額と同額とする)こととする。また、一人当たり手取り賃金や物価の伸びがマイナスの場合には、その下落分は年金額に反映させることになるが、それ以外の調整は行わないこととする。
■ なお、この自動調整の仕組みの下でも、基礎年金又は厚生年金の給付水準については、現役世代の可処分所得に対する高齢夫婦世帯の消費支出の割合が50%程度となっていることなどを踏まえ、65歳となり年金を受け取り始める時点において、厚生年金の標準的な年金額が、現役世代の平均賃金の50%を上回るような水準を確保することとしている。(2023(平成35)年度以後50.2%と試算)(平成17年版厚生労働白書)
■ 年金額改定の考え方
・ 改正前 → 新規裁定者(賃金の伸びで改定)【賃金スライド】
・ 改正前 → 既裁定者(物価の伸びで改定)【物価スライド】
・ 改正後 → 新規裁定者(一人当たりの手取り賃金の伸び率-スライド調整率)
・ 改正後 → 既裁定者(物価の伸び率-スライド調整率)
■ スライド調整率とは、公的年金全体の被保険者数の減少率(0.2%)+平均余命の伸びを勘案した率(△0.3%)=合計△0.1%(令和3年度)→これを、賃金上昇率又は物価上昇率から差し引くことになる。
■ なお、「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律(平成28年法律114号)」により、平成30年4月1日から、マクロ経済スライドによる調整ルールの見直しが行われることとなった。
■ その改正内容について、平成29年版厚生労働白書において、次のように説明されている。
■ 「マクロ経済スライドは、少子高齢化が進む中で、現役世代の負担が過重なものにならないように、保険料の上限を固定し、その限られた財源の範囲内で年金の給付水準を徐々に調整する仕組みとして導入されたものであり、賃金・物価がプラスの場合に限り、その伸びを抑制する形で年金額に反映させるものである。マクロ経済スライドによる調整をより早く終了することができれば、その分、将来年金を受給する世代(将来世代)の給付水準が高い水準で安定することになる。
■ このため、マクロ経済スライドによる調整をできるだけ早期に実現するために、現在の年金受給者に配慮する観点から、年金の名目額が前年度を下回らない措置(名目下限措置)は維持しつつ、賃金・物価上昇の範囲内で、前年度までの未調整分(キャリオーバー分)を含めて調整することとした」
■ 条文には、いわゆるキャリーオーバ分を反映させるため、「特別調整率」という用語が登場
■ 調整期間における改定率の改定の基準は、簡単に言えば、原則として、次のようになる。
・ 新規裁定者→名目手取り賃金変動率×調整率×前年度の特別調整率(毎年度改定)
・ 既裁定者→物価変動率×調整率×前年度の(基準年度以後)特別調整率(毎年度改定)
■ 政府は、社会保険制度に関する国会の審議を踏まえ、社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付のあり方を含め、一体的な見直しを行いつつ、これとの整合を図り、公的年金制度について必要な見直しを行うものとする。(平成16年国年法附則3条1項・2項・平成21年国年法附則2条)
■ 用語の定義をしっかり押さえる必要がある。なお、被用者年金制度の一元化に伴い、一部の用語が変更されている。
■ 保険料納付済期間とは、次の期間を合算した期間をいう。(国年法5条1項)
・ 国民年金第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)としての被保険者期間のうち保険料を納付した期間(督促により滞納していた保険料を納付した期間を含む)及び国民年金法88条の2の規定(産前産後期間の保険料免除の規定)により納付することを要しないものとされた保険料に係るもの
・ 保険料4分の3免除、半額免除、4分の1免除の期間は除かれる。
・ 国民年金の第2号被保険者としての被保険者期間
・ 国民年金の第3号被保険者としての被保険者期間
■ 第1号被保険者期間とは、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の意営業者等であった期間
■ 第2号被保険者期間とは、厚生年金保険の被保険者であった期間
■ 第3号被保険者期間とは、第2号被保険者の日不法配偶者で20歳以上60歳未満であった期間
■ 後述のように、第2号被保険者期間のうち、20歳未満及び60歳以上の期間については、老齢基礎年金の年金額に直接反映されるわけではなく、老齢基礎年金の計算においては、保険料納付済期間とはされないが、国民年金法の定義上20歳未満の期間及び60歳以上の期間についても保険料納付済期間となる。
■ 任意加入被保険者、特例による任意加入被保険者としての被保険者期間は、保険料納付済期間の規定の適用についても、ともに第1号被保険者としての被保険者期間とされる。
■ 第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除の規定により、保険料の納付を免除された期間は、「保険料納付済期間」となる。
■ 保険料全額免除期間とは、第1号被保険者としての被保険者期間であって法定免除(国年法89条1項)、申請免除(国年法90条1項)、学生等の保険料納付特例(国年法90条の3第1項)の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るもののうち、追納の規定により納付されたものとみなされる保険料に係る被保険者期間を除いたものを合算した期間をいう。(国年法5条3項)
■ 保険料納付猶予制度(若年者(30歳未満)の納付猶予又は50歳未満の納付猶予)の対象となった期間も、追納をした場合を除き、保険料全額免除期間に算入される。(平成16年国年法附則19条、平成26年国年法附則14条)
■ 保険料4分の3免除期間とは、第1号被保険者としての被保険者期間であって保険料4分の3免除の規定によりその4分の3の額につき納付することを要しない者とされた保険料(納付することを要しないものとされた4分の3の額以外の4分の1の額につき納付されたものに限る)に係るもののうち、追納の規定により納付されたものとみなされる保険料に係る被保険者期間を除いたものを合算した期間をいう。(国年法5条4項)
■ 保険料半額免除期間とは、第1号被保険者としての被保険者期間であって保険料半額免除の規定によりその半額につき納付することを要しないものとされた保険料(納付することを要しないものとされた半額以外の半額につき納付されたものに限る)に係るもののうち、追納の規定により納付されたものとみなされる保険料に係る被保険者期間を除いたものを合算した期間をいう。(国年法5条5項)
■ 保険料4分の1免除期間とは、第1号被保険者としての被保険者期間であって保険料4分の1免除の規定によりその4分の1の額につき納付することを要しないものとされた保険料(納付することを要しないものとされた4分の1の額以外の4分の3の額につき納付されたものに限る)に係るもののうち、追納の規定により納付されたものとみなされる保険料に係る被保険者期間を除いたものを合算した期間をいう。(国年法5条6項)
■ 保険料の一部(4分の3、半額、4分の1)免除期間は、その支払うべき一部の額のみが納付されている場合は、保険料納付済期間ではなく、保険料免除期間になる。
■ 国民年金法において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。(厚年法5条7項)
■ いわゆる「内縁の妻」「内縁の夫」も含まれることになっている。社会保険関係の法律では、事実状態を重視することからこのような規定になっている。
■ 事実婚関係
・ 認定の要件
・ 事実婚関係にある者とは、いわゆる内縁関係にある者でいうのであり、内縁関係とは、婚姻の届出を欠くが、社会通念上、夫婦としての共同生活と認められる事実関係をいい、次の要件を備えることを要するものであること
・ 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること
・ 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること
・ 除外の範囲
・ 前記の認定の要件を満たす場合であっても、当該内縁関係が反倫理的な内縁関係である場合、すなわち、民法734条(近親婚の制限)、735条(直径姻族間の婚姻の禁止)又は736条(養親子関係者間の婚姻禁止)の規定のいずれかに違反することになるような内縁関係にある者(近親婚者)については、これを事実婚関係にある者とは認定しないものとする。
・ 離婚後の内縁関係の取扱い
・ 離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされているにも関わらず、その後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者の取扱いについては、その者の状態が前記の認定の要件に該当すれば、これを事実婚関係にある者として認定するものとすること
■ 重婚的内縁関係
・ 認定の要件
・ 届出による婚姻関係にある者が重ねて他のものと内縁関係にある場合の取扱いについては、婚姻の成立が届出により法律上の効力を生ずることとされていることからして、届出による婚姻関係を優先すべきことは当然であり、したがって、届出による婚姻関係がその実態を全く失ったものとなっているときに限り、内縁関係にある者を事実婚関係にある者として認定するものとすること
・ なお、内縁関係が重複している場合については、先行する内縁関係がその実態を全く失ったものとなっているときを除き、先行する内縁関係における配偶者を事実婚関係にある者とすること
・ 届出による婚姻関係がその実態を全く失ったものとなっているとき」には、次のいずれに該当する場合等が該当する者として取り扱うこととすること
・ 当事者が離婚の合意に基づいて夫婦としての共同生活を廃止していると認められるが戸籍上離婚の届出をしていないとき
・ 一方の悪の遺棄によって夫婦としての共同生活が行われていない場合であって、その状態が長期間(おおむね10年程度以上)継続し、当事者双方の生活関係がそのまま固定していると認められるとき
・ 「夫婦としての共同生活の状態にない」といい得るためには、次に掲げる全ての要件に該当することを要するものとすること
・ 当事者が住居を異にすること
・ 当事者間に経済的な依存関係が反復して存在していないこと
・ 当事者間の意思の疎通を表す音信又は訪問等の事実が反復して存在していないこと
■ 「子」については、配偶者とは異なる取扱いがされる。つまり、「子」は法律上の子(実子又は養子)のみをいい、事実上養子縁組と同様の事情にあっても「子」とはならない。
■ 「政府及び実施機関」は、後に出てくる基礎年金拠出金の納付主体のことをいう。(国年法5条8項)
■ 「実施機関たる共済組合等」は、厚年法2条の5に規定されている実施機関のうち一定のものである。前出の事務の委託に係るものとして定義されている「共済組合等」と異なり、「実施機関たる共済組合等」には、「法律によって組織された共済組合」「全国市町村職員共済組合連合会」が含まれていない。(国年法5条9項)
■ 国民年金手帳の記号番号又は基礎年金番号通知書(平成9年1月1日現在、国民年金の強制被保険者又は任意加入被保険者である者に対して交付された通知書)の番号のことをいう。基礎年金番号制の実施(平成9年1月)により従来使用されていた年金手帳の記号番号及び年金証書の記号番号が各制度共通の基礎年金番号に改められた。
■ 日本年金機構法の施行に併せて、基礎年金番号のことが法律条文(国年法14条に明記され、基礎年金番号の利用制限等(国年法108条の4)といった規定も設けられている。
■ なお、令和4年4月1日施行の改正で、国民年金手帳が廃止されることになった。
■ 基礎年金番号は、この改正前は、「国民年金手帳の交付を受けた者については国民年金手帳の記号番号」とされていたが、その規定も削除され、基礎年金番号は、「基礎年金番号通知書に記載された記号番号」ということとされた。(国年則1条)
[国年法] 国民年金法・重要箇所・Chapter2
被保険者
■ 第1号被保険者とは、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者(第2号被保険者、第3号被保険者に該当する者を除く)
■ ただし、厚生年金保険法に基づく老齢を支給事由とする年金たる保険給付その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であって政令で定めるもの(厚生年金保険法に基づく老齢給付等)を受けることができる者その他国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者は、適用除外となる。(国年法7条1項1号)
■ これらの給付は60歳未満のものに対して支給されることがある。その場合には、後述の任意加入被保険者とのあることができる場合がある。
■ 第1号被保険者から除外される「国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定めるもの」(国年則1条の2)
・ 日本の国籍を有しない者であって、出入国官吏及び難民認定法(入管法)の規定に基づく入管法別表1の5の表の下欄に掲げる活動(特定活動)として法務大臣が定める活動のうち、本邦に相当期間滞在して、病院若しくは診療所に入院し疾病若しくは障害について医療を受ける活動又は当該入院の前後に当該疾病若しくは障害について継続して医療を受ける活動を行うもの及びこれらの活動を行う者の日常生活上の世話をする活動を行うもの
・ 日本の国籍を有しない者であって、入管法の規定に基づく入管法別表1の5の表の下欄に掲げる活動(特定活動)として法務大臣が定める活動のうち、本邦において1年を超えない期間滞在し、観光、保養その他これらに類似する活動を行うもの
■ 厚生年金保険の被保険者(65歳以上の者にあっては、老齢厚生年金、国年法による老齢基礎年金その他老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有しない被保険者に限る)(国年法7条1項2号、国年法附則3条)
■ 第2号非保険者とは、厚生年金保険の被保険者をいう。つまり、サラリーマンや公務員は厚生年金保険の被保険者であるとともに国民年金法上の被保険者にもなっている。
■ 第2号被保険者の配偶者(日本国内に住所を有する者又は外国において留学する学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者として厚生労働省令で定める者に限る)であって主として第2号被保険者の収入により生計を維持するもの(第2号被保険者である者その他国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。「被扶養配偶者」)のうち20歳以上60歳未満の者(国年法7条1項3号)
■ 被扶養配偶者であることの認定は、健康保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法及び私立学校教職員共済会における被扶養者の認定の取扱いを勘案して機構が行う(国年令4条)
■ 日本国内に住所を有しないが第3号被保険者になれる者である「外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるもの」(国年則1条の3)
・ 外国において留学をする学生
・ 外国に赴任する第2号被保険者に同行する者
・ 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者
・ 第2号被保険者が外国に赴任している間に当該打2号被保険者との身分関係が生じた者であって、上記に掲げる者と同等と認められるもの
・ その他、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者
■ 第3号被保険者から除外される「国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者」(国年則1条の2)
・ 第1号被保険者から除外される「国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者」と同じ
■ 令和2年4月1日を施行日として、第3号被保険者に、原則として国内居住要件を設けるなどの改正が行われた。健康保険法の被扶養者についても同様の改正が行われていることを確認しておきましょう
■ 被保険者の種別
・ 第1号被保険者
・ 国内居住要件 あり
・ 年齢 20歳以上60歳未満
・ 厚生年金保険法による老齢給付等を受けることができる者・特別の理由がある者を除く
・ 第2号被保険者
・ 国内居住要件 なし
・ 年齢 なし
・ 65歳以上の者は老齢給付の受給権を有しない者に限る
・ 第3号被保険者
・ 国内居住要件 あり(原則)
・ 年齢 20歳以上60歳未満
・ 第2号非保険さの被扶養配偶者であること・特別の理由がある者を除く
■ 厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けている場合においても、所定の要件を満たせば第3号被保険者となる。
■ いずれも国籍要件は必要とされていない。
■ 第2号被保険者には、原則として年齢要件がないことから、20歳未満あるいは60歳以上のものであっても第2号被保険者となる。ただし、65歳以上の者については、「老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付の受給権を有しない者」に限って第2号被保険者となる。(厚生年金保険法に規定する高齢任意加入被保険者は70歳以上であるが、「老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付の受給権を有しない者」であるから、第2号被保険者となる。
■ 国民年金制度における20歳未満の自営業者等の取扱いについては、厚生年金保険の適用事業所に使用される者との均衡を考慮して、今後検討が加えられ、必要なs地を講ずることとなっている。(昭和60年国年法附則4条)
■ 平成24年7月9日から外国人登録制度が廃止され、適法に3月を超えて在留する等の外国人であって住所を有する者は住民基本台帳法の適用対象とされること等を踏まえ、国民年金における外国人の適用については、次の時効に留意し遺憾なきよう取り扱われたい。
・ 適用対象者
・ 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の外国人(日本国籍を有しない者をいう)で国民年金法7条1項2号又は3号の規定に該当しない者が同項1号に規定する第1号被保険者となる(外国人第1号被保険者)が、その事務の取扱いは、原則として住基法改正法による改正後の住民基本台帳法30条の45に規定する外国人住民(外国人住民)であって住民基本台帳に記録された者を対象者とする。
・ ただい、外国人で住民基本台帳に記録されない短期滞在者等のうち、日本国内に住所を有することが明らかになった者についても適用の対象とする。
・ 被保険者の資格取得日及び資格喪失日
・ 資格取得及び種別変更
・ 日本国内に住所を有する外国人第1号被保険者の資格取得年月日は、原則として外国人住民となった年月日とする。
・ 外国人住民が厚生年金の被保険者である国民年金第2号被保険者から引き続き外国人第1号被保険者に移行した場合の種別変更年月日は第2号被保険者でなくなった年月日とする
・ 外国人住民が第3号被保険者から引き続き外国人第1号被保険者に以降した場合の種別変更年月日は第3号被保険者でなくなった年月日とする
・ 住民基本台帳に記録されない短期滞在等の在留資格を有する者のうち、日本国内に住所を有することが明らかとなった外国人の資格取得年月日は、資格取得届け出日以降に住所が明らかとなった年月日とする。
・ 資格喪失
・ 外国人第1号被保険者が日本国内に住所を有しなくなったときの資格喪失年月日は、原則、出国の日の翌日とする。
・ 在留資格を取り消されたこと等により、市町村が外国人住民の住民票を消除したときの資格喪失年月日は、その消除事由該当年月日の翌日とする。
・ ただし、短期滞在等の在留資格を有し、引き続き日本国内に住所を有することが明らかである場合は、資格喪失とならない。
・ 再入国許可の有効期間(みなし再入国許可期間)までに再入国しなかったときの資格喪失年月日は、再入国許可期間(みなし再入国許可期間)を経過した日とする。
・ 住民基本台帳に記録されない短期滞在等の在留資格を有する者のうち、外国人第1号被保険者とされている者の被保険者資格に関し、日本年金機構が被保険者や官公署に対して調査した結果、在留期間の経過若しくは出国事実又は客観的居住事実がないことを確認したときはその事実の翌日とする。
■ 資格取得の時期(国年法8条)
・ 第2号被保険者、第3号被保険者のいずれにも該当しない者が20歳に達したとき
・ 外国に住所があった20歳以上60歳未満の者が日本国内に住所を有するに至ったとき
・ 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者が、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者その他国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者でなくなったとき
・ 20歳未満の者又は60歳以上の者については、厚生年金保険法の被保険者の資格を取得したとき
・ 上記以外のものについては、厚生年金保険法の被保険者の資格を取得したとき、又は被扶養配偶者となったとき。
■ 20歳に達した日とは、例えば昭和16年4月2日に生まれた者の場合は、昭和36年4月1日、すなわち20歳の誕生日の前日である。(昭和36年国発33号)
■ 資格喪失の時期(国年法9条、国年法附則4条の2)
・ その日の翌日
・ 死亡したとき
・ 第1号被保険者が日本国内に住所を有しなくなったとき(日本国内に住所を有しなくなった日に更に第2号被保険者又は第3号被保険者になったときは、その日の資格を喪失する)
・ 国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者となったとき(第2号非保険者又は第3号被保険者に該当するときを除く)
・ 被扶養配偶者でなくなったとき(第1号被保険者又は第2号被保険者に該当するときを除く)
・ その日
・ 60歳に達したとき(第2号被保険者に該当するときを除く)
・ 厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者となったとき(第2号被保険者又は第3号被保険者に該当するときを除く)
・ 厚生年金保険の被保険者の資格を喪失したとき(第1号被保険者、第2号被保険者又は第3号被保険者に該当するときを除く)又は65歳に達したとき(第2号被保険者に該当するときを除く)
■ 「任意加入被保険者」の制度は、国民年金の適用を除外されている者について、本人の希望によって国民年金に加入することができる制度である。この制度は、2つの目的で作られている。
■ 老齢基礎年金の支給を受けるためには、一定年数の加入期間(受給資格期間)が必要になる。(詳しい仕組みは老齢基礎年金の中で)が、1つは、この加入期間不足を補うためであり、年金の受給権の取得を目的とするものである。
■ もう1つの目的は、年金額を増やすことである。20歳から60歳までの間に保険料未納期間等がある場合には、老齢基礎年金の額が未納期間相当分だけ減額されることになるが、このような場合にこの制度を活用することで、より満額に近い年金額を受給することができる。
■ 任意加入被保険者の制度には、国年法附則5条に規定されている任意加入被保険者と、平成6年の法改正で追加された特例による任意加入被保険者の2つの制度がある。
■ 国年法附則5条の任意加入被保険者は、受給権の取得と年金額を増やす目的の両方で利用できる。これに対して、特例による任意加入被保険者は、受給権のしゅとくのみを目的として利用できるという点で異なっている。
■ 受給資格期間を満たすためと年金額を満額に近づけるために設けられている制度である。
■ 次のいずれかに該当する者(第2号被保険者及び第3号被保険者を除く)は、厚生労働大臣に申し出て、被保険者となることができる。(国年法附則5条1項)
・ 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のものであって、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者(国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く)
・ 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者(国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く)
・ 日本国籍を有する者その他政令で定める者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満のもの
■ 具体例
・ 厚生年金保険では、従来、女子や船員等は60歳前から特別支給の老齢厚生年金を受けることができた。これらに該当し、かつ在職中でない者が任意加入する場合
・ 老齢(退職)に関する年金の受給資格期間を満たしていない者や、受給資格期間は満たしているが、保険料納付済期間が少ない者等が加入する場合。
・ 海外にいる日本人(在外邦人)が加入する場合
■ 国年法附則5条1項1号又は2号に該当する者が任意加入被保険者の資格取得の申出を行おうとする場合には、口座振替納付を希望する旨の申出又は口座振替納付によらない正当な事由がある場合として厚生労働省令で定める場合に該当する旨の申出を厚生労働大臣に対してしなければならない。(国年法附則5条2項)
■ 任意加入の申出を行おうとする者は、口座振替納付を希望する旨又は口座振替納付によらない正当な事由(任意加入の申出を行う時点において預金口座又は貯金口座を有していない場合など)がある旨の申出を厚生労働大臣に対してしなければならないこととした。
■ 任意加入被保険者の資格は、厚生労働大臣にその申出をした日(その日)に取得する。(国年法附則5条3項)
■ 任意加入被保険者の資格取得の申出は、所定の事項を記載した申出書を、住所地の市町村長を経由して提出することによって行われなければならない。(国年則2条1項、13条)
■ 任意加入被保険者は、いつでも、厚生労働大臣に申し出て、被保険者の資格を喪失することができる。
■ 任意加入被保険者は、1に該当するに至った日の翌日又は2から5に該当するに至った日に被保険者資格を喪失する。
・ 死亡したとき → 翌日
・ 65歳に達したとき → その日
・ 厚生年金保険の被保険者の資格を取得したとき → その日
・ 厚生労働大臣に対する資格喪失の申出が受理されたとき → その日
・ 国民年金法27条各号に掲げる月数を合算した月数が480に達したとき → その日
■ 任意加入被保険者の資格喪失の申出は、所定の事項を記載した申出書に、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えて、これを機構に提出することによって行われなければならない。(国年法附則5条4項・5項・国年則6条)
■ 65歳に達した日とは、65歳の誕生日の前日を指す。
■ 老齢基礎年金の繰上支給の請求を行った者は、任意加入被保険者となることはできない。
■ 厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる任意加入被保険者の資格喪失時期(国年法附則5条6項)
・ 日本国内に住所を有しなくなったとき → 翌日
・ 上記に該当するに至った日に更に被保険者に資格を取得したときは、その日に資格を喪失する。
・ 厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者で亡くなったとき → その日
・ 被扶養配偶者となったとき → その日
・ 保険料を滞納し、督促状の指定の期限までに、その保険料を納付しないとき → 指定期限の翌日
・ 国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者となったとき → 翌日
■ 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の任意加入被保険者の資格喪失時期(国年法附則5条7項)
・ 日本国内に住所を有しなくなったとき → 翌日
・ 上記に該当するに至った日に更に被保険者の資格を喪失したときは、その日に資格を喪失する。
・ 保険料を滞納し、督促状の指定の期限までに、その保険料を納付しないとき → 指定期限の翌日
・ 国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者となったとき → 翌日
■ 20歳以上65歳未満の在外邦人である任意加入被保険者の資格喪失時期(国年法附則5条8項)
・ 日本国内に住所を有するに至ったとき → 翌日
・ 日本国籍を有しなくなったとき → 翌日
・ 60歳未満で被扶養配偶者となったとき → その日
・ 保険料を滞納し、その後、保険料を納付することなく2年間が経過したとき → 翌日
・ 1,2,4の事実があった日に更に被保険者となったときは、その日に任意加入被保険者の資格を喪失する。
■ 任意加入被保険者は、第1号被保険者に係る独自給付(寡婦年金、死亡一時金、脱退一時金)、付加保険料の納付、保険料納付済期間についての定義等に関する規定の適用については、第1号被保険者とみなされる。
■ 第1号被保険者である者が適用除外事由に該当した(厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者となった)場合において、保険料を前納しているときは、その事由に該当するに至った日において、任意加入の申出をしたものとみなされる。
■ 第1号被保険者が保険料を前納している場合であって、その者が日本国内に住所を有しなくなった場合であっても、任意加入の申出をしたものとみなされない。
■ 任意加入被保険者には、産前産後期間の保険料免除(国年法88条の2)、保険料の法定免除(国年法89条1項)、保険料の全額申請免除(国年法90条1項)、保険料の一部免除申請(国年法90条の2)及び学生等の保険料納付特例(国年法90条の3第1項)の規定は適用されない。(国年法附則5条10項)
■ 在外邦人については、外国に居住するという特殊性から国内居住者と同様の手続により国民年金への加入、諸届の提出、保険料の納付(諸手続)を行わせることが困難であるため、国内に居住する親族等の協力者(協力者)が本人に代わって諸手続を行うものとする。
■ 在外邦人のうち、協力者がない者については、本人が、当該本人の日本国内における最後の住所地を管轄する年金事務所に対し、郵送等の手段により諸手続を行うものとすること。この場合において、保険料の納付については、日本国内に開設している預貯金口座からの口座振替による方法を原則とする。
■ 本人が出国前に諸手続を行うことは差し支えないが、この場合においても、協力者を定めるものとすること。なお、協力者がない者については、この限りでない。
■ 在外邦人の諸手続の事務は、本人の日本国内における最後の住所地を管轄する年金事務所又は市町村長(特別区の区長を含む)が行う。この場合において、本人が日本国内に住所を有したことがないときの事務は、千代田年金事務所が行う。
■ 平成6年の国年法改正により、年金受給権確保の観点から、加入期間附則のために老齢基礎年金が受給できない者について、65歳以上70歳未満の期間においても、任意加入できる特例的な措置が設けられた。
■ 昭和40年4月1日以前に生まれた者であって、次のいずれかに該当する者(第2号被保険者を除く)のうち老齢基礎年金、老齢厚生年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有しない者は、厚生労働大臣に申し出て、国民年金の被保険者となることができる。(平成6年国年法附則11条1項、平成16年国年法附則23条1項)
・ 日本国内に住所を有する65歳以上70歳未満の者(国民年金法の適用を除外する特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く)
・ 日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない65歳以上70歳未満の者
■ 上記の1に該当するものは、前記「口座振替納付」を希望する旨の申出をした日に、前記2に該当する者は、その申出をした日に、それぞれ特例による任意加入被保険者の資格を取得する(平成6年国年法附則11条4項、平成16年国年法附則23条4項)
■ 任意加入被保険者(昭和40年4月1日以前に生まれた者に限る)が、65歳に達した場合において、政令で定める給付の受給権を有しないときは、特例による任意加入被保険者となる申出があったものとみなす。この申出があったものとみなされた者にあっては、65歳に達した日に特例による任意加入被保険者の資格を取得する。(平成6年国年法附則11条3項、平成16年国年法附則23条3項・4項)
■ 特例による任意加入被保険者は、いつでも、厚生労働大臣に申し出て、被保険者の資格を喪失することができる。(平成6年国年法附則11条6項、平成16年国年法附則23条6項)
■ 特例による任意加入被保険者は、次のいずれかに該当するに至った日の翌日(以下の2,4,5に該当するに至ったときはその日)に被保険者資格を喪失する。(平成6年国年法附則11条7項、平成16年国年法附則23条7項)
・ 死亡したとき → 翌日
・ 厚生年金保険の被保険者の資格を取得したとき → その日
・ 政令で定める給付の受給権を取得したとき → 翌日
・ 70歳に達したとき → その日
・ 厚生労働大臣に対する資格喪失の申出が受理されたとき → その日
■ 特例による任意加入被保険者の資格喪失の申出は、所定の事項を記載した申出書に、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えて、これを機構に提出することによって行われなければならない。(国年則6条)
■ 日本国内に住所を有する65歳以上70歳未満である特例による任意加入被保険者の資格喪失時期(平成6年国年法附則11条7項、平成16年国年法附則23条7項)
・ 日本国内に住所を有しなくなったとき → 翌日
・ 上記に該当するに至った日に更に国民年金の被保険者の資格を取得したときは、その日に資格を喪失する。
・ 保険料を滞納し、督促状の指定の期間までに、その保険料を納付しないとき → 指定期限の翌日
・ 国民年金法の適用を除外する特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者となったとき → 翌日
■ 日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない65歳以上70歳未満の特例による任意加入被保険者の資格喪失時期(平成6年国年法附則11条8項、平成16年国年法附則23条8項)
・ 日本国内に住所を有するに至ったとき → 翌日
・ 日本国籍を有しなくなったとき → 翌日
・ 保険料を滞納し、その後、保険料を納付することなく2年間が経過したとき → 翌日
・ これらの事実があった日に更に国民年金の被保険者の資格を取得したときは、その日に資格を喪失する。
■ 特例による任意加入被保険者は、第1号被保険者による独自給付(死亡一時金、脱退一時金)、保険料納付済期間についての定義等に関する規定の適用については、第1号被保険者とみなされる。
■ 任意加入被保険者(日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者及び日本国製を有する者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の者を除く)、特定による任意加入被保険者は、国民年金基金の規定については第1号被保険者とみなされることはなく、国民年金基金の加入員となることはできない。
■ 任意加入被保険者のうち日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者及び日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の者に限り第1号被保険者とみなされ、国民年金基金の加入員となることができる。(国年法附則5条12項)
■ 特例による任意加入被保険者には、産前産後期間の保険料免除(国年法88条の2)、保険料の法定免除(国年法89条1項)、保険料の全額申請免除(国年法90条1項)、保険料の一部申請免除(国年法90条の2)及び学生等の保険料納付特例(国年法90条の3第1項)の規定は適用されない。(平成6年国年法附則11条10項、平成16年国年法附則23条10項)
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■ 資格取得の申出は、厚生労働大臣に対して行う。
■ 産前産後期間の保険料免除、保険料の法定免除、全額申請免除、一部申請免除、学生納付特例の規定は適用されない。
■ 保険料の滞納による資格喪失日
・ 国内居住者→督促状の指定期限の翌日
・ 海外居住者→2年が経過した日の翌日
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■ △→日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者及び日本国籍を有するものであって、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の者に限る。(国民年金基金)
■ 被保険者期間は、障害基礎年金・遺族基礎年金に係る保険料納付要件などの重要な事項に直接影響を与えるものである。この被保険者期間に関して、国民年金法では次のように規定されている。
■ 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した日の属する月からその資格を喪失した日の属する月の前月までをこれに算入する。
■ 被保険者がその資格を取得した日の属する月にその資格を喪失したときは、その月を1か月として被保険者期間に算入する。ただし、その月に更に被保険者の資格を取得したときは、この限りでない。
■ 被保険者の資格を喪失した後、さらにその資格を取得した者については、前後の被保険者期間を合算する。(国年法11条)
■ 被保険者期間は、月を単位として、被保険者の資格を取得した日の属する月からその資格を喪失した日の属する月の前月までの期間について計算する。
■ 同一月内に資格取得と喪失が行われた場合には、その月は1か月として計算する。この取り扱いは国民年金基金における取扱いと異なっている。
■ さらに、その月に被保険者の資格を取得したときは、後の資格取得についての期間のみをもって1か月として算入する。
■ 加入員の資格を取得した月にその資格を喪失した者は、その資格を取得した日にさかのぼって、加入員でなかったものとみなす。(国年法127条4項)
■ 被保険者の種別に変更があった月は、変更後の種別の被保険者であった月とみなす。同一の月において、2回以上にわたり被保険者の種別に変更があったときは、その月は最後の種別の被保険者であった月とみなす。(国年法11条の2)
■ 例えば、4月1日に自営業を始めた者が、4月16日にサラリーマンになった場合は次のようになる。
・ 4/1-4/16 第1号被保険者
・ 4/16-4/30 第2号被保険者 → 4/1-4/30 は第2号被保険者であった月
■ 国民年金の被保険者期間は合算される。
・ サラリーマン時代(第2号被保険者/第1号厚生年金被保険者) 5年
・ 自営業時代(第1号被保険者) 3年6か月
・ 公務員時代(第2号被保険者/国家(第2号厚生年金被保険者)・地方(第3号厚生年金被保険者)) 10年
・ サラリーマン時代(第2号被保険者/第1号厚生年金被保険者) 5年 → 通算23年6か月
■ 前記条文中のかっこ書きの部分は、届出、確認の請求又は厚生年金保険原簿の訂正の請求があった後に保険料を徴収する権利が時効によって消滅する場合のことであり、こうした場合には保険料納付済期間に算入される取扱いとされる。
■ 第3号被保険者としての被保険者期間については、第3号被保険者となったことに関する届出が行われた日の属する月前の当該届出に係る第3号被保険者としての被保険者期間(当該届出が行われた日の属する月の前々月までの2年間のうちにあるものを除く)は、保険料納付済期間に算入しない。
■ なお、平成16年法改正によって、次の特例が設けられた
■ 第3号被保険者又は第3号被保険者であった者は、平成17年4月1日前のその者の第3号被保険者としての国民年金の被保険者期間のうち、第3号被保険者に係る届出をしなかったことにより保険料納付済期間に算入されない期間があるときは、当該期間について厚生労働大臣に届出をすることができる。この届出が行われたときは、届出に係る期間は届出が行われた日以後保険料納付済期間に算入する。(平成16年国年法附則21条)
■ 平成17年4月1日以後については、第3号被保険者又は第3号被保険者であった者は、その者の第3号被保険者としての国民年員の被保険者期間のうち、第3号被保険者に係る届出をしなかったことにより保険料納付済期間に算入されない期間について、届出を遅延したことについてやむを得ない事由があると認められるときは、当該期間について厚生労働大臣に届出をすることができる。この届出が行われたときは、届出に係る期間は届出を行われた日以後保険料納付済期間に算入する。(国年法附則7条の3第2項3項)
■ 前記の規定する届出は、所定の事項を記載した届書に基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えて機構に提出することにより行われなければならない。
■ 老齢基礎年金の受給権者が上記の規定による届出を行い、当該届出に係る期間が保険料納付済期間に算入されたときは、当該届出があった日の属する月の翌月から、金額が改定される。
■ 上記の規定によって保険料納付済期間とされない取扱いとされた期間については、上記の届出の特例の対象とならない。
■ 上記の規定によって保険料納付済期間とされなかったため、所定の保険料納付要件を満たすことができず、障害基礎年金の支給が行われなかった者が、厚生労働大臣に届出を行い、当該届出によって当該期間が保険料納付済期間とされた場合であっても、障害基礎年金に係る保険料納付要件を満たすことにはならないため、障害基礎根年金は支給されない。
■ 第3号被保険者期間と重複する第2号被保険者期間が新たに判明し年金記録が訂正された場合等に、当該期間に引き続く第3号被保険者期間を未届期間とする取り扱いを改め、保険料納付済期間のままとして取り扱い、その期間についても年金を支給することとされた。(年金法附則7条の3の2)
■ 20歳以上60歳未満である第2号被保険者(例えば夫)の被扶養配偶者(妻)は、国民年金の第3号被保険者となり、自ら保険料を納付する必要はない。しかし、その後、第2号被保険者である夫が退職し、妻が第3号被保険者に該当しなくなれば、第1号被保険者となり保険料の納付が必要となるが、その届出(種別変更)は、自分自身で行う必要がある。
■ ところが、その届出が行われなかったため、第3号被保険者のまま記録管理されている者が相当数あることが判明した。これを「第3号不整合記録問題」という。
■ パターン1
・ 夫がサラリーマンをやめ、自営業を始めたことにより第1号被保険者となった場合等は、その扶養配偶者である妻は第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更届を行い、保険料を納付することが必要であるが、この届出がなされず、第3号被保険者のままとなっていたケース
■ パターン2
・ 妻の収入が増加し、年収が130万円以上となったことなどにより、夫の扶養配偶者から外れた場合は、第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更届が必要となるが、この届出がなされず、第3号被保険者のままとなっていたケース
■ このまま放置しておくことは、まじめに第1号被保険者への種別変更届を提出し、保険料納付義務を果たしたものと比較して、著しく不公平な取扱いを認めることになる。一方、法律通りに訂正処理をすれば、この不整合期間は保険料未納期間となる。既に年金を受給している者、あるいはこれから受給しようとしている者の中には、そもそも年金の受給権がない、あるいは受給権はあったとしても、年金額が大幅に減額される者もいることなどから大きな社会問題とされていた。
■ そこで、平成25年6月29日に成立した「公的年金制度の健全性および信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」の中で、その問題に対応するための規定が設けられた。
・ 平成30年4月以後不整合記録に基づく年金額を正しい年金額に訂正する。ただし、既に年金を受給している者には、年金額の減額は最大でも10%までとする。
・ 不整合期間を「学生納付特例の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係る期間」とみなすことにより、不整合期間は、年金額には反映しないが、受給資格期間としては算入する。
・ 過去10年間の不整合期間については特例的に保険料の納付を可能とする。平成27年4月1日から平成30年3月31日までの3年間の時限措置として、過去10年間までさかのぼって保険料を納付し、年金額の減額分を回復することができた。
■ 被保険者又は被保険者であった者は、昭和61年4月から平成25年6月までの間にある第3号被保険者とされていた被保険者期間のうち、第1号被保険者としての被保険者期間として記録の訂正がなされた期間(不整合期間)であって、当該訂正がなされたときにおいて保険料の徴収する権利が時効によって消滅しているもの(時効消滅不整合期間)について、厚生労働大臣に届出をすることができる。
■ 上記の規定により届出が行われたときは、当該届出に係る時効消滅不整合期間(特定起案)については、この法律その他の政令で定める法令の規定を適用する場合においては、当該届出が行われた日以後、国民年金法90条の3第1項(学生納付特例)の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係る期間とみなすほか、これらの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
■ 次条1項(特定保険料の納付)の規定その他政令で定める規定により保険料の納付が行われたときは、納付が行われた日以後、当該納付に係る月については、上記の規定は、適用しない。(国年法附則9条の4の2)
■ 第3号被保険者としての被保険者期間の特例に関する届出は、次の事項を記載した届書を日本年金機構に提出することによって行わなければならない。(国年則6条の5)
・ 氏名、性別、生年月日及び住所
・ 国民年金法附則9条の4の2第1項に規定する時効消滅不整合期間
・ 基礎年金番号
・ 老齢年金又は厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者にあっては、当該給付の年金証書、恩給証書又はこれらに準ずる書類の年金コード又は記号番号若しくは番号
■ 法附則9条の4の3第1項の政令で定める額は、特定保険料を納付する月(納付対象月)が次の表の上欄に掲げる年度に属する場合において、当該納付対象月に係る保険料に相当する額にそれぞれ同表の下欄に定める率を乗じて得た額(この額に10円未満の端数がある場合においては、その端数金額が5円未満であるときは、これを切り捨て、その端数金額が5円以上であるときは、これを10円として計算する)とする
・ 平成19年度 → 0.067
・ 平成20年度 → 0.052
・ 平成21年度 → 0.040
・ 平成22年度 → 0.027
・ 平成23年度 → 0.018
・ 平成24年度 → 0.011
・ 平成25年度 → 0.005
・ 平成26年度 → 0.001
■ 厚生労働大臣は、次の場合に納付すべき当該以下に定める額を告示するものとする。
・ 上記に掲げる年度に属する各月について特定保険料を納付する場合
・ 当該納付に係る期間の各月の保険料に相当する額に同項に規定する額を加算した額
・ 平成16年度以前の年度に属する各月について特定保険料を納付する場合
・ 定める額のうち最も高い額
■ 特定保険料の納付の承認を受けようとする被保険者又は被保険者であった者は、特定保険料納付申込書に、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えて、これを機構に提出しなければならない。(国年令14条の10)
■ 記録の訂正がなされたことにより時効消滅不整合期間となった期間を有する者であって、平成25年7月1日において当該時効消滅不整合期間となった期間が保険料納付済期間であるものとして老齢基礎年金又は厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けているもの(これらの給付の全部につき支給が停止されているものを含む。特定受給者)が有する当該時効消滅不整合期間となった期間については、この法律その他の政令で定める法令の規定(老齢基礎年金又は厚生年金保険法に基づく老齢給付等に係るものに限る)を適用する場合においては、特定保険料納付期限日(平成30年3月31日)までの間、保険料納付済期間とみなす。(国年法附則9条の4の4)
■ 特定保険料納付期限日(平成30年3月31日)の翌日以後、老齢基礎年金の支給要件を満たさなくなる特定受給者については、国年法附則9条の4の2に規定する特例届出を行うことにより再び支給要件を満たすことになるまでの間、当該老齢基礎年金の支給を停止する。
■ 特定受給者に支給する特定保険料納付期限日の属する月の翌月以後(平成30年4月以後)の月分の老齢基礎年金の額については、訂正後年金額が訂正前年金額(前条に規定する時効消滅不整合期間となった期間を保険料納付済期間とみなして計算した額)に100分の90を乗じて得た額(減額下限額)に満たないときは、減額下限額に相当する額とする。(国年法附則9条の4の5)
■ 国民年金制度の被保険者に関する記録を長期間、正確に記録するために、厚生労働大臣は、被保険者の資格を取得した旨の報告を受けたときは、年金手帳を作成して被保険者に交付することとされていた。
■ しかし、令和4年4月1日施行の改正で、年金手帳は廃止され、基礎年金番号通知書により基礎年金番号を通知することとされた。
■ 被保険者又は被保険者であった者は、基礎年金番号通知書を滅失し、若しくは既存したとき又は記載された氏名に変更があるときは、基礎年金番号通知書の再交付を、厚生労働大臣に申請することができる。(国年則11条)
■ 厚生労働大臣は、被保険者に関する情報を管理するために国民年金原簿を備え、管理することを規定している。年金事業の業務と他の社会保険に関する業務の連携を図るため、基礎年金番号を年金原簿の記載事項として法定化するとともに、基礎年金番号を適正に活用するための利用制限等の措置を講じる。
■ 厚生労働大臣は、国民年金原簿を備え、これに被保険者の氏名、資格の取得及び喪失、種別の変更、保険料の納付状況、基礎年金番号(政府管掌年金事業(政府が管掌する国民年金事業及び厚生年金事業をいう。)の運営に関する事務その他当該事業に関連する事務であって厚生労働省令で定めるものを遂行するために用いる記号及び番号であって厚生労働省令で定める者をいう)その他厚生労働省令で定める事項を記録するものとする。(国年法14条)
■ 国民年金原簿に記載すべき事項のうち、厚生労働省令で定める事項は、次のとおりである。(国年則15条)
・ 被保険者(第2号被保険者にあっては、第1号厚生年金被保険者である者に限る)の基礎年金番号
・ 被保険者の性別、生年月日及び住所
・ 給付に関する事項
・ 保険料免除関連の記録
・ 被保険者が国民年金基金の加入員であるときは当該基金の加入年月日
■ 第2号被保険者のうち、第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者であるものについては、国民年金原簿には記載されない。(国年法附則7条の5第1項)
■ 国年法14条に規定する基礎年金番号については、住民基本台帳法の規定(告知要求制限、利用制限、報告及び調査の規定)を準用する。(国年法108条の4)
・ 国民年金事業の運営に関する事務等の遂行のため特に必要がある場合をのぞき、行政機関等による基礎年金番号の告知要求を禁止するとともに、それ以外のものによる基礎年金番号の利用を禁止する等。
■ 被保険者等は、国民年金原簿に記録された自己に係る特定国民年金原簿記録(被保険者の資格の取得及び喪失、種別の変更、保険料の納付状況その他厚生労働省令で定める事項の内容をいう)が事実でない、又は国民年金原簿に自己に係る特定国民年金原簿記録が記録されていないと思われるときは、厚生労働大臣に対し、国民年金原簿の訂正の請求をすることができる。また、死亡した被保険者等に係る未支給年金、遺族基礎年金、寡婦年金又は死亡一時金が発生する場合においては、当該被保険者等の原簿記録に基づき裁定処分が行われ、未支給年金や遺族基礎年金、寡婦年金又は死亡一時金の額が決定されるため、これらの受給権者である遺族等が、当該被保険者等の原簿記録について訂正請求を行うことができる。なお、厚生労働大臣は、訂正請求に理由があると認めるときは、原簿記録の訂正をする旨を決定し、訂正決定をする場合を除き、原簿記録を訂正しない旨の決定をしなければならない。
■ 被保険者又は被保険者であった者は、国民年金原簿に記録された自己に係る特定国民金原簿記録(被保険者の資格の取得及び喪失、種別の変更、保険料の納付状況その他厚生労働省令で定める事項の内容をいう)が事実でない、又は国民年金原簿に自己に係る特定国民年金原簿記録が記録されていないと思料するときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、国民年金原簿の訂正の請求をすることができる。
■ 上記の来ては、被保険者又は被保険者であった者が死亡した場合において、次に会掲げる者について準用する。この場合において、上記の「自己」とあるのは、以下に掲げる者の区分に応じ、以下に掲げる軸に読み替えるものとする。(国年法14条の2)
・ 国民年金法19条の規定により未支給の年金の支給を請求することができる者→死亡した年金給付の受給権者
・ 遺族基礎年金を受けることができる配偶者又は子→死亡した被保険者又は被保険者であった者
・ 寡婦年金を受けることができる妻→死亡した夫
・ 死亡一時金を受けることができる遺族→死亡した被保険者又は被保険者であった者
■ 特定国民年金原簿記録に係る厚生労働省令で定める事項は、給付に関する事項及び保険料免除制度により免除された保険料に関する事項とする。
■ 経過措置に関する政令により、未支給の脱退一時金、未支給の特別一時金の支給を請求することができる者についても、未支給の年金の支給を請求することができる者と同様に、国民年金原簿の訂正の請求をすることができる。
■ 国年法14条の2第1項の規定位よる訂正の請求は、次の事項を記載した請求書に、所定の書類を添えて、日本年金機構に提出することによって行われなければならない。
・ 氏名、生年月日及び住所
・ 基礎年金番号
・ 特定国民年金原簿記録が事実でない、又は国民年金原簿に特定国民年金原簿記録が記録されていないと思料する期間(請求期間)
・ 国年法14条の2第2項において準用する第1項の規定による訂正の請求をする者にあっては、死亡した年金給付の受給権者又は死亡した被保険者若しくは被保険者であった者の氏名、生年月日及び基礎年金番号
■ 構成労度大臣は、国民年金制度に対する国民の理解を増進させ、及びその信頼を向上させるため、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者に対し、当該被保険者の保険料納付の実績及び将来の給付に関する必要な情報をわかりやすい形で通知するものとする。(国年法14条の5)
■ 平成21年4月より「ねんきん定期便」の送付が開始されたことに伴い、具体的な通知項目が定められた。なお、送付時期は毎年誕生月である。
■ 国年法14条の5(被保険者に対する情報の提供)の規定による厚生労働大臣の通知は、次の各号に掲げる事項を記載した書面によって行われるものとする。ただし、厚年法31条の2(被保険者に対する情報の提供)の規定による厚生労働大臣の通知が行われる場合は、この限りでない。(国年則15条の4第1項)
・ 次に掲げる被保険者期間の区分に応じ、それぞれ次に定める事項
・ 第1号被保険者としての被保険者期間(被保険者期間の月数、最近1年間の被保険者期間における保険料の納付状況及び被保険者期間における保険料の納付状況に応じた保険料の総額)
・ 第2号被保険者としての被保険者期間(厚年則12条の2第1項1号から3号の掲げる事項)
・ 第3号被保険者としての被保険者期間(被保険者期間の月数)
・ 老齢基礎年金及び厚生年金保険法による老齢厚生年金の額の見込額
・ その他必要な事項
■ 厚年法31条の2(被保険者に対する情報の提供)の規定による厚生労働大臣の通知は、次の各号に掲げる事項を記載した書面によって行うものとする。
・ 被保険者期間の月数
・ 最近1年間の被保険者期間における標準報酬月額及び標準賞与額
・ 被保険者期間における標準報酬月額及び標準賞与額に応じた保険料(被保険者の負担するものに限る)の総額
・ 国年則15条の4第1項1号に掲げる事項
・ 国民年金法による老齢基礎年金(老齢基礎年金)及び老齢厚生年金の額の見込額
・ その他必要な事項
■ 35歳、45歳及び59歳時の通知は、更に次の事項が追加される。(国年則15条の4第2項)
・ 被保険者の資格の取得及び喪失並びに種別の変更の履歴
・ 全ての第1号被保険者としての被保険者期間における保険料の納付状況並びに第2号被保険者としての被保険者期間における標準報酬月額及び昇順賞与額
■ 厚生労働大臣は、被保険者又は被保険者であった者に対し、必要に応じ、年金たる給付を受ける権利の裁定の請求に係る手続に関する情報を提供するとともに、当該裁定を請求することの勧奨を行うものとする。
■ 厚生労働大臣は、上記の規定による情報の提供及び勧奨を適切に行うため、被保険者であった者その他の関係者及び関係機関に対し、被保険者であった者に係る氏名、住所その他の事項について情報の提供を求めることができる。(国年則133条)
■ 厚生労働大臣は、個人番号利用事務(番号法2条10項に規定する個人番号利用事務)を適切かつ円滑に処理するため、厚生年金保険法27条に規定する事業主及び共済組合等に関し、第3号被保険者に係る個人番号その他の事項について情報の提供を求めることができる。(国年則134条)
[国年法] 国民年金法・重要箇所・Chapter3
老齢基礎年金
■ 大正15年4月1日以前に生まれた者、又は大正15年4月2日以後に生まれた者であっても昭和61年3月31日までに旧厚生年金保険法・旧船員保険法による老齢年金の受給権のある者又は共済組合の退職年金保険・減額退職年金の受給権のある者(昭和6年4月1日以前に生まれた者に限る)は、旧国民年金法による老齢年金又は通算老齢年金等が支給され、老齢基礎年金は支給されない。(これらに該当しない者については老齢基礎年金の規定が適用される。)
■ 旧年金制度における老齢福祉年金については、現在も支給が行われている。
■ 老齢給付
・ 国民年金(旧法→新法)
・ 老齢年金→老齢基礎年金
・ 老齢福祉年金→そのまま支給
・ 通算老齢年金→なし
・ 付加年金→付加年金
・ 厚生年金(旧法→新法)
・ 老齢年金→老齢厚生年金
・ 通算老齢年金→なし
・ 共済組合(旧法→新法)
・ 退職年金→退職共済年金
・ 減額退職年金→なし
■ 新法による国民年金の給付(経過措置による給付を含む)を整理しておきます。
・ 老齢
・ 給付 老齢基礎年金(老齢福祉年金)
・ 第1号被保険者独自の給付 付加年金
・ 障害
・ 給付 障害基礎年金(1級・2級)
・ 死亡
・ 給付 遺族基礎年金
・ 第1号被保険者独自の給付 寡婦年金・死亡一時金
・ その他
・ 給付 脱退一時金・特別一時金
■ 無年金者をできる限り救済すると同時に、納付した年金保険料を極力給付に結び付ける観点から、老齢基礎年金等の受給資格期間を25年から10年に短縮することとされた。
■ この措置は、消費税率の10%の引き上げ時に行うこととしていたが、できる限り早期に実施する必要があるため、その施行期日は平成29年8月1日とされた。
■ 老齢基礎年金は、保険料納付済期間又は保険料免除期間(学生等の保険料納付特定又は保険料納付猶予の規定により納付することをようしないものとされた保険料に係るものを除く)を有する者が65歳に達したときに支給される。ただし、原則として保険料納付済期間と保険料免除期間との合算した期間が10年に満たないときは支給されない。(国年法26条)
■ 保険料納付済期間+保険料免除期間+合算対象期間≧10年以上→受給資格期間を満たす。
■ また、65歳に達した日以後に、国民年金の被保険者期間を有することとなったことにより、保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が10年以上になったときには、老齢基礎年金が支給される。(昭和60年国年法附則18条1項)
■ 老齢基礎年金の受給資格期間をみる場合においては、旧厚生年金保険法による第三種被保険者(坑内員・船員)である国民年金の被保険者であった期間については、以下の通り特例的に計算をする。
・ 昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの旧厚生年金保険法による第三種被保険者及び第1号厚生年金被保険者期間とみなされた船員保険の被保険者であった期間については、実期間に3分の4を乗じて得た期間をもって、保険料納付済期間である国民年金の被保険者期間とみなす。(昭和60年国年法附則8条2項、昭和60年厚年法附則47条2項)
・ 昭和61年4月1日から平成3年3月31日までの厚生年金保険の第三種被保険者である国民年金の被保険者であった期間につき第2号被保険者として、の国民年金の被保険者期間を計算する場合には、実期間に5分の6を乗じて得た期間をもって第2号被保険者としての国民年金の被保険者期間とする(昭和60年国年法附則8条8項、昭和60年厚年法附則47条3項)
■ 老齢基礎年金の年金額を計算する場合又は障害基礎年金・遺族基礎年金の保険料納付要件を計算する場合は、この被保険者期間の計算の特例は適用されず、すべて実期間で計算する。(昭和60年国年法附則8条3項・8項・9項)
■ 次の期間が老齢基礎年金の保険料納付済期間とされる
・ 国民年金の第1号被保険者及び昭和61年3月以前の国民年金の被保険者(いずれも任意加入被保険者を含む)としての被保険者期間のうち、保険料を納付した期間(国年法5条2項、昭和60年国年法附則8条1項)
・ 国民年金の第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳以上60歳未満の期間(ただし、障害基礎年金と遺族基礎年金については、20歳前の期間と60歳以後の期間も保険料納付済期間とされる)(国年法5条2項、昭和60年国年法附則8条4項)
・ 昭和36年4月から昭和61年3月までの第1号厚生年金被保険者期間、第2号厚生年金被保険者期間、第3号厚生年金被保険者期間及び第4号厚生年金被保険者期間のうち、20歳以上60歳未満の期間(ただし、障害基礎年金と遺族基礎年金については、20歳前の期間と60歳以後の期間も保険料納付済期間とされる)(昭和60年国年法附則8条2項)
・ 当時の厚生年金保険及び船員保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間(被用者年金制度の一元化により、一元化後は、第1号から第4号厚生年金被保険者期間とみなされることとなった)
・ 国民年金の第3号被保険者としての被保険者期間(国年法5条2項)
■ 保険料免除期間(国年法5条3項、昭和60年国年法附則8条1項)
・ 第1号被保険者期間のうち、法定免除、申請全額免除又は学生の保険料納付特例の規定により保険料を納付することを要しないものとされた期間
・ 第1号被保険者期間のうち、4分の3申請免除、半額申請免除、4分の1申請免除の規定により保険料の一部につき納付することをようしないものとされた期間
・ 昭和61年4月1日前の旧国民年金の被保険者期間のうち、保険料免除期間であった期間に係るもの
■ 保険料免除期間について、保険料の追納が行われた場合には、保険料免除期間ではなく、追納が行われた日以後、保険料納付済期間として取り扱われる。
■ 合算対象期間は、受給資格期間の計算対象とはなるが、老齢基礎年金の年金額の計算対象とはならないため、「カラ期間」ともいわれている。(昭和60年国年法附則8条5項)
■ 昭和61年4月1日以後の期間
・ 学生(平成3年4月1日前の期間に限る)、海外在住者など、国民年金に任意加入できる期間のうち、被保険者にならなかった期間(60歳未満の期間に限る)
・ 第2号被保険者としての期間のうち、20歳未満の期間及び60歳以後の期間
■ 従来、任意加入被保険者となったものの保険料を納付しなかった期間(任意加入未納期間)は、国民年金の第1号被保険者であるものとみなされるため、合算対象期間とはみなされず、単なる保険料の未納期間として取り扱われてきた。
■ 平成26年4月1日(改正法の施行日)からは、以下についても合算対象期間とされることとなった。
・ 昭和61年4月1日から平成3年3月31日までの任意加入未納期間(学生であった期間に限る)
・ 昭和61年4月1日から改正法の施行日までの任意加入未納期間(昭和61年4月1日から平成3月31日までの任意加入未納期間のうち、学生であった期間を除く)
・ 改正法の施行日以後における任意加入未納期間
■ 20歳以上60歳未満の学生は、平成3年3月31日までは国民年金加入できることとされていた。平成3年4月1日から第1号被保険者として被保険者とされた。
■ 昭和61年4月1日前の期間1
・ 旧国民年金に任意加入できる期間のうち被保険者とならなかった期間
・ 昭和61年4月1日前において国民年金に任意加入できるのは、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のものに限られていた。旧法当時は、被用者年金制度に加入している者の配偶者については、国民年金の加入が任意とされていたため、当該期間を合算対象期間とするものとである。
・ 旧国民年金の任意脱退の承認を受けて被保険者とならなかった期間
・ 国会議員であった期間のうち、昭和36年4月1日から昭和55年3月31日までの期間(60歳未満の期間に限る)
・ 国会議員は、次のような取り扱いがなされていた。
・ 昭和36年4月1日から昭和55年3月31日まで 適用除外(合算対象期間)
・ 昭和55年4月1日から昭和61年3月31日まで 任意加入
・ 昭和61年4月1日以後 第1号被保険者
・ 日本国民であって日本国民に住所を有さなかった期間のうち、昭和36年4月1日以後の期間(20歳以上60歳未満の期間に限る)
・ 昭和61年4月1日前は、在外邦人は国民年金に任意加入することができなかった
・ 昭和36年5月1日以後、20歳以上65歳未満の間に日本国籍を取得した者(日本に帰化した者(永住許可を受けたものを含む))の次の期間(20歳以上60歳未満の期間に限る)
・ 日本国内に住所を有していた期間のうち、昭和36年4月1日から昭和56年12月31日までの期間
・ 日本国内に住所を有していなかった期間のうち、昭和36年4月1日から日本国籍を取得した日(永住許可を受けた日を含む)の前日までの期間
・ 昭和57年1月1日に、被保険者に係る国籍要件が撤廃され、それ以後は日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者については、日本国籍を有していない者も含めて強制適用となった。
・ なぜ、「昭和36年5月1日以後」なのか。
・ 昭和36年4月中に日本国籍を取得していたら、日本国内に住所を有している場合は4月から強制加入となり、合算対象期間が発生しないからである。また、日本国内に住所を有していない場合でも、昭和36年4月からは日本人であるので、上記4の規定が適用されるからである。
■ 平成26年4月1日(施行日)からは、「昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの任意加入未納期間」についても、合算対象期間とされることとなった。
■ 昭和61年4月1日前の期間2(第1号厚生年金被保険者期間)
・ 昭和36年4月1日前の期間(昭和36年4月1日以後に公的年金の加入期間があるもので、昭和36年4月1日以後の被保険者期間と合わせて1年以上であるものに限る(通算対象期間)
・ 昭和36年4月1日以後の被保険者期間と合わせて1年以上
・ 昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの間に通算対象期間を有しない者が、昭和61年4月1日以後に保険料納付済期間又は保険料免除期間を有するに至った場合におけるその者の第1号厚生年金被保険者期間のうち、昭和36年4月1日前の期間に係るもの(ただし、昭和61年4月1日以後の期間と合わせて1年以上である期間に限る)
・ 昭和61年4月1日以後の期間と合わせて1年以上
・ 昭和36年4月1日以後の期間のうち、20歳未満の期間及び60歳以上の期間
・ 旧厚生年金保険法又は旧船員保険法による脱退手当金の計算の基礎となった期間のうち、昭和36年4月1日以後の期間(大正15年4月2日以後生まれの者で、昭和61年4月1日から65歳に達する日の前日までの間に保険料納付済期間又は保険料免除期間を有するに至った場合に限る)
■ 昭和61年4月1日前の期間3(第2号から第4号厚生年金被保険者)
・ 昭和36年4月1日前の期間(昭和36年3月31日まで引き続いた期間であって、1年以上のものに限る。(通算対象期間))
・ 昭和36年4月1日以後の期間のうち、20歳未満の期間及び60歳以後の期間
・ 共済組合が支給する退職年金、減額退職年金の計算の対象となった期間のうち、昭和36年4月1日以後の期間(昭和61年3月31日において、退職年金又は減額退職年金の受給権を有する者であって、昭和6年4月2日以後に生まれた者((昭和61年3月31日において、その受給権者が55歳に達していないもの)に限る)
・ 共済組合が支給した退職一時金(政令で定めるものに限る)の計算の基礎となった期間のうち昭和36年4月1日以後の期間
■ 保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間について、今一度整理しておきます。何度も読み返して覚えてください。
■ 保険料納付済期間と保険料免除期間
・ 昭和61年4月1日前の期間
・ 保険料納付済期間
・ 昭和61年4月1日前の国民年金法の保険料納付済期間
・ 昭和36年4月1日から正和61年3月31日までの第1号厚生年金被保険者期間、第2号厚生年金被保険者期間、第3号厚生年金被保険者期間及び第4号厚生年金被保険者期間のうち20歳以上60歳未満の期間
・ 保険料免除期間
・ 昭和61年4月1日前の国民年金の被保険者期間のうち保険料を免除された期間
・ 昭和61年4月1日以後の期間
・ 保険料納付済期間
・ 第1号被保険者としての被保険者期間のうち、保険料(督促及び滞納処分により徴収された保険料を含み、保険料の一部免除の規定によりその一部の額につき納付することを要しないとされた保険料につきその残余の額が納付又は徴収されたものを除く)を納付した期間
・ 第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳以上60再未満の期間
・ 第3号被保険者としての被保険者期間
・ 任意加入被保険者として保険料を納付した期間
・ 保険料免除期間
・ 保険料全額免除期間
・ 第1号被保険者としての被保険者期間のうち、保険料の納付を全額免除された期間
・ 保険料一部免除期間
・ 第1号被保険者としての被保険者期間のうち、保険料一部免除の規定により、保険料の一部の額につき納付を免除された期間(免除された一部の額以外の残余の額につき保険料が納付されている期間に限る)のうち、追納した保険料を納付した期間を除いたものを合算する。
■ 合算期間
・ 任意加入等の期間
・ 昭和36年4月1日以後の期間で20歳以上60歳未満の期間
・ 学生(平成3年4月1日前の期間に限る)
・ 海外在住者など
・ 任意脱退の承認を受けた者
・ 昭和55年3月31日まで国会議員
・ 昭和56年12月31日まで国内居住外国人
・ 外国在住者で日本に帰化、永住許可を受けた者の昭和61年4月1日前の在外期間
・ いわゆる任意未加入期間、任意加入未納期間
・ 厚生年金保険の被保険者期間
・ 昭和36年4月1日
・ 通算対象期間のうち、昭和36年4月1日前の期間
・ 昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの間に通算対象期間を有していないが、昭和61年4月1日以後に保険料納付済期間又は保険料免除期間を有するに至った場合→第1号厚生年金被保険者期間のうち、昭和36年4月1日前の期間
・ 昭和36年4月1日以後昭和61年4月1日
・ 昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの第1号から第4号厚生年金被保険者期間(当時の厚生年金保険・船員保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間)のうち、次の期間
・ 20歳未満及び60歳以後の期間
・ 脱退手当金の計算の基礎となった期間のうち、昭和36年4月1日以後の期間(大正15年4月2日以後生まれの者で、昭和61日4月1日から65歳に達する日の前日までに保険料納付済期間又は保険料免除期間を有するに至った場合に限る)
・ 共済組合が支給する退職年金、減額退職年金の年金額の計算の対象となった期間のうち、昭和36年4月1日以後の期間(昭和61年3月31日において、その受給権者が55歳に達していないものに限る)
・ 共済組合が支給した退職一時金(制定で定めるものに限る)の計算の基礎となった期間のうち、昭和36年4月1日以後の期間
・ 昭和61年4月1日以後
・ 第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳未満及び60歳以後の期間
■ 老齢基礎年金
・ 支給要件
・ 次の要件を満たす者が65歳に達した
・ 原則
・ 保険料納付済期間又は保険料免除期間を有すること
・ 学生等の保険料納付の特例の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るもの、保険料納付の特例に係るものを除く
・ 保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が10年以上であること
・ 学生等の保険料納付の特定の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るもの、保険料納付の特例に係るものも含む
・ 例外
・ 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年に満たない場合であっても、当該期間に合算対象期間を合算して10年以上あること
・ 年金額
・ 780900円×改定率
・ 加算その他
・ 振替加算
・ 付加年金
■ 施行日(平成29年8月1日)の前日において現に老齢基礎年金その他老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付又は年金たる保険給付であって政令で定めるものの受給権を有しない者であって、改正後の規定による老齢基礎年金その他老齢を支給事由とする年金たる給付(老齢基礎年金等)の支給要件に該当するものについては、施行日において老齢基礎年金等の支給要件に該当するものについては、施行日において老齢基礎年金等の支給要件に該当するに至ったものとして、施行日以後、その者に対し、老齢基礎年金等を支給する。
・ 例えば、保険料納付済期間等が17年であった者は、改正前の受給資格期間(原則25年以上)は満たしていないが、改正後の受給資格期間(10年以上)を満たすことになるので、当該改正の施行日後、老齢基礎年金の受給権が発生することとされた。なお、このような特例による任意加入被保険者であったものは、その資格を喪失することになった。
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■ 老齢基礎年金の年金額について規定している。老齢基礎年金は20歳から60歳までの40年間の全加入期間について保険料を納付した場合の金額が規定されており、これを、フルペンション(完全・満額)年金の額としている。
■ 年金額は、法定価額が780900円×改定率とされる。ただし、保険料を納付した期間が40年に満たない場合にはその分減額される。
■ 老齢基礎年金の額は、780900円に改定率を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする)とする。(国年法27条)
■ 保険料納付済期間の月数が480に満たない者に支給する場合には、当該額(満額の老齢基礎年金の額)に、次の各号に掲げる月数を合算した月数(480を限度とする)を480で除して得た数を乗じて得た額とする。
・ 保険料納付済期間の月数
・ 保険料4分の1免除期間の月数(480から保険料納付済期間の月数を控除して得た月数を限度とする)の8分の7に相当する月数。
・ 保険料4分の1免除期間の月数から上記に規定する保険料4分の1免除期間の月数を控除して得た月数の8分の3に相当する月数
・ 保険料半額免除期間の月数(480から保険料納付済期間の月数及び保険料4分の1免除期間の月数を合算した月数を控除して得た月数を限度とする)の4分の3に相当する月数
・ 保険料半額免除期間の月数から上記に規定する保険料半額免除期間の月数を控除して得た月数の4分の1に相当する月数
・ 保険料4分の3免除期間の月数(480から保険料納付済期間の月数、保険料4分の1免除期間の月数及び保険料半額免除期間の月数を合算した月数を控除して得た月を限度とする)の8分の5に相当する月数
・ 保険料4分の3免除期間の月数から上記に規定する保険料4分の3免除期間の月数を控除して得た月数の8分の1に相当する月数
・ 保険料全額免除期間(学生等の保険料納付特例の規定により納付することを要しないものとされたものを除く)の月数(480から保険料納付済期間の月数、保険料4分の1免除期間の月数、保険料半額免除期間の月数及び保険料4分の3免除期間の月数を合算した月数を控除して得た月数を限度とする)の2分の1に相当する月数。
・ 学生等の保険料納付特例と同様、保険料納付猶予の規定により免除された保険料に係る期間も、年金額に反映されない。
■ 例1
・ 保険料納付済期間+保険料免除期間<480月の場合
・ 保険料納付済期間の月数 100月
・ 保険料4分の1免除期間の月数 80月
・ 保険料半額免除期間の月数 40月
・ 保険料4分の3免除期間の月数 80月
・ 保険料全額免除期間の月数 40月
・ 100×1/1 + 80×7/8 + 40×3/4 + 80×5/8 + 40×1/2 = 100 + 70 + 30 + 50 + 20 = 270月
■ 例2
・ 保険料納付済期間+保険料免除期間<480月の場合
・ 保険料納付済期間の月数 400月
・ 保険料4分の1免除の月数 104月
・ 480 – 400 = 80 < 104 → 80月を限度
・ 104 – 80 = 24 24×3/8 = 9
・ 400×1/1 + 80×7/8 + 24×3/8 = 400 + 70 + 9 = 479月
■ 国庫負担割合が2分の1の場合、国庫負担分については全額将来の給付に反映され、保険料免除は国庫負担分を除いた保険料分に影響を与えると考えると理解が進む。
■ 老齢基礎年金の額は、平成21年4月から平成26年3月までの期間については、国庫負担割合2分の1への引き上げが実現した場合と同様に計算される。(平成16年国年法附則10条1項)
■ 国民年金法が施行された昭和36年4月1日に20歳以上であったもの(昭和16年4月1日以前に生まれた者)は、60歳に達するまでの期間が40年480月)に満たないことになるため、このままでは満額の老齢基礎年金の受給ができないものが出てきてしまう。そこで、昭和16年4月1日以前に生まれた者については、生年月日に応じて定められた年数のすべてを保険料納付済期間で満たした場合に、40年480月)に相当する保険料納付済期間があったものとして、満額の老齢基礎年金を支給することとしている。(昭和60年国年法附則13条)
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■ 老齢基礎年金の受給資格期間は、平成29年8月1日より、原則25年(以上)から「10年」(以上)に短縮されましたが、年金額の計算において、“原則「40年」間加入で満額”という考え方に変更はありません。
■ 平成16年の法改正によっていわゆるマクロ経済スライドが導入されたことから、これまでの物価スライドではなく、毎年度、名目手取り賃金変動率又は物価変動率を基準とした「改定率」を用いて年金額の改定を行うこととした。
■ 新規裁定者(国年法27条の1)
・ 平成16年度における改定率を 1とする。
・ 改定率については、毎年度、名目手取り賃金変動率を基準として改定し、当該年度の4月以降の年金たる給付について適用する。
・ 68歳到達年度前は、「名目手取り賃金変動率」を基準とした改定を行う。
■ 既裁定者(国年法27条の3)
・ 受給者が65歳に達した日の属する年度の初日の属する年の3年後の年の4月1日の属する年度以後において適用された改定率(基準年度以後改定率)の改定については、国民年金法27条の2の規定にかかわらず、物価変動率(物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率)を基準とする。
・ 68歳到達年度以後(基準年度以後)は、「物価変動率」を基準とした改定を行う。
・ 物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率
■ 68歳到達年度前は、「名目手取り賃金変動率×調整率×当該年度の前年度の特別調整率」を基準とする。ただし、異なる率が使われる場合もある。(国年法27条の4第1項)
・ 上記の率を掛け合わせた率を算出率という。
・ 調整期間中であるが、「調整率×前年度の特別調整率」を乗じない場合がある。
■ 68歳到達年度以後(基準年度以後)は、「物価変動率×調整率×当該年度の前年度の基準年度以後特別調整率」を基準とする。ただし、異なる率が使われる場合もある。(国年法27条の5第1項)
・ 上記の率を掛け合わせた率を「基準年度以後算出率」という。
・ 調整期間中であるが「調整率×前年度の基準年度以後特別調整率」を乗じない場合がある
■ 物価変動率とは、一般的な消費者物価上昇率(前年度の物価指数÷前前年度の物価指数)
実質賃金変動率とは、前々年度以前の3年間の「標準報酬平均額」の平均
・ 「標準報酬平均額」とは、厚生年金被保険者の税金や社会保険料等を含めた月給に「年間賞与/12月」を加えた総報酬を平均したもの
・ 計算式 以下1÷以下2の3乗根(3年平均と考える)
・ 前々年度の「標準報酬平均額」/5年前の年度の「標準報酬平均額」
・ 前々年度の消費者物価指数/5年前の消費者物価指数
■ 可処分所得割合変化率とは、厚生年金保険法の保険料アップによる手取りの変化を調整するためのもの
・ 計算式
・ 「0.910-3年前の9月1日の保険料率の2分の1」
・ 「0.910-4年前の9月1日の保険料率の2分の1」
・ 1÷2
実質手取り賃金の変動率=「実質賃金変動率」×「可処分所得割合変化率」
■ 名目手取り賃金変動率=「実質手取り賃金の変動率」×「物価変動率」
■ 調整率とは、「公的年金被保険者総数変動率×0.997」
■ 特別調整率とは
・ 平成29年度においては「1」
・ 以後、毎年度、「名目手取り賃金変動率×調整率÷算出率(名目手取り賃金変動率が1を下回るときは、調整率)」を基準として改定
■ 基準年度後特別調整率とは
・ 「前年度の特別調整率×物価変動率(物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率)×調整率÷基準年度以後算定率(物価変動率又は名目手取り賃金変動率が1を下回るときは、調整率)
・ 毎年度、「物価変動率(物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率)×調整率÷基準年度以後算出率(物価変動率又は名目手取り賃金変動率が1を下回るときは、調整率)」を基準
■ 平成16年の改正により、年金額や改定の仕組みが改められたが、改正後の計算式は物価スライドの未実施分1.7%(平成11年-0.3%、平成12年-0.7%、平成13年-0.7%)を一気に解消した式になっている。そのため、これをすぐに実施した場合、影響が大きいと判断され、「平成12年改正後の額×物価スライド率」で計算した額(特例水準)と「平成16年改正後」の式で計算した額(本来水準)とを比べて全社が大きい場合には全社の額を支給することとされた。そして、物価スライド率の部分は物価が上昇しても上がらないが、物価が直近の年金額改定の元となる物価水準を下回った場合にはその分下がる仕組みとしていた。これを物価スライド特例措置という。この物価スライド特例措置は、特例水準の解消が実施さえたこともあり、平成26年度をもって終了した。なお、この物価スライド特例措置が実際されている間は、マクロ経済スライドによる調整は行わないこととされていた。
■ 平成24年11月に成立した「国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律」の規定に基づき、平成11年から平成13年までの間において、物価が下落したにも関わらず、特例的に年金額を据え置いた影響で、法律が本来想定している水準よりも2.5%高い水準になっているものについて、段階的に解消を行うこととした。具体的には、平成25年10月から平成26年3月までの年金額については、平成24年の物価の対前年比変動率が0.0%であったことから、物価の変動による解消幅の増減はなく、その時の解消において年金額は1.0%引き下げとなった。また、平成26年4月から平成27年3月までの年金額については、本来水準の改定の基準が名目手取り賃金変動率とされ、その率が0.3%であったため、当初予定の1.0%と併せて0.7%の引下げとなった。
■ 老齢基礎年金の支給開始年齢は、原則として65歳であるが、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしているものについて、本人の希望により、支給開始年齢を繰り上げることができる。繰上げには、「全部の支給繰上げ」と「一部の支給繰上げ」がある。また、支給繰上げは、昭和16年4月1日以前に生まれた者と昭和16年4月2日囲碁に生まれた者で減額率などが全く異なる取扱いがなされている点を確認しておきたい。
■ さらに、減額率については、令和4年4月1日施行の改正により、その施行の前日において60歳に達していない物(昭和37年4月2日囲碁に生まれた者)を対象として引き下げられるので、注意が必要である。
■ 保険料納付済期間または保険料免除期間(学生納付特例の規定により納付することを要しないものとされた保険料にかかる物を除く)を有するもののうち、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている者であって、60歳以上65歳未満である者(任意加入被保険者でない者に限る。又、老齢基礎年金の一部繰上げの請求ができるもののうち、一定の者を除く)は、65歳に達する前に、厚生労働大臣に老齢基礎年金の支給繰上げの請求をすることができる。(国年法附則9条の2)
■ これらの者は、特別支給の老齢厚生年金(厚生年金保険法参照)の定額部分が段階的に支給雨されないこととされているため、定額部分の年金給付を受けるまでは報酬比例部分相当分だけとなってしまうことから、希望した場合には報酬比例部分相当の老齢厚生年金と繰上げ支給の老齢基礎年金とを併給できるようにしている。
■ 平成12年の法改正により、老齢基礎年金の一部繰上げができるとされたものを指す。この物は老齢基礎年金の全額繰上げができない。なお、平成6年の法改正により、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢引上げ期間中の者も老齢基礎年金の一部繰上げができるが、この者は、老齢基礎年金の全額繰上げもできる
■ 一般男子及び女子(第2号から第4号厚生年金被保険者であり、または第2号から第4号厚生年金被保険者期間を有する者に限る)で昭和24年4月2日から昭和28年4月1日生まれ、女子(第1号厚生年金被保険者であり、または第1号厚生年金被保険者期間を有するものに限る)で昭和29年4月2日から昭和33年4月1日生まれの場合
・ 老齢基礎年金を繰上げ請求しない場合
・ 60歳から65歳まで 報酬比例部分相当の老齢厚生年金
・ 65歳以後 老齢厚生年金+老齢基礎年金
・ 老齢基礎年金を繰上げ請求した場合
・ 60歳から65歳まで 報酬比例部分相当の老齢厚生年金+老齢基礎年金
・ 65歳以後 老齢厚生年金+老齢基礎年金
■ 繰上げ支給による老齢基礎年金の額は、65歳から支給されるべき年金額から、政令で定める額を減じて得た額とされる。(国年法附則9条の2第4項、国年令12条)
■ 昭和16年4月2日以後生まれの者については、月単位で減額が行われる。
■ 具体的には、65歳から支給されるべき年金額に減額率(1000分の5に当該年金の支給の繰上げを請求した日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率)を乗じて得た額が減額されることとなった。
■ この減額率が、令和4年4月1日施行の改正により、当該施行の前日において60歳に達していない者(昭和37年4月2日以後に生まれた者)を対象として次のように改正された
・ 減額率
・ 「1000分の4」に当該年金の支給の繰上げを請求した日の属する月から65歳に達する日の前月までの月数を乗じて得た率をいう。
・ 60歳0か月(60月) → 減額率0.24(60×4/1000)
・ 61歳0か月(48月) → 減額率0.192(48×4/1000)
・ 62歳0か月(36月) → 減額率0.144(36×4/1000)
・ 63歳0か月(24月) → 減額率0.096(24×4/1000)
・ 64歳0か月(12月) → 減額率0.048(12×4/1000)
・ 減額率=繰上げ請求月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数×4/1000
・ いったん繰上げ請求をすると、その額は、65歳になっても引き上げられることはなく、一生減額された年金(付加年金についても同様に取り扱われる)が支給される。
■ 令和4年4月1日施行の改正により、減額率が引き下げられたが、新たに減額率は、施行日(令和4年4月1日)の前日において、60歳に達していない者(昭和37年4月2日以後に生まれた者)に適用する(令和2年令附則2条2項、8条)
■ 平成12年の法改正により、60歳台前半の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢が、一般男子及び女子(第2号から第4号厚生年金被保険者であり、又は第2号から第4号厚生年金被保険者期間を有するものに限る)は平成25年度から、女子(第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生年金被保険者期間を有するものに限る)は平成30年度から、特定警察職員等は平成31年度から、引き上げられる。そのうち、障害者、長期加入者、船員・坑内員であって、60歳台前半の老齢厚生年金等の定額部分が計算される者に限って、厚生労働大臣に老齢基礎年金の一部繰上げの請求をすることができる。当分の間、平成6年の法改正んいよる定額部分の支給開始年齢引上げ期間中の者に適用される一部繰上げの仕組みと同じ仕組みによる(上述のように、この規定に該当する者は「全部繰上げ」を請求することはできない。)(国年法附則9条の2の2)
■ 一部繰上げをすると、定額部分は繰上げ調整額に変身し、老齢基礎年金は一部繰上げの老齢基礎年金となり、65歳以後老齢基礎年金に加算額が加算される。
■ 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている者であって、60歳以上65歳未満である者(被保険者でない者に限る)は、65歳に達する前に、厚生労働大臣に老齢基礎年金の支給繰上げの請求をすることができる。(国年法附則9条の2、平成6年国年法附則7条)
・ 現在は該当者なし
■ この場合の老齢基礎年金は、受給権者が国民年金の被保険者であるときは、その間、その支給が停止される。
・ 再就職により国民年金の第2号被保険者となった場合等
■ また、特別支給の老齢厚生年金を受けている者が老齢基礎年金の支給音繰上げを請求したときは、特別支給の老齢厚生年金は、全額支給停止される。
■ 繰上げ支給による老齢基礎年金の額は、65歳から支給されるべき年金額から、支給を請求したときのそれぞれの年齢に応じて、以下に定める率を乗じて得た額が減額される。
・ 60歳以上61歳未満 → 0.42
・ 61歳以上62歳未満 → 0.35
・ 62歳以上63歳未満 → 0.28
・ 63歳以上64歳未満 → 0.20
・ 64歳以上65歳未満 → 0.11
■ いったん繰上げ請求をされると、その額は、65歳になっても引き上げられることなく、一生減額された年金(付加年金についても同様に取り扱われる)が支給される。
■ 支給繰上げの請求があったときは、その請求があった日に老齢基礎年金の受給権が発生する。
■ この場合、実際に支給は、受給権が発生した日の属する月の翌月から開始される。
■ 年金法において、「支給する」とは、受給権の発生を意味する。したがって、国年法附則9条の2の2第3項の規定「支給繰上げの請求があったときは、その請求があった日から、その者に老齢基礎年金を支給する」における「支給する」とは、実際の年金の支給ではなく、受給権が発生する、ということである。
■ 受給権が発生した後に、年金額の増減などを意図して、請求の取消を申し出ても、裁定の取消又は変更はできない。
■ 繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者は、国民年金に任意加入することはできない。
■ 受給権が発生したあとは、原則として障害基礎年金(被保険者である間に初診日のある傷病による国年法30条1項1号の障害基礎年金及び国年法30条の4第1項の20歳前の傷病に基づく障害基礎年金を除く)は受けられない。
■ 受給権が発生したときは、それまで有していた寡婦年金の受給権は、消滅する。
■ 振替加算については、繰上げ支給の老齢基礎年金を受けている者についても、65歳から減額されず加算される。
■ 繰上げの請求は、老齢厚生年金の繰上げの請求ができるときは、同時に行わなければならない。
■ 老齢基礎年金の支給の繰上げのポイント
■ 昭和16年4月1日以前に生まれた者(現在対象者なし)
・ 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている者で60歳以上65歳未満の者(被保険者出ない者に限る)
・ 65歳に達する前に、厚生労働大臣に支給繰上げの請求をする。
・ 支給繰上げの請求をした場合には、請求があった日に受給権が発生し、その翌月から支給開始
・ 支給繰上げの請求をした場合には、任意加入被保険者となることができない。
・ 国民年金の被保険者である者については、支給繰上げの請求をすることができない。
・ 繰上げ請求後に被保険者となった場合には、全額支給停止
・ 老齢基礎年金の一部繰上げはできない
■ 昭和16年4月2日以後に生まれた者
・ 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしているもので60歳以上65歳未満の者
・ 任意加入被保険者出ない者に限る。平成12年の法改正により老齢基礎年金の一部繰上げ請求をすることができる者を除く
・ 65歳に達する前に、厚生労働大臣に支給繰上げの請求をする。
・ 支給繰上げの請求をした場合には、請求があった日に受給権が発生、その翌月から支給開始
・ 支給繰上げの請求をした場合には、任意加入被保険者となることができない。
・ 国民年金の被保険者(任意加入被保険者を除く)であっても支給繰上げの請求ができる。
・ 特別支給の老齢厚生年金の定額部分のうち、老齢基礎年金相当部分の支給停止
・ 老齢基礎年金の一部繰上げができる。
■ また、寡婦年金の受給権者が支給繰上げの請求をしたときは、寡婦年金の受給権は消滅する。
■ 付加年金も同時に繰上げて支給され、同様の減額率が適用される。
■ いったん繰上げ請求をすると後で取り消すことができない。減額率は生涯適用される。
■ 老齢基礎年金の支給開始年齢は、原則として65歳であるが、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている者について、本人の希望により、支給開始年齢を繰り下げることができる。なお、令和4年4月1日を施行日として、支給開始年齢の選択肢の範囲をかく対することとされ、支給繰り下げの上限年齢が「70歳」から「75歳」に改められた。
■ 次のすべての要件に該当している場合、支給繰下げの申出を厚生労働大臣に行うことができる。(国年法28条1項)
・ 66歳に達する前に老齢基礎年金を請求していない。
・ 65歳に達したときに、他の年金たる給付(国民年金法による他の年金給付(付加年金を除く)又は厚生年金保険法による年金たる保険給付(老齢を支給自由とするものを除く)をいう。)の受給権者でない。
・ 65歳に達した日から66歳に達した日までの間において、前記の他の年金たる給付の受給権者となっていない。
■ 66歳に達した日後に次のいずれに掲げる者が老齢基礎年金の支給の繰下げの申出をしたときは、以下に定める日において、老齢基礎年金の支給の繰下げの申出があったものとみなす。(国年法28条2項)
・ 75歳に達する日前に他の年金たる給付の受給権者となった者→他の年金たる給付を支給すべき事由が生じた日
・ 75歳に達した日後にある者(上記を除く)→75歳に達した日
■ 上記の例としては、老齢基礎年金を繰下げていた者が68歳で遺族厚生年金の受給権者となった場合は、遺族厚生年金の受給権者となった日に老齢基礎年金の繰下げの申出があったものとみなされる。この場合には、65歳にさかのぼって本来の老齢基礎年金の請求を行うか、増額された繰下げ支給の老齢基礎年金の申出を行うかの選択をすることになる。
■ 支給繰下げの申出をしたものに対する老齢基礎年金の支給は、その申し出のあった日の属する月の翌月から始められる。(国年法28条3項)
■ 65歳到達時以後に老齢基礎年金の受給資格期間を満たして老齢基礎年金の受給権を取得した者は、受給権を取得した日から1年を経過する日前に老齢基礎年季の裁定請求をしていなければ、支給の繰下げを申し出ることができる。
■ また、老齢基礎年金の受給権を取得した日から1年を経過した日後に、その受給権を取得した日から10年を経過する日の前日までの間に、上記の他の年金たる給付の受給権を取得した場合には、その受給権を取得した日に老齢基礎年金の支給の繰下げの申出があったものとみなされる。
■ さらに、老齢基礎年金の受給権を取得した日から10年を経過した日後に、支給の繰下げの申出があった場合には、10年を経過した日に老齢基礎年金の支給の繰下げの申出があったものとみなされる。ただし、上記の他の年金樽給付の受給権を崇徳したケースに該当する場合には、上記のケースが優先され、10年を経過した日前にある他の年金たる給付の受給権を取得した日に老齢基礎年金の支給の繰下げの申出があったものとみなされる。(昭和60年国年法附則18条5項)
■ 昭和16年4月1日以前に生まれた者
・ 繰下げ支給による老齢基礎年金の額は、当該年金の額に、当該年金の受給権を取得した日から起算して当該年金の支給の繰下げの申出をした日までの期間に応じて、以下の定める率を乗じて得た額が加算される
1年を超え2年に達するまでの期間 → 0.12
2年を超え3年に達するまでの期間 → 0.26
3年を超え4年に達するまでの期間 → 0.43
4年を超え5年に達するまでの期間 → 0.64
5年を超える期間 → 0.88
■ 昭和16年4月2日以後に生まれた者(国年法28条4項、国年令4条の5)
・ 昭和16年4月2日以後に生まれた者については、月単位で加算が行われる。
・ 具体的には、老齢基礎年金の額に増額率(1000分の7に当該年金の受給権を取得した日の属する月から当該年金の支給の繰下げの申出をした日の属する月の前月までの月数(120を超えるときは、120)を乗じて得た率)を乗じて得た額が加算される。
・ 66歳0か月(12月) → 0.084 (12×0.007)
・ 67歳0か月(24月) → 0.168(24×0.007)
・ 68歳0か月(36月) → 0.252(36×0.007)
・ 69歳0か月(48月) → 0.336(48×0.007)
・ 70歳0か月(60月) → 0.42(60×0.007)
・ 71歳0か月(72月) → 0.504(72×0.007)
・ 72歳0か月(84月) → 0.588(84×0.007)
・ 73歳0か月(96月) → 0.672(96×0.007)
・ 74歳0か月(108月) → 0.756(108×0.007)
・ 75歳0か月(120月) → 0.84(120×0.007)
・ 増額率=受給権取得月から繰下げ申出月の前月までの月数×7/1000
・ なお、付加年金についても、老齢基礎年金と同様の増額率が適用される。
■ 老齢基礎年金の支給の繰下げのポイント
・ 一定率で増額される。
・ 繰下げの申出をした老齢基礎年金は、申出のあった日の属する月の翌月から支給する。
・ 特別支給の老齢厚生年金は、65歳に達したときにその受給権が消滅するため、特別支給の老齢厚生年金の受給権者だった者であっても、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。
・ 令和4年4月1日を施行日として、支給開始年齢の選択肢の範囲が拡大され、支給繰下げの上限年齢が「70歳」から「75歳」に改められたが、この新しい繰下げの仕組みは、施行日の前日において、70歳に達していないものに適用される(令和2年法附則6条、8条)
・ 基本的には、施行日以降に70歳に達する者(昭和27年4月2日以後に生まれた者)に適用される。
■ 昭和61年に始まった新年金制度では、専業主婦のような被用者年金制度の被保険者の被扶養配偶者を第3号被保険者として国民年金に強制加入させ、65歳から当該被扶養配偶者自身の老齢基礎年金の受給権を確保させることとした。(この場合、夫に支給されていた老齢厚生年金の配偶者加給年金額は打ち切られる)。しかし、旧年金制度においては、専業主婦は国民年金の強制被保険者とはならず、任意加入扱いであったため、未加入であった者が老齢基礎年金を受給できるようになっても、満額の老齢基礎年金を受けることができない人が多い。そこで、大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた者には、これらの者に支給される年金額を増額するための制度として振替加算の制度が設けられている。
■ 老齢基礎年金の受給権者が大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた者であって、65歳に達した日において、次のいずれかに該当するその者の配偶者(事実婚を含む)によって生計を維持していたとき(65歳に達した日の前日において当該配偶者が受給権を有するその年金たる給付の加給年金額の計算の基礎となっていた場合に限る)は、老齢基礎年金に振替加算が行われる。(昭和60年国年法附則14条、15条)
・ 老齢厚生年金又は退職共済年金の受給権者
・ ただし、年金額の計算の基礎となる被保険者期間等が月数の240(中高齢者の特例に該当する者は、その期間)以上である者に限る)
・ 一元化前の退職共済年金(被用者年金一元化法の施行日(平成27年10月1日)前に給付事由の生じた退職共済年金)のこと
・ 障害厚生年金又は障害共済年金の受給権者
・ ただし、当該障害厚生年金又は障害共済年金と同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権を有するものに限る。
・ 一元化前の障害共済年金(被用者年金一元化法の施行日(平成27年10月1日)前に給付事由の生じた障害共済年金)のこと
■ 典型的な振替加算の形態(被扶養配偶者である妻の年齢が夫の年齢より低い場合)
・ 妻が65歳になると自分自身の老齢基礎年金が受けられる。この時点で、夫の老齢厚生年金に上乗せして支給されていた加給年金が打ち切られる。
・ 夫(60歳から65歳まで) 妻 65歳未満
・ 夫 特別支給の老齢厚生年金+配偶者の加給年金額
・ 妻 なし
・ 夫(65歳以後) 妻(65歳未満)
・ 夫 老齢厚生年金+老齢基礎年金+配偶者の加給年金額
・ 妻 なし
・ 夫(65歳以後) 妻(65歳以後)
・ 夫 老齢厚生年金+老齢基礎年金
・ 妻 振替加算+老齢基礎年金(妻)
■ 被扶養配偶者である妻の年齢が夫の年齢よりも高い場合の振替加算
・ 妻が65歳に達した日以後に夫の老齢厚生年金等の受給権が発生する場合には、当該老齢厚生年金等の受給権が発生した時点(特別の老齢厚生年金の場合は、定額部分の支給開始年齢に達したとき)において、妻の加給年金の対象となる要件を満たす者である場合には、そのときから妻の老齢基礎年金に当該振替加算額が加算されることになる。この場合、老齢基礎年金の額の改定は、夫に老齢厚生年金等の受給権が発生した日の属する月の翌月から行われる。
・ 夫(60歳未満) 妻(65歳以後)
・ 夫 なし
・ 妻 老齢基礎年金
・ 夫(60歳以後61歳未満) 妻(65歳以後)
・ 夫 特別支給の老齢厚生年金
・ 妻 老齢基礎年金
・ 夫(60歳以後、加給年金対象(例えば61歳) 妻(65歳以後)
・ 夫 特別支給の老齢厚生年金(本来加給年金額→即振替加算)
・ 妻 老齢基礎年金+振替加算
・ 夫(65歳以後)妻(65歳以後)
・ 夫 老齢厚生年金+老齢基礎年金
・ 妻 老齢基礎年金+振替加算
■ 振替加算は、老齢基礎年金を繰上げ受給している場合であっても65歳から加算が行われ、繰下げ受給した場合は、繰下げて受給を開始したときから加算が行われる。また、この場合、振替加算に相当する額については、政令で定める率を乗じて得た額の加算は行われない。
■ 老齢基礎年金の受給権者の配偶者が老齢厚生年金(原則として、その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上ある者に限る)の繰下げをしている場合であっても65歳から受給する老齢基礎年金に振替加算が行われる。
■ 振替加算は、被保険者とその配偶者ともに、大正15年4月2日以後に生まれた者である場合に限り行われる。
■ 加給年金と振替加算の関係は以下の通りである。(妻が被用者年金の受給権者で夫がその被扶養配偶者である場合は、妻と夫を入れ替える)
・ 夫(大正15年4月1日以前)妻(対象15年4月1日以前)
・ 夫の加給年金 → ○
・ 妻の老齢基礎年金 → ☓
・ 振替加算 → ☓
・ 夫(大正15年4月1日前)妻(大正15年4月2日後)
・ 夫の加給年金 → ○
・ 妻の老齢基礎年金 → ○
・ 振替加算 → ☓
・ 夫(大正15年4月2日後)妻(大正15年4月1日前)
・ 夫の加給年金 → ○
・ 妻の老齢基礎年金 → ☓
・ 振替加算 → ☓
・ 夫(大正15年4月2日後)妻(大正15年4月2日後)
・ 夫の加給年金 → ☓
・ 妻の老齢基礎年金 → ○
・ 振替加算 → ○
■ 振替加算の対象となる者に係る生計維持関係の認定は、振替加算の加算開始事由に該当した日を確認した上で、その日における生計維持関係により行うことになる。(平成23年年発0323第1号)
■ 昭和61年4月1日において59歳以上(大正15年4月2日から昭和2年4月1日生まれ)の者については、配偶者加給年金額と同額の224700円×改定率で、それ以降年齢が若くなるにつれて減っていき、昭和61年4月1日において20歳未満(昭和41年4月2日以後生まれ)の者には支給されない。
■ 振替加算の額=224700円×改定率×老齢基礎年金の受給権者の生年月日に応じてう政令で定める率
■ 振替加算と、妻自身の老齢基礎年金を合算した額が妻自身の老齢基礎年金として支給される。したがって、妻自身の受給する受給額(老齢基礎年金の額と振替加算の額を合算した額)が老齢基礎年金の満額を超える場合がある。
■ 保険料納付済期間、学生納付特例を除く保険料免除期間を全く有しない者であっても、合算対象期間、学生納付特例による保険料免除期間を合算した期間が10年以上ある者については、振替加算の要件に該当している場合には、振替加算額に相当する額の老齢基礎年金が支給される。なお、振替加算額に相当する額の老齢基礎年金については、繰下繰下げの申出をすることはできない。(昭和60年国年法15条)
■ 老齢基礎年金の受給権者自身が老齢厚生年金又は退職共済年金その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であって政令で定めるものを受けることができるときは、振替加算は行われない。(昭和60年国年法附則14条1項但し書き)
・ 被保険者(又は組合員もしくは加入者)期間が20年240月)以上あるもの又は厚生年金保険において中高齢者の特例に該当するものに限る
■ 振替加算は、老齢基礎年金の受給権者が障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金その他の障害を支給事由とする年金たる給付であって政令で定めるもの(その全額につき支給を停止されているものを除く)の支給を受けることができるときは、その間、その支給が停止される。(昭和60年国年法附則16条1項)
■ 老齢基礎年金の受給権者は、65歳に達した日において、振替加算の要件に該当したときは、老齢基礎年金の裁定の請求を行った後速やかに、所定の事項を記載した届書を機構に提出しなければならない。
■ ただし、特別支給の老齢厚生年金の裁定の請求書に厚年則30条2項4号の3に掲げる書類を添えたとき(当該老齢基礎年金の裁定の請求時に、配偶者が当該受給権者に係る加給年金額の加算対象となる年金給付を受けており、かつ、当該書類に記載された事項に変更がない場合に限る)その他の当該受給権者が振替加算の要件に該当したことを厚生労働大臣が確認できるときは、上記の届書は提出する必要はないものとされている。(国年則17条の2の4第1項)
■ 老齢基礎年金の受給権者は、振替加算の加算事由に該当するに至ったときは、速やかに受給権者及びその配偶者の氏名及び生年月日等を記載した届書を機構に提出しなければならない。(国年則17条の3第1項)
■ 振替加算は、受給権者自身が遺族基礎年金、遺族厚生年金を受ける場合であっても支給停止されない。
■ なお、老齢基礎年金と遺族基礎年金はいずれかを選択して受給することになるが、遺族基礎年金を選択した場合に、遺族基礎年金の額に振替加算が加算されることはない。
■ 振替加算は難所の一つです。仕組みをイメージした上で、下記の通り確認しておきましょう。
■ 振替加算の支給要件
・ 老齢基礎年金の受給権者が下記の要件に該当すること
・ 大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた者であること
・ 新法適用の昭和61年4月1日時点で20年240月)以上経過している受給権者が対象
・ 65歳に達した日において、次のいずれかの要件に該当するその者の配偶者によって生計を維持していたこと
・ 65歳に達した日の前日においてその者の配偶者がその受給権を有する次のいずれかに掲げる年金たる給付の加給年金額の計算の基礎となっていたこと
・ 老齢厚生年金又は退職共済年金(特別支給を含む)の受給権者(その年金額の計算の基礎となる期間の月数が240(中高齢者の特例あり)以上であるものに限る)
・ 障害厚生年金又は障害共済年金の受給権者(1,2級であって同一の支給事由による障害基礎年金の受給権を有する者に限る)
■ 振替加算の支給額
・ 224700円×改定率に老齢基礎年金の受給権者の生年月日に応じて政令で定める率を乗じて得た額
■ 振替加算のその他
・ 受給権者が障害基礎年金、障害厚生年金又は障害共済年金を受けることができるときは、その間、その支給を停止する。
・ 振替加算の対象者が、被保険者期間等が240(中高齢者の特例あり)月以上ある老齢厚生年金又は退職共済年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金を受けることができるときは、振替加算は行われない。
■ 大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた者であって、65歳に達した日において、保険料納付済期間及び保険料免除期間(学生等の納付特例を除く)を有さず、かつ、合算対象期間と保険料免除期間(学生等の納付特例に限る)とを合算した期間が10年以上ある者が、振替加算の要件に該当するときは、振替加算額に相当する額の老齢基礎年金が支給される。
■ 受給権者が老齢基礎年金の支給繰下げの申出を行った場合でも、振替加算額には政令で定める率を乗じて得た額の加算は行われない。
■ 繰上げ・繰下げと振替加算、付加年金額の整理
・ 繰上げ
・ 振替加算
・ 支給開始 65歳から
・ 増減額 なし
・ 付加年金額
・ 支給開始 繰上げ支給開始から
・ 増減額 減額
・ 繰下げ
・ 振替加算
・ 支給開始 繰下げ支給開始から
・ 増減額 なし
・ 付加年金額
・ 支給開始 繰下げ支給開始から
・ 増減額 増額
■ 老齢基礎年金の受給権は、受給権者が死亡したときは、消滅する。(国年法29条)
■ 受給権者が日本国内に住所を有しなくなっても、失権したり、支給停止になることはない。
■ 第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間は1年以上であるが、老齢基礎年金の支給を受けるために必要な受給資格期間を満たせないため、老齢基礎年金を受給できない者については、旧陸軍共済組合等の旧令共済組合の組合員であった期間は、老齢年金の受給資格期間に算入され、当該期間を合算して受給資格期間を満たしたときは、老齢年金の支給を受けることができることとしている。
■ 支給要件(国年法附則9条の3第1項、昭和60年国年法附則30条)
・ 第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)としての被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が1年以上であるが、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない者であること。
・ 保険料納付済期間、保険料免除期間及び旧令共済組合の組合員期間を合算した期間が10年以上ある場合
■ 支給時期(国年法附則9条の3第1項)
・ そのものが65歳に達したときに老齢年金が支給される。
■ 年金額(国年法附則9条の3第2項)
・ 第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間及び保険料免除期間について、老齢基礎年金と同様に計算した額とする。
■ 繰上げ・繰下げ(国年法附則9条の3第4項)
・ 支給の繰上げ・繰下げの規定が適用される。
■ この給付は、第1号被保険者に対する独自給付の一種である。
■ 支給要件の「1年以上」は、通算老齢年金の流れを継いだものである。
■ 新法の受給資格期間の10年を満たしていないため老齢基礎年金の受給ができない者に対して、旧令共済組合の組合員であった期間をあたかも合算対象期間のように受給資格期間に算入する点を、老齢基礎年金と比較するとよい。
■ この規定による「老齢年金」は、国民年金の旧法による「老齢年金」とは全く異なる給付である。
[国年法] 国民年金法・重要箇所・Chapter4
障害基礎年金
■ 障害基礎年金は、基礎年金として2階建て給付の1階部分の給付を担う。一方、厚生年金保険の障害給付には、障害等級1級、2級以外にも3級の障害厚生年金があり、また、これに満たない障害の場合にも障害手当金が支給される。
・ 厚生年金保険法/国民年金
・ 障害厚生年金1級/障害基礎年金1級
・ 障害厚生年金2級/障害基礎年金2級
・ 障害厚生年金3級/なし
・ 障害手当金/なし
■ 新年金制度における障害基礎年金が支給されるのは、昭和61年4月1日以後に障害基礎年の受給権が発生した場合(障害認定日が昭和61年4月1日以後である場合)である。昭和61年3月31日までに旧国民年金法による障害年金の受給権を有している者については、旧国民年金法による障害年金が支給される。(昭和60年国年法附則32条)
■ 旧年金制度においては、20歳未満で障害になった者について、全額国庫負担の障害福祉年金が支給されていた。新年金制度では、昭和61年3月31日に障害福祉年金の受給権のある者が、昭和61年4月1日に障害基礎年金に該当する障害の状態にある場合には、裁定替えを行い、障害基礎年金を支給している。(昭和60年国年法附則25条1項)
・ 国民年金(旧法→新法)
・ 障害年金 → 障害基礎年金
・ 障害福祉年金(裁定替え) → 障害基礎年金
・ 厚生年金(旧法→新法)
・ 障害年金 → 障害厚生年金
■ 障害基礎年金は、次に掲げる3つの要件をすべて満たした者に支給される。(業務上、業務外の別を問わない)(本来の障害基礎年金)
■ 本来の障害基礎年金の支給要件(国年法30条)
・ 初診日において、次のいずれかに該当すること
・ 被保険者であること
・ 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であること
・ 障害認定日においてその傷病により障害等級の1級又は2級の障害状態に該当すること
・ 初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があるものについては、その被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上あること
■ 国民年金法の障害基礎年金は、厚生年金保険法の障害厚生年金と違い、必ずしも初診日において被保険者である必要はない。初診日と障害認定日の意味について確認すること。
■ 初診日→初めて医師又は歯科医師による診察を受けた日(保険医である必要なし)
■ 障害認定日→初診日から起算して1年6月を経過した日、又は、その期間内に傷病が治った場合においてはその治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
■ 初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間がある者については、その被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上あること
■ 保険料の納付要件は、初診時の属する月の前々月までに被保険者期間がある場合に適用される。初診日の属する月の前々月までに被保険者期間がない場合には、保険料の納期限が到来していないため保険料納付要件を問われることはなく、保険料を納付した期間がなくても障害基礎年金が支給される場合がある。
■ 障害基礎年金の支給要件における「保険料納付済期間」には、被用者年金制度の加入期間のうち、昭和36年4月前の期間、20歳未満60歳以後の期間も含まれる。(昭和60年国年法附則8条9項)
■ 障害基礎年金の支給要件における第三種被保険者としての保険料納付済期間は、平成3年3月以前の期間であっても、実期間で計算する。(3分の4倍等しない。)
■ 初診日が令和8年4月1日前にある傷病が原因で障害になった場合は、初診日の前日において当該初診日の属する月の前々月までの直近の1年間(当該初診日において被保険者でなかったものについては、当該初診日の属する月の前々月以前における直近の被保険者期間に係る月までの1年間)に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がなければ、保険料納付要件を満たす。ただし、当該障害に係る者が当該初診日において65歳以上であるときは、この限りでない。
■ 保険料納付要件の特例が適用されるのは、当該障害に係る者が当該初診日において65歳未満である場合に限られる。(したがって、この特例は、特例による任意加入被保険者には適用されない。)
■ 直近の1年間が保険料納付済期間又は保険料免除期間で満たされていること
■ 本来の障害基礎年金の要件のまとめ
・ 初診日要件
・ 被保険者であること
・ 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であること
・ 障害認定日要件
・ 障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態にあること
・ 保険料納付要件
・ 必要(初診日の前日においてみる)
・ 原則
・ 初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があるときは、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上あること
・ 特例
・ 初診日が令和8年4月1日前にある傷病による障害について、当該初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までの直近の1年間に保険料滞納期間がないこと(当該初診日において65歳未満である場合に限る)
■ 国民年金の障害基礎年金には、「被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ60歳以上65歳未満の者」という条件もあるが、厚生年金保険では、「被保険者期間中に初診日がある」ことが絶対条件であるので注意のこと。
■ 障害認定日とは、初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内にその傷病が治った場合においては、その治った日(症状が固定化した治療の効果が期待できない状態に至った日を含む))をいう。
■ 保険料納付要件を見る場合、第2号被保険者のうち、20歳前の期間及び60歳以後の期間は保険料納付済期間とされる。
■ 障害基礎年金の対象となる障害には、精神の障害も含まれる。
■ 障害認定日に障害等級に該当しなかったため本来の障害基礎年金を受けられない者について、その後障害等級に該当する状態に至った場合に障害基礎年金を支給する制度である。(事後重症による障害基礎年金)
■ 事後重症による障害基礎年金の支給要件(国年法30条の2第1項から3項)
・ 初診日において、次のいずれかに該当すること
・ 被保険者であること
・ 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であること
・ 障害認定日にその障害の程度が障害等級1級又は2級に該当しなかったものが、障害認定日後65歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度に障害の状態に該当するに至ったとき
・ 本来の障害基礎年金と同様
・ 65歳に達する日の前日までの期間内に障害基礎年金の支給を請求すること。
■ 本来の障害基礎年金は支給要件を満たせば自動的に受給権が発生するのに対して、事後重症による障害基礎年金は65歳に達する日の前日までに請求することによって受給権が発生する。また、実際の支給は請求があった月(受給権が発生した月)の翌日から始められる。
■ 同一の支給事由に基づく障害厚生年金の障害等級が3級から2級に改定された場合においては、その者については初めて国民年金法に定める障害等級1級又は2級の障害の状態に該当することとなる。この場合、改めて請求することにより障害基礎年金の受給権が生ずるのではなく、障害厚生年金の額の改定に伴い障害基礎年金の請求が行われたものとみなされる。(国年法30条の2第4項)
■ 事後重症による障害基礎年金は請求が要件とされる(請求年金)が、上記のように自動的に受給権が発生することがある点に注意されたい。なお、この規定のことを「請求の省略」と呼ぶ
■ 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けた者については、障害基礎年金や寡婦年金の支給要件の規定上では、65歳に達しているものと同様に取扱うとされており、事後重症による障害基礎年金や寡婦年金を支給しないこととされている。(国年法附則9条の2の3)
■ 事後重症による障害基礎年金は、同一の傷病による障害について、旧国民年金による障害年金、旧厚生年金保険法による障害年金又は共済組合若しくは日本私立学校復興・共済事業団が支給する障害年金の受給権を有していたことがある者について、支給しない。これらの者は、65歳に達する日の前日までに障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは、65歳に達する日の前日までに本来の(国年法30条1項の)障害基礎年金を請求することができる。
■ 事後重症の要件のまとめ
・ 初診日要件
・ 被保険者であること
・ 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であること
・ 障害認定日要件
・ 障害認定日にその障害の程度が、障害等級の1級又は2級に該当しなかったものが障害認定日後、65歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったこと
・ 保険料納付要件
・ 必要(初診日の前日においてみる)
・ その他
・ その期間内(65歳に達する日の前日まで)に請求する
■ 事後重症による障害基礎年金は、請求することによってはじめてその受給権が発生する(請求年金)
■ 受給権の発生日は、その請求日となる。
■ 請求があった日の属する月の翌月から支給される。
■ 国民年金の障害基礎年金は、たとえ障害の状態にあっても障害の状態が2級以上の障害等級に該当しなければ支給されない。「事後重症」が、後に障害状態が悪くなった場合に対応するための制度であるのに対し、「基準障害」の場合には、その後新たに別の傷病にかかり、これにより生じた障害(基準障害)と他の障害を併合して初めて2級以上になった場合に障害基礎年金を支給する制度である。(基準障害による障害基礎年金)
■ 基準障害による障害基礎年金の支給要件(国年法30条の3)
・ 基準傷病の初診日において、次のいずれかに該当すること
・ 被保険者であること
・ 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であること
・ 基準傷病に係る障害認定日以後、65歳に達する日の前日までに、初めて、基準傷病による障害と他の傷病とを併合して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当したとき
・ 保険料納付要件(基準傷病の初診日の前日においてみる)
・ 本来の障害基礎年金と同様
・ 障害基礎年金の支給を請求すること
■ 事後重症の障害基礎年金と異なり、基準障害と他の障害とを併合して初めて1級又は2級に該当する障害の状態になったときに受給権が発生する(請求が要件ではない)が、この障害基礎年金の支給は、請求があった月の翌月から始められる。
■ また、厚生年金保険法による3級の障害厚生年金の受給権者が新たに3級程度の障害が生じた場合において、前後の障害を併合して初めて1級又は2級に該当する障害の状態となるときは、障害基礎年金が支給さえることとなる。これを国民根金の側からみると、1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある者に、新たに1級又は2級に該当しない程度の障害(基準障害)が生じたとみることができる。
■ 基準障害の要件のまとめ
・ 初診日要件(基準障害に係る初診日を指す)
・ 被保険者であること
・ 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であること
・ 障害認定日要件
・ 障害等級1級又は2級の障害の状態に該当しない者に基準傷病が発生し、基準傷病に係る障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間において、基準障害と他の障害とを併合して初めて障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったこと
・ 保険料納付要件
・ 必要(基準障害に係る初診日の前日においてみる)
■ 先発の傷病(基準傷病以外の傷病)については、初診日要件も保険料納付要件も問われない。
■ 請求については65歳以降であっても可(請求年金ではない)
■ 請求があった日の属する月の翌月から支給される。
■ 旧年金制度においては、20歳未満で障害を負った者に対して、全額国庫負担の障害福祉年金が支給されていた。新年金制度において、20歳前の傷病により生じた障害に関して、保険料納付要件を必要としない独自の障害基礎年金を支給することとしている。
■ 初診日において20歳未満であった者については、①障害認定日以後に20歳に達したときは20歳に達した日において、②障害認定日が20歳に達した日以後であるときはその障害認定日において、1級又は2級の障害の状態にあるときは、障害基礎年金が支給される。(国年法30条の4第1項)
■ 20歳に達したとき又は障害認定日に障害基礎年金に該当する障害の状態でなくても、その後65歳に達する日の前日までの間に、1級又は2級の障害の状態に該当すれば、その期間内に障害基礎年金を請求することができる。
■ 65歳に達する日の前日までの間に、障害基礎年金の支給を請求すれば、請求のあった月の翌月から障害基礎年金が支給される。(国年法30条の4第2項)
■ 20歳前の傷病による障害に基づく障害基礎年金の要件のまとめ
・ 初診日要件
・ 20歳未満であること
・ 障害認定日要件
・ 次のいずれかの日において、障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったとき
・ 障害認定日以後に20歳に達したときは20歳に達した日
・ 障害認定日が20歳に達した日以後であるときはその障害認定日
・ 20歳に達した日又は障害認定日において、障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態になかった者については、その後65歳に達する日の前日までの間に障害等級1級又は2級に該当し、かつ、その期間内に請求すること(事後重症制度)
■ 保険料納付要件は一切問われない。
■ 上記のうち事後重症制度については、請求年金である。
■ 20歳前の第2号被保険者期間中に初診日のある場合には、国年法30条の4ではなく、国年法30条の本来の障害基礎年金が支給される。
■ 旧法当時の支給要件に該当しなかったために障害年金を受給できなかった者を救済するための特例措置である。
■ 障害基礎年金の支給に関する特例(平成6年国年法附則6条)
・ 昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの間に初診日がある傷病によって一定の障害の状態に該当しているにも関わらず、旧法当時の支給要件(旧国民年金の被保険者期間なら1年以上、厚生年金保険の被保険者期間なら6月以上あること)に該当していない者であること
・ 現在の支給要件(初診日において年金制度に加入していたこと。初診日の属する月の前々月までの加入期間に3分の1を超える滞納期間がないこと。)に該当しており、かつ、その傷病によって1級又は2級の障害の状態にあること
・ 65歳に達する日の前日までの間に請求すること
■ 上記要件に該当する場合は特例的にその者に国年法30条の4第1項の規定(いわゆる20歳前の傷病に基づく障害)による障害基礎年金を支給する、なお、この障害基礎年金は、老齢基礎年金の支給の繰上を受けている者も請求することができる。
■ また、この障害基礎年金については、国年法36条の2から国年法36条の4までの支給停止、本人の所得制限等(20歳前の傷病に基づく障害基礎年金にもⅡ適用される支給停止等)が行われることとなる。
■ 新年金制度においては、一人一年金が原則となる。国年法31条では、障害基礎年金の受給権者にその後新たに障害が発生し、障害基礎年金の受給要件を満たしている場合においては、複数の障害基礎年金が支給されるのではなく、前後の障害を併合認定した1つの障害基礎年金が支給されることを規定している。また、国年法32条は、2つの障害基礎年金が発生した場合の一方の障害基礎年金が支給停止されている場合の取扱いについて規定している。
■ 障害基礎年金の受給権者に対し更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金を支給する。
■ 障害基礎年金の受給権者が上記の規定により前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金の受給権を取得したときは、従前の障害基礎年金の受給権は、消滅する。(国年法31条)
■ 期間を定めて支給を停止されている障害基礎年金の受給権者に対して更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じたときは、国年法31条1項の規定により支給する前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金は、従前の障害基礎年金の支給を停止すべきであった期間、その支給を停止するものとし、その間、その者に従前の障害を併合しない障害の程度による障害基礎年金を支給する。
■ 障害基礎年金の受給権者が更に障害基礎年金の受給権を取得した場合において、新たに取得した障害基礎年金が労働基準法の規定による障害補償を受けることとなったため、後発の障害基礎年金が6年間支給停止される場合は、その停止すべき期間、その者に対して従前の障害基礎年金を支給する。(国年法32条)
■ 従前2級障害基礎年金(A)の支給停止中に、後発の2級障害基礎年金(B)が発生した場合、Aの障害基礎年金が支給停止となっている間、併合認定後の1級障害基礎年金(C)の併合認定による障害基礎年金の支給は停止され、その間Aの障害を併合しないBの障害基礎年金のみが支給される。
■ 従前2級障害基礎年金(A)の支給期間中に、後発の2級障害基礎年金(B)が発生した場合、Bの障害基礎年金が支給停止となっている間、併合後の1級障害基礎年金(C)の併合認定による障害基礎年金(C)の支給は停止され、その間、Aの障害基礎年金のみが支給される。
■ 昭和61年4月1日前に受給権の発生した旧国民年金法の障害年金又は旧被用者年金各法の障害年金(障害の程度が1級又は2級のものに限る)の受給権者に対して、更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じた場合には、前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金が支給される。
■ この場合において、(C)の併合後の障害基礎年金の受給権を取得したときでも、旧障害年金(A)の障害年金の受給権は消滅しない。この場合、障害年金(A)と新たに発生した併合認定による障害基礎年金(C)のどちらか一方を選択受給することとなる。
■ 障害基礎年金の年金額に関し規定している。重い障害等級の障害基礎年金は年金額が多く、また、受給権者に一定年齢未満又は一定の障害の状態にある子がいる場合は、その子の数に応じて加算が行われる。これまでは、障害基礎年金の受給権発生時に生計維持している子がある場合にこの加算を行うこととしていたが、これに加え、平成23年4月1日からは、受給権発生後に子を持ち、その子との間に生計維持関係がある場合にもこの加算を行うこととし、受給権発生後に生計維持関係にある子を有するに至った場合等において、当該子を有した月の翌月から障害基礎年金の額を改定することとされた。
■ なお、旧国民年金法の規定による障害年金について、これまで、昭和61年4月1日において生計維持している子がある場合に加算を行うこととしてきたが、これに加え、受給権発生後に子を持ち、その子との間で生計維持関係がある場合にも子の加算を行うこととされた。
■ 障害基礎年金の額は定額となっており、障害等級2級の障害についてはロ恵右暦基礎年金の満額と同じ金額を支給し、障害等級1級の障害については2級の障害基礎年金の額の100分の125に相当する額が支給される。(国年法33条2項)
・ 障害等級1級 → 2級の年金額×125/100
・ 障害等級2級 → 780900円×改定率
■ 障害基礎年金の額は、受給権者によって生計を維持しているその者の「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子」又は「20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にある子」があるときは、障害基礎年金の額に次の額の加算が行われる。(国年法33条の2第1項)
・ 第1子・第2子(1人につき)→ 224700円×改定率
・ 第3子以降 → 74900円×改定率(224700÷3)
■ 障害基礎年金の受給権者によって生計を維持している子とは、当該障害基礎年金の受給権者と生計を同じくしている子であって、厚生労働大臣の定める金額(年額850万円)以上の収入を有すると認められる者以外のものその他これに準ずる者として厚生労働大臣が定める者とする。(国年法33条の2第4項・国年令4条の7)
■ 年金額の改定
・ 子の数が増減した場合
・ 障害等級が改定
・ 厚生労働大臣の診査
・ 受給権者の請求
・ その他障害の発生による改定
■ 受給権者がその権利を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持しているその者の子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にある子に限る)を有するに至ったことにより、その額を加算することになったときは、当該子を有するに至った日の属する月の翌月から、障害基礎年金の額を改定する。(国年法33条の2第2項・3項)
■ 加算額の対象となっている子のうち1人又は2人以上が次のいずれかに該当するに至ったときは、その該当するに至った日の属する月の翌月から、その該当するに至ったこの数に応じて、年金額を改定する。
・ 死亡したとき
・ 受給権者による生計維持の状態がやんだとき
・ 婚姻したとき
・ 受給権者の配偶者以外の者の養子となったとき
・ 離縁によって、受給権者の子でなくなったとき
・ 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(障害等級に該当する障害状態にあるときを除く)
・ 障害等級に該当する障害の状態にある子について、その事情がやんだとき(その子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く)
・ 20歳に達したとき
■ 障害基礎年金に係る子の加算額については、障害基礎年金の受給権取得後に要件に該当するに子を有することになった場合でも、加算が行われる。
■ 厚生労働大臣は、障害基礎年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、障害基礎年金の額を改定することができる。この場合、改定後の額による障害基礎年金の支給は、改定が行われた日の属する月の翌月から開始される。(国年法34条1項・6項)
■ 障害基礎年金の受給権者は、障害の程度が増進したときは、厚生労働大臣に対し年金の額の改定を請求することができるが、この請求は、障害基礎年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、当該障害基礎年金の受給権を取得した日又は厚生労働大臣の診査を受けた日から1年を経過した日後でなければ行うことができない。(国年法34条2項・3項)
■ 障害基礎年金の受給権を取得した日又は厚生労働大臣の診査を受けた日のいずれか遅い日の以後、次のいずれかに掲げる状態に至った場合(5に掲げる状態については、当該状態に係る障害の範囲が拡大した場合を含む)とする。(国年則33条の2の2)
・ 両眼の視力の和が0.04以下のもの
・ 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
・ 両上肢のすべての指を欠くもの
・ 両下肢を足関節以上で欠くもの
・ 四肢又は手指もしくは足指が完全麻痺したもの(脳血管障害又は脊髄の器質的な障害によるものについては、当該状態が6月を超えて継続している場合に限る)
・ 心臓を移植したもの又は人工心臓(補助人工心臓を含む)を装着したもの
・ 脳死状態又は遷延性植物状態(意識障害により昏睡した状態にあることをいい、当該状態が3月を超えて継続している場合に限る)となったもの
・ 人工呼吸器を装着したもの(1月を超えて常時装着している場合に限る)
■ 障害基礎年金の受給権者に更に障害等級の1級又は2級に満たない程度の軽度の障害(その他障害)が発生し、その他障害の障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間に、前後の障害を併合した障害の程度が受給中の障害基礎年金の障害の程度より増進したときは、その期間内に障害基礎年金の額の改定を厚生労働大臣に請求することができる。(国年法34条4項)
■ 「その他障害」については、次の要件を満たしていることが必要である。
・ その初診日が、先発障害に係る傷病の初診日後であること
・ 初診日において、「被保険者」又は「被保険者であった者で、日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者」であり、かつ、保険料納付要件を満たしていること
■ 各種の障害基礎年金の主要な要件を整理しておきます。
・ 障害基礎年金(30条)
・ 保険料納付済要件→〇
・ 初診日要件→〇
・ 障害認定日要件→〇
・ 65歳前障害等級該当→×
・ 65歳前請求→×
・ 事後重症(30条の2)
・ 保険料納付要件→〇
・ 初診日要件→〇
・ 障害認定日要件→×
・ 65歳前障害等級該当→〇
・ 65歳前請求→〇
・ 基準障害(30条の3)
・ 保険料納付要件→〇
・ 初診日要件→〇
・ 障害認定日要件→なし
・ 65歳前障害等級該当→〇
・ 65歳前請求→×
・ 20歳前障害(30条の4)
・ 保険料納付要件→×
・ 初診日要件→×(20歳未満であること)
・ 障害認定日要件→〇
・ 65歳前障害等級該当→なし
・ 65歳前請求→なし
・ 20歳前事後重症(30条の4)
・ 保険料納付要件→×
・ 初診日要件→×(20歳未満であること)
・ 障害認定日要件→×
・ 65歳前障害等級該当→〇
・ 65歳前請求→〇
■ 本条は、障害基礎年金の受給権の失権事由について規定している。平成6年の法改正により失権事由が改められ、「厚生年金保険法に規定する3級以上の障害の状態に該当することなく引き続き同程度の状態で3年を経過したとき、又は当該障害の状態に該当することなく65歳に達したときのいずれか遅い方の事由に該当したとき」に、失権することとされた。
■ 障害基礎年金の受給権は、次のいずれかに該当したときに消滅する。
・ 死亡したとき
・ 厚生年金保険法に規定する障害等級(3級以上)に該当する程度の障害の状態にない者が、65歳に達したとき(65歳に達した日において、当該障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して、そのまま該当することなく3年を経過していないときを除く)
・ 厚生年金保険法に規定する障害等級(3級以上)に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して、そのまま該当することなく3年を経過したとき(3年を経過した日において、当該受給権者が65歳未満であるときを除く)
・ 前後の障害を併合認定した障害基礎年金を受けるとき(国年法31条2項)
■ 施行日(平成6年11月9日)前に障害基礎年金(国年法30条の4の規定による障害基礎年金を除く)の受給権を有していたことがある者(同日において当該障害基礎年金の受給権を有する者を除く)が、当該障害基礎年金の支給事由となった傷病により、施行日において障害等級の1級又は2級に該当する程度の障害の状態にあるとき、又は施行日の翌日から65歳に達する日の前日までの間において、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その者は、施行日から65歳に達する日の前日までの間に、国年法30条1項の障害基礎年金の支給を請求することができる。(平成6年国年法附則4条)
■ 平成6年11月9日前に国年法30条の4(20歳前障害)の規定による障害基礎年金の受給権を有していたことがある者、旧国民年金法による障害福祉年金の受給権を有していたことがある者についても、同様の取扱いが行われる。
■ この場合には、その請求をした者に国年法30条の4の規定による障害基礎年金を支給する。(平成6年の改正前は、障害の程度が厚生年金保険法の3級に不該当となってから3年を経過した時点で失権することになっていた)
■ 国年法36条は、すべての障害基礎年金に共通する支給停止事由について規定している。国年法36条の2から国年法36条の4においては、「20歳前の傷病による障害に基づく障害基礎年金」のみに係る支給停止事由を規定している。
■ 障害基礎年金は、その受給権者が当該傷病による障害について、労度基準法の規定による障害補償を受けることができるときは、6年間、その支給を停止する。
■ 障害基礎年金は、受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときは、その障害の状態に該当しない間、その支給を停止する。ただし、障害の状態が軽くなり支給停止されている障害基礎年金の受給権者にその他障害が発生し、その他障害の障害認定日以後65歳に達する日前までの間に、前後の障害を併合した障害の程度が2級以上になれば支給停止が解除される。(国年法36条)
■ 20歳前の傷病による障害に基づく障害基礎年金には、独自の支給停止事由が設けられている。
■ 20歳前の傷病による障害に基づく障害基礎年金は、受給権者が次のいずれかに該当するときは、支給停止される。
・ 恩給法に基づく年金たる給付(増加恩給等を除く)、労働者災害補償保険法の規定による年金たる給付その他の年金たる給付であって政令で定めるものを受けることができるとき。ただし、これらの給付が全額につき支給停止されているとき(その支給停止が労働基準法による障害補償又は遺族補償が行われることによるものであるときを除く)は、20歳前の傷病による障害に基づく障害基礎年金は、支給停止されない。
・ 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき
・ 少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき
・ 日本国内に住所を有しないとき
・ 上記2,3に該当する場合は、厚生労働省令で定める場合に限る(受給権者である未決拘留者に対しては、有罪が確定するまでの拘留期間については支給停止しない)
■ 20歳前の傷病に係る障害に基づく障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が、その者の所得税法に規定する同一生計配偶者及び扶養親族の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の10月から翌年9月まで、政令で定めるところにより、その全部又は2分の1(子を対象とした加算額が加算された障害基礎年金にあっては、その額から当該加算額を控除した額の2分の1)に相当する部分の支給を停止する。(国年法36条の4)
・ 370.4万円超→2分の1支給+加算額
・ 472.1万円超→全額支給停止
■ 国年法36条の3第1項に規定する政令で定める額は、扶養親族等がないときは、370万4000円とし、扶養親族等があるときは、370万4000円に当該扶養親族等1人につき、原則として38万円を加算した額とする。
■ 国年法36条の3第1項の規定による支給停止は、所得が472万1000円(扶養親族があるときは、472万円1000円に当該扶養親族等1人につき、原則として38万円を加算した額とする)を超えない場合には、障害基礎年金のうち2分の1(この加算額が加算された障害基礎年金にあっては、その額からその加算する額を控除した額の2分の1)に相当する部分について、当該所得が472万1000円を超える場合には障害基礎年金の全部について、行うものとする。
■ 震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、自己又は所得税法に規定する同一生計配偶者もしくは扶養親族の所有する住宅、家財又は政令に定めるその他の財産につき被害金額(保険金、損害賠償金等により補充された金額を除く)がその価格の概ね2分の1以上である損害を受けた者(被災者)がある場合においては、その損額を受けた月から翌年の9月までの20歳前の傷病による障害に基づく障害基礎年金については、その損害を受けた年の前年又は前々年における当該被災者の所得を理由とする支給停止は行わない。(国年法36条の4)
[国年法] 国民年金法・重要箇所・Chapter5
遺族基礎年金
■ 年金法の改正により、昭和61年4月から新年金制度が施行され、国民年金が全国民共通の基礎年金として位置づけられた。旧法時代の年金と新年金制度における年金の区分について規定している。
■ 新年金制度における遺族基礎年金が支給されるのは、死亡日が昭和61年4月1日以後の場合である。昭和61年4月1日前に旧国民年金法による母子年金、準母子年金又は遺児年金の受給権を有するものには、遺族基礎年金は支給されず、引き続き旧制度による給付が行われる。
■ 昭和61年4月1日前に旧国民年金法による母子福祉年金又は準母子福祉年金の受給権者であった者については、当該福祉年金が裁定替えされ、昭和61年4月1日に遺族基礎年金の受給権者となった。この場合、従来の母子(準母子)福祉年金の受給権は消滅した。
■ 国民年金
・ 母子福祉年金→裁定替え→遺族基礎年金
・ 準母子福祉年金→裁定替え→遺族基礎年金
・ 母子年金→そのまま支給
・ 準母子年金→そのまま支給
・ 遺児年金→そのまま支給
・ 寡婦年金→寡婦年金
・ 死亡一時金→死亡一時金
■ 厚生年金
・ 遺族年金→遺族厚生年金
■ 遺族基礎年金は、被保険者又は被保険者であった者が次のいずれかに該当する場合に、当時死亡した者によって生計を維持していた「子のある配偶者」又は「子」に支給される。(国年法37条)
・ 被保険者が、死亡したとき
・ 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるものが、死亡したとき
・ 老齢基礎年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る)が、死亡したとき
・ 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき
25年以上の要件を判断する際、「合算対象期間」を含めてもよい。ただし、「合算対象期間」のみで25年以上ある者が死亡したとしても、遺族基礎年金は支給されない。
■ また、当該、「25年以上の要件」は、以下の特例により短縮されることがある。
・ 上記の死亡事由のほか、大正15年4月1日以前に生まれた者であって、旧厚生年金保険法による老齢年金の受給資格期間を満たしている者や1級又は2級の障害年金の受給権者等が昭和61年4月1日以後に死亡した場合にも遺族基礎年金が支給される。
■ 遺族基礎年金は死亡時点において受給権が発生するため、大正15年4月1日以前生まれの者の死亡についても支給が行われる場合がある。
■ 老齢基礎年金の受給資格期間は、原則25年以上から10年以上に短縮されたが、遺族基礎年金の支給要件においては、短縮されていない。
・ 老齢基礎年金の受給権者の死亡によって支給される場合、その受給権者が原則として、25年以上年金制度に加入していたことが要件
■ 支給要件の1,2に該当する者の死亡について、その死亡した者の死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間がある場合には、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上あること
■ この保険料の納付要件は、死亡日に属する月の前々月までに被保険者期間がある場合について適用される。
■ 被保険者の資格を取得した直後に死亡した場合、実質的に保険料を納付した期間がなくても、死亡日において被保険者であるので、遺族基礎年金は支給される。
■ 令和8年4月1日前に死亡した場合、死亡日の前日において、当該死亡日の属する月の前々月までの直近の1年間(死亡日において被保険者でなかった者については、死亡日の属する月の前々月以前における直近の被保険者期間に係る月までの1年間)に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がないこと
■ 原則の保険料納付要件に該当しない場合でも、令和8年4月1日前に死亡した場合は、特例が適用される。なお、この特例が適用されるのは、当該死亡に係る者が当該死亡日において65歳未満である場合に限られる。
■ 直近の1年間が保険料納付済期間又は保険料免除期間で満たされていること
■ 自殺は、故意の犯罪行為もしくは重大な過失に該当しないので国年法70条による給付制限は受けない。したがって、遺族基礎年金は支給される。(昭和34年福発69号)
■ 遺族基礎年金の長期要件について、「保険料納付済期間+保険料免除期間(+合算対象期間)が25年以上あること」という要件(25年以上の要件)があるが、下記のいずれかに該当していれば、この25年以上の要件を満たしたものとみなされる。
■ この特例は、平成29年8月1日施行の改正前の受給資格期間の短縮の特例を引き継ぐものである。
・ 昭和5年4月1日以前に生まれた者の特例(昭和60年国年法附則12条1項1号、別表1)
・ 保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間を合算した期間が生年月日に応じて21年から24年あれば25年以上の要件をみたしたものとみなされる。
・ 大正15年4月2日から昭和2年4月1日 21年
・ 昭和2年4月2日から昭和3年4月1日 22年
・ 昭和3年4月2日から昭和4年4月1日 23年
・ 昭和4年4月2日から昭和5年4月1日 24年
・ 昭和5年4月1日以前に生まれた者は、昭和36年4月1日(拠出制の国民年金の施行日)において31歳以上であり、60歳までの期間が短いことを考慮して、25年以上の要件も短縮することとした。大正15年4月2日以後に生まれたものが新年金制度の適用を受ける特例の対象者ということになる。
・ 厚生年金保険の中高齢者の特例(昭和60年国年法附則12条1項4号・5号、別表3)
・ 40歳(女子は35歳)以後の厚生年金保険の被保険者期間(第1号厚生年金被保険者期間に係るものに限る)が、生年月日に応じて15年から19年以上(このうち7年6ヶ月以上が第四種被保険者及び船員任意継続被保険者としての厚生年金保険の被保険者期間以外の者である場合に限る)あれば25年以上の要件を満たしたものとみなされる。
・ 35歳以後の第三種被保険者又は船員任意継続被保険者としての厚生年金保険の被保険者期間(第1号厚生年金被保険者期間に係るものに限る)が、生年月日に応じて19年から15年以上(このうち10年以上が繊維任意継続被保険者以外の厚生年金保険の被保険者期間である場合に限る)あれば25年以上の要件を満たしたものとみなされる。
・ 昭和22年4月1日まで 15年
・ 昭和22年4月2日から昭和23年4月1日まで 16年
・ 昭和23年4月2日から昭和24年4月1日まで 17年
・ 昭和24年4月2日から昭和25年4月1日まで 18年
・ 昭和25年4月2日から昭和26年4月1日まで 19年
・ 昭和61年4月1日前の旧厚生年金保険法では、40歳(女子、坑内員等は35歳)以後に15年加入期間があれば、老齢年金を支給することとし、その者が死亡した場合には、その遺族に遺族年金を支給することとしていた。これを昭和22年4月2日以後に生まれた者から段階的に延長することとした。
・ また、旧船員保険法においても、実期間の3分の4倍した期間が、35歳以上15年以上あれば老齢年金が支給されることになっていた。こうした措置を引き継いだ特例である。
・ 厚生年金の被保険者期間の特例(昭和60年国年法附則12条1項2号・3号・別表2)
・ 昭和31年4月1日以前に生まれた者(昭和61年4月1日において30歳以上の者)は被用者年金制度の加入期間が、単独又は合算して生年月日に応じて20年から24年あれば25年以上の要件を満たしたものとみなされる。
・ なお、ここでいう被用者年金制度の加入期間とは、一元化後の第1号厚生年金被保険者期間、第2号厚生年金被保険者期間、第3号厚生年金被保険者期間及び第4号厚生年金被保険者期間(一元化前の厚生年金保険の被保険者期間、交際組合の組合員期間など)のことである。
・ 昭和27年4月1日まで 20年
・ 昭和27年4月2日から昭和28年4月1日まで 21年
・ 昭和28年4月2日から昭和29年4月1日まで 22年
・ 昭和29年4月2日から昭和30年4月1日まで 23年
・ 昭和30年4月2日から昭和31年4月1日まで 24年
・ 昭和61年4月1日前の旧被用者年金制度の老齢年金は、原則として、20年の加入期間を要件として支給されていた。これを考慮して、長期要件に係る期間の要件を、昭和27年4月2日以後に生まれた者を対象として20年から段階的に延長することとしたものである。
■ 本条は遺族基礎年金を受けることができる遺族の範囲について規定している。遺族基礎年金は、「子のある配偶者」又は「子」が遺族として残された場合に支給される。
■ 遺族基礎年金を受けることができる配偶者又は子は、被保険者又は被保険者であった者の配偶者又は子であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持し、かつ、次に掲げる要件に該当したものとする。(国年法37条の2第1項)
・ 配偶者については、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持し、かつ、次に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること
・ 子については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと
■ 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持していた配偶者又は子とは、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた者であって、厚生労働大臣の定める金額(年額850万円)以上の収入を将来に渡って有すると認められる者以外の者その他これに準ずる者として厚生労働大臣が定める者のことである。(国年令6条の4)
■ 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が生まれたときは、将来に向かって、その子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していたものとみなし、配偶者は、その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなされる。(国年法37条の2第2項)
■ 配偶者は婚姻の届出をしていない事実上婚姻関係と同様の事情にある者も遺族基礎年金を受給することができる遺族に含まれるが、事実上の子は受給できる遺族に含まれない。なお、遺族基礎年金を受給することができる「子」とは、「法律上の子」であり、実子のほか養子縁組した子も該当する。
■ 遺族基礎年金を受けることができる配偶者又は子の要件として、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、日本国内に住所を有することは問われない。
■ 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したことにより、被保険者又は被保険者であった者の妻又は子が遺族基礎年金の受給権を取得した場合においては、当該遺族基礎年金の裁定の請求書には連名しなければならない。(国年則40条2項)
■ 遺族基礎年金の年金額とその加算額について規定している。遺族基礎年金の額は、定額であるが、配偶者が受給権者となる場合と、子のみが受給権者となる場合とでは、加算額が異なっている。
■ 遺族基礎年金の額は、定額となっている。(国年法38条)
・ 780900円×改定率
■ 子のある配偶者に支給される遺族基礎年金の額は、上記に記した定額に、子の加算額を加算した額である。子の加算額は、次のようになっている。(国年法39条1項)
・ 第1子・第2子(1人につき) 224700円×改定率
・ 第3子以降(1人につき) 74900円×改定率
■ 配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した当時胎児であった子が生まれたときは、その子は、配偶雨者がその権利を取得した当時生計を維持していたものと、また、その者と生計を同じくしていた子とみなし、その生まれた日の属する月の翌月から、遺族基礎年金の額を改定する。(国年法39条2項)
■ 配偶者に支給する遺族基礎年金については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は20歳未満で障害等級に該当する障害の状態にある子が2人以上ある場合であって、その子のうち1人を除いた子の1人又は2人以上が次のいずれかに該当するに至ったときは、その該当するに至った日の属する月の翌月から、その該当するに至った子の数に応じて、年金額を改定する。なお、子のすべてが減額改定事由に該当したときは、配偶者の受給権は消滅する。
・ 死亡したとき
・ 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む)をしたとき
・ 配偶者以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にあるものを含む)となったとき
・ 離縁によって、死亡した被保険者又は被保険者であった者の子でなくなったとき
・ 配偶者と生計を同じくしなくなったとき
・ 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(ただし、障害等級に該当する障害の状態にあるときを除く)
・ 障害等級に該当する障害の状態にある子について、その事情がやんだとき(その子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く)
・ 20歳に達したとき
■ 子に支給する遺族基礎年金の額は、子が2人以上あるときは、基本額に、子の加算額を加算した学となる。(国年法39条の2第1項)
・ 子の加算額は、その子のうち1人を除いた子につきそれぞれ次のようになっている。
・ 第2子 224700円×改定率
・ 第3子以降(1人につき) 72900円×改定率
・ 子に支給される遺族基礎年金の額は次のようになる。
・ 子が1人のとき 基本額(780900円×改定率)/加算額(なし)
・ 子が2人のとき 基本額(780900円×改定率)/加算額(224700円×改定率)
・ 子が3人のとき 基本額(780900円×改定率)/加算額(224700円×改定率+74900円×改定率)
■ 遺族基礎年金の受給権を有する子の数に増減を生じたときは、増減を生じた日の属する月の翌月から、遺族基礎年金の額を改定する。(国年法39条の2第2項)
■ 遺族基礎年金について、ここまでの流れを整理しておきます
■ 支給要件(死亡した者について)
・ 短期要件
・ 被保険者
・ 被保険者であったものであって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるもの
・ 上記に該当する者の死亡による場合は、死亡日の前日における保険料納付要件を満たしていることが必要
・ 長期要件
・ 老齢基礎年金の受給権者(「保険料納付済期間+保険料免除期間(+合算対象期間)」が原則25年以上であるものに限る)
・ 「保険料納付済期間+保険料免除期間(+合算対象期間)」が原則25年以上ある者
■ 保険料納付要件
・ 死亡日の前日において、当該死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間がある場合は、
・ 原則:当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上であること(第2号被保険者のうち、20歳前の期間と60歳以後の期間は保険料納付済期間とされる)
・ 特例:令和8年4月1日前にある場合、当該死亡日の前日において、当該死亡日の属する月の前々月までの直近の1年間のうちに保険料滞納期間がないこと(当該死亡日において65歳未満の場合に限る)
■ 遺族の範囲
・ 配偶者
・ 生計維持 必要
・ 下記の子と生計を同じくすること
・ 子
・ 生計維持 必要
・ 18歳に達する日以後の年度末までの間にあるか、1,2級障害で20歳未満であること、かつ、婚姻していないこと
■ 遺族基礎年金は、配偶者又は子に支給する
■ 子には、事実上の関係にある子は含まれない。
■ 支給額
・ 配偶者に支給される遺族基礎年金の額
・ 780900円×改定率+子の加算額
・ 第1子・第2子(1人につき) 224,700円×改定率
・ 第3子以降(1人につき) 74900円×改定率
・ 子に支給される遺族基礎年金の額
・ 子が1人 780900円×改定率
・ 子が2人 1005600円×改定率(780900円+224700円)
・ 子が3人 1080500円×改定率(780900円+224700円+74900円)
・ 子1人についての支給額は、合算額をその子の数で除して得た額となる。
■ 配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した当時胎児であった子が生まれたときは、その生まれた日の属する月の翌月から、年金額が改定される。
■ 遺族基礎年金の受給権は、受給権者である配偶者又は子が次のどれかに該当するに至ったときは、消滅する。(国年法40条1項)
・ 死亡したとき
・ 婚姻をしたとき
・ 養子となったとき(直系血族又は直径姻族の養子となったときを除く)
■ 3については、事実上の養子となったときであっても消滅する。
■ 老齢基礎年金の支給繰上げの請求をしても消滅しない。
■ 配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は、上記の共通の消滅事由によって消滅するほか、次に該当するに至ったときに、消滅する。(国年法40条2項)
・ 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子又は20歳未満で障害等級に該当する障害の状態にある子が1人であるときはその子が、また、それらの子が2人以上であるときは同時に又は時を異にしてそのすべての子が、加算額の減額改定事由(国年法39条3項)のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。
■ 子の有する遺族基礎年金の受給権は、上記の共通の消滅事由によって消滅するほか、子が次のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。(国年法40条3項)
・ 離縁によって、死亡した被保険者又は被保険者であった者の子でなくなったとき
・ 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(障害等級に該当する障害の状態にあるときを除く)
・ 障害等級に該当する障害の状態にある子について、その事情がやんだとき(その子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く)
・ 20歳に達したとき
■ 遺族基礎年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、労働基準法の規定による遺族補償が行われるべきであるときは、死亡日から6年間、その支給を停止する。(国年法41条1項)
■ 子の遺族基礎年金は、配偶者が遺族基礎年金の受給権を有するとき(配偶者に対する遺族基礎年金が、国年法20条の2第1項もしくは2項の規定による受給権者の申出により、又はその者の行方不明により支給停止されている時を除く)又は生計を同じくするその子の父もしくは母があるときは、その間、その支給を停止する。(国年法41条2項)
■ 配偶者に対する遺族基礎年金は、その者の所在が1年以上明らかでないときは、遺族基礎年金の受給権を有する子の申請によって、その所在が明らかでなくなったときに遡って、その支給を停止する。(国年法41条の2第1項)
■ 遺族基礎年金の受給権を有する子が2人以上ある場合において、その子のうち1人以上の子の所在が1年以上明らかでないときは、その子に対する遺族基礎年金は、他の子の申請によって、その所在が明らかでなくなったときに遡って、その支給を停止する。(国年法42条1項)
■ 前記の所在不明によって遺族基礎年金の支給を停止された配偶者又は子は、いつでもその支給停止の解除を申請することができる。(国年法41条の2第2項、42条2項)
■ 支給停止の比較
・ 他の給付
・ 当該死亡について労働基準法79条の規定による遺族補償が行われるべきものであるときは、死亡日から6年間支給停止(国年法41条1項、52条、厚年法64条)
・ 子に対する遺族基礎年金
・ 下記の場合は、その間、支給が停止
・ 配偶者が受給権を有するとき
・ 生計を同じくするその子の父もしくは母があるとき
・ 所在不明
・ 配偶者に対する遺族基礎年金
・ その者の所在が1年以上明らかでないときは、遺族基礎年金の受給権を有する子の申請によって、所在が明らかでなくなったときに遡って支給停止
・ 遺族基礎年金の受給権を有する子が2人以上
・ その子のうち、1人以上の子の所在が1年以上明らかでないときは、他の子の申請によって、その所在が明らかでなくなったときに遡って支給停止。
[国年法] 国民年金法・重要箇所・Chapter6
独自給付
■ 付加年金の制度は昭和45年10月に発足した。被用者年金制度と比較すると、第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)の年金額が低額であることから、年金額を少しでもアップさせるためという趣旨の下、この制度が設けられた。
■ 付加年金は、付加保険料(国民年金法87条の2第1項)にかかる保険料納付済期間を有する者が老齢基礎年金の受給権を取得したときに、その者に支給する。(国年法43条)
■ サラリーマンの妻は、旧法当時は国民年金に任意加入し、付加保険料を納付することもできた。新法施行日(昭和61年4月1日)を境に第3号被保険者となったため、それ以後は付加保険料を納付することはできなくなったが、旧法時代の付加保険料の納付実績に基づく付加年金は、老齢基礎年金と併せて支給される。(昭和60年国年法附則8条1項)
■ 付加年金の額は、200円に付加保険料(国年法87条の2第1項)に係る保険料納付済期間の月数を乗じて得た額とする。(国年法44条)
■ 計算式を示すと次の通りである。
・ 200円×付加保険料の保険料納付済期間の月数
■ 付加年金には、改定率の規定は適用されない。
■ 支給の繰上げ・繰下げの場合(国年法46条、国年法附則9条の2第6項)老齢基礎年金の支給の繰上げ・繰下げが行われたときには、付加年金もその対象となる。その際に、支給額もそれに応じて減額又は増額支給される。
■ 付加年金は、老齢基礎年金がその全額につき支給を停止されているときは、その間、その支給を停止する。(国年法47条)
■ 付加年金の受給権は、受給権者が死亡したときは、消滅する。(国年法48条)
■ 国民年金基金及び国民年金基金連合会が解散した場合には、基金に納付した掛け金を付加保険料として扱い、基金が支給することになっていた年金を付加年金として受給権者に支給することとしている。(国年法45条)
■ 付加年金のまとめ
・ 付加保険料を納付できる者
・ 第1号被保険者
・ 保険料の免除を受けている者(法定免除に該当する者であって保険料を納付する旨の申出をした者及び産前産後期間の保険料免除の規定に係る物を除く)及び国民年金基金の加入員は付加保険料を納付する者となることができない。
・ 任意加入被保険者
・ 特例による任意加入被保険者は除く
・ 農業者年金の被保険者(強制)
・ 支給要件
・ 付加保険料(月額400円)に係る保険料納付済期間を有する者
・ 老齢基礎年金の受給権を取得したこと
・ 年金額
・ 200円×付加保険料に係る保険料納付済期間の月数
・ 繰上げ・繰下げ
・ 老齢基礎年金の支給の繰上げ・繰下げを行うと、付加年金も同じ率で増額又は減額される。
・ 支給停止
・ 老齢基礎年金の全額が支給停止されると、付加年金も一緒に支給停止される。
・ 受給権の消滅
・ 付加年金の受給権は、受給権者が死亡したときは消滅する。
■ 寡婦年金は、夫が死亡した場合に、一定の要件を満たした遺族である65歳未満の妻に支給される最長5年の有期年金であり、死亡した夫の第1号被保険者としての保険料の掛け捨てを救済する意味を持っている。
■ 寡婦年金は、次のすべての要件を満たした場合に、死亡した夫の妻に支給される。(国年法49条1項)
・ 死亡日の前日において死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)としての被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上ある夫(保険料納付済期間又は国民年金法90条の3第1項の規定(学生等の保険料納付特例)により納付することを要しないものとされた保険料に係る期間以外の保険料免除期間を有する者に限る)が死亡したこと
・ 学生等の納付特例期間しかない夫の妻には支給されないが、学生等の納付特例期間以外の免除期間が1か月でもあれば、学生等の納付特例期間も免除期間に含めて「10年」とみる
・ 夫の死亡の当時、夫によって生計を維持し、かつ、夫との婚姻関係が10年以上継続した65歳未満の妻があること
・ 届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。また、死亡した夫との生計維持関係の認定の取扱いについては、遺族基礎年金の場合と同様である。
・ 死亡した夫が、老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けたことがないこと(老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けたことがある夫が死亡したときは、寡婦年金は支給されない)。
■ 昭和36年4月から昭和61年3月までの国民年金の被保険者期間、保険料納付済期間及び保険料免除期間は、第1号被保険者としての被保険者期間、保険料納付済期間及び保険料免除期間とみなされる。(昭和60年国年法附則8条1項)
■ 旧国民年金法による障害年金(障害福祉年金を除く)も障害基礎年金に含む。(昭和60年国年法附則29条1項)
■ 遺族基礎年金と同様に、夫の死亡日によって新法か旧法かが分かれるため、たとえ妻が大正15年4月1日以前生まれであっても新法の寡婦年金が支給されることがある。
■ 特例による任意加入被保険者の死亡については、寡婦年金は支給されない。
■ 保険料納付猶予期間については、学生等の保険料納付特例の適用を受ける期間と同様に取り扱われる。
■ 寡婦年金の支給開始時期
・ 夫の死亡時点で妻が60歳未満の場合(国年法49条3項)
・ 60歳未満の妻に支給する寡婦年金は、妻が60歳に達した日の属する月の翌月から、その支給を始める。
・ 受給権そのものは夫の死亡時に妻が60歳未満であっても発生する。ただし、支給は60歳に達した日の属する月の翌月からである。
・ 夫の死亡時点で妻が60歳以上である場合
・ 夫が死亡した日の属する月の翌月から、その支給を始める
■ 寡婦年金の額は、死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間及び保険料免除期間につき、老齢基礎年金の額の計算の例によって計算した額の4分の3に相当する額とする。(国年法50条)
■ 夫が付加保険料を納めている場合であっても、加算は行われない。
■ 寡婦年金の受給権は、受給権者が次のいずれかに該当するに至ったときは、消滅する。(国年法51条、国年法附則9条の2第5項)
・ 65歳に達したとき
・ 死亡したとき
・ 婚姻をしたとき
・ 養子となったとき(直系血族又は直系姻族の養子となったときを除く)
・ 繰上げ支給による老齢基礎年金の受給権を取得したとき
■ 寡婦年金は、当該夫の死亡について労働基準法の規定による遺族補償が行われるべきものであるときは、死亡日から6年間、その支給を停止する。(国年法52条)
■ 寡婦年金のまとめ
・ 支給要件
・ 死亡日の前日において死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間及び保険料免除期間を合算した期間が10年以上ある夫(保険料納付済期間又は学生等の保険料納付特例により納付することを要しないものとされた保険料に係る期間以外の保険料免除期間を有する者に限る)が死亡
・ 死亡した夫が、老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けたことがないこと
・ 夫の死亡当時、夫によって生計を維持し、かつ、夫との婚姻関係が10年以上継続していた65歳未満の妻
・ 事実婚を含む
・ 支給期間
・ 60歳に達した日の属する月の翌月から65歳に達するまで
・ 年金額
・ 夫の第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間により計算した老齢基礎年金の学の計算の例によって計算した額の4分の3に相当する額
・ 死亡した夫が付加保険料を納めていた場合であっても、加算は行われない。
・ 受給権の消滅
・ 65歳に達したとき
・ 死亡したとき
・ 婚姻をしたとき
・ 直系血族又は直系姻族以外の者の養子となったとき
・ 繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権を取得したとき
■ 夫の死亡により遺族基礎年金の受給権を有していた者であっても、一定の要件を満たせば、寡婦年金の支給を受けることができる。ただし、同時期に両方受給することはできず、いずれか一方が支給され、選択受給となる。夫の死亡により、遺族厚生年金を受給できる場合も同様である。
■ 遺族の範囲を、遺族基礎年金の場合と比較するとつぎのようになる。確認しておきましょう。
・ 遺族基礎年金
・ 配偶者
・ 生計維持 → 要
・ 下記の子と生計を同じくすること
・ 子
・ 生計維持 → 要
・ 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻していないこと
・ 寡婦年金
・ 妻
・ 生計維持 → 要
・ 夫の死亡の当時夫との婚姻関係(事実婚を含む)が10年以上継続していたこと
・ 65歳未満であること
・ 夫が、老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けたことがないこと
■ 死亡一時金は、死亡日の前日において死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数、保険料4分1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を合算した月数が36月以上である者が死亡した場合において、その者に遺族があるときに、その遺族に支給する。ただし、老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けたことがある者が死亡したときは、この限りでない。(国年法52条の2第1項)
■ 昭和36年4月から昭和61年3月までの国民年金の被保険者期間、保険料納付済期間及び保険料免除期間は、第1号被保険者としての被保険者期間、保険老納付済期間及び保険料免除期間とみなされる。(昭和60年国年法附則8条1項)
■ 旧国民年金法による老齢年金、通算老齢年金、障害年金(障害福祉年金を除く)、母子年金(母子福祉年金を除く)若しくは準母子年金(準母子福祉年金を除く)又は母子福祉年金及び準母子福祉年金を裁定替えした遺族基礎年金の支給を受けたことがあるものを老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けたことがある者に含む。(昭和60年国年法附則29条2項)
■ 老齢基礎年金の受給権取得時当時から受給権者の申出により当該老齢基礎年金の支給が停止されている者が死亡した場合、死亡一時金が支給されることはない。(この場合、老齢基礎年金の支給を受けたことがあることとされる。)(国年令4条の4の2)
■ 死亡一時金は、次のいずれかに該当するときは、支給しない。(国年法52条の2第2項)
・ 死亡した者の死亡日においてその者の死亡により遺族基礎年金を受けることができる者があるとき(当該死亡日の属する月に当該遺族基礎年金の受給権が消滅したときを除く)
・ 死亡した者の死亡日において胎児である子がある場合であって、当該退治出会った子が生まれた日においてその子又は死亡した者の配偶者が死亡した者の死亡により遺族基礎年金を受けることができるに至ったとき(当該胎児であった子が生まれた日の属する月に当該遺族基礎年金の受給権が消滅した時を除く)
■ 例えば、夫の死亡の月と同一の月において当該遺族たる障害等級に該当する程度の障害の状態にある子の年齢が20歳に到達する場合は、遺族基礎年金の受給権の発生と消滅が同一月となり、結果的に遺族基礎年金が全く支給されないという事例が生じ得る。この場合には、死亡一時金を支給することとしている。
■ 死亡した者の子がその者の死亡により遺族基礎年金の受給権を取得した場合(その者の死亡によりその者の配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した場合を除く)であって、その受給権を取得した当時その子と生計を同じくするその子の父又は母があることにより国年法41条2項の規定によって当該遺族基礎年金の支給が停止されるものであるときは、死亡一時金を支給する。(国年法52条の2第3項)
・ 例1 妻が死亡したあと、夫(遺族基礎年金の受給権者でないものとする)がその子と生計同一
・ この場合、子に遺族基礎年金の受給権が生じるが、父と生計同一の間は支給停止となるため、死亡した者の配偶者である夫(父)に対して死亡一時金が支給される。
・ 例2 夫が死亡したあと、その子が妻でない母と生計同一
・ 子に遺族基礎年金の受給権が生じるが、母と生計同一の間は支給停止になるため、死亡した者の配偶者に対して死亡一時金が支給される。
■ 死亡一時金を受けることができる遺族は、死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものとする。(国年法52条の3)
・ 死亡一時金を受けるべき者の順位は、上記の順序による。
・ 死亡一時金を受けるべき同順位の遺族が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。
■ ただし、子に支給する遺族基礎年金については、その者と生計を同じくするその子の父又は母があるときは遺族基礎年金は支給が停止されていることから、死亡一時金を支給することとしているが、このような場合の死亡一時金は、死亡した者の配偶者にのみ支給される。
■ 死亡一時金の支給を受けることができる遺族が、同一人の死亡により同時に寡婦年金を受けることができるときは、その者の選択により、死亡一時金と寡婦年金のうち、いずれか1つを支給し、他は支給しない。(国年法52条の6)
■ 死亡一時金の額は、死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)としての被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間の月数、保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を合算月数に応じ、次の通りとする。(国年法52条の4第1項)
・ 合算月数 36月以上180月未満 → 120000円
・ 合算月数 180月以上240月未満 → 145000円
・ 合算月数 240月以上300月未満 → 170000円
・ 合算月数 300月以上360月未満 → 220000円
・ 合算月数 360月以上420月未満 → 270000円
・ 合算月 420月以上 → 320000円
■ 死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る死亡日の前日における付加保険料に係る保険料納付済期間が3年以上ある者の遺族に支給する死亡一時金の額は、上記の額に8500円を加算した額である。(国年法52条の4第2項)
■ 死亡一時金のまとめ
・ 支給要件
・ 死亡日の前日において死亡時の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数、保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を合算した月数が36月以上ある者が死亡
・ 保険料全額免除期間は、死亡一時金の額に反映されない。
・ 死亡した者が、老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けたことがないこと
・ その者の死亡により遺族基礎年金を受ける者がいないこと
・ 死亡日の属する月に当該遺族基礎年金の受給権が消滅したときは、死亡一時金が支給される。
・ 支給額
・ 死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間の月数、保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を合算した月数に応じて、12万円から32万円
・ 付加保険料に係る保険料納付済期間が3年以上ある者が死亡したときは、死亡一時金の額に8500円を加算した額が支給される。
・ 死亡一時金(8500円の加算額を含む)に改定率を乗じる取扱いはされない。
・ その他
・ 同時に死亡一時金と寡婦年金が受けられる場合には、その者の選択により、いずれか一方のみを支給する。
・ 死亡した者の子が遺族基礎年金の受給権を取得した場合で、その子と生計を同じくするその子の父又は母がいるときには遺族基礎年金は支給停止となる。この場合、死亡した者の配偶者に死亡一時金が支給される。
■ 死亡一時金の額について、改定率による改定の規定はない。
[国年法] 国民年金法・重要箇所・Chapter7
脱退一時金の支給及び特別一時金の支給
■ 国民年金制度は、日本国内に住所を有する者について、一定の要件の下に国籍を問わず適用されており、短期で在留している外国人も強制加入とされている。ただ、不幸にして障害や遺族給付に該当する場合は給付が行われるが、多くは保険料の掛け捨てに終わっており、老齢給付に結びつかない点が問題となっていた。そこで、平成6年度の法改正によって、短期在留外国人への制度脱退に伴う一時金の支給について制度を設け、平成7年4月1日から施行されているものである。
■ 脱退一時金は、保険料納付済期間等の月数(請求の日の前日において請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)としての被保険者に係る保険料納付済期間の月数、保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を合算した月数をいう。)が6月以上ある日本国籍を有しない者(被保険者でない者に限る)であって、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない者が、帰国後2年以内に請求を行った場合に支給される。(国年法附則9条の3の2)
■ 脱退一時金は、次のいずれにも該当する者に支給される。
・ 保険料納付済期間等の月数(請求の日の前日における請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数、保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を合算した月数)を6月以上有する者であること
・ 日本国籍を有していない者であること
・ 被保険者でない者であること
・ 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない者その他これに準ずるものとして政令で定めるもの
■ 次のいずれかに該当するときは脱退一時金は支給されない。
・ 日本国内に住所を有するとき
・ 障害基礎年金その他政令で定める給付の受給権を有したことがあるとき
・ その他政令で定める給付
・ 旧令共済組合の組合員であった期間を有する者に対する老齢年金
・ 母子福祉年金及び準母子福祉年金を裁定替えした遺族基礎年金
・ 旧法による障害年金、母子年金、準母子年金及び老齢福祉年金
・ 最後の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内の住所を有していたものにあっては、同日後初めて、日本国内の住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過しているとき
■ 脱退一時金の額は、基準月が属する年度における保険料額に2分の1を乗じて得た額に保険料納付済期間等の月数に応じて政令で定める数を乗じて得た額とする。
■ 基準月とは、請求日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間、保険料4分の1免除期間、保険料半額免除期間又は保険料4分の3免除期間のうち請求の日の前日までに当該期間の各月の保険料として納付された保険料に係る月のうち直近の月をいう。
■ 保険料納付済期間等の月数に応じて政令で定める数(国年令14条の3の2)
6月以上12月未満 → 6
12月以上18月未満 → 12
18月以上24月未満 → 18
24月以上30月未満 → 24
30月以上36月未満 → 30
36月以上42月未満 → 36
42月以上48月未満 → 42
48月以上54月未満 → 48
54月以上60月未満 → 54
60月以上 → 60
■ 例 基準月が属する年度が令和4年度で、保険料納付済期間等の月数が40である場合、
・ 16500円(令和4年度の保険料額)× 1/2 × 36=298620円
・ 補足、脱退一時金の額は、令和2年度までは段階的に定額で定められていたが、令和3年度からは計算式が示される形式となった(根本的な考え方には変更なし)
・ なお、「保険料納付済期間等の月数に応じて政令で定める数」の上限は「36月」であったが、これについては、令和3年度から「60月」まで引き上げられた。
■ 脱退一時金を受ける権利は、厚生労働大臣が裁定する。未支給の脱退一時金は、未支給年金に準じて扱われる。
・ 死亡した受給権者が生前脱退一時金支給の請求をしていなかった場合は、遺族は未支給の当該脱退一時金を請求することはできない。
■ 脱退一時金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。
■ 偽りその他不正の手段によりだった一時金の支給を受けた者について、厚生労働大臣は、不正利得の徴収の規定により受給額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。
■ 脱退一時金については租税その他の公課の対象となる。また、脱退一時金を受ける権利は、譲り渡し、担保に供することはできないが、国税滞納処分(その例による処分を含む)により差し押さえることはできる。
■ 脱退一時金の支給を受けたときは、支給を受けた者については、その額の計算の基礎となった第1号被保険者としての被保険者であった期間は、被保険者でなかったものとみなす。老齢基礎年金の受給資格要件を見る場合の合算対象期間にも算入されない。
■ 旧厚生年金保険法等により障害年金等の受給権者であって、昭和61年4月1日前に国民年金に任意加入した者又は法定免除された保険料を追納した者については、新年金制度において一人一年金としたことから、当該障害年金等と国民年金方による老齢基礎年金の受給権を同時に取得した場合は、いずれか1つを選択することとされたため、これまで納付してきた保険料が掛け捨てになる自体が生ずることになった。そこで、これらの者に対して支給される特別一時金という制度を設けた。
■ 特別一時金は、次に掲げる障害年金等の受給権者(大正15年4月1日以前に生まれた者とその後に生まれた者で昭和61年4月1日に旧年金制度の老齢・退職給付の受給権のある者(昭和6年4月1日以前に生まれた者に限る)については、1の受給権者に限る)であって、老齢基礎年金又は旧国民年金法による老齢年金・通算老齢年金の受給資格期間を満たしているか、満たしていない場合は障害の程度が減退しないと認められる者に支給される。(昭和60年国年法附則94条1項)
・ 障害福祉年金の裁定替えによる障害基礎年金
・ 旧国民年金法による障害年金
・ 旧厚生年金保険法による障害年金
・ 旧船員保険法による障害年金
・ 被用者年金一元化前の共済組合が支給する障害年金
■ 次に掲げる場合には、特別一時金は支給されない。(昭和60年国年法附則94条1項)
・ 昭和61年4月1日から特別一時金を請求する日の前日までの間に前記の障害年金等を受ける権利が消滅した場合
・ 上記の障害年金等を受ける権利を有するに至った日から特別一時金の支給を請求する日までの間に障害基礎年金(障害福祉年金の裁定替えによるものを除く)、旧国民年金法による障害年金(障害福祉年金を除く)、母子年金(母子福祉年金を除く)等を受けたことがある場合
・ 特別一時金の支給を請求する日前に老齢基礎年金又は旧国民年金法による老齢年金。通算老齢年金の支給を請求した場合
■ 特別一時金の額は、昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの間に係る国民年金の保険料の額の合計額を基準として、一時金の対象となる保険料納付済期間に応じて政令で定められている(昭和60年国年法附則94条3項、措置令136条)
■ また、付加保険料に係る旧保険料納付期間がある場合には、期間に応じた額が加算される。
■ 特別一時金として受けた金銭を標準として、租税その他の公課を課すことができる。
■ 特別一時金を受ける権利は、国税滞納処分(その例による処分を含む)により差し押さえることができる。
[国年法] 国民年金法・重要箇所・Chapter8
併給の調整・給付の制限
■ 昭和61年4月1日施行の新年金制度では、支給事由が同一である場合、2階建ての給付の仕組みにより国民年金から支給される基礎年金と厚生年金保険や共済組合から支給される報酬比例部分の年金を併せて支給することとしている。
■ また、同一人が同時に2つ以上の年金の受給権を取得したときは、受給権者の選択により、1つの年金を支給し、他の年金を支給停止するという「一人一年金」を原則としてきた。本条に規定する併給の調整とは、国民年金の給付と、国民年金の他の年金給付又は被用者年金各法による年金給付を受けることとなった場合の調整に関する定めである。
■ 年金給付(老齢基礎年金及び障害基礎年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る)並びに付加年金を除く)は、その受給権者が他の年金給付(付加年金を除く)又は厚生年金保険法による年金たる保険給付(当該年金給付と同一の支給事由に基づいて支給されるものを除く。)を受けることができるときは、その間、その支給を停止する。
■ 老齢基礎年金の受給権者(65歳に達しているものに限る)が他の年金給付(付加年金を除く)又は厚生年金保険法による年金たる保険給付(遺族厚生年金を除く)を受けることができる場合における当該老齢基礎年金又は障害基礎年金の受給権者(65歳に達している者に限る)が他の年金給付(付加年金を除く)を受けることができる場合における当該障害基礎年金についても、同様とする。(国年法20条、国年法附則9条の2の4)
■ 新年金制度では、2つ以上の年金を受けられるときは、本人の選択により、そのうち1つの年金を支給し、他の年金は支給停止される。
■ 具体的には、次のようになる。(国年法20条2項から4項)
・ 併給調整の対象となる年金給付の受給権を2以上取得した場合には、いったんすべての給付が支給停止される。
・ 給付を受けようとする年金給付に関して、「支給停止解除」の申請を行う。(申請を行うとその翌月から年金が支給される)
・ 上記の「支給停止解除」の申請を行わない場合は、今まで支給されていた年金給付について「支給停止解除」の申請があったものとみなされる。つまり、すでに支給sれている年金給付がある場合には、特段の申請がない限り、従来どおりその年金が引き続き支給される。
・ 年金給付に関しては、選択替えが可能(支給されていた年金について支給停止解除の申請の撤回を行い、希望する年金について支給停止解除の申請をする。撤回は、いつでも、将来に向かってすることができる。また、その回数に制限はない。)
■ 同一の支給事由によって受けられる国民年金から支給される基礎年金と厚生年金保険制度から支給される厚生年金は併給できる。
・ 老齢厚生年金/老齢基礎年金 
・ 付加年金は、老齢基礎年金と一体として扱われる。
・ 障害厚生年金/障害基礎年金
・ 遺族厚生年金/遺族基礎年金
■ 例えば、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給している者が、障害基礎年金(1級、2級)と障害厚生年金(1級、2級)を受けられるようになった場合は、原則として、障害給付と老齢給付は支給事由が異なる(老齢と障害)ため、併給されることはなく、いずれかの給付を選択受給することになる。
■ 旧年金制度から年金を受給している者が、新年金制度からも年金を受けられるようになったときは、原則として、新年金制度における併給の調整と同様に調整が行われる。(昭和60年国年法附則11条)
・ 旧国民年金の老齢年金を受給している者が、新年金制度から障害基礎年金を受けられるようになったときは、本人の選択により、いずれか1つの年金を支給し、他は支給停止される。
・ 新年金制度から年金を受給している者が、旧年金制度から年金を受けられるようになった場合にも、同様の併給の調整が行われる。
■ 支給事由が異なる場合の併給調整(国年法20条1項)
・ 65歳以上の受給権者に対する老齢基礎年金と厚生年金保険の遺族厚生年金の間には、特別の併給調整の定めがあり、遺族厚生年金を受給している者が老齢基礎年金と老齢厚生年金を受けられるようになったときは、老齢基礎年金と遺族厚生年金の組み合わせを選択受給することができる。
・ 以下の組み合わせの選択となる
・ 老齢厚生年金/老齢基礎年金
・ 遺族厚生年金/老齢基礎年金
・ 遺族厚生年金/老齢厚生年金/老齢基礎年金
・ 法改正により、障害を持ちながら働いていたときに納付した保険料を保険給付に反映させるしくみが改められ、平成18年4月から65歳以上の受給権者についてのみ障害基礎年金と老齢厚生年金の併給が可能となった。また、遺族厚生年金についても同様の併給が可能となり、下記のような組み合わせも可能となった。
・ 以下の組み合わせが可能となる
・ 老齢厚生年金/障害基礎年金
・ 遺族厚生年金/障害基礎年金
・ 遺族厚生年金/老齢厚生年金/障害基礎年金
■ 新年金制度と旧年金制度間で併給されるもの
・ 次のいずれかの組み合わせは65歳以後に限り、特例的に併給される(昭和60年厚年法附則56条)
・ 旧厚生年金保険法の遺族年金/老齢基礎年金
・ 旧厚生年金保険法による遺族年金については、旧厚生年金保険法の老齢年金の2分の1に相当する年金である。
・ 遺族厚生年金/旧国民年金法の老齢年金
・ 遺族厚生年金/旧厚生年金保険法の老齢年金の2分の1
・ 旧厚生年金保険法による老齢年金については、特別支給の老齢厚生年金と同様の給付がなされる。
・ 次のいずれかの組み合わせも65歳以後であれば、特例的に併給される(昭和60年厚年法附則56条)
・ 老齢厚生年金/旧国民年金法の障害年金
・ 遺族厚生年金/旧国民年金法の障害年金
・ 老齢厚生年金+遺族厚生年金/旧国民年金法の障害年金
・ これらの組み合わせは、上記の組み合わせの「障害基礎年金」を「旧国民年金法の障害年金」に置き換えたもの(「旧国民年金法の障害年金」も「障害基礎年金」と同様の組み合わせが可能)
■ 遺族厚生年金と寡婦年金は併給されない。
■ 障害を支給事由とする年金については、従来は、異なる支給事由による年金と併給されることはなかったが、平成18年4月からは、障害基礎年金と老齢厚生年金又は障害基礎年金と遺族厚生年金の組み合わせを選択できるようになった。
■ 受給権者の年齢に関わらず、老齢基礎年金と障害厚生年金の組み合わせで併給することはできない。
■ 年金給付(国民年金法の他の規定又は他の法令の規定によりその全額につき支給を停止されている年金給付を除く)は、その受給権者の申出により、その全額の支給を停止する。ただし、国民年金法の他の規定又は他の法令の規定によりその額の一部についき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額の支給を停止する。
■ 上記の但書のその額の一部につき支給を停止されている年金給付について、この法律の他の規定又は他の法令の規定による支給停止が解除されたときは、上記の年金給付の全額の支給を停止する。
■ 上記の申出は、いつでも、将来に向かって撤回することができる。
■ 上記の規定により支給を停止されている年金給付は、政令で定める法令の規定の適用については、その支給を停止していないものとみなす。
■ 上記の規定による支給停止の方法その他上記すべての規定の適用に関し必要な時効は、政令で定める。
■ 支給停止及び支給停止の撤回は、支給事由が同一の年金(例えば、老齢基礎年金と老齢厚生年金)であっても、それぞれの年金に申し出ることとなる。
■ 国民年金法47条の規定により、付加年金の受給権者が労歴基礎年金の支給停止を申し出た場合は、付加年金についても老齢基礎年金と同時に支給停止となる。(平成19年庁保険発0329009号)
■ 絶対的給付制限
・ 故意に障害又はその直接の原因となった事故を生じさせた者の当該障害については、これを支給事由とする障害基礎年金は支給しない。(国年法69条)
・ 遺族基礎年金、寡婦年金又は死亡一時金は、被保険者又は被保険者であったものを故意に死亡させた者には、支給しない。被保険者又は被保険者であった者の死亡前に、その者の死亡によって遺族基礎年金又は死亡一時金の受給権者となるべき者を故意に死亡させた者についても、同様とする。
・ 遺族基礎年金の受給権は、受給権者が他の受給権者を故意に死亡させたときは、消滅する。(国年法71条)
■ 相対的給付制限(国年法70条)
・ 故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくはその原因となった事故を生じさせ、又は障害の程度を増進させた者の当該障害については、これを支給事由とする給付は、その全部又は一部を行わないことができる。自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、死亡又はその原因となった事故を生じさせた者の死亡についても、同様とする。
■ 故意とは、自分の行為が必然的に障害又は死亡等の一定の結果を生ずべきことを知りながらあえてすることを言う。(昭和34年福発30号)
■ 重大な過失とは、一定の結果を生ずべきであることを何人も容易に知るべきでありながら不注意で知らないことをいう。(昭和34年福発30号)
■ 自殺は、故意の犯罪行為若しくは重大な過失に該当しないので、国年法70条による給付制限は受けない。(昭和34年福発69号)
■ 年金給付は、次のいずれかに該当する場合においては、その額の全額又は一部につき、その支給を停止することができる。(国年法72条)
・ 受給権者が、正当な理由なくて、国民年金法107条1項(厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、受給権者に対して、その者の身分関係、障害の状態その他受給権の消滅、年金額の改定若しくは支給の停止に係る時効に関する書類sの他の物件を提出すべきことを命じ、又は当該職員をしてこれらの事項に関し受給権者に質問させることができる)の規定による命令に従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に応じなかったとき
・ 障害基礎年金の受給権者又は国民年金法107条2項(障害基礎年金の受給権者若しくは障害等級に該当する障害の状態にあることによりその額が加算されている子若しくは障害等級に該当する障害の状態にあることにより遺族基礎年金の受給権を有し、若しくは遺族基礎年金が支給され、若しくはその額が加算されている子)に規定する子が、正当な理由がなくて、同項の規定(厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、その指定する医師若しくは歯科医師の診断を受けるべきことを命じ、又は当該職員をしてこれらの者の障害の状態を診断させることができる)による命令に従わず、又は同項の規定による当該職員の診断を拒んだとき
■ 行政による協力義務に対して正当な理由がなく協力しなかった場合に、給付の全部又は一部を支給停止することができることとされている。
■ 受給権者が、正当な理由がなくて、国民年金法105条3項(受給権者は、厚生労働大臣に対し、厚生労働省令でさだまえる事項を届け出、かつ、高齢労働省令で定める書類その他の物件を提出しなければならない。)の規定による届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、年金給付の支払いを一時差し止めることができる。(国年法73条)
■ 正当な理由とは、震災、風水害、火災、交通通信機関の途絶等、本人の責めに帰せられない理由による場合を指す。(昭和37年国発9号)
■ 国民年金法73条の規定によって年金給付の支払いの一時差止めをする場合は、受給権者は正当な理由がなくて、毎年指定日までに提出すべき国民年金受給権者現況届及びこれに添えるべき書類を提出しないときとする。
■ 支払いの一時差止めは、その差止め事由が消滅した場合は、差止められた当時にさかのぼって給付が行われることとなる。(国年則69条)
■ 支給停止 → 停止期間中の年金は支給されない。
■ 一時差止め → 差止め事由が後日消滅した場合は、さかのぼって支給される。
[国年法] 国民年金法・重要箇所・Chapter9
給付通則
■ 国民年金から支給される給付の種類は、次のとおりである。(国年法15条、昭和60年国年法附則94条、国年法附則9条の3の2)
■ 国民年金の給付と保険事故
・ 老齢
・ 給付 老齢基礎年金(老齢福祉年金)
・ 独自給付 付加年金
・ 障害
・ 給付 障害基礎年金(1級、2級)
・ 死亡
・ 給付 遺族基礎年金
・ 独自給付 寡婦年金、死亡一時金
・ その他
・ 給付 脱退一時金、特別一時金
■ 旧国民年金制度では、無拠出制の給付(老齢福祉年金、障害福祉年金、母子福祉年金、準母子福祉年金)が行われていたが、新年金制度において、障害福祉年金は障害基礎年金に、母子福祉年金・準母子福祉年金は遺族基礎年金に裁定替えされて支給されることとなった。(昭和60年国年法附則25条、28条)
■ なお、老齢福祉年金に関しては、新年金制度においても引き続き同じ名称で支給され(昭和60年国年法附則32条11項)、また、母子年金、準母子年金についても旧法当時の呼び名のまま現在に至るまで支給されている。
■ 給付を受ける権利は、その権利を有する者(受給権者)の請求に基づいて、厚生労働大臣が裁定する。(国年法16条)
■ 年金・一時金を受ける権利(受給権)は、受給要件を満たせば発生するが、実際に給付を受けるためには受給権者が裁定請求書を提出し、権利の発生の確認を受ける必要がある。この確認のことを裁定という。
■ 厚生労働大臣は、受給権の裁定その他給付又は脱退一時金に関する処分を行ったときは、文書で、その内容を受給権者又は請求者に通知しなければならない。(国年則65条1項)
■ 厚生労働大臣は、年金たる給付の受給権の裁定をしたときは、その年金の年金証書を作成し、これを通知書に添えて、当該受給権者に交付しなければならない。(国年則65条2項)
■ 老齢基礎年金の受給権を裁定した場合においてその受給権者が老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金を含む)の年金証書の交付を受けているとき(障害基礎年金と障害厚生年金、遺族基礎年金と遺族厚生年金の場合も同様)は、当該厚生年金の年金証書は、それぞれ当該各基礎年金の年金証書とみなされる。(国年則65条2項但書)
■ 基金(国民年金基金)については、厚生労働大臣ではなく、基金が裁定を行う。
■ 年金たる給付(年金給付)を受ける権利を裁定する場合又は年金給付の額を改定する場合において、年金給付の額に50銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは、これを1円に切り上げるものとする。(国年法17条1項)
■ 年金給付の額に加算額が加算される場合には、加算額についても価額のスライドは行われる。この場合の端数処理は、加算額とそれ以外の給付の部分を分けて、それぞれについて行う。
■ 国民年金法18条3項の規定による支払額に1円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てるものとする。
■ 毎年3月から翌年2月までの間において上記の規定により切り捨てた金額の合計額(1円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てた額)については、これを当該2月の支払期月の年金額に加算するものとする。(国年法18条の2)
■ 国年法18条3項の規定による支払額は、後述の支払期月(毎年、偶数月の6期)ごとに支払われる金額のこと。
■ 年金額の端数処理の整理
・ 受給権の裁定・年金額の改定・加算額の処理
・ 50銭未満切り捨て
・ 50銭以上1円未満は1円に切り上げ
・ 年金給付の額を計算する課程で生じる1円未満の端数
・ 50銭未満切り捨て
・ 50銭以上1円未満は1年に切り上げすることができる。
・ 支払期月ごとに支払われる金額
・ 1円未満切り捨て
・ 毎年3月から翌年2月までの間において切り捨てた金額の合計額(1円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てた額)については、これを当該2月の支払期月の年金額に加算する
■ 裁定・改定時でも、法定の額に改定率を乗じて得た額については、50円未満は切り捨て、50円以上100円未満は100円に切り上げという端数処理をする。
・ 100円単位で算出
・ 老齢基礎年金の満額
・ 振替加算の基本額
・ 障害基礎年金(1級、2級)の額
・ その他(遺族基礎年金の額、子の加算額)
・ 1円単位で算出
・ 満額から減額する老齢基礎年金の額
・ 生年月日ごとに実際の振替加算の額
・ 1級の障害基礎年金の額
・ 寡婦年金の額
■ 年金給付の額と加算額は、それぞれ端数処理をした後に合算する。
■ 年金給付の支給は、これを支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月から始め、権利が消滅した日の属する月で終わるものとする。
■ 年金給付は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた日の属する月の翌月からその事由が消滅した日の属する月までの分の支給を停止する。ただし、これらの日が同じ月に属する場合は、支給を停止しない。(国年法18条1項、2項)
■ 受給権が発生した月に受給権が消滅した場合には、全く年金は支給されない。
■ 支給停止事由が発生した同一の月に、支給停止事由が消滅した場合は、支給停止されない。
■ 年金給付は、毎年2月4月6月8月10月及び12月の6期に、それぞれの前月までの分を支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであった年金又は権利が消滅した場合若しくは年金の支給を停止した場合におけるその期の年金は、その支払期月でない月であっても、支払うものとする。(国年法18条3項)
■ 旧法の老齢福祉年金については、支払期月は4月8月及び12月(請求があった場合は11月)とされている。
■ 「前支払期月に支払うべきであった年金」とは、新規裁定分の年金の初回の支払(裁定請求が遅れたために以前の年金を受け取る場合)など、本来の支払期を過ぎている年金のことを指す。
■ 船舶が沈没し、転覆し、滅失し、もしくは行方不明となった際現にその船舶に乗っていた者もしくは船舶に乗っていてその船舶の航行中に行方不明となった者の生死が3か月間分からない場合又はこれらの者の死亡が3か月以内に明らかになり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった日又はその者が行方不明となった日に、その者は、死亡したものと推定する。航空機が墜落し、滅失し、もしくは行方不明となった際現にその航空機に乗っていた者もしくは航空機に乗っていてその航空機の航行中に行方不明となった者が3か月間分からない場合又はこれらの者の死亡が3か月以内に明らかになり、かつ、その死亡の時期が分からない場合にも、同様とする。(国年法18条の3)
■ 死亡の推定の規定が適用されるのは、船舶又は航空機の事故による行方不明に限られる。
■ 受給権者の死亡による未支給年金については、死亡の推定の規定は適用しない。
■ 失踪の宣告を受けたことにより死亡したとみなされた者に係る死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用については、国民年金法37条(遺族基礎年金)、37条の2(遺族の範囲)、49条1項(寡婦年金)、52条の2第1項(死亡一時金)及び52条の3第1項(遺族の安易)中「死亡日」とあるのは、「行方不明となった日」とし、「死亡の当時」とあるのは「行方不明となった当時」とする。ただし、受給権者又は給付の支給の要件となり、もしくはその額の加算の対象となる者の身分関係、年齢及び障害の状態に係るこれらの規定の適用については、この限りでない。(国年法18条の4)
■ 普通失踪による行方不明については、民法上の失踪宣告が出された時点(行方不明となったときから7年の期間が満了した時点)に死亡したものとみなされるが、死亡を支給事由とする給付に関しては次のような取扱いがなされている。
・ 死亡を支給事由とする給付についての被保険者資格、保険料納付要件、生計維持関係については、行方不明となった当時で判断する。
・ 死亡した者と受給権者等との身分関係、受給権者等の年齢及び障害の状態については、死亡したとみなされる日で判断する。
■ 失踪の宣告を受けたことにより死亡したとみなされた者に係る遺族基礎年金の支給に関し、死亡したとみなされた者の保険料納付要件は、「行方不明となった日」の前日において判断することになる。
■ 未支給年金を請求できるのは、年金給付の受給権者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と「生計を同じくしていた」ものであり、当該遺族が「自己の名」で請求することができる。
■ 未支給年金を受けるべき順位は、政令で定める。(国年法19条1項・4項)
■ 未支給年金の給付は、死亡した受給検査に支給されていた年金の受給権がそのまま相続されるのではない。あくまで未支給となった分について、一時金の形で支給されるものである。また、死亡一時金については、この規定は準用されない。
■ 未支給の年金を受けるべき者の順位は、①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、⑦これらの者以外の3親等内の親族の順序とする。(国年令4条の3の2)
■ 脱退一時金については、未支給年金の規定が準用される(国年法附則9条の3の2第7項)
■ 遺族基礎年金の受給権者が死亡した場合で、その者の死亡の当時当該遺族基礎年金の支給の要件となり、又はその額の加算の対象となっていた被保険者又は被保険者であった者の子は、当該未支給の遺族基礎年金を請求することができる。(国年法19条2項)
■ この場合の子は、後妻と養子縁組をしていないため法律上は後妻の子ではないが、例外的に未支給年金の請求を行うことができる。
■ 同順位者が2人以上あるときは、その1人がした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。(国年法19条5項)
■ 死亡した受給権者が生前に裁定請求をしない間に死亡した場合も、国年法19条1項に規定する者は、自己の名で未支給年金を請求することができる。(国年法19条3項)
■ 例えば、老齢基礎年金の支給を受けている者が令和○年2月27日に死亡した場合、未支給年金として請求することができるのは、同年2月分の年金である。(1月の支払期月(支払日は2月15日)までに、同年1月分までの支払は受けている)
■ 政府は、障害若しくは死亡又はこれらの直接の原因となった事故が第三者の行為によって生じた場合において、給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。(国年法22条1項)
■ 受給権者が第三者からその給付の原因となった事由(同一の事由)について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で、給付を行う責を免れる。(国年法22条2項)
■ 死亡一時金については、当該給付の支給事由となった事故について受給権者が損害賠償を受けた場合であっても、当該損害賠償との調整は行わないこととされている。(昭和37年副発25号)
■ 偽りその他不正の手段により給付を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。(国年法23条)
・ 虚偽の診断書を医師に作成させて障害基礎年金の支給を受けた場合等が該当する。
・ この徴収金は国税徴収の例により徴収され、督促及び滞納処分の規定も適用される(国年法95条、96条)
■ 給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし、老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む)により差し押さえる場合は、この限りでない。(国年法24条)
■ 脱退一時金、特別一時金についても差し押さえることができる。
■ 租税その他の公課は、給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。ただし、老齢基礎年金及び付加年金については、この限りでない。(国年法25条)
■ 老齢基礎年金と付加年金を除き、給付として支給されている金銭については、租税その他の公課を課することはできないこととなっている。
■ 脱退一時金、特別一時金についても公課を課することができる。
■ 乙年金の受給権者が甲年金の受給権を取得したため乙年金の受給権が消滅した場合、又は同一人に対して乙年金の支給を停止して甲年金を支給すべき場合において、乙年金の受給権が消滅し、又は乙年金の支給が停止すべき事由が生じた日の属する月の翌月以降の分として、乙年金の支払が行われたときは、その支払われた乙年金は、甲年金の内払とみなす。(国年法21条1項)
■ 年金の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金が支払われたときは、その支払われた年金は、その後に支払うべき年金の内払とみなすことができる。障害基礎年金又は遺族基礎年金を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた日の属する月の翌月以降の分として減額しない額の障害基礎年金又は遺族基礎年金が支払われた場合における当該障害基礎年金又は遺族基礎年金の当該減額すべきであった部分についても、同様とする。(国年法21条2項)
■ 同一人に対し厚生年金保険法による年金たる保険給付(厚生労働大臣が支給するものに限る)の支給を停止して国民年金法による年金給付を支給すべき場合において、国民年金法による年金給付を支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月以降の分として厚生年金保険法による年金たる保険給付の支払が行われたときは、その支払われた厚生年金保険法による年金たる保険給付は、国民年金法による年金給付の内払とみなすことができる。(国年法21条3項)
■ 厚生労働大臣以外の実施期間が支給する厚生年金保険法による保険給付と国民年金法による保険給付については、内払調整の対象とはならない。
■ 年金給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以降の分として当該年金給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権(返還金債権)に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき年金給付があるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該年金給付の支払金の金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当することができる。(国年法21条の2)
■ 年金たる給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権への充当は、次に掲げる場合に行うことができる。
・ 年金たる給付の受給権者の死亡を支給事由とする遺族基礎年金の受給権者が、当該年金たる給付の受給権者の死亡に伴う当該年金たる給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき
・ 遺族基礎年金の受給権者が同一の支払事由に基づく他の遺族基礎年金の受給権者の死亡に伴う当該遺族基礎年金の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をするべき者であるとき
■ 遺族基礎年金以外の給付については、充当の対象となることはない。
■ 国民年金の保険給付と厚生年金保険の年金たる保険給付との間での充当は行われない。
[国年法] 国民年金法・重要箇所・Chapter10
国民年金事業の円滑な実施を図るための措置と積立金の運用
■ 福祉施設の規定を廃止し、政府は、国民年金事業の円滑な実施を図るため、国民年金に関し、教育及び広報の事業を行うことができることとした。
■ 政府は、国民年金事業の円滑な実施を図るため、国民年金に関し、次に掲げる事業を行うことができる。
・ 教育及び広報を行うこと
・ 被保険者、受給権者その他の関係者(被保険者等)に対し、相談その他の援助を行うこと
・ 被保険者等に対し、被保険者等が行う手続に関する情報その他の被保険者等の利便の向上に資する情報を提供すること
■ 政府は、国民年金事業の実施に必要な事務を円滑に処理し、被保険者等の利便の向上に資するため、電子情報処理組織の運用を行うものとする。
■ 政府は、上記に掲げる事業及び規定する運用の全部又は一部を日本年金機構(機構)に行わせることができる。(国年法74条)
■ 政府は、国民年金事業の円滑な実施を図るため、独立行政法人福祉医療機構法附則5条の2第1項に規定する債権の管理及び回収の業務を、年金積立金管理運用独立行政法人法附則14条の規定による廃止前の年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律12条1項に規定する債権の回収が終了するまでの間、独立行政法人福祉医療機構に行わせるものとする。
■ 政府は、国民年金事業の円滑の実施を図るため、独立行政法人福祉医療機構法附則5条の2第3項の規定による教育資金の貸付けのあっせんを行う業務を、同項に規定する別に法律で定める日までの間、行うことができる。この場合において、政府は、当該業務を独立行政法人福祉医療機構に行わせるものとする。(国年法附則9条の5)
■ 平成13年4月より、国民年金制度の運営全般について責任と権限を有する保険者(厚生労働大臣)が、年金積立金を自主運用することとなった。国年法75条から国年法80条までは、この積立金の運用について規定している。
■ 積立金の運用は、積立金が国民年金の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の給付の貴重な財源となる者であることに特に留意し、専ら国民年金の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全から効率的に行うことにより、将来にわたって、国民年金事業の運営の安定に資することを目的として行うものとする。(国年法75条)
■ 積立金の運用は、厚生労働大臣が、国民年金法75条の目的に沿った運用に基づく納付金の納付を目的として、年金積立金管理運用独立行政法人に対し、積立金の寄託することにより行うものとする。
■ 厚生労働大臣は、上記の規定にかかわらず、上記の規定に基づく寄託をするまでの間、財政融資資金に積立金を預託することができる。(国年法76条)
■ 積立金の運用に係る行政事務に従事する厚生労働省の職員(運用職員)は、積立金の運用の目的に沿って、慎重かつ細心の注意を払い、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない。(国年法77条)
■ 運用職員は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。(国年法78条)
■ 運用職員が国民年金法78条の規定に違反したと認めるときは、厚生労働大臣は、その職員に対し国家公務員法に基づく懲戒処分をしなければならない。(国年法79条)
[国年法] 国民年金法・重要箇所・Chapter11
■ 基礎年金の費用負担は、基礎年金の給付に要する費用を第1号被保険者に係る負担分と第2号被保険者及び第3号被保険者に係る負担分について、それぞれの被保険者数の割合に応じて按分し、第2号被保険者及び第3号被保険者に係る負担分については、厚生年金保険の実施者たる政府及び実施期間たる共済組合等が負担(納付)する拠出金によることとしている。
■ 国庫は、毎年度、国民年金事業に要する費用に充てるため、次に掲げる額を負担する。
・ 当該年度における基礎年金(老齢基礎年金、障害基礎年金及び遺族基礎年金をいう)の給付に要する費用の総額(以下に掲げる額を除く。保険料・拠出金算定対象額)から老齢基礎年金の計算において、保険料4分の1免除期間のうち8分の3に相当する月数とされた期間、保険料半額免除期間のうち4分の1に相当する月数とされた期間、保険料4分の3免除期間のうち8分の1に相当する月数とされた期間を基礎として計算されたものを控除して得た額に、1から各政府及び実施期間に係る94条の3第1項に規定する政令で定めるところにより算定された率を合算した率を控除して得た率を乗じて得た額(第1号被保険者の期間に係る負担分)の2分の1に相当する額
・ 当該年度における保険料免除期間を有する者に係る老齢基礎年金(27条ただし書きの規定によってその額が計算されるものに限る)の給付に要する費用の額に、以下に掲げる1の数を2の数で除して得た額を乗じて得た額の合算額
・ 次に掲げる数を合算した数
・ 当該保険料4分の1免除期間の月数(480から当該保険料納付済期間に月数を控除して得た月数を限度とする)に8分の1を乗じた数
・ 当該保険料半額期間の月数(480から当該保険料納付済期間の月数及び当該保険料4分の1免除期間の月数を合算した月数を控除して得た月数を限度とする)に4分の1を乗じて得た数
・ 当該保険料4分の3免除期間の月数(480から当該保険料納付済期間の月数、当該保険料4分の1免除期間の月数及び当該保険料半額期間の月数を合算した就く数を控除して得た月数を限度とする)に8分の3を乗じて得た数
・ 当該保険料全額免除期間(学生等の保険料納付特例により納付することを要しないものとされた保険料に係るものを除く)の月数(480から当該保険料納付済期間の月数、当該保険料4分の1免除期間の月数、当該保険料半額免除期間の月数及び当該保険料4分の3免除期間の月数を合算した月数を控除して得た月数を限度とする)に2分の1を乗じて得た数
・ 27条各号に掲げる月数を合算した月数
・ 当該年度における20歳前障害基礎年金の給付に要する費用の100分の20に相当する額
・ 国庫は、毎年度、予算の範囲内で、国民年金事業の事務の執行に要する費用を負担する。
■ 上記条文2について、条文を解読すると次のような結論になる。
・ 免除期間→国庫負担分
・ 4分の1免除期間 基礎年金の計算で7/8評価分→1/7(1/8÷7/8=1/8×8/7)
・ 半額免除期間 基礎年金の計算で3/4評価分→1/3(1/4÷3/4=1/4×4/3)
・ 4分の3免除期間 基礎年金の計算で5/8評価分→3/5(3/8÷5/8=3/8×8/5)
・ 全額免除期間 →全額
■ 4分の1免除期間の国庫負担はなぜ1/7なのか
・ 前提知識 1/4免除期間の給付は7/8(480月を超える分を除く)
・ 保険料1/4免除期間は、3/4は保険料を納めている。納付分3/4に対して1/2の国庫負担が行われる。すると、3/4に対する1/2で3/8が国庫負担分、残りが3/8が保険料財源となる。
・ しかし、1/4免除の給付は7/8。そのため、1/8の分が足りない。そこで、これを特別に国庫負担する。これが条文では2に該当する
・ 支給される7/8の中で国庫負担という意味では、1/7となる。(条文では、1に掲げる数を2に掲げる数で除して得た数を乗じて得た額の合算額と表現される。具体的に計算すると、特別国庫負担分は1/8を7/8で除して得た数である1/7となる。
■ 国庫は、平成21年度から平成25年度までの各年度については、従前の経過措置による負担額(負担割合は、「3分の1+1000分の32」等)のほか、財政投融資特別会計から一般会計への特例的な繰入金等を活用し、当該額と法律本来の負担額(負担割合は、「2分の1」等)との差額を負担する。(平成16年国年法附則14条の2)
■ 厳密に、国庫負担割合2分の1への引き上げが実現するのは平成26年4月からであるが、老齢基礎年金の額は、上記の「平成21年度から平成25年度までにおける基礎年金の国庫負担に関する経過措置の特例」等に併せて、平成21年4月以後の期間に係る分については、国庫負担割合が2分の1に引き上げられたものとして計算される。
■ 学生納付特例及び納付猶予の期間については国庫負担は行われない。
■ 20歳前傷病による障害基礎年金の給付に要する費用については100分の20に相当する額と残りの100分の80の2分の1に相当する額を国庫が負担するため、合計で100分の60を負担する。
■ 政府は、政令で定めるところにより、市町村(特別区を含む)に対し、市町村長が国民年金法又は国民年金法に基づく政令の規定によって行う事務の処理に必要な費用を交付する。(国年法86条)
■ 寡婦年金、死亡一時金の給付に要する費用については、国庫負担は行われない。ただし、当分の間、次の給付に要する費用の総額の4分の1に相当する額について、国庫負担が行われている。
・ 付加年金
・ 付加保険料に係る保険料納付済期間が3年以上ある者に支給する死亡一時金の額に加算される8500円の加算
■ 厚生年金保険の被保険者とその被扶養配偶者については、個別に国民年金の保険料を納めることはなく、これらの者の基礎年金の給付に要する費用は、厚生年金保険の実施者たる政府及び実施機関たる共済組合等から「基礎年金拠出金」として国民年金制度に一括して収められている。
■ 厚生年金保険の実施者たる政府は、毎年度、基礎年金の給付に要する費用に充てるため、基礎年金拠出金を負担する。
■ 実施機関たる共済組合等は、毎年度、基礎年金の給付に要する費用に充てるため、基礎年金拠出金を納付する。
■ 財政の現況及び見通しが作成されるときは、厚生労働大臣は、厚生年金保険の実施者たる政府が負担し、又は実施機関たる共済組合等が納付すべき基礎年金拠出金について、その将来にわたる予想額を算定するものとする。(国年法94条の2)
■ 基礎年金拠出金の額は、保険料・拠出金算定対象額に当該年度における被保険者の総数に対する当該年度における当該政府及び実施機関に係る被保険者(第2号被保険者及びその被扶養配偶者である第3号被保険者)の総数の比率に相当するものとして毎年度政令で定めるところにより算定した率を乗じて得た額とする。(国年法94条の3)
■ 基礎年金拠出金は、厚生年金保険の保険料によって賄われる。つまり、基礎年金拠出金によって、国民年金の保険料をまとめて支払っていることになる。
■ 保険料・拠出金算定対象額×(第2号被保険者の総数+第3号被保険者の総数)/国民年金被保険者総数
■ 拠出金の額を計算する際には、第1号被保険者にあっては保険料納付済期間又は保険料4分の1免除期間、保険料半額免除期間、保険料4分の3免除期間を有する者、第2号被保険者にあっては、20歳以上60歳未満の者、第3号被保険者にあってはすべての者とされている。(国年令11条の3)
■ 基礎年金の費用負担は、1つの年度(単年度)で収支の均衡を図る賦課方式をとっている。
■ 政府は、国民年金事業に要する費用に充てるため、保険料を徴収する。
■ 保険料は、被保険者期間の計算の基礎となる各月につき、徴収するものとする。(国年法87条1項・2項)
■ 国年法87条1項及び2項並びに88条1項の規定にかかわらず、第2号被保険者としての被保険者期間及び第3号被保険者としての被保険者期間については、政府は、保険料を徴収せず、被保険者は、保険料を納付することを要しない。(国年法94条の6)
■ 保険料の額は、次に掲げる額に保険料改定率を乗じて得た額(その額に5円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数が生じたときは、これを10円に切り上げるものとする。)
・ 平成29/30年度 16900円
・ 令和元年度・以後の年度 17000円
■ 平成17年度における上記の保険料改定率を、1とする。
■ 上記の保険料改定率は、毎年度、当該年度の前年度の保険料改定率に次に掲げる率を乗じて得た率を基準として改定し、当該年度に属する月の月分の保険料について適用する。
・ 当該年度の初日に属する年の3年前の年の物価指数に対する当該年度の初日の属する年の前々年の物価指数の比率
・ 以下の1に掲げる率を2に掲げる率で除して得た率の3乗根となる率
・ 当該年度の初日に属する年の6年前の4月1日の属する年度における厚生年金保険の被保険者に係る標準報酬平均額に対する当該年度の初日の属する年の3年前の年の4月1日に属する年度における厚生年金保険の被保険者に係る標準報酬平均額の比率
・ 当該年度の初日の属する年の6年前の年における物価指数に対する当該年度の初日の属する年の3年前の年における物価指数の比率
・ 上記の規定による保険料改定率の改定の措置は、政令で定める。(国年法87条3項から6項)
■ 上記(1)と(2)を乗じて得た率を名目賃金変動率という。
■ 平成18年及び平成19年については、上記の(2)の率は「1」とみなす(平成16年国年法附則18条)
■ 国民年金の保険料の額は、平成16年改正によって導入された保険料水準固定・給付水準自動調整の仕組みにより、平成17年度から毎年度280円ずつ引き上げられてきたが、平成29年度以降は、16900円で固定される。(平成16年度価格)
■ なお、平成31年4月から国民年金第1号被保険者に対して、産前産後期間の保険料免除制度が施行されることに伴い、保険料の法定額が100円引き上げられ、平成31年度以降は17000円とされた。
■ この額は、平成16年度同時の価格水準としてあらわされているものであり、実際の保険料額は、平成16年度からの物価変動率及び実質賃金変動率(名目賃金変動率)に応じて調整することが法定されている。
■ 具体的には、令和3年度の保険料改定率が0.977であったため、令和3年度の保険料は、17000円×0.977=16610円となった。また、平成26年度から国民年金保険料の2年前納が可能とされたから、令和4年度の保険料改定率も定められた。具体的には、令和4年度の保険料改定率が0.976であったため、令和4年度の保険料は、17000円×0.976=16,590円となった。
■ 第1号被保険者(保険料納付の免除を受けている者、保険料の一部の免除を受けている者及び国民年金基金の加入員を除く)は、厚生労働大臣に申し出て、その申出をした日の属する月以後の各月につき、国民年金法87条3項に定める額の保険料のほか、400円の保険料を納付する者となることができる。(国年法87条の2第1項)
■ 任意加入被保険者(65歳以上70歳未満のいわゆる「特例による任意加入被保険者」を除く)も厚生労働大臣に申し出て、付加保険料を納付する者となることができる。
・ 付加保険料の納付する者となることができない者
・ 特例による任意加入被保険者
・ 以下の規定により保険料の納付の免除を受けている者
・ 国年法89条1項(保険料の法定免除)
・ 国年法90条1項(保険料の全額の申請免除)
・ 国年法90条の3第1項(学生等の保険料納付特例)
・ 国年法90条の2(保険料の一部の申請免除)の規定により、その一部につき保険料を納付することを要しないものとされている者
・ 国民年金基金の加入員
・ 農業者年金の被保険者は、当該被保険者となったときに、付加保険料を納付する者となる。農業者年金の被保険者は国民年金基金には加入できない代わりに、付加保険料の強制納付となっている。
■ 付加保険料の納付は、国民年金法87条3項に定める額の保険料の納付が行われた月(追納により保険料が納付されたものとみなされた月を除く)又は同法88条の2の規定(産前産後期間の保険料免除)により納付することを要しないものとされた保険料に係る期間の各月についてのみ行うことができる。(国年法87条の2第2項)
■ 付加保険料については、通常の保険料とは異なり、免除された分を追納することができる規定は設けられていない。
■ 付加保険料の納付の申出は、所定の事項を記載した申出書に基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えて、機構に提出することにより行わなければならない。
■ 産前産後期間の保険料免除の規定により保険料の納付を免除されている期間についても、付加保険料は納付することができる。
■ 付加保険料を納付する者となったものは、いつでも、厚生労働大臣に申し出て、その申出をした日の属する月の前月以後の各月に係る保険料(既に納付されたもの及び前納されたもの(国民年金基金の加入員にとなった日の属する月以後の各月に係るものを除く)を除く)について付加保険料を納付する者でなくなることができる。
■ 付加保険料を納付する者となったものが、国民年金基金の加入員となったときは、その加入員となった日に、付加保険料を納付する者でなくなる旨の申出をしたものとみなされる。(国年法87条の2第3項・4項)
■ 旧国民年金法に依る付加保険料納付済期間は、新制度による付加保険料納付済期間とされる。(昭和60年国年法附則8条1項)
■ 平成26年4月1日からは、付加保険料を納期限までに納付しなかったときは、その納期限の日に付加保険料の納付者であることを辞退したものとみなす規定が削除され、国民年金保険料の徴収権が時効消滅する期間と同様に、付加保険料も2年前までさかのぼって納付することができるようになった。
■ 被保険者は、保険料を納付しなければならない。
■ 世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。
■ 配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。(国年法88条)
■ 「配偶者」には、外国人又は別居している者も含まれる。
■ 保険料・付加保険料のまとめ
・ 保険料
・ 納付義務
・ 被保険者期間の計算の基礎となる月(資格取得月から資格喪失月の前月)
・ 追納→〇
・ 前納→〇
1月あたり
・ 17000円×保険料改定率(0.977)=16610円(令和3年度)
・ 17000円×保険料改定率(0.976)=16590円(令和4年度)
2年前納制の導入により、2年度分(令和3年度及び令和4年度)の保険料改定率が定められた
・ その他の重要事項
・ 前納は、6月又は1年を単位
・ 前納された保険料について保険料納付済期間又は保険料一部免除期間を計算する場合、前納に係る期間の各月が経過した際に、それぞれその月の保険料が納付されたものとみなす。
・ 付加保険料
・ 納付義務
・ 本来の保険料の納付が行われた月又は産前産後期間の保険料免除の規定により納付を免除された保険料に係る期間の各月
・ 追納→×(免除・免除分の追納はできない)
・ 前納→〇
1月あたり 400円
・ その他重要事項
・ 任意加入被保険者→〇
・ 特例による任意保険被保険者→×
・ 国民年金基金加入員→×
・ 農業者年金の被保険者→〇(強制)
・ 保険料の納付の免除を受けている者→×
・ 一部につき保険料を納付することを要しない者→×
■ 被保険者は、出産の予定日(厚生労働省令で定める場合にあっては、出産の日。国民年金法106条1項(被保険者に関する調査)及び108条2項(資料の提供等)において「出産予定日」)の属する月(出産予定月)の前月(多胎妊娠の場合においては、3月前)から出産予定日の翌々月までの期間に係る保険料は、納付することを要しない。(国年法88条の2)
■ 国年法88条の2に規定する厚生労働省令で定める場合は、以下の届出(産前産後期間の保険料の免除に関する届出)を行う前に出産した場合とする。(国年則73条の6)
■ この規定により免除される期間は、出産予定月の前月(多胎妊娠の場合は3月前)から出産予定月の翌々月)
■ 出産予定月→出産の予定日(届出を行う前に出産した場合は、出産の日)の属する月をいう。
■ 産前産後期間の保険料の免除に関する届出
・ 第1号被保険者は、産前産後期間の保険料の免除の規定により保険料を納付することを要しないこととされる場合には、次に掲げる事項を記載した届書を市町村長に提出しなければならない。
・ 氏名、生年月日及び住所
・ 出産の予定日(出産後に届出を行う場合にあっては、出産の日。)
・ 単胎妊娠又は多胎妊娠の別
・ 個人番号又は基礎年金番号
・ 前項の届書には、次に掲げる書類を添えなければならない。
・ 出産の予定日を明らかにすることができる書類
・ 多胎妊娠の場合にあっては、その旨を明らかにすることができる書類
・ 出産後に上記の規定による届出を行う場合にあっては、当該第1号被保険者と当該出産に係ることの身分関係を明らかにすることができる書類
・ 上記の規定により届書に基礎年金番号を記載する者にあっては、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
・ 上記の規定による届出は、出産予定日の6月前から行うことができる。
■ 産前産後期間の保険料の免除の規定のポイント
・ この規定により保険料の納付を免除された期間は、保険料納付済期間(保険料免除期間ではない)
・ したがって、この規定により保険料の納付を免除された期間は、死亡一時金及び脱退一時金の支給要件においても、保険料納付済期間に算入される。
・ この規定により保険料の納付を免除される期間は、「出産予定日の前月(多胎妊娠の場合は、3月前)から出産予定日の翌々月」(産前産後休業期間とは異なる)
・ この規定に関する届出の提出先は、市町村長(機構ではない)
・ この規定により保険料の納付を免除される期間中であっても、付加保険料は納付できる。
・ この規定による保険料の免除の要件を満たしている場合には、法定免除又は申請免除よりも優先される。
・ 国民年金に任意加入している被保険者は、他の保険料免除や納付猶予と同様に、この規定の対象とならない。
■ 国人年金制度では、第1号被保険者については、その者の収入に関係なく一律に定額の保険料納付義務を課している。しかし、長期にわたって保険料を納付しなければならないため、一時的に保険料の納付が困難となる場合もあり得る。そこで他の年金制度にない仕組みとして、一定の要件に該当する者には、保険料の納付が困難であると認められる期間について、その全額又は一部の保険料納付義務を免除する制度を設けている一方で、保険料の支払いが可能となった者について、免除された期間に係る保険料を追納することを可能にした。
■ 保険料の免除方式には次の5つがある。
・ 法定免除 届出方式
・ 全額免除 申請方式
・ 一部免除(3/4、半額、1/4) 申請方式
・ 学生等の保険料納付特例 申請方式
・ 納付猶予 申請方式
■ なお、先に学習した「産前産後期間の保険料の免除」は、これらの保険料の免除に関する規定とは趣旨や性格が異なるものであるため、両者を切り離して整理している。
・ 産前産後期間の保険料の免除→免除された保険料に係る期間は保険料納付済期間→追納といった問題が生じない。
・ 法定免除、申請免除など以下で学習する免除→免除された保険料に係る期間は保険料免除期間→追納すれば保険料納付済期間
■ 被保険者(国民年金法88条の2及び90条の2第1項から3項までの規定(産前産後期間の保険料の免除に及び保険料の一部申請免除)の適用を受ける被保険者を除く)が次のいずれかに該当するに至ったときは、その該当するに至った日の属する月の前月からこれに該当しなくなる日の属する月までの期間に係る保険料は、すでに納付されたものを除き、納付することを要しない。
・ 障害基礎年金又は厚生年金保険法に基づく障害を支給事由とする年金たる給付その他の障害を支給事由とする給付であって政令で定めるものの受給権者(最後に同法に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態(障害状態)に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害基礎年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る)その他の政令で定める者を除く)であるとき
・ 生活保護法による生活扶助その他の援助であって厚生労働省令で定めるものを受けるとき
・ 厚生労働省令で定める施設に入所しているとき
■ 上記の規定により納付することを要しないものとされた保険料について、被保険者又は被保険者であった者(次条から90条の3までにおいて(被保険者等))から当該保険料に係る期間の各月につき、保険料を納付する旨の申出があったときは、当該申出のあった期間に係る保険料に限り、上記の規定は適用しない。(国年法89条)
■ 障害基礎年金の受給権者であっても、その障害の程度が厚生年金保険法に規定する3級の障害の程度よりさらに軽くなり、そのままの状態で3年を経過しているものについては、法定免除の対象としない。
■ 障害を支給事由とする給付で政令で定めるもの(国年令6条の5第1項)
・ 厚生年金保険法による障害基礎年金又は一元化前の障害共済年金(障害の程度が1級もしくは2級の状態に該当する者に支給するものに限る)
・ 旧国民年金法による障害年金(1級、2級)
・ 旧厚生年金保険法による障害年金(1級、2級、3級)
・ 旧船員保険法による障害年金(1級から3級)等
■ 新法の給付及び旧国民年金法の給付は1級、2級が対象となるが、被用者年金各法の旧法については1級から3級までが対象となる。
■ 次に掲げる給付の受給権者であって、最後に厚生年金保険法47条2項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して当該障害状態に該当することなく3年を経過した者(現に障害状態に該当しないものに限る)
・ 障害基礎年金
・ 厚生年金保険法による障害厚生年金又は一元化前の障害共済年金
■ 厚生労働省令で定める施設(国年則74条の2)
・ ハンセン病問題の解決の促進に関する法律2条2項に規定する国立ハンセン病療養所等(同法7条又は9条に規定する療養を行う部分に限る)
・ 国立保養所
・ その他厚生労働大臣が指定するもの
■ 従来、法定免除期間中は、保険料を納付又は前納することができず、納付を希望する場合には、追納の方法によるしかなかったが、平成26年4月1日からは法定免除二該当する場合であっても納付意思があれば、被保険者の選択によって保険料を納付又は前納することができるようになった。
■ また、保険料を前納した後で法定免除に該当するおうになった場合には、法定免除に該当した日前に納付された前納保険料のうち法定免除に該当した月以後の各月の保険料は還付されなかったが、平成26年4月1日からは還付を受けることができるようになった。
・ 免除期間
・ 法定免除の規定に該当するに至った日の属する月の前月から、これに該当しなくなった日の属する月まで(すでに納付されたものを除く)(国年法89条)
・ 届出
・ 法定免除に該当したとき(国年則75条)
・ 第1号被保険者は、法定免除事由に該当するに至ったときは、所定の事項を記載した届書に、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えて、14日以内に、これを市町村長に提出しなければならない。ただし、厚生労働大臣が法定免除事由のいずれかに該当するに至ったことを確認したときは、この限りでない。
・ 法定免除に該当しなくなったとき(国年則76条)
・ 第1号被保険者は、法定免除事由のいずれにも該当しなくなったときは、所定の書類を記載した届書に、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えて、14日以内に、これを市町村長に提出しなければならない。ただし、申請免除(一部免除)の規定による申請をしたとき又は厚生労働大臣が法定免除事由のいずれにも該当しなくなったことを確認したときもしくは法定免除事由に該当しなくなった日から14日以内に申請免除(全額免除、一部免除)又は学生納付特例もしくは納付猶予に係る申請をしたときは、この限りでない。
■ 資格取得時において、法定免除の要件を満たしているときは、資格取得届の提出を怠っていても、遡って保険料は免除される。(昭和35年国発48号)
■ 条文上、保険料の一部免除の適用を受ける被保険者は法定免除の対象とはならないことから、法定免除の適用を受けるためには、一部免除に係る処分の取消を申請する必要がある。
■ 次のいずれかに該当する被保険者等から申請があったときは、厚生労働大臣は、その指定する期間(保険料の一部免除の適用を受ける期間又は学生等である期間もしくは学生等であった期間を除く)に係る保険料につき、すでに納付されたものを除き、これを納付することを要しないものとし、申請のあった日以後、当該保険料に係る期間を保険料全額免除期間(追納に係る期間を除く)に算入することができる。ただし、世帯主又は配偶者のいずれかが以下のいずれにも該当しないときは、この限りでない。(国年法90条1項)
・ 当該保険料を納付することを要しないものとすべき月の属する年の前年の所得(1月から6月までの月分の保険料については、前々年の所得とする)が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以下であるとき
・ 被保険者又は被保険者の属する世帯の他の世帯員が生活保護法による生活扶助以外の扶助その他の援助であって厚生労働省で定めるものを受けるとき
・ 地方税法に定める障害者、寡婦その他の同法の規定による市町村民税が課されないものとして政令で定める者であって、当該保険料を納付することを要しないものとすべき月の属する月の前年の所得が政令で定める額(135万円)以下であるとき
・ 保険料を納付することが著しく困難である場合として天災その他の厚生労働省令で定める事由があるとき
■ 厚生労働大臣が指定する期間(平成26年厚労告91号)
・ 全額の申請免除、4分の3申請免除、半額申請免除、4分の1申請免除及び納付猶予の規定における厚生労働大臣が指定した期間
・ 申請があった日の属する月の2年2月(保険料の納期限に係る月であって、当該納期限から2年を経過したものを除く)前の月から当該申請のあった日の属する年の翌年6月(当該申請のあった日の属する月が1月から6月までである場合にあっては、当該申請のあった日の属する年の6月)までの期間のうち必要と認める期間
・ 学生等の保険料納付特例の規定における厚生労働大臣が指定する期間
・ この規定に基づく申請のあった日の属する月の2年2月(保険料の納期限に係る月であって、当該納期限から2年を経過したものを除く)前の月から当該申請のあった日の属する年の翌年の3月(当該申請のあった日の属する月が1月から3月までである場合にあっては、当該申請のあった日の属する年の3月)までの期間のうち必要と認める期間
・ 上記の厚生労働大臣が指定する期間(遡って免除申請ができる期間)は、「保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1月前までの期間)」に限られる。
・ なお、告示では「2年2月」とされているが、これは、納付対象月の翌月末日が営業日でなかった場合、例外的に2年2月の遡及が可能となる場合があるため、それに備えて、幅を持って規定されたものである。
■ 従来、申請(全部・一部)免除、学生納付特例及び納付猶予の場合には、これらの申請の前に納付又は前納された保険料は還付されなかったが、平成26年4月1日からは、これらの申請の前に前納された保険料のうち、これらの期間中の納付済保険料とみなされないものについては、還付を受けることができるようになった。
■ 保険料の全額免除における所得基準(国年令6条の7)
・ 被保険者本人、配偶者、被保険者本人の属する世帯の世帯主のいずれもが下記に該当しているとき
・ 前年の合計所得金額≦(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
・ 免除される期間は、厚生労働大臣が指定する期間である。申請が多少遅れても遡っての免除が行われる。ただし免除期間としての効力が発生するのは申請日以後である。(国年法90条2項)
8月に失業し、11月に申請しても8月から免除の適用を受ける。ただし、免除期間に8月9月が算入されるのは申請日(11月)からである。10月に申請日のある障害になっても、その10月の時点ではまだ8月は未納期間であるため、保険料納付の特例(直近1年に未納がないこと)の要件を満たせない。
・ 当該事実を明らかにする書類として、雇用保険の被保険者であった者については、雇用保険受給資格者証の写し又は雇用保険被保険者離職票の写し等の書類を添付しなければならない。
・ 従来、申請免除等の対象となる要件が、「前年の所得」が政令で定める額以下であることとされていたため、免除等の対象となる厚生労働大臣が指定する期間についても、申請(全額・一部)免除及び若年者納付猶予の場合は直近の7月まで、学生納付特例の場合は直近の4月までしか遡れなかった。
・ 平成26年4月1日からは、「前年の所得」という部分を「保険料を納付することを要しないものとすべき月の属する年の前年の所得」に改め、保険料の徴収権の時効が成立していない過去2年分まで、訴求して免除等の対象とすることができるようになった。
・ 申請免除(全額免除)の規定による申請は、一定の事項を記載した申請書を機構に提出することにより行わなければならない。また、この申請書には、基礎年金番号通知書等や申請者等の前縁の所得状況が明らかな書類等を添えなければならない。一部免除、学生等の納付特例、納付猶予についても同様である。(国年則77条)
・ 国年法90条1項の規定による処分を受けた被保険者から当該処分の取消しの申請があったときは、厚生労働大臣は、当該申請があった日の属する月の前月以降の各月の保険料について、当該処分を取り消すことができる。なお、被保険者だけでなく、被保険者であった者も申請が可能である。(国年法90条3項)
■ 4分の3申請免除の政令で定める額は、扶養親族がないときは88万円とし、扶養親族等があるときは88万円に当該扶養親族等1人につき38万円(当該扶養親族等が所得税法に規定する同一生計配偶者(70歳以上のものに限る)又は老人扶養親族であるときは当該同一生計配偶者又は老人扶養親族につき48万円とし、当該扶養親族等が同法に規定する特定扶養親族であるときは、当該特定扶養親族1人につき63万円とする)を加算した額とする。(国年法90条の2第1項・国年令6条の8の2)
・ 前年の合計所得金額≦(扶養親族の数+1)×38万円+88万円
■ 半額申請免除の政令で定める額は、扶養親族等がないときは128万円とし、扶養親族等があるときは、128万円に当該扶養親族等1人につき38万円(当該扶養親族等が所得税法に規定する同一生計配偶者(70歳以上の者に限る)又は老人扶養親族等であるときは当該同一生計配偶者又は老人扶養親族1人につき48万円とし、当該扶養親族等が同法に規定する特定扶養親族であるときは当該特定扶養親族1人につき63万円とする)を加算した額とする。(国年法90条の2第2項・国年令6条の9)
・ 前年の合計所得金額≦(扶養親族の数+1)×38万円+128万円
■ 4分の3申請免除の政令で定める額は、扶養親族等がないときは168万円とし、扶養親族等があるときは、168万円に当該扶養親族1人につき38万円(当該扶養親族等が所得税法に規定する同一生計配偶者(70歳以上の者に限る)又は老人不要親族であるときは当該同一生計配偶者又は老人扶養親族1人につき48万円とし、当該扶養親族等が同法に規定する特定扶養親族であるときは当該特定扶養親族1人につき63万円とする)を加算した額とする。(国年法90条の2第3項・国年令6条の9の2)
・ 前年の合計所得金額≦(扶養親族の数+1)×38万円+168万円
■ 4分の3免除、半額免除、4分の1免除の規定により納付することを要しないものとされたその一部の額以外の残余の額に5円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数が生じたときは、これを10円に切り上げるものとする。(国年法90条の2第6項)
■ 以下のいずれかに該当する学生等である被保険者又は学生等であった被保険者等から申請があったときは、厚生労働大臣は、その指定する期間(学生等である期間又は学生等であった期間に限る)に係る保険料につき、すでに納付されたものを除き、これを納付することを要しないものとし、申請のあった日以後、当該保険料に係る期間を保険料全額免除期間(追納に係る期間を除く)に算入することができる。(国年法90条の3)
・ 当該保険料を納付することを要しないものとすべき月の属する年の前年の所得(1月から3月までの月分の保険料については、前々年の所得とする)が、その扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以下であるとき(所得基準は半額免除の基準と同じである。)
・ 全額申請免除(国民年金法90条1項)の条件に該当するとき
・ 保険料を納付することが著しく困難である場合として天災その他の厚生労働省令で定める事由があるとき
・ 保険料納付特例の対象となる学生及び生徒の範囲
・ 高校、短期大学、大学等の学生、生徒(夜間部、通信部及び定時制に在学する生徒である被保険者を含む)とされている。
・ 保険料納付特例期間の取り扱い
・ 保険料免除期間として位置づけられるため、障害基礎年金又は遺族基礎年金については、支給要件を満たせば、満額の年金が支給される。ただし、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されるが、年金額の計算については、追納されない限りその算定基礎とされない。(合算対象期間と同様の取り扱いとされる。)
・ 保険料免除規定との関係
・ 学生等である被保険者については、法定免除(国年法89条1項)の規定は適用されるが、全額免除(国年法90条1項)の規定及び一部免除(国年法90条の2)の規定は適用されない。
・ 学生等の保険料納付の特例に係る不該当の届出(国年則77条の9)
・ 学生等の保険料納付の特例の規定により保険料を納付することを要しないものとされた被保険者は、国年令6条の6に規定する生徒もしくは学生でなくなったとき(その原因が卒業であるときを除く)は、被保険者の氏名、生年月日及び住所並びに基礎年金番号を記載した届書に、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えて、これを機構に提出しなければならない。
■ 保険料の納付猶予
・ 若年者(30歳未満)の納付猶予
・ 平成17年4月から平成18年6月までの期間において、30歳に達する日の属する月の前月までの被保険者期間がある第1号被保険者等(第1号被保険者又は第1号被保険者であった者をいう)
・ 平成18年7月から令和12年6月までの期間において、30歳に達する日の属する月の前月までの被保険者期間がある第1号被保険者等
・ 50歳未満の納付猶予
・ 平成28年7月から令和12年6月までの期間において、50歳に達する月の是前月までの被保険者期間(30歳に達した日の属する月以後の期間に限る)がある第1号被保険者等
・ 上記のいずれかであって、次のいずれかに該当する者から申請があったときは、厚生労働大臣は、当該被保険者期間のうちその指定する期間(全額の申請免除又は一部の申請免除の規定の適用を受ける期間又は学生等である期間若しくは学生等であった期間を除く)に係る国民年金の保険料については、既に納付されたものを除き、これを納付することを要しないものとし、申請のあった日以後、当該保険料に係る期間を保険料全額免除期間(追納に係る期間を除く)に算入することができる。ただし、配偶者が次のいずれにも該当しないときは、この限りでない。(平成16年国年法附則19条1項・2項、平成26年国年法附則14条1項)
・ 当該保険料を納付することを要しないものとすべき月の属する年の前年の所得(1月から6月までの月の保険料については、前々年の所得とする)が、その者の所得税法に規定する同一生計配偶者及び扶養親族の有無及び数に応じて、政令で定める額以下であるとき(所得基準は、全額の申請免除と同じ)
・ 全額の申請免除(国年法90条1項)の条件に該当するとき
・ 国民年金の保険料を納付することが著しく困難である場合として天災その他の厚生労働省令で定める事由があるとき
■ 納付猶予制度は、措置期間や対象者の拡充が図られてきたため、複数の条文(平成16年国年法附則19条1項、2項、平成26年国年法附則14条)に規定されているが、結果的には、「令和12年6月まで」の間に「50歳未満」である者を対象とした措置となっている。
■ この保険料の納付猶予の所得基準は、「本人と配偶者」について判断され、「世帯主」が考慮の対象となっている申請免除や一部免除の規定とは異なっている。
■ 上記の規定によって保険料全額免除期間とされた期間については、学生等の保険料納付特例に係る期間とみなされる(平成16年国年法附則19条4項、平成26年国年法附則14条3項)。したがって、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されるが、年金額の計算については、追納されない限りその算定基礎とはされない。(合算対象期間と同様の取扱いとされる)
■ 申請免除、一部免除、学生等の保険料納付特例、納付猶予に係る基準の一つに「ほけんりょうを納付することが著しく困難である場合として天災その他の厚生労働省令で定める事由があるとき」という規定が設けられている。この「厚生労働省令で定める事由」とは、次のような場合をいう。(国年則77条の7)
・ 免除申請のあった日の属する年度又はその前年度における震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、被保険者、世帯主、配偶者又は被保険者、世帯主若しくは配偶者の属する世帯の他の世帯員の所有に係る住宅、家財その他の財産につき被害金額(保険金、損害賠償金等により補充された金額を除く)が、その価格の概ね2分の1以上である損害を受けたとき
・ 免除申請のあった日の属する年度又はその前年度において、失業により保険料を納付することが困難と認められたとき
・ 被保険者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律1条1項に規定する配偶者からの暴力を受けたとき。ただし、次に掲げる者が、それぞれ当該各号に該当するときに限る。
・ 被保険者及び世帯主(被保険者又は配偶者が世帯主である場合にあっては、被保険者)→被保険者の保険料を納付することが困難と認められること
・ 配偶者→当該配偶者からの暴力を行った者であること(DV加害者)
・ 第1号被保険者(妻)に対して配偶者(夫)からの暴力(DV)が行われるような状況下では、配偶者(夫)による保険料の納付が見込めず、配偶者(夫)の拠出能力を形式的に勘案することが望ましくない。そこで、配偶者からの暴力により配偶者と住居が異なる第1号被保険者(DV被害者)は、配偶者(DV加害者)の所得にかかわらず、本人の前年所得が一定以下であれば、保険料の申請免除(全額又は一部免除)の対象となる。
・ 上記に掲げる事由により、保険料を納付することが困難と認められるとき
■ 申請が必要となる免除制度について、所得規準を整理しておきます。
■ 所得規準(当該保険料を納付することを要しないものとすべき月の属する年の前年の所得)
・ 申請全額免除 
・ 扶養親族等がいないとき 35万+32万円=67万円
・ 扶養親族等があるとき (扶養親族の数+1)×35万円+32万円
・ 4分の3免除
・ 扶養親族等がいないとき 88万円
・ 扶養親族等があるとき (扶養親族の数+1)×38万円+88万円
・ 半額免除
・ 扶養親族等がいないとき 128万円
・ 扶養親族等があるとき (扶養親族の数+1)×38万円+128万円
・ 4分の1免除
・ 扶養親族等がいないとき 168万円
・ 扶養親族等があるとき (扶養親族の数+1)×38万円+168万円
■ なお、納付猶予は「申請全額免除」、学生納付特例は「半額免除」の基準を適用
■ 当該扶養親族等が、所得税法に規定する同一生計配偶者(70歳以上の者に限る)又は老人扶養親族であるときは当該同一生計配偶者又は老人扶養親族一人につき48万円、当該扶養親族等が所得税法に規定する特定扶養親族であるときは当該特定扶養親族一人につき63万円
■ 誰の収入が問われるか
・ 申請全額免除・一部免除
・ 本人
・ 世帯主
・ 配偶者
・ 学生納付特例
・ 本人のみ
・ 納付猶予
・ 本人
・ 配偶者
・ 世帯主なし
■ 被保険者又は保険者であった者(老齢基礎年金の受給権者を除く)は、厚生労働大臣の承認を受け、法定免除、全額申請免除又は学生等の保険料納付特例、納付猶予の規定により納付することを要しないものとされた保険料及び一部申請免除の規定によりその一定につき納付することを要しないものとされた保険料(承認の日の属する月前10年以内の期間に係るものに限る)の全部又は一部につき追納をすることができる。ただし、一部免除の規定によりその一部につき納付することを要しないものとされた保険料については、納付しなければならない一部について納付した場合でなければ、追納することができない。(国年法94条1項)
■ 繰上げ支給の老齢基礎年金受給者も追納できない。
■ 保険料を追納できる期間は、追納の承認を受けた月前10年以内の期間とされるが、その一部について追納するときは、以下の保険料から順次追納が行われる。
・ 学生等の保険料納付特例の規定により免除を受けた保険料
・ 法定免除、全額申請免除、一部申請免除の規定により免除を受けた保険料については、先に経過した月分の保険料
・ ただし、学生の保険料納付特例により納付することを要しないものとされた保険料より前に納付義務が生じ、法定免除若しくは申請免除の規定によりその全額につき、又は一部申請免除の規定によりその一部につき納付することを要しないものとされた保険料があるときは、当該保険料について、先に経過した月分の保険料から追納をすることができる。
・ 例
・ 追納の承認を受けた月前10年間において以下の順番で免除を受けた場合は、②→①→③→④が原則であるが、①→②→③→④の順で行うこともできる。なお、納付猶予の適用を受けた期間については、学生等納付特例の期間と同様の取扱いとされている。
・ ①全額申請免除(10-8年前)
・ ②学生等の保険料納付特例(8-6年前)
・ ③半額申請免除(6-4年前)
・ ④法定免除(4-2年前)
・ ⑤保険料納付済期間(2-0年前)
■ 追納すべき額は、当該追納に係る期間の各月の保険料の額に政令で定める額を加算した額とする。(国年法94条3項)
■ 保険料の免除を受けた月の属する年度の翌々年度以内に追納する場合には、政令で定める額は加算されない。ただし、免除月が3月であるときは、翌々年の4月に追納する場合(例えば、免除月が平成29年3月であって、平成31年4月に追納した場合)についても加算されないこととなっている。保険料を追納する場合に納付すべき額は、厚生労働大臣の告示する者とされている。(国年令10条)
■ 保険料が追納されたときは、追納が行われた日に、追納に係る月の保険料が納付されたものとみなす。(国年法94条4項)
■ 追納に係る期間は、保険料納付済期間として取り扱われる。
■ 保険料の追納の承認を受けようとする第1号被保険者又は第1号被保険者であった者は、国民年金保険料追納申込書を機構に提出しなければならない。(国年則11条)
■ 国民年金の保険料については、平成14年4月から、国に直接納付することになった。この変更により、厚生労働大臣(旧社会保険庁長官)は、被保険者に対して毎年度、保険料の額、納期限等の通知をすることとなった。保険料をいつまでに納付すべきか、保険料の額や納期限の通知及び納付はどのように行われているかについて、規定している。
■ 毎月の保険料は、翌月末日までに納付しなければならない。(国年法91条)
■ 厚生労働大臣は、毎年度、被保険者に対し、各年度の各月に係る保険料について、保険料の額、納期限その他厚生労働省令で定める事項を通知する。(国年法92条)
■ 厚生労働大臣は、被保険者から、預金又は貯金の払出しとその払い出した金銭による保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うこと(国年法附則5条2項において「口座振替納付」)を希望する旨の申出があった場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。(国年法92条の2)
■ 被保険者は、厚生労働大臣に対し、被保険者の保険料を立て替えて納付する事務を適正かつ確実に実施することができると認められる者であって、政令で定める要件に該当する者として厚生労働大臣が指定するもの(指定代理納付者)から付与される番号、記号その他の符号を通知することにより、当該指定代理納付者をして当該被保険者の保険料を立て替えて納付することを希望する旨の申出をすることができる。
■ 厚生労働大臣は、上記の申出を受けたときは、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。(国年法92条の2の2)
■ この規定は、国民年金保険料について、クレジットカードによる納付を可能とするものである。
■ 国民年金印紙の検認事務が廃止されたことに伴い、国において保険料の徴収を行うことになったため、国庫金を扱えない農協等は保険料を納付できなくなってしまう。こうした問題を回避するため、被保険者が一定の要件を満たすものに保険料の納付を委託できる制度が設けられた。
■ 次に掲げる者は、被保険者(以下1に掲げる者にあっては国民年金基金の加入員に、3に掲げるものにあっては保険料を滞納している者であって市町村から国民健康保険法9条10項の規定により特別の有効期間が定められた国民健康保険の被保険者証の交付を受け、又は受けようとしているものに限る)の委託を受けて、保険料の納付に関する事務(納付事務)を行うことができる。(国年法92条の3第1項)
・ 国民年金基金又は国民年金基金連合会
・ 納付事務を適正かつ確実に実施することができると認められ、かつ、政令で定める要件に該当する者として厚生労働大臣が指定するもの
・ 厚生労働大臣に対し、納付義務を行う旨の申出をした市町村
■ 厚生労働大臣は、上記の指定をしたときは当該指定を受けた者の名称及び住所並びに事務所の所在地、3の規定による申出を受けたときはその旨を公示しなければならない。(国年法92条の3第3項)
■ 指定を受けた者は、その名称及び住所並びに事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならず、厚生労働大臣は、当該届出があったときは、届出に係る事項を公示しなければならない。(国年法93条の3第4項・5項)
■ 納付受託者(国年法92項の3第1項の委託に基づき保険料の納付事務を行うもの)は、国民年金保険料納付受託記録簿を備付け、これに納付事務に関する事項を記載し、及びこれをその完結の日から3年間保存しなければならない。(国年法92条の5第1項、国年則72条の7)
■ 厚生年金大臣は、指定を受けた者が次のいずれかに該当するときは、その指定を取り消すことができる。(国年法92条の6第1項)
・ 指定の要件に該当しなくなったとき
・ 保険料の交付に関する報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき
・ 帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき
・ 立入もしくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述せず、若しくは虚偽の陳述をしたとき
■ 前納できる保険料
・ 本来の保険料
・ 付加保険料
・ 保険料の一部の申請免除の規定により納付することを要しないこととされた一部の保険料以外の部分の保険料
■ 前納できる期間
・ 保険料の前納は、厚生労働大臣の定める期間につき、原則として6月又は年を単位として、行うものとする。ただし、厚生労働大臣が定める期間のすべての保険料(既に前納されたものを除く)をまとめて前納する場合においては、6月又は年を単位として行うことを要しない。(国年令7条)
・ 被保険者は将来の一定期間の保険料をまとめて前納することができる(最大で2年間)
■ 前納すべき額は、当該期間の各月の保険料の額から政令で定める額を控除した額とする。(国年法93条2項)
■ 前納に係る期間の各月の保険料の額を年4分の利率による複利現価法によって計算した額を控除した額とする。(国年令8条)
■ 保険料納付済期間又は保険料一部免除期間の算定(国年法93条3項)
・ 前納された保険料について保険料納付済期間又は保険料4分の3免除期間、保険料半額免除期間若しくは保険料4分の1免除期間を計算する場合においては、前納に係る期間の各月が経過した際に、それぞれその月の保険料が納付されたものとみなす。
■ 保険料の額が引き上げられた場合(国年令8条の2)
・ 保険料が前納された後、前納に係る期間の経過前において保険料の額の引き上げが行われることとなった場合においては、前納された保険料のうち当該保険料の額の引き上げが行われることとなった後の期間に係るものは、当該期間の各月につき納付すべきこととなる保険料に、先に到来する月の分から順次充当するものとされている。
■ 前納保険料の還付(国年令9条1項)
・ 保険料を前納した後、前納に係る期間の経過前において、被保険者(以下に掲げる場合にあっては、第1号被保険者に限る)が次の各号のいずれかに該当するに至った場合は、その者(死亡するに至った場合においては、その者の相続人)の請求に基づき、前納した保険料のうちそれぞれ当該各号に定める期間に係るものを還付する。
・ 次のいずれかに該当するに至った場合(→未経過期間)
・ 被保険者期間の資格を喪失した場合
・ 第2号被保険者又は第3号被保険者となった場合
・ 次のいずれかに該当するに至った場合(→納付することをようしないものとされた保険料に係る期間)
・ 国年法88条の2の規定(産前産後期間の保険料の免除の規定)により前納に係る期間の保険料につきその全部又は一部を納付することを要しないものとされた場合
・ 国年法89条1項、90条1項、90条の2第1項から3項まで若しくは90条の3第1項、平成16年国年法附則19条2項又は平成26年国年法附則14条1項の規定(各種の保険料の免除の規定)により前納に係る期間の保険料につき全部または一部の納付することを要しないものとされた場合
■ なお、前納した保険料の還付を請求しようとする者は、国民年金保険料還付請求書に、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えて、これを厚生労働大臣に提出しなければならない(国年則80条1項)
■ 国民年金の第1号被保険者又は任意加入被保険者が保険料を前納したが、前納期間の途中で被保険者資格を喪失した後、引き続き第1号被保険者又は任意加入被保険者の資格を取得した場合について、当該被保険者が希望した場合には、未経過期間に係る前納保険料について還付の請求を求めず、引き続き取得した被保険者資格として保険料納付済期間に算入する。(平成22年年年発1129第1号)
■ 第1号被保険者が、保険料を前納した後、前納に係る期間の経過前において、産前産後期間の保険料の免除の規定により前納に係る期間の保険料につきその全部又は一部を納付することを要しないものとされた場合においても、その者の請求に基づき、前納した保険料のうち産前産後期間の保険料の免除の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係る期間に係るものが還付されることに注意。
■ 保険料その他国民年金法(国民年金基金を除く)の規定による徴収金は、国民年金法に規定のない部分については、国税徴収の例によって徴収されることを規定している。
■ 死亡した被保険者に滞納保険料がある場合にあっては、国年法95条の規定により国税徴収法27条(納付義務の承認)が適用され、相続人に納付義務が発生する。(昭和35年国発82号)
■ 国民年金の保険料に係る還付金又は過誤納金がある場合において、還付を受けるべき者につき納付すべきとされている保険料があるときは、還付に代えて、還付金等をその保険料に充当する。(昭和40年庁文発4542号)
■ 政府は、国民年金基金又は国民年金基金連合会が解散したときは、その解散した日において当該国民年金基金又は刻印年金基金連合会が年金の支給に関する義務を負っている者に係る政令の定めるところにより算出した責任準備金に相当する額を当該解散した国民年金基金又は国民年金基金連合会から徴収する。ただし、国民年金法137条の19第1項の規定により国民年金基金又は国民年金基金連合会が当該解散した国民年金基金から徴収すべきときは、この限りでない。
■ 国民年金においては、保険料の免除対象とはならないが所得の低い者に対して、強制的に督促することは現実ではないという考慮から、裁量的に督促することとした。
■ 保険料その他この法律の規定により徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促することができる。
■ 上記の規定によって督促をしようとするときは、厚生労働大臣は、納付義務者に対して、督促状を発する。
■ 上記の督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければならない。
■ 厚生労働大臣は、上記の規定による督促をうけた者がその指定の期限までに保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないときは、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は滞納者の居住地若しくはその者の財産所有地の市町村に対して、その処分を請求することができる。
■ 市町村は、処分の請求を受けたときは、市町村税の例によってこれを処分することができる。この場合において、厚生労働大臣は、徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。(国年法96条)
■ 督促をしたときは、厚生労働大臣は、徴収金額に、納期限の翌日から徴収金完納又は差押えの日の前日までの期間の日数に応じ、年14.6パーセント(当該督促が保険料に係るものであるときは、当該納期限の翌日から3月を経過する日までの期間については、年7.3パーセント)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。
■ 延滞金の割合の特例(国年法附則9条の2の5)
・ 延滞金の年14.6%の割合及び7.3%の割合は、当分の間、国年法97条1項の規定にかかわらず、各年の延滞税特例基準割合(租税特別措置法94条1項に規定する延滞税特例基準割合)が年7.3%の割合に満たない場合には、その年中においては、年14.6%の割合にあっては当該延滞税特例基準割合に年7.3%の割合を加算した割合とし、年7.3%の割合にあっては、当該延滞税特例基準割合に年1%の割合を加算した割合(当該加算した割合が年7.3%の割合を超える場合には、年7.3%の割合)とする。
■ 延滞金を徴収しない場合(国年法97条1項但書)
・ 徴収金額が500円未満であるとき、又は滞納につきやむを得ない事情があると認められるとき
・ 督促状に指定した期限までに徴収金を完納したとき、又は延滞金額が50円未満であるとき
■ なお、徴収金額の一部につき納付があったときは、その納付の日以後の期間に係る延滞金の計算の基礎となる徴収金は、その納付のあった徴収金を控除した金額による。(国年法97条2項)
■ 延滞金の端数処理(国年法97条3項・5項)
・ 延滞金を計算するにあたり、徴収金額に500円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる
・ 延滞金の金額に50円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる。
■ 保険料その他国民年金法の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。(国年法98条)
■ 事務処理誤り等の事由により国民年金保険料の納付の機会を逸失した場合等について、特例保険料の納付等を可能とする制度が、平成28年4月1日から施行された。
■ 被保険者又は被保険者であった者は、次のいずれかに該当するときは、厚生労働大臣にその旨の申出をすることができる。(国年法附則9条の4の7)
・ 特定事由(この法律その他の政令で定める法令の規定に基づいて行われるべき事務の処理が行われなかったこと又はその城が著しく不当であることをいう)により特定手続(国年法87条の2第1項の申出その他の政令で定める手続)をすることができなくなったとき
・ 特定事由により特定手続が遅延したとき
■ 老齢基礎年金の受給権者が上記の規定による承認を受けた場合において、上記の規定により全額免除対象期間(国年法90条の3第1項の規定により納付することを要しないものとされた保険料にかかるものを除く)が特定全額免除期間とみなされたときは、上記の申出のあった日の属する月の翌月から、年金額を改定する。
■ 被保険者又は被保険者であった問は、次のいずれかに該当する期間(付加保険料に係る保険料納付済期間を除く。「付加対象期間」)を有するときは、厚生労働大臣にその旨の申出をすることができる。(国年法附則9条の4の10)
・ 特定事由により付加保険料を納付することができなくなったと認められる期間
・ 国年法附則9条の4の7第5項の規定により特定付加納付期間とみなされた期間
■ 特定事由に係る申出をしようとする被保険者又は被保険者であった者は、申出書(国民年金特定事由等該当申出書)を日本年金機構に提出しなければならない。(国年令14条の14、平成28年年管管発1005第1号ほか)
■ 特例保険料
・ 特定事由(事務処理誤り等の事由)により保険料を納付することができなくなった場合等について、厚生労働大臣に申出をし、その承認を受け、当該承認に係る対象期間の各月につき納付することができる保険料
■ 特例付加保険料
・ 特定事由(事務処理誤りの事由)により付加保険料を納付することができなくなった場合について、厚生労働大臣に申出をし、その承認を受け、当該承認に係る対象期間の各月につき納付することができる付加保険料
[国年法] 国民年金法・重要箇所・Chapter12
不服申立て・雑則・罰則
■ 不服申立て制度は、一般の裁判手続と違い、簡易な手続きにより迅速に処理するものであり、これにより年金制度における権利の救済を図ることを目的とした制度である。
■ 被保険者の資格に関する処分、給付に関する処分(共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く)又は保険料その他国民年金法の規定による徴収金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保障審査会に対して再審査請求をすることができる。ただし、国民年金法14条の4第1項又は第2項の規定(訂正請求に対する措置)による決定については、この限りでない。
■ 審査請求をした日から2月以内に決定がないときは、新請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。(国年法101条1項から3項)
■ 被保険者の資格に関する処分
・ 被保険者の任意脱退の承認又はその却下
・ 第3号被保険者の資格に関する認定等の処分
■ 給付に関する処分
・ 裁定、改定、支給の停止、失権、支払の差し止め等の処分
■ 保険料その他国民年金法の規定による徴収金に関する処分
・ 保険料免除申請の承認
・ 保険料免除申請の却下
・ 還付請求の却下
■ 脱退一時金に関する処分に不服がある者(国年法附則9条の3の2第5項)は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。(一審制)
■ 共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分(国年法101条6項、7項)に不服がある者は、当該共済組合等に係る共済各法の定めるところにより、当該共済各法に定める審査機関に審査請求をすることができる。この処分が確定したときは、その処分についての不服に当該処分に基づく障害基礎年金に関する処分についての不服の理由とすることができない。
■ 国民年金基金、国民年金基金連合会が行った処分について不服がある場合にも、同様に不服申立ての手続(審査請求→再審査請求)をすることになる。
■ 審査請求、再審査請求とともに、文書又は口頭で行うことができる。
■ 保険料その他徴収金に関する処分に関して二審制(審査請求、再審査請求)を執るのは国民年金法のみである。
■ 被保険者の資格に関する処分が確定したとき(国年法101条4項)は、その処分についての不服を当該処分に基づく給付に関する処分の不服の理由とすることができない。
■ 審査請求及び再審査請求については、行政不服審査法の第2章(審査請求(22条を除く))及び第4章(再審査請求)の規定を適用しない。(国年法101条5項)
■ 平成28年4月1日から、①不服申立てをすることができる期間が60日から3か月に延長する、②不服申立ての手続を審査請求に一元化する(ただし、審査請求を経た後の救済手続として意義がある場合(社会保険、労災保険、雇用保険など)には、例外的に、再審査請求ができることとする)等の行政不服審査法が改正された。
■ また、不服申立前置(不服申立てに対する裁定を経た後でなければ出訴ができない)について、国民の裁判を受ける権利を不当に制限しているとの批判もあり、裁判所の負担等も勘案しつつ、行政不服審査制度見直しの一環として見直しが行われた。(大量の不服申立てがあり、直ちに出訴されると裁判所の負担が大きくなると考えられる場合)
■ 国民年金法101条1項に規定する処分(被保険者の資格に関する処分又は給付に関する処分(共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く)に限る)の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する社会保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができない。(国年法101条2項)
■ 訂正決定の不服申立てについては、社会保険審査官及び社会保険審査会に対して不服申立てをするのではなく、行政不服審査法に基づいて、厚生労働大臣に対して不服申立てをすることができる。なお、この場合であっても、不服申立てをせずに、行政事件訴訟法の抗告訴訟を提起することもできる。
■ 審査請求
・ 処分があったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときは、することができない。(社会保険審査官及び社会保険審査会法4条1項)
■ 脱退一時金の審査請求(社会保険審査会へ直接)
・ 処分があったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときは、することができない。(社会保険審査官及び社会保険審査会法32条2項)
■ 再審査請求
・ 決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2月を経過したときは、することができない(社会保険審査官及び社会保険審査会法32条1項)
■ 被保険者の資格に関する処分に対する審査請求は、原処分があった日の翌日から起算して2年を経過したときは、することができない。(社会保険審査官及び社会保険審査会法4条2項)
■ 年金給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過したとき、当該権利に基づく支払期月ごとに支払うものとされる年金給付の支給を受ける権利は、当該日の属する月の翌月以後に到来する当該年金給付の支給に係る国民年金法18条3項本文に規定する支払期月の翌月の初日から5年を経過したときは、時効によって、消滅する。
■ 上記の時効は、当該年金給付がその全額につき支給が停止されている間は、進行しない。
■ 上記に規定する年金給付を受ける権利又は当該権利に基づく支払期月毎にしはらうものとされる年金給付の支給を受ける権利については、会計法31条の規定を適用しない。
■ 保険料その他国民年金法の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び死亡一時金を受ける権利は、これらを行使することができるときから2年を経過したときは、時効により消滅する。(国年法102条1項から3項)
■ また、保険料その他この法律の規定による徴収金についての督促は、時効の更新の効力を有する(国年法102条5項)
■ 時効5年
・ 年金を受ける権利
■ 時効2年
・ 死亡一時金を受ける権利
・ 保険料その他徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利
■ 失踪宣告を受けた者に係る消滅時効の起算日については、失踪宣告の審判の確定日の翌日から2年以内とする
・ 失踪 →(7年)→ 死亡とみなされた日→失踪宣告の申立て→失踪宣告の審判の確定日(起算日)→2年間(請求可能期間)
■ 脱退一時金の規定にある「2年」は、時効ではなく「除斥期間」である。
■ 厚生労働大臣は、施行日(平成19年7月6日)において厚生年金保険法による保険給付を受ける権利を有する者又は施行日前において当該権利を有していた者について、原簿に記録した事項の訂正がなされたうえで当該保険給付を受ける権利に係る裁定(裁定の訂正を含む)が行われた場合においては、その裁定による当該記録した事項の訂正に係る保険給付を受ける権利に基づき支払期月ごとに又は一時金として支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利について当該裁定の日までに消滅時効が完成した場合においても、当該権利に基づく保険給付を支払うものとする。(年金時効特例法1条)
■ 遺族基礎年金の支給停止の規定にある死亡日から6年間の計算にあたっては、民法140条本文の規定に従い期間計算の初日たる死亡した日は算入されない。(昭和36年福発167号)
■ 無料証明事項は、戸籍記載事項証明のみに係るものであって、戸籍の謄本及び正本並びに住民票の謄本等は該当しない。(昭和34年福発30号)
■ 厚生労働大臣は、ひつようがあると認めるときは、被保険者の資格もしくは保険料に関する処分に関し、被保険者に対し、出産予定日に関する書類、被保険者若しくは被保険者の配偶者もしくは世帯主若しくはこれらの者であった者の資産若しくは収入の状況に関する書類その他の物件の提出を命じ、又は当該処分をして被保険者に質問させることができる。質問を行う当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。(国年法106条)
■ 厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、受給権者に対して、その者の身分関係、障害の状態その他受給権の消滅、年金額の改定若しくは支給の停止に係る事項に関する書類その他の物件を提出すべきことを命じ、又は当該職員をしてこれらの時効に関し受給権者に質問させることができる。(国年法107条1項)
■ 厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、障害基礎年金の受給権者若しくは障害等級に該当する障害の状態にあることによりその額が加算されている子又は障害等級に該当する障害の状態にあることにより遺族基礎年金の受給権を有し、若しくは遺族基礎年金が支給され、若しくはその額が加算されている子に対して、その指定する医師若しくは歯科医師の診断を受けるべきことを命じ、又は当該職員をしてこれらの者の障害の状態を診断させることができる。(国年法107条の2)
