労働時間・休憩・休日
■ 労働時間とは、休憩時間を除いた拘束時間のことをいう。実際に労働した時間はもちろん、使用者の指揮命令に入ってからの時間は、手待時間も含めて労働時間として取り扱われる。
■ 所定労働時間とは、使用者によって就業規則や労働契約で決められた時間。法定労働時間を超えることはできない。
■ 法定労働時間とは、法律で労働時間の限度として決められている時間
・ 手持ち時間 作業と作業の間の待期時間
■ 労働時間に該当する例
・ 運転手2名が乗り込んで交代で運転に当たる場合において、運転しない者が助手席で休息し、又は仮眠をしている時間(昭和33年基収6286号)
・ 出勤を命ぜられ、一定の場所に拘束されている手待時間(昭和33年基収6286号)
・ 昼食休憩時間中の来客当番(昭和63年基発150号)
・ 特殊健康診断の実施に要する時間(昭和47年基発602号)
・ 事業場に火災が発生した場合、既に帰宅している所属労働者が任意に事業場に出勤し、消化作業に従事した時間(総和63年基発150号)
・ 労働基準法32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、この労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業基速、労働協約等の定めのいかんによって決定されるべきものではない(三菱重工業長崎造船所事件平成12年3月9日最高裁判)
・ 労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間害において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情がない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当する。(三菱重工業長崎造船所事件平成12年3月9日最高裁判)
・ 仮眠中に仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相応の対応をすることを義務付けられている仮眠時間(不活動仮眠時間であっても労働からの開放が保障されていない場合には労働時間に当たる)(大星ビル管理事件平成14年2月28日最高裁判)
■ 労働時間に該当しない例
・ 坑内労働者の作業終了後の入浴時間(昭和23年基発1575号)
・ 使用者が実施する技術教育を所定労働時間害に実施する場合においては、当該教育に参加することが就業規則上の出席の強制がなく自由参加のもの(昭和26年基収2875号)
・ 一般健康診断
■ 労働時間に含まれる例
・ 作業の準備・後始末→使用者の明示又は黙示の指揮命令下で行われている場合
・ 手待時間→原則として労働時間となる
・ 更衣→一定の作業着などの着用を義務付けている場合
・ 教育・研修→就業規則等で出席が強制されているもの
・ 健康診断→特殊健康診断(一般健康診断に係る時間は必ずしも労働時間としなくてもよい)
・ 自発的残業→使用者が知りながら放置している場合は労働時間
・ 安全委員会又は衛生委員会の開催に要する時間
■ 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働されてはならない。
■ 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。(労基法32条)
■ 月曜から日曜まで、あるいは金曜から翌週の木曜までなど、就業規則その他これに準ずるものに特別の定めがあれば、その定めるところによる。定めがない場合には、日曜から土曜までの1週間をいう。(昭和63年基発1号)
■ 原則として、午前零時から午後12時までの暦日24時間をいう。暦日をまたいだ継続勤務の場合は、一勤務として取扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の1日の労働と解される。(昭和63年基発1号)
■ 法定労働時間の特例
■ 常時10人未満の労働者を使用する次の事業(この特例措置は、満18歳に満たないものには適用されない(労基法60条1項)
・ 商業、理容業
・ 映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)
・ 保健衛生業
・ 接客娯楽業
・ 1週間の上限 44時間
・ 1日の上限 8時間
■ 所轄労働基準監督署長の許可を受けて使用する満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの児童
・ 就学時間を通算して
・ 1週間の上限 40時間
・ 1日の上限 7時間
■ 1週44時間の特例が適用される事業であっても、1年単位の変形労働時間制、フラックスタイム制(清算期間が1か月を超える場合に限る)又は1週間単位の非定型的変形労働時間制の規定により労働させる場合には、労働時間の特例は適用されません。
■ 使用者は、休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。(労基法34条1項)
・ 労働時間 6時間まで
・ 休憩時間 与えなくてもよい
・ 労働時間 6時間を超えて8時間まで
・ 休憩時間 少なくとも45分
・ 労働時間 8時間を超える場合
・ 休憩時間 すくなくとも1時間
■ 単に作業に従事していない手待時間は休憩時間に含まれない。(昭和22年発基17号)
■ 1か月単位の変形労働時間制により、1日16時間間隔日勤務制が取られている場合に、休憩時間を1時間とすることも、法律上は適法である。(昭和23年基収1582号)
■ 所定労働時間が7時間の場合に2時間延長する場合は、労働時間が9時間となり、45分の休憩の外にさらに15分の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。この場合、延長時間が何時間であっても、15分の休憩を追加して与えれば違法ではない(昭和26年基収5058号)
■ 次のものに対しては、業務の特殊性から休憩を付与しなくてもよいとされている。
・ 運送業務や郵便もしくは信書便の事業に従事する労働者のうち、列車等、自動車、船舶、航空機に乗務する乗務員で、長距離にわたり継続して乗務する者
・ 上記の乗務員のうち、長距離に渡り乗務しない者のうち、その者の従事する業務の性質上、休憩時間を与えることができないと認められる場合で、かつ、その勤務中における停車時間、折返しによる待ち合わせ時間その他の時間の合計が休憩時間に相当する者
・ 通信業の業務に使用される労働者で、屋内勤務者30人未満の日本郵便株式会社の営業所(郵便窓口業務を行うものに限る)において郵便の業務に従事する者
■ 休憩時間は、一斉に与えなければならない。(労基法34条2項)
■ 休憩時間を実効あるものとするために、一斉にあたえなければならないとされている。ただし、一定の場合には一斉休憩の例外(一斉に休憩を与えなくてもよい)が設けられている。
■ 一斉休憩の例外
・ 一定の事業
・ 運送、販売、理容、金融保険、映画製作、演劇、郵便、信書便、電気通信、病院等、保健衛生及び旅館等接客娯楽並びに官公署の事業(労働基準法別表第一に掲げる事業を除く)の各事業
・ 労使の書面協定(労使委員会の決議及び労働時間等設定改善委員会の決議を含む)上記以外の事業であっても労使協定(届け出不要)で以下の事項を定めた場合
・ 一斉に休憩を与えない労働者の範囲
・ 一斉休憩の適用を除外する労働者に対する休憩の考え方
・ 坑内労働
■ ただし、満18歳未満の年少者については上記の例外規定の適用がないため、上記に掲げた事業において年少者に対して一斉休憩を与えないこととするためには、労使協定(届出不要)を締結する必要がある。
■ 休憩時間は、原則として自由に利用させなければならない。(労基法34条3項)ただし、休憩時間の自由利用の原則は、次の労働者には適用されない。
・ 警察官、消防吏員、常勤の消防団員、准救急隊員及び児童自立支援施設に勤務する職員で児童と起居をともにする者
・ 乳児院、児童養護施設及び障害児入所施設に勤務する職員で児童と起居をともにする者(その員数、収容する児童数及び勤務の態様について、あらかじめ所轄労働基準監督署長の許可を受けなければならない)
・ 児童福祉法6条の3第11項に規定する居宅訪問型保育事業に使用される労働者のうち、家庭的保育者(同条9項1号に規定する家庭的保育者)として保育を行う者(同一の居宅において、一の児童に対して複数の家庭的保育者が同時に保育を行う場合を除く)
・ 坑内労働
■ 休憩時間の利用について、事業場の規律保持上制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えない(昭和22年発基17号)
■ 休憩時間中の外出について所属長の許可を受けさせることは、事業場内において自由に休憩しうる場合には、必ずしも違法ではない。(昭和23年基発1575号)