■ 厚生労働大臣は、被保険者の資格又は保険料に関し必要があると認めるときは、被保険者若しくは被保険者であった者(被保険者等)、国民年金基金の加入員若しくは加入員であった者、農業者年金の被保険者若しくは被保険者であった者、国家公務員共済組合法若しくは地方公務員等共済組合法の短期給付に関する規定の適用を受ける組合員若しくは組合員であった者、私立学校教職員共済会の短期給付に関する規定の適用を受ける加入員若しくは加入員であった者又は健康保険若しくは国民健康保険の被保険者若しくは被保険者であった者の氏名及び住所、個人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律2条5項に規定する個人番号)、資格の取得及び喪失の年月日、保険料若しくは掛金の納付状況その他の事項につき、官公署、国年法109条2項に規定する国民年金事務組合、国民年金基金、国民年金基金連合会、独立行政法人農業者年金基金、協同組合等、健康保険組合若しくは国民健康保険組合に対し、必要な書類の閲覧若しくは資料の提出を求め、又は銀行、信託会社その他の機関若しくは被保険者等の配偶者若しくは世帯主その他の関係人に報告を求めることができる。
■ 厚生労働大臣は、被保険者の資格又は保険料に関し必要があると認めるときは、事業主に対し、その使用する者に対するこの法律の規定の周知その他の必要な協力を求めることができる。(国年法108条)
■ 厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、実施機関たる共済組合等を所管する大臣に対し、その大臣の所管する実施機関たる共済組合等にかかる国年法94条の5第1項に規定する報告に関し監督上必要な命令を発し、又は当該職員に当該実施機関たる共済組合等の業務の状況を監査させることを求めることができる。実施機関たる共済組合等は、厚生労働大臣に対し、その被保険者が第2号被保険者でなくなったことに関して必要な情報の提供を行うものとする。(国年法108条の2、108条の2の2)
■ 厚生労働大臣は、被保険者の資格に関し必要があるときは、共済組合、日本私立学校振興・共済事業団その他厚生年金保険法に基づく老齢給付等に係る制度の管掌機関に対し、必要な資料の提供を求めることができる。(国年法附則8条)
■ 厚生労働大臣は、国年法1条の目的を達成するため、被保険者若しくは被保険者であった者又は受給権者に係る保険料の納付に関する実態その他の厚生労働省令で定める事項に関し必要な統計調査を行うものとする。
■ 厚生労働大臣は、上記に規定する統計調査に関し必要があると認めるときは、官公署に対し、必要な情報の提供を求めることができる。
■ 上記の規定により情報の提供を求めるにあたっては、被調査者を識別することができない方法による情報の提供を求めるものとする。(国年法108条の3)
■ 厚生労働大臣及び日本年金機構は、国年法14条に規定する政府管掌年金事業の運営に関する事務又は当該事業に関連する事務の遂行のため必要がある場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る基礎年金番号を告知することを求めてはならない。(国年法108条の4)
■ 被保険者の適用に関する事務を円滑に処理するため、同種の事業又は業務に従事する被保険者を構成員とする団体として国民年金事務組合を設けることができる旨を規定している。
■ 国民年金事務組合の認可を受けようとする同種の事業又は業務に従事する被保険者を構成員とする団体(団体)は、次の要件を具備している者であること。
・ 被保険者資格の取得又は喪失の届出、保険料の納付等(国民年金事務)を当該団体の構成員である被保険者に代わって行うにつき組織等が確立され、事務組合の運営が将来にわたって、健全に持続される見通しがあると認められるものであること
・ 国民年金印紙の売り捌き業務を委託することが適当であると認められるものであること
・ 当該団体の事務所の所在地の都道府県に住所を有する被保険者をもって構成されていることを原則とするものであること
・ 当該団体が東京都又は指定都市を有する道府県に所在し、かつ、当該事務を委託する被保険者を少なくとも2000人以上有するものであること
・ 国民年金事業の推進に効果的であると認められるものであること
■ 被保険者の手続上の負担を軽減し、全額免除等の申請の機会を拡充する観点から、厚生労働大臣が指定する者が一定の被保険者からの申請を受託できる制度が創設された(平成27年7月1日施行)。年金保険料の納付率の向上のための方策の一つである。
■ 全額免除要件該当被保険者等が指定全額免除申請事務取扱者に全額免除申請の委託をしたときは、年金給付の支給要件及び額に関する規定の適用については、当該委託をした日に、全額免除申請があったものとみなす。これは、後述の学生等被保険者が学生納付特例事務法人に学生納付特例申請の委託をした場合と同様の取扱いである。(国年法109条の2)
■ 指定全額免除申請事務取扱者は、全額免除申請に係る事務のほか、納付猶予要件該当被保険者等の委託を受けて、納付猶予申請を行うことができる。(平成16年国年法附則19条の2第1項)
■ 国及び地方公共団体並びに国立大学法人法に規定する国立大学法人、地方独立行政法人法に規定する公立大学法人及び私立学校法に規定する学校法人その他政令で定める法人であって、厚生労働大臣がこれらの法人からの申請に基づき、国民年金法90条の3第1項の申請(学生納付特例申請)に関する事務を適正かつ確実に実施することができると認められるものとして指定するもの(学生納付特例事務法人)は、その設置する学校教育法に規定する大学その他の政令で定める教育施設において当該教育施設の学生等である被保険者(学生等被保険者)の委託を受けて、学生等被保険者に係る学生納付特例申請をすることができる。
■ 学生等被保険者が学生納付特例事務法人に学生納付特例申請の委託をしたときは、国民根人法90条の3第1項の規定及び同条2項において準用する90条2項の規定の適用(年金給付の支給要件及び額に関する規定の適用)については、当該委託した日に、学生納付特例申請があったものとみなす。(国年法109条の2の2)
■ 国、地方公共団体並びに厚生労働大臣の指定を受けた学校法人等は、その措置する大学等の学生等である被保険者に委託を受けて、当該被保険者に係る学生納付特例申請に関する事務を行うことができる。
■ 学生等から委託を受けた大学等(学生納付特例事務法人)が厚生労働大臣に申請するまでの間に生じた事故等によって当該学生が障害基礎年金の受給要件を満たさなくなる等の不利益を生じることのないように、平成26年10月1日からは、当該学生が大学等に申請を委託した日に、厚生労働大臣に申請があったものとみなすこととされた。
■ 同種の事業又は業務に従事する被保険者を構成員とする団体その他これに類する団体で政令で定めるものであって、厚生労働大臣がこれらの団体からの申請に基づき、次の業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものとして指定するもの(保険料納付確認団体)は、次の業務を行うことができる。
■ 保険料納付確認団体は、当該団体の構成員その他これに類する者である被保険者からの委託により、当該被保険者に係る保険料が納期限までに納付されていない事実(保険料滞納事実)の有無について確認し、その結果当該被保険者に通知する業務を行うことができる。
■ 厚生労働大臣は、保険料納付確認団体の求めに応じ、保険料納付確認団体が上記の業務を適正に行うために必要な限度において、保険料滞納事実に関する情報を提供することができる。
■ 厚生労働大臣は、保険料納付確認団体がその行うべき業務の処理を怠り、又はその処理が著しく不当であると認めるときは、保険料納付確認団体に対し、その改善に必要な措置を執るべきことを命ずることができる。
■ 厚生労働大臣は、保険料納付確認団体が上記の規定による命令に違反したときは、その指定を取り消すことができる。(国年法109条の3)
■ 厚生労働大臣の指定を受けた同種の事業等に従事する被保険者を構成員とする団体等は、構成員等からの委託により、保険料が納期限までの納付に関して確認し、その結果を通知することができることとした。
■ 偽りその他不正の手段により給付を受けた者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。ただし、刑法に正条があるときは刑法による。(国年法111条)
■ 国年法108条の4において読み替えて準用する住民基本台帳法の規定による命令に違反した場合には、当該違法行為をした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(国年法111条の2)
■ 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して国年法111条の2の違法行為をしたときは、その行為者の他、その法人又は人に対し、同様の罰金刑に処する(国年法113条の3)
■ 解散した国民年金基金又は国民年金基金連合会が、正当な理由がなくて、国年法95条の2の規定(解散に伴う責任準備金)による徴収金を督促状に指定する期限までに納付しないときは、その代表者、代理人又は使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。また、その国民年金基金又は国民年金基金連合会に対しても同様の罰金刑を科する。(国年法111条の3)
■ 次のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。(国年法112条)
・ 国年法12条1項又は5項の規定(資格の取得及び喪失等の届出)に違反して虚偽の届出をした被保険者
・ 国年法12条2項の規定(世帯主による届出)により届出をする場合に虚偽の届出をした世帯主
・ 国年法106条1項の規定(被保険者に関する調査)により資産又は収入の状況に関する書類その他の物件の提出を命ぜられてこれに従わず若しくは虚偽の書類その他の物件の提出をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をした被保険者
■ 国年法12条1項又は5項の規定(資格の取得及び喪失等の届出)に違反して届出をしなかった被保険者は、30万円以下の罰金に処する。ただし、世帯主から届出がなされたときは、この限りでない。(国年法113条)
■ 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、30万円以下の罰金に処する(国年法113条の2、113条の3)
・ 国年法95条(徴収)の規定によりその例によるものとされる国税徴収法141条の規定による徴収職員の質問に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をしたとき
・ 国年法95条(徴収)の規定によりその例によるものとされる国税徴収法141条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は当該検査に関し偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類を提示したとき
・ 国年法108条の4(基礎年金番号の利用制限等)において読み替えて準用する住民基本台帳法の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき
・ 国年法109条の2第7項(指定全額免除申請事務取扱者(その者が法人である場合にあっては、その役員)若しくはその職員又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく全額免除申請の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない)の規定に違反したとき
・ 国年法109条の3第6項(保険料確認団体の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由なく、業務で知り得た秘密を漏らしてはならない)の規定に違反したとき
・ 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して上記1,2,3の違反行為をしたときはその、行為者のほか、その法人又は人
■ 20万円以下の過料(国年法113条の4)
・ 機構の役員は、次のいずれかに該当する場合には、20万円以下の過料に処する
・ 国年法109条の6第1項、2項の規定(機構が行う滞納処分等の認可を受けること及徴収職員の任命等)、109条の7第1項(滞納処分等実施規程の認可を受けること)、109条の8第1項(立入検査等に係る認可を受けること)、109条の11第2項(収納を行う機構の職員の任命)の規定による厚生労働大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったとき
・ 国年法109条の7第3項の規定(滞納処分等実施規程の変更命令)による命令に違反したとき
■ 10万円以下の過料(国年法114条)
・ 次のいずれかに該当する者は、10万円以下の過料に処する。
・ 国年法105条1項の規定(届出等)に違反して届出をしなかった被保険者。ただし、同条2項において準用する国年法12条2項の規定(世帯主による届出)により世帯主から届出がなされたときを除く
・ 国年法105条1項の規定(届出等)に違反して虚偽の届出をした被保険者
・ 国年法105条2項において準用する国年法12条2項の規定(世帯主による届出)により届出をする場合に虚偽の届出をした世帯主
・ 国年法105条4項本文の規定(届出等)に違反して届出をしなかった戸籍法の規定による死亡の届出義務者
[国年法] 国民年金法・重要箇所・Chapter13
届出・権限の委任等
■ 被保険者(第3号被保険者を除く)は、厚生労働省令で定めるところにより、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を市町村長へ届け出なければならない。
■ 被保険者の属する世帯の世帯主は、被保険者に代わって、上記の届出をすることができる。
■ 住民基本台帳法の規定による届出があったとき(当該届出に係る書面に同等の規定による付記がされたときに限る)は、その届出と同一の事由に基づく上記の規定による届出がされたものとみなす。
■ 市町村長は、上記の規定による届出を受理したとき(氏名及び住所の変更に関する事項の届出であって厚生労働省令で定めるものを受理したときを除く)は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣にこれを報告しなければならない。(国年法12条1項から4項)
■ 国年法12条4項の規定による市町村長による報告は、所定の事項を記載して書類を、当該届出を受理した日から14日以内に機構に送付することにより行わなければならない。(光ディスク等による送付も可)
■ 第2号被保険者については、厚生年金保険法に届出について定められているため、国民年金法による届出は不要である。
■ 第3号被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。ただし、氏名及び住所の変更に関する事項であって厚生労働省令で定めるものについては、この限りでない。
■ 上記の届出は、厚生労働省令で定める場合を除き、第1号厚生年金被保険者である第2号被保険者の被扶養配偶者である第3号被保険者にあっては、その配偶者である第2号被保険者を使用する事業主を経由して行うものとし、第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者である第2号被保険者の被扶養配偶者である第3号被保険者にあっては、その配偶者である第2号被保険者を組合員又は加入者とする国家公務員共済組合、地方公務員共済組合又は日本私立学校復興・共済事業団を経由して行うものとする。
■ 上記に規定する第2号被保険者を使用する事業主とは、第1号厚生年金被保険者である第2号被保険者を使用する事業所の事業主をいう。108条3項において同じ。
■ 上記の規定する第2号被保険者を使用する事業主は、その経由に係る事務の一部を当該事業主が設立する健康保険組合に委託することができる。
■ 上記の規定により、上記の届出が第2号被保険者を使用する事業主又は国家公務員共済組合、地方公務員共済組合もしくは日本私立学校復興。共済事業団に受理されたときは、その受理されたときに厚生労働大臣に届出があったものとみなす。(国年法12条5項から9項)
■ 第3号被保険者に関する届出を受理した第2号被保険者を使用する事業主、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、日本私立学校復興・共済事業団又は健康保険組合は、届書及び当該届書に添えられた書類を、速やかに、厚生労働大臣に提出しなければならない。この場合において、事業主等は、受理した届書(氏名の変更に係る届書を除く)に添えられた基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類によって当該届書の記載内容を確認し、かつ、返付することをもって、この規定にかかわらず、当該基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類の提出に代えることができる(光ディスク等による送付も可)
■ 第3号被保険者である被扶養配偶者の配偶者である第2号被保険者を使用する事業主は、第3号被保険者の届出の経由に係る事務の一部を当該事業主が設立する健康保険組合に委託することができる。(国年則9条2項・4項)
■ 厚生年金保険の被保険者は、その制度で届出・手続を行うことになっており、国民年金法に基づいて改めて第2号被保険者としての届出をする必要はない。(国年法附則7条の4第1項)
■ 第2号被保険者が第1号被保険者又は第3号被保険者となったときは、種別変更の届出が必要である。
■ 第1号被保険者の資格取得の届出は、当該事実があった日から14日以内に所定の事項(氏名、性別、生年月日及び住所、届書に基礎年金番号を記載する者が、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類に記載されている氏名に変更があるときは、変更前の氏名、資格取得の年月日及びその理由、個人番号又は基礎年金番号)を記載した届書を市町村長に提出することによって行わなければならない。ただし、20歳に達したことにより第1号被保険者の資格を取得する場合であって、厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により当該第1号被保険者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることにより20歳に達した事実を確認できるときは、この限りでない。(国年則1条の4第1項)
■ 第1号被保険者の資格喪失の届出(被保険者が、死亡したこと若しくは60歳に達したことによる資格喪失の届出を除く)は、当該事実があった日から14日以内に所定の事項(氏名及び住所、資格喪失の年月日及びその理由、個人番号又は基礎年金番号)を記載した届書を市町村長に提出することによって行わなければならない。この場合において、当該届書に基礎年金番号を記載するときは、当該届書に基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えなければならない。(国年則3条1項)
■ 第3号被保険者の資格取得の届出は、当該事実があった日から14日以内に所定の事項(氏名、性別、生年月日及び住所、届書に基礎年金番号を記載する者が、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類に記載されている氏名に変更があるときは、変更前の氏名、資格取得の年月日及びその理由、個人番号又は基礎年金番号、配給者の氏名及び生年月日、配偶者の個人番号及び基礎年金番号、日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者に該当する者にあっては、その旨)を記載した届書を機構に提出することによって行わなければならない。(国年則1条の4第2項)
■ 第3号被保険者の資格喪失の届出(被保険者が、死亡したこと若しくは60歳に達したことによる資格喪失の届出を除く)は、当該事実があった日から14日以内に所定の事項(氏名及び住所、資格喪失の年月日及びその理由、個人番号又は基礎年金番号、配偶者の氏名、配偶者の個人番号又は基礎年金番号、日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者に該当しなくなったものにあっては、その旨)を記載した届書を機構に提出することによって行わなければならない。この場合において、当該届書に基礎年金番号又は配偶者の基礎年金番号を記載するときは、当該届書に基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類又は配偶者の基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えなければならない。(国年則3条2項)
■ 日本国内に住所を有するに至った者にあって、国年則1条の2各号のいずれかに該当するに至ったものは、その事実が発生した日から14日以内に、所定の事項を記載した届書を機構に提出しなければならない。(国年則1条の5)
■ 第3号被保険者が、国年則1条の3各号のいずれかに該当するに至った場合又は日本国内に住所を有するに至ったことにより当該各号に該当しなくなった場合であって、引き続き第3号被保険者となるときは、当該第3号被保険者は、当該事実があった日から14日以内に、所定の事項を記載した届書を機構に提出しなければならない。この場合において当該各号のいずれかに対合するに至った者にあっては、当該届書にその事実を明らかにすることができる書類を添えなければならない。(国年則8条の3)【適用除外】
■ 被保険者(第3号被保険者を除く)の種別変更の届出は、当該事実があった日から14日以内に所定の事項を記載した届書を市町村長に提出することによって行わなければならない。
・ 国民年金の第1号被保険者又は第3号被保険者が第2号被保険者となった場合(第1号厚生年金被保険者にあっては、厚生年金保険法18条1項の規定により機構が当該第1号厚生年金被保険者の資格の取得を確認した場合の当該第1号厚生年金被保険者に、共済組合の組合員又は私学教職員共済制度の加入者にあっては、国民年金附則8条の規定により機構が当該組合員又は私学教職員共済制度の加入者に関する資料の提供を受けた場合の当該組合員又は私学教職員共済制度の加入者に限る)の種別変更については届出を要しない。
■ 第3号被保険者の種別変更の届出は、当該事実があった日から14日以内に所定の事項を記載した届書を機構に提出することによって行われなければならない。
■ 第3号被保険者は、その配偶者が厚生年金保険の被保険者の資格を喪失した後引き続き厚生年金保険の被保険者の資格を取得したとき(第1号厚生年金被保険者の資格を喪失した後引き続き第1号厚生年金被保険者の資格を取得したとき及び実施機関たる共済組合等に係る組合員又は加入者(国家公務員共済組合連合会及び地方公務員共済組合連合会にあっては当該連合会を組織する共済組合の組合員をいい、日本私立学校復興・共済事業団にあっては私学教職員共済制度の加入者をいう)の資格を喪失した後引き続き同一の実施機関たる共済組合等に係る組合員又は加入者の資格を取得したときを除く)は、当該事実があった日から14日以内に所定の事項を記載した届書を機構に提出することによって行わなければならない。(国年則6条の3)
■ 第1号被保険者(厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる者を除く)の氏名の変更の届出は、当該事実があった日から14日以内に、所定の事項(変更前及び変更後の氏名並びに変更の年月日並び生年月日、住所、個人番号又は基礎年金番号)を記載した届書を市町村長に提出することによって行わなければならない。(国年則7条1項)
■ 第1号被保険者(厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる者を除く)の住所の変更の届出は、当該事実のあった日から14日以内に、所定の事項(氏名及び生年月日、変更前及び変更後の住所並びに変更の年月日、個人番号又は基礎年金番号)を記載した届書を市町村長に提出することによって行わなければならない。この場合において、当該届書に基礎年金番号を記載するときは、当該届書に基礎年金番号通知書その他基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えなければならない。(国年則8条1項)
■ 第3号被保険者(厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる者を除く)の氏名の変更の届出は、当該事実があった日から14日以内に、所定の事項(変更前及び変更後の氏名並びに変更の年月日並びに生年月日、住所、個人番号又は基礎年金番号、配偶者の氏名、配偶者の個人番号又は基礎年金番号)を記載した届書を機構に提出することによって行わなければならない。(国年則7条2項)
■ この届書には、次に掲げる書類を添えなければならない。
・ 届書に基礎年金番号を記載する者にあっては、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
・ 日本国籍を有しない者(厚生労働大臣が住民基本台帳法により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる者を除く)にあっては、ローマ字により氏名を表記した書類
■ 第3号被保険者(厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる者を除く)の住所の変更の届出は、当該事実があった日から14日以内に、所定の事項(氏名及び生年月日、変更前及び変更後の住所並びに変更の年月日、個人番号又は基礎年金番号、配偶者の氏名、配偶者の個人番号又は基礎年金番号)を記載した届書を機構に提出することによって行わなければならない。この場合において、当該届書に基礎年金番号を記載するときは、当該届書に基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えなければならない。
・ 厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる被保険者は、届出は不要である。
■ 上記の第3号被保険者に係る届出を、第2号被保険者を使用する事業主、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、日本私立学校復興・共済事業団又は健康保険組合(事業主等)が受理した場合において、事業主等が届書(氏名の変更に係る届書を除く)に添えられた基礎年金番号通知書等によって当該届書の記載内容を確認し、かつ、返付したときは、当該基礎年金番号通知書等の添付は不要である。(国年則9条4項)
■ 第3号被保険者に関する届出の一部については、光ディスク(これに準ずる方法により一定音事項を確実に記録しておくことができる物を含む)により、届け出ることができる。
・ 第3号被保険者の資格取得の届出
・ 第3号被保険者の資格喪失の届出
・ 第3号被保険者の死亡の届出
・ 第3号被保険者の種別変更の届出
・ 第3号被保険者の種別確認の届出
・ 被扶養配偶者で亡くなったことの届出
■ 第1号被保険者は、その個人番号を変更したときは、所定の事項(氏名、生年月日及び住所、変更前及び変更後の個人番号、個人番号の変更年月日)を記載した届書を、速やかに、機構に提出しなければならない。(国年則8条の2第1号)
■ 第3号被保険者は、その個人番号を変更したときは、所定の事項(氏名、生年月日及び住所、変更前及び変更後の個人番号、個人番号の変更年月日)を記載した届書を、速やかに、機構に提出しなければならない。(国年則8条の2第2項)
■ 第2号被保険者の被扶養配偶者でなくなったことについての届出(第3号被保険者の配偶者である第2号被保険者が第2号被保険者でなくなったこと又は第3号被保険者が厚生年金補家の被保険者の資格を取得したとき若しくは死亡したことによる届出を除く)は、当該事実があった日から14日以内に、所定の事項を記載した届書に、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えて、これを機構に提出することによって行わなければならない。
■ 第3号被保険者であった者の配偶者である第2号被保険者が、健康保険法施行規則38条2項の届書(当該第3号被保険者であった者が当該第2号被保険者の被扶養者でなくなったことによる届書に限る)を機構に提出したときは、上記の届書の提出があったものとみなす。
■ 被保険者の主な届出について、ポイントを整理しておきます。
■ 資格取得の届出・資格喪失の届出・種別変更
・ 第1号被保険者 14日以内(→市町村長)
・ 第3号被保険者 14日以内(→日本年金機構)
■ 被扶養配偶者で亡くなったことの届出
・ 第3号被保険者 14日以内(→日本年金機構)
■ 種別確認の届出
・ 第3号被保険者 14日以内(→日本年金機構)
■ 氏名変更の届出・住所変更の届出・死亡の届出(後述)
・ 第1号被保険者 14日以内(→市町村長)
・ 第3号被保険者 14日以内(→日本年金機構)
■ 個人番号変更の届出
・ 第1号被保険者 速やかに(→日本年金機構)
・ 第3号被保険者 速やかに(→日本年金機構)
■ 第1号被保険者の属する世帯の世帯主は、被保険者にかかって、届出をすることができる。
■ 住民基本台帳法による転入届、転出届、転居届があったとき(当該届出に係る書面に同法に規定による付記がされたときに限る)は、その届出と同一の事由に基づく届出があったものとみなす。
■ 次の場合には届出が不要
・ 第2号被保険者に係る届出
・ 第1号被保険者又は第3号被保険者が死亡したことによる資格喪失届
・ 第1号被保険者又は第3号被保険者が60歳に達したことによる資格喪失届
・ 厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる場合の氏名及び住所の変更に係る届出等
・ 厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることにより20歳に達した事実を確認できる場合の20歳に達したことによる第1号被保険者の資格取得届
■ 被保険者は、厚生労働省令の定めるところにより、国民年金法12条1項又は5項に規定する事項を除くほか、厚生労働省令の定める事項を第3号被保険者以外の被保険者にあっては市町村長に、第3号被保険者にあっては厚生労働大臣に届け出なければならない。
■ 受給権者又は受給権者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、厚生労働省令で定める事項を届け出、かつ、厚生労働省令で定める書類その他の物件を提出しなければならない。(国年法105条1項・3項)
■ 被保険者又は受給権者が死亡したときは、戸籍法の規定による死亡の届出義務者は、厚生労働省令で定めるとことにより、その旨を第3号被保険者以外の被保険者に係るものにあっては市町村長に、第3号被保険者又は受給資格者に係るものにあっては厚生労働大臣に届け出なければならない。ただし、厚生労働省令で定める被保険者又は受給権者の死亡について、戸籍法の規定による死亡の届出をした場合(厚生労働省令で定める場合に限る)は、この限りでない。(国年法105条4項)
■ 死亡の届出が不要となる場合。
・ 厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により機構保存本人確認情報の提出を受けることができる被保険者であって、当該被保険者の死亡の日から7日以内に当該被保険者に係る戸籍法の規定による死亡の届出をした場合とする。(国年則4条3項・4項)
・ 厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる受給権者であって、当該受給権者の死亡の日から7日以内に当該受給権者に係る戸籍法の規定による死亡の届出をした場合とする。
■ 厚生労働大臣は、毎月、住民基本台帳法30条の9の規定による老齢基礎年金の受給権者に係る機構保存本人確認情報の提供を受け、必要な事項について確認を行うものとする。
■ 厚生労働大臣は、上記の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けるために必要と認める場合は、老齢基礎年金の受給権者に対し、当該受給権者に係る個人番号の報告を求めることができる。
■ 障害基礎年金(国年則36条)、遺族基礎年金(国年則51条)、寡婦年金(国年則60条の6)にも同様に規定が設けられている。
■ 機構保存本人確認情報の提供を受けることができない老齢基礎年金の受給権者に係る届出に該当する年金の受給権者は、毎年、「指定日」までに、現況届を提出しなければならない。指定日は、以下のとおりである。(国年則18条の2)
・ 老齢基礎年金、障害基礎年金(以下のものを除く)、遺族基礎年金(以下のものを除く)、寡婦年金、旧国民年金法による老齢年金、通算老齢年金、障害年金、母子年金、準母子年金、遺児年金又は寡婦年金の受給権者
・ 指定日 受給権者の誕生美の属する月の末日
・ 20歳前の傷病による障害に係る障害基礎年金、旧国民年金法による母子福祉年金又は準母子福祉年金が裁定替えされた遺族基礎根金の受給権者
・ 指定日 受給権者の誕生日の属する月の末日、ただし、所得状況の届出は9月30日
・ 老齢福祉年金の受給権者
・ 指定日 8月12日から9月11日
■ その他の受給権者の届出
・ 各年金共通
・ 氏名変更の届出 14日以内
・ 厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により当該受給権者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができないものに限る。
・ 住所変更の届出 14日以内
・ 厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により当該受給権者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができないものに限る。
・ 個人番号変更の届出 速やかに
・ 年金払渡方法等の変更の届出
・ 年金の払渡しを希望する金融機関又は当該金融機関の預金口座の名義を変更しようとするとき
・ 年金証書の再交付の申請
・ 年金証書を破り、汚しもしくは失ったとき又は年金証書に記載された氏名に変更があるとき
・ 受給権者の所在が1か月以上明らかでないときの届出 速やかに
・ 受給権者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者が届出
・ 厚生労働大臣は、当該届書が提出されたときであって、必要があるときには、当該受給権者に対し、当該受給権者の生存の事実について確認できる書類の提出を求めることができる。この場合であって、受給権者が、当該書類を提出しないときは年金給付の支払を一時差し止めることとされている。
・ 老齢基礎年金
・ 支給停止事由消滅の届出 速やかに
・ 併給調整により、又は繰上支給の老齢基礎年金の受給権者が被保険者であることにより老齢基礎年金の支給が停止されていた者の支給停止事由が消滅したとき
・ 振替加算の加算事由該当の届出 (老齢基礎年金の裁定請求後)速やかに
・ 特別支給の老齢基礎年金の裁定の請求書に所定の書類を添えたときその他の当該受給権者が振替加算の要件に該当したことを厚生労働大臣が確認できるときは不要
・ 障害基礎年金
・ 加算額対象者がある障害基礎年金の受給権者の届出(指定日前の3月以内に作成された診断書等を添付) 指定日までに
・ 障害基礎年金の額の全部につき支給が停止されているとき届出不要
・ 裁定が行われた日、額の改定が行われた日又は全額につき支給が停止されていた障害基礎年金の支給緒停止が解除された日以後1年以内に指定日が到来する年については届出不要
・ 障害基礎年金の受給権者に係る障害の現状に関する届出(指定月前3月以内に作成された診断書等を添付) 指定日までに
・ 障害基礎年金の受給権者であって、その障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定した者について、指定した年だけ
・ 障害基礎年金の額の全部につき支給が停止されているときは届出不要
・ 20歳前障害急年金の受給権者に係る所得状況の届出(指定日前1月以内に作成) 指定日(9月30日)までに
・ 所得に関する当該書類が提出されているとき、厚生労働大臣が市町村から所得情報の提供を受けることにより、当該受給権者の所得について確認することができるとき又は当該障害基礎年金の額の全部に月支給が停止されているときは不要
・ 子を有するに至ったときの届出 14日以内
・ 加算額対象者に該当する子を有するに至ったとき
・ 加算額対象者不該当の届出 14日以内
・ 加算額対象者である子が、加算事由に該当しなくなったとき(年齢により加算事由に該当しなくなった場合は届出不要)
・ 加算額対象さ派の障害状態該当の届出 速やかに
・ 加算額の対象となっている18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子が、障害状態に該当するに至ったとき
・ 障害状態不該当の届出 速やかに
・ 障害基礎年金の受給権者の障害の程度が、障害等級の3級にも該当しなくなったとき
・ 遺族基礎年金
・ 遺族基礎年金の受給権者である配偶者の届出 指定日までに
・ 遺族基礎年金の額の全部につき支給が停止されているときは届出不要
・ 裁定が行われた日又は遺族基礎年金の支給の停止が解除された日以後1年以内n指定日が到来する年については届出不要
・ 遺族基礎年金の受給権者に係る障害の現状に関する届出(指定日前3月以内に作成された診断書等を添付) 指定日までに
・ 遺族基礎年金の額の全部につき支給が停止されているときは届出不要
・ 母子福祉年金又は準母子福祉年金が裁定替えされた遺族基礎年金の受給権者に係る所得状況の届出 指定日(9月30日)までに
・ 所得に関する当該書類が提出されているとき又は当該遺族基礎年金の額の全部につき支給が停止されているときは届出不要
・ 胎児出生による額の改定の請求 14日以内
・ 胎児であった子が出生したことにより、遺族基礎年金の額の改定の事由が生じたとき
・ 支給停止事由該当の届出 速やかに
・ 生計を同じくする父又は母があることにより支給停止事由に該当したとき
・ 失権の届出 14日以内
・ 遺族基礎年金の受給権者が失権事由に該当するに至ったとき(①死亡したとき、②配偶者にあっては、すべての子が失権事由に該当するに至ったとき、③子にあっては、年齢により失権事由に該当するに至ったときは不要)
・ 氏名の変更の理由の届出 14日以内
・ 氏名を変更した場合であって、厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる物であるため氏名変更の届出の提出を要しないとき
・ 寡婦年金にも同様の規定がある。
■ 被保険者又は受給権者が死亡したときは、戸籍法の規定による死亡の届義務者は、当該事実があった日から14日以内に以下へ通り届け出なければならない。
・ 第1号被保険者の死亡の場合 市町村長
・ 第3号被保険者の死亡の場合 日本年金機構
・ 受給権者が死亡した場合 日本年金機構
・ 厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により当該被保険者又は受給権者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができる被保険者又は受給権者であって、被保険者又は受給権者の死亡の日から7日以内に当該被保険者又は受給権者に係る戸籍法の規定による死亡の届出をした場合、死亡の届出は不要
■ 国民年金、厚生年金保険及び船員保険の複数の年金受給権を有している者が、氏名変更届、住所変更届若しくは死亡届のうち、同種の届出と同時に行うときは、一の受給権に係る届書に記載することとされた事項、又は添えた者については、他の届書に記載し、又は添えることを要しないものとする。(国年則85条1項・2項)
■ 国民年金法12条1項及び4項(国民年金法105条2項において準用する場合を含む)並びに国民年金法105条1項及び4項の規定により市町村が処理することとされている事務は、地方自治法2条9項1号に規定する第1号法定受託事務とする。(国年法6条)
■ 法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされている事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるものをいう。
■ 第1号被保険者に係る資格の得喪、種別の変更、氏名・住所の変更に関する届出の受理及び報告、市町村長の受理及び厚生労働大臣への報告、死亡の届出義務者の届出等(国年法6条に規定する第1号法定受託事務)
■ 国民年金事業=政府が管掌
・ 事務の一部
・ 行わせることができる
・ 法律によって組織された共済組合
・ 国家公務員共済組合連合会
・ 全国市町村職員共済組合連合会
・ 地方公務員共済組合連合会
・ 日本私立学校復興・共済事業団
・ 行うこととすることができる
・ 市町村長
・ この規定により市町村が処理することとされている事務も、第1号法定受託事務とすることとされている。(国年令18条)
■ 国民年金法に規定する厚生労働大臣の権限(国民年金法109条の5第1項・2項(財務大臣への権限の委任)並びに10章(国民年金基金及び国民年金基金連合会)に規定する権限は除く)は、厚生労働省令(国民年金法14条1項(訂正請求に対する措置)に規定する厚生労働大臣の権限にあっては政令)で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。
■ 上記の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令(国民年金法14条の4(訂正請求に対する措置)に規定する厚生労働大臣の権限にあっては政令)で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。
■ 上記により国民年金法14条の4に規定する厚生労働大臣の権限が地方厚生局長に委任された場合(上記により同条に規定する厚生労働大臣の権限が地方厚生支局長に委任された場合を含む)には、同条第3項中「社会保障審議会」とあるのは、「地方厚生局に置かれる政令で定める審議会(地方年金記録訂正審議会)とする。(国年法109条の9、国年令11条の12の2)
■ 財務大臣への権限の委任の要件(国年法109条の5)
・ 納付義務者が13月分以上の保険料を滞納していること
・ 納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠蔽しているおそれがあること。
・ 納付義務者の前年の所得(1月から6月までにおいては、前々年の所得)が1千万円以上であること
・ 滞納処分等その他の処分を受けたにもかかわらず、納付義務者が滞納している保険料等の納付について誠実な意思を有すると認められないこと
■ 次に掲げる厚生労働大臣の権限に係る事務(国民年金法3条2項、3項の規定により共済組合等が行うこととされたもの及び市町村長が行うこととされたものを除く)は、機構に行わせるものとする。ただし、21、26、28から32まで及び35に掲げる権限は、厚生労働大臣自ら行うことを妨げない。
・ 被扶養配偶者の認定(7条2項)並びに任意加入被保険者の資格取得の申出及び口座振替納付の申出の受理(法附則5条1項・2項)
■ 厚生労働大臣が自ら行うことを妨げないこと
・ 21 納付受託者に対する報告徴収及び立入検査(法92条の5第2項・3項)
・ 26 戸籍事項に関する証明書の受領(法104条)
・ 28 被保険者に関する調査(命令及び質問)(法106条)
・ 29 受給権者に関する調査並びに受診命令及び診断(法107条1項・2項)
・ 30 官公署等に対する書類の閲覧及び資料提供の求め、金融機関等関係人への報告の求め、事業主に対する必要な協力の求め(法108条)並びに共済組合、日本私立学校復興・共済事業団その他厚生年金保険法に基づく老齢給付等に係る制度の管掌機関に対する必要な資料の提供の求め(26に掲げつ証明書の受領を除く)(法附則8条)
・ 31 官公署に対する統計調査に必要な情報提供の求め(法108条の3第2項)
・ 32 法108条の4(基礎年金番号の利用制限等)において準用する住民基本大重宝の規定による報告の求め及び立入検査(法108条の4)
・ 35 財務大臣が行った滞納処分等その他の処分の執行の状況及びその結果の報告の受理(法109条の5第2項)
■ 機構は、滞納処分等の実施に関する規程(滞納処分等実施規程)を定め、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。(国年法109条の7)
■ 機構は、滞納処分等を行う場合には、あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受けるとともに、国年法109条の7に規定する滞納処分等実施規程に従い、徴収職員に行わせなければならない。(国年法109条の6)
■ 機構は、国年法109条の4第1項(機構へ委任する厚生労働大臣の権限に係る事務)の21,28,29又は32に掲げる権限に係る事務を行う場合には、あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。(国年法109条の8第1項)
■ 厚生労働大臣は、機構が天災その他の事由により国年法109条の10第1項各号に掲げる事務の全部又は一部を実施することが困難又は不適当となったと認めるときは、当該事務の全部又は一部を自ら行うものとする(国年法109条の10第2項)
■ 国年法109条の10第1項・2項に定めるもののほか、機構又は厚生労働大臣による第1項各号に掲げる事務の実施に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める(国年法109条の10第3項)
■ 共済払の基礎年金の支払い(国年令15条1項)
・ 国年令1条1項1号から3号までに規定する老齢基礎年金、障害基礎年金及び遺族基礎年金であって厚生労働省令で定めるもの(共済払いの基礎年金)の支払いに関する事務は、共済組合(国家公務員共済組合連合会又は全国市町村食委員共済組合連合会を組織する共済組合であっては、それぞれの当該連合会とする)又は日本私立学校復興・共済事業団(共済組合等)に行わせることができる。
■ 資金の交付(高年齢16条1項・2項)
・ 政府は、上記の規定により共済組合等が共済払いの基礎年金の支払に関する事務を行う場合には、その支払に必要な資金を当該共済組合等に交付するものとする。
・ 政府は、上記の規定による資金の交付をするときは、必要な資金を日本銀行に交付して、上記の規定による資金の交付をさせることができる。
[国年法] 国民年金法・重要箇所・Chapter14
国民年金基金
■ 国民年金基金は、自営業者等の老後のための上乗せ給付として作られた制度である。国民年金基金の組織や設立要件を定めている。
■ 平成25年4月1日から、任意加入被保険者のうち「日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者」について、基金への加入が認められるようになった。更に、平成29年1月1日からは、任意加入被保険者のうち、「日本国籍を有するものであって、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満のもの」についても、基金への加入が認められることになった。
■ 国民年金基金(基金)は、国民年金法1条の目的を達成するため、加入員の老齢に関して必要な給付を行うものとする。(国年法115条)
■ 基金は法人とし、基金の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする(国年法117条)
■ 機器はその名称中に国民年金基金という文字を用いなければならず、基金でない者は、国民年金基金という名称を用いてはならない。(国年法118条)
■ 基金は、地域型国民年金基金(地域型基金)及び職能型国民年金基金(職能型基金)とする。(国民法115条の2)
■ 第2号被保険者・第3号被保険者は、国民年金基金の加入員となることはできない。(国年法116条・国年法附則5条12項)
■ 地域型と職能型の違い
・ 地域型国民年金基金
・ 加入資格
・ 同一の都道府県に住所を有する第1号被保険者(日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の任意加入被保険者及び日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の任意加入保被験者を含む)
・ 基金の数
・ 各都道府県に1個
・ 設立に必要な加入員数
・ 1000人以上の加入員によって設立
・ 設立の方法
・ 300人以上の加入員たる資格を有する者の申出(厚生労働大臣が設立委員を任命)
・ 規約を作成し、創立総会の日時及び場所とともに公告して、創立総会を開く
・ 設立委員に対し設立の同意を申し出た者の半数以上が出席し、その出席者の3分の2以上で決する
・ 創立総会の終了後、遅滞なく書面を提出し、厚生労働大臣の認可を受ける。
・ 職能型国民年金基金
・ 加入資格
・ 同種の事業又は業務に従事する第1号被保険者(日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の任意加入被保険者及び日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の人加入被保険者を含む)
・ 基金の数
・ 同種の事業又は業務につき全国を通じて1個
・ 設立に必要な加入員数
・ 3000人以上の加入員によって設立
・ 設立の方法
・ その加入員となろうとする15人以上の発起人
・ 規約を作成し、創立総会の日時及び場所とともに公告し、創立総会を開く
・ 発起人に対し設立の同意を申し出た者の半数以上が出席し、その出席者の3分の2以上で決する
・ 創立総会の終了後、遅延なく書面を提出し、厚生労働大臣の認可を受ける
■ 規約、設立総会の日時及び場所の公告は、会日の2週間前までにしなければならない。
■ 加入員の申出をした日に加入員の資格を取得する。
■ 基金は、規約に定める基金の名称、事業所の所在地に変更を生じたときは、2週間以内に、当該変更を生じた事項を公告しなければならない。
■ 代議員会は、代議員の定数(特別の利害関係のあることにより議決権を行使することができない代議員の数を除く)の半数以上が出席しなければ議事を開き、議決をすることができない(基金令11条)
■ 代議員会の議事は、国民年金法及びこの国民年金基金令に別段の定めがある場合を除き、出席した代議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長が決する。
■ 規約の変更(事務所の所在地に係るもの等を除く)の議事は、代議員の定数の3分の2以上の多数で決する。
■ 代議員会においては、あらかじめ通知した事項についてのみ議決することができる。ただし、出席した代議員の3分の2以上の同意があった場合は、この限りでない。(基金令12条)
■ 監事は、代議員会において、学識経験を有する者及び代議員のうちから、それぞれ一人選挙する。(国年法124条)
■ 第1号被保険者は、その者が住所を有する地区に係る地域型基金又はその従事する事業若しくは業務に係る職能型基金に申し出て、その加入員となることができる。ただし、他の基金の加入員であるときは、この限りでない。
■ 上記の申出をした者は、その申出をした日に加入員の資格を取得するものとする。
■ 加入員は、次のいずれかに該当するに至った日の翌日(以下に該当するに至ったときは、その日とし、3に該当するに至ったときは、当該保険料を納付することを要しないものとされた月の初日とする)に、加入員の資格を喪失する。
・ 被保険者の資格を喪失したとき、又は第2号被保険者若しくは第3号被保険者となったとき
・ 地域型基金の加入員にあっては、当該基金の地区内に住所を有する者でなくなったとき、職能型基金の加入員にあっては、当該事業又は業務に従事するものでなくなったとき
・ 国民年金法89条1項(法定免除)、90条1項(全額免除)、又は90条の3第1項(学生等の保険料納付特例)の規定により保険料を納付することを要しないものとされたとき及び90条の2第1項から3項まで(一部免除)の規定によりその一部の額につき保険料を納付することを要しないとされたとき
・ 農業者年金の被保険者となったとき
・ 当該基金が解散したとき
■ 加入員の資格を取得した月にその資格を喪失した者は、その資格は取得した日にさかのぼって、加入員でなかったものとみなす。(国年法127条)
■ 日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない任意加入被保険者は、その者が住所を有していた地区に係る地域型基金又はその者が加入していた職能型基金に申し出て、地域型基金又は職能型基金の加入員となることができる。
■ 第1号被保険者であっても、「保険料の免除の規定の適用を受けている者」及び「農業者年金の被保険者」は、基金の加入者となることができない。なお、農業者年金の被保険者のうち付加保険料を納付することができる者は、付加保険料を納付しなければならない。
■ 基金の加入員の資格は、次のいずれかに該当するに至ったときに喪失する。
・ 被保険者の資格を喪失したとき、又は第2号被保険者若しくは第3号被保険者となったとき → その日
・ 地域型基金の加入員が当該基金の地区内に住所を有するものでなくなったとき → その日の翌日
・ 職能型基金の加入員が当該事業又業務に従事する者でなくなったとき → その日の翌日
・ 国民年金の保険料を免除されたとき(一部免除を含む) → 納付することを要しないこととされた月の初日
・ 農業者年金の被保険者となったとき → その日
・ 当該基金が解散したとき → その日の翌日
■ 申出による加入員の資格の喪失の規定はない。
■ 加入員の資格を取得した月にその資格を喪失した者は、その資格を取得した日にさかのぼって、加入員でなかったものとみなされる。
■ 基金は、政令で定めるところにより、厚生労働大臣の認可を受けて、その業務(加入員又は加入員であった者に年金又は一時金の支給を行うために必要となるその者に関する情報の収集、整理又は分析を含む)の一部を信託会社、信託業務を営む金融機関、生命保険会社、農業協働組合連合会、共済水産業協働組合連合会、国民年金基金連合会その他の法人に委託することができる。
■ 銀行その他政令で定める金融機関は、他の法律の規定に関わらず、上記の業務(127条1項の申出の受理に関する業務に限る)を受託することができる(基金令19条の2、20条、20条の2)
■ 国民年金基金は、老齢に関する年金、死亡に関する一時金の支給を行うが、障害に関する給付は行わない。なお、厚生年金基金は、老齢に関する年金、脱退に関する一時金の支給を行うほか、死亡又は障害に関する年金・一時金の支給を行うことができる。
■ 基金が支給する年金は、少なくとも、当該基金の加入員であった者が老齢基礎年金の受給権を取得したときには、その者に支給されるものでなければならない。
■ 老齢基礎年金の受給権者に対し基金が支給する年金は、当該老齢基礎年金の受給権の消滅事由以外の事由によって、その受給権を消滅させるものであってはならない。
■ 基金が支給する一時金は、少なくとも、当該基金の加入員又は加入員であった者が死亡した場合において、その遺族が死亡一時金を受けるときには、その遺族に支給されるものでなければならない。(国年法129条)
■ 給付を受ける権利は、その権利を有する者(受給権者)の請求に基づいて、基金が裁定する(国年法16条、133条)
■ 老齢基礎年金の受給権者に対し基金が支給する年金の額は、200円(国民年金法28条(老齢基礎年金の支給の繰下げ)又は国民年金法附則9条の2(老齢基礎年金の支給の繰上げ)若しくは9条の2の2(老齢基礎年金の一部の支給の繰上げ)の規定による老齢基礎年金の受給権者に対し危機員が支給する年金については、政令で定める額)に納付された掛金に係る当該基金の加入員であった期間(国民年金法87条の規定による保険料に係る保険料納付済期間である期間に限る。「加入員期間」)の月数を乗じて絵多額を超えるものでなければならない。
■ 基金が支給する一時金の額は、8500円を超えるものでなければならない。(国年法130条)
■ 基金の加入員となった任意加入被保険者が中途脱退者出会って再びもとの基金の加入員になった場合には、当該基金が支給する年金の額は、当該基金の加入員であった期間であって、連合会がその支給に関する義務を追っている年金又は一時金の額の計算の基礎となる期間を除いたものとする。
■ 基金が支給する年金は、少なくとも、当該基金の加入員であった者が老齢基礎年金の受給権を取得したときには、その者に支給されるものでなければならず、その額は200円に納付された掛金に係る当該基金の加入員であった期間の月数を乗じて得た額を超えるものでなければならない。
■ 基金が支給する一時金は、少なくとも、当該基金の加入員又は加入員であった者が死亡した場合において、その遺族が死亡一時金を受けたときには、その遺族に支給されるものでなければならず、その額は8500円を超えるものでなければならない。
■ 老齢基礎年金の受給権者に対し基金が支給する年金は、当該老齢基礎年金がその全額につき支給を停止されている場合を除いては、その支給は停止されない。(国年法131条)
■ 基金の加入員は、通常の保険料のほかに、政令で定められた範囲の額の掛金w基金に納付することを規定している。
■ 基金は、基金が支給する年金及び一時金に関する事業に要する費用に充てるため、掛金を徴収する。
■ 掛金は、年金の額の計算の基礎となる各月につき、徴収するものとする。
■ 掛金は、政令の定めるところにより、その額が算定されるものでなければならない。(国年法134条)
■ 毎月の掛金の額は、原則として1月につき68000円を超えてはならない(基金令34条)
■ 国民年金保険料の免除を受けている期間は、国民年金基金の加入員にはなれないが、基金の加入員となった後で、保険料の免除を受けていた全期間(直近の10年以内分)について保険料を追納すれば、保険料が免除されていたため国民年金基金に加入できなかった期間に相当する期間(5年を限度とする)の掛金の上限は、特例により、1月につき102000円とすることとされている(基金令35条1項)
■ 加入員の納付義務
・ 加入員は、掛金を納付しなければならない。
・ 世帯主は、その世帯に属する加入員の掛金を連帯して納付する義務を負う。
・ 配偶者の一方は、加入員たる他方の掛金を連帯して納付する義務を負う。
■ 徴収
・ 掛金その他国民年金法の規定による徴収金は、別段の規定があるものを除くほか、国税徴収の例によって徴収する。
■ 督促及び滞納処分
・ 保険料その他国民年金法の規定による徴収金を滞納する者があるときは、基金は、期限を指定して、これを督促することができる。
・ 上記の規定によって督促をしようとするときは基金は、納付義務者に対して、督促状を発する。
・ 上記の督促所うにより指定する期限は、督促状を発する日から起算して10日以上経過した日でなければならない。
・ 基金は、上記の規定による督促を受けた者がその指定の期限までに保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないときは、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は滞納者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村に対して、その処分を請求雨することができる。
・ 市町村は、上記の規定による処分の請求を受けたときは、市町村税の例によってこれを処分することができる。この場合においては、基金は、徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。
・ 基金は、上記の場合において、国税滞納処分の例により処分をしようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
■ 延滞金
・ 上記の規定によって督促をしたときは、基金は、徴収金額につき年14.6%の割合で、納期限の翌日から徴収金完納又は差押の日の前日までの日数によって計算した延滞金を徴収する。ただし、徴収金額が500円未満であるとき、又は滞納につきやむを得ない事情があると認められるときは、この限りでない。
・ 上記の場合において、徴収金額の一部につき納付があったときは、その納付の日以後の期間に係る延滞金の計算の基礎となる徴収金は、その納付のあった徴収金額を控除した金額とする。
・ 延滞金を計算するにあたり、徴収金額に500円未満の端数があるときは、その端数を、切り捨てる。
・ 督促状に指定した期限までに徴収金を完納したとき、又は上記の規定によって計算した金額が50円味なんであるときは、延滞金は、徴収しない。
・ 延滞金の金額に50円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
■ 基金は、次に掲げる理由により解散する。(国年法135条)
・ 代議員の定数の4分の3以上の多数による代議員会の議決
・ 基金の事業の継続の不能
・ 厚生労働大臣による解散の命令
■ 基金は、上記に掲げる理由により解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。(国年法135条)
■ 国民年金基金の加入員は、国民年金基金が解散したときは、その翌日に加入員の資格を喪失する。(国年法127条3項5号)
■ 基金は、解散したときは、当該基金の加入員であった者に係る年金及び一時金の支給に関する業務を免れる。ただし、解散した日までに支給すべきであった年金又は一時金でまだ支給していないものの支給に関する義務については、この限りでない。(国年法136条)
■ 解散した基金は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす(国年法136条の2)
■ 基金が国民法135条の規定により解散したときは、理事がその清算人となる。ただし、代議員会において他人を選任したときは、この限りでない。(国年法137条)
■ 清算人は、①現務の結了、②債権の取り立て及び債務の弁済、③残余財産の配分の各職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。(国年法137条の2)
■ 国民年金基金に関する数字のまとめ
・ 期間に関するもの
・ 2週間前 創立総会に関する公告
・ 2週間以内 ①基金の名称・事務所の所在地の変更の公告、②解散の公告及び清算人の指名及び住所の公告
・ 4週間以内 設立の公告
3年以内 代議員の任期
・ 人に関するもの
・ 1000人以上 地域型基金の設立に必要な加入員数
・ 3000人以上 職能型基金の設立に必要な加入員数
・ 300人以上 地域型基金の設立委員の任命に必要な申出者数
・ 15人以上 職能型基金の設立に必要な発起人数
・ 4分の3以上 解散時の代議員会の議決
・ 3分の2以上 ①創立総会の議事の決定、②規約変更の議事の決定、③吸収合併契約及び吸収分割契約に係る代議員会の議決
・ 半数以上 代議員会の定足数
・ 過半数 代議員会の議事の決定、基金の業務の決定
■ 平成29年1月1日より、国民年金基金の「合併や分割」に関する規定が新設された。基金の統合を進めることにより、管理コストの削減や加入員・受給権者の手続の負担の軽減等を図ろうとしたものである。
■ 基金は、厚生労働大臣の認可を受けて、他の基金と吸収合併(基金が他の基金とする合併であって、合併により消滅する基金の権利義務の全部を合併後存続する基金に小計させるものをいう)をすることができる。ただし、地域型基金と職能型基金との吸収合併については、その地区が全国である地域型基金が次条に規定する吸収合併存続基金となる場合を除き、これをすることができない。
■ 合併をする基金は、吸収合併契約を締結しなければならない。
■ 基金は、吸収合併契約について代議員会において代議員の定数の3分の2以上の多数により議決しなければならない。(国年法137条の3)
■ 吸収合併存続基金又は吸収分割小計基金は、吸収合併又は級風分割をしたときは、2週間以内に、次に掲げる事項を公告しなければならない。
・ 当該吸収合併又は吸収分割の認可の年月日
・ 吸収合併存続基金又は吸収分割基金の名称及び所在地
■ 合併の規定に基づき、平成31年2019年4月1日から、全国47都道府県の地域型国民年金基金と、22の職能型国民年金基金が合併され、「全国国民年金基金」が発足している。なお、歯科医師国民年金基金、司法書士国民年金基金及び日本弁護士国民年金基金は、全国国民年金基金とは合併せず、従来どおり各国民年金基金として事業運営を継続している。
■ 基金は、国民年金法137条の17第1項に規定する中途脱退者及び解散基金加入員に係る年金及び一時金の支給を共同して行うため、国民年金基金連合会(連合会)を設立することができる。(国年法137条の4)
■ 中途脱退者とは、基金の加入員の資格を喪失した者であって、その者の当該基金の加入員期間が15年未満のもの
■ 解散基金加入員とは、解散した日に、当該基金が年金の支給に関する義務を負っていた者
■ 基金の加入員期間が15年以上である者は、中途脱退者として取り扱われないため、その者に対する年金や一時金の支給は、当該基金が行うことになる。
■ 準用規定、届出及び権限の委任について規定している。
■ 基金は、厚生労働省令で定めるところにより、その加入員の資格の取得及び喪失に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。(国年法139条)
■ 厚生労働大臣の権限のうち基金に係るものは、厚生労働省令の定めるところにより、その一部を地方厚生局長に委任することができる。また、地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。(国年法142条の2)
[安衛法] 労働安全衛生法・重要箇所・Chapter1
■ 職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することがその目的であり、その目的達成のための対策として以下の3点を規定している。
・ 危害防止基準の確率
・ 事業場内における責任体制の明確化
・ 事業者の自主的な活動の促進措置
■ 労働安全衛生法は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。(安衛法1条)
■ 労働安全衛生法でいう「安全」とは、「危険の防止」と、「衛生」とは、「健康障害の防止」と関連が深いです。また、「安全」と「衛生」とは法制上も区分して規制されています。「安全」は工業的業種においてのみ求められますが、「衛生」はすべての業種で求められる。
■ 労働安全衛生法は、形式的には労働基準法から分離独立したものとなっているが、安全衛生に関する事項は労働者の労働条件の重要な一端を占めるものであり、労働安全衛生法1条、労働基準法42条等の規程により、労働安全衛生法と労働条件についての一般法である労働基準法とは一体としての関係に立つものである、とされている。(昭和47年発基91号)
■ この法律は、事業場を単位として、その業種、規模等に応じて、安全衛生管理体制、工事計画の届出等の規程を適用することとしており、この法律による事業場の適用単位の考え方は、労働基準法における考え方と同一である。(昭和47年発基91号)
■ 労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉塵等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。(安衛法2条1号)
■ 労働者 労働基準法9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事業所に使用される者又は家事使用人を除く)をいう。
■ 事業者 事業を行う者で、労働者を使用するものをいう。(安衛法2条2号、3号)
■ 労働基準法9条における労働者の定義とは、「職業の種類を問わず、事業又は事業所に使用される者で、賃金を支払われる者」をいう。労働安全衛生方は、同居の親族のみを使用する事業又は事業所を除き、原則として労働者を使用する全事業について適用されるが、家事使用人、船員法の適用を受ける船員及び国家公務員(行政執行法人の職員を除く)については適用されない。
■ 「事業者」とは、その事業の実施主体をいい、法人の事業場であれば当該法人そのもの(法人の代表者ではない)、個人の事業であれば事業主個人を指す。
■ 労働基準法における「使用者」と労働安全衛生法における「事業者」との違いは、法律上の義務主体が異なることです。整理すると次の通り。
・ 労働安全衛生法における「事業者」
・ 事業の実施主体そのものを法律上の義務主体としている。
・ 労働基準法における「使用者」
・ 事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者を義務主体としている。
■ 化学物質 元素及び化合物をいう。
■ 化学環境測定 作業環境の実態を把握するため空気環境その他の作業環境について行うデザイン、サンプリング及び分析(解析を含む)をいう。(安衛法2条3号の2、4号)
■ 事業者は、単に労働安全衛生法で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。(安衛法3条1項)
■ 機械、器具その他の設備を設計し、製造し、若しくは輸入する者、原材料を製造し、若しくは輸入する者又は建設物を建設し、もしくは設計する者は、これらの物の設計、製造、輸入又は建設に際して、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない。(安衛法3条2項)
■ 建設物を建設する者とは、当該建設物の建設を発注したものを指す。(昭和47年基発602号)
■ 建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない。(安衛法3条3項)
■ 労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するよう努めなければならない。(安衛法4条)
■ 労働者が労働災害を防止するため、遵守しなければならないとされる主なものには、以下の規程がある。
・ 事業者が労働災害防止上講ずべき措置(安衛法26条)
・ 請負人が講ずべき措置(安衛法32条4項)
・ 事業者が行う健康診断の受診(安衛法66条5項)
・ 安全衛生改善計画の遵守(安衛法79条)
■ 共同企業体(ジョイントベンチャー)においては、いろいろな会社の業務が複雑に入り込んで1つの事業を形成しているため、指揮命令系統が複雑で、労働災害が発生した場合の責任等が不明確になるおそれがある。そこで、その責任の貴族を明確にし、労働災害を効果的に防止するために様々な規程が設けられている。
■ 2以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請け負った場合においては、そのうちの1人を代表者と定め、当該仕事の開始の日の14日前までにこれを都道府県労働局長に届け出なければならない。
■ 共同企業体がこれらの届出をしないときは、都道府県労働局長が代表者を指名する。(安衛法5条1項から3項)
■ 代表者の届出については、当該工事実施場所の管轄労働基準監督署長を経由して、都道府県労働局長に届け出なければならない。
■ 1つの建設工事を2以上の建設業者が共同連帯して施工することを目的として、それおぞれ一定の割合で出資する異により組織する独立法人格を持たない団体のことを「ジョイントベンチャー(企業共同体)」という。
■ 代表者の変更の届出をしようとする者は、代表者の変更があった後、遅滞なく、当該仕事が行わる場所を管轄する労働基準監督署長を経由して、都道府県労働局長に提出しなければならない。(安衛則1条3項、4項)
■ 厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見を聴いて、労働災害の防止のための主要な対策に関する事項その他労働災害の防止に関し重要な事項を定めた計画(労働災害防止計画)を策定しなければならない。(安衛法6条)
■ 厚生労働大臣は、労働災害の発生状況、労働災害の防止に関する対策の効果等を考慮して必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見を聴いて、労働災害防止計画を変更しなければならない。(安衛法7条)
■ 厚生労働大臣は、労働災害防止計画を策定したときは、遅滞なく、これを好評しなければならない。これを変更したときも、同様とする。(安衛法8条)
■ 厚生労働大臣は、労働災害防止計画の的確かつ円滑な実施のため必要があると認めるときは、事業者、事業者の団体その他の関係者に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告又は要請をすることができる。(安衛法9条)
[安衛法] 労働安全衛生法・重要箇所・Chapter2
安全衛生管理体制
■ 一般組織における安全衛生管理体制の全体像
・ 事業者→総括安全衛生管理者
・ 総括安全衛生管理者
・ 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること
・ 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること
・ 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること
・ 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること
・ その他労働災害を防止するために必要な業務
・ 総括安全衛生管理者→(指揮)→安全管理者
・ 安全管理者
・ 安全に係る技術的事項を管理
・ 総括安全衛生管理者→(指揮)→衛生管理者
・ 衛生管理者
・ 衛生に係る技術的事項を管理
■ 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、総括安全衛生管理者を選任しなければならない。(安衛法10条1項)
■ 事業者は、総括安全衛生管理者に安全管理者、衛生管理者又は法25条の2第2項の規程により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。(安衛法10条1項)
■ 総括安全衛生管理者が統括管理すべき業務(安衛法10条1項各号の業務)
・ 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること
・ 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること
・ 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること
・ 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること
・ その他、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの
■ 厚生労働省令で定める業務(安衛則3条の2)
・ 安全衛生に関する方針の表明に関すること
・ 安衛法28条の2第1項又は57条の3第1項及び2項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること
・ 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること
■ 総括安全衛生管理者を選任すべき事業場(安衛令2条)
・ 林業、鉱業、建設業運送業及び清掃業 100人以上
・ 製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・什器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・什器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 300人以上
・ その他の業種 1000人以上
・ 「常時使用する労働者数」とは、常用労働者ということではなく、常時何人使用されているかということであるので、日雇労働者、パートタイム労働者等も含まれる。また、派遣労働者については、派遣先及び派遣元の双方でカウントされることとされている。
■ 総括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならない。(安衛法10条2項)
■ 「工場長、作業所長等名称のいかんを問わず、当該事業場における事業の実施について、実質的に統括管理する権限及び責任を有する者」をいう。通常は、事業場のトップである工場長や支店長を指すことになる。(昭和47年基発602号)
■ 業務が適切かつ円滑に実施されるよう所要の措置を講じ、かつ、その実施状況を監督する等当該業務について責任をもって取りまとめることをいう。(昭和47年基発602号)
■ 総括安全衛生管理者は、事業場単位でラインの長を選定するものであるから、選任にあたって実務経験や専門的知識は不要です。
■ 都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、総括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告することができる。(安衛法10条3項)
■ 当該事業場の労働災害の発生率が他の同業種、同規模の事業場に比べて高く、それが総括安全衛生管理者の不適切な業務の執行に基づく者であると考えられる場合等に、総括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告することができる。上記の権限の規定(安衛法10条3項関連)は、総括安全衛生管理者の業務の執行にういて準用する。この場合、「事業者」を「当該統括安全衛生責任者を選任した事業者」と読み替える。(昭和47年基発602号)
■ 「14日以内」に選任し、「遅滞なく」報告書を提出しなければならない。(安衛則2条)
■ 代理者の選任の規定もある。(安衛則3条)
■ 上記条文中に「労働安全衛生法10条1項各号の業務(法25条の2第2項の規定による技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条1項各号の措置に該当する者を除く。)」とは、前述の「総括安全衛生管理者が統括管理すべき業務」と同じ内容の業務を指します。そのような業務のうち「安全」に係る技術的事項を管理する役割を負うのが安全管理者です。
■ 必ずしも安全に関する専門的技術的事項に係る主旨ではなく、総括安全衛生管理者が統括管理すべき10条1項の業務のうち、安全に関する具体的事項というものとされている。(昭和47年基発602号)
■ 安全管理者を選任すべき事業場(安衛令3条)
・ 林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業 50人以上
・ 製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・什器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・什器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 50人以上
■ 事業場専属基準(安衛則4条1項2号)
・ 原則 安全管理者は、原則としてその事業場に専属する者(その事業場のみに勤務する者)を選任しなければならない。
・ 例外 2人以上の安全管理者を選任する場合において、当該安全管理者の中に労働安全コンサルタントがいるときは、当該労働安全コンサルタントのうち1人については、事業場に専属の者である必要はない。
■ 反対解釈すると、労働安全コンサルタント(労働衛生コンサルタント)が1人も選任されていないような事業場や、選任された安全管理者(衛生管理)が労働安全コンサルタント(労働衛生コンサルタント)が1人だけであるような場合は、その事業場に専属の者でなければなりません。
■ 次に掲げる数以上の労働者を常時使用する事業場は、選任すべき安全管理者のうち、少なくとも1人を専任の安全管理者(通常の勤務時間を専ら安全管理者としての業務に従事する者)としなければならない。(安衛則4条1項4号)
・ 建設業、有機化学工業製品製造業、石油製品製造業 300人以上
・ 無機化学工業製品製造業、化学肥料製造業、道路貨物運送業、港湾運送業 500人以上
・ 紙・パルプ製造業、鉄鋼業、造船業 1000人以上
・ 安全管理者の選任を要する業種のうち上記以外の業種(過去3年間の労働災害による休業1日以上の死傷者数の合計が100人を超える事業場に限る) 2000人以上
■ 専属とは、「専ら属している」ということで、専属の者は、その事業場のみに勤務する異になる。その業務(安全管理者なら安全管理者としての業務)に専従することを意味するものではない。
■ 専任とは、「専ら任ぜられている」ということで、専任の者は、通常の勤務時間を専らその業務(安全管理者なら安全管理者としての業務)に費やすことになる。
■ 専属の者は、社員の中から選任されたものであり、外部委託している場合は、専属に該当しません。専任という概念は、専属という概念に内包されていると言えます。
■ 安全管理者となるための資格は、次のとおりである。(安衛則5条)
・ 総括安全衛生管理者の業務のうち安全に係る技術的事項を管理するために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを終了したもの
・ 大学又は高等専門学校において、理科系統の正規の過程を修めた者で、その後2年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
・ 高等学校又は中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後4年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
・ 労働安全コンサルタント
・ 上記に掲げるもののほか、厚生労働大臣が定めるもの
■ 労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、事業者に対し、安全管理者の増員又は解任を命ずることができる。(安衛法11条2項)
■ 「14日以内」に選任し、「遅滞なく」報告書を提出しなければならない。(安衛則4条)
■ 代理者の選任の規定もある。(安衛則4条2項)
■ 安全管理者は、作業場等を巡視し、設備、作業方法等に危険のおそれがあるときは、直ちに、その危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。
■ 事業者は、安全管理者に対し、安全に関する措置をなし得る権限を与えなければならない。(安衛則6条1項・2項)
■ 巡視について、衛生管理者については、「少なくとも毎週1回」と規定され、産業医については、「少なくとも毎月1回(一定の場合は、2月に1回)」と規定されているが、安全管理者については、頻度の規定はない。
■ 派遣労働者は派遣先で安全管理者にはなれない(専属が要件とされているため)
■ 上記条文中の「労働安全衛生法10条1項各号の業務(法25条の2第2項の規定による技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条1項各号の措置に該当するものを除く)」とは、前述の「総括安全衛生管理者が統括管理すべき業務」と同じ内容の業務を指します。そのような業務のうち「衛生」に係る技術的事項を管理する役割を負うのが衛生管理者です。
■ 必ずしも衛生に関する専門技術的事項に限るものではなく、総括安全衛生管理者が統括管理すべき10条1項の義務のうち、衛生に関する具体的事項をいう。また、労働者の負傷、それによる死亡、欠勤及び異動に関する統計の作成も含まれる。(昭和47年基発602号)
■ 業種を問わず常時50人以上の労働者を使用する事業場の事業者は、衛生管理者を選任しなければならない。(安衛令4条)
■ 事業場専属基準(安衛則7条1項2号)
・ 原則 衛生管理者は、その事業場に専属する者を選任しなければならない。
・ 例外 2人以上の衛生管理者を選任する場合において、当該衛生管理者の中に労働衛生コンサルタントがいるときは、当該労働衛生コンサルタントのうちの1人については事業場に専属の者である必要はない。
■ 上記の「例外」の考え方は、前述の安全管理者の事業場専属基準の「例外」のところで説明したとおりです。
■ 次のいずれかの事業場にあっては、選任すべき衛生管理者のうち、少なくとも1人を専任の衛生管理者としなければならない。(安衛則7条1項5号)
・ 常時1000人を超える労働者を使用する事業場
・ 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は一定の有害な業務(労基則18条各号の業務)に常時30人以上の労働者を従事させる事業場
■ 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働その他局所排気装置の設置等衛生光学的な措置を必要とする有害業務(労基則18条1号、3号から5号までもしくは9号に掲げる業務)に従事する労働者が常時30人以上である事業場にあっては、選任すべき衛生管理者のうち1人は衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければならない。
■ 専任の衛生管理者の選任に係る有害な業務(労基則18条各号の業務)
・ 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
・ 多量の低熱物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所のおける業務
・ ラジウム放射線、エックス銭その他の有害放射線にさらされる業務
・ 土砂、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
・ 異常気圧下における業務
・ 削岩機、鋲打機等の使用によって身体に著しい振動を与える業務
・ 重量物の取扱い等重激なる業務
・ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
・ 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗素、塩素、塩酸、称賛、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二酸化炭素、青酸、ベンゼン、アンリン、その他これに準ずる有害物の粉じん、蒸気又はガスを発散する場所における業務
・ 前各号のほか、厚生労働大臣の指定する業務
・ 1、3-5、9の業務は、衛生工学衛生管理者免許を受けた者からの選任に係る有害な業務
■ 労基則18条各号の有害な業務には、深夜業を含む業務は含まれていない。
■ 衛生管理者となる資格には、衛生管理者試験に合格した者、労働衛生コンサルタント、医師、歯科医師、大学における保健体育の教授等の資格を有する者がある。
■ 衛生管理者免許には、「第1種衛生管理者免許」、「第2種衛生管理者免許」「衛生工学衛生管理者免許」の3種類があるが、このうちの「第1週衛生管理者」「衛生工学衛生管理者」は、すべての業種について、衛生管理者としての選任要件を満たす試験であるが、「第2種衛生管理者」は、一定の危険有害業務を除く業種についてのみ、選任要件を満たす資格である。
■ 衛生管理者の資格の具体的な選任業種と区分は、次のとおりである(安衛則7条1項3号)
・ 農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業
・ 第1種衛生管理者免許を有する者
・ 衛生工学衛生管理者免許を有する者
・ 安衛則10条各号に掲げる者(医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント、中学・高等学校の保健体育の常勤教諭、大学等で保健体育の科目を担当する常勤の教授・准教授等)
・ その他の業種
・ 上記の免許、医師等に加え、第2種衛生管理者免許を有する者
■ 衛生管理者は、業種を問わず常時50人以上の労働者を使用する事業場の事業者に選任ぎむがあるが、選任すべき数は次のとおりである。(安衛則7条)
・ 50人から200人 1人以上
・ 201人から500人 2人以上
・ 501人から1000人 3人以上
・ 1001人から2000人 4人以上
・ 2001人から3000人 5人以上
・ 3001人以上 6人以上
■ 労働基準監督署長は、労働者の健康障害を防止するために必要があると認めるときは、事業者に対し、衛生管理者の増員又は解任を命ずることができる。(安衛法12条2項)
■ 都道府県労働局長は、必要であると認めるときは、地方労働審議会の議を経て、衛生管理者を選任することを要しない2以上の事業場で、同一の地域にあるものについて、協働して衛生管理者を選任すべきことを勧告することができる。(安衛則9条)
■ この勧告の規定は、衛生管理者のみに設けられている。
■ 「14日以内」に選任し、「遅滞なく」報告書を提出しなければならない。
■ 代理者の選任の規定もある。
■ 事業者は、衛生管理者を選任することができないやむを得ない事由がある場合で、所轄都道府県労働局長の許可を受けたときは、法定の選任基準によらないことができる。(安衛則8条)
■ 同様の規定が、産業医には設けられていますが、安全管理者には設けられていない。
■ 衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれのあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止する為必要な措置を講じなければならない。
■ 事業者は、衛生管理者に対し衛生に関する措置をなし得る権限を与えなければならない。(安衛則11条1項・2項)
■ 安全管理者の選任を有する業種であって常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場の事業者は、安全衛生推進者を選任しなければならない。
■ 上記以外の業種であって常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場の事業者は、衛生推進者を選任しなければならない。(安衛法12条の2、安衛則12条の2)
■ 事業場専属基準
・ 原則 安全衛生推進者又は衛生推進者(安全衛生推進者等)は、その事業場の専属の者を選任しなければならない。
・ 例外 労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントその他厚生労働大臣が定める者を選任するときは、事業場に専属の者である必要はない。(安全管理者又は衛生管理者と異なり、一人目から外部委託が可能である)
■ 安全衛生推進者は、安衛法10条1項各号の業務を担当させなければならない。
■ 衛生推進者は、安衛法10条1項各号の業務(衛生に係る業務に限る)を担当させなければならない。
■ 安全衛生推進者又は衛生推進者は、次のいずれかに該当する者から選任する。
・ 都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了した者
・ 上記のほか、安衛法10条1項各号の義務(衛生推進者にあっては、衛生に係る業務に限る)を担当するため必要な能力を有すると認められる者
■ 安全管理者の資格を有する者又は衛生管理者の資格を有する者は、上記の講習音講習科目(安全衛生推進者に係るものに限る)のうち厚生労働大臣が定めるものの免除を受けることができる。
■ 上記に該当する者は、次の通り
・ 大学又は高等専門学校を卒業した者で、その後1年以上安全衛生の実務(衛生推進者にあっては、衛生の実務)に従事した経験を有するもの
・ 高等学校を卒業した者で、その後3年以上安全衛生の実務に従事した経験を有するもの
5年以上安全衛生の実務に従事した経験を有する者
・ 上記に掲げるものと同等以上の能力を有すると認められる者(安全管理者、衛生管理者の資格を有する者や、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント等)
■ 選任に係る所轄労働基準監督署長への報告義務はない。「14日以内」に選任しなければならない。
■ 事業者は、安全衛生推進者等を選任したときは、当該安全衛生推進者等の氏名を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。(安衛則12条の4)
■ 安全衛生推進者等には代理者の規定はなく、増員・解任命令もない。
■ 安全衛生推進者等には作業場等の巡視義務はない。
■ 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項(労働者の健康管理等)を行わせなければならない。
■ 産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者でなければならない。
■ 産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識に基づいて、誠実にその職務を行わなければならない。
■ 産業医を選任した事業者は、産業医に対し、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報として厚生労働省令で定めるものを提供しなければならない。
■ 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。この場合において、事業者は、当該勧告を尊重しなければならない。
■ 事業者は、上記の勧告をうけたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該勧告の内容その他の厚生労働省令で定める事項を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない。(安衛法13条)
■ 事業者は、産業医に次の事項で医学に関する専門的知識を必要とするものを行わせなければならない。(安衛則14条1項)
■ 産業医は、上記に掲げる事項について、総括安全衛生管理者に対して勧告し、又は衛生管理者を指導し、もしくは助言することができる(安衛則14条3項)
■ 産業医は、労働者の健康管理等を行うために必要な医学に関する知識及び能力の維持向上に努めなければならない。(安衛則14条7項)
■ 上記の厚生労働省令で定める情報は、次の通り(安衛則14条の2第1項)
・ 健康診断実施後の措置、各種の面談指導実施後の措置の規定により既に講じた措置又は講じようとする措置の内容に関する情報(これらの措置を講じない場合にあっては、その旨及びその理由)
・ 休憩時間を除き1週間あたり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月あたり80時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る当該超えた時間に関する情報
■ 上記の規定による情報の提供は、以下のとおり行うものとする。(安衛則14条の2第2項)
・ 健康診断等→医師又は歯科医師からの意見聴取を行った後遅滞なく提供すること
・ 各種の面談指導等→その超えた時間の算定を行った後、速やかに提供すること
・ 心理的理由による面談指導等→産業医から当該情報の提供を求められた後、速やかに提供すること
■ 事業者は、上記の勧告を受けたときは、次に掲げる事項を記録し、これを3年間保存しなければならない。(安衛則14条の3第2項)
・ 当該勧告の内容
・ 当該勧告を踏まえて講じた措置の内容(措置を講じない場合にあっては、その旨及びその理由)
■ 事業者は、業種を問わず常時50人以上の労働者を使用する事業場において、産業医を選任しなければならない。なお、選任すべき数は次のとおりである。
・ 50人以上3000人以下 1人以上
・ 3001人を超える 2人以上
■ 産業医は、次に掲げる者のうちから選任してはならない(これらの者以外のものから選任すること)
・ 事業者が法人の場合にあっては当該法人の代表者
・ 事業者が法人出ない場合にあっては事業を営む個人
・ 事業場においてその事業の実施を統括管理する者
■ 事業経営の利益の貴族主体である法人の代表者などが産業医を兼務した場合、労働者の健康管理よりも事業経営条の利益を優先し、産業医としての職務が適切に遂行されないことが考えられます。そこで、事業者は、産業医として、上記の者を選任してはならないことにしました。(平成29年4月1日施行)
■ 事業場専属基準(安衛則13条1項3号)
・ 産業医は、次の事業場にあっては、その事業場に「専属の者」でなければならない。
・ 常時1000人以上の労働者を使用する事業場
・ 次に掲げる有害な業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場
・ 労基則18条各号
・ 深夜業を含む業務
■ 産業医は、医師のうち、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について一定の要件を備えた次の者でなければならない。
・ 労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であって厚生労働大臣の指定する者(法人に限る)が行うものを修了した者
・ 産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であって厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であって、その大学が行う実習を履修したもの
・ 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
・ 大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常時勤務するものに限る)の職にあり、又はあった者
■ 産業医の選任は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に行わなければならない。
■ 事業者は、産業医を選任したときは、遅滞なく、選任報告書を所轄労働基準監督所長に提出しなければならない。(安衛則13条1項1号・2号)
■ 産業医は、少なくとも毎月1回(産業医が、事業者から、毎月1回以上、次に掲げる情報の提供を受けている場合であって、事業者の同意を選ているときは、少なくとも2月に1回)作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。(安衛則15条)
・ 安衛則11条1項の規定により衛生管理者が行う巡視の結果
・ 上記に掲げるものの他、労働者の健康障害を防止し、又は労働者の健康を保持するために必要な情報であって衛生委員会又は安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの
■ 産業医による作業場等の巡視の頻度は、「少なくとも2月に1回」とすることが認められるのは、①毎月1回以上、事業者から産業医に衛生管理者による巡視の結果などが提供されること、②事業者の同意があること、という要件を満たす場合に限られる。
■ 頻度の原則は、あくまでも「少なくとも毎月1回」である。
■ 産業医については、旅行等の際に代理者を選任しなければならないという規定はない。
■ 労働基準監督署長による行政介入の規定が設けられていない。
■ 塩酸、硝酸、硫酸等、労働者の歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務に常時50人以上の労働者を従事させる事業場については、当該労働者の歯又はその支持組織に関する事項について、適時、歯科医師の意見を菊陽にしなければならない。(安衛則14条5項)
■ 作業主任者を選任すべき作業として焼く30作業が定められているが、主な作業は次に掲げるものである。(安衛令6条)
・ 高圧室内作業
・ アセチレン溶接装置又はガス集合溶接装置を用いて行う金属の溶接等の作業
・ ボイラー(小型ボイラーを除く)の取扱いの作業
・ 放射線業務に係る作業
・ 木材加工要機械を5台以上もいいて行う作業
・ 動力により駆動されるプレス機器を5台以上用いて行う作業
・ 高さが2m以上のはい(倉庫等の荷物)のはい付け又ははい崩しの作業(機械の運転者のみの作業は除く)
・ つり足場(ゴンドラのつり足場を除く)、張り出し足場又は高さが5m以上の構造の足場の組み立て、解体又は変更の作業
・ 第1種圧力容器の取扱いの作業
・ 鉛業務に係る作業
・ 石綿等を取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業を除く)又は石綿等を試験研究のため製造する作業
■ 都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから選任しなければならない。(安衛法14条)
■ 事業者が作業主任者を選任した場合でも、選任報告書の提出義務はない。
■ 作業主任者の増員又は解任に関する労働基準監督署長の権限についての規定はない。
■ 作業主任者には代理者選任に関する規定はない。
■ 選任期限の定めはない。
■ 一般組織における安全衛生管理体制について、主要な事項をまとめておきます。比較・整理しておきましょう
・ 選任
・ 総括安全衛生管理者
・ 林鉱建運清 100人
・ 製・電・ガス・熱・水・通・卸売・小売・自動車整備・修理・ゴルフ・旅館 300人
・ その他 1000人
・ 安全管理者 50人以上
・ 衛生管理者 50-200 1人、201-500 2人、501-1000 3人、1001-2000 4人、2001-3000 5人、3001- 6人
・ 安全衛生推進者 林鉱建運清/製・電・ガス等 10人以上50人未満
・ 衛生推進者 それ以外 10人以上50人未満
・ 産業医 50人以上 1人、3000人超 2人
・ 作業主任者 規模・関係なし 高圧室内・アセチレン・機械集材・ボイラー
・ 専任
・ 総括安全衛生管理者 なし
・ 安全管理者 建設・有機化学・石油 300人、無機・肥料・道路・港湾 500人、紙・パルプ・鉄鋼・造船 1000人、林鉱建運清・ガス等 3000人
・ 衛生管理者 1000人超 1人、500人超+坑内・有害(深夜含まず)1人(衛生工学衛生管理者1人選任)
・ 安全衛生推進者・衛生推進者 なし
・ 産業医 なし
・ 作業主任者 なし
・ 専属
・ 総括安全衛生管理者 なし
・ 安全管理者 あり
・ 衛生管理者 あり
・ 安全衛生推進者・衛生推進者 あり
・ 産業医 1000人もしくは500人+有害(深夜含む)の場合
・ 作業主任者 なし
・ 選任期日 14日以内(作業主任者以外)
・ 届出
・ 署長へ報告書提出
・ 総括安全衛生管理者
・ 安全管理者
・ 衛生管理者
・ 産業医(学校医不要)
・ 署長への報告不要
・ 安全衛生推進者・衛生推進者(要周知)
・ 作業主任者(要周知)
・ 資格要件
・ 総括安全衛生管理者 なし
・ 安全管理者 研修修了+大学・高専2年、高卒4年、労働安全コンサルタント
・ 衛生管理者 衛生管理者、医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント
・ 安全衛生推進者・衛生推進者 講習修了、実務経験 大卒・高専1年、高卒3年、それ以外5年
・ 産業医 労働衛生コンサル+保健衛生、労働衛生の教授、准教授
・ 作業主任 局長免許、技能研修
・ 重要事項
・ 総括安全衛生管理者 業務執行について勧告(事業者へ)
・ 安全衛生推進者・衛生推進者 1人目から外部委託可能
・ 巡視義務
・ 総括安全衛生管理者 なし
・ 安全管理者 あり(回数義務なし)
・ 衛生管理者 あり(毎週1回)
・ 安全衛生推進者・衛生推進者 なし(恒常的に)
・ 産業医 原則月1回(報告ありの場合2月に1回)
・ 作業主任者 なし
・ 増員・解任
・ 総括安全衛生管理者 なし
・ 安全管理者 あり(署長)
・ 衛生管理者 あり(署長・事業者勧告)
・ 安全衛生推進者・衛生推進者 なし
・ 産業医 なし
・ 作業主任者 なし
・ 代理者規定
・ 総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者 あり
・ 安全衛生推進者・衛生推進者・産業医・作業主任者 なし
・ 仕事
・ 総括安全衛生管理者 指揮・統括官吏
・ 安全管理者 安全に係る技術的事項の管理
・ 衛生管理者 衛生に係る技術的事項の管理
・ 産業医 事業者及び総管に勧告・事業者は尊重・衛生管理者に指導又は助言
・ 作業主任者 労働者の指揮等
・ 選任特例
・ 総括安全衛生管理者 なし
・ 安全管理者 なし
・ 衛生管理者 あり
・ 産業医 あり
・ 安全衛生推進者・衛生推進者・作業主任者 対象外
■ 請負組織における安全衛生管理体制
・ 発注者→元請負人→下請負人→孫請負人(下及び孫は安全衛生責任者選任)
・ 隧道等の建設の仕事、橋梁の建設の仕事、圧気工法による作業を行う仕事 A30人以上、B20人以上30人未満
・ 主要構造物が鉄筋造又は鉄骨鉄筋コンクリート造である建築物の建設の仕事 A50人以上、B20人以上50人未満
・ 上記以外の建設の仕事 A50人以上 Bなし
・ A
・ 特定元方事業者→(選任)→統括安全衛生責任者→(指揮)→元方安全衛生管理者
・ 特定元方事業者→(選任)→元方安全衛生管理者
・ 統括安全衛生責任者↔(連絡)↔安全衛生責任者
・ B
・ 特定元方事業者→(選任)→店社安全衛生管理者
■ 事業者の責任を明確にして、命令系統を通じて請負組織における安全衛生管理を徹底させるための制度として、統括安全衛生責任者制度がある。
■ これは、特定元方事業者に、その労働者及びその請負人の労働者が同一の場所で作業を行うことにより生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任させて、その者に元方安全衛生管理者の指揮をさせるとともに、特定元方事業者が講じなければならない措置に関して統括管理させることを義務付けた規定である。
■ 統括安全衛生責任者は、労働者が同一の場所で作業を行うことにより生ずる労働災害を防止するため、元方安全衛生管理者を指揮し、労働災害を防止するための協議組織の設置・運営などの措置等、特定元方事業者が講じなければならない措置(安衛法30条1項各号の事項)に関して統括管理する。(安衛法15条1項)
■ 特定元方事業者とは、元方事業者のうち、特定事業(建設業、造船業)を行う者をいう。
■ 元方事業者とは、事業者で、一の場所において行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせているもの(当該事業の仕事の一部を請け負わせる契約が2以上あるため、その者が2以上あることとなるときは、当該請負契約のうち最も先次の請負契約における注文者)をいう。
■ 特定事業とは、建設業及び造船業をいう。
■ 請負に係る「建設業」と「造船業」に属する事業を行う元方事業者(特定元方事業者)は、以下の場合に統括安全衛生責任者を選任しなければならない。(安衛法15条1項、安衛令7条)
・ 特定元方事業者の労働者及び関係請負人の労働者の数の合計が常時50人以上である場合
・ 隧道等の建設の仕事、橋梁の建設の仕事(一定の場所で行われるものに限る)、圧気工法による作業を行う仕事では、常時30人以上である場合。
■ 統括安全衛生責任者も、総括安全衛生管理者と同様に、実務経験や専門知識は不要です。(安衛法15条2項)
■ 都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、統括安全衛生責任者を選任した事業者に、統括安全衛生責任者の業務の執行について勧告をすることができる。(安衛法15条5項)
■ 「14日以内」の選任期限はない。(安衛則664条3項)
■ 代理者を選任しなければならないが、「14日以内」の選任期限はない。(安衛則20条)
■ 統括安全衛生責任者を選任した事業者のうち建設業の事業を行うものは、一定の資格を有する者のうちから、元方安全衛生管理者を選任し、その者に労働災害を防止するために特定元方事業者が講じなければならない措置(法30条1項各号の事項)のうち、技術的事項を管理させなければならない。(安衛法15条の2第1項)
■ 元方安全衛生管理者の選任は、その事業場の専属の者を選任して行わなければならない。また、専属が要件とされているため、外部委託することはできない。(安衛則18条の3)
■ 元方安全衛生責任者≒安全管理者
■ 「14日以内」の選任期限はない。
■ 統括安全衛生責任者 建設業+造船業
■ 元方安全衛生管理者 建設業
■ 専門知識を有する安全衛生管理に参加させる制度として、元方安全衛生責任管理者、店社安全衛生管理者制度がある。
■ 店社安全衛生管理者の職務は、次のとおりである。
・ 少なくとも毎月1回労働者が作業を行う場所を巡視すること
・ 労働者の作業の種類その他作業の実施の状況を把握すること
・ 協議組織の会議に随時参加すること
・ 仕事の工程に関する計画及び機会、設備等の配置に関する計画が適切に作成されていることを確認すること
■ 建設業に属する元方事業者は、次のいずれかの規模の建設現場(統括安全衛生責任者を選任しなければならない場所を除く)において、店社安全衛生管理者を選任しなければならない。
・ 主要構造物が鉄骨造又は鉄骨鉄筋コンクリート造である建築物の建設の仕事で、元方事業者の労働者及び関係請負人の労働者の数が常時20人以上50人未満のもの
・ 隧道等の建設の仕事、橋梁の建設の仕事(一定の場所で行われるものに限る)、圧気工法による作業を行う仕事(労働者の数が常時20人以上30人未満のもの)
■ 店社安全衛生管理者と統括安全衛生責任者(元方安全衛生管理者)との関係
・ 造船業
・ 50人未満 選任義務なし
・ 50人以上 統括安全衛生責任者(元方安全衛生管理者不要)
・ 建設業
・ 圧気工法・隧道等・橋梁等
・ 20人未満 選任義務なし
・ 20人以上50人未満 店社安全衛生管理者
・ 50人以上 統括安全衛生責任者(元方安全衛生管理者)
・ 鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造
・ 20人未満 選任義務なし
・ 20人以上30人未満 店社安全衛生管理者
・ 30人以上 統括安全衛生責任者(元方安全衛生管理者)
・ その他の建設業
・ 50人未満 選任義務なし
・ 50人以上 統括安全衛生責任者(元方安全衛生責任者)
■ 店社安全衛生管理者の資格基準(安衛則18条の7)
・ 大学・高専 3年実務
・ 高卒 5年実務
・ 一般 8年実務
■ 「14日以内」の選任期限はない。
■ 巡視義務
・ 安全管理者 巡視(回数義務なし)
・ 衛生管理者 少なくとも毎週1回巡視
・ 産業医 原則少なくとも毎月1回巡視(一定の場合少なくとも2月に1回巡視)
・ 統括安全衛生責任者 巡視(毎作業日に少なくとも1回)
・ 元方安全衛生管理者 巡視(回数義務なし)
・ 店社安全衛生管理者 少なくとも毎月1回巡視
■ 統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人(下請負人等)で、当該仕事を自ら行うものは、安全衛生責任者を選任し、その者に統括安全衛生責任者との連絡等一定の事項を行わせなければならない。(安衛法16条1項)
■ 安全衛生責任者は、統括安全衛生責任者が選任されている場合、必ず選任しなければならない。
■ 所轄労働基準監督署長への報告書の提出は不要。遅滞なく、特定元方事業者に通報しなければならない。(安衛法16条2項)
■ 請負組織における安全衛生管理体制について、主要な事項をまとめておきます。
■ 造船業
・ 50人未満 選任義務なし
・ 50人以上 統括安全衛生責任者(→安全衛生責任者を請負人は選任する必要がある)
■ 建設業
・ 選任
・ 圧気工法・隧道・橋梁 
・ 30人以上 統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、安全衛生責任者(請負人)
・ 20人以上30人未満 店社安全衛生管理者
・ これ以外
・ 50人以上 統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、安全衛生責任者(請負人)
・ 20人以上50人未満 店社安全衛生管理者
・ 専属
・ 統括安全衛生責任者 なし
・ 元方安全衛生管理者 あり
・ 安全衛生責任者(請負人) なし
・ 店社安全衛生管理者 なし
・ 届出
14日規定なし・遅滞なく
・ 統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、店社安全衛生管理者
14日規定なし・特定元方事業者に通報
・ 安全衛生責任者(請負人)
・ 資格要件
・ 統括安全衛生責任者 なし
・ 元方安全衛生管理者 大学・高専3年以上、高校5年以上
・ 安全衛生責任者 なし
・ 店社安全衛生管理者 大学・高専3年、高校5年、一般8年
・ 重要事項
・ 統括安全衛生責任者 業務の執行について報告(事業者へ)
・ 安全衛生責任者 統括安全衛生責任者との連絡係
・ 巡視義務
・ 統括安全衛生責任者 あり(回数義務なし)
・ 元方安全衛生管理者 あり(回数義務なし)
・ 安全衛生責任者 なし
・ 店社安全衛生管理者 あり(月1回)
・ 増員・解任
・ 統括安全衛生責任者 なし
・ 元方安全衛生管理者 あり(署長→事業者)
・ 安全衛生責任者 なし
・ 店社安全衛生管理者 なし
・ 代理者規定
・ すべてあり
・ 専任
・ すべてなし
■ 政令で定める業種及び規模の事業場の事業者は、労働者の危険を防止するための基本となるべき対策等、安全に係る重要事項について調査審議をさせるため、安全に委員会を設置しなければならない。(安衛法17条1項)
・ 林業、鉱業、建設業、木材、木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業、運送業(道路貨物運送業及び港湾運送業に限る)、自動車整備業、機械修理業、清掃業 → 50人以上
・ 製造業(上記以外)、運送業(上記以外)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、卸売業、小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業 → 100人以上
■ 安全委員会の設置義務のある事業場は、必ず同時に衛生委員会(又は安全衛生委員会)を設置する必要がある。
■ 委員の指名
・ 議長 事業者が指名する
・ 議長以外の委員の半数 過半数代表者の推薦に基づき事業者が指名する
・ 議長以外の委員の半数 事業者が指名する
・ 過半数労働組合との間の労働協約に別段の定めをすることが可能
・ 衛生委員会についても、基本的に同じ(産業医や作業環境測定士の取り扱いには注意)
■ 政令で定める規模の事業場の事業者は、労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策等、衛生に係る重要事項について調査審議させるため、衛生委員会を設置しなければならない。(安衛法18条1項)
■ 衛生委員会を設置しなければならないのは、業種を問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業場の事業者である。(安衛令9条)
■ 構成員のポイント
・ 産業医のうちから事業者が指名した者(必ずしも専属である必要はなく、嘱託でも可)
・ 作業環境測定を実施している作業環境測定士(任意構成員)
■ 調査審議事項のポイント
・ 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること
・ 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労度基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること
■ 衛生委員会は、業種を問わず設置しなければならない。
■ 産業医は、衛生委員会又は安全衛生委員会に対して労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができる(安衛則23条5項)
■ 衛生委員会は、業種に関わりなく常時50人以上の労働者を使用する事業場、安全委員会は、建設業、林業等の業種では常時50人以上、旅館業、通信業等の業種では常時100人以上の労働者を使用する事業場の事業者に設置が義務付けられているが、両委員会の設置義務がある場合は、安全衛生委員会として一本化して設置することができる。
■ 安全衛生委員会の構成員は、総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で事業の実施を統括管理する者(議長)のほか、安全委員会の構成員と衛生委員会の構成員を合わせたものとなる。安全衛生委員会の調査審議事項は、安全委員会と衛生委員会の調査審議事項を合わせたものとなる。
■ 調査審議事項、構成員、委員の指名、委員会の開催、記録保存、関係労働者の意見聴取については、安全委員会、衛生委員会の規定に準じる。
■ 安全委員会、衛生委員会(安全衛生委員会)の会議の開催に要する時間は労働時間と介される。したがって、当該会議が法定時間外に行われた場合には、それに参加した労働者に対し、当然、割増賃金が支払われなければならない。(昭和47年基発602号)
■ 安全委員会、衛生委員会、安全衛生委員会の設置について、所轄労働基準監督署長への報告は必要ない。
■ 委員会(安全委員会、衛生委員会、安全衛生委員会)を設けている事業者以外の事業者(これらの委員会の設置義務のない事業場の事業者)は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聞くための機会を設けるようにしなければならない。
[安衛法] 労働安全衛生法・重要箇所・Chapter3
労働者の危険又は健康障害を防止するための措置
■ 建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事で、政令で定めるものをおこなう事業者は、爆発、火災等が生じたことに伴い労働者の救護に関する措置が取られる場合における労働災害の発生を防止するため、次の措置を講じなければならない。(安衛法25条の2)
・ 労働者の救護に関し必要な機械等の備付け及び管理を行うこと
・ 労働者の救護に関し必要な事項についての訓練を行うこと
・ 上記に掲げるもののほか、爆発、火災等に備えて、労働者の救護に関し必要な事項を行うこと
■ 上記に規定する事業者は、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、上記の措置のうち技術的事項を管理する者を選任し、その者に当該技術的事項を管理させなければならない。
■ この規定は、「建設業」についてのみ設けられている。例えば、隧道工事等において、爆発や火災が生じた場合に、さらなる災害(二次災害)が起きる可能性があり、そうした事態から労働者を守るために設けられた規定である。
■ 労働者は、事業者が労働安全衛生法20条から25条まで及び25条の2第1項の規定に基づき講ずる措置に応じて、必要な事項を守らなければならない。(安衛法26条)
■ 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉塵等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等(法57条1項の政令で定める物(いわゆる表示義務の対象物)及び法57条の2第1項に規定する通知対象物による危険性又は有害性等を除く)を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。ただし、当該調査のうち、化学物質、化学物質を含有する調剤その他の物で労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものに係るもの以外の者については、製造業その他厚生労働省令で定める業種に属する事業者に限る。(安衛法28条の2)
■ 法57条1項の政令で定める物(いわゆる表示義務の対象物)及び法57条の2第1項に規定する通知対象物による危険性又は有害性等については、平成28年6月施行の改正で新設された法57条の3の有害性の調査(義務規定)の対象となります。そのため、上記の危険性又は有害性の調査(努力義務規定)の対象から除かれています。
■ 危険性・有害性等の調査及び必要な措置の実施は、「安全管理者を選任しなければならない業種の事業場(規模にかかわらず対象となる)が対象事業場となる。
■ 化学物質等で労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものに係る調査は、「すべての事業場」が対象事業場となる。
■ 職場における労働災害の芽(リスク)を事前に摘み取るため、設備、原材料等や作業行動等に起因する危険性・有害性等の調査(リスクアセスメント)を行い、その結果に基づき、必要な措置を実施するよう努めなければならない。
■ 調査の実施時期(安衛則24条の11第1項)
・ 建設物を設置し、移転し、変更し、又は解体するとき
・ 設備、原材料等を新規に採用し、又は変更するとき
・ 作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更するとき
・ 上記に掲げられるもののほか、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉塵等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等について変化が生じ、又は生じる恐れがあるとき
■ 事業者の講ずべき措置等に違反した事業者には、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。(安衛法119条)
■ 労働者が守るべき義務(安衛法26条)に違反した場合には、50万円以下の罰金に処せられる。(安衛法120条)
■ 元方事業者は、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行わなければならない。
■ 元方事業者は、関係請負人又は関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行わなければならない。
■ 前項の指示を受けた関係請負人又はその労働者は、当該指示に従わなければならない。(安衛法29条)
■ 元方事業者とは、事業者で、1つの場所において行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせているもの(当該事業の仕事の一部を請け負わせる契約が2以上あるため、その者が2以上あることとなるときは、当該請負契約のうち最も先次の請負契約における注文者)をいう。
■ この規定は、業種の如何にかかわらず適用される。
■ この規定は、一定の場所において当該事業遂行の全般について権限と責任を有している元方事業者(業種は問いません)に、関係請負人又はその労働者に対する労働安全衛生法の遵守に関する指導、指示の義務を負わせることとしたものです。
■ 建設業に属する事業の元方事業者は、土砂等が崩落するおそれのある場所、機械等が転倒するおそれがある場所その他の厚生労働省令で定める場所において関係請負人の労働者が当該事業の仕事の作業を行うときは、当該関係請負人が講ずべき当該場所に係る危険を防止するための措置が適正に講ぜられるように、技術上の指導その他の必要な措置を講じなければならない。(安衛法29条の2)
■ 特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、次の事項に関する必要な措置を講じなければならない。(安衛法30条1項)
・ 協議組織の設置及び運営を行うこと
・ 作業間の連絡及び調整を行うこと
・ 作業場所を巡視すること
・ 関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行う。
・ 仕事を行う場所が仕事毎に異なることを状態とする業種で、厚生労働省令で定めるものに属する事業(建設業)を行う特定元方事業者にあっては、仕事の工程に関する計画及び作業場所における機械、設備等の配置に関する計画を作成するとともに、当該機械、設備等を使用する作業に関し関係請負人が労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定に基づく講ずべき措置についての指導を行う。
・ 上記に掲げるもののほか、当該労働災害を防止するため必要な事項
■ 特定元方事業者は、協議組織の設置及び運営については、次に定めるところによらなければならない。
・ 特定元方事業者及びすべての関係請負人が参加する協議組織を設置すること
・ 当該協議組織の会議を定期的に開催すること
■ 関係請負人は、上記の規定により特定元方事業者が設置する協議組織に参加しなければならない。
■ 特定事業の仕事を2以上の請負人に請け負わせている場合、規定の措置を講ずべき者として1人を指名しなければならない。(安衛法30条2項)氏名がなされないときは、労働基準監督署長が指名する。
■ 製造業その他政令で定める業種に属する事業(特定事業を除く)の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、作業間の連絡及び調整を行うことに関する措置その他必要な措置を講じなければならない。(安衛法30条の2)
■ 製造業その他の元方事業者は、随時、関係請負人との間及び関係請負人相互間における連絡及び調整を行わなければならないとともに、合図、事故現場の標識、有機溶剤等の容器の集積箇所、警報を統一し、関係請負人に周知させなければならない。(安衛則643条の2から643条の6)
■ 特定元方事業者等の講ずべき措置と異なり、「協議組織の設置及び運営を行うことに関する措置」は、製造業の元方事業者の講ずべき措置には含まれていない。
■ 特定事業の仕事を自ら行う注文者は、建設物、設備又は原材料(建設物等)を、当該仕事を行う場所においてその請負人(当該仕事が数次の請負契約によって行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む)の労働者に使用させるときは、当該建設物等について、当該労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。(安衛法31条1項)
■ 厚生労働省令で定める作業(安衛則662条の3)
・ 設備の改造、修理、精相当で当該設備を分解する作業又は当該設備の内部に立ち入る作業のこと
■ 講ずべき具体的な措置(安衛則662条の4、663条の2)
・ 安衛法31条の2の注文者(その仕事を他の者から請け負わないで注文している者に限る)は、危険性および有害性等に関する所定の事項を記載した文書を作成し、その請負人に請負人の作業開始時までに交付しなければならない。
・ 請負人は、上記の文書が交付されていないことを知ったときは、速やかにその旨を注文者に申し出なければならない。
■ 注文者は、その請負人に対し、当該仕事に関し、その指示に従って当該請負人の労働者を労働させたならば、労働安全衛生法又はこれに基づく命令に規定に違反することとなる指示をしてはならない。(安衛法31条の4)
■ 機械等で、政令で定めるものを他の事業者に貸与する者で、厚生労働省令で定めるもの(機械等貸与者)は、当該機械等の貸与を受けた事業者の事業場における当該機械等による労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。(安衛法33条)
■ 機械等貸与者の講ずべき措置など
・ 講ずべき措置
・ 機械等をあらかじめ点検し、異常を認めたときは、補修その他必要な整備を行うこと
・ 機械等の能力、当該機械等の特性その他その使用上注意すべき事項を記載した書面を交付すること
・ 対象となる機械等
・ つり上げ荷重が0.5トン以上の移動式クレーン
・ 車両系建設機械
・ 不整地運搬車
・ 作業床の高さが2メートル以上の高所作業車
■ 「機械等貸与者」というのは、いわゆるリース業者のことです。
■ 機械等の貸与を受けた者の講ずべき措置など
・ 機械等の貸与を受けた者
・ 講ずべき措置
・ 機械等を操作する者が自らの使用する労働者でないとき
・ 機械等を操作する者が必要な資格を有することの確認
・ 機械等を操作する者に対する通知
・ 作業の内容
・ 指揮の系統
・ 連絡、合図等の方法
・ 当該機械等の運行に関する事項
・ その他
・ 機械等を操作する者
・ 遵守事項
・ 機械等の貸与を受けた者からの通知事項(上記)
■ 建築物で、政令で定めるものを他の事業者に貸与する者(建築物貸与者)は、当該建築物の貸与を受けた事業者の事業に係る当該建築物による労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。ただし、当該建築物の全部を一の事業者に貸与するときは、この限りでない。(安衛法34条)
■ この規定は、いわゆる雑居ビルの災害を防止するために設けられているものです。
■ 対象となる建築物は、事務所又は工場の用に供される建築物であり、貸与は有償であると無償であるとを問わない。また、工場又は事業所には、仮設のものも含まれ、元請事業者が二以上の下請事業者の仮設の建築事務所を貸与する場合にも適用される。(昭和48年基発145号)
■ 建築物貸与者の講ずべき措置は、次の通り(安衛則670条から678条)
・ 避難用出入口の表示等
・ 共用の警報設備の有効保持
・ 共用の局所排気装置、全体排気装置、廃棄処理装置の機能の有効保持
・ 給水設備の衛生基準等の確保
・ 排水設備の機能の有効保持
・ 統一的な清掃及びこん虫の防除
・ 労働災害を防止するため必要な設備の設置についての便宜供与
・ 必要な数の便所の設置
・ 警報及び標識の統一
■ 一の貨物で、重量が1トン以上のものを発送しようとする者は、見やすく、かつ、容易に消滅しない方法で、当該貨物にその重量を表示しなければならない。ただし、包装されていない貨物で、その重量が一見して明らかであるものを発送しようとするときは、この限りでない。(安衛法35条)
■ ここでいう「貨物」というのは、いわゆるコンテナのことです。
[安衛法] 労働安全衛生法・重要箇所・Chapter4
機械等に関する規制
■ 特に危険な作業を必要とする機械等として、別表第1に掲げるもので、政令で定めるもの(特定機械等)を製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県労働局長の許可を受けなければならない。(安衛法37条1項)
■ 特定機械等とは、以下の8種類とされている(別表第1)
・ ボイラー(小型ボイラー並びに船舶用のもの及び電気事業法の適用を受けるものを除く)
・ 第一種圧力容器(小型圧力容器等を除く)
・ クレーン(つり上げ荷重3トン(スタッカー式では1トン)以上のもの)
・ 移動式クレーン(つり上げ荷重3トン以上のもの)
・ デリック(つり上げ荷重2トン以上のもの)
・ エレベータ(積載荷重1トン以上のもの)
・ 建設用リフト(ガイドレールの高さが18m以上のもの)
・ ゴンドラ
■ ただし、本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合は許可を受ける必要はなし(安衛令12条)
■ 既に許可を受けている特定機械等と同じ型式の特定機械等を製造しようとする場合は、新たに製造の許可を受ける必要はない。
■ 都道府県労働局長は、製造の許可の申請があった場合には、その申請を審査し、申請に係る特定機械等の構造等が厚生労働大臣の定める基準に適用していると認めるときでなければ、製造の許可をしてはならない(安衛法37条2項)
■ 特定機械等については、その安全性を確保するため、前述のとおり、製造しようとする者に「許可」を受けることを義務付けている。これに加えて、実際に製造した者、輸入した者、設置した者等に「検査」を受けることも義務付けている。
■ 検査には、都道府県労働局長又は登録製造時等検査機関が行うものと労働基準監督署長が行うものとがある。また、検査に合格したものには、検査証を交付する。
・ 都道府県労働局長又は登録製造時等検査機関が行う検査
・ 特定機械等の製造時の検査
・ 特定機械等の輸入時の検査
・ 特定機械等で製造時又は輸入時の検査を受けた後、一定の期間設置されなかったものを設置しようとする場合の検査
・ 一度使用を廃止した特定機械等を再び設置したり、再び使用しようとする場合の検査
・ 労働基準監督署長の行う検査
・ 特定機械等(移動式のものを除く)を設置した場合の検査(落成検査)
・ 特定機械等の厚生労働省令で定める部分を変更した場合の検査
・ 特定機械等で仕様を休止したものを再び使用しようとする場合の検査
■ 上記1-4の検査は、当該特定機械等が、「特別特定機械等以外のものであるときは都道府県労働局長」から「特別特定機械等であるときは厚生労働大臣の登録を受けた者(登録製造時等検査機関)」から受けなければならない。
■ ただし、輸入された特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について当該特定機械等を外国において製造した者が次の外国製造者検査による検査を受けた場合は、この限りでない。
■ 特別特定機械等は、「ボイラー(小型ボイラーを除く)及び第一種圧力容器(小型圧力を除く)」が特別特定機械等とされている。
■ 輸入の際には検査は不要である。
■ 上記の3,4でいう「設置」は、定置式の特定機械等で使用を廃止したものを再び設置すること(売れなかったものが売れたということ)を意味し、いわゆる「落成」とは異なります。また、「使用」は、移動式の特的機械等で使用を廃止したものを再び使用することを意味しています。
■ 次に掲げる場合には、外国において特定機械等を製造した者は、厚生労働省令で定めるところにより、輸入時等検査対象機械等について、自ら、当該特定機械等が、特別特定機械等以外のものであるときは都道府県労働局長の、特別特定機械等であるときは登録製造時等検査機関の検査を受けることができる(安衛法38条2項)
・ 当該特定機械等を本邦に輸入しようとするとき
・ 当該特定機械等を輸入した者が当該特定機械等を外国において製造したもの以外の者(国内の輸入業者等)である場合において、当該製造した者が当該業者等について、この検査が行われることを希望しないとき
■ 特定機械等の種類ごとに行われる検査は、次の通りである。
・ ボイラー
・ 製造の許可 〇
・ 輸入時検査 〇
・ 廃止後再使用検査 〇
・ 設置時検査 〇
・ 変更時検査 〇
・ 休止後検査 〇
・ 性能検査 〇
・ 検査証の有効期間 1年
・ 第1種圧力容器
・ 製造の許可 〇
・ 製造時検査 〇
・ 輸入時検査 〇
・ 廃止後再使用検査 〇
・ 設置時検査 〇
・ 変更時検査 〇
・ 休止後検査 〇
・ 性能検査 〇
・ 検査証の有効期間 1年
・ 移動式ボイラー
・ 製造の許可 〇
・ 製造時検査 〇
・ 輸入時検査 〇
・ 廃止後再使用検査 〇
・ 設置時検査 ×
・ 変更時検査 〇
・ 休止後検査 〇
・ 性能検査 〇
・ 検査証の有効期限 1年
・ クレーン
・ 製造の許可 〇
・ 製造時検査 ×
・ 輸入時検査 ×
・ 廃止後再使用検査 ×
・ 設置時検査 〇
・ 変更時検査 〇
・ 休止後検査 〇
・ 性能検査 〇
・ 検査証の有効期限 2年
・ 移動式クレーン
・ 製造の許可 〇
・ 製造時検査 〇
・ 輸入時検査 〇
・ 廃止後再使用検査 〇
・ 設置時検査 ×
・ 変更時検査 〇
・ 休止後検査 〇
・ 性能検査 〇
・ 検査証の有効期間 2年
・ デリック
・ 製造の許可 〇
・ 製造時検査 ×
・ 輸入時検査 ×
・ 廃止後再使用検査 ×
・ 設置時検査 〇
・ 変更時検査 〇
・ 休止後検査 〇
・ 性能検査 〇
・ 検査証の有効期間 2年
・ エレベータ
・ 製造の許可 〇
・ 製造時検査 ×
・ 輸入時検査 ×
・ 廃止後再使用検査 ×
・ 設置時検査 〇
・ 変更時検査 〇
・ 休止後検査 〇
・ 性能検査 〇
・ 検査証の有効期間 1年
・ 建設用リフト
・ 製造の許可 〇
・ 製造時検査 ×
・ 輸入時検査 ×
・ 廃止後再使用検査 ×
・ 設置時検査 〇
・ 変更時検査 〇
・ 休止後検査 ×
・ 性能検査 ×
・ 検査証の有効期間 設置から廃止まで
・ ゴンドラ
・ 製造の許可 〇
・ 製造時検査 〇
・ 輸入時検査 〇
・ 廃止後再利用 〇
・ 設置時検査 ×
・ 変更時検査 〇
・ 休止後検査 〇
・ 性能検査 〇
・ 検査証の有効期間 1年
■ 検査証の交付については、都道府県労働局長又は登録製造時等検査機関が交付するものと労働基準監督署長が検査証を交付するものとがある。また、労働基準監督署長が行う変更時の検査又は休止後の再使用時の検査に合格した特定機械等(移動式のものを含む)については、労働基準監督署長は、検査証にこれらの検査に合格した旨の裏書を行うこととされている。(安衛法39条)
■ 製造時の検査、輸入時の検査、廃止後の再使用時等の検査に合格した移動式の特定機械等 → 都道府県労働局長又は登録製造時等検査機関が交付
■ 設置時の検査に合格した移動式以外の特定機械等 → 労働基準監督署長が交付
■ 変更時の検査又は休止後の再使用時の検査に合格した特定機械 → 労働基準監督署長が検査証に裏書を行う。
■ 検査に合格した特定機械等について「検査証」を交付し、又はこれに裏書をすることで、正式に検査を受けていることが明らかになるようにしています。
■ 設置時や変更時の検査において安全性が確認された場合でもその後いつまでおそれが確保されるとは限らないため、使用は検査証の交付後一定期間都市、一定期間ごとに安全性をチェックする「性能検査」を受けることで、継続使用を可能としている。(安衛法41条)
・ 特定機械等については、次のように、その種類ごとに検査証に有効期間が設定されている。
・ ボイラー、第一種圧力容器、エレベータ、ゴンドラ、移動式ボイラー 1年
・ クレーン、移動式クレーン、デリック 2年
・ 建設用リフト 設置から廃止まで
・ 検査証の有効期間の更新は、厚生労働大臣の登録を受けた者(登録性能検査機関)が行う性能検査を受けることにより行う。(安衛法41条)
■ 特定機械等の安全性を確保するため、特定機械等の使用に関しては正規の検査を受けている特定機械等に限って、その使用を認め、特定機械等を譲渡し、又は貸与するときは、検査証とともにしなければならないとしている。(安衛法40条)
・ 検査証を受けていない特定機械等(労働基準監督署長が行う変更検査又は休止後の再使用検査を受けるべき特定機械等で、その検査証に検査に合格した旨の裏書をうけていないものを含む)は、使用してはならない。
・ 検査証を受けている特定機械等は、その検査証とともにするのでなければ、譲渡し、又は貸与してはならない。
■ 特定機械等以外の機械等についても、危険・有害な作業を必要とするものなどの一定の機械等については、その譲渡等については、一定の制限を加えている。
■ 特定機械等以外の機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。(安衛法42条)
■ 厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等(別表第2、安衛令13条)は、合計で約50種類あるが、その主なものとして、次に掲げる機械等がある。(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く)
・ プレス機械又はシャーの安全装置
・ クレーン又は移動式クレーンの過負荷防止装置
・ 防じんマスク
・ 防毒マスク
・ 木工加工用丸のこ盤及びその反発防止装置又は歯の接触予防装置
・ フォークリフト
・ 小型ボイラー(船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるもの及び電気事業法の適用を受けるものを除く)
・ 第2種圧力容器
・ 潜水器
・ 墜落制止用器具
・ チェンソー(内燃機関を内蔵するものであって、排気量が40立方センチメートル以上の者に限る)
・ 保護帽
・ 電動ファン付き呼吸用保護具
■ 動力により駆動される機械等で、作動部分上の突起物又は動力伝導部分もしくは調速部分に厚生労働省令で定める防護のための措置が施されていないものは、譲渡し、貸与し、又は譲渡若しくは貸与の目的で展示してはならない。(安衛法43条)
■ 厚生労働省令で定める防護のための措置は、次のとおり(安衛則25条)
・ 作動部分上の突起物 埋頭型とするか、覆いを設ける
・ 動力伝導部分・調速部分 覆いを設けるか、囲いを設ける。
■ 労働安全衛生法42条の機械等(前述の譲渡等の制限等の対象となる機械等)のうち一定のものについては、製造した者、輸入した者に「個別検定」又は「型式検定」を受けることを義務付けている。
■ 個別検定は、工作上の適否が、直接当該機械の安全性に重大な影響を及ぼすため、その工作の適否を個々に行う検定のこと
・ ゴム
・ 第二種圧力容器
・ 小型ボイラー
・ 小型圧力容器
■ 型式検定は、大量に生産されているものについてのサンプルについて安全性に重大ない影響を及ぼすかどうかを調べる検定や、検定によって検定現品が破損し、あるいは性能が劣化するなど個別に安全性を確認することが困難なものについて行う検定のこと。
・ ゴム
・ プレス機械又はシャーの安全装置
・ 防爆構造電気機械器具
・ クレーン又は移動式クレーンの過負荷防止装置
・ 防じんマスク(濾過材、面体を有するものに限る)
・ 防護マスク
・ 木材加工用丸のこ盤及びその反発予防装置又は歯の接触予防装置のうち可動式のもの
・ 動力により駆動されるプレス機械
・ 交流アーク溶剤機用自動電撃防止装置
・ 絶縁用保護具
・ 絶縁用防具
・ 保護帽
・ 電動ファン付き呼吸用保護具
■ 個別検定 → 1つずつ検定
■ 型式検定 → サンプルで検定(大量生産、検定をすると壊れてしまうもの)
■ 個別検定の対象となる機械等を輸入した者が、当該機械等を外国において製造した外国製造者以外の者(国内の輸入業者等)である場合において、当該外国製造者が当該業者等について検定が行われることを希望しないときは、外国製造者は、自ら登録個別検定機関が個々に行う当該機械等についての検定を受けることができる。(安衛法44条2項)
■ 型式検定の対象となる機械等を外国において製造した外国製造者は、次に掲げる場合には、当該機械等の型式について、自ら登録型式検定機関が行う検定を受けることができる。
・ 当該機械等を本邦に輸出しようとするとき
・ 当該機械等を輸入した者が外国製造者以外の者である場合において、当該外国製造者が当該業者等について検定が行われることについて希望しないとき
■ ボイラーその他の機械等で、政令で定めるもの(約40種類)の安全性確保のため、事業者に一定の期間ごとに自主的に検査させ、異常の早期発見と補修を行わせることが必要になってくる。そのため、事業者に定期的な自主検査及び特定自主検査の実施を義務付け、あるいは検査業者による特定自主検査を実施させることを義務付けている。
■ 定期自主検査
・ 事業者が一定期間ごとに自主的に機能のチェックをする検査
・ 定期自主検査を行うべき頻度については、特定機械等に該当するボイラーが原則として1月以内ごとに1回、特定機械等に該当するクレーン(移動式を含む)が原則1年以内ごとに1回等、法令に細かく規定が設けられているが、本試験問題で頻度そのものを直接問う出題はあまり行われていない。
■ 特定自主検査
・ 定期自主検査の対象となっている機械のうち、以下のものについて、一定の資格を有する労働者又は厚生労働大臣もしくは都道府県労働局長の登録を受けた検査業者によって行うことが義務付けられている検査
・ 検査が技術的に難しいもの
・ 事故が起きると大きな災害が発生するおそれがある機械
■ 自主検査の整理
・ 定期自主検査
・ 対象とされる機械等
・ 特定機械等
・ 第二種圧力容器
・ 乾燥設備又はその附属設備
・ アセチレン溶剤装置及びガス集合溶接装置
・ 局所排気装置
・ 除塵装置
・ 動力により駆動されるシャー又は遠心機械
・ ガンマ線照射装置 等
・ 特定樹種検査対象機械
・ その他
・ 定期自主検査を行ったときは、その結果を記録し3年間保存しなければならない。
・ 特定自主検査
・ 対象とされる機械等
・ 動力により駆動するプレス機械
・ フォークリフト
・ 建設機械で動力を用い、かつ、不特定の場所に自走することができるもののうち一定のもの(ブルドーザ、トラクター等)
・ 不整地運搬車
・ 高所作業車(作業床の高さが2メートル以上のもの)
・ その他
1年以内に1回(不整地運搬車は2年以内に1回)、一定の資格を有する労働者等が定期に行い、当該機械の見やすい箇所に、特定自主検査を行った年月を明らかにすることができる検査標章を貼り付けなければならない。
■ 特定機械等は、定期自主検査の対象となっているが、特定自主検査の対象にはなっていない。
■ 特定自主検査=定期自主検査の対象機械等のうち、特に検査が技術的に難しく、事故が発生すると重大な災害となる5種類の機械等に関する検査のことをいう。
■ 国際的な同項を踏まえ、平成27年6月1日施行の改正で、ボイラーなど特に危険性が高い機械を製造等する際に受けなければならないこととされている検査等を行う機関のうち、外国に立地するものについても、製造時等検査機関の登録を受けることができることとされた(その登録をうけて、外国にある事務所において製造時等検査の業務を行う登録製造時等検査機関を外国登録製造時等検査機関という)
■ 登録製造時等検査機関の登録→5年以上10年以内おいて政令で定める期間(5年)ごとに更新
■ 業務の休廃止→厚生労働大臣へ届出
■ 適合命令・改善命令等→厚生労働大臣が命ずる
■ 登録取消→厚生労働大臣
■ 停止命令→厚生労働大臣・6か月を超えない範囲内
■ 検査に要する政令で定める費用(外国登録製造時等検査機関負担)は、立入検査のため職員がその検査に係る事業所の所在地に出張をするのに要する旅費の額に相当するものとする。(安衛令15条の3)
■ 登録取消、停止命令→都道府県労働局長が実施
■ 登録性能検査機関、登録個別検定機関、登録型式検定機関にも適用される。
■ 外国登録の規定も準用して適用される(外国登録性能検査機関、外国登録個別検定機関、外国登録型式検定機関も認められる)
[安衛法] 労働安全衛生法・重要箇所・Chapter5
危険物及び有害物に関する規制
■ 黄りんマッチ、ベンジジン、ベンジジンを含む製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定める物(製造等禁止物質は、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。(安衛法55条)