■ 労働基準法34条3項に基づく休憩時間の自由利用は、時間を自由に利用することが認められたものに過ぎず、その利用が企業施設内で行われる場合には施設管理件の合理的な行使として是認される範囲内の適法な規制による制約を免れず、また企業秩序維持の要請に基づく規律による制約を免れないから、企業施設内における演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等を休憩時間中であっても使用者の許可にかからしめることは合理的な制約である。(電電公社目黒電報電話局事件昭和52年12月13日最高裁判)
■ 休憩時間
・ 原則
・ 一斉に与える
・ 自由に利用させる
・ 例外
・ 一斉に与えなくてもよい
・ 特定の業種及び上記の事業以外+労使協定(届出不要)
・ 自由に利用させなくても良い
・ 所轄労働基準監督署長の許可
・ あたえなくてもよい
・ 特定の業務乗務
■ 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。(労基法35条1項)
■ 休日とは、労働契約において労働義務のない日をいう。週休2日制を採用している場合に、いずれかの日に労働させたとしても、ほかの1日の休日が確保されている限り労働基準法35条違反とはならない。これに対して休暇は、労働義務はあるが一定の手続によりその労働義務を免除される日のことをいう。
■ 休日の単位は、原則として一暦日、つまり午前零時からごと12時までの24時間の休みをいい、単に継続して24時間をいうものではない。(昭和23年基発535号)
■ 8時間3交替制労働のような番方編成による交替制の場合で、次のいずれにも該当するときは、休日は継続24時間を与えれば差し支えないとしている。(昭和63年基発150号)
・ 番方編成による交替制によることが就業規則等により定められており、制度として運用されていること
・ 各番方の交替が規則的に定められているものであって、勤務割表等により、その都度設定されるものでないこと。
■ 国民の祝日に休ませなくても、週1回の休日が与えられている限り、労働基準法35条には違反しない。(昭和41年基発739号)
■ 休憩時間と同じように一斉に与えることは、法律上要求されていない。休日は日曜日、月曜日等それを特定する必要はない。ただし、特定することが法の趣旨に沿うものであるから、就業規則ではできるだけ特定するほうがよい。(昭和23年基発513号)
■ 毎週少なくとも1回の休日を与えなくても、4週間に4日以上の休日を与えることでもよいとされている。
■ 特定の4週間に4日の休日があればよく、どの4週間を区切っても4日の休日が与えられていなければならないという趣旨ではない。したがって、次のような休日の取り決めも可能となる。
・ 第1週 なし
・ 第2週 1日休
・ 第3週 2日休
・ 第4週 1日休
・ 第5週 なし
・ 第6週 なし
・ 第7週 2日休
・ 第8週 2日休
・ 上記の例では、第3週から第6週までの4週間については3日休しか休日がないが、特定の4週間については、4週4日を満たしている。
■ 常時10人未満の労働者を使用する使用者は、変形休日制の定めをした場合には、これを労働者に周知させるものとされている(労基則12条)
■ 出張中の休日は、その日の旅行する等の場合であっても、旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合のほかは、休日労働として取り扱わなくて差し支えない(昭和23年基発461号)
■ 労働基準法は、休日について特定することを要求していない。しかし、労働者の保護の観点から、休日は特定されていることが望ましいこととされている。休日を特定した場合は、原則としてその日に労働させることはできないが、業務の都合などにより、あらかじめ休日とされていた日を労働日とし、その代わり、ほかの労働日を休日とすることができる。これが休日の振替である。
■ 休日の振替と代休
・ 休日の振替
・ 意味 あらかじめ定めてある休日を、事前に手続して、ほかの労働日と交換すること。「本来は休日であった日に労働した日」は「通常の労働日」の扱いとなるため、休日労働にはならない。
・ 要件
・ 就業規則等に振替休日の規定をする
・ 振替日の事前に特定
・ 振替日は4週4休の法定休日を確保(鹿屋市教員事件(S48.2.8鹿児島地裁))
・ 遅くとも前日の勤務時間終了までに通知
・ 賃金 同一週内で振り替えた場合、通常の賃金の支払でよい。週をまたがって振り替えた結果、週法定労働時間を超えた場合は、時間外労働に対する割増賃金の支払が必要
・ 代休
・ 意味 休日に労働させ、事後に代償措置として変わりに休日を与えること。「休日に労働した事実」は、代休の付与によって消えることはなく、休日労働の扱いのままとなる。
・ 要件 特になし。ただし、制度として行う場合、就業規則等に具体的な記載が必要(代休を付与する条件、賃金の取扱い等)
・ 賃金 休日労働の事実は消えないので、休日労働に対する割増賃金の支払が必要。代休日を有給とするか無給とするかは、就業規則等の規定による。
■ 災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、使用者は、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、その必要な限度において法定の労働時間を延長し、又は法定の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届出なければならない。
■ 上記の但書の事後の届出があった場合において、行政官庁がその労働時間の延長又は休日の労働を不適当と認めるときは、その後にその時間に相当する休憩又は休日を与えるべきことを、命ずることができる。(労基法33条1項、2項)
■ 災害その他の原因によって、通常発生することを予測することが困難である事故等をいう。この判断を使用者の自由に任せることは濫用のおそれがあることから、所轄労働基準監督署長の事前の許可を受けるべきこととされている。
■ 以下は、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合に該当するか否かについての重要な通達である。
■ 該当するもの
・ 地震、津波、風水害、雪害、爆発、火災等の災害への対応(差し迫ったおそれがある場合における次戦の対応を含む)、急病への対応その他の人命又は公益を保護するための必要がある場合(令和元年基発0607第1号)
・ 事業の運営を不可能ならしめるような突発的な機械・設備の故障の修理、保安やシステム障害の復旧(令和元年基発0607第1号)
■ 該当しないもの
・ 単なる業務の繁忙、その他これに準ずる経営上の必要がある場合(令和元年基発0607第1号)
・ 通常予見される機械の部分的修理、定期的な保安(令和元年基発0607第1号)
■ 事後の届出があった場合において、所轄労働基準監督署長が、その労働時間の延長又は休日の労働を不適当と認めるときは、使用者に対して、その後にその時間に相当する休憩時間又は休日を与えればよく、その事案について賃金や休業手当を支払う必要はない(使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当しない)
■ 年少者についても、その必要の限度に応じて時間外・休日労働及び深夜業が認められている。
■ 派遣先の使用者は、派遣先の事業場において災害その他避けることのできない事由による臨時の必要がある場合には、派遣先の労働者を法定時間外又は法定休日に労働させることができる。この場合には、派遣先の使用者が事前に行政官庁の許可を受ける等の義務を負う。(昭和61年基発333号)
■ 公務のため臨時の必要がある場合等の時間外・休日労働(労基法33条3項)の場合、年少者にも必要の限度で時間外・休日労働をさせることができるが、深夜業については認められない。
■ 非常災害時と公務のため等の時間外、休日労働の比較
・ 非常災害時
・ 事由 災害その他避けることのできない事由・臨時の必要がある場合
・ 効果 法定労働時間、変形労働時間制による労働時間及び労働時間の特例による労働時間を延長し、又は法定休日に労働させることができる。
・ 手続
・ 原則 行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可
・ 例外 事態急迫の場合、事後に遅滞なく届出
・ 年少者 時間外・休日労働・深夜業→○
・ 公務
・ 事由 公務のため・臨時の必要がある場合
・ 効果 法定労働時間、変形労働時間制による労働時間及び労働時間の特例による労働時間を延長し、又は法定休日に労働させることができる。
・ 手続
・ 行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可は不要
・ 年少者 時間外・休日労働→○、深夜業→×
■ 時間外・休日労働に関する協定は、労働基準法36条に規定されていることから「サブロク協定」と呼ばれている。
■ 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを所轄労働基準監督署長に届け出た場合においては、法定の労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。(労基法36条1項)