■ 政令でさだめるもの(製造等禁止物質)(安衛令16条1項)
・ 黄りんマッチ
・ ベンジジン及びその塩
・ 四-アミノジフエニエル及びその塩
・ 石綿(石綿分析用試料当を除く)
・ 四-ニトロジフエニエル及びその塩
・ ビス(クロロメチル)エーテル
・ ベータ-ナフチルアミン及びその塩
・ ベンゼンを含有するゴムのりで、その含有するベンゼンの容量が当該ゴムのりの溶剤(希釈剤を含む)の5%を超えるもの
・ 前記までに掲げる物をその重量の1%を超えて含有し、またはその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物
■ 譲渡 有償(対価を受け取るつまりお金をもらうこと)・無償を問わず所有権を移転すること
■ 提供 所有権を留保したままで渡すことをいう。
■ 試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。(安衛法55条但書)
■ 政令で定める要件(安衛令16条2項)
・ 製造、輸入又は使用について、あらかじめ、都道府県労働局長の許可をうけること
・ 厚生労働大臣の定める基準に従って製造し、又は使用すること
■ その1 禁止事項は5項目。原則と例外を押さえる
・ 禁止事項 製造、輸入、譲渡、提供、使用
・ 例外(試験研究) 製造、輸入、使用
■ その2 本条(製造等禁止)に違反した場合、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処される(安衛法116条)
■ ジクロルベンジジン、ジクロルベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生じるおそれのある物で、政令で定めるもの(製造許可物質)を製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。(安衛法56条1項)
■ 政令で定めるもの(安衛令17条)
・ ジクロルベンジジン及びその塩
・ アルファ‐ナフチルアミン及びその塩
・ 塩素化フエニル(別名PCB)
・ オルト-トリジン及びその塩
・ ジアニシジン及びその塩
・ ベリリウム及びその化合物
・ ベンゾトリクロリド
・ 上記に掲げる物をその重量の1%を超えて含有し、又は掲げる物をその重量の0.5%を超えて含有する製剤その他の物
・ 石綿分析用試料
■ 厚生労働大臣は、この許可の申請があった場合には、その申請を審査し、製造設備、作業方法等が厚生労働大臣の定める基準に適用していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。(安衛法56条2項)
■ 法55条の製造等禁止物質も法56条の製造許可物質も、どちらも危険な物質なので安衛法で規制されているわけですが、法56条の製造許可物質の方が一般的に行われている規制であって、法55条の製造等禁止の規定は、更に厳格に規制されているものだと考え区別しておきましょう。
■ 労働者にとって、より危険度の高いのは製造等禁止物質です。そして、製造時以外にも規制が行われているのも製造等禁止物質です。
■ 爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずる恐れのある物もしくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は安衛法56条1項の物(製造許可物質)を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その容器又は包装(容器に入れ、かつ包装して、譲渡し、又は提供するときにあっては、その容器)に一定の事項を表示しなければならない。(安衛法57条)
■ 表示義務の対象物(政令でさだめる物又は法56条1項の物)(安衛令18条)
・ 製造許可物質のほか、ベンゼン、アクリルアミド等、全部で約600種類のものが定められている
■ 表示すべき事項
・ 次に掲げる事項
・ 名称
・ 人体に及ぼす作用
・ 貯蔵又は取り扱い上の注意
・ 上記に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
・ 当該表示をする者の氏名(法人にあっては、その名称)、住所及び電話番号
・ 注意喚起語
・ 安全性および反応性
・ 当該物を取り扱う労働者に注意を喚起するための標章で厚生労働大臣が定めるもの
■ 容器又は包装を用いないで譲渡等する場合
・ パイプラインによる輸送、タンクローリーによる輸送等である。
■ 主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、表示義務はない。(安衛法57条1項但書)
■ 一般消費者の生活の用に供するためのものとしては、薬事法に定められている医薬品、医薬部外品及び化粧品が含まれる。
■ 平成12年4月の労働安全衛生法の改正により新設された規定である。従来の表示等による規制を一歩進めて、いわゆる通知対象物を譲渡し、又は提供する者にたいして、相手方への文書の交付等による一定事項の通知義務を課している。
■ 労働者に危険もしくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は労働安全衛生法56条1項の製造許可物質(通知対象物)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する事項(労働安全衛生法57条2項に規定する者にあっては、同項に規定する事項を除く)を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。(安衛法57条の2第1項)
■ 通知対象物(政令で定めるもの)(安衛令18条の2)
・ アクリルアミド、アクリル酸等、全部で約600種類のものが定められている。
■ 通知すべき事項
・ 次に掲げる事項であるが、このうち、法57条2項に規定する者にあっては、同項に規定する事項を除く
・ 名称
・ 成分及びその含有量
・ 物理的及び化学的性質
・ 人体に及ぼす作用
・ 貯蔵又は取り扱い上の注意
・ 流出その他の時効が発生した場合において講ずべき応急の措置
・ 上記に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
・ 厚生労働省令で定める事項(安衛則34条の2の4)
・ 当該通知を行うものの氏名(法人にあっては、その名称)、住所及び電話番号
・ 危険性又は有害性の要約
・ 安全性および反応性
・ 適用される法令
・ その他参考となる事項
■ 通知が、通知対象物を譲渡し、又は提供するときまでに行わなければならないが、継続的に譲渡、提供する場合又は反復して譲渡、提供する場合は、当初に通知しておけばよい。
■ 一般消費者の生活の用に供するためのものとしては、薬事法に定められている医薬品、医薬部外品及び化粧品が含まれる。
■ 化学物質による労働者の危険又は健康障害を防止するための措置を強化するため、平成28年6月1日施行の改正で、一定の危険性・有害性が確認されている化学物質(表示義務の対象及び通知対象物)について、事業者に危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)を義務付けることとされた。
■ 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、労働安全衛生法57条1項の政令で定める者(表示義務の対象物)及び通知対象物による危険性又は有害性等を調査しなければならない。(安衛法57条の3)
■ 安衛法57条の3第1項の危険性又は有害性等の調査(主として一般消費者の生活のように供される製品に係るものを除く)は、次に掲げる時期に行うものとする。(安衛則34条の2の7)
・ 表示義務の対象物及び通知対象物(調査対象物)を原材料等として新規に採用し、又は変更するとき
・ 調査対象物を製造し、又は取り扱う業務に係る作業の方法又は手順を新規に採用し、又は変更するとき
・ その他、調査対象物による危険性又は有害性等について変化が生じ、又は生ずるおそれがあるとき
■ 調査は、調査対象物を製造し、又は取り扱う業務ごとに、次に掲げるいずれかの方法(調査のうち危険性に係るものであって、上記に掲げる方法に限る)により、又はこれらの方法の併用により行わなければならない。
・ 当該調査対象物が当該業務に従事する労働者に危険を及ぼし、又は当該調査対象物により当該労働者の健康障害を生ずるおそれの程度及び当該危険又は健康障害の程度を考慮する方法
・ 当該業務に従事する労働者が当該調査対象物にさらされる程度及び当該調査対象物の有害性の程度を考慮する方法
・ 上記に掲げる方法に準ずる方法
■ 授業者は、調査を行ったときは、次に掲げる事項を、調査対象物を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者に周知させなければならない。
・ 当該調査対象物の名称
・ 当該業務の内容
・ 当該調査の結果
・ 当該調査の結果に基づき事業者が講ずる労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置の内容
■ 上記の規定による周知は、「各作業場の見やすい場所に常時掲示し又は備え付けること」「書面を労働者に交付すること」「磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること」のいずれかの方法によりおこなうものとする。
■ 厚生労働大臣は、ほかの条項に定めるもののほか、法57条の3第1項及び第2項の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする
■ 厚生労働大臣は、上記の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助等を行うことができる。
■ 労働安全衛生法57条の3第1項の危険性又は有害性等の調査については、義務規定であることに注意しましょう
■ 新規化学物質を製造し、又は輸入しようとするい業者は、あらかじめ、有害性の調査を行い、その結果等を厚生労働大臣に届出なければならない。(安衛法57条の4)
■ 有害性の調査を行った事業者は、その結果に基づいて、当該新規化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要な措置を速やかに講じなければならない。(安衛法57条の3第2項)
■ 厚生労働大臣は、上記の規定による届出があった場合には、厚生労働省令で定めるところにより、有害性の調査の結果について学識経験者の意見を聴き、当該届出に係る化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要があると認めるときは、届出をした事業者に対し、施設又は設備の世知又は整備、保護具の備付けその他の措置を講ずることを勧告することができる。(安衛法57条の4第4項)
■ 以下の場合には、新規化学物質の有害性の調査の義務が免除されている。(安衛法57条の4第1項但書、安衛令18条の4)
・ 新規化学物質について予定されている製造又は取り扱いの方法等からみて、労働者が当該新規化学物質にさらされるおそれがない旨の厚生労働大臣の確認を受けたとき
・ 新規化学物質に関し、すでに得られている知見等に基づき有害性がない旨の厚生労働大臣の確認を受けたとき
・ 新規化学物質を試験研究のために製造し、又は輸入しようとするとき
・ 新規化学物質が主として一般消費者の生活の用に供される製品として輸入される場合
・ 新規化学物質について、一の事業場における1年間の製造量又は輸入量が100キログラム以下である旨の厚生労働大臣の確認を受け、確認を受けたところにしたがってその新規化学物質を製造し、又は輸入しようとするとき
■ 厚生労働大臣は、新規化学物質の有害性の調査を行った事業者からその名称、調査結果等の届出があった場合(有害性がない旨の厚生労働大臣の確認をうけたときを含む)、原則として、届出の受理後1年以内に当該新規化学物質の名称を公表するものとされており、当該公表は、3月以内ごとに1回、定期に、官報に公表することにより行うものとされている。(厚年法57条の4第3項、安衛則34条の14)
■ 厚生労働大臣は、がんその他の重度な健康障害を生ずるおそれがある化学物質については、その化学物質を製造し、輸入し、又は使用している事業者等に対し、政令で定める有害性の調査の実施及びその結果の報告を指示することができる。
■ なお、厚生労働大臣はこの指示を行おうとするときは、あらかじめ、学識経験者の意見を聞かなければならない。(安衛法57上の5)
■ 国は、有害性の調査の適切な実施に資するため、化学物質について、有害性の調査を実施する施設の整備、資料の提供その他必要な援助に務めるほか、自ら有害性の調査を実施するように務めるものとする。(安衛法58条)
[安衛法] 労働安全衛生法・重要箇所・Chapter6
労働者の就労にあたっての措置
■ 事業者は、労働者を雇い入れたとき、又は労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対して、当該労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行わなければならない。
■ 上記の教育は、違いなく、行わなければならず、以下の安全衛生教育の事項のうち当該労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項について、行わなければならない。(安衛法59条、安衛則35条)
■ 安全衛生教育の事項と省略
・ 省略
・ 安衛令2条3号の業種(安全管理者を選任すべき業種以外の業種)の事業場の労働者については、省略することができる。
・ したがって、各種商品小売業(百貨店)や燃料小売業などについては、省略できない。
■ 安全衛生教育の事項の全部又は一部に関し十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該事項についての教育を省略することができる。
■ 作業内容を変更したときとは、異なる作業に転換したとき、作業設備、作業方法等について大幅な変更をしたときをいう。これらについて軽易な変更があった場合は含まれない。(昭和47年基発602号)
■ 雇入れ時の安全衛生教育は、対象となる労働者を常時使用する労働者に限定しているわけではない。
■ 法令上規定されていないが、事業者は労働者の従事する業務内容をよく検討し、その業務に関して安全又は衛生を確保するために必要とされる教育が、十分に実施されるようにしなければならない。
■ 安全衛生教育の実施は、所定労働時間に行うことを原則とする。(昭和47年基発602号)
■ 安全衛生教育の実施に要する時間は労働時間と解され、法定労働時間外に行われた場合には、割増賃金が支払われなければならない。(昭和47年基発602号)
■ 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行わなければならない。(安衛法59条3項)
■ 特別教育を必要とする業務は、40種類以上もの業務が定められている。主なものは次の通り。
・ 研削といしの取替等の業務
・ 動力プレス機械の金型当の取り付け等の業務
・ アーク溶接当の業務
・ 最大荷重1トン未満のフォークリフトの運転(道路上を走行させる運転を除く)
・ 最大積載量が1トン未満の不整地運搬車の運転(道路上を走行させる運転を除く)
・ チェーンソーを用いて行う立木の伐採、かかり木の処理又は造材の業務
・ 作業床の高さが10メートル未満の高所作業車の運転(道路上を除く)
・ 小型ボイラーの取扱いの業務
・ つり上げ荷重が5トン未満の小型クレーン等の運転の業務
・ つり上げ荷重が1トン未満の移動式クレーンの運転の業務
・ つり上げ荷重が5トン未満のデリックの運転の業務
・ 建設用リフトの運転の業務
・ つり上げ荷重が1トン未満のクレーン・移動式クレーン又はデリックの玉掛の業務
・ ゴンドラの操作の業務
・ 高圧室内作業に係る業務
・ 四アルキン鉛等業務
・ 酸素欠乏危険場所における作業に係る業務
・ エックス線装置又はガンマ線照射装置を用いて行う桃花写真の撮影の業務
・ 隧道等の掘削の作業等に係る業務
・ 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集塵機等の設備の保守点検等の業務
・ 石綿等に使用されている解体等対象建築物等の解体等の作業の業務
・ 足場の組み立て、解体又は変更の作業に係る業務
・ ロープ高所作業に係る業務
・ 高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務
■ 特別教育における教育事項及び教育時間は、業務の種類に応じたそれぞれ告示されているが、事業者は、特別教育の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる者については、当該科目についての特別教育を省略することができる(安衛則37条)
■ 事業者は、特別教育を行ったときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを3年間保存しなければならない。(安衛則38条)
■ 労働安全衛生法に基づく特別の教育や職長教育を企業外で行う場合には、講習会費、旅費等についても事業者が負担すべきものである(昭和47年基発602号)
■ 職長その他の現場の監督者が、誤った作業方法の決定や部下に対する不適切な監督指導を行うことによって生じる労働災害の発生を防止するため、新しく職長等に就いたものに対して、一定の事項についての安全又は衛生のための教育の実施を事業者に義務付けている。
■ 事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくことになった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く)に対して、安全又は衛生のための教育をしなければならない。(安衛法60条)
■ 職長等に対する安全衛生教育は、職長としてどのような方法で作業の手順を定めるか、いかにして部下の作業者を監督指導するかに重点が置かれている。
■ 安全衛生教育とは異なり、作業内容を変更したときに職長等の教育を行う必要はない。
■ 職長等の教育を行うべき業種(安衛令19条)
・ 建設業
・ 製造業(ただし、次に掲げる物を除く)
・ 食料品・タバコ製造業(うまみ調味料製造業及び動植物油脂製造業を除く)
・ 繊維工業
・ 衣服その他の繊維製品製造業
・ 紙加工品製造業
・ 新聞業、出版業、精本業及び印刷物加工業
・ 電気業
・ ガス業
・ 自動車整備業
・ 機械修理業
■ 職長等の教育事項
・ 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること
・ 労働者に対する指導又は監督の方法に関すること
・ 上記に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な事項として、安衛法28条の2第1項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること、異常時等における措置に関すること、その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること
■ 教育事項の省略(安衛則40条2項、3項)
・ 事業者は、職長教育に係る教育事項の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる者については、当該事項に関する教育を省略することができる。この職長等の教育については、合計で12時間以上行うこととされている。
■ 危険有害業務に就いている者に対する教育(安衛法60条の2)
・ 事業者は、特別教育、職長等の教育のほか、その事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、危険又は有害な業務に現に就いている者に対し、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行うよう努めなければならない。
・ 厚生労働大臣は、上記の教育の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
・ 厚生労働大臣は、上記の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導等を行うことができる。
■ 指定事業場又は所轄都道府県労働局長が労働災害の発生率等を考慮して指定する事業場の事業者は、安全又は衛生のための教育に関する具体的な計画を作成しなければならない。また、この場合、事業者は、毎年4月30日までに、前年度においてその計画に基づいて行った教育の実施結果を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。(安衛則40条の3第1項、2項)
■ 安全衛生教育について、主要な事項をまとめておきます。
・ 雇入れ時、作業内容変更時の安全衛生教区(安衛法59条1項・2項)
・ 常用労働者に限らず、臨時工、パートタイマー当を含めて、雇用する全労働者が対象
・ 省略 教育事項について十分な知識及び技能を有する者については、当該項目の教育を省略することができる。
・ 教育時間については規定なし
・ 屋内作業・非工業的業種では、一定の教育項目についての省略が可能
・ 特別教育(安衛法59条3項、安衛則36条)
・ 危険又は有害業務で、安衛則36条に規定する業務に従事する労働者全員が対象
・ 省略 教育事項について十分な知識及び技能を有する者については、当該項目の教育を省略することができる。
・ 教育事項、教育時間については、業務の種類ごとに告示されている。
・ 記録の保存(3年間)が必要
・ 職長等の教育(安衛法60条、安衛令19条)
・ 建設業・製造業等の安衛令19条に規定する業種で、新たに職務に就く職長等が対象
・ 省略 教育事項について十分な知識及び技能を有する者については、当該項目の教育を省略することができる。
・ 12時間以上
・ 作業主任者については、職長教育不要
■ クレーンの運転等の特定の危険な業務については、必要な知識、技能を有しない者が就業することによって生じる事故を未然に防ぐとともに労働者が受ける危害をも防止するために、業務の危険性の程度に応じて、都道府県労働局長の免許を受けた者、技能講習を修了した者等の資格者でなければ就業させてはならないことを定めた規定である。(安衛法61条)
■ 事業者は、クレーンの運転等の特定の危険な業務については、一定の資格を有する者等でなければ、当該業務に就かせてはならない。また、一定の資格を有する者等以外の者は、当該業務を行ってはならない(安衛法61条1項・2項)
■ 前記に掲げる危険な業務に就くことができる者は、それぞれの業務の区分におうじて、次の3つに大別される(安衛法61条1項)
・ 都道府県労働局長の免許を受けた者
・ 都道府県労働局の登録を受けた者が行う技術講習を修了した者
・ その他厚生労働省令で定める資格を有する者
■ 就業制限業務に就くことができる者が、当該業務に従事売るときは、免許証その他その資格を証する書面を携帯しなければならない。(安衛法61条3項)
■ この規定については、労働者にも罰則が科せられることとされている。
■ 就業制限業務(安衛令20条)
・ 発破の場合におけるせん孔、装填、結線、点火及び不発の装薬又は残薬の点検及び処理の業務
・ 制限荷重が5トン以上の揚貨装置の運転の業務
・ ボイラー(小型ボイラーを除く)の取扱いの業務
・ ボイラー又は第一種圧力容器(小型圧力容器を除く)の溶接の業務
・ ボイラー又は第一種圧力容器の整備の業務
・ つり上げ荷重5トン以上のクレーン(跨線テルハを除く)の運転の業務
・ つり上げ荷重が1トン以上の移動式クレーンの運転の業務
・ つり上げ荷重が5トン以上のデリックの運転の業務
・ 潜水器を用い、かつ、空気圧縮機もしくは手押しポンプによる送気又はボンベからの給気を受けて、水中においておこなう業務
・ 可燃性ガス及び酸素を用いて行う金属の溶接、溶断又は加熱の業務
・ 最大荷重が1トン以上のフォークリフトの運転の業務
・ 作業床の高さが10メートル以上の高所作業車の運転の業務
■ 就業制限と特別教育との関係
・ 移動式クレーンの場合
・ つり上げ荷重1トン未満 → 特別教育
・ つり上げ荷重1トン以上 → 就業制限
■ 事業者は、中高年齢者その他労働災害の防止その終業にあたって特に配慮を必要とする者については、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行うように努めなければならない。(安衛法62条)
■ 身体障害者、出稼ぎ労働者等が含まれる。
[安衛法] 労働安全衛生法・重要箇所・Chapter7
健康の保持増進のための措置
■ 事業者に対し、有害な業務を行う屋内作業場等一定の作業場について、労働者の安全・衛生の見地から作業環境測定義務とその結果の記録義務、その結果に基づく適切な措置を行う義務を課している。また、長時間の労働が人体に及ぼす影響が大きいものについて作業時間を制限している(安衛法65条から65条の4)
■ 記録の保存
・ 原則 3年
・ 例外
・ 放射線の測定結果(5年間)
・ 土石等の粉塵の測定結果(7年間)
・ 特定化学物質のうち、クロム酸等の測定結果(30年間)
・ 石綿等の測定結果(40年間)
■ 指針の公表等(安衛法65条3項、4項)
・ 厚生労働大臣は、作業環境測定の適切かつ有効な実施を図るため必要な作業環境測定指針を公表するものとする。
・ 厚生労働大臣は、作業環境測定指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者若しくは作業環境測定機関又はこれらの団体にたいし、当該作業環境測定指針に関し必要な指導等をすることができる。
■ 作業環境測定実施の指示(安衛法65条5項)
・ 都道府県労働局長は、作業環境の改善により労働者の健康を保持する必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、作業環境測定の実施その他必要な事項を指示することができる。
■ 事業者は、上記の規定による作業環境測定の結果の評価に基づいて、労働者の健康を保持するため必要があると認められるときは、厚生労働省令で定めるところにより、施設又は設備の設置又は整備、健康診断の実施その他の適切な措置を講じなければならない。
■ 事業者は、上記の評価を行うにあたっては、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める作業環境評価基準に従って行わなければならない。
■ 事業者は、上記の規定による作業環境測定の結果の評価を行ったときは、厚生労働省令で定めるところにより、その結果を記録しておかなければならない。
■ 記録の保存
・ 原則 3年
・ 例外
・ 粉塵の評価結果(7年間)
・ 特定化学物質のうち、ベリリウム及びその化合物並びにクロム酸等の評価結果(30年間)
・ 石綿等の評価結果(40年間)
■ 管理区分
・ 厚生労働大臣が定める作業環境評価基準に基づく評価は、単位作業所の作業環境の状態を、第1管理区分から第3管理区分に分けることにより行う。
・ 第1管理区分
・ 当該作業環境中の95%以上の場所で有害物濃度が管理濃度を超えない状態
・ 作業環境管理が適切であると判断される
・ 第2管理区分
・ 当該作業場の作業環境中の有害物濃度の平均が管理濃度を超えない状態
・ なお改善の余地があると判断される。
・ 第3管理区分
・ 当該作業場の作業環境中の有害物濃度の平均が管理濃度を超える状態
・ 作業環境管理が適切でないと判断される
■ 事業者は、労働者の健康を配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならない。(安衛法65条の3)
■ 事業者は、潜水業務その他の健康障害を生ずる恐れのある業務で、厚生労働省令で定めるものに従事させる労働者については、厚生労働省令で定める作業時間についての基準を違反して、当該業務に従事させてはならない。(安衛法65条の4)
・ 潜水業務と高圧室内業の2業務のみ(厚生労働省令で定めるもの)
■ 健康診断には、大きく分けて、一般健康診断と特殊健康診断の2つがあり、その他に都道府県労働局長の権限として事業者に実施の指示を行う臨時の健康診断、労働者が自ら行う自発的健康診断がある。(安衛法66条1項)
■ 健康診断の種類
・ 一般健康診断(安衛法66条1項)
・ 雇入れ時の健康診断
・ 定期健康診断
・ 定期健康診断(特定の業務に配置換えの際の健康診断)
・ 海外派遣労働者の健康診断
・ 給食従業員の健康診断
・ 特殊健康診断(安衛法66条2項・3項)
・ 特定の有害業務の健康診断(有害業務に従事中と過去に従事の2つのパターンがある。それぞれ、特別の項目の健康診断が必要)
・ 歯科健康診断
・ 臨時の健康診断(安衛法66条4項・5項)
・ 都道府県労働局長は、労働者の健康を保持するため必要があると認める場合においては、労働衛生指導医の意見に基づき、事業者に対し、臨時の健康診断の実施その他必要な事項を指示することができる。(安衛法66条4項)
・ 自発的健康診断(安衛法66条の2)
・ 午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間における業務(深夜業)に従事する労働者であって、その深夜業の回数その他の事項が深夜業に従事する労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する者は、厚生労働省令で定めるところにより、自ら受けた健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出することができる。
■ 労働者は、事業者が行う健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行う健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師の行うこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。(安衛法66条5項)
■ 事業者は、安衛法66条1項から4項までの規定に定めるところにより、労働者に対し医師等による健康診断を実施し、当該労働者ごとに診断区分(異常なし、要観察、要医療等の区分)に関する医師等の判定を受けるものとする。
■ なお、健康診断の実施に当たっては、事業者は受診率が向上するよう労働者に対する周知及び指導に努める必要がある。
■ また、産業医の選任義務のある事業場においては、事業者は、当該事業場の労働者の健康管理を担当する産業医に対して、健康診断の計画や実施上の注意等について助言を求めることが必要である。(平成27年公示8号)
■ 労働安全衛生法の規定により実施される健康診断の費用については、労働安全衛生法で事業者に実施の義務を課している以上、事業者が当然負担すべきものである。(昭和47年基発602号)
■ 一般健康診断 当然には、事業者が負担するものではないが、受信に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい。
■ 特殊健康診断 事業の遂行上当然実施しなければならないものであるので、所定労働時間内に実施することを原則とする。所定労働時間外に行われた場合には、割増賃金を支払わなければならない。(昭和47年基発602号)
■ 安衛法65条の2第1項(作業環境測定の結果の評価等)及び66条1項から4項までの規定による健康診断(一般健康診断、特殊健康診断、臨時の健康診断)並びに66条の8第1項の規定による面接指導の実施の事務に従事した者は、その実施に関して知り得た労働者の秘密を漏らしてはならない。(安衛法104条)
■ 上記の規定に違反した場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される(安衛法119条)
■ 雇入れ時の健康診断の項目(全11項目)(安衛則43条)
・ 既往歴及び業務歴の調査
・ 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
・ 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
・ 胸部エックス線検査
・ 血圧の測定
・ 血色素量及び赤血球数の検査(貧血検査)
・ 肝機能検査
・ 血中脂質検査
・ 血糖検査
・ 尿中の糖および蛋白の有無の検査(尿検査)
・ 心電図検査
■ 雇入れ時の健康診査については、医師による健康診断を受けた後、3月を経過していない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する証書を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、行う必要がない。
■ いわゆるパートタイム労働者であっても、次の2つの要件を満たす労働者に対しては、一般健康診断を実施しなければならない。
・ 期間の定めのない労働契約により使用される者であること(期間の定めのある労働契約(有期労働契約)により使用される者のうち、軽客期間が1年以上(特定業務従事者の場合は6月)である者、契約更新により1年以上使用されることが予定されている者、1年以上引き続き使用されている者を含む)
・ 1週間の労働時間数(所定労働時間)がその事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上であること(所定労働時間数が通常の労働者の4分の3未満であっても概ね2分の1以上であれば一般健康診断を実施することが望ましいものとされている)
■ 一定の要件を満たしたパートタイム労働者も健康診断の対象労働者となる。
■ 定期健康診断の項目(全11項目)(安衛則44条1項)
・ 既往歴及び業務歴の調査
・ 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
・ 身長、体重、腹囲、視力及び聴力
・ 胸部エックス線検査及び喀痰検査
・ 血圧の測定
・ 貧血検査
・ 肝機能検査
・ 血中脂質検査
・ 血糖検査
・ 尿検査
・ 心電図検査
■ 定期健康診断の項目のうち、次に掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる(平成22年厚労告25号)
・ 身長の検査
・ 20歳以上の者
・ 腹囲の検査
・ 40歳未満の者(35歳の者を除く)
・ 妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断されたもの
・ BMIが20未満の者
・ 自ら腹囲を測定し、その値を申告したもの(BMI22未満)
・ 胸部X線検査
・ 40歳未満の者(20、25、30歳及び35歳の者を除く)で、次のいずれにも該当しない者
・ 学校、病院、診療所、助産所、介護老人保健施設又は特定の社会福祉施設において業務に従事する者
・ 常時粉じん作業に従事する労働者で、じん肺管理区分が管理1の者、又は常時粉じん作業に従事させたことがある労働者等のうちじん肺管理区分が管理2の者
・ 喀痰検査
・ 胸部X線検査によって病変の発見されない者
・ 胸部X線検査によって結核発病のおそれがないと診断されて者
・ 胸部X線検査の省略対象者
・ 貧血検査、肝機能検査、血糖検査、血中脂質検査及び心電図検査 40歳未満の者(35歳を除く)
■ 多量の高熱物体を取り扱う事業及び著しく暑熱な場所における業務、ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務、坑内における業務、深夜業を含む業務、病原体によって汚染のおそれが著しい業務など、産業医の専属基準に係る有害な業務(安衛則13条1項3号に規定)と同じ業務とされている(有害業務)
■ 事業者は、労働者を本邦外の地域に6月以上派遣しようとするときは、あらかじめ、当該、労働者に対し、定期健康診断の項目及び厚生労働大臣の定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。
■ 事業者は、本邦外の地域に6月以上派遣した労働者を本邦の地域内における業務につかせるとき(一時的につかせるときを除く)は、当該労働者に対し、定期健康診断の項目及び厚生労働大臣の定める項目のうち医師が必要があると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。(安衛則45条の2)
■ 厚生労働大臣が定める項目
・ 派遣前・派遣後共通
・ 腹部画像検査
・ 血液中の尿酸の量の検査
・ B型肝炎ウィルス抗体検査
・ 派遣前
・ ABO式及びRH式の血液型検査
・ 派遣後(帰国後)
・ 糞便塗抹検査
■ 事業者は、事業に付属する食堂又は炊事場における給食の業務に従事する労働者に対し、その雇入れの際又は当該業務への配置換えの際、検便による健康診断を行わなければならない。(安衛則47条)
■ 給食従業員の検便による健康診断は、定期に行う必要はない。
■ 対象となる有害業務の種類と実施時期(安衛令22条1項)
・ 四アルキル鉛等業務 6月以内ごとに1回
・ 高圧室内作業にかかる業務及び潜水業務 6月以内ごとに1回
・ 有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務 6月以内ごとに1回
・ 放射線業務 6月以内ごとに1回
・ 特定化学物質等を製造し、若しくは取り扱う業務、又は製造禁止物質を試験研究のため製造し、若しくは使用する業務 6月以内ごとに1回(一定の項目については1年以内ごとに1回)
・ 鉛業務 6月以内ごとに1回(一定の項目については1年以内ごとに1回)
・ 石綿等を取り扱う業務等 6月以内ごとに1回
■ 配置転換した労働者に対する特別の項目の健康診断(特定の有害業務に過去に従事させたことがある労働者が対象)
■ 対象となる有害業務等(安衛令22条2項)
・ 対象となる有害業務は、石綿、ベンジジン及びその塩を取り扱う業務などの安衛令22条2項に規定する業務とする。
・ これらの業務に従事させたことのある労働者で、配置転換後も現に使用している者については、その配置転換後も、医師による特別の項目の健康診断を行わなければならない。
■ 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、歯科医師による健康診断を行わなければならない。(安衛法66条3項)
■ 政令で定めるもの(安衛令22条3項)
・ 塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉塵を発散する場所における業務とされる。
■ 歯科医師による健康診断の頻度(安衛則48条)
・ 雇入れの際、当該業務への配置替えの際及び当該業務に就いた後6月以内ごとに1回、定期に、歯科医師による健康診断を行わなければならない。
■ 自発的健康診断の結果提出(安衛法66条の2)
■ 厚生労働省令で定める要件(安衛則50条の2)
・ 常時使用され、自ら受けた健康診断を受けた日前6月間を平均して1月あたり4回以上深夜業に従事したこと
■ 書面の提出(安衛則50条の3)
・ 安衛則50条の2で定める要件に該当する労働者は、安衛則44条1項各号に掲げる項目の全部又は一部について、自ら受けた医師による健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出することができる。ただし、当該健康診断を受けた日から3月を経過したときは、この限りでない。
■ 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、一般健康診断、特殊健康診断、臨時の健康診断若しくは労働者の受信義務の例外による健康診断又は自発的健康診断の結果を記録しておかなければならない。
■ 事業者は、上記の健康診断の結果に基づき、健康診断個人票を作成し、これを5年間保存しなければならない。
■ 特殊健康診断についての保存期間
5年
・ 特殊健康診断のうち以下のもの
・ 有機溶剤
・ 鉛
・ 四アルキル鉛
・ 特定化学物質(特別管理物質を除く)
・ 高気圧作業
30年
・ 特殊健康診断のうち、以下のもの
・ 特定化学物質健康診断(特別管理物質(例:ベンゼン))
・ 電離放射線健康診断
40年
・ 石綿健康診断
・ 当該労働者が当該事業場において常時業務に従事しなくなった日から40年間保存しなければならない。
■ 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、定期健康診断、特定業務従事者の健康診断、歯科健康診断(定期のものに限る)を行ったときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書を所定労働基準監督署長に提出しなければならない。(安衛則52条)
■ 事業者は、特殊健康診断(定期のものに限る)を行ったときは、使用する労働者の人数にかかわらず、結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。(有機則30条の3等)
■ 定期健康診断結果報告書には、当該健康診断を当該事業場の産業医が行わず企業外の健康診断実施機関が実施した場合であっても、当該事業者の産業医の記名押印又は署名がなされなければならない。(安衛法13条において、産業医に労働者の健康管理を行わせなければならないと規定しており、産業医に当該事業場の労働者の健康診断の実施結果を承知させることが、その後の適切な健康管理に必要であるため)
■ 事業者は、一般健康診断、特殊健康診断、臨時の健康診断若しくは受信義務の例外に係る健康診断又は自発的健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。(安衛法66条の4)
■ 意見聴取の期間等(安衛則51条の2第1項・2項)
・ 自発的健康診断以外の健康診断
・ 期間 3月以内
・ 健康診断が行われた日(労働者が事業者の指定した医師又は歯科医師による健康診断を受けることを希望しない場合にあっては、当該労働者が受けた他の医師又は歯科医師による健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出した日)から3月以内に行うこと
・ 聴取した意見を健康診断個人票に記載する
・ 医師又は歯科医師
・ 自発的健康診断
・ 期間 2月以内
・ 健康診断の結果を証明する書面が事業者に提出された日から2月以内位に行うこと
・ 聴取した意見を健康診断個人票に記載する
・ 医師
■ 安衛法66条の4の規定に基づく医師等からの意見聴取について、事業者は、産業医の選任義務のある事業場においては、産業医が労働者個人ごとの健康状態や作業内容、作業環境についてより詳細に把握し得る立場にあることから、産業医から意見を聴くことが適当である。なお、産業医の選任義務のない事業場においては、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師等から意見を聴くことが適当であり、こうした医師が労働者の健康管理等に関する相談等に応ずる地域産業保健センターの活用を図ること等が適当である。(平成27年公示8号)
■ 事業者は、医師又は歯科医師から、上記の意見聴取を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を求められたときは、速やかに、これを提供しなければならない。(安衛則51条の2第3項)
■ 事業者は、各種健康診断の結果に基づき医師又は歯科医師が意見聴取を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を、当該医師又は歯科医師から求められたときは、速やかに、当該医師又は歯科医師にこれを提供しなければならないこととするもの
■ 事業者は、上記の医師又は歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認められるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備、当該医師又は歯科医師の意見の衛生委員会もしくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない。(安衛法66条の5)
■ この措置のため労働時間が短くなった労働者に、休業手当を支払う必要はない。
■ 健康診断実施後の再検査又は精密検査は、診断の確定や症状の程度を明らかにするものであり、一律には事業者にその実施が義務付けられているものではないが、有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則、高気圧作業安全衛生規則及び石綿障害予防規則に基づく特殊健康診断として規定されているものについては、事業者にその実施が義務付けられているので留意する必要がある。(平成27年公示8号)
■ 事業者は、一般健康診断(雇入れ時の健康診断、定期健康診断、定期健康診断(遊学業務)、海外派遣労働者の健康診断、給食従業員の健康診断)、特殊健康診断及び臨時の健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、当該健康診断の結果を通知しなければならない。(安衛法66条の6、安衛則51条の4)
■ 就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮等の措置を講じなくても、罰則の適用はないが、通知義務に違反した事業者については、50万円以下の罰金に処される(安衛法120条)
■ 事業者は、一般健康診断(受信義務の例外に係る健康診断を含む)又は自発的健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師、保健師による保健指導を行うように努めなければならない。(安衛法66条の7)
■ 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者(労働安全衛生法66条の8の2第1項に規定するもの及び66条の8の4第1項に規定する者を除く)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状態を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう)を行わなければならない。
■ 労働者は、上記の規定により事業者が行う面接指導を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合において、他の医師の行う上記の規定による面接指導に相当する面接指導を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。
■ 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、上記の但書の規定による面接指導の結果を記録しておかなければならない。
■ 事業者は、上記の規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなければならない。
■ 事業者は、上記の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない。(安衛法66条の8)
■ 面接指導の対象となる労働者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月あたり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者である。ただし、次の期日前1月以内に面接指導を受けた労働者その他これに類する労働者であって面接指導を受ける必要がないと医師が認めた者は除かれる。(安衛則52条の2)
■ 上記の超えた時間の算定は毎月1回以上、一定の期日を定めて行わなければならない。
■ 事業者は、上記の超えた時間の算定を行ったときは、速やかに、その超えた時間が1月あたり80時間を超えた労働者に対し、当該労働者に係る当該超えた時間に関する情報を通知しなければならない。
■ 「80時間」には、休日の労働時間も含まれる。
■ 毎月1回以上行うこととされている「休憩時間を除く1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間の算定」を行ったときは、事業者は、速やかに、その超えた時間が1月あたり80時間を超えた労働者に対し、その超えた時間に関する情報を通知しなければならない。
■ 所定労働時間が1週間当たり40時間に満たない事業場においても、1週間当たり40時間(法定労働時間)を超えた時間を算定すればよい。(平成30年基発1228第16号)
■ 通知の方法は、当該超えた時間を書面又は電子メール当により通知する方法が適当である。なお、給与明細に時間外・休日労働時間数が記載されている場合には、これをもって労働時間に関する情報の通知としても差し支えない。(平成30年基発1228第16号)
■ 安衛法66条の8の面接指導は、上記の要件に該当する労働者の申出により行うものとする。
■ 上記の申出は上記の期日後、遅滞なく行うものとする
■ 事業者は労働者から上記の申出があったときは、遅滞なく、安衛法66条の8の面接指導を行わなければならない。
■ 産業医は、上記の要件に該当する労働者に対して、上記の申出をするよう勧奨することができる。
■ 医師は、安衛法66条の8の面接指導を行うにあたっては、面接指導の実施の申出を行った労働者に対し、次に掲げる事項について確認を行うものとする。
・ 当該労働者の勤務の状況
・ 当該労働者の疲労の蓄積の状況
・ 上記のほか、当該労働者の心身の状況
■ 事業者は、安衛法66条の8の面接指導(法66条の8第2項但書の場合において当該労働者が受けた者を含む)の結果に基づき、当該安衛法66条の8の面接指導の結果の記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。(安衛則52条の6)
■ 面接指導を実施する医師としては、産業医、産業医の要件を備えた医師等労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師が望ましい。
■ 面接指導の費用については、労働安全衛生法で事業者に面接指導の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものである。
■ 面接指導を受けるのに要した時間にかかる賃金の支払については、当然には事業者の負担すべきものではなく、労使協議して定めるべきものであるが労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営に不可欠な条件であることを考えると、面接指導を受けるのに要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい。
■ 派遣労働者に対する面接指導は、派遣元事業主に実施義務が課せられる。なお、派遣労働者の労働時間については、実際の派遣就業した日ごとに始業し、及び終業した時刻並びに休憩した時間について、労働者派遣法に基づき派遣先が派遣元事業主に通知することとなっており、面接指導が適正に行われるためには派遣先及び派遣元の連携が不可欠である。
■ 新技術・新商品等の研究開発業務に係る面接指導等
・ 上記の「厚生労働省令で定める時間」は、休憩時間を除く1週間あたり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間について、1月あたり100時間とする。
・ 安衛法66条の8の面接指導に係る安衛則52条の2第2項、52条の3第1項、52条の4、52条の5、52条の6などの規定は、一定の読み替えの上、上記の同法66条の8の2の面接指導にも準用する。
・ 超えた時間の算定は、毎月1回以上、一定の期日を定めて行わなければならない。
・ 安衛法66条の8の2の面接指導は、上記の期日後、遅滞なく行うものとする。
・ 医師は、安衛法66条の8の2の面接指導を行うにあたっては、労働者に対し、所定の事項について確認を行うものとする。
・ 事業者は、安衛法66条の8の2の面接指導の結果に基づき、その結果の記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。
■ 新技術・新商品等の研究開発業務については、労基法において、時間外労働の上限規制を適用しないこととされていますが、安衛法において、平成31年4月1日を施行日として、上記の面接指導等の規定が設けられています。
■ この新技術・新商品等の研究開発業務に係る面接指導(安衛法66条の8の2)は、その労働時間が休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間(時間外・休日労働時間)が、1月あたり「100時間」を超える労働者にたいし、当該労働者の申出の有無にかかわらず医師による面接地頭を行わなければならないこととするものである。
■ 時間外・休日労働時間が1月あたり100時間を超えない新技術・新商品等の研究開発業務に従事する労働者であっても、時間外・休日労働時間が1月あたり「80時間」を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者については、通常の面接指導(安衛法66条の8)の対象となる(その労働者の申出があれば、面接指導を行わなければならない。)(平成30年基発0907第2号)
■ 事業者は、労働安全衛生法66条の8第1項又は66条の8の2第1項の規定による面談指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(労働基準法41条の2第1項の規定(いわゆる高度プロフェッショナル制度)により労働する労働者を除く)の労働時間の状況を把握しなければならない。(安衛法66条の8の3)
■ 上記の厚生労働省令で定める方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法による。
■ 事業者は、上記に規定する方法により把握した労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存するための必要な措置を講じなければならない。
■ 労働者の健康管理の観点から、すべての労働者(高度プロフェッショナル制度により労働する労働者については、別途規定があるため除く)を対象として、安衛法について、平成31年2019年4月1日を施行日として、労働時間の状況の把握を義務化して、面接指導の確実な実施につなげることとされました。
■ 派遣労働者については、派遣先の事業者が労働時間の状況を把握し、派遣元の事業者が面接指導等を実施しなければならない。
■ 労働時間の状況の把握/実効性の確保のイメージ
・ 平成31年3月まで
・ 割増賃金を適正に支払うため、労働時間を客観的に把握することを通達(労働時間適正把握基準)、ガイドラインで規定
・ 管理監督者などの労基法41条該当者・みなし労働時間制の適用を受ける労働者は、この通達の対象外
・ 平成31年4月以降
・ 健康管理の観点から、すべての労働者の労働時間の状況が客観的な方法その他適切な方法で把握されるよう法律(労働安全衛生法)で義務付け
・ 管理監督者などの労基法41条該当者やみなし労働時間制の適用を受ける労働者も、この規定の対象
・ 労働時間の状況を客観的に把握することで、長時間働いた労働者に対する医師による面接指導を確実に実施
■ 上記(安衛法66条の8の4)の「厚生労働省令で定める時間」は、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について、1月あたり100時間とする。
■ 安衛法66条の8の面接指導に係る安衛法52条の2第2項、52条の3第1項、52条の4、52条の5、52条の6などの規定は、一定の読み替えの上、上記の同法66条の8の4の面接指導についても準用する。
・ 超えた時間の算定は、毎月1回以上、一定の期日を定めて行わなければならない。
・ 安衛法66条の8の2の面接指導は、上記の期日後、遅滞なく行うものとする。
・ 医師は、安衛法66条の8の4の面接指導を行うにあたっては、労働者に対し、所定の事項について確認を行うものとする。
・ 事業者は、安衛法66条の8の4の面接指導の結果に基づき、その結果の記録を作成し、これを5年間保存しなければならない。
■ 安衛法66条の8の4第1項の規定(高度プロフェッショナル制度に係る面接指導)に違反した者には、同法120条1項の罰則(50万円以下の罰則)の適用がある。
■ 平成31年2019年4月1日施行の改正により、労基法において、高度プロフェッショナル制度が創設され、安衛法においては、これに対応する面接指導等の規定が設けられました。
■ 労働時間ではなく、「健康管理時間」に基づく規定であることが、最大の特徴です。
■ 健康管理時間とは、高度プロフェッショナル制度の対象業務に従事する対象労働者の健康管理を行うために当該対象労働者が事業場内にいた時間(労使委員会が厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を除くことを決議したときは、当該決議に係る時間を除いた時間)と事業場外において労働した時間との合計の時間をいう。(労基法41条の2第1項に規定)
■ この高度プロフェッショナル制度に係る面接指導(安衛法66条の8の4の面接指導)は、要件に該当する労働者に対し、当該労働者の申出の有無にかかわらず医師による面接指導を行わなければならないものである。
■ 面談指導のとりまとめ
・ 原則的な面接指導(安衛法66条の8)
・ 労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する者(2,3の面談指導が行われるものを除く)
・ 時間的要件「80時間」超
・ 労働者の申出「必要」
・ 罰則なし
・ 新技術・新商品等の研究開発業務に従事する者に係る面談指導(安衛法66条の8の2)
・ 上記の労働者で、労働時間が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超えるもの(3の面談指導が行われるものを除く)
・ 時間的要件「100時間」超
・ 労働者の申出「不要」
・ 罰則あり
・ 高度プロフェッショナル制度の対象者に係る面談指導(安衛法66条の8の4)
・ 上記の労働者で、健康管理時間が当該労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超えるもの
・ 時間的要件「100時間」超
・ 労働者の申出「不要」
・ 罰則あり
・ ストレスチェックの結果に基づく面談指導(法66条の10第3項)
・ ストレスチェックの結果の通知を受けた労働者で、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するもの
・ 罰則なし
■ 面接指導を行う労働者以外の労働者であって健康への配慮が必要なものについての措置(安衛法66条の9)
・ 上記の必要な措置は、安衛法66条の8の面談指導の実施又は安衛法66条の8の2の面談指導に準ずる措置とする。
・ 高度プロフェッショナル制度により労働する労働者以外の労働者に対して行う上記の必要な措置は、事業場において定められた当該必要な措置の実施に関する基準に該当する者に対して行うものとする。
・ 高度プロフェッショナル制度により労働する労働者に対して行う常勤お必要な措置は、当該労働者の申出により行うものとする。
■ 長時間にわたる労働に対する面接指導について、原始的な面接指導、新技術・新商品等の研究開発業務に係る面接指導、高度プロフェッショナル制度に係る面接指導を行う労働者以外の労働者であって健康への配慮がひつようなものについても、事業者は、必要な措置を講ずる努力義務を課すものである。
■ 労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止するため、平成27年12月1日施行の改正で、医師、保健師等による「労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)」の実施を事業者に義務付けることとされた(ただし、当分の間、従業員50人未満の事業場については努力義務)
■ このストレスチェックを実施した場合、事業者は、検査結果を通知された労働者の希望に応じて医師による面接指導を実施し、その結果、医師の意見を聴いた上で、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な終業上の措置を講じなければならないことなども規定されている。
■ なお、従来からある面接指導等(安衛法66条の8ほか)は、長時間にわたる労働に着目したものであり、ストレスチェックに基づく面接指導とは別に、今まで通り実施される。
■ 常時50人未満の労働者を使用する事業場については、心理的な負担の程度を把握するための検査の実施は努力義務とされる。
■ 事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、次に掲げる事項について心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。(安衛則52条の9)
・ 職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
・ 当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
・ 職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目
■ 検査を実施する「医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(医師等)」は、次に掲げる者とする(安衛則52条の10)
・ 医師
・ 保健師
・ 検査を行うために必要な知識についての研修があって厚生労働大臣が定めるものを終了した歯科医師、看護師・精神保健福祉士又は公認心理師
・ 検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、検査の実施の事務に従事してはならない。
■ 事業者は、次に規定する場合を除き、検査を行った医師等による当該検査の結果の記録の作成の事務及び当該検査の実施の事務に従事した者による当該記録の保存の事業が適切に行われるよう、必要な措置を講じなければならない。(安衛則52条の11)
■ 事業者は、検査を受けた労働者に対し、当該検査を行った医師等から、遅滞なく、当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。(安衛則52条の12)
■ 安衛法66条の10の2後段の規定による労働者の同意の取得は、書面又は電磁的記録によらなければならない。
■ 事業者は、上記の規定により検査を受けた労働者の同意を得て、当該検査を行った医師等から当該労働者の検査の結果の提供を受けた場合には、当該検査の結果に基づき、当該検査の結果の記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。(安衛則52条の13)
■ 事業者は、検査を行った場合は、当該検査を行った医師等に、当該検査の結果を当該事業場の当該部署に所属する労働者の集団その他一定規模の集団ごとに集計させ、その結果について分析させるよう努めなければならない。
■ 事業者は、上記の分析の結果を勘案し、その必要があると認めるときは、当該集団の労働者の実情を考慮して、当該集団の労働者の心理的な負担を軽減するための適切な措置を講ずるよう努めなければならない。(安衛則52条の14)
■ 安衛法66条の10第3項に規定する面接指導に係る厚生労働省令で定める要件は、検査の結果、心理的な負担の程度が高い者であって、面接指導を受ける必要があると当該検査を行った医師等が認めたものであることとする。(安衛則52条の15)
■ 面接指導を受けることを希望する旨の申出は、上記の要件に該当する労働者が検査の結果の通知を受けた後、遅滞なく行うものとする。
■ 事業者は、上記の要件に該当する労働者から申し出があったときは、遅滞なく、面接指導を行わなければならない。
■ 検査を行った医師等は、上記の要件に該当する労働者に対して、申出を行うよう勧奨することができる。(安衛則52条の16)
■ 医師は、面接指導を行うにあたっては、申出を行った労働者に対し、次に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について確認を行うものとする。(安衛則52条の17)
・ 当該労働者の勤務の状況
・ 当該労働者の心理的な負担の状況
・ 上記に掲げるもののほか、当該労働者の心身の状況
■ 事業者は、面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。(安衛則52条の18)
■ 面接指導の結果に基づく安衛法66条の10第5項の規定による医師からの意見聴取は、面接指導が行われた後、遅滞なく行われなければならない。(安衛則52条の19)
■ 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、1年以内ごとに1回、定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。(安衛則52条の21)
■ 都道府県労働局長は、がんその他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務で、政令で定めるものに従事していた者のうち、厚生労働省令で定める要件に該当する者に対し、離職の際又は離職の後に、その申請に基づいて、当該業務に係る「健康管理手帳」を交付するものとする。ただし、現に当該業務に係る健康管理手帳を所持している者については、この限りでない。(安衛法67条)
■ 健康管理手帳の交付は、要件に該当する者の申請に基づいて、所轄都道府県労働局長が行う(安衛則53条2項)
■ 都道府県労働局長は、健康管理手帳を交付するときは、当該手帳を受ける者に対し、厚生労働大臣が定める健康診断を受けることを勧告するとともに、その者が受けるべき健康診断の回数、健康診断を行う医療機関の名称、所在地及び医療機関における受信の方法等必要な事項を通知するものとされている(安衛則55条、56条)
■ 申請しようとする者は、「健康管理手帳交付申請書」に、要件に該当する事実を証する書類(当該書類がない場合には、当該事実についての申立書)(ベリリウム等の業務に係る申請をしようとする者にあっては、胸部エックス線直接撮影による写真等)を添えて、所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。(安衛則53条3項)
■ 健康管理手帳の交付を受けた者は、当該健康管理手帳を他人に譲渡し、又は貸与してはならない(安衛法67条3項)
■ 次の者(特定業務従事者)については、事業者が就業させることを一定期間禁止している。(安衛法68条・安衛則61条)
・ あまり中毒にかかっている労働者及び健康診断の結果、鉛業務に従事することが健康の保持のために適当でないと医師が認めた労働者を、医師が必要と認める期間(鉛中毒予防規則57条)
・ 四アルキル鉛中毒にかかっている労働者及び健康診断の結果、四アルキル鉛等業務に従事することが健康の保持のために適当でないと医師が認めた労働者(四アルキル鉛中毒予防規則26条)
・ 次の疾病にかかっている労働者を医師が必要と認める期間(高気圧作業安全衛生規則41条)
・ 減圧症その他高気圧による障害又はその後遺症
・ 肺結核その他呼吸器の欠格又は急性上気道感染、塵肺、肺気腫その他呼吸器系の疾病
・ 貧血症、心臓弁膜症、冠状動脈硬化症、高血圧症その他血液又は循環器系の疾病
・ 精神神経症、アルコール中毒、神経症その他精神神経系の疾病
・ メニエル氏病又は中耳炎その他耳管狭窄を伴う耳の疾病
・ 関節炎、リウマチその他運動器の疾病
・ ぜんそく、肥満症、バセドー氏病その他アレルギー性、内分泌系、物質代謝又は栄養の疾病
■ 室内又はこれに準ずる環境下で労働者の受動喫煙を防止するため、平成27年6月1日施行の改正で、事業者及び事業場の実情に応じた適切な措置を講じることを事業者に求める努力規定が設けられた。
■ 職場における受動喫煙防止対策を効果的に進めていくためには、企業において、組織的に実施することが重要であり、事業者は衛生委員会、安全衛生委員会等(衛生委員会等)の場を通じて、労働者の受動喫煙防止対策についての意識・意見を十分に把握し事業場の実情を把握したうえで、各々の事業場における適切な措置を決定すること
■ 職場の受動喫煙防止対策の推進のためには、当該事業場に従事する労働者の意識、行動等のあり方が特に重要であるため、労働者は事業者が決定した措置や基本方針を理解しつつ、衛生委員会等の代表者を通じる等により、必要な対策について積極的に意見をのべることが望ましいこと。(令和元年基発0701第1号)
■ 事業者は、労働者に対する健康教育及び健康相談その他の健康の保持増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるよう努めなければならず、労働者は、この事業者が講ずる措置を利用して、その健康の保持増進に努めるものとする。(安衛法69条)
[安衛法] 労働安全衛生法・重要箇所・Chapter8
その他
■ 労働安全衛生規則(厚生労働省令)に、具体的な衛生基準が定められている。出題実績があるものを含め、主要な規定を抜粋しておく
■ 則590条1項
・ 事業者は、則588条に規定する著しい騒音を発する屋内作業場について、6か月以内ごとに1回、定期に、等価騒音レベルを測定しなければならない。
■ 則592条1項
・ 事業者は、則589条1号の構内の作業場について、1月以内ごとに1回、定期に、炭酸ガス濃度を測定しなければならない。
■ 則592条の2
・ 事業者は、則36条34号及び35号に掲げる業務を行う作業場について、6月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類の濃度を測定しなければならない。
■ 則600条
・ 事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場の気積を、設備の占める容積及び床面から4メートルを超える高さにある空間を除き、労働者1人について、10立方メートル以上としなければならない。
■ 則601条1項
・ 事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場においては、窓その他の開口部の直接外気に向かって解放することができる部分の面積が、常時床面積の20分の1以上になるようにしなければならない。ただし、喚起が十分に行われる性能を有する設備を設けたときは、この限りでない。
■ 則601条2項
・ 事業者は、前条の屋内作業場の気温が10度以下であるときは、換気に際し、労働者を毎秒1メートル以上の気流にさらしてはならない。
■ 則604条
・ 事業者は、労働者を常時就業させる場所の作業面の照度を、つぎの区分に応じて、次の基準に適合させなければならない。ただし、感光材料を取り扱う作業場、坑内の作業場その他特殊な作業を行う作業場については、この限りでない。
・ 精密な作業 300ルクス以上
・ 普通の作業 150ルクス以上
・ 粗な作業 70ルクス以上
■ 則605条2項
・ 事業者は、労働者を常時就業させる場所の照明設備について、6月以内ごとに1回、定期に、点検しなければならない。
■ 則613条
・ 事業者は、労働者が有効に利用することができる休憩の設備を設けるように努めなければならない。
■ 則616条
・ 事業者は、夜間に労働者に睡眠を与える必要のあるとき、又は労働者が就業の途中に仮眠することのできる機会があるときは、適当な睡眠又は仮眠の場所を、男性用、女性用に区別して設けなければならない。
■ 則618条
・ 事業者は、常時50人以上又は常時30人以上の女性の労働者を使用するときは、労働者が臥床することのできる休養室又は休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない。
■ 則619条
・ 事業者は、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
・ 日常行う清掃のほか、大掃除を、6月以内ごとに1回、定期に、統一的に行うこと
・ ねずみ、昆虫等の発生場所、生育場所及び侵入経路並びにねずみ、昆虫等による被害の状況について、6月以内ごとに1回、定期に、統一的な調査を実施し、当該調査の結果に基づき、ねずみ、昆虫等の発生を防止するため必要な措置を講ずること
■ 則630条2項
・ 事業者は、事業場に付属する食堂の床面積は、食事の際の1人について、1平方メートル以上としなければならない。
■ 則632条1項
・ 事業者は、事業場において、労働者に対し、1回100食以上又は1日250食以上の給食を行うときは、栄養士を置くように努めなければならない。
■ 則637条1項
・ 特定元方事業者は、安衛法30条1項3号の規定による巡視については、毎作業日にすくなくとも1回、これを行わなければならない。
■ 衛生管理者(12条1項)、作業主任者(14条)又は終業制限業務(61条1項)の免許は、労働安全衛生法75条1項の免許試験に合格した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者に対し、免許証を交付して行う。(安衛法72条)
■ 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えない。
・ 労働安全衛生法74条2項(3号を除く)の規定により免許を取り消され、その取消しの日から起算して1年を経過しない者
・ 上記に掲げる者のほか、免許の種類に応じて、厚生労働省令で定める者
■ 免許を複数有する場合も、一枚の免許証にそのすべての免許の種類が記載され交付される。
■ 安衛法14条又は61条1項の技能講習(技能講習)は、厚生労働省令で定める区分ごとに、学科講習又は実技講習によって行い、技能講習を行った者は、当該技能講習を修了した者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、技能講習修了証を交付しなければならない。(安衛法76条)
■ 必要的免許欠格事項
・ 免許を取り消され、その取消しの日から1年を経過しない者
・ 免許の種類に応じて厚生労働省令で定める者
■ 相対的免許欠格事項
・ 心身の障害により当該免許に係る業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
・ あらかじめ免許申請者に通知、申請者が求めた場合は、都道府県労働局長の指定する職員に意見聴取
■ 免許の取消しと停止
・ 必要的取消し(安衛法74条1項)
・ 免許の種類に応じて厚生労働省令で定める者に該当するに至ったとき
・ 任意的取消し・停止(安衛法74条2項)
・ 次のいずれかに該当するに至ったとき
・ 停止期間は6月を超えない範囲
・ 故意または重大な過失により、当該免許に係る業務について重大な事故を生じさせた
・ 免許に係る業務について、安衛法又は命令に違反した場合
・ 許可等の条件違反
・ その他厚生労働省令で定めるときに該当
・ 停止期間に制限なし
・ 心身の障害により当該免許に係る業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるものとなった
・ 上記の場合、事情がやめば再免許を与えることができる。
■ 平成27年6月1日施行の改正で、重大な労働災害を繰り返す企業に対して、厚生労働大臣が「特別安全衛生改善計画」の作成を指示することができることとする規定が創設された(計画作成指示に従わない場合、計画を守っていない場合などに、厚生労働大臣が勧告し、勧告に従わない場合はその旨を公表することができる)
■ 特別安全衛生計画の作成の指示等の詳細(安衛則84条)
・ 安衛法78条1項の厚生労働省令で定める重大な労働災害は、労働災害のうち、次のいずれかに該当するものとする。
・ 労働者が死亡したもの
・ 労働者が負傷し、又は疾病にかかったことにより、労働者災害補償保険法施行規則別表第1の障害等級第1級から第7級までのいずれかに該当する障害が生じたもの又は生じるおそれのあるもの
・ 安衛法78条1項の厚生労働省令で定める場合は、「上記の重大な労働災害を発生させた事業者が、当該重大な労働災害を発生させた日から起算して3年以内に、当該重大な労働災害が発生した事業場以外の事業場において、当該重大な労働災害と再発を防止するための措置が同様である重大な労働災害を発生させた場合」など、とする。
■ 勧告・公表(安衛法78条5項・6項)
・ 厚生労働大臣は、特別安全衛生改善計画の作成若しくは変更の指示を受けた事業者がその指示に従わなかった場合又は特別安全衛生改善計画を作成した事業者が当該特別安全衛生改善計画を守っていないと認める場合において、重大な労働災害が再発するおそれがあると認めるときは、当該事業者に対し、重大な労働災害の再発の防止に関し必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
・ 厚生労働大臣は、上記の規定による勧告を受けた事業者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。
■ 都道府県労働局長は、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるとき(安衛法78条1項の規定により厚生労働大臣が同行の厚生労働省令で定める場合に該当すると認めるときを除く)は、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、当該事業場の安全又は衛生に関する改善計画(安全衛生改善計画)を作成すべきことを指示することができる。(安衛法79条)
■ 労働安全衛生法78条2項及び3項の規定は、安全衛生改善計画について準用する。
・ 事業者は、安全衛生改善計画を作成しようとする場合には、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
・ 事業者及びその労働者は、安全衛生改善計画を守らなければならない。
■ 安全衛生改善計画は、特別安全衛生改善計画の対象とならない事業者を対象とするもの。
■ 特別安全衛生改善計画とは異なり、作成をしじするのは「都道府県労働局長」であり、変更の指示、勧告・公表の規定はない。
■ 総合的な改善措置とは、労働災害防止を図るための設備、管理、教育面等全般にわたる改善措置をいう。必ずしも事業場全体に係るものである必要はなく、事業場の一部門に限った改善措置で差し支えない。(昭和47年基発602号)
■ この安全衛生改善計画の規定は順守規定であり、罰則の規定は設けられておりません。また、違反したからと言ってその旨を公表されることもありません。
■ 厚生労働大臣は、特別安全衛生改善計画の作成又は変更の指示をした場合において、専門的な助言を必要とすると認めるときは、当該事業者に対し、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントによる安全又は衛生に係る診断を受け、かつ、特別安全衛生改善計画の作成又は変更について、これらの者の意見を聴くべきことを勧奨することができる。
■ 都道府県労働局長は、安全衛生改善計画の作成を指示した場合において、専門的な助言を必要とすると認めるときは、当該事業者に対し、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントによる安全又は衛生に係る診断を受け、かつ、安全衛生改善計画の作成について、これらの者の意見を聴くべきことを勧奨することができる。
■ 当該コンサルタントには、コンサルタント試験に合格し、登録を受けた者がなることができる。また、コンサルタント試験は、厚生労働大臣が毎年1回以上行うものとされており、試験は一定の区分ごとに行われる。
・ 労働安全コンサルタント
・ 機械
・ 土木
・ 電気
・ 化学
・ 建築
・ 労働衛生コンサルタント
・ 保健衛生
・ 労働衛生工学
■ この試験区分は、コンサルタントの活動分野を制限するものではなく、いわば得意分野を示すもので、例えば、「化学」の試験区分で試験を受けた場合でも建築工事の安全等についてのコンサルタント活動ができる。
■ 労働安全コンサルタント試験又は労働衛生コンサルタント試験に合格した者は、厚生労働省に備える労働安全コンサルタント名簿又は労働衛生コンサルタント名簿に、氏名、事務所の所在地その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けて、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントとなることができる。
■ なお、上記の厚生労働省令で定める事項は、次の通り(労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント規則16条)
・ 旧姓を使用した氏名又は通称の併記を希望する場合にあっては、その氏名又は通称
・ 生年月日
・ 合格した労働安全コンサルタント試験又は労働衛生コンサルタント試験の区分及び合格した年月日
・ 事業所の名称
■ 次のいずれかに該当する者は、上記に登録を受けることができない。(安衛法84条2項)
・ 心身の故障により労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントの業務を適正におこなうことができない者として厚生労働省令で定めるもの
・ 安衛法又はこれに基づく命令の規定に違反して、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
・ 安衛法及びこれに基づく命令以外の法令の規定に違反して、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
・ 上記の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して2年を経過しない者
■ 厚生労働大臣は、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントが上記のいずれかに該当するに至ったときは、その登録を取り消さなければならない。(安衛法85条1項)
■ コンサルタントは、コンサルタントの信用を傷つけ、又はコンサルタント全体の不名誉となるような行為をしてはならない。また、コンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。コンサルタントでなくなった後においても、同様とされている。厚生労働大臣はコンサルタントがこれらの規定に違反したときは、その登録を取り消すことができる。(安衛法85条2項、86条)
■ 事業者は、機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、厚生労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の30日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。ただし、労働安全衛生法28条の2第1項に規定する措置その他の厚生労働省令で定める措置を講じているものとして、厚生労働省令で定めるところにより労働基準監督署長が認定した事業者については、この限りではない。(安衛法88条1項)
■ 厚生労働省令で定める措置(安衛則87条)
・ 安衛法28条の2第1項又は57条の3第1項及び2項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置
・ 上記のほか、労働安全衛生マネジメントシステムの指針に従って事業者が行う自主的活動
■ 厚生労働省令で定めるもの(安衛則88条)
・ つり上げ荷重が3トン以上のクレーン、一定の動力プレスなど
・ 例外 一定の機械等で6月未満の期間で廃止するもの、足場で組み立てから解体までの期間が60日未満のものは、届出を要しない
■ 「認定」は、3年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によってその効力を失う。
■ 認定を受けた事業者は、認定に係る事業場(認定事業場)ごとに1年以内ごとに1回、実施状況等報告書に措置の実施状況について行った監査の結果を記載した書面を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
■ 事業者は、建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事で厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならない。(安衛法88条3項・安衛則90条)
■ 政令で定める業種(安衛令24条2項)
・ 土石採取業
■ 厚生労働省令で定めるもの(安衛則90条)
・ 高さ31メートルを超える建築物又は工作物(橋梁を除く)の建設、改造、解体又は破壊(建設等)の仕事
・ 最大支間50メートル以上の橋梁の建設等の仕事
・ 最大支間30メートル以上50メートル未満の橋梁の上部構造の建設等の仕事(一定の場所で行われるものに限る)
・ 隧道等の建設等の仕事(隧道等の内部に労働者が立ち入らないものを除く)
・ 掘削の高さ又は深さが10メートル以上である地山の掘削(隧道等の掘削及び岩石の採取のための掘削を除く)の作業(掘削機械を用いる作業で、掘削面の加法に労働者が立ち入らないものを除く)を行う仕事
・ 圧気工法による作業を行う仕事
・ 建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る)に吹き付けられている石綿等(石綿等が使用されている仕上げ用塗剤を除く)の除去、封じ込め又は囲い込みの作業を行う仕事
・ 建築物、工作物又は船舶に張り付けられている石綿等が使用されている保温材、耐火被覆材(耐火性能を有する被覆材)等の除去、封じ込み又は囲い込みの作業(石綿等の粉塵を著しく発散するおそれのあるものに限る)を行う仕事
・ ダイオキシンに関する廃棄物の焼却炉、集塵機等の設備の解体の仕事
・ 掘削の高さ又は深さが10メートル以上の土石の採取のための掘削の作業を行う仕事
・ 坑内掘りによる土石の採取のための掘削の作業を行う仕事
■ 事業者は、建設業に属する事業の仕事のうち重大な労働災害を生ずるおそれがあるときに大規模な仕事で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の30日前までに、厚生労働大臣に届け出なければならない。(安衛法88条2項)
■ 厚生労働省令で定めるもの(安衛則89条の2)
・ 高さ300メートル以上の塔の建設の仕事
・ 堤高が150メートル以上のダムの建設の仕事
・ 最大支間500メートル(つり橋にあっては、1000メートル)以上の橋梁の建設の仕事
・ 長さが3000メートル以上の隧道等の建設の仕事
・ 長さが1000メートル以上3000メートル未満の隧道等の建設の仕事で、深さが50メートル以上の立て坑(通路として使用されるものに限る)の掘削を伴うもの
・ ゲージ圧力が0.3メガパスカル以上の圧気工法による作業を行う仕事
■ 事業者は上記の計画の届出に係る工事又は仕事の計画(それらのうち厚生労働省令で定めるもの)を作成するときは、当該工事に係る建設物若しくは機械等又は当該仕事から生ずる労働災害の防止を図るため、厚生労働省令で定める資格を有する者を参画させなければならない(すくなくとも1人、参画させればよい)(安衛法88条4項)
■ 労働基準監督署長又は厚生労働大臣は、それぞれ当該届出に係る事項が労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定に違反すると認めるときは、当該届出をした事業者に対し、その届出に係る工事もしくは仕事の開始を差し止め、又は当該計画を変更すべきことを命ずることができる。(安衛法88条6項)
■ 厚生労働大臣又は労働基準監督署長は、上記の命令をした場合において、必要があると認めるときは、当該命令に係る仕事の発注者(当該仕事を自ら行うものを除く)に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告又は要請を行うことができる。(安衛法88条7項)
■ 厚生労働大臣は、上記の届出があった計画のうち、高度の技術的検討を要するものについて審査することができる。厚生労働大臣は、当該審査を行うにあたっては、学識経験者の意見を聴かなければならない。
■ 都道府県労働局長は、上記による届出があった計画のうち、前項の高度の技術的検討を要するものに準ずるものとして当該計画に係る建設物若しくは機械等又は仕事の規模その他の事項を勘案して厚生労働省令で定めるものについて審査をすることができる。ただし、当該計画のうち、当該審査と同等の技術的検討を行ったと認めるものとして厚生労働省令で定めるものについては、当該審査を行わないものとする。なお、都道府県労働局長は、当該審査を行うにあたっては、学識経験者の意見を聴かなければならない。(安衛法89条1項、2項)
・ 公共工事については、それぞれ発注する国、地方公共団体等において、都道府県労働局長の審査と同様の観点から工事の施工段階の安全性について検討を行うこととし、都道府県労働局長の審査の対象からは除外されている。
■ 労働衛生指導医(安衛法95条、96条4項)
・ 都道府県労働局に、労働衛生指導医を置く
・ 労働衛生指導医は、安衛法65条5項(作業環境測定の実施の指示)又は66条4項(臨時の健康診断の実施の指示)の規定による指示に関する事務その他労働者の衛生に関する事務に参画する
・ 労働衛生指導医は、労働衛生に関し学識経験を有する医師のうちから、厚生労働大臣が任命する。
・ 労働衛生指導医は、非常勤とする
・ 都道府県労働局長は、労働衛生指導医を上記の事務に参画させるため必要があると認めるときは、当該労働衛生指導医をして事業場に立ち入り、関係者に質問させ、又は作業環境測定若しくは健康診断の結果の記録その他の物件を検査させることができる。
■ 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、法を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は、出頭を命ずることができる(安衛法100条1項)
■ 事故報告(安衛則96条)
・ 事業者は、次の事故が発した場合は、遅滞なく、報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
・ 事業場又はその付属建設物内で次の事故が発生したとき
・ 火災又は爆発の事故
・ 延伸機械、研削といしその他高速回転体の破裂の事故
・ 機械集材装置、巻き上げ機又は索道の鎖又は索の切断の事故
・ 建設物、附属建設物又は機械集材装置、煙突、高架そう等の倒壊の事故
・ ボイラーの破裂、煙道ガスの爆発又はこれに準ずる事故が発生したとき
・ 小型ボイラー、第一種圧力容器及び第二種圧力容器の破裂の事故が発生したとき
・ クレーンの逸走、倒壊、落下又はジブの折損、ワイヤロープ又はつりチェーンの切断の事故が発生したとき
・ 事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
・ この場合、休業の日数が4日にみたないときは、事業者は、1月から3月まで、4月から6月まで、7月から9月まで及び10月から12月までの期間における当該事実について、報告書をそれぞれの期間における最後の月の翌月末日までに、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。(安衛則97条)
■ 労働者死傷病報告は、対象となる休業が4日未満の場合でも必要である。なお、4日未満の場合は、四半期ごとの提出で足りる。
■ 派遣労働者の当該報告は、「派遣元」及び「派遣先」の双方が、それぞれの所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
■ 「労働者死傷病報告」には、「労働者が外国人である場合のみ記入すること」として、「国籍・地域」及び「在留資格」を記載する欄も設けられている。
■ 報告・届出のまとめ
・ 労働基準監督署長向け
・ 遅滞なく
・ 統括安全衛生管理者の選任報告
・ 安全管理者の選任報告
・ 衛生管理者の選任報告
・ 産業医の選任報告
・ 定期健康診断結果報告書
・ 事故報告書
・ 労働者死傷病報告書
・ 休業4日未満のときは、各四半期ごとに、その期間内に発生した事実について各四半期の最後の月の翌月末日までに提出する(派遣中の労働者が派遣就業中に労働災害により死亡し、又は休業した場合は、「派遣先及び派遣元」が提出を行うこととしている)
・ 前年度分を4月30日まで
・ 指定事業場等の事業者が計画に基づき行った安全衛生教育の実施結果報告
30日前まで
・ 機械等で危険又は有害な作業を必要とするものの設置等に係る計画の届出
14日前まで
・ 一定の建設業、土石採取業の仕事に係る計画の提出
・ 都道府県労働局長
・ 仕事の開始の日の14日前まで
・ ジョイントベンチャーにおける代表者の選任報告
・ 遅滞なく
・ ジョイントベンチャーにおける代表者の変更届
・ 厚生労働大臣
・ 期限なし
・ 新規化学物質を製造し、又は輸入したものが行う有害性の調査の結果等
30日前まで
・ 建設業の大規模工事に係る計画の提出
■ 事業者は、この法律およびこれに基づく命令の要旨を常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けることとその他の厚生労働省令で定める方法により、労働者に周知させなければならない。
■ 産業医を選任した事業者は、その事業場における産業医の業務の内容その他産業医の業務に関する事項で厚生労働省令で定めるものを、常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けることその他の厚生労働省令で定める方法により、労働者に周知させなければならない。
■ 前項の規定は、労働安全衛生法13条の2第1項に規定する者(労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師その他厚生労働省令で定めるもの)に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせる事業者について準用する。この場合において、上記の「周知させなければ」とあるのは、「周知させるように努めなければ」と読み替える。
■ 事業者は、労働安全衛生法57条の2第1項又は2項の規定により通知された事項を、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で当該通知された事項にかかるものを取り扱う各作業場の見やすい場所に常時掲示し、又は備え付けることその他の厚生労働省令で定める方法により、当該物を取り扱う労働者に周知させなければならない。(安衛法101条)
■ 上記の厚生労働省令で定める方法(安衛則98条の2第1項)
・ 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること
・ 書面を労働者に交付すること
・ 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること
・ 事業場内のイントラネットでの電子掲示板への掲載なども含まれる
■ 上記の厚生労働省令で定める事項(安衛則98条の2第2項)
・ 事業場における産業医の業務の具体的な内容
・ 産業医に対する健康相談の申出の方法
・ 産業医による労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの方法
■ ガス工作物その他政令で定める工作物を設けている者は、当該工作物の所在する場所又はその付近で工事その他の仕事を行う事業者から、当該工作物による労働災害の発生を防止するためにとるべき措置についての教示を求められたときは、これを教示しなければならない。(安衛法102条)
■ 政令で定める工作物(安衛令25条)
・ 電気工作物
・ 熱供給施設
・ 石油パイプライン
■ 書類の保存等(安衛法103条)
・ 保存期間
・ 原則 3年
・ 例外 健康診断個人票 5年
■ 心身の状態に関する情報の取扱い(安衛法104条)の指針として、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針(平成30年指針公示第1号)」が公表されている。
■ 国は、安衛法19条の3(産業医の選任義務のない事業場の健康管理等に関する援助)、28条の2第3項(危険性又は有害性等の調査に関する援助)、57条の3第4項(技術上の指針等の公表等の援助)、58条(化学物質の有害性の調査に関する援助)、63条(事業者が行う安全又は衛生のための教育に関する援助)、66条の10第9項(ストレスチェック制度に係る国が講ずべき措置に関する援助)、71条(健康の保持増進措置に関する援助)、71条の4(事業者が講ずる快適な職場環境を形成するための措置に関する援助)に定めるもののほか、労働災害の防止に資するため、事業者が行う安全衛生施設の整備、特別安全衛生改善計画又は安全衛生改善計画の実施その他の活動について、金融上の措置、技術上の助言その他必要な援助を行うように努めるものとする。
■ 国は、上記の援助を行うにあたっては、中小企業者に対し、特別の配慮をするものとする。(安衛法106条)
■ 労働安全衛生法(労働災害防止計画の規定を除く)は、鉱山保安法2条2項及び4項の規定による鉱山における保安については、適用しない。
■ 労働安全衛生法は、船員法の適用を受ける船員については、適用しない。
■ 鉱山においては、「保安」については、安衛法の適用はなく、鉱山保安法が適用されるが、保安以外の事項については、安衛法が適用される。
■ 主な罰則
5年以下の懲役
・ 製造時等検査、性能検査、個別検定又は型式検定の業務(特定業務)に従事する登録製造時等検査機関、登録性能検査機関、登録個別検定機関又は登録型式検定機関(特定期間)の役員又は職員が、その職部に関してわいろを収受し、要求し、又は約束したとき
7年以下の懲役
・ 上記によって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったとき(安衛法115条の2)
3年以下の懲役又は250万円以下の罰金
・ 上記によって賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者(安衛法115条の3)
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金
・ 黄りんマッチ、ベンジジン島の製造等の禁止違反をした者(安衛法116条)
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
・ 製造許可違反、検定違反、秘密遵守違反を犯した者等(安衛法117条)
・ 業務停止命令に違反した役員、職員(安衛法118条)
6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
・ 作業主任者の選任を行わない事業者、化学物質等の製造設備の改造等に係る注文者で労働災害の防止のために必要な措置を講じない事業者、ベンゼン等の表示対象物に一定の表示をせず又は虚偽の表示をした者 など
・ 50万円以下の罰金
・ 統括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医等の選任を行わない事業者、特定元方事業者、製造業等の元方事業者の講ずべき措置を講じない事業者、健康診断の結果を通知しなかった事業者、計画の届出を行わない事業者 など
■ 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、労働安全衛生法116条、117条、119条又は120条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科することとされている。(安衛法122条)
■ 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、労働安全衛生法20条から25条まで(事業者が講ずべき措置)、25条の2第1項(救護に関する建設業の講ずべき措置)、30条の3第1項若しくは4項(救護に関する元方事業者の講ずべき措置)、31条1項(建設物等に係る注文者の講ずべき措置)、31条の2(化学設備の改造等に係る注文者の講ずべき措置)、33条1項又は34条(機械等貸与者の講ずべき措置及び建築物貸与者の講ずべき措置)の規定に違反する事実があるときは、その違反した事業者、注文者、機械等貸与者又は建築物貸与者に対し、作業の全部又は一部の停止、建設物等の全部又は一部の使用の停止又は変更その他労働災害を防止するため必要な事項を命ずることができる。
■ 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、上記の規定により命じた事項について必要な事項を労働者、請負人又は建築物の貸与を受けている者に命ずることができる。
■ 労働基準監督官は、上記の場合において、労働者に急迫した危険があるときは、これらの項の都道府県労働局長又は労働基準監督署長の権限を即時に行うことができる。
■ 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、上記の場合以外の場合において、労働災害発生の急迫した危険があり、かつ、緊急の必要があるときは、必要な限度において、事業者に対し、作業の全部又は一部の一時停止、建設物等の全部又は一部の使用の一時停止その他当該労働災害を防止するため必要な応急の措置を講ずることを命ずることができる。(安衛法98条1項から3項、99条)
■ 安全衛生管理体制
・ 派遣元及び派遣先両方に選任義務
・ 統括安全衛生管理者(10条)
・ 衛生管理者(12条)
・ 安全衛生推進者(12条の2)
・ 産業医(13条、13条の2、13条の3)
・ 衛生委員会(18条)
・ 安全衛生委員会(19条)
・ 派遣元のみ
・ なし
・ 派遣先のみ
・ 安全管理者(11条)
・ 作業主任者(14条)
・ 安全委員会(17条)
■ 労働者の就業にあたっての措置
・ 両方(派遣元及び派遣先)
・ 安全衛生教育・作業内容変更時(59条2項)
・ 危険有害業務従事者に対する教育(60条の2)
・ 中高年齢者等についての配慮(62条)
・ 派遣元のみ
・ 安全衛生教育・雇入れ時(59条1項)
・ 派遣先のみ
・ 安全衛生教育・危険有害業務終業時(59条3項)
・ 職長等の教育(60条)
・ 就業制限(61条1項)
■ 健康の保持増進のための措置
・ 両方(派遣元及び派遣先)
・ 健康診断結果についての意見聴取(66条の4)
・ 健康診断実施後の措置(66条の5)
・ 健康教育等(69条)
・ 派遣元のみ
・ 健康診断・一般健康診断(66条1項)
・ 一般健康診断、特殊健康診断及び臨時の健康診断の結果の通知(66条の6)
・ 医師等による保健指導(66条の7)
・ 面接指導の実施(66条の8)
・ 心理的な負荷の程度を把握するための検査の実施(66条の10)
・ 派遣先のみ
・ 作業環境測定(65条)
・ 作業環境測定の結果の評価等(65条の2)
・ 作業の管理(65条の3)
・ 作業時間の制限(65条の4)
・ 健康診断・特殊健康診断(66条2項、3項)
・ 病者の就業禁止(68条)
以上
[徴収法] 労働保険徴収法・重要箇所・Chapter1
■ 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(徴収法)は、労災保険と雇用保険の保険関係を一体的に「労働保険」として取り扱い、保険料の徴収等の事務手続の前提となる適用事業を一元的に処理し、政府と事業主の事務処理の合理化、簡素化を図る目的で制定され、昭和47年に施行された。
■ 徴収法は、労働保険の事務の効率的な運営を図るため、労働保険の保険関係の成立及び消滅、労働保険料の納付の手続、労働保険事務組合等に関し必要な事項を定めるものとする。(徴収法1条)
■ 労働保険とは、労災保険と雇用保険を総称した用語である。徴収法においては、事務手続きの簡素化のために、原則として、労災保険及び雇用保険を一元的に取扱い、両保険に係る保険料について、不可分一体の「労働保険」として適用・徴収することとしている。
賃金、給与、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働者の対償として事業主が労働者に支払うものをいう。なお、通貨以外のもので支払われるものについては、「食事、被服及び住居の利益のほか、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長が定めるもの」は賃金となるが、それ以外のものは賃金としない。(徴収則3条)
■ 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金、臨時に支払われる賃金も、徴収法上の賃金に含まれる。他の科目の賃金報酬の定義との違いに注意すること。
■ 徴収法上賃金として取り扱うもの
・ 基本給、賞与、有給休暇日の給与、能率給、保険会社等における外務員の歩合給、チップ(事業主から配分されて受けるもの)
・ 家族手当、勤務地手当、奨励手当、住宅手当、通勤手当、通勤定期券、日直・宿直料、単身赴任手当、超過勤務手当、皆勤手当、役職手当、技能手当
・ 休業手当(労基法26条)、通勤災害による傷病の療養のための休業した期間中に支給される賃金、育児・介護休業法に定める育児休業又は介護休業の期間中に支給される賃金
・ 所得税、雇用保険料、社会保険料等の労働者負担分(労働協約等により、事業主にその支払いが義務付けられているもの)
■ 徴収法上賃金として取り扱わないもの
・ 労働者が行う財政形成貯蓄を奨励援助するために、事業主が一定の率又は額の奨励金を当該労働者に支払ったときの奨励金(昭和50年労徴発15号)、退職金、退職後の給与、解雇予告手当、会社が全額負担する生命保険の掛金
・ 災害見舞金、結婚祝金、死亡弔慰金、傷病見舞金、出産見舞金等(労働協約等によって事業主にその支給が義務付けられていても賃金として取り扱わない)
・ 労基法76条の規定に基づく休業補償は、法定額(平均賃金の100分の60)を超えた部分を含めて賃金としない(昭和25年基収3432号)
・ 健康保険法に基づく出産手当金・傷病手当金
・ 作業衣・被服費(昭和23年基発297号)、業務上着用することを条件として支給されている作業衣、現物支給の代わりとして支給されている被服費相当額
■ 労働者が在職中に、退職金相当額の全部又は一部を給与や賞与に上乗せするなど前払されている場合は、原則として、一般保険料の算定基礎となる賃金総額に算入する。また、退職を事由として支払われる退職金であって、退職時に支払われるもの又は事業主の都合等により退職前に一時金として支払われるものについては、一般保険料の算定基礎となる賃金総額に算入しない。(平成15年基徴発1001001号)
■ 遡って昇給が決定し、個々人に対する昇給額が未決定のまま離職した場合において、離職後支払われる昇給差額については、個々人に対して昇給をするということ及びその計算方法が決定しており、ただその計算の結果が離職時までにまだ算出されていない場合にも、事業主としては支払義務が確定したものとなるから、賃金と認められる。(昭和32年失保収652号)
■ 住宅の利益は、住居施設等を無償で供与される場合において、住居施設が供与されないものに対して、住居の利益を受ける者との均衡を失しない定額の均衡手当が一律に支給されない場合は、当該住居の利益は賃金とならない(福利厚生施設として取り扱われる)
■ 以下のすべてに当てはまる場合には、福利厚生として取り扱う(賃金に含めない)(昭和30年基発644号)
・ 給食によって賃金の減額を伴わないこと
・ 労働協約、就業規則等に定められて明確な労働条件となっていないこと
・ 給食による客観的評価額が社会通念上僅少なものと認められる場合であること。
■ 本社及び支店等を併せて1つの適用事業所(一括適用事業所)とされている場合、支店等に勤務する被保険者(労働者)については、被保険者(労働者)の勤務地が所属する都道府県の現物給与の価額を適用する。(平成25年基発204001号)
■ 事業とは、1つの経営組織として独立性をもったものをいう。労働保険は、他の法律と同様に、会社単位ではなく事業(所)単位で適用される。
■ 労働保険の適用及び労働保険料の徴収を行うに当たり、「有期事業と継続事業」及び「一元適用事業と二元事業適用」の区別が重要となる。
■ 有期事業(事業の期間が予定される事業)→建設工事、道路工事等
■ 継続事業(有期事業以外の事業(事業の期間が予定されていない事業)→事業所、工場、商店等
■ 一元適用事業(二元適用事業以外(ほとんどの事業がこちらにあたる)・国の行う事業)→労災保険と雇用保険の保険関係を一つの労働保険関係として取り扱い、保険料の納付・申告を一元的に処理する。
■ 二元適用事業
・ 都道府県及び市町村の行う事業
・ 上記に準ずるものの行う事業
・ 港湾労働法に規定する6大港における港湾運送を行う事業
・ 港湾労働法の適用される港湾(東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、関門)
・ 農林水産の事業
・ 建設の事業
■ 現場と事業所で適用される保険の種類が異なるため、一元的に処理することができない。従って、二元適用事業とされている。
■ 二元適用事業については、労災保険の適用を受ける人と雇用保険の適用を受ける人との「ずれ」が著しく、一元での適用が難しいからと考えると理解が進む
■ 都道府県及び市町村が行う事業においては、
・ 労災保険の適用を受けるのは「現業部門の非常勤職員」
・ 雇用保険の適用を受けるのは、「離職した場合に他の法令等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が雇用保険の求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められない者」である。
■ 国の行う事業については、労災保険が全面的に適用除外とされており、労災保険に係る保険関係の成立する余地がない(雇用保険に係る保険関係についてのみ、成立する可能性がある)ため、二元適用事業とはされていない。
■ 立木の伐採の事業は、林業であり、二元適用事業に該当する。
■ 行政機構の系列は、次のようになっている。
・ 厚生労働省(厚生労働大臣)
・ 都道府県労働局(都道府県労働局長)
・ 労働基準監督署(労働基準監督署長)
・ 公共職業安定所(公共職業安定所長)
・ 所轄都道府県労働局長が行う事務(徴収則1条1項1号・2項)
・ 労働保険関係事務(所轄労働基準監督署長及び所轄公共職業安定所長が行う事務及び労働保険料の徴収等に関する事務を除く)
・ 具体的には、権限の委任(徴収法45条)の規定により、都道府県労働局長に委任された権限に関する事務等がこれにあたる。
・ 所轄労働基準監督署長の行う事務(徴収則1条1項2号)
・ 労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しない一元適用事業(雇用保険に係る保険関係のみが成立している場合を除く)に係る申請書等の事務
・ 労災保険に係る保険関係が成立している二元適用事業に係る申請書等の事務
・ 所轄公共職業安定所長が行う事務(徴収則1条1項3号)
・ 労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する一元適用事業の申請書等の事務
・ 労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しない一元適用事業のうち、雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業に係る申請書等の事務
・ 雇用保険に係る保険関係が成立している二元適用事業に係る申請書等の事務
■ 一元適用事業
・ 事務組合に委託している → 所轄公共職業安定所(長)
・ 事務組合に委託していない
・ 雇用保険のみ成立 → 所轄公共職業安定所(長)
・ 上記以外 → 所轄労働基準監督署(長)
■ 二元適用事業
・ 雇用保険に係るもの → 所轄公共職業安定所(長)
・ 労災保険に係るもの → 所轄労働基準監督署(長)
■ 都道府県労働局長
・ 暫定任意適用事業所の適用の認可及び適用の取消しの認可に係る事務、請負事業の一括に係る下請事業の分離の認可に係る事務、継続事業の一括の認可に係る事務
・ 労働保険事務組合の認可、廃止、認可の取消に関する事務
■ 労働基準監督署長
・ 労働保険組合に労働保険事務の処理を委託していない一元提要事業の申請書等の事務
・ 労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業の申請書等の事務
■ 公共職業安定所長
・ 労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する一元適用事業の申請書等の事務
・ 労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託していない一元適用事業で、雇用保険に係る保険関係のみ成立している事業の申請書等の事務
・ 雇用補家に係る保険関係のみが成立している事業のうち二元適用事業の申請書等の事務
■ 年金事務所の経由(徴収則78条2項3号)
・ 事業主が所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に対して行う「保険関係の成立の届出」の規定による届書(社会保険適用事業所の事業主が当該届書を提出する場合に限り、健康保険及び厚生年金保険の新規適用事業所の届出の規定による届書又は雇用保険の事業所の設置に係る届書の提出を併せて行う場合を除く。)、「名称、所在地等の変更の届出」の規定による届書又は「代理人の選任・解任の届出」の規定による届書であって継続事業にかかるものの提出は、年金事務所を経由して行うことができる。
・ 社会保険適用事業所とは、厚生年金保険又は健康補家の適用事業所をいう。
[徴収法] 労働保険徴収法・重要箇所・Chapter2
保険関係の成立と消滅
■ 労災保険及び雇用保険は、その事業が開始された日、適用事業に該当するに至った日に保険関係が成立する。また、事業が廃止され、又は終了したときは、その次号についての保険関係は、その翌日に消滅する。
■ 労働者災害補償保険法3条1項の強制適用事業の事業主については、その事業が開始された日、又は労災保険暫定任意適用事業が(強制)適用事業に該当するに至った日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係が成立する。
■ 雇用保険法5条1項の強制適用事業の事業主については、その事業が開始された日、又は雇用保険暫定適用事業が(強制)適用事業に該当するに至った日に、その事業につき雇用保険に係る雇用保険が成立する。(徴収法3条、4条、整備法7条、徴収法附則3条)
■ 強制適用事業とは、労災保険においては、「労働者を使用する事業」、又、雇用保険法では、「労働者が雇用される事業」であり、暫定任意適用事業以外の事業のことをいう。
■ 強制適用事業においては、法律上当然に保険関係が成立する。
■ 保険関係が成立した事業の事業主は、その成立した日(翌日起算)から10日以内に、その成立した日、事業主の氏名又は名称及び住所、事業の種類、事業の行われる場所その他厚生労働省令で定める事項を政府に届け出なければならない。
■ 上記による届出は、保険関係成立届を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出することによって行わなければならない。(徴収法4条の2第1項、徴収則4条2項、78条2項)
■ 労働保険・社会保険の届出で届出の契機が同じものは、まとめて1か所に提出することができるという、いわゆるワンストップでの届出に関する規定である。(令和2年1月施行)
■ 保険関係の成立の届出(徴収則4条1項)
・ 厚生労働省令で定める事項は次のとおりである。
・ 事業の名称
・ 事業の概要
・ 事業主の所在地
・ 事業に係る労働者数
・ 事業の期間が予定される事業(有期事業)にあっては、事業の予定される期間
・ 建設の事業にあっては、当該事業に係る請負金額並びに発注者の氏名又は名称及び住所又は所在地
・ 立木の伐採の事業にあっては、素材の見込生産量
・ 事業主が法人番号を有する場合には、当該事業主の法人番号
■ 保険関係が成立している事業の事業主は、厚生労働省令で定める事項に変更があったときは、厚生労働省令で定める期間内にその旨を政府に届け出なければならない。
■ 上記の届出は、一定の事項に変更を生じた日の翌日から起算して10日以内に、名称、所在地等変更届を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出することによって行わなければならない。(徴収法4条の2第2項、徴収則5条2項、78条2項)
■ 変更事項の届出(徴収則5条1項)
・ 厚生労働省令で定める事項は、次のとおりである。
・ 事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地
・ 事業の名称
・ 事業の行われる場所
・ 事業の種類
・ 有期事業にあっては、事業の予定される期間
・ 「事業の概要」、「事業に係る労働者数」の変更については、届出の必要はない。
・ また、「法人の代表取締役の異動」があっても、その氏名の変更については、届出の必要はない。
■ 建設の事業については、「労災保険関係成立票」の掲示が義務付けられている。
■ 労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業に係る事業主は、労災保険関係成立票を見やすい場所に掲示しなければならない。(徴収則77条)
■ 立木の伐採の事業にあっては、労災保険関係成立票を掲げる必要はない。
■ 保険関係が成立している事業が廃止され、又は終了したときは、その事業についての保険関係は、その翌日に消滅する。(徴収法5条)
■ 保険関係が消滅したことについて、保険関係消滅届を提出するといった手続を行う必要はない。ただし、保険料については、50日以内に確定保険料申告書を提出して労働保険料の清算手続きを行わなければならない。
■ 事業の一時的休止(休業)は、事業の廃止ではないため、この場合には、保険関係は消滅しない。
■ 法人が解散したからと言って、直ちにその事業が廃止されたことにはならず、特別の事情がない限り、その清算結了の日の翌日に保険関係が消滅する。
■ 徴収法では、「~した日の〇日以内」とか「~した日の翌日から起算して〇日以内」など、期限を定めた規定がいくつもあります。最も重要なのは「〇日」の部分ですが、事例を挙げた問題では、起算日(どこから数えるか)が問題になることもある。
■ 起算日について
・ 「~した日から」という規定の場合、原則として「翌日起算」となります。つまり、初日不算入が原則です。
・ 保険関係が成立した日から10日以内→成立した日の翌日から起算。ただし、その期間が午前零時から始まることが明確な場合は、初日も算入され、「当日起算」となります。
・ 保険関係が消滅した日から50日以内→消滅した日から起算
・ 消滅した日は、事業の廃止・終了日の翌日であるため、午前零時から始まることが明確
・ 「~した日の翌日から起算して」という規定の場合、そのとおり翌日から起算すればOKです。つまり、「起算して」という用語が入っていれば、素直に、その用語がさす日から起算する。
・ 上記の根拠→日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。(民法140条)
■ 労災保険、雇用保険の暫定任意適用事業には、農林水産業の事業(都道府県、市町村その他これらに準ずる者の事業、法人である事業主の事業、船員法1条に規定する船員を使用して行う船舶所有者の事業等を除く)のうち、常時5人以上の労働者を使用する事業以外の事業あって、次の事業が該当する。
■ 労災保険(昭和44年法附則12条、整備令17条、昭和50年労告35条)
・ 民間の個人経営の農業の事業(特定の危険有害作業を主として行う事業であって、常時労働者を使用するもの及び農業関係の特別加入をした者が行うものを除く)であって、5人未満の労働者を使用するもの
・ 民間の個人経営の林業の事業であって、労働者を常時には使用せず、かつ、1年以内の期間において使用する労働者延人員が300人未満のもの
・ 民間の個人経営の漁業の事業(船員法1条に規定する船員を使用して船舶所有者の事業を除く)であって、5人未満の労働者を使用するもの
・ 総トン数5トン未満の漁船により操業するもの
・ 災害発生の恐れが少ない河川、湖沼又は特定の水面において主として操業するもの(総トン数は不問)
■ 雇用保険(雇用保険法附則2条)
・ 常時5人未満の労働者を使用する個人経営の次の事業(農林水産の事業)
・ 土地の耕作、開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他の農林の事業
・ 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業(船員が雇用される事業を除く)
■ 暫定任意適用事業の保険関係の成立
・ 労災保険
・ 成立
・ 労災保険の暫定任意適用事業については、事業主が労災保険の任意加入の申請をし、厚生労働大臣の認可(都道府県労働局長に権限委任)があった日に、当該事業の労災保険の保険関係は成立する(整備法5条1項)
・ 手続
・ 労災保険に任意加入しようとする暫定任意適用事業の事業主は、「任意加入申請書」を所轄都道府県労働局長(所轄労働基準監督署長を経由)に提出しなければならない。(整備省令1条)
・ 事業主が加入するなら労働者同意不要
・ 要件
・ 労災保険の任意加入申請にあたっては、その事業場に使用される労働者の同意は必要とされていない。ただし、事業主に任意加入の意思がない場合でも、労働者の過半数が加入を希望するときは、事業主は、任意加入の申請をしなければならない。(整備法5条)
・ 雇用保険
・ 成立
・ 雇用保険の暫定任意適用事業については、事業主が雇用保険の任意加入を申請し、厚生労働大臣の認可(都道府県労働局長に権限委任)があった日に、当該事業の雇用保険の保険関係が成立する。(徴収法附則2条1項)
・ 手続
・ 雇用保険に任意加入しようとする暫定任意適用事業の事業主は、「任意加入申請書」に、労働者の2分の1以上の同意を証明できる書類を添えて所轄都道府県労働局長(所轄公共職業安定所長を経由)に提出しなければならない。(徴収則附則2条)
・ 要件
・ 雇用保険の任意加入申請にあたっては、その事業場に雇用される労働者の2分の1以上の同意が必要である。また、事業主に任意加入の意思がない場合でも、労働者の2分の1以上が加入を希望するときは、事業主は、任意加入の申請をしなければならない。(徴収法附則2条2項・3項)
■ 事業主は、労働者が雇用保険に係る保険関係の成立を希望したことと理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。(徴収法附則6条)
■ 事業主が労働者の2分の1以上が雇用保険への加入を希望したにも関わらず、任意加入の申請をしなかったとき、又は労働者が雇用保険に係る保険関係の成立を希望したことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしたときは、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処される。(徴収法附則7条1項)
■ 雇用保険の同意又は希望に係る労働者には、その事業が任意加入の認可を受けて適用事業となっても被保険者とならない労働者は含まれない。(行政手引20154号)
■ 労災保険については、たとえ任意加入していなくても労働基準法上の災害補償義務が事業主に残るため、罰則規定は設けられていない。
■ 事業主が労災保険の任意加入を申請する場合、労働者の同意は不要である。
■ 事務手続きの簡略化のために任意適用の擬制が認められている。
■ 労災保険又は雇用保険の強制適用事業が労働者数の減少等により暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に、任意加入の認可があったものとみなす。(整備法5条3項、徴収法附則2条4項)
■ 暫定任意適用事業として労災保険(雇用保険)に係る保険関係が成立している事業の事業主については、徴収法5条(事業の廃止又は終了)の規定によるほか、その者が当該保険関係の消滅の申請をし、厚生労働大臣の認可があった日の翌日に、その事業についての当該保険関係が消滅する。(整備法8条、徴収法附則4条)
■ 労災保険の暫定任意適用事業の消滅
・ 事業主が保険関係の消滅(脱退)の申請をして、厚生労働大臣の認可(都道府県労働局長に権限委任)があった日の翌日に保険関係が消滅する(整備法8条1項)。ただし、次の場合には、保険関係を消滅させることができない。
・ 労災保険に任意加入している暫定任意適用事業の事業主については、当該保険関係が成立した後1年を経過していないとき(整備法8条2項2号)
・ 特別保険料が徴収さえる場合にあっては、特別保険料の徴収期間が経過していないとき(整備法8条2項3号)
・ 労災保険に任意加入している暫定任意適用事業の事業主が労災保険に係る保険関係を消滅させようとするときは、「保険関係消滅申請書」に、その事業に使用される労働者の過半数の同意を得たことを証明する書類を添えて所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。(整備法8条2項1号)
■ 雇用保険の暫定任意適用事業の消滅
・ 事業主が保険関係の消滅(脱退)の申請をして、厚生労働大臣の認可(t道府県労働局長に権限委任)があった日の翌日に保険関係が消滅する。(徴収法附則4条1項)
・ 雇用保険に任意加入している暫定任意適用事業の事業主が雇用保険に係る保険関係を消滅させようとするときは、「保険関係消滅申請書」にその事業に使用される労働者(雇用保険の被保険者である者に限る)の4分の3以上の同意を得たことを証明する書類を添えて所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。(徴収法附則4条2項、徴収則附則3条)
■ 保険関係の成立と消滅について、ポイントをまとめておきます。確実に覚えておきましょう。
・ 保険関係の成立
・ 成立日
・ 強制適用事業
・ 事業を開始した日
・ 適用事業に該当した日
・ 暫定任意適用事業
・ 任意加入について厚生労働大臣の認可があった日
・ 消滅日
・ 強制適用事業
・ 事業の廃止の日の翌日
・ 事業の終了の日の翌日
・ 暫定任意適用事業
・ 上記(廃止・終了)又は脱退について厚生労働大臣の認可があった日の翌日
・ 任意加入の要件
・ 労災保険(整備法5条1項・2項)
・ 事業主の加入意思
・ 労働者の過半数が加入を希望する場合
・ 事業主に加入申請の義務(罰則なし)
・ 雇用保険(徴収法附則2条2項・3項)
・ 事業主の加入意思+労働者の2分の1以上の同意
・ 労働者の2分の1以上が加入を希望する場合
・ 事業主に加入申請の義務(罰則あり)
・ 任意脱退の要件
・ 労災保険(整備法8条1項・2項)
・ 次のいずれも満たした場合
・ 事業主が脱退を希望
・ 労働者の過半数が同意
・ 保険関係成立後1年経過
・ 特別保険料が徴収される場合には、特別保険料の徴収期間超過
・ 労働者が保険関係の消滅を希望しても、事業主に任意脱退の申請をする義務はない。
・ 雇用保険(徴収法附則4条)
・ 次のいずれも満たした場合
・ 事業主が脱退を希望
・ 労働者の4分の3以上の同意
・ 任意加入・脱退は、同意しなかったものも含めて、包括して、加入又は脱退することになる。
■ 事務手続きの合理化・簡素化を目的として3種類のいっかつの規定が設けられている。それぞれの趣旨、要件等を比較整理することが効率的な学習につながる。
■ 保険関係の一括には、次の3種類がある。
・ 有期事業の一括
・ 業種
・ 建設の事業
・ 立木の伐採の事業
・ 一括される保険関係
・ 労災保険
・ 法律上当然に一括される
・ 請負事業の一括
・ 業種
・ 建設の事業のみ(数次の請負によって行われる場合)
・ 一括される保険関係
・ 労災保険
・ 法律上当然に一括される
・ 継続事業の一括
・ 業種
・ 制限なし
・ 一括される保険関係
・ 労災保険
・ 雇用保険
・ 事業主の申請+厚生労働大臣の認可(都道府県労働局長に権限委任)
■ 保険関係の一括とは、一定の要件を満たす事業を事務処理上の便宜を図るために一つにまとめて申告できるようにすることをいう。個々で事務処理をするのは効果的ではないため、小規模の有期事業に関し、要件に該当すれば、法律上当然に保険関係の一括が行われる。
■ 有期事業の一括が行われれば、本来個々の事業ごとに行うべき事務処理を保険年度単位でまとめることができ、継続事業と同様の取り扱いが行われることになる。
■ 次のすべてを満たす場合には、有期事業の一括が法律上当然に行われる。
・ 業種の要件
・ 建設の事業
・ 立木の伐採の事業
・ その他の要件
・ それぞれの事業の事業主が同一人である。
・ それぞれの事業が有期事業(事業の期間が予定される事業)である
・ それぞれの事業が労災保険に係る保険関係が成立しており、労災保険率表でいう事業の種類が同じである。
・ それぞれの事業が、他のいずれの事業の全部又は一部と同時に行われる(事業期間が一部でも重複している)
・ それぞれの事業に係る労働保険料の納付手続事務が1つの事業所で行われること
・ 事業の規模
・ 概算保険料の額が160万円未満
・ 建設の事業
・ 請負金額が1億8千万円未満
・ 請負金額からは、消費税及び地方消費税に相当する額(消費税当相当額)を除く
・ 立木の伐採の事業
・ 素材の見込生産量が1000立方メートル未満
・ 消費税等相当額を除くことについては、下請負事業の分離の規模要件に係る請負金額、賃金総額の特例に係る請負金額、有期事業のメリット制の規模要件に係る請負う金額において同じ
■ それぞれの事業が、他のいずれかの事業の全部又は一部と同時に行われることが必要であるが、2以上の事業が時期的に多少とも重複して行われる場合には、これに該当するものとして取り扱われる。
■ 有期事業の一括がおこなわれるのは労災保険に係る保険関係に限られ、雇用保険については有期事業の一括の対象とはされない。
■ 一括有期事業を介したときに初めに「保険関係成立届」を提出しておけば、以後何年でも当該一括有期事業が継続している限り一括された個々の事業については、そのつど「保険関係成立届」を提出する必要はない。
■ 有期事業の一括により一括された個々の事業については、その後、事業規模の変更等があった場合でも、当初の一括扱いが行われ、新たに独立の有期事業として取り扱われることはない。(昭和40年基発901号)
■ 同一人がA株式会社とB株式会社の代表取締役に就任しているような場合、代表取締役が同一人であることは、有期事業の一括の要件の一つである「事業主が同一人」であることには該当しない。
■ 同一の事業主が元請負人として実施している事業と下請負人として実施している事業は、徴収法の適用上の事業主が異なる(下請負人として実施している事業は、原則として元請負人が徴収法上の事業主となる)ため、有期事業の一括の対象とならない。
■ 一括有期事業についての事業主は、次の保険年度の6月1日から起算して40日以内(7月10日まで)又は保険関係が消滅した日から起算して50日以内に、「一括有期事業報告書」を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。(徴収則34条)
■ 建設関係における工事等は、下請、孫請けなど数次の請負によって行われることが多い。本条は、下請け事業の事務処理上の困難を考えて、法律上当然に元請負事業に一括する規定を設けている。
■ 厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行われる場合には、徴収法の規定の適用については、その事業を一の事業とみなし、元請負人のみを当該事業の事業主とする。(徴収法8条1項)
■ 厚生労働省令で定める事業とは、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、建設の事業とする。(徴収則7条)
■ 雇用保険に係る保険関係は、それぞれの事業ごとに適用する。
■ 数次の請負とは、工事の注文者から直接仕事を請け負った請負人(元請負人)がその仕事の全部又は一部をさらに第三者(下請負人)に請け負わせることにより、その請負関係が数段階に及ぶ場合をいう。
■ もともと下請負に係る事業については、下請負人が事業主であって、元請負人と下請負人の使用する労働者の間には、労働関係がない。この場合であっても、元請負人は、その請負に係る事業については、下請負人に依頼した部分を含め、そのすべてについて事業主として保険料の納付等の義務を負わなければならない。(ただし、下請負事業については、「元請負事業からの分離」の規定がある。
■ 次の要件を満たす場合には、下請負事業の分離ができる。(徴収法8条2項・徴収則8条)
・ 規模(又は)
・ 概算保険料の額が160万円以上
・ 請負金額が1億8千万円以上
・ 元請負人と下請負人が共同して申請し、厚生労働大臣の認可(都道府県労働局長に権限委任)
■ 厚生労働大臣の認可を受けようとする元請負人及び下請負人は、保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に、下請負人を事業主とする認可申請書を所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。
■ なお、天災その他不可抗力により、期間内に申請書を提出することができない場合、請負方式の特殊事情から事業開始前に下請負契約が成立せず、期間内に申請書をていしゅつすることが困難であると認められる場合等、やむを得ない理由があるときは、期限後であっても提出することができる。(徴収則8条)
■ 例えば一つの会社で支店や営業所等がある場合、労働保険関係は事業所単位で適用されるため、それぞれの支店、営業所ごとに保険関係が成立することになる。しかし、個々の支店や営業所単位で事務処理をすることは効率的でない。そこで、一点の要件に該当し、事業主が申請をして、政府の認可を受けた場合には、労働保険の事務処理を政府が指定した一つの事業場で、まとめて取り扱うことができることとしている。これを継続事業の一括という。
■ 一括の要件(徴収法9条、徴収則10条)
・ それぞれの事業の事業主が同一人である。
・ それぞれの事業が継続事業で労災保険料表に定める事業の種類が同じである。
・ それぞれの事業が、次のいずれかの一つに該当すること
・ 二元適用事業であって、労災保険の保健関係が成立している
・ 二元適用事業であって、雇用保険の保険関係が成立している
・ 一元適用事業であって、労災・雇用保険の両方の保険関係が成立している。
・ 厚生労働大臣の認可(都道府県労働局長に権限委任)を受けていること
■ 「二元適用事業であって、雇用保険の保険関係が成立している事業」についても、労災保険料表に定める事業の種類が同じでなければならない。
■ 船員保険の強制被保険者も含めて、一括することができる。
■ 労災保険及び雇用保険の給付に関する事務並びに雇用保険の被保険者に関する事務、印紙保険料の納付に関する事務については、継続事業の一括は適用されないため、それぞれの事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長又は公共職業安定所長がこれらの事務を行う。
■ 一括の認可があったときは、当該認可に係る2以上の事業に使用されるすべての労働者は、これらの事業のうち、厚生労働大臣が指定するいずれかの一の事業に使用される労働者とみなされる。
■ 一括の効果が及ばない事務は次のとおりである。
・ 雇用保険の被保険者に関する事務
・ 労災保険の給付に関する事務
・ 雇用保険の給付に関する事務
・ 印紙保険料の納付に関する事務
■ 継続事業の一括の認可を受けようとする事業主は、「継続事業一括申請書」を、厚生労働大臣の指定を受けることを希望する事業(指定事業(本社に限らない))に係る所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。(徴収則10条2項)
■ 継続事業の一括の認可を受けた事業主は、当該認可に係る事業のうち、指定事業以外の事業(被一括事業)の名称又は当該事業の行われる場所に変更があったときは、遅滞なく、「継続被一括事業名称・所在地変更届」を、指定事業に係る所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。(指定事業に係る名称、所在地等の変更については、変更を生じた日の翌日から起算して10日以内に、「名称、所在地等変更届」を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出することによって行わなければならない。)
■ 継続事業の一括についての認可があったときは、政府が指定した一つの事業(指定事業)に保険関係がまとめられ、その他の事業(被一括事業)の保険関係は消滅する。このため、保険関係が消滅した当該被一括事業については、保険関係が消滅した日から50日以内に、保険料の確定精算の手続が必要となる。また、指定事業について、増加概算保険料(徴収法16条)の要件に該当した場合には、増加概算保険料の申告・納付の手続が必要となる。
■ 一括関係の主な届出の整理
・ 一括有期事業報告書
・ 届出期限
・ 次の保険年度の6月1日から起算して40日以内(7月10日まで)又は保険関係消滅日から起算して50日以内
・ 届出先
・ 所轄都道府県労働局歳入徴収官
・ 下請負人を事業主とする認可申請書
・ 届出期限
・ 保険関係の成立日の翌日から起算して10日以内(元請負人と下請負人が共同で)
・ 届出先
・ 所轄都道府県労働局長
・ 継続事業一括申請書
・ 届出先
・ 所轄都道府県労働局長
・ 継続被一括事業名称・所在地変更届
・ 届出期限
・ 遅滞なく
・ 届出先
・ (指定事業に係る)所轄都道府県労働局長
■ 継続事業の一括の認可を受けた事業主が新たに事業を開始し、その事業をも一括扱いに含めることを希望する場合の継続事業の一括の申請(継続事業一括申請の提出)は、指定事業に係る所轄都道府県労働局長に対して行う。(昭和40年基発901号)
[徴収法] 労働保険徴収法・重要箇所・Chapter3
保険料と負担
■ 労働保険料は、6種類に区分されている。(徴収法10条2項)
・ 一般保険料
・ 事業主が労働者に支払う賃金の総額を算定の基礎とする通常の保険料
・ 労災保険及び雇用保険に係る保険料
・ 第一種特別加入保険料
・ 労災保険に係る中小事業主等の特別加入者に係る保険料
・ 労災保険に係る保険料
・ 第二種特別加入保険料
・ 労災保険に係る一人親方等の特別加入者に係る保険料
・ 労災保険に係る保険料
・ 第三種特別加入保険料
・ 労災保険に係る海外派遣者である特別加入者に係る保険料
・ 労災保険に係る保険料
・ 印紙保険料
・ 雇用保険の日雇労働被保険者について、一般保険料の他に納付する保険料
・ 雇用保険に係る保険料
・ 特例納付保険料
・ 特例事業主(雇用保険法の遡及適用の特例の対象となる労働者を雇用していた一定の事業主)が、徴収権が時効によって消滅した後も特例的に納付することができる保険料
・ 雇用保険に係る保険料
■ 一般保険料は、労働保険料の中心です。「①賃金総額」に「②一般保険料率(労災保険率・雇用保険率)」を乗じて得た額を計算しますが、①②のそれぞれのポイントを押さえることが重要です。
■ なお、一般保険料を計算する際、免除対象高年齢労働者(保険年度の初日において64歳以上の労働者で、雇用保険の短期雇用特例被保険者・日雇労働被保険者以外のもの)については、雇用保険分が免除されていましたが、その規定が、令和2年3月31日(令和元年度末)をもって、廃止されることになりました。
■ 一般保険料の額は、適用事業ごとに、その事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額(日雇労働被保険者に支払う賃金の総額を含む)に一般保険料についての保険料率を乗じて得た額とする。(徴収法11条1項)
■ 一般保険料の額=賃金総額×一般保険料に係る保険料率
■ 一般保険料の額の計算は、具体的には次の計算式によって算出する。
■ 労災保険+雇用保険 → 賃金総額×(労災保険率+雇用保険率)
■ 労災保険のみ → 賃金総額×労災保険率
■ 雇用保険のみ → 賃金総額×雇用保険率
■ 労働者が賃金締切日前に死亡したため支払われていない賃金についても、支払義務は死亡時に確定しているため、当該賃金に対する保険料が徴収される。
■ 一元適用事業であって、雇用保険法の適用を受けない者を使用するものについては、当該事業を労災保険に係る保険関係及び雇用保険に係る保険関係ごとに別個の事業とみなして一般保険料の額を算定するものとされている。(整備省令17条1項)
賃金総額は、原則として事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額をいうが、この賃金総額を正確に算定することが困難な事業について特例が設けられている。
■ 「賃金総額」とは、事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額をいう。
■ 労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、次に掲げる事業であって、賃金総額を正確に算定することが困難な事業については、特例による賃金総額の算定が認められている。(徴収法11条2項、徴収則12条)
・ 請負による建設の事業
・ 立木の伐採の事業
・ 造林の事業、木炭又は薪を生産する事業その他の林業の事業(立木の伐採の事業を除く)
・ 水産動植物の採捕又は養殖の事業
■ 建設の事業は、その事業の種類に従い、請負金額に労務費率を乗じて得た額が賃金総額となる。(徴収則13条1項)
■ 請負金額とは、請負代金の額そのものだけではなく、注文者等から支給を受けた「工事用物」の価額等を加算して計算された額をいう。(徴収則13条2項)
・ 事業主が注文者等から、工事用物の支給を受け、又は機械器具等を貸与された場合は、支給された物(工事用物)の価額相当額(消費税等相当額を除く)又は機械器具等の損料相当額(消費税等相当額を除く)が請負代金の額(消費税相当額を除く)に加算される。
・ 「機械装置の組み立て又は据え付けの事業」にあっては、機械装置(工事用物)の価額は請負代金の額には加算せず、又、当該請負代金の額に機械装置の価額が含まれている場合には、請負代金の額(消費税等相当額を除く)から機械委装置の価額(消費税等相当額を除く)を控除した額を請負金額とする。なお、この加算せず又は控除する機械装置の具体的な範囲については、機械装置の本体及び付属装置(ボイラーの本体、ポンプ等)のほか、付属品(パイプ、配線等)を含めて取り扱うこととしている。
■ 請負金額は、請負代金の額を、一定のルールに従い加減した金額である。
■ 請負金額≠請負代金そのもの
・ 注文者等から工事用物の支給、機械器具等を貸与された場合
・ 請負金額=請負代金+工事用物の価額(材料費・人件費など)+機械器具等の損料相当額(減価償却費等)
・ 機械装置の組み立て又は据え付けの事業
・ 請負代金 5億3000万円
・ 機械装置 本体価格 5億円
・ 工事代 3000万円
・ 請負金額=請負金額(5億3000万円)-機械装置本体価額(5億円)
■ 請負金額中に占める賃金費用の割合を一般的な数値として定めたものであり、請負金額に労務費率を乗じて算定した額が、当該事業に使用される労働者の賃金総額となる。
■ 労務広津(建設の事業)、徴収則別表第2
・ 水力発電施設、隧道当新設事業 → 19%
・ 道路新設事業 → 19%
・ 舗装工事業 → 17%
・ 鉄道又は軌道新設事業 →24%
・ 建築事業(既設建築物設備工事業を除く)→ 23%
・ 既設建築物設備工事業 → 23%
・ 機械装置の組み立て又は据え付けの事業
・ 組み立て又は据え付けに関するもの → 38%
・ その他のもの → 21%
・ その他の建設事業 → 24%
■ 立木の伐採の事業は、所轄都道府県労働局長が定める素材1立方メートルを生産するために必要な労務費の額に、生産すべきすべての素材の材積を乗じて得た額を賃金総額とする。(徴収則14条)
■ 林業及び水産業は、造林の事業、木炭又は薪を生産する事業その他の林業の事業(立木の伐採の事業を除く)及び水産動植物の採捕又は養殖の事業については、厚生労働大臣が定める平均賃金に相当する額に、それぞれの労働者の使用期間の総日数を乗じて得た額の合算額を賃金総額とする。(徴収則15条)
■ 上記の事業であっても、特例を適用するのは賃金総額を正確に算定することが困難な事業であり、賃金総額を正確に算定することが可能である場合には、こうした例外的な取扱いは行わず、当該賃金総額に基づいて一般保険料を算定する。
■ 一般保険料は、原則として労災保険率と雇用保険率の双方の保険料率を含む一元的な保険料率として構成されている。
■ 雇用保険に係る一般保険料率(徴収法12条4項)
・ 雇用保険料は、一般保険料率のうち雇用保険に係る率である。事業の種類に応じ、次の3種類の率が定められている。
・ 一般の事業 → 1000分の9 → 1000分の14.5(令和7年
・ 建設の事業を除く特掲事業 → 1000分の11 → 1000分の16.5(令和7年
・ 特掲事業のうち建設の事業 → 1000分の12 → 1000分の17.5(令和7年度)
・ 法律本来の規定による雇用保険率は、次のとおりである。
・ 一般 → 1000分の15.5
・ 農林水産・清酒製造 → 1000分の16.5
・ 建設 → 1000分の17.5
・ しかし暫定措置により、平成29年度から令和3年度については、各雇用保険率を1000分の2引き下げることとされた。その率に、更に次ページの弾力的変更の規定が適用され、実際に適用される雇用保険率は、令和3年度においては、上記の通りとなっていた。
■ 特掲事業(徴収法12条4項)
・ 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事後湯(園芸サービスの事業を除く)
・ 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業(牛馬の育成、酪農、養鶏又は養豚の事業及び内水面養殖の事業及び雇用保険法6条6号に規定される船員が雇用される事業を除く)
・ 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業
・ 清酒の製造の事業
・ 上記に掲げるもののほか、短期雇用特例被保険者の雇用の状況等を考慮して政令で定める事業
・ 季節的に休業し、又は事業の規模を縮小することのない事業として、括弧書きの事業については、いわゆる一般の事業の雇用保険率が適用される。