■ 三六協定の締結を必要とする場合は、法定の労働時間を超えて労働させる場合、又は法定の休日に労働させる場合である。したがって、次のような場合には三六協定の締結は必要ない。具体例で考える。
■ 前提 週所定労働時間36時間、週休2日制の事業場、1週間の法定労働時間40時間
■ 月8、火6、水6、木8、金8、土休、日休
・ ケース1 火曜日に1時間、水曜日に2時間労働させた場合
・ 1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えないため、協定の必要はない。
・ ケース2 土曜に4時間労働させた場合
・ 1週間40時間の法定労働時間を超えないため、協定の必要はない。
■ 三六協定は、届出を行ってはじめて、協定の定めるところにより労働させても労働基準法いはんとならないという刑事罰を免れる効力が発生する。したがって、単に協定を締結しただけで、届出を行わずに時間外労働・休日労働をさせた場合は労働基準法違反となる。
■ また、使用者が労働者に対して、時間外・休日労働をさせることができる民事上の効力は、労働協約、就業規則、労働契約等に根拠が必要となる。
■ 労働者が遅刻した場合、その時間だけ通常の終業時間を繰下げて労働させる場合において、1日の実労働時間を通算した時間が法定労働時間を超えないとき(昭和29年基収6143号)→三六協定を要しない
■ 労働基準法32条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(三六協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該三六協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは、当該就業規則の規定の内容が合理的なものである限り、それが具体的労働契約の内容をなすから、当該就業規則の規定の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて労働する義務を負うものと解するを相当とする(日立製作所武蔵工場事件平成3年11月28日最高裁判)
■ 1事業場に2以上の労働組合がある場合において、1の労働組合がその事業場の労働者の過半数で組織されている場合はその労働組合と協定すれば足り、ほかの労働組合と協定する必要はない。
■ 労働組合がない場合又は労働組合があってもそれが当該事業場の労働者の過半数で組織されていない場合には、当該事業場の「労働者の過半数を代表する者」が協定当事者となる。
■ 派遣元の使用者は、当該派遣元の事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合には、その労働組合と協定をし、過半数で組織する労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者と協定をすることになる。この場合の労働者とは、当該派遣元の事業場の全ての労働者であり、派遣中の労働者とそれ以外の労働者との両者を含む。(昭和61年基発333号)
■ 労働者には監督又は管理の地位にある者、機密の事務を取り扱う者、年少者、病欠、出張、休職期間中の者や、正社員のみならずアルバイト、パート、嘱託社員、契約社員等も含まれる。(平成11年基発168号、昭和46年基収6206号)
■ ここでいう過半数代表者は、次のいずれにも該当する者とする(労基則6条の2第1項・2項)
・ 労働基準法41条2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと
・ 労働基準法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続によって選出された者であって、使用者の以降に基づき選出されたものでないこと
・ なお、上記に該当する者がいない事業場(監督又は管理の地位にある者のみの事業場)にあっては、2に該当する者とする。
■ 労働者の過半数とは、協定成立時の効力要件であるのでその後過半数に満たなくなってもその効力に影響を及ぼさない。(昭和36年基収6619号)
■ 三六協定を締結した労働者側の当事者が労働者の過半数を代表する者でない場合、三六協定が有効であるとは認められず、労働者は使用者の時間外労働命令に従う義務があったということはできないとするのが最高裁判所の判例である。(トーコロ事件平成13年6月22日最高裁判)
■ 「監督又は管理の地位にある者」は、「労働者の過半数を代表する者」にはなれないが、「労働者の過半数」をみる場合の「労働者」には含まれる。
■ 使用者は、労働者が過半数代表者であることもしくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
■ 使用者は、過半数代表者が法に規定する協定等に関する事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならない。
■ 協定の内容については、次にように定められている。(労基法36条2項、労基則17条)
・ 労働基準法36条1項の協定(三六協定)においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
・ この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲
・ 対象期間(この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、1年間に限るものとする)
・ 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合
・ 対象期間における1日、1ヶ月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数
・ 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項
・ 三六協定(労働協約による場合を除く)の有効期間
・ 上記の1年の起算日(三六協定における対象期間の起算日)
・ 労働基準法36条6項2号及び3号に定める要件を満たすこと(時間外労働(休日労働を含む)が1ヶ月100時間未満)及び2から6ヶ月平均80時間以内の要件をみたすこと)
・ 限度時間を超えて労働させることができる場合
・ 限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康又は福祉を確保するための措置
・ 限度時間を超えた労働に係る割増賃金の率
・ 限度時間を超えて労働させる場合における手続
・ なお、使用者は、限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置の実施状況に関する記録を、三六協定の有効期間中及び当該有効期間の満了後5年間(当分の間、3年間)保存しなければならない。
■ 三六協定における対象期間とは、労働基準法36条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、1年間に限るものであり、時間外・休日労働協定において起算日を定めることによって期間が特定される。
■ これに対して、三六協定の有効期間とは、当該協定が効力を有する期間をいうものであり、対象期間が1年間に限られることから、有効期間は最も短い場合でも原則として1年間となる。また、三六協定について定期的に見直しを行う必要があると考えられることから、有効期間は1年間とすることが望ましい。
■ なお、三六協定において1年間を超える有効期間を定めた場合の対象期間は、当該有効期間の範囲内におて、当該三六協定で定める有効期間の起算日から1年毎に区分した各期間となる。(平成30年基発1228第15号)
■ 労使協定を更新しようとするときは、使用者は、その旨の協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることにより、労使協定の届出にかえることができる。
■ この場合において、協定の有効期間について自動更新の定めがなされているときには、当該協定の更新について労使両当事者からも異議の申し出がなかった事実を証する書面を届け出ることで足りるものとされている。(昭和29年基発355号)
■ 満18歳未満の年少者に関しては、三六協定による時間外労働・休日労働を冴えることはできない(労基法60条1項)
■ 妊産婦である女性については、その者の請求があった場合には三六協定による時間外労働・休日労働をさせることはできない。(労基法66条)
■ 時間外労働の上限については、これまで、法律上の規制はなく、いわゆる限度基準(大臣告示)により限度時間などが定められるにとどまり、罰則は設けられていなかった。しかし、働き方改革の一環として、長時間労働の是正を図ることとされ、2019(平成31)年4月1日施行の改正で、法律に時間外労働の上限が定められ、罰則も設けて規制することとされた
■ 労働基準法36条2項4号の労働時間を延長して労働させることができる時間(対象期間における1日、1ヶ月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間)は、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限る。
■ 上記の限度時間は、1ヶ月について45時間及び1年について360時間(1年単位の変形労働時間制に係る対象期間として3ヶ月を超える期間を定めてその規定により労働させる場合にあっては1ヶ月について42時間及び1年について320時間)とする。
■ 限度時間(原始的な時間外労働の上限)
・ 1ヶ月 45時間(1年単位変形(3ヶ月超え) 42時間)
・ 1年 360時間(1年単位変形(3ヶ月超え) 320時間
■ 三六協定で対象期間として定められた1年間の中に、1年単位の変形労働時間制の対象期間が3ヶ月を超えて含まれている場合には、限度時間は月42時間及び年320時間となる。
■ 労働基準法36条1項の協定(三六協定)において、同条2項各号に掲げるもののほか、当該事業場における通常予見することができない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に上記の限度時間を超えて労働サエル必要がある場合において、1ヶ月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(同条2項4号に関して協定した時間を含め100時間未満の範囲内に限る)並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め720時間を超えない範囲内に限る)を定めることができる。この場合において、同条1項の協定に、併せて三六協定に係る対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が1ヶ月について45時間(1年単位の変形労働時間制に係る対象期間として3ヶ月を超える期間を定めてその規定により労働をさせる場合にあっては、1ヶ月について42時間)を超える月数(1年について6ヶ月以内に限る)を定めなければならない。(労基法36条5項)
■ 限度時間の延長(限度時間を超えて労働させることができる場合)
・ 臨時的に「限度時間」を超えて労働させる必要がある場合、1ヶ月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間を定めることができる
・ 1ヶ月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間
・ 協定した時間を含め100時間未満の範囲内に限る
・ 1年について労働時間を延長して労働させることができる時間
・ 協定した時間を含め720時間以内の範囲内に限る
・ 1ヶ月あたりの限度時間(通常45時間)を超えることができる月数を定めなければならない。
・ 1年について6ヶ月以内に限る。
■ 労働基準法36条5項の規定は、三六協定の内容に関する規制です。なお、720時間以内か否かは、休日労働の時間を含めずに判断することになります。
■ 「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合」とは、全体として1年の半分を超えない一定の限られた時期において一時的・突発的に業務量が増える状況等により限度時間を超えて労働させる必要がある場合をいうものであり、「通常予見することのできない業務量の増加」とは、こうした状況の一つの例として規定されたものである。なお、労働基準法33条の非常災害の場合等の時間外・休日労働に該当する場合はこれに含まれないこと。(平成30年基発1228第15号)
■ 限度時間又は1ヶ月及び1年についての延長期間の上限(1ヶ月について休日労働を含んで100時間未満、1年について720時間以内)もしくは月数の上限(6ヶ月以内)を超えている三六協定は全体として無効である。(平成30年基発1228第15号)
■ 使用者は、労働基準法36条1項(三六協定)で定めるところによって労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合であっても、次に掲げる時間について、当該次に定める要件を満たすものとしなければならない。
・ 坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務について、1日につきて労働時間を延長して労働させた時間→2時間を超えないこと
・ 1ヶ月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間→100時間未満であること
・ 対象期間の初日から1ヶ月毎に区分した各期間に当該各期間の直前の1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月及び5ヶ月の期間を加えたそれぞれの期間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の1ヶ月あたりの平均時間→80時間を超えないこと
■ この規定(労基法36条6項)に違反した者は、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられう(労基法119条)
■ 労働基準法36条6項の規定は、実際にそのように労働させてはならないという規制です。なお、動向に「年間720時間以内」という要件は、含まれていません。
■ 三六協定から生じる罰則(内容はいずれも6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金)
・ 締結・届出をせず(三六協定なしで)時間外労働・休日労働を行わせた場合→労基法32条(法定労働時間)、35条(法定休日)違反
・ 三六協定(特別条項付きを含む)の内容を超えて労働させた場合、特別条項を付けずに限度時間を超えて労働させた場合、特別条項に関する規制(単月100時間未満、年720時間以内等)を守らない場合等も、三六協定なしの場合と同様に、免罰の効力が生じず、労基法32条・35条違反とされることがある。
・ 1日2時間以内の要件(一定の有害業務限定)を違反した場合
・ 単月100時間未満、複数月平均80時間以内の要件に違反した場合 → 労基法36条6項違反
■ 「1日について2時間を超えてはならない」とは、必ずしも8時間を超える部分だけでなく、就業規則等で変形労働時間制を定める場合は、特定の日の所定労働時間が10時間と定められた日については、12時間まで労働させることができる。なお、深夜業や危険な業務については、この制限の対象とはされていない。
■ 1日の所定労働時間が8時間の場合において、合計した労働時間が10時間を超えていても、そのうち有害業務に従事した時間が10時間以内であれば違反とはならない。(平成11年基発168号)
■ 休日労働をさせる場合にも2時間の制限を考え、10時間を超えて労働させることはできないと解すべきである(昭和24年基収1484号)
■ 同一企業内のA事業場からB事業場へ転勤した労働者について、時間外労働時間数を通算して適用するのか(平成30年基発1228第15号)
・ 労働基準法36条4項に規定する限度時間及び同条5項に規定する限度時間を延長する場合の1年についての延長時間の上限は、事業場における時間外・休日労働協定の内容を規制するものであり、特定の労働者が転勤した場合は通算されない。
・ これに対して、同条6項2号及び3号の時間数の上限(単月100時間未満、複数月平均80時間以内)は、労働者個人の実労働時間を規制するものであり、特定の労働者が転勤した場合は労働基準法38条1項の規定により通算して適用される。
■ 労働基準法36条6項3号(罰則付きで上限である複数月平均80時間以内)は、複数の対象期間(三六協定の対象期間)をまたぐ場合にも適用されるものである。(平成30年基発1228第15号)
■ 厚生労働大臣は、労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするため、労働基準法36条1項の規定(三六協定)で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意するべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の健康、福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して、指針を定めることができる。
■ 行政官庁(所轄労働基準監督署長)は、上記の指針に関し、労働基準法36条1項の協定(三六協定)をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。(労基法36条7項から10項)
■ 2019(平成31)年4月1日施行の改正前は、「基準」を定めることができるとされていましたが、どう改正後は「指針」を定めることができることとされました。「指針」については、試験の直前期には抑えておきたい。