■ 厚生労働大臣は、毎会計年度において、徴収保険料額並びに雇用保険法の規定による国庫の負担額(育児休業給付に係る国庫の負担額、雇用保険事業の事務の執行に要する経費にかかる部分を除く)の合計額と失業等給付の額並びに雇用保険法64条の規定による助成及び職業訓練受講給付金の支給の額との合計額(失業等給付額等)との差額を当該会計年度末における労働保険特別会計の雇用勘定の積立金に加減した額から教育訓練給付額及び雇用継続給付額を減じた額が、当該会計年度における失業等給付額等から教育訓練給付額及び雇用継続給付額を減じた額の2倍に相当する額を超え、又は当該失業等給付額等から教育訓練給付額及び雇用継続給付額を減じた額に相当する額を下るに至った場合において、必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見を聴いて、1年以内の期間を定め、雇用保険率を一般の事業については、1000分の11.5から1000分の19.5、建設の事業を除く特掲事業については、1000分の13.5から1000分の21.5、特掲事業のうち建設の事業については1000分の14.5から1000分の22.5までの範囲内において変更することができる。
■ 厚生労働大臣は、上記の規定により雇用保険率を変更するにあたっては、雇用保険法に規定する被保険者の雇用及び失業の状況その他の事情を考慮し、雇用保険の事業に係る失業等給付の支給に支障が生じないようにするために必要な額の積立金を保有しつつ、雇用保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるよう、配慮するものとする。(徴収法12条5項・7項、徴収法附則11条)
■ 厚生労働大臣は、毎会計年度において、二事業費充当徴収保険料額と雇用保険法の規定による雇用安定事業及び能力開発事業(雇用保険法63条に規定するものに限る)に要する費用に充てられた額(予算の定めるところにより、労働保険特別会計の雇用勘定に置かれる雇用安定資金に繰り入れられた額を含む)との差額を当該会計年度末における当該雇用安定資金に加減した額が、当該会計年度における一般保険料徴収額に1000分の3.5の率(特掲事業のうち建設の事業については、1000分の4.5の率)を雇用保険率で除して得た率を乗じて得た額の1.5倍に相当する額を超えるに至った場合は、雇用保険率を1年間その率から1000分の0.5の率を控除した率に変更するものとする。
■ この場合、上記の雇用保険率の変更が可能な範囲も、それぞれ、1000分の0.5ずつ引き下げられる。
■ 上記の場合において、厚生労働大臣は、雇用安定資金の状況を鑑み、必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見を聴いて、1年以内の期間を定め、雇用保険率を上記の規定により変更された率から1000分の0.5の率を控除した率に変更することができる。
■ この場合、上記の雇用保険率の変更が可能な範囲も、それぞれ、1000分の1ずつ引き下げられる。(徴収法12条8項から11項、徴収法附則11条9
■ 労災保険に係る一般保険料率(徴収法12条2項)
・ 労災保険率は、労災保険法の規定による保険給付及び社会復帰促進等事業に要する費用の予想額と照らし、将来にわたって、労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるものでなければならないものとし、労災保険法の適用を受ける全ての事業の過去3年間の業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に係る災害率並びに二次健康診断等給付に要した費用の額、社会復帰促進等事業として行う事業の種類及び内容その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定める。
・ 事業の種類ごとに区分されており、最高は1000分の88(金属鉱業、非金属鉱業(石灰石鉱業又はドロマイト鉱業を除く)又は石炭鉱業)、最低は1000分の2.5(金融業、通信業等)
・ 労災保険率には、全事業につき日業務災害率が一律1000分の0.6含まれている。
・ なお、労災保険率を一定の範囲で上げ下げする「メリット制」という仕組みがある。
■ 労災保険法の適用を受けてすべての事業の過去3年間の複数業務要因災害に係る災害率、通勤災害に係る災害率、二次健康診断等給付に要した費用の額及び厚生労働省令で定めるところにより算定した労災保険法8条3項に規定する給付基礎日額を用いて算定した保険給付の額その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定める率をいう。
■ 労災保険法8条3項に規定する給与基礎日額を用いて算定した保険給付は、複数事業労働者の業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由又は複数事業労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡により、当該複数事業労働者、その遺族等に対して行われる保険給付(この保険給付について、厚生労働省令で定めるところにより算定された額が考慮される)
■ 特別加入保険料の額の計算は、具体的には次の計算式によって算出する。
■ 第一種特別加入保険料(中小事業主等)
・ 特別加入保険料算定基礎額の総額×第一種特別加入保険料率
■ 第二種特別加入保険料(一人親方等)
・ 特別加入保険料算定基礎額の総額×第二種特別加入保険料率
■ 第三種特別加入保険料(海外派遣労働者)
・ 特別加入保険料算定基礎額の総額×第三種特別加入保険料率
■ 特別加入保険料算定基礎額は、特別加入者それぞれの給付基礎日額に応じて定められている。具体的には、給付基礎日額を365倍(年額換算)した額である(徴収則21条、22条、23条の2、徴収則別表4)
■ 特別加入保険料算定基礎額表
・ 25000円→9125000円
・ 24000円→8760000円
・ 22000円→8030000円
・ 20000円→7300000円
・ 18000円→6570000円
・ 16000円→5840000円
・ 14000円→5110000円
・ 12000円→4380000円
・ 10000円→3650000円
・ 9000円→3285000円
・ 8000円→2920000円
・ 7000円→2555000円
・ 6000円→2190000円
・ 5000円→1825000円
・ 4000円→1460000円
・ 3500円→1277500円
■ 第二種特別加入者のうち、家内労働者及びその補助者については、2000円、2500円、3000円の給付基礎日額も設けられており、これらを選択することも可能である。
■ 保険年度の途中で特別加入が行われた場合は、特別加入保険料算定基礎額は次のように月額計算される。なお、月数の計算方法は継続事業と有期事業で異なっており、継続事業の場合は月の途中で特別加入者となった場合はその月を1月とし、月の途中で特別加入者でなくなった場合もその月を1月として計算する。つまり、継続事業の場合の場合は純粋に歴月方式で計算することになる。
・ 特別加入保険料算定基礎額=給付基礎日額×365/12×加入期間の月数(1月未満の端数は1月として計算)
■ 特別加入保険料は、この月割された特別保険料算定基礎額の総額に特別加入保険料率を乗じて求める。
■ 特別加入者となった日から特別加入者でなくなった日までの月数(その月数に1月未満の端数があるときは1月とする)に応じて月割計算される。(平成7年労徴発28号)
■ 継続事業の場合
・ 特別加入→歴月方式
・ 特別加入取止め→その月末まで
■ 有期事業の場合
・ 特別加入→応当日方式
・ 特別加入取止め→その月の応当日まで
■ 特別加入保険料率は、特別加入の種類ごとに、次のように定められている
■ 第一種特別加入保険料率
・ その事業についての労災保険料と同一の率から労災保険法の適用を受けるべきすべての事業の過去3年間の二次健康診断等給付に要した費用の額を考慮して厚生労働大臣が定める率を減じた率
・ その事業にメリット制が適用されている場合は、第一種特別加入保険料率についてもメリット制が適用された後の労災保険率と同一の率となる。
・ 現在、「厚生労働大事の定める率」は「0」であるため、実質的には、特別加入している中小事業主の行う事業についての労災保険率と同一の率となっている。
■ 第二種特別加入保険料率
・ 一人親方等の特別加入者に係る事業又は作業と同種若しくは類似の事業又は作業を行う事業についての業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に係る災害率(これらの特別加入者のうち、通勤災害について労災保険の保護の対象とされていない者については、業務災害及び複数業務要因災害に係る災害率)、社会復帰促進等事業として行う業務の種類及び内容その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定める率
・ 事業又は作業の種類ごとに、特1から特23までの23区分。最高は、林業(特4)の1000分の52、最低は、芸能関係作業従事者、アニメーション制作作業従事者、ITフリーランス等(特8,9,10,11,15,17,19,21,22,23)の1000分の3
■ 第三種特別加入保険料率
・ 海外派遣者が海外において従事している事業と同種又は類似の日本国内で行われている事業についての業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に係る災害率、社会復帰促進等事業として行う事業の種類及び内容その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定める率
・ 厚生労働大臣の定める率は、事業の種類にかかわらず一律に1000分の3
■ 第二種特別加入保険料率は、第二種特別加入者に係る保険給付及び社会復帰促進等事業に要する費用の予想額に照らし、将来にわたって、労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるものでなければならないこととされている。(徴収法14条2項)
■ 上記の規定は、第三種特別加入保険料率にも準用され、第三種特別加入保険料率は、第三種特別加入者に係る保険給付及び社会復帰促進等事業に要する費用の予想額に照らし、将来にわたって、労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるものでなければならないこととされている(徴収法14条の2第2項)
■ なお、労災保険率(これに基づく第一種特別加入保険料率)についても、同様の財政の均衡に関する規定は設けられている。
■ 労災保険率、第一種特別加入保険料率、非業務災害率、特別加入非業務災害率の関係を示すと、以下のようになる。
・ 労災保険率
・ 業務災害に係る率
・ 非業務災害率
・ 複数業務要因災害に係る率
・ 通勤災害に係る率
・ 複数労働事業者、その遺族等に対して行われる保険給付の額(厚生労働省令で定めるところにより算定)を考慮した率
・ 二次健康診断等給付に要した費用の額を考慮した率
・ 第一種特別加入保険料率
・ 業務災害に係る率
・ 特別加入非業務災害率
・ 複数業務要因災害に係る率
・ 通勤災害に係る率
・ 複数労働事業者、その遺族等に対して行われる保険給付の額(厚生労働省令で定めるところにより算定)を考慮した額
・ 二次健康診断等給付に要した費用の額を考慮した率は対象外
・ 特別加入者に対しては、二次健康診断等給付は行われないので、それに要した費用のことは考慮する必要がないので、特別加入非業務災害率に含まれない。
■ 政府は、労働保険の事業の運営に要する費用の主たる財源として労働保険料を徴収するが、この労働保険料の納付義務は、すべて事業主に課せられている。(徴収法15条から17条)
■ 次の区分に従い、事業主及び被保険者に負担義務が課せられている。(徴収法31条1項・3項・4項)
■ 労災保険に係る一般保険料、第一種特別加入保険料、第二種特別加入保険料、第三種特別加入保険料
・ 全額を事業主が負担する
■ 雇用保険に係る一般保険料
・ 被保険者が、一般保険料の額のうち雇用保険率に応ずる部分の額から、その額に二事業率を乗じて得た額を減じた額の2分の1の額を負担し、事業主は、前記の額と二事業率に相当する額の合計額を負担する。
■ 印紙保険料
・ 事業主と日雇被保険者が2分の1ずつ負担(1円未満の端数は事業主が負担)する。
■ 二事業率とは、雇用保険率のうち、雇用安定事業及び能力開発事業(雇用法63条に規定するものに限る)の費用に充てるべき部分の率の割合をいう。
■ 雇用保険料の負担率(令和7年度)
■ 一般の事業
・ 雇用保険率 1000分の14.5
・ 被保険者負担 1000分の5.5
・ 事業主負担
・ 失業等給付・育児休業給付に係る率 1000分の5.5
・ 二事業に係る率 1000分の3.5
■ 特掲事業(建設の事業を除く)
・ 雇用保険率 1000分の16.5
・ 被保険者負担 1000分の6.5
・ 事業主負担
・ 失業等給付・育児休業給付に係る率 1000分の6.5
・ 二事業に係る率 1000分の3.5
■ 建設の事業
・ 雇用保険率 1000分の17.5
・ 被保険者負担 1000分の6.5
・ 事業主負担
・ 失業等給付・育児休業給付に係る率 1000分の6.5
・ 二事業に係る率 1000分の4.5
■ 雇用保険率から二事業に係る率を控除した率の2分の1を被保険者と事業主とで折半して負担する旨が、後述の徴収法31条に規定されている。
■ 日雇労働被保険者については、一般保険料についての被保険者負担分の他、印紙保険料の被保険者負担分を併せて負担しなければならない。(徴収法31条3項)
■ 事業主は、被保険者が負担すべき額に相当する額を当該被保険者に支払う賃金から控除することができる。この場合において、事業主は、労働保険料控除に関する計算書を作成し、その控除額を当該被保険者に知らせなければならない。(徴収法32条1項)
■ 月給制で毎月賃金を支払う場合は、1年間分の保険料を全額控除したり、毎月控除せずに1か月おきに2か月分に相当する額をまとめて控除することはできない。また、賃金の支払が月2回払いである場合には、当該月2回の賃金の支払のつど、当該賃金額に応ずる被保険者負担保険料額を控除しなければならず、1回分の支払賃金から1か月分に相当する被保険者負担保険料額をすべてまとめて控除することはできない。
■ 事業主は、被保険者に賃金を支払う都度、当該賃金額に応じ、被保険者の負担すべき一般保険料相当額(日雇労働被保険者の場合には、被保険者の負担すべき一般保険料額相当額及び印紙保険料額の2分の1相当額)をそれぞれ当該賃金から控除することができる。
■ 事業主は、一般保険料控除計算簿(形式のいかんを問わないので、賃金台帳をもってこれに代えることができる)を作成し、事業場毎にこれを備えなければならない。(徴収則60条)
[徴収法] 労働保険徴収法・重要箇所・Chapter4
保険料の申告と納付
■ 労働保険では、予想される保険料を先に納付し、後で精算するという形をとっている。ここでは、概算保険料に関する額の計算方法と、申告・納付期限、申告・納付先に関して学習していく。継続事業の場合と有期事業の場合で異なる取扱いがなされることから比較整理が重要となる。
■ 概算保険料額=賃金総額の見込額×一般保険料率
■ 確定保険料額=実際に支払った賃金総額×一般保険料率
■ 概算保険料額の計算
・ 一般労働者の保険料(賃金総額の見込額×一般保険料率)+特別加入保険料(保険料算定基礎額の総額の見込額×特別加入保険料率)
■ 労災保険に係る中小事業主等の特別加入者を含む事業については、算定した一般保険料の額に第一種特別加入保険料の額を加算した額が、概算保険料の額となる。第二種特別加入者については、当該一人親方等が所属する団体が納付する。また、海外派遣者について特別加入の承認を受けた事業については、算定した一般保険料の額に第三種特別加入保険料の額を加算した額が、概算保険料の額となる。
■ 概算保険料の額の計算にあたり、賃金総額の見込額に1000円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てた額を賃金総額の見込額として計算する。
■ 概算保険料の額は、その保険年度に使用するすべての労働者(保険年度の中途に保険関係が成立したものについては、当該保険関係が成立した日からその保険年度の末日までに使用するすべての労働者)に係る賃金総額の見込額に一般保険料に係る保険料率を乗じて得た額とする。
■ ただし、当該見込額が、直前の保険年度の保険料算定基礎額の100分の50以上100分の200以下である場合には、直前の保険年度の保険料算定基礎額を用いる。(徴収法15条1項・徴収則24条1項)
■ 概算保険料は原則として、次の計算式による
賃金総額の見込額 × 一般保険料率
・ 但書の例(概算保険料の算定に用いる賃金総額が次のような場合)
・ 令和3年度 賃金総額 4000万円
・ 令和4年 賃金総額の見込額 7000万円
・ 7000万円は、4000万円の100分の50以上100分の200以下の範囲内の額であるため、令和4年度の概算保険料の算定に用いる「賃金総額」は、7000万円ではなく、4000万円を用いて計算する。
■ 継続事業(有期事業以外の事業)の概算保険料は、計算した概算保険料の額を保険年度の6月1日から40日以内(7月10日まで)に、概算保険料申告書に添えて納付書により、所定の納付場所へ申告・納付する。
■ 保険関係が保険年度の中途で成立した継続事業については、保険関係が成立した日(翌日起算)から50日以内に概算保険料を申告・納付しなければならない。(徴収法15条1項)
■ 有期事業の概算保険料については、保険関係が成立した日(翌日起算)から20日以内に、概算保険申告書に添えて納付書により、所定の納付場所へ申告・納付する。(徴収法15条2項)
■ 継続事業と有期事業の概算保険料の比較
・ 継続事業
・ 保険料額 賃金総額の見込額(例外有)×一般保険料率
賃金総額
・ 保険年度単位の見込額(1000円未満の端数切捨て)
賃金総額の見込額が前年度の保険料算定基礎額の100分の50以上100分の200以下の場合は前年度の保険料算定基礎額を当該年度の見込額とする
・ 納期限
・ 保険年度の6月1日から40日以内
・ 保険関係が成立した日(翌日起算)から50日以内
・ 有期事業
・ 保険料額 賃金総額の見込額(例外有)×一般保険料率
賃金総額 事業の全期間を通じての見込額(1000円未満の端数切捨て)
・ 納期限 保険関係が成立した日(翌日起算)から20日以内
■ 概算保険料申告書は、所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。(徴収則38条)
■ 申告書の提出は、次の区分により日本銀行(本店、支店、代理店及び歳入代理店)、年金事務所、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長を経由して提出することができる。
・ 次の一般保険料率に係る概算保険料申告書であって、継続事業(労働保険事務組合に労働保険事務の処理が委託されているものを除く)に係るもの(保険関係の成立の届出の規定による届書に併せて、健康保険及び厚生年金保険の新規適用事業所の提出の規定による届書又は雇用保険の事業所の設置に係る届書を提出する場合に、これらの届書と同時に提出するものに限る)
・ 一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しない事業についての一般保険料
・ 経由先
・ 年金事務所
・ 所轄労働基準監督署長
・ 所轄公共職業安定所長
・ 次のいずれかに係る概算保険料申告書(口座振替を行う場合に提出するものを除く)であって、継続事業(労働保険事務組合に労働保険事務の処理が委託されているものを除く)に係るもの(社会保険適用事業所の事業主が6月1日から40日以内に提出するものに限る)
・ 一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しない事業(雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業を除く)についての一般保険料
・ 労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業についての一般保険料
・ 経由先
・ 日本銀行
・ 年金事務所
・ 所轄労働基準監督署長
・ 次のいずれかに係る概算保険料申告書であって、継続事業(労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託されているものを除く)に係るもの(社会保険適用事業所の事業主が6月1日から40日以内に提出するものに限る)
・ 一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しない事業のうち、雇用保険に係る保険関係にのみが成立している事業についての一般保険料
・ 雇用保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業についての一般保険料
・ 経由先
・ 日本銀行
・ 年金事務所
・ 次に係る概算保険料申告書
・ 一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しない事業(雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業を除く)についての一般保険料(上記以外のもの)
・ 労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業についての一般保険料(上記以外)
・ 二元適用事業についての第一種特別加入保険料
・ 第二種特別加入保険料
・ 第三種特別加入保険料
・ 納付先
・ 日本銀行
・ 所轄労働基準監督署長
・ 次に係る概算保険料申告書
・ 一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する事業についての一般保険料
・ 一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しない事業のうち、雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業についての一般保険料(上記以外)
・ 雇用保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業についての一般保険料(上記以外)
・ 一元適用事業についての第一種特別加入保険料
■ 上記表の(4)に係る概算保険料申告書のうち口座振替を行う場合に提出するものは、所轄労働基準監督署長の経由が可能
■ 社会保険適用事業所とは、厚生年金保険又は健康保険の適用事業所をいう。
■ 概算保険料申告書は、上記(1)(保険関係成立の届出、健康保険・厚生年金保険の新規適用事業所の届出、雇用保険の事業所の設置についての届書の提出と同時に、社会保険料申告書を提出する場合)に該当する場合のほかは、所轄公共職業安定所長を経由して提出することはできない。
■ 年金事務所を経由できるのは、上記表の(1)に該当する場合を除いては、次の場合に限られる。
・ 継続事業
・ 労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託していない
・ 社会保険適用事業所の事業主が6月1日から40日以内に提出する一般保険料に係るもの
・ 口座振替により概算保険料を納付する場合に提出するものでない。
■ 上記の表(1)は、いわゆるワンストップでの届出に関する規定で、特殊なケースといえます。それ以外のケースについては、後で整理します。なお、図中の確定保険料のことは、後述しますが、基本的には概算保険料の場合と同じです。
・ 労働保険料(概算・確定保険料)の申告・経由先(上記(2),(3))
・ 事業
・ 継続事業
・ 労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託していない
・ 社会保険適用事業所で6月1日から40日以内に提出するもの
・ 経由先
・ 所轄公共職業安定所長経由はなし
・ 一元・委託なし及び二元・労災のみ
・ 都道府県労働局歳入徴収官(直接)
・ 所轄労働基準監督署長経由
・ 日本銀行経由
・ 確定保険料で納付すべき労働保険料がない場合は日本銀行を経由できない。
・ 年金事務所経由
・ 二元・雇用のみ
・ 都道府県労働局歳入徴収官(直接)
・ 日本銀行経由
・ 確定保険料で納付すべき労働保険料がない場合は日本銀行を経由できない。
・ 年金事務所経由
・ 労働保険料(概算・確定保険料)の申告・経由先((4),(5))
・ 事業
・ 上記以外
・ 経由先
・ 上記と異なり「年金事務所」経由なし
・ 所轄公共職業安定所長経由なし
・ 一元・委託なし及び二元・労災のみ
・ 都道府県労働局歳入徴収官(直接)
・ 所轄労働基準監督署長経由
・ 日本銀行経由
・ 確定保険料で納付すべき労働保険料がない場合は日本銀行を経由できない。
・ 一元・委託あり及び二元・雇用のみ
・ 都道府県労働局歳入徴収官(直接)
・ 日本銀行経由
・ 確定保険料で納付すべき労働保険料がない場合は日本銀行を経由できない。
■ 継続事業における概算保険料申告書(労働保険事務組合に労働保険事務の処理が委託されている事業に係るものを除く)の提出(保険年度の中途に保険関係が成立したものについての当該保険関係が成立した日から50日以内に行う申告書の提出を除く)は、特定法人にあっては、電子情報処理組織を使用して行うものとする。
■ ただし、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用しないで当該申告書の提出を行うことができると認められる場合は、この限りでない(徴収則24条3項)
■ 特殊法人とは、次の法人をいう。
・ 資本金・出資金又は銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超える法人
・ 相互法人(保険業法)
・ 投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律)
・ 特定目的会社(資産の流動化に関する法律)
■ 令和2年4月1日施行の改正で、特定法人を対象として、一部の届出等についての電子申請が義務化されることになりました。
■ 徴収法では、上記の概算保険料申告書のほか、後述の増加概算保険料申告書、確定保険料申告書の提出が、その対象となります。
■ 概算保険料は所轄都道府県労働局収入官吏に納付するが、次の区分により、日本銀行又は労働基準監督署収入官吏に納付することができる。
■ 以下の場合の納付先は、日本銀行又は都道府県労働局収入官吏若しくは労働基準監督署収入官吏
・ 一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しない事業についての一般保険料
・ 労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業についての一般保険料
・ 二元適用事業についての第一種特別加入保険料
・ 第二種特別加入保険料
・ 第三種特別加入保険料
■ 以下の場合の納付先は、日本銀行又は都道府県労働局収入官吏
・ 一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する事業についての一般保険料
・ 一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しない事業のうち、雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業についての一般保険料
・ 雇用保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業についての一般保険料率
・ 一元適用事業についての第一種特別加入保険料
■ 概算保険料について事業主が申告しない場合や提出された申告書に誤りがあった場合に、政府が職権により正しい概算保険料の額を決定する制度を「認定決定」という。
■ 政府は、事業主が概算保険料申告書を提出しないとき、又はその申告書の記載に誤りがあると認めるときは、労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知する。(徴収法15条3項)
■ 概算保険料の認定決定は、都道府県労働局歳入徴収官が行う。
■ 認定決定された概算保険料の額について事業主に通知する場合には、「納付書」によって行う。
■ 概算保険料について認定決定を受けたとしても、追徴金は徴収されない。
■ 認定決定の通知を受けた事業主は、納付した労働保険料の額が政府の決定した労働保険料の額に足りないときはその不足額を、納付した労働保険料の額がないときは、政府の決定した労働保険料を、その通知を受けた日(翌日起算)から15日以内に納付しなければならない。(徴収法15条4項)
■ 事業主は、未納額又は不足額を納付する場合には、この納付書によって行う。
■ 本条は、概算保険料の申告・納付後に予期しなかった事業規模の拡大や、賃金の上昇等により、賃金総額等の見込額が大幅に増加した場合で、一定の要件に該当したときに事業主に申告・納付が義務付けられている増加概算保険料について規定している。
■ 事業主は、継続事業又は有期事業についての概算保険料の算定に用いた賃金総額の見込額、第一種特別加入保険料の算定基礎額の総額に見込額、第二種特別加入保険料の算定基礎額の総額見込額又は第三種特別加入保険料の算定基礎額の見込額が増加した場合において厚生労働省令で定める要件に該当するときは、その日(翌日起算)から30日以内に、増加後の見込額に基づく労働保険料の額と既に納付した労働保険料の額との差額を、その額その他厚生労働省令で定める事項を記載した申告書(増加概算保険料申告書)に添えて納付しなければならない。(徴収法16条)
■ 増加後の保険料算定基礎額の見込額が増加前の保険料算定基礎額の見込額の100分の200を超え、かつ、増加後の保険料算定基礎額の見込額に基づき算定した概算保険料の額と既に納付した概算保険料の額との差額が13万円以上であるとき。(徴収則25条1項)
■ 労災保険に係る保険関係のみが成立している事業又は雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業が労災保険及び雇用保険に係る保険関係がともに成立している事業に該当するに至ったため当該事業に係る一般保険料率が変更した場合において、変更後の一般保険料率に基づき算定した概算保険料の額が既に納付した概算保険料の額の100分の200を超え、かつ、その差額が13万円以上であるときには、増加後の見込額に基づく労働保険料の額と納付した労働保険料の額との差額を、その日(翌日起算)から30日以内に申告・納付しなければならない。(徴収法附則5条、徴収則附則4条)
■ 増加概算保険料については、政府による認定決定は行われない。
■ 概算保険料には、還付の制度は設けられていない。
■ 増加概算保険料の申告先、納付場所等は、概算保険料の場合と同様である。
■ 増加概算保険料申告書は、所轄公共職業安定所長を経由して所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出することはできない。
■ 増加概算保険料申告書は、年金事務所を経由して所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出することはできない。
■ 継続事業における増加概算保険料申告書(労働保険事務組合に労働保険事務の処理が委託されている事業に係るものを除く)の提出は、特定法人にあっては、電子情報処理組織を使用して行う者とする。ただし、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合で、かつ、電子情報処理組織を使用しないで当該申告書の提出を行うことができると認められる場合は、この限りではない。(徴収則25条3項)
■ 保険年度の中途から保険料率の引き上げを実施した場合、政府は、保険料率引き上げ前の保険料算定基礎額に基づいて、保険料率引き上げ後の概算保険料の額を算定し、当該額とすでに納付した概算保険料の額との差額を徴収する。
■ 政府は、一般保険料率、第一種特別加入保険料率、第二種特別加入保険料率又は第三種特別加入保険料率の引上げを行なったときは、労働保険料を追加徴収する。
■ 政府は、上記の規定により労働保険料を追加徴収する場合には、厚生労働省令で定めるところにより、事業主に対して、期限を指定して、その納付すべき労働保険料の額を通知しなければならない。(徴収法17条)
■ 所轄都道府県労働局歳入徴収官は、労働保険料を追加徴収しようとする場合には、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、事業主に通知しなければならない。(徴収則26条)
■ 事業主は、納期限までに当該概算保険料の増加額を、納付書により、所定の納付場所へ納付しなければならない。
■ 概算保険料の追加徴収については、金額の多少にかかわらず行われる。
■ 一般保険料率等の引下げについて、還付の制度は設けられていない。
■ 概算保険料の延納の概要は次のとおりである。
・ 保険年度の当初(又は保険関係成立の当初)に事業主が申告・納付する概算保険料 → 申請時期は申告書提出の際
・ 政府の認定決定に係る概算保険料 → 認定決定された概算保険料を納付する際
・ 増加概算保険料 → 申告書提出の際
・ 保険料率の引上げにより追加徴収される概算保険料 → 通知により指定された期限まで
■ 確定保険料は延納できない。
■ 継続事業(一括有期事業を含む)であって、次のいずれかに該当する場合には、事業主が申請することにより、概算保険料を延納することができる。(徴収則27条)
・ 納付すべき概算保険料の額が40万円(労災保険又は雇用保険のいずれか一方の保険関係のみが成立している事業については20万円)以上であるもの
・ 労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託しているもの
■ 延納の方法(徴収則27条)
・ 保険年度の初日の前日以前に保険関係が成立している場合
・ 概算保険料の延納は、保険年度を単位として、3期に分けて納付する。期の範囲と納期限は次の通り
・ 第1期(4月1日から7月31日まで)
・ 納期限
7月10日(労働保険事務組合に事務処理を委託している場合も同じ)
・ 第2期(8月1日から11月30日まで)
・ 納期限
10月31日
11月14日(組合に委託している場合)
・ 第3期(12月1日から3月31日まで)
・ 納期限
・ 翌年1月31日
・ 翌年2月14日(組合に委託している場合)
・ 保険年度の中途に保険関係が成立した場合
4月1日から5月31日までの間に保険関係が成立した事業については、保険関係成立の日から7月31日までを最初の期とし、3回の延納が認められる
・ 最初の期(保険関係成立の日から7月31日まで)
・ 納期限
・ 保険関係成立の日の翌日から起算して50日以内(委託している場合も同様)
・ 次の期(8月1日から11月30日まで)
・ 納期限
10月31日
11月14日(組合に委託している場合)
・ 次の次の期(12月1日から3月31日まで)
・ 納期限
・ 翌年1月31日
・ 翌年2月14日(組合に委託している場合)
6月1日から9月30日までの間に保険関係が成立した事業については、11月30日までを最初の期とし、2回の延納が認められる。
・ 最初の期(保険関係成立の日から11月30日まで)
・ 納期限
・ 保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内(組合に委託している場合も同様)
・ 次の期(12月1日から翌年3月31日まで)
・ 納期限
・ 翌年1月31日
・ 翌年2月14日(組合に委託している場合)
10月1日以降に保険関係が成立した事業は延納ができない。
■ 延納により分割納付する各期分の概算保険料の額は、その総額を期の数で除して得た額である。ただし、期間の数で除して得た額に1円未満の端数があるときは、最初の期以外の各期分の端数を最初の期分の概算保険料の額に加算して納付する。
■ 労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託している場合には、概算保険料の額にかかわらず、事業主の申請により概算保険料を納付することができる。(有期事業についても同様である。)
■ 一括有期事業は、労災保険の保険関係のみが成立しているため、納付すべき概算保険料の額が20万円以上である場合、又は労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託している場合には、事業主の申請により概算保険料を延納することができる。
■ 有期事業の概算保険料の延納は、次のいずれかに該当する場合に、事業主が申請することにより、延納することができる。ただし、どちらの場合も事業の全期間が6か月以内のものは認められない。(徴収則28条)
・ 納付すべき概算保険料の額が75万円以上であるもの
・ 労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託しているもの
■ 延納の方法(徴収則28条)
・ 有期事業についての延納は、保険年度を単位として行うものではなく、その事業の全期間を通じて、各期に分けて納付する。このため、延納に係る最初の期については、保険関係の成立日からその日の属する期の末日までの期間となる。この場合、最初の期の期間が2か月以内のときは、その期間をもって最初の期として独立させることなく、次の期の4か月と併せた期間をもって最初の期とする取扱いがなされている。
4月1日から7月31日までの期
8月1日から11月30日までの期
12月1日から翌年3月31日までの期
・ 翌年4月1日から7月31までの期
・ 保険関係成立期間(6月1日から7月31日まで)の場合
・ 保険関係成立の日から11月30日までが最初の期
・ 保険関係成立期間(10月1日から11月30日まで)の場合
・ 保険関係成立の日から翌年3月31日までが最初の期
・ 保険関係成立時期(翌年2月1日から3月31日まで)の場合
・ 保険関係成立の日から翌年7月31日まで
■ 有期事業の概算保険料の延納が行われた場合の各期の納期限は、
・ 最初の期→保険関係成立の日の「翌日」から起算して20日以内
4月1日から7月31日まで→3月31日まで
8月1日から11月30日まで→10月31日まで
12月1日から翌3月31日まで→翌1月31日まで
■ 労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合であっても、納期限の延長(変更)されない。
■ 延納により分割納付する各期分の概算保険料の額は、その総額を期の数で除して得た額である。ただし、期の数で除して得た額に1円未満の端数があるときは、最初の期以外の各期分の端数を最初の期分の概算保険料の額に加算して納付する。
■ 認定決定された概算保険料についても、事業主が申請することにより、継続事業及び有期事業の延納の方法に準じて延納が行われる。ただし、第1期(最初の期)の納期限日については次のように取り扱われる。
■ 政府が認定決定した概算保険料→通知を受けた日(翌日起算)から起算して15日以内
■ 増加概算保険料→増加が見込まれた日、又は、一般保険料率が変更された日(翌日起算)から起算して30日以内
■ 保険料率の引上げに伴い追加徴収される概算保険料→通知を発する日から起算して30日を経過した日まで
■ 増加概算保険料の延納については、概算保険料を延納している事業主に限って認められる。
■ 最初の納期限
・ 増加の見込まれた日又は一般保険料率が変更された日(翌日起算)から起算して30日以内
■ その後の各期分の納期限
4月1日から7月31日までの期
・ 納期限
3月31日(組合に委託している場合も同様)
8月1日から11月30日までの期
・ 納期限
10月31日
11月14日(組合に委託している場合)
12月1日から翌3月31日までの期
・ 納期限
・ 翌年1月31日
・ 翌年2月14日(組合に委託している場合)
■ ただし、最初の期の次の期分の納期限が最初の期分の納期限より先に到来することとなる場合には、次の期分の増加概算保険料を、最初の期分の増加概算保険料とともに、最初の期分の納期限までに納付すれば足りる。
■ 例
・ 有期事業で3月10日に増加が見込まれた場合には、最初の期分の納期限は、3月11日から起算して30日目の4月9日、次の期分の納期限は3月31日となるため、この場合には、4月9日に、次の期の分の納付額と合計して納めればよい。
■ 増加概算保険料の延納の場合は、概算保険料の延納の場合と異なり、賃金総額の増加が見込まれた日(変更日)からその期の末日までの期間が2か月以内であっても、次の期の4か月と合わせた期を最初の期とするのではなく、その期間を独立させて最初の期として取り扱うこととされている。
■ 追加徴収による概算保険料の延納については、増加概算保険料の延納と同様に取り扱われる。
■ 継続事業の場合には、年度が終了した際に実際に支払った賃金総額が確定する。また、有期事業の場合には、事業の修了により賃金総額が確定し、確定保険料が算定できるようになる。徴収法19条の2は、この確定保険料について規定している。
■ 確定保険料の額は、保険年度ごとに、当該保険年度中に使用したすべての労働者(年度の中途に保険関係が成立し、又は消滅したものについては、当該保険関係が成立していた期間に使用しているすべての労働者)に支払った賃金の総額に一般保険料率を乗じて得た額とする。(徴収法19条1項1号)
■ 確定保険料は原則として、次の計算式による
・ 実際に支払った賃金総額×一般保険料率
■ 中途退職があった場合であっても、期間中に使用していれば、当該労働者であった者に支払った賃金についても、賃金総額に含まれることとなる。
■ 保険年度中に使用した労働者に支払うことが具体的に確定した賃金であれば、その保険年度内に現実に支払われていないものや、その保険年度中に所定支払日があるのに支払が遅延して次の保険年度にわたり未払の状態にある賃金も含まれる。(昭和24年基災収5178号)
■ 確定保険料は、計算した確定保険料の額を次の保険年度の6月1日から40日以内(7月10日まで)に確定保険料申告書に不足額又は確定額を添えて納付書により納付しなければならない。(不足額又は確定保険料の額がない場合には、確定保険料申告書のみを提出する)
■ 保険年度の中途に保険関係が消滅した継続事業については、保険関係が消滅した日(当日起算)から50日以内に申告納付しなければならない。(徴収法19条1項)
■ 有期事業の確定保険料については、保険関係が消滅した日(当日起算)から50日以内に、確定保険申告書に不足額又は確定額を添えて納付書により、所定の納付場所へ申告・納付する。不足額又は確定保険料の額がない場合には確定保険料申告書のみを提出する。(徴収法19条3項)
■ 保険関係の消滅日は、事業の終了の日の翌日となる。
■ 特別加入者がいる場合は、中小事業主等の特別加入者又は海外派遣者の特別加入者を含む事業の場合には、その保険年度において実際に特別加入をしていた者の給付基礎日額に応ずる保険料算定基礎日額の総額(1000円未満の端数は切り捨てる)に第一種又は第三種特別加入保険料率を乗じて得た額と特別加入者以外の労働者分の確定保険料の額(一般保険料の額)とを合算した額となる。
■ 確定保険料の額の計算にあたり、賃金総額に1000円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てた額を賃金総額として計算する。(徴収法19条1項・2項)
■ 確定保険料の金額を計算する仕組みは、基本的に概算保険料の金額を計算する仕組みと同じである。
■ 確定保険料は延納できない。
■ ただし、納付すべき労働保険料がない場合における確定保険料申告書の提出については、「日本銀行」を経由して行うことはできない。
■ また、納付すべき労働保険料がない場合における確定保険料申告書であって、一元・委託なし又は二元・労災のみの場合は、「年金事務所」を経由することができない。
■ 確定保険料申告書については、所轄公共職業安定所長を経由して提出することはできない。(保険関係成立届に併せて健康保険及び厚生年金保険の新規適用届又は雇用保険の適用所行書設置届を提出する場合の経由規定もない)
■ 継続事業における確定保険料申告書(労働保険事務組合に労働保険事務の処理が委託されている事業に係るものを除く)の提出は、特定法人にあっては、電子情報処理組織を使用して行う者とする。ただし、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合で、かつ、電子情報処理組織を使用しないで当該申告書の提出を行うことができると認められる場合は、この限りでない。(徴収則33条2項)
■ 事業主が既に納付した概算保険料の額のうち確定保険料の額を超える額の還付を請求したときは、官署支出官又は所轄都道府県労働局(労働保険特別会計)資金前渡管理は、その超過額を還付する。
■ 還付請求は、事業主が確定保険料申告書を提出する際に、又は確定保険料についての認定決定の通知を受けた日の翌日から起算して10日以内に、労働保険料還付請求書を官署支出官又は所轄都道府県労働局資金前渡官吏に提出する。(徴収法19条6項・徴収則36条)
■ 次の労働保険料に係る労働保険料還付請求書については、所轄都道府県労働局長及び所轄労働基準監督署長を経由して官署支出官又は所轄労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局資金前渡官吏に提出することによって行わなければならない。
・ 一元適用事業であって、労働保険事務組合に労働保険事務の処分を委託しない者についての一般保険料
・ 労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業についての一般保険料
・ 二元適用事業についての第一種特別加入保険料
・ 第二種特別加入保険料
・ 第三種特別加入保険料
■ 事業主から還付請求がない場合であって、事業主から徴収すべき次の保険年度の概算保険料若しくは未納の労働保険料等(例えば、延滞金、追徴金等)又は未納の一般拠出金(石綿健康被害救済法の規定により労災保険適用事業主から徴収する一般拠出金)があるときには、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、当該超過額を概算保険料等に充当するものとされている。この場合における充当は、事業主の請求ないし承認を要しないが、充当したときは、歳入徴収官は、その旨を事業主に通知しなければならない。(徴収法19条6項・徴収則37条)
■ 政府は、事業主が所定の納期限までに確定保険料申告書を提出しないとき、又はその申告書の記載に誤りがあると認めるときは、確定保険料の額を決定し、これを事業主に通知する。
■ 政府による通知をうけた事業主は、納付した概算保険料の額が当該決定された確定保険料の額に足りないときは、その不足額を、納付した概算保険料がないときに、政府の決定した確定保険料を、その通知を受けた日(翌日起算)から15日以内に納付しなければならない。(徴収法19条4項・5項)
■ 政府により決定された確定保険料の額について事業主に通知する場合には、「納入告知書」によって行うものとされており、この点は、概算保険料の認定決定の場合(「納付書」による)とは異なる。「納入告知書」による場合は、次の4つである。
・ 確定保険料の認定決定及び追徴金
・ 印紙保険料の認定決定及び追徴金
・ 特定納付保険料の納付認定決定に係る
・ 有期事業のメリット制による差額徴収
■ 追徴金は、納付すべき額を不当に納付しない場合に懲罰的に課せられる金額である。
■ 政府は、事業主が認定決定に係る確定保険料又はその不足額を納付しなければならない場合には、その納付すべき額(その額に1000円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる)に100分の10を乗じて得た額の追徴金を徴収する。ただし、事業主が天災その他やむをえない理由により、認定決定に係る確定保険料又はその不足額を納付しなければならなくなった場合は、追徴金は徴収しない。
■ 追徴金は、認定決定に係る確定保険料又はその不足額が1000円未満であるときは、徴収しない。
■ 所轄都道府県労働局歳入徴収官は、追徴金を徴収しようとする場合には、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、事業主に、当該徴収金の額及び納期限を通知しなければならない。(徴収法21条)
■ 地震、暴風雨等不可抗力的な出来事又はこれに類する真にやむを得ない客観的は事故をいい、法令の不知、営業の不振、資金難等は含まれない。
■ 概算保険料に追徴金は課されない。
■ 追徴金は、納入告知書により通知しなければならない。
■ 追徴金は、認定決定に係る確定保険料の通知を受けた日から15日以内に納付した場合であっても徴収される。
■ 政府は、事業主から、預金又は貯金の払い出しとその払いだした金銭による印紙保険料以外の労働保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があった場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが労働保険料の徴収上有利と認められる場合に限り、その申出を承認することができる。
■ この申出は、事業主の氏名又は名称及住所又は所在地、預金口座又は貯金口座の番号及び名義人、預金又は貯金の種別並びに納付書を送付する金融機関及び店舗の名称を記載した書面を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出することによって行われなければならない。(徴収則38条の2)
■ なお、口座振替による納付は、概算保険料及び確定保険料の納付で、有期事業も含まれている。
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■ 都道府県労働局歳入徴収官は、申出の承認を行った場合には、労働保険料の納付に必要な納付書又は電磁的記録を届出のあった金融機関へ送付するものとする。(徴収食38条の3)
■ 納付書又は電磁的記録が金融機関に到達した日から2取引日(金融機関の休日以外の日をいう)を経過した最初の取引日までに納付された場合には、その納付の日の納期限後である場合においても、その納付は、納期限においてされたものとみなす。(徴収則38条の5)
■ 労働保険料は、その申告期限と納期限が同じである。したがって、口座振替制度を導入した場合には、期限内に申告書が提出された場合であっても、納付書又は電磁的記録の作成、送付及び金融機関における事務処理を行うために数日の期間がかかるため、結果的に納期限が遅れて納付されたことになってしまう。従って、以下のような処理がなされることとなる。
・ 6/1→7/10(40日以内) 申告書提出
・ 7/10以降 口座振替→法定期間内に納付されたものとみなす。
・ 所轄都道府県労働局歳入徴収官 ← (申告書納付) ← 事業主
・ 所轄都道府県労働局歳入徴収官 → (納付書又は電磁的記録の送付)→金融機関(口座振替)
■ 口座振替による概算保険料申告書及び確定保険料申告書は、所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出する。この提出は、所轄労働基準監督署長を経由して行うことができる場合があるが、日本銀行を経由して行うことはできない。
[徴収法] 労働保険徴収法・重要箇所・Chapter5
メリット制
■ 継続事業のメリット制は、連続する3保険年度で、支払った保険料の総額と、受けた保険給付を比較して、一定の基準に達した場合に、基準の労災保険料率から一定率を引き上げ又は引き下げる制度である。メリット制という名前で呼ばれているが、事故が多い場合は、労災保険料率が引きあがるためデメリットにもなる可能性がある。
■ 連続する3保険年度中の各保険年度において次に掲げる一定の規模に該当する事業で、当該3保険年度中の最後の保険年度に属する3月31日(基準日)において労災保険に係る保険関係の成立後3年以上経過していること
・ 100人以上の労働者を使用する事業
・ 20人以上100人未満の労働者を使用し、災害度係数が0.4以上であるもの
・ 一括有期事業である建設の事業及び立木の伐採の事業については、当該保険年度の確定保険料の額が40万円以上であるもの
■ 事業に係る連続する3保険年度間の収支率が100分の85を超え、又は100分の75以下であること(徴収法12条3項)
■ メリット制は、収支率が100分の85を超え、又は100分の75以下の場合に適用がある。
■ 継続事業のメリット制が適用される事業の規模の労働者数は、次のように計算する。
・ 船渠、船舶、岸壁、波止場、停車場又は倉庫における貨物の取扱いの事業にあっては、当該保険年度中に使用した延労働者数を、当該保険年度中の所定労働日数で除して得た労働者数。
・ 上記以外の事業にあっては、当該保険年度の各月の末日(賃金締切日がある場合は、各月の末日の直前の賃金締切日)において利用した労働者数の合計数を12で除して得た労働者数。
■ 継続事業のメリット制の適用要件である労働者数を判断する際、第一種特別加入者の数も含める(第一種特別加入者は、その事業に使用される労働者とみなされるため)
■ 継続事業の一括が行われた場合、労災保険に係る保険関係の成立期間は、一括の認可の時期に関係なく、一の事業として指定された事業の労災保険に係る保険関係成立の日から起算し、指定された事業以外の事業については保険関係が消滅するもので、これに係る一括前の保険料及び一括前の災害に係る給付は、メリット収支率の算定基礎に算入しない。
■ 当該労働者の数に当該事業に係る労災保険率から非業務災害に係る率を減じた率を乗じて得た数
・ 使用労働者数×(労災保険率-非業務災害率)
■ 原則として、「一般保険料の額(非業務災害分を除く)に第一種調整率を乗じた額」に対する「保険給付の額(非業務災害分を除く)に特別支給金の額(非業務災害分を除く)」の割合のことである。
■ 収支率の式の細かい内容を覚えるのではなく、以下の仕組みを理解すること
・ 収支率=(保険給付の額+特別支給金の額)/(保険料の額×第一種調整率)×100
■ 収支率の算定にあたっては、複数業務要因災害に関する保険給付の額、通勤災害に関する保険給付の額及び二次健康保険等給付の額は含まれない。また、業務災害に関する保険給付のうちから以下の保険給付の額は除かれる。(特別支給金の額についてもこれに準ずる)
・ 障害補償年金差額一時金
・ 遺族補償一時金(失権差額一時金)
・ 特定疾病にかかった者に係る保険給付
・ 第三種特別加入者に係る保険料及び第三種特別加入者のうち、労災保険法33条6号又は7号に掲げる事業(海外派遣者の特別加入に係る事業)により業務災害が生じた場合に係る保険給付
・ 収支率の算定基礎から除外する特定疾病の範囲(徴収則17条の2)
・ 非災害性腰痛 → 港湾貨物取扱事業又は港湾荷役業
・ 振動障害 → 林業又は建設の事業
・ 塵肺症 → 建設の事業
・ 石綿にさらされる業務による肺がん又は中皮種 → 建設の事業、港湾貨物取扱事業又は港湾荷役業
・ 騒音性難聴 → 建設の事業
■ なお、収益率の算定にあたり、「複数事業労働者に係る保険給付(複数事業労働者、その遺族に対して行われる保険給付)については、災害発生事業場における賃金額をもとに算定した額に相当する額のみを含め、非災害発生事業場における賃金額を元に算定した額に相当する額は除かれる。(複数事業労働者に係る算定基礎年額を用いて算定する特別支給金についてもこれに準ずる)
■ 継続事業のメリット制に係る収支率の計算にあたって用いられる調整率を第一種調整率という。(徴収則19条の2)
・ 林業の事業 → 100分の51
・ 建設の事業 → 100分の63
・ 港湾貨物取扱事業又は港湾荷役業の事業 → 100分の63
・ 船舶所有者の事業 → 100分の35
・ 上記以外の事業 → 100分の67
■ 非業務災害率から二次健康診断等給付に要した費用の額に係る率を減じた額
■ メリット収支率の算定にあたって、年金に係る保険給付費が給付内容の改定やスライド等により増大していることから、評価額としての労働基準法による災害補償相当額との間に不均衡が生じてきたため、メリット収支率算定式の分母の保険料の額に乗ずる率を定め、収支率の適正化を図るために設けられている。
■ 厚生労働省令で定める率は、収支率に応じて徴収則別表第3に定められている。現在定められている率は、継続事業の場合最高100分の40、一括有期事業の場合最高100分の40(建設の事業は100分の40、立木の伐採の事業は100分の35)となっている。
■ なお、メリット収支率を計算した連続する3保険年度中のいずれかの保険年度の確定保険料の額が40万円以上100万円未満である一括有期事業については、100分の30の範囲内で引上げ又は引下げた率となる。
・ 電気、ガス、水道又は熱供給の事業等(労災保険率1000分の3)
・ 3/1000 – 0.6/1000 = 2.4/1000(40%引上げ又は引下げ)
■ メリット制が適用されるのは、収支率を計算した連続する3保険年度中の最後の保険年度(基準日の属する保険年度)の次の次の保険年度中に適用される労災保険率(基準労働保険率)である。(徴収法12条3項)
■ 継続事業のメリット制では、労災保険率から非業務災害率を減じた率が、100分の40(一括有期事業の場合、建設の事業が100分の40、立木の伐採の事業が100分の35)の範囲内で上げ下げされるが、この労災保険率の特例では、上げ下げの幅が100分の45に拡大される。本条は、労働安全衛生施策との関連をもたせるため、平成7年の法改正で新設され、平成9年3月31日から施行された規定である。
■ 中小企業事業主が、労働者の安全又は衛生を確保するために特別の措置を講じた場合で、メリット制の特例の適用を申請しているときは、労災保険率から非業務災害率を減じた率の増減幅を本来のメリット制の増減幅である100分の40から100分の45に拡大する措置が設けられている。
■ 中小事業主の範囲
・ メリット制が適用される事業主
・ 建設の事業及び立木の伐採の事業(一括有期事業)以外の事業の事業主
・ 常時300人(金融業若しくは保険業、不動産業又は小売業を主たる事業とする事業主は50人、卸売業やサービス業は100人)以下の数の労働者を使用する事業主
■ 労働者数は、安全又は衛生を確保するための措置が講じられた保険年度において満たしていればよい。(平成8年発労徴9号)
■ 特例メリット制の適用を受けるためには、中小企業の事業主が、連続する3保険年度中のいずれかの保険年度において、その事業に使用する労働者の安全又は衛生を確保するための措置で厚生労働省令で定めるものを講じたときであって、当該措置が講じられた保険年度のいずれかの保険年度の次の保険年度の初日から6か月以内に、当該事業に係る労災保険率につき、この規定による特例の適用を受けようとする旨その他一定の事項を記載した労災保険率特例適用申告書を提出しなければならない。(徴収法12条の2)
■ 労働者の安全又は衛生を確保するための措置を講じた保険年度の次の保険年度の初日から6か月以内に所轄都道府県労働局を経由して厚生労働大臣に提出しなければならない。(徴収則20条の5)
■ 安厚生労働省令で定める措置(徴収則20条の3)
・ 衛法70条の2第1項の指針に従い、事業主が講ずる労働者の健康の保持増進のための措置であって厚生労働大臣が認めるもの
・ 安衛則61条の3第1項の規定による認定を受けた同項に規定する計画(快適な職場環境の形成のための措置の実施に関し必要な計画)に従い事業主が講ずる措置
・ 上記のほか、労奏者の安全又は衛生を確保するための措置として厚生労働大臣が定めるもの
■ 事業主が講じた労働者の安全又は衛生を確保するための措置及び当該措置の講じられた保険年度について、事業主は、事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長の確認を受けなければならない。(徴収則20条の4第2項)
■ 基準労働保険率-非業務災害率→45/100で引上げ又は引下げ+非業務災害率(徴収法12条の2)
■ この労災保険率の特例は、一括有期事業には適用されない。
■ 有期事業のメリット制(運用事業:徴収則35条1項)
・ 労災保険に係る保険関係が成立している。
・ 建設の事業又は立木の伐採の事業である
・ その事業規模が、確定保険料の額が40万円以上であるか、又は建設の事業にあっては、請負金額が1億1000万円以上、立木の伐採の事業にあっては、素材の生産量が1000立方メートル以上であるもの
■ 事業が終了した日から3か月又は9か月を経過した日前における当該事業に係る収支率が100分の85を超え、又は100分の70以下の事業(徴収法20条1項)
■ 労災保険の業務災害に関する保険給付のがくんい業務災害に関する特別支給金の額を加えた額と、当該事業の確定保険料の額(労災保険率に応ずる部分の額から非業務災害率に応ずる部分を減じた額に第一種特別加入保険料に係る額から特別加入非業務災害率に応ずる部分の額を減じた額を加えた額)に調整率を乗じて得た額との割合を計算したものである。
■ 収支率を業務終了後3か月で計算する際は第一種調整率、業務終了後9か月で計算する際に第二種調整率を用いて計算する。
■ 当該事業の終了後においても保険給付及び特別支給金の支給が行われる場合があるため、算定対象期間を業務終了の日kら3か月を経過した日前の期間としている。また、収支率が、当該3か月を経過した日囲碁において一定の範囲を超えて変動すると認められる場合(けがをした人の保険給付が続いている場合)には、業務終了の日から9か月を経過した日前の期間を算定の対象期間としている。
■ 第一種調整率(徴収則19条の2)
・ 建設の事業 100分の63
・ 林業の事業 100分の51
・ 港湾貨物取扱事業又は港湾荷役業の事業 100分の63
・ 船舶所有者の事業 100分の35
・ 上記以外の事業 100分の67
■ 第二種調整率(徴収率35条の2)
・ 建設の事業 100分の50
・ 立木の伐採の事業 100分の43
■ 第一種調整率と第二種調整率を比較すると第一種調整率のほうが大きく、収支率の計算において調整率が分母にあることから、結果的に第二種調整率を用いたほうが収支率は大きな値となる。
■ 建設の事業→100分の40の範囲内で上げ下げ
■ 立木の伐採の事業→100分の35の範囲内で上げ下げ
■ 有期事業に係るメリット制の適用により、確定保険料の額を引き上げた場合には、引き上げた確定保険料の額とすでに申告(納付)済の確定保険料の額トンお差額を徴収することになる。この場合、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納期限を定めて、事業主に納付すべき当該差額を納入告知書によって通知しなければならない。(徴収法20条3項、17条2項、徴収則26条)
■ 有期事業に係るメリット制の適用により、確定保険料の額を引き下げた場合には、事業主からの還付請求と充当の2つのケースがある。
■ 事業主は、当該通知を受けた日の翌日から起算して10日以内に還付の請求をしたときは、官署支出官又は所轄都道府県労働局資金前渡官吏は、当該差額を還付する。
■ 還付請求がない場合であって、事業主から徴収すべき未納の労働保険料その他の徴収金があるときは、都道府県労働局歳入徴収官は当該差額をこの未納の労働保険料等に充当することができる。充当した場合にはその旨を事業主に通知しなければならない。
■ 規模と要件のまとめ
・ 有期事業の一括
・ 保険料 → 概算保険料が160万円未満
・ 条件 → かつ
・ 請負金額等(建設の事業) → 1億8千万円未満
・ 素材の(見込)生産量(立木の伐採の事業)→ 1000立方メートル未満
・ 下請負事業の分離
・ 保険料 → 概算保険料が160万円以上
・ 条件 → 又は
・ 請負金額等(建設の事業) → 1億8千万円以上
・ 素材の(見込)生産量(立木の伐採の事業) → ×(建設の事業のみ)
・ 一括有期事業のメリット制
・ 保険料 → 確定保険料が40万円以上
・ 条件 → それ以外なし(請負金額・素材の生産量条件なし)
・ 有期事業のメリット制
・ 保険料 → 確定保険料が40万円以上
・ 条件 → 又は
・ 請負金額(建設の事業) → 1億1千万円以上
・ 素材の(見込)生産量(立木の伐採の事業) →  1000立方メートル以上
[徴収法] 労働保険徴収法・重要箇所・Chapter6
印紙保険料
■ 日雇労働被労働者を使用する事業については、日雇労働被保険者の賃金額に雇用保険率を乗じて得た額を一般保険料として納付し、加えて印紙保険料を納付する仕組みをとっている。
■ 印紙保険料の日額は、日雇労働被保険者の賃金日額に応じ、次のように、3段階の定額制となっている。(徴収法22条1項)
賃金日額 11300円以上 → 第1級(176円/日額)
賃金日額 8200円以上11300円未満 → 第2級(146円/日額)
賃金日額 8200円未満 → 第3級(96円/日額)
■ 厚生労働大臣は、雇用保険率が変更されたときには保険料日額の変更前と変更後における日雇労働被保険者が負担する一般保険料の額及び印紙保険料の額が均衡するように、印紙保険料の日額を変更する。(徴収法22条2項・3項)
■ 厚生労働大臣は、雇用保険法による日雇労働求職者給付金の日額の自動的変更(雇用法49条)が行われた場合には、印紙保険料の日額を当該給付金の日額の変更の比率に応じて変更する(徴収法22条4項)
■ 印紙保険料は、事業主と日雇労働被保険者が2分の1ずつ負担する。(徴収法31条4項)
■ 事業主は、日雇労働被保険者に賃金を支払う都度その者に係る印紙保険料を納付しなければならない。
■ 印紙保険料の納付は、以下のいずれかの方法により行う。
・ 事業主が日雇労働被保険者に賃金を支払うつど当該日雇労働被保険者に交付された日雇労働被保険者手帳に雇用保険印紙をはり、これに消印して行う方法
・ 印紙保険料納付計器を厚生労働大臣の承認を受けて設置した場合には、当該印紙保険料納付計器により、日雇労働被保険者が所持する日雇労働被保険者手帳に納付すべき印紙保険料の額に相当する金額を表示して納付印を押すことによって印紙保険料を納付する方法
■ 厚生労働大臣は、上記の承認を受けた事業主が、徴収法若しくは雇用保険法又はこれらの法律に基づく厚生労働省令の規定に違反した場合には、上記の承認を取り消すことができる。(徴収法23条)
■ 上記の事業主(印紙保険料を納付しなければならない事業主)は、請負事業の一括により元請負人が事業主とされる場合の元請負人が使用する労働者以外の日雇労働被保険者に係る印紙保険料については、当該日雇労働被保険者を使用する下請負人とする。
■ 事業主は、日雇労働被保険者を使用する場合には、その者の日雇労働被保険者手帳を提出させなければならない。その提出を受けた日雇労働被保険者手帳は、その者から請求があったときは、これを返還しなければならない。(徴収法23条6項)
■ 日雇労働被保険者は、事業主に使用されたときは、そのつど雇用保家人師の貼付又は印紙保険料納付計器による納付印の押捺を受けるために、その所持する日雇労働被保険者手帳を事業主に提出しなければならない。(徴収則39条)
■ 事業主は、日雇労働被保険者を使用した場合には、印紙保険料納付計器による印紙保険料の納付の場合を除き、その者に賃金を支払う都度、その使用した日数に相当する枚数の雇用保険印紙をその使用した日の日雇労働被保険者手帳における該当日欄にはり、消印しなければならない。なお、事業主は、消印に使用すべき認印の印影をあらかじめ所轄公共職業安定所長に届け出なければならない。認印を変更しようとするときも、同様とする。(徴収則40条)
■ 事業主が徴収法23条2項に違反して雇用保険印紙を貼らず又は消印しなかったときは、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処される。(徴収法46条)
■ 雇用保険印紙は、総務大臣が厚生労働大臣に協議して定める日本郵便株式会社の営業所(郵便の業務を行うものに限る)においてこれを販売する。
■ 事業主は、雇用保険印紙を譲り渡し、又は譲り受けてはならない。
■ 事業主その他正当な権限を有する者を除いては、何人も消印を受けない雇用保険印紙を所持してはならない。(徴収則41条)
■ 事業主は、雇用保険印紙を購入しようとするときは、購入申込書に購入しようとする雇用保険印紙の種類別枚数、購入年月日、労働保険番号並びに事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地を記入し、雇用保険印紙を販売する日本郵便株式会社の営業所に提出しなければならない。
■ 事業主は、雇用保険印紙を購入しようとするときは、あらかじめ、雇用保険印紙購入通帳交付申請書を所轄公共職業安定所長に提出して、雇用保険印紙購入通帳の交付を受けなければならない。(徴収則43条1項、42条1項)
■ 雇用保険印紙購入通帳は、その交付の日の属する保険年度に限り、その効力を有する。(徴収則42条2項9
■ 雇用保険印紙購入通帳の有効期間の満了後引き続き雇用保険印紙を購入しようとする事業主は、毎年3月1日から3月31日までの間(雇用保険印紙購入通帳の有効期間が満了する日の翌日の1月前から当該期間が満了する日までの間)に、当該雇用保険印紙購入通帳を添えて雇用保険印紙購入通帳更新申請書を所轄公共職業安定所長に提出して、新たな雇用保険印紙購入通帳の交付を受けなければならない(徴収則42条3項・4項)
■ 更新の規定により交付を受けた雇用保険印紙購入通帳は、更新前の雇用保険印紙購入通帳の有効期間が満了する日の翌日の属する保険年度に限り、その効力を有する(徴収則42条5項)
■ 事業主は、雇用保険印紙購入通帳を滅失し、もしくは毀損した場合又は雇用保険印紙購入通帳の雇用保険印紙購入申込書(購入申込書)がなくなった場合であって、当該保険年度中に雇用保険印紙を購入しようとするときは、その旨を所轄公共職業安定所長に申し出て、再交付を受けなければならない。(徴収則42条6項)
■ 事業主は、その所持する雇用保険印紙購入通帳の有効期間が満了したとき又は事業の廃止等により雇用保険印紙を購入する必要がなくなったときは、速やかに、その所持する雇用保険印紙購入通帳を所轄公共職業安定所長に返納しなければならない。(徴収則42条8項)
■ 雇用保険印紙の購入までの流れ
・ 事業主→所轄公共職業安定所長 雇用保険印紙購入通帳交付申請書
・ 所轄公共職業安定所長→事業主 雇用保険印紙購入通帳
・ 事業主→雇用保険印紙を販売する日本郵便株式会社の営業所 購入申込書
・ 雇用保険印紙を販売する日本郵便株式会社の営業所→事業主 雇用保険印紙
■ 事業主は、次の場合においては、雇用保険印紙を販売する日本郵便株式会社の営業所に雇用保険印紙購入通帳を提出し、その保有する雇用保険印紙の買戻しを申し出ることができる。ただし、以下のうち3に該当する場合においては、その買戻しの期間は、雇用保険印紙が変更された日から6か月間とする。(徴収則43条2項・3項)
・ 雇用保険に係る保険関係が消滅したとき
・ 日雇労働被保険者を使用しなくなったとき(保有する雇用保険印紙の等級に相当する賃金日額の日雇労働被保険者を使用しなくなったときを含む)
・ 雇用保険印紙が変更されたとき
■ 事業主は、上記1,2に該当する事由により、雇用保険印紙の買戻しを申し出ようとするときは、雇用保険印紙購入通帳に、その事由に該当することについて、あらかじめ所轄公共職業安定所長の確認を受けなければならない。
■ 雇用保険印紙の買戻しについて
・ 雇用保険に係る保険関係が消滅したとき
・ 公共職業安定所長の確認をあらかじめ受けなければならない。
・ 買戻しの期限なし
・ 日雇労働被保険者を使用しなくなったとき
・ 公共職業安定所長の確認をあらかじめ受けなければならない。
・ 買戻しの期限なし
・ 雇用保険印紙が変更されたとき
・ 公共職業安定所長の確認は不要
・ 買戻しの期限は、雇用保険印紙が変更された日から6月
■ 本条は、事業主が雇用保険印紙を不正使用することを防止し、印紙保険料の納付を適正に行なっているかどうかを把握するために、印紙保険料の納付に関する事業主の帳簿の調製及び納付状況の報告等について規定している。
■ 雇用保険印紙購入通帳の交付を受けている事業主は、印紙保険料納付状況報告書によって、毎月の雇用保険印紙の受け払状況を翌月末日までに、所轄都道府県労働局歳入徴収官に報告しなければならない。(徴収則54条)
■ 印紙保険料納付計器を設置した事業主は、印紙保険料納付計器使用状況報告書によって、毎月における印紙保険料納付計器の使用状況を毎月末日までに、当該印紙保険料納付計器を設置した事業場の所在地を管轄する公共職業安定所長を経由して、納付計器に係る都道府県労働局歳入徴収官に報告しなければならない。(徴収則55条)
■ 印紙の受け払のない月であっても(翌月末日までに)、納付状況の報告は必要である。
■ 事業主が印紙保険料の納付を怠った場合には、政府は、その納付すべき印紙保険料の額を決定し、これを事業主に通知する。
■ 事業主が、正当な理由がないと認められるにもかかわらず、印紙保険料の納付を行なったときは、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、上記の規定により決定された印紙保険料の額(その額に1000円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる)の100分の25に相当する額の追徴金を徴収する。ただし、納付を怠った印紙保険料の額が1000円未満であるときは、この限りでない。(徴収法25条)
■ 事業主が、行政庁の職員による実地調査等によって印紙保険料の納付を怠っていることが判明し、正当な理由によって納付することができなかったことが認められた場合には、所轄都道府県労働局歳入徴収官は調査を行い、印紙保険料の額を決定し、調査決定の上納入告知書を発することとされているが、当該決定された印紙保険料の納期限は、調査決定をした日から20日以内の休日でない日とされている。(徴収則38条5項、平成15年基初0331002号)
■ 印紙保険料に係る追徴金の徴収を納入告知書により通知する場合における納期限は、通知を発する日から起算して30日を経過した日である(徴収法25条3項、17条2項、徴収則26条)
■ 政府による認定決定に係る印紙保険料及び追徴金は所轄都道府県労働局歳入徴収官が徴収することとなっているので、事業主は、現金(雇用保険印紙によることはできない)により、日本銀行又は所轄都道府県労働局収入官吏に納付しなければならない(徴収則38条3項2号、昭和62年労徴発19号)
■ 納付を怠ったことについて、正当な理由があると認められる場合(昭和56年労徴発68号)
・ 天災事変等により雇用保険印紙の購入ができないため、印紙を貼付できなかったとき
・ 日雇労働被保険者が日雇労働被保険者手帳を事業場に持参しなかった場合に、その日に日雇労働被保険者手帳を持参せしめることが困難であり、かつ、その後においても事業場で日雇労働被保険者手帳に雇用保険印紙を貼付する機会がないために雇用保険印紙を貼付できなかったとき
・ 日雇労働被保険者が事業主の督促にもかかわらず日雇労働被保険者手帳を提出することを拒んだことによって雇用保険印紙を貼付できなかったとき。
[徴収法] 労働保険徴収法・重要箇所・Chapter7
特例納付保険料
■ 雇用保険法22条5項に規定する者(特例対象者)を雇用していた事業主が、徴収法4条の規定により雇用保険にかかる保険関係が成立していたにも関わらず、徴収法4条の2第1項の規定による届出をしていなかった場合には、当該事業主(当該事業主の事業を承継する者を含む。(対象事業主)は、特例納付保険料として、対象事業主が徴収法15条1項の規定による納付する義務を履行していない一般保険料(雇用保険法14条2項2号に規定する厚生労働省令で定める日から当該特例対象者の離職の日までの期間にかかるものであって、その徴収する権利が事項によって消滅しているものに限る)の額(雇用保険率に応ずる部分の額に限る)のうち当該特例対象者にかかる額に相当する額として厚生労働省令で定めるところにより算定した額に厚生労働省令で定める額を加算した額を納付することができる。(徴収法26条1項)
■ 雇用保険法の規定の確認
・ 雇用保険法22条5項に規定する者
・ 次に掲げる要件のすべてにも該当する者(以下に規定する事実を知っていた者を除く)とする。
・ その者にかかる被保険者の資格取得の届出がされていなかったこと
・ 厚生労働省令で定める書類(賃金台帳等又は源泉徴収票等)に基づき、被保険者となったことの確認があった日の2年前の日より前に徴収法32条1項の規定により被保険者の負担すべき額に相当する額(雇用保険率に応ずる一般保険料の額のうち被保険者負担分に相当する額)がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期があること
・ 雇用保険法14条2項2号に規定する厚生労働省令で定める日
・ 原則として、上記2の厚生労働省令で定める書類に基づき確認される被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかとなる最も古い日とする。
■ 雇用保険法22条5項に規定する者とは、雇用保険の被保険者期間の計算等にかかる訴求適用の特例の対象となる者である。
■ 特例納付保険料の額 = 厚生労働省令で定めるところにより算定した額(特例納付保険料の基本額)+厚生労働省令で定める額(特例納付保険料の基本額×100分の10)
■ 特例納付保険料の基本額の算式(A期間が訴求適用対象期間(賃金から控除された最も古い日から資格取得確認の2年前までの期間)
・ 特例納付保険料の額 = (Aの期間の始点から1ヶ月の間に支払われた賃金+Aの期間の最後の1ヶ月の間に支払われた賃金)÷2 × Aの期間の終点の雇用保険率 × Aの期間の月数
・ Aの期間のすべての月にかかる賃金が明らかである場合は、その賃金の合計額をすべての月の月数で除した額を用いる。
・ 保険関係成立の届出をしていた期間及び確定保険料の認定決定の対象となった期間は除く。また、1月に満たない期間は切り捨てる。
■ 上記の算式は、条文通りではないが、厚生労働省の資料を参考にして作成(この内容を抑えておけば十分である。)
■ 特例納付保険料の額の算定方法を簡単に言うと、所定の方法で、遡及適用期間の改善の対象となる労働者・その改善の対象となった期間について、本来、事業主が納付すべきであった額に相当する額(基本額)を計算し、その基本額に、その基本額の10%に相当する額を加算する(特例納付保険料の額は、基本額の110%)
■ 厚生労働大臣は、対象事業主に対して、特例納付保険料の納付を勧奨しなければならない。ただし、やむを得ない事情のため当該勧奨を行うことができない場合は、この限りでない。
■ 対象事業主は、上記の規定により勧奨を受けた場合においては、特例納付保険料を納付する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、書面により申し出ることができる。
■ 政府は、上記の規定による申出を受けた場合には、特例納付保険料の額を決定し、厚生労働省令で定めるところにより、期限を指定して、これを対象事業主に通知するものとする。
■ 対象事業主は、上記の規定による申出を行った場合には、上記の期限までに、厚生労働省令で定めるところにより、上記に規定する特例納付保険料を納付しなければならない。(徴収法26条2項から5項)
■ 上記の特例納付保険料の納付の申し出は、事業主の指名又は名称及び住所又は所在地、労働保険番号並びに特例納付保険料の額を記載した書面を都道府県労働局長に提出することによって行わなければならない。(徴収則58条)
■ 所轄都道府県労働局歳入徴収官は、上記の規定に基づき、特例納付保険料を徴収しようとする場合には、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、事業主に、次に掲げる事項を通知しなければならない。
・ 特例納付保険料の額
・ 納期限
■ この通知は、納入告知書によって行われる。(徴収則38条5項)
■ 特例納付保険料及びこれにかかる徴収金の納付先は、日本銀行又は都道府県労働局収入官吏となる(徴収則38条3項2号)
■ 事業主が雇用保険の被保険者資格取得の届出を行わなかったため雇用保険に未加入とされていた者のうち、事業主から雇用保険料を控除されていたことが給与明細等の書類により確認された者については、2年を超えて遡及適用することとする。(遡及適用の特例)
■ この場合において、事業所全体として保険料を納付していないことが確認されたケースについては、徴収権が事項によって消滅した後(2年経過後)も保険料を納付可能とし、厚生労働大臣はその納付を勧奨する。(特例納付保険料の創設)
[徴収法] 労働保険徴収法・重要箇所・Chapter8
労働保険事務組合
■ 労働保険事務組合は、労働保険事務の処理について不慣れな中小事業主の事務負担の軽減を図ることをもくてきとしてその構成員である中小事業主の委託を受けて、その事業主が行うべき労働保険料の申告・納付など労働保険に関する事務(労働保険事務)を代わって行うものである。
■ 中小企業等協同組合法3条の事業協同組合又は協同組合連合会その他の事業主の団体又はその連合団体は、団体の構成員又は連合団体を構成する団体の構成員である事業主その他厚生労働省令で定める事業主の委託をうけて、これらの者が行うべき労働保険料の納付その他の労働保険に関する事項(印紙保険料に関する事項を除く。労働保険事務)を処理することができる。
■ 事業主の団体又はその連合団体は、上記の業務を行おうとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
■ 労働保険事務組合は、上記に関する業務を廃止しようとするときは、60日前までにその旨を厚生労働大臣に届出なければならない。
■ 厚生労働大臣は、労働保険事務組合が徴収法、労働者災害補償保険法もしくは雇用保険法もしくはこれらの法律に基づく厚生労働省令(労働保険関連法令)の規定に違反したときは、又はその行うべき労働保険事務の処理を怠り、もしくはその処理が著しく不当であると認めるときは、上記の認可を取り消すことができる。
・ 法人でない団体又は連合団体であって代表者の定めがないものを除く。
・ 厚生労働省令で定める数を超える数の労働者を使用する事業主を除く。
■ 労働保険事務組合の認可を受けた団体等について組織変更があり、次に該当する場合であって、その後も引き続いて労働保険事務組合としての業務を行おうとするときは、組織変更前の労働保険事務組合についての業務を廃止する旨の届書を提出し、改めて組織変更後の労働保険事務組合にかかる認可の申請をしなければならない。
・ 従来法人格のない団体であったものが、従来と異なる法人格のない団体又は法人となったとき。
・ 従来法人であったものが、法人格のない団体又は従来と異なる法人となったとき。
■ 労働保険事務組合が認可される基準は以下のすべてを満たした場合である。
・ 法人であると法人格のない団体等であるとを問わないが、法人でない団体等の場合は、その代表者が決められており、事業内容や組織の運営方法が定款や規約等に規定されていること
・ 労働保険事務の委託を予定している事業主が30以上あること
・ 定款等で事業主の委託を受けて労働保険事務の処理を行うことができる旨を定めてあること
・ 団体等は団体等として本来の事業目的をもって活動し、その運営実績が2年以上あること
・ 労働保険事務を確実に行う能力を有する者を配置しており、当該事務を適切に処理できるような事務処理体制が確立されていること
・ 団体等の役員及び認可後の事務組合において予定されている事務を総括する者は、社会的信用があり、事務組合の行う業務に深い関心と理解を有する者であること
・ 労働保険事務処理規約の作成にあたっては、一定の事項を定め、かつ、当該団体等の総会等の議決機関の承認をえること
■ 労働保険事務組合の認可を受けようとする事業主の団体又はその連合団体は、労働保険事務組合認可申請書をその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。なお、当該申請書には、次の書類を添えなければならない。(徴収則63条)
・ 定款、規約等団体又はその連合団体の目的、組織、運営等を明らかにする書類(団体が法人出るときは、登記事項証明書を含む)
・ 労働保険事務の処理の方法を明らかにする書類
・ 最近の財産目録、貸借対照表及び損益計算書等財産の状況を明らかにする書類
■ 労働保険事務組合は、労働保険事務の処理の委託(委託の解除)があったときは、遅滞なく、労働保険事務等処理委託届(解除届)を、所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。(徴収則64条)
■ 労働保険事務組合は、労働保険事務認可申請書又は添付書類に記載された事項に変更を生じた場合には、その変更があった日の翌日から起算して14日以内に、その旨を記載した届書をその主たる事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。(徴収則65条)
■ 労働保険事務組合は、業務を廃止しようとするときは、60日前までに労働保険事務組合業務廃止届を労働保険事務組合の主たる事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出し、その旨を厚生労働大臣に届出なければならない。業務を廃止しようとするときには、委託事業主の同意等は必要ない。(徴収法33条3項、徴収則66条)
■ 労働保険事務組合認可申請書、労働保険事務等処理委託届、労働保険事務等処理委託解除届、労働保険事務組合認可申請書の変更等の届出、業務の廃止の届出は、その主たる事務所の所在地を管轄する公共職業安定所長を経由して行うものとする。ただし、労災二元適用事業等のみにかかるものにあっては、その主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して行うものとする。(徴収則78条3項)
■ 厚生労働大臣は、労働保険事務組合が次のいずれかに該当したときは、その認可を取り消すことができる。(徴収法33条4項)
・ 徴収法その他の労働保険関係法令の規定に違反したとき
・ 労働保険事務の処理を怠ったとき
・ 労働保険事務の処理が著しく不当であると認められるとき
■ なお、この場合の認可の取り消しは、当該事務組合に対し文書をもって行うものとされている。(徴収則67条1項)
■ また、労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長は、労働保険組合の認可の取り消しがあったときは、その旨を、当該労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している事業主に通知しなければならない。(徴収則67条2項)
■ 労働保険事務の処理を委託することができる事業主(徴収則62条2項)
・ 労働保険事務組合である団体の構成員たる事業主
・ 労働保険事務組合である連合団体を構成する単位団体構成員たる事業主
・ これらの構成員以外の事業主であって、労働保険事務の処理を委託することが必要であると認められるもの
・ 常時使用する労働者の数が次の規模以下であるもの
・ 金融業、保険業、不動産業、小売業 → 常時50名以下
・ 卸売業、サービス業 → 常時100人以下
・ その他の業種 → 常時300人以下
■ 使用する労働者数は、事業場単位ではなく、企業単位で見ることになっている。ただし、同一事業主が場所的に独立した異種事業を行う場合には、それぞれ別個の事業として取り扱うこととされているため、個々の事業ごとに労働者数をみることとなる。(昭和54年発労徴58号)
■ 労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することができる事業主には、事務組合である団体の構成員たる事業主又は事務組合である連合団体を構成する単位団体の構成員たる事業主のほか、これらの構成員以外の事業主(員外者たる事業主)であって、労働保険事務の処理を委託することが必要であると認められるものも含まれる。(徴収則62条1項)
■ 労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することができる事業主には、継続事業(一括勇気事業を含む)を行う事業主に限らず、単独の有期事業を行う事業主も含まれる。
■ 事業主が処理を委託することができる労働保険事務の範囲は、原則として事業主が行うべき労働保険に関する事項の一切である。
■ 委託できる労働保険事務の具体的範囲(平成12年発労徴31号)
・ 概算保険料、確定保険料その他労働保険料及びこれにかかる徴収金の申告・納付
・ 雇用保険の被保険者資格の取得及び喪失の届出、被保険者の転勤の届出その他雇用保険の被保険者に関する届出等に関する事務。
・ 保険関係成立届、労災保険又は今日保険の任意加入申請書、雇用保険の事務所設置届等の提出に関する手続
・ 労災保険の特別加入の申請等に関する手続
・ 上記以外の労働保険についての申請、届出及び報告等に関する手続
■ 委託できない業務の範囲(平成12年発労徴31号他)
・ 印紙保険料に関する事項
・ 労災保険の保険給付に関する請求書等の事務手続
・ 労災保険の特別支給金に関する請求書にかかる事務手続及びその代行
・ 雇用保険の保険給付に関する請求書等にかかる事務手続及びその代行
・ 雇用保険の二事業にかかる事務手続
■ 労働保険事務組合は、労働保険事務以外の事務(たとえば、当該労働保険事務組合が商工会である場合等に、商工業者の委託を受けて当該商工業者が行うべき事務)を処理すること等は可能である。(昭和62年発労徴13号)
■ 労働保険事務組合にその処理を委託された労働保険事務(雇用保険に関する事務を除く)については、当該労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長及び公共職業安定所長並びに都道府県労働局歳入徴収官(労働保険事務組合であって、事業主から処理を委託されたる労働保険事務が労災二元適用事業等のみにかかるものについては、その主たる事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長及び労働基準監督署長並びに都道府県労働局歳入徴収官)をそれぞれ、所轄都道府県労働局長及び所轄公共職業安定所長並びに所轄都道府県労働局歳入徴収官(労働保険組合であって、事業主から処理を委託される労働保険事務が労災二元適用事業等のみに係るものについては、所轄都道府県労働局長及び所轄労働基準監督署長並びに所轄都道府県等同局歳入徴収官)とする。(徴収則69条)
■ 労働保険料に係る報奨金は、労働保険事務組合が事業主の委託を受けて納付する労働保険料の納付の状況が、次のすべての要件に該当する場合に交付される。(報奨金政令1条)
7月10日において、前年度の労働保険料(当該労働保険料に係る追徴金及び延滞金を含む。前年度の労働保険料等)であって、常時15人以上の労働者を使用する事業の事業主の委託に係るものにつき、その確定保険料の額(労働保険料に係る追徴金又は延滞金の額との合計額)の合計額の100分の95以上の額が納付されていること
・ 前年度の労働保険料等について、差押え等の国税滞納処分の例による処分を受けたことがないこと。
・ 偽りその他不正の行為により、前年度の労働保険料等の徴収を免れ、又はその還付を受けたことがないこと。
■ 労働保険事務組合は、労働保険料に係る報奨金の交付を受けようとするときは、次に掲げる事項等を記載した申請書を10月15日までに、その主たる事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。(平成20年省令68号)
・ 前年度の確定保険料の総額
・ 上記の確定保険料の総額のうちの納付済総額
・ 前年度の労働保険料に係る追徴金又は延滞金があるときは、その額及びそのうち納付済総額
・ 労働保険料その他徴収法の規定による徴収金を納付しないために、国税滞納処分の令による処分を受けたかどうかの有無
・ 納付した前年度の労働保険料の総額のうち督促を受けることなく納付した額
■ 労働保険料に係る報奨金の額は、労働保険事務組合ごとに、1000万円又は常時15人以下の労働者を使用する事業の事業主の委託をうけて納付した前年度の労働保険料(督促を受けて納付した労働保険料を除く)の額(その額が確定保険料の額を超えるときは、当該確定保険料の額)に100分の2を乗じて得た額に厚生労働省令で定める額を加えた額のいずれか低い額以内とする。(報奨金政令2条)
■ 「常時15人以下」か否かの判断は、事業主単位ではなく、事業単位(一括された事業については、一括後の事業単位)で行う。
■ 報奨金制度
・ 要件
7月10日において、前年度の労働保険料等であって、常時15人以下の労働者を使用する事業の委託に係るものにつき、その確定保険料の額(追徴金又は延滞金を含む)の合計額の100分の95以上の額が納付されていること
・ 前年度の労働保険料等について、国税滞納処分の例による処分を受けたことがないこと
・ 偽りその他不正の行為により、前年度の労働保険料等の徴収を免れ、又はその還付を受けたことがないこと
・ 交付額
・ 1000万円 又は
・ 常時15人以下の労働者を使用する事業の事業主の委託を受けて納付した前年度の労働保険料の額(督促を受けて納付した労働保険料を除く)×2/100 + 厚生労働省令で定める額のいずれか低い額以内
・ 申請
・ 労働保険事務組合報奨金交付申請書を10月15日までに、都道府県労働局長に提出する。
■ 労働保険事務組合に対してすることができる労働保険関係法令の規定による通知等の主たるものは次のとおりである。
・ 労働保険料その他の徴収金の納入の告知(認定決定に係る確定保険料、有期事業に係るメリット制の適用に伴う確定保険料の差額(不足額)、追徴金についての納入告知書による通知)
・ 労働保険料その他の徴収金の納付についての納付の告知以外の通知(認定決定に係る概算保険料、保険料率の引き上げによる概算保険料の追加納付額、延滞金についての通知)
・ 有期事業に係るメリット制の適用に伴い引き下げられた確定保険料額についての通知
・ 概算保険料の超過納付額及び有期事業に係るメリット制の適用に伴う確定保険料の超過納付額の他の労働保険料等への充当についての通知
・ 督促状による督促
・ 還付金(概算保険料の超過納付額及び有期事業に係るメリット制の適用に伴う確定保険料の超過納付額)の還付
・ 雇用保険の被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことを確認した場合等における公共職業安定所長の通知
・ 労災保険の特別加入を承認した場合における都道府県労働局長の通知
■ 上記の労働保険事務組合に対してなされた労働保険寒冷法令に規定する通知、還付金の還付、督促等は、当該委託事業者に対して行ったものとみなされ、委託事業主と労働保険事務組合との間の委任契約の内容のいかんに関わらず、法律上当然に、当該通知等の効果が委託事業主に及ぶこととなる。(徴収法34条)
■ 労働保険事務組合は、その交付を受けた金額の限度において、政府に対し納付の委託を受けた徴収金を納付する責任を負う。したがって、政府は、原則として労働保険事務組合が交付を受けた金額の限度において、委託事業主に係る徴収金を当該労働保険事務組合からのみ徴収することができる。
■ 事業主は労働保険料その他の徴収金の納付のため、金銭を労働保険事務組合に交付したときは、その金額の限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。(徴収法35条1項)
■ 労働保険料その他の徴収金(平成12年発労徴31号)
・ 概算保険料、確定生産に基づき納付すべき不足額その他徴収法の規定による労働保険料
・ 労働保険料に係る追徴金
・ 労働保険料に係る延滞金
・ 労災保険の保険給付の不正受給に係る連帯徴収金
・ 労働保険料滞納機関中の事故又は故意・重過失による事故に基づく労災保険の保険給付の費用に係る徴収金
・ 雇用保険の失業等給付の不正受給に係る連帯徴収金
■ 政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。
■ 労働保険事務組合が納付すべき徴収金については、政府が労働保険事務組合に対して国税滞納処分の例による処分をしてなお徴収すべき残余がある場合に限り、その残余の額を当該事業主から徴収することができる。(徴収法35条2項・3項)
■ 労働保険事務組合の責任により、追徴金又は延滞金を徴収されることになったときは、当該追徴金又は延滞金については、事業主ではなく、労働保険事務組合に納付責任が生ずる。
■ 労働保険事務組合の虚偽の届出、報告又は証明により、保険給付を不正に受給したものがある場合には、政府は、労働保険事務組合に対して、当該不正受給者と連帯して受給金額の全部又は一部を返還すべきことを命ずることができる(徴収法35条4項)
■ 労働保険事務組合は、厚生労働省令で定めるところにより、その処分する労働保険事務に関する事項を記載した帳簿を事務所に備えて置かなければならない。(徴収法36条)
■ 労働保険事務組合が備えておかなければならない帳簿(徴収則68条)
・ 労働保険事務等処理委託事業主名簿 → 3年
・ 労働保険料等徴収及び納付簿 → 3年
・ 雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿 → 4年
■ 労働保険事務組合が、これらの帳簿を備えておらず、又は帳簿に労働保険事務に関する事項を記載せず、もしくは虚偽の記載をした場合には、その代表者又は代理人、使用人その他の従業者は、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処される。
[徴収法] 労働保険徴収法・重要箇所・Chapter9
督促及び滞納処分・延滞金
■ 労働保険料その他徴収法の規定による徴収金を納付しない者があるときは、政府は、期限を指定して督促しなければならない。
■ 上記の規定によって督促をするときは、政府は、納付義務者に対して督促状を発する。この場合において、督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して10日以上経過した日でなければならない。
■ 上記の規定による督促を受けた者が、その指定の期限までに、労働保険料その他徴収法の規定による徴収金を納付しないときは、政府は、国税滞納処分の例によって、これを処分する。(徴収法27条)
■ 労働保険料その他この法律の規定による徴収金とは、次のものをいう。
・ 概算保険料、認定決定に係る概算保険料、増加概算保険料、保険料率の引き上げに伴う概算保険料の追加納付額
・ 確定保険料、認定決定に係る確定保険料及び確定不足額、有期事業についてのメリット制の適用に伴う確定保険料の差額
・ 追徴金
・ 印紙保険料、認定決定に係る印紙保険料、印紙保険料に係る追徴金
・ 特例納付保険料
■ 督促は、延滞金の徴収及び滞納処分の前提要件となるとともに、時効の更新の効力を有するものである。
■ 政府は、徴収法27条1項の規定により労働保険料の納付を督促したときは、労働保険料の額に、納期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じ、年14.6パーセント(当該納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については、年7.3パーセント)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。ただし、労働保険料の額が1000円未満であるときは、延滞金を徴収しない。
・ 社会保険料の軽減期間は3ヶ月であるが、労働保険料については、年1回の徴収であることや申告方式であることから2ヶ月となっている。
■ 上記の場合において、労働保険料の額の一部につき納付が会ったときは、その納付の日以後の期間に係る延滞金の額の計算の基礎となる労働保険料の額は、その納付の会った労働保険料の額を控除した額とする。
■ 延滞金の計算において、上記の労働保険料の額に1000円未満の端数があるときは、その端数を、切り捨てる。
■ 上記の規定によって計算した延滞金の額に100円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
■ 14.6%→延滞税特例基準割合+7.3パーセント→暫定措置(8.8%)
■ 7.3%→延滞税特例基準割合+1.0パーセント→暫定措置(2.5%)令和3年
■ 延滞金は、次のいずれかに該当する場合には、徴収しない。ただし、4の場合には、その執行を停止し、又は猶予した機関に対応する部分の金額に限る。
・ 督促状に指定した期限までに労働保険料その他徴収法の規定による徴収金を完納したとき
・ 納付義務者の住所又は居住がわからないため、公示送達の方法によって督促したとき
・ 延滞金の額が100円未満であるとき
・ 労災保険料について滞納処分の執行を停止し、又は猶予したとき
・ 労働保険料を納付しないことについてやむを得ない理由があると認められるとき
■ 天災事変等不可抗力によりやむなく滞納したものと認められるような場合をいい、当該事業の不振又は金融事情等の経済的事由によって保険料等を滞納している場合は認められない。(昭和62年労徴発19号)
■ 督促状に記載した指定期限経過後に督促状が交付され、又は公示送達されたとしても、その督促は無効であり、これに基づいて行った滞納処分は違法となる。
■ 公示送達を行った場合において、掲示を始めた日から起算して7日を経過したときは、書類の送達があったものとみなす。すなわち、掲示日を含めて8日目にその送達の効力が生じる(なお、その末日が休日に該当する場合でも延期されない)(国税通則法14条3項)
■ 追徴金と異なり、概算保険料についても延滞金は徴収される。
■ 追徴金は労働保険料ではないので、追徴金について延滞金が課されることはない。
[徴収法] 労働保険徴収法・重要箇所・Chapter10
雑則・罰則
■ 労働保険料その他徴収法の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、これらを講師することができるときから2年を経過したときは、時効によって消滅する。(徴収法41条1項)
■ 政府が行う労働保険料その他徴収法の規定による徴収金の徴収の告知又は督促は、時効の更新の効力を生ずる。(徴収法41条2項)
■ 時効の更新とは、時効が新たにその進行を始めることをいう。簡単に言えば、時効の期間をリセットすることである。
■ 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、保険関係が成立し、もしくは成立していた事業の事業主又は労働保険事務組合もしくは労働保険事務組合であった団体に対して、徴収法の施行に関し必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる。(徴収法42条)
■ 徴収法42条の規定による命令は、所轄都道府県労働局長、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長が文書によって行うものとする。
■ 行政庁は、徴収法の施行のために必要があると認めるときは、当該職員に保険関係が成立し、もしくは成立していた事業の事業主又は労働保険事務組合もしくは労働保険事務組合であった団体の事務所に立ち入り、関係者に対して質問させ、又は帳簿書類(電磁的記録を含む)の検査をさせることができる。
■ 上記の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
■ 上記の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。(徴収法43条)
■ なお、帳簿書類は、徴収法及びその施行規則の規定による帳簿書類に限られず、賃金台帳、労働者名簿等も含まれる。
■ 徴収法に定める厚生労働大臣の権限の一部は、都道府県労働局長に委任することができる。以下の権限は、都道府県労働局長に委任されている。(徴収則76条)
・ 下請け事業分離の認可
・ 継続事業の一括の認可及びこれに係る指定に関する権限
・ 労働保険事務組合の認可、業務廃止届の受理及び認可取り消しに関する権限
・ 特例納付保険料の納付の勧奨及び納付の申し出の受理に関する権限
■ 事業主もしくは事業主であった者又は労働保険事務組合もしくは労働保険事務組合であった団体は、徴収法又は厚生労働省令による書類を、その完結の日から3年間(雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿にあっては、4年間)保存しなければならない。(徴収則72条)
■ 概算・確定保険料申告書の事業主控は、3年間保存しなければならない。
■ 事業主は、予め代理人を選任した場合には、厚生労働省令によって事業主が行わなければならない事項を、その代理人に行わせることができる。
■ 事業主は、代理人を選任し、又は解任したときは、代理人選任・解任届により、その旨を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に届出なければならない。なお、継続事業(労働保険事務組合に労働保険事務の処理が委託されているものを除く)の事業主(社会保険適用事業所の事業主に限る)については、年金事務所を経由して行うことができる。(代理人選任・解任届に記載された時効であって代理人の選任に係るものに変更を生じたときも、同様とする。(徴収則73条)
■ 労働保険料その他徴収法の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。(徴収法29条)
■ 徴収法上の徴収金は、常に国税及び地方税に劣後することとなる。したがって、徴収金につき差押えをしている場合に、国税、地方税の交付要求があったときは、当該差押えに係る徴収金に優先して国税、地方税に配当しなければならない。ただし、納付義務者が任意に国税に先んじて徴収金を納付してきた場合にまで、その効力は及ばない。(昭和56年労徴発68号)
■ 事業主が次のいずれかに該当するとき及び労災保険の特別加入に係る一人親方等の団体が違反行為をした場合には、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。(徴収法46条)
・ 徴収法23条2項の規定に違反して雇用保険印紙を貼らず、又は消印しなかった場合
・ 徴収法24条の規定に違反して帳簿を備えておかず、帳簿に記載せず、もしくは虚偽の記載をし、又は報告をせず、もしくは虚偽の報告をした場合
・ 徴収法42条の規定による命令に違反して報告をせず、もしくは虚偽の報告をし、又は文書を提出せず、もしくは虚偽の記載をした文書を提出した場合
・ 徴収法43条1項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、もしくは虚偽の答弁をし、又は検査を拒み、妨げ、もしくは忌避した場合
■ 労働保険事務組合が次のいずれかに該当するときは、その違反行為をした労働保険事務組合の代表者又は代理人、使用人その他の従業者は、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。(徴収法47条)
・ 徴収法36条の規定に違反して帳簿を備えておかず、又は帳簿に労働保険事務に関する事項を記載せず、もしくは虚偽の記載をした場合
・ 徴収法42条の規定による命令に違反して報告をせず、もしくは虚偽の報告をし、又は文書を提出せず、もしくは虚偽の記載をした文書を提出した場合
・ 徴収法43条1項の規定による当該職員に対して答弁をせず、もしくは虚偽の答弁をし、又は検査を拒み、妨げ、もしくは忌避した場合
■ 法人(法人でない労働保険事務組合又は労災保険の特別加入に係る一人親方等の団体を含む)の代表者又は法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、上記の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、上記の罰金刑を科する。(徴収法48条)
[徴収法] 労働保険徴収法・重要箇所・Chapter11
届出の整理・不服申立て
■ 労働基準監督署長、公共職業安定所長に提出するもの
・ 提出期限 10日以内
・ 保険関係成立届 → 労働基準監督署長
・ 名称、所在地等変更届 → 労働基準監督署長
・ 提出期限 なし
・ 雇用保険印紙購入通帳交付申請書 → 公共職業安定所長
■ 都道府県労働局長に提出するもの
・ 提出期限 10日以内
・ 下請人を事業主とする認可申請書
・ 提出期限 14日以内
・ 労働保険事務組合認可申請署の変更の届出
・ 提出期限 60日
・ 労働保険事務組合業務廃止届
・ 提出期限 10月15日まで
・ 労働保険事務組合報奨金交付申請書
・ 提出期限 遅滞なく
・ 継続被一括事業所名称・所在地変更届
・ 労働保険事務等処理委託届
・ 労働保険事務等処理委託解除届
・ 提出期限なし
・ 任意加入申請書
・ 保険関係消滅申請書
・ 継続事業一括申請書
・ 労働保険事務組合認可申請書
■ 都道府県労働局歳入徴収官に提出するもの
・ 提出期限 20日以内
・ 概算保険料申告書(有期事業)
・ 提出期限 30日以内
・ 増加概算保険料申告書
6月1日から起算して40日以内(7月10日まで)
・ 前年度以前に保険関係が成立している場合
・ 概算保険料申告書(継続事業)
・ 確定保険料申告書(継続事業)
・ 一括有期事業報告書
・ 保険関係が成立した日又は保険関係が消滅した日から50日以内
・ 保険年度の中途で保険関係が成立・消滅した場合
・ 概算保険料申告書(継続事業)
・ 確定保険料申告書(継続事業)
・ 一括有期事業報告書
・ 確定保険料申告書(有期事業)
・ 翌月末日まで
・ 印紙保険料納付状況報告書
・ 印紙保険料納付計器使用状況報告書
■ 労働保険料等の納期限のまとめ
・ 納期限 15日以内
・ 認定決定に係る概算保険料(納付書)
・ 認定決定に係る確定保険料(納入告知書)
・ 納期限 20日以内
・ 有期事業の概算保険料(納付書)
・ 納期限 30日以内
・ 増加概算保険料(納付書)
・ 納期限 30日を経過する日
・ 概算保険料の追加徴収(納付書)
・ 追徴金(納入告知書)
・ 有期事業のメリット制に係る確定保険料額の差額(納入告知書)
・ 特例納付保険料(納入告知書)
・ 納期限 40日以内又は50日以内
・ 継続事業の概算保険料、確定保険料(納付書)
・ 有期事業の確定保険料(納付書)
■ 所轄都道府県歳入徴収官が、事業主に対して納入告知書により通知するのは、次の4つである。
・ 認定決定に係る確定保険料及びその追徴金
・ 認定決定にかかる印紙保険料及びその追徴金
・ 有期事業のメリット制の適用に伴う確定保険料の差額
・ 特例納付保険料
■ 特定法人(資本金の額が1億円を超える法人等)における電子情報処理組織を使用した提出義務の対象となるもの
・ 継続事業に係る概算保険料申告書(労働保険事務組合に労働保険事務の処理が委託されている事業に係るものを除く)の提出(保険年度の中途に保険関係が成立したものについて行う申告書の提出を除く)
・ 継続事業における増加概算保険料申告書(労働保険事務組合に労働保険事務の処理が委託されている事業に係るものを除く)の提出
・ 継続事業における確定保険料申告書(労働保険事務組合に労働保険事務の処理が委託されている事務に係るものを除く)の提出
■ 平成28年4月1日施行の行政不服審査法の改正に伴い、異議申し立ての廃止、不服申立前置の廃止などが行われ、徴収法からは、不服申立ての規定は削除された。
■ そのため、労働保険徴収法に基づく処分の不服申立てについては、行政不服審査法や行政事件訴訟法の規定に基づいて行うこととなる。
■ 労働保険徴収法に関する処分(労働保険料その他徴収金に関する処分、労働保険事務組合の認可申請に関する処分など)に不服がある場合、行政不服審査法により、厚生労働大臣に対して審査請求することができる。(行背不服審査法2条、4条)
■ 審査請求は、代理人によってすることができる。
■ 代理人は、各自、審査請求人のために、当該審査請求に関する一切の行為をすることができる。ただし、審査請求の取り下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。(行政不服審査法12条)
■ 処分についての審査請求は、処分のあったことを知った日の翌日から起算して3月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して1月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。(行政不服審査法18条1項・2項)
■ 処分についての審査請求は、処分(当該処分について再調査を請求したときは、当該再調査の請求についての決定)があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときはこの限りでない。
■ 上記の処分に関して、不服申立前置の規定はないので、行政事件訴訟法により、直ちに、裁判所に、その処分の取り消しの訴えを提起することができる。(漁夫制事件訴訟法8条ほか)
■ 行政不服審査法に基づく審査請求をするか、行政事件訴訟法に基づく処分の取り消しの訴えを提起(提訴)するかは、自由選択。
[社一] 社会保険一般常識・重要箇所・Chapter1
国民健康保険法
■ 国民健康保険は、自営業者、農業に従事する者等の被用者保険に加入していない者を対象としており、幼児などの家族も被保険者である。健康保険と異なり、退職被保険者を除き「被扶養者」という概念はない。
■ 国民健康保険法は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民の健康保健の向上に寄与することを目的とする。(国民健康保険法1条)
■ 国民健康保険は、被用者でない者(自営業者等)の疾病、負傷、出産又は死亡に関して必要な保険給付を行う制度であり、これにより国民の健康の保持・増進に寄与することを目的としている。
■ 国民健康保険は、被保険者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して必要な保険給付を行うものとする。(国民健康保険法2条)
■ 被保険者
健康保険では被扶養者となるべきものであっても、国民健康保険は、すべて「被保険者」である。
■ 必要な保険給付
国民健康保険の保険給付は業務上・業務外を問わず行うこととされており、この点において健康保険と決定的に異なる。ただし、業務上の事由であったとしても労働者災害補償保険法における保険給付が行われる場合には、国民健康保険の保険給付は行われない。
■ 国民健康保険の保険者は、「都道府県及び当該都道府県内の市町村(特別区を含む)」と「国民健康保険組合」である。(国民健康保険法3条、13条、17条)
・ 都道府県は、当該都道府県内の市町村(特別区を含む)とともに、この法律の定めるところにより、国民健康保険を行うものとする。
・ 国民健康保険組合は、この法律に定めるところにより、国民健康保険を行うことができる。
・ 国民健康保険組合は、同種の事業又は業務に従事する者で当該組合の地区内に住所を有する者を組合員として組織する。
当該組合の地区は、一又は二以上の市町村の区域によるものとする。ただし、特別の理由があるときは、この区域によらないことができる。
・ 国民健康保険組合を設立しようとするときは、主たる事業所の所在地の都道府県知事の認可を受けなければならない。
・ 国民健康保険組合の設立の認可の申請は、15人以上の発起人が規約を作成し、組合員となるべき者300人以上の同意を得て行うものとする。
・ 都道府県知事は、上記の認可の申請があった場合においては、あらかじめ、次の①、②に定める組合の区分に応じ、当該①、②に定める者の意見を聴き、当該認可の申請に係る組合の設立により、当該組合の地区をその区域に含む都道府県及び当該都道府県内の市町村の国民健康保険事業の運営に支障を及ぼさないと認めるときでなければ、設立の認可をしてはならない。
・ その地区が一の都道府県の区域を超えない組合の場合、当該組合の地区をその区域に含む市町村の市町村長(特別区の区長を含む)
・ その地区が二以上の都道府県の区域にまたがる組合の場合、当該組合の地区をその区域に含む市町村(上記の認可の申請を受けた都道府県知事が統括する都道府県内の市町村に限る)の市町村長及び当該組合の地区をその区域に含む都道府県の都道府県知事(当該認可の申請を受けた都道府県知事を除く。他の都道府県知事)
・ 上記の規定により、他の都道府県知事が意見を述べるに当たっては、あらかじめ、当該他の都道府県知事が統括する都道府県内の市町村(上記の認可の申請に係る組合の地区をその区域に含む市町村に限る)の市町村長の意見を聴かなければならない。
・ 国民健康保険組合は、設立の認可を受けたときに成立する。
■ 都道府県及び当該都道府県内の市町村には、国民健康保険を実施する法的義務が課せられており、国民健康保険の主たる実施主体となっている。都道府県等の行う国民健康保険の場合は、その都道府県の区域内に住所を有する者は、法律上当然にその都道府県等の行う国民健康保険の被保険者となる、いわゆる強制加入制となっているが、被用者保険の被保険者等(健康保険の被保険者、共済組合の組合員等)は適用を除外されている。
■ 都道府県等
都道府県は、当該都道府県内の市町村とともに、国民健康保険を行う。
■ 国民健康保険組合
国民健康保険組合は、同種の事業又は業務に従事する者300人以上で組織される公法人で、都道府県知事の認可を受けて設立された団体である。現在、国民健康保険組合を設立している主な業種には、医師、歯科医師、薬剤師、食品販売業、土木建築業、理容美容業、浴場業、弁護士業等がある。
■ 国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるよう必要な各般の措置を講ずるとともに、国民健康保険法1条に規定する目的の達成に資するため、保健、医療及び福祉に関する施策その他の関連施策を積極的に推進するものとする。
■ 都道府県は、安定的な財政運営、市町村の国民健康保険事業の効率的な実施の確保その他の都道府県及び当該都道府県内の市町村の国民健康保険事業の健全な運営について中心的な役割を果たすものとする。
■ 市町村は、被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項、国民健康保険事業の保険料(地方税法の規定による国民健康保険税を含む)の徴収、保健事業の実施その他の国民健康保険事業を適切に実施するものとする。
■ 都道府県及び市町村は、上記の責務を果たすため、保健医療サービス及び福祉サービスに関する施策その他の関連施策との有機的な連携を図るものとする。
■ 都道府県は、上記に規定するものの他、国民健康保険事業の運営が適切かつ円滑に行われるよう、国民健康保険組合その他の関係者に対し、必要な指導及び助言を行うものとする。(国民健康保険法4条)
■ 都道府県の区域内に住所を有する者は、当該都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険の被保険者とする。ただし、国民健康保険法6条(適用除外)に掲げる者は被保険者としない。(国民健康保険法5条)
■ 修学のため一の市町村の区域内に住所を有する被保険者であって、修学していないとすれば他の市町村の区域内に住所を有する他人と同一の世帯に属するものと認められるものは、国民健康保険法の適用については、当該他の市町村の区域内に住所を有するものとみなし、かつ、当該世帯に属するものとみなす。(国民健康保険法116条)
■ 病院、診療所若しくは介護保険施設等に入院、入所又は入居(入院等)をしたことにより、当該病院、診療所若しくは介護保険施設等(病院等)の所在する場所に住所を変更したと認められる被保険者であって、当該病院等に入院等をした際他の市町村(当該病院等が所在する市町村以外の市町村)の区域内に住所を有していたと認められるものは、国民健康保険法の適用については当該他の市町村の区域内に住所を有するものとみなす。(国民健康保険法116条の2)
■ 次に該当する者は、都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険(都道府県等が行う国民健康保険)の被保険者としない。(国民健康保険法6条)
・ 健康保険法の規定による被保険者(日雇特例被保険者を除く)
・ 船員保険法の規定による被保険者
・ 国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法に基づく共済組合の組合員
・ 私立学校教職員共済制度の加入者
・ 健康保険法の規定による被扶養者。ただし、日雇特例被保険者の被扶養者を除く
・ 船員保険法、国家公務員共済組合法又は地方公務員等共済組合法の規定による被扶養者。ただし、高齢者の医療の確保に関する法律の規定による被保険者の被扶養者を除く。
・ 健康保険法の規定により日雇特例被保険者手帳の交付を受け、その手帳に健康保険印紙を張り付けるべき余白がなくなるに至るまでの間にある者及びその者の被扶養者
・ 高齢者医療確保法の規定による被保険者
・ 生活保護法による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く)
・ 国民健康保険組合の被保険者
・ その他特別の理由のある者で、厚生労働省令で定めるもの
■ 国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法の組合員又は私立学校教職員共済制度の加入者については、健康保険では二重加入の形をとっているが、国民健康保険では適用除外としている。
■ 健康保険の被保険者が後期高齢者医療の被保険者となった場合において、その者に75歳未満の被扶養者がいるときは、当該被扶養者は、他の被用者保険に加入しない限り、刻印健康保険の被保険者となる。
■ 都道府県等が行う国民健康保険の被保険者は、都道府県の区域内に住所を有するに至った日又は国民健康保険法6条の適用除外事由に該当しなくなった日から、その資格を取得する。(国民健康保険法7条)
■ 都道府県等が行う国民健康保険の被保険者は、次のいずれかに該当する場合に被保険者の資格を喪失する。(国民健康保険法8条)
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・ 都道府県の区域内に住所を有しなくなった日に他の都道府県の区域内に住所を有するに至ったときはその日。
■ これらからわかる通り、「翌日喪失」とされていることからわかるように、この場合は1日だけ2つの制度に同時に加入することになる。国民健康保険制度は医療保険制度の「国民皆保険」の底辺を支える重要な制度であり、補保険者が他の被用者保険の被保険者に該当しても、念のため1日だけ被保険者の資格を重複して与える(二重適用)こととしている。
■ 高齢退職者は、退職後国民健康保険に加入することになるため、医療の必要性の高まるときに、その医療費の負担は主として国庫と他の国民健康保険加入者(自営業者、農業者等)に依存することになる。こういった不合理を是正するため、昭和59年の制度改正により退職者医療制度が創設され、同10月より実施されている(なお、平成20年4月の新しい高齢者医療制度の創設に伴い退職者医療制度は廃止されたが、経過措置として、平成27年3月31日までにこの制度に該当した場合、その人が65歳になるまでは、資格が継続する。(国民健康保険法附則6条1項・2項)
■ 退職者被保険者の要件(国民健康保険法附則6条1項)
・ 都道府県等が行う国民健康保険の被保険者であること
・ 老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付を受けることができる者であること
・ 年金保険の被保険者等であった期間が次の①又は②に該当すること
20年(中高齢者の特例に該当する者は、その期間)以上
・ 40歳に達した月以後10年以上
■ 健康保険では、被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫及び弟妹については、主としてその者によって生計を維持されていれば、同一世帯に属さなくても被扶養者となる。これに対して、退職被保険者の被扶養者については、これらの者についても、必ず同一世帯に属していることが要件とされている。(国民健康保険法附則6条2項)
■ 退職被保険者の被扶養者も、都道府県等が行う国民健康保険の被保険者である。(保険料負担の必要がある)
■ 国民健康保険法では、世帯主に対してその世帯に属する被保険者全員に関する届出の義務を負わせている。(国民健康保険法9条1項・2項・9項)
■ 市町村は、保険料を滞納している世帯主(当該市町村の区域内に住所を有する世帯主に限り、その世帯に属するすべての被保険者が原爆一般疾病医療費の支給等を受けることができる世帯主を除く)が、当該保険料の納期限から厚生労働省令で定める期間(1年間)が経過するまでの間に当該保険料を納付しない場合においては、当該保険料の滞納につき災害その他の政令で定める特別の事情があると認められる場合を除き、厚生労働省令で定めるところにより、当該世帯主に対し被保険者証の返還を求めるものとする。また、市町村は、厚生労働省令で定める期間(1年間)が経過していない場合においても、当該世帯主に対し被保険者証の返還を求めることができる。当該被保険者証の返還を求められた世帯主は、市町村に当該被保険者証を返還しなければならない。
■ 上記により世帯主が被保険者証を返還したときは、市町村は、当該世帯主に対し、その世帯に属する被保険者(原爆一般疾病医療費の支給等を受けることができる者及び18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある者を除く)に係る被保険者資格証明書(その世帯に属する被保険者の一部が原爆一般疾病医療費の支給等を受けることができる者又は18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある者であるときは、当該被保険者資格証明書及びそれらの者に係る被保険者証(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者(原爆一般疾病医療費の支給等を受けることができる者を除く)にあっては、有効期間を6月とする被保険者証)、その世帯に属するすべての被保険者が原爆一般疾病医療費の支給等を受けることができる者又は18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある者であるときはそれらの者に係る被保険者証)を交付する。
■ 市町村は、被保険者資格証明書の交付を受けている世帯主が滞納している保険料を完納したとき又はその者に係る滞納額の著しい減少、災害その他の政令で定める特別の事情があると認めるときは、当該世帯主に対し、その世帯に属するすべての被保険者に係る被保険者証を交付する。
■ 市町村は、被保険者証及び被保険者資格証明書の有効期間を定めることができる。この場合において、この法律の規定による保険料を滞納している世帯主(上記により市町村が被保険者証の返還を求めるものとされるものを除く)及びその世帯に属する被保険者、国民年金法の規定による保険料を滞納している世帯主(国民遠近法88条2項の規定により保険料を納付する義務を負うものを含み、厚生労働大臣が厚生労働省令で定める要件に該当するものと認め、その旨を市町村に通知した者に限る)及びその世帯に属する被保険者その他厚生労働省令で定める者の被保険者証については、特別の有効期間を定めることができる。ただし、18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある者が属する世帯に属する被保険者の被保険者証について6月未満の特別の有効期間を定める場合においては、当該者に係る被保険者証の特別の有効期間は、6月以上としなければならない。
■ 市町村は、上記の規定により被保険者証又は被保険者資格証明書の有効期間を定める場合(被保険者証につき特別の有効期間を定める場合を含む)には、同一の世帯に属するすべての被保険者(上記の但書に規定する場合における当該世帯に属する18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある者その他厚生労働省令で定めるものを除く)について同一の有効期間を定めなければならない。
■ 上記の規定による厚生労働大臣の通知の権限に係る事務は、日本年金機構に行わせるものとする。(国民健康保険法9条3項から7項、10項、11項)
■ 上記32の厚生労働省令で定める要件とは、国民年金法の規定による督促を受けた者がその指定期限までに保険料を納付しないこととされている(国民健康保険則7条の2の2)
■ 上記33の厚生労働省令で定める者とは、
・ 日本国籍を有しない被保険者であって、有効期間内に在留期間が満了する者
・ 有効期間内に75歳に達し、後期高齢者医療の被保険者に該当する者(国民健康保険則7条の2の3)
■ なお、被保険者資格証明書の交付をうけて受けている場合には、療養の給付は行われず、特別療養費の支給対象となる。
■ (表)
■ 届出手続等は、「被保険者」ではなく、「世帯主」が行うこととなっている。また、届出書等の提出先は、いずれも「市町村」である。
■ 国民健康保険組合の場合は、届出手続者は組合員、届出書の提出先h書 書
■ 届出期限は原則として、14日以内」となっているが、「被保険者証」(高齢受給者証)に関するものについてのみ、「直ちに」「速やかに」あるいは「遅滞なく」」届け出ることとされている。
■ 都道府県及び市町村は、国民健康保険に関する収入及び支出について、政令で定めるところにより、それぞれ特別会計を設けなければならない。(国民健康保険法10条)
■ 都道府県及び市町村は、国民健康保険に関する歳入及び歳出については、一般会計とは別に、特別会計を設けて運営している。
■ 国民健康保険事業の運営に関する事項(国民健康保険法の定めるところにより都道府県が処理することとされている事務に係るものであって、国民健康保険事業費納付金の徴収、都道府県国民健康保険運営方針の作成その他の重要事項に限る)を審議させるため、都道府県に都道府県の国民健康保険事業の運営に関する協議会を置く。
■ 国民健康保険事業の運営に関する事項(国民健康保険法に定めるところにより市町村が処理することとされている事務に係るものであって、保険給付、保険料の徴収その他の重要事項に限る)を審議させるため、市町村に市町村の国民健康保険事業の運営に関する協議会を置く。
■ 上記に定める協議会は、上記に定めるもののほか、国民健康保険事業の運営に関する事項(45に定める協議会にあっては国民健康保険法の定めるところにより都道府県が処理することとされている事務に係るものに限り、46に定める協議会にあっては国民健康保険法に定めるところにより市町村が処理することとされている事務に係るものに限る)を審議することができる。(国民健康保険法11条)
■ 協議会は、被保険者を代表する委員、保険医又は保険薬剤師を代表する委員及び公益を代表する委員各同数をもって組織する。
■ 委員の任期は、原則として3年とされている。
■ 市町村及び組合は、被保険者の疾病及び負傷に関しては、次に掲げる療養の給付を行う。ただし、当該被保険者の属する世帯の世帯主又は組合員が当該被保険者に係る被保険者資格証明書の交付を受けている間は、療養の給付等を行わず、世帯主又は組合員に対し、その療養に要した費用について、特別療養費を支給する。
・ 診察
・ 薬剤又は治療材料の支給
・ 処置、手術その他の治療
・ 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
・ 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
■ 次に掲げる療養に係る給付は、上記の給付に含まれないものとする。
・ 食事の提供たる療養出会って上記のオに掲げる療養と併せて行うもの(医療法7条2項4号に規定する療養病床への入院及びその療養に伴う世話その他の看護であって、当該療養を受ける際、65歳に達する日の属する月の翌月以降である被保険者(特定長期入院被保険者)に係るものを除く。食事療養)
・ 次に掲げる療養であって上記オに掲げる療養と併せて行うもの(特定長期入院被保険者に係るものに限る。生活療養)
・ 食事の提供たる療養
・ 温度、照明及び給水に関する適切な療養環境の形成たる療養
・ 評価療養(健康保険法63条2項3号に規定する評価療養をいう)
・ 患者申出療養(健康保険法63条2項4号に規定する患者申出療養をいう)
・ 選定療養(健康保険法63条2項5号に規定するせんていr5号に規定する選定療養をいう)
■ 被保険者が上記の給付(療養の給付)を受けようとするときは、自己の選定する 保険医療機関等(保険医療機関又は保険薬局)から、電子資格確認その他厚生労働省令で定める方法(電子資格確認等)により、被保険者であることの確認を受け、上記の給付を受けるものとする。ただし、厚生労働省令に該当するときは、当該確認を受けることを要しない。
■ 上記の給付(療養の給付)(健康保険法63条4項に規定する厚生労働大臣が定める療養に係る者 除く)は、介護保険法48条1項3号に規定する指定介護療養施設サービスを行う療養病床等に入院している者については、行わない。(国民件法保険法36条・国民件法保険法54条の3)
■ 労災保険法の療養の給付の範囲には「移送」が含まれている点に注意。上記アからオに関しては、健康保険法と同一のものが掲げられている。
■ 国民健康保険法においても、健康保険法と同様に、令和2年10月1日施行の改正により、電子資格確認(オンライン資格確認)の仕組みが導入された。その内容は、健康保険法と同様である。(これまでと同様に被保険者証等の提出による方法も、「その他厚生労働省製定める方法」として認められる)また、健康保険法の「被保険者等記号・番号等の利用制限等」と同様の、「被保険者記号・番号等の利用制限等」の規定も設けられた。
■ 保険医療機関等について、療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、被保険者の区分に応じた割合を一部負担金として、保険医療機関等に支払わなければならない。(国民健康保険法42条)
■ 一部負担金の割合
・ 義務教育就学前 → 10分の2
・ 義務教育就学以後70歳未満 → 10分の3
・ 70歳以上かつ一定以上所得者 → 10分の3
・ 70歳以上かつ一定以上所得者以外 → 10分の2
■ ここでいう「義務教育就学前」とは、「6歳に達する日以後の最初の3月31日以前」、「70歳以上」とは、「70歳に達する日の属する月の翌月以降」を表す。
■ 一定以上所得者 とはを受ける日の属する年の前年の課税所得が145万円以上のものをいう。なお、課税所得が145万円以上の者であっても、収入の額が520万円(同一の世帯に70歳以上の被保険者及び特定同一世帯所属者(一定の高齢者医療確保法の被保険者)がいない者は383万円)未満のときは、申請により2割負担となる(国民健康保険令27条の2)
■ 一般被保険者の場合の法定割合は、一部負担金割合の最高限度を定めたもので、市町村予備組合は保険財政の健全性を損なうおそれがないと認められる場合には、条例又は規約で一部負担金の割合を減ずることができる。(国民健康保険法43条)
■ 特別の理由がある被保険者で、一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対しては、市町村及び組合は、
・ 一部負担金を減額すること
・ 一部負担金の支払を免除すること
・ 保険医療機関等に対する支払に代えて、一部負担金を直接徴収すること
とし、その徴収を猶予すること等の措置を取ることができる。(国民健康保険法44条)
■ 保険医療機関等は療養の給付に関し、保健医及び保険薬剤師は国民健康保険の診療又は調剤に関し、厚生労働大臣又は都道府県知事の指導を受けなければならない。
■ 更生労働大臣又は都道府県知事は、上記の指導をする場合において、必要があると認めるときは、診療又は調剤に関する学識経験者をその関連団体の指定により指導に立ち会わせるものとする。ただし、関係団体が指定を行わない場合又は指定された者が立ち会わない場合は、この限りでない。(国民健康保険法41条)
■ 市町村及び組合は、保険医療機関等から療養の給付に関する費用の請求があったときは、審査の上支払うものとされているが、この審査及び支払に関する事務は、都道府県の国民健康保険団体連合又社会保険診療報酬支払基金(支払基金)に委託することができる。(国民健康保険法45条)
■ 現在、診療報酬の審査・支払事務については、すべての保険者が国民健康保険団体連合会に委託している。
■ 市町村及び組合は、世帯主又は組合員がその世帯に属する被保険者に係る被保険者資格証明書の交付を受けている場合において、当該被保険者が保険医療機関等又は指定訪問看護事業者について療養を受けたときは、当該世帯主又は組合員に対し、その療養に要した費用について、特別療養費を支給する。
■ 上記に規定する場合において、被保険者が被保険者資格証明書を提出しないで保険医療機関等について診療又は薬剤の支給を受け、被保険者資格証明書を提出しなかったことが、緊急その他やむを得ない理由によるものと認められる市町村及び組合は、療養費を支給するものとする。(国民健康保険法54条の3)
■ 特別療養費は、国民健康保険独自の給付である。
■ この場合には、療養の給付等を受けることはできず、保険医療機関等の窓口で一旦医療費の全額を支払い、市町村又は組合から特別療養費の支給を受けることになる。
■ 市町村が行う保険給付については、当該市町村の区域内に住所を有する者に対し、行うものとする。また、市町村は、当該市町村の区域内に住所を有する者について、一部負担金の減免などの事務を行うものとする。(国民健康保険法66条の2)
■ 国民健康保険法以外の法令(介護保険法、労災保険法等)に基づき、保険給付と同様の給付がなされる場合には、国民健康保険からの保険給付は行わない。(国民健康保険法56条)
■ 市町村及び組合は、療養の給付について支払われた一部負担金の額又は療養(食事療養及び生活療養を除く)に要した費用に額からその療養に要した費用につき保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費もしくは特別療養費として支給される額若しくは国民健康保険法56条2項の規定により支給される差額に相当する額を控除した額(一部負担金等の額))が著しく高額であるときは、世帯主又は組合員に対し、高額療養費を支給する。
■ 市町村及び組合は、一部負担金等(高額療養費が支給される場合にあっては、当該支給額に相当する額を控除して得た額)並びに介護保険法に規定する介護サービス利用者負担額(高額介護サービス費が支給される場合にあっては、当該支給額を控除してえた得た額)及び介護予防サービス利用者負担額(高額介護予防サービス費が支給される場合にあっては、当該支給額を控除して得た額)の合計額が著しく高額であるときは、世帯主又は組合員に対し、高額介護合算療養費を支給する。
■ 高額療養費及び高額介護合算療養費の計算における国民健康保険法上の所得区分は、基礎控除後の所得(課税所得)によって判断する(原則として、現役並みⅢ(最上位):690万円以上、現役並みⅡ:380万円以上 690万円未満、現役並みⅠ:145万円以上380万円未満、一般:145万円未満(低所得者の基準は健康保険法と同じ)。基本的な仕組みは健康保険法と同じである(国民健康保険令29条の3第1項2号、29条の4の3第1項2号)
■ 相対的必要給付(法定任意給付)
市町村及び組合は、被保険者の出産及び死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより、出産育児一時金の支給又は葬祭費の支給若しくは葬祭の給付を行うものとする。ただし、保険者は、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる。
■ 任意給付
市町村及び組合は、上記の保険給付のほか、条例又は規約の定めるところにより、傷病手当金の支給その他の保険給付(出産手当金等)を行うことができる。
■ 市町村及び組合は、相対的必要給付の保険給付及び任意給付の傷病手当金の支払に関する事務を国民健康保険団体連合会又は支払基金に委託することができる。(国民健康保険法58条)
■ (表)
■ 被保険者又は被保険者であった者が、次のア又はイのいずれかに該当する場合には、その期間に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、訪問看護療養費、特別療養費若しくは移送費の支給(療養の給付等)は、行わない。
・ 少年院その他これに準ずる施設に収容されたとき
・ 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたとき
■ 被保険者が、自己の故意の犯罪行為により、又は故意に疾病にかかり、又は負傷したときは、当該疾病又は負傷に係る療養の給付等は、行わない。
■ 被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡により疾病にかかり、又は負傷したときは、当該疾病又は負傷に係る療養の給付等は、その全部又は一部を行わないことができる。
■ 市町村及び組合は、被保険者又は被保険者であった者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、療養の給付等の一部を行わないことができる。
■ 市町村及び組合は、被保険者もしくは被保険者であった者はを受ける者が、正当な理由なしに、強制診断等による命令に従わず、又は答弁もしくは受診を拒んだときは、療養の給付等の全部又は一部を行わないことができる。(国民健康保険法59条から63条)
■ 市町村及び組合は、保険給付を受けることができる世帯主又は組合員が保険料を滞納しており、かつ、当該保険料の納期限から厚生労働省令で定める期間(1年6月間)が経過するまでの間に当該保険料の納付をしない場合においては、当該保険料の滞納につき災害その他の政令で定める特別の事情があると認められる場合を除き、厚生労働省令で定めるところにより、保険給付の全部又は一部のの支払を一時差止めるものとする。
■ 市町村及び組合は、上記の厚生労働省令の定める期間(1年6月間)が経過しない場合においても、保険給付を受けることができる世帯主又は組合員が保険料を滞納している場合においては、当該保険料の滞納につき災害その他の政令で定める特別の事情があると認められる場合を除き、厚生労働省令で定めるところにより、保険給付の全部又は一部の支払を一時差止めることができる。
■ 市町村及び組合は、被保険者資格証明書の交付を受けている世帯主又は組合員であって、上記の規定による保険給付の全部又は一部の支払の一時差止めがなされているものが、なお滞納している保険料を納付しない場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、当該せたい世帯主又は組合員に通知して、当該一時差止めに係る保険給付の額から当該世帯主又は組合員が滞納している保険料額を控除することができる。(国民健康保険法63条の2)
■ 国民健康保険法63条の2は、健康保険法にはない、国民健康保険法独自の保険給付の制限。なお、同様の給付制限が介護保険法にも設けられている。
1年以内 → 被保険者証の返還を求めることができる(任意)
1年間経過後 → 被保険者証の返還を求めるものとする(強制)
1年6月間以内 → 保険給付の全部又は一部の支払を一時差し止めることができる(任意)
1年6月間経過後 → 保険給付の全部又は一部の支払を一時差し止めるものとする。(強制)
・ あらかじめ、通知して、一次差止めに係る保険給付の額から滞納している保険料額を控除することができる。(任意)
■ 受給権の保護等(国民健康保険法64条から68条)
・ 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
・ 租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品の標準して、課することができない。
■ 市町村は、当該市町村の国民健康保険に関する特別会計において負担する国民健康保険事業費納付金の納付に要する費用(当該市町村が属する都道府県の国民健康保険に関する特別会計において負担する前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金の納付に要する費用を含む)、財政安定化基金拠出金の納付に要する費用その他の国民健康保険事業に要する費用に充てるため、被保険者の属する世帯の世帯主(当該市町村の区域内に住所を有する世帯主に限る)から保険料を徴収しなければならない。ただし、地方税法の規定により国民健康保険税を課するときは、この限りでない。
■ 組合は、療養の給付等に要する費用その他の国民健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金の納付に要する費用を含み、健康保険法179条に規定する組合にあっては、同法に規定する日雇拠出金の納付に要する費用を含む)に充てるため、組合員から保険料を徴収しなければならない。
■ 市町村及び組合は、条例又は規約の定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる。(国民健康保険法76条・77条)
■ 国民健康保険の保険料(国民健康保険税)は、所得割、資産割、均等割、平等割の4つの中から、各市区町村が組み合わせを決定し、一世帯あたりの年間保険料(税)を算出する。組み合わせ及び各項目の金額・%は、各市区町村が個々に定めるため、自治体によって差がある。政令で定める各賦課上限額は次の通り(この範囲内で自治体ごとに上限額が決定される)
・ 基礎賦課額(65万円)
・ 後期高齢者支援金等賦課額(20万円)
・ 介護納付金賦課額(17万円)
合計額が保険料の賦課上限となる。
■ 特例対象被保険者等の国民健康保険料の負担の軽減
・ 平成22年4月1日より、倒産などのやむを得ない理由により離職した被保険者の保険料について、在職中の保険料負担と比較して過重とならないようにするための特例が設けられている。
・ 特例対象被保険者等について、保険料算定の基礎となる総所得金額に給与所得が含まれているときは、離職の日の翌日の属する年度のよく年度末までの当該給与所得(前年の給与所得)をその額の100分の30に相当する額として国民健康保険料を算定する。
・ 特例対象被保険者等とは、市町村が行う国民健康保険歩被保険者又は特定同一世帯所属者のうち、次のいずれかに該当する者(これらの者の雇用保険法に規定する受給資格に係る離職の日の翌日の属する年度の翌年度の末日までの間にあるものに限る)という。
・ 雇用保険法23条2項に規定する特定受給資格者
・ 雇用保険法13条3項にきていs規定する特定理由離職者であって受給資格を有するもの
■ 特別徴収(国民健康保険法76条の3)
・ 65歳以上の被保険者である世帯主であって、年金額が年額18万円以上の老齢等年金給付(老齢もしくは退職、障害もしく死亡を支給事由とする年金たる給付)の支払を受けているもの(一定の者を除く)については、年金保険者が年金を支払う際に、保険料を徴収し、その徴収すべき保険料を市町村に納付する。
・ 世帯主が次のいずれにも該当する場合には、特別徴収は行われない。
・ 老齢等年金給付が18万円未満である者
・ 国民健康保険の保険料と介護保険の保険料との合算額が年金受給額の2分の1を超える者(介護保険の保険料のみが特別徴収される。)
・ 65歳未満の被保険者が世帯に属する者