■ 指針は、時間外・休日労働を適正なものとするために留意すべき事項等を定めたものであり、法定要件を満たしているが、指針に適合しない時間外・休日労働協定は直ちには無効とはならない。なお、指針に適合しない三六協定は、行政官庁(所轄労働基準監督署長)による助言及び指導の対象となるものである。(平成30年基発1228第15号)
■ 新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務に関する特例は、労働安全衛生法の改正と連動した改正です。新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については、面談指導等を実施した上で、上限規制(従来からある「有害な業務についての上限」を除く)は適用しないこととされます(当該業務に従事する者に特化した面接指導等の規定を新設(労働安全衛生法66条の8の2))
■ 中小事業主については、新たな三六協定の仕組み(上限規制など)への対応の負担を考慮して、適用時期が1年遅れとされました。
■ 事業場外で労働する場合で、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間の算定が困難な業務が増加していることに対応して、当該業務における労働時間の算定が適切に行われるように法制度を整備したものである(昭和63年基発1号)
■ 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間の算定しがたいときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。
■ 上記の但書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を上記の但書の当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。
■ 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、上記の協定を所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。(労基法38条の2)
■ 事業場外で業務に従事する場合であっても、使用者の具体的な指揮監督が及んでいる場合については、労働時間の算定が可能であるので、みなし労働時間の適用はない。つまり、事業場外のみなし労働時間制が適用になるのは、労働時間の全部又は一部を事業場外で従事した場合で、使用者の指揮監督が及ばず労働時間を算定し難いときである。
■ 適用がない場合
・ 事業場外で業務に従事するが、無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合
・ 事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示通りに業務に従事し、その後事業場に戻る場合
・ 何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合
■ 労働時間の算定方法は、所定労働時間労働したものとみなす。
・ 労働時間の一部について事業場内で労働した場合には、事業場内での労働時間も含めてその日の所定労働時間労働したものとみなす。
■ 「事業場外の業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要な場合」には、「事業場外の業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす」
■ 労使協定では、「事業場外における業務の遂行に通常必要とされる時間」のみを定めるのであって、事業場内での労働時間を含めて協定することはできない。また、行政官庁への届出は、協定で定める事業場外で労働する時間が、法定労働時間を超える場合のみ必要となる。
■ 事業場外での業務に関してのみ、みなし労働時間制の適用があり、事業場内で業務に従事した時間は別にきちんと算定しなければならず、結局、その日は、事業場内の労働時間と事業場外で従事した業務に係る「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」とを加えた時間労働したことになる。(昭和63年基発150号)
■ 次に掲げるいずれの要件をも満たす形態で行われる在宅勤務(労働者が自宅で情報通信機器を用いて行う勤務形態をいう)については、原則として労基法38条の2の規定する事業場外労働に関するみなし労働時間制が適用される。(平成20年基発0728002号)
・ 当該業務が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること
・ 当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくことにされていないこと
・ 当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと
■ なお、この場合において、「情報通信機器」とは、一般的にはパソコンが該当すると考えられるが、労働者の個人所有による携帯電話端末等が該当する場合もあるものであり、業務の実態に応じて判断されるものであること
■ 「使用者の指示により常時」とは、労働者が自分の医師で通信可能な状態を切断することが使用者から認められていない状態の意味であること
■ 「通信可能な状態」とは、使用者が労働者に対して情報通信機器を用いて電子メール、電子掲示板等により随時具体的指示があった場合に労働者がそれに即応しなければならない状態(すなわち、具体的な指示に備えて手待ち状態で待期しているか、又は待期しつつ実作業を行っている状態)の意味であり、これ以外の状態、例えば、単に回線が接続されているだけで労働者が情報通信機器から離れることが自由である場合等は「通信可能な状態」にあたらないものであること
■ 「具体的な指示に基づいて行われる」には、例えば、当該業務の目的、目標、期限等の基本的事項を指示することや、これらの基本的事項について所要の変更の指示をすることは含まれないものであること。
■ また、自宅内に仕事を専用とする個室を設けているか否かにかかわらず、みなし労働時間制の適用要件に該当すれば、当該制度が適用されるものである。
■ 事業場外労働に関するみなし労働時間制が適用される場合であっても、休憩、休日及び深夜業に関する規定の適用は排除されない。(昭和63年基発1号)
■ 労使協定の届出(労規則24条の2第2項、4項)
・ 使用者は、協定の内容を労基法36条1項の時間外、休日労働の協定に係る届出に付記して、所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、この届出に代えることができる。
・ 労使協定の締結に際しては、労働協約による場合を除き(労使委員会の決議及び労働時間等設定改善委員会の決議の場合は除かれない)、有効期間を定めなければならない。この協定が、労働者の過半数で組織する労働組合との間で締結されたものである場合は、有効期間の定めをする必要はない。(労働組合法15条の規定により、労働協約は90日前に予告すればいつでも解約できるため)
■ 労使委員会の決議又は労働時間等設定改善委員会の決議によって労使協定に代えることとした場合には、決議で定める時間が法定労働時間を超える場合であっても所轄労働基準監督署長への届出は不要である。
■ 研究開発の業務等、その業務の性質上、業務の遂行の手段や時間配分について労働者の裁量にゆだねる必要があるため、使用者の具体的な指揮監督がなじまないような場合の労働時間の算定方法が適切に行われるようにするため設けられた規定である。
■ インターネットやパソコンの普及は、システム開発やWEBデザイナー等新しいタイプの業務を生むことになった。これらの業務は使用者の指揮監督になじまないし、労働時間の算定も困難・不明確になりがちとなる。そこで、労使協定により一定範囲の労働者に関して、当該協定で定めた時間労働したものとみなすこととした。
■ 労使協定(労使委員会の決議を含む)において次の事項を定める(労基法38条の3第1項)
・ 業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務(対象業務)
・ 対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間
・ 対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、当該対象業務に従事する労働者に対し具体的な指示をしないこと
・ 対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること
・ 対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること
・ 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
■ 労使協定を所轄労働基準監督署長に届出(労使委員会又は労働時間等設定改善委員会の決議の場合は不要)
■ 専門業務型裁量労働制の適用を受けている労働者について、健康上の不安を感じている労働者が多い等の現状があることから、裁量労働制が働きすぎに繋がることのないよう、専門業務型裁量労働制についても企画業務型労働制と同様に労使協定によって上記の使用者の講ずべき措置の導入が必要とされた(平成15年基発1022001号)
■ 数人でプロジェクトチームを組んで開発業務を行っている場合であっても、チーム員及びプロジェクト内の業務に付随する雑用、清掃等のみを行う労働者は、いずれも裁量労働に該当しない。(昭和63年基発150号)
■ 労使協定には、労働協約による場合を除き(労使委員会の決議及び労働時間等設定改善委員会の決議の場合は除かれない)有効期間の定めが必要である。
■ この有効期間については、不適切に制度が運用されることを防ぐため、3年以内とすることが望ましいものとされている。
■ また、使用者は、以下に関する労働者ごとの記録を、労使協定等の有効期間中及び有効期間の満了後5年間(当分の間、3年間)保存しなければならない(定期的な報告は不要である)
・ 労働者の労働時間の状況並びに当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置として講じた措置
・ 労働者からの苦情の処理に関する措置として講じた措置
■ この協定は所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。なお、労使委員会の決議又は労働時間等設定改善委員会の決議によって労使協定に代えることとした場合には、所轄労働基準監督署長への届出は不要である。
■ 労使協定で定める時間は、1日あたりの労働時間を定める。(昭和63年基発150号)
■ 専門業務型裁量労働制においても、休憩、休日及び深夜業に関する規定の適用は排除されず、使用者は労働時間の管理を行わなければならない。(昭和63年基発1号)
■ 個別の労働者の同意は不要である(後述の企画業務型裁量労働制は必要)
■ 専門業務型裁量労働制には定期報告の規定はない(後述の企画業務型裁量労働制には規定有り)
■ 健康・福祉確保措置及び苦情処理措置の具体的な内容については、企画業務型裁量労働制における同措置の内容と同等のものとすることが望ましい。
■ 労使協定に代えて「就業規則」によることはできない。
■ 経済社会の構造変化や労働者の就業意識の変化等が進む中で、活力のある経済社会を実現していくためには、事業活動の中枢である労働者が創造的な能力を十分に発揮し得る環境づくりをすることが必要である。また、労働者の側にも、自らの知識、技術や創造的な能力を生かし、仕事の進め方や時間配分に関し主体性をもって働きたいという意識が高まっており、こうしたじょうきょうに対応した新たな働き方のルールを設定することが重要である。
■ こうした考え方から、企画、立案、調査及び分析を行う事務系労働者であって、業務の遂行手段や時間配分を自らの裁量で決定し使用者から具体的な指示を受けない者を対象とする新たな労働裁量性が設けられることとされたものである(平成11年基発45号)
■ 対象業務(労基法38条の4第1項1号)
・ 事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析に関する業務
・ 業務の性質上これを適切に遂行するためにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務であること
・ 業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的指示をしない業務
■ 事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であるため、事業の運営、事業方針の決定、経営の在り方等、事業の基本的な事項に関わる企画、立案、調査及び分析が対象業務となる。ホワイトカラーの業務全てが対象となるわけではない(平成11年基発45号)
■ 実施要件(労基法38条の4等)
・ 事業場の賃金、労働時間等の労働条件に関する字応を調査審議し、事業主に対して当該事項について意見を述べることを目的とする労使委員会の設置
・ 労使委員会の委員の5分の4以上の多数の議決により以下の事項を決議
・ 対象業務
・ 対象労働者の具体的な範囲
・ 労働時間として算定される時間
・ 1日についての対象労働者の労働時間数として、具体的に定められたものであることが必要である(平成15年厚労告353号)
・ 対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置
・ 対象労働者からの苦情処理に関する措置
・ 対象労働者の同意を得ること及び同意をしなかったことを理由に解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと
・ 決議の有効期間の定め
・ 上記に関する労働者事の記録を有効期間中及び当該有効期間の満了後5年間(当分の間、3年間)保存すること
・ 労使委員会の決議を所轄労働基準監督署長へ届け出る
■ 労使委員会の決議は、所轄労働基準監督署長に届け出る必要がある。決議の届出が当該裁量労働制の実施要件となっている。労使協定では企画業務型裁量労働制を実施することはできない。
■ 労使委員会は、次のような要件を満たさなければならない。
・ 賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会であること
・ 使用者及び当該事業場の労働者を代表するものを構成員とする者であること
・ 委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者に厚生労働省令で定めるところにより任期を定めて指名されていること(当該事業場の労働者の過半数の信任は不要)
・ 上記の指名は、労基法41条2項に規定する監督又は管理の地位にある者以外の者について行わなければならない。
・ 当該委員会の議事について、厚生労働省令で定めるところにより、議事録が作成され、かつ保存(5年間(当分の間、3年間))されるとともに、当該事業場の労働者に対する周知がはかられていること 等
■ 個別の対象労働者の同意を得る旨を決議することが必要とされている。当該事業場の過半数の労働者の意思に基づき当該労働裁量性を採用する場合でも、これに反対する労働者の意思を尊重している。
■ 使用者は、労働者が労使委員会の委員であることもしくは労使委員会の委員になろうとしたこと又は労使委員会の委員として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない。(労規則24条の2の4第6項)
■ 厚生労働大臣は、対象業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るために、労働政策審議会の意見を聴いて、労使委員会が決議する事項について指針を定め、これを公表するものとする。(労基法38条の4第3項)
■ 適正な手続きを踏んだ上で労働時間等設定改善委員会が労使委員会の委員となって、両委員会の委員を重ねることにより、実質上、労働時間等設定改善委員会が新たな裁量労働制に係る労使委員会を兼ねることができる。(平成11年基発169号)
■ 企画業務型裁量労働制の実施状況について、使用者は労使委員会の決議が行われた日から起算して1年以内に1回(当分の間、則附則66条の2の規定により6か月以内ごとに1回)所轄労働基準監督署長に次の事項について報告しなければならない。(労基法38条の4第4項、労規則24条の2の5、則附則66条の2)
・ 労働者の労働時間の状況
・ 労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況(苦情の報告義務なし)
■ 労使委員会の委員数については、事業場の実態に応じて関係労使が任意に定めれば足りる。ただし、労働者代表、使用者代表それぞれ1名のような場合は、労使委員会とは認められない。(平成12年基発1号)
■ 労使委員会において、企画業務型裁量労働制の導入に係る決議をする場合の「委員の5分の4以上の多数による議決」とは、労使委員会に参加した委員の5分の4以上の多数による議決で足りることとされている。(平成15年基発1226002号)
■ 決議は、所轄労働基準監督署長に届出をしなければならない。この届出を行わなければ、企画業務型裁量労働制の効力は発生しない。(平成12年基発1号)
■ 労働者派遣法44条に企画業務型裁量労働制に関する規定がない以上、派遣労働者に企画業務型裁量労働制を適用することはできない。(平成12年基発180号)
■ 労使委員会の決議それ自体についても、もとより書面により所存すべきものであるが、これについては労働基準法109条に規定する「労働関係に関する重要な書類」に該当するものであり、同条により5年間(当分の間、3年間)保存しなければならない。8平成12年基発1号)
■ 企画業務型裁量労働制が適用される場合であっても、休憩、休日及び深夜に関する規定の適用は排除されない。(平成12年基発1号)