・ 当該被保険者である世帯主から口座振替の方法により保険料を納付する旨の申出があったことその他の事情を考慮した上で、特別徴収の方法によって徴収するよりも普通徴収の方法によって徴収することが保険料の徴収を円滑に行うことができると市町村が認める者
■ 普通徴収
・ 上記の特別徴収によることができなできない場合に、市町村が世帯主に対し、納入の通知を行うことによって保険料を徴収する。
■ 保険料の徴収の委託(国民健康保険法80条の2)
・ 市町村は、普通徴収の方法よる保険料の徴収の事務について、収入の確保及び被保険者の便益の増進に寄与すると認める場合に限り、政令で定めるところにより、私人(コンビニエンスストア等)に委託することができる。
■ 国民健康保険の被保険者は、低所得者層の人たちが多く、保険料の負担能力に乏しい。また、他の被用者保険のように保険料の事業主負担もないため、保険料のみをもって国民健康保険事業を運営することが困難な実情にあることから国民健康保険事業運営については、高率の国庫負担・国庫補助が行われている。
■ 療養給付費等負担金(70条)
国は、都道府県等が行う国民健康保険の財政の安定化を図るため、都道府県に対し、都道府県等が負担する費用のうち、次のア及びイの合算額の100分の32を負担するものである。
・ 被保険者に係る療養の給付に要する費用の額から当該給付に係る一部負担金に相当する額を控除した額並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費、移送費、高額療養費及び高額介護合算療養費の支給に要する額の合算額から、当該年度における保険基盤安定制度に係る市町村の繰入金の2分の1に相当する額を控除した額
・ 前期高齢者納付金及び後期高齢者支援金並びに介護納付金の納付に要する費用の額(前期高齢者交付金がある場合には、これを控除した額)
■ 調整交付金は、都道府県等が行う国民健康保険について、都道府県及び当該都道府県内の市町村の財政の状況その他の事情に応じた財政の調整を行うため、国が都道府県に交付するものであって、その総額は、療養給付費等負担金を算定するための合算額の見込み総額の100分の9に相当する額と、保険基盤安定制度における市町村の繰入金の4分の1に相当する額との合算額とされている。(72条)
■ 国は、組合に対し、以下のア+イを合算した額に組合の財政力を勘案して100分の13から100分の32までの範囲内において政令で定める割合を乗じて得た額を補助することができる。(73条)
・ 療養の給付に要する費用の額から当該給付に係る一部負担金に相当する額を控除した額並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費、移送費、高額療養費及び高額介護合算療養費の支給に要する費用の合算額から、当該合算額のうち組合特定被保険者(承認を受けて健康保険法の被保険者にならないことにより当該組合の被保険者である者及びその世帯に属する当該組合の被保険者)に係る額として政令で定めるところにより算定した額(特別給付額)を控除した額
・ 前期高齢者納付金及び後期高齢者支援金並びに介護納付金の納付に要する費用の額(前期高齢者交付金がある場合には、これを控除した額)から、当該費用の額のうち組合特定被保険者に係る費用の額として政令で定めるところにより算出した額(特定納付費用額)を控除した額
■ 保険基盤安定繰入金(保険料軽減分)とは、被保険者の保険料(税)の軽減相当額を市町村が一般会計から当該市町村国民健康保険に関する特別会計に繰り入れることで、被保険者の保険料(税)負担の緩和及び市町村国保の財産基盤の安定化を図る制度であり、都道府県が4分の3、市町村が4分の1を負担する。(国民健康保険法72条の3)
■ 6歳に達する日以後の最初の3月31日以前である被保険者について条例で定めるところにより行う保険料の減額賦課又は国民健康保険税の減額に基づき被保険者に係る保険料又は国民健康保険税につき減額した額の総額を基礎として算定した額を、市町村が一般会計から当該市町村の国民健康保険に関する特別会計に繰り入れることで、義務教育就学前の子供に係る被保険者均等割額を減額しその減額相当額を公費で支援する措置。その繰入金は、国が2分の1、都道府県が4分の1を負担する。(刻印健康保険法72条の3)
■ 保険料軽減の対象となった一般被保険者数に応じて、保険料の一定割合を市町村が一般会計から当該市町村の国民健康保険に関する特別会計に繰り入れることで、主に中間所得層の保険料(税)負担の軽減を図るとともに、低所得者を多く抱える市町村を支援する制度であり、国が2分の1、都道府県が4分の1、市町村が4分の1を負担する。従来は暫定措置とされていたが、平成22年から恒久化された。(国民健康保険法72条の4)
■ 国は、政令で定めるところにより、都道府県に対し、被保険者に係るすべての医療に関する給付に要する費用の額に対する高額な医療に関する給付に要する費用の割合等を勘案して、国民健康保険の財政に与える影響が著しい医療に関する給付として政令で定めるところにより算定する額以上の医療に関する給付に要する費用の合計額(高額医療費負担対象額)の4分の1に相当する額を負担する。(国民健康保険法70条3項)
■ 都道府県は、政令で定めるところにより、一般会計から、高額医療費負担対象額の4分の1に相当する額を当該都道府県の国民健康保険に関する特別会計に組み入れなければならない。(国民健康保険法70条の2第2項)
■ 都道府県は、当該都道府県内の市町村の財政を調整するため、政令で定めるところにより、一般会計から、算定対象額の100分の9に相当する額を当該都道府県の国民健康保険に関する特別会計に繰り入れなければならない。(国民健康保険法72条の2)
■ 国は、政令で定めるところにより、組合に対して国民健康保険の事務(前期高齢者納付金当及び後期高齢者支援金等並びに介護保険法の規定による納付金の納付に関する事務を含む)の執行に要する費用を負担する。(国民健康保険法69条)
■ 市町村の事務費については、市町村それぞれの一般財源で賄うこととされており、国庫負担は行われていない。
■ 国は、政令で定めるところにより、都道府県に対し、当該都道府県内の市町村による高齢者医療確保法の規定による特定健康診査及び特定保健指導に要する費用のうち政令で定めるものの3分の1に相当する額をそれぞれ負担する。(国民健康保険法72条の5)
■ 国は、予算の範囲内において、保健師に要する費用についてはその3分の1を、国民健康保険事業に要するその他の費用については、その一部を補助することができる。(国民健康保険法74条)
■ 都道府県内の市町村が負担する費用のうち、アとイの合算額からウに掲げる額を控除した額(被用者保険等拠出対象額)については、政令で定めるところにより、支払基金が都道府県に対して交付する「療養給付費等交付金」をもって充てる。(国民健康保険法附則7条)
・ 退職被保険者及びその被扶養者(退職被保険者等)に係る療養の給付に要する費用の額から当該給付に係る一部負担金に相当する額を控除した額並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費、移送費、高額療養費及び高額介護合算療養費の支給に要する費用の額の合算額
・ 調整対象基準額及び後期高齢者支援金の額の合計額に当該退職被保険者等所属都道府県に係る被保険者の総数に対する退職被保険者等の総数の割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合(退職被保険者等所属割合)を乗じて得た額
・ 退職被保険者等に係る保険料に相当する額の合算額から当該保険料に係る介護納付金の納付に要する費用に相当する額の合算額を控除した額
■ 療養給付金等交付金は、基金が徴収する療養給付費等拠出金をもって充てる。
■ 国民健康保険保険給付費等交付金(国民健康保険法75条の2から75条の6)
・ 都道府県は、政令で定めるところにより、条例で、当該都道府県内の市町村に対し、療養の給付等に要する費用その他の国民健康保険事業に要する費用について、国民健康保険給付費等交付金を交付するものとする。(75条の2関連)
・ 都道府県は、当該都道府県内の市町村による保険給付が法令の規定に違反し、又は不当に行われたおそれがあると認めるときは、当該市町村(保険給付に関する事務の委託を受けた国民健康保険団体連合会等を含む)に対し、当該保険給付について再度の審査を求めることができるものとする。この場合において、都道府県は、当該市町村が当該保険給付の全部又は一部を取消さず、かつ、当該保険給付が法令の規定に違反し、又は不当に行われたものと認めるとき(再度の審査の求めに基づく審査が国民健康保険審査報酬審査委員会等において行われたときを除く)は、当該市町村に対し、当該保険給付の全部又は 一部を取り消すべきことを勧告することができるものとするとともに、市町村が当該勧告に従わないときは、政令で定めるところにより、国民健康保険保険給付等交付金の額から当該勧告に係る保険給付に相当する額を減額することができるものとする。
■ 国民健康保険事業費納付金の徴収及び納付義務(国民健康保険法75条の7)
・ 都道府県は、国民健康保険保険給付費等交付金の交付に要する費用その他の国民健康保険事業に要する費用に充てるため、政令で定めるところにより、条例で、年度ごとに、当該都道府県内の市町村から、国民健康保険事業費納付金を徴収するものとする。
・ 市町村は、上記の国民健康保険事業費納付金を納付しなければならない。
■ 財政安定化基金(国民健康保険法81条の2)
・ 都道府県は、国民健康保険の財政の安定化を図るため財政安定化基金を設け、次に掲げる事業に必要な費用に充てるものとする。
・ 当該都道府県内の収納不足市町村に対し、政令で定めるところにより、基金事業対象保険料収納額が基金事業対象保険料必要額に不足する額を基礎として、当該都道府県内の市町村における保険料の収納状況等を勘案して政令で定めるところにより算定した額の範囲内で額の資金を貸し付ける事業
・ 基金事業対象保険料収納額が基金事業対象保険料必要額に附則することにつき特別の事情があると認められる当該都道府県内の収納不足市町村に対し、政令で定めるところにより、基金事業対象保険料収納額が基金事業対象保険料必要額に不足する額を基礎として、当該都道府県内の市町村における保険料の収納状況等を勘案して政令で定めるところにより算定した額の2分の1以内の額の資金を交付する事業
・ 都道府県は、基金事業対象収入額が基金事業対象費用額に不足する場合に、政令で定めるところにより、当該不足額を基礎として、当該都道府県の市町村による保険給付の状況等を勘案して政令で定めるところによりところにより算定した額の範囲内で財政安定化基金を取り崩し、当該不足額に相当する額を当該都道府県の国民健康保険に関する特別会計に繰り入れるものとする。
・ 都道府県は、上記の規定により財政安定化基金を取り崩したときは、政令で定めるところにより、その取り崩した額に相当する額を財政安定化基金に繰り入れなければならない。
・ 都道府県は、上記の規定する場合のほか、国民健康保険の医療に要する費用及び財政の見通しを勘案して国民健康保険事業費納付金の著しい上昇抑制その他の都道府県等が行う国民健康保険事業の安定的な財政運営の確保のために必要があると認められる場合に、政令で定めるところにより算定した額の範囲内で財政安定化基金を取り崩し、当該都道府県の国民健康保険に関する特別会計に繰り入れることができる。
・ 都道府県は、財政安定化基金に充てるため、政令で定めるところにより、当該都道府県内の市町村から財政安定化基金拠出金を徴収するものとする。
・ 市町村は、上記の規定による財政安定化基金拠出金を納付しなければならない。
・ 都道府県は、政令で定めるところにより、上記の規定により当該都道府県内の市町村から徴収した財政安定化基金拠出金の総額の3倍に相当する額を財政安定化基金に繰り入れなければならない。
・ 国は、政令で定めるところにより、上記の規定により都道府県が繰入れた額の3分の1 に相当する額を負担する。
・ 財政安定化基金から生ずる収入は、全て財政安定化基金に充てなければならない。
■ 特別高額医療費共同事業(国民健康保険法81条の3)
・ 指定法人は、ほう定めるところにより、著しく高額な医療に関する給付に要する費用が国民健康保険の財政に与える影響を緩和するため、都道府県に対して著しく高額な医療に関する給付に要する費用に係る交付金を交付する事業(特別高額医療費共同事業)を行うものとする。
・ 指定法人は、特別高額医療費共同事業に要する費用に充てるため、政令で定めるところにより、都道府県から特別高額医療費共同事業拠出金を徴収するものとする。
・ 都道府県は、上記の規定による特別高額医療費共同事業拠出金を納付しなければならない。
・ 国は、政令で定めるところにより、都道府県に対し、上記の規定による特別高額医療費共同事業拠出金(特別高額医療費共同事業に関する事務の処理に要する費用に係るものを除く)の納付に要する費用について、予算の範囲内で、その一部を負担する。
■ 府県国民健康保険運営方針のその他の事項(国民健康保険法82条の2第5項から9項)
・ 都道府県国民健康保険運営方針は、高齢者医療確保法9条1項に規定する都道府県医療費適正化計画との整合性の確保が図られたものでなければならない。
・ 都道府県は、都道府県国民健康保険運営方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、当該都道府県内の市町村の意見を聴かなければならない。
・ 都道府県は、都道府県国民健康保険運営方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めるものとする。
・ 市町村は、都道府県国民健康保険運営方針を踏まえた国民健康保険の事務の実施に努めるものとする。
・ 都道府県は、都道府県国民健康保険運営方針の作成及び都道府県国民健康保険運営方針に定める施策の実施に関して必要があると認めるときは、国民健康保険団体連合会その他の関係者に対して必要な協力を求めることができる。
■ 標準保険料率(国民健康保険法82条の3)
・ 都道府県は、毎年度、厚生労働省令で定めるところにより、当該都道府県内の市町村ごとの保険料率の標準的な水準を表す数値(市町村標準保険料率)を算定するものとする。
・ 都道府県は、毎年度、厚生労働省令で定めるところにより、当該都道府県内のすべての市町村の保険料率の標準的な水準を表す数値(都道府県標準保険料率)を算定するものとする。
・ 都道府県は、市町村標準保険料率及び都道府県標準保険料率(標準保険料率等)を算定したときは、厚生労働省令で定めるところにより、標準保険料率を当該都道府県内の市町村に通知するものとする。
・ 上記に規定するばあい場合において、都道府県は、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、標準保険料率を公表するよう努めなければならない。
■ 都道府県もしくは市町村又は組合は、共同してその目的を達成するため、国民健康保険団体連合会(連合会)を設立することができる。
■ 連合会を設立しようとするときは、当該連合会の区域をその区域に含む都道府県を統括する都道府県知事の認可を受けなければならない。
■ 連合会は、設立の認可を受けたときに成立する。
■ 都道府県の区域を区域とする連合会に、その区域内の都道府県及び市町村並びに組合の3分の2以上が加入したときは、当該区域内のその他の都道府県及び市町村並びに組合は、全て当該連合会の会員となる。(国民健康保険法83条・84条)
■ 国民健康保険団体連合会は、診療報酬請求書の審査を行うため、国民健康保険診療報酬審査委員会が置かれている(国民健康保険法87条1項)
■ なお、国民健康保険診療報酬審査委員会は、都道府県知事が定める保険医及び保険薬剤師を代表する委員、都道府県及び当該都道府県内の市町村並びに組合(保険者)を代表する委員、公益を代表する委員を持って組織されている(国民健康保険法88条1項)
■ 保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に関する処分を含む)又は保険料その他国民健康保険法の規定による徴収金に関する処分に不服があるものは、各都道府県に設置されている国民健康保険審査会(審査会)に審査請求をすることができる。この場合の審査請求は、事項の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求とみなす。
■ 審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、文書又は口頭でしなければならない。ただし、正当な理由により、この期間内に審査請求をすることができなかったことを疎明したときは、3月経過後であっても審査請求をすることができる。
■ 審査会は、被保険者を代表する委員、保険者を代表する委員及び公益を代表する委員各3人をもって組織される。なお、委員は、非常勤である。
■ 委員の任期は、3年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。(国民健康保険法91条から99条)
■ 国民健康保険審査会は、各都道府県に設置されている。
■ 健康保険法の審査請求は二審制であるが、国民健康保険法は一審制である。
■ 上記の規定による処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができない。
■ 保険料・徴収金の徴収・還付を受ける権利は、どの法律も時効は2年である。
■ 未適用事業所が訴求して社会保険に加入するなどの場合に発生しうる国民健康保険と健康保険等の間における保険料の二重払いを解消するために設けれたものが国民健康保険法110条の2)
■ 関係者の連携及び協力(国民健康保険法113条の4)
・ 国、都道府県、市町村予備時効並びに保険医療機関等その他の関係者は、電子資格確認の仕組みの導入その他手続における情報通信の技術の利用の推進により、医療保険各法等(高齢者医療確保法に規定する医療保険各法及び高齢者医療確保法をいう)の規定により行われる事務が円滑に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するものとする。
■ 審査委員会もしくは審査会の委員もしくは連合会の役員もしくは職員又はこれらの職にあった者が、正当な理由なしに、職務上知得した秘密を漏らしたときは、1年以上の懲役又は100万円以下の罰金に処する。(国民健康保険法120条の2、121条)
■ 被保険者記号・番号等の利用制限等に係るかんこ勧告に従うべきとする命令に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下のば罰金に処する(国民健康保険法121条の2)
■ 政党なり湯がなくて被保険者記号・番号等の利用制限等に係る報告及び検査の規定による報告をせず、もしくは虚偽の報告をし、又はその規定による当該職員の質問に対して、正当な理由がなくて答弁をせず、もしくは虚偽の答弁をし、もしくは正当な理由がなくてその規定による検査を拒み、妨げ、もしくは忌避した者は、30万円以下の罰金に処する(国民健康保険法122条の2)
■ 内
以上
[社一] 社会保険一般常識・重要箇所・Chapter2
高齢者医療確保法
■ この法律は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成及び保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに、高齢者の医療について、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け、もって国民保健の向上及び高齢者の福祉の増進を図ることを目的とする。(高齢者医療確保法1条)
■ 国民は、自助と連帯の精神に基づき、自ら加齢に伴って生じる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、高齢者の医療に要する費用を公平に負担するものとする。(高齢者医療確保法2条)
■ 高齢者に対する医療は、75歳以上の後期高齢者については後期高齢者医療制度に加入し、65歳から74歳までの前期高齢者については、国保や健保等の医療保険制度に加入する。なお、前期高齢者に係る医療費負担の不均衡を是正するため、保険者間での新たな財政調整の仕組みが創設された。
■ 地方公共団体は、この法律の趣旨を尊重し、住民の高齢期における医療に要する費用の適正化を図るための取組及び高齢者医療制度の運営が適切かつ円滑に行われるよう所要の施策を実施しなければならない。(高齢者医療確保法4条)
■ 保険者は、加入者の高齢期における健康の保持のために必要な事業を積極的に推進するよう努めるとともに、高齢者医療制度の運営が健全かつ円滑に実施されるよう協力しなければならない。(高齢者医療確保法5条)
■ 高齢者医療確保法において「医療保険各法」とは、次に掲げる法律をいう。(高齢者医療確保法7条)
・ 健康保険法
・ 船員保険法
・ 国民健康保険法
・ 国家公務員共済組合法
・ 地方公務員等共済組合法
・ 私立学校教職員共済法
■ 高齢者医療確保法において「保険者」とは、医療保険各法の規定により医療に関する給付を行う。
・ 全国健康保険協会
・ 健康保険組合
・ 都道府県及び市町村(特別区を含む)
・ 国民健康保険組合
・ 共済組合
・ 日本私立学校復興・共済事業団
■ 保険者とは、前期高齢者納付金等・後期高齢者支援金等の納付義務を負う主体、または、健康診査、特定保健指導の実施主体のことであり、高齢者医療制度の運営管理者のことではない。
■ 高齢者医療確保法において「被用者保険等保険者」とは、保険者(健康保険法123条1項の規定による保険者(日雇特例被保険者の保険者)としての全国健康保険協会、都道府県及び市町村並びに国民健康保険組合を除く)又は健康保険法3条1項8号の規定による承認を受けて同法の被保険者とならない者を組合員とする国民健康保険組合であって厚生労働大臣が定めるものをいう。
■ 平成29年度からの後期高齢者支援金の全面総報酬割の実施に伴い、定義に追加された。
■ 全面総報酬割の実施とは、被用者保険等保険者に係る後期高齢者支援金の額の算定について、その額のすべてを被用者保険等保険者の標準報酬総額に応じたものとする。
■ 高齢者医療確保法において「加入者」とは、次に掲げる者をいう。
・ 健康保険法の規定による被保険者。ただし、日雇特例被保険者を除く
・ 船員保険法の規定による被保険者。
・ 国民健康保険法の規定による被保険者
・ 国家公務員共済組合法及び地方公務員等共済組合法に基づく共済組合の組合員
・ 私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員教職員共済制度の加入者
・ 健康保険法、船員保険法、国家公務員共済組合法又は地方公務員等共済組合法の規定による被扶養者。ただし、日雇特例被保険者の被扶養者を除く。
・ 日雇特例被保険者手帳の交付を受け、その手帳に健康保険印紙を貼るべき余白がなくなるに至るまでの間にある者及びその者の被扶養者。ただし、厚生労働大臣の承認を受けて日雇特例被保険者とならない期間内にある者及び日雇特例被保険者手帳を返納した者並びにそのものの扶養者を除く。
■ 厚生労働大臣は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図る観点から、医療に要する費用の適正化(医療費適正化)を総合的かつ計画的に推進するため、医療費適正化に関する施策についての基本的な方針(医療費適正化基本方針)を定めるとともに、6年ごとに、6年を一期として、医療費適正化を推進するための計画(全国医療費適正化計画)を定めるものとする。(高齢者医療確保法8条1項)
■ 医療費適正化基本方針は、医療法に規定する基本方針、介護保険法に規定する基本方針及び健康増進法に規定する基本方針と調和が保たれたものでなければならない。
■ 厚生労働大臣は、医療費適正化基本方針及び全国医療費適正化計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、予め、関係行政機関の長に協議するものとする。
■ 厚生労働大臣は、医療費適正化基本方針及び全国医療費適正化計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
■ 厚生労働大臣は、全国医療費適正化計画の作成及び全国医療費適正化計画に基づく施策の実施に関して必要があると認めるときは、保険者、後期高齢者医療広域連合、医療機関その他の関係者に対して必要な協力を求めることができる。(高齢者医療確保法8条3項・6項から8項)
■ 都道府県は、医療費適正化基本方針に即して、6年ごとに、6年を一期として、当該都道府県における医療費適正化を推進するための計画(都道府県医療費適正化計画)を定めるものとする。(高齢者医療確保法9条1項)
■ 都道府県医療費適正化計画においては、当該都道府県の医療計画に基づく事業の実施による病床の機能の分化及び連携の推進の成果並びに住民の健康の保持の推進及び医療の効率的な提供の推進により達成が見込まれる医療費適正化の効果を踏まえて、厚生労働省令で定めるところにより算定した計画の期間における医療に要する費用の見込み(都道府県の医療に要する費用の目標)に関する時効を定めるものとする。
■ 都道府県医療費適正化計画は、医療計画、介護保険法に規定する都道府県事業支援計画及び健康増進法に規定する都道府県健康増進計画と調和が保たれなければならない。
■ 都道府県は、都道府県医療費適正化計画を定め、ま又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係市町村(保険者協議会が組織されているt にっては、関係市町村及び保険者協議会)に協議しなければならない。
■ 都道府県は、都道府県医療費適正化計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するように努めるとともに、厚生労働大臣に提出するものとする。
■ 都道府県は、都道府県医療費適正化計画の作成及び都道府県医療費適正化計画に基づく施策の実施に関して必要があると認めるときは、保険者、後期高齢者医療広域連合、医療機関その他の関係者に対して必要な協力を求めることができる。
■ 保険者協議会が組織されている都道府県が、この規定により当該保険者協議会を組織する保険者又は後期高齢者医療広域連合に対して必要な協力を求める場合においては、当該保険者協議会を通じて協力を求めることができる。(高齢者医療確保法9条2項・6項から10項)
■ 厚生労働大臣は、都道府県に対し、都道府県医療費適正化計画の作成の手法その他都道府県医療費適正化計画の作成上重要な技術的事項について必要な助言をすることができる。(高齢者医療確保法10条)
■ 都道府県は、厚生労働省令で定めるところにより、年度(毎年4月1日から翌年3月31日まで)(以下の規定による結果の公表及び高齢者医療確保法12条1項の評価を行なった年度を除く)ごとに、都道府県医療費適正化計画の進捗状況を公表するよう努めるものとする。
■ 都道府県は、次期の都道府県医療費適正化計画の作成に資するため、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県医療費適正化計画の期間(計画期間)の終了の日の属する年度において、当該計画期間における当該都道府県医療費適正化計画の進捗状況に関する調査及び分析の結果を公表するように努めるものとする。
■ 都道府県は、医療費適正化基本方針の作成に資するため、上記の調査及び分析を行なったときは、厚生労働省令で定めるところにより、その結果を厚生労働大臣に報告するよう努めるものとする。
■ 都道府県は、計画期間において、当該都道府県における医療に要する費用が都道府県の医療に要する費用の目標を著しく上回ると認める場合には、その要因を分析するとともに、当該都道府県における医療提供体制(医療法30条の3第1項に規定する医療提供体制)の確保に向けて、保険者、後期高齢者医療広域連合、医療機関その他の関係者と協力して必要な対策を講ずるよう努めるものとする。
■ 都道府県は、計画期間において、高齢者医療確保法9条3項1号及び2号の目標を達成dできないと認める場合には、その要因を分析するとともに、同項1号及び2号の目標の達成のため、保険者、後期厚生者医療広域連合、医療機関その他の関係者と協力して必要な対策を講ずるよう努めるものとする。
■ 厚生労働大臣は、厚生労働省令で定めるところにより、年度(以下の規定による結果の公表及び高齢者確保法12条3項の評価を行なった年度を除く)ごとに、全国医療費適正化計画の進捗状況を公表するものとする。(高齢者医療確保法11条)
■ 都道府県は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県医療費適正化計画の期間の終了の日の属する年度の翌年度において、当該計画の目標の達成状況及び施策の実施状況の調査及び分析を行い、当該計画の実績に関する評価を行うものとする。
■ 都道府県は、上記の評価を行なったときは、厚生労働省令の定めるところにより、その結果を公表するよう努めるとともに、厚生労働大臣に報告するものとする。(高齢者医療確保法12条)
■ 匿名医療保険等関連情報について、健康保険法の匿名診療等関連情報と同様に、「照会等の禁止」、「消去」、「安全管理措置」、「利用者の義務」、「立入検査等」、「是正命令」の規定が設けられている(高齢者医療確保法16条の3から16条の8)
■ 厚生労働大臣は、特定健康診査(糖尿病その他の政令で定める生活習慣病に関する健康診査をいう)及び特定保健指導(特定健康診査の結果により健康の保持に努める必要がある者と厚生労働省令で定めるものに対し、健康指導に関する専門的知識及び技術を有する者として厚生労働省令で定めるものが行う保健指導)の適切かつ有効な実施を図るための基本的な指針(特定健康診査等基本方針)を定めるものとする。(高齢者医療確保法18条)
■ 保険者(国民健康保険法の定めるところにより都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険(国民健康保険)にあっては、市町村)は、特定健康診査等基本方針に即して、6年ごとに、6年を一期として、特定健康診査等の実施に関する計画(特定健康診査等実施計画)を定めるものとする。(高齢者医療確保法19条)
■ 保険者は、特定健康診査等実施計画に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、40歳以上の加入者に対し、特定健康診査を行うものとする。(高齢者医療確保法20条)
■ 毎年度4月1日において、40歳以上75歳以下(75歳未満のものに限り、妊産婦その他の厚生労働大臣が定めるものを除く)の加入者に対し実施する。
■ 保険者は、加入者が、労働安全衛生法その他の法令に基づき行われる特定健康診査に相当する健康診断を受けた場合又は受けることができる場合は、厚生労働省令で定めるところにより、特定健康診査の全部又は一部を行うものとする。(高齢者医療確保法21条1項)
■ 保険者は、特定健康診査等(特定健康診査及び特定保健指導)の適切かつ有効な実施を図るため、加入者の資格を取得したもの(国民健康保険にあっては、同一の都道府県内の他の市町村の区域内から住所を変更した被保険者を含む)があるときは、当該加入者が加入していた他の保険者に対し、当該他の保険者が保存している当該加入者に係る特定健康診査又は特定健康指導に関する記録の写しを提供するよう求めることができる。
■ 保険者は、特定健康診査等の適切かつ有効な実施を図るため、加入者の資格を取得したものが後期高齢者医療広域連合の被保険者の資格をゆうしていたことがあるときは、当該後期高齢者医療広域連合に対し、当該後期高齢者医療広域連合が保存している当該加入者に係る健康診査又は保健指導に関する記録の写しを提供するよう求めることができる。
■ 保険者は、特定健康診査等の適切かつ有効な実施を図るため、加入者を使用している事業者等(厚生労働省令で定める者を含む)又は使用していた事業者等に対し、厚生労働省令で定めるところにより、労働安全衛生法その他の法令に基づき当該事業者等が保存している当該加入者に係る健康診断に関する記録の写しその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定めるものを提供するよう求めることができる。
■ 上記の規定により、特定健康診査もしくは特定保健指導に関する記録、健康診査もしくは保健指導に関する記録又は労働安全衛生法その他の法令に基づき保存している健康診断に関する記録の写しの提供を求められた他の保険者、後期高齢者医療広域連合又は事業者等は、厚生労働省令の定めるところにより、当該記録の写しを提供しなければならない。(高齢者医療確保法27条)
■ 社会保険診療報酬支払基金(支払基金)は、各保険者(国民健康保険にあっては、都道府県)に係る加入者の数に占める前期高齢者である加入者(65歳に達する日の属する月の翌月(その日が月の初日であるときは、その日の属する月)以後であって、75歳に達する日の属する月以前である者その他厚生労働省令で定める者をいう)の数の割合に係る負担の不均衡を調整するため、政令で定めるところにより、保険者に対して、前期高齢者交付金を交付する。
■ 前期高齢者交付金は、保険者から支払基金が徴収する前期高齢者納付金をもって充てる。(高齢者医療確保法32条)
■ 支払基金は、保険者に対し前期高齢者交付金を交付する業務及びこれに付帯する業務及び当該業務に関する事務の処理に要する費用に充てるため、年度ごとに、保険者から前期高齢者納付金及び前期高齢者関係事務費拠出金(前期高齢者納付金等)を徴収する。
■ 保険者は、前期高齢者納付金等を納付する義務を負う。(高齢者医療確保法36条)
■ 支払基金は、保険者が、納付すべき期限までに前期高齢者納付金等を納付しないときは、期限を指定してこれを督促しなければならない。
■ 支払基金は、上記の規定により督促をするときは、当該保険者に対し、督促状を発する。この場合において、督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければならない。(高齢者医療確保法44条)
■ 延滞金の年14.5%の割合は、当分の間、こうれいしゃいりょうか高齢者医療確保法45条1項の規定にかかわらず、各年の延滞税特例基準割合(租税特別措置法に規定する延滞税特例基準割合)が年7.2%の割合に満たない場合には、その年中においては、当該延滞税特別基準割合に年7.3%の割合を加算した割合とする。
■ 後期高齢者医療は、高齢者の疾病、負傷又は死亡に関して必要な給付を行うものとする。(高齢者医療確保法47条)
■ 給付事由に、出産は含まれていない。
■ 市町村は、後期高齢者医療の事務(保険料の徴収の事務及び被保険者の便益の増進に寄与するものとして政令で定める事務を除く)を処理するため、都道府県の区域ごとに当該区域内のすべての市町村が加入する広域連合(後期高齢者医療広域連合)を設けるものとする。(高齢者医療確保法48条)
■ 後期高齢者医療制度の実施主体は、保険者でも地方公共団体(市町村・都道府県)でもなく、「後期高齢者医療広域連合」である。ただし、当該制度の事務のうち、保険料の徴収事務、資格取得事務、喪失の届出受理等の事務については、市町村が行う。
■ 次のいずれかに該当する者は、後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者とする。
・ 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の者
・ 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する65歳以上75歳未満のものであって、厚生労働省令で定めるところにより、政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該後期高齢者医療広域連合の認定を受けたもの
■ 次のいずれかに該当する者は、後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者としない。
・ 生活保護法による保護を受けている世帯(その保護を停止されている者を除く)に属する者
・ 上記の他、後期高齢者医療の適用除外とすべき特別の理由がある者で厚生労働省令で定めるもの
■ 高齢者医療確保法においては、年齢計算に関する法律が適用されないため、「75歳に達したとき」とは、75歳の誕生日当日をいう。(高齢者医療確保法51条)
■ 資格喪失の時期(高齢者医療確保法53条)
・ 後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者が、当該後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有しなくなったときは、「その日の翌日」に喪失する。
・ 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する65歳以上75歳未満の者が政令で定める程度の障害の状態に該当しなくなったときは、「その日の翌日」に資格を喪失する。
・ 後期高齢者医療の適用除外とすべき特別の理由がある者で厚生労働省令で定める者に該当するに至ったものは、「その日の翌日」に資格を喪失する。
・ 生活保護法による保護を受けている世帯(その保護が停止されている世帯を除く)に属する者に該当するに至ったときは、「その日」に資格を喪失する。
・ 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有しなくなった日に他の後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有するに至ったときは、「その日」に資格を喪失する。
■ 被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項その他必要な事項を後期高齢者医療広域連合に届け出なければならない。
■ 被保険者の属する世帯の世帯主は、その世帯に属する被保険者に変わって当該被保険者に係る届け出をすることができる。
■ 被保険者は、後期高齢者医療広域連合に対し、当該被保険者に係る被保険者証の交付を求めることができる。
■ 後期高齢者医療広域連合は、保険料を滞納している被保険者が、当該保険料の納期限から厚生労働省令で定める期間(1年間)が経過するまでの間に、当該保険料を納付しない場合においては、当該保険料の滞納につき災害その他の政令で定める特別音あると認められる場合を除き、厚生労働省令で定めるところにより、当該被保険者に対し保険者証の返還を求めるものとする。
■ 後期高齢者医療広域連合は、上記の厚生労働省令で定める期間(1年)を経過しない場合であっても、被保険者に対し被保険者証の返還を求めることができる。ただし、政令で定める特別の事情があると認められるときは、この限りでない。
■ 被保険者証の返還を求められた被保険者は、後期高齢者医療広域連合に当該被保険者証を返還しなければならない。
■ 保険者が被保険者証を返還したときは、後期高齢者医療広域連合は、当該被保険者に対し、被保険者資格証明書を交付する。
■ 被保険者は、その資格を喪失したときは、厚生労働省令で定めるところにより、速やかに、後期高齢者医療広域連合に被保険者証を返還しなければならない。(高齢者医療確保法54条)
■ 届出期限
14日以内
・ 資格取得の届出
・ 病院等の入院、入所又は入居中の者(住所地特例)に関する届出
・ 被保険者の氏名変更の届出
・ 住所変更の届出
・ 世帯変更の届出
・ 資格喪失の届出
・ 速やかに
・ 被保険者資格証明書の返還
・ 被保険者証の再交付及び返還
・ 障害状態不該当の届出
■ 病院、診療所又は介護保険施設等に入院、入所又は入居(入院等)をしたことにより、当該病院、診療所又は介護保険施設等(病院等)に所在する場合に住所を変更したと認められる被保険者(従前住所地後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者とされたものを除く)であって、当該病院等に入院等をした際他の後期高齢者医療広域連合(当該病院等が所在する後期高齢者医療広域連合以外の後期高齢者医療広域連合をいう)の区域内に住所を有していたと認められるものは、当該他の後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者とする。
■ ただし、2以上の病院等に継続して入院等をしている被保険者であって、現に入院等をしている病院等(現入院病院等)に入院等をする直前に入院等をしていた病院等(直前入院病院等)及び現入院病院等のそれぞれに入院等をしていたことにより直前入院病院等及び現入院病院等のそれぞれの所在する場所に順次住所を変更したと認められるもの(特定継続入院等被保険者)については、この限りでない。(高齢者医療確保法55条)
■ 国民健康保険法116条の2の規定の適用を受ける国民健康保険の被保険者であって、住所を有するものとみなされた市町村(従前住所地市町村)の加入する後期高齢者医療広域連合以外の後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する者が、後期高齢者医療の被保険者となる場合(75歳に達したとき等)には、上記の規定にかかわらず、従前住所地市町村の加入する後期高齢者医療広域連合(従前住所地後期高齢者医療広域連合)が行う後期高齢者医療の被保険者となる。(高齢者医療確保法55条の2)
■ 被保険者に係るこの法律による給付(後期高齢者医療給付)は、次のとおりとする。(高齢者医療確保法56条)
・ 療養の給付
・ 入院時食事療養費
・ 入院時生活療養費
・ 保険外併用療養費
・ 療養費
・ 訪問看護療養費
・ 特別療養費
・ 移送費
・ 高額療養費
・ 高額介護合算療養費
・ 上記に掲げるもののほか、後期高齢者医療広域連合の条例で定めるところにより行う給付
■ 後期高齢者医療後期連合は、被保険者の死亡に関しては、条例で定めるところにより、葬祭費の支給又は葬祭の給付を行うものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる。
■ 後期高齢者医療広域連合は、上記の給付のほか、後期高齢者医療広域連合の条例で定めるところにより、傷病手当金の支給その他の後期高齢者医療給付を行うことができる。(高齢者医療確保法86条)
■ 後期高齢者医療の給付の種類は、いわゆる法定任意給付・任意給付に出産に関する給付が含まれていない点を除いては、国民健康保険法と同様である。
■ 国民健康保険法と同様に、特別療養費が設けられている。
■ 偽りその他不正の行為によって後期高齢者医療給付を受けた者があるときは、後期高齢者医療広域連合は、そのものからその後期高齢者医療給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。(高齢者医療確保法59条)
■ 療養の給付の範囲は、健康保険法及び国民健康保険法の療養の給付の範囲と同じである。(高齢者医療確保法64条1項)
■ また、健康保険法と同様に、被保険者が療養の給付等を受けようとするときは、自己の選定する保険医療機関等から、電子資格確認その他厚生労働省令で定める方法(電子資格確認等)により、被保険者であることの確認を受け、療養の給付等を受けるものとされている(ただし、厚生労働省令で定める場合に該当するときは、当該確認を受けることを要しない)
■ 高齢者医療確保法においても、健康保険法と同様に、令和2年10月1日施行の改正により、電子資格確認(オンライン資格確認)の仕組みが導入されることとなった。その内容は、健康保険法と同様(これまでのと同様の被保険者証等の提出による方法も、「その他厚生労働省令で定める方法」として認められる。)
■ また、健康保険法の「被保険者等記号・番号の利用制限等と同様の「被保険者記号・番号等の利用制限等」の規定も設けられた。
■ 保険医療機関等について療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、次の区分に応じた一部負担金を当該保険医療機関等に支払わなければならない。(高齢者医療確保法67条)
・ 一般(以下以外) 100分の10
・ 現役並みの所得者 100分の30
■ 現役並みの所得者とは、療養の給付を受ける年の前年の課税所得が145万円以上の者。
■ ただし、以下に該当する者が申請した場合には、一部負担金の割合は100分の10となる。
・ 当該療養の給付を受ける者及びその属する世帯の他の世帯員である被保険者の収入の額が520万円(当該世帯に他に被保険者がいない者は383万円)未満の場合
・ 当該療養の給付を受ける者(当該世帯に他に被保険者がいない者であって70歳以上75歳未満の加入者がいるものに限る)及びその属する世帯の70歳以上75歳未満の加入者の収入の額が520万円未満の場合
■ 保険医療機関等は療養の給付に関し、保険医等は後期高齢者医療の診療又は調剤に関し、厚生労働大臣又は都道府県知事の指導を受けなければならない。(高齢者医療確保法66条)
■ 療養の給付の取扱い及び担当に関する基準並びに療養の給付に要する費用の額の算定に関する基準については、厚生労働大臣が中央社会保険医療協議会の意見を聴いて定めるものとする。(高齢者医療確保法71条)
■ 入院時食事療養費は、長期入院被保険者を除く被保険者が対象。被保険者資格証明書の交付を受けている間は対象外(高齢者医療確保法74条)
■ 食事療養標準負担金 (1食につき)
・ 現役並み所得者及び一般の所得者(以下のいずれにも該当しない者)→460円
・ 市町村民税非課税者等
・ 減額申請を行なった月以前の12月以内の入院日数が90日以内→210円
・ 減額申請を行なった月以前の12月以内の入院日数が90日超→160円
・ 市町村民税非課税者等で世帯の所得が一定基準に満たない者等→100円
・ 一日の標準負担額は、3食に相当する額を限度とする。
・ 入院日数を算定する期間中に加入する制度からの変更があった場合、制度変更前後の入院日数を合算する。
■ 入院時生活療養費は、長期入院被保険者が対象。被保険者資格証明書の交付を受けているものは対象外。(高齢者医療確保法75条)
■ 生活療養標準負担額(入院医療の必要性の高い者以外の者)
・ 現役並み所得者及び一般の所得者
・ 食費→1食につき460円
・ 管理栄養士又は栄養士により栄養管理が行われている等の一定の要件を満たす保険医療機関の場合。それ以外の場合は、420円となる。
・ 居住費→1日につき370円
・ 市町村民税非課税世帯に属する者(以下に該当しない者)
・ 食費→いっしょくに1食につき210円
・ 居住費→1日につき370円
・ イのうち、年金収入80万円以下などの者
・ 食費→1食につき130円
・ 居住費→1日につき370円
・ イのうち、老齢福祉年金受給者
・ 食費→1食につき100円
・ 居住費→1日につき0円
■ 入院医療の必要性の高い患者の生活療養標準負担額は、入院時食事療養費に係る食事療養標準負担額と同額である。
■ 高額療養算定基準額(自己負担限度額)(高齢者医療確保法84条)
・ 現役並み所得者(世帯単位(外来+入院)のみ:課税所得が145万円以上であっても、収入が520万円(高齢者単身世帯にあっては383万円)に満たないときは、一般となる。)
・ 課税所得690万円以上
・ 252,000円+(医療費−842,000円)×1%
・ 多数回該当 140,100円
・ 課税所得380万円以上690万円以下
・ 167,400円+(医療費−558,000円)×1%
・ 多数回該当 93,000円
・ 課税所得145万円以上380万円以下
・ 80,100円+(医療費−267,000円)×1%
・ 多数回該当 44,400円
・ 一般所得者(課税所得145万円未満)
・ 個人外来 18,000円
・ 世帯単位(外来+入院) 57,600円
・ 多数回該当 44,400円
・ 低所得者Ⅱ
・ 市町村民税非課税世帯に属する者
・ 個人外来 8000円
・ 世帯単位(外来+入院) 24,600円
・ 低所得者Ⅰ
・ 市町村民税非課税世帯に属するもので、年金収入が80万円以下等
・ 個人外来 8000円
・ 世帯単位(外来+入院) 15,000円
■ 高額介護合算療養費算定基準額(自己負担限度額)
・ 現役並み所得者
・ 課税所得 690万円以上 212万円
・ 課税所得 380万円以上690万円未満 141万円
・ 課税所得 145万円以上380万円未満 67万円
・ 一般所得者 課税所得 145万円未満 56万円
・ 低所得者Ⅱ 31万円
・ 低所得者Ⅰ 19万円
■ 国は、政令で定めるところにより、後期高齢者医療広域連合に対し、被保険者に係る療養の給付に要する費用の額から当該給付に係る一部負担金に相当する額を控除した額並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費、移送費、高額療養費及び高額介護合算療養費の支給に要する費用の額の合計額(療養の給付等に要する費用の額)から現役並み所得者に該当する者に係る療養の給付等に要する費用の額(特定費用の額)を控除した額(負担対象額)の12分の3に相当する額を負担する。
■ 国は、後期高齢者医療の財政を調整するため、政令で定めるところにより、後期高齢者医療広域連合に対して調整交付金を交付する。
■ 調整交付金の総額は、負担対象額の見込額の総額の12分の1に相当する額とする。(高齢者医療確保法93条1項・95条)
■ 現役並み所得者(一定以上所得者)に係る療養の給付等に要する費用(特定費用)については、公費負担は行われないため、後期高齢者支援金及び保険料によって賄われる。
■ 都道府県は、政令で定めるところにより、後期高齢者医療広域連合に対し、負担対象額の12分の1に相当する額を負担する。(高齢者医療確保法96条1項)
■ 市町村は、政令で定めるところにより、後期高齢者医療広域連合に対し、その一般会計において、負担対象額の12分の1に相当する額を負担する。(高齢者医療確保法98条1項)
■ 後期高齢者医療広域連合の後期高齢者医療に関する特別会計において負担する費用のうち、負担対象額に1から後期高齢者負担率及び100分の50を控除して得た率を乗じて得た額ならびに並びに特定費用の額に1から後期高齢者負担率を控除して得た率を乗じて得た額の合計額(保険納付対象額)については、政令で定めるところにより、社会保険診療報酬支払基金が後期高齢者医療広域連合に対して交付する後期高齢者交付金をもって充てる。
■ 平成20年度及び平成21年度における前項の後期高齢者負担率は、100分の10とする。
■ 平成22年度以降の年度における第1項の後期高齢者負担率は、100分の10に、アに掲げる率にイに掲げる率を乗じて得た率の2分の1に相当する率を加えて得た率を基礎として、2年ごとに政令で定める。
・ 平成20年度における保険納付対象額を同年度における療養のに要する費用の額で除して得た率
・ 平成20年度におけるすべての保険者に係る加入者の総数から当該年度におけるすべての保険者に係る加入者の見込総数を控除して得た数(その数が零を下回る場合は、零とする)を、平成20年度におけるすべての保険者における加入者の総数で除して得た率
■ 後期高齢者交付金は、社会保険診療報酬支払基金が徴収する後期高齢者支援金をもって充てる。(後期高齢者確保法100条1項・4項)
■ 令和4年度及び令和5年度の後期高齢者負担率は、「100分の11.72」とされている。
■ 一般後期高齢者の場合、以下の負担割合となる。
・ 窓口負担(一部負担金)1割(100分の10)
・ 公費(100分の50)(国:都道府県:市町村=4:1:1)
・ 保険料(後期高齢者負担率(R4/R5): 100分の11.72)
・ 後期高齢者交付金(負担対象額×(1-11.72/100(保険料)-50/100(公費)= 38.28/100)
■ 現役並み所得者の場合は、以下の負担割合となる。
・ 窓口負担(一部負担金)3割(100分の30)
・ 公費 0割
・ 保険料(後期高齢者負担率(R4/R5)100分の11.72)
・ 後期高齢者交付金(特定費用の額×(1-11.72/100(保険料))= 88.28/100)
■ 公費負担の割合
・ 負担対象額
・ 国 4/12
・ 都道府県 1/12
・ 市町村 1/12
・ 保険料 11.72/100
・ 後期高齢者交付金 38.28/100
・ 特定費用の額
・ 国 0割
・ 都道府県 0割
・ 市町村 0割
・ 保険料 11.72/100
・ 後期高齢者交付金 88.28/100
・ 特定費用の額とは、一部負担金が3割になる者(現役並み所得者)に係る医療費
・ 交付金は、社会保険診療報酬支払基金が保険者から徴収する拠出金をもって充てる。
■ 市町村は、後期高齢者医療に要する費用(財政安定化基金拠出金又は特別高額医療費共同事業に要する費用に充てるための拠出金の納付に要する費用を含む)に充てるため、保険料を徴収しなければならない。
■ 保険料は、後期高齢者医療広域連合が被保険者に対し、後期高齢者医療広域連合の全区域にわたって均一の保険料率であることその他の政令で定める基準に従い後期高齢者医療広域連合の条例で定めるところにより算定された保険料率によって算定された保険料額によって課する。ただし、当該後期高齢者医療広域連合の区域のうち、離島その他の医療の確保が著しく困難である地域であって厚生労働大臣が定める基準に従い別に後期高齢者の条例で定めるところにより算定された保険料率によって算定された保険料額によって課することができる。
■ 保険料率は、療養の給付等に要する費用の額の予想額、財政安定化基金拠出金及び特別高額医療費共同事業に要する費用に充てるための拠出金の納付に要する費用の予想額、都道府県からの借入金の償還に要する費用の予定額、保健事業に要する費用の予定額、被保険者の所得の分布状況及びその見通し、国庫負担並びに100条1項の後期高齢者交付金等の額等に照らし、おおむね2年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならない。(高齢者医療確保法104条)
■ 後期高齢者医療の保険料について、政令で賦課額の上限(66万円)が定められている。
■ 保険料の徴収の方法(高齢者医療確保法107条)
・ 特別徴収
・ 市町村が老齢等年金給付を受ける被保険者(政令で定めるものを除く)から 老齢等年金給付の支払をする者(年金保険者)に保険料を徴収させ、かつ、その徴収すべき保険料を納入させる方法
・ 普通徴収
・ 特別徴収によることができない場合には、市町村が、保険料を課せられた被保険者又は当該被保険者の属する世帯の世帯主もしくは当該被保険者の配偶者に対し、納入の通知をすることによって保険料を徴収する方法
■ 以下のものは、特別徴収を行わず、普通徴収によることとなる。
・ 年金の年額が18万円未満の者
・ 介護保険の保険料と後期高齢者医療の保険料を併せた額が年金額の2分の1 超える場合
・ 当該市町村から特別徴収の方法によって介護保険の保険料が徴収されない者
・ 口座振替の方法により保険料を納付する旨を申し出た被保険者であって、特別徴収の方法によって徴収するよりも普通徴収の方法によって徴収することが保険料の徴収を円滑に行うことができると市町村が認めた者(国保の保険料を確実に納付していた者(本人)が口座振替によりのうふす納付する場合、連帯納付義務者(世帯主又は配偶者)がいる者(年金収入が180万円未満の者)でその口座振替により納付する場合
■ 被保険者は、市町村がそのものの保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合においては、当該保険料を納付しなければならない。
■ 世帯主は、市町村が当該世帯に属する被保険者の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合において、当該保険料を連帯して納付する義務を負う。
■ 配偶者の一方は、市町村が被保険者たる他方の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合において、当該保険料を連帯して納付する義務を負う。(高齢者医療確保法108条)
■ 普通徴収の方法によって徴収する保険料の納期は、市町村の条例で定める。(高齢者医療確保法109条)
■ 都道府県は、当分の間、高齢者医療確保法116条1項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、後期高齢者医療広域連合に対して保険料率の率の増加のよ抑制を図るための交付金を交付する事業に必要な費用に、財政安定化基金を充てることができる。(高齢者医療確保法附則14条の2)
■ 社会保険診療報酬支払基金は、年度ごとに、保険者(国民健康保険にあっては、都道府県)から後期高齢者支援金等を徴収し、後期高齢者医療広域連合に対し後期高齢者交付金を交付する義務及びこれに付帯する事業に要する費用に充てるため、年度ごとに、保険者から、後期高齢者支援金及び後期高齢者関係事務費拠出金(後期高齢者支援金等)を徴収する。(高齢者医療確保法118条)
■ 後期高齢者医療給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に関する処分を含む)又は保険料その他の徴収金(市町村及び後期高齢者医療広域連合が徴収するものに限る)に関する処分に不服があるものは、後期高齢者医療審査会に審査請求をすることができる。
■ 後期高齢者医療審査会は、各都道府県に置かれている。(高齢者医療確保法128条・129条)
■ なお、高齢者医療確保法に基づいてした社会保険診療報酬支払基金の処分に不服がある者は、厚生労働大臣に対し、行政不服審査法による審査請求をすることができる。
■ 保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び後期高齢者医療給付を受ける権利は、これを行使することができるときから2年を経過したときは、時効によって消滅する。(高齢者医療確保法160条)
■ 健康保険法と同様に、匿名医療保険等関連情報の利用者の義務違反等について、次のような罰則が設けられている(高齢者医療確保法167条の2)
・ 次のいずれかに該当するものは、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
・ 匿名医療保険等関連情報の利用に関して知り得た匿名医療保険等関連情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用したもの
・ 匿名医療保険等関連情報に係る是正命令の規定による命令に違反した者
・ 匿名医療保険等関連情報に係る立入検査等の規定に違反したときは、50万円以下の罰金に処する。
■ 健康保険法と同様に、被保険者記号・番号等の利用制限等について、次のような罰則が設けられている。
・ 被保険者記号・番号等の利用制限等に係る勧告に従うべきとする命令に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(高齢者医療確保法167条の3)
・ 正当な理由がなくて被保険者記号・番号等の利用制限等に係る報告及び検査の規定による報告をせず、もしくは虚偽の報告をし、又はその規定による当該職員の質問に対し、正当な理由がなくて答弁をせず、もしくは虚偽の答弁をし、もしくは正当な理由がなくてその規定による検査を拒み、妨げ、もしくは忌避した者は、30万円以下の罰金に処する(高齢者医療確保法169条)
[社一] 社会保険一般常識・重要箇所・Chapter3
介護保険法
■ 介護保険法は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保険医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。(介護保険法1条)
■ 介護保険は、被保険者の要介護状態又は要支援状態(要介護状態等)に関し、必要な保険給付を行うものとする。
■ 上記の保険給付は、要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資するよう行われるとともに、医療との連携に十分に配慮して行われなければならない。
■ 上記の保険給付は、被保険者の心身の状況、そのおかれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。
■ 上記の保険給付の内容及び水準は、被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。(介護保険法2条)
■ 介護保険の保険者は、市町村及び特別区である。(介護保険法3条)
■ 国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。(介護保険法4条)
■ 国は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう保健医療サービス及び福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策その他の必要な各般の措置を講じなければならない。
■ 都道府県は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な助言及び適切な援助をしなければならない。(介護保険法5条)
■ 介護保険制度を運営する市町村・特別区は規模が小さいため、事務処理能力も考慮し、国、都道府県、医療保険者が相互に支えあう仕組みとなっている。
■ 介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、国は必要な「措置」を、都道府県は、「必要な助言及び適切な援助」をしなければならない。
■ 要介護者とは、次のいずれかに該当する者をいう。
・ 要介護状態にある65歳以上の者
・ 要介護状態にある40歳以上65歳未満の者であって、その要介護状態の原因である身体上又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるもの(特定疾病)によって生じたものであるもの
■ 要支援者とは、次のいずれかに該当する者をいう。
・ 要支援状態にある65歳以上の者
・ 要支援状態にある40歳以上65歳未満の者であって、その要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が特定疾病によって生じたものであるもの。
■ 特定疾病とは、がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)、間接リウマチ、初老期認知症、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症、脳血管疾患、パーキンソン病などのことである。
■ 訪問看護とは、居宅要介護者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適用していると認めたものに限る)について、その者の居宅において看護師その他厚生労働省令で定める者により行われる療養上の世話又は必要な診療の補助をいう。
■ 予防給付のうち訪問介護・通所介護について、市町村が地域の実情に応じた取組ができる地域支援事業に移行された。
■ 次のいずれかに該当する者は、市町村又は特別区(市町村)が行う介護保険の被保険者となる。(介護保険法9条)
・ 第1号被保険者 市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者
・ 第2号被保険者 市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者
・ 住所地特例対象施設に入所等をすることにより当該施設の所在する場所に住所を変更したと認められる被保険者であって、当該施設に入所等をした際他の市町村(当該施設が所在する市町村以外の市町村)の区域内に住所を有していたと認められる者は、当該他の市町村が行う介護保険の被保険者とする。
・ 当分の間、40歳以上65歳未満の医療保険加入者又は65歳以上の者であって、障害者総合支援法の規定による支給決定を受けて同法に規定する指定障害者支援施設に入所しているもの又は身体障害者福祉法の規定により障害者総合支援法に規定する障害者支援施設(生活介護を行うものに限る)に入所しているもののうち厚生労働省令で定めるものその他特別の理由がある者で厚生労働省令で定めるものは、介護保険の被保険者としない。
・ 住所地特例対象施設とは、以下のものをいう。
・ 介護保険施設
・ 特定施設
・ 老人福祉法に規定する養護老人ホーム(入所措置が取られた者に限る)
・ 住所地特例対象被保険者とは、施設の所在する場所に住所を変更したと認められる被保険者。
■ 次のいずれかに該当するに至ったときは、市町村が行う介護保険の被保険者の資格を喪失する。(介護保険法11条)
・ 市町村が行う介護保険の被保険者は、当該市町村の区域内に住所を有しなくなった日の翌日(当該市町村の区域内に住所を有しなくなった日に他の市町村の区域内に住所を有するに至ったときは、その日)
・ 第2号被保険者は、医療保険加入者でなくなった日
■ 被保険者が行う主な届出等(介護保険法12条)
・ 提出期限・14日以内→市町村
・ 資格取得の届出
・ 住所地特定対象施設に入所中の者に関する届出
・ 氏名変更の届出
・ 住所変更の届出
・ 世帯変更の届出
・ 資格喪失の届出
・ 提出期限・直ちに→市町村
・ 被保険者証の再交付
・ 提出期限・遅滞なく→市町村
・ 被保険者証の検認又は更新
・ 提出期限・速やかに→市町村
・ 資格喪失等の被保険者証の返還
■ 被保険者証は、以下のものに対して市町村が交付しなければならない。
・ 第1号被保険者
・ 第2号被保険者のうち要介護認定又は要支援認定の申請を行ったもの及び被保険者証の交付を求めたもの
■ 住民基本台帳法による転入届、転居届、転出届、世帯変更届に、介護保険の被保険者であることの資格を証する事項を付記したときは、その届出に同一の事由に基づく上記の届出(資格喪失時の被保険者証の返還を除く)があったものとみなされる(介護保険法12条5項)
■ 介護保険施設、特定施設又は養護老人ホーム(住所地特例対象施設)に入所又は入居(入所等)をすることにより当該住所地特例対象施設の所在する場所に住所を変更したと認められる被保険者(養護老人ホームに入所することにより当該施設の所在する場所に住所を変更したと認められる被保険者であっては、入所措置が取られた者に限る。住所地特例対象被保険者)であって、当該住所地特例対象施設に入所等をした際他の市町村(当該住所地特定対象施設が所在する市町村以外の市町村)の区域内に住所を有していたと認められるものは、当該他の市町村が行う介護保険の被保険者とする。
■ ただし、2以上の住所地特例対象施設に継続して入所等をしている住所地特例対象被保険者であって、現に入所等をしている住所地特例対象施設(現入所施設)に入所等をする直前の入所等をしていた住所地特定対象施設(直前入所施設)及び現入所施設のそれぞれに入所等をすることにより直前入所施設及び現入所施設のそれぞれの所在する場所に順次住所を変更したと認められるもの(特定継続入所被保険者)については、この限りでない。
■ 審査判定業務(被保険者が要介護状態及び要支援状態に該当することの審査及び判定等)を行わせるため、市町村に介護認定審査会(認定審査会)を置く。
■ 認定審査会の委員の定数は、政令で定める基準に従い条例で定める数とする。
■ 委員は、要介護者等の保健、医療又は福祉に関する学識経験を有する者のうちから、市町村長(特別区にあっては、区長)が任命する。
■ 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。
■ 認定審査会は、市町村間で共同設置することができる。また、都道府県に設置を委託することもできる。(介護保険法14条・15条)
■ 介護認定審査会の委員の任命は市町村長が行う。
■ 保険給付の種類は以下の通りである(介護保険法18条)
・ 要介護状態 介護給付(要介護認定)
・ 要支援状態 予防給付(要支援認定)
・ 要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資する保険給付として市町村が条例で定めるもの 市町村特別給付
■ 介護給付を受けようとする被保険者は、要介護者に該当すること及びその回答する要介護状態区分について、市町村の認定(要介護認定)を受けなければならない。(介護保険法19条)
■ 介護保険法の保険給付を受けるためには、市町村による要介護認定及び要支援認定を受ける必要がある。
■ 介護保険法の給付を受けるべき者が、同時に他の法令による同様の給付を受けられる場合の制度間の調整について定めている。(介護保険法20条)
■ 偽りその他不正の行為によって保険給付を受けたことがある者は、市町村は、その者から給付の価額の全部または一部を徴収することができる。
■ 市町村は、指定居宅サービス事業者等が、偽りその他不正の行為により居宅介護サービス費等の支払を受けたときは、当該指定居宅サービス事業者等からその支払った額につき返還させるべき額を徴収するほか、その返還させるべき額に100分の40を乗じて得た額を徴収することができる。(介護保険法22条1項・3項)
■ 厚生労働大臣又は都道府県知事は、介護給付等(居宅介護住宅改修費の支給及び介護予防住宅改修費の支給をのぞく)に関して必要があると認めるときは、居宅サービス等を行った者又はこれを使用する者に対し、その行った居宅サービス等に関し、報告若しくは当該居宅サービス等の提供の記録、帳簿書類その他の物件の提示を命じ、又は当該職員に質問させることができる。
■ 厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、介護給付等を受けた被保険者又は被保険者であった者に対し、当該介護給付等に係る居宅サービス等(介護給付等対象サービス)の内容に関し、報告を命じ、又は当該職員に質問させることができる。(介護保険法24条)
■ 要介護認定の申請
・ 要介護認定を受けようとする被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、申請書に被保険者証を添付して市町村に申請をしなければならない。この場合において、当該被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、指定居宅介護支援事業者、地域密着型介護老人福祉施設若しくは介護保険施設であって厚生労働省令で定めるもの又は地域包括支援センターに、当該申請に関する手続きを代わって行わせることができる。
■ 訪問調査
・ 市町村は、上記の申請があったときは、当該職員をして、当該申請に係る被保険者に面接させ、その心身の状況、その置かれている環境その他厚生労働省令で定める事項について調査をさせるものとする。この場合、市町村は、当該被保険者が沿革の地に居所を有するときは、当該調査を他の市町村に嘱託することができる。
■ 医師の意見等
・ 市町村は、上記の申請があったときは、当該被保険者の主治の医師に対し、当該被保険者の身体上又は精神上の障害の原因である疾病又は負傷の状況等につき意見を求めるものとする。ただし、当該被保険者に係る主治の医師がないときその他当該意見を求めることが困難なときは、市町村は、当該被保険者に対して、その指定する医師又は当該職員で医師であるものの診断を受けるべきことを命ずることができる。
■ 審査及び判定
・ 市町村は、上記の調査の結果、主治の医師の意見等を認定審査会に通知し、審査及び判定を求めるものとする。
・ 認定審査会は、審査及び判定を求められたときは、厚生労働大臣が定める基準に従い、当該審査及び判定に係る被保険者について、審査及び判定を行い、その結果を市町村に通知するものとする。
■ 結果の通知
・ 市町村は、通知された認定審査会の審査及び判定の結果に基づき、要介護認定をしたときは、その結果を当該要介護認定に係る被保険者に通知し、被保険者証に必要事項を記載して返付しなければならない。
■ 認定の効力
・ 要介護認定は、その申請のあった日にさかのぼってその効力を生ずる。
■ 認定の処分
・ 要介護認定の申請に対する処分は、当該申請のあった日から30日以内にしなければならない。ただし、当該申請に係る被保険者の心身の状況の調査に日時を要する等特別な理由がある場合には、当該申請があった日から30日以内に、当該被保険者に対し、当該申請に対する処分をするためになお要する期間(処理見込期間)及びその理由を通知し、これを延期することができる。
・ 要介護認定の申請をした日から30日以内に当該申請に対する処分がなされないとき、もしくは上記の通知がないとき、又は処理見込期間が経過した日までに当該申請に対する処分がなされないときは、当該申請に係る被保険者は、市町村が当該申請を却下したものとみなすことができる。
■ 市町村は被保険者が正当な理由なしに調査に応じないとき、又は診断命令にした綿ないときは、申請を却下することができる。(介護保険法27条)
■ 要介護認定を受けた被保険者は、有効期間の満了後においても要介護状態に該当すると見込まれるときは、当該要介護認定の要介護認定有効期間の満了の日の60日前から要介護認定有効期間の満了の日までの間において、市町村に対し、要介護更新認定の申請をすることができる。
■ 要介護更新認定の申請をすることができる被保険者が、災害その他やむを得ない理由により当該申請に係る要介護認定の有効期間の満了前に当該申請をすることができなかったときは、当該被保険者は、その理由のやんだ日から1月以内に限り、要介護更新認定の申請をすることができる。この場合の要介護更新認定は、当該申請に係る妖怪と認定の有効期間の満了日にさかのぼって効力を生ずる。
■ 要介護認定の有効期間(原則6月間)経過後も一定の要件に該当するときは、申請により更新可能とした規定である。なお、市町村は訪問調査を指定居宅介護支援事業者等又は介護支援専門員であって厚生労働省令で定めるものに委託することができる。(介護保険法28条)
■ 要介護認定の有効期間は、ア及びイを合算した期間(なお、要介護認定の効力を生じた日が月の初日である場合にあっては、イの期間とされる)である。
・ 要介護認定が効力を生じた日から当該日が属する月の末日までの期間
6月間(市町村が認定審査会の意見に基づき特に必要があると認めた場合にあっては、3月間から12月間までの範囲内で月を単位として市町村が定める期間(6月間を除く))
■ 要介護更新認定の有効期間は、従前の要介護認定の有効期間の満了日の翌日から12月間(一定の場合は、3月間から36月間(要介護更新認定に係る要介護状態区分が現に受けている要介護認定に係る要介護状態区分と同一である場合にあっては、48月間)までの範囲内で市町村が定める期間(12月間を除く))(介護保険則38条・41条2項)
■ 要介護認定の効力は、申請があった日にさかのぼって発生する。
■ 要介護認定を受けた被保険者は、その介護の必要の程度が現に受けている要介護認定に係る要介護状態区分以外の要介護状態区分に該当すると認めるときは、市町村に対し、要介護状態区分の変更の認定の申請をすることができる。
■ 市町村は、要介護認定を受けた被保険者について、その介護の必要性の程度が低下したことにより当該要介護認定に係る要介護状態区分以外の要介護状態区分に該当するに至ったと認めるときは、要介護状態区分の変更の認定をすることができる。この場合において、市町村は、当該変更の認定に係る被保険者に対しその被保険者証の提出を求め、これに当該変更の認定に係る要介護状態区分及び認定審査会の意見を記載し、これを返付するものとする。(介護保険法29条・30条)
■ 要介護又は要支援更新認定の有効期間は、従前の要介護又は要支援認定の有効期間の満了日の翌日から12月間(一定の場合は3月間から36月間(要介護又は要支援更新認定に係る要介護又は要支援状態区分が現に受けている要介護又は要支援認定に係る要介護又は要支援状態と同一である場合は、48月間)までの範囲内で市町村が定める期間)である。
■ 市町村が行う要介護認定、要支援認定の業務に関し都道府県が行うことができる援助等を定めている(介護保険法38条)
■ 介護給付
・ 居宅介護サービス費
・ 給付
・ 訪問介護
・ 訪問入浴介護
・ 訪問看護
・ 訪問リハビリテーション
・ 居宅療養管理指導
・ 通所介護
・ 通所リハビリテーション
・ 福祉用具貸与
・ 短期入所生活介護
・ 短期入所療養介護
・ 認知症対応型共同生活介護
・ 特定施設入所者生活介護
・ 支給要件
・ 要介護被保険者のうち居宅において介護をうけるもの(居宅要介護被保険者)が指定居宅サービス事業者から指定居宅サービスをうけたとき
・ 支給額
・ 居宅サービスの種類ごとに、当該指定居宅サービスに要する平均的な費用(食事の提供・滞在に要する費用その他の日常生活に要する費用として厚生労働省令で定める費用を除く)の額を勘案して厚生労働祭神が定める基準により算定した費用の額の100分の90に相当する額
・ 特例居宅介護サービス費
・ 支給要件
・ 居宅要介護被保険者が
・ 要介護認定の効力が生じた日前に緊急その他やむを得ない理由により指定居宅サービスを受けた場合
・ 基準該当居宅サービスを受けた場合
・ 離島等でサービスを受けた場合
・ 支給額
・ 居宅介護サービス費につき厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額の100分の90に相当する額を基準として、市町村が定める額
・ 地域密着型介護サービス費
・ 支給要件
・ 要介護被保険者が、指定地域密着型サービス事業者から指定地域密着型サービスを受けたとき
・ 支給額
・ 地域密着型サービスの区分に応じ、厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額の100分の90に相当する額
・ 特例地域密着型介護サービス費
・ 支給要件
・ 要介護被保険者が
・ 当該要介護認定の効力が生じる日前に、緊急その他やむを得ない理由により指定地域密着型サービスを受けた場合において、必要があると認めるとき
・ 指定地域密着型サービスの確保が著しく困難である離島等で指定地域密着型サービス以外の地域密着型サービス(地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を除く)又はこれに相当するサービスを受けた場合
・ 支給額
・ 当該地域密着型サービス又はこれに相当するサービスについて厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額の100分の90に相当する額又は市町村が定めた額
・ 居宅介護福祉用具購入費
・ 支給要件
・ 居宅要介護被保険者が特定福祉用具(入浴、排せつのように供する福祉用具等)を購入した場合
・ 支給額
・ 特定福祉用具の購入に要した費用の額の100分の90に相当する額
・ 居宅介護住宅改修費
・ 支給要件
・ 居宅要介護被保険者の手すりの取り付け等の一定の住宅改修をした場合
・ 支給額
・ 住宅改修に要した費用の額の100分の90に相当する額
・ 施設介護サービス費
・ 給付
・ 指定介護老人福祉施設
・ 介護保健施設
・ 介護医療院
・ 支給要件
・ 要介護被保険者が指定施設サービス等(指定介護老人福祉施設によるサービス、介護保健施設によるサービス、介護医療院サービス)を受けたとき
・ 支給額
・ 指定施設サービス等に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額の100分の90に相当する額
・ 特例施設介護サービス費
・ 支給要件
・ 要介護被保険者が要介護の認定申請前に緊急その他やむを得ない理由により指定施設サービスを受けた場合
・ 支給額
・ 施設介護サービス費について厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額の100分の90に相当する額を基準として、市町村が定める額
・ 高額医療合算介護サービス費
・ 支給要件
・ 要介護被保険者の介護サービス利用者負担額(高額介護サービス費が支給される場合であっては、当該支給額に相当する額を控除して得た額)及び当該要介護被保険者に係る健康保険法に規定する一部負担金等の額(高額療養費が支給される場合にあっては、当該支給額に相当する額を控除して得た額)その他の医療保険各法又は高齢者医療確保法に規定するこれに相当する額として政令で定める額の合計額が、著しく高額であるとき
・ 支給額
・ 自己負担限度額を超える金額
(居宅介護福祉用具購入費及び居宅介護住宅改修費に係る自己負担額は対象とならない。)
■ 居宅介護サービス費、居宅介護福祉用具購入費、居宅介護住宅改修費は市町村が必要と認める場合に限り支給する。
■ 居宅介護住宅改修費について、市町村長は、必要があると認めるときは住宅改修を行う者等に対し、報告もしくは帳簿書類の提出もしくは提示を命じ、出頭、質問、事務所に立ち入り、帳簿書類等を検査させることができる。
■ 居宅介護サービス計画費、特例居宅介護サービス計画費については、原則として自己負担はない。
■ 第1号被保険者であって政令で定めるところにより算定した所得の額(前年の合計所得金額)が政令で定める額(160万円)以上である要介護被保険者が受ける次に掲げる介護給付については、給付率を「100分の90」ではなく、「100分の80」、政令で定める額を超える政令で定める額(220万円)以上である要介護被保険者が受ける次の介護給付については、給付率を「100分の90」ではなく、「100分の70」とする。
・ 居宅介護サービス費の支給
・ 特例居宅介護サービス費の支給
・ 地域密着型介護サービス費の支給
・ 特例地域密着型介護サービス費の支給
・ 施設介護サービス費の支給
・ 特例施設介護サービス費の支給
・ 居宅介護福祉用具購入費の支給
・ 居宅介護住宅改修費の支給
■ 介護給付対象サービスを受けた第1号被保険者及びその属する世帯の他の世帯員であるすべての第1号被保険者について、前年中の公的年金等の収入金額及び動燃の合計所得金額から所得税法35条2項1号に掲げる金額を控除して得た額の合計額が346万円(当該世帯に他の世帯員である第1号被保険者がいない場合にあっては、280万円)に満たない場合などは、この規定は適用しない(給付率100分の90)(介護保険法49条の2、令22条の2)
■ 市町村が、災害その他の厚生労働省令で定める特別の事情があることにより、必要な費用を負担することが困難であると認めた要介護被保険者については、その給付率を「100分の90を超え100分の100以上の範囲において市町村が定めた割合」とすることができる(介護保険法50条)
■ 厚生労働大臣が、居宅介護サービス費の額の費用の算定に関する基準を定めようとするときは、社会保障審議会の意見を聴かなければならない。
■ 高額介護サービス費及び高額医療合算介護サービス費の対象から、以下のものは除かれている。
・ 食費の提供に要する費用
・ 居住に要する費用
・ 日常生活に要する費用として厚生労働省令で定める費用
・ 居住介護福祉用具購入費に係る自己負担額
・ 居住介護住宅改修費に係る自己負担額
■ 介護予防(身体上又は精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等お日常生活における基本的な動作の全部もしくは一宇について常時介護を要し、又は日常生活を営むのに支障がある状態の軽減又は悪化の防止をいう)を目的として、居宅要支援者に対し予防給付が設けられている。(介護保険法52条から61条)
■ 支給額が100分の90に相当する額
・ 介護予防サービス費(居宅介護サービス費のうち介助がひつようなもの)
・ 特例介護予防サービス費
・ 地域密着型介護予防サービス費
・ 特定地域密着型予防サービス費
・ 介護予防福祉用具購入費
・ 介護予防住宅改修費
■ 自己負担なし
・ 介護予防サービス計画費
・ 特例介護予防サービス計画費
■ 政令で定める額・自己負担額を超える額
・ 高額介護予防サービス費
・ 高額医療合算介護予防サービス費
・ 特定入所者介護予防サービス費
・ 特例特定入所者介護予防サービス費
■ 予防給付は、在宅サービスのみである(施設サービスは予防給付の対象から除かれている。)
■ 介護予防サービス計画費、特例介護予防サービス計画費については、原則として自己負担はない。
■ 第1号被保険者であって政令で定めるところにより算定した所得の額(前年の合計所得金額)が政令で定める額(160万円)以上である居宅要支援被保険者が受ける次の予防給付については、給付率を「100分の90」ではなく、「100分の80」、政令で定める額を超える政令で定める額(220万円)以上である居宅要支援被保険者が受ける次に掲げる予防給付については、給付率を「100分の90」ではなく、「100分の70」とする。
・ 介護予防サービス費の支給
・ 特例介護予防サービス費の支給
・ 地域密着型介護予防サービス費の支給
・ 特例地域密着型介護予防サービス費の支給
・ 介護予防福祉用具購入費の支給
・ 介護予防住宅改修費の支給
■ 一定の者にはこの規定は適用しない(給付率100分の90)(介護給付の場合と同様)(介護保険法59条の2・令29条の2)
■ 市町村が、災害その他の厚生労働省令で定める特別の事情があることにより、必要な費用を負担することが困難であると認めた居宅要支援被保険者については、給付率を「100分の90を超え100分の100以下の範囲内において市町村が定めた割合」とすることができる。
■ 厚生労働大臣は、介護予防サービス費の額の算定に関する基準を定めようとするときは、社会保障審議会の意見を聴かなければならない。
■ 高額介護予防サービス費及び高額医療合算介護予防サービス費の対象から、以下のものは除かれている。
・ 食事の提供に要する費用
・ 滞在に要する費用
・ 日常生活に要する費用として厚生労働省令で定める費用
・ 介護予防福祉用具購入費に係る自己負担
・ 介護予防住宅改修費に係る自己負担額
■ 介護給付同様、介護予防住宅改修費には市町村長による帳簿書類等の件さ、立入などの権限がある。
■ 市町村は、要介護被保険者又は居宅要支援被保険者(以下要介護保険者等)に対し、介護給付及び予防給付に加え、要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資する保険給付として条例で定めるところにより、市町村特別給付を行うことができる。(介護保険法62条)
■ 要介護者や要支援者に対し市町村が独自に行う保険給付の一つである。おむつの給付、給食サービス、移送サービスなどがある。
■ 保険給付の制限(介護保険法63条から65条)
・ 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁された者は、その期間に介護給付等は、行わない。
・ 自己の故意の犯罪行為もしくは重大な過失により、又は正当な理由なしに介護給付等対象サービスの利用もしくは居宅介護住宅改修費もしくは介護予防住宅改修費に係る住宅改修の実施に関する指示に従わないことにより、要介護状態等もしくはその原因となった事故を生じさせ、又は要介護状態等の程度を増進させたときは、これを支給事由とする介護給付等は、その全部又は一部を行わないことができる。
・ 介護給付等を受ける者が、正当な理由なしに、文書の提出等の規定による求めに応ぜず、又は答弁を拒んだときは、介護給付等の全部又は一部を行わないことができる。
■ 市町村は、保険料を滞納している第1号被保険者である要介護被保険者等(原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律による一般疾病医療費の支給その他厚生労働省令で定める医療に関する給付を受けることができるものを除く)が、当該保険料の納期限から1年間が経過するまでの間に当該保険料を納付しない場合においては、当該保険料の滞納につき災害その他の政令で定める特別の事情があると認める場合を除き、厚生労働省令で定めるところにより、当該要介護被保険者等に対し被保険者証の提出を求め、当該被保険者証に「支払方法変更の記載」をするものとする。(介護保険法66条)
■ 市町村は、保険給付を受けることができる第1号被保険者である要介護被保険者等が保険料を滞納しており、かつ、当該保険料の納期限から1年6月間が経過するまでの間に当該保険料を納付しない場合においては、当該保険料の滞納につき災害その他の政令で定める特別の事情があると認める場合を除き、厚生労働省令で定めるところにより、保険給付の全部又は一部の支払を一時差し止めるものとする。(介護保険法67条)
■ 給付制限について、原則1年以上保険料を滞納した場合は、現物給付から償還払いへの変更、更には納期限から1年6月以上滞納している者に対し、一時差止めの措置がとられる。
■ 過去の保険料未納に対する給付率引き下げ措置(第1号被保険者に対する措置)は、保険料未納期間が時効で徴収不能の場合、保険料徴収消滅期間後2年以上経過した後に要介護認定を受けたば場合、その後未納期間に応じた期間は、給付率を100分の70(現役並の所得者に関しては100分の60)とする。(介護保険法69条)
■ 以下のアからキまでのいずれかに該当する者を除き、厚生労働省令で定める実務の経験を有する者であって、都道府県知事が行う介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、かつ、都道府県知事が行う介護支援専門員実務研修の課程を終了したものは、厚生労働省令で定めるところにより、当該都道府県知事の登録を受けることができる。(介護保険法69条の2)
・ 心身の故障により介護支援専門員の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
・ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
・ 介護保険法その他国民の保健医療もしくは福祉に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
・ 登録の申請前5年以内に居宅サービス等に関し不正又は著しく不当な行為をした者
・ 業務の報告等について都道府県知事の指示又は命令等に従わず、業務の禁止の処分を受け、その禁止の期間中にその登録が消除され、まだその期間がけい経過しない者
・ 都道府県知事による登録の消除の処分をうけ、その処分の日から起算して5年を経過しない者
・ 都道府県知事による登録の消除の処分に係る行政手続法の規定による通知があった日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に登録の消除の申請をした者(登録の消除の申請について相当の理由がある者を除く)であって、当該登録が消除された日から起算して5年を経過しないもの
■ 介護支援専門員の登録事項に関する届出先は、都道府県知事である。
・ 登録時効の変更の届出(介護保険法69条の4)
・ 登録を受けている者は、当該登録に係る氏名その他厚生労働省令で定める事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
・ 介護支援専門員証の交付等(介護保険法69条の7)
・ 登録を受けている者は、都道府県知事に対し、介護支援専門員証の交付を申請することができる(登録後一定期間内に申請し場合を除き、研修を受けなければならない)
・ 介護支援専門員証の有効期間は、5年とする。
・ 介護支援専門員証の有効期間の更新(介護保険法69条の8)
・ 介護支援専門員証の有効期間は、申請により更新する。
・ 介護支援専門員証の有効期間の更新を受けようとする者は、都道府県知事が行う更新研修を受けなければならない(現に介護支援専門員の業務に従事しており、かつ、更新研修の課程に相当する課程を終了したものを除く)。
・ 更新後の介護支援専門員証の有効期間は5年とする。
■ 指定居宅サービス事業者の指定(介護保険法70条・75条)
・ 指定居宅サービス事業者の指定は、厚生労働省令で定めるところにより、居宅サービス事業を行う者の申請により、居宅サービスの種類及び当該居宅サービスの種類に係る居宅サービス事業を行う事業所ごとに、都道府県知事が行う。
■ 都道府県知事は、申請があった場合において、次のいずれかに該当するときは、指定をしてはならない。
・ 申請者が都道府県の条例で定める者でないとき
・ 当該申請に係る事務所の従業者の知識及び技能並びに人員が、都道府県の条例で定める基準及び員数を満たしていないとき
・ 申請者が、指定居宅サービスの事業の設備及び運営に関する基準に従って適正な居宅サービス事業の運営をすることができないと認められるとき
・ 申請者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき
・ 申請者が、介護保険法その他国民の保健医療もしくは福祉に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき
・ 申請者が、労働に関する保険の規定であって政令で定めるものにより罰金の系に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき
・ 申請者が、社会保険確報又は労働保険の保険料の徴収等に関する法律の定めるところにより納付義務を負う保険料、負担金又は掛け金(地方税法の規定による国民健康保険税を含む。保険料等)について、当該申請した日の前日までに、これらの法律の規定に基づく滞納処分を受け、かつ、当該処分を受けた日から正当な理由なく3月以上の期間にわたり、当該処分を受けた日以降に納期限の到達した保険料等のすべて(当該処分を受けた者が、当該処分に係る保険料等に限る)を引き続き滞納している者があるとき。
・ 申請者(特定施設入居者生活介護に係る指定の申請者を除く)が、指定居宅サービス事業者に係る指定(特定施設入居者生活介護に係る指定を除く)を取消され、その取消しの日から起算して5年を経過しない者(当該指定を取り消された者が法人である場合においては、当該取り消しの処分に係る通知があった日前60日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有するものであるかに問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む)又はその事業所を管理する者その他の政令で定める使用人(役員等)であった者で当該取り消しの日から起算して5年を経過しないものを含み、当該指定を取消されたものが法人でない事業所である場合においては、当該通知があった日前60日以内に当該事業所の管理者であった者で当該取消しの日から起算して5年を経過しないものを含む)であるとき。ただし、当該指定の取消しが、指定居宅サービス事業者の指定の取消しのうち当該指定の取消しの処分の理由となった事実及び当該事実の発生を防止するための当該指定居宅サービス事業者による業務管理体制の整備についての取組の状況その他の当該事実に関して当該指定居宅サービス事業者が有していた責任の程度を考慮して、指定の取消しに該当しないこととすることが相当であると認められるものとして厚生労働省令で定めるものに該当する場合を除く。
・ 申請者(特定施設入居者生活介護に係る指定の申請者に限る)が、指定居宅サービスの事業者の指定(特定施設入居者生活介護に係る指定に限る)を取り消され、その取消しの日から起算して5年を経過しない者(当該指定を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの処分に係る通知があった日前60日以内に当該申請者の役員等であった者で当該取消しの日から起算して5年を経過しないものを含み、当該指定を取り消された者が法人でない事業所である場合においては、当該通知があった日前60日以内に当該事業所の管理者であった者で当該指定の取消しの日から起算して5年を経過しない者を含む)であるとき。ただし、当該指定の取消しが、指定居宅サービス事業者の指定の取消しのうち当該指定の取り消しの処分の理由となった事実及びその事実の発生を防止するための当該指定居宅サービス事業者による業務管理体制の整備についての取組の状況その他の当該事実に関して当該指定居宅サービス事業者が有していた責任の程度を考慮して、この号本文に規定する指定の取消しに該当しないこととすることが相当であると認められるものとして厚生労働省令で定める者に該当する場合を除く。
・ その他一定のとき
■ 都道府県知事は、指定居宅サービス事業者が、アに該当するに至った場合には、指定の取消し等を行うことができる。
■ 「アからコ」の規定は、「指定地域密着型サービス事業者の指定」、「指定居宅介護支援事業者の指定」、「指定介護老人福祉施設の指定」、「介護老人保健施設の許可」、「介護医療員の許可」、「指定介護予防サービス事業者の指定」、「指定地域密着型介護予防サービス事業者の指定」、「指定介護予防支援事業者の指定」についても、ほぼ同様である。
■ 指定地域密着型サービス事業者の指定は、厚生労働省令で定めるところにより、地域密着型サービス事業を行う者の申請により、地域密着型サービス事業を行う事業所ごとに市町村長が行う。
■ 市町村長は、指定地域密着型サービス事業者の指定をしょうとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめその旨を都道府県知事に届け出なければならない。(介護保険法78条の2)
■ 都道府県知事は、営利を目的として、介護老人保健施設を開設しようとする者に対しては、許可を与えないことができる。
■ 都道府県知事は、開設又は変更の申請があった場合において、当該申請に係る施設の所在地を含む区域における介護老人保健施設の入所定員の総数が、当該都道府県が定める都道府県介護保険事業支援計画において定めるその区域の介護老人保健施設の必要入所定員にすでに達しているか、又は当該申請に係る施設の開設もしくは入所の定員の増加によってこれを超えることになると認めるとき、その他の当該都道府県介護保険事業支援計画の達成に支障を生ずるおそれがあると認めるときは、介護老人保健施設の開設の許可を与えないことができる。
■ 許可は、6年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
■ 各施設の事業者又は施設の開設者は、当該指定に係る事業所の名称及び所在地又は施設の開設者の住所その他厚生労働省令で定める事項に変更があったときは、10日以内に都道府県知事に届け出なければならない。
■ 介護サービス事業者・施設の開設者(介護サービス事業者)は、監督官庁の指定又は許可を受けて、保険給付の対象サービスを提供することになっている。
・ 指定居宅サービス事業者
・ 居宅サービス
・ 都道府県知事の指定
・ 指定地域密着型サービス事業者
・ 地域密着型サービス
・ 市町村長の指定
・ 指定居宅介護支援事業者
・ 居宅介護支援
・ 市町村長の指定
・ 指定介護老人福祉施設(入所店員30人以上の特別養護老人ホーム)
・ 介護福祉施設サービス
・ 都道府県知事の指定
・ 介護老人保健施設
・ 介護保険施設サービス
・ 都道府県知事の許可
・ 介護医療院
・ 介護医療院サービス
・ 都道府県知事の許可
・ 指定介護予防サービス事業者
・ 介護予防サービス
・ 都道府県知事の指定
・ 地域密着型介護予防サービス事業者
・ 地域密着型介護予防サービス
・ 市町村長の指定
・ 指定介護予防支援事業者
・ 介護予防支援
・ 市町村長の指定
■ 指定の有効期間は、原則として6年間である。
■ 介護サービス事業者や施設の指定(介護老人保健施設、介護医療院については許可)の基準(人員・設備・運営の基準)は、厚生労働省令で定める基準等に従い「都道府県又は市町村)の条例」で定める。
■ 市町村は、地域支援事業の利用者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、利用料を請求することができる。(介護保険法115条の45)
■ 地域包括支援センターは、第1号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものを除く)及び介護保険法115条の45第2項各号に掲げる事業(包括的支援事業)その他厚生労働省令で定める事業を実施し、地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設とする。(介護保険法115条の46)
■ 「地域ケア会議」(地域包括支援センター及び市町村レベルの会議)については、地域包括ケアシステムの実現のための有効なツールであり、更に取組をすすめることが日宇町である。具体的には、個別事例の検討を通じて、多職種協働によるケアマネジメント支援とともに、地域のネットワーク構築につなげるなど、実効性のあるものとして定着・普及させるため、 これまで通知に位置づけられていた地域ケア会議について、介護保険法で制度的に位置づけられた
■ 地域支援事業については、地域包括ケアシステムの構築に向けて、平成23年改正、平成26年改正において、拡充が図られてきた。全体像をつかむことが重要。
■ 厚生労働大臣は、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に規定する総合確保方針に則して、介護保険事業における保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針(基本指針)を定めるものとする。(介護保険法116条)
■ 市町村は、基本方針に即して、3年を一期とする当該市町村が行う介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施に関する計画(市町村介護保険事業計画)を定めるものとする。(介護保険法117条1項)
■ 市町村介護保険事業計画は、当該市町村の区域における人口構造の変化の見通し、要介護者等の人数、要介護者等の介護給付等対象サービスの利用に関する意向その他の事情を勘案して作成されなければならない。
■ 市町村は、当該市町村が定める区域ごとにおける被保険者の心身の状況、そのおかれている環境その他の事情を正確に把握するとともに、厚生労働大臣により公表された市町村介護保険事業計画の作成等のための調査及び分析の結果その他の介護保険事業の実施の状況に関する情報を分析した上で、当該事情及び当該分析の結果を勘案して、市町村介護保険事業計画を作成するよう努めるものとする。
■ 市町村は、被保険者の地域における自立した日常生活の支援、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止及び介護給付等に要する費用の適正化に関し、市町村が取り組むべき施策の実施状況及びその事項の目標の達成状況に関する調査及び分析を行い、市町村介護保険事業計画の実施に関する評価を行うものとする。
■ 市町村介護保険事業計画は、老人福祉法に規定する市町村老人福祉計画と一体のものとして作成されなければならない。
■ 市町村介護保険事業計画は、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に規定する市町村計画との整合性の確保が図られたものでなければならない。
■ 市町村介護保険事業家機悪は、社会福祉法に規定する市町村地域福祉計画その他の法律の規定による計画であって要介護者等の保健、医療、福祉又は居住に関する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならない。
■ 市町村は、市町村介護保険事業計画を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、被保険者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
■ 市町村は、市町村介護保険事業計画(各年度における介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込み及び各年度における地域支援事業の量の見込みに係る部分に限る)を定め、又は変更しようするときは、あらかじめ、都道府県の意見を聴かなければならない。
■ 市町村は、市町村介護保険事業計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを都道府県知事に提出しなければならない。(介護保険法117条4項から13項)
■ 都道府県は、基本方針に即して、3年を一期とする介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施の支援に関する計画(都道府県介護保険事業支援計画)を定めるものとする。(介護保険法118条1項)
■ 都道府県は、厚生労働大臣により公表された都道府県介護保険事業計画支援計画の作成等のための調査及び分析の結果その他の介護保険事業の実施の状況に関する情報を分析した上で、当該分析の結果を勘案して、都道府県介護保険事業支援計画を作成するよう努めるものとする。
■ 都道府県介護保険事業支援計画は、老人福祉法に規定する都道府県老人福祉計画と一体のものとして作成されなければならない。
■ 都道府県は、都道府県内の市町村によるその被保険者の地域における自立した日常生活の支援、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止及び介護給付等に要する費用の適正化に関する取組への支援に関し、都道府県が取り組むべき施策の実施状況及びその事項の目標の達成状況に関する調査及び分析を行い、都道府県介護保険事業支援計画の実績に関する評価を行うものとする。
■ また、都道府県は、この評価の結果を公表するよう努めるとともに、当該結果及び都道府県内の市町村の評価の結果を厚生労働大臣に報告するものとする。
■ 都道府県介護保険事業支援計画は、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に規定する都道府県計画及び医療法に規定する医療計画との整合性の確保が図られたものでなければならない。
■ 都道府県介護保険事業支援計画は、社会福祉法に規定する都道府県地域福祉支援計画、高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定する都道府県高齢者住居安定確保計画その他の法律の規定による計画であって要介護者等の保健、医療、福祉又は居住に関する事項を定めたものと調和が保たれたものでなければならない。
■ 都道府県は、都道府県介護保険事業支援計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に提出しなければならない。(介護保険法118条5項から11項)
■ 市町村、都道府県は、基本指針に即して、3年を一期とする介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施又は実施の支援に関する計画を定めるものとする。
・ 市町村→市町村介護保険事業計画
・ 都道府県→都道府県介護保険事業支援計画
■ 匿名介護保険等関連情報について、健康保険法の匿名診療等関連情報と同様に、「照合等の禁止」、「消去」、「安全管理措置」、「利用者の義務」、「立入検査等」、「是正命令」の規定が設けられている。(介護保険法118条の4から118条の9)
■ 介護給付・予防給付に要する費用は、その5割が第1号被保険者及び第2号被保険者が負担する保険料、残りの5割が公的負担(国、都道府県、市町村が負担)により賄われている。
■ 国は、政令で定めるところにより、市町村に対し、介護給付及び予防給付に要する費用の額について、次に掲げる費用の区分に応じ、各割合に相当する額を負担する。(介護保険法121条)
・ 介護給付及び予防給付(イに掲げるものを除く)に要する費用 100分の20
・ 介護給付(介護保険施設及び特定施設入居生活介護に係るものに限る)及び予防給付(介護予防特定施設入居者生活介護に係るものに限る)に要する費用 100分の15
■ 国は、介護保険の財政の調整を行うため、第1号被保険者の年齢階層別の分布状況、第1号被保険者の所得の分布状況等を考慮して、政令で定めるところにより、市町村に対して調整交付金を交付する。
■ 上記の規定による調整交付金の総額は、各市町村の介護保険法121条1項に規定する介護給付及び予防給付に要する費用の額の総額の100分の5に相当する額とする。(介護保険法122条)
■ 国は、政令で定めるところにより、市町村に対し、介護予防・日常生活支援総合事業に要する費用の額の100分の20に相当する額を交付する。
■ 国は、介護保険の財政の調整を行うため、市町村に対し、介護予防・日常生活支援総合事業に要する費用の額について、第1号被保険者の年齢階級別の分布状況、第1号被保険者の所得の分布状況等を考慮して、政令で定めるところにより算定した額を交付する。
■ 上記の規定により交付する額の総額は、各市町村の介護予防・日常生活支援総合事業に要する費用の額の総額の100分の5に相当する額とする。
■ 国は、政令で定めるところにより、市町村に対し、地域支援治井行(介護予防・日常生活支援総合事業を除く)に要する費用の額に、第2号被保険者負担率に100分の50を加えた率を乗じて得た額(特定地域支援事業支援額)の100分の50に相当する額を交付する。
■ 国は、介護保険法122条、122条の2に定めるもののほか、市町村によるその被保険者の地域における自立した日常生活の支援、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止及び介護給付等に要する費用の適正化に関する取組を支援するため、政令で定めるところにより、市町村に対し、予算の範囲内において、交付金を交付する。(介護保険法122条の2)
■ 国は、都道府県による120条の2第1項に規定する支援(市町村介護保険事業計画の作成に係る分析に支援)及び同条2項の規定による事業の取組(都道府県内の市町村による自立支援等施策に係る取組)を支援するため、政令で定めるところにより、都道府県に対し、予算の範囲内において、交付金を交付する。(介護保険法122条の3)
■ 都道府県は、政令で定めるところにより、市町村に対し、介護給付及び予防給付に要する費用の額について、次に掲げる費用の区分に応じ、各割合に相当する額を負担する。(介護保険法123条)
・ 介護給付及び予防給付(イに掲げるものを除く)に要する費用 100分の12.5
・ 介護給付(介護保険施設及び特定施設入居者生活介護に係るものに限る)及び予防給付(介護予防特定施設入居者生活介護に係るものに限る)に要する費用 100分の17.5
■ 市町村は、政令で定めるところにより、その一般会計において、介護給付及び予防給付に要する費用の額の100分の12.5に相当する額を負担する。
■ 市町村は、政令で定めるところにより、その一般会計において、介護予防・日常生活総合支援事業に要する費用の額の100分の12.5に相当する額を負担する。
■ 費用負担のまとめ
・ 介護給付・予防給付(イを除く)
・ 国 25%(調整交付金5%を含む)
・ 都道府県 12.5%
・ 市町村 12.5%
・ 第1号被保険者 23%
・ 第2号被保険者 27%(介護給付費交付金)
・ 介護給付(介護保険施設及び特定施設入居者生活介護)及び予防給付(介護予防特定施設入居者生活介護)
・ 国 20%
・ 都道府県 17.5%
・ 市町村 12.5%
・ 第1号被保険者 23%
・ 第2号被験者 27%
・ 介護予防・日常生活支援総合事業
・ 国 25%(調整交付金5%含む)
・ 都道府県 12.5%
・ 市町村 12.5%
・ 第1号被保険者 23%
・ 第2号被保険者 27%
・ その他(特定地域支援事業支援額)
・ 国 38.5% ((27%+50%)×50%)
・ 都道府県 19.25% ((27%+50%)×25%)
・ 市町村 19.25% (都道府県に同じ)
・ 第1号被保険者 23%
・ 第2号被保険者 0%
■ 第1号被保険者(高齢者の保険料として23%負担)
・ 普通徴収 個別に直接保険料を徴収する
・ 特別徴収 保険料を老齢等年金給付から天引きする
■ 第2号被保険者(若年者の保険料として27%負担)
・ 医療保険者(健保組合、国保等)へ支払う
・ 医療保険者→社会保険診療報酬支払基金 介護給付費納付金(医療保険者側では「介護納付金」と呼ばれる)
・ 社会保険診療報酬支払基金→市町村(介護給付費交付金 27%)
■ 調整交付金は、市町村ごとの介護保険財政の調整を行うため、全国ベースで給付費の5%相当分を交付する者であり、具体的には、「高齢者中の後期高齢者の割合」と「高齢者の所得状況の格差」を調整する「普通調整交付金」と、災害等の特別な事情を勘案する「特別調整交付金」がある。
■ 市町村は、介護保険事業に要する費用(財政安定化基金拠出金の納付に要する費用を含む)に充てるため、保険料を徴収しなければならない。
■ 保険料は、第1号被保険者に対し、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより算定された保険料率により算定された保険料額によって課する。
■ 保険料率は、市町村介護保険事業計画に定める介護給付等対象サービスの見込量等に基づいて算定した保険給付に要する費用の予想額、財政安定化基金拠出金の納付に要する費用の予想額、財政安定化基金の規定による都道府県からの借入金の償還に要する費用の予定額並びに地域支援事業及び保健福祉事業に要する費用の予定額、第1号被保険者の所得の分布状況及びその見通し並びに国庫負担等の額等に照らし、おおむね3年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならない。(介護保険法129条)
■ 保険料の賦課期日は、当該年度の初日とする。
■ 市町村は、第2号被保険者からは保険料を徴収しない。
■ 第1号被保険者の保険料は、負担能力に応じた負担を求める観点から、所得段階別の保険料を設定し、低所得者への負担を軽減する一方、高所得者の負担は所得に応じたものとしており、原則9段階となっている。ただし、市町村の判断で10段階以上にすることもできる。
■ 第1号被保険者からの保険料の徴収については、特別徴収(老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定めるもの及びその他これらの年金たる給付に類する老齢若しくは退職、障害又は死亡を支給事由とする年金たる給付であって政令で定めるもの(老齢等年金給付)の支払をする年金保険者に保険料を徴収させ、かつ、その徴収すべき保険料を納付させることをいう)の方法による場合を除くほか、普通徴収(市町村が、第1号被保険者から納入の通知をすることによって保険料を徴収することをいう)の方法によらなければならない。(介護保険法131条)
■ 特別徴収の対象となる老齢等年金給付(介護保険令40条)
・ 国民年金法による老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金及び法附則9条の3第1項による老齢年金
・ 旧国民年金法による老齢年金、通算老齢年金及び障害年金
・ 厚生年金保険法による障害厚生年金及び遺族厚生年金
・ 旧厚生年金保険法による老齢年金、通算老齢年金、特例老齢年金、障害年金、遺族年金、寡婦年金及び通算遺族年金 他
■ 第1号被保険者は、市町村がその者の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合においては、当該保険料を納付しなければならない。この場合、世帯主及び配偶者の一方は、当該保険料を連帯して納付する義務を負う。(介護保険法132条)
■ 毎年4月1日のおける老齢等年金給付の年金額が18万円以上である者は特別徴収(年金からの天引き)の対象となり、年金額が18万円未満等である者は普通徴収の対象となる。なお、障害や死亡に関する年金給付についても、特別徴収の対象となる。
■ 後期高齢者医療の保険料と介護保険の保険料の合算額が老齢等年金給付の額の2分の1を超えるとき、介護保険料の保険料が特別徴収されないとき(年金受給額が18万円未満であるとき等)は、後期高齢者医療の保険料は「普通徴収」となる。なお、2分の1を超える場合は、介護保険の保険料のみ特別徴収される。
■ 年金保険者(厚生労働大臣に限る)は、機構に通知に係る事務を行わせる。
■ 都道府県は、次に掲げる介護保険の財政の安定化に資する事業に必要な費用を充てるため、財政安定化基金を設けるものとする。(介護保険法147条1項)
■ 保険料の未納や、予想を上回るサービスの伸びにより、市町村の財政が赤字となった場合、都道府県が設置する財政安定化基金が資金の交付や貸付を行うこととする。
■ 予定保険料収納額
・ 市町村において当該市町村が定める市町村介護保険事業計画の計画期間中に収納が見込まれた保険料の額の合計額のうち、介護給付及び予定給付に要する費用の額、地域支援事業に要する費用の額、財政安定化基金拠出金の納付に要する費用の額並びに都道府県からの「基金事業借入金」の償還に要する費用の額に充てるものとして算定された額
■ 実績保険料収納額
・ 市町村において、上記の計画期間中に収納した保険料の額の合計額のうち、介護給付及び予防給付に要した費用の額、地域支援事業に要した費用の額、財政安定化基金拠出金の納付に要した費用の額並びに基金事業借入金の償還に要した費用の額に充てるものとして算定した額
■ 基金事業対象収入額
・ 市町村の介護保険に関する特別会計において上記の計画期間中に収入した金額(以下の基金事業交付額及び基金事業借入金の額を除く)の合計額のうち、介護給付及び予防給付に要した費用の額、地域支援事業に要した費用の額、財政安定化基金拠出金の納付に要した費用の額並びに基金事業借入金の償還に要した費用の額に充てるものとして算定した額
■ 基金事業対象費用額
・ 市町村において上記の計画期間中に介護給付及び予防給付に要した費用の額、地域支援事業に要した費用の額、財政安定化基金拠出金の納付に要した費用の額並びに基金事業借入金の償還に要した費用の額の合計額として算定した額
■ 基金事業交付額
・ 市町村が上記の計画期間中に財政安定化基金の規定により交付を受けた額
■ 都道府県は、財政安定化基金に充てるため、市町村から財政安定化基金拠出金を徴収し、市町村は、財政安定化基金拠出金を納付する義務を負う。
■ 都道府県は、市町村から徴収した財政安定化基金拠出金の総額の3倍に相当する額を財政安定化基金に繰り入れ、国は、都道府県が繰り入れた額の3分の1に相当する額を負担する。つまり、国、都道府県、市町村は3分の1ずる負担する。
■ 財政安定化基金から生ずる収入は、すべて財政安定化基金に充てなければならない。
■ 複数の市町村が介護保険事業の財政安定化のために共同して行う事業について定める(介護保険法148条・149条)
■ 調整保険料率は、各市町村が第1号被保険者に対し、当該調整保険料率により算定した保険料額によって保険料を課するとした場合、財政安定化事業実施期間(規約により、3年を一期とする)において収納される保険料の合計額が、対象となる費用の額の合計額と均衡を保つことができる者でなければならない。
■ 社会保険診療報酬支払基金が、年度ごとに医療保険者から徴収する納付金について定めている。(介護保険法150条)
■ 介護保険関係業務(介護保険法160条)のうち以下の業務が支払基金の業務である。
・ 医療保険者から納付金を徴収すること
・ 市町村に対し介護給付費交付金を交付すること
・ 市町村に対し地域支援事業支援交付金を交付すること
・ 上記に掲げる業務に附帯する業務を行うこと
■ 被用者保険等保険者に係る介護給付費・地域支援事業支援納付金(介護納付金)の額の算定について、平成29年8月施行の改正で、被用者保険等保険者の標準報酬総額に応じたものとすることとされた(介護保険法152条及び153条関連)
■ 延滞金の年14.5%の割合は、当分の間、各年の延滞税特例基準割合(租税特別措置法に規定する延滞税特例基準割合)が年7.2%の割合に満たない場合には、その年中においては、当該延滞税特例基準割合に年7.3%の割合を加算した割合とする。
■ 医療保険者が納付金を納付すべき期限までに納付しない場合に、支払基金が行わなければならない滞納処分等について定めている。(介護保険法158条)
■ 支払基金が行った処分に不服のある者は、厚生労働大臣に対し審査請求をすることができる。(介護保険法174条)
■ 保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求に関する処分及び要介護認定又は要支援認定に関する処分を含む)又は保険料その他介護保険法の規定による徴収金(財政安定化基金拠出金、納付金及び延滞金を除く)に関する処分に不服がある者は、介護保険審査会に審査請求をすることができる。(介護保険法183条)
■ 保険給付に関する処分、保険料その他介護保険法の規定による徴収金に関する処分に不服のある者については、各都道府県に設置された「介護保険審査会」に審査請求をすることができる旨を定めている。
■ 介護保険審査会(保険審査会)は、各都道府県に置く。(介護保険法184条から187条)
■ 保険審査会は、会長、被保険者を代表する委員及び市町村を代表する委員の全員並びに会長以外の公益を代表する委員のうちから保険審査会が指名する2人をもって構成する合議体で、審査請求(要介護認定又は要支援認定に関する処分に対するものを除く)の事件を取り扱う。
■ 要介護認定及び要支援認定に関する処分に対する審査請求の事件は、公益を代表する委員のうちから、保険審査会が指名する者をもって構成される合議体で取り扱う。なお、当該委員の定数は、都道府県の条例で定める数とする。
■ 審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、文書又は口頭でしなければならない。ただし、正当な理由により、この期間内に審査請求をすることができないことを疎明したときは、この限りでない。(介護保険法192条)
■ 保険料その他この法律の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。(介護保険法199条)
■ 保険料、納付金その他介護保険法の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができるときから2年を経過したときは、時効によって消滅する(介護保険法200条)
■ 介護保険法と同様に、匿名介護保険等関連情報の利用者の義務違反等について、次のような罰則が設けられている(介護保険法205条の3、206条の2)
・ 次のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する
・ 匿名介護保険等関連情報の利用に関して知り得た匿名介護保険等関連情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用した者
・ 匿名介護保険等関連情報に係る是正命令の規定による命令に違反した者
・ 匿名介護保険等関連情報に係る立入検査等の規定に違反したときは、50万円以下の罰金に処する。
[社一] 社会保険一般常識・重要箇所・Chapter4
船員保険法
■ 船員保険法は、船員又はその被扶養者の職務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行うとともに、労働者災害補償保険による保険給付と併せて船員の職務上の事由又は通勤による疾病、負傷、障害若しくは死亡に関して保険給付を行うこと等により、船員の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。(船員保険法1条)
■ 平成22年1月より、労災保険相当部分(職務上疾病・年金部門)は労災保険制度に、雇用保険相当部分(失業部門)は雇用保険制度にそれぞれ統合され、厚生労働省令が運営することとなった(職務外の年金給付部門は、昭和61年4月に厚生年金保険に統合された)
■ 健康保険に相当する部分(職務外疾病部門)と船員労働の特殊性に基づく独自給付については、引き続き船員保険法から給付が行われ、運営自体は全国健康保険協会となった。
■ 船員保険の対象者は令和3年9月末には、被保険者約5万8千人、被扶養者約5万7千人、合計11万5千人と年々減少を続けている。
■ なお、従来の船員保険の福祉事業のうち一般制度で実施可能な事業(例:被災労働者等援護事業)は労災保険制度又は雇用保険制度で実施されるが、無線医療相談事業、養生救急事業などの福祉事業は、新船員保険制度の福祉事業として行われる。
■ 被保険者とは、船員法1条に規定する船員(船員)として船舶所有者に使用される者及び疾病任意継続被保険者をいう。
■ 疾病任意継続被保険者とは、船舶所有者に使用されなくなったため、被保険者(独立行政法人等職員被保険者を除く)の資格を喪失した者であって、喪失の日の前日まで継続して2月以上被保険者(疾病任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く)であったもののうち、全国健康保険協会に申し出て、継続して被保険者になった者をいう。ただし、健康保険の被保険者(日雇特例被保険者を除く)又は後期高齢者医療の被保険者等である者はこの限りでない。(船員保険法2条)
■ 船員保険法及びこの法律に基づいて発する命令のうち船舶所有者に関する規定は、船舶共有の場合には船舶管理人に、船舶貸借の場合には船舶借入人に、船舶所有者、船舶管理人及び船舶借入人以外の者が船員を使用する場合にはその者に適用する。(船員保険法3条)
■ 船員保険は、健康保険法による全国健康保険協会が、管掌する。(船員保険法4条)
■ 全国健康保険協会は、船員保険事業に関する業務として、次に掲げる業務を行う。(船員保険法5条)
・ 保険給付に関する業務
・ 保健事業及び福祉事業に関する業務
・ 上記に掲げる業務のほか、船員保険事業に関する業務であって船員保険法4条2項の規定により厚生労働大臣が行う業務以外のもの
・ 船員保険法153条の6の2第1項に規定する権限に係る事務(厚生労働大臣の命令並びに質問及び検査の権限(保険給付に関するものに限る)に係る事務)に関する業務
・ 上記に掲げる業務に附帯する業務
■ 新船員保険制度の運営に当たっては、全国健康保険協会本部に船員保険部を設置し、「協会けんぽ」の事業とは経理を区分するとともに、制度の運営に船舶所有者及び被保険者の意見を適切に反映させる目的で、「船員保険協議会」が設置された。
■ 船員保険事業に関して船舶所有者及び被保険者(その意見を代表する者を含む)の意見を聴き、当該事業の円滑な運営を図るため、全国健康保険協会に船員保険協議会を置く。(船員保険法6条)
■ 船員保険協議会の組織及び運営に関し必要な事項(船員保険則1条)
・ 船員保険協議会は、協会の理事長が招集する。
・ 協会の理事長は、船員保険協議会の委員の総数の3分の1以上の委員が審議すべき事項を示して船員保険協議会の招集を請求したときは、船員保険協議会を招集しなければならない。
・ 船員保険協議会に委員長を置き、委員の互選により選任する。
・ 委員長は、船員保険協議会の議事を整理する。委員長に自己があるとき、又は委員長がかけたときは、あらかじめ委員長が指名する委員がその職務を行う。
・ 船員保険協議会は、委員の総数の3分の2以上又は法6条2項に掲げる委員の各1人以上が出席しなければ、議事を開くことができない。
■ 船員保険協議会の職務(船員保険法7条)
・ 協会の理事長(理事長)は、次に掲げる事業の立案をしようとするときは、あらかじめ、船員保険協議会の意見を聴き、その意見を尊重しなければならない。
・ 定款(船員保険事業に係る部分に限る)の変更
・ 健康保険法7条の22第1項に規定する運営規則(船員保険事業に係る部分に限る)の変更
・ 協会の毎事業年度の事業計画並びに予算及び決算(船員保険事業に係る部分に限る)
・ 協会の重要な財産の処分又は重大な債務の負担(船員保険事業に係る部分に限る)
・ その他船員保険事業に関する重要事項として厚生労働省令で定めるもの
・ 理事長は、上記に掲げる事項については、協会における船員保険事業に係る業務の円滑な運営を確保する観点から、運営委員会の議を経なければならない。ただし、上記の2の運営規則の変更のうち厚生労働省令で定める軽微なものについては、理事長は、運営委員会の議を経ないで行うことができる。
・ 上記に規定する事項の他、船員保険協議会は、船員保険事業に関し、理事長の諮問に応じ、又は必要と認める事項について、理事長に建議することができる。
・ 上記に定めるもののほか、船員保険協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
■ 船員法1条に定める船員として船舶所有者に使用される者は、船員保険の被保険者とされる。
■ 船員法1条に定める船員とは、日本船舶又は日本船舶以外の国土交通省令で定める船舶に乗り組み船長及び海員並びに予備船員である。ただし、上記の船舶には、以下の船舶は含まれない。
・ 総トン数が5トン未満の船舶
・ 湖、川又は港のみを航行する船舶
・ 政令で定める総トン数30トン未満の漁船
■ 船舶所有者が、自ら所有する船舶に船長として乗り組む場合は、船員保険の被保険者とはならない(船舶所有者に使用されるものには該当しないため)
■ 国家公務員共済組合及び地方公務員等共済組合の組合員は、形式的には船員保険の被保険者とされるが、これらの者については、船員保険法による保険給付の支給及び保険料の徴収は、行われない。(船員保険法149条・150条)
■ 後期高齢者医療の被保険者等であっても、要件に該当する者は船員保険の被保険者となるが、原則として、職務外の事由による疾病又は負傷による療養の給付等を受けることができない。なお、当該被保険者によって生計を維持している者は、被扶養者とならない。
■ 被保険者(疾病任意継続被保険者を除く)は、船員として船舶所有者に資料されるに至った日に資格を取得する。
■ 被保険者(疾病任意継続被保険者を除く)は、死亡した日の翌日又は船員として船舶所有者に使用されなくなった日の翌日(使用されなくなった日に更に資格を取得したときは、その日)に資格を喪失する。(船員保険法11条・12条)
■ 強制被保険者の資格の取得、喪失は厚生労働大臣の確認により効力を生ずる(船員保険法15条)
■ 疾病任意継続被保険者の申出は、被保険者の資格を喪失した日から20日以内に全国健康保険協会に対してしなければならない。ただし、協会は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても、受理することができる。(船員保険法13条)
■ 被保険者の資格を喪失した日に疾病任意継続被保険者の資格を取得することになる。
■ 疾病任意継続被保険者の資格喪失日
・ 疾病任意継続被保険者となった日から起算して2年を経過したとき 翌日
・ 死亡したとき 翌日
・ 保険料(初めて納付すべき保険料を除く)を納付期日までに納付しなかったとき(納付の遅延について正当な理由があると協会が認めたときを除く) 翌日
・ 疾病任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、協会に申し出た場合において、その申出が受理された日の属する月の末日が到来したとき 翌日
・ 被保険者となったとき その日
・ 健康保険の被保険者となったときその日
・ 後期高齢者医療の被保険者等となったとき その日
■ 船舶所有者は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格の取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。(船員保険法24条)
■ この場合の届出は、当該事実があった日から10日以内に、所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出することによって行うものとされている。
■ 被保険者の資格の取得及び喪失の確認、標準報酬月額及び標準賞与額の決定、届出、通知、確認の請求、被保険者の資格に関する情報の提供等の規定は健康保険法とほぼお内示である。
■ 船員保険法による職務外の事由(通勤を除く)による疾病、負傷もしくは死亡又は出産に関する保険給付は、次の通りとする。(船員保険法29条1項)
・ 療養の給付並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費及び移送費の支給
・ 傷病手当金の支給
・ 葬祭料の支給
・ 出産育児一時金の支給
・ 出産手当金の支給
・ 家族療養費、家族訪問看護療養費及び家族移送費の支給
・ 家族葬祭料の支給
・ 家族出産育児一時金の支給
・ 高額療養費及び高額監護合算療養費の支給
■ 協会は、上記の給付に併せて、政令で定めるところにより保険給付としてその他の給付(付加給付)を行うことができる。(船員保険法30条)
■ 独立行政法人等職員被保険者には船員保険法29条1項の給付及び30条の付加給付は行われない。
■ また、疾病任意継続被保険者には出産手当金の支給並びに職務上の事由(通勤含む)による傷病に係る自宅以外の場所における療養に必要な宿泊及び食事の支給は行われない。
■ 職務上の事由若しくは通勤による疾病、負傷、障害若しくは死亡又は職務上の事由による行方不明に関する保険給付は、労働者災害補償保険法の規定による保険給付のほか、次の通りとする。(船員保険法29条2項)
・ 休業手当金の支給
・ 障害年金障害手当金の支給
・ 障害差額一時金の支給
・ 障害年金差額一時金の支給
・ 行方不明手当金の支給
・ 遺族年金の支給
・ 遺族一時金の支給
・ 遺族年金差額一時金の支給
■ 主に労災保険にはもともと給付の趣旨のないものの給付又は同趣旨の給付があるが水準が労災保険を上回る給付が行われる。
■ 疾病任意継続被保険者には船員保険法29条2項の独自給付は行われない。
■ 健康保険の療養の給付に相当する給付が行われるが、船員保険独自のものとして自宅以外の場所における療養に必要な宿泊及び食事の支給(職務上の事由または通勤による疾病又は負傷についても行う)の制度がある。(船員保険法8条)
■ なお、療養の給付等を受けようとする者は、被保険者又は被保険者であった者であることについて、健康保険法と同様に、自己の選択する病院・診療所等から、電子資格確認その他厚生労働省令で定める方法(電子資格確認等)により確認をうけ、療養の給付等を受けるものとされている。
■ 船員保険法においても、健康保険法と同様に、令和2年10月1日施行の改正により、電子資格確認(オンライン資格確認)の仕組みが導入されることになった。その内容は、健康保険法と同様。(これまでと同様の被保険者証等の提出による方法も、「その他厚生労働省令で定める方法」として認められる)。また、健康保険法の「被保険者記号・番号等の利用制限等」と同様の規定も設けられた。
■ 療養の給付の対象となる傷病は、次に掲げる被保険者又は被保険者であった者の区分に応じ、当該次に定める疾病又は負傷とする。
・ イ、ウ以外の被保険者 → 職務外の事由による疾病又は負傷
・ 後期高齢者医療の被保険者等である被保険者 → 雇用契約存続中の職務外の事由による疾病若しくは負傷又はこれにより発した疾病(当該疾病又は負傷について下船後の療養補償を受けることができるものに限る。
・ 被保険者であった者 → 被保険者資格を喪失する前に発した職務外の事由による疾病若しくは負傷又はこれにより発した疾病
■ なお、被保険者であった者に対する疾病又は負傷に関する療養の給付については、健康保険法に規定するに雇い特例被保険者又はその被扶養者となった場合に限り、その資格を喪失した後の期間に係る療養の給付を行うことができる。ただし、下船後の療養補償を受けることができる場合におけるその療養補償に相当する療養の給付については、この限りでない。
■ 一部負担金は、健康保険法における一部負担金と同様である。ただし、その者が、下船後の療養補償に相当する療養の給付を受けるときは、この限りでない。
■ 休業手当金は職務上の事由又は通勤による傷病に係る療養のため労働することができず報酬を受けない日について1から3日目は標準報酬日額の全額を支給し、4日目から4月以内は労災保険の休業(補償)給付と併せて、労災保険の休業(補償)給付の給付単価を超える部分の給付が行われる。
■ 休業手当金は、被保険者又は被保険者であった者が職務上の事由又は通勤による疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき療養のため労働することができないために報酬を受けない日について、支給する。
■ 休業手当金の額は、1日につき、次のアからエの期間(ア以外の期間においては、同一の事由について労働者災害補償保険法の規定による休業補償給付又は休業給付の支給を受ける場合に限る)の区分に応じた金額とする。(船員保険法85条)
・ 療養のため労働することができないために報酬を受けない最初の3日間 → 標準報酬日額の全額
・ 療養のため労働することができないために報酬を受けない4月以内の期間(ア及びエの期間を除く) → 標準報酬日額の100分の40に相当する金額(同一の事由について労働者災害補償保険法の社会復帰促進等事業として支給が行われる給付金であって厚生労働省令で定めるものを受けることができるときは、当該給付の水準を勘案して、厚生労働省令で定める金額)
・ 療養のため労働することができないために報酬を受けない期間であって、療養を開始した日から起算して1年6月を経過した日以後の期間(ア及びエの期間を除き、労働者災害補償保険法の休業給付基礎日額の年齢階層別の最高限度額が標準報酬日額の100分の60に相当する金額より少ない場合に限る。) → 標準報酬日額から年齢階層別の最高限度額を控除した額の100分の60に相当する金額
・ 療養のため労働することができないために報酬を受けない4月以内の期間であって、療養を開始した日から起算して1年6月を経過した日以後の期間(アの期間を除き、標準報酬日額が労働者災害補償保険法の休業給付基礎日額の年齢階層別の西郷限度額より多い場合に限る) → イ及びウの合算額
■ 被保険者又は被保険者であった者が、被保険者の資格喪失前に発した職務外の事由による疾病又は負傷及びこれにより発した疾病による療養のため職務に服することができない期間、傷病手当金を支給する。
■ 傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から通算して3年間とする。
■ 健康保険等における待期の制度は設けられていない。
■ 疾病任意継続被保険者に対する傷病手当金については、疾病任意継続被保険者の資格を取得した日から起算して1年以内に発した傷病に限られる。
■ 船員保険法の休業手当金・傷病手当金については、これまでに学習してきた労災保険法の休業補償給付・健康保険法の傷病手当金と比較整理すると以下の通りとなる。
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■ 被保険者又は被保険者であった者(後期高齢者医療の被保険者等である者を除く)が出産したときは、出産育児一時金として1児につき40万8000円(一定の場合は、3万円を超えない範囲内で全国健康保険協会が定める額(1万2000円)を加算)を支給する。強制被保険者の資格喪失日前1年間において通算3月以上又は、喪失日前3年間に通算して1年以上強制被保険者であった者が、資格喪失後6月以内に出産した場合も、出産育児一時金を支給する。
■ 被保険者の出産に対して、出産の日以前において船員法87条の規定(原則として、妊娠中の女子を船内で使用してはならないという規定)により職務に服さなかった期間及び出産の日後56日以内において職務に服さなかった期間、つまり、妊娠が判明した日から出産の日後56日までの期間内で、職務に服さなかった期間、出産手当金が支給される。
■ 被扶養者が出産したときは、被保険者に対して家族出産育児一時金として1児につき40万8000円(一定の場合は、3万円を超えない範囲内で全国健康保険協会が定める額(1万2000円)を加算)を支給する。
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■ 被保険者が職務上の事由により行方不明になった場合には、被保険者が行方不明になった日の翌日から起算して3月間を限度として、被扶養者に対して行方不明手当金が支給される。支給額は、1日につき行方不明となった当時の標準報酬日額に相当する金額である。ただし、行方不明の期間が1月未満の場合は支給されない。
■ なお、行方不明手当金を受けることができる期間については、当該期間に係る遺族年金は支給されない。また、行方不明の期間に係る報酬が船舶所有者から支払われる場合は当該報酬の限度で行方不明手当金は支給されない。(船員保険法93条から96条)
■ 支給要件
・ 職務上の事由によって行方不明となり、行方不明の期間が1月以上(行方不明の期間が1月未満の場合は支給されない。)
■ 支給期間
・ 行方不明となった日の翌日から起算して3月を限度とする。(3月を経過すると、死亡の推定が行われる。被保険者の遺族に対し、迅速な保険給付を行うためである。)
■ 支給額
1日につき標準報酬日額に相当する額
報酬との調整
・ あり(報酬の額の限度において、支給しない)
■ その他
・ 行方不明手当金を受けることができる期間については、遺族年金は支給されない。
■ 葬祭料及び家族葬祭料のポイントは、次の通り(船員保険法72条・80条・令6条)
・ 葬祭料
・ 支給要件
・ 被保険者が職務外の事由により死亡したとき
・ 被保険者であった者が、その資格を喪失した後3月以内に職務外の事由により死亡したとき
・ 支給額
・ 政令で定める金額(5万円)
・ 家族葬祭料
・ 支給条件
・ 被扶養者が死亡したとき
・ 支給額
・ 政令で定める金額(5万円)
■ 葬祭料は、被保険者又は被保険者であった者により生計を維持していた者であって、総裁を行うものに対して支給される(船員保険法72条1項)
■ 葬祭料の支給を受けるべき者がない場合は、葬祭料の金額(5万円)の範囲内でその葬祭に要した費用に相当する金額の葬祭料が支給される(船員保険法72条2項)
■ 高齢者医療確保法の規定による葬祭料に相当する給付の支給があるときは、その限度において行われない。
■ 葬祭料付加金(船員保険令2条1項)
・ 船員保険法30条の付加給付として、葬祭料の支給に併せて葬祭料付加金(埋葬料)を支給する。その金額は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ定める金額とする。
・ 船員保険法72条1項の規定による葬祭料の支給に併せて支給する場合は、次の1に掲げる額から2に掲げる金額を控除した金額
・ 被保険者の資格喪失当時の標準報酬月額の2月分に相当する金額
・ 船員保険令6条に定める金額(5万円)
・ 船員保険法72条2項の規定による葬祭料の支給に併せて支給する場合は、次の1に掲げる額から2に掲げる金額を控除した金額(当該金額が零を下回る場合は零)
・ 被保険者の資格喪失当時の標準報酬月額の2月分に相当する金額の範囲内において当該葬祭に要した費用に相当する金額
・ 船員保険令6条に定める金額(5万円)
■ 家族葬祭料付加金(船員保険令2条2項)
・ 船員保険法30条の付加給付として、家族葬祭料の支給に併せて家族葬祭料付加金を支給する。その金額は、次の1に掲げる額から2に掲げる金額を控除した金額とする。
・ 当該被扶養者が死亡した当時の当該被保険者の標準報酬月額の2月分に相当する金額の100分の70に相当する金額
・ 船員保険令6条に定める金額(5万円)
■ 船員保険の財源の大部分を占める保険料は、船舶所有者及び被保険者が負担する。保険料は、被保険者の資格を取得した月から資格を喪失した月の前月までの各月につき徴収される。
■ 保険料の納付期日、育児休業期間中の保険料の免除等については健康保険と同様。(船員保険法114条から131条)
■ 船員保険の保険料率は、健康保険と同様に、「一般保険料率」と「介護保険料率」に分類される。なお、船員保険の一般保険料率は、「疾病保険料率(健康保険の一般保険料率相当)」と「災害保健福祉保険料率(船員保険独自)」とを合算して得た率とされている。
■ 上記の疾病保険料率は、「特定保険料率」と「基本保険料率」に分類される(考え方は、健康保険の一般保険料率と同様)
■ 疾病保険料率と災害保健福祉保険料率は、それぞれ次の範囲内において、協会が決定する者とされている。
・ 疾病保険料率 → 1000分の40から1000分の130までの範囲内
・ 災害保健福祉保険料率 → 1000分の10から1000分の35までの範囲内
・ 参考 健康保険の一般保険料率 → 1000分の30から100分の130までの範囲内
■ 後期高齢者医療の被保険者等である船員保険の被保険者に係る一般保険料率は、「災害保健福祉保険料率」のみとされる。そのため、当該被保険者に係る保険料額は、氷人報酬月額及び標準賞与額に災害保健福祉保険料率を乗じて算定されることとなる。
■ 被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
■ 審査請求をした日から2月以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。
■ 保険料等の賦課もしくは徴収の処分又は滞納処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。(船員保険法138条・139条)
■ 不服申し立てについては、健康保険法と同様である。
■ 保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、訪問看護療養費、療養費、移送費、傷病手当金、葬祭料、出産育児一時金、出産手当金、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族葬祭料家族出産育児一時金、高額療養費、高額介護合算療養費、休業手当金、行方不明手当金又は付加給付を受ける権利はこれを行使することができるときから2年を経過したとき、その他の保険給付を受ける権利はこれらを行使することができるときから5年を経過したときは、事項によって消滅する。(船員保険法142条)
[社一] 社会保険一般常識・重要箇所・Chapter5
児童手当法
■ この法律は、子ども・子育て支援法7条1項に規定する子ども・子育て支援の適切な実施を図るため、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、児童を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな健康に資することを目的とする。(児童手当法1条)
■ 「児童」とは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者であって、日本国内に住所を有するもの又は留学その他の内閣府令で定める理由により日本国内に住所を有しないものをいう。(児童手当法2条)
■ 内閣府令で定める理由は、留学(日本国内に住所を有しなくなった日の前日まで引き続き3年を超えて日本国内に住所を有していた者及びこれに準ずる者が教育を受けることを目的として外国に居住すること(当該日本国内に住所を有しなくなった日から3年以内のものに限り、父母等と同居する場合を除く)をいう)。(児童手当則1条)
■ 児童手当は、次のいずれかに該当する者に支給する
・ 次の1または2に掲げる児童(支給要件児童)を監護し、かつ、これと生計を同じくするその父又は母(当該支給要件児童に係る未成年後見人があるときは、その未成年後見人とする。父母等)であって、日本国内に住所を有するもの。
・ 15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童(施設入所等児童を除く。中学校修了前の児童)
・ 中学校修了前の児童を含む2人以上の児童(施設入所等児童を除く)
■ 上記の場合において、父及び母、未成年後見人並びに父母指定者のうちいずれか2以上のものが当該父及び母の子である児童を監護し、かつ、これと生計を同じくするときは、当該児童は、当該父若しくは母、未成年後見人又は父母指定者のうちいずれか当該児童の生計を維持する程度の高い者によって監護され、かつ、これと生計を同じくするものとみなす。(児童手当法4条)