■ 労使委員会は、以下について労使協定に代えて委員の5分の4以上の多数による議決による決議(協定代替決議)を行うことができる。
■ 労使委員会及び労働時間等設定改善委員会の決議による代替可能
・ 1箇月単位の変形労働時間制(32条の2第1項)
・ フレックスタイム制(32条の3第1項)
・ 1年単位の変形労働時間制(32条の4第1項・2項)
・ 1週間単位の変形労働時間制(32条の5第1項)
・ 一斉休暇の適用除外(34条2項但書)
・ 時間外・休日労働協定(36条1項・2項・5項)
・ 代替休暇(37条3項)
・ 事業場外のみなし労働時間制(38条の2第2項)
・ 専門業務型裁量労働制(38条の3第1項)
・ 時間単位の年次有給休暇(39条4項)
・ 年次有給休暇の計画的付与(39条6項)
■ 労使委員会のみ協定代替決議可能
・ 年次有給休暇の賃金(標準報酬月額の30分の1に相当する額)(39条9項但書)
■ 労使委員会も労働時間等設定改善委員会も協定代替決議不可能
・ 社内預金(18条)
・ 賃金の一部控除(24条)
■ 事業場外のみなし労働時間制、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制に係る労働時間のみなしは、法第4章の労働時間に関する規定の適用に係る労働時間の算定について適用されるものであり、第6章の年少者及び第6章の2の妊産婦等の労働時間に関する規定に係る労働時間の算定については適用されない。また、労働時間みなしが適用される場合であっても、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用は排除されない(みなし労働時間制が実施されたとしても、「年少者、妊産婦等の労働時間に関する協定」を優先する)(昭和63年基発1号、平成元年基発1号、平成12年基発1号)
■ みなし労働時間制まとめ
・ 事業場外
・ 要件 労使協定
・ 届出 要
・ ただし、協定で定めた時間が法定労働時間を超える場合のみ
・ 専門業務型
・ 要件 労使協定
・ 届出 要
・ 企画業務型
・ 要件 労使委員会の決議
・ 届出 要
■ 3つのみなし労働時間制(事業場外、専門業務型、企画業務型)は、いずれも、労働時間の算定において、「一定の時間、労働したものとみなす」という規定です。極端な言い方をすると、その効力しかありません。それを踏まえて、次の点には注意しましょう。
・ みなし労働時間制は、法定労働時間・法定休日に関する規定、休憩に関する規定、割増賃金に関する規定などの適用を排除するものではありません。
・ 例えば、「みなし労働時間(1日について定める)」が「8時間(1日の法定労働時間)」を超える場合には、36協定の締結・届出が必要です。
・ また、当然、みなし労働時間制の対象となる労働者に法定休日労働を行わせる場合にも、36協定の締結・届出が必要です。
■ 事業場を異にする場合とは、労働者が1日のうちA事業場で4時間労働し、次いでB事業場で5時間労働する場合のように、同一労働者が別個の事業場でそれぞれ労働することをいい、それぞれの事業主が同一であるかどうかは問われないこととされている。また、この場合、1時間の時間外労働が発生することとなるが、割増賃金の支払義務は原則として、B事業場の事業主に生じることになる。(労基法38条1項)
■ 労働者が坑口に入った時刻から坑口を出た時刻までの時間を、休憩時間を含め労働時間とみなす。ただし、この場合において、一斉休暇の原則(労基法34条2項)及び休憩時間の自由利用の原則(労基法34条3項)に関する規定は適用しない(労基法38条2項)
■ 労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の労働者については適用しない。(労基法41条、労規則23条)
・ 農業、畜産、養蚕、水産業従業者
・ 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
・ 監視又は断続的労働事業者で、使用者が行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可を受けたもの
・ 宿直又は日直の勤務で断続的な業務に就く者で使用者が行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可を受けたもの
■ 農業、畜産、養蚕、水産業従業者は、その事業が自然条件に左右されることから、労働時間等の規制を行うことは適当でないものとされ、労働時間、休憩、休日に関する適用が除外されている。なお、林業については、労働時間、休憩、休日に関する規定は適用される。
■ 事業経営の管理的立場にある者又はこれと一体をなす者であり、労働時間、休憩、休日に関する労働基準法の規制を超えて活動しなければならない企業経営上の必要から規定された。
■ 41条対象者であっても、深夜業や年次有給休暇に関する規定は適用される。
■ 監督又は管理の地位にある者(昭和63年基発150号)
・ 一般的には部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者。名称にこだわらず実態に即して判断される。
・ 権利監督者であるかの判定にあたっては、賃金面の待遇面についても無視し得ないものである。この場合、定期給与である基本給、約付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても約付者以外の一般労働者に比して優遇措置が講じられているか否か等について留意する必要がある。なお、一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからと言って、実態のない約付者が管理監督者に含まれるものではない。
■ 機密の事務を取り扱う者とは、秘書その他職務が経営者又は監督若しくは管理の地位にある者の活動と一体不可分であって、厳格な労働時間管理になじまない者(昭和22年基発17号)
■ 店舗の店長等が管理監督者に該当するか否かについては、昭和22年9月13日付け発基第17号、昭和63年3月14日付け基発第150号に基づき、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者であって、労働時間、休憩及び休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様及び賃金等の待遇を踏まえ、総合的に判断することとなるが、今般、店舗の店長等の管理監督者性の判断に当たっての特徴的な要素について、店舗における実態を踏まえ、最近の裁判例も参考として、下記の通り整理したところである。ついては、これらの要素も踏まえて判断することにより、店舗における管理監督者の範囲の適正化を図られたい。なお、下記に整理した内容は、いずれも管理監督性を否定する要素に係るものであるが、これらの否定要素が認められない場合であっても、直ちに管理監督性が肯定されることになるものではないことに留意されたい。
・ 「職務内容、責任と権限」についての判断要素
・ 店舗に所属する労働者に係る採用、解雇、人事考課及び労働時間の管理は、店舗における労務管理に関する重要な職うであることから、これらの「職務内容、責任と権限」については、次のように判断されるものであること
・ 採用 店舗に所属するアルバイト・パート等の採用(人選のみを行う場合も含む)に関する責任と権限が実質的にない場合には、管理監督性を否定する重要な要素となる。
・ 解雇 店舗に所属するアルバイト・パート等の解雇に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない場合には、管理監督性を否定する重要な要素となる。
・ 人事考課 人事考課(昇格、昇給、賞与等を決定するため労働者の業務遂行能力、業務成績等を評価することをいう)の制度がある企業において、その対象となっている部下の人事考課に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない場合には、管理監督性を否定する重要な要素となる。
・ 労働時間の管理 店舗における勤務割表の作成又は所定時間外労働の命令を行う責任と権限が実質的にない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。
・ 「勤務態様」についての判断要素
・ 管理監督者は、「現実の勤務態様も、労働時間の規制になじまないような立場にある者」であることから、「勤務態様」については、遅刻、早退等に関する取扱い、労働時間に関する裁量及び部下の勤務態様との相違により、次のように判断されるものであること。
・ 遅刻、早退等に関する取扱い
・ 遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課での負の評価等不利益な取扱いがされる場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。ただし、管理監督者であっても過重労働による健康障害防止や深夜業に対する割増賃金の支払の視点から労働時間の把握や管理が行われていることから、これらの観点から労働時間の把握や管理を受けている場合については管理監督者性を否定する要素とはならない。
・ 労働時間に関する裁量
・ 営業時間中は店舗に常駐しなければならない、あるいはアルバイト・パートなどの人員が不足する場合にそれらの者の業務に自ら従事しなければならないなどにより長時間労働を余儀なくされている場合のように、実際には労働時間に関する裁量がほとんどないと認められる場合には、管理監督者性を否定する補強要素となる。
・ 部下の勤務態様との相違
・ 管理監督者としての職務も行うが、会社から配布されたマニュアルに従った業務に従事している等労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務態様が労働時間の大半を占めている場合には、管理監督者性を否定する補強要素となる。
・ 「賃金等の待遇」についての判断要素
・ 管理監督者の判断に当たっては「一般労働者に比し優遇措置が講じられている」などの賃金等の待遇面に留意すべきものであるが、「賃金等の待遇」については、基本給、役職手当等の優遇措置、支払われた賃金の総額及び時間単価により、次のように判断されるものであること
・ 基本給、役職手当等の優遇措置
・ 基本給、役職手当等の優遇措置が、実際の労働時間数を勘案した場合に、割増賃金の規定が適用除外となることを考慮すると十分でなく、当該労働者の保護に欠けるおそれがあると認められるときは、管理監督性を否定する補強要素となる。
・ 支払われた賃金の総額
・ 一年間に支払われた賃金の総額が、勤続年数、業績、専門職種等と同程度以下である場合には、管理監督者性を否定する補強要素となる。
・ 時間単価
・ 実態として長時間労働を余儀なくされた結果、時間単価に換算した賃金額において、店舗に所属するアルバイト・パート等の賃金額に満たない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。特に、当該時間単価に換算した賃金額が最低賃金額に満たない場合は、管理監督者性を否定する極めて重要な要素となる。
■ 一般の労働の態様と異なり、労働密度が低いことから法規制を加えなくても、必ずしも労働者保護に欠けることにはならない。濫用を防ぐ意味で、適用除外の要件として所轄労働基準監督署長の許可を受けることを条件としている。
■ 使用者は、宿直又は日直の勤務で断続的な業務について、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合は、これを従事する労働者を法32条の規定にかかわらず、使用することができる。(労規則23条)
■ 宿直又は日直の勤務については、断続的労働の一態様として所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合には、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用が除外される(昭和23年基発33号)。ただし、労働基準法89条は適用されるため、就業規則に始業、終業の時刻を定める必要がある。
■ 宿直又は日直の許可基準(昭和63年基発150号)
・ 勤務の態様 ほとんど労働する必要のない勤務に限り許可される。ただし、通常の労働の継続であるようなものは許可されない。
・ 宿日直手当 1回の宿直手当又は日直手当の最低額は、当該事業場において宿直又は日直に就くことが予定されている同種の労働者に対して支払われる賃金(割増賃金の基礎となる賃金)の1人1日平均額の3分の1以上の額であること。
■ 所轄労働基準監督署長の許可の要否
・ 農業・畜産・養蚕・水産業従業者・管理監督者等 → 不要
・ 監視又は断続的労働従事者・宿日直勤務者 → 必要
■ 自律的で創造的な働き方を希望する方々が、高い収入を確保しながら、メリハリのある働き方ができるよう、本人の希望に応じた自由な働き方の選択肢を用意するものとして、2019(平成31)年4月1日施行の改正で、「高度プロフェッショナル制度」が創設された。この来ては、労働時間、休憩、休日、深夜の割町賃金の規定の適用を除外するもの。効果が高い分、実施要件は厳格なものとなっている。
■ 賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会(使用者及び当該事業場の労働者を代表する者を構成員とするものに限る)が設置された事業場において、当該委員会がその委員の5分の4以上の多数による議決により以下の決議事項に関する決議をし、かつ、使用者が、厚生労働省令で定めるところにより当該決議を行政官庁に届け出た場合において、決議事項に掲げる労働者の範囲に属する労働者(対象労働者)であって書面その他の厚生労働省令で定める方法によりその同意を得たものを当該事業場における決議事項に掲げる業務に就かせたときは、労働基準法第4章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は、対象労働者については適用しない。(労基法41条の2第1項)
■ 高度プロフェッショナル制度の対象業務に従事する対象労働者の健康管理を行うために当該対象労働者が事業場内にいた時間(労使委員会が厚生労働省令で定める労働時間以外の時間(休憩時間その他労働者が労働していない時間)を除くことを決議したときは、当該決議に係る時間を除いた時間)と事業場外において労働した時間との合計の時間をいう。(健康管理時間)
■ 実施要件のポイント
・ 事業場に「労使委員会」を設置
・ 労使委員会で、所定の決議事項について、委員の5分の4以上の多数で決議
・ 使用者が、当該決議を行政官庁に届出(届出をして、初めて効力が発生)
・ 健康管理時間を把握する措置(決議事項)、一定の健康確保措置は、必ず講じていることが必要
■ 対象労働者のポイント
・ 対象業務は高度専門職のみ
・ 高度の専門的知識等を必要とし、従事した時間と成果との関連が高くない業務(具体的には、厚生労働省令で定める)のみ
・ 対象となるのは高所得者のみ
・ 年収が「労働者の平均給与額の3倍」を「相当程度上回る基準」(1075万円)以上の者に限る
・ 最終的には、書面による本人の同意を得ることが必要(同意の撤回も可能)
■ 労基法41条の2第1項の委員会(労使委員会)
・ 労基法38条の4第2項(委員会の要件)、3項(指針)及び5項(決議)の規定は、労基法41条の2第1項の委員会について準用する(労基法41条の2第3項)
・ 高度プロフェッショナル制度に関する決議をする委員は、当該決議の内容が上記において準用する労基法38条の4第3項の指針に適合したものとなるようにしなければならない。
・ 行政官庁は、上記において準用する労基法38条の4第3項の指針に関し、高度プロフェッショナル制度に関する決議をする委員に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
■ 高度プロフェッショナル制度に係る労使委員会は、企画業務型裁量労働制に係る労使委員会と同様である。
■ 労働安全衛生法と連動して、次のような要件もあります。
・ 高度プロフェッショナル制度の適用を受ける労働者であって、その健康管理時間が当該労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超えるものに対しては、医師による面談指導を実施しなければならない。(安衛法66条の8の4)
■ 高度プロフェッショナル制度の導入のフロー
・ STEP1 「労使委員会」を設置する
・ 労使委員会の要件
・ 委員の半数については、過半数労働組合がある場合には過半数労働組合が、過半数労働組合がない場合には過半数代表者が人気を定めて指名すること等
・ STEP2 労使委員会で決議をする
・ 決議の要件 委員の5分の4以上の多数による決議
・ 決議事項
・ 対象業務 高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者につかせることとする業務
・ 対象労働者の範囲 合意に基づき職務が明確に定められており、厚生労働省令で定める額(1075万円)以上の賃金が支払われている者
・ 対象労働者の健康管理時間を把握すること及びその把握方法
・ 対象労働者に年間104日以上、かつ、4週4日以上の休日を与えること
・ 対象労働者の健康確保措置
・ インターバル確保、深夜業制限
・ 1か月又は3か月の健康管理時間の上限措置
・ 2週間連続の休日
・ 臨時の健康診断
・ 対象労働者の健康管理時間の状況に応じた健康確保措置 厚生労働省令で定めるものから選択
・ 対象労働者の同意の撤回に関する手続
・ 対象労働者の苦情処理措置を実施すること及びその具体的内容
・ 同意をしなかった労働者に不利益な取扱いをしてはならないこと
・ その他厚生労働省令で定める事項 決議の有効期間等
・ STEP3 決議を労働基準監督署長に届け出る
・ STEP4 対象労働者の同意を書面で得る
・ STEP5 対象労働者を対象業務につかせる
・ 制度導入後の対応
・ 実施状況を労働基準監督署に定期報告する
■ 要件に該当する者に面接指導を行う(100時間超の残業・請求不要)