■ 上記の条件に該当するものを「一般受給資格者」、エに該当する者を「施設等受給資格者」という。
■ 児童手当(施設入所等児童に係る部分を除く)は、児童手当法4条1項のいずれかに該当する者の前年の所得(1月から5月までの月分の児童手当については、前々年の所得とする)が、その者の所属税法に規定する同一生計配偶者及び扶養親族(施設入所等児童を除く。扶養親族等)並びに児童手当法1項のいずれかに該当する者の扶養親族等でない児童で1項のいずれかに該当する者が前年の12月31日において生計を維持したものの有無及び数に応じて、政令で定める額以上であるときは、支給しない。ただし、児童手当法4条1項アに該当する者が未成年後見人であり、かつ、法人であるときは、この限りでない。(児童手当法5条)
■ 所得制限の額は622万円に扶養親族等及び児童1人につき38万円(同一生計配偶者(70歳以上に限る)等があるときはその1人につき44万円)を加算した額とする。(児童手当令1条)
■ 所得制限の規定により児童手当が支給されない者に対し、当分の間、「特例給付」(法附則2条1項)が行われる。
■ 区分
・ 3歳に満たない児童
・ 3歳以上小学校修了前の児童(3歳以上12歳未満(12歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童))
・ 小学校修了後中学校修了前の児童(12歳以上15歳未満(12/15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童))
■ 児童手当支給額
・ すべてが3歳に満たない児童又は3歳以上小学校修了前の児童
・ すべてが3歳に満たない児童である場合
・ 15000円に当該3歳に満たない児童の数を乗じて得た額
・ 3歳以上小学校修了前の児童が1人又は2人いる場合
・ 15000円に当該3歳に満たない児童の数を乗じて得た額
・ 10000円に当該3歳以上小学校修了前の児童の数を乗じて得た額
・ 1と2の合算額
・ 3歳以上小学校修了前の児童が3人以上いる場合
・ 15000円に当該3歳に満たない児童の数を乗じて得た額
・ 15000円に当該3歳以上小学校修了前の児童の数を乗じて得た額
・ 10000円
・ 1と2の合算額から3を控除した額
・ 当該小学校修了後中学校修了前の児童が1人いる場合
・ すべての3歳に満たない児童又は小学校修了後中学校修了前の児童である場合
・ 15000円に当該3歳に満たない児童の数を乗じて得た額
・ 10000円に当該小学校修了後中学校修了前の児童の数を乗じて得た額
・ 1と2の合算額
・ 3歳以上小学校修了前の児童がいる場合
・ 15000円に当該3歳に満たない児童の数を乗じて得た額
・ 15000円に当該3歳以上小学校修了前の児童の数を乗じて得た額
・ 5000円
・ 10000円に当該小学校修了後中学校修了前の児童の数を乗じて得た額
・ 1と4を合算した額と2から3を控除した額を合算した額
・ 小学校修了後中学校修了前の児童が2人以上いる場合
・ 15000円に3歳に満たない児童の数を乗じて得た額
・ 15000円に3歳以上小学校修了前の児童の数を乗じて得た額
・ 10000円に小学校修了後中学校修了前の児童の数を乗じて得た額
・ 1、2、3の合算額
■ 具体例
・ 日本国内に住所を有する父が、次のように児童を監護し、その児童と生計を同じくしている場合の児童手当の額。(父の所得額は所得制限未満で、いずれの児童も、施設入所等児童ではない。)
・ 7歳、2歳、0歳(6か月)の3人の児童を監護
1箇月につき40000円
・ 第1子(7歳)10000円+第2子(2歳)15000円+0歳(6か月)15000円
・ 11歳、8歳、5歳の3人の児童を監護
・ 1か月につき35000円
・ 第1子(11歳)10000円+第2子(8歳)10000円+第3子(5歳)15000円
・ 17歳、14歳、11歳の3人の児童を監護
1箇月につき20000円
・ 第1子(17歳)0円+第2子(14歳)10000円+第3子(11歳)15000円
■ 児童手当の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講ぜられなければならない。(児童手当法6条2項)
■ 当分の間、児童手当法4条に規定する要件に該当する者(児童手当法5条1項の規定により児童手当が支給されない者に限る)に対し、国庫、都道府県及び市町村又は児童手当法18条4項各号に定める者の負担による給付(特例給付)を行う。
■ 特例給付の給付は、月を単位として支給するものとし、その額は、1月につき、5000円に中学校修了前の児童の数を乗じて得た額とする。(児童手当法附則2条)
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・ 「施設入所等児童」については、児童が3歳以上である場合、1月につき「1万円」となる。
■ 具体例
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■ 児童手当の支給要件に該当する者(児童手当法4条に係るものに限る。一般受給資格者)は、児童手当の支給を受けようとするときは、その受給資格及び児童手当の額について、住所地の市町村長(特別区の区長を含む)の認定を受けなければならない。(児童手当法7条)
■ 児童手当の支給は、受給資格者が認定の請求をした日の属する月の翌月から始め、児童手当を支給すべき事由が消滅した日の属する月で終わる。
■ 受給資格者が住所を変更した場合又は災害その他やむを得ない理由により認定の請求をすることができなかった場合において、住所を変更した後又はやむを得ない理由がやんだ後15日以内にその請求をしたときは、児童手当の支給は、受給資格者が住所を変更した日又はやむを得ない理由により当該認定の請求をすることができなくなった日の属する月の翌月から始める。
■ 児童手当は、毎年2月6月及び10月の3期に、それぞれの前月までの分を支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであった児童手当又は支給すべき事由が消滅した場合におけるその期の児童手当は、その支払期月でない期月であっても、支払うものとする。(児童手当法8条)
■ 児童手当の支給を受けている者につき、児童手当の額が増額することとなるに至った場合における児童手当の額の改定は、その者がその改定後の額につき認定の請求をした日の属する月の翌月から行う。
■ 児童手当の支給を受けている者につき、児童手当の額が減額することとなるに至った場合における児童手当の額の改定は、その事由が生じた日の属する月の翌月から行う。(児童手当法9条)
■ 児童手当の一般受給資格者が死亡した場合において、その死亡した者に支払うべき児童手当(その者が監護していた中学校修了前の児童であった者に係る部分に限る)で、まだその者に支払っていなかったものがあるときは、当該中学校修了前の児童であった者にその未支払の児童手当を支払うことができる。(児童手当法12条)
■ 児童手当を支給すべきでないにもかかわらず、児童手当の支給として支払が行われたときは、その支払われた児童手当は、その後に支払うべき児童手当の内払とみなすことができる。また、児童手当の額を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた日の属する月の翌月以降の分として減額しない額の児童手当が支払われた場合における当該児童手当の当該減額すべきであった部分についても、同様とする。(児童手当法13条)
■ 偽りその他不正の手段により児童手当の支給を受けた者があるときは、市町村長は、地方税の滞納処分の例により、受給額に相当する金額の全部または一部をその者から徴収することができる。(児童手当法14条)
■ 公務員である受給資格者に係る「認定及び支給」は、次の者が行う。(児童手当法17条)
・ 国家公務員 当該国家公務員の所属する各省各庁の長(裁判所にあっては、最高裁判所長官)又はその委任を受けた者
・ 地方公務員 当該地方公務員の所属する都道府県若しくは市町村の長又はその委任を受けた者
■ 被用者に対する児童手当の支給に要する費用(3歳未満の児童に係る児童手当の額に係る部分に限る)は、その15分の7に相当する額を事業主から徴収する拠出金をもって充て、その45分の16に相当する額を国庫が負担し、その45分の4に相当する額を都道府県及び市町村がそれぞれ負担する。
■ 被用者でない者(被用者又は公務員(施設等受給資格者である公務員を除く)に対する児童手当の支給に要する費用(当該被用者等でない者が施設等受給資格者である公務員である場合にあっては、中学修了前の施設入所等児童に係る児童手当の額に係る部分に限る)は、3分の2に相当する額を国庫が負担し、6分の1に相当する額を都道府県及び市町村がそれぞれ負担する。
■ 都道府県知事又はその委託を受けた者が認定をした地方公務員に対する児童手当の支給に要する費用は、当該都道府県が負担する。(児童手当法18条)
■ 特例給付に要する費用は、その3分の2に相当する額を国庫が負担し、その6分の1に相当する額を都道府県及び市町村がそれぞれ負担する(児童手当法附則2条3項)
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■ 「45分の37」というのは、45分の16(国の負担)に15分の7(一般事業主の拠出金)を加えた割合である。(児童手当法19条)
■ 市町村長は、児童福祉法の規定による保育料を徴収する場合において、児童手当の認定を受けた受給資格者が保育料を支払うべき扶養義務者である場合には、当該扶養義務者に児童手当の支払をする際に保育料を徴収することができる。(児童手当法22条1項)
■ 児童手当の支給を受けている一般受給資格者(個人である場合に限る)は、内閣府令で定めるところにより、市町村長に対し、前年の所得の状況及びその年の6月1日における被用者及び被用者等でない者の別を届け出なければならない。
■ 受給者は、毎年6月1日から6月30日までの間に、その年の6月1日における状況を記載した児童手当現況届を市町村長に提出しなければならないこととされている。(児童手当法26条・則4条)
■ 公務員の場合、提出先は、「当該国家公務員の所属する各省各庁の長又はその委任を受けた者」又は「当該地方公務員の所属する都道府県もしくは市町村の長又はその委任を受けた者」である。
■ 偽りその他不正の手段により児童手当の支給を受けた者は、刑法の正条があるときを除き、3年以上の懲役又は30万円以下の罰金に処する。(児童手当法31条)
■ きるときから5年を経過したときは、事項によって消滅する。(船員保険法142条)
[社一] 社会保険一般常識・重要箇所・Chapter6
社会保険労務士法
■ 社会保険労務士法は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り、もって労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする。(社労士法1条)
■ 社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。(社労士法1条の2)
■ 社会保険労務士は、次に掲げる事務を行うことを業とする。
・ 別表第Ⅰに掲げる労働及び社会保険に関する法令(労働社会保険諸法令)に基づいて申請書等(行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書、審査請求書、再審査請求書その他の書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の近くによっては認識できない方法で作られる記録であって、電子計算機による情報処理のように供されるものをいう)を作成する場合における当該電磁気的記録を含む)を作成すること。
・ 申請書等について、その提出に関する手続を代わってすること
・ 労働社会保険諸法令に基づく申請、届出、報告、審査請求、再審査請求その他の事項(厚生労働省令で定めるものに限る。申請等)について、又は当該申請等に係る行政機関等の調査もしくは処分に関し当該行政機関等に対してする主張若しくは陳述(厚生労働省令で定めるものを除く)について、代理すること(事務代理)。
・ 個別労働関係紛争(紛争の目的の価額が120万円を超える場合には、弁護士が同一の依頼人から受任しているものに限る)に関する民間紛争解決手続き(裁判外紛争解決手段の利用の促進に関する法律2条1号の規定する民間紛争手続をいう)であって、個別労働関係紛争の民間紛争解決手続の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として厚生労働大臣が指定する者が行う者について、紛争の意当事者を代理すること。
・ 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録を含み、申請者等を除く)を作成すること。
・ 事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること。
■ 上記の紛争解決代理業務は、紛争解決手続代行業務試験に合格し、かつ、社会保険労務士の登録に「紛争解決手続代理業務の付記」を受けた社会保険労務士(特定社会保険労務士)に限り、行うことができる。
■ 紛争解決手続代理業務には、次に掲げる事務が含まれる。
・ あっせんの手続及び調停の手続、あっせんの手続並びに厚生労働大臣が指定する団体が行う民間紛争解決手続(紛争解決手続)について相談に応ずること。
・ 紛争解決手続の開始から終了に至るまでの間に和解の交渉を行うこと
・ 紛争解決手続により成立した和解における合意を内容とする契約を締結すること。
■ 3に掲げる事務には、その事務を行うことが他の法律において制限されている事務並びに労働社会保険諸法令に基づく療養の給付及びこれに相当する給付の費用についてこれらの給付を担当する者のなす請求に関する事務は含まれない。(社労士法2条)
■ 医療機関における医療費(診療報酬)の請求事務のことである。従って、これは社会保険料労務士が行う事務に含まれない。
■ 平成14年改正により、社会保険労務士の業務に「あっせん代理」(現在は紛争解決手続代理業務)が追加された。これは社会保険労務士の独占業務である。平成18年改正からは、この紛争解決手続代理業務は、原則として、特定社会保険労務士に限り行うこととされた。なお、独立行政法人農業者年金基金法、児童扶養手当法、労働組合法、労働関係調整法、確定拠出年金法、確定給付企業年金法等は、労働社会保険諸法令に含まれていない。
■ 特定社会保険労務士とは、社会保険労務士であって紛争解決手続代理業務試験に合格し、その旨の付記をうけ、特定社会保険労務士証票の交付を受けたもの。
■ 社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。
■ 上記の陳述は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が上記の陳述を直ちに取消し、又は更生したときは、この限りでない。(社労士法2条の2)
■ 社会保険労務士法人が補佐人制度に係る事務の委託を受けることができることについても規定されている(社労士法25条の9の2)
■ 社会保険労務士又は社会保険労務士法人は、それぞれ次に掲げる事務を受任しようとする場合には、あらかじめ、依頼をしようとする者に対し、報酬額の算定の方法その他の報酬の基準を示さなければならない。
・ 社会保険労務士は、社労士法2条1項各号に掲げる事務並びに同法2条の2第1項に規定する出頭及び陳述に関する事務
・ 社会保険労務士法人は、社労士法2条1項1号から1号の3まで、2号及び3号に掲げる事務、同法25条の9第1項各号に掲げる業務に関する事務並びに同法25条の9の2の規定により委託される業務
■ 社会保険労務士又は社会保険労務士法人が、社労士法2条の2及び25条の9の2に規定する出頭及び陳述に関する事務を受任しようとする場合の役務の提供については、特定商取引に関する法律が定める規制の適用除外となる(特定商取引に関する法律施行令5条・別表第2)
■ 次のいずれかに該当する者は、社会保険労務士法3条の規定にかかわらず、社会保険労務士になる資格を有しない。(社労士法5条)
・ 未成年者
・ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ないもの
・ 懲戒処分により社会保険労務士の失格処分を受けた者で、その処分を受けた日から3年を経過しないもの
・ 社会保険労務士法又は労働社会保険諸法令の規定により罰金以上の刑に処せられた者で、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過しないもの
■ 厚生労働大臣は、不正の手段によって社会保険労務士試験を受け、又は受けようとした者に対しては、合格の決定を取り消し、又はその試験を受けることを禁止することができる。
■ 連合会(全国社会保険労務士連合会)は、試験事務の実施に関し上記の厚生労働大臣の権限(社会保険労務士試験を受けることを禁止することに限る)を行使することができる。(社労士法13条)
■ 連合会が、試験事務の実施に関し行使できる権限は、試験を受けることを禁止することだけで、合格の決定を取り消すことまではできない。
■ 連合会が行う試験事務に係る処分又はその不作為について不服がある者は、厚生労働大臣に対して審査請求をすることができる。この場合において、厚生労働大臣は、行政不服審査法25条2項及び3項、46条1項及び2項、47条並びに49条3項の規定の適用については、連合会の上級行政庁とみなす。(社労士法13条の2)
■ 社会保険労務士となる資格を有する者が社会保険労務士になるには、社会保険労務士名簿に、氏名、生年月日、住所その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けなければならない。(社労士法14条の2)
■ 社会保険労務士名簿は、連合会に備える。
■ 社会保険労務士名簿の登録は、連合会が行う。(社労士法14条の3)
■ 登録申請のまとめ
・ 開業社会保険労務士になろうとする者は、その者を設けようとする事務所の所在地の属する都道府県の社会保険労務士会を経由
・ 勤務社会保険労務士になろうとする者は、その者の勤務する事業所の所在地の属する都道府県の社会保険労務士会を経由
・ 社会保険労務士になろうとする者で、上記以外の者は、その者の住所の所在地の属する都道府県の社会保険労務士会を経由
■ 次のいずれかに該当する者は、社会保険労務士の登録を受けることができない。
・ 懲戒処分により、弁護士、公認会計士、税理士又は行政書士の業務を停止された者で、現にその処分を受けているもの(社労士法14条の7)
■ 社会保険労務士の登録の申請をした者は、申請を行った日から3月を経過しても何らの処分がなされない場合には、当該登録を拒否されたものとして、厚生労働大臣に対し審査請求をすることができる。この場合においては、審査請求のあった日に、連合会が当該登録を拒否したものとみなす。(社労士法14条の8)
■ 連合会は、社会保険労務士の登録をうけた者が、次のいずれかに該当するときは、社会保険労務士法25条の37に規定する資格審査会の議決に基づき、当該登録を取り消すことができる。(社労士法14条の9)
・ 登録を受ける資格に関する重要事項について、告知せず又は不実の告知を行って当該登録を受けたことが判明したとき
・ 心身の故障により社会保険労務士の業務を行うことができないものに該当したとき。
2年以上継続して所在が不明であるとき。
■ 連合会は、社会保険労務士が次のいずれかに該当したときは、遅滞なく、その登録を抹消しなければならない。(社労士14条の10)
・ 登録の抹消の申請があったとき。
・ 死亡したとき。
・ 社会保険労務士法14条の9第1項の登録の取消の処分を受けたとき。
■ 紛争解決手続代理業務の付記及びその付記の抹消についても、同様に広告しなければならない。
■ 社会保険労務士の登録が抹消されたときは、その者、その法定代理人又はその相続人は、遅滞なく、社会保険労務士証票又は特定社会保険労務士証票を連合会に返還しなければならない。社会保険労務士が社会保険労務士法25条の2(不正行為の指示灯を行った場合の懲戒)又は社会保険労務士法25条の3(一般の懲戒)の規定により業務の停止の処分を受けた場合においても、同様である。(社労士法14条の12)
■ 不正行為の指示等の禁止(社労士法15条)に違反した場合には、3年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられる。(社労士法上最も重たい罰則)
■ 社会保険労務士は、社会保険労務士の信用又は品位を害すような行為をしてはならない。(社労士法16条)
■ 社会保険労務士は、社会保険労務士会及び連合会が行う研修を受け、その資質の向上を図るよう努めなければならない。(社労士法16条の3)
■ 社会保険労務士又は社会保険労務士法人は、申請書等(厚生労働省令で定めるものに限る)で他人が作成したものにつき相談を受けてこれを審査した場合において、当該申請書等が労働社会保険諸法令に従って作成されていると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、その審査した事項及び当該申請書等が労働社会保険諸法令の規定に従って作成されている旨を、書面に記載して当該書面を当該申請書等に添付し、又は当該申請書等に付記することができる。
■ 社会保険労務士又は社会保険労務士法人が、上記により添付又は付記をしたときは、当該添付又は付記に係る社会保険労務士は、当該添付書面又は当該付記の末尾に社会保険労務士である旨を付記した上で、記名しなければならない。(社労士法17条)
■ 厚生労働省令で定める申請書等(社労士則13条1項)
・ 適用事業報告(労働基準法)
・ 雇用保険被保険者資格取得届、雇用保険被保険者資格喪失届及び雇用保険被保険者離職証明書、雇用保険被保険者転勤届、雇用保険被保険者氏名変更届、個人番号変更届、雇用保険被保険者休業開始時賃金証明書、雇用保険補保険者60歳到達時賃金証明書、雇用保険適用事業所設置(廃止)届並びに雇用保険事業主事業所各種変更届
・ 保険関係成立届及び名称・所在地等変更届
・ 健康保険被保険者報酬月額算定基礎届
・ 厚生年金保険被保険者月額算定基礎額
■ 他人の求めに応じ報酬を得て、社会保険労務士2条に規定する事務を業として行う社会保険労務士(開業社会保険労務士)は、その業務を行うための事務所を2以上設けてはならない。ただし、特に必要がある場合において厚生労働大臣(地方厚生局及び都道府県労働局長に権限委任)の許可を受けたときは、この限りでない。(社労士法18条)
■ 社会保険労務士法人は、事務所を複数設けることができる(厚生労働大臣の許可は不要)
■ 社会保険労務士法人の社員が開業社会保険労務士となり事務所を設けることはできない。
■ 開業社会保険労務士は、その業務に要する帳簿を備え、これに事件の名称、依頼を受けた年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所及び氏名又は名称その他厚生労働大臣が定める事項を記載しなければならない。
■ 開業社会保険労務士は、上記の帳簿をその関係書類とともに、帳簿閉鎖の時から2年間保存しなければならない。開業社会保険労務士でなくなった時も、同様とする。(社労士法19条)
■ 厚生労働大臣が定める事項とは、「事件の概要」とされている(社労士則15条)
■ 開業社会保険労務士は、正当な理由がある場合でなければ、依頼(紛争解決手続代理業務に関するものを除く)を拒んではならない。(社労士法20条)
■ 正当な理由がある場合、又は、紛争解決手続代理業務に関するものについては、依頼を拒むことができる。
■ 開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員は、正当な理由がなくて、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員でなくなった後においても、また同様とする。(社労士法21条)
■ 社会保険労務士は、名称の使用制限又は業務の制限の規定に違反する者から事件のあっせんを受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。(社労士法23条の2)
■ 厚生労働大臣は、開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該開業社会保険労務士もしくは社会保険労務士法人に対し、その業務に関する必要な報告を求め、又はその職員をして当該開業社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人に質問紙、もしくはその業務に関係のある帳簿書類(電磁的記録を含む)を検査させることができる。(社労士法24条)
■ 社会保険労務士に対する懲戒処分は、次の3種とする。(社労士法25条)
・ 戒告
1年以内の開業社会保険労務士もしくは開業社会保険労務士の使用人である社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員若しくは使用人である社会保険労務士の業務の停止
・ 失格処分(社会保険労務士の資格を失わせる処分をいう)
■ 厚生労働大臣は、社会保険労務士が、故意に、真正の事実に反して申請書等の作成、事務代理若しくは紛争解決手続代理業務を行ったとき、又は社会保険労務士法15条の規定(不正行為の指示等の禁止)に違反する行為をしたときは、1年以内の開業社会保険労務士若しくは開業社会保険労務士の使用人である社会保険労務士もしくは社会保険労務士法人の社員もしくは使用人である社会保険労務士の業務の停止又は失格処分の処分をすることができる。
■ 厚生労働大臣は、社会保険労務士が、相当の注意を怠り、上記の行為をしたときは、戒告又は1年以内の開業社会保険労務士若しくは開業社会保険労務士の使用人である社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人の社員もしくは使用人である社会保険労務士の業務の停止の処分をすることができる。(社労士法25条の2)
■ 厚生労働大臣は、社会保険労務士法25条の2に該当する場合を除くほか、社会保険労務士が、次に掲げる行為をしたときは、社会保険労務士法25条(懲戒の種類)に規定する懲戒処分をすることができる。(社労士法25条の3)
・ 社会保険労務士法17条(審査事項等を記載した書面の添付等)の規定により添付する書面又は付記を虚偽の記載をしたとき
・ 社会保険労務士法及びこれに基づく命令もしくは労働社会保険諸法令の規定に違反したとき
・ 社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があったとき
■ 社労士法25条の30において「社会保険労務士は、所属社会保険労務士会の会則を守らなければならない」と規定されているので、社会保険労務士が当該社労士法の規定に違反したとき、厚生労働大臣は、懲戒処分をすることができる。
■ 社会保険労務士会又は連合会は、社会保険労務士会の会員について、懲戒の事由に規定する行為又は事実があると認めるときは、厚生労働大臣に対し、当該会員の氏名及び事業所の所在地並びにその行為又は事実を通知しなければならない。
■ 何人も、社会保険労務士について、懲戒の事由に規定する行為又は事実があると認めたときは、厚生労働大臣に対し、当該社会保険労務士の氏名及びその行為又は事実を通知し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。(社労士法25条の3の2)
■ 厚生労働大臣は、社会保険労務士法25条の2又は25条の3の規定による戒告又は業務の停止の懲戒処分をしようとするときは、行政手続法13条1項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
■ 厚生労働大臣は、社会保険労務士法25条の2又は25条の3の規定による懲戒処分に係る聴聞を行うに当たっては、その期日の一週間前までに、行政手続法15条1項の規定による通知をし、かつ、聴聞の期日又は場所を公示しなければならない。
■ 上記の聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。(社労士法25条の4)
■ 厚生労働大臣は、社会保険労務士法25条の2(不正行為の指示等を行った場合の懲戒)又は25条の3(一般の懲戒)の規定により懲戒処分をしたときは、遅滞なく、その旨を、その理由を付記した書面により当該社会保険労務士に通知するとともに、官報をもって公告しなければならない。(社労士法25条の5)
■ これまで、社会保険労務士法人の設立には2以上の社員が必要であったが、平成28年1月1日を施行日として、社員が1人の社会保険労務士法人の設立等を可能とするための改正が行われた。(社労士法25条の6)
■ 社会保険労務士法人の社員は、社会保険労務士でなければならない。(社労士法25条の8)
■ ここでいう「社員」とは、使用人又は従業員という意味ではなく、経営責任者という意味である。
■ 社会保険労務士法人は、社会保険労務士法2条1項1号から1号の3まで、2号及び3号に掲げる業務を行うほか、定款で定めるところにより、次に掲げる業務を行うことができる。
・ 社会保険労務士法2条に規定する社会保険労務士の業務に準ずるものとして厚生労働省令で定める業務の全部又は一部
・ 紛争解決手続代理業務
■ 紛争解決手続代理業務は、社員のうち特定社会保険労務士がある社会保険労務士法人に限り、行うことができる。(社労士25条の9)
■ 社労士法2条に規定する業務に準ずるものとして厚生労働省令で定める業務(社会保険労務士則17条の3)
・ 事務所の労働者に係る賃金の計算に係る事務(その事務を行うことが他の法律において制限されているものを除く)を業として行う業務
・ 労働者派遣法に規定する労働者派遣事業(その事業を行おうとする社会保険労務士法人が同法5条1項に規定する許可をうけて行うものであって、当該社会保険労務士法人の使用人である社会保険労務士が労働者派遣の対象となり、かつ、派遣先が開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人(次の1から4のいずれかに該当するものを除く)であるものに限る)
・ 当該労働者派遣事業を行おうとする社会保険労務士法人が紛争解決手続代理業務を行っている事件の相手方から当該事件に関する協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人
・ 当該労働者派遣事業を行おうとする社会保険労務士法人が紛争解決手続代理業務を行っている事件の相手方から当該事件に係る協議を受けた開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人であって、その受けた協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
・ 当該労働者派遣事業を行おうとする社会保険労務士法人が紛争解決手続代理業務を行っている事件の相手方に係る他の事件について、当該相手方からの依頼により受任している開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人(当該労働者派遣事業を行おうとする社会保険労務士法人が紛争解決手続代理業務を行っている当該事件の当事者双方が、当該労働者派遣事業を行おうとする社会保険労務士法人が当該開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人に労働者を派遣することに同意した場合における当該開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人を除く)
・ 当該労働者派遣業務を行おうとする社会保険労務士法人が法25条の17第4号の規定により、その業務または紛争解決手続代理業務をおこなってはならないこととされる事件について、その業務又は紛争解決手続代理業務を行っている開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人
■ 社会保険労務士法25条の9第1項に規定するもののほか、社会保険労務士法人は、同法2条の2第1項の規定により社会保険労務士が処理することができる事務を当該社会保険労務士法人の社員又は使用人である社会保険労務士(社員等)に行わせる事務の委託を受けることができる。この場合において、当該社会保険労務士法人は、委託者に、当該社会保険労務士法人の社員等のうちからその補佐人を選任させなければならない。(社労士法25条の9の2)
■ 社会保険労務士法人は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によって、定款を変更することができる。なお、社会保険労務士法人は、定款を変更したときは、変更の日から2週間以内に、変更に係る事項を、主たる事務所の所在地の社会保険労務士法人会を経由して、連合会に届け出なければならない。(社労士法25条の14)
■ 社会保険労務士法人の財産をもってその債務を完済することができないときは、各社員は、連帯して、その弁済の責任を負う。(社労士法25条の15の3)
■ 社会保険労務士法人の事務所には、その事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会の会員である社員を常駐させなければならない。(社労士法25条の16)
■ 社会保険労務士法人の社員は、自己又は第三者のためにその社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行い、又は他の社会保険労務士法人の社員となってはならない。(社労士法25条の18)
■ 清算人は、社員の死亡により社員の死亡に該当するに至った場合に限り、当該社員の相続人の同意を得て、新たに社員を加入させて社会保険労務士法人を継続することができる。(社労士法25条の22の2)
■ 社会保険労務士は、所属社会保険労務士会の会則を守らなければならない。(社労士法25条の30)
■ 社会保険労務士会は、所属の社会保険労務士又は社会保険労務士法人が社労士法若しくは社労士法に基づく命令又は労働社会保険諸法令に違反するおそれがあると認めるときは、会則に定めるところにより、当該社会保険労務士又は社会保険労務士法人に対しても、注意を促し、又は必要な措置を講ずるべきことを勧告することができる。(社労士法25条の33)
■ 厚生労働大臣(社会保険労務士会に係る権限については、地方厚生局長等及び都道府県労働局長に委任)は、社会保険労務士会又は連合会の適正な運営を確保するため必要があるときは、これらの団体から報告を徴し、その行う業務について勧告し、又は当該職員をしてこれらの団体の業務の状況もしくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。(社労士法25条の49)
■ 連合会に、資格審査会を置く
■ 委員は、会長が、厚生労働大臣の承認を受けて、社会保険労務士、労働又は社会保険の行政事務に従事する職員及び学識経験者のうちから委嘱する。(社労士法25条の37)
■ 社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、社会保険労務士法2条1項1号から2号までに掲げる事務を業として行ってはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務(公認会計士又は外国公認会計士が行う公認会計士法に規定する一定の業務、税理士又は税理士法人が行う税理士法に規定する一定の業務)に付随して行う場合は、この限りでない。(社労士法27条)
■ 社会保険労務士又は社会保険労務士法人以外の者は、原則として、業として他人の求めに応じ、報酬を得て、これらの業務等を行うことはできない。
・ 申請書等の作成事務(1号)
・ 提出代行事務(1号の2)
・ 事務代理(1号の3)
・ 紛争解決手続代理業務(1号の4から1号の6)
・ 帳簿書類の作成事務(2号)
■ 社会保険労務士の専業業務ではない。
・ 相談・指導(3号)
■ 開業社会保険労務士法又は社会保険労務士法人の使用人その他の従業者は、正当な理由がなくて、その業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の使用にその他の従業者でなくなった後においても、また同様とする。(社労士27条の2)
■ 本条の違反は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。
■ 次に掲げる厚生労働大臣の権限が、地方厚生局長等及び都道府県労働局長に委任されている(社労士則34条)
・ 開業社会保険労務士が2以上の事務所を設ける場合の許可の権限
・ 開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人に対する報告徴収及び事務所立入検査の権限
・ 懲戒事由の通知等に関する権限
・ 社会保険労務士会の設立及び会則の認可の権限
・ 総会の決議の取消の命令及び役員の解任の命令の権限(社会保険労務士会に係るものに限る)
・ 一般的監督等に係る報告徴収、勧告及び検査の権限(社会保険労務士会に係るものに限る)
3年以下の懲役又は200万円以下の罰金
・ 不正行為の指示等の禁止(社労士法25条の20の社会保険労務士の義務等に関する規定の準用において準用する場合を含む)の規定に違反した者
1年以下の懲役
・ 偽りその他不正の手段により社会保険労務士名簿に登録を受けた者
・ 秘密を守る義務又は開業社会保険労務士の使用人等の秘密を守る義務の規定に違反した者
・ 非社会保険労務士との提携の禁止の規定に違反した者
・ 不正行為の指示等を行った場合の懲戒、一般の懲戒、又は違反行為等についての処分の規定による業務停止の処分に違反した者
・ 試験事務(「紛争解決手続」代理業務試験事務を含む)に関して知り得た秘密を守る義務に違反した者
・ 業務の制限の規定に違反した者
■ 100万円以下の罰金
・ 帳簿の備付け及び保存の規定に違反した者
・ 依頼に応ずる義務の規定に違反した者
・ 名称の使用制限の規定に違反した者
■ 最も重い罰則は、「不正行為の指示の禁止(社労士法15条)の規定に違反」した場合の、「3年以下の懲役又は200万円以下の罰金」である。
■ 法人の代表者又は法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、社会保険労務士法32条(不正行為の指示の禁止)、32条の2第1項3号(非社会保険労務士との提携の禁止)、4号(業務停止処分)、6号(業務の制限)等に関する違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、罰金刑を科する(社労士法36条)
■ 社会保険法16条(信用失墜行為の禁止)の規定について、罰則は設けられていない。
[社一] 社会保険一般常識・重要箇所・Chapter7
確定給付企業年金法・確定拠出年金法
■ 労使が合意した年金規約に基づき、企業の事業主と信託会社、生命保険会社等が契約を結び母体企業の外で年金資産を管理・運用する規約型企業年金と、母体企業とは別の法人格を持った基金を設立した上で、基金において年金基金の管理・運用し、年金給付を行う(厚生年金の代行は行わない)基金型企業年金の二つの形態がある。
■ 確定給付企業年金法は、以下のような受給権の保護のための規定が整備されている。
・ 積立義務
・ 年金試算の積立基準を設定するとともに、財政再計算、財政検証や積立不足の解消の規定
・ 受託者責任
・ 事業主など企業年金の管理・運営にかかわる者について、加入者等に対する責任及び行為準則を明確化
・ 情報開示
・ 事業主等は、業務の概況について加入者等への情報開示及び厚生労働大臣への報告義務
■ 確定給付企業年金法は、少子高齢化の進展、産業構造の変化等の社会経済情勢の変化に鑑み、事業主が従業員と給付の内容を約し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができるようにするため、確定給付企業年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相俟って国民生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。(確定給付企業年金法1条)
■ 確定給付企業年金法において「確定給付企業年金」とは、厚生年金適用事業所の事業主が、単独で又は共同して、規定に基づいて実施する年金制度をいう。
■ この法律において「厚生年金保険の被保険者」とは、厚生年金保険の被保険者(厚生年金保険法2条の5第1項1号に規定する第1号厚生年金被保険者又は同項4号に規定する第4号厚生年金被保険者に限る)をいう。(確定給付企業年金法2条)
■ 構成年員適用事業所の事業主は、確定給付企業年金を実施しようとするときは、確定給付企業年金を実施しようとする厚生年金適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の過半数で組織する労働組合があるときは当該労働組合、当該厚生年金保険緒被保険者の過半数で組織する労働組合がないときは当該厚生年金保険の被保険者の過半数を代表する者の同意を得て、確定給付企業年金に係る規約(規約)を作成し、次のア又はイのいずれかに掲げる手続をとらなければならない。
・ 当該規約について厚生労働大臣の承認を受けること
・ 企業年金基金(基金)の設立について厚生労働大臣の認可を受けること
■ 確定給付企業年金は、一の厚生年金適用事業所について一に限り実施することができる。(確定給付企業年金法3条)
■ 加入者である期間(加入者期間)を計算する場合には、月によるものとし加入者の資格を取得した月から加入者の資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。ただし、規約で別段の定めをした場合にあっては、この限りでない。(確定給付企業年金法28条)
■ 事業主(基金を設立して実施する確定給付企業年金(基金額企業年金)を実施するに当たっては、基金。事業主等)は、次に掲げる給付を行うものとする。(確定給付企業年金法29条)
・ 老齢給付金
・ 脱退一時金
■ 事業主等は、規約で定めるところにより、上記に掲げる給付に加え、次に掲げる給付を行うことができる。
・ 障害給付金
・ 遺族給付金
■ 年金給付の支給期間及び支給期月は、政令で定める基準に従い規約で定めるところによる。ただし、終身又は5年以上にわたり、毎年1回以上定期的に支給するものでなければならない。(確定給付企業年金法33条)
■ 支給方法
・ 老齢給付金→年金(規約により全部又は一部を一時金として支給可能)
・ 障害給付金→規約により年金又は一時金
・ 遺族給付金→規約により年金又は一時金
■ 給付を受ける権利(受給権)は、その権利を有する者(受給権者)の請求に基づいて、事業主等が裁定する。(確定給付企業年金法30条)
■ 裁定権者について
・ 規約型→事業主
・ 基金額→基金
■ 老齢給付金(年金)は雑所得、脱退一時金は退職所得、遺族給付金は相続税の対象となる。
■ 老齢給付金は、加入者又は加入者であった者が、規約で定める老齢給付金を受けるための要件を満たすこととなったときは、その者に支給するものとする。
■ 上記に規定する規約で定める要件は、次に掲げる要件(老齢給付金支給開始要件)を満たすものでなければならない。
・ 60歳以上70歳以下の規約で定める年齢に達したときに支給するものであること
・ 政令で定める年齢以上アの規約で定める年齢に達した日以後に実施事業所に使用されなくなった時に支給する者であること(規約において当該状態に至ったときに老齢給付金を支給する旨が定められている場合に限る)
■ 上記イの政令で定める年齢は50歳未満であってはならない。
■ 規約において、20年を超える加入者期間を老齢給付金の給付を受けるための要件として定めてはならない。(確定給付企業年金法36条)
■ 老齢給付金の受給権者が、障害給付金を支給されたときは、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、老齢給付金の額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる(確定給付企業年金法39条)
■ 老齢給付金の受給権は、次のいずれかに該当することとなったときは、消滅する。(確定給付企業年金法40条)
・ 老齢給付金の受給権者が死亡したとき
・ 老齢給付金の支給期間が終了したとき
・ 老齢給付金の全部を一時金として支給されたとき。
■ 脱退一時金を受けるための要件として、規約において、3年を超える加入者期間を定めてはならない。(確定給付企業年金法41条)
■ 事業主は、給付に関する事業に要する費用に充てるため、規約で定めるところにより、年1回以上、定期的に掛金を拠出しなければならない。
■ 加入者は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、上記の掛金の一部を負担することができる。(確定給付企業年金法55条)
■ なお、適格退職年金制度と同様に、掛金のうち事業主負担分については全額損金算入され、従業員負担分については生命保険料控除の適用対象となる。
■ 事業主等は、少なくとも5年ごとに確定給付企業年金法57条の基準に従って掛金の額を再計算しなければならない。(確定給付企業年金法58条)
■ 事業主等は、毎事業年度の末日において、給付に充てるべき積立金(積立金)を積み立てなければならない。(確定給付企業年金法59条)
■ 事業主等は、毎事業年度の決算において、積立金の額が確定給付企業年金法60条に規定する責任準備金の額及び最低積立基準額を上回っているかどうかを計算しなければならない。(確定給付企業年金法61条)
■ 積立不足に伴う掛金の再計算及び拠出
・ 積立金<責任準備金の額→法57条の基準に従い掛金の再計算
・ 積立金<最低積立基準額→下回った額を基準として掛金の拠出
■ 確定給付企業年金法の弾力的な運営等を図るため、平成29年1月1日を施行日として、確定給付企業年金法に基づく政省令が改正されました。この改正により、掛金拠出の弾力化、柔軟で弾力的な給付設計を可能とする規定が設けられました。試験対策としては、概要を知っておくことが重要だと思われます。
■ 確定給付企業年金(移換元確定給付企業年金)の中途脱退者(当該確定給付企業年金の加入者の資格を喪失した者(規定で定める脱退一時金を受けるための要件を満たす場合に限る)は、他の確定給付企業年金(移換先確定給付企業年金)の加入者の資格を取得した場合であって、移管先確定給付企業年金の規約において、あらかじめ、移換元確定給付企業年金の資産管理運用機関から脱退一時金の額に相当する額の移換を受けることができる旨が定められているときは、移換元確定給付企業年金の事業主等に脱退一時金相当額の移換を申し出ることができる。(確定給付企業年金法81条の2)
■ 従来は、老齢給付金の受給要件のうち期間要件を満たしている場合には脱退一時金相当額の移換はできませんでしたが、平成30年5月1日施行の改正によって、そのような方のうち老齢給付金の支給開始年齢に達していない方は、脱退一時金相当額の移換が可能となりました。
■ 平成16年改正により、転職先の制度が厚生年金基金、他の確定給付企業年金、確定拠出企業年金、企業年金連合会のいずれであっても、あらかじめ、規約によって移換を受けることができる等の旨が定められている場合には、他の企業年金の事業主等に脱退一時金相当額等の移換を申し出ることができるようになった。
■ さらに、平成30年5月1日施行の改正によって、
・ 「企業型・個人型の確定拠出年金→確定給付企業年金」の個人別管理資産の移換が可能となった
・ また、以下の積立金の移換も可能となった。ただし、実施事業所の合併等に伴う場合に限られる。
・ 「確定給付企業年金→中小企業退職金共済(独立行政法人勤労者退職金共済機構)」
・ 「企業型の確定拠出年金→中小企業退職金共済(独立行政法人勤労者退職金共済機構)」
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■ 基金型と規約型の違いは、実施要件であり、対象者、給付内容、掛金の拠出などについて違いはありません。
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■ 事業者等は、確定給付企業年金の中途脱退者及び法91条の20第1項に規定する修了制度加入者当に係る老齢給付金の支給を共同して行うとともに、法91条の26及び91条の27に規定する積立金の移換を円滑に行うため、企業年金連合会(連合会)を設立することができる。
■ 連合会は、全国を通じて1個とする。(確定給付企業年金法91条の2)
■ 連合会を設立するためには、その館員となろうとする20以上の事業主等が発起人とならなければならない。(確定給付企業年金法91条の5)
■ 平成25年の厚生年金保険法等の改正(新規の厚生年金基金の設立を認めないこととする改正)により、企業年金連合会に関する規定は、確定給付企業年金法に置かれることとなった。
■ しかし、現在は、同改正前の厚生年金保険法の規定により設立された企業年金連合会が「存続連合会」としてなお存続している。(平成25年改正法附則37条)
■ 存続連合会は、確定給付企業年金法に基づく新たな企業年金連合会の成立の時において、解散することとされているが、その時期は未定である。(平成25年改正法附則70条1項)
■ 確定拠出年金は、拠出された掛金が個人ごとに明確に区分され、加入者自らが資産の運用を行い、その結果により給付額が決定される年金である。事業主がその従業員を対象として確定拠出型の企業年金を行う企業型年金と、国民年金基金連合会が実施する自営業者等や企業の従業員のうち企業年金のない者が加入できる個人型年金の二つの形態がある。
■ 企業型年金の場合は事業主が、個人型年金の場合は加入者個人が拠出限度額の範囲内で掛金を拠出する。拠出された掛金は、加入者ごとに積み立てられ、その運用の指図は加入者自らが行う。給付の額は、掛金とその運用収益によって決まり、老齢給付金、障害給付金などの給付が支給される。また、加入者が転職又は離職した場合には、転職先企業の企業型年金又は国民年金基金連合会が実施する個人型年金(転職先企業において企業型年金がないとき)に年金資産の移換が行われ、いわゆるポータビリティが確保されている。平成17年10月以降は確定拠出年金以外の企業年金からも移管することが可能となった。
■ 確定拠出年金法は、少子高齢化の進展、高齢期の生活の多様化等の社会経済情勢の変化にかんがみ、個人又は事業主が拠出した資金を個人が自己の責任において運用の指図を行い、高齢期においてその結果に基づいて給付を受けることができるようにするため、確定拠出年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって、公的年金の給付と相俟って国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。(確定拠出年金法1条)
■ 「確定拠出年金」とは、企業型年金及び個人型年金をいう。
■ 「企業型年金」とは、厚生年金適用事業所の事業主が、単独で又は共同して、実施する年金制度をいう。
■ 「個人型年金」とは、国民年金基金連合会が実施する年金制度をいう。
■ 「厚生年金保険の被保険者」とは、60歳未満の厚生年金保険の被保険者をいい、「第1号等厚生年金被保険者」とは、厚生年金保険の被保険者のうち厚生年金保険法2条の5第1項1号に規定する第1号厚生年金被保険者又は同項4号に規定する第4号厚生年金被保険者をいう。
■ 「個人型年金加入者」とは、個人型年金において、掛金を拠出し、かつ、その個人別管理資産について運用の指図を行う者をいう。(確定拠出年金法2条)
■ 掛金の拠出主体
・ 企業型年金 → 事業主(又は事業主及び加入者)
・ 個人型年金 → 加入者
■ 簡易企業型年金は、平成30年5月施行の改正で創設されたものである。設立条件を一定程度パッケージ化された制度とすることで、設立時に必要な書類等を削減して設立手続きを緩和するとともに、制度運営についても負担の少ないものにするなど、中小企業向けにシンプルな制度設計とした企業型の確定拠出年金です。令和2年10月施行の改正で対象となる中小企業の範囲が拡大されました。
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■ 事業主は、政令で定めるところにより、運営管理業務の全部又は一部を確定拠出年金運営管理機関に委託することができる。(確定拠出年金法7条)
■ 企業型年金加入者の資格を取得した月にその資格を喪失した者は、その資格を取得した日にさかのぼって、企業型年金加入者でなかったものとみなす。(確定拠出年金法12条)
■ 企業型年金加入者である期間(企業型年金加入者期間)を計算する場合には、月によるものとし、企業型年金加入者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。(確定拠出年金法14条)
■ 事業主は、政令で定めるところにより、年1回以上、定期的に掛金を拠出する。
■ 事業主掛金の額は、企業型年金規約で定めるものとする。ただし、簡易企業型年金に係る事業主掛金の額については、政令で定める基準に従い企業型年金規約で定める額とする。
■ 企業型年金加入者は、政令で定める基準に従い企業型年金規約で定めるところにより、年1回以上、定期的に自ら掛金を拠出することができる。
■ 企業型年金加入者掛金の額は、企業型年金規約で定めるところにより、企業型年金加入者が決定し、又は変更する。(確定拠出年金法19条)
■ 確定拠出年金法19条1項の規定による掛金の拠出は、企業型年金加入者期間の計算の基礎となる期間につき、12月から翌年11月までの12月間(企業型年金加入者がこの間に、その資格を取得した場合にあってはその資格を取得した月から起算し、その資格を喪失した場合にあってはその資格を喪失した月の前月までの期間。企業型掛金拠出単位期間)を単位として拠出するものとする。ただし、企業型年金規約で定めるところにより、企業型掛金拠出単位期間を区分して、当該区分した期間ごとに拠出することができる。(確定拠出年金則10条の2)
■ 確定拠出年金法19条2項但書の政令で定める基準は、事業主掛金が定額であることとする。(確定拠出年金則10条の3)
■ 確定拠出年金法10条3項の規定による掛金の拠出は、企業型年金加入者期間の計算の基礎となる期間につき、企業型掛金拠出単位期間を単位として拠出することができる。ただし、企業型年金規約で定めるところにより、企業型掛金拠出単位期間を区分して、当該区分した期間ごとに拠出することができる。(確定拠出年金則10条の4)
■ 企業型年金加入者が掛金を拠出する場合にあっては、企業型年金加入者掛金の額の決定又は変更の方法その他その拠出に関する事項を、企業型年金に係る規約において定めなければならない。
■ 企業型年金加入者掛金の額を決定・変更するのは、「企業型年金加入者」である。
■ 企業型年金加入者掛金の額は、原則として、年1回変更することができる。
■ 各企業型年金加入者に係る1年間の事業主掛金の額(企業型年金加入者が企業型年金加入者掛金を拠出する場合にあっては、事業主掛金の額と企業型年金加入者掛金の額との合計額)の総額は、拠出限度額(1年間に拠出することができる事業主掛金の額の総額の上限として、企業型年金加入者の確定給付企業年金の加入者の資格の有無等を勘案して政令で定める額をいう)を超えてはならない。
■ この政令で定める額(拠出限度額)は、企業型年金加入者期間(他の企業型年金の企業型年金加入者の資格に係る起案を除く)の計算の基礎となる期間の各月の末日における次の各号に掲げる企業型年金加入者の区分に応じて当該各号に定める額を合計した額とする。
・ 企業型年金規約において企業型年金加入者が個人型年金加入者となることができることを定めていない企業型年金の企業型年金加入者(個人型年金同時加入制限者)であって、次に掲げる者(他制度加入者)以外のもの → 55,000円
・ 私立学校教職員共済会の規定による私立学校教職員共済制度の加入者(事業主が学校法人等である場合に限る)
・ 事業主が設立している石炭鉱業年金基金に係る石炭鉱業年金基金法に規定する坑内員など
・ 事業主が実施している確定給付企業年金の加入者(当該月について確定給付企業年金の給付の額の算定の基礎としないものを除く)
・ 個人年金同時加入制限者であって、他制度の加入者であるもの → 27,500円
・ 個人型年金同時加入可能者であって、他制度加入者以外のもの → 35,000円
・ 個人型年金同時加入可能者であって、他制度加入者であるもの → 15,500円
■ 個人型年金同時加入可能者とは、企業型年金規約において企業型年金加入者が個人型年金加入者となることができることを定めている企業型年金の企業型年金加入者をいう。
■ 確定拠出年金の掛金(企業型のほか、後述の個人型も同様)は、平成30年1月施行の改正前は、月単位で拠出することとされていたが、同改正により、12月から翌年11月までの1年間を単位として、複数月分をまとめて拠出することや1年間分をまとめて拠出することが可能とされた。
■ なお、納付(拠出)は、上記の1年間を翌月にずらした「1月から12月まで」の範囲内で行うことになる(税制の観点から、納付月ベースでは暦年が単位とされている)。
・ 「年1回以上、定期的に拠出」の要件を満たせば、年2回といった拠出も可能。これまでと同様に毎月拠出とすることも可能
・ この改正は、平成30年1月から施行されるため、平成29年12月分の掛金(平成30年1月納付分の掛金)は、年単位化による拠出の対象とならない。したがって、改正初年においては、平成30年1月から11月まで(納付月をベースでは2月から12月まで)の11か月間が年単位化の対象となる。(その期間の拠出限度額は、「拠出限度額の月額×11」)
■ 企業型年金加入者掛金の額の制限
・ 加入者掛金の額は、事業主掛金を超えないように規約で定める。
・ 事業主掛金と加入者掛金の合計額は、拠出限度額を超えてはならない。
■ 事業主掛金が拠出限度額の2分の1を超えている場合は、加入者掛金は、拠出限度額を超えることができない。加入者掛金の上限=拠出限度額-事業主掛金
■ 事業主掛金が拠出限度額の2分の1以下の場合は、加入者掛金は、事業主掛金の額を超えることができない。加入者掛金の上限=事業主掛金
■ 事業主は、事業主掛金を企業型年金規約で定める日までに資産管理機関に納付するものとする。(確定拠出年金法21条)
■ 企業型年金加入者に係る運用関連業務を行う確定拠出年金運営管理機関(運用関連業務を行う事業主を含む。企業型運用関連運営管理機関等)は、アからカに掲げる運用の方法のうち政令で定めるもの(確定拠出年金法23条の2第1項において「対象運方法法」)を、企業型年金加入者当による適切な運用の方法の選択に資するための上限として政令で定める数(35本)以下で、かつ、3つ以上(簡易企業型年金を実施する事業主から委託を受けて運用関連業務を行う確定拠出年金運営管理機関(運用関連業務を行う簡易企業型年金を実施する事業主を含む)にあっては、2以上)で選定し、企業型年金規約で定めるところにより、企業型年金加入者等に提示しなければならない。(確定拠出年金法23条)
・ 銀行その他の金融機関を相手方とする預金又は貯金の預入
・ 信託会社又は信託業務を営む金融機関への信託
・ 有価証券の売買
・ 生命保険又は農業協同組合(農業協同組合法に規定する事業のうち生命共済の事業を行うものに限る)その他政令で定める生命共済の事業を行う者への生命保険の保険料又は生命共済の共済掛金の払込
・ 損害保険会社への損害保険の保険料の払込
・ アからオに掲げるもののほか、投資者の保護が図られていることその他の政令で定める要件に適合する契約の締結
■ 上記政令で定める数(運用の方法の数の上限)は、35とする(確定拠出年金令15条の2)
■ 平成30年5月施行の改正により、確定拠出年金における運用の改善が図られている。
■ 企業型年金加入者等は、企業型年金規約で定めるところにより、積立金のうち当該企業型年金加入者等の個人別管理資産について運用の指図を行う。(確定拠出年金法25条)
■ 企業型記録関連運営管理機関等は、毎年すくなくとも1回、企業型年金加入者等の個人別管理資産額その他厚生労働省令で定める事項を当該企業年金加入者等に通知しなければならない。(確定拠出年金法27条)
■ 企業型年金の給付(給付)は、次のとおりである。(確定拠出年金法28条)
・ 老齢給付金
・ 障害給付金
・ 死亡一時金
■ 支給の方法
・ 老齢給付金
・ 年金として支給
・ 企業型年金規約でその全部又は一部を一時金として支給することができることを定めた場合には、一時金として支給することができる。
・ 障害給付金
・ 年金として支給
・ 企業型年金規約でその全部又は一部を一時金として支給することができることを定めた場合には、一時金として支給することができる。
・ 死亡一時金
・ 企業型年金加入者又は企業型年金加入者であった者(当該企業型年金に個人別管理資産がある者に限る)が死亡したときに、その者の遺族に、資産管理機関が企業型記録関連運営管理機関等の裁定に基づいて支給
■ 支給要件
・ 老齢給付金
・ 企業型年金加入者であった者であって次の1から7までに掲げるもの(当該企業型年金に個人別管理資産がある者に限り、当該企業型年金の障害給付金の受給権者を除く)が、それぞれに定める年数又は月数以上の通算加入者等期間を有するときに、企業型記録関連運営管理機関等に支給を請求できる。
・ 60歳以上61歳未満の者 → 10年
・ 61歳以上62歳未満の者 → 8年
・ 62歳以上63歳未満の者 → 6年
・ 63歳以上64歳未満の者 → 4年
・ 64歳以上65歳未満の者 → 2年
・ 65歳以上の者 → 1月
・ 障害給付金
・ 企業型年金加入者又は企業型年金加入者であった者(当該企業型年金に個人別管理資産がある者に限る)が、傷病について障害認定日から75歳に達する日の前日までの間において、その傷病により政令で定める程度の障害の状態に該当するに至ったとき、その期間内に企業型記録関連運営管理機関等に支給を請求できる。
・ 死亡一時金
・ 企業型年金加入者又は企業型年金加入者であった者(当該企業年金に個人別管理資産がある者に限る)が死亡したときに、その者の遺族に、資産管理機関が企業型記録関連運営管理機関等の裁定に基づいて支給される。
■ 当分の間、以下のいずれにも該当する企業型年金加入者であった者は、当該企業型年金の企業型記録関連運営管理機関等に、脱退一時金の支給を請求することができる。(確定拠出年金法附則2条の2・令59条2項)
・ 企業型年金加入者、企業型年金運用指図者、個人型年金加入者又は個人型年金運用指図者でないこと
・ 当該請求をした日における個人別管理資産の額として政令で定めるところにより計算した額が政令で定める額(1万5千円)以下であること
・ 最後に当該企業型年金加入者の資格を喪失した日が属する月の翌月から起算して6月を経過していないこと
■ 平成17年10月より、中途脱退の要件の緩和を図り、資産が少額(1.5万円以下)の者は、個人型に移行することなく退職時に企業型からの脱退を認めることとした。脱退一時金の請求があったときは、当該企業型年金の資産管理機関は、当該企業型記録関連運営管理機関等の裁定に基づき、その請求をした者に脱退一時金を支給する。
■ 国民年金基金連合会(連合会)は、個人型年金に係る規約を作成し、当該規約について厚生労働大臣の承認を受けなければならない。(確定拠出年金法55条)
■ 次に掲げるものは、連合会に申し出て、個人型年金加入者となることができる(確定拠出年金法62条)
・ 国民年金法の第1号被保険者(保険料が法定免除(生活保護法による生活扶助等を受けることによる免除に限る)、申請免除、学生等の保険料納付の特定により同法の保険料を納付することを要しないものとされている者、4分の3免除の規定によりその4分の3の額につき納付することを要しないもの、半額免除によりその半額につき保険料を納付することを要しないもの及び4分の1免除の規定により4分の1の額につき納付することを要しないものとされているもの(保険料免除者)を除く。)
・ 60歳未満の厚生年金保険の被保険者(企業型年金加入者(企業型年金規約において法3条3項7号の3に掲げる事項を定めた企業型年金に係るものを除く)その他政令で定めるもの(企業型年金等対象者)を除く。)
・ 国民年金法7条1項3号に規定する第3号被保険者
■ 個人型年金加入者の資格を喪失した後、更にその資格を取得した者については、前後の個人型年金加入者期間を合算する。(確定拠出年金法63条)
■ 個人型年金加入者掛金の額は、個人型年金規約で定めるところにより、個人型年金加入者が決定し、又は変更する。(確定拠出年金法68条)
■ 中小事業主掛金は個人型の確定拠出年金に加入している従業員に対し、中小事業主(使用する第1号厚生年金被保険者の数が300人以下)が追加で掛金を拠出することを可能とする制度(平成30年5月施行の改正で導入。令和2年10月施行改正で対象となる中小事業主の範囲を拡大)
1年間の個人型年金加入者掛金の額の総額(中小事業主が中小事業主掛金を拠出する場合にあっては、個人型年金加入者掛金の額と中小事業主掛金の額との合計額)は、拠出限度額(1年間に拠出することができる個人型年金加入者掛金の額の総額を上限として、個人型年金加入者の種別(第1号加入者又は第2号加入者の区別をいう)及び国民年金基金の掛金の額を勘案して政令で定める額をいう)を超えてはならない。
■ この政令で定める額(拠出限度額)は、個人型年金加入者期間の計算の基礎となる期間の各月の末日における次のアからオに掲げる個人型年金加入者の区分に応じて当該アからオに定める額を合算した額とする。
・ 第1号加入者(62条1項ア) → 68,000円から付加保険料や国民年金基金の掛金の額を控除した額
・ 第2号加入者(62条1項イ)であって、ウ及びエに掲げる者以外の者 → 23,000円
・ 第2号加入者であって、個人型年金同時加入可能者であるもの(エに掲げるものを除く) → 20,000円
・ 第2号加入者であって、他制度加入者である者又は厚生年金保険法に規定する第2号厚生年金被保険者であるもの若しくは第3号厚生年金被保険者であるもの → 月額12,000円
・ 第3号加入者(62条1項ウ) → 23,000円
■ 個人型年金の加入者の掛金の拠出は、個人型年金加入者期間の計算の基礎となる期間のうち、「国民年金法の保険料の納付が行われた月」に限り行うことができるが、当該月には、「国民年金法88条の2(産前産後期間の保険料の免除)」の規定により同法の保険料を納付することとを要しないものとされた月を含むこととされた(確定拠出年金令35条)
■ 当該「国民年金法の保険料の納付が行われた月」には、従来から、「法定免除の規定により国民年金法の保険料を納付することをようしないものとされた月(その免除の事由が、生活保護法による生活扶助を受けることである場合を除く。)」や「国民年金法の第2号被保険者期間及び第3号被保険者期間である月」も含むこととされている。
■ 個人型年金加入者期間の計算の基礎となる期間につき、12月から翌月11月までの12月間(個人型年金加入者がこの間に、その資格を取得した場合にあっては、その資格を取得した月から起算し、その資格を喪失した場合にあってはその資格を喪失した月の前月までの期間。これを「個人型掛金拠出単位期間」という)を単位として拠出するものとする。ただし、個人型年金規約で定めるところにより、個人型掛金拠出単位期間を区分して、当該区分した期間ごとに拠出することができる。(確定拠出年金令35条の2)
■ 平成29年1月1日を施行日として、個人型の確定拠出年金(個人型DC9の加入者の範囲が拡大され、各々に対応する拠出限度額が規定されています。次の理解図表で確認しておきましょう。
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■ 中小事業主掛金の拠出は、個人型年金加入者期間の計算の基礎となる期間につき、個人型年金加入者掛金の拠出に応じて、個人型掛金拠出単位期間を単位として拠出することとする。ただし、個人型年金規約で定めるところにより、個人型掛金拠出単位期間を区分して、当該区分した期間ごとに拠出することができる。(確定拠出年金令35条の2)
■ 個人型年金加入者は、個人型年金規約で定めるところにより、個人型年金加入者掛金を連合会へ納付するものとする。
■ 第2号加入者は、上記の納付をその使用される厚生年金適用事業所の事業主を介して行うことができる。
■ 上記の場合において、厚生年金適用事業所の事業主は、正当な理由なく、これを拒否してはならない。
■ 連合会は、上記の納付を受けたときは、各個人型年金加入者に係る個人型年金加入者掛金の額を個人型記録関連運営管理機関に通知しなければならない。(確定拠出年金法70条)
■ 当分の間、アからオのいずれにも該当する者は、個人型年金運用指図者にあっては個人型記録関連運営管理機関に、個人型年金運用指図者以外の者にあっては連合会に、それぞれ脱退一時金の請求をすることができる。(確定拠出年金法附則3条)
・ 保険料免除者であること
・ 障害給付金の受給権者でないこと
・ その者の通算拠出機関が1月以上5年以下であること又は請求した日における個人別管理資産の額が25万円以下であること
・ 最後に企業型年金加入者又は個人型年金加入者の資格を喪失した日から起算して2年を経過していないこと
・ 企業型年金から脱退一時金を受けていないこと。
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[社一] 社会保険一般常識・重要箇所・Chapter8
年金生活者支援給付金の支給に関する法律
■ この法律は、年金受給者のうち、低所得高齢者・障害者等に福祉的な給付を行うものとして、平成24年の社会保障・税一体改革の一環として設けられた。消費税の増税分を財源とする制度であるため、施行時期が遅れていたが、消費税率10%への引き上げに合わせて、令和元年10月1日から施行されることとなった。
■ この法律は、公的年金等の収入金額と一定の所得との合計額が一定の基準以下の老齢基礎年金の受給者に国民年金の保険料納付済期間及び保険料免除期間を基礎とした老齢年金生活者支援給付金または保険料納付済期間を基礎とした補足的老齢年金生活者支援給付金を支給するとともに、所得の額が一定の基準以下の障害基礎年金または遺族基礎年金の受給者に障害年金生活者給付金または遺族年金生活者給付金を支給することとにより、これらの者の生活の支援を図ることを目的とする。(年金生活者給付金の支給に関する法律1条)
■ 年金生活者支援給付金
・ 種類
・ 老齢年金生活者支援給付金
・ 公的年金等の収入金額と一定の所得との合計額が一定の基準(781,200円)以下の老齢基礎年金の受給者
・ 補足的老齢年金生活者支援給付金
・ 公的年金等の収入金額と一定の所得との合計額が一定の基準(881,200円)以下の老齢基礎年金の受給者
・ 障害年金生活者支援給付金
・ 所得の額が一定の基準(4,721,000円)以下の障害基礎年金の受給者
・ 遺族年金生活者支援給付金
・ 所得の額が一定の基準以下の遺族基礎年金(4,721,000円)の受給者
■ 年金生活者支援給付金の概要
・ 高齢者への給付金(老齢年金生活者支援金)
・ 支給要件
・ 65歳以上で老齢基礎年金の受給者であること
・ 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得(給与所得や利子所得など)の合計額が、老齢基礎年金満額相当額(78万円)以下であること
・ 同一世帯の前金が市町村民税非課税であること
・ 給付額
・ 以下の合計額が支給される
・ 保険料納付済期間に基づく額(月額)=5000円×保険料納付済期間/480月
・ 保険料免除期間に基づく額(月額)=10800円×保険料免除期間/480月
・ 補足的老齢年金生活者支援金
・ 88万円以下
・ 障害者や遺族への給付金(障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金)
・ 支給要件
・ 障害基礎年金または遺族基礎年金の受給者であること
・ 前年の所得が、472万1000円以下であること
・ 給付額
・ 障害等級2級の者及び遺族である者 5000円(月額)
・ 障害等級1級の者 6250円(月額)
[社一] 社会保険一般常識・重要箇所・Chapter9
社会保険審査官及び社会保険審査会法
■ 健康保険法、船員保険法、厚生年金保険法及び石炭鉱業年金基金法、国民年金法並びに年金給付遅延加算金支給法の規定による審査請求の事件を取り扱わせるため、各地方厚生局(地方厚生支局を含む)に社会保険審査官(審査官)を置く。
■ 審査官の定数は、政令で定める。(社会保険審査官及び社会保険審査会法1条)
■ 社会保険審査官に請求できる事項
・ 健康保険法
・ 被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分
・ 船員保険法
・ 被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分
■ 審査官の定数は、103人とされている。(社会保険審査官及び社会保険審査会令1条)
■ 審査官は、厚生労働省の職員のうちから、厚生労働大臣が命ずる。(2条)
■ 総括社会保険審査官(則1条)
・ 地方厚生局(地方厚生支局を含む)に、総括社会保険審査官1人をおき、社会保険審査官をもって充てる。
・ 総括社会保険審査官は、命を受けて、社会保険審査官及び社会保険審査会法1条1項に規定する審査請求に関する事務を行い、及び社会保険審査官の行う事務を総括する。
■ 管轄審査官
・ 健康保険法189条、船員保険法138条、厚生年金保険法90条もしくは石炭鉱業年金基金法33条1項、国民年金法101条又は年金給付遅延加算金支給法8条の規定による審査請求は、次に掲げる審査官に対してするものとする。(社会保険審査官及び社会保険審査会法3条1項)
・ 日本年金機構(機構)がした処分に対する審査請求
・ その祖分に関する事務を処理した機構の事務所の所在地を管轄する地方厚生局に置かれた審査官
・ 全国健康保険協会、健康保険組合、石炭鉱業年金基金又は国民年金基金(健康保険組合等)がした処分に対する審査請求
・ その処分に関する事務を処理した健康保険組合等の事務所の所在地を管轄する地方厚生局に置かれた審査官
・ 厚生労働大臣がした処分に対する審査請求
・ 審査請求人が当該処分につき経由した地方厚生局又は機構の事務所もしくは国民年金法3条2項に規定する共済組合等の事務所の所在地を管轄する地方厚生局に置かれた審査官
・ 国民年金の保険料その他国民年金法の規定による徴収金の賦課、徴収等による処分に対する審査請求
・ 処分をした者の所属する機関の事務所として厚生労働省令で定めるものの所在地を管轄する地方厚生局に置かれた審査官
■ 社会保険審査官になれないもの(社会保険審査官及び社会保険審査会法3条2項)
・ 社会保険審査官は、次に掲げる者以外の者でなければならない。
・ 審査請求に係る処分に関与した者又は審査請求に係る不作為に係る処分に関与し、もしくは関与することとなる者
・ 審査請求人
・ 審査請求人の配偶者、四親等内の親族又は同居の親族
・ 審査請求人の代理人
・ 上記に掲げる者であった者
・ 審査請求人の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人
・ 社会保険審査官及び社会保険審査会法9条1項の規定により通知を受けた保険者以外の利害関係
■ 厚生労働大臣は、審査請求がされたときから当該審査請求に対する決定をするまでに通常要すべき標準的な機関を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、地方厚生局における備付けその他の適切な方法により公にしておかなければならない。(社会保険審査官及び社会保険審査会3条の2)
■ 審査請求は、被保険者もしくは加入員の資格、標準報酬もしくは保険給付(国民年金法による給付並びに年金給付遅延加算金支給法による保険給付遅延特別加算金(厚生年金保険法の規定による脱退一時金に係るものをのぞく)及び給付遅延特別加算金を含む)、標準給与、年金たる給付もしくは一時金たる給付又は国民年金の保険料その他国民年金法の規定による徴収金もしくは年金給付遅延加算金支給法6条1項の規定による徴収金(給付遅延特別加算金に係るものに限る)に関する処分があったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときは、することができない。ただし、正当な事由によりこの期間内に新請求することができなかったことを疎明ときは、この限りでない。
■ 被保険者もしくは加入員の資格、標準報酬又は標準給与に関する処分に対する審査請求は、原処分があった日の翌日から起算して2年を経過したときは、することができない。(社会保険審査官及び社会保険審査会法4条)
■ 審査請求は、政令で定めるところにより、文書又は口頭ですることができる。(社会保険審査官及び社会保険審査会法5条)
■ 審査請求は、代理人によってすることができる。
■ 代理人は、各自、審査請求人のために、当該審査請求に関する一切の行為をすることができる。ただし、審査請求の取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。(社会保険審査官及び社会保険審査会法5条の2)
■ 審査請求人及び社会保険審査官及び社会保険審査開放9条1項の規定により通知を受けた保険者その他の利害関係人並びに審査官は、簡易迅速かつ公正な審理の実現のため、審査請求の手続において、相互に協力するとともに、審査請求の手続の計画的な進行を図らなければならない。(社会保険審査官及び社会保険審査会法9条の2)
■ 審査請求は、原処分の執行を停止しない。ただし、審査官は、原処分の執行により生ずることのある償うことの困難な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、職権でその執行を停止することができる。
■ 審査官は、いつでも、上記の執行の停止を取り消すことができる。
■ 上記の執行の停止は、審査請求があった日から2月以内に審査請求についての決定がない場合において、審査請求人が、審査請求を棄却する決定があったものとみなして再審査請求をしたときは、その効力を失う。
■ 執行の停止及び執行の停止の取消は、文書により、かつ、理由を附し、原処分をした保険者に通知することによって行う。
■ 審査官は、執行の停止又は執行の停止の取消をしたときは、審査請求人及び法9条1項の規定により通知を受けた保険者以外の利害関係人に通知しなければならない。(社会保険審査官及び社会保険審査会法10条)
■ 審査請求人は、決定があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができる。
■ 審査請求の取下げは、文書でしなければならない。(社会保険審査官及び社会保険審査会法12条の2)
■ 審査官は、決定をしたときは、すみやかに、事件につき提出された文書その他の物件をその提出人に返還しなければならない。(社会保険審査官及び社会保険審査会法16条の2)
■ この規定に基づく処分又はその不作為については、審査請求することができない。(社会保険審査官及び社会保険審査会法17条の2)
■ 健康保険法、船員保険法、厚生年金保険法、石炭鉱業年金基金法、国民年金法及び年金給付遅延加算金支給法の規定による再審査請求並びに健康保険法、船員保険法、厚生年金保険法、及び石炭鉱業年金基金法及び年金給付遅延加算金支給法の規定による審査請求(年金給付遅延加算金支給法の規定による厚生年金保険法の規定による脱退一時金に係る保険給付遅延特別加算金に係るもの及び国民年金法の規定による脱退一時金に係る給付遅延特別加算金に係るものを除く)の事件を取り扱わせるため、厚生労働大臣の所轄の下に、社会保険審査会(審査会)を置く。
■ 社会保険審査会に「審査請求」できる事項
・ 健康保険法
・ 保険料等の徴収金の賦課若しくは徴収の処分、滞納処分
・ 船員保険法
・ 保険料等の徴収金の賦課若しくは徴収の処分、滞納処分
■ 社会保険審査官の決定に不服がある者は、社会保険審査会に「再審査請求」をすることができる。
■ 審査会は、委員長及び委員5人をもって組織する。(社会保険審査官及び社会保険審査会法21条)
■ 委員長及び委員は、人格が高潔であって、社会保険に関する識見を有し、かつ、法律又は社会保険に関する学識経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、厚生労働大臣が任命する。(社会保険審査官及び社会保険審査会法22条)
■ 委員長及び委員の任期は、3年とする。ただし、補欠の委員長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする。(社会保険審査官及び社会保険審査会法23条)
■ 審査会の会務の処理(再審査請求又は審査請求の事件の取扱いを除く)は、委員長又は委員の全員の会議(委員会議)の議決によるものとする。(社会保険審査官及び社会保険審査会法27条の4)
■ 再審査請求は、審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2月を経過したときは、することができない。(社会保険審査官及び社会保険審査会法32条)
■ 審査請求は、当該処分があったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときは、することができない。
■ 審理は、公開しなければならない。ただし、当事者の申立があったときは、公開しないことができる。(社会保険審査官及び社会保険審査会法37条)
■ 審査会の合議は、公開しない。(社会保険審査官及び社会保険審査会法42条)
[社一] 社会保険一般常識・社会保険概論・重要箇所・Chapter1
社会保険とは
■ 公的年金の役割
・ 私的扶養と世代間扶養
・ かつて高齢者は、子供による私的な扶養や老後のための私的な貯蓄等によって老後生活を送っていた。
・ しかし、日本の社会の構造変化、特に第一次産業で働く人の激減、核家族化や若者の都会への集中、サラリーマン化等により、私的な扶養に頼ることが難しくなった。
・ また、平均寿命が大幅に伸び、老後生活が長期化したことも、私的な扶養や貯蓄によって老後生活を送ることを困難にした。
・ また、自らの寿命を予測し高齢期に必要な貯蓄を計画的に行うことは、実際問題として極めて難しく、さらに、予想を超えたインフレ等が起こった場合には、貯蓄等では十分な生活をおくることができなくなるおそれもある。
・ このように、私的な扶養や私的な貯蓄等では安心して老後生活をおくることが難しいことから、社会全体で、高齢者世代を支えるという公的年金が生まれ、発展してきたのである。
・ 今日、公的年金制度は、基本的には現役世代の保険料負担で高齢者世代を支えるという世代間扶養の考え方で運営されている。
・ 公的年金と私的年金の違い
・ 現行の公的年金と保険会社等が取り扱っている私的年金の違いは、概ね次のとおりである。
・ 現行の公的年金
・ 目的
・ 老後の所得保障の柱(社会保障)
・ 加入
・ 強制加入
・ 給付
・ 物価、国民生活の向上に応じて改定し、実質価値を維持
・ 支給期間
・ 終身年金
・ 年金の原資
・ 本人及び後世代の支払った保険料、運用収入、国庫負担
・ 私的年金
・ 目的
・ より豊かな老後生活(個人の自助努力)
・ 加入
・ 任意加入
・ 給付
・ 公的年金のような年金額の実質価値の維持は困難
・ 支給期間
・ 有期年金が中心
・ 年金の原資
・ 本人が支払った保険料、その他運用収入
・ 目的
・ 公的年金は、国の社会保障制度の1つとして社会全体で高齢者等の生活を支える制度である。公的年金は、老後の所得保障の柱としての役割を果たしており、より豊かな老後生活のために個人の自助努力として行われている私的年金とは、その目的を異にしている。
・ 強制加入と任意加入
・ 公的年金は、社会全体で高齢者等を支えるという助け合いの制度である。また、公的年金は、社会保障制度として所得に応じた負担を求めるとともに、必要性を配慮した給付を行うことにより、所得再配分機能を果たしている。公的年金は、負担と給付が直結するという「収支相等の原則」にかならずしもとらわれていない点で、収支相等の原則に忠実な私的年金と性格を異にしている。このような公的年金の基本的性格から、公的年金については、現役世代には強制加入が義務付けられている。
・ これに対し、私的年金は個人の自助努力によるものであり、自由契約により任意に加入することとなっている。
・ 給付反対給付均等の原則
・ 保険料は、保険事故の発生に対して支払われる保険給付に見合ったものでなければならないという原則
・ 保険技術的公平の原則
・ 保険料は、すべて保険される危険の度合いに応じて定めなければならない。
・ 収支相等の原則
・ 大数の法則(集団の構成員が多ければ多いほど、保険事故の発生割合は一定値に近づく可能性が高くなるという数学的法則)に基づいた確率計算を通じて、収入(保険料)の総額が支出(保険給付)の総額に等しくなるという原則
・ 給付の実質価値の維持
・ 公的年金の給付は、平成16年度の制度改正前においては、前年の物価水準の上昇分に応じ、次年度の年金額が引き上げられる物価スライド制により、年金給付の実質的な価値が維持される仕組みとなっていた。(平成16年度の制度改正により「マクロ経済スライド制」が導入された)
・ 年金は働き始めてから退職するまでの約40年間保険料を納め、また、平均すれば20年近く年金を受給するというように、非常に長期にわたる制度である。その間に、物価上昇による実質価値の減少などが起こる可能性がある。
・ 公的年金は、スライド改定等を行うことにより、年金額の実質価値の減少を防ぎ、老後生活の主要な柱としての役割を実質的に果たしている。公的年金は、世代間扶養の考え方に立って、本人及び後世代の払った保険料等を年金の原資とすることから、実質価値の維持を行うことができるのである。
・ これに対し、私的年金では、本人が支払った保険料とその運用収入が年金の原資でなることから、物価上昇が生じた場合や賃金上昇に見合った運用収入がない場合には、年金額の改定を行うことができず、実質価値の維持が困難となる。
・ 終身年金と有期年金
・ 公的年金は、実質的な価値が維持された給付が、長生きした場合にも生涯にわたって受けられる終身年金となっている。また、生涯状態や遺族となった場合には、それぞれ相当程度の障害年金、遺族年金が支給される。どの程度長生きするのか、あるいはいつ生涯状態、遺族となるのかといった予測は難しく、これに備えて十分な貯蓄等を計画的に行うことは困難である。
・ 公的年金は、本人及び後世代の支払った保険料等を年金の原資とするため、終身年金とすることができる。
・ 他方、私的年金では、本人の支払った保険料と運用収入を年金の原資とすることから、有期年金が中心となっている。終身年金にすると、長生きしそうだと考える人ばかりが加入する、いわゆる逆選択が行われる可能性があり、保険料を大幅に引き上げない限り制度の運営は困難となる。
・ 年金の原資
・ 公的年金は、本人及び後世代の保険料、保険料の集積である積立金の運用収入を主たる原資としているが、社会保障制度として国の関にで実施しており、国庫負担が行われている。
・ 他方、私的年金については、保険料とその運用収入で給付が賄われる。
■ 過去問
・ 平成14年度選択式問題(社会一般)
・ 公的年金は、現役世代から考えて、45年から60年後といった老後までの長い期間に、経済社会がどのように変わろうとも、その社会で従前の生活と大きく変わらない暮らしができる年金を保障することを目的としており、物価や生活水準の変動に応じた年金額の水準を改定する仕組みを取っている。
・ このような仕組みは、社会全体で世代間扶養を行う公的年金において初めて約束できるものであり、個人年金や貯蓄が代替することは難しい。
・ 生活の基本的な部分を全国民に保障するという役割を反映して、公的年金には基礎年金給付費や事務費に対する国庫負担が行われ、保険料も、所得税法の規定により、所得金額からの全額控除がなされている。
・ これに対し、民間の個人年金の場合は、これらの措置がなく、保険料の相当部分が事務費として使われているという面においても、公的年金は有利な仕組みであるといえる。
・ 平成13年選択式問題(社会一般)
・ 現行の基礎年金制度においては、当年度の給付に必要な費用は、現在の被保険者により支えられる仕組みになっているため、当年度に未納・未加入によって支払われなかった保険料は、その者の将来の給付に繋がらないだけでなく、その分他の者の保険料負担が重くなる構図となっている。
・ もとより、公的年金制度がいわゆる逆選択を認めない強制加入の社会保険であることから、未納・未加入者の増加は放置できない。
・ 「拠出が困難な者」に対しても一定の保障を確保する仕組みとしては、一律全額税を財源とする仕組みに変える以外にも、必要な者に対して公的扶助等の補足的方法により対応することも可能であり、長期的に安定した年金制度の確率のため、制度の見直しに取り組んでいく必要がある。
[社一] 社会保険一般常識・社会保険概論・重要箇所・Chapter2
社会保険の沿革
■ 医療保険制度の沿革
・ 制度の創生期
・ 世界で初の社会保険はドイツで誕生した。
・ 我が国では、まず、健康保険法が大正11年に制定され、昭和2年1月1日から全面的に施行となった。
・ その後、昭和13年に国民健康保険法が制定された。当初は現在のような、全国の市町村が国民健康保険の実施主体になるわけではなく、市町村・職業を単位とする任意設立の国民健康保険組合を保険者とし、任意加入の制度としてのスタートであった。しかしその後、我が国の医療保険が労働保険の域を脱し、一般国民をも対象とすることになった。
・ 更にその翌年の昭和14年に、船員保険法が制定(施行は昭和15年)されたが、船員保険は、医療保険のほか、労災保険、年金保険を包含する総合的社会保険として世間の注目を浴びた。
・ こうして、昭和はじめに、一部の労働者のための健康保険としてスタートした我が国の医療保険は、国民皆保険的な体制が次第に確立されていった。
・ 国民皆保険
・ 全国民に対して医療保険を適用すべきことは、すでに昭和25年に社会保険制度審議会の「社会保障制度に関する勧告」の中で提唱されていたが、その後昭和31年7月厚生省(当時)に設置された医療保障委員会は、同年8月、中間報告を公表して、国民皆保険の実現については、国民健康保険を中心とする疾病保険の普及強化を図るべきことを強調した。
・ 更に同年11月社会保障制度審議会は「医療保障制度に関する勧告」の中で「速やかに医療保険制度の改善を行い、国民皆保険体制を確立する必要がある」と述べ、その後昭和36年4月に国民皆保険の体制が実現した。
■ 医療保障制度の沿革
・ 大正11年 健康保険法制定
・ 昭和13年 国民健康保険法制定
・ 昭和14年 職員健康保険法制定(昭和18年健康保険法に統合)
・ 昭和14年 船員保険法制定
・ 昭和33年 新国民健康保険法制定(5割給付)
・ 昭和36年 国民皆保険
・ 昭和47年 老人福祉法改正・老人医療費支給制度の創設(昭和48年実施)
・ 昭和48年 高額療養費支給制度の創設(昭和50年完全実施)
・ 昭和57年 老人保健法制定(昭和58年実施)
・ 昭和59年 本人9割給付・退職者医療制度の創設
・ 平成6年 付添看護・介護の解消
・ 平成9年 介護保険法制定(平成12年実施)
・ 平成20年 老人保健法→高齢者の医療の確保に関する法律(全面改訂)
・ 平成21年 全国健康保険協会設立(旧政府管掌)
■ 年金制度の沿革
・ 制度の創生期
・ 昭和14年に、船員保険法が制定されると、直ちに労働者年金保険制度立案に関する調査・研究が始められ、労働者年金保険法案が作成され、昭和16年第76回帝国議会に提出され、同年2月24日に成立し、同年3月11日に公布された(施行は17年6月より)
・ 当初は常時10人以上の労働者を使用する一定の事業所の男子肉体労働者だけがこの制度の対象だったが、昭和19年には、その名称を厚生年金保険法と改めるとともに、適用範囲を常時5人以上の労働者を使用する一定の事業所に広げるとともに、男子事務職員、そして新たに女子も被保険者とし、給付内容の改善も行われた。
・ 国民皆年金
・ 一般民間労働者の年金制度である厚生年金が昭和17年以降漸次整備されてきたのに対し、5人未満の零細企業従事者、自営業者などは、長く年金による保障の対象外とされてきた。
・ 昭和30年に入ると、医療の面で国民皆保険が進められるのと対応して、国民皆年金の実現が強く要請されるようになり、昭和34年4月に国民年金法が公布された。無拠出制の福祉年金は昭和34年11月、拠出制国民年金は昭和36年4月から実施され、ここに国民皆年金が確立された。
■ 年金制度の沿革
・ 昭和14年 船員保険法制定(昭和15年施行)
・ 昭和17年 労働者年金保険法の実施
・ 昭和19年 労働者年金保険法を厚生年金保険法に改称
・ 昭和34年 福祉年金の支給開始(11月
・ 昭和36年 国民皆年金
・ 昭和40年 厚生年金基金制度の創設(昭和41年施行)
・ 昭和45年 国民年金基金制度の創設
・ 平成13年 確定拠出年金法施行
・ 平成14年 確定給付企業年金法施行
・ 平成24年 税制適格退職年金廃止(平成24年3月31日
[雇用法] 雇用保険法・重要箇所・Chapter1
■ 沿革
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■ 雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合及び労働者が子の養育するための休業をした場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。(雇用法1条)
■ 雇用保険の事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。(雇用法2条2項)
■ 都道府県が処理する事務は、雇用法63条1項1号に掲げる事業(能力開発事業)のうち職業能力開発促進法11条1項に規定する計画に基づく職業訓練を行う事業主及び職業訓練の促進のための活動を行う職業能力開発促進法13条に規定する事業主等(中央職業能力開発協会を除く)に対する助成の事業の実施に関する事務(雇用令1条)
■ 雇用保険に関する事務(労働保険関係事務を除く)のうち、都道府県知事が行う事務は、適用事業の事業所の所在地を管轄する都道府県知事が行う(雇用則1条3項)
■ 雇用保険法81条の規定により、都道府県労働局長に委任され、さらに公共職業安定所長に委任される権限は、以下のものである。(雇用則1条1項・2項)
・ 被保険者に関する届出(雇用法7条)の受理とその確認(雇用法9条1項)
・ 短期雇用特例被保険者の該当・不該当の確認(雇用法38条2項)
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■ 雇用保険の被保険者の種類は次の4種類である。
・ 一般被保険者
・ 高年齢被保険者
・ 短期雇用特例被保険者
・ 日雇労働被保険者
■ 以下に掲げる者については、雇用保険法は、適用しない。(雇用法6条)
・ 1週間の所定労働時間が20時間未満である者(雇用保険法37条の5(高年齢被保険者の特例)第1項の規定による申出をして高年齢被保険者となる者及び雇用保険法を適用することとした場合において日雇労働被保険者に該当する者を除く)
・ 同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者(前2月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及び雇用保険法を適用することにした場合において日雇労働被保険者に該当することとなる者を除く)
・ 季節的に雇用される者であって、次のいずれかに該当する者(日雇労働被保険者に該当する者を除く)
4箇月以内の期間を定めて雇用される者
・ 1週間の所定労働時間が20時間以上であって厚生労働大臣が定める時間数未満(30時間未満)である者
・ 学校教育法1条、124条、134条1項に規定する学校、専修学校の学生又は生徒であって、アからウに掲げる者に準ずる者として厚生労働省令で定める者
・ 船員法1条に規定する船員であって漁船(政令で定めるものに限る)に乗り組むため雇用される者(1年を通じて船員として適用事業に雇用される場合を除く)
・ 国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者であって、厚生労働省令で定めるもの
■ 4週5休制等の週休2日制等1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動し、通常の週の所定労働時間が一通りでないときは、1週間の所定労働時間は、それらの平均(加重平均)により算定された時間とし、また、所定労働時間が1箇月の単位で定められている場合には、当該時間を12分の52で除して得た時間を1週間の所定労働時間とする。
■ 労使協定等において「1週間の所定労働時間の総枠は〇〇時間」と定められている場合のように、所定労働時間が1年間の単位で定められている場合であっても、さらに、週又は月を単位として所定労働時間が定められている場合には、上記によらず、当該週又は月を単位として定められた所定労働時間により1週間の所定労働時間を算定すること。
■ 雇用契約書等により1週間の所定労働時間が定まっていない場合やシフト制などにより直前にならないと勤務時間が判明しない場合については、勤務実績に基づき平均の所定労働時間を算定すること。
■ 4ヶ月以内の期間を定めて季節的に雇用される者が、その定められた期間を超えて引き続き同一の事業主に雇用されるに至ったときは、その定められた期間を超えた日から被保険者資格を取得する。例えば、季節的業務に3ヶ月契約で雇用された者が引き続き雇用されるに至った場合は、4か月目の初日から被保険者資格を取得する。ただし、当初定められた期間を超えて引き続き雇用される場合であっても、当初の期間と新たに予定されている雇用期間が通算して4ヶ月を超えない場合には、被保険者資格を取得しない。
■ 上記に規定する厚生労働省令で定める者は、次のアからエに掲げる以外の者である。
・ 卒業を予定している者であって、適用事業に雇用され、卒業した後も引き続き当該事業に雇用されることとなっているもの
・ 休学中の者
・ 定時制の課程に在学する者
・ アからウに準ずる者として職業安定局長が定める者(社会人大学院生など)
■ 平成22年1月1日施行の法改正により、船員保険法の失業等給付の部門が廃止されることになり、船員法1条に規定する船員も、原則として、雇用保険法の適用を受ける。ただし、船員法1条に規定する船員であって漁船(政令で定めるものに限る)に乗り組むために雇用される者(1年を通じて船員として適用事業に雇用される場合を除く)には、雇用保険法は適用されない。また、1週間の所定労働時間が20時間未満である船員については、被保険者として取り扱わない。
■ 雇用法6条7号の厚生労働省令で定める者(雇用則4条1項)
・ 国又は行政執行法人の事業に雇用される者(非常勤の者を除く)
・ 都道府県又はこれに準ずるものの事業に雇用される者であって、これらの長が雇用保険法を適用しないことについて、厚生労働大臣に申請し、その承認を受けたもの
・ 市町村又はこれに準ずるものの事業に雇用される者であって、これらの長が雇用保険法を適用しないことについて、都道府県労働局長に申請し、厚生労働大臣が定める基準によって、都道府県労働局長の承認を受けたもの
■ 都道府県等又は市町村等の事業に雇用される者について、雇用保険の適用除外の承認の申請がなされた場合には、その承認の申請がなされた日から雇用保険法を適用しない(適用除外となる)。ただし、承認しない旨の決定があったときは、その申請がなされた日にさかのぼって雇用保険法を適用する。
■ 国又は行政執行法人の事業に雇用される者については、適用除外の承認の手続きは不要である。したがって、該当するに至った日から雇用保険法が適用されないこととなる。
■ パートタイマーなどの所定労働時間の短い者、派遣労働者、有期契約労働者などの非正規労働者の雇用保険の適用範囲は、次の通り。
・ 次のいずれにも該当する場合には、被保険者となる。
31日以上の雇用見込があること
・ 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
■ 同時に2以上の雇用関係にある労働者については、原則として、その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける一の雇用関係についてのみ被保険者となる。
■ 適用事業に雇用される労働者が、在籍出向した場合や、事業主との雇用関係を存続したまま労働組合の役職員となった場合(いわゆる在籍専従)には、その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける一の雇用関係(主たる雇用関係)についてのみ、被保険者資格を認めることになる。
■ 日本国に在住する外国人は、外国公務員及び外国の失業補償制度の適用を受けていることが立証された者を除き、国籍(無国籍を含む)のいかんを問わず被保険者となる。
■ 適用事業に雇用される労働者が事業主の命により日本国の領域外において就労する場合は
・ その者が日本国の領域外に出張して就労する場合には、被保険者となる。
・ その者が日本国の領域外にある適用事業主の支店、出張所等に転勤した場合は、被保険者となる。
・ その者が日本国の領域外にある他の事業主の事業に派遣され、雇用された場合には、その者を派遣した事業主との雇用関係が継続している限り被保険者となる。
■ 現地で採用される者は、国籍の如何にかかわらず被保険者とならない。
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■ 生命保険会社、損害保険会社、証券会社、金融会社、商社等の外務員等については、その職務の内容、服務の態様、給与の算出方法等の実態により判断して、雇用関係が明確である場合には、被保険者となる。
■ 個人事業の事業主と同居している親族は、原則として被保険者とはならない。
■ 家事使用人は原則として被保険者とならない。ただし、適用事業に使用され、主として家事以外の労働に従事することを本来の職務とする者は、家事に使用されることがあっても被保険者となる。
■ 授産施設は、身体上若しくは精神上の理由又は世帯の事情により就業能力の限られている者、雇用されることが困難な者等に対して、就労又は技能の習得のために必要な機会及び便宜を与えて、その自立を助長することを目的とする社会福祉施設であり、その作業員(職員は除く)は、原則として、被保険者とならない。
■ 農業協同組合、漁業協同組合等の役員は、雇用関係が明らかでない限り被保険者とならない。その他の法人又は法人格のない社団又は財団(例えば、特定非営利活動法人(NPO法人)))の役員は、雇用関係が明らかでない限り被保険者とならない
■ 労働者が引き続き長期にわたり欠勤している場合でも、雇用関係が存続していれば、賃金の支払の有無にかかわらず被保険者となる。
■ 在宅勤務者(労働日の全部又はその大部分について事業所への出勤を免除され、かつ、自己の住所又は居所において勤務することを常とするものをいう)については、事業所勤務労働者との同一性が確認できれば原則として被保険者となりうる。
■ 被保険者について事業主との雇用関係が終了していることをいう。したがって、解雇されたことによる解職に限らず、契約期間の満了、任意退職等、その理由を如何を問わず、事業主との雇用関係が終了すれば足りる。なお、「雇用関係」とは、労働者が事業主の支配を受けて、その規律の下に労働を提供し、その提供した労働の対償として事業主から賃金、給料その他に
■ 被保険者が離職し、労働の意思又は能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができないに状態にあることをいう。
■ 求職条件として短時間就労のみを希望する者については、雇用保険の被保険者となりうる求職条件を希望する者に限り労働の意思を有するものとして扱う。
■ 内職、自営及び任意的な就労等の非雇用労働へ就くことのみを希望している者については、労働の意思を有するものとして扱うことはできない。ただし、求職活動と並行して創業の準備。につを行う場合にあっては、その者が自営の準備に専念するものではなく、安定所の職業紹介に応じられる場合には、受給資格決定を行うことが可能となるので留意すること。ここで、自営業の開業に先行する準備行為であって事業所の設営等開業に向けた継続的性質を者を開始した場合は、原則として、自営の準備に専念しているものと取り扱うこと。
■ 雇用保険法上の賃金とは、次の2つの要件を備えるものでなければならない。なお、雇用保険法上の賃金の範囲は、徴収法上の賃金の範囲と全く同じである。
・ 事業主が労働者に支払ったものであること
・ 労働の対症として支払わったものであること
通貨以外のもので支払われるいわゆる現物給与については、食事、被服及び住居の利益の他、公共職業安定所長が定めるものだけが賃金となり、それ以外の範囲のものは賃金とされない。
■ 事業主との間に雇用関係のない者は被保険者とならないが、その他の者は、雇用関係の存在する限り、被保険者となる。この固定給はもちろん、チップ、チケット代等の名目であっても一度事業主の手を通して再配布されるものは、その額の多少に問わず賃金とみなす。
[雇用法] 雇用保険法・重要箇所・Chapter2
■ 個人経営であって、常時5人未満の労働者を雇用する以下の事業(農林水産業)は、当分の間、任意継続事業とされている。
・ 土地の耕作もしくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取もしくは伐採の事業その他農林の事業
・ 動物の飼育又は水産動植物の採捕もしくは養殖の事業その他畜産又は水産の事業(船員が雇用される事業を除く)
ただし、ア、イともに、国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業及び法人である事業主の事業(事業所に限る)は、任意適用事業から除かれ、適用事業となる。
■ 暫定任意適用事業は、事業主が雇用保険に任意加入の申請をし、厚生労働大臣(都道府県労働局長に権限委任)の認可があった場合に限り、雇用保険の適用事業となる(徴収法不足2条1項)。暫定任意適用事業の事業主が任意加入の認可を受けた場合、認可を受けた日に保険関係は成立し、当該事業で雇用される労働者は、その日の当然に被保険者となる。
■ 事業内容の変更や労働者の減員等により、適用事業所が暫定任意適用事業所に該当することとなったときは、該当するに至った日の翌日にその事業所につき任意加入の認可があったものとみなされる。
■ 暫定任意適用事業の事業所が任意加入の申請を行おうとする場合、雇用保険の適用除外に該当する労働者を除いた労働者の2分の1以上の同意が必要である。
■ 一の事業において雇用する労働者の数が年間を通じて5人以上であることをいう。
■ 暫定任意適用事業に係る常時雇用労働者数(5人未満)の計算に当たっては、雇用保険法6条1号から5号までに該当し雇用保険法の適用を受けない労働者も含まれる。ただし、雇用保険法の適用を受けない労働者のみを雇用する事業主の滋養については、その数の如何にかかわらず、適用事業として取り扱う必要はない。
■ 事業主が適用事業に該当する部門(適用部門)と暫定任意適用事業に該当する部門(非適用部門)とを兼営している場合は、次のように取り扱う。
・ それぞれの部門が独立した事業と認められる場合は、適用部門のみ適用事業となる。
・ 一方が他方の一部門に過ぎず、それぞれの部門が独立した事業と認められない場合であって、主たる業務が適用部門であるときは、当該事業主の行う事業全体が適用事業となる。
■ 暫定任意適用事業となる事業は、次のいずれにも該当する事業である。
・ 農林水産の事業であること(船員が雇用される事業を除く)
・ 常時5人未満の労働者を雇用する事業であること
・ 個人経営であること
■ 常時5人以上の労働者を雇用する個人経営の農林水産業の事業は、強制適用事業となる。
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■ 常時5人以上の5人の計算にあたっては、適用除外者も含まれる。
■ 事業主が請負事業の一括の適用を受けている場合や継続事業の一括の認可を受けている場合であっても、被保険者に関する届出の事務等については、個々の事業所ごとに行わなければならない。
■ 適用事業の事業主は、雇用保険の被保険者に関する届出を事業所ごとに行わなければならないが、複数の事業所を持つ本社において事業所ごとに書類を作成し、事業所自らの名をもって当該届出をすることはできる。
■ 被保険者になったことの届出
・ 届出期限 雇用する労働者が、当該事業主の行う適用事業に係る被保険者となった日の属する月の翌月10日
・ 届出内容 雇用保険被保険者資格取得届(光ディスク可)
・ 提出先 所轄公共職業安定所長
・ 資格取得届(様式2号) 年金事務所を経由して提出できる
・ 資格取得届(様式2号の2) 所轄労働基準監督署長又は年金事務所を経由可
・ 被保険者証の交付を受けた者は、被保険者となったときは、速やかに、その被保険者証をその者を雇用する事業主に提出しなければならない。
■ 適用事業に雇用された者は、原則として、その適用事業に雇用されるに至った日から被保険者資格を取得する。なお、この場合の「雇用されるに至った日」とは、雇用契約の成立の日を意味するものではなく、雇用関係に入った最初の日(一般には、被保険者資格の基礎となる当該雇用契約に基づき労働を提供すべきこととされている最初の日)をいう。
■ 被保険者資格の喪失に関する届出
・ 届出期限 雇用する労働者が、当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内
・ 届出内容 雇用保険被保険者資格喪失届(光ディスク可)
・ 提出先 所轄公共職業安定所長
・ 被保険者でなくなったことの原因が離職であるときは、当該資格喪失届に雇用保険被保険者離職証明書及び賃金台帳その他の離職の日前の賃金の額を証明することができる書類を添えなければならない。(雇用則7条1項)
■ 事業主は、その雇用していた被保険者が離職したことにより被保険者でなくなった場合において、その者が離職票の交付を請求するため離職証明書の交付を求めたとき(資格喪失届に添えて離職証明書を公共職業安定所長に提出した場合を除く)は、これをその者に交付しなければならない。(雇用則16条)
■ 被保険者が雇用保険被保険者離職票の交付を希望しない場合(雇用則7条2項)
・ 原則 被保険者が雇用保険被保険者離職票の交付を希望しないときは、離職証明書を添えないことができる。
・ 例外 離職の日において59歳以上である被保険者については、本人が離職票の交付を希望しない場合であっても、資格喪失届に離職証明書を添付しなければならない。
■ 被保険者は、離職した日の翌日又は死亡した日の翌日から被保険者資格を喪失する。ただし、離職した日に新たに被保険者資格を取得すべき場合は、離職した当日に従前の雇用関係に基づく被保険者資格を喪失する。
■ 被保険者は、日雇労働被保険者を除き、労働条件の変更等により、1週間の所定労働時間が20時間未満となった場合には、当該事実のあった日において被保険者資格を喪失する。
■ 労働者を在籍出向の形で関連会社に出向させ、賃金は出向先の事業所で支払う場合は、当該労働者について出向元事業所の被保険者資格を離職によらない理由で喪失したものであるので、離職証明書の作成は不要である。
■ 公共職業安定所長は、資格取得届又は資格喪失届の提出があった場合において、被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの事実がないと認めるときは、その旨を被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの事実がないと認められた者及び当該届出をした事業主に通知しなければならない。(雇用則11条1項)
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■ 転勤前の事業所と転勤後の事業所とが同一の公共職業安定所の管内である場合であっても転勤届の提出は必要である。
■ 事業主は、その雇用する被保険者がその小学校就学の始期に達するまでの子を養育するための休業若しくは対象家族を介護するための休業をした場合又はその雇用する被保険者のうちその小学校就学の始期に達するまでの子を養育する被保険者惜しくは対象家族を介護する被保険者に関して所定労働時間の短縮を行った場合であって、当該被保険者が離職し、特定理由離職者又は特定受給資格者として受給資格の決定を受けることとなるときは、当該被保険者が当該離職したことにより被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内に、「雇用補円被保険者休業・所定労働時間短縮開始時賃金証明書」をその事業所保険の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。
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■ 当該代理人が使用すべき認印の印影を届け出なければならない(雇用則145条2項)
■ 事業所が2つに分割された場合は、分割された2の事業所のうち主たる事業所と分割前の事業所とを同一のものとして取扱い、もう一方の従たる事業所についてのみ事業所設置届を行う。
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■ 公共職業安定所長は、被保険者となったことの確認をしたときは、その確認に係る者に雇用保険被保険者証を交付しなければならない。なお、被保険者証の交付は、当該被保険者を雇用する事業主を通じて行うことができる。(雇用則10条1項・2項)
■ 公共職業安定所長は、雇用保険被保険者休業開始時賃金証明書の提出を受けたときは、当該休業開始時賃金証明書に基づいて作成した雇用保険被保険者休業開始時賃金証明票(休業開始時賃金証明票)を当該被保険者に交付しなければならない。なお、この交付は、当該被保険者を雇用する事業主を通じて行うことができる。
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■ 被保険者又は被保険者であった者は、いつでも、被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認を請求することができる(雇用法8条)
■ 日雇労働被保険者又は日雇労働被保険者であった者は、確認の請求を行うことはできない。(雇用法43条4項)。資格取得の手続きを自ら行うこととされているため、このような取り扱いとされているものである。
■ 高年齢被保険者(であった者)及び短期雇用特例被保険者(であった者)は、確認の請求を行うことができる。
■ 労働者が被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの厚生労働大臣(公共職業算定所長)の確認は、次のアからウのいずれかに基づいて行われる。(雇用法9条)
・ 事業主からの被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことに関する届出
・ 被保険者又は被保険者であった者からの請求
・ 公共職業安定所長の職権
■ 高年齢被保険者及び短期雇用特例被保険者は、雇用法9条でいう被保険者に含まれる。
■ 被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認の請求は、文書又は口頭で行うものとする。(雇用則8条)
■ 上記規定により文書で確認の請求をしようとする者は、次のアからオに掲げる事項を記載した請求書を、その者を雇用し又は雇用していた事業主の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。この場合において、証拠があるときは、これを添えなければならない。
・ 請求書の氏名、住所及び生年月日
・ 請求の趣旨
・ 事業主の氏名並びに事業所の名称及び所在地
・ 被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの事実、その事実のあった年月日及びその原因
・ 請求の理由
■ 公共職業安定所長は、当該確認に係る者又は当該事業主の所在が明らかでないために当該通知をすることができない場合には、当該公共職業安定所の掲示場に、その通知すべき事項を記載した文書を掲示しなければならない。
[雇用法] 雇用保険法・重要箇所・Chapter4
■ 失業等給付の種類(雇用法10条1項)
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■ 失業等給付の体系
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■ 育児休業給付は、失業等給付には含まれない。
■ 基本手当は、被保険者が失業した場合において、離職の日以前2年間(算定対象期間)に、被保険者期間が通算して12か月以上であったときに支給する。
■ 特定理由退職者及び特定受給資格者に該当する者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あれば、支給する。(雇用法13条1項・2項)
■ 算定対象期間は、原則として離職の日以前2年間であるが、当該期間に疾病、負傷、その他厚生労働省令で定める理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を2年に加算した期間(その期間が4年を超えるときは4年間)とされる。(雇用法13条1項)
■ 管轄公共職業安定所長は、勾留が不当であったことが裁判上明らかになった場合には、これを理由として受給期間の延長を認めることができる。
■ 離職の日以前より2年以前から休業している状態で、離職の日以前2年間(算定対象期間)に30日以上食い込んでいる場合、継続して休業していた期間は対象となる。
■ 受給要件の緩和(算定対象期間の延長)に係る賃金の支払を受けることができなかった日数は、30日以上継続することを要し、断続があってはならない。ただし、この例外として、当該期間が途中で中断した場合であって、以下のアからウのいずれにも該当する場合は、これらの期間の日数をすべて加算することができる。
・ 離職の日以前2年間又は1年間において、受給要件の緩和が認められる理由により賃金の支払を受けることができなかった期間があること
・ 同一の理由により賃金の支払を受けることができなかった期間と途中で中断した場合の中断した期間との間が30日未満であること
・ 上記イの各機関の賃金の支払を受けることができなかった理由は、同一のものが途中で中断したものであると判断できるものであること。
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■ 被保険者期間は、被保険者であった期間のうち、当該被保険者でなくなった日又は各月においてその日に応当し、かつ当該被保険者であった期間内にある日(その日に応当する日がない月においては、その月の末日(喪失応当日))の各前日から各前月の喪失応当日までさかのぼった各期間(賃金の支払の基礎となった日数が11日以上であるものに限る)を1箇月として計算し、その他の期間は、被保険者に算入しない。ただし、当該被保険者となった日からその日後における最初の喪失応当日の前日までの期間の日数が15日以上であり、かつ、当該期間内における賃金の支払の基礎となった日数が11日以上あるときは、当該期間を2分の1箇月の被保険者期間として計算する。(雇用法14条1項)
■ 現実に労働した日数であることを要せず、次の日数は賃金の支払の基礎となった日数に算入する。
・ 労働基準法26条の規定による休業手当が支給された場合のその休業手当の支給の対象となった日数。
・ 労働基準法39条の規定による年次有給休暇を取得した日がある場合のその年次有給休暇の日数
■ 離職証明書の賃金支払基礎日数の計算は深夜労働を行って翌日にわたり、かつ、その労働時間が8時間を超える場合にはこれを2日として計算する。
■ 未払賃金がある場合でも、賃金計算の基礎となる日数が11日以上あれば、その月は被保険者期間に算入する。
■ 家族手当、住宅手当等の支給が1月分ある場合でも、本給が11日分未満しか支給されないときは、その月は被保険者期間に算入しない。
■ 二重に被保険者資格を取得していた被保険者が一の事業主の適用事業から離職し、その前後に他の事業主の適用事業から離職した場合は、被保険者期間として計算する月は、後の方の離職の日に係る算定対象期間について算定する。
■ 算定対象期間中に、上記の規定により計算された被保険者期間が12か月(特定理由離職者及び特定受給資格者に該当するものについては、6か月)に満たない場合には、次のように被保険者期間を計算する
・ 被保険者であった期間のうち、当該被保険者でなくなった日又は喪失応当日の各前日から各前月の喪失応当日までさかのぼった期間(賃金の支払の基礎となった日数が11日以上であるもの又は賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上であるものに限る)を1箇月として計算し、その他の期間は、被保険者期間に算入しない。
・ ただし、当該被保険者となった日からその日後における最初の喪失応当日の前日までの期間の日数が15日以上であり、かつ、当該期間内における賃金の支払の基礎となった日数が11日以上であるとき又は賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上であるときは、当該期間を2分の1箇月の被保険者期間として計算する。
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■ 被保険者期間を計算する場合において、次に掲げる期間は、被保険者であった期間に含まれない。(雇用法14条2項1号)
・ 最後に被保険者となった日前に、当該被保険者の受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格を取得したことがある場合の当該受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格における離職の日以前における被保険者であった期間
・ 被保険者の資格取得の確認があった日の2年前の日(雇用保険法22条5項に規定する者にあっては、徴収法32条1項の規定により被保険者の負担すべき額に相当する額(雇用保険率に応ずる一般保険料の額のうち被保険者の負担すべき額に相当する額)がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期のうち最も古い時期として厚生労働省令で定める日)前における被保険者であった期間
■ 基本手当は、受給資格者が失業している日(失業していることについて認定を受けた日に限る)について支給される。(雇用法15条1項)
(図)
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■ 失業の認定は、雇用法21条に定める待期の7日間についても受ける必要がある。なお、その7日間について、基本手当が支給されることはない。
■ 基本手当の支給を受けようとする者(未支給給付請求者を除く)は、管轄公共職業安定所に出頭し、離職票に運転免許証その他の基本手当の支給を受けようとする者が本人であることを確認できる書類を添えて提出しなければならない。この場合において、その者が2枚以上の離職票を保管するとき又は受給期間延長の申出(定年退職者等に係る者を含む)をしたことにより、受給期間延長通知書の交付を受けているときは、併せて提出しなければならない。(雇用則19条1項)
■ 管轄公共職業安定所長は、離職票の提出をした者が、受給資格を有すると認めたときは、失業の認定日を定め、その者に知らせるとともに、雇用保険受給資格者証に必要な事項を記載した上で、これを交付しなければならない。
■ 管轄公共職業安定所長は、離職を提出した者が雇用法13条1項の規定に該当しない(受給資格を有さない)と認めたときは、離職票にその旨を記載し、返付しなければならない。(健保則19条3項・4項)
■ 失業の認定は、求職の申込みを受けた公共職業安定所において、受給資格者が離職後最初に出頭した日から起算して4週間に1回ずつ直前の28日の各日について行うものとする。(雇用法15条3項)
■ 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける受給資格者に係る失業の認定は、1月に1回、直前の月に属する各日(すでに失業の認定の対象となった日を除く)について行うものとする。(雇用則24条1項)
■ 受給資格者は、失業の認定を受けようとするときは、失業の認定日に、管轄公共職業安定所に出頭し、失業認定申告書に受給資格者証を添えて提出した上で、職業の照会を求めなければならない。ただし、受給資格者証に添えて提出することができないことについて正当な理由があるときは、受給資格者証を添えないことができる。管轄公共職業安定所長は、受給資格者に対して失業の認定を行ったときは、その処分に関する事項を受給資格者証に記載した上で、返付しなければならない。
■ 公共職業安定所に出頭とは、受給資格者の居住地を管轄する公共職業安定所に受給資格者本人が出頭することをいい、本人以外の者、例えば、代理人、使者等の出頭は許されない。
■ 受給資格者が正当な理由なく所定の認定日に出頭しない場合、原則として、認定対象期間の全部について失業の認定がなされない。
■ 失業の認定は、原則として未支給の基本手当の請求に係る場合を除き、代理人を出頭させて失業の認定を受けることはできない。
■ 失業の認定を受けるべき期間中において受給資格者が就職した日があるときは、就職した日についての失業の認定は行わない。また、その期間中に自己の労働によって収入を得た場合には、その収入の額に応じて基本手当等の支給額を減額する。
■ 就職とは雇用関係に入るものはもちろん、請負、委任により常時労務を提供する地位にある場合、自営業を開始した場合等であって、原則として1日の労働時間が4時間以上のもの(4時間未満であっても被保険者となる場合を含む)をいい、現実の収入の有無を問わない。
■ 自己の労働による収入とは通常内職収入と称されるもの等であって、原則として1日の労働時間が4時間未満のもの(被保険者となる場合を除く)という。
■ 管轄公共職業安定所長は、受給資格者の申出によって必要があると認めるときは、その者について行う基本手当に関する事務を他の公共職業安定所長に委嘱することができる。(雇用法54条1項)
■ 管轄公共職業安定所長は、失業の認定にあたっては、失業認定申告書に記載された求職活動の内容を確認するものとし、当該認定に関して必要があると認めるときは、受給資格者に対し、運転免許証その他の基本手当の支給を受けようとする者が本人であることを確認することができる書類の提出を命ずることができる。なお、上記の確認の際、受給資格者に対し、職業紹介又は職業指導を行うものとする。(雇用則28条の2)
■ 受給資格者は、所定の失業の認定日において、次のいずれかに該当することにより、公共職業安定所に出頭することができなかったときは、ウの場合を除き、その理由がやんだ後の最初の失業の認定日に出頭して、その理由を記載した証明書を受給資格者証に添えて提出することにより、失業の認定を受けることができる。
・ 疾病又は負傷のために公共職業安定所に出頭することができなかった場合において、その期間が継続して15日未満であるとき
・ 医者その他診療を担当した者の証明書(雇用則25条)
・ 公共職業安定所の紹介に応じて求人者に面接するために公共職業安定所に出頭することができなかったとき
・ 求人者の氏名及び住所等を記載した当該求人者の証明書(雇用則26条)
・ 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるために公共職業安定所に出頭することができなかったとき
・ 公共職業訓練等受講証明書(雇用則27条)
・ 天災その他やむを得ない理由のために公共職業安定所に出頭できなかったとき。
・ 天災その他やむを得ない理由の内容及びその理由が継続した期間等を記載した官公署の証明書又は管轄公共職業安定所の長が適当と認める者の証明書(雇用則28条)
■ 上記ウの場合には、失業の認定が1月に1回、直前の月に属する各日(すでに失業の認定の対象となった日を除く)について行われることから、その際に公共職業訓練等受講証明書を管轄公共職業安定所長に提出することにより、失業の認定を受けることができる。
■ 失業の認定日の変更
・ 対象者(雇用法23条)
・ 職業に就くためその他やむを得ない理由のため失業の認定日に管轄公共職業安定所に出頭することが出来ない者であって、その旨を管轄公共職業安定所の長に申し出たもの
・ 管轄公共職業安定所の長が行政機関の休日、労働市場の状況その他の事情を勘案して、失業の認定日を変更することが適当であると認める者
・ 認定日(雇用法24条)
・ 上記に規定する者に係る失業の認定は、その申出を受けた日に、次の1または2に掲げる日について行うものとする。
・ 当該申出を受けた日が当初の失業の認定日前の日であるときは、当該失業の認定日における失業の認定の対象となる日のうち、当該申出を受けた日前の各日
・ 当該申出を受けた日が当初の失業の認定日後の日であるときは、当該失業の認定日における失業の認定の対象となる日及び当該失業の認定日から当該申出を受けた日の前日までの各日
■ 職業に就くためその他やむを得ない理由
・ 就職する場合(公共職業安定所の紹介によると否とを問わない)
・ 証明認定のアからエに該当する場合
・ 公共職業安定所の紹介によらないで求人者に面接する場合(採用試験を受験する場合を含む)
・ 各種国家試験、検定等の資格試験を受験する場合等
・ 親族(六親等以内の血族、配偶者及び三親等以内の姻族)の傷病について受給資格者の看護を必要とする場合、当該親族の危篤又は死亡及び葬儀
・ 配偶者、三親等以内の血族又は姻族の命日の法事
・ 受給資格者本人の婚姻の場合(社会通念上妥当と認められる日数の新婚旅行等を含む)又は上記と同範囲の親族の婚姻のための儀式に出席する場合
・ 中学生以下の子弟の入学式又は卒業式等への参加
・ 選挙権その他公民としての権利を行使する場合
・ その他
■ 求職者給付の支給を受ける者は、必要に応じ職業能力の開発及び向上を図りつつ、誠実かつ熱心に求職活動を行うことにより、就職に就くよう努めなければならない。(雇用法10条の2)
■ 求職活動の回数
・ 原則2回以上
・ 次のいずれかに該当する場合には、上記に関わらず認定対象期間中に行った求職活動実績は1回以上あれば足りる者とする。
・ 厚生労働省令で定める理由により就職が困難なものである場合
・ 基本手当の支給に係る最初の失業の認定日(初回支給認定日)における認定対象期間(初回支給認定日については、待期期間を除く)である場合
・ 認定対象期間の日数が14日未満となる場合
・ 求人への応募(求人への養母書類の郵送)を行った場合(当該応募を当該認定対象期間における求職活動実績とする)
・ 巡回職業相談所における失業の認定及び市町村長の取次による失業の認定を行う場合
■ 求職活動実績として認められる求職活動には、公的機関等(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構、地方自治体、求人情報提供会社、新聞社等)が行う求人活動に関する指導、個別相談が可能な企業説明会当を含める。なお、受給資格者の住居所を管轄する公共職業安定所以外の公共職業安定所が行う職業相談、職業紹介等を受けたことも当然該当する。
■ 求人への応募をおこなった場合は、求職活動実績とするが、書類選考、筆記試験、採用面接等が一の求人に係る一連の選考過程である場合には、そのいずれまでを受けたかにかかわらず、一の応募として取り扱われる。
■ 基本手当は、受給資格者が当該基本手当の受給資格に関する離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことが出来ない日を含む)が通算して7日を満たない間は、支給しない。(雇用法21条)
[雇用法] 雇用保険法・重要箇所・Chapter5
賃金日額は、算定対象期間において雇用法14条の規定により被保険者期間として計算された最後の6箇月間に支払われた賃金(臨時で支払われる賃金及び3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く)の総額を180で除して得た額とする。(雇用法17条1項)
賃金日額を原則的な計算方法によって計算すると、労働日数が少ないとき等、不利になる場合があるため、次に該当する場合には、賃金日額には最低保障額の規定が設けられている。(雇用法17条2項・3項)
賃金が、労働した日もしくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められている場合。
この場合、最後の6箇月間に支払われた賃金の総額を当該最後の6箇月間に労働した日数で除して得た額の100分の70に相当する額
賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められている場合
この場合、その部分の総額をその期間の総日数(賃金の一部が月によって定められている場合には、1箇月30日として計算する)で除して得た額とアの額の合計額
・ ア及びイにより賃金日額を算定することが困難であるとき、又はこれらの規定により算定した額を賃金日額とすることが適切でないと認める場合
この場合、休業開始前又は所定労働時間の短縮措置前に支払われていた賃金を考慮して、厚生労働大臣が定めるところにより算定した額
・ 小学校就学の始期に達するまでの子を養育するための休業もしくは対象家族を介護するために休業した場合、又は小学校就学の始期に達するまでの子の養育若しくは対象家族の介護に関して所定労働時間の短縮が行われた場合に、特定理由離職者又は特定受給資格者として受給資格の決定を受けた場合
この場合、休業開始前又は所定労働時間の短縮措置前に支払われていた賃金を考慮して、公共職業安定所長が定める額
賃金日額の算定の際には、下記の賃金賃金総額に含めない。
・ 臨時に支払われる賃金
3箇月を超える期限ごとに支払われる賃金
■ 健康保険法の規定に基づく傷病手当金は、健康保険の給付金であって、賃金とは認められない。また、傷病手当金が支給された場合において、その傷病手当金に付加して事業主から支給される給付額は、恩恵的給付と認められるので賃金とは認められない。
■ 支払義務の確定した賃金が所定の支払日を過ぎてもなお支払われないもの(未払賃金)のある月については、未払額を含めて(賃金日額を)算定する。
■ 月給者が月の中途で退職する場合に、その月分の給与を全額支払われる例があるが、この場合、退職日の翌日以降の分に相当する金額は賃金日額の算定の基礎に算入されない。
賃金手当の日額(雇用法16条1項)60歳未満
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■ 受給資格に係る離職の日において60歳以上65歳未満である受給資格者のうち、賃金日額が4970円以上11000円以下の場合の基本手当の日額は、賃金日額に100分の80から100分の45までの範囲で、賃金日額の逓増に応じ、一定の割合で逓増するように厚生労働省令で定める率を乗じて得た額とする。また、賃金日額が11000円を超える場合には、賃金日額に100分の45を乗じて得た額とする。(雇用法16条2項)
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■ 基本手当の日額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てる(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律2条)
■ 基本手当の日額の下限額
賃金日額 2577円
・ 基本手当日額 2061円(80%)
■ 自動変更対象額のうち、最低賃金日額(当該年度の4月1日に効力を有する地域別最低賃金(最低賃金額9条1項に規定する地域別最低賃金)の額を基礎として厚生労働省令で定める算定方法により算定した額)に達しないものは、年度の8月1日以後、当該最低賃金日額とする。(雇用法18条3項)
■ 最低賃金日額は、自動変更対象額が適用される年度の4月1日に効力を有する地域別最低賃金の額について、一定の地域ごとの額を労働者の人数により加重平均して算定した額に20を乗じて得た額を7で除して得た額とする。
■ 最低賃金日額=地域別最低賃金の額の加重平均×20÷7
■ 基本手当の日額の上限額
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■ 下限額は年齢にかかわりなく一律である。
■ 上限額は年齢区分によって異なる。最も金額が高いのは45歳以上60歳未満の区分である。
■ 厚生労働大臣は、年度(4月1日から翌年の3月31日までをいう)の平均給与額が、直近の自動変更対象額が変更された年度の前年度の平均給与額を超え、又は下るに至った場合においては、その上昇し、又は低下した比率に応じて、その翌年度の8月1日以後の自動変更対象額を変更しなければならない。(雇用法18条1項)
■ 受給権者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得た場合には、その収入の基礎となった日数(基礎日数)分の基本手当の支給について、次のようになる。
・ その収入の1日分に相当する額から1296円(控除額という)を控除した額と基本手当の日額との合計額(合計額)が賃金日額の100分の80に相当する額を超えないとき、基本手当の日額は減額されず、全額支給される。
・ (収入-1296円)+基本手当日額≦賃金日額の80%
・ アの合計額が賃金日額の100分の80に相当する額を超えるとき(ウに該当する場合を除く)、その超える額(超過額)の部分が基本手当の日額から減額される。
・ (収入-1296円)+基本手当日額≧賃金日額の80%
賃金日額の80%-{(収入-1296円)+基本手当日額}=減額
・ その収入の1日分に相当する額から1296円を控除した額が賃金日額の100分の80に相当する額を超えるとき、基本手当は支給しない。
・ (収入-1296円)≧賃金日額の80%
■ 受給資格者は、失業の認定を受けた期間中に自己の労働によって収入を得たときは、その者が自己の労働によって収入を得るに至った日の後における最初の失業の認定日に、失業認定申告書により、その収入の額その他の事項を公共職業安定所長に届け出なければならない。(雇用法19条3項・雇用則29条1項)
■ 基本手当は、雇用保険法に別段の定めがある場合を除き、次のアからウに掲げる受給資格者の区分に応じ、次のア~ウに定める期間(受給期間)内の失業している日について、雇用保険法22条1項に規定する所定給付日数に相当する日数分を限度として支給する。(雇用法20条1項)
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■ 上記アからウの受給期間内に、妊娠、出産、育児、疾病、負傷等の理由により引き続き30日以上職業に就くことができない者が、公共職業安定所長にその旨を申し出た場合には、その職業に就くことができない日数が加算され、受給期間は最長で4年間まで延長される。(雇用法20条1項)
■ 原則として、当該事由に該当するに至った日(引き続き30日以上職業に就くことができなくなるに至った日)の翌日から受給資格に係る離職の日の翌日から起算して4年を経過する日までの間(加算された期間が4年に満たない場合は、当該期間の最後の日までの間)に、「受給期間延長申請書」に医師の証明書その他の職業に就くことができない事実を証明することができる書類及び受給資格者証(その交付を受けていない場合には、離職票(2枚以上の離職票を保管するときは、そのすべての離職票))を添えて管轄公共職業安定所長に提出して行わなければならない。(雇用則31条1項・2項)
■ 受給資格に係る離職理由が60歳以上の定年に達したこと又は60歳以上の定年に達した後の勤務延長若しくは再雇用の期間が終了したことによるものである者が、当該離職後一定期間求職の申込みをしないことを希望している場合において、公共職業安定所長にその旨を申し出たときは、その期間(離職の日の翌日から起算して1年が限度)と上記アからウの受給期間と合算した期間が受給期間とされる。ただし、求職の申込みをしないことを希望する一定期間の間に求職の申込みをしたときは、離職の日の翌日から当該求職の申込みをした日の前日までの期間に相当する期間と上記アからウの受給期間を合算した期間とされる。(雇用法20条2項)
■ 原則として、離職の日の翌日から起算して2箇月以内に、受給期間延長申請書に離職票を添えて管轄公共職業安定所長に提出しなければならない。(雇用則31条の3第1項・2項)
■ 定年等により離職した者が申出により受給期間を延長した場合、当該期間内に負傷等により受給期間を延長すべき場合に該当するに至ったときは、両方の受給期間の延長が適用される。ただし、受給期間は最長で4年間であり、これを超えることはない。
・ 一般の受給資格者
・ 受給期間(1年)+定年等による延長(1年)+職業に就くことができない場合(最長2年
・ 所定給付日数が360日の就職困難者(算定基礎期間1年
・ 受給期間(1年60日)+定年等による延長(1年)+職業につくことができない場合(最長1年305日
・ 所定給付日数が330日の特定受給資格者(算定基礎期間20年以上)
・ 受給期間(1年30日)+定年等による延長(1年)+職業に就くことができない場合(最長1年335日
■ 受給資格者(前の受給資格を有する者)が受給期間内に、新たに受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格を取得したときは、その取得した日以後においては、前の受給資格に基づく基本手当は、支給しない。(雇用法20条3項)
■ ただし、新たに受給資格等を取得できなかったときは、前の受給資格に基づく残りの基本手当を受給期間内に限って、受給することができる。従って、受給資格者は、受給期間内に就職したときは、その期間内に再び離職し、前の受給資格に基づいて基本手当の支給を受けることがあるため、受給資格者証を保管しなければならない。また、その場合、受給資格者証に添える書類は、離職票に代えて資格喪失確認通知書でも手続きが可能である。
■ 算定基礎期間は、受給資格者が基準日まで引き続いて同一の事業主の適用事業に被保険者として雇用された期間(当該雇用された期間に係る被保険者となった日前に被保険者であったことがある者については、当該雇用された期間と当該被保険者であった期間を通算した期間)とする。(雇用法22条3項)
■ ただし、以下の期間は算定期初期間に含めない。
・ 当該雇用された期間又は当該被保険者であった期間に係る被保険者となった日の直前の被保険者でなくなった日が当該被保険者となった日前1年の期間内にないときは、当該直前の被保険者でなくなった日前の被保険者であった期間
・ 当該雇用された期間に係る被保険者となった日前に基本手当又は特例一時金の支給を受けたことがある者については、これらの給付の受給資格又は特例受給資格に係る離職の日以前の被保険者であった期間
・ 育児休業給付金の支給に係る休業期間
■ 介護給付金の支給に係る休業期間は、算定基礎期間に含まれる。
■ 一の被保険者であった期間に関し、被保険者となった日が被保険者となったことの確認があった日の2年前の日より前であるときは、当該確認のあった日の2年前の日に当該被保険者となったものとみなして、算定基礎期間の規定による算定を行うものとする。
■ 次に掲げる要件のいずれにも該当する者(アに規定する事実を知っていた者を除く)に対する上記の規定の適用については、上記の規定中「当該確認のあった日の2年前の日」とあるのは、「次のイに規定されている被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期のうち最も古い時期として厚生労働省令で定める日」とする。
・ その者に係る被保険者の資格取得の届出がされていなかったこと
・ 厚生労働省令で定める書類に基づき、被保険者となったことの確認があった日の2年前の日より前に徴収法33条1項の規定により被保険者の負担すべき額に相当する額(雇用保険率に応ずる一般保険料の額のうち被保険者負担分に相当する額)がその者に支払われていた賃金から控除されていたことが明らかである時期があること
■ 所定給付日数
・ 特定受給資格者の場合(ウを除く)
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・ 特定受給資格者以外の受給資格者の場合(ウを除く)
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・ 就職困難な受給資格者の場合
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■ 身体障害者、知的障害者、売春防止法の規定により保護観察に付された者及び更生保護法48条の2各号又は85条1項各号に掲げる者であって、その者の職業のあっせんに関し保護観察所長から公共職業安定所長に連絡のあった者、社会的事情により就職が阻害されている者(雇用則32条)
■ 就職困難な者とは、受給資格決定時において就職が困難な状態にある者をいい、受給資格決定後にその状態が生じた者は含めない。
■ 特定受給資格者とは、次のいずれかに該当する受給資格者で、就職困難な受給資格者以外の者をいう。(雇用法23条2項)
・ 離職がその者を雇用していた事業主の事業について発生した倒産(破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申し立てそののか厚生労働省令で定める事由に該当する事態)又は当該事業主の適用事業の縮小もしくは廃止に伴うものである者として厚生労働省令で定めるもの
・ 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く)その他の厚生労働省令で定める理由により離職した者
・ 倒産等により離職した者
・ 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続きの申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者
・ 事業所において労働施策総合推進法の規定による大量の雇用変動(1箇月に30人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される使用権者の3分の1を超える者が離職したため離職した者
・ 事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む)に伴い離職した者
・ 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者
・ 解雇等により離職した者
・ 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く)により離職した者
・ 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
賃金(退職手当を除く)の額を3で除して得た額を上回る額が支払期日までに支払われなかったことにより離職した者
賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べ85%未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る)
・ 離職の日の属する月の前6月のうちいずれか連続した3箇月以上の期間において、労基法36条3項に規定する限度時間に相当する時間数(各月45時間)を超えて、時間外労働及び休日労働が行われたこと
・ 離職の日の属する月の前6月のうちいずれかの月において1月あたり100時間以上、時間外労働及び休日労働が行われたこと
・ 離職の日の属する月の前6月のうちいずれか連続した2箇月以上の期間の時間外労働時間及び休日労働時間を平均し1月あたり80時間を超えて、時間外労働及び休日労働が行われたこと
・ 事業主が危険若しくは健康障害を生ずる恐れがある旨を行政機関から指摘されていたにもかかわらず、事業所において当該危険もしくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者
・ 事業主が法令に違反し、妊娠中若しくは出産後の労働者又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと又は妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用したこと等を理由として不利益な取扱いをしたことにより離職した者
・ 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者
・ 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
・ 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されなかったこと(11を除く)により離職した者
・ 事業主又は当該事業主に雇用される労働者から就業環境が著しく害されるような言動(故意の排斥又は著しい冷遇もしくは嫌がらせ等)を受けたことによって離職した者
・ 事業主から直接若しくは間接に退職することを勧奨されたことにより離職した者(従来から設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)
・ 事業所において使用者の責めに帰すべき理由により行われた休業が引き続き3箇月以上となったことにより離職した者
・ 事業主の事業内容が法令に違反したため離職した者
■ 特定理由離職者とは、離職した者のうち、特定受給資格者以外の者であって、期間の定めのある労働契約が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことその他やむを得ない理由により離職した者として厚生労働省令で定める者をいう。(雇用法13条3項)
■ 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る)(特定資格者の11・12に該当する場合を除く)
■ 以下の正当な理由がある自己都合により離職した者
・ 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
・ 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用法20条1項の受給期間延長措置を受けた者
・ 父もしくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父もしくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の介護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した場合、なお、子弟教育等のために退職することは、この基準に該当しない。
・ 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した場合
・ 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
・ 結婚に伴う住所の変更
・ 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
・ 事業所の通勤困難な地への移転(特定受給資格者に該当する場合を除く)
・ 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
・ 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止または運行時間の変更等
・ 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
・ 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
・ その他、特定受給資格者14に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて退職した場合
■ 特定理由離職者(38)は、受給資格にかかる離職が平成21年3月31日から令和4年3月31日までの間にある場合は、所定給付日数が、暫定的に特定受給資格者と同様になる。
■ 特定理由離職者(39)については、離職の日以前2年間に被保険者期間が12か月未満であっても、特定受給資格者と同様に離職の日以前1年間に被保険者期間が6箇月以上あったときは、基本手当が支給されますが、所定給付日数は特定受給資格者と同じではありません。(就職困難者に該当する場合を除き、一般の受給資格者と同じ)。正当な理由により離職した者であるため、雇用法33条の給付制限(離職理由による給付制限)の対象にはなりません。
■ 基本手当は、待期期間を満了した者に対して、原則として4週間に1回、その日前28日分(失業の認定を受けた日分)が支給される。(雇用法30条1項)
■ 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける受給資格者に対しては、1月に1回支給することとし、また、特別の事情がある者については、それぞれ別に定める日に支給する。(雇用則43条1項)
特定受給資格者判断基準
■ 「倒産」等により離職した者
・ 倒産(破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始、整理開始若しくは特別清算開始の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者(雇用則35条1号)
・ 破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て等がなされたこと又は不渡手形の発生の事実が生じたことを理由として離職した場合。ただし、再建型の倒産手続の場合は、民事再生計画や会社更生計画が決定されるまでの間に離職を事業主に申し出た場合が該当する。
・ 業務停止命令(業務停止命令時において業務停止期間について定めのないもの又は1箇月以上ものに限る)により当該営業業務がすべて停止されたことにより、事業所の倒産がほぼ確実になったため離職した場合(業務が再開されるまでの間に離職を事業主に申し出た場合に限る)が該当する。
・ 事業の縮小により離職した者(事業規模若しくは事業活動の縮小又は転換等に伴う離職)(雇用則35条2号)
・ 労働政策総合推進法27条1項の規定による離職に係る大量の雇用変動の場合(1か月に30人以上の離職を予定)の届出が公共職業安定所にされ、大量の人員整理が行われることが確実になったために離職した場合が該当する。
・ 当該事業主に雇用される雇用保険被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く)の」うちの3分の1を超える者の人員整理がすでに行われたために離職した場合が該当する。
・ 事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む)に伴う離職した者(雇用則35条3号)
・ 事業所が廃止(裁判上の手続を伴わない私的整理等により事業活動が停止し、再開される見込みがない場合を含む)されたため、当該事業所を離職した場合が該当する
・ 会社法等の庄子関係法令に基づく解散の議決が行われたため、離職した場合が該当する。
・ 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者(雇用則35条4号)
・ 通勤困難(通常の方法により通勤するための往復所要時間が概ね4時間以上であるとき等)な適用事業所の移転について事業主より通知され(事業所移転の1年前以降の通知に限る)、事業所移転直後(概ね3か月以内)までに離職した場合がこの基準に該当する。
■ 「解雇」等により離職した者
・ 「解雇」(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)により離職した者(雇用則36条1号)
・ 自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇(重責解雇)された場合を除き、事業主から解雇され離職した場合が該当する。
・ なお、労働組合からの除名により、当該解雇となる団体協約を結んでいる事業所において、事業主に対し自己の責めに帰すべき重大な理由がないにもかかわらず、組合から除名の処分を受けたことによって解雇された場合は、当該基準に該当する。
・ また、事業主が解雇予告通知後(1年以内に解雇された場合に限る)において自ら離職した場合においては、事業主から直接の退職勧奨がなされたものと解されるため、後記ケに該当する。
・ 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者(雇用則36条2項)
・ 被保険者が労働契約の締結に際し、事業主から明示された労働条件(賃金、労働時間、休暇、就業場所及び業務等、(以下採用条件))が就職後の実際の労働条件と著しく相違したこと又は事業主が労働条件を変更したことにより採用条件と実際の労働条件が著しく異なることとなったことを理由に、衆力後1年を経過するまでの間に離職した場合が該当する
・ 事業主が、正当な手続きを経て変更したことにより、採用条件と実際の労働条件が異なることとなった場合には、この基準に該当しない
賃金(退職手当を除く)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったことにより離職した者(雇用則36条3号)
・ 以下の条件のいずれかに該当し、これらのあった月から起算して1年以内に離職した場合が該当する
・ 現実にその月(賃金月)中に支払われた額(何月分であるかを問わない)がその者の本来その月(賃金月)中に支給を受けるべき額の3分の2に満たない月(支払われた休業手当等の額が、その者に支払われるべき賃金月額の3分の2に満たない月も該当)が1か月以上ある場合
・ 毎月決まって支払われるべき賃金の全額が所定の賃金支払日より遅れて支払われたという事実が一回以上あった場合
・ これらの事実があった後、通常の賃金支払の事実が3か月以上継続した場合はこの基準に該当しない。
賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る)(雇用則36条4項)
・ 離職の日の属する月以後の6か月のうちいずれかの月に支払われる賃金と当該月より6か月のうちいずれかの月に支払われる賃金とを比較し、85%未満に低下することとなった場合
・ 離職の日の属する月より前の6か月及び離職の日の属する月のいずれあかの月の賃金と当該月より前6か月間のうちいずれかの月に支払われる賃金とを比較し、85%未満に低下した場合
・ 出来高払制のように業績によって、各月の賃金が変動するような雇用契約の場合、また60歳以上の定年退職に伴い賃金が低下し同一の適用事業主に再雇用される場合も該当しない
・ 離職の直前6カ月間のうち3月連続して45時間を超えて、1月で100時間以上又は2から6月平均で月80時間を超えて時間外労働及び休日労働が行われたため、又は事業主が危険若しくは健康障害の生ずる恐れがある旨を行政機関から指摘されたにも関わらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者(雇用則36条5号)
・ 離職直前の6か月間(賃金締切日を起算日とする各月)の間に45時間を超える時間外労働及び休日労働が3月連続であったため離職した場合、100時間以上、時間外労働又は休日労働が1月あったため離職した場合、又は2~6月平均で月80時間を超える時間外労働及び休日労働があったため離職した場合等が該当する。(労働時間については、有給休暇や体調不良等のやむを得ない理由により時間外労働及び休日労働が行われていない月がある場合には、これを除いて算定する)
・ 労働基準法、労働安全衛生法、育児・介護休業法等の労働者保護法令や保安関係法令(いずれも一定のものに限る)において、職業生活を継続する上で危険又は健康障害の発生するおそれがある旨の法令違反について、所管の行政機関により改善にかかる指摘がなされた事実があり、改善に係る指摘後、一定期間(概ね1か月程度)経過後においても当該法令違反に係る改善が行われていないことを理由に離職した場合が該当する。
・ 事業主が法令に違反し、妊娠中若しくは出産後の労働者又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと又は妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用したこと等を理由として不利益な取扱いをしたことにより離職した者(雇用則36条5号)
・ 育児・介護休業法の規定に基づき、育児休業、介護休業、看護休暇、介護休暇の申出をしたが、正当な理由なく拒まれたため、休業開始予定日までに休業又は休暇を取得できなった場合
・ 妊娠・出産をしたこと、産前休業を請求し、又は産前産後休業をしたこと、並びに育児休業、介護休業、看護休暇、介護休暇の申出又は取得をしたことを理由とする不利益取扱いを受けた場合
・ 事業主が、育児・介護休業法、労働基準法、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(船員については、船員法を含む)の労働者保護法令(一定のものに限る)に違反し、又は措置されなかった場合。
・ 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した場合(雇用則36条6号)
・ 採用時に特定の職種を遂行するために採用されることが労働契約上明示されていた者について、当該職種と別の職種を遂行することとされ、かつ、当該職種の転換に伴い賃金が低下することとなり、職種転換が通知され(職種転換の1年前以内に限る)、職種転換直後(概ね3か月以内)までに離職した場合が該当する
・ 採用時に特定の職種を遂行することが明示されていなかった者であって、一定期間(10年以上)同一の職種についていたものについては、職種転換に際し、事業主が十分な教育訓練を行わなかったことにより、労働者が専門の知識又は技能を十分に発揮できる機会を失い、新たな職種に適応することが困難なため離職した場合に該当する。
・ 労働契約上、勤務場所が特定されていた場合に遠隔地(通常の交通機関を利用して通勤した場合に概ね往復4時間以上要する場合、④に同じ)に転勤(在籍出向を含む)を命じられ、これに応じることができないため離職した場合に該当する。
・ 権利濫用に当たるような事業主の配転命令がなされた場合。家庭的事情(常時本人の介護を必要とする親族の疾病、負傷等の事情がある場合をいう)を抱える労働者が、遠隔地に転勤を命ぜられたため離職した場合に該当する。
・ 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(雇用則36条7号)
・ 期間の定めのある労働契約が更新され(すなわち当該契約が1回以上更新され)、雇用された時点から継続して3年以上雇用されている場合であり、かつ、労働契約の更新を労働者が希望していたにもかかわらず、契約更新がなされなかった場合に離職した場合が該当する。
・ 定年退職後の再雇用時に契約更新の上限が定められている場合等あらかじめ定められていた再雇用期限の到来に伴い離職した場合はこの基準には該当しない。ただし、定年後の継続雇用を希望していたにもかかわらず、就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く)に該当したため60歳以上65歳未満の定年により離職した場合は該当する(就業規則又は労使協定に定める「継続雇用しないことができる事由」に該当して離職した場合を含む)
・ 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(雇用則36条7号の2)
・ 以下の1または2のいずれにも該当する場合に適用する。ただし、適用となる同一の事業主の適用事業に引き続き雇用された期間に上限はないが、前期クに該当しない場合にこれに該当する者として取り扱う。
・ 被保険者資格を取得する時点で期間の定めのある雇用契約であったとしても、当該契約を行使又は延長する旨が雇入通知書等により明示されていた場合
・ 労働契約の行使を労働者が希望していたにもかかわらず、契約更新がなされなかった場合
・ なお、いわゆる登録型派遣労働者については、「次の派遣就業が行われること」について派遣元事業主及び派遣労働者双方が合意、共通認識を持っていたのにもかかわらず、派遣就業に係る雇用契約が終了し、派遣労働者が引き続き当該派遣元事業主のもとでの派遣就業を希望していたが、当該雇用契約期間の満了日までに派遣元事業主から派遣就業を指示されなかったことにより、離職に至った場合が本要件に該当する。
・ 事業主又は上司、同僚等から就業環境が著しく害されるような言動を受けたこと(故意の排斥、著しい冷遇、嫌がらせを受けたことなど)によって離職した者(雇用則36条8号)
・ 上司、同僚等の「故意」の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを繰り返し受けたことにより離職した場合が該当する。すなわち、特定個人を対象とした配置転換又は休養体系等の変更が行われた場合が該当する
・ 管理者が、部下の職務上の失態があった場合等に注意、叱責することは通常起こりえることから、そのことだけをもってはこの基準に該当しない。
・ 事業主が男女雇用機会均等法11条に規定する職場におけるセクシャルハラスメント(セクハラ)の事実を把握していながら、雇用管理上の措置を講じなかった場合に離職した場合が該当する。
・ この基準(セクハラ)は、当該労働者が事業主(又は人事担当者)、雇用均等室等の公的機関にセクハラの相談を行っていたにもかかわらず、一定期間(概ね1か月)経過後においても、事業主が雇用継続を図る上での必要な改善措置を講じなかったため離職した場合が該当する
・ 視覚型セクハラ(事業所にヌードポスター等を掲示し、女性従業員が苦痛に感じて業務に専念できないこと)については、特定の労働者を対象とするものを除き、それにより離職を決意するに至るとは通常考えられないことから、原則として、この基準には該当しない。
・ 事業主から退職するように勧奨を受けた者(事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者。ただし、従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)(雇用則36条9号)
・ 企業整備により人員整理等に伴う退職勧奨など退職勧奨が事業主(又は人事担当者)より行われ離職した場合が該当する。
・ 希望退職募集(希望退職募集の名称を問わず、人員整理を目的とし、措置が導入された時期が離職者の離職前1年以内であり、かつ、希望退職の募集期間が3か月以内であるものに限る)への応募に伴い離職した場合が該当する。
・ 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した者(雇用則36条10号)
・ 経済情勢の変動その他により正常な事業活動を継続することが困難となった場合に、一時的に前日休業し、労働基準法の規定により休業手当の支払が3か月以上連続していた場合に該当する。
・ 休業手当の支給が終了し、通常の賃金支払がなされるようになってから離職した場合はこの基準に該当しない。
・ 事業所の業務が法令に違反したため離職した者(雇用則36条11号)
・ 事業が法令違反の製品を製造し、あるいは販売する等被保険者の就職当時の事業内容と相違し、又は、その製品の製造、あるいは販売を禁止する法令が新たに公布されたにもかかわらず、従来通りの製造、あるいは販売を継続している等、事業所の業務が法令に違反した場合であり、当該法令違反事実を知った後、3か月以内に離職した場合が該当する
・ 事業所において製造する製品が品質管理上の問題があった場合等はこの基準に該当しない
・ 船員に関する特例
・ 船員保険において特定受給資格者とされていた者で、離職理由が、「船舶に乗船すべき場所の変更により離職したこと」「被保険者が乗船する船舶の国籍喪失に伴い離職したこと」「予備船員である期間が引き続き3か月以上となったこと」等である者
[雇用法] 雇用保険法・重要箇所・Chapter6
■ 受給資格者が公共職業安定所長の提示した公共職業訓練等(その期間が2年を超えるものを除く。)を受けた場合には、当該公共職業訓練等を受ける期間(その者が当該公共職業訓練等をうけるため待期している期間(90日以内に限る)を含む)内の失業をしている日について、所定給付日数を超えてその者に基本手当を支給することができる。(雇用法24条1項・雇用令4条1項)
■ 訓練延長給付が行われる場合、その者の受給期間は、当該公共職業訓練等を受け終わる日までの期間(公共職業訓練等の終了後の期間の場合は、受け終わる日から30日を経過するまでの期間)を限度に延長される。
・ 当該公共職業訓練等を受けるために待期している期間(雇用法24条1項・雇用令4条2項)→ 公共職業訓練等を受け始める日の前日までの引き続き90日間が限度
・ 当該公共職業訓練等を受けている期間(雇用法24条1項・雇用令4条1項)→2年が限度
・ 公共職業訓練等を受け終わってもなお就職が相当程度に困難であるとみとめ認めた者については、当該公共職業訓練等の終了後の期間(雇用法24条2項・雇用令5条)→ 30日程度
■ 身体障害者などの就職が困難な受給資格者以外の受給資格者のうち、特定理由離職者である者又は特定受給資格者であって、次のアからウのいずれかに該当し、かつ、公共職業安定所長が厚生労働省令で定める基準(指導基準)に照らして再就職を促進するために必要な職業指導を行うことが適当であると認めたものについては、所定給付日数を超えて基本手当を支給することができる。
・ 心身の状況が厚生労働省令で定める基準に該当する者
・ 雇用されていた適用事業が激甚災害法2条の規定により激甚災害として政令で指定された者又は激甚災害法25条3項の規定により離職したものとみなされた者であって、政令で定める基準に照らして職業に就くことが特に困難であると認められる地域として厚生労働大臣が指定する地位域内に居住する者
・ 雇用されていた適用事業が激甚災害その他の災害(厚生労働省令で定める災害に限る)の被害を受けたため離職を余儀なくされた者又は激甚災害法25条3項の規定により離職したものとみなされた者(イを除く)
■ 身体障害者などの就職が困難な受給資格者であって、上記イに該当し、かつ、公共職業安定所長が指導基準に照らして再就職を促進するために必要な職業指導を行うことが適当であると認めたものについては、所定給付日数を超えて基本手当を支給することができる。(雇用法24条の2)
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■ 厚生労働大臣は、広域職業紹介活動を行わせた場合において、当該広域職業紹介活動にかかる地域について、政令で定める基準に照らして必要があると認めるときは、その指定する期間内に限り、公共職業安定所長が当該地域に係る当該広域職業紹介活動により職業の斡旋を受けることが適当であると認定する受給資格者について、広域延長給付を行うことができる。(雇用法25条1項)
■ 広域延長給付を受けることができる者が厚生労働大臣の指定する地域に住所又は居所を変更した場合には、引き続き当該措置に基づき基本手当を支給することができる。(雇用法25条2項)
・ 政令で定める基準とは、雇用法25条に規定する広域職業しょ紹介活動に係る地域について、一定の方法で計算した基本手当の初回受給者率が、全国のその率の100分の200以上となり、かつ、その状態が継続すると認められる場合とされている。
■ 広域延長給付が行われる受給資格者については、90日分を限度に所定給付日数を超えて基本手当が支給される。この場合、受給期間も90日分を限度に延長される。(雇用法25条1項・雇用令6条3項)
・ 広域延長給付を行うことが決定された日以後に他の地域から当該広域延長給付の措置に係る地域に移転した受給資格者であって、その移転について特別の理由がないと認められるものには、当該広域延長給付の措置に基づく基本手当は、支給されない。
■ 厚生労働大臣は、失業の状況が全国的に著しく悪化し、政令で定める基準に該当するに至った場合において、受給資格者の就職状況からみて必要があると認めるときは、その指定する期間内に限り、所定給付日数を超えて受給資格者に基本手当を支給する措置を決定することができる。
■ 厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、上記の延長措置の指定期間を延長することができる。(雇用法27条1項・2項)
■ 連続する4月間の失業の状況が次に掲げる状態にあり、かつ、これらの状態が継続すると認められること
・ 基準期間内の各月における基本手当の支給を受けた受給資格者の数を、当該受給資格者の数に当該各月の末日における被保険者の数を加えた数で除して得た率が、それぞれ100分の4を超えること。
・ 基準期間内の各月における初回受給者の数を、当該各月の末日における被保険者の数で除して得た率が、基準期間において低下する傾向にないこと。
■ 全国延長給付により所定給付日数を超えて基本手当が支給される日数は、90日を限度とする。なお、この場合、受給期間も90日を限度に延長される。(雇用法27条3項・雇用令7条2項)
■ 受給資格に係る離職の日が令和4年3月31日以前である受給資格者(就職が困難な以外の受給資格者以外の受給資格者のうち特定理由離職者である者及び特定受給資格者に限る)であって、厚生労働省令で定める基準に照らして雇用期間が不足していると認められる地域として更生労働祭神が指定する地域内に居住し、かつ、公共職業安定所長が雇用法24条の2第1項に規定する指導基準に照らして再就職を促進するために必要な職業指導を行うことが適当であると認めたもの(個別延長給付を受けることができるものを除く)については、所定給付日数を超えて、基本手当を支給することができる。(雇用法附則5条)
■ 地域延長給付の対象者について、年齢は問われない。
■ 地域延長給付により所定給付日数を超えて基本手当が支給される日数は、60日(算定基礎期間が20年以上あり、かつ所定給付日数が270日又は330日である受給資格者は30日)を限度とする。この場合、受給期間も60日30日)を限度に延長される。(雇用法附則5条2項・3項)
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■ 1人の受給資格者が、2以上の延長給付の対象となった場合には、調整が行われ、いずれか1種類の延長給付のみが行われることになる。各延長給付の優先順位は、次のアからエの順番により
・ 個別延長給付又は地域延長給付
・ 広域延長給付
・ 全国延長給付
・ 訓練延長給付
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■ 訓練延長給付(公共職業訓練等の終了後の延長給付に限る)、個別延長給付、広域延長給付又は全国延長給付を受けている受給資格者が、正当な理由がなく、公共職号安定所の紹介する職業に就くこと、公共職業安定所長が指示した公共職業訓練等を受けること又は厚生労働大臣の定める基準に従って公共職業安定所が行うその者の再就職を促進するために必要な職業指導をうけることを拒んだときは、その拒んだ日以後基本手当を支給しない。ただし、そのものが新たに受給資格を取得したときは、当該新たな受給資格に基づく基本手当は支給される。
■ 上記の規定に正当な理由があるかどうかの認定は、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従ってするものとする。(雇用法29条)
■ 受給資格者(訓練延長給付(公共職業訓練等の終了後の延長給付に限る)、個別延長給付、広域延長給付又は全国延長給付を受けている者を除く)が、公共職業安定所の紹介する職業に就くこと又は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等をうけることを拒んだときは、その拒んだ日から起算して1箇月間は、基本手当を支給しない。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この給付制限は行われない。
・ 紹介された職業又は公共職業訓練等を受けることを支指示された職種が、受給資格者の能力からみて不適当であると認められるとき。
・ 就職するため、又は公共職業訓練等を受けるため、現在の住所又は居所を変更することを要する場合において、その変更が困難であると認められるとき
・ 就職先の賃金が、同一の地域における同種の業務及び同程度の技能に係る一般の賃金水準に比べて、不当に低いとき。
・ 同盟罷業又は作業所閉鎖の行われている事業所に紹介されたとき。
・ その他正当な理由があるとき
■ 受給資格者が、正当な理由がなく、厚生労働大臣の定める基準に従って公共職業安定所が行うそのものの再就職を促進するために必要な職業指導を受けることを拒んだときは、その拒んだ日から起算して1箇月を超えない範囲内において公共職業安定所長が定める期間は、基本手当を支給しない。
■ 受給資格者が21のアからオに該当するかどうかの認定又は22の正当な理由があるかどうかの認定は、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従って行う。(雇用法32条)
■ 被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合には、待期期間の満了後1箇月以上3箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。ただし、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び当該公共職業訓練等を受け終わった日後の期間については、この限りではない。
■ 上記の「自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇」「正当な理由がない自己の都合による退職」に該当するかどうかの認定は、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従って行う。
■ 上記の給付制限を行う場合において、当該基本手当を支給しないこととされる期間に7日を超え30日以下の範囲内で厚生労働省令で定める日数(21日)及び当該受給資格に係る所定給付日数に相当する日数を加えた期間が1年(当該基本手当の受給資格に係る離職の日において、45歳以上65歳未満である受給資格者であって、厚生労働省令で定める理由による就職困難者のうち、その算定基礎期間が1年以上である受給資格者にあっては、1年60日を加えた期間)を超えるときは、その者の受給期間は、当初の受給期間にその超える期間を加えた期間となる。(雇用法33条1項から3項)
■ 給付期間の調整(45歳未満の就職困難な受給資格者の場合)
・ 離職理由に基づく給付制限の期間が91日であるケース
・ 給付制限91日、厚生労働省令で定める日数21日、所定給付日数300日(就職困難者で45歳未満の場合)となるため、91日+21日+300日-365日=47日1年を超えた期間となり、「当初の受給期間に加えることができる日数」となる。
■ 行政罰の対象とならない行為であって警報に規定する犯罪行為により起訴猶予処分を受け解雇された場合、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇に該当しない。
■ 従業員として当然守らなければならない事業所の機密を漏らしたことによって解雇された場合、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇に該当する。
■ 特定理由離職者又は特定受給資格者となる離職理由で離職した場合、正当な理由があるものとして、離職理由に基づく給付制限を受けない。
■ この離職理由に基づく給付制限に係る受給期間の延長の規定が適用される場合には、受給期間が4年を超えることもある。
■ 偽りその他不正の行為によって求職者給付又は就職促進給付の支給を受け、又は受けようとした者はこれらの給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、基本手当を支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には、基本手当の全部又は一部を支給することができる。
■ 上記の規定する日以後新たに受給資格を取得した場合には、上記の規定にかかわらず、その新たに取得した受給資格に基づく基本手当を支給する。
■ 受給資格者が上記の規定により基本手当を支給されないこととされたため、当該受給資格に基づき基本手当の支給を受けることができる日数の全部について基本手当の支給を受けることができなくなった場合においても、雇用法22条3項(所定給付日数の計算)の規定の適用については、当該受給資格に基づく基本手当の支給があったものとみなす。
■ 受給資格者が上記の規定により基本手当を支給されないこととされたため、上記に規定する日以後当該受給資格に基づき基本手当の支給を受けることができる日数の全部又は一部について基本手当の支給を受けることができなくなったときは、雇用法37条4項の規定(傷病手当の支給)の適用については、その支給をうけることができないこととされた日数分の基本手当の支給があったものとみなす。(雇用法34条)
■ 技能取得手当は、受給資格者が公共職業安定所長の支持した公共職業訓練等を受ける場合に、その公共職業訓練等を受ける期間について(基本手当と併せて)支給される。(雇用法36条1項)
■ 受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けた日であって、基本手当の支給の対象となる日(内職収入があった場合の減額計算を行なった結果、基本手当が支給されないこととなる日を含む)について40日分を限度として日額500円が支給される。 (雇用則57条・受講手当)
■ 受給資格者(原則として、徒歩で通所した場合の距離が片道2キロメートル以上であるもの)がその住所又は居所から公共職業訓練等を行う施設へ通所のためこうつう交通機関等又は自動車等を利用する場合に支給される。なお、通所を常例としない公共職業訓練等についても、現に通所した日数等に応じて、通所手当が支給される。(いわゆる「eラーニング委託訓練」におけるスクーリングの日などにも支給)
■ 支給額は月額制・通所方法により最高42500円(自動車等を使用する者については、最高8010円)とされる。(雇用則59条・雇用則附則2条:通所手当)
■ 受講手当は、以下の日については支給されない。
・ 公共職業訓練等を受講しない日、待期期間中の日、給付制限期間中の日、傷病手当の支給の対象となる日
・ 上記の日は他の技能取得手当(通所手当)及び寄宿手当についても同様に支給されない。
■ 寄宿手当は、受給資格者が、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その者により生計を維持されている同居の親族(婚姻の届出を指定内が、事実上その者と婚姻漢検と同様の事情にある者を含む)と別居して寄宿する期間について支給する。(雇用法36条2項・雇用則60条1項)
■ 寄宿手当は、公共職業訓練等を受講している期間中の日についてのみ支給されるものであり、公共職業訓練等の受講開始前の寄宿日又は受講終了後の寄宿日については支給されない。
■ 月額制で、額は10700円である。
■ 技能取得手当及び寄宿手当は、受給資格者に対し、支給日又は傷病手当を支給すべき日に、その日の属する月の前月の末日までの分が支給される。したがって、原則として1月に1回支給される。
■ 傷病手当は、受給資格者が、離職後公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした後に、継続して15日以上疾病又は負傷のために職業に就くことができない場合に、その者の受給期間内における当該疾病又は負傷のため基本手当の支給を受けることができない日(疾病又は負傷のために基本手当の支給を受けることができないことについて認定を受けた日に限る)について、基本手当に代えて支給される。(雇用法37条1項)
■ 傷病手当の日額は、基本手当の日額に相当する額である(雇用37条3項)
■ 疾病又は負傷のため職業に就くことができない状態が、当該受給資格に係る離職前から継続している場合、又は係る が当該受給資格にかかる離職後に生じた場合であっても、安定所に出頭し求職の申込みを行う前に生じその後も継続しているものであるときは、傷病手当の支給の対象とはならない。
■ つわり又は切迫流産(医学的に疾病とみとめられるものに限る)のため職業につくことができない場合には、その原因となる妊娠(受胎)の日が求職申込みの日前であっても当該つわり又は切迫流産が求職申込後に生じた場合には、傷病手当を支給し得る。
■ 有効な求職の申込みを行なった後において、当該求職の申込みを取消し(又は撤回)を行い、その後において疾病又は負傷のため職業に就くことができない状態となった場合には、傷病手当を支給することはできないものであるので留意する。
■ また、安定所に出頭し求職の申込みをしたあとにおいて再就職し、新たに受給資格を得ることなく受給期間内に再離職した場合は、その後において安定所に出頭し求職の申込みをしなければ、当該受給資格に基づき傷病手当の支給は行えない。
■ なお、求職の申込みの時点においては疾病又は負傷にもかかわらず職業に就くことができる状態にあった者が、その後疾病又は負傷のため職業に就くことができない状態になった場合は、傷病手当の支給要件に該当する。
■ 労働の意思又は能力がないと認められる者が傷病となった場合には、疾病又は負傷のため職業に就くことができないとは認められないから、傷病手当は支給できない。
■ 雇用保険法の規定による延長給付に係る基本手当を受給中の受給資格者については、傷病手当は支給されない。
■ 傷病手当が支給されない日(雇用法37条5項・8項・9項・令9条等)
・ 基本手当の支給を受けることができる日(疾病又は負傷のため公共職業安定所に出頭することができない場合において、その期間が継続して15日未満であるときは、証明書の提出により失業の認定を受けて基本手当の支給を受けることができるため、傷病手当は支給されない)
・ 待期期間中の日
・ 給付制限期間中の日
・ 疾病又は負傷の日について、健保法の規定による傷病手当金、労基法の規定による休業補償、労災法の規定による休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付その他これらに相当する給付であって政令で定めるものの支給を受けることができる日
・ 出産予定日以前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)前の日から出産日後8週間後の日までの期間
■ 傷病の認定
・ 傷病の認定の原則(雇用則63条1項)
・ 「傷病の認定」は、原則として、傷病手当の支給要件に該当する者が当該職業に就くことができない理由がやんだ後における最初の支給日(口座振込受給資格者にあっては、支給日の直前の失業の認定日)(支給日がないときは、当該者の受給満了の日から起算して1箇月を経過した日)までに受けなければならない。
・ 傷病の認定の例外(雇用則63条3項)
・ 天災その他傷病の認定を受けなかったことについてやむを得ない理由があるときは、当該理由がやんだ日の翌日から起算して7日以内に傷病の認定を受けなければならない。
■ 傷病による就職不能
15日未満→証明認定(基本手当)
15日以上→傷病手当
30日以上→傷病手当と受給期間の延長の選択
■ 延長給付に係る基本手当を受給中の受給資格者については、傷病手当は支給されない。
[雇用法] 雇用保険法・重要箇所・Chapter7
■ 65歳以上の被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。「高年齢被保険者」)が失業した場合には、高年齢求職者給付金を支給する。
■ 高年齢被保険者に関しては、一般被保険者の求職者給付、短期雇用特例被保険者の求職者給付、日雇労働被保険者の求職者給付の規定は適用されない。(雇用法37条の2)
■ 65歳に達した日とは、65歳の誕生日の前日を意味する
■ 高年齢求職者給付金は、高年齢被保険者が失業した場合において、原則として離職の日以前1年間(当該期間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により、引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった高年齢被保険者である被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を1年に加算した期間(その期間が4年を超えるときは4年間))に被保険者期間が通算して6箇月以上であるとき(高年齢受給資格者)に支給される。
■ 高年齢受給資格者が、高年齢求職者給付金の支給を受けることなく就職した後、当初の離職の日の翌日から起算して1年以内に再離職した場合(新たに特例受給資格を取得した場合を除く)には、当該高年齢受給資格に基づき、高年齢求職者給付金の支給を受けることができる。(雇用法37条の3)
■ 高年齢被保険者の被保険者期間は一般の被保険者期間の計算と同様の方法により行う。つまり、離職の日からさかのぼって1箇月ごとに区切っていき、賃金支払基礎日数が11日以上の場合、1箇月の被保険者期間、区切られた期間が1箇月未満の場合、15日以上あり、かつ、その期間内に賃金支払日数が11日以上ある場合、2分の1箇月と計算する。また、被保険者期間が6箇月に満たない場合には、区切られた期間に賃金支払基礎となった時間数が80時間以上であるときも、その期間を1箇月とする。
■ 高年齢求職者給付金の額は、算定基礎期間の区分に応じ、基礎手当日額の30日分又は50日分(失業の認定があった日から、高年齢受給資格に係る離職の日の翌日から起算して1年を経過する日までの日数が当該定められた日数に満たない場合には、その日数分)である。(雇用法37条の4第1項)
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■ 高年齢受給資格者の賃金日額が、基準日における30歳未満である受給資格者について定められた賃金日額の上限額を超えるときは、その額を賃金日額とする
■ 高年齢求職者給付金の支給を受けようとする高年齢受給資格者は、離職の日の翌日から起算して1年を経過する日まで(受給期限)に、管轄公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした上で、失業していることについての認定を受けなければならない。(雇用法37条の4第5項)
■ 受給期限は離職の日の翌日から起算して1年を経過する日である。(当該1年間に疾病又は負傷等により引き続き30日以上職業に就くことができない期間があっても、受給期限の延長は認められない。)
■ 高年齢受給資格者は、失業の認定を受けようとするときには、失業の認定日に、管轄公共職業安定所に出頭し、高年齢受給資格者失業認定申告書に高年齢受給資格者証を添えて提出しなければならない。(雇用則65条の5)
■ 待期(雇用法21条)、未支給の基本手当の請求手続(雇用法31条1項)、給付制限(雇用法32条から34条1項)の規定は、高年齢求職者給付金について準用する。
■ 内職による減額規定は適用されない。
■ 受給期限の延長は行われない。なお、算定対象期間については一般被保険者の場合と同様、最大4年まで延長される。
■ 高年齢求職者給付金は一時金で支給あれるため、失業の認定も1回に限って行われる。従って、失業の認定日に失業の状態であればよく、翌日から就職したとしても高年齢求職者給付金を返還する必要はない。
■ 次に掲げる要件のいずれにも該当する者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に申し出て、当該申出を行った日から高年齢被保険者となることができる。
・ 二以上の事業主の適用事業に雇用される65歳以上の者であること
・ 一の事業主の適用事業における1週間の所定労働時間が20時間未満であること
・ 二の事業主の適用事業(申出を行う労働者の一の事業主の適用事業における1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間数(5時間)以上であるものに限る。)における1週間の所定労働時間の合計が20時間以上であること
■ 上記の規定により高年齢被保険者となった者は、上記アからウの要件を満たさなくなったときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に申し出なければならない。
■ 上記の規定による申出を行った労働者については、雇用法9条1項の規定による確認が行われたものとみなす。
■ 厚生労働大臣は、上記の規定による申出があったときは、上記ウの二の事業主に対し、当該労働者が被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことを通知しなければならない。(雇用法37条の5・雇用則65条の7)
■ 上記の申出をして高年齢被保険者となった者を「特例高年齢被保険者」という。(雇用則1条5項1号)
■ この特例は、「65歳以上」の者に限り、「本人の申出」により、「2つの事業主」の適用事業の労働時間の合算を認めるもの。
■ 合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であれば、被保険者の労働時間の要件を満たす。なお、所定労働時間の合算は、各事業主の適用事業において、5時間以上20時間未満のものについて行う(5時間未満の者は対象外)
■ 特例高年齢被保険者について、合算した週の所定労働時間等の就業状況を、その雇用する事業主が把握し、各種の手続を行うことは困難であるため、通常事業主がその事業所を管轄する公共職業安定所に対して行う雇用保険に関する事務については、当該労働者本人が本人の住所又は居所を管轄する公共職業安定所に対して行うこととされている。
■ 特例高年齢被保険者に対する介護休業給付金又は育児休業給付金の規定の適用については、これらの規定中「した場合」とあるのは、「すべての適用事業所においてした場合」とする。つまり、すべての適用事業において介護休業(育児休業)をした場合でなければ、介護休業給付金(育児休業給付金)は支給されない。(雇用法37条の6)
■ 特例高年齢被保険者は、原則として、いわゆる雇用保険二事業における各種助成金の算定対象となりません。(雇用則65条14)
■ 被保険者であって、季節的に雇用されるもののうち、次のいずれにも該当しないもの(日雇労働被保険者を除く。(短期雇用特例被保険者))が失業したばあには、特例一時金を支給する。
4箇月以内の期間を定めて雇用される者
・ 1週間の所定労働時間が20時間以上であって厚生労働大臣の定める時間する未満である者
■ 被保険者が上記ア及びイに掲げる者に該当するかどうかの確認は、厚生労働大臣が定める。(雇用法38条1項・2項)
■ 季節的業務に期間を定めて雇用される者又は季節的に入職又は離職をするものをいう。
■ 上記イの厚生労働大臣が定める時間数は「30時間」。したがって、季節的に雇用される者で、「4箇月以内の期間を定めて雇用される者」「1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者」のいずれかに該当する者は、短期雇用特例被保険者とはならない。
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■ 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されるに至ったときは、その1年以上雇用されるに至った日(切替日)以後は、短期雇用特例被保険者でなくなり、一般被保険者又は高年齢被保険者となる。
・ 切替日において65歳になっていない者: 一般被保険者
・ 切替日において65歳以上である者: 高年齢被保険者
■ 短期雇用特例被保険者が引き続いて1年以上雇用されるに至ったときで、勤めていた株式会社が合併した場合又は会社更生法による更生手続開始決定を受けた場合であっても、同一の事業主に引き続いて1年以上雇用されていると認められるため、一般被保険者等に切り替わることもある。
■ 特例一時金は、短期雇用特例被保険者が失業した場合において、離職の日以前1年間(当該期間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった短期雇用特例被保険者である被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を1年に加算した期間(その期間が4年を超えるときは4年間))に、被保険者期間が通算して6箇月以上であったときに、雇用保険法40条の定めるところにより支給する。
■ 特例一時金の支給を受けることができる資格を有する者(特例受給資格者)が、離職の日の翌日から起算して6箇月を経過する日(受給期限日)までに、特例一時金の支給を受けることなく就職した後再び失業した場合において、再離職により新たな受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格を取得することができないときには、前の資格に基づいて、特例一時金の支給を受けることができる。(雇用法39条)
■ 被保険者期間の計算方法は、一般被保険者の場合の離職日からの1箇月ごとの「応当日方式」とは異なり、1歴月中に、賃金の支払の基礎となった日数が11日以上ある月を被保険者期間の1箇月として計算する。この場合、月の途中で資格を取得した場合には、その月の初日から資格を取得したものとみなし、しかくの喪失の日の前日が月の途中である場合には、その月の末日を資格喪失の日の前日とみなすこととしている。
■ なお、この方法で計算したが算定対象期間中の被保険者期間が通算して6箇月に満たない場合には、1歴月中に賃金支払の基礎となった時間数が80時間以上である月も、その月を、1箇月の被保険者期間として計算する。
■ 被保険者期間は、歴月をとって計算するものであるから、同一歴月においてAの事業所において賃金支払の基礎となった日数が11日以上で離職し、直ちにB事業所に就職して、その月に賃金支払の基礎となった日数が11日以上ある場合でも、被保険者期間2か月分として計算するのではなく、その日数はその歴月において合計して計算されるのであり、したがって被保険者期間1箇月として計算する。
■ 特例一時金の額は、特例受給資格者を受給資格者とみなして計算された基本手当の日額の30日分(当分の間、40日分)に相当する額である。ただし、失業の認定があった日から、離職した日の翌日から起算して6箇月を経過する日(受給期限日)までの日数が30日(当分の間、40日)に満たないときは、当該失業の認定日から受給期限日までの日数分に相当する額とする。(雇用法40条1項)
■ 特例一時金は、基本手当とは異なり、失業している日数に対応して支給されるものではなく、失業の状態にあれば支給されるものである。すなわち、失業の認定の日に失業の状態にあればよいのであり、翌日から就職したとしても返還の必要はない。また、求職の申込みの日以後失業の認定があった日の前日までの間に自己の労働による収入があった場合でも、減額されることはない。
■ 特例受給資格に係る離職の日において65歳以上の特例受給資格者についての上限額は、受給資格に係る離職の日において30歳未満である受給資格者について定められた額を適用する。(雇用法40条2項)
■ 特例一時金の支給を受けようとする特例受給資格者は、離職の日の翌日から起算して6箇月を経過した日まで(受給期限)に管轄公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした上、失業していることについての認定を受けなければならない。(雇用法40条3項)
■ 待期(雇用法21条)、未支給の基本手当の請求手続(雇用法31条1項)、給付制限(雇用法32条から34条)の規定は、特例一時金について準用する。(雇用法40条4項)
■ 特例受給資格者は、失業の認定を受けようとするときには、失業の認定日に、管轄公共職業安定所に出頭し、特例受給資格失業認定申告書に特例受給資格者証を添えて提出しなければならない。(雇用則69条1項)
■ 当該6箇月間に疾病又は負傷等により引き続き30日以上職業に就くことができない期間があっても、受給期限の延長は認められない。
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■ 特例受給資格者が、特例一時金の支給を受ける前に公共職業訓練等(その期間が30日未満(当分の間は40日未満)のものを除く)を受ける場合には、特例一時金を支給しないものとし、その者を受給資格者とみなして、当該公共職業訓練等を受け終わる日までの間に限り、受給資格者に対する求職者給付(基本手当、技能習得手当及び寄宿手当に限る)が支給される。(雇用法41条1項)
■ この規定は、公共職業訓練等を受けることが条件となっていることから、「傷病手当」は支給対象とはされていない。
■ 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受講する場合であっても、当該特例受給資格に係る離職理由が「自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され又は正当な理由がなく自己の都合によって退職したものであるとき」には、雇用法33条の離職理由に基づく給付制限が行われる。(雇用法41条1項括弧書)
[雇用法] 雇用保険法・重要箇所・Chapter8
■ 日雇労働者とは、次のいずれかに該当する労働者(前2月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及び同一の事業主の適用事業において継続して31日以上雇用された者(日雇労働被保険者の資格継続の認可を受けた者を除く)を除く)をいう。(雇用法42条)
・ 日々雇用される者
30日以内の期間を定めて雇用される者
■ 被保険者である日雇労働者であって、次のいずれかに該当する者は、日雇労働被保険者となる。(雇用法43条1項・2項)
・ 特別区若しくは公共職業安定所の所在する市町村の区域(厚生労働大臣が指定する区域を除く)又はこれに隣接する市町村の全部または一部の区域であって、厚生労働大臣が指定する区域(適用区域)に居住し、適用事業に雇用される者
・ 適用区域外の地域に居住し、適用区域内にある適用事業に雇用される者
・ 適用区域外の地域に居住し、適用区域外にある適用事業であって、日雇労働の労働市場の状況その他の事情に基づいて厚生労働大臣が指定したものに雇用される者
・ アからウに該当しない日雇労働者であっても、雇用保険の適用事業の事業主に雇用される場合には、管轄公共職業安定所の長の認可を受けて日雇労働被保険者となることができる。
■ 日雇労働被保険者が前2月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された場合又は同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用された場合において、公共職業安定所長の認可を受けたときは、その者は引き続き日雇労働被保険者となることができる。
■ 日雇労働被保険者は、厚生労働省令の定めるところにより、公共職業安定所において、日雇労働被保険者手帳の交付を受けなければならない。(雇用法44条)
■ 日雇労働被保険者は、日雇労働被保険者の要件に該当するに至った日から起算して5日以内に、日雇労働被保険者資格取得届に住民票の写し又は住民票記載事項証明書を添えて管轄公共職業安定所長に提出しなければならない。(雇用則71条)
■ 日雇労働求職者給付金は、日雇労働被保険者が失業した場合において、その失業の日の属する月の前2月間に、その者について印紙保険料が通算して26日分以上納付されているときに支給される。(雇用法45条)
■ 日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる者が、同時に受給資格者である場合において、その者が、基本手当の支給を受けたときは、その支給の対象となった日については、日雇労働求職者給付金を支給せず、日雇労働求職者給付金の支給を受けたときは、その支給の対象となった日について基本手当を支給しない。(雇用法46条)
■ 日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる者が、同時に受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格のいずれかの資格を有した場合でも、同一の日について、日雇労働求職者給付金と基本手当、高年齢求職者給付金又は特例一時金との併給は行われず、最初に受給したものだけが支給される。
■ 日雇労働求職者給付金は、日雇労働被保険者が失業している日(失業していることについて失業の認定を受けた日に限る)について支給する。
■ 失業の認定を受けようとする者は、その者の選択する公共職業安定所(厚生労働省職業安定局長(職業安定局長)が定める者にあっては、職業安定局長の定める公共職業安定所)に出頭し、求職の申込みをしなければならない。(雇用法47条)
■ 失業の認定は、原則として、公共職業安定所において、日々その日について行われる。
■ 日雇労働求職者給付金の日額は、前2月間においてその者について納付された印紙保険料の等級とその日数によって、以下のとおり決定される。
・ 第1級納付金(7500円)
・ 第2級納付金(6200円)
・ 第3級納付金(4100円)
日雇労働求職者給付金の日額は、3種類の定額制になっている。
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■ 厚生労働大臣は、毎月勤労統計における平均定期給与額が、直近において日雇労働求職者給付金の日額等が変更されたときの当該変更の基礎となった平均定期給与額の100分の120を超え、又は100分の83を下るに至った場合において、その状態が継続すると認めるときは、その平均定期給与額が上昇し、又は低下した比率を基準として、日雇労働求職者給付金の日額等を変更しなければならない。(雇用法49条1項)
■ 日雇労働求職者給付金は、日雇労働被保険者が失業した日の属する月における失業の認定を受けた日について、その月の前2月間に、その者について納付されている印紙保険料が通算して28日分以下であるときは、通算して13日分を限度として支給し、その者について納付されている印紙保険料が28日分を超えているときは、通算して、28日分を超える4日分ごとに1日13日に加えて得た日数分を限度として支給する。ただし、その月において通算して17日分を超えては支給しない。
■ 日雇労働求職者給付金は、各週(日曜日から土曜日までの7日をいう)につき、日雇労働被保険者が職業に就かなかった最初の日(不就労日)については、支給しない。(雇用法50条)
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■ 日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる者が、公共職業安定所長の紹介する業務に就くことを拒んだときは、その拒んだ日から起算して7日間は、日雇労働求職者給付金を支給しない。ただし、次のいずれかに該当するときは、給付制限は行わない。
・ 紹介された業務が、その者の能力からみて不適当であると認められるとき。
・ 紹介された業務に対する賃金が、同一地域における同種の業務及び同程度の技能に係る一般の賃金水準に比べて、不当に低いとき。
・ 職業安定法20条(同条2項但書を除く)の規定に該当する事業所(同盟罷業又は作業所閉鎖の行われている事業所)に紹介されたとき。
・ その他正当な理由があるとき
■ 上記のいずれかに該当するかどうかの認定は、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従ってするものとする。(雇用法52条1項・2項)
■ 日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる者が、偽りその他不正の行為により求職者給付又は就職促進給付の支給を受け、又は受けようとしていたときは、その支給を受け、又は受けようとした月及びその月の翌月から3箇月間は、日雇労働求職者給付金は支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には、日雇労働求職者給付金の全部または一部を支給することができる。(雇用法52条3項)
■ 日雇労働被保険者が失業した場合において、次のいずれにも該当するときは、その者は、管轄公共職業安定所の長に申し出て、日雇労働求職者給付金の特例給付の支給を受けることができる。
・ 継続する6月間(基礎期間)に当該日雇労働被保険者について印紙保険料が各月11日分以上、かつ、通算して78日分以上納付されていること
・ アの継続する6月間(基礎期間)のうち後の5月間に普通給付又は特例給付による日雇労働求職者給付金の支給を受けていないこと
・ 基礎期間の最後の月の翌月以後2月間(申出をした日が当該2月の期間内にあるときは、同日までの間)に普通給付による日雇労働求職者給付金の支給を受けていないこと
■ 上記の申出は、基礎期間の最後の月の翌月以後4月の期間内に行わなければならない。(雇用法53条)
■ 特例給付の日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる期間及び日数は、基礎期間の最後の月の翌月以降4月の期間内に失業している日について、通算して60日分が限度である。(雇用法54条1号)
■ 特例給付による日雇労働求職者給付金は、4週間に1階失業の認定を行った日に、24日分(28日分ではないのは、各週の最初の不就労日の刑4日分が「待期相当」として除かれるため)が支給される。
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■ 求職者給付のまとめ
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[雇用法] 雇用保険法・重要箇所・Chapter9
■ 就業手当は、職業に就いた者(厚生労働省令で定める安定した職業に就いた者を除く)であって、当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上である受給資格者に支給する。(雇用法56条の3第1項1号イ)
■ 就業手当を受けようとするものは、次の要件をすべて満たさなければならない。
・ 常用雇用以外で職業に就いたこと。(再就職手当の支給対象となる安定した職業に就いた者は該当しない)
・ 就業又は就職した日の前日において所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上の支給残日数があること。
・ 待期期間の経過後に就業したこと
・ 離職前の事業主(資本、賃金、人事、取引等の状況から離職前の事業主と密接な関係にある事業主を含む)に再び雇用されたものでないこと。
・ 離職理由による給付制限を受けた者について、待期期間満了後1箇月間については、公共職業安定所又は職業紹介事業者等(職業安定法に規定する特定地方公共団体及び職業紹介事業者をいう)の紹介により職業に就いたものであること
・ 求職申込みを行い、受給資格決定を受けた日前に雇用が内定していたものでないこと。つまり、受給資格の決定に係る求職の申込みをする前に雇入れを約した事業主に雇用されたものでないこと。
■ 就業手当の支給額は、1日につき
基本手当日額×30%×就業日数
■ 就業手当の支給に係る基本手当日額の上限額は
・ 60歳未満→6120円(12240円×50%)
・ 60歳以上65歳未満→4950円(11000円×45%)
■ 就業手当の支給額は
・ 60歳未満→1836円(6120円×30%)
・ 60歳以上→1485円(4950円×30%)
■ 原則として、失業の認定に併せ、4週間に1回、前回の認定日から今回の認定日の前日までの各日について、就業手当支給申請書に、受給資格者証と就業した事実を証明する資料(給与明細書等)を添付して管轄公共職業安定所に申請することとされている。
■ 就業手当を支給したときは、当該就業手当を支給した日数に相当する日数分の基本手当を支給したものとみなされる。(雇用法56条の3第4項)
■ 再就職手当は、厚生労働省令で定める安定した職業に就いた者であって、当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の1以上である受給資格者に支給する。(雇用法56条の3第1項1号ロ)
■ 再就職手当は、厚生労働省令で定める基準を踏まえ、受給資格者の要件に該当するときに支給される。(雇用法56条の3第1項・2項・雇用則82条・82条の2)
・ 安定した職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であること。
1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる職業に就き、又は事業(当該事業により当該受給資格者が自立することができると公共職業安定所長が認めたものに限る)を開始したものであること。
・ 待期期間の経過後に職業に就き、又は事業を開始したこと
・ 離職前の事業主(資本、賃金、人事、取引等の状況から離職前の事業主と密接な関係にある他の事業主を含む)に再び雇用されたものでないこと。
・ 離職理由に基づく給付制限(雇用法33条)を受けたものについては、待期期間の満了後1箇月の期間内については、公共職業安定所又は職業紹介事業者等の紹介により職業に就いたものであること。
・ 求職の申込みを行い、受給資格決定を受けた日前に雇用が内定していたものでないこと。つまり、受給資格の決定に係る求職の申込みをする前に雇入れを約束した事業主に雇用されたものでないこと。
・ 安定した職業に就いた日前3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。
・ その他再就職手当を支給することが受給資格者の職業の安定に資すると認められるものであること
■ 再就職手当の額は、基本手当日額に支給残日数に相当する日数に10分の6(その職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の2以上であるもの(早期再就職者)にあっては、10分の7)を乗じて得た数を乗じて得た額とされている。(雇用法56条の3第3項2号)
■ 再就職手当の支給に係る基本手当日額の上限額
・ 60歳未満→6120円(12240円×50%)
・ 60歳以上65歳未満→4950円(11000円×45%)
■ 再就職手当の要件に該当する者であって、同一の事業主の適用事業にその職業に就いた日から引き続いて6箇月以上雇用される者であって厚生労働省令で定めるものにあっては、再就職手当の額に、基本手当日額に支給残日数に相当する日数に10分の4(早期再就職者にあっては、10分の3)を乗じて得た数を乗じて得た額を限度として厚生労働省令で定める額を加えて得た額を就業促進定着手当として支給する。(雇用法56条の3第3項2号)
■ 再就職手当の支給に係る同一の事業主の適用事業(同一事業主の適用事業)にその職業に就いた日から6箇月間に支払われた賃金を雇用法17条に規定する賃金とみなして同条の規定を適用した場合に算定されることとなる賃金日額に相当する額(みなし賃金日額)が当該再就職手当に係る基本手当日額の算定の基礎となった賃金日額(算定基礎賃金日額)を下回ったものとする。(雇用則83条の2)
■ 受給資格者は、就業促進定着手当の支給を受けようとするときは、同一事業主の適用事業に雇用され、その職業に就いた日から起算して6箇月目に当たる日の翌日から起算して2箇月以内に、職業促進定着手当支給申請書に、次に掲げる書類及び受給資格者証を添えて、管轄公共職業安定所長に提出しなければならない。(雇用則83条の4第1項)
賃金台帳その他の同一の事業主の適用事業に適用され、その職業に就いた日から6箇月間に支払われた賃金の額を証明することができる書類
・ 出勤簿その他の同一の事業主の適用事業に雇用され、その職業に就いた日から6箇月間のうち賃金の支払の基礎となった日数を証明することができる書類
■ 管轄公共職業安定所の長は、受給資格者に対する就業促進定着手当の支給を決定したときは、その翌日から起算して7日以内に就業促進定着手当を支給するものとする。(雇用則83条の5)
■ 特定就業促進手当受給者(再就職手当を受給した者であって、次に該当する者)について、アに掲げる期間がイに掲げる期間を超えるときは、当該特定就業促進手当受給者の基本手当の受給期間は、本来の受給期間にと当該超える期間を加えた期間とする。
・ 就業促進手当(再就職手当を受給した者に係る者に限る)に係る基本手当の受給資格に係る離職の日の翌日から再離職(当該就業促進手当の支給を受けた後の最初の離職(新たに受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格を取得した場合における当該受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格に係る離職を除く)をいう。)の日までの期間に次の1又は2に掲げる日数を加えた期間
20日以下の範囲内で厚生労働省令で定める日数(14日
・ 当該就業促進手当に係る職業に就いた日の前日における支給残日数から再就職手当を受給した期間に係る基本手当を支給したものとみなされた日数を差し引いた日数
・ 当該職業に就かなかったこととした場合における当該受給資格に係る受給期間
■ 上記16の特定就業促進手当受給者とは、就業促進手当のうち再就職手当の支給を受けた者であって、再離職の日が当該就業促進手当のうち再就職手当に係る基本手当の受給資格に係る受給期間内にあり、かつ、次のア・イのいずれかに該当するものをいう。(雇用法57条1項・2項・雇用則85条の2)
・ 再離職が、その者を雇用していた事業主の事業について発生した倒産又は当該事業主の適用事業の縮小もしくは廃止に伴うものである者として厚生労働省令で定めるもの
・ アに定めるもののほか、解雇その他厚生労働省令で定める理由により離職した者
■ 再離職の日が令和4年3月31日までの間である場合の暫定措置→「再離職について特定理由離職者に該当するもの(期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望していたにも関わらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る)により離職したものに限る)」も、17の特定就業促進手当受給者に含める。
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・ A: 再就職手当の受給により、基本手当を受けたものとみなされる日数
・ A+B: 支給残日数
・ B: 支給残日数-再就職手当の受給により基本手当を受けたものとみなされる日数
■ 常用就業支度手当は、受給資格者(支給残日数が所定給付日数の3分の1未満である者)、高年齢受給資格者(高年齢求職者給付金の支給を受けた者であって、当該高年齢受給資格に係る離職の日の翌日から起算して1年を経過していないものを含む)、特例受給資格者(特例一時金の支給を受けた者であって、当該特例受給資格に係る離職の日の翌日から起算して6箇月を経過していないものを含む)又は日雇受給資格者であって、身体障害者その他の就職が困難な者として厚生労働省令で定める者が安定した職業に就いた場合において、公共職業安定所長が厚生労働省令で定める基準に従って必要があると認めたときに、支給する。(雇用法56条の3第1項2号)
■ 常用就職支度手当は次のすべての要件を満たした場合に支給される。
・ 公共職業安定所又は職業紹介事業者等の紹介により、1年以上引き続いて雇用されることが確実であると認められる職業に就いたこと。
・ 離職前の事業主(関連事業主を含む)に再び雇用されたものでないこと
・ 待期及び給付制限の期間(雇用法33条1項に規定する離職理由に基づく給付制限の期間にあっては、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び当該公共職業訓練等を受け終わった日後の期間を除く)が経過した後において職業についたこと
・ 安定した職業に就いた日前3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと
・ その他情報就職支度手当を支給することが、その者の職業の安定に資すると認められるものであること。
■ 身体障害者その他の就職が困難な者(雇用則82条の3第2項)
・ 身体障害者
・ 知的障害者
・ 精神障碍者
・ 安定した職業に就いた日において45歳以上である受給資格者であって再就職援助計画(労働施策総合推進法)当の対象となる者
■ 常用就職支度手当の額は、基本手当日額(高年齢受給資格者にあっては、その者を離職の日において30歳未満である基本手当の受給資格者とみなした場合にその者に支給されることとなる基本手当の日額、特例受給資格者については、その者を基本手当の受給資格者とみなした場合にその者に支給されることとなる基本手当の日額、日雇受給資格者については、その者に支給される日雇労働求職者給付金の日額とする)に40を乗じて得た額を限度として厚生労働省令で定める額となる。(雇用法56条の3第3項3号)
■ 雇用法56条の3第3項3号の厚生労働省令で定める額は、同項に規定する基本手当日額に90(当該受給資格者(受給資格者に基づく所定給付日数が270日以上である者を除く)に係る基本手当の支給残日数が90日未満である場合には、支給残日数(その数が45を下回る場合にあっては、45))に10分の4を乗じて得た額となる。ただし、基本手当日額の上限は、6120円(60歳以上65歳未満は4950円)となる。
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■ 移転費は、受給資格者等(受給資格者、高年齢受給資格者、特例受給資格者及び日雇受給資格者)が公共職業安定所、特定地方公共団体若しくは職業紹介事業者の紹介した職業に就く(その者の雇用期間が1年未満である場合その他特別な事業がある場合を除く)ため、又は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その住所又は居所を変更する場合において、公共職業安定所長が厚生労働大臣が定める基準に従って必要があると認めたときに、支給する。(雇用法58条1項・雇用則86条)
■ 移転費は、受給資格者等が次のいずれにも該当したときに支給される。(雇用則86条)
・ 待期及び雇用法32条1項・2項(同法37条の4第6項及び40条4項において準用する場合を含む)又は同法52条1項(同法55条4項において準用する場合を含む)の給付制限の期間が経過した後に就職し、又は公共職業訓練等を受けることとなった場合であって、管轄公共職業安定所の長が住所又は居所を変更する必要があると認めたとき。(雇用法33条1項の離職理由による給付制限期間中については、支給は制限されない)
・ 当該就職又は公共職業訓練等の受講について、就職準備金その他移転に要する費用(就職支度費)が就職先の事業主、訓練等施設の長その他の者(就職先の事業主等)から支給されないとき、又はその支給額が移転費の額に満たないとき。
■ 移転費の額は、受給資格者等及びその者により生計を維持されている同居の親族(婚姻の届出をしていないが、事実上その者と婚姻関係と同様の事情にある者を含む)の移転に通常要する費用を考慮して、厚生労働省令で定める。
■ 移転費は、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、移転料及び着後手当とする。
■ 受給資格者等及びその者が随伴する親族が就職先の事業主等が所有する自動車盗を使用して住所又は居所を変更する場合にあっては、雇用則88条1項から4項までの規定にかかわらず、鉄道賃、船賃、航空賃及び車賃は、受給資格者等及びその者が随伴する親族に支払った費用に基づく算定した額(実費相当額)とする。ただし、実費相当額が同条1項から4項までの規定により計算した額(計算額)を超えないときは、計算額を上限とする。(雇用法58条2項・雇用則87条1項・88条)
■ 受給資格者等は、移転費の支給を受けようとするときは、移転の日の翌日から起算して1カ月以内に、移転費支給申請書に受給資格者証当(正当な理由があるときは、添えないことができる)を添えて、管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。(雇用則92条)
■ 移転費の支給を受けた受給資格者等は、公共職業安定所、特定地方公共団体若しくは職業紹介事業者の紹介した職業に就かなかったとき、又は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けなかったときは、その事実が確定した日の翌日から起算して10日以内に移転費を支給した公共職業安定所長にその旨を届け出るとともに、その支給を受けた移転費に相当する額を返還しなければならない。(雇用則95条)
■ 求職活動支援費は、受給資格者等が求職活動に伴い次のアからウのいずれかに該当する行為をする場合において、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従って必要があると認めたときに、支給する。(雇用法59条・雇用則95条の2)
・ 公共職業安定所の紹介による広範囲の地域にわたる求職活動
・ 公共職業安定所の職業指導に従って行う職業に関する教育訓練の受講その他の活動
・ 求職活動を容易にするための役務の利用
■ 求職活動支援費の額は、上記アからウの行為に通常要する費用を考慮して、厚生労働省令で定める。求職活動支援費は、次の区分に応じて、それぞれ定めるものを支給するものとする。
・ 上記アに掲げる行為をする場合→広域求職活動費
・ 上記イに掲げる行為をする場合→短期訓練受講費
・ 上記ウに掲げる行為をする場合→求職活動関連役務利用費
■ 広域求職活動費は、受給資格者等が次のいずれにも該当したときに支給される。(雇用則96条)
・ 待期及び雇用法32条1項・2項(同法37条の4第6項及び40条4項において準用する場合を含む)又は同法52条1項(同法55条4項において準用する場合を含む)の給付制限の時間が経過した後に広域求職活動を開始するとき(雇用法33条1項の離職理由による給付制限期間中については、支給は制限されない)
・ 広域活動に要する費用(求職活動費)が広域求職活動のために訪問する事業所の事業主から支給されないとき、又はその支給額が広域求職活動の額に満たないとき。
■ 受給資格者等は、広域求職活動費の支給を受けようとするときは、公共職業安定所の指示による広域求職活動を終了した日の翌日から起算して10日以内に、求職活動支援費(広域求職活動費)支給申請書に受給資格者証等(正当な理由があるときは、添えないことができる)を添えて、管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。(雇用則99条・100条)
■ 短期訓練受講費は、受給資格者等が公共職超安定所の職業指導により再就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合(雇用法21条の規定による期間(待期期間)が経過した後に当該教育訓練を開始した場合に限る)において、当該教育訓練の受講のために支払った費用(入学科(受講の開始に際し納付する料金をいう)及び受講料に限る)について教育訓練給付金の支給を受けていないときに、厚生労働大臣の定める基準に従って、支給される。(雇用則100条の2)
■ 短期訓練受講費の額は、受給資格者等が前条に規定する教育訓練の受講のために支払った費用の額に100分の20を乗じて得た額(その額が10万円を超えるときは、10万円)とする。(雇用則100条の3)
■ 受給資格者等は、短期訓練受講費の支給を受けようとするときは、当該短期訓練受講費の支給に係る教育訓練を修了した日の翌日から起算して1カ月以内に、求職活動支援費(短期訓練受講費)支給申請書に受給資格者等及び次に掲げる書類を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。
■ 求職活動関係役務利用費は、受給資格者等が求人者との面接等をし、又は教育訓練給付金の支給に係る教育訓練若しくは短期訓練受講費の支給に係る教育訓練、公共職業訓練等若しくは職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律に規定する認定職業訓練(求職活動関係役務利用費対象訓練)を受講するため、その子に関して、次に掲げる役務(保育等サービス)を利用する場合(雇用法21条の規定による期間(待期期間)が経過した後に保育等サービスを利用する場合に限る)に支給するものとする。(雇用則100条の6)
■ 求職活動関係役務利用費の額は、受給資格者等が保育等サービスの利用のために負担した費用の額(次のア又はイに掲げる区分に応じそれぞれ定める日数を限度とし、1日8000円を限度とする)に100分の80を乗じて得た額とする。(雇用則100条の7)
・ 求人者との面接等をした日→15日
・ 求職活動関係役務利用費対象訓練を受講した日→60日
■ 求職活動支援費(求職活動関係役務利用費)支給申請書の提出は、失業の認定の対象となる日について、当該失業の認定を受ける日にしなければならない。
■ 偽りその他不正の行為によって求職者給付又は就職促進給付の支給を受け、又は受けようとした者は、これらの給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、就職促進給付を支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には、就職促進給付の全部または一部を支給することができる。(雇用法60条1項)
■ 上記の不正受給者が、当該給付制限が行われた日以後、新たに受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格を取得した場合には、上記に関わらず、その受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格に基づく就職促進給付を支給する(雇用法60条2項)
[雇用法] 雇用保険法・重要箇所・Chapter10
■ 教育訓練給付金は、次のア又はイのいずれかに該当する者(教育訓練給付金対象者)が、厚生労働省令に定めるところにより、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合(当該教育訓練を受けている場合であって厚生労働省令で定める場合を含み、当該教育訓練に係る指定教育訓練実施者により厚生労働省令で定める証明がされた場合に限る)において、支給要件期間が3年以上であるときに、支給する。(雇用法60条の2第1項・雇用則101条の2の5)
・ 当該教育訓練を開始した日(基準日)に一般被保険者(被保険者のうち、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者以外の者をいう)又は高年齢被保険者である者
・ アに掲げる以外の者であって、基準日が当該基準日の直前の一般被保険者又は高年齢被保険者でなくなった日から1年(当該期間内に妊娠、出産、育児、疾病、負傷その他管轄公共職業安定所の長がやむを得ないと認める理由により引き続き30日以上教育訓練を開始することができない者が、当該者に該当するに至った日の翌日から、一般被保険者又は高年齢被保険者でなくなった日から起算して20年を経過する日までの間(加算された期間が20年に満たない場合は、当該期間の最後の日までの間)に管轄公共職業安定所の長に申し出た場合には、当該理由により当該教育訓練を開始することができない日数を加算するものとし、その加算された期間が20年を超えるときは、20年とする)以内にある者
・ イの申出をしようとするものは、「教育訓練給付適用対象期間延長申請書」にその事実を証明することができる書類を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。
・ 管轄公共職業安定所長は、イの申出を認めたときは、その者に教育訓練給付適用対象期間延長通知書を交付しなければならない。
■ 支給要件期間は、基準日において教育訓練給付対象者が基準日までの間に同一の事業主の適用事業に引き続いて被保険者として雇用された期間(当該雇用された期間に係る被保険者となった日前に被保険者であったことがある者については、当該雇用された期間と当該被保険者であった期間を通算した期間)とする。(雇用法60条の2第2項)
■ 支給要件期間に次に掲げる期間が含まれているときは、その期間は支給要件期間に通算できない。
・ 当該雇用された期間又は当該被保険者であった期間に係る被保険者となった日の直前の被保険者でなくなった日が当該被保険者となった日前1年の期間内にないときは、当該直前の被保険者でなくなった日前の被保険者であった期間
・ 当該基準日前に教育訓練給付金の支給を受けたことがあるときは、当該給付金に係る基準日前の被保険者であった期間
・ 支給対象となる例
・ 支給要求期間通算3年
A社(在籍1年)→失業(1年以内)→B社(在籍1年)→失業(1年以内)→C社(在籍1年
・ 支給要件期間通算3年
A社(在籍5年)→失業(教育訓練給付金受給)(1年以内)→B社(在籍2年)→失業(1年以内)→C社(在籍1年
・ 支給対象とならない例
・ 支給要件期間通算2年6月
A社(在籍3年)→失業(1年超)→B社(在籍1年)→失業(1年以内)→C社(在籍1年6月
■ 教育訓練給付金の額は、教育訓練給付対象者が教育訓練の受講のために支払った費用(厚生労働省令で定める範囲内のものに限る)の額(当該教育訓練の受講のために支払った費用の額であることについて当該教育訓練に係る指定教育訓練実施者により証明がされた者に限る)に100分の20以上100分の70以下の範囲内において厚生労働省令で定める率を乗じて得た額(その額が厚生労働省令で定める額を超えるときは、その定める額)とする。
■ 上記の規定にかかわらず、教育訓練給付金の額として算定された額が厚生労働省令で定める額(4000円)を超えないとき、又は教育訓練給付対象者が基準日前厚生労働省令で定める期間(3年)内に教育訓練給付金の支給を受けたことがあるときは、教育訓練給付金は、支給しない。(雇用法60条の2第4項・5項)
■ 教育訓練給付金の支給の対象となる費用の範囲は、次の通り(雇用則101条の2の6)
・ 入学料及び受講料(短期訓練受講費の支給を受けているものを除く)
・ 一般教育訓練の受講開始日前1年以内にキャリアコンサルタント(職業能力開発促進法に規定するキャリアコンサルタント)が行うキャリアコンサルティング(同法に規定するキャリアコンサル費用)を受けた場合は、その費用(その額が2万円を超えるときは、2万円)
・ 受講料→受講に際して支払った受講費、教科書代及び教材費であって、一般教育訓練にあっては最大1年分、専門実践教育訓練にあっては最大3年分が限度
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■ 当分の間、初めて一般教育訓練給付金・特定一般教育訓練給付金を受けようとする者については、支給要件期間が1年以上ある者とする(雇用法附則11条・雇用法附則24条)
■ 当分の間、初めて専門実践教育訓練給付金を受けようとする者については、支給要求期間が2年以上ある者とする(雇用法附則11条・雇用法附則24条)
■ 教育訓練経費の70%に相当する額のうち教育訓練経費の50%に相当する額は当該専門実践教育訓練受講中に支給しているため、資格の取得等及び就職をした後に、70%相当額と50%相当額としてすでに支給した額との差額を支給する。
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■ 支給限度期間とは、基準日から10年を経過する日までの一の期間をいう。ただし、当該基準日に係る一の支給限度期間内に他の基準日(二回目以降の基準日)がある場合hにおける当該二回目以降の基準日から10年を経過するまでの一の期間を除く。
■ 専門実践教育訓練のうち管理栄養士養成施設により行われる教育訓練その他の法令の規定により4年の就業年限が規定されている教育訓練を受講している者であって、一定の要件に該当するもの(長期専門実践教育訓練)
■ 下限額(4001円)→支給額が4000円を超えないときは支給されない。(雇用則101条の2の9)
■ 教育訓練給付対象者は、一般教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとするときは、当該教育訓練給付金の支給に係る一般教育訓練を修了した日の翌日から起算して1カ月以内に、教育訓練給付金支給申請書に①一般教育訓練修了証明書、②教育訓練給付金の支給に係る一般教育訓練の受講のために支払った費用の額を証明することができる書類、③キャリアコンサルティングを受けた場合、その費用の額を証明することができる書類及びキャリアコンサルティングを踏まえて記載した職務経歴書等記録書、④その他職業安定局長が定める書類を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。(雇用則101条の2の11)
■ 教育訓練給付対象者であって、特定一般教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとするもの(特定一般教育訓練受講予定者)は、当該特定一般教育訓練を開始する日の1箇月前までに、教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票に、担当キャリアコンサルタント(キャリアコンサルタントであって厚生労働大臣が定める者をいう)が、当該特定一般教育訓練受講予定者の就業に関する目標その他職業能力の開発及び向上に関する事項について、キャリアコンサルティングを踏まえて記載した職務経歴等記録書、運転免許証その他の特定一般教育訓練受講予定者が本人であることを確認することができる書類、過去に特定一般教育訓練又は専門実践教育訓練を受けた場合にあっては、過去に受けた特定一般教育訓練又は専門実践教育訓練によるキャリア形成等の効果等を把握することができる書類等を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。(雇用則101条の2の11の2)
■ 教育訓練給付対象者であって、専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとする者(専門実践教育訓練受講予定者)は、当該専門実践教育訓練を開始する日の1箇月前までに、教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票に、担当キャリアコンサルタントが、当該専門実践教育訓練受講予定者の就業に関する目標その他職業能力の開発及び向上に関する事項について、キャリアコンサルティングを踏まえて記載した職務経歴等記録書、運転免許証その他の専門実践教育訓練受講予定者が本人であることを確認することができる書類、過去に特定一般教育訓練又は専門実践教育訓練を受けた場合であっては、過去に受けた特定一般教育訓練又は専門実践教育訓練によるキャリア形成等の効果等を把握することができる書類等を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。(雇用則101条の2の12)
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■ 教育訓練支援給付金は、教育訓練給付対象者(教育訓練給付金の支給を受けたことがない者(専門実践教育訓練の修了が見込まれない者その他厚生労働大臣が定める者を除く)のうち、一般被保険者あった者(規定により加算された期間が4年を超える者を除く)に限る)であって、令和4年3月31日以前に専門実践教育訓練を開始したもの(当該教育訓練を開始した日における年齢が45歳未満であるものに限る)が、当該教育訓練を受けている日(当該教育訓練に係る指定教育訓練実施者によりその旨の証明がされた日に限る)のうち失業している日(失業していることについての認定を受けた日に限る)について支給する。(雇用法附則11条の2第1項・雇用法附則25条・26条)
■ 教育訓練支援給付金の額は、一支給単位期間について、基本手当の日額に100分の80を乗じて得た額に次に掲げる支給単位期間の区分に応じて当該定める日数(支給日数)を乗じて得た額とする。(雇用法附則11条の2第3項・雇用則附則27条6項)
・ イ以外の支給単位期間→支給単位期間において教育訓練支援給付金の支給に係る失業の認定を受けた日数
・ 専門実践教育訓練を修了した日の属する支給単位期間→支給単位期間における専門実践教育訓練を開始した日又は訓練開始応当日から当該専門実践教育訓練を修了等した日までの期間において教育訓練支援給付金の支給に係る失業の認定を受けた日数
■ 基本手当が支給される期間及び基本手当の待期、雇用法29条1項(附則5条4項の規定により読み替えて適用する場合を含む)、32条1項若しくは2項又は33条の規定により基本手当を支給しないこととされる期間については、教育支援給付金は支給しない。
[雇用法] 雇用保険法・重要箇所・Chapter11
■ 高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けるための要件は、以下の3つである。(雇用法61条1項)
・ 被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く)が60歳に達した日、又は60歳に達した日後において、算定基礎期間に相当する期間(被保険者であった期間)が5年以上であること。
・ 支給対象月において支払われた賃金額がみなし賃金日額に30を乗じて得た額の100分の75に相当する額を下るに至った場合であること。
・ 当該支給対象月に支払われた賃金の額が支給限度額(360584円)未満であること。
■ 支給対象月とは、被保険者が60歳に達した日の属する月(60歳に達した時点で被保険者であった期間が5年に満たないときは、当該被保険者であった期間が5年以上となるに至った日の属する月)から65歳に達する日の属する月までの期間内にある月であって、その月の初日から末日まで引き続いて被保険者であり、かつ、その月の初日から末日まで引き続いて介護休業給付金又は育児休業給付金の支給を受けることができる休業をしなかった月をいう。(雇用法61条2項)
・ 月の初日から末日まで引き続き介護休業給付金又は育児休業給付金の支給を受けることができる休業をした月は、支給対象月とならない。
・ 月の一部のみ、介護休業給付金又は育児休業給付金の支給を受けることができる休業をした月は、支給対象月となる。
■ 支給対象月において、非行(懲戒処分等により賃金の減額があった場合等)、疾病又は負傷、事業所の休業、これらの理由に準ずる理由であって公共職業安定所長が定めるものにより支払いを受けることができなかった賃金がある場合には、その支払いをうけたものとみなして賃金の額を算定することとされている。したがて、これらの理由により、賃金が75%未満に低下した場合であっても高年齢雇用継続基本給付金は支給されない(この規定は、高年齢再就職給付金に対しても適用される。)(雇用法61条1項・雇用則101条の3)
■ 冠婚葬祭等の私事により欠勤したことで賃金の減額が行われた場合には、減額された額の支払を受けたものとみなして(減額された額も加えて)、みなし賃金額を算定する。
■ (例)みなし賃金日額に30を乗じて得た額が40万円である被保険者
・ 支給対象月の通常の賃金の額が本来は30万円であるところ、非行、疾病などで6万円減額され、実際の賃金の額が24万円になった場合、24万円ではなく、「30万円」を用いて支給要件を確認する。→ 支給対象月について給付金は支給されない。
・ 支給対象月の賃金の額が本来20万円であるところ、非行、疾病等で6万円減額され、実際の賃金の額が14万円となった場合、「20万円」を用いて支給要件を確認する。→ その結果、40万円の61%未満となるため、実際の賃金の額に給付率を乗じる。結果、14万円×15%=2.1万円が支給対象月における支給額
■ 被保険者を受給資格者とみなして、当該被保険者が60歳に達した日(60歳に達した時点で被保険者であった期間が5年に満たないときは、当該被保険者であった期間が5年以上となるに至った日)を受給資格に係る離職の日とみなして賃金日額(雇用法17条)の規定を適用した場合に算定されることとなる賃金日額に相当する額をいう。また、この方法によりみなし賃金日額を算定することができないとき又は困難であるとき等の場合においては、厚生労働大臣がその額を定める。(雇用法61条1項・3項・4項)
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■ 支給対象月における高年齢雇用継続基本給付金の額として算定された額が、受給資格者に係る賃金日額の下限額(2577円)の100分の80に相当する額(2061円)を超えないときは、当該支給対象月については、高年齢雇用継続基本給付金を支給しない。(雇用法61条6項)
■ 被保険者は、初めて高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けようとするときは、支給対象月の初日から起算して4箇月以内に、高年齢雇用継続基本給付金受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書に六十歳到達時賃金証明書、労働者名簿、賃金台帳その他の被保険者の年齢、被保険者が雇用されていることの事実、賃金の支払状況及び賃金の額を証明することができる書類(職業安定局長が定めるところにより、この書類(六十歳到達時等賃金証明書を除く)を添えないことができる)を添えて、事業主を経由してその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。(雇用則101条の5第1項から3項)
■ 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書に記載された事項については、事業主の証明を受けなければならない。(雇用則101条の5第7項)
■ 高年齢再就職給付金の支給要件は以下の5つである。(雇用法61条の2第1項)
・ 算定基礎期間が5年以上の受給資格者であり、かつ、その受給資格に基づく基本手当の支給を受けたことがあること。
・ 60歳に達した日以後安定した職業に再就職して、被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く)として就労されていること。
・ 再就職後の給付対象月において支払われた賃金が、原則として当該基本手当の日額の基礎となった賃金日額に30を乗じて得た額の100分の75に相当する額を下るに至った場合であること。
・ 就職日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上あること
・ 当該支給対象月に支払われた賃金の額が支給限度額(360584円)未満であること
■ 高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金は、基本手当を受けたか否かで区別される。
■ 再就職後の支給対象月とは、就職日の属する月から当該就職日の翌日から起算して2年(当該就職日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上200日未満である被保険者については、1年)を経過する日の属する月(その月が当該被保険者が65歳に達する日の属する月後であるときは、65歳に達する日の属する月)までの期間にある月であって、その月の初日から末日まで引き続いて被保険者であり、かつ、その月の初日から末日まで引き続いて介護休業給付金又は育児休業給付金の支給を受けることができる休業をしていなかった月とする。(雇用法61条の2第2項)
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■ ただし、支給期間の途中で65歳になる場合は、65歳に達する日の属する月までが支給期間となる。
■ 被保険者は、初めて高年齢再就職給付金の支給を受けようとするときは、再就職後の支給対象月の初日から起算して4箇月以内に、高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書に原則として所定の書類を添えて、事業主を経由してその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。(雇用則101条の7第1項)
■ 高年齢再就職給付金の支給申請手続及び支給については、高年齢雇用継続基本給付金と同様とする。なお、文中に「支給対象月」とあるのは、「再就職後の支給対象月」とする。六十歳到達時等賃金証明書を添える必要はない。(雇用則101条の7第2項)
■ 高年齢再就職給付金の支給を受けることができる者が、同一の就職につき再就職手当の支給を受けることができる場合において、その者が再就職手当の支給を受けたときは、高年齢再就職給付金は支給せず、高年齢再就職給付金の支給をうけたときは、再就職手当を支給しない。(雇用法61条の2第4項)
■ 偽りその他不正の行為により以下の失業等給付の支給を受け、又は受けようとした者には、当該給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、以下の高年齢雇用継続給付を支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には、当該高年齢雇用継続給付の全部または一部を支給することができる。(雇用法61条の3)
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■ 介護休業給付金は、次の要件を満たす場合に、支給単位期間について支給する。(雇用法61条の4第1項)
・ 被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く)が、対象家族を介護するための休業(介護休業)をした場合であること。
・ 介護休業(当該対象家族を介護するための2回以上の介護休業をした場合にあっては、初回の介護休業とする)を開始した日前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12箇月以上あること。
・ イの2年間に、疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を2年に加算した期間(4年間を限度)内において、みなし被保険者期間が通算して12箇月以上あること。
■ 介護休業給付の支給対象となる休業は、原則として、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児休業・介護休業法)にいう介護休業と同じである。具体的には、次のすべての要件を満たす休業をいう(雇用則101条の16)
・ 支給単位期間において就業している日数が10日以下であること
・ 被保険者が事業主に申し出ていること
・ 休業をする期間を明らかにしていること
・ 休業終了予定日とされた日の前日までに、対象家族の死亡その他の被保険者が介護休業の申出に係る対象家族を介護しないこととなった事由として公共職業安定所長が認める事由が生じた日後の休業でないこと
・ 休業終了予定日とされた日までに、休業の申出をした被保険者について、労基法65条1項若しくは2項の規定による産前産後の休業期間、雇用法61条の7第1項に規定する育児休業期間又は新たな介護休業期間が始まった日後の休業でないこと
・ 期間を定めて雇用される者であっては、介護休業開始日から起算して93日を経過する日から6箇月を経過する日までに、その労働契約(契約が更新される場合にあっては、更新後の者)が満了することが明らかでない者であること
■ みなし被保険者期間は、介護休業(同一の対象家族について2回以上の介護休業をした場合にあっては、初回の介護休業)を開始した日を被保険者でなくなった日とみなして、当該休業を開始した日の前日からさかのぼって1箇月ごとに区切っていき、このように区切られた1箇月の期間に賃金の支払の基礎となった日数が11日以上である場合に、その1箇月の期間を「みなし被保険者期間」の1箇月(または2分の1箇月)として計算する者としている(雇用法61条の4第2項:応当日方式)
■ 支給単位期間とは、介護休業をした期間(当該介護休業を開始した日から起算して3月を経過する日までの期間に限る)を、当該介護休業を開始した日又は休業開始応当日から各翌月の休業開始応当日の前日(当該介護休業を終了した日の属する月にあっては、当該介護休業を終了した日)までの各期間に区分した場合における当該区分による一の期間をいう。(雇用法61条の4第3項)
■ 対象家族とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする家族で次のいずれかに該当する者である。(雇用法61条の4第1項・雇用則101条の17)
・ 被保険者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)
・ 被保険者の父母及び子
・ 被保険者の祖父母、兄弟姉妹、孫
・ 配偶者の父母
■ 対象家族について、上記アからエの範囲を整理すると、「被保険者の配偶者(事実上のものも含む)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹+配偶者の父母」となります。祖父母・兄弟姉妹・窓に設けられていた「同居」かつ「扶養」の要件は、平成29年1月改正で削除された。
■ 介護休業給付金の額は、一支給単位期間について、被保険者が当該介護休業給付に係る介護休業を開始した日の前日に離職して受給資格者となったものとみなした時に算定されることとなる賃金日額に相当する額(休業開始時賃金日額・受給資格に係る離職の日において45歳以上60歳未満である受給資格者にかかる賃金日額の上限額を上限とする)に次のア、イに掲げる支給単位期間の区分に応じて定める日数(支給日数)を乗じて得た額の100分の40(当分の間、100分の67)に相当する額とする。
・ イに掲げる支給単位期間以外の支給単位期間 → 30日
・ 当該介護休業を終了した日の属する支給単位期間 → 当該支給単位期間における当該介護休業を開始した日又は休業開始応当日から当該介護休業を終了した日までの日数
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■ 休業開始時賃金日額の上限は、離職の日において45歳以上60歳未満である受給資格者に係る賃金日額の上限額(16530円)。この上限は、育児休業給付金と同じだったが、平成28年8月施行の改正で引上げ。
■ 給付率は、法律本則では40%であるが、当分の間67%。67%とする暫定措置は、平成28年8月施行の改正で設けられた
■ 事業主から賃金の支払がある支給単位期間においては、賃金額と介護休業給付金の額との合計が、「休業開始時賃金日額×支給日数×80%」を超えないように支給額が調整される。
■ 被保険者が介護休業についてこの款の定めるところにより介護休業給付金の支給を受けたことがある場合において、当該被保険者が次の各号のいずれかに該当する介護休業をしたときは、介護休業給付金は、支給しない。(雇用法61条の4第6項)
・ 同一の対象家族について当該被保険者が4回以上の介護休業をした場合における4回目以後の介護休業
・ 同一の対象家族について当該被保険者がした介護休業ごとに、当該介護休業を開始した日から当該介護休業を終了した日までの日数を合算して得た日数が93日に達した日後の介護休業
■ 同一の対象家族の同一の要介護状態については、1回のみ給付の対象とすることとされていましたが、平成29年1月施行の改正により、3回まで給付の対象とすることとされた(通算93日が限度)。改正後の取扱いを成立すると以下の通り。
・ 同一の対象家族について、通算93日を限度として、3回まで受給可能
・ 1回あたりの上限は3箇月(支給単位期間の定義による)
■ 被保険者は、介護休業給付金の支給を受けようとするときは、休業を終了した日(最後の支給単位期間末日)以後の日において雇用されている場合に、当該休業を終了した日の翌日から起算して2箇月を経過する日の属する月の末日までに、介護休業給付金支給申請書に①休業開始時賃金証明票②介護休業申出書③住民票記載事項証明書等④出勤簿等⑤賃金台帳⑥介護休業終了後の雇用の継続予定を証明する書類(期間を定めて雇用される者に限る)(職業安定局長が定めるところにより②から⑥の書類を添えないことができる)を添えて、事業主を経由してその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。(雇用則101条の19第1項・2項)
[雇用法] 雇用保険法・重要箇所・Chapter12
■ 育児休業給付金は、次の要件を満たす場合に、支給単位期間について支給する。(雇用法61条の7第1項)
・ 被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く)が、その1歳に満たない子(その子が1歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合にあっては、1歳6カ月に満たない子(その子が1歳6ヵ月に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合にあっては、2歳に満たない子)を養育するために休業をした場合であること。
・ 育児休業を開始した日前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12箇月以上であること
・ 育児休業を開始した日前2年間に、疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を2年に加算した期間(その期間が4年を超えるときは、4年間)内において、みなし被保険者期間が通算して12箇月以上あること。
■ 被保険者の養育する子について、当該被保険者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)が当該子の1歳に達する日以前のいずれかの日において当該子を養育するための休業をしている場合については「1歳2か月」とする(雇用法61条の7第6項)
■ 育児休業給付の支給対象となる休業は、原則として、労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援するための育児休業・介護休業等に関する法律(育児休業・介護休業法)にいう育児休業と同じである。具体的には次のすべての要件を満たす休業をいう。(雇用則101条の22)
・ 支給単位期間において公共職業安定所長が就業していると認める日数が10日10日を超える場合にあっては、公共職業安定所長が就業していると認める時間が80時間)以下であること。
・ 被保険者が事業主に申し出ていること。
・ 休業する期間(初日及び末日)を明らかにしていること
・ 休業終了予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の被保険者が育児休業の申出に係る子を養育しないこととなった事由として公共職業安定所長が認める事由が生じた日後の休業でないこと
・ 休業終了予定日とされた日までに、育児休業の申出をした被保険者について労基法65条1項若しくは2項の規定による産前産後の休業期間、雇用法61条の4第1項に規定する介護休業期間又は新たな育児休業期間が始まった日後の休業でないこと。
・ 休業終了予定日とされた日の前日までに、休業の申出に係る子が1歳(その子が1歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合にあっては、1歳6か月(その子が1歳6か月に達する日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合にあっては、2歳。キの同じ)に達した日後の休業でないこと。なお、労基法65条の産後休業期間は、育児休業給付の支給対象となる休業には、含まれない。
・ 期間を定めて雇用される者であっては、その養育する子が1歳6か月に達する日までに、その労働契約(契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者であること。
■ 「子」は実子・養子を問わない。
■ また、育児休業給付金の支給の対象となる「子」には、特別養子縁組の成立について家庭裁判所に請求した者(当該請求に家事裁判事件が裁判所に係属している場合に限る)であって、当該被保険者が現に監護するもの、養子縁組里親である被保険者に委託されている児童及びその他これらに準ずる者として厚生労働省令で定める者に、厚生労働省令で定めるところにより委託されている者を含む。(雇用法61条の7第1項)
■ 父母ともに育児休業を取得する場合は、次のアからウのいずれの要件も満たす場合に子が1歳2か月に達する日の前日までの間に1年まで育児休業給付金を支給する。(雇用則101条の27)
・ 育児休業開始日は、1歳に達する日の翌日以前である場合
・ 育児休業開始日が、配偶者が取得している育児休業期間の初日以後である場合
・ 配偶者が当該子の1歳に達する日以前に育児休業を取得していること
■ 出産日(産前休業の末日)と産後休業期間と育児休業給付金を受給できる期間を合わせて1年が上限。男性の場合は、育児休業給付金を受給できる期間が1年が上限
■ イ、ウの配偶者の育児休業には、配偶者が国家公務員、地方公務員等の公務員であり、当該配偶者が育児休業を取得した場合も含む。
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■ 実子を出産した女性が取得する育児休業は、産後休業を終了した後からしか開始できないが、その配偶者である男性が取得する育児休業については、出産の日から開始することができる。
■ 休業を開始した日を被保険者でなくなった日とみなして、当該休業を開始した日の前日からさかのぼって1箇月ごとに区切っていき、このように区切られた1箇月の期間に賃金の支払の基礎となった日数が11日以上である場合に、その1箇月の期間を「みなし被保険者期間」の1箇月(又は2分の1箇月)として計算することとして、雇用法14条(2項除く)の規定を適用した場合に計算されることとなる被保険者期間に相当する期間とする。ただし、以下の期間は、被保険者期間であった期間には含まれない。(雇用法61条の7第2項)
・ 最後に被保険者となった日前に、受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格を取得した場合の当該受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格に係る離職の日以前における被保険者期間であった期間
・ 被保険者の資格取得の確認があった日の2年前の日(いわゆる遡及適用の特例に該当する者であっては、被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期のうち最も古い時期として厚生労働省令で定める日)前における被保険者であった期間(休業開始日前2年間におけるみなし被保険者期間が通算して12箇月に満たない場合には、区切られた期間に賃金支払の基礎となった時間数が80時間以上であるときも、その期間をみなし被保険者期間として計算する)
■ 労基法65条2項の規定による休業(産後休業)をした被保険者であって、みなし被保険者期間が12箇月に満たないものについては、みなし被保険者期間の要件を次の通りにする。
・ 育児休業をした場合において、特例基準日(当該子について労基法65条1項の規定による休業(産前休業)を開始した日(厚生労働省令で定める理由により当該日によることができ等でないと認められる場合においては、当該理由に応じて厚生労働省令で定める日)をいう)前2年間(当該特例基準日前2年間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を2年に加算した期間(その期間が4年を超えるときは、4年間))に、みなし被保険者期間が通算して12箇月以上あることが必要。
・ 上記アの「みなし被保険者期間」は、当該特例基準日を被保険者でなくなった日とみなして雇用法14条の規定を適用した場合に計算されることとなる被保険者期間に相当する期間とする。
■ 特例基準日とは、原則として、「産後休業を開始した日」である。ただし、次の厚生労働省令で定める理由があるときは、それに対応した厚生労働省令で定める日とする(雇用則101条の29の2)
・ 育児休業の申出に係る子について、産前休業を開始する日前に当該子を出生したこと→当該子を出生した日の翌日
・ 育児休業の申出に係る子について、産前休業を開始する日前に当該休業に先行する母性保護ための休業をしたこと→当該先行する母性保護のための休業を開始した日
■ 育児休業給付金の額は、一支給単位期間について、被保険者が当該育児休業給付金に係る休業を開始した日の前日に離職して受給資格者となったものとみなしたときに算定されることとなる賃金日額に相当する額(休業開始時賃金日額)といい、受給資格に係る離職の日において30歳以上45歳未満である受給資格者に係る賃金日額の上限額を上限とする)に次のア、イに掲げる支給単位期間の区分に応じて定める日数(支給日数)を乗じて得た額の100分の50(当該休業を開始した日から起算して当該育児休業給付金の支給に係る休業日数が通算して180日に達するまでの間に限り、100分の67)に相当する額(支給単位期間に当該育児休業給付金の支給に係る休業日数の180日目に当たる日が属する場合にあっては、休業開始時賃金日額の100分の67に相当する額に、休業開始時賃金日額に当該休業日数の181日目に当たる日から当該休業を終了した日又は翌月の休業開始応当日の前日のいずれか早い日までの日数を乗じて得た額の100分の50に相当する額を加えて得た額)に相当する額とする。(雇用法61条の7第5項)
・ 下記イに掲げる支給単位期間以外の支給単位期間 30日
・ 当該休業を終了した日の属する支給単位期間 当該支給単位期間における当該休業を開始した日又は休業開始応当日から当該休業を終了した日までの日数
■ 支給単位期間に当該被保険者が事業主から賃金を支払われた場合の育児休業給付金の支給額は、以下のように扱われる(雇用法61条の7第6項)
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■ 育児休業給付金の額は、原則として、一支給単位期間について、「休業開始時賃金日額×支給日数×給付率」
■ 休業開始時賃金日額の上限は、離職の日において30歳以上45歳位未満である受給資格者に係る賃金日額の上限額(15020円)
■ 給付率は、50%(休業180日目までは67%)
■ 事業主から賃金の支払がある支給単位期間においては、賃金額と育児休業給付金の額の合計額は、「休業開始時賃金日額×支給日数×100分の80」を超えないように支給額が調整される。
■ 被保険者は、初めて育児休業給付金の支給を受けようとするときは、支給単位期間の初日から起算して4箇月を経過する日の属する月の末日までに、育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書に休業開始時賃金証明票、母子健康手帳、労働者名簿、賃金台帳その他の101条の11第1項の休業に係る子があることの事実、被保険者が雇用されていることの事実、当該休業終了後の雇用の継続の予定(期間を定めて雇用される者に限る)、賃金の支払状況及び賃金の額並びに101条の11の2各号(育児休業給付金が子が1歳6か月まで支給される場合)のいずれかに該当する場合にあっては当該各号に該当することを証明することができる書類(職業安定局長が定めるところにより、この書類を添えないことができる)を添えて、事業主を経由してその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。(雇用則101条の30第1項)
■ 育児休業給付金の支給申請の手続は、雇用される事業主を経由せずに、本人が郵送等により行うことも差し支えない(他の雇用継続給付の支給申請の手続についても同様)
■ 偽りその他の不正の行為により育児休業給付金の支給を受け、又は受けようとしたものには、当該給付金の支給を受け、又は受けようとした日以後、育児休業給付金を支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には、育児休業給付金の全部または一部を支給することができる。
■ 育児休業給付金の支給を受けることができない者とされた者が、上記の日以後、新たに育児休業を開始し、育児休業給付金の支給を受けることができる者となった場合には、上記に関わらず当該休業に係る育児休業給付金を支給する。(雇用法61条の8)
[雇用法] 雇用保険法・重要箇所・Chapter13
■ 失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合において、その者に支給されるべき失業等給付でまだ支給されていない者があるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の失業等給付の支給を請求することができる。
■ 未支給の失業等給付の支給を受けるべき者の順位は、上記に規定する順序による。
■ 未支給の失業等給付の支給を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。(雇用法10条の3)
■ 育児休業給付について準用して適用される(雇用法61条の6第2項)
■ 未支給の失業等給付の請求は、当該受給資格者等が死亡した日の翌日から起算して6箇月以内にしなければならない。
■ 未支給の失業等給付の支給を請求しようとする者(未支給給付請求者)は、受給資格者等が死亡した日の翌日から起算して6箇月以内に、「未支給失業等給付請求書」に以下のアからウの書類を添えて、死亡者に係る公共職業安定所の長に提出しなければならない。
・ 死亡した受給資格者、高年齢受給資格者、特例受給資格者、日雇受給資格者又は就職促進給付、教育訓練給付金若しくは雇用継続給付の支給を受けることができる者(受給資格者等)の死亡の事実及び死亡の年月日を証明することができる書類
・ 未支給給付請求者と死亡した受給資格者等との続柄を証明することができる書類
・ 未支給給付請求者が死亡した受給資格者等と生計を同じくしていたことを証明することができる書類
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■ 死亡者に係る公共職業安定所の長は、未支給給付請求者の申出によって必要があると認めるときは、その者について行う失業等給付の支給に関する事務を他の公共職業安定所長に委嘱することができる。(雇用則17条の4第1項)
■ 雇用保険法10条の3第1項の規定により、受給資格者が死亡したため失業の認定を受けることができなかった期間に係る基本手当の支給を請求する者は、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭し、当該死亡した受給資格者について失業の認定を受けなければならない。
■ 当該受給資格者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働による収入があった場合には、未支給の基本手当の支給を受けるべき者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該収入の額その他の事項を公共職業算定所長に届け出なければならない。(雇用法31条)
■ 未支給給付請求者が雇用法31条1項に規定する者であるときは、死亡者に係る公共職業安定所に出頭し、未支給失業等給付請求書を提出した上で、死亡した受給資格者について失業の認定を受けなければならない。
■ ただし、死亡者に係る公共職業安定所の長がやむを得ない理由があると認めるときは、その者の代理人が死亡者に係る公共職業安定所に出頭し、その資格を証明することができる書類を提出した上で、当該失業の認定を受けることができる。(雇用則47条1項)
■ 偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部または一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の2倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。
■ 上記の場合において、事業主、職業紹介事業者等、募集情報等提供事業を行う者又は指定教育訓練実施者が偽りの届出、報告又は証明をしたためその失業等給付が支給されたものであるときは、政府は、その事業主、職業紹介事業者等、募集情報等提供事業を行う者又は指定教育訓練実施者に対し、その失業等給付の支給を受けた者と連帯して、上記の規定による失業等給付の返還又は納付を命ぜられた金額の納付をすることを命ずることができる。
■ 徴収法27条(督促)及び41条2項(時効の更新)の規定は、上記の規定により返還又は納付を命ぜられた金額の納付を怠った場合に準用する。(雇用法10条の4)
■ 失業等給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。(雇用法11条)
■ 育児休業給付について準用して適用される(雇用法61条の6第2項)
■ 租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。(雇用法12条)
■ 育児休業給付について準用して適用される(雇用法61条の6第2項)
■ 受給権が保護され、効果が禁止されるのは、失業等給付及び育児休業給付についてである。雇用保険二事業の助成金等(職業訓練受講給付金を除く)については、譲渡等は禁止されず、また、租税その他の公課を課すことができる。
■ 職業訓練受講給付金については、「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律」の9条・10条により、譲渡等が禁止され、租税その他の公課を課すことができない。
[雇用法] 雇用保険法・重要箇所・Chapter14
■ 政府は、被保険者、被保険者であった者及び被保険者になろうとする者(被保険者等)に関し、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大その他雇用の安定を図るため、雇用安定事業を行うことができる。
■ 政府は、雇用安定事業の一部を独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に行わせるものとする。(雇用法62条1項本文・3項)
■ 雇用安定事業として行われる助成等には、以下のようなものがある(雇用法62条1項各号)
・ 景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合において、労働者を休業させる事業主その他労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずる事業主に対して行う必要な助成及び援助
・ 労働者の再就職を促進するために必要な措置を講ずる事業主に対して行う必要な助成及び援助
・ 定年の引上げ、継続雇用制度の導入、高年齢者就業確保措置等により高年齢者の雇用を延長し、又は高年齢者等に対し再就職の援助を行い、もしくは高年齢者等を雇い入れる事業主その他高年齢者等の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずる事業主に対して行う必要な助成及び援助
・ 高年齢者雇用安定法34条1項の同意を得た地域高年齢者就業機会確保計画(変更の同意があったときは、その変更後のもの(同意地域高年齢者就業機会確保計画))に係る同法34条2項3号に規定する事業のうち雇用の安定に係るものを行うこと
・ 雇用機会を増大させる必要がある地域への事業所の移転により新たに労働者を雇い入れる事業主、季節的に失業する者が多数居住する地域においてこれらの者を年間を通じて雇用する事業主その他雇用に関する状況を改善する必要がある地域における労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずる事業主に対して行う必要な助成及び援助
・ 障害者その他就職が特に困難な者の雇い入れの促進その他被保険者等の雇用の安定を図るために必要な事業であって、厚生労働省令で定める者を行うこと
■ 具体的な助成金、給付金等としては、以下のようなものがある。
・ 事業活動の縮小時の雇用の安定を目的とするもの →雇用調整助成金(雇用則102条の3)
・ 高年齢者の雇用の安定を目的とするもの →65歳超雇用促進助成金(雇用則104条)
・ 地域における雇用の安定を目的とするもの →地域雇用開発助成金(雇用則112条)/通年協奨励金(雇用則113条)
・ その他の雇用の安定を目的とするもの →特定求職者雇用開発助成金(雇用則110条)/トライアル雇用助成金(雇用則110条の3)/労働移動支援助成金(雇用則102条の5)/両立支援等助成金(雇用則116条)/人材確保等支援助成金(雇用則118条)/キャリアアップ助成金(雇用則118条の2)
■ 政府は、被保険者等に関し、職業生活の全期間を通じて、これらの者の能力を開発し、及び向上させることを促進するため、能力開発事業を行うことができる。
■ 政府は、能力開発事業の一部を独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に行わせるものとする。(雇用法63条1項・3項)
■ 能力開発事業として行われる助成等には、以下のようなものがある(雇用法63条1項各号)
・ 職業能力開発促進法13条に規定する事業主等及び職業訓練の促進のための活動を行う者に対して、同法11条に規定する計画に基づく職業訓練、同法24条3項に規定する認定職業訓練その他当該事業主等の行う職業訓練を振興するために必要な助成及び援助を行うこと並びに当該職業訓練を振興するために必要な助成及び援助を行う都道府県に対して、これらに要する経費の全部または一部の補助を行うこと。
・ 公共職業能力開発施設又は職業能力開発総合大学校を設立し、又は運営すること、職業能力開発促進法15条の6第1項但書に規定する職業訓練を行うこと及び公共職業能力開発施設を設置し、又は運営する都道府県に対して、これらに要する経費の全部または一部の補助を行うこと。
・ 求職者及び退職を予定する者に対して、再就職を容易にするために必要な知識及び技能を習得させるための講習(職業講習)並びに作業環境に適応させるための訓練を実施すること。
・ 職業能力開発促進法10条の4第2項に規定する有給教育訓練休暇を与える事業主に対して、必要な助成及び援助を行うこと
・ 職業訓練(公共職業能力開発施設又は職業能力開発総合大学校の行うものに限る)又は職業講習を受ける労働者に対して、当該職業訓練又は職業講習を受けることを容易にし、又は促進するために必要な交付金を支給すること及びその雇用する労働者に職業能力開発促進法11条に規定する計画に基づく職業訓練、認定職業訓練その他の職業訓練を受けさせる事業主(当該職業訓練を受ける期間、労働者に対し所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う事業主に限る)に対して必要な助成を行うこと。
・ 技能検定の実施に要する経費を負担すること、技能検定を行う法人その他の団体に対して、技能検定を促進するために必要な助成を行うこと及び技能検定を促進するために必要な助成を行う都道府県に対して、これに要する経費の全部または一部の補助を行うこと
・ 高年齢者雇用安定法に規定する同意地域高年齢者就業機会確保計画に係る高年齢雇用安定法34条2項3号に規定する事業のうち労働者の能力の開発及び向上に係るものを行うこと
・ 労働者の能力の開発及び向上のために必要な事業であって、厚生労働省令で定めるものを行うこと
・ 船員を雇用する事業主等が行う技能訓練の援助等に要する経費b一部の補助
■ 代表的な次の助成金の名称等を押さえておく
・ 人材開発支援助成金(人災開発支援コース助成金、特別育成訓練コース助成金、建設労働者認定訓練コース助成金、建設労働者技能実習コース助成金及び障害者職業能力開発コース助成金)(雇用則125条)
・ 両立支援助成金(そのうち、女性活躍加速化コース助成金(常時雇用する労働者の数が300人を超えない事業主が対象)に係るもの)(雇用則139条)
■ 代表的な事業の概要
・ 認定訓練助成事業費補助金(雇用則123条)
・ 認定訓練助成事業費補助金は、職業能力開発促進法に規定する事業主等が行う認定訓練を振興するために必要な助成または援助を行う都道府県に対して、認定訓練の運営に要する経費、認定訓練の実施に必要な施設又は設備の設置又は整備に要する経費に関し、それぞれ職業訓練の種類、規模等を考慮して厚生労働大臣が定める基準に従って算定した額(その額が当該経費につき当該年度において要した金額を超えるときは、当該金額とする)の経費について、都道府県が行う助成または援助に係る額の一部を交付するもの
・ 法63条1項3号に掲げる事業(雇用則129条)
・ 法63条1項3号に掲げる事業として、職業適応訓練及び介護労働講習を行うものとする。
・ 職場適応訓練は、受給資格者、高年齢受給資格者又は特例受給資格者であって、再就職を容易にするため職場適応訓練を受けることが適当であると公共職用安定所長が認めるものに対して、要件に該当する事業主に委託して行うものとする(雇用則130条)
・ 介護労働講習は、介護労働者法に規定する介護労働者又は介護労働者になろうとする者に対して、必要な知識及び技能を習得させるために行うものとする(雇用則131条)
■ 政府は、被保険者であった者又は被保険者になろうとする者の就職に必要な能力を開発し、及び向上させるため、能力開発事業として、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律4条2項に規定する認定職業訓練を行う者に対して、同法5条の規定による女性を行うこと及び同法2条に規定する特定求職者に対して、同法7条1項の職業訓練受講給付金を支給することができる。(雇用法64条)
■ 雇用安定事業及び能力開発事業は、被保険者等の職業の安定を図るため、労働生産性の向上に資するものとなるよう留意しつつ、行われるものとする。(雇用法64条の2)
■ 雇用法62条及び63条の規定による事業又は当該事業にかかる施設は、被保険者等の利用に支障がなく、かつ、その利益を害しない限り、被保険者等以外の者に利用させることができる。(雇用法65条)
■ 事業主は、雇用調整助成金その他の雇用保険法4章の規定により支給される給付金の支給を受けようとするときは、労働者に関する事項その他必要な事項を記載した申請に必要な書類を提出するものとする。(雇用則143条の2)
■ 雇用関係助成金関係規定にかかわらず、雇用関係助成金(雇用調整助成金、労働移動支援助成金、65歳超雇用推進助成金、特定求職者雇用開発助成金、トライアル雇用助成金、中途採用等支援助成金、地域雇用開発助成金、通年雇用助成金、両立支援等助成金、人災確保等支援助成コース助成金及びキャリアアップ助成金)は、国、地方公共団体(地方公営企業法3章の規定の適用を受ける地方公共団体の経営する企業を除く)、行政執行法人及び特定地方独立行政法人(国等)に対しては、支給しないものとする。(雇用則120条)
■ 人材開発支援助成金及び両立支援等助成金は、国等に対しては、支給しないものとする。(雇用則139条の3)
■ 雇用関係助成金関係規定にかかわらず、雇用関係助成金(雇用調整助成金、労働移動支援助成金、65歳超雇用推進助成金、特定求職者雇用開発助成金、トライアル雇用助成金、中途採用等支援助成金、地域雇用開発助成金、通年雇用助成金、両立支援等助成金、人材確保等女性コース助成金及びキャリアアップ助成金)は、労働保険料の納付の状況が著しく不適切である、又は過去5年以内に偽りその他不正の行為により、雇用調整助成金その他の雇用法4章(雇用安定事業等)の規定により支給される給付金の支給を受け、または受けようとした事業主又は事業主団体に対しては、支給しないものとする。(雇用則120条の2第1項)
■ 偽りその他不正の行為により雇用調整助成金その他の雇用法4章(雇用安定事業等)の規定により給付される給付金の支給を受けた事業主又は事業団体若しくはその連合団体である場合には、都道府県労働局長は、その者に対して、支給した給付金の全部または一部を返還することを命ずることができ、また、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた雇用調整助成金については、当該返還を命ずる額の2割に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。(雇用則140条の3)
[雇用法] 雇用保険法・重要箇所・Chapter15
■ 国庫は、次の区分によって、求職者給付(高年齢求職者給付金を除く)、雇用継続給付(介護休業給付金に限る)、育児休業給付及び雇用保険法64条に規定する職業訓練受講給付金の支給する費用の一部を負担する。
・ 日雇労働求職者給付金以外の求職者給付金(基本手当、技能習得手当、寄宿手当、傷病手当及び特例一時金)については、当該求職者給付に要する費用の4分の1
・ 日雇労働求職者給付金については、当該労働求職者給付金に要する費用の3分の1
・ 雇用継続給付については、当該雇用継続給付に要する費用の8分の1
・ 育児休業給付については、当該育児休業給付に要する費用の8分の1
・ 雇用法64条に規定する職業訓練受講給付金の支給については、当該職業訓練受講給付金に要する費用の2分の1
■ 国庫は、毎年度、予算の範囲内において、雇用法64条に規定する事業(就職支援法事業)に要する費用(上記オを除く)及び雇用保険事業の事務の執行に要する経費を負担する。
■ 国庫は、広域延長給付を受ける者に係る求職者給付に要する費用の3分の1を負担する。(雇用法66条・67条)
■ 国庫は、当分の間、本来の規定による国庫の負担額の100分の55に相当する額を負担する。(令和2年2020年4月1日まで?)
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■ 保険料
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■ 被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認、失業等給付及び育児休業給付(失業等給付等)に関する処分、不正受給に係る失業等給付等の返還命令又は納付命令(これらの規定を雇用法61条の6第2項において準用する場合を含む)についての処分に不服のある者は、雇用保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
■ 審査請求をしている者は、審査請求をした日の翌日から起算して3箇月を経過しても審査請求についての決定がないときは、雇用保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。
■ 審査請求及び再審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求とみなされる。
■ 審査請求及び再審査請求については、行政不服審査法第2章(法22条を除く)及び第4章の規定は、適用しない。(雇用法69条)
■ 審査請求の対象となる処分は、次のアからエの処分に限られる。
・ 被保険者の資格の得喪の確認に関する処分
・ 失業等給付に関する処分
・ 受給資格の否認
・ 被保険者の種類の確認
・ 受給期間延長の申出の不承認
・ 所定給付日数の決定
・ 延長給付等の不支給
・ 基本手当日額の決定
・ 失業の不認定
・ 給付制限
・ 不正受給による支給停止処分等
・ 育児休業給付に関する処分
・ 不正受給による失業等給付及び育児休業給付の返還命令又は納付命令に関する処分
■ 審査請求は、原則として、審査請求人が原処分があったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときは、することができない(労審法8条)
■ 審査請求は、文書又は口頭で直接雇用保険審査官に対して行うほか、原処分をした公共職業安定所又は居住地を管轄する公共職業安定所長を経由して行うことができる。(労審法9条・労審令3条)
■ 再審査請求は、雇用保険審査官から「決定書」の謄本が送付された日の翌日から起算して2月を経過したときは、することができない。(労審法38条1項)
■ 再審査請求は、文書で行わなければならず、直接労働保険審査会に再審査請求書を送付するほか、原処分を行った公共職業安定所の長若しくは居住地を管轄する公共職業安定所の長又は審査決定を行った雇用保険審査官を経由して行うことができる。(労審法39条・労審令23条)
■ 被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認に関する処分が確定したときは、当該処分についての不服を当該処分に基づく失業等給付等に関する処分についての不服の理由とすることができない。(雇用法70条)
■ 「雇用保険審査官に審査請求→労働保険審査会に再審査請求」という流れで不服申し立てができるのは、「被保険者になったこと又は被保険者でなくなったことの確認、失業等給付等に関する処分、不正受給に係る返還命令・納付命令についての処分」についての不服に限定されている。
■ 厚生労働大臣は、雇用保険法の施行に関する重要事項について決定しようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。
■ 労働政策審査会は、厚生労働大臣の諮問に応じるほか、必要に応じ、雇用保険事業の運営に関し、関係行政庁に建議し、又はその報告を求めることができる。(雇用法72条)
■ 失業等給付等の支給を受け、又はその返還を受ける権利及び雇用法10条の3第1項又は2項(返還命令等)の規定(同法61条の6第2項において準用される場合を含む)により納付すべきことを命ぜられた金額を徴収する権利は、これらを行使することができるときから2年を経過したときは、時効によって消滅する。(雇用法74条1項)
■ 市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法252条の19第1項の指定都市においては、区長又は総合区長とする)は、行政庁又は求職者給付若しくは就職促進給付の支給を受ける者に対して、当該市(特別区を含む)町村の条例の定めるところにより、求職者給付又は就職促進給付の支給を受ける者の戸籍に関して、無料で証明を行うことができる。(雇用法75条)
■ 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者若しくは受給資格者、高年齢受給資格者、特例受給資格者もしくは日雇受給資格者(受給資格者等)若しくは教育訓練給付対象者を雇用し、若しくは雇用していたと認められる事業主又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体に対して、雇用保険法の施行に関して必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる。
■ 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、受給資格者等を雇用しようとする事業主、受給資格者等に対し職業命令若しくは職業指導を行う職業紹介事業者等、募集情報等提供事業を行う者又は教育訓練給付対象者に対して教育訓練を行う指定教育訓練実施者に対して、雇用保険の施行に関して必要な報告又は文書の提出を命ずることができる。(雇用法76条)
■ 行政庁は、求職者給付の支給を行うため必要があると認めるときは、傷病のため証明書により失業の認定を受け、若しくは受けようとする者、妊娠、出産、育児等の理由により受給期間延長の申出をした者又は傷病手当の支給を受け、若しくは受けようとする者に対して、その指定する医師の判断を受けるべきことを命ずることができる。(雇用法78条)
■ 行政庁は、雇用保険法の施行のため必要があると認めるときは、当該職員に、被保険者、受給資格者等若しくは教育訓練給付対象者を雇用し、若しくは雇用していたと認められる事業主の事業所又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体の事務所に立ち入り、関係者に対して質問させ、又は帳簿書類(電気的記録を含む)の検査をさせることができる。
■ 上記の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
■ 上記の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。(雇用法79条)
■ 次のいずれかに該当するときは、6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる。(雇用法83条)
・ 資格取得届、資格喪失届等の届出をせず、又は偽りの届出をした場合
・ 労働者が確認の請求をしたことを理由として不利益な取扱いをした場合
・ 雇用法76条1項の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは偽りの報告をし、又は文書を提出せず、若しくは偽りの記載をした文書を提出した場合。
■ 法人(法人でない労働保険事務組合を含む)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関して、当該違反行為(雇用法83条から85条)をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑が科せられる。
■ 法人でない労働保険事務組合が処罰される場合においては、その代表者又は管理者が訴訟行為につきその労働保険事務組合を代表するほか、法人を被告人とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定が準用される。(雇用法86条